建具
【課題】縦材と横材との接合部から水等が漏出しにくい枠部材を備えた建具を提供する。
【解決手段】室内外に連通する開口に設けられ、縦材と横材とを有する枠部材と、前記枠部材に開閉自在に設けられた戸と、を備えた建具であって、前記枠部材は、前記縦材の側面に弾性を有するシール材を介して前記横材の端が当接されて接合され、前記横材は、長手方向に連続して室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位を有し、前記突出部位の先端部は、前記シール材と当接する縦枠側の端面に、当該先端部の先端縁側が前記縦枠から離間するように形成された端面側の傾斜面と、当該先端部の向かう方向と反対方向に窪む凹部を形成する端部の傾斜面と、を有し、前記横材と前記シール材とは、前記端面側の傾斜面の前記先端側の縁、及び、前記端部の傾斜面の前記先端側であって前記凹部における前記横材の端面側の縁が境界となるように当接されている。
【解決手段】室内外に連通する開口に設けられ、縦材と横材とを有する枠部材と、前記枠部材に開閉自在に設けられた戸と、を備えた建具であって、前記枠部材は、前記縦材の側面に弾性を有するシール材を介して前記横材の端が当接されて接合され、前記横材は、長手方向に連続して室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位を有し、前記突出部位の先端部は、前記シール材と当接する縦枠側の端面に、当該先端部の先端縁側が前記縦枠から離間するように形成された端面側の傾斜面と、当該先端部の向かう方向と反対方向に窪む凹部を形成する端部の傾斜面と、を有し、前記横材と前記シール材とは、前記端面側の傾斜面の前記先端側の縁、及び、前記端部の傾斜面の前記先端側であって前記凹部における前記横材の端面側の縁が境界となるように当接されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内外に連通する開口に設けられ縦材と横材とを有する枠部材と、この枠部材に開閉自在に設けられた戸とを備えた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
縦材と横材とを有する枠部材を備えた建具としては、例えば、室内外に連通する開口に設けられた建具の縦枠と横枠とを有する枠部材を備えた建具が知られている。このような建具は、室内外の境界部分を水密に保つために、縦枠の内面に弾性を有するシート状の止水材を介して横枠である下枠の端面を突き合わせ、ねじにより締め付けて枠部材を形成している(例えば、特許文献1参照)。また、室内外一方から他方への水の移動を防ぐために、下枠には鉛直方向に立ち上がる水返しが設けられている。そして、下枠の端面は、見込み方向に沿って切断されており、弾性を有する止水部材において下枠の端面が当接された部位は押し潰されるとともに、その周囲の部位は押し潰された部位より下枠側に盛り上がっている。
【特許文献1】特開2001−132347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した枠部材のように、下枠の端面が止水部材に当接されて、止水部材が下枠の周囲で盛り上がっていると、下枠の水返しと止水部材との境界部には境界部を始点にして徐々に拡がる間隙が形成される。このような間隙に室内外方向一方側の水が浸入すると、毛細管現象により境界部の狭い間隙をつたって室内外方向他方側に浸出し易くなる。従って、下枠に鉛直方向に立ち上がった水返しが設けられていたとしても、毛管現象により水返しを越えて水が漏出する畏れがあるという課題があった。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、縦材と横材との接合部から水等が漏出しにくい枠部材を備えた建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために本発明の建具は、室内外に連通する開口に設けられ、縦材と横材とを有する枠部材と、前記枠部材に開閉自在に設けられた戸と、を備えた建具であって、前記枠部材は、前記縦材の側面に弾性を有するシール材を介して前記横材の端が当接されて接合され、前記横材は、長手方向に連続して室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位を有し、前記突出部位の先端部は、前記シール材と当接する縦枠側の端面に、当該先端部の先端縁側が前記縦枠から離間するように形成された端面側の傾斜面と、当該先端部の向かう方向と反対方向に窪む凹部を形成する端部の傾斜面と、を有し、前記横材と前記シール材とは、前記端面側の傾斜面の前記先端側の縁、及び、前記端部の傾斜面の前記先端側であって前記凹部における前記横材の端面側の縁が境界となるように当接されていることを特徴とする建具である。
【0006】
