説明

廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法

【課題】本発明の目的は、アルミナを含む多孔質担体上に担持された白金、レニウムを含む廃触媒から高回収率にて白金及びレニウムを回収する方法を提供する。
【解決手段】アルミナを含む多孔質担体上に担持された白金、レニウムを含む廃触媒からの白金、及びレニウムを回収する方法において、
前記廃触媒中の白金,レニウムをアルカリ溶液により浸出し、浸出液中の白金を還元し、濾過後、浸出液中のレニウムを陰イオン交換樹脂により吸着し、前記樹脂よりレニウムを塩酸溶液により溶離し、溶離後液中のレニウムは硫化処理を行って硫化レニウムとして回収する廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミナを含む多孔質担体上に担持された白金、レニウムを含む廃触媒からの白金及びレニウムを回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミナを含む多孔質担体上に担持された白金、レニウムを含む廃触媒からのレニウム及び白金の回収は、硫酸溶液にてレニウムを浸出後、陰イオン交換樹脂、又は溶媒抽出にて浸出液からレニウムを抽出し、白金は浸出残渣として回収する方法(特許文献1:USP3672874)が知られている。
この方法ではアルミナを硫酸溶液にて浸出した液中のアルミン酸イオン処理時に非常に濾過性の悪い残渣が生成し、濾過の作業性が非常に煩雑になる。
【0003】
また、アルミナ担体上に担持している白金、レニウムの回収する方法として、白金、レニウムを担持させているアルミナを粉砕し、王水などの酸にて浸出後、未浸出のアルミナ残渣を濾過し、濾液中の白金は卑金属(鉄、亜鉛、アルミニウムなど)を用いてセメンテーション反応により沈殿させ、セメンテーション後液中のレニウムは硫化処理を行って硫化物として回収する方法などが知られている。
【0004】
しかし王水などの酸による白金やレニウムの浸出法は浸出率が低く、かつレニウムの場合、その後の硫化処理時のレニウム回収率が低く、それを解消するためには、繰返し浸出などの処理を行うことが必要となり、浸出する酸が多量になり、白金濃度が希薄なものとなるため、還元して高い回収率とするには労力と時間を多く費やし、経済性に欠ける欠点がある。
【0005】
さらに、直接乾式処理法を用いた場合、レニウムは高温にて非常に酸化揮発し易いため、その回収率は低く、かつ酸化揮発したレニウムは排ガス煙道配管などに付着し、吸湿性のある酸化レニウムは排ガス煙道配管を腐食するなどの課題があった。
【特許文献1】USP3672874
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、アルミナを含む多孔質担体上に担持された白金、レニウム
を含む廃触媒から高回収率にて白金及びレニウムを回収する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するものであって、
(1)アルミナを含む多孔質担体上に担持された白金、レニウムを含む廃触媒からの白金、及びレニウムを回収する方法において、
前記廃触媒中の白金,レニウムをアルカリ溶液により浸出し、浸出液中の白金を還元し、濾過後、浸出液中のレニウムを陰イオン交換樹脂により吸着し、前記樹脂よりレニウムを塩酸溶液により溶離し、溶離後液中のレニウムは硫化処理を行って硫化レニウムとして回収する廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。
【0008】
(2)上記(1)記載のアルカリ浸出後の浸出触媒及び浸出残渣は乾燥後、電気炉において酸化鉛と溶剤を添加し、1350℃~1500℃に保持し、鉛に白金を吸収させた金属鉛(以下、貴鉛と記す)を得、該貴鉛を酸化炉にて1000℃~1200℃において酸化し、白金を10~40mass%含む貴金属鉛を得る廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。
(3)上記(2)記載の貴金属鉛を粉砕後、硝酸溶液にて鉛を浸出、濾過し、その硝酸浸出の濾過残渣を塩酸と過酸化水素により塩化浸出、濾過を行い、その濾液を酸化剤により酸化処理した後、アルカリ剤にて中和処理を行い、塩化浸出液中の不純物を除去し、塩化白金酸溶液を得、更に精製を行ってスポンジ白金を得る廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。
【0009】
(4)上記(1)〜(3)において使用するアルカリ剤は、炭酸ナトリウム及びまたは水酸化ナトリウムであり、浸出温度は90℃以上、反応時間は30分以上である廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。
(5)上記(1)〜(4)におけるレニウムを浸出するに必要な炭酸ナトリウム及びまたは水酸化ナトリウムの量は廃触媒中のアルミナ(Al2O3)、Re、Ptを浸出するのに必要な量の0.4倍当量以上である廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。
【0010】
(6)上記(1)〜(5)において、レニウム浸出液中の白金を還元するには、硫酸第一鉄を理論当量の1.5倍以上添加する廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。
(7)(1)〜(6)における硫酸第一鉄にて白金を還元した後液からレニウムを陰イオン交換樹脂により吸着し、該吸着した陰イオン交換樹脂よりレニウムを7mol/L以上の塩酸溶液を用いて溶離する廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。
【0011】
(8)上記(1)〜(7)における溶離液中のレニウムは、塩酸濃度を5〜6.5mol/Lの範囲で、硫化剤を理論量の1.5倍以上添加して硫化レニウムとして回収する廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。
(9)上記(2)〜(8)における、電気炉工程において酸化鉛の添加量は、処理Pt重量の400倍以上であることを特徴とする廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。
【0012】
(10)上記(2)〜(9)における電気炉工程において、原料投入後の保持時間を90分以上である廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば以下の効果を有する。
