説明

延長された保存期間を有する袋詰め製品のための被覆ポリアミドフィルム

本発明は延長された保存期間を有する物品を包装するために使われることを目的とする単層ポリマーフィルムであって、前記フィルムがキャストポリアミドシートを含んでなり、その面の一つがポリ塩化ビニル(PVC)及びポリ塩化ビニリデン(PVDC)を含むヒートシール性コーティングによって覆われており、それにより35g/m/24時間と110g/m/24時間との間の平均水蒸気透過性を有する単層ポリマーフィルムに関する。また、前記フィルムの製造方法にも関する。加えて、上記記フィルムから得られる袋であって、特に延長された保存期間を有する物品、特にシャーレの微生物培養培地を包装することに適している袋に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、包装を製造するための物質である。特に、本発明は、延長された保存期間が必要とされる寒天培養培地タイプの物品を包装することを目的とする被覆フィルムに関する。
【0002】
製品を包装するために使われることができる多くのポリマーフィルムが、市場に存在する。特に、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタラート(PET)またはポリ塩化ビニル(PVC)でできているフィルムのような、食品に使用されるフィルムを挙げることができる。バンドリング(製品を一つにまとめること)またはパレチゼーションに使用される、低密度ポリエチレン(LDPE)でできているような他のフィルムは、伸縮性及び収縮性であってもよい。また、特定のフィルムは、高密度ポリエチレン(HDPE)又はポリプロピレン(PP)からなる。最後に、ある特定の適用では、フィルムは、上記のさまざまなポリマーの複合体から成ってもよい。
【0003】
通常、フィルムを製造するために用いる物質の選択は、フィルムが有すること必要な特性に依存する。これらの特性は、例えば衝撃強さまたは耐クリープ性、剛性、伸縮性、引き裂き性、曲げ強さ等の機械的性質であってもよい。他の特性は、例えば水を移す能力(水蒸気バリア性、不浸透性)、気体輸送、殺菌又は電子レンジにかけられることに耐える能力等の物理的性質である。最後に、他の特性は、外観(透明度、光沢等)または感触のような美的性質であってもよい。
【0004】
より具体的に、出願人の活動範囲であるインビトロ診断に関心がある場合、特に培養培地の袋詰めに使用されるフィルムについては、高い水蒸気透過性(>120g/m×24時間)によって特徴づけられる低いバリア性を有する物質を慣習的に使用することが知られている。例えば、上記物質は、セロハンである。この物質は、使用準備済みの寒天培養培地に含まれる水が蒸発して、フィルムを通過させるという利点を有する。それから、これは、セロハンフィルムによって構成されるバッグ内部で、凝結があまりに多くできることを妨げる。しかしながら、主な欠点は、水蒸気がフィルムを通過するので、内部の含水量が非常に低く、それがあまりに過ぎると、培養培地の乾燥が早まることである。従って、製品の保存期間は、このことにより影響を受ける。
【0005】
また、培養培地の袋詰めに使用される他の物質は、それ自身、低い水蒸気透過性(<5g/m×24時間)によって特徴づけられる高いバリア性を有する。この低い水蒸気透過性により、特に培地が注入された後、使用準備済みの寒天培地のシャーレに形成される著しい凝結を除去することが可能にならない。エンドユーザによって開封されるまで、この水がバッグに残ることとなり、許容できない液飛びを生じて、シミとなる。例えば、上記製品は、PPまたはPEのようなポリオレフィンである。ポリオレフィンは、包装材料として広く使われている。しかしながら、上記物質を得る方法は、後者がとても低い水蒸気透過性を有することを意味する。さらにまた、PA+PEフィルムのような二積層フィルムを含む物質は、その水蒸気バリア特性を増強することを目的とすることが知られている。したがって、この種類の物質は、約10グラム/m×24時間より低い水蒸気透過性値を有する。
【0006】
出願EP−0062800は、任意にその面の一つがポリ塩化ビニリデン樹脂で覆われていてもよいポリアミド膜を記載する。使用されるポリアミドは、2軸配向のナイロン−6/ナイロン6,6 コポリマーである。したがって、この種類のポリマーは、得られたフィルムが収縮特性を有することを可能にする。したがって、それは食品を包装するために使われる。
【0007】
