廃水処理用の膜生物反応器(MBR)および移動床生物反応器(MBBR)の構成
【課題】膜分離活性汚泥法における膜の洗浄間隔の延長およびメンテナンス費用を低減するシステムを提供する。
【解決手段】膜生物反応器および移動床式生物反応器等の膜分離活性汚泥処理に当たって、流入水中の全懸濁物質(TSS)の大部分を事前に除去した後、膜分離活性汚泥水処理システムで処理することにより、膜ろ過作用にかかる負荷を軽減して、エネルギ費用を低下させるため、流入水の前処理装置として流体力学的分離器を使用する。
【解決手段】膜生物反応器および移動床式生物反応器等の膜分離活性汚泥処理に当たって、流入水中の全懸濁物質(TSS)の大部分を事前に除去した後、膜分離活性汚泥水処理システムで処理することにより、膜ろ過作用にかかる負荷を軽減して、エネルギ費用を低下させるため、流入水の前処理装置として流体力学的分離器を使用する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
水を処理するさまざまなシステムが、開発されてきた。このようなプロセスは、しばしば多段ろ過設計を成し、凝固、凝集、および沈降用の連続的処理ステップを含む。
【0002】
処理されようとする水の供給源は、地表水、地下水、廃水、汽水、海水などを含む。1つの従来の具体的な供給水の処理は、活性汚泥法(ASP)に基づいており、同法は、ろ過し、固形物除去を実行し、供給水を事前処理して、供給水の格納容器から汚泥状の固形物などを除去する。その後、曝気ゾーンまたは溶液器が設けられ、これは、溶液器内へ空気を噴射して、処理された供給水を曝気する。曝気に続いて、処理された供給水は、分離および汚泥除去を追加するための沈降タンクを提供される。その後、ろ過および消毒ステップがさらに使用されて、流出水を生成する。しかしながら、ASPシステムは、かなりの時間を消費し、広い土地面積を必要とし、かつ多量の汚泥を生み出す。
【0003】
別の水処理プロセスは、膜生物反応器(膜分離活性汚泥法、MBR)を用いることを含む。これらのシステムでは、固形物除去および事前処理の初期ステップ、ならびに曝気ゾーンまたは溶液器へ水を供給するステップは、上述したステップと同様とすることができる。しかしながら、沈降タンクおよび追加のろ過ならびに/または消毒の代わりのMBRプロセスでは、MBRプロセスは、5〜12,000mg/Lの全懸濁物質(TSS)を有する供給水を処理するのに使用される特殊な膜を用いる。MBRプロセスは、限外ろ過(UF)膜および精密ろ過(MF)膜を用いる。膜中心部のサイズは、0.003から0.01μmまでの範囲内にある。MBR技術は一般に、生物反応器内へ膜を沈めることになる。この浸漬型構成は、粗大な気泡の曝気を当てにして、混合を引き起こし、汚染を制限する。曝気は、懸濁液内の固形物を保持し、膜表面をこすり取り、そのバイオマスに酸素を供給して、より良好な分解性および細胞合成をもたらす。
【0004】
MBRろ過性能は、膜上および膜内への可溶性ならびに微粒子部材の沈殿が原因で、ろ過時間とともに減少する。膜の汚染は、膜部材と活性汚泥成分との間の相互作用に起因し、同成分は、可溶性およびコロイド状混合物に加えて、生きているまたは死んだ微生物が形成する生物フロックを含むが、これに限定されない。
【0005】
膜の汚染が、透過流束の減少または膜間差圧(TMP)の増加として現れる水力学的抵抗のかなりの増加を招く限り、膜の汚染は、システム性能に影響を及ぼす重大な問題である。したがって、よく使う膜の洗浄および取り換えが必要となる。
【0006】
現在、浸漬型MBRにおいて得られる空気誘導式クロスフローは、膜表面上の汚染層を除去するまたは少なくとも削減するのに用いられる。MBR応用に適用することができる他の汚染防止方策は、ろ過動作が規則的な時間間隔で停止し後、再開する場合を表す、間欠的透過を含む。このように、膜表面上に堆積した粒子は、反応器へ拡散する傾向がある。膜の逆流洗浄が使用される場合、透過水がポンプで膜へ戻され、小孔内を流れて、流路に給水し、それによって内部および外部粒子が除去される。さらに追加の汚染防止方策は、空気による逆流洗浄であり、この場合、膜の透過側面上で加圧空気が高まり、極めて短期間内にかなりの圧力を放出する。この状況において、膜モジュールは、通気孔システムに結合された加圧型容器内にある必要がある。空気が膜を通り抜けるように意図されていることはなく、意図されているとしたら、空気は膜を乾燥させて、再度ぬらすステップが必要なことになる。
【0007】
したがって、MBR式プロセスには、高価な膜に起因して高資本費用が必要となり、曝気、膜間差圧、ならびに頻繁に行う逆流フラッシングおよび/または膜について有用性を維持するための他の洗浄動作に起因して、高運用費用および高メンテナンス費用が必要となる。特に、有機物に起因する膜の汚染および目詰まりを回避するには、言及された背面洗浄などのメンテナンスを頻繁に行う必要がある。膜の完全な状態を弱めると、最終の水生産物内にTSSの汚泥が生成されるので、膜の完全な状態を維持することは、重要なことである。
【0008】
MBRシステムについて、言及された高資本的支出に注意すると、100mg/L未満のTSS用に設計された従来の膜と比較して、5〜12,000mg/LのTSSが可能な膜にとっては、膜の再調達原価は、はるかに高い。
【0009】
さらに、移動床生物反応器(MBBR)として知られている別の供給水処理技術がある。MBBR技術は、好気性、嫌気性および無酸素性反応器内で自由に浮遊するバイオフィルム担体エレメントを利用する、先端の高速供給水処理プロセスに用いられる。担体エレメントは、付着した増殖処理プロセスと懸濁した増殖処理プロセスとの間の効果的な混成物であり、他の利用可能な処理代替策と比較して、組み立てて動作させる設置面積および天然資源を著しく少なくすることができる。
【0010】
バイオフィルム担体エレメントは、極めて広い有効なバイオフィルム表面領域を提供する。バイオマスは担体エレメントの内部に閉じ込められ、担体エレメントは放出口のふるいによって反応器の内部に保たれる。これらの担体エレメントの動きは、好気性システム内の回転変位送風機、ならびに無酸素性および嫌気性システム内の混合器に基づく、粗大気泡式空気分散システムによって駆動される。MBBR技術を利用する間、反応器内の担体の充填割合は、供給水の固有の負荷に適合するように変更してもよい。処理プラントは、特定の汚染物質を目標とするMBBRプロセスおよび組み合わせプロセスから成る相当数の構成を用いて設計することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
MBRシステム内で用いられる、MBRライトと呼ばれるものなどの高費用膜を必要としないか、それともこのような膜が用いられる場合、逆流洗浄間の動作時間を延長および関連したメンテナンス費用を低下させるかのいずれかである、供給水処理プロセスを使用することが望ましいことになる。さらに、担体の寿命を拡大し、および/または担体にかかる応力を低減することによってメンテナンス要件を低下させることが、MBBRシステムにおいて有益なことになる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本水処理システムおよび方法は、処理されようとする供給水内にある全懸濁物質(TSS)の大部分を除去し、それによって水処理システム内の膜ろ過作用にかかる負荷を軽減して、エネルギ費用を低下させる、流体力学的分離器の使用を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】現行技術で用いられる膜生物反応器を包含する供給水処理システムの図である。
【図2】複数の膜ろ過モジュールの図である。
【図3】流体力学的分離器を包含する膜生物反応器水処理システムの図である。
【図4】流体力学的分離器を包含する別の膜生物反応器水処理システムの図である。
【図5】流体力学的分離器を包含する別の膜生物反応器水処理システムの図である。
【図6】ろ過膜モジュールが沈められた流体力学的分離器を包含する膜生物反応器水処理システム用のMBRライト構成の図である。
【図7】ろ過膜が加圧された流体力学的分離器を包含する膜生物反応器水処理システム用のMBRライト構成の追加の図である。
【図8】本願の膜モジュールの膜のさらに詳細な図である。
【図9】流体力学的分離器を限外ろ過器と統合する移動床生物反応器(MBBR)水処理システムの図である。
【図10】流体力学的分離器が、MBBR曝気槽、ゾーンまたは溶液器内へ包含された、移動床生物反応器水処理システムの一部の図である。
【図11】MBRライト用に設計された流体力学的分離器ユニットの構造の図である。
【図12】従来の最終沈殿池に限外ろ過器を加えた構成と、流体力学的分離器に限外ろ過器を加えた、水処理システムに用いられる構成との間のサイズの比較分析を示す図である。
【図13】本願の概念に用いることができる単一の流体力学的分離器の一実施形態の図である。
【図14】図13に示されるような流体力学的分離器の塔の図である。
【図15】本願の概念に関連して用いることができる流体力学的分離器の塔の図である。
【図16】本願に用いることができる代わりの流体力学的分離器の塔の実施形態の図である。
【図17】本願の概念に用いることができる流体力学的塔のさらなる実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、膜生物反応器(MBR)供給水処理プロセスシステム100を図示する。言及されたように、供給水は、相当数の種々の場所からの水とすることができ、他のエレメントとしては、藻類および/または活性汚泥細菌フロックを含有することができる。活性汚泥生物フロックを含有する供給水は、藻類を含有した水と極めて類似して動作し、両方とも類似の固有の重力を有するはずである。このようなフロックは、しばしば糸状菌上に形成され、フロックのサイズは、汚泥年齢が増加するにつれて減少することになる。活性汚泥細菌フロックもまた、バイオフィルムの蓄積について、水が藻類を運ぶリスク、およびサイズ範囲が10〜200μの間にあるリスクと同じリスクを有する。生物フロックは、500〜10000mg/L(TSS)の濃度にあるとすることができる最大1mmまでの粒状汚泥は、一定の条件および選択された菌株のもとで、形成することができる。
【0015】