横材をシール材に当接させて縦材と接合した際には、横材によってシール材が押し潰されることで、横材とシール材との境界部にて、シール材の押し潰されていない部位(シール材における横材と当接していない部位)が、押し潰されている部位より盛り上がる。このとき、上記横材のように、端面に傾斜面を有し、端面側の傾斜面の先端側の縁が境界となるように横材がシール材に当接されている場合には、傾斜面を有していない場合と比較して、横材とシール材との境界部にてシール材の盛り上がる量が小さくなる。このため、横材の端面に傾斜面を有している場合には、傾斜面を有していない場合と比較して、シール材の盛り上がり部分と横材の室内外方向一方側の面との間に形成される間隙の角度が大きくなり、たとえシール材の盛り上がり部分と横材との間の間隙に水が到達したとしても毛管現象は生じにくい。よって、縦材と横材との接合部から水等が漏出しにくい建具を実現することが可能である。ここで、室内外方向一方側及び他方側とは、いずれも室内側又は室外側のいずれかを示しており、水平面内における室内外の境界から室内に向かう方向又は室外に向かう方向を示すものではない。
【0007】
さらに、横材は室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位を有し、当該突出部位の先端部に当該先端部の向かう方向と反対方向に窪む凹部を形成する端部の傾斜面をも有しており、端部の傾斜面の先端側の縁であって前記凹部における横材の端面側の縁も境界となるように横材がシール材に当接されているので、端部の傾斜面によりシール材の盛り上がり部分と、横材が有する突出部位の先端部における先端縁となる面との間の間隙の角度がより大きくなるため、縦材と横材との接合部から水等がより漏出しにくい建具を実現することが可能である。
【0008】
また、室内外に連通する開口に設けられ、縦材と横材とを有する枠部材と、前記枠部材に開閉自在に設けられた戸と、を備えた建具であって、前記枠部材は、前記縦材の側面に弾性を有するシール材を介して前記横材の端が当接されて接合され、前記横材は長手方向に連続して室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位を有し、前記突出部位の先端部は、前記シール材と当接する縦枠側の端面に、当該先端部の先端縁側が前記縦枠から離間するように形成された端面側の傾斜面を有し、前記横材と前記シール材とは、前記端面側の傾斜面の前記先端側の縁が境界となるように当接されていることを特徴とする建具である。
【0009】
横材をシール材に当接させて縦材と接合した際には、横材によってシール材が押し潰されることで、横材とシール材との境界部にて、シール材の押し潰されていない部位(シール材における横材と当接していない部位)が、押し潰されている部位より盛り上がる。このとき、上記横材のように、端面に傾斜面を有し、端面側の傾斜面の先端側の縁が境界となるように横材がシール材に当接されている場合には、傾斜面を有していない場合と比較して、横材とシール材との境界部にてシール材の盛り上がる量が小さくなる。このため、横材の端面に傾斜面を有している場合には、少なくとも傾斜面を有していない場合よりシール材の盛り上がり部分と横材が有する突出部位の先端部における先端縁となる面との間に形成される間隙の角度が大きくなるので、たとえシール材の盛り上がり部分と横材との間の間隙に水が到達したとしても毛管現象は生じにくい。よって、縦材と横材との接合部から水等が漏出しにくい建具を実現することが可能である。
【0010】
また、室内外に連通する開口に設けられ、縦材と横材とを有する枠部材と、前記枠部材に開閉自在に設けられた戸と、を備えた建具であって、前記枠部材は、前記縦材の側面に弾性を有するシール材を介して前記横材の端が当接されて接合され、前記横材は長手方向に連続して室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位を有し、前記突出部位の先端部は、当該先端部の向かう方向と反対方向に窪む凹部を形成する端部の傾斜面を有し、前記横材と前記シール材とは、前記端部の傾斜面の前記先端側であって前記凹部における前記横材の端面側の縁が境界となるように当接されていることを特徴とする建具である。
【0011】
横材をシール材に当接させて縦材と接合した際には、横材によってシール材が押し潰されることで、横材とシール材との境界部にて、シール材の押し潰されていない部位(シール材における横材と当接していない部位)が、押し潰されている部位より盛り上がる。このとき、上記横材のように、横材が室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位を有し、当該突出部位の先端部に当該先端部の向かう方向と反対方向に窪む凹部を形成する端部の傾斜面をも有しており、端部の傾斜面の先端側の縁であって前記凹部における横材の端面側の縁が境界となるように横材がシール材に当接されているので、端部の傾斜面によりシール材の盛り上がり部分と、横材が有する突出部位の先端部における先端縁となる面との間の間隙の角度がより大きくなる。このため、たとえシール材の盛り上がり部分と横材が有する突出部位の先端部における先端縁となる面との間の間隙に水が到達したとしても毛管現象は生じにくいので、縦材と横材との接合部から水等が漏出しにくい建具を実現することが可能である。