このフィルムは食品を包装することに適している特性を有しているにもかかわらず、それは培養培地を包装するためのインビトロ診断の分野で期待される特性を有しない。これは、一方では収縮特性が要求されず、一方では上記のフィルムは予想どおりの特定の水蒸気透過性値を提示しないためである。
【0008】
出願FR−1386921は、さまざまな支持体を被覆するための塩化ビニリデンに基づく組成物を記載する。特に、実施例9において、ポリアミドフィルムの面の一つを被覆するために使用される塩化ビニル/塩化ビニリデン コポリマーを記載する。
【0009】
したがって、得られたフィルムは、極端に低い水蒸気透過性値を有する。換言すれば、このフィルムは、ほぼ不浸透性である。上述の理由のために、このフィルムは、従って、使用準備済の寒天培地を包装するための使用に、全く適していない。
【0010】
出願GB−1310933又は出願FR1314025に記載されているポリアミドフィルムは、同じ問題を有する。
【0011】
寒天培養培地を製造する会社は依然として、最適条件下で、すなわち、早まった乾燥を妨げるために水蒸気が十分に豊富であって、しかしバッグ中にあまりに多くの凝結を妨げるために、水蒸気が十分に減少する環境で、前記培養培地が保存できる包装を待っている。さらに、これらの特性は、特に透明度に関して顧客の期待にかなう外観と結合されなければならない。
【0012】
発明者は、延長された保存期間を有する物品を包装する目的のために、一方では、「キャスト」タイプの非配向PAのみからなる単層フィルムを使用すること、及び他方では、フィルムをシールするためのコーティングの主成分として使用されるPVCおよび/またはPVDCを、PAフィル上に堆積されるコーティングの量を変化させることによって、水蒸気透過性のモジュレータとして働かせることを可能にした。
【0013】
したがって、本発明の第1の目的は、特に水蒸気バリア性能力に関して、制御された湿分を有する空気中で、延長された期間保存させることが必要な製品の保存期間の改善を可能にすることができる物理的特性を有する物質のフィルムを提供することである。
【0014】
本発明の第2の目的は、包装分野において広く使われている物質から容易に製造できて、さらに生産コストが抑えられるフィルムを提供することである。
【0015】
本発明の第3の目的は、フレキシブルで厚みの小さい単層物質を提供することである。
【0016】
本発明の第4の目的は、容易にシール可能な物質を提供することである。
【0017】
本発明の第5の目的は、特に透明性と感触に関して美的外観に関する基準を満たすことが可能な物質を提供することである。
【0018】
これらの目的は、とりわけ、第1に、延長された保存期間を有する物品を包装するために使われることを目的とする単層ポリマーフィルムであって、前記フィルムがキャストポリアミドシートを含んでなり、ヒートシール性コーティングによって、その面の1つがカバーされており、それによりその前記フィルムは35g/m/24時間と110g/m/24時間との間の平均水蒸気透過性を有する単層ポリマーフィルムに関する本発明によって達成される。
【0019】
「フィルム」なる用語は、大きさの限定がなく、ヒートシール性コーティングにより覆われている、ポリアミドの層を意味することが理解される。
【0020】
「シート」なる用語は、大きさの限定がなく、ヒートシール性コーティングにより未だ覆われていない、ポリアミドの層を意味することが理解される。
【0021】
「キャストポリアミド」なる表現は、シート押出しダイによる押出によって得られた非配向ポリアミドを意味することが理解される。このようなポリアミドは、例えば、CFP Flexible packaging S.p.A.により、FILMON(登録商標)CSの名で販売されている。
【0022】
本出願に記載されている水蒸気透過性値は、ISO2528:1995標準、すなわち温度38℃及び相対湿度90%による測定によって、得られた点に留意する必要がある。
【0023】
本発明の好ましい一実施形態によれば、ヒートシール性コーティングは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)またはそれらの混合物を含む。
【0024】
有利には、ポリアミドシートに堆積されるコーティングの量は、ポリアミドシート1mにつき0.8と10gとの間である。
【0025】
より有利には、ポリアミドシートに堆積されるコーティングの量は、ポリアミドシート1mにつき2と3gとの間である。
【0026】
他の好適な特徴によれば、ポリアミドの層は、15と100μmとの間の厚みを有する。
【0027】
ポリアミドは、PA−6ポリアミドの群から、好ましくは得られる。