(1) (1)触媒から白金、レニウムを効率良く高品位で、回収できる。
(2)本発明方法では、従来のようにアルミナを含む多孔質担体上に担持された白金、レニウムを含む廃触媒からのレニウム及び白金の回収において、多量の酸を使用せず、かつ高回収率で白金、レニウムを分離回収することを極めて効果的に行うことができる画期的な方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明に関して、図1を用いて、より具体的に説明する。
本発明の処理対象物は、アルミナを含む多孔質担体上に担持された白金、レニウムを含む廃触媒である。 該廃触媒には、白金が0.1〜0.5mass%、レニウムが0.3〜0.6mass%含有している。
アルミナを含む多孔質担体上に担持された白金、レニウムを含む廃触媒中のアルミナ(Al2O3)、Re、Ptを浸出するのに必要な炭酸ナトリウム及びまたは水酸化ナトリウム量の0.4当量以上含有するアルカリ溶液にて浸出することが好ましい。
又該浸出の温度は、90℃以上であると好適にレニウムを浸出できる。
Re,Pt,Al2O3を浸出するのに必要なNaOH量の0.4当量以上であるNaOH溶液などのアルカリ溶液にて浸出することが好ましい。
又該浸出の温度は、90℃以上であると好適にレニウムを浸出できる。
アルカリ溶液、例えばNaOH溶液による触媒中のレニウム、白金、アルミナを浸出する反応は、次の通りであると推定される。
【0015】
HReO4 +
NaOH + 3H2O → NaReO4 + H2O 反応式1
H2PtCl6
+ 6NaOH → Na2(Pt(OH)6 + 2HCl + 4NaCl 反応式2
Al2O3
+ 2NaOH + 6H2O → 2Na〔Al(OH)4〕 + 3H2O 反応式3
その際に白金の一部も浸出するため、所定時間、浸出反応が終了次第、浸出反応槽に硫酸第一鉄を添加し、還元し、白金を浸出残渣として回収する。
その後、浸出した廃触媒を篩目1mmの篩にて粗濾過を行い、浸出後触媒とスラリーに分離して、そのスラリーについては再度濾過を行って固液分離を行う。
その濾液については、1μmのカートリッジフィルターなどで精密濾過を行った後、陰イオン交換樹脂に通液し、前記濾液中のレニウムを吸着し、該樹脂に吸着したレニウムは塩酸溶液により溶離して回収する。
【0016】
この溶離液の塩酸濃度を調整した後、硫化水素ガスを所定量吹込んでレニウムを硫化レニウムとし、一方、液中には硫化水素ガスが溶存しているため、空気にて液中の硫化水素ガスを脱却してから、硫化レニウムをフィルタープレスにて固液分離し回収する。
前記樹脂よりレニウムを吸着回収した後液のアルカリ溶液の一部はレニウム浸出に繰返し、残りは排水処理における中和剤として再利用し、排水処理工程におけるアルカリ剤の代替とする。
【0017】
次に、レニウム浸出工程から産出した浸出触媒、及び浸出残渣は各々ロータリーキルンにて乾燥した後、酸化鉛と溶剤(炭酸カルシウム、珪酸、酸化鉄など)とを混合添加し、電気炉にて1350℃〜1500℃に加熱して溶融する。
上記温度で溶融を続けることで浸出触媒や浸出残渣の主となる成分は溶融したガラス状の酸化物(以下「スラグ」という)の層となり、コークス等の還元剤により還元された酸化鉛は金属鉛となり、比重差により沈降した金属鉛の層を形成する。
【0018】
また浸出触媒、あるいは浸出残渣に含まれる白金はスラグ中に分散し、前記金属鉛に吸収されて沈降し、金属鉛の層へ吸収されて廃触媒や浸出残渣から分離される。スラグ中に分散した白金が金属鉛に吸収されて沈降し、金属鉛の層に吸収されるために十分な時間溶融した後、上層の溶融したスラグ層を電気炉より流出させ、次いで下層の溶融した金属鉛の層を抜き出して貴鉛を得る。
【0019】
該貴鉛を酸化炉にて投入し、溶湯温度が1000℃〜1200℃の温度範囲にて、空気又は酸素ガスを吹き込んで貴鉛を酸化する。これにより酸化された酸化鉛の層は上層となり、下層には濃縮された白金を吸収している未酸化の金属鉛の層となる。次いで、酸化炉を傾転し、上層の酸化鉛の層を流出して分離した後、下層の白金を含有濃縮している金属鉛の層は流出させて凝固させて貴金属鉛を得る。このプロセスで重要なことは白金を吸収している金属鉛の部分を酸化して酸化鉛の層とし該酸化鉛の層から白金を吸収している金属鉛を分離することで、白金を濃縮する点にある。
【0020】
また、この酸化の過程で金属鉛の表面に酸化鉛の層を形成したまま酸化を継続すると、酸化炉の耐火物が酸化鉛により浸食されるため、酸化鉛の層が炉を傾転して流出分離できる程度の層になった際に分離することが好ましい。
なお、さらに酸化し分離する操作を繰り返して貴金属鉛中の白金品位を高めるようにしてもよい。この貴金属鉛中の白金品位は数mass%から50mass%の範囲で任意にコントロールできるが、この後工程における白金精製工程における白金の回収効率を高めるには白金の品位は10〜40mass%の範囲が好ましい。
【0021】
該貴金属鉛を粉砕機にて1mm以下に粉砕した後、硝酸溶液にて鉛を浸出し、残渣中の白金品位が70mass%以上になるまで、浸出した後、濾過を行う。
この硝酸浸出残渣を塩酸溶液に入れ、過酸化水素を白金の浸出に必要量の1.5倍以上を定量的に添加しながら白金を浸出する。この反応の際に発熱反応で溶液の温度が上昇するため、浸出反応が終了後、放冷してから、溶液と残渣を固液分離して、塩化白金酸溶液を得る。
該塩化白金酸溶液には鉛などの重金属を含有しているため、精製を行ってスポンジ白金を得る。
【0022】
次に本発明のアルミナを含む多孔質担体上に担持された白金、レニウムを含む廃触媒から白金、レニウムの回収方法に関わる実施例を記載する。
【実施例】
【0023】
(実施例1)
アルミナを含む多孔質担体上に担持された白金を0.22mass%、レニウムを0.43mass%含む廃触媒15gを、各種浸出液150mLを各種濃度にて室温から90℃の温度条件にて、反応時間30分から120分の間にて浸出した後濾過を行い、濾液量を測定後、濾液を分析してレニウム浸出率を求めたところ表1の結果を得た。
【0024】
レニウム浸出率の高いのは、アルカリ溶液で、中でも炭酸ナトリウム(Na2CO3)または水酸化ナトリウム(NaOH)溶液であった。
浸出温度条件は、いずれの条件とも温度が高い方が良く、90℃以上にすれば、レニウム浸出率は90%以上得られる。
【0025】
4mass%NaOH溶液において、反応時間は30分以上で、レニウム浸出率は90%以上得られた。