システム100において、供給水102は、グリッドまたはスクリーン104を通して供給される。固形物除去モジュール106は、既知のやり方で供給水102を処理して、より大きい固形物粒子を除去し、次いで処理された供給水を事前処理システムまたはモジュール108へ流す。このような事前処理システムは、当技術分野で十分に周知のことであり、供給水からの粒子の初期的な分離動作を実行するのに用いられる。このような分離動作は、事前処理システム108の最下部において、粒子が落ち着き、汚泥110の形へと濃縮することによって、少なくとも部分的に成し遂げられる。結果として生じる汚泥110は、ライン112を経由して取り出される。次いで事前処理された供給水102は、曝気ゾーン(槽または溶液器とも呼ばれる)114へ流れ、同ゾーンへの気泡116は、空気発生装置118によって空気入力ライン120を経由して供給される。供給水102の曝気は、既知のやり方で引き受けられ、次いで活性化された供給水102は、MBRモジュールまたはシステム122へ流れる。MBRモジュール122の左手側には、膜126によるろ過で取り除かれた汚泥124があり、同汚泥はライン128を経由してMBRモジュールから流れる。次いで処理され清澄にされた供給水102は、ライン130を経由して、追加の処理か、それとも意図された最終用途かに向けて流れる。ライン128が、汚泥を曝気ゾーン114の入力に戻して、曝気プロセスを支援することも留意されたい。
【0016】
MBRモジュール122の膜126は、一実施形態では中空糸膜であり、5〜12,000mg/LのTSSを有する供給水で動作するように設計される。図2は、複数の膜モジュール200を描写する。このような膜は、他の従来のろ過器および/または100mg/L未満のTSSを有する供給水で動作するように設計された膜などの膜と比較して、資本的支出および膜の再調達原価が高額である。したがって、図1に示されるようなシステムを動作させる費用は、このような高費用で高メンテナンス膜の使用に起因して、増加する。
【0017】
一実施形態では、流体力学的分離器を用いて、6μmよりも大きい藻類および/またはTSSが、95%の効率で供給水流出液から分離され、藻類/TSS廃液流内へ転換される。いくつかの水処理の状況では、50%の水再生は、固形物が再生利用されるので、水処理システムを役立たせるのに「十分である」。
【0018】
ここで、従来のMBR式水処理システムに関連した問題に対処する。図3は、MBRライト処理システム300を図示し、同図において流体力学的分離器302は、システム300内の事前処理システム108の後に組み込まれて、事前処理システム108から出力された供給水102を受ける。流体力学的分離器302は、流体力学的分離器302によってライン112へ除去された汚泥を移動させる廃液放出口304を含む。次いで作用された供給水102は、供給水放出口306を経由して曝気ゾーン114へ送られ、図1に関連して説明されたのと同様のやり方で、同曝気ゾーン内で処理される。
【0019】
次いで曝気ゾーンまたは溶液器114からの供給水102は、少なくとも1つのおよび一般に多数の膜などのろ過エレメント310を含む、ろ過モジュール308へ流れる。同図において理解されるように、ろ過エレメントは、汚泥312をろ過して取り除き、同汚泥はライン128へ供給される。
【0020】
図3では、ろ過モジュール308のろ過エレメント310は、図1に関連して説明された膜における高いろ過容量よりも、少ないろ過容量を有する膜でもよいことを理解されたい。詳細には、本実施形態における膜ろ過モジュール308の膜は、供給水が100mg/L未満のTSSを有する状態で使用するように設計された膜とすることができ、高容量または高能力の膜であって、5〜12,000mg/LのTSSで動作し、したがってより安価な膜と比較して、100mg/Lよりも多く最大で約12,000mg/Lまでの動作範囲を有する膜とは対照的である。このように、MBRライトの一実施形態を用いて、流体力学的分離によって供給水から余分の部材を除去し、その結果、資本的にさらに高価な膜を用いる必要がなく、むしろより低費用の膜(すなわち、100mg/L未満のTSS)が実装されてもよいことを理解されたい。それゆえに、MBRライトシステムは、供給水処理にとっては、低費用の膜生物反応器(MBR)設計であると理解されるであろう。流体力学的分離器は、TSSの大部分を濃縮し、除去する。TSSが削減されることによって、資本的支出を削減するために安価な膜を用いることが可能となる。さらに、高価な膜(5〜12,000mg/L)が使用されるにもかかわらず、洗浄、取り換えなどの必要性が少なく、これは、エネルギ要件、部品費用をより低くし、メンテナンスをより低くすることで、運用費用がより低くなることを意味する。
【0021】
図3に示されたシステム設計の代替策である、図4に示される別の実施形態では、流体力学的分離器400は、事前処理システム108より前に、すなわち、事前処理システム108と固形物除去プロセスモジュール106との間に位置され、同流体力学的分離器において、汚泥部材は、出力ライン402を経由してライン112へ供給され、作用された供給水は、ライン404を経由して事前処理システム108へ移動する。図5に示されるさらなる実施形態では、流体力学的分離器500は、曝気ゾーン114の後に、供給水102がろ過モジュール308へ供給される前に位置される。したがって本実施形態では、流体力学的分離器500は、再びTSSを除去し、汚泥成分を、ライン502を経由してライン112へ流し、供給水は、ライン504を経由してろ過または膜モジュール308に達することになる。
【0022】
上述の説明は、流体力学的分離器が、MBRライト供給水処理システム内に位置することができる位置付けの例である。流体力学的分離器がまた、水処理システムの内部の別の場所に位置してもよいことを理解されたい。しかしながら、本実施形態のそれぞれに共通の概念は、ろ過モジュール308との相互作用を有する前に、TSSおよび他の汚染物質を除去することに向けられる。
【0023】
図3〜図5のMBRライトプロセスシステムは、任意選択で、毛髪、繊維などを除去する事前スクリーニングを用い、一部の実施形態では、従来のMBRシステム(すなわち、高費用の中空糸膜システムを用いるシステム)の事前処理に用いられるのと同一タイプのスクリーン(最小で0.1mmまで)を用いる。曝気槽の前に用いられる事前スクリーニングは、曝気槽および流体力学的分離器への有機物および固形物の負荷をさらに低減し、全体にわたる性能を改善することになることに留意されたい。
【0024】
図6を参照すると、図3〜図5と同様のMBRライト供給水処理システムの一部分であって、このようなシステムのエネルギ要件に対処する一部分600の図が説明される。特に、本図は、本システム内に発生する損失水頭に焦点を合わせる。損失水頭は、水に含まれるエネルギの総量と関係がある。水頭の量は、長さで表され、水がどれほどの高さに上昇することができるかを定義する。水頭に対して用いられる周知の方程式は、Bernoulliの方程式である。詳細には、損失水頭は、液体が液体システムの中を移動しながら、液体が受ける全水頭(位置水頭、速度水頭および圧力水頭の合計)の減少量である。損失水頭は、現実の液体においては回避することができない。この原因には、液体とパイプの壁との間の摩擦、互いに移動し合うときの近隣の液体間の摩擦、ならびにパイプの入り口および出口、ポンプ、バルブ、径違い継手および管継手のような部品によって任意のやり方で、流れが方向を変えられるまたは影響を受けるたびに引き起こされる乱流、がある。流体の損失水頭は、パイプの長さ、流体速度の2乗、および摩擦係数と呼ばれる流体摩擦を説明する用語に、直接に比例する損失水頭は、パイプの直径に反比例する。
【数1】
【0025】
損失水頭を計算する1つの既知のやり方は、Hazen−William方程式を用いることによる。別の式は、開流路内で重力により駆動された流れに共通する、Manningの公式である。この方程式では、摩擦係数fは、パイプの相対粗さおよびReynolds数によって決定され、Reynolds数Rは、R=(DV/nu)であり、Dはパイプの直径、nuは動粘性係数、およびVは流体の速度である。次いで損失水頭が過度になる場合には、水は流れないことになり、次いでこのような状況では、水流を引き起こすのにポンプが必要となることが知られている。
【0026】
図6のシステムの一部分600が、(曝気ゾーン114などの)曝気ゾーン602で開始するが、X+Yで定義された高さを有することに留意されたい。槽からの水は、マイクロスクリーン604を流れる(図3〜図5には示されていないが、代替策の実装に含まれると理解される)。供給水をマイクロスクリーン604に流すと、供給水の損失水頭は、結果的に高さXに等しくなる。次いで、マイクロスクリーン604からの供給水は、高さYを有する(流体力学的分離器308などの)流体力学的分離器606へ供給される。したがって、流体力学的分離器606を流れると、供給水の損失水頭は、結果的に高さYに等しくなる。流体力学的分離器606からのろ過された出力(例えば、TSSまたは汚泥)は、(一部の実施形態では)ポンプ610の助けを借りて、再生利用に供する濃縮として、ライン608を経由して曝気ゾーン602へ戻る。次いで、TSSが除去された供給水は、(MBRタイプ膜310などの)浸漬型ろ過モジュール612へ供給される。次いで、ろ過された供給水は、移送ポンプ614へ流れ、ライン616を経由して出力される。図6は、スクリーン604および流体力学的分離器606を通して、一定の損失水頭/エネルギ損失が発生することになるという理解を示すように意図されている。特に、曝気槽の高さからエネルギはX+Yであり、スクリーン604内にXに等しい損失水頭、および流体力学的分離器606内にYに等しい損失水頭がある。したがって、説明されたポンプの必要性がある。
【0027】
本発明者による従来のシステムの再検討によって、MBR式システムを用いて地方自治体の廃水を処理するのに用いられるエネルギのうちの約40%が、固形物がMBR膜をふさぐのを防止するために必要となることが、本発明者によって理解されている。本明細書で説明された流体力学的分離器は、このエネルギ要件を実質的になくす。しかしながら、図6に示されるように、MBRライトについての本実施形態は、流体力学的分離器を用いることに起因して、損失水頭に対処するためにエネルギ(例えば、ポンプの使用)を必要とする。それにもかかわらず、図の下方に示されるように、従来のMBRシステムの動作エネルギ要件と比較すると、曝気槽602の高さに依存して、MBRライトの実装によって、正味の省エネルギが存在することになる。したがって、例えば、高さ20フィートの曝気槽(すなわち、X+Y=20フィート)に対しては、100mg/L未満のTSSのろ過能力を有する膜を実装するMBRライトシステムに対する全動作エネルギ要件は、最大12,000mg/LまでのTSSをろ過する膜を含む従来のMBRシステムと比較すると、約28%〜32%低いと思われている。20フィートにおける対MBRの節約が約70%〜83%であり、全システムエネルギのパーセントは40%であるので、40%の約70%〜83%は、約28%〜32%の間となる。