【0028】
本発明の他の目的は、延長された保存期間を有する少なくとも一つの物品を包装するための、上記のフィルムの使用に関する。
【0029】
物品はシャーレ中の微生物培養培地であることが望ましい。
【0030】
本発明の他の目的は、延長された保存期間を有する少なくとも一つの物品を包装するための袋であって、少なくとも一つの壁が上記のポリマーフィルムからなる袋に関する。
【0031】
本発明の他の目的は、
-ポリアミドのシートを得ること;及び
-コーティングの量がポリアミドシート1mにつき0.8と10gとの間となるように、ポリ塩化ビニル(PVC)および/またはポリ塩化ビニリデン(PVDC)を含むコーティングを上記シートに堆積する工程を含む、上記の被覆単層ポリマーフィルムの製造方法に関する。
【0032】
フィルムの製造方法の1つの有利な変形によれば、ポリアミドシートは、配向のないシート押出しダイによる押出によって得られる。
【0033】
コーティングは、グラビア印刷によってポリアミドシートに堆積されてもよい。
【0034】
本発明の他の目的は、
-コーティングを有する面を互いに向合わせるために本発明に係る2つのポリマーフィルムを重ねあわせること、
-上記フィルムの端を、それらの外周の少なくとも50%以上で固定する工程を含む、上記の袋の製造方法に関する。
【0035】
別の方法によれば、
-上記フィルムの重ね合せた端部を互いに近位にし、コーティングを有する面を互いに向合わせるために、上記のフィルムを2つに折ること;
-少なくとも1つの端部に沿って開口部を有する袋を得るために、上記フィルムの少なくとも1つの辺に沿って2つの重合わせた端部を、少なくとも部分的に、固定する工程を含む、上記の袋の製造方法に関する。
【0036】
好ましくは、固定する工程は、100と170℃との間の温度で、ヒートシールによって実施される。
【0037】
本発明の他の目的は、
-物品を上記フィルムのコーティングを有する面上に置くこと;
-コーティングを有する面が互いに向合うように、上記物品を自由なままの前記フィルムの一部によって又は他のフィルムによってカバーすること、
-物品を袋に閉じ込めるように形成するために、1枚のフィルムまたは2枚のフィルムの端部を固定する工程を含む、
延長された保存期間を有する少なくとも一つの物品の包装方法に関する。
【0038】
物品は微生物培養培地であることが望ましい。
【0039】
本発明の有利な変形によれば、フィルムまたは複数のフィルムが前もって殺菌される。
【0040】
殺菌方法は放射線、特にγまたはβ線による照射、又は任意の同等の殺菌方法である。
【0041】
好ましい実施形態によれば、シートの端部を固定する工程は100と170℃との間の温度でヒートシールによって実施される。
【0042】
好ましい実施形態によれば、包装方法は、
-得られた袋を第2の袋の内部におくこと;及び
-前記第2の袋をシールする工程を更に含む。
【0043】
他の有利な変形によれば、包装方法は、
-得られた第2の袋を第3の袋の内部におくこと;及び
-前記第3の袋をシールする工程を更に含む。
【0044】
前記第2および/または第3の袋がセロハン、ポリオレフィン及びポリアミドを含むグループからえられる物質からなることが好ましい。
【0045】
他の有利な変形によれば、前記第2および/または第3の袋が本発明に係るフィルムからなる。
【0046】
本発明の最終的な目的は、上記の少なくとも一つの袋に含まれる少なくとも一つの微生物培養培地を含む診断キットを製造するための、本発明に係る袋の使用に関する。
【0047】
本発明の目的と効果は、ポリアミドフィルムを被覆する方法を実施できるようにする装置を例示する線図を表す図1を参照する以下の実施例を考慮してよりよく理解されるが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1はポリアミドフィルムを被覆する方法を実施できるようにする装置である。
【実施例】
【0049】
実施例1:PVDCコーティングの生産及び組成物:
1.組成物:
ポリアミドフィルムに堆積されるコーティングの組成物の例は、以下のとおりである:
・Solvin社のDIOFAN(登録商標)AO36 PVDCラテックス
・市販の脱塩水
・デグッサ社のSIPERNAT FK310 4μ直径シリカ
・マイケルマン(米国)のMICHEMLUBE 160ワックス
・CFP(イタリア)のキャストPA
2.調製:
コーティング段階の準備において、堆積物を調整するためにPVDCラテックスを希釈する必要がある。この調整は、脱塩水を使用して行われる。

