説明

廃熱回収用熱交換器

【課題】熱交換の過程で燃焼排気が低温下して生じる凝縮水を捕集して速やかに外部に導出し、凝縮水が器内に滞留することがない廃熱回収用熱交換器を提案する。
【解決手段】波形成形したコルゲート板10の両側を側板20、30で挟持し、コルゲート板10の側壁15で区画された流体の流通路を形成し、熱交換する水と燃焼排気とが、その流通方向が逆方向で流体の流通路を交互に流通し、両側板20、30の両側端部に膨出部を形成して一端に入口ヘッダー22、32、他端に出口ヘッダー23、33を形成し、流体の流通路が垂直方向に沿うととともに、燃焼排気の出口ヘッダー33が下位置となるように設置し、燃焼排気の出口ヘッダー33の底部に凝縮水を外部に導出する排水管37を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種の熱関連装置やシステムにおいて、燃焼排気に含まれる潜熱を回収するための廃熱回収用熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の熱関連装置やシステムにおいて、燃焼排気をそのまま廃棄することなく、これに含まれる潜熱を回収する廃熱回収用熱交換器を設け、熱エネルギーの二次利用、熱効率の向上、燃焼排気の低温下等が図られている。従来、こうした廃熱回収用熱交換器として、プレートフィンアンドチューブタイプの熱交換器(特許文献1参照)やシェルアンドチューブタイプの熱交換器が用いられている。廃熱回収用熱交換器では、水と燃焼排気との間で熱交換が行われ、熱交換の過程で燃焼排気が低温下して結露による凝縮水を生じ、熱交換器の性能低下や故障の原因となっている。前者の場合、凝縮水の対応手段として、捕集タンクとして外部容器を別途設ける必要があり、装置の構造が複雑化する。後者の場合、構造は簡単であるが、伝熱面積が比較的小さいので熱効率に劣り、熱交換器自体が大型化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3868644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、所定形状に形成した金属板で流体の流通路を形成する熱交換器であり、熱交換の過程で生じる凝縮水を捕集して速やかに外部に導出し、凝縮水が器内に滞留することがない廃熱回収用熱交換器を提案することを目的とするものである。また、小型、薄型に製作され、組立作業性、生産性に優れるとともに、熱交換する流体の圧力損失を低減し、熱効率に優れた廃熱回収用熱交換器を提案することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
こうした目的を達成するため、この発明の廃熱回収用熱交換器は、波形成形したコルゲート板10の両側を側板20、30で挟持し、コルゲート板10の側壁15で区画された流体の流通路を形成し、熱交換する水と燃焼排気とが、その流通方向が逆方向で流体の流通路を交互に流通する。そして、両側板20、30の両側端部に膨出部を形成して一端に入口ヘッダー22、32、他端に出口ヘッダー23、33を形成し、流体の流通路が垂直方向に沿うととともに、燃焼排気の出口ヘッダー33が下位置となるように設置し、燃焼排気の出口ヘッダー33の底部に、熱交換の過程で燃焼排気が低温下して生じる凝縮水を外部に導出する排水管37を設けるものである。
【0006】
また、燃焼排気の流通路の幅Aが水の流通路の幅Bより大きくなるようにコルゲート板10を形成するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の廃熱回収用熱交換器は、コルゲート板10の側壁15で区画された流体の流通路を、熱交換する水と燃焼排気とが、その流通方向が逆方向で交互に流通し、コルゲート板10の側壁15を介して両流体の熱交換が行われる。そして、流体の流通路が垂直方向に沿うととともに、燃焼排気の出口ヘッダー33が下位置となるように設置するので、熱交換の過程で燃焼排気が低温下して生じる凝縮水は出口ヘッダー33に捕集され、捕集された凝縮水を、出口ヘッダー33の底部に設けた排水管37から速やかに外部に導出することができる。したがって、凝縮水が器内に滞留することがなく、熱交換器の性能低下や故障の原因を取り除くことができる。
【0008】
また、熱交換する燃焼排気と水が、極めて狭間隔の流通路を交互に流通し、流体の流通路が単純であるから、流体の圧力損失が大幅に低減されるとともに、伝熱面積の増大により熱効率に優れるものである。また、コルゲート板10を2枚の側板20、30で挟持して簡単に組み立てられ、コルゲート板10の折り返し面が側板20、30に当接するので接合性に優れ、組立作業性、生産性に優れ、製作コストが安価であるとともに、小型、薄型に製作され、設置の省スペース化が図られる。
【0009】
また、燃焼排気の流通路の幅Aが水の流通路の幅Bより大きくなるようにコルゲート板10を形成することで、大流量の燃焼排気に対応し、効率的な熱交換の促進を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施例の正面図。
