説明

延長された放出抑制性を有するオピオイド製剤

【課題】活性剤の放出速度を抑制し、しかも薬剤効果を維持しながら投与後の患者の苦痛を和らげる期間を延長させて投薬回数を減少させる固体の放出抑制型経口投与製剤の提供。
【解決手段】固体の、放出抑制型経口投薬製剤であって、該投薬製剤が、オピオイド鎮痛薬またはその塩が塗布された不活性薬学的ビーズを含むコア;および前記コア上に塗布された被覆を含み、前記被覆が、前記オピオイド鎮痛薬を24時間制御放出するために有効な量の疎水性ポリマーを含有し、該疎水性ポリマーが、可塑化されたアクリルポリマー、可塑化されたエチルセルロース、およびこれらの混合物からなる群より選択され、該投薬製剤は、初期の溶解度と、37℃/80%相対湿度(RH)の条件下に28日間置いた後の溶解度との比較において、実質的に影響されない溶解図を提供する投薬製剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疼痛の治療の際に使用される、固体の、放出抑制型(徐放性)経口投薬製剤
に関する。
【背景技術】
【0002】
全ての放出制御(徐放)製剤の意図は、速放性投薬製剤の投与後に通常得られるよりも
、投与後の薬理学的作用を長い時間提供することにある。そのような長い期間の応答は、
相当する短期間の活性を示す速放性の製剤には達成できない多くの治療的利点を提供する
。従って、治療は患者が睡眠中であっても中断されることなく継続し、特に重要なのは、
例えば、中程度から激しい痛みを伴う患者(例えば、手術後の患者、癌患者等)、又は起
床する際、偏頭痛を経験している患者並びに睡眠が必須である衰弱した患者を治療する場
合である。
【0003】
従来の即効性薬剤の治療は、薬剤の血液中のレベルを有効な定常状態に維持するために
、頻繁な間隔で注意深く投与しない限り、急速吸収により、また、化合物の全身系での排
出及び代謝不活性化により、活性薬剤が血液中でピーク及び谷を生じ、それにより患者の
継続治療に特別の問題を生ずる。長時間に亘って有効な活性薬製剤の更に一般的な利点は
、患者の不注意による飲み忘れを避けられることにより、患者の服薬の励行が改善される
ことである。
【0004】
オピオイド鎮痛薬の原型であると考えられる、モルヒネは、12時間の放出制御製剤(
即ち、エムエス・コンチン(MS Contin)(商標)錠剤、プルデュー・フレデリック・カンパ
ニー(Purdue Frederick Company)から市販されている)として製剤されている。
【0005】
当業界では、オピオイドの放出抑制型組成物又はその塩は、適当なマトリックス中で調
製することができることは、既に公知である。例えば、両者とも本発明の譲受人に譲渡さ
れている、米国特許第4,844,909 号(ゴルディー等(Goldie et al.))及び第4,990,341
号には、USPのパドル(Paddle)またはバスケット(Basket )法により100rpm で90
0mlの水性緩衝液(pHが 1.6〜7.2 の間)中で37℃において測定した場合、投薬製剤
の生体外(イン ビトロ in vitro)での溶解が、1時間後に12.5〜42.5%(重量)のヒド
ロモルホンが放出され、2時間後に25〜55%(重量)が放出され、4時間後に45〜
75%(重量)が放出され、そして6時間後に55〜85%(重量)が放出され、生体外
での放出速度がpH:1.6 〜7.2 の間でpHの値から独立しており、生体内(イン ビボ
; in vivo)で得られるヒドロモルホンの最高血漿レベルが投薬製剤投与後、2〜4時間
の間に起こるように選択される、ヒドロモルホン組成物が開示されている。これらのヒド
ロモルホン製剤により少なくとも12時間の苦痛からの開放が得られる。
【0006】
業界においては、12時間よりも更に長い有効期間を提供する薬物製剤の開発が更なる
到達点とされており、その結果、例えば、薬物を患者に一日一回だけ投与すればよいもの
が望まれている。
【0007】
現在迄の処ではそのような有用な薬剤よりも、投与回数を減らすことが可能なオピオイ
ド鎮痛薬の便利で信頼性がある投薬製剤が明らかに必要となっていた。現在最も有用なそ
のような経口オピオイド鎮痛薬製剤は、4〜6時間毎に投与する必要があり、12時間の
投与のより頻度が少ない製剤は2〜3の中から選択されるだけである。1日1回の投与の
製剤の明らかな利点は、より頻度が少ない投与の要求が提出された場合、数多くの医薬製
剤について記載されているように、便利さと投与の励行が増大することである。
【0008】
今日まで、少ない頻度での投与が可能な経口オピオイド鎮痛薬の製剤は、(a)1日当
たりの総投与量が同一量の、従来の速放性経口製剤が投与される同一の化学量の場合と比
較して、逆の薬学反応のプロファイル及び/又は何らかの影響を有しているか、(b)所
定の時間を超えることが要求されるより短い活性の経口オピオイド鎮痛薬製剤と比較して
、鎮痛効果が長いことに何らかの相違なり意義があるのかどうかということについて合意
がなされていない。数多くの適正で、よく制御された二重盲検、無作為、安全及び有効性
の評価結果は、数多くのそのような研究の結果から証明されるように、オピオイドの副作
用の共通するプロファイル、影響範囲及び強度及び共通する、長期的に活性な及び短期的
に活性な経口オピオイドを1日当たりの等しい投与量を与えた時の鎮痛効果を比較してい
る。
【0009】
非オピオイド鎮痛薬のオピオイド薬剤との併用投与は、非オピオイド鎮痛薬による「オ
ピオイドの節約」効果の証拠を示すが、オピオイドの必要量を減少させる、先に報告され
ているたった一つの方法は、患者の鎮痛制御(PCA)が、必要とされる時に投与する(
PRN)場合と比較して、オピオイド鎮痛薬の必要性が減少する状況においてなされてお
り、共に非経口経路を経由している。それらの後者の状況においては、いずれの投与方法
も固定された間隔ではなく、むしろ、PRNは、患者がPCAを利用して薬剤投与の第1
次制御者となり、そして患者と、必要とされるタイミングを制御する他者が通常の仕様で
のPRN投与をすることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、疼痛管理の有効性及び品質を実質的に改良するための方法及びオピオ
イド鎮痛製剤を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、疼痛管理の有効性及び品質を実質的に改良するための治療方法を
提供することである。
【0012】
本発明の更に他の目的は、従来公知の放出制御オピオイド製剤と比較して、効果の期間
が実質的に増大し延長された放出制御オピオイド製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した目的及びその他は本発明により達成され、その固体放出抑制経口投与製剤は、
該投薬製剤が、鎮痛に有効な量のオピオイド鎮痛薬又はその塩から成り、放出抑制被覆又
は放出抑制マトリックスで被覆されており、生体外(in vitro)での投薬製剤の溶解速度が
、USPのパドル法で37℃において900mlの水性緩衝液(pHが1.6 〜7.2 の間)に
より100rpm で測定した場合、1時間後に約12.5%〜約42.5%(重量)のオピオイドを
放出し、2時間後に約25%〜約65%(重量)のオピオイドを放出し、4時間後に約4
5%〜約85%(重量)のオピオイドを放出し、8時間後に60%(重量)より多いオピ
オイドを放出し、この生体外放出速度は実質的にpHからは独立しており、生体内(in vi
vo) で得られる該オピオイドの最高血漿レベルが投薬製剤投与後、約2〜約8時間の間に
起こるように選択されることを特徴とする製剤である。本発明の経口投与製剤は、約24
時間の苦痛からの解放を提供し、それ故、一日に一回の割合で投与すればよい。
【0014】
上記したように、投与製剤は好ましくはオピオイド鎮痛薬を含む。好ましいオピオイド
には、ヒドロモルホン、オキシコドン、モルヒネ、レボルファノール、メタドン、メペリ
ジン、ヘロイン、ジヒドロコデイン、コデイン、ジヒドロモルヒネ、ブプレノルフィン、
それらの塩、及びそれらの混合物、ミュー・アゴニスト(muagonist)/アンタゴニスト(
antagonist) の混合物、ミュー・アゴニスト/アンタゴニストの結合物等のミュー・アゴ
ニストオピオイド鎮痛薬が含まれる。
【0015】
USPのパドル又はバスケット法とは、例えばU.S.ファーマコペイア(U.S.Pharmac
opeia) XXII (1990)に記載されているパドル及びバスケット法である。
【0016】
本願明細書において、「実質的にpHからは独立」とは、ある時点において、例えば、
pH=1.6 において放出されたオピオイドの量と、他のpH、例えば、pH=7.2 (US