-PVDCラテックス希釈剤:
混合は、以下の方法で実施される:


-シリカの調製及び混合:
シリカは、脱塩水で希釈されなければならず、それはPVDCラテックスの希釈液として役立たなければならない。
成分は高速アジテータにより、6000回転数/分で5分間混合されなければならない。
次に、溶液は、ゆっくりとPVDCラテックスに加えられてもよい。

シリカ量の算出:


-ワックスの調製及び混合
ワックスは、直接PVDCラテックスに導入される。ガス透過性、摺動係数、さらにシーリング性を低下させないために、決められた量を守ることが重要である。

ワックス量の算出:

【0050】
実施例2:ポリアミドフィルムのコーティング方法
図1に示されるのはポリアミドをコーティングするための方法のさまざまな工程である。
商品名FILMON(登録商標)CSでCFPが販売するポリアミドはポリアミドの幅1200mmの巻きストリップから成るリール10の形態である。
ポリアミドストリップ12は、巻き戻されて、それがコロナ処理を受けるステーション14に入る。当業者にとって周知であるように、コロナ処理はポリマー物質の表面張力を増大させ、その後に、これらの物質は印刷、結合又は被覆されることができる。この表面処理は、ポリアミドに対するPVDCコーティングの粘着力をより良好にできる。この処理は、有利には38ダインである。
コロナ処理が完了したならば、ポリアミドストリップはコーティングステーションに入る。この段階で、ポリアミドストリップは、2つのロール、コーティングロール16とプレスロール18との間を通過することによって、グラビア印刷によって被覆される。コーティングロール16は、食刻ロールである。それは、コーティングを含むタンク20に浸漬されることによってコーティングがロードされて、後者がエッチングによって得られた凹凸(infractuosities)に堆積される。それから、余剰コーティングは、ステンレス鋼刃によってこすり取られる。コーティングを積んでいるロール16の部分がポリアミドストリップと接触し、コーティングは後者に堆積する。コーティングロールは、冷却ボックス22に接続している冷却剤流体回路によって冷やされる。したがって、ロールの温度は、15と20℃との間で維持される。
浸漬タンク20は、供給回路によってコーティングを供給される。コーティングは、リザーバ24から引き出されてポンプ26によって浸漬タンク20へ運ばれる。浸漬タンク20に到達する前に、コーティングは、フィルタ28を使用して濾過され、任意の不純物を除去できるようにする。
リザーバ24は、コンテナ30に置かれ、冷却されることが可能である。このため、コンテナ30は、冷却剤流体回路によって冷却ボックス32に接続している。
したがって、ポリアミドに堆積するコーティングの量は、水蒸気透過性の所望の程度に従い、2と3g/mとの間にある。
ポリアミドが被覆されたならば、ストリップはコーティングが乾燥することを可能にするホットボックス34に入る。この目的のためには、ポリアミドストリップはさまざまな箱を通過し、その内部温度は140と160℃との間で変化する。
これらのボックスを通過することで、ポリアミド上の湿った堆積物から水から取り除くことが可能となる。
有利には、ストリップは、ホットボックスの入口と出口で冷却ロール(表されていない)を使用して冷やされる。
乾燥後、被覆ポリアミドストリップは、ワインダを用いてリール36上に巻回される。
【0051】
実施例3:1つの被覆ポリアミドPA−の袋および2つのセロハンの袋からなる3重包装への10のCount−Tact型シャーレの袋詰め

下記の処方に対応する培養ブロスが、調製された:
カゼインペプトン(ウシ): 15.0g
大豆ペプトン 5.0g
イーストエクストラクト 6.0g
塩化ナトリウム 5.0g
ピルビン酸ナトリウム 2.0g
大豆レシチン 0.7g
ポリソルベート80(Tween80) 5.0g
チオ硫酸ナトリウム 0.05g
L-ヒスチジン 1.0g
寒天 20.5g
精製水 1000ml