X+Y kwh/m3* 対MBRの節約%**
10フィート 0.015 79%〜92%
20フィート 0.030 70%〜83%
30フィート 0.045 62%〜75%
*ポンプエネルギ(kwh/m3)=0.00146×損失水頭、であり、ポンプ効率は60%、モータ効率は95%と仮定する。
**MBRエネルギは、次に記載の文献で報告されたようなMBR代替策の曝気要件に対して、0.18kwh/m3であると仮定された。Black and Veatch,“Cost Effective & Energy Efficient MBR Systems”by C.L.Wallis−Lage,S.D.Levesqueから0.18から0.73kwh/m3までの範囲にあると報告された。
【0028】
図7を参照すると、図3〜図5と同様に、MBRライト供給水処理システムの一部分700の別の図が図示される。このシステムの一部分は、図6の浸漬型UFの代わりに、加圧型膜702が用いられることを除いて、実質的に図6と同様である。この設計では、膜702が沈められないので、ポンプ704は、流体力学的分離器706(図6の606)から出力を取り込み、加圧型膜702へ出力を送るように位置される。さらに違うことは、加圧型膜702からの供給水出力の一部分708が、洗浄目的用に再生利用された逆流洗浄として、曝気ゾーンへ供給されるように示されることである。それゆえに、このようなMBRライトシステムのエネルギ要件が、上述のように図示されている。
【0029】
図8では、図7内で用いられるような加圧型膜800のさらに詳細な例が示される。流体力学的分離器からの供給水802が、加圧型膜804内へ入力され、同加圧型膜は、中心部分を通り抜けるUFファイバまたはチューブ(管)806を有する。供給水がUFファイバまたはチューブ806を流れながら、このろ過された供給水は、ろ過された水808として左および右側面を経由して、膜から退出する。UFファイバまたはチューブ806は、膜のクロスフロー式ブリードによるフラッシングを実行することよって、周期的に洗浄され、それによって廃水は、出力810を経由して除去される。
【0030】
図9を参照すると、移動床生物反応器(MBBR)水処理システム900が流体力学的分離器902を含んでいる、本願の別の実施形態が示される。流体力学的分離器902の実装は、より高濃縮の供給水をMBBRにもたらし、より高い効率を可能にする。さらに、流体力学的分離器を用いて、より高速に溶解する化学的酸素要求量(COD)除去およびより高速に行われるメタン発生を、より低エネルギ要件で成し遂げることができる。
【0031】
移動床生物反応器(MBBR)は、流動性樹脂培地における一定のバイオマスを用いて、場所の節約を可能にする。従来のシステムでは、可溶性CODを除去するのに、MBBR曝気時間が30分だけ必要となる。しかしながら、特にリン酸塩を除去するのに鉄塩類が用いられる場合、従来のUF型膜に対するTSS負荷は、最高レベルになる。図9に示されるように、高速の移動床生物反応器(MBBR)(移動床バイオフィルム膜反応器(MBB−M−R)とも呼ばれる)904とUF型膜906との間に挿入された流体力学的分離器902は、この問題を緩和する。さらに詳しくは、図9では、MBBR供給水処理システム900は、高速の移動床生物反応器(MBBR)904を用いて、流体力学的分離器902とUF膜906との統合を提供し、結果的に、エネルギ、場所および費用面でかなりの利点をもたらす。本システムでは、供給水908は、当技術分野で周知の事前処理システム910へ供給される。この事前処理システムは、(重力を用いる分離などの)初期の分離工程を実行し、一定量の分離された汚泥水は、ライン912を経由して除去され、一方でさらに作用されようとする供給水908は、ライン914を経由してMBBR904へ流れる。反応器の本体内部において、一定のバイオマス918を有する流動性樹脂培地の個々のエレメントを保持するために、受動スクリーン916が設けられる。空気入力ライン920を経由して、曝気が供給される。次いで、上述したように、作用された供給水908は、TSS除去のため流体力学的分離器モジュール902へ供給される。したがって、TSSは、水が膜906によって処理される前に、除去される。次いで、保持されようとする水は、ライン922を経由して出力され、廃水はライン924を経由して移動される。
【0032】
したがって、本実施形態では、MBBR水処理システムの内部に流体力学的分離器を追加すると、膜へのTSS負荷が低減され、結果としてろ過性能が改善され、順繰りに、起こり得る汚染、洗浄頻度(例えば、膜ろ過器の逆流洗浄頻度、洗浄用化学製品費用)、および膜の取り換え頻度が低減される。本実施形態では、流体力学的分離器は、MBBRモジュール904と膜906との間に位置されるが、流体力学的分離器902は、事前処理システム910とMBBRモジュール904との間などの本システムの内部の他の場所に位置することができることを理解されたい。
【0033】
図10は、別のMBBR水処理システムの一部分1000を描写する。特に、図10は、MBBRモジュール1002に焦点を合わせる。本実施形態は、MBBRモジュール1002内へ沈められた流体力学的分離器1004を包含する。示されるように、流体力学的分離器604は、2つの別々の塔1006および1008の形をしており、各塔は順に、個々の流体力学的分離器デバイス1006a〜1006nおよび1008a〜1008nで構成される供給水1010は、MBBRモジュール1002内へ入力される。散気装置1012は、空気入力ライン1016から空気1014を受け、同ラインは、図9に示されるのと同様の空気発生装置1018によって供給される。さらに図9と同様に、本システムは、一定のバイオマス(培地)1020を有する流動性樹脂培地を含み、バイオマスは、受動スクリーン1022によって反応器1002の内部に保持される。流体力学的分離器の塔1006および1008は、散気装置からの空気を移動して、MBBRモジュール内で空気を循環することを可能にすることによって、曝気および培地再循環用にドラフトチューブとしても機能する。培地保留受動スクリーン1022が培地でふさがれないようにするのにも、空気が用いられる。本実施形態では、流体力学的分離器1004からの供給水は、ライン1018を経由して出力され、除去された微粒子(TSS)を含有する水は、ライン1024を経由して出力される。その後、分離された水は、ライン1026を経由して膜モジュール1028へ、従来の図面に示されるような浸漬型または加圧型限外ろ過膜システムなどによって追加の処理を行うために移動する。バルブ1030および1032は、追加のフロック発生が望まれているときに追加の凝固剤を供給し、本システムが洗浄されているときに洗浄用化学製品を与えることを可能にする。図10の実施形態では、MBBRモジュール1002は、最上部が12フィートの正方形で、深さが20フィートの槽である。
【0034】
図11を参照すると、単一の流体力学的分離器デバイス1102、流体力学的分離器塔配列1104、および流体力学的分離器ユニット1106の新たな図が示される。流体力学的分離器塔1104は、例えば1日当たり40,000ガロンを分離する能力を有する多重の単一分離器デバイス1102で構成される。したがって、6つの分離器から成る塔は、1日当たり240,000ガロンをろ過するまたは分離することができることになる。次いで、4つの個々の塔は、1ユニットとして組み合わせられるとき、1日当たり100万ガロンを分離することができる。このようなユニットでは、各塔は2フィートの直径を有してもよく、各塔は6つの別々のデバイスを有してもよい。各デバイスの流量は、1分当たり100リットルに等しく、この場合も(4つの塔で形成される)ユニットが、1日当たり100万ガロンの水に作用する能力を有するようにする。全ユニット1106の設置面積は、底面で例えば5フィート×5フィートほどに小さくすることができる。
【0035】
図12は、本明細書の流体力学的分離器ユニットを用いると、従来の最終沈殿池などの従来のシステムコンポーネントを用いて起こり得る面積よりも小さい設置面積を有する水処理システムを形成することが可能となることを示す。このサイズ差は、図12においてさらに詳しく示され、同図で、本実施形態を用いる、100万ガロン/日の流体力学的分離器ユニット1202用の設置面積は、上述したように、5フィート×5フィートの全ユニット設置面積を有することができ、一方、100万ガロン/日の最終沈殿池1204は、約60フィートの直径を有することになり、したがって、本システムがより小さい場所で動作することが可能となる。
【0036】
流体力学的分離器に注目し続けると、これらのコンポーネントは、説明されたようなさまざまな形式および設計、例えば、あらかじめ本明細書に参考文献によって援用された種々の形式および設計内に入ってくることがある。したがって、このような構成の例として、しかしこの例には限定されず、図13〜図17が、このような留意された変形例のいくつかを示すことに留意されたい。
【0037】
次に、図13を参照すると、単一の平面スパイラル型分離デバイス1300が図示される。デバイス1300は、注入口1302、少なくとも1つの湾曲またはスパイラル型部分1304および放出口1306を有する。この平面多重巻きスパイラル型流路デバイス1300は、1つのやり方では、プラスチックからのカットで形成してもよい。プラスチックのタイプは、固有の用途および実装される自然環境から成る関数として、変化してもよい。デバイス1300の1つの変形例では、デバイス1300の注入口1302に近い中心領域が除去されて、以下で説明される注入口結合器へのアクセスを可能にする。本デバイスのスパイラル型部分1304は、さまざまな形状を選択することができる。例えば、スパイラル型部分1304は合流してもよく、または分岐してもよい。追加の例として、放出口1306および注入口1302の位置は、用途に適合するように、例えば遠心力を増加させるまたは減少させるように、交換してもよい。遠心力は、流体、例えば水の中に流れ場を発生させ、懸濁粒子を、中立浮遊粒子(例えば、粒子が存在する水または流体と実質的に同じ比重を有する粒子)を含む流路の1つの側面に押し流すことになる。分離効率は、例えば流路の形状および流速を含む、多くのパラメータに依存する粒子にかかる力は、遠心力および圧力駆動力などを含む。
【0038】