Pのパドル又はバスケット法を用いて100rpm で900mlの水性緩衝液中で、生体外で
測定した場合)で放出された量の相違が、10%(重量)以下であることを意味する。放
出された量は、全ての場合、少なくとも3回の実験の平均値である。
【0017】
本発明は、又、本発明の経口投与製剤を投与することから成る、ヒトの患者の苦痛を緩
和し治療する方法に関する。
本発明の放出制御型経口固体投与製剤は、これらの製剤はオピオイドの倹約になるという
驚くべき結果を与える。第一に、本発明の放出制御経口固体投与製剤は、従来の速放性生
成物と比較して、鎮痛効果を変化させることなく、実質的に低い一日の投与量で投与する
ことができる。第二に、同等の一日の投与量で、従来の速放性生成物と比較して、より大
きい効果が本発明の放出制御経口固体投与製剤を使用することにより得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、例えば、約24時間という時間的に延長された治療効果を有するオピオイド
鎮痛薬の放出制御投与製剤が、投与後、約2〜約8時間の間に最大血漿レベル(即ち、T
max )を与え、そして好ましくは、投与後、約4〜約6時間に最大血漿レベルを与え、そ
れにより投与後、12時間を充分に超える、そして好ましくは約24時間の疼痛からの開
放を与えるという、驚くべき発見に、部分的には基づいている。
【0019】
更に又、本発明の投与製剤の場合には、治療水準は一般に、オピオイドを高血液濃度に
した場合にしばしば伴って起こる吐き気、嘔吐、又は眠気等の同時に起こる副作用の強度
及び/又は程度を非常に増大させることなく、実質的に達成される。本発明の投与製剤を
使用することにより、薬物中毒の危険を減少することを示唆する証拠がある。
【0020】
オピオイド鎮痛薬を、例えば、pH:1.6 〜7.2 の間のpHに対して関係することなく
独立した速度で放出するという本発明組成物の更なる利点は、経口投与により「投与量の
制動(ダンピング)」を避けられるということである。
【0021】
先ず第一に、経口オピオイド鎮痛薬は、製剤されて一日一回の投与で鎮痛作用の増大さ
れた期間を与える。驚くべきことに、それらの製剤は、従来の速放性薬剤と同等の一日当
たりの投与量で、逆の薬物反応による苦しみが殆ど起こることがなく、従来の経口医薬よ
りも少ない一日当たり投与量で、苦痛の制御を維持しながら投与できる。従って、本発明
の24時間投与製剤は、「オピオイドの倹約」ができる。
【0022】
本発明の経口投与製剤は、例えば、カプセル中に顆粒、球体又は丸薬として、又は他の
適当な固体製剤として存在しうる。特に好ましい態様において、経口投与製剤は、カプセ
ル中に含まれる有効数の球状物から成る。
【0023】
一つの好ましい態様において、本発明の放出制御型オピオイド経口投薬製剤は、治療的
に活性な成分として、ヒドロモルホンを含有し、そして好ましくは、約4〜約64mgの塩
酸ヒドロモルホンを含有する。一方、投与製剤は、当モル量の他のヒドロモルホン塩又は
ヒドロモルホン塩基を含有していてもよい。オピオイド鎮痛薬がヒドロモルホン以外のも
のである場合の、他の好ましい実施態様において、投与製剤は、実質的に同等の治療効果
を与える適当量を含有する。
【0024】
例えば、オピオイド鎮痛薬がモルヒネから成る場合、本発明の放出抑制経口投与製剤は
、約15mg〜約800mgのモルヒネを重量で含有する。
【0025】
一方、オピオイド鎮痛薬がオキシコドンから成る場合、本発明の放出抑制経口投与製剤
は、約10mg〜約400mgのオキシコドンを含有する。
【0026】
ミュー・アゴニスト(mu-agonist) オピオイド鎮痛薬の投与量−応答の研究及び相対鎮
痛分析の検討は、それらの投与量−応答関係の平衡関係からの重大な偏差を示してはいな
い。これは、患者の、あるミュー・アゴニストの鎮痛薬から他のものへ変える場合、前者
の投薬量を考慮することなく、通常利用されている、相対的鎮痛強度因子及び投与比率を
確立するために提供される、注目されている原理になっているということが、しっかりと
確立されている。
【0027】
本発明の好ましい実施態様において、放出制御投与製剤は、放出制御被覆を塗布した活
性成分を含有する球剤から成る。球剤という語は、薬学分野においてよく知られており、
例えば、0.1mm 〜2.5mm の間の、特に0.5mm 〜2mmの間の直径を有する球状粒剤を意味す
る。
【0028】
球剤は、好ましくは、水性媒体中でオピオイド(又はその塩)の放出を制御された速度
で許容する物質のフイルムで被覆されている。このフイルム被覆物は、他の記載されてい
る性質と共に、上記に概略記載した生体外(イン ビトロ)での放出速度(1時間後の放
出が12.5%〜42.5%(重量)である等)を達成するように選択される。本発明の被覆製剤
は、平滑で精密な、強靱で連続したフイルムを製造することが可能で、毒性がなく、不活
性でそして粘着性がない、顔料及び他の塗装添加剤を持ちこたえることが可能なものであ
る。
【0029】
一つの好ましい実施態様において、本発明は、エチルセルローズ等のアルキルセルロー
ズ、アクリル酸ポリマー、シェラック、ゼイン、水素化ヒマシ油又は水素化植物性油等の
疎水性ワックス様生成物及びこれらの混合物から選択された疎水性(hydrophobic) 物質で
被覆されたオピオイドから成る基質の固体放出制御型の投与製剤に関する。
【0030】
更に好ましい実施態様において、被覆物は疎水性ポリマーの水性分散液から誘導される
。オピオイド(例えば、錠剤のコア又は不活性な薬学的ビーズ又は球剤)を含有する被覆
基質は、次いで、基質が安定な溶解を与える最終点に到達するまで保存する。保存の終点
は、保存直後の投与製剤の溶解図(曲線)と、促進された貯蔵条件、例えば、40℃の温
度及び75%の相対湿度で少なくとも1か月、に曝した投与製剤の溶解図(曲線)とを比
較することにより決定される。これらの製剤は、ここに参照として導入される本譲受人の
係属中の米国特許出願第07/814,111 号及び第07/826,084 号に詳細に記載されている。
【0031】
本発明において被覆物として使用される疎水性ポリマーの水性分散液は、所望の放出制
御された治療用活性剤を得るために、錠剤、球体(又はビーズ)、微小球、種子、ペレッ
ト、イオン交換樹脂ビーズ、及び他の多様な微粒子と結びついて使用される。本発明によ
り調製した顆粒、球剤、又はペレット等は、カプセル中に、或いは他の適当な投与製剤と
して存在しうる。
【0032】
放出制御製剤を得るために、治療用活性剤から成る基質は充分な量の水性分散液、例え
ば、エチルセルローズ又はアクリル酸ポリマーで被覆して、約2〜約25%の付着重量レ
ベルを得る。ここで被覆量は、治療用活性剤の物理的性質及び所望の放出速度、水性分散
液中への可塑剤の添加及びその導入方法等に応じて、少なくなったり多くなったりしても
よい。
【0033】
エチルセルローズは、本発明の基質の被覆のために使用される好ましい疎水性ポリマー
の一種であるが、当業者は、他のアルキルセルローズ性ポリマーを含む他のセルローズ性
ポリマーの方を評価するかもしれないし、本発明の疎水性ポリマー被覆剤に含まれるエチ
ルセルローズの一部又は全部が置換されていてもよい。
【0034】
本発明の他の好ましい実施態様において、放出制御型被覆剤から成る疎水性ポリマーは
薬学的に許容可能なアクリル酸ポリマーであり、これに限定されないが、アクリル酸及び
メタクリル酸の共重合体、メタクリル酸メチル共重合体、メタクリル酸エトキシエチル共
重合体、メタクリル酸シアノエチル共重合体、メタクリル酸アミノアルキル共重合体、ポ
リ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミド共重合体、ポリ
(メタクリル酸メチル)、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、メタクリル
酸アミノアルキル共重合体、ポリ(無水メタクリル酸)及びメタクリル酸グリシジル共重
合体等が挙げられる。
【0035】
ある好ましい実施態様において、アクリル系ポリマーは一若しくはそれ以上のアンモニ
オ(ammonio )メタクリル酸エステル共重合体から成る。アンモニオメタクリル酸エステ
ル共重合体は当業界において公知であり、NF XVII に記載されており、第4級アンモニ
ウム基を少量含有するアクリル酸及びメタクリル酸エステルを充分に重合した共重合体で
ある。
【0036】
所望の溶解図(曲線)を得るために、異なるモル比の第4級アンモニウム基のような物
理的性質を異ならしめる、2種若しくはそれ以上のアンモニオメタクリル酸エステル共重
合体を、中性の(メタ meth )アクリル酸エステルに導入することが必要とされてもよい