それはスチーム殺菌され(または培養培地と適合性を持つ他の任意の滅菌法によって殺菌される)、Count−TactTMシャーレに注入されてゲルを形成させた。
上記のブロスがロードされた10のCount−TactTMシャーレの積み重ねは、被覆単層「キャスト」ポリアミドPA−6フィルム(厚み40μm、2g/mと3g/mとの間のコーテング)から成る予め形成された袋(1つの縦方向の溶接と1つの横方向の溶接)中に置かれた。この袋は、照射量25と40kgrayとの間で、ガンマ線によって最初に放射線照射によって殺菌された。第1の袋は、圧力1.6bar下で1秒間、温度140℃で、ヒートシール装置によってシールされた。第1の袋は、セロハン430LMS(水蒸気透過性600g/m/24時間)からなる第2の袋中に置き、この袋は温度170℃でヒートシール装置でシールされた。
第2の袋は、セロハン430LMSからなる第3の袋に入れられて、この袋は温度170℃でヒートシール装置でシールされた。
3重に包まれた包装は箱に入れられ、照射量8−12kgrayのγ線照射がなされた。
したがって、記載のシステムは、上記培養培地が温度2と8℃との間で保存されることを可能にする。
【0052】
実施例4:1つの被覆ポリアミドPA−6の袋からなる包装への90mm型の10のシャーレの袋詰め

下記の処方に対応する培養ブロスが、調製された:
ペプトン(ブタ又はウシ): 17.2g
L−トリプトファン 0.9g
HEPESバッファー 0.4g
色素原混合物 6.87g
寒天 18g
精製水 1000ml

それはスチーム殺菌され(または培養培地と適合性を持つ他の任意の滅菌法によって殺菌される)、90mm型のシャーレ(直径90mmを有するシャーレ)に注入されてゲルを形成させた。
上記のブロスがロードされた10の90mmのシャーレ(直径90mmを有するシャーレ)の積み重ねは、厚み40μmを有し、2g/mと3g/mとの間のコーテングからなる被覆単層「キャスト」ポリアミドPA−6フィルムから成る袋中に自動水平機により袋詰めされた。袋のシール温度は100℃であり、1つの縦方向の溶接と1つの横方向の溶接からなっている。10のシャーレの積み重ねは、箱に入れられた。
したがって、製造された包装は慣習的に使用される保存条件下で寒天から水損を制限し、その一方で正しい浸出率を維持することを可能にした。このシステムによって得られた結果は、保存期間の47%の増加の予想を可能にする。
【0053】
実施例5:
実施例2は再度製造されたが、ブロスをロードされた10のシャーレの積み重ねは、厚み30μmを有し、1.6g/mと2g/mとの間のコーテングから成る被覆単層「キャスト」ポリアミドPA−6フィルムからなる袋に袋詰めされた点で異なる。
したがって、記載のシステムは顧客の保存条件の下で寒天からの水損を制限し、同時に正しい浸出率を維持することを可能にした。このシステムによって得られた結果は、保存期間の41%の増加を予想することを可能にする。
【0054】
実施例5:
実施例2は再度製造されたが、第2および/または第3の袋(セロハン430LMS)は、最初に放射量25−40Kgrayのγ線の放射線照射によって殺菌された前述の被覆単層ポリアミドフィルムでできている予め形成された袋(厚み40μm、2g/mと3g/mとの間のコーテング)で置換された。
【0055】
実施例6:
実施例1は再度製造されたが、第1および/または第2および/または第3の袋は、最初に放射量25−40Kgrayのγ線の放射線照射によって殺菌された前述の被覆単層ポリアミドフィルムでできている予め形成された袋(厚み30μm、1.6g/mと2g/mとの間のコーテング)で置換された。
【0056】
実施例7:
下記の処方に対応する培養ブロスが、調製された:

カゼイン・ペプトン 15.0g
大豆ペプトン 5.0g
塩化ナトリウム 5.0g
寒天 15g
精製水 1000ml

それはスチーム殺菌され(または培養培地と適合性を持つ他の任意の滅菌法によって殺菌される)、90mmのシャーレに注入されてゲルを形成させた。
上記のブロスがロードされた10の90mmのシャーレの積み重ねは、被覆単層フィルム(厚み30μm、1.6g/mと2g/mとの間のコーテング)から成る袋中に自動水平機により袋詰めされた。第1の袋は、セロハン430LMS(600g/m/24時間の水蒸気透過性)から成る第2の袋の内部に、自動水平機により袋詰めされた。第2の袋は、セロハン430LMSからなる第3の袋の内部に、自動水平機により袋詰めされた。3重に包まれた包装は箱に入れられ、放射量8−12kgrayのγ線照射が適用された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
延長された保存期間を有する物品を包装するために使われることを目的とする単層ポリマーフィルムであって、前記フィルムがキャストポリアミドシートを含んで成り、その面の一つがヒートシール性コーティングによって覆われており、それにより35g/m/24時間と110g/m/24時間との間の平均水蒸気透過性を有する単層ポリマーフィルム。
【請求項2】
ヒートシール性コーティングがポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項3】
前記コーティングがPVDC、シリカ及びアニオン性ワックスエマルションを含む、請求項1又は2に記載のポリマーフィルム。
【請求項4】
ポリアミドシートに堆積されるコーティングの量がポリアミドシート1mにつき0.8と10gとの間である、請求項1から3の何れか一項に記載のポリマーフィルム。
【請求項5】
ポリアミドの層が15と100μmとの間の厚みを有する、請求項1から4の何れか一項に記載のポリマーフィルム。
【請求項6】
ポリアミドがPA−6ポリアミドである、請求項1から5の何れか一項に記載のポリマーフィルム。
【請求項7】
延長された保存期間を有する少なくとも一つの物品を包装するための、請求項1から6の何れか一項に記載のフィルムの使用。
【請求項8】
物品が微生物培養培地である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
延長された保存期間を有する少なくとも一つの物品を包装するための袋であって、壁の少なくとも一つが請求項1から6の何れか一項に記載のフィルムからなる袋。
【請求項10】
-ポリアミドのシートを得ること;及び
-コーティングの量がポリアミドシート1mにつき0.8と10gとの間となるように、ポリ塩化ビニル(PVC)および/またはポリ塩化ビニリデン(PVDC)を含むコーティングを前記シートに堆積すること;及び
-前記コーティングを乾燥させる工程
を含む、請求項1から6の何れか一項に記載のポリマーフィルムの製造方法。
【請求項11】
コーティングがグラビア印刷によってポリアミドシートに堆積される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
-コーティングを有する面を互いに向合わせるために、請求項1から6の一項に記載の2つのフィルムを重ねあわせること、
-前記フィルムの端部を、それらの外周の少なくとも50%以上で固定する工程、
を含む、請求項9に記載の袋の製造方法。
【請求項13】
-前記フィルムの重ね合せた端部を互いに近位にし、コーティングを有する面を互いに向合わせるために、請求項1から6の何れか一項に記載のフィルムを2つに折ること;
-少なくとも1つの端部の沿って開口部を有する袋を得るために、前記フィルムの少なくとも1つの辺に沿って2つの重合わせた端部を、少なくとも部分的に、固定する工程を含む、
請求項9に記載の袋の製造方法。
【請求項14】
固定する工程が100と170℃との間の温度のヒートシールによって実施される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
-物品を請求項1から6の何れか一項に記載のフィルムのコーティングを有する面上に置くこと;
-コーティングを有する面が互いに向合うように、前記物品を自由なままだった前記フィルム一部によって又は他のフィルムによって覆うこと、
-物品を袋に閉じ込めるように形成するために、1枚のフィルムまたは2枚のフィルムの端部を固定する工程
を含む、延長された保存期間を有する少なくとも一つの物品の包装方法。
【請求項16】
物品が微生物培養培地である、請求項15に記載の包装方法。
【請求項17】
一枚または複数のフィルムが前もって殺菌される、請求項15又は16に記載の包装方法。
【請求項18】
殺菌方法がγおよび/またはβ線によって形成されるグループから選択される放射線による照射である、請求項17に記載の包装方法。
【請求項19】
固定する工程が100と170℃との間の温度のヒートシールによって実施される、請求項15または18に記載の包装方法。
【請求項20】
-得られた袋を第2の袋の内部におくこと;及び
-前記第2の袋をシールする工程
を含む、請求項15から19の何れか一項に記載の包装方法。
【請求項21】
-得られた第2の袋を第3の袋の内部におくこと;及び
-前記第3の袋をシールする工程
を含む、請求項20に記載の包装方法。
【請求項22】
前記第2および/または第3の袋がセロハン、ポリオレフィン及びポリアミドを含むグループから選択される物質からなる、請求項15から21の何れか一項に記載の包装方法。
【請求項23】
前記第2および/または第3の袋が請求項1から6の何れか一項に記載のフィルムからなる、請求項15から22の何れか一項に記載の包装方法。
【請求項24】
前記包装が少なくとも一つの微生物培養培地を含むインビトロ診断キットを製造するための請求項9に記載の少なくとも1つの袋の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2010−520931(P2010−520931A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551247(P2009−551247)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【国際出願番号】PCT/FR2008/050321
【国際公開番号】WO2008/125763
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(504238301)ビオメリュー (74)
【Fターム(参考)】