デバイス1300または本明細書でもくろまれる他のデバイスなどの、個々の湾曲またはスパイラル型流体力学的分離デバイスの、流体内の粒子を分離する基本となる動作が、上述のように参照した特許出願(同出願は参照することによって本明細書内に援用される)の選択された部分において、詳細に説明されることを理解されたい。したがって、このような動作は、このような説明が、本明細書で説明される実施形態の説明を強化する範囲を除いて、本明細書では説明されないことになる。
【0039】
図14を参照すると、システム1400が代表的に示され、同システムは、流体についてN層の並列処理を可能にする並列手法で積み重ねられた複数のデバイス1300(図13に示される)を含む。さらに、注入口結合器1402も、図14で代表的に示され、同結合器は、共通の供給源から液体を入力し、この積み重ね全体の内部の各デバイス1300へ供給することを可能にする。注入口結合器1402は、さまざまな形状を選択することができるが、しかしながら一例では、注入口結合器1402は円筒形であり、その中に穿孔が形成される。穿孔は、システム1400内に積み重なったデバイス1300の注入口に一致する。類似の構成の放出口結合器をまた、実装することができる。2つの放出口結合器1404および1406は、本明細書では代表的に示されるが、放出口結合器の数は、各積み重なったデバイス用の放出口の経路または流路の数に基づいて、変化することができる。注入口結合器は、例えば外部のアルミニウム製プレートを通して、最上部の流路とだけ結合してもよい。すべての層への流体の接続は、最下部以外のすべての上部の層を通して穴を開けることによって、達成することができる。1404および1406で示されるような、少なくとも2つの流体放出口、または放出口結合器が、最上部のプレート上で同じやり方で接続することができる。すべての注入口および放出口の接続は、最下部のプレート上でも実装することができる。
【0040】
図15を参照すると、システム1500は、多重の平面湾曲弧セグメント1502(例えばわずかの弧セグメント)を含み、同セグメントは、並列流路として垂直に積み重ねられてスループットを増加させる。これらの平面湾曲弧セグメントは、スパイラル型デバイスの特徴および機能が、この場合これらのセグメントに当てはまるにもかかわらず、いずれのセグメント1502に対しても完全なループになっていない。弧セグメントまたは湾曲部分1502は、注入口1504、湾曲または弧セクション部分1506および放出口1508を含む。この場合も、共通の供給源から、示されるすべての別々の弧セグメントへの流体の注入口を可能にする注入口結合器1510が、図15にも示される。注入口結合器が、さまざまな形状を選択することができることを理解されたい。1つの形状では、注入口結合器は、円筒であり、各層の注入口に一致する穿孔または連続的なスロットを有する。図14のシステム1400に類似して、システム1500は、液体粒子分離のスループットを増加させる。さらに、少なくとも1つの放出口結合器(図示されない)が、実装されてもよい。放出口結合器は、例えば図14の注入口結合器に似ていてもよい。
【0041】
図16を参照すると、積み重ねられた流路(個々には示されていない)を含む別の平面湾曲構造が示される。湾曲構造1600は、注入口1602(注入口結合器を含んでもよい)、湾曲部分1604および1606、ならびに少なくとも1つの放出口1608または1610を有する。示されるように、特定のサイズまたは比重の粒子(例えば浮遊粒子)などの選択された粒子用の放出口1608がある。放出口1608は、湾曲部分1604と湾曲部分1606との間の湾曲部の周りの中ほどに位置される。第2サイズまたは第2比重を有する選択された粒子(例えば中立浮遊粒子)用の第2放出口1610は、注入口1602の反対側にある湾曲部の端部に位置される。一般に、これらの放出口1608および1610は、サイズまたは比重が変化する粒子を流体から除去するのに用いることができる。上述したように、少なくとも1つの放出口結合器が、さらに利用されてもよい。
【0042】
図17を参照すると、システム1700が示される。システム1700は、図16に示されるように複数のデバイス1600を含み、同デバイスは、並列処理によってスループットの増加を可能にする構成において、積み重ねられる。システム1700が、幅が増加した単一のデバイスをさらに含んでもよいことを理解されたい。もちろん、上述したように、注入口結合器および/または少なくとも1つの放出口結合器が、本システム内に実装されてもよい。
【0043】
説明された分離器は、連続的にかつろ過障壁なしに、全懸濁物質(TSS)のうちの90%よりも多く除去することができる。説明された流体力学的分離器は、設計要求に応えるために流出液流/廃液流の可変の流量分割も可能にし、50:50は良好な運用仕様であるが、しかしこのような分離器は、最大90:10の分割まで変化するように構成することができ、同分割は、供給水の一部であって、同供給水から十分なTSSが除去された結果、最終の意図した目的に用いることができる、供給水の一部であるか、または追加の処理を引き受けてもよく、その結果最終目的に適切となる状態にあるかのいずれかの洗浄された水と、処分されるかそれとも追加の分離用に本システムの中を再送されるかのいずれかの廃水として定義される水との間で行われる。
【0044】
説明されたシステムは、低いエネルギ要件、小さい設置面積を有し、低費用、簡素で、堅牢な低メンテナンス運用および構造であり、高価なMBR膜の代用としてより安価な膜の使用を可能にしている。
【0045】
流体力学的分離器が、移動床生物反応器(MBBR)と組み合わされることができることも示された。本設計は、さらに濃縮された給水を提供し、それによって、より高速に溶解するCOD除去、およびより高速に行われるメタンガス発生をより高効率で行うことを可能にする。流体力学的分離器によってTSSを除去すると、次に、膜上の応力が低下し、汚染の可能性、洗浄頻度(例えば、膜ろ過器の逆流洗浄頻度、洗浄用化学製品費用)およびMBR膜の取り換え頻度が低減される。本システムはさらに、TSS汚染による流束減退曲線の傾斜を縮小することによって、MBRシステムの平均エネルギ効率を増加させる。同様に、本システムは、廃液の汚泥量、処理費用、および社外の廃棄費用を削減することになる。
【0046】
上述のように開示された変形例ならびに他の特徴および機能、またはこれらの代替策は、多くの他の種々のシステムまたは応用と組み合わせてもよいことを理解されたい。現在、予見または予想されない種々の代替的修正物、変形例、またはこれらにおける改善策が、引き続いて当業者によって行うことができるが、これらもまた、次の請求項によって包含するように意図されている。
【背景技術】
【0001】
水を処理するさまざまなシステムが、開発されてきた。このようなプロセスは、しばしば多段ろ過設計を成し、凝固、凝集、および沈降用の連続的処理ステップを含む。
【0002】
処理されようとする水の供給源は、地表水、地下水、廃水、汽水、海水などを含む。1つの従来の具体的な供給水の処理は、活性汚泥法(ASP)に基づいており、同法は、ろ過し、固形物除去を実行し、供給水を事前処理して、供給水の格納容器から汚泥状の固形物などを除去する。その後、曝気ゾーンまたは溶液器が設けられ、これは、溶液器内へ空気を噴射して、処理された供給水を曝気する。曝気に続いて、処理された供給水は、分離および汚泥除去を追加するための沈降タンクを提供される。その後、ろ過および消毒ステップがさらに使用されて、流出水を生成する。しかしながら、ASPシステムは、かなりの時間を消費し、広い土地面積を必要とし、かつ多量の汚泥を生み出す。
【0003】
別の水処理プロセスは、膜生物反応器(膜分離活性汚泥法、MBR)を用いることを含む。これらのシステムでは、固形物除去および事前処理の初期ステップ、ならびに曝気ゾーンまたは溶液器へ水を供給するステップは、上述したステップと同様とすることができる。しかしながら、沈降タンクおよび追加のろ過ならびに/または消毒の代わりのMBRプロセスでは、MBRプロセスは、5〜12,000mg/Lの全懸濁物質(TSS)を有する供給水を処理するのに使用される特殊な膜を用いる。MBRプロセスは、限外ろ過(UF)膜および精密ろ過(MF)膜を用いる。膜中心部のサイズは、0.003から0.01μmまでの範囲内にある。MBR技術は一般に、生物反応器内へ膜を沈めることになる。この浸漬型構成は、粗大な気泡の曝気を当てにして、混合を引き起こし、汚染を制限する。曝気は、懸濁液内の固形物を保持し、膜表面をこすり取り、そのバイオマスに酸素を供給して、より良好な分解性および細胞合成をもたらす。
【0004】
MBRろ過性能は、膜上および膜内への可溶性ならびに微粒子部材の沈殿が原因で、ろ過時間とともに減少する。膜の汚染は、膜部材と活性汚泥成分との間の相互作用に起因し、同成分は、可溶性およびコロイド状混合物に加えて、生きているまたは死んだ微生物が形成する生物フロックを含むが、これに限定されない。
【0005】
膜の汚染が、透過流束の減少または膜間差圧(TMP)の増加として現れる水力学的抵抗のかなりの増加を招く限り、膜の汚染は、システム性能に影響を及ぼす重大な問題である。したがって、よく使う膜の洗浄および取り換えが必要となる。
【0006】
現在、浸漬型MBRにおいて得られる空気誘導式クロスフローは、膜表面上の汚染層を除去するまたは少なくとも削減するのに用いられる。MBR応用に適用することができる他の汚染防止方策は、ろ過動作が規則的な時間間隔で停止し後、再開する場合を表す、間欠的透過を含む。このように、膜表面上に堆積した粒子は、反応器へ拡散する傾向がある。膜の逆流洗浄が使用される場合、透過水がポンプで膜へ戻され、小孔内を流れて、流路に給水し、それによって内部および外部粒子が除去される。さらに追加の汚染防止方策は、空気による逆流洗浄であり、この場合、膜の透過側面上で加圧空気が高まり、極めて短期間内にかなりの圧力を放出する。この状況において、膜モジュールは、通気孔システムに結合された加圧型容器内にある必要がある。空気が膜を通り抜けるように意図されていることはなく、意図されているとしたら、空気は膜を乾燥させて、再度ぬらすステップが必要なことになる。
【0007】
したがって、MBR式プロセスには、高価な膜に起因して高資本費用が必要となり、曝気、膜間差圧、ならびに頻繁に行う逆流フラッシングおよび/または膜について有用性を維持するための他の洗浄動作に起因して、高運用費用および高メンテナンス費用が必要となる。特に、有機物に起因する膜の汚染および目詰まりを回避するには、言及された背面洗浄などのメンテナンスを頻繁に行う必要がある。膜の完全な状態を弱めると、最終の水生産物内にTSSの汚泥が生成されるので、膜の完全な状態を維持することは、重要なことである。