【0037】
被覆が疎水性ポリマーの水性分散液から成る被覆である場合の本発明の実施態様は、疎
水性ポリマーの水性分散液に有効量の可塑剤を添加するとフイルムの物理的性質が更に改
良される。例えば、エチルセルローズは相対的に高いガラス転移温度を有しており、通常
の塗装条件のもとでは可撓性の柔軟なフイルムを形成しないので、エチルセルローズをそ
の塗装材料としての使用前に可塑化する必要がある。一般に、塗装溶液中に添加される可
塑剤の量は、フイルム形成剤の濃度に基づくが、例えば、最も一般的には、フイルム形成
剤の約1〜約50重量%である。しかしながら、可塑剤の濃度は、特別の被覆溶液及び適
用方法の注意深い実験に基づいてのみ、適正に決定することができる。
【0038】
エチルセルローズに対する適当な可塑剤の例としては、セバシン酸ジブチル、フタル酸
ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、及びトリアセチン等の水溶性可塑
剤が挙げられるが、他の水不溶性可塑剤(例えば、アセチル化モノグリセリド、フタル酸
エステル、ヒマシ油等)を使用することも可能である。クエン酸トリエチルは、本発明の
エチルセルローズの水性分散液に対する特に好ましい可塑剤である。
【0039】
本発明のアクリル系重合体の適当な可塑剤の例としては、限定されないが、例えばクエ
ン酸トリエチルNF XVI,クエン酸トリブチル等のクエン酸エステル、フタル酸ジブチル
、及び1,2−プロピレングリコールが挙げられる。例えば、オイドラギット(Eudragit,
登録商標)RL/RSラッカー溶液のようなアクリル系フイルムから形成されるフイルム
の可撓性を強化するにの適当なことが証明されている他の可塑剤としては、ポリエチレン
グリコール、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ヒマシ油、及びトリアセチンが
挙げられる。クエン酸トリエチルは、本発明のエチルセルローズの水性分散液に対する特
に好ましい可塑剤である。
【0040】
少量のタルクを添加することにより、処理中に水性分散液が固着する傾向を減少させ、
それ自体、つや出し剤として機能する。
【0041】
エチルセルローズの水性分散液の市販品の一つがアクアコート(Aquacoat 、登録商標、
エフ・エム・シー・コーポレーション、フィラデルフィア、ペンシルヴァニア、米国)で
ある。アクアコートは、エチルセルローズを水−不混和性有機溶媒に溶解し、次いでこれ
を、界面活性剤及び安定剤の存在下に水に乳化して製造される。均一化してサブミクロン
の液滴を生成した後、有機溶媒を減圧下で留去して擬似ラテックスを形成する。可塑剤は
製造工程中に擬似ラテックス中には導入しない。従って、これを塗布液として使用するに
先立って、アクアコートを使用前に適当な可塑剤と充分に混合することが必要である。
【0042】
エチルセルローズの他の水性分散液として、シュアリース(Surelease、登録商標、カラ
ーコン・インコーポレーテッド、ウエストポイント、ペンシルヴァニア、米国)が市販品
として有用である。この製品は、製造工程中に分散液に可塑剤を導入して製造される。ポ
リマー、可塑剤(セバシン酸ジブチル)、及び安定剤(オレイン酸)の熱溶融物が均一な
混合物として調製され、次いで、アルカリ溶液で希釈されて、直接基質に適用し得る水性
分散液として得られる。
【0043】
一つの好ましい実施態様において、アクリル系塗布液は水性分散液の形態で使用される
アクリル樹脂ラッカーであり、それは、例えば、ローム・ファーマ(Rohm Pharma) からオ
イドラギット(Eudragit)の商品名で市販されている。更に好ましい実施態様において、ア
クリル系塗布液は、ローム・ファーマからオイドラギット(Eudragit 、商品名)RL30
D及びオイドラギットRS30D(同)の商品名でそれぞれ市販されている、二種類のア
クリル樹脂ラッカーの混合物から成る。オイドラギットRL30D及びオイドラギットR
S30Dは、少量の4級アンモニウム基を含むアクリル及びメタクリル酸エステルの共重
合体であり、アンモニウム基の残りの中性(メタ)アクリル酸エステルに対するモル比が
オイドラギットRL30Dの場合は1:20であり、オイドラギットRS30Dの場合は
1:40である。平均分子量は約150,000 である。RL(高透過性)及びRS(低透過性
)のコード表示はそれらの試薬の透過性能を示す。オイドラギットRL/RS混合物は、
水及び消化液に不溶である。しかしながら、同じものから製造した塗布液は、水性溶液及
び消化液の中で膨潤し、透過し得るものである。
【0044】
本発明のオイドラギットRL/RS分散液は、所望の溶解図(曲線)を有する放出抑制
型製剤を究極的に得るために、如何なる所望の比率でも混合することができる。所望の放
出制御型製剤は、例えば、オイドラギットRL100%、オイドラギットRL50%及び
オイドラギットRS50%、及びオイドラギットRL10%及びオイドラギットRS90
%から誘導される遅延塗布液から得られる。もちろん、当業者は、例えば、オイドラギッ
トL(商品名)等の他のアクリルポリマーも使用できるということを認識しているであろ
う。
【0045】
異なるアクリル樹脂ラッカーの相対量を変えることにより、溶解図(曲線)を修正する
ことに加えて、究極の生成物の溶解図(曲線)を、例えば、遅延塗布剤の厚さを増加した
り減らしたりして修正してもよい。
【0046】
疎水性ポリマーの水性分散液を、ヌ‐パレイル(Nu-pareil) 18/20ビーズのような
不活性薬学用ビーズの塗布に使用した場合、得られる複数の安定化固体放出制御ビーズは
、その後、摂取され、胃液に接触した場合、有効量の放出制御薬剤を与えるのに充分な量
をゼラチンカプセルに入れる。
【0047】
本発明の安定化された放出制御型製剤は、例えば、摂取され、胃液に曝され、次いで、
腸液に曝された場合、治療的に活性な成分をゆっくりと放出する。本発明の製剤の放出制
御図(曲線)は、例えば、疎水性ポリマーの水性分散液で塗布する量を変更することによ
り、可塑剤を疎水性ポリマーの水性分散液に添加する方法を変更することにより、疎水性
ポリマーに対する可塑剤の添加量を変更することにより、付加的成分又は賦形剤を添加す
ることにより、製造方法を変更することによる等の方法で変更することができる。
【0048】
治療的に活性な成分で被覆された球剤又はビーズは、例えば、治療的に活性な成分を水
に溶解し、例えば、ウルスター(Wurster) インサートを用いてヌ‐パレイル18/20ビ
ーズのような基質状に溶液を塗布することにより調製できる。所望により、ビーズの被覆
に先立って、ヒドロモルホンのビーズへの結合を助けるために、及び/又は溶液を着色す
るため等を目的として付加的成分を添加してもよい。例えば、着色剤を含む又は含まない
、ヒドロキシプロピルメチルセルローズ(HPMC)等を含有する生成物を、溶液に添加
してもよく、そして、溶液はビーズにそれを適用する前に(例えば、約1時間の間)混合
される。この実施例のビーズにおいて、得られた被覆基質は、次いで、所望により治療活
性成分を疎水性放出制御被覆から分離するために、防護剤でその上を被覆してもよい。適
当な防護剤の例としては、ヒドロキシメチルセルローズから成るものが挙げられる。しか
しながら、公知のいかなる膜形成剤をも使用することができる。防護剤は最終生成物の溶
解速度に影響しないものが好ましい。
【0049】
ヒドロモルホンのHPMCで(所望により)防護したビーズは、次いで、疎水性ポリマ
ーの水性分散液で被覆される。疎水性ポリマーの水性分散液は、好ましくは、更に、例え
ば、有効量のクエン酸トリエチル等の可塑剤を含有する。アクアコート(Aquacoat 、商品
名)又はシュアリース(Surelease、商品名)等の、エチルセルローズを予め配合した水性
分散液を使用してもよい。シュアリースを使用した場合には、可塑剤を別途添加する必要
はない。或いは、オイドラギット(Eudragit 、商品名)のようなアクリル系ポリマーを予
め配合した水性分散液を使用することも可能である。
【0050】
本発明の塗布溶液は、膜形成剤、可塑剤及び溶媒系(即ち、水)に加えて、優雅さ及び
生成物の区別のために、着色剤を含むことが好ましい。一方、治療活性成分の溶液を着色
してもよく、或いは疎水性ポリマーの水性分散液に加えて着色してもよい。例えば、アル
コール又はプロピレングリコールをベースとした着色分散液、磨砕したアルミニウムレー
キ及び酸化チタン等の不透明剤を使用し、水溶性ポリマー溶液に剪断して着色し、次いで
低剪断で可塑化アクアコートに添加することにより、アクアコートを着色してもよい。或
いは、着色できる如何なる適当な方法をも本発明の製剤に使用することができる。アクリ
ル系ポリマーの水性分散液を使用した場合の製剤を着色する適当な成分としては、二酸化
チタン及び酸化鉄顔料等の着色顔料が挙げられる。顔料を導入すると、しかしながら、被
覆物の遅延効果を増大する。
【0051】
疎水性ポリマーの可塑化水性分散液は、治療活性剤から成る基質上に、当業界において
知られている適当なスプレー装置を用いて塗布される。好ましい方法として、ウルスター
(Wurster) 流動床システムが使用され、それは、下方から注入される空気の噴流が、アク
リル系ポリマー塗布液を噴霧しながら、コアーとする物質を流動化させ、乾燥効果をもた
らす。例えば、胃液等の水性溶液に該被覆基質を接触させた場合に、該治療活性剤の予め
定められた放出制御が得られるように、治療活性剤の物理的性質、可塑剤の導入方法等を
考慮して、好ましくは、疎水性ポリマーの水性分散液の充分な量が使用される。疎水性ポ
リマーで塗布した後に、オパドライ(Opadry 、商品名)のような膜形成剤の上塗り剤がビ
ーズに任意に適用される。この上塗りは、たとえ少しでも、ビーズの凝集を実質的に減少
させるために塗布される。
【0052】
次に、被覆したビーズは、治療活性剤の安定化された放出速度を得るために、硬化され
る。
【0053】
今日まで、疎水性ポリマーの水性分散液を使用した安定な放出制御型薬学製剤を調製す
る試みは、安定性の問題のために不成功であった。特に、数時間またはそれ以上活性な薬
剤の所望の放出図(曲線)を得るために、水性高分子分散液を用いてそれら薬学製剤を塗
布した場合、業界においては、溶解放出曲線は熟成により変化することが知られている。
【0054】
この問題は、本発明の、エチルセルローズの水性分散液を放出制御被覆剤として使用し
た場合、硬化工程を、被覆した基質を塗布溶液(即ち、エチルセルローズ)のガラス転移
温度よりも高い温度で、そして約60%〜約100%の相対湿度で、硬化の終点に到達す
るまで処理する実施態様により克服される。
【0055】
本発明の好ましい実施態様において、エチルセルローズの水性分散液から誘導される安
定化生成物は、塗布した基質を必要とされる一定時間、オーブンにおいて昇温された温度
/湿度レベルで硬化することにより得られ、特別の製剤についての温度、湿度及び時間に
ついての最適の値は実験により決定される。本発明のある実施態様において、エチルセル
ローズの水性分散液で被覆した安定化生成物は、約60℃の温度で、約60%〜約100
%の相対湿度で約48〜約72時間の期間、オーブンでの硬化を行うことにより得ること
ができる。これは、以下に記載した実施例の、ヒドロモルホンビーズの場合である。しか
しながら、必要とされる硬化条件は幾分変更してもよく、そして実際、特定の製剤に応じ
て、安定化された生成物を得るためには、上記した温度、湿度及び時間の範囲よりも広い
であろうことを当業者は認識しているであろう。
【0056】
伝統的には、オイドラギット被覆製剤についての上記硬化は、流動床により塗布後、4
5℃で2時間の条件で行われる。そのような標準硬化はロームファーマ(Rohm pharma )
により推奨される。何故なら、それは固体の20%の水準でクエン酸トリエチルで可塑化
されたオイドラギットRS30Dのガラス転移温度(Tg)よりも高いからである。この