【表1】

【0026】
(実施例2)
レニウム浸出工程において、レニウム浸出率とNaOH溶液濃度との関係を把握するために、廃触媒15gをNaOH/(Re+Pt+Al2O3)=0.006〜6.9当量の範囲の各種濃度のNaOH溶液150mLに入れて、1時間浸出した後濾過を行い、濾液量を測定後、濾液を分析して各成分の浸出率を求めたところ、図2の結果を得た。NaOHを理論量の0.4倍以上添加すれば、レニウムは90%以上の浸出率が得られた。
【0027】
(実施例3)
アルミナを含む多孔質担体上に担持された白金を0.22mass%、レニウムを0.43mass%含む廃触媒220gを、理論量の0.4倍当量のNaOH濃度溶液1.1Lに入れ、温度90℃にて1時間レニウムの浸出を行った後、固液分離を行い、濾液中の白金濃度を分析した。
【0028】
濾液中の白金濃度は64mg/L、レニウム濃度は800mg/Lであった。該濾液を200mLずつ5つに分取し、90℃に加熱した溶液に、濃度43g/Lの硫酸第一鉄(FeSO4・7H2O)溶液を各条件に必要な量を添加し、10分間反応させた後、濾過を行い濾液中の白金、レニウム濃度を分析したところ、表2の結果を得た。
【0029】
白金の還元に必要な硫酸第一鉄溶液を理論量の1.5倍以上添加すれば、浸出液中の白金は還元され、還元後液中の白金濃度は1mg/L以下になる。
【表2】