【0008】
MBRシステムについて、言及された高資本的支出に注意すると、100mg/L未満のTSS用に設計された従来の膜と比較して、5〜12,000mg/LのTSSが可能な膜にとっては、膜の再調達原価は、はるかに高い。
【0009】
さらに、移動床生物反応器(MBBR)として知られている別の供給水処理技術がある。MBBR技術は、好気性、嫌気性および無酸素性反応器内で自由に浮遊するバイオフィルム担体エレメントを利用する、先端の高速供給水処理プロセスに用いられる。担体エレメントは、付着した増殖処理プロセスと懸濁した増殖処理プロセスとの間の効果的な混成物であり、他の利用可能な処理代替策と比較して、組み立てて動作させる設置面積および天然資源を著しく少なくすることができる。
【0010】
バイオフィルム担体エレメントは、極めて広い有効なバイオフィルム表面領域を提供する。バイオマスは担体エレメントの内部に閉じ込められ、担体エレメントは放出口のふるいによって反応器の内部に保たれる。これらの担体エレメントの動きは、好気性システム内の回転変位送風機、ならびに無酸素性および嫌気性システム内の混合器に基づく、粗大気泡式空気分散システムによって駆動される。MBBR技術を利用する間、反応器内の担体の充填割合は、供給水の固有の負荷に適合するように変更してもよい。処理プラントは、特定の汚染物質を目標とするMBBRプロセスおよび組み合わせプロセスから成る相当数の構成を用いて設計することもできる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
MBRシステム内で用いられる、MBRライトと呼ばれるものなどの高費用膜を必要としないか、それともこのような膜が用いられる場合、逆流洗浄間の動作時間を延長および関連したメンテナンス費用を低下させるかのいずれかである、供給水処理プロセスを使用することが望ましいことになる。さらに、担体の寿命を拡大し、および/または担体にかかる応力を低減することによってメンテナンス要件を低下させることが、MBBRシステムにおいて有益なことになる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本水処理システムおよび方法は、処理されようとする供給水内にある全懸濁物質(TSS)の大部分を除去し、それによって水処理システム内の膜ろ過作用にかかる負荷を軽減して、エネルギ費用を低下させる、流体力学的分離器の使用を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】現行技術で用いられる膜生物反応器を包含する供給水処理システムの図である。
【図2】複数の膜ろ過モジュールの図である。
【図3】流体力学的分離器を包含する膜生物反応器水処理システムの図である。
【図4】流体力学的分離器を包含する別の膜生物反応器水処理システムの図である。
【図5】流体力学的分離器を包含する別の膜生物反応器水処理システムの図である。
【図6】ろ過膜モジュールが沈められた流体力学的分離器を包含する膜生物反応器水処理システム用のMBRライト構成の図である。
【図7】ろ過膜が加圧された流体力学的分離器を包含する膜生物反応器水処理システム用のMBRライト構成の追加の図である。
【図8】本願の膜モジュールの膜のさらに詳細な図である。
【図9】流体力学的分離器を限外ろ過器と統合する移動床生物反応器(MBBR)水処理システムの図である。
【図10】流体力学的分離器が、MBBR曝気槽、ゾーンまたは溶液器内へ包含された、移動床生物反応器水処理システムの一部の図である。
【図11】MBRライト用に設計された流体力学的分離器ユニットの構造の図である。
【図12】従来の最終沈殿池に限外ろ過器を加えた構成と、流体力学的分離器に限外ろ過器を加えた、水処理システムに用いられる構成との間のサイズの比較分析を示す図である。
【図13】本願の概念に用いることができる単一の流体力学的分離器の一実施形態の図である。
【図14】図13に示されるような流体力学的分離器の塔の図である。
【図15】本願の概念に関連して用いることができる流体力学的分離器の塔の図である。
【図16】本願に用いることができる代わりの流体力学的分離器の塔の実施形態の図である。
【図17】本願の概念に用いることができる流体力学的塔のさらなる実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、膜生物反応器(MBR)供給水処理プロセスシステム100を図示する。言及されたように、供給水は、相当数の種々の場所からの水とすることができ、他のエレメントとしては、藻類および/または活性汚泥細菌フロックを含有することができる。活性汚泥生物フロックを含有する供給水は、藻類を含有した水と極めて類似して動作し、両方とも類似の固有の重力を有するはずである。このようなフロックは、しばしば糸状菌上に形成され、フロックのサイズは、汚泥年齢が増加するにつれて減少することになる。活性汚泥細菌フロックもまた、バイオフィルムの蓄積について、水が藻類を運ぶリスク、およびサイズ範囲が10〜200μの間にあるリスクと同じリスクを有する。生物フロックは、500〜10000mg/L(TSS)の濃度にあるとすることができる最大1mmまでの粒状汚泥は、一定の条件および選択された菌株のもとで、形成することができる。
【0015】
システム100において、供給水102は、グリッドまたはスクリーン104を通して供給される。固形物除去モジュール106は、既知のやり方で供給水102を処理して、より大きい固形物粒子を除去し、次いで処理された供給水を事前処理システムまたはモジュール108へ流す。このような事前処理システムは、当技術分野で十分に周知のことであり、供給水からの粒子の初期的な分離動作を実行するのに用いられる。このような分離動作は、事前処理システム108の最下部において、粒子が落ち着き、汚泥110の形へと濃縮することによって、少なくとも部分的に成し遂げられる。結果として生じる汚泥110は、ライン112を経由して取り出される。次いで事前処理された供給水102は、曝気ゾーン(槽または溶液器とも呼ばれる)114へ流れ、同ゾーンへの気泡116は、空気発生装置118によって空気入力ライン120を経由して供給される。供給水102の曝気は、既知のやり方で引き受けられ、次いで活性化された供給水102は、MBRモジュールまたはシステム122へ流れる。MBRモジュール122の左手側には、膜126によるろ過で取り除かれた汚泥124があり、同汚泥はライン128を経由してMBRモジュールから流れる。次いで処理され清澄にされた供給水102は、ライン130を経由して、追加の処理か、それとも意図された最終用途かに向けて流れる。ライン128が、汚泥を曝気ゾーン114の入力に戻して、曝気プロセスを支援することも留意されたい。
【0016】
MBRモジュール122の膜126は、一実施形態では中空糸膜であり、5〜12,000mg/LのTSSを有する供給水で動作するように設計される。図2は、複数の膜モジュール200を描写する。このような膜は、他の従来のろ過器および/または100mg/L未満のTSSを有する供給水で動作するように設計された膜などの膜と比較して、資本的支出および膜の再調達原価が高額である。したがって、図1に示されるようなシステムを動作させる費用は、このような高費用で高メンテナンス膜の使用に起因して、増加する。
【0017】
一実施形態では、流体力学的分離器を用いて、6μmよりも大きい藻類および/またはTSSが、95%の効率で供給水流出液から分離され、藻類/TSS廃液流内へ転換される。いくつかの水処理の状況では、50%の水再生は、固形物が再生利用されるので、水処理システムを役立たせるのに「十分である」。
【0018】
ここで、従来のMBR式水処理システムに関連した問題に対処する。図3は、MBRライト処理システム300を図示し、同図において流体力学的分離器302は、システム300内の事前処理システム108の後に組み込まれて、事前処理システム108から出力された供給水102を受ける。流体力学的分離器302は、流体力学的分離器302によってライン112へ除去された汚泥を移動させる廃液放出口304を含む。次いで作用された供給水102は、供給水放出口306を経由して曝気ゾーン114へ送られ、図1に関連して説明されたのと同様のやり方で、同曝気ゾーン内で処理される。
【0019】
次いで曝気ゾーンまたは溶液器114からの供給水102は、少なくとも1つのおよび一般に多数の膜などのろ過エレメント310を含む、ろ過モジュール308へ流れる。同図において理解されるように、ろ過エレメントは、汚泥312をろ過して取り除き、同汚泥はライン128へ供給される。
【0020】
図3では、ろ過モジュール308のろ過エレメント310は、図1に関連して説明された膜における高いろ過容量よりも、少ないろ過容量を有する膜でもよいことを理解されたい。詳細には、本実施形態における膜ろ過モジュール308の膜は、供給水が100mg/L未満のTSSを有する状態で使用するように設計された膜とすることができ、高容量または高能力の膜であって、5〜12,000mg/LのTSSで動作し、したがってより安価な膜と比較して、100mg/Lよりも多く最大で約12,000mg/Lまでの動作範囲を有する膜とは対照的である。このように、MBRライトの一実施形態を用いて、流体力学的分離によって供給水から余分の部材を除去し、その結果、資本的にさらに高価な膜を用いる必要がなく、むしろより低費用の膜(すなわち、100mg/L未満のTSS)が実装されてもよいことを理解されたい。それゆえに、MBRライトシステムは、供給水処理にとっては、低費用の膜生物反応器(MBR)設計であると理解されるであろう。流体力学的分離器は、TSSの大部分を濃縮し、除去する。TSSが削減されることによって、資本的支出を削減するために安価な膜を用いることが可能となる。さらに、高価な膜(5〜12,000mg/L)が使用されるにもかかわらず、洗浄、取り換えなどの必要性が少なく、これは、エネルギ要件、部品費用をより低くし、メンテナンスをより低くすることで、運用費用がより低くなることを意味する。
【0021】
図3に示されたシステム設計の代替策である、図4に示される別の実施形態では、流体力学的分離器400は、事前処理システム108より前に、すなわち、事前処理システム108と固形物除去プロセスモジュール106との間に位置され、同流体力学的分離器において、汚泥部材は、出力ライン402を経由してライン112へ供給され、作用された供給水は、ライン404を経由して事前処理システム108へ移動する。図5に示されるさらなる実施形態では、流体力学的分離器500は、曝気ゾーン114の後に、供給水102がろ過モジュール308へ供給される前に位置される。したがって本実施形態では、流体力学的分離器500は、再びTSSを除去し、汚泥成分を、ライン502を経由してライン112へ流し、供給水は、ライン504を経由してろ過または膜モジュール308に達することになる。