ことは、硬化が、本発明の実施例に記載されて証明されているように、貯蔵による製剤の
溶解図(曲線)を安定化させていないことを勧告している。
【0057】
この問題は、疎水性ポリマーの水性分散液が、オイドラギット等のアクリル系ポリマー
の水性分散液から成る疎水性ポリマーであり、安定化された生成物が、塗布製剤のTgよ
りも高い温度でオーブンでの硬化を行い、高い温度及び/又は湿度の貯蔵条件に曝された
際に、実質的に影響されない溶解図を与える被覆製剤の終点に到達するまで、硬化を続け
ることにより得られる、本発明の実施態様において達成される。一般に、硬化時間は、例
えば、約24時間又はそれ以上であり、そして、硬化温度は、例えば、約45℃である。
安定化された最終生成物を得るために、被覆基質を硬化工程の間、雰囲気条件を超える湿
度レベルで処理することは必要ではないということが更に発見された。
【0058】
アクリル被覆物に関する本発明の好ましい実施態様において、安定化された生成物は、
被覆された基質を、可塑化されたアクリル系ポリマーのTgを超える温度で、所定時間、
オーブン硬化することにより得られるが、特別の製剤についての最適の温度及び時間の値
は実験的に決定される。本発明のある実施態様において、安定化された生成物は、オーブ
ン硬化を約45℃の温度で約24〜約48時間の期間行うことにより得ることができる。
本発明の放出制御被覆物で被覆されたある生成物は、24時間よりも長い、例えば、約2
4〜約48時間、或いは60時間又はそれ以上の、硬化時間を必要とする場合もあること
が予期される。
【0059】
本発明の放出制御型製剤からの治療活性剤の放出は、−若しくはそれ以上の放出調節剤
を添加することにより、又は被覆において−若しくはそれ以上の通路を設けることにより
、更に影響を受け所望の速度に調製することができる。疎水性ポリマーの水溶性材料に対
する比率は、他の因子の中で、要求される放出速度及び選択された材料の溶解特性により
決定される。
【0060】
孔形成剤として機能する放出調節剤は有機又は無機でもよく、使用環境において、溶解
され、抽出され、被覆からロ過される材料が含まれる。孔形成剤は、ヒドロキシプロピル
メチルセルローズ等の一若しくはそれ以上の親水性ポリマーから成っていてもよい。
【0061】
本発明の放出制御被覆には、また、澱粉及びゴム等の浸食促進剤を含むことが可能であ
る。
【0062】
本発明の放出制御被覆には、ポリマー鎖においてカーボネート基が繰り返し存在する、
カルボン酸の直鎖ポリエステルから成るポリカーボネート等のような、使用環境下におい
て微小孔薄膜を形成するのに有用な材料をも含むことが可能である。
【0063】
放出調節剤は、半透過性ポリマーから成っていてもよい。
【0064】
ある好ましい実施態様において、放出調節剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルローズ
、乳糖、金属ステアリン酸塩、及びそれらいずれかの混合物から選択される。
【0065】
本発明の放出調節剤は、少なくとも一つの通路、オリフィス等から成る放出手段を備え
ていてもよい。通路は米国特許第3,845,770 号、同第3,916,889 号、同第4,063,064 号、
及び同第4,088,864 号(これら全ては参照としてここに導入される)に開示されている方
法により形成することができる。通路は、丸、三角、四角、楕円、不規則等の如何なる形
状を有していてもよい。
【0066】
他の実施態様において、本発明は、要求される狭い範囲のオピオイドの生体外での溶解
速度を与え、オピオイドをpH値とは関係せずに独立して放出する、放出制御マトリック
スを(放出制御被覆に加えて、又はその代わりに)利用してもよい。放出制御マトリック
スに含まれる適当な材料には、(a)ゴム、セルローズエーテル、アクリル系樹脂及び蛋
白質誘導物質等の、親水性ポリマー。それらのポリマーの中で、セルローズエーテル、特
にヒドロキシアルキルセルローズ及びカルボキシアルキルセルローズが好ましい。経口投
薬製剤は、1%〜80%(重量)の少なくとも1種の親水性又は疎水性ポリマーを含有し
ていてもよい。(b)脂肪酸、脂肪酸アルコール、脂肪酸のグリセリルエーテル、無機及
び植物油およびワックス等の、消化しやすい、長鎖(C8 〜C50,特にC12〜C40)状の
置換若しくは非置換炭化水素。25゜〜90℃の間の融点を有する炭化水素が好ましい。
それらの長鎖炭化水素材料の中で、脂肪酸(脂肪族)アルコールが好ましい。経口投薬製
剤は、60%(重量)までの少なくとも1種の消化しやすい長鎖炭化水素を含有していて
もよい。(c)ポリアルキレングリコール。経口投薬製剤は、60%(重量)までの少な
くとも1種のポリアルキレングリコールを含有していてもよい。
【0067】
一つの特に適当なマトリックスは、少なくとも1種の水溶性ヒドロキシアルキルセルロ
ーズ、少なくとも1種のC12〜C36、好ましくはC14〜C22の脂肪族アルコール及び、所
望により、少なくとも1種のポリアルキレングリコールから成る。少なくとも1種のヒド
ロキシアルキルセルローズは、好ましくは、ヒドロキシプロピルセルローズ、ヒドロキシ
プロピルメチルセルローズ、及び特にヒドロキシエチルセルローズ等のヒドロキシ(C1
〜C6 )アルキルセルローズから成る。本発明の経口投薬製剤における少なくとも1種の
ヒドロキシアルキルセルローズの量は、とりわけ、要求されるオピオイドの放出の正確な
速度により決定される。少なくとも1種の脂肪族アルコールは、例えば、ラウリルアルコ
ール、ミリスチルアルコール又はステアリルアルコールであってもよい。しかしながら、
本発明の経口投薬製剤の特に好ましい実施態様においては、少なくとも1種の脂肪族アル
コールはセチルアルコール又はセトステアリルアルコールである。本発明の経口投薬製剤
における少なくとも1種の脂肪族アルコールの量は、上記したように、要求されるオピオ
イドの放出の正確な速度により決定される。それは、経口投薬製剤中に少なくとも1種の
ポリアルキレングリコールが存在するか不存在であるかにも依存する。少なくとも1種の
ポリアルキレングリコールが存在しない場合には、経口投薬製剤は、好ましくは20%〜
50%(重量)の少なくとも1種の脂肪族アルコールを含有する。経口投薬製剤中に少な
くとも1種のポリアルキレングリコールが存在する場合には、少なくとも1種の脂肪族ア
ルコールと少なくとも1種のポリアルキレングルコールの総量が、投与製剤総量に対し、
20%〜50%(重量)であることが好ましい。
【0068】
一つの実施態様において、例えば、少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルローズ又
はアクリル系樹脂と少なくとも1種の脂肪族アルコール/ポリアルキレングリコールの比
は、かなりの度合いにおいて、製剤からのオピオイドの放出速度を決定する。少なくとも
1種のヒドロキシアルキルセルローズの少なくとも1種の脂肪族アルコール/ポリアルキ
レングリコールの比が、1:2〜1:4であることが好ましく、1:3〜1:4の範囲の
比が特に好ましい。
【0069】
少なくとも1種のポリアルキレングリコールは、例えば、ポリプロピレングリコール又
は、好ましくは、ポリエチレングリコールである。少なくとも1種のポリアルキレングリ
コールの数平均分子量は、1,000 〜15,000であることが好ましく、特には、 1,500〜12,0
00である。
【0070】
他の適当な放出制御マトリックスは、アルキルセルローズ(特にエチルセルローズ)、
12〜C36の脂肪族アルコール及び、所望によりポリアルキレングリコールから成るもの
である。
【0071】
上記の成分に加えて、放出制御マトリックスは、適当な量の他の物質、例えば、薬学の
分野で一般的である、希釈剤、潤滑剤、結合剤、造粒助剤、着色剤、香味剤及び滑剤等を
含有していてもよい。
【0072】
本発明による固体の放出制御された経口投与製剤の調製を容易にするために、本発明の
更なる側面において、本発明の固体放出制御型経口投与製剤の調製のための製法は、放出
制御マトリックスにオピオイド又はその塩を導入することから成る。マトリックスへの導
入は、(a)少なくとも1種の水溶性ヒドロキシセルローズ及びオピオイド又はオピオイ
ド塩から成る粒状物を形成し、(b)粒状物を含むヒドロキシアルキルセルローズを、少
なくとも1種のC12〜C36の脂肪族アルコールと混合し、そして(c)所望により、粒状
物を圧縮し成形することにより行うことができる。好ましくは、粒状物は、ヒドロキシア
ルキルセルローズ/オピオイドを水で湿式粒状化することにより形成される。この工程の
特に好ましい実施態様において、湿式粒状化工程において添加する水の量は、オピオイド
の乾燥重量に対し、好ましくは1.5 〜5倍であり、特に好ましくは1.75〜3.5 倍である。
【0073】
更に他の代わりの実施態様において、球状化剤は、活性成分と共に、球状化して球剤を
形成する。微結晶質セルローズが好ましい。適当な微結晶質セルローズには、例えば、ア
ビセル(Avicel)PH101(商品名、エフ・エム・シー・コーポレーション製)として市
販されている材料がある。そのような実施態様において、活性成分及び球状化剤に加えて
、球剤は結合剤を含有していてもよい。低粘度で水溶性のポリマーのような適当な結合剤
は、薬学の技術の当業者に公知であろう。しかしながら、ヒドロキシプロピルセルローズ
のような水溶性ヒドロキシ低級アルキルセルローズが好ましい。更に(又は、一方)、球
剤は水不溶性のポリマー、特にメタクリル酸−アクリル酸エチル共重合体等のアクリル系
ポリマー、アクリル系コポリマー、又はエチルセルローズが含まれる。そのような実施態
様において、放出制御被覆には、通常、(a)ワックス単独又は脂肪酸アルコールとの混
合物、又は(b)シェラック又はゼイン等の水不溶性材料が含まれる。
【実施例】
【0074】
以下の実施例は、本発明の様々な側面を記載する。それらは、いかなる様式においても
、本発明の請求の範囲を限定するものではない。
実施例1
放出制御ヒドロモルホン
HCl 8mg製剤−アクリル系ポリマー被覆
1.薬剤配合。水にヒドロモルホン塩酸塩を溶解し、オパドライ(Opadry)Y−5−14
42、ライトピンク(カラーコン製市販製品、ウエストポイント、PA、それはヒドロキ
シプロピルメチルセルローズ、ヒドロキシプロピルセルローズ、二酸化チタン、ポリエチ
レングリコール及びD&CレッドNo.30アルミニウムレーキを含有)を添加し、そし
て約1時間攪拌することにより20%w/wの懸濁液を得ることにより、ヒドロモルホン
ビーズを調製した。この懸濁液を次いでヌー−パレイル(Nu-pareil) 18/20ビーズに
ウルスター(Wurster) インサートを用いて噴霧した。
【0075】
2.第1の上塗り。配合したヒドロモルホンビーズに次いで5%w/w付着量のオパド
ライ(Opadry)・ライト・ピンクをウルスターインサートを用いて上塗りした。この上塗り
は保護皮膜とした。
【0076】
3.遅延剤塗布。第1の上塗りをした後、ヒドロモルホンビーズを、次いで、オイドラ
ギットRS30D及びオイドラギットRL30Dを、RSとRLの比が90:10の遅延
剤塗布混合物として5重量%の付着量となるように塗布した。オイドラギット懸濁液には
クエン酸トリエチル(可塑剤)及びタルク(粘着防止剤)を添加した。塗布用懸濁液の塗
布にはウルスターインサートを使用した。
【0077】
4.第2の上塗り。遅延剤の塗布が完了した後、ヒドロモルホンビーズは、オパドライ
・ライト・ピンクで5%重量の付着量となるようにウルスターインサートを用いて上塗り
した。この上塗りもまた保護皮膜とした。
【0078】
5.硬化。最終上塗りの完了後、ヒドロモルホンビーズを45℃のオーブン中で2日間
硬化させた。硬化ビーズは次いでゼラチンカプセル中に、8mgのヒドロモルホン強度で充
填した。実施例1のビーズのすべての組成を以下の表1に示す。
【0079】
【表1】