【0012】
かかる建具であって、前記傾斜面は、曲面で形成していることが望ましい。
このような枠部材によれば、傾斜面は曲面で形成しているので、単なる平面の傾斜面より、シール材の盛り上がり部分と傾斜面との間に形成される間隙の角度を大きくすることが可能である。このため、縦材と横材との接合部から水等がさらに漏出しにくい建具を実現することが可能である。
【0013】
かかる建具であって、前記横材は水返しを有し、前記傾斜面は、前記水返しに設けられていることが望ましい。
室内側の水の室外側への浸入を防止するために設けられる水返しに傾斜面が設けられているので、室外側への水の浸入を効果的に抑えることが可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、縦材と横材との接合部から水等が漏出しにくい枠部材と、当該枠部材に開閉自在に設けられた戸と、を備えた建具を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る枠部材及び建具について図を参照して説明する。
本実施形態に係る建具は、躯体に固定され、図1、図2に示すように浴室(浴室内ともいう)と脱衣室(浴室外ともいう)との間の開口を形成する枠部材としての枠体12と、開口を開閉自在に枠体12に設けられる戸としての折れ戸20と、を有する建具10である。
【0016】
以下の説明では、建具10を浴室内側から見たときに上下となる方向を上下方向、左右となる方向(横材の長手方向)を左右方向または見付け方向、浴室の内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。本実施形態においては、室内外方向一方側が脱衣室(浴室外)側に相当し、他方側が浴室(浴室内)側に相当する。
【0017】
枠体12は、折れ戸20の上下に位置する横材としての上枠13及び下枠14と、左右に位置する縦材としての縦枠15、16とを有している。上枠13、下枠14、左右の縦枠15、16はいずれもアルミニウム製の押出成形部材である。
【0018】
上枠13及び下枠14の見付け方向(上枠13及び下枠14の長手方向)における両端部と、縦枠15、16との間には、ブチルゴム製の弾性部材としてのシール材18が介在されており、上枠13、下枠14と縦枠15、16とは、縦枠15、16を見付け方向外側(長手方向縦枠側)から貫通するねじにて接合されている。上枠13及び下枠14の見付け方向における両端部と、縦枠15、16との接合部におけるシール構造は、いずれも同様であるため、ここでは、左縦枠15と下枠14の左側端面との接合部を例に挙げて説明する。
【0019】
下枠14は、図3に示すように、浴室側に僅かに傾斜してほぼ平坦な浴室側部位14aと、浴室側部位14aより高い上面を有する脱衣室側部位14bと、浴室側部位14aと脱衣室側部位14bとの間に設けられ脱衣室側部位14bより上方に突出されて浴室側の水の脱衣室側への浸入を防ぐための水返し14cとを有している。
【0020】
水返し14cは、浴室側部位14aの脱衣室側端と繋がって鉛直に立設された鉛直部14dと鉛直部14dの上端から浴室側に向かうように突出された内側突出部14eとを有している。本実施形態においては、浴室側へ突出している内側突出部14eが室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位に相当し、その先端が先端部に相当する。
【0021】
下枠14は、長手方向が見付け方向に沿うように配置され、縦枠15、16と、シール材18を介して接合される左右の端部は、水返し14cの内側突出部14eを除いて、いずれも見付け方向とほぼ直交するように切断されている。水返し14cの内側突出部14eの先端部には、図4に示すように、見付け方向(下枠14の長手方向)における端面に脱衣室側より浴室側が縦枠15から離間するように形成された端面側の傾斜面14gと、脱衣室(室内外方向一方側)側から浴室側(室内外方向他方側)へ突出する突出部位の先端部としての内側突出部14eの、先端側の縁としての浴室側縁14fに、内側突出部14eの向かう方向と反対方向に窪む凹部14hを形成する端部の傾斜面14iとが形成されている。本実施形態においては、端面側の傾斜面14gの室内側(室内外方向他方側)の縁と端部の傾斜面14iの室内側(室内外方向他方側)の縁であって凹部14hにおける下枠14の端面側の縁とが一致している。ここでは、端面側の傾斜面14gと端部の傾斜面14iとの一致している室内側の縁を傾斜縁部14kという。
【0022】