【0022】
上述の説明は、流体力学的分離器が、MBRライト供給水処理システム内に位置することができる位置付けの例である。流体力学的分離器がまた、水処理システムの内部の別の場所に位置してもよいことを理解されたい。しかしながら、本実施形態のそれぞれに共通の概念は、ろ過モジュール308との相互作用を有する前に、TSSおよび他の汚染物質を除去することに向けられる。
【0023】
図3〜図5のMBRライトプロセスシステムは、任意選択で、毛髪、繊維などを除去する事前スクリーニングを用い、一部の実施形態では、従来のMBRシステム(すなわち、高費用の中空糸膜システムを用いるシステム)の事前処理に用いられるのと同一タイプのスクリーン(最小で0.1mmまで)を用いる。曝気槽の前に用いられる事前スクリーニングは、曝気槽および流体力学的分離器への有機物および固形物の負荷をさらに低減し、全体にわたる性能を改善することになることに留意されたい。
【0024】
図6を参照すると、図3〜図5と同様のMBRライト供給水処理システムの一部分であって、このようなシステムのエネルギ要件に対処する一部分600の図が説明される。特に、本図は、本システム内に発生する損失水頭に焦点を合わせる。損失水頭は、水に含まれるエネルギの総量と関係がある。水頭の量は、長さで表され、水がどれほどの高さに上昇することができるかを定義する。水頭に対して用いられる周知の方程式は、Bernoulliの方程式である。詳細には、損失水頭は、液体が液体システムの中を移動しながら、液体が受ける全水頭(位置水頭、速度水頭および圧力水頭の合計)の減少量である。損失水頭は、現実の液体においては回避することができない。この原因には、液体とパイプの壁との間の摩擦、互いに移動し合うときの近隣の液体間の摩擦、ならびにパイプの入り口および出口、ポンプ、バルブ、径違い継手および管継手のような部品によって任意のやり方で、流れが方向を変えられるまたは影響を受けるたびに引き起こされる乱流、がある。流体の損失水頭は、パイプの長さ、流体速度の2乗、および摩擦係数と呼ばれる流体摩擦を説明する用語に、直接に比例する損失水頭は、パイプの直径に反比例する。
【数1】
【0025】
損失水頭を計算する1つの既知のやり方は、Hazen−William方程式を用いることによる。別の式は、開流路内で重力により駆動された流れに共通する、Manningの公式である。この方程式では、摩擦係数fは、パイプの相対粗さおよびReynolds数によって決定され、Reynolds数Rは、R=(DV/nu)であり、Dはパイプの直径、nuは動粘性係数、およびVは流体の速度である。次いで損失水頭が過度になる場合には、水は流れないことになり、次いでこのような状況では、水流を引き起こすのにポンプが必要となることが知られている。
【0026】
図6のシステムの一部分600が、(曝気ゾーン114などの)曝気ゾーン602で開始するが、X+Yで定義された高さを有することに留意されたい。槽からの水は、マイクロスクリーン604を流れる(図3〜図5には示されていないが、代替策の実装に含まれると理解される)。供給水をマイクロスクリーン604に流すと、供給水の損失水頭は、結果的に高さXに等しくなる。次いで、マイクロスクリーン604からの供給水は、高さYを有する(流体力学的分離器308などの)流体力学的分離器606へ供給される。したがって、流体力学的分離器606を流れると、供給水の損失水頭は、結果的に高さYに等しくなる。流体力学的分離器606からのろ過された出力(例えば、TSSまたは汚泥)は、(一部の実施形態では)ポンプ610の助けを借りて、再生利用に供する濃縮として、ライン608を経由して曝気ゾーン602へ戻る。次いで、TSSが除去された供給水は、(MBRタイプ膜310などの)浸漬型ろ過モジュール612へ供給される。次いで、ろ過された供給水は、移送ポンプ614へ流れ、ライン616を経由して出力される。図6は、スクリーン604および流体力学的分離器606を通して、一定の損失水頭/エネルギ損失が発生することになるという理解を示すように意図されている。特に、曝気槽の高さからエネルギはX+Yであり、スクリーン604内にXに等しい損失水頭、および流体力学的分離器606内にYに等しい損失水頭がある。したがって、説明されたポンプの必要性がある。
【0027】
本発明者による従来のシステムの再検討によって、MBR式システムを用いて地方自治体の廃水を処理するのに用いられるエネルギのうちの約40%が、固形物がMBR膜をふさぐのを防止するために必要となることが、本発明者によって理解されている。本明細書で説明された流体力学的分離器は、このエネルギ要件を実質的になくす。しかしながら、図6に示されるように、MBRライトについての本実施形態は、流体力学的分離器を用いることに起因して、損失水頭に対処するためにエネルギ(例えば、ポンプの使用)を必要とする。それにもかかわらず、図の下方に示されるように、従来のMBRシステムの動作エネルギ要件と比較すると、曝気槽602の高さに依存して、MBRライトの実装によって、正味の省エネルギが存在することになる。したがって、例えば、高さ20フィートの曝気槽(すなわち、X+Y=20フィート)に対しては、100mg/L未満のTSSのろ過能力を有する膜を実装するMBRライトシステムに対する全動作エネルギ要件は、最大12,000mg/LまでのTSSをろ過する膜を含む従来のMBRシステムと比較すると、約28%〜32%低いと思われている。20フィートにおける対MBRの節約が約70%〜83%であり、全システムエネルギのパーセントは40%であるので、40%の約70%〜83%は、約28%〜32%の間となる。
X+Y kwh/m3* 対MBRの節約%**
10フィート 0.015 79%〜92%
20フィート 0.030 70%〜83%
30フィート 0.045 62%〜75%
*ポンプエネルギ(kwh/m3)=0.00146×損失水頭、であり、ポンプ効率は60%、モータ効率は95%と仮定する。
**MBRエネルギは、次に記載の文献で報告されたようなMBR代替策の曝気要件に対して、0.18kwh/m3であると仮定された。Black and Veatch,“Cost Effective & Energy Efficient MBR Systems”by C.L.Wallis−Lage,S.D.Levesqueから0.18から0.73kwh/m3までの範囲にあると報告された。
【0028】
図7を参照すると、図3〜図5と同様に、MBRライト供給水処理システムの一部分700の別の図が図示される。このシステムの一部分は、図6の浸漬型UFの代わりに、加圧型膜702が用いられることを除いて、実質的に図6と同様である。この設計では、膜702が沈められないので、ポンプ704は、流体力学的分離器706(図6の606)から出力を取り込み、加圧型膜702へ出力を送るように位置される。さらに違うことは、加圧型膜702からの供給水出力の一部分708が、洗浄目的用に再生利用された逆流洗浄として、曝気ゾーンへ供給されるように示されることである。それゆえに、このようなMBRライトシステムのエネルギ要件が、上述のように図示されている。
【0029】
図8では、図7内で用いられるような加圧型膜800のさらに詳細な例が示される。流体力学的分離器からの供給水802が、加圧型膜804内へ入力され、同加圧型膜は、中心部分を通り抜けるUFファイバまたはチューブ(管)806を有する。供給水がUFファイバまたはチューブ806を流れながら、このろ過された供給水は、ろ過された水808として左および右側面を経由して、膜から退出する。UFファイバまたはチューブ806は、膜のクロスフロー式ブリードによるフラッシングを実行することよって、周期的に洗浄され、それによって廃水は、出力810を経由して除去される。
【0030】
図9を参照すると、移動床生物反応器(MBBR)水処理システム900が流体力学的分離器902を含んでいる、本願の別の実施形態が示される。流体力学的分離器902の実装は、より高濃縮の供給水をMBBRにもたらし、より高い効率を可能にする。さらに、流体力学的分離器を用いて、より高速に溶解する化学的酸素要求量(COD)除去およびより高速に行われるメタン発生を、より低エネルギ要件で成し遂げることができる。
【0031】
移動床生物反応器(MBBR)は、流動性樹脂培地における一定のバイオマスを用いて、場所の節約を可能にする。従来のシステムでは、可溶性CODを除去するのに、MBBR曝気時間が30分だけ必要となる。しかしながら、特にリン酸塩を除去するのに鉄塩類が用いられる場合、従来のUF型膜に対するTSS負荷は、最高レベルになる。図9に示されるように、高速の移動床生物反応器(MBBR)(移動床バイオフィルム膜反応器(MBB−M−R)とも呼ばれる)904とUF型膜906との間に挿入された流体力学的分離器902は、この問題を緩和する。さらに詳しくは、図9では、MBBR供給水処理システム900は、高速の移動床生物反応器(MBBR)904を用いて、流体力学的分離器902とUF膜906との統合を提供し、結果的に、エネルギ、場所および費用面でかなりの利点をもたらす。本システムでは、供給水908は、当技術分野で周知の事前処理システム910へ供給される。この事前処理システムは、(重力を用いる分離などの)初期の分離工程を実行し、一定量の分離された汚泥水は、ライン912を経由して除去され、一方でさらに作用されようとする供給水908は、ライン914を経由してMBBR904へ流れる。反応器の本体内部において、一定のバイオマス918を有する流動性樹脂培地の個々のエレメントを保持するために、受動スクリーン916が設けられる。空気入力ライン920を経由して、曝気が供給される。次いで、上述したように、作用された供給水908は、TSS除去のため流体力学的分離器モジュール902へ供給される。したがって、TSSは、水が膜906によって処理される前に、除去される。次いで、保持されようとする水は、ライン922を経由して出力され、廃水はライン924を経由して移動される。
【0032】