【0080】
溶解度試験を実施例1のオイドラギットを被覆したヒドロモルホンビーズについて、作
製時及び28日後に行った。結果を下記表2に示す。
【0081】
【表2】

【0082】
上記表2に記載したオイドラギットを被覆したヒドロモルホンビーズの安定性の試験は
、初期の溶解度が、試料を37℃/80%相対湿度(RH)の条件下に置いた後の溶解度
と同等であることを示している。
実施例2〜4
放出制御ヒドロモルホン
HCl 8mg製剤−エチルセルローズ被覆
実施例2〜4を以下のように調製した。
【0083】
1.薬剤配合。水にヒドロモルホン塩酸塩を溶解し、オパドライ(Opadry)Y−5−14
42、ライトピンク(カラーコン製市販製品、ウエストポイント、PA、それはヒドロキ
シプロピルメチルセルローズ、ヒドロキシプロピルセルローズ、二酸化チタン、ポリエチ
レングリコール及びD&CレッドNo.30アルミニウムレーキを含有)を添加し、そし
て約1時間攪拌することにより20%w/wの懸濁液を得ることにより、ヒドロモルホン
ビーズを調製した。この懸濁液を次いでヌ‐パレイル(Nu-pareil) 18/20メッシュの
ビーズにウルスターインサートを用いて噴霧した。
【0084】
2.第1の上塗り。配合したヒドロモルホンビーズに次いで5%w/w付着量のオパド
ライ(Opadry)・ライト・ピンクをウルスターインサートを用いて上塗りした。この上塗り
は保護被覆とし、速放性ヒドロモルホンビーズとした。以下の表3参照。
【0085】
【表3】