下枠14と縦枠15とをそれらの間にシール材18を介して接合すると、下枠14とシール材18とは、傾斜縁部14kが境界となるように当接される。そして、図5に示すように、水返し14cの内側突出部14eとシール材18との境界部のみ、内側突出部14eとシール材18とにて形成される間隙の角度θを他の部位より大きくすることが可能である。
【0023】
ここで、内側突出部14eとシール材18とにて形成される間隙の角度θを、従来の枠体と比較するために、下枠14の両端部が、見付け方向と交差する方向に沿って単に切断された場合の内側突出部30とシール材18とにて形成される間隙の角度について説明する。
【0024】
下枠14がシール材18を介して接合されると、シール材18の、下枠14に押し潰された部位の周囲が押し潰された部位より盛り上がる。このとき、従来の下枠14ように、両端部が見付け方向と交差する方向に沿って単に切断されている場合には、図6に示すように、従来の下枠14の内側突出部30とシール材18との境界部では、極めて狭い間隙が形成される。このような、狭い間隙に浴室側の水が到達すると、毛管現象により間隙に沿って水が浸入する。そして、例えば水返し14cのように鉛直に設けられている部位であっても、間隙に沿って水が上昇し水返し14cを越えて脱衣室側に水が浸入する畏れがある。
【0025】
本実施形態の枠体12は、上述したように下枠14の水返し14cの内側突出部14eの端面に、端面側の傾斜面14gと、内側突出部14eの浴室側に臨む浴室側縁14fの端部に、脱衣室側に窪む凹部14hを形成する端部の傾斜面14iとを有している。このため、縦枠15、16と下枠14とをシール材18を介して接合する際に、水返し14cの内側突出部14eの端面では端面側の傾斜面14gにてシール材18を押圧するため、内側突出部14eとシール材18との境界部に形成される間隙は、従来の下枠とシール材18との境界部より広くなる。さらに、本実施形態の下枠14には、端面側の傾斜面14gの浴室側の傾斜縁部14kから繋がって端部の傾斜面14iが設けられており、端部の傾斜面14iは、浴室側縁14fに、脱衣室側に窪む凹部14hを形成するので、内側突出部14eとシール材18との境界部に形成される間隙、すなわち、端部の傾斜面14iとシール材18との間に形成される間隙は、さらに広くなる。このため、端部の傾斜面14iとシール材18との間では毛管現象が生じないので、たとえ浴室側部位14aから鉛直部14dに水が浸入したとしても、内側突出部14eを越えないため、脱衣室側に水が浸入することを防ぐことが可能である。
【0026】
上記実施形態においては、端面側の傾斜面14gと端部の傾斜面14iとをいずれも備えた例について説明したが、図7(a)、図7(b)に示すように、いずれか一方のみを備えた形態であってもよい。また、端部の傾斜面14iの傾斜角度を図8に示すように大きくすることにより、シール材18と端部の傾斜面14iとの間に形成される間隙をより大きくすることが可能である。
【0027】
また、上記実施形態においては、端部の傾斜面14iを平面とした例について説明したが、図9(a)、図9(b)に示すように互いに角度が異なる複数の微少面が順次角度を変化させつつ繋がった傾斜面により脱衣室側に湾曲する曲面とすることにより、シール材18と端部の傾斜面14iとの間に形成される間隙をより広くすることも可能である。また、傾斜面を曲面状とすることにより、凹部14hを形成する2つの傾斜面が交わって形成される間隙をも、より広くすることが可能である。このとき、凹部を1つの曲面にて、例えば平面形状が半円となるように形成すると、水返し14cの内側突出部14eの端面、及び、内側突出部14eの浴室側に臨む浴室側縁14fの凹部のいずれにも、毛管現象が生じるような狭い間隙は形成されないため、脱衣室側への水の浸入をより確実に防止することが可能である。
【0028】
さらに、上記実施形態においては、端面側の傾斜面14gと端部の傾斜面14iとの浴室側の縁が一致する例について説明したが、図10(a)、図10(b)に示すように、端面側の傾斜面14gと端部の傾斜面14iとの浴室側の縁が離れている形態であっても、シール材18と端部の傾斜面14iとの間に形成される間隙がより大きくなるように構成されていれば構わない。
【0029】
また、図11に示すように、下枠14の端面に、脱衣室側に窪むような曲面を設け、シール材18に下枠14を曲面にて押圧してシール材18と横材との境界部分におけるシール材18の盛り上がりを小さくすることにより、シール材18と下枠14との間に形成される間隙がより大きくなるように構成しても良い。
【0030】