【図2】側面図。
【図3】図2中A−A線で切断した拡大断面図。
【図4】コルゲート板の平面図。
【図5】コルゲート板の拡大断面図。
【図6】コルゲート板の他の実施例の平面図。
【図7】コルゲート板の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、この発明の実施形態を図面の実施例に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1から5は、この発明の最初の実施例である。図において、金属板(例えばアルミの薄板)を波形成形したコルゲート板10が形成され、コルゲート板10は、折り返し面12、14が平坦状で断面が矩形波形状に形成されている。コルゲート板10の両側を側板20、30で挟持し、折り返し面12、14に側板20、30が当接し、コルゲート板10の側壁15で区画された流体の流通路が形成されている。コルゲート板10の前後端面は端板11で閉塞され、図3に示すように、水の流通路Wと燃焼排気の流通路Gとが交互に形成されている。コルゲート板10は、図5に示すように、燃焼排気の流通路Gの幅Aと水の流通路Wの幅Bが同一寸法となるように、折り返し面12、14の幅寸法が設定されている。
【0013】
一方の側板20の両側端部に膨出部が形成され、膨出部は流体の流通路の両端位置に位置している。この膨出部によって形成される膨出空間に水の流通路Wが開口し、一端に入口ヘッダー22を形成して入口管25を設け、他端に出口ヘッダー23を形成して出口管26を設けている。
【0014】
同様に、他方の側板30の両側端部に膨出部が形成され、この膨出部によって形成される膨出空間に燃焼排気の流通路Gが開口し、一端に入口ヘッダー32を形成して入口管35を設け、他端に出口ヘッダー33を形成して出口管36を設け、出口ヘッダー33の底部に排水管37を設けている。なお、水と燃焼排気とがそれぞれの流通路W、Gを逆方向へ流通するように、入口ヘッダーと出口ヘッダーの位置関係は両側板20、30で反対である。
【0015】
この熱交換器は、図1に示すように、流体の流通路W、Gが垂直方向に沿うととともに、燃焼排気の出口ヘッダー33が下位置となるように設置する。熱交換する一方の流体である水は、入口ヘッダー22から流通路Wを流通して出口ヘッダー23へ至り(図1中、白抜き矢印)、熱交換する他方の流体である燃焼排気は、入口ヘッダー32から流通路Gを流通し、出口ヘッダー33へ至り(図1中、実線矢印)、水と燃焼排気は逆方向(クロス方向)へ流通し、極めて狭間隔の流通路W、Gを交互に流通し、コルゲート板10の側壁15を介して熱交換が行われる。この熱交換の過程で燃焼排気が低温下して生じる凝縮水は出口ヘッダー33に捕集され、捕集された凝縮水は、出口ヘッダー33の底部に設けた排水管37から速やかに外部に導出される。なお、排水管37には凝縮水を貯留するタンクや排水路を開閉操作するバルブ等を設けてもよい。
【実施例2】
【0016】
図6及び7は、コルゲート板の他の実施例である。この実施例のコルゲート板10は、燃焼排気の流通路の幅Aが水の流通路の幅Bより大きくなるように、折り返し面12、14の幅寸法を設定したものである。このようにコルゲート板10を形成することで、大流量の燃焼排気に対応し、効率的な熱交換の促進を図ったものである。
【符号の説明】
【0017】
10 コルゲート板
15 側壁
20 側板
22 入口ヘッダー
23 出口ヘッダー
30 側板
32 入口ヘッダー
33 出口ヘッダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形成形したコルゲート板10の両側を側板20、30で挟持し、コルゲート板10の側壁15で区画された流体の流通路を形成し、熱交換する水と燃焼排気とが、その流通方向が逆方向で流体の流通路を交互に流通し、
両側板20、30の両側端部に膨出部を形成して一端に入口ヘッダー22、32、他端に出口ヘッダー23、33を形成し、
流体の流通路が垂直方向に沿うととともに、燃焼排気の出口ヘッダー33が下位置となるように設置し、燃焼排気の出口ヘッダー33の底部に、熱交換の過程で燃焼排気が低温下して生じる凝縮水を外部に導出する排水管37を設けた廃熱回収用熱交換器。
【請求項2】
燃焼排気の流通路の幅Aが水の流通路の幅Bより大きくなるようにコルゲート板10を形成した請求項1に記載の廃熱回収用熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−42069(P2012−42069A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181679(P2010−181679)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(000126632)株式会社アタゴ製作所 (31)
【Fターム(参考)】