【0086】
3.遅延剤塗布。第1の上塗りをした後、ヒドロモルホンビーズを、次いで、アクアコー
トECD30及びクエン酸トリエチル(可塑剤)を(アクアコートの乾燥重量に対し)5
%、10%及び15%(実施例4)の付着重量で、遅延剤皮膜として塗布した。この塗布
用懸濁液の塗布にはウルスターインサートを使用した。
【0087】
4.硬化。遅延剤塗布の完了後、ビーズを、約85%の相対湿度レベルを保つように、
水を入れたトレイを入れた60℃のオーブン中に入れた。3種類全てのバッチを72時間
硬化させた。
【0088】
5.第2の上塗り。硬化したビーズを湿気のあるオーブンから出し、次いで、流動床乾
燥器で約1時間乾燥した。乾燥した硬化ビーズは次いで、ウルスターインサートを用いて
オパドライ・ライトピンクを5%w/w付着量となるよう上塗りした。この上塗りを保護
被覆とした。5%、10%、及び15%のアクアコート被覆を有するビーズの最終配合は
、以下の表4、表5及び表6にそれぞれ記載した。
【0089】
【表4】

【0090】
【表5】

【0091】
【表6】

【0092】
7.封止。ヒドロモルホンビーズを、次いで、硬質ゼラチンカプセルの中に、以下の組
み合わせを用いて、カプセル当たりのヒドロモルホン塩酸塩の量が8mgとなるように充填
した。
【0093】
実施例2:全てのビーズが5%のアクアコート被覆のものである。
【0094】
実施例3:75%のビーズが10%のアクアコート被覆であり、25%が速放性ビーズ
である。
【0095】
実施例4:75%のビーズが15%のアクアコート被覆であり、25%が速放性ビーズ
である。
【0096】
溶解度試験を実施例2〜4のアクアコートを被覆したヒドロモルホンビーズについて、
共に作製時及び28日後に行った。結果を下記表7〜表9に示す。
【0097】
【表7】

【0098】
【表8】

【0099】
【表9】

【0100】
実施例2〜4の上記したアクアコートを被覆したヒドロモルホンビーズの安定性の試験
は、初期の溶解度が、試料を37℃/80%相対湿度の条件下に置いた後の溶解度と同等
であることを示している。
【0101】
実施例5〜8実施例5〜8において、12人の患者に対し、単一の投与量で6種の無作
為化した混合試験(1週ウオッシュアウト)を行い、速放性製剤の同一投与量で得られた
結果と比較した。血液試料は、血漿レベルを定量するために、投与後、初期、0.25、
0.5、0.75、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、6、8、10、12、1
8、24、30、36及び48時間で採取した。比較例Aは、8mggのヒドロモルホン速
放性製剤(ノール社(Knoll) から市販されているジラウジッド(Dilaudid)(商品名)4mg
の錠剤を2錠)である。実施例5は実施例1の封止ヒドロモルホンビーズ8mg量のもので
ある。実施例6は実施例2の封止ヒドロモルホンビーズ8mg量のものである。実施例7は
実施例3の封止ヒドロモルホンビーズ8mg量のものである。実施例8は実施例4の封止ヒ
ドロモルホンビーズ8mg量のものである。
【0102】
比較例Aについて得られた結果を図1に示す。実施例5について得られた結果を図2に
示す。実施例6について得られた結果を図3に示す。実施例7について得られた結果を図
4に示す。実施例8について得られた結果を図5に示す。図6は実施例5の血漿レベルを
比較例Aに対してプロットしたものである。実施例5〜8についての結果は、更に、以下
の表10及び表11に記載し、曲線下の面積(AUC;Area under the curveの略)(生
物学的有用性)、最大血漿濃度(Cmax )、及び最大血漿濃度に到達するまでの時間(T
max )についてのデータを提供する。
【0103】
【表10】