したがって、本実施形態では、MBBR水処理システムの内部に流体力学的分離器を追加すると、膜へのTSS負荷が低減され、結果としてろ過性能が改善され、順繰りに、起こり得る汚染、洗浄頻度(例えば、膜ろ過器の逆流洗浄頻度、洗浄用化学製品費用)、および膜の取り換え頻度が低減される。本実施形態では、流体力学的分離器は、MBBRモジュール904と膜906との間に位置されるが、流体力学的分離器902は、事前処理システム910とMBBRモジュール904との間などの本システムの内部の他の場所に位置することができることを理解されたい。
【0033】
図10は、別のMBBR水処理システムの一部分1000を描写する。特に、図10は、MBBRモジュール1002に焦点を合わせる。本実施形態は、MBBRモジュール1002内へ沈められた流体力学的分離器1004を包含する。示されるように、流体力学的分離器604は、2つの別々の塔1006および1008の形をしており、各塔は順に、個々の流体力学的分離器デバイス1006a〜1006nおよび1008a〜1008nで構成される供給水1010は、MBBRモジュール1002内へ入力される。散気装置1012は、空気入力ライン1016から空気1014を受け、同ラインは、図9に示されるのと同様の空気発生装置1018によって供給される。さらに図9と同様に、本システムは、一定のバイオマス(培地)1020を有する流動性樹脂培地を含み、バイオマスは、受動スクリーン1022によって反応器1002の内部に保持される。流体力学的分離器の塔1006および1008は、散気装置からの空気を移動して、MBBRモジュール内で空気を循環することを可能にすることによって、曝気および培地再循環用にドラフトチューブとしても機能する。培地保留受動スクリーン1022が培地でふさがれないようにするのにも、空気が用いられる。本実施形態では、流体力学的分離器1004からの供給水は、ライン1018を経由して出力され、除去された微粒子(TSS)を含有する水は、ライン1024を経由して出力される。その後、分離された水は、ライン1026を経由して膜モジュール1028へ、従来の図面に示されるような浸漬型または加圧型限外ろ過膜システムなどによって追加の処理を行うために移動する。バルブ1030および1032は、追加のフロック発生が望まれているときに追加の凝固剤を供給し、本システムが洗浄されているときに洗浄用化学製品を与えることを可能にする。図10の実施形態では、MBBRモジュール1002は、最上部が12フィートの正方形で、深さが20フィートの槽である。
【0034】
図11を参照すると、単一の流体力学的分離器デバイス1102、流体力学的分離器塔配列1104、および流体力学的分離器ユニット1106の新たな図が示される。流体力学的分離器塔1104は、例えば1日当たり40,000ガロンを分離する能力を有する多重の単一分離器デバイス1102で構成される。したがって、6つの分離器から成る塔は、1日当たり240,000ガロンをろ過するまたは分離することができることになる。次いで、4つの個々の塔は、1ユニットとして組み合わせられるとき、1日当たり100万ガロンを分離することができる。このようなユニットでは、各塔は2フィートの直径を有してもよく、各塔は6つの別々のデバイスを有してもよい。各デバイスの流量は、1分当たり100リットルに等しく、この場合も(4つの塔で形成される)ユニットが、1日当たり100万ガロンの水に作用する能力を有するようにする。全ユニット1106の設置面積は、底面で例えば5フィート×5フィートほどに小さくすることができる。
【0035】
図12は、本明細書の流体力学的分離器ユニットを用いると、従来の最終沈殿池などの従来のシステムコンポーネントを用いて起こり得る面積よりも小さい設置面積を有する水処理システムを形成することが可能となることを示す。このサイズ差は、図12においてさらに詳しく示され、同図で、本実施形態を用いる、100万ガロン/日の流体力学的分離器ユニット1202用の設置面積は、上述したように、5フィート×5フィートの全ユニット設置面積を有することができ、一方、100万ガロン/日の最終沈殿池1204は、約60フィートの直径を有することになり、したがって、本システムがより小さい場所で動作することが可能となる。
【0036】
流体力学的分離器に注目し続けると、これらのコンポーネントは、説明されたようなさまざまな形式および設計、例えば、あらかじめ本明細書に参考文献によって援用された種々の形式および設計内に入ってくることがある。したがって、このような構成の例として、しかしこの例には限定されず、図13〜図17が、このような留意された変形例のいくつかを示すことに留意されたい。
【0037】
次に、図13を参照すると、単一の平面スパイラル型分離デバイス1300が図示される。デバイス1300は、注入口1302、少なくとも1つの湾曲またはスパイラル型部分1304および放出口1306を有する。この平面多重巻きスパイラル型流路デバイス1300は、1つのやり方では、プラスチックからのカットで形成してもよい。プラスチックのタイプは、固有の用途および実装される自然環境から成る関数として、変化してもよい。デバイス1300の1つの変形例では、デバイス1300の注入口1302に近い中心領域が除去されて、以下で説明される注入口結合器へのアクセスを可能にする。本デバイスのスパイラル型部分1304は、さまざまな形状を選択することができる。例えば、スパイラル型部分1304は合流してもよく、または分岐してもよい。追加の例として、放出口1306および注入口1302の位置は、用途に適合するように、例えば遠心力を増加させるまたは減少させるように、交換してもよい。遠心力は、流体、例えば水の中に流れ場を発生させ、懸濁粒子を、中立浮遊粒子(例えば、粒子が存在する水または流体と実質的に同じ比重を有する粒子)を含む流路の1つの側面に押し流すことになる。分離効率は、例えば流路の形状および流速を含む、多くのパラメータに依存する粒子にかかる力は、遠心力および圧力駆動力などを含む。
【0038】
デバイス1300または本明細書でもくろまれる他のデバイスなどの、個々の湾曲またはスパイラル型流体力学的分離デバイスの、流体内の粒子を分離する基本となる動作が、上述のように参照した特許出願(同出願は参照することによって本明細書内に援用される)の選択された部分において、詳細に説明されることを理解されたい。したがって、このような動作は、このような説明が、本明細書で説明される実施形態の説明を強化する範囲を除いて、本明細書では説明されないことになる。
【0039】
図14を参照すると、システム1400が代表的に示され、同システムは、流体についてN層の並列処理を可能にする並列手法で積み重ねられた複数のデバイス1300(図13に示される)を含む。さらに、注入口結合器1402も、図14で代表的に示され、同結合器は、共通の供給源から液体を入力し、この積み重ね全体の内部の各デバイス1300へ供給することを可能にする。注入口結合器1402は、さまざまな形状を選択することができるが、しかしながら一例では、注入口結合器1402は円筒形であり、その中に穿孔が形成される。穿孔は、システム1400内に積み重なったデバイス1300の注入口に一致する。類似の構成の放出口結合器をまた、実装することができる。2つの放出口結合器1404および1406は、本明細書では代表的に示されるが、放出口結合器の数は、各積み重なったデバイス用の放出口の経路または流路の数に基づいて、変化することができる。注入口結合器は、例えば外部のアルミニウム製プレートを通して、最上部の流路とだけ結合してもよい。すべての層への流体の接続は、最下部以外のすべての上部の層を通して穴を開けることによって、達成することができる。1404および1406で示されるような、少なくとも2つの流体放出口、または放出口結合器が、最上部のプレート上で同じやり方で接続することができる。すべての注入口および放出口の接続は、最下部のプレート上でも実装することができる。
【0040】
図15を参照すると、システム1500は、多重の平面湾曲弧セグメント1502(例えばわずかの弧セグメント)を含み、同セグメントは、並列流路として垂直に積み重ねられてスループットを増加させる。これらの平面湾曲弧セグメントは、スパイラル型デバイスの特徴および機能が、この場合これらのセグメントに当てはまるにもかかわらず、いずれのセグメント1502に対しても完全なループになっていない。弧セグメントまたは湾曲部分1502は、注入口1504、湾曲または弧セクション部分1506および放出口1508を含む。この場合も、共通の供給源から、示されるすべての別々の弧セグメントへの流体の注入口を可能にする注入口結合器1510が、図15にも示される。注入口結合器が、さまざまな形状を選択することができることを理解されたい。1つの形状では、注入口結合器は、円筒であり、各層の注入口に一致する穿孔または連続的なスロットを有する。図14のシステム1400に類似して、システム1500は、液体粒子分離のスループットを増加させる。さらに、少なくとも1つの放出口結合器(図示されない)が、実装されてもよい。放出口結合器は、例えば図14の注入口結合器に似ていてもよい。
【0041】
図16を参照すると、積み重ねられた流路(個々には示されていない)を含む別の平面湾曲構造が示される。湾曲構造1600は、注入口1602(注入口結合器を含んでもよい)、湾曲部分1604および1606、ならびに少なくとも1つの放出口1608または1610を有する。示されるように、特定のサイズまたは比重の粒子(例えば浮遊粒子)などの選択された粒子用の放出口1608がある。放出口1608は、湾曲部分1604と湾曲部分1606との間の湾曲部の周りの中ほどに位置される。第2サイズまたは第2比重を有する選択された粒子(例えば中立浮遊粒子)用の第2放出口1610は、注入口1602の反対側にある湾曲部の端部に位置される。一般に、これらの放出口1608および1610は、サイズまたは比重が変化する粒子を流体から除去するのに用いることができる。上述したように、少なくとも1つの放出口結合器が、さらに利用されてもよい。
【0042】
図17を参照すると、システム1700が示される。システム1700は、図16に示されるように複数のデバイス1600を含み、同デバイスは、並列処理によってスループットの増加を可能にする構成において、積み重ねられる。システム1700が、幅が増加した単一のデバイスをさらに含んでもよいことを理解されたい。もちろん、上述したように、注入口結合器および/または少なくとも1つの放出口結合器が、本システム内に実装されてもよい。
【0043】