【0030】
(実施例4)
アルミナを含む多孔質担体上に担持された白金を0.22mass%、レニウムを0.43mass%含む廃触媒中のレニウムをNaOH溶液にて浸出した後、硫酸第一鉄にて、白金を還元除去した後液を1μmのフィルターにて濾過した濾液1000mLに、各種陰イオン交換樹脂(三菱化学製のPA408、PA316、オルガノ製IRA400、住友化学製SA20A)20mLをいれ、16時間吸着攪拌した後、液中のレニウム濃度を分析したところ、いずれの樹脂とも吸着後液中のレニウム濃度は1mg/L以下になった。
【0031】
吸着液と樹脂とを濾別し、樹脂を純水200mLに入れて30分間攪拌洗浄した後、樹脂を濾別し、この操作を2回繰り返した。次に、洗浄後の樹脂を8mol/Lの塩酸溶液200mLに入れて1時間攪拌し、吸着したレニウムを溶離し、溶離液と樹脂とを分離した後、溶離後液中のレニウム濃度を分析した。
この溶離操作を2回繰り返して、レニウムの溶離率を求めたところ、表3の結果を得た。
【0032】
レニウム溶離率が最も高かったのは三菱化成製のPA408であった。






【表3】

【0033】
(実施例5)
上記の三菱化成製PA408 20mLをガラス製のカラムに充填し、前述の廃触媒をNaOH溶液にて浸出した後、硫酸第一鉄溶液にて白金を還元した後液を1μmのフィルターにて濾過した濾液(Re濃度570mg/L)3Lを樹脂カラム内に通液速度1.67mL/min(SV=5hr-)にて2L通液してレニウムを吸着した後、純水を通液速度1.67mL/minにて100mL通液して水洗した後、各種濃度の塩酸溶液を通液速度0.67mL/min(SV=2hr-)にて200mL通液し、溶離後液中のレニウム濃度を分析し、レニウムの溶離量を求めたところ、表4の結果を得た。
【0034】
7moL/L以上の塩酸濃度で溶離すれば、吸着したレニウムは98%以上溶離できる。
【表4】

【0035】
(実施例6)
NaOH濃度15g/Lの溶液2m3を90℃に加温し、その中にアルミナを含む多孔質担体上に担持された白金を0.22mass%、レニウムを0.43mass%含む廃触媒375kgを装入し、30分浸出した後、43g/Lの硫酸第一鉄を理論量の1.5倍量添加して10分間攪拌した後、溶液を60℃以下まで冷却し、先に浸出触媒を1mmのフィルターで濾過を行った。その後、濾過スラリーを固液分離した後、濾液を1μmのフィルターにて精密濾過した。その濾液を上記の条件にて、陰イオン交換樹脂PA408にてレニウムを吸着・溶離し、得られた溶離液を純水にて、各種塩酸濃度に調整した溶液を650Lずつ準備した。
【0036】
この溶液を硫化反応槽に入れ、硫化水素ガスを15L/minの流量で、レニウムを硫化するために必要量に対して1.5倍当量吹込んでレニウムを硫化して、硫化後液中のレニウム濃度を分析したところ、表5の結果を得た。
【0037】
硫化前液中の塩酸濃度を5〜6.5mol/Lの間で硫化処理を行えば、レニウムは98%以上の回収率が得られた。
【表5】

【0038】
(実施例7)
前述の条件にて、レニウム浸出工程において固液分離し回収した浸出触媒(Pt品位;0.19%)をドライヤにて乾燥し、その乾燥した浸出触媒250kgと、溶剤としての石灰石(炭酸カルシウム)525kg、珪砂(シリカ)150kg、酸化鉄125kg、還元剤としてコークス粒を酸化鉛を還元するのに必要な理論カーボン量の2.5倍量を添加し、白金の吸収媒体である酸化鉛を処理Pt重量に対して各種割合(=酸化鉛/Pt重量比;10〜900)を混合し、電気炉に投入し1400℃に加熱した。
【0039】
溶融状態で90分間保持した後、電気炉の上層に生成したスラグ層を電気炉の側面より流出させ、次いで下層の金属鉛の層を電気炉の下部よりレードルに注ぎ冷却固化し、貴鉛を得た。
この際、各種酸化鉛の添加量とスラグ中のPtの含有率を分析したところ、表6の結果が得られた。酸化鉛を処理Pt重量に対して400倍以上添加すれば、スラグ中の白金品位は5mass
ppm以下となり、電気炉におけるPt回収率は99%以上になった。
【0040】