【0104】
【表11】

【0105】
実施例7に関して、それは88%の生物学的有用性(AUC)(それは米国食料医薬局
のような取締機関に許容され得る)であり;実施例7はCmax が比較例Aと比べて約1/
2に減少しており、そしてtmax の2.39時間は比較例Aのtmax 1.1 時間と比較して
同様であるということが結論される。
【0106】
ジラウジッドは約6時間有効であることが知られている。図1から確認されるように、
6時間目での8mgジラウジッドの血中レベルは、約300pg/mlのヒドロモルホンであっ
た。それ故、約300pg/mlの循環濃度は、血漿中で有効な鎮痛効果濃度である。
【0107】
これに対し、実施例5で得られた結果は、投与後12時間目で、ヒドロモルホンの血中
レベルが500pg/mlヒドロモルホンを超えており、投与後24時間目において血漿レベ
ルが300pg/mlをかなり超えていることを示している。それ故、この生成物は、1日1
回の投与に適していると考えられ、オピオイドの節約製剤であると考えられる。
【0108】
実施例7は、一方において、投与後12時間目で300pg/mlを超えるレベルを与えて
おり、投与後24時間目で約250pg/mlのレベルを与えている。しかしながら、実施例
7において投与したヒドロモルホンの投与量は、24時間毎に8mgのみである。これに対
し、速放性製剤を用いて鎮痛効果を維持するためには、同じ時間維持するために必要な総
投与量は16mg(6時間毎に4mg)である。図4から、もし実施例7のカプセルを2錠投
与した場合には、最少又は谷の濃度は、24時間の間を通して300pg/mlを超えるであ
ろうことは明らかである。実施例7の2カプセルは、24時間を通して速放性製剤と同一
の投与量である。しかしながら、最終製剤中に含まれるビーズの量は、24時間の投与量
を有する最終製剤を与えるように調製され、これは、同じ期間に使用される速放性製剤よ
りも実質的に少ない。実施例7は、それ故、オピオイド節約製剤であると考えられる。そ
れ故、この生成物は、1日1回投与に適していると考えられる。
実施例9〜10
実施例9〜10において、10人の対象に対し、単一の投与量で4種の無作為化した混
合試験を行った。実施例9は、実施例5のヒドロモルホンビーズ8mg−絶食で試験し、実
施例10は、実施例5のヒドロモルホンビーズ8mg−食餌で試験した。比較例Bにおいて
、8mgの速放性ヒドロモルホン(ジラウジッド(Dilaudid)4mg錠剤を2錠)を絶食した者
に投与した。比較例Cにおいて、8mgの速放性ヒドロモルホン(ジラウジッド(Dilaudid)
4mg錠剤を2錠)を食事を与えた者に投与した。
比較例B及びCの血漿レベルを図7に記載し、実施例9及び10の血漿レベルは図8に記
載した。実施例9〜10及び比較例B及びCの結果は更に表12に記載した。これは、曲
線下の面積(AUC;Area under the curveの略)及び速放性のものと比較した吸収百分
率%IR;%初期放出(immediate release )の略(生物学的有用性)、最大血漿濃度(
max )、及び最大血漿濃度に到達するまでの時間(Tmax )についてのデータを提供す
る。
【0109】
【表12】

【0110】
実施例9〜10及び比較例B及びCにより得られる結果から確認できるように、速放性
錠剤及び実施例9及び10の放出制御ビーズの両者共、食物の影響は殆んどなく、実施例
9及び10の放出制御ビーズの生物学的有用性が若干増大している。血漿レベルからは、
本発明の製造物が1日1回及び1日2回の投与に適していることが、再度確認された。2
4時間内に、この放出制御生成物は600pg/mlに近い血漿レベルを与え、12時間では
700pg/mlを超える血漿レベルを与えた。
実施例11〜12
実施例11〜12において、定常状態で3種の混合試験を4日間行った。比較例Dにお
いては、対象に6時間毎に速放性ヒドロモルホン(ジラウジッド4mg錠剤を2錠)8mgを
投与した。実施例11では、実施例5のヒドロモルホンビーズ8mgを12時間毎に投与し
た。実施例12では、実施例5のヒドロモルホンビーズ8mgを24時間毎に投与した。4
日目に血液試料を採取した。
【0111】
比較例Dの血漿レベルに対する実施例11及び12の血漿レベルを図9に記載した。比
較例Dの谷のレベルに対する実施例11及び12の血漿レベルを図10に記載した(実施
例12の値は図10において2倍した)。実施例11〜12及び比較例Dについての結果
を更に第13表に記載した。それは、曲線下の面積(AUC)及び速放性のものと比較し
た吸収百分率(生物学的有用性)、最大血漿濃度(Cmax )、及び最大血漿濃度に到達す
るまでの時間(Tmax )についてのデータを提供する。
【0112】
【表13】

【0113】
生物学的活性についての指標としての曲線の下の面積(AUC)について、表13に示
されたデータから、比較例D及び実施例11及び12は全て、投与間隔を超えて増加した
、ほぼ等価のAUCを有しており、全ての投与方法が生物学的に有用であることを示して
いることが確認できる。
【0114】
更に、この研究において、24時間毎に8mg投与しただけの実施例12は、この製剤が
、ビーズの量を2倍にして、速放性製剤(6時間毎に4mg)により投与されるヒドロモル
ホンと同量である、16mgの投与量を1日に1回与えるならば、優れた24時間の調合剤
を提供する。
【0115】
実施例12について、図10に示した最少又は谷の濃度は、この生成物が4mgの速放性
製剤(6時間毎に4mg)と同等であろうし、それ故、これは優れた1日1回の生成物を与
えるであろうことを示している。
実施例13
放出制御硫酸モルヒネ30mg製剤−アクリルポリマー被覆実施例13は実施例1と同様
の方法で調製した。実施例13のビーズの完全な配合は、下記表14に記載する。
【0116】
【表14】

【0117】
オイドラギットRS30DのオイドラギットRL30Dの比は98:2である。最終上
塗りの完了後、モルヒネビーズを45℃のオーブンで2日間硬化した。この硬化ビーズを
、次いで、ゼラチンカプセルに30mgの強度で充填した。
【0118】
溶解度試験を実施例13のオイドラギットを被覆したモルヒネビーズについて、作製時
1か月及び3か月後に行った。結果を下記表15に示す。
【0119】
【表15】