説明された分離器は、連続的にかつろ過障壁なしに、全懸濁物質(TSS)のうちの90%よりも多く除去することができる。説明された流体力学的分離器は、設計要求に応えるために流出液流/廃液流の可変の流量分割も可能にし、50:50は良好な運用仕様であるが、しかしこのような分離器は、最大90:10の分割まで変化するように構成することができ、同分割は、供給水の一部であって、同供給水から十分なTSSが除去された結果、最終の意図した目的に用いることができる、供給水の一部であるか、または追加の処理を引き受けてもよく、その結果最終目的に適切となる状態にあるかのいずれかの洗浄された水と、処分されるかそれとも追加の分離用に本システムの中を再送されるかのいずれかの廃水として定義される水との間で行われる。
【0044】
説明されたシステムは、低いエネルギ要件、小さい設置面積を有し、低費用、簡素で、堅牢な低メンテナンス運用および構造であり、高価なMBR膜の代用としてより安価な膜の使用を可能にしている。
【0045】
流体力学的分離器が、移動床生物反応器(MBBR)と組み合わされることができることも示された。本設計は、さらに濃縮された給水を提供し、それによって、より高速に溶解するCOD除去、およびより高速に行われるメタンガス発生をより高効率で行うことを可能にする。流体力学的分離器によってTSSを除去すると、次に、膜上の応力が低下し、汚染の可能性、洗浄頻度(例えば、膜ろ過器の逆流洗浄頻度、洗浄用化学製品費用)およびMBR膜の取り換え頻度が低減される。本システムはさらに、TSS汚染による流束減退曲線の傾斜を縮小することによって、MBRシステムの平均エネルギ効率を増加させる。同様に、本システムは、廃液の汚泥量、処理費用、および社外の廃棄費用を削減することになる。
【0046】
上述のように開示された変形例ならびに他の特徴および機能、またはこれらの代替策は、多くの他の種々のシステムまたは応用と組み合わせてもよいことを理解されたい。現在、予見または予想されない種々の代替的修正物、変形例、またはこれらにおける改善策が、引き続いて当業者によって行うことができるが、これらもまた、次の請求項によって包含するように意図されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜式生物反応器水処理システムであって、
前記システム内へ供給水を受ける水吸入口と、
前記水吸入口から前記供給水を受けるように構成される固形物除去モジュールと、
前記固形物除去モジュールから前記供給水を受けるように構成される前処理モジュールと、
前記前処理モジュールから前記供給水を受けるように構成される曝気ゾーンと、
前記曝気ゾーンから前記供給水を受けるように構成される膜モジュールと、
前記供給水が前記膜モジュールによって受けられる前に、前記供給水を受けるための前記システムの内部に構成される流体力学的分離器であって、前記供給水が前記膜モジュールによって受けられる前に、前記供給水からTSSを除去する、流体力学的分離器とを含む、システム。
【請求項2】
前記膜モジュールは、100mg/L未満の全懸濁物質を含む水をろ過するためのろ過容量を有する、少なくとも1つの膜で構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記膜モジュールは、100mg/Lよりも多い全懸濁物質で、かつ最大12,000mg/Lまでの全懸濁物質を含む水をろ過するためのろ過容量を有する、少なくとも1つの膜で構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムは、ろ過障壁なしに、90%よりも多い全懸濁物質(TSS)を連続的に除去する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記流体力学的分離器は、清澄な水流と廃水流との間に、可変の流量分割をもたらす、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記流体力学的分離器を含む前記システムに属するMBRモジュールを動作させるための省エネルギは、流体力学的分離器なしに、MBR式水処理システム内の前記MBRモジュールを動作させるために必要なエネルギに対して、約62%から95%までの省エネルギをもたらす、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
TSS汚染物質からのフロック減退曲線の傾斜は、従来のMBR式水処理システムと比較して減少する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
移動床生物反応器式水処理システムであって、
前記システム内への供給水を受ける水吸入口と、
前記水吸入口から前記供給水を受けるように構成される固形物除去モジュールと、
前記固形物除去モジュールから前記供給水を受けるように構成される事前処理モジュールと、
前記曝気ゾーンから前記供給水を受けるように構成される移動床生物反応器モジュールと、
前記供給水が前記移動床生物反応器モジュールによって受けられる前に、前記供給水を受けるための流体力学的分離器であって、前記供給水が該移動床生物反応器モジュールによって受けられる前に、前記供給水からTSSを除去する、流体力学的分離器とを含む、システム。
【請求項9】
前記流体力学的分離器は、前記移動床生物反応器モジュールの内部に位置される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記流体力学的分離器は、清澄な水流および廃水流における可変の流量分割をもたらす、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記流体力学的分離器を包含する前記システムに属するMBRモジュールを動作させる省エネルギは、流体力学的分離器なしに、MBR式水処理システム内の前記MBRモジュールを動作させるために必要なエネルギに対して、約62%から95%までの省エネルギをもたらす、請求項8に記載のシステム。
【請求項1】
膜式生物反応器水処理システムであって、
前記システム内へ供給水を受ける水吸入口と、
前記水吸入口から前記供給水を受けるように構成される固形物除去モジュールと、
前記固形物除去モジュールから前記供給水を受けるように構成される前処理モジュールと、
前記前処理モジュールから前記供給水を受けるように構成される曝気ゾーンと、
前記曝気ゾーンから前記供給水を受けるように構成される膜モジュールと、
前記供給水が前記膜モジュールによって受けられる前に、前記供給水を受けるための前記システムの内部に構成される流体力学的分離器であって、前記供給水が前記膜モジュールによって受けられる前に、前記供給水からTSSを除去する、流体力学的分離器とを含む、システム。
【請求項2】
前記膜モジュールは、100mg/L未満の全懸濁物質を含む水をろ過するためのろ過容量を有する、少なくとも1つの膜で構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記膜モジュールは、100mg/Lよりも多い全懸濁物質で、かつ最大12,000mg/Lまでの全懸濁物質を含む水をろ過するためのろ過容量を有する、少なくとも1つの膜で構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムは、ろ過障壁なしに、90%よりも多い全懸濁物質(TSS)を連続的に除去する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記流体力学的分離器は、清澄な水流と廃水流との間に、可変の流量分割をもたらす、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記流体力学的分離器を含む前記システムに属するMBRモジュールを動作させるための省エネルギは、流体力学的分離器なしに、MBR式水処理システム内の前記MBRモジュールを動作させるために必要なエネルギに対して、約62%から95%までの省エネルギをもたらす、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
TSS汚染物質からのフロック減退曲線の傾斜は、従来のMBR式水処理システムと比較して減少する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
移動床生物反応器式水処理システムであって、
前記システム内への供給水を受ける水吸入口と、
前記水吸入口から前記供給水を受けるように構成される固形物除去モジュールと、
前記固形物除去モジュールから前記供給水を受けるように構成される事前処理モジュールと、
前記曝気ゾーンから前記供給水を受けるように構成される移動床生物反応器モジュールと、
前記供給水が前記移動床生物反応器モジュールによって受けられる前に、前記供給水を受けるための流体力学的分離器であって、前記供給水が該移動床生物反応器モジュールによって受けられる前に、前記供給水からTSSを除去する、流体力学的分離器とを含む、システム。
【請求項9】
前記流体力学的分離器は、前記移動床生物反応器モジュールの内部に位置される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記流体力学的分離器は、清澄な水流および廃水流における可変の流量分割をもたらす、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記流体力学的分離器を包含する前記システムに属するMBRモジュールを動作させる省エネルギは、流体力学的分離器なしに、MBR式水処理システム内の前記MBRモジュールを動作させるために必要なエネルギに対して、約62%から95%までの省エネルギをもたらす、請求項8に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−130908(P2012−130908A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−267387(P2011−267387)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【出願人】(502096543)パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド (393)
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【出願人】(502096543)パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド (393)
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
【Fターム(参考)】
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