【表6】

【0041】
(実施例8)
前述の条件にて、レニウム浸出工程において固液分離し回収した浸出触媒と、浸出残渣を各々ドライヤにて乾燥し、その乾燥した廃触媒(Pt品位;0.18mass%)250kgと、浸出残渣30kg(Pt品位;0.7mass%)、溶剤としての石灰石(炭酸カルシウム)525kg、珪砂(シリカ)100kg、酸化鉄100kg、還元剤としてコークス粒を20kg、酸化鉛270kgを混合し、電気炉に投入して1400℃に加熱し、原料投入後各時間おきに、電気炉上部より溶融状態のスラグを採取して、冷却固化後のスラグ中Pt品位を分析したところ、表7の結果を得た。
【0042】
電気炉へ原料投入後、保持持間を60分以上にすれば、スラグ中のPt品位は5mass ppm以下になり、90分以上保持すれば、さらにスラグ中のPt品位は2mass ppmまで低下した。













【表7】

【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明方法の各工程を示すフローチャートである。
【図2】実施例3におけるレニウム浸出工程におけるレニウム浸出率とNaOH/(Re+Pt+Al2O3)比との関係を表した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミナを含む多孔質担体上に担持された白金、レニウムを含む廃触媒からの白金、及びレニウムを回収する方法において、
前記廃触媒中の白金,レニウムをアルカリ溶液により浸出し、浸出液中の白金を還元し、濾過後、浸出液中のレニウムを陰イオン交換樹脂により吸着し、前記樹脂よりレニウムを塩酸溶液により溶離し、溶離後液中のレニウムは硫化処理を行って硫化レニウムとして回収することを特徴とする廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。
【請求項2】
請求項1記載のアルカリ浸出後の浸出触媒及び浸出残渣は乾燥後、電気炉において酸化鉛と溶剤を添加し、1350℃~1500℃に保持し、鉛に白金を吸収させた金属鉛(以下、貴鉛と記す)を得、該貴鉛を酸化炉にて1000℃~1200℃において酸化し、白金を10~40mass%含む貴金属鉛を得ることを特徴とする廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。
【請求項3】
請求項2記載の貴金属鉛を粉砕後、硝酸溶液にて鉛を浸出、濾過し、その硝酸浸出の濾過残渣を塩酸と過酸化水素により塩化浸出、濾過を行い、その濾液を酸化剤により酸化処理した後、アルカリ剤にて中和処理を行い、塩化浸出液中の不純物を除去し、塩化白金酸溶液を得、更に精製を行ってスポンジ白金を得ることを特徴とする廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。
【請求項4】
請求項1〜3において使用するアルカリ剤は、炭酸ナトリウム及びまたは水酸化ナトリウムであり、浸出温度は90℃以上、反応時間は30分以上であることを特徴とする廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。
【請求項5】
請求項1〜4におけるレニウムを浸出するに必要な炭酸ナトリウム及びまたは水酸化ナトリウムの量は廃触媒中のアルミナ(Al2O3)、Re、Ptを浸出するのに必要な量の0.4倍当量以上であることを特徴とする廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。
【請求項6】
請求項1〜5において、レニウム浸出液中の白金を還元するには、硫酸第一鉄を理論当量の1.5倍以上添加することを特徴とする廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。
【請求項7】
請求項1〜6における硫酸第一鉄にて白金を還元した後液からレニウムを陰イオン交換樹脂により吸着し、該吸着した陰イオン交換樹脂よりレニウムを7mol/L以上の塩酸溶液を用いて溶離することを特徴とする廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。
【請求項8】
請求項1〜7における溶離液中のレニウムは、塩酸濃度を5〜6.5mol/Lの範囲で、硫化剤を理論量の1.5倍以上添加して硫化レニウムとして回収することを特徴とする廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。
【請求項9】
請求項2〜8における、電気炉工程において酸化鉛の添加量は、処理Pt重量の400倍以上であることを特徴とする廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。
【請求項10】
請求項2〜9における電気炉工程において、原料投入後の保持時間を90分以上であることを特徴とする廃触媒からの白金及びレニウムの回収方法。










































【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−130387(P2006−130387A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−320180(P2004−320180)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(397027134)日鉱金属株式会社 (29)
【Fターム(参考)】