【0120】
表15に記載した溶解度は、実施例13のビーズが安定であることを示している。
【0121】
二重盲検で単一投与量の混合試験を、次いで、12人の対象に対し、実施例13の投与
製剤に関して、標準製剤(比較例E)に対して行った。比較例Eにおいて、市販の放出制
御硫酸モルヒネ錠剤(MSコンチン(商品名)、プルデュー・フレデリック社製)を投与
した。結果を図11に示す。ここで、実施例13の投与量の2倍の血漿レベルを比較例E
で得られた血漿レベルに対してプロットした。
【0122】
上記した実施例は、これに限ることであることを意味するものではない。本発明の多く
の他の変形も、当業者には自明であろうし、付加した請求の範囲内にあることが予期され
るであろう。
【0123】
本願明細書は、以下の態様の発明を含むものである。
(1)固体の、放出抑制型経口投薬製剤であって、該投薬製剤が、鎮痛に有効な量のオピオイド鎮痛薬又はその塩から成り、放出抑制被覆又は放出抑制マトリックスで被覆されており、生体外での投薬製剤の溶解速度が、USPのパドル法で37において900mlの水性緩衝液(pHが1.6 〜7.2 の間)により100rpm で測定した場合、1時間後に約12.5%〜約42.5%(重量)のオピオイドを放出し、2時間後に約25%〜約65%(重量)のオピオイドを放出し、4時間後に約45%〜約85%(重量)のオピオイドを放出し、8時間後に60%(重量)を超えるオピオイドを放出し、この生体外放出速度は実質的にpHからは独立しており、生体内で得られる該オピオイドの最高血漿レベルが投薬製剤投与後、約2〜約8時間の間に起こるように選択されることを特徴とする固体の放出抑制型経口投薬製剤;
(2)該オピオイド鎮痛薬がヒドロモルホン、オキシコドン、モルヒネ、レボルファノール、メタドン、メペリジン、ヘロイン、ジヒドロコデイン、コデイン、ジヒドロモルヒネ、ブプレノルフィン、ヒドロコドン、それらの塩、及びそれらの混合物から成る群より選択される上記(1)に記載の投薬製剤;
(3)該投薬製剤が鎮痛に有効な量の、放出抑制塗布剤で被覆された、該オピオイド鎮痛薬又はその塩の球剤から成るものである上記(1)に記載の投薬製剤;
(4)該球剤が、アルキルセルローズ、アクリル酸ポリマー、シェラック、ゼイン、水素化ヒマシ油、水素化植物性油及びこれらのいずれかの混合物から成る群より選択される薬学的に許容可能な疎水性物質で被覆されている上記(1)〜(3)のいずれかに記載の投薬製剤;
(5)該疎水性物質が該球剤に対し、水性分散液として適用される上記(1)〜(3)のいずれかに記載の投薬製剤;
(6)該オピオイド鎮痛薬が約4mg〜約64mgのヒドロモルホンから成る上記(1)〜(5)のいずれかに記載の投薬製剤;
(7)該オピオイド鎮痛薬が約15mg〜約800mgのモルヒネから成る上記(1)〜(5)のいずれかに記載の投薬製剤;
(8)該疎水性材料が、アルキルセルローズ、アクリル酸ポリマー、シェラック、ゼイン、水素化ヒマシ油、水素化植物性油及びこれらのいずれかの混合物から成る群より選択される上記(7)に記載の投薬製剤;
(9)該オピオイド鎮痛薬が約10mg〜約400mgのオキシコドンから成る上記(1)〜(5)のいずれかに記載の投薬製剤;
(10)該オピオイドの生体内での最高血漿レベルが投与後、約4〜約6時間の間に提供される上記(1)〜(5)のいずれかに記載の投薬製剤;
(11)該投薬製剤が、放出抑制マトリックスの形態である上記(1)又は(2)に記載の投薬製剤;
(12)固体の、放出抑制型経口投薬製剤であって、該投薬製剤が、鎮痛に有効な量のオピオイド鎮痛薬又はその塩から成り、放出抑制被覆又は放出抑制マトリックスで被覆されており、生体外での投薬製剤の溶解速度が、USPのパドル法で37℃において900mlの水性緩衝液(pHが1.6 〜7.2 の間)により100rpm で測定した場合、1時間後に約12.5%〜約42.5%(重量)のオピオイドを放出し、2時間後に約25%〜約65%(重量)のオピオイドを放出し、4時間後に約45%〜約85%(重量)のオピオイドを放出し、8時間後に60%(重量)を超えるオピオイドを放出し、この生体外放出速度は実質的にpHからは独立しており、生体内で得られる該オピオイドの最高血漿レベルが投薬製剤投与後、約2〜約8時間の間に起こるように選択される製剤を調製することを特徴とする、約24時間の期間、ヒトの有効な疼痛管理を提供する方法;
(13)更に該投薬製剤をヒトの患者に一日一回経口投与することを含んで成る上記(12)に記載の方法;
(14)該オピオイド鎮痛薬が、アルキルセルローズ、アクリル酸ポリマー、シェラック、ゼイン、水素化ヒマシ油、水素化植物性油及びこれらのいずれかの混合物から成る群より選択される上記(12)に記載の方法;
(15)該製剤投与後、該オピオイド鎮痛薬の最高血漿レベルが約4〜約6時間の間に提供される上記(12)に記載の方法;および
(16)更に、経口投与用の該基質を、薬学的に許容可能なビーズの表面に該オピオイド鎮痛薬を塗布することにより調製し、該ビーズを薬学的に許容可能な疎水性物質で被覆し、一日に一回の投薬形態を提供するカプセル中に充分な量の被覆ビーズを入れることにより経口投与製剤を調製することを含んで成る上記(12)〜(15)のいずれかに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】2錠のジラウジッド4mgの錠剤を投与した場合に得られる血漿レベルを図表で示すものである。
【図2】実施例5において得られた血漿レベルを図表で示すものである。
【図3】実施例6において得られた血漿レベルを図表で示すものである。
【図4】実施例7において得られた血漿レベルを図表で示すものである。
【図5】実施例8において得られた血漿レベルを図表で示すものである。
【図6】実施例5において得られた血漿レベルを比較例Aにおいて得られた結果に対してプロットした図表を示すものである。
【図7】比較例B及びCにおいて得られた血漿レベルを図表で示すものである。
【図8】実施例9及び10において得られた血漿レベルを図表で示すものである。
【図9】実施例11及び12において得られた血漿レベルを比較例Dにおいて得られた結果に対してプロットした図表を示すものである。
【図10】実施例11及び12において得られた血漿レベルを比較例Dの谷のレベルに対してプロットした図表で示すものである。
【図11】実施例13において得られた血漿レベルを比較例Eにおいて得られた結果に対してプロットした図表を示すものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体の、放出抑制型経口投薬製剤であって、該投薬製剤が、
オピオイド鎮痛薬またはその塩が塗布された不活性薬学的ビーズを含むコア;および
前記コア上に塗布された被覆を含み、
前記被覆が、前記オピオイド鎮痛薬を24時間制御放出するために有効な量の疎水性ポリマーを含有し、該疎水性ポリマーが、可塑化されたアクリルポリマー、可塑化されたエチルセルロース、およびこれらの混合物からなる群より選択され、
該投薬製剤は、初期の溶解度と、37℃/80%相対湿度(RH)の条件下に28日間置いた後の溶解度との比較において、実質的に影響されない溶解図を提供する投薬製剤。
【請求項2】
前記オピオイド鎮痛薬が、ヒドロモルホン、オキシコドン、モルヒネ、レボルファノール、メタドン、メペリジン、ヘロイン、ジヒドロコデイン、コデイン、ジヒドロモルヒネ、ブプレノルフィン、ヒドロコドン、それらの塩、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の投薬製剤。
【請求項3】
前記疎水性ポリマーが可塑化されたエチルセルロースである、請求項1または2に記載の投薬製剤。
【請求項4】
前記オピオイド鎮痛薬が、約4mg〜約64mgのヒドロモルホンからなる請求項1に記載の投薬製剤。
【請求項5】
前記オピオイド鎮痛薬が、約15mg〜約800mgのモルヒネからなる請求項1に記載の投薬製剤。
【請求項6】
前記オピオイド鎮痛薬が、約10mg〜約400mgのオキシコドンからなる請求項1に記載の投薬製剤。
【請求項7】
前記被覆が放出調節剤を含む、請求項1に記載の投薬製剤。
【請求項8】
前記被覆を通る通路をさらに含む、請求項1に記載の投薬製剤。
【請求項9】
生体外での投薬製剤の溶解速度が、USPのパドル法で37℃において900mlの水性緩衝液(pHが1.6 〜7.2 の間)により100rpm で測定した場合、1時間後に約31.1%(重量)のオピオイドを放出し、2時間後に約37.0%(重量)のオピオイドを放出し、4時間後に約51.5%(重量)のオピオイドを放出し、8時間後に60%(重量)を超えるオピオイドを放出する、請求項1に記載の投薬製剤。
【請求項10】
前記被覆上に膜形成剤の上塗りを含む、請求項1に記載の投薬製剤。
【請求項11】
前記コアと前記被覆との間に膜形成剤の上塗りをさらに含む、請求項10に記載の投薬製剤。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−149681(P2009−149681A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47848(P2009−47848)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【分割の表示】特願2004−337294(P2004−337294)の分割
【原出願日】平成6年7月1日(1994.7.1)
【出願人】(599108792)ユーロ−セルティーク エス.エイ. (134)
【Fターム(参考)】