また、上記実施形態においては、鉛直に立設された鉛直部14dの上端からほぼ水平に浴室側に向かうように突出された内側突出部14eを、室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位として説明したが、室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位はこれに限るものではない。例えば、図12に示すように、内側突出部14eの先端に垂設された垂設部14mを有する場合には、垂設部14mが室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位の先端部に相当し、垂設部14mの端部に、先端部の向かう方向と反対方向、すなわち上方向に窪む凹部14hを形成する端部の傾斜面14iが形成される。このように、凹部14h及び端部の傾斜面14iが形成される部位は、水平方向における室内外方向一方側から他方側へ突出された部位だけで構成されたものに限定されるのではなく、室内外方向他方側へ(浴室や屋外のように水に晒される側)突出する突出部位の、様々な角度をなす方向に向かうに先端部であってもよい。図12の場合ではその突出部位の先端部としての垂設部14mに、当該垂設部14mの向かう方向と反対方向に窪む凹部14hを形成する端部の傾斜面14iが形成されている。さらに、突出部位は、複数の先端部を有してもよく、少なくともその一つの先端部において端面側の傾斜面や端部の傾斜面が形成されていてもよい。なお、上記実施形態において、図5及び図7〜図11にて示した変形例は、いずれも内側突出部14eが、室内外方向一方側から他方側へ突出した突出部位の先端部であり、図5及び図7(b)〜図10に示されている凹部14hは、先端部の向かう方向と反対方向に窪む凹部である。
【0031】
また、上記実施形態では、横材の傾斜面と縦枠との間にシール材を開示させて接合する接合部を、枠部材の四隅としたが、必ずしも四隅でなく少なくとも下枠と縦枠との接合部において横材の端部に傾斜面が設けられていればよい。
【0032】
枠部材を躯体に取り付けられる枠体の縦枠及び横枠としたが、鴨居、無目、縦骨、障子の縦框及び横框でも構わない。
【0033】
また、水返し14cの内側突出部14eのみに傾斜面などを設けたがこれに限らず、内側突出部14eと鉛直部14dに設けてもよく、鉛直部14dだけに設けても良い。
【0034】
また、上記実施の形態においては、障子として、折れ戸を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、障子は、開き戸であっても構わない。
【0035】
また、建具として、浴室用の建具を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではなく、例えば、シャワー室用の建具やプール用の建具であってもよい。また、屋内外の開口部に設ける建具であってもよい。本発明は、室内と室外との間に位置するどの建具にも、適用可能である。
【0036】
なお、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施形態に係る浴室建具の概略図である。
【図2】本実施形態に係る下枠と縦枠との接合部を示す斜視図である。
【図3】下枠の斜視図である。
【図4】縦枠と下枠との接合部を示す斜視図である。図2におけるA矢視図である。
【図5】本発明に係る水返しとシール材との当接部を示す平面図である。
【図6】従来の水返しとシール材との当接部を示す平面図である。
【図7】内側突出部の端部における第1変形例を示す図である。
【図8】内側突出部の端部における第2変形例を示す図である。
【図9】内側突出部の端部における第3変形例を示す図である。
【図10】内側突出部の端部における第4変形例を示す図である。
【図11】内側突出部の端部における第5変形例を示す図である。
【図12】水返しの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
10 建具、12 枠体、14 下枠、14a 浴室側部位、
14b 脱衣室側部位、14c 水返し、14e 内側突出部、
14e 内側突出部、14f 浴室側縁、14g 傾斜面、
14h 凹部、14i 傾斜面、14k 傾斜縁部、
15 左縦枠、18 シール材
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内外に連通する開口に設けられ縦材と横材とを有する枠部材と、この枠部材に開閉自在に設けられた戸とを備えた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
縦材と横材とを有する枠部材を備えた建具としては、例えば、室内外に連通する開口に設けられた建具の縦枠と横枠とを有する枠部材を備えた建具が知られている。このような建具は、室内外の境界部分を水密に保つために、縦枠の内面に弾性を有するシート状の止水材を介して横枠である下枠の端面を突き合わせ、ねじにより締め付けて枠部材を形成している(例えば、特許文献1参照)。また、室内外一方から他方への水の移動を防ぐために、下枠には鉛直方向に立ち上がる水返しが設けられている。そして、下枠の端面は、見込み方向に沿って切断されており、弾性を有する止水部材において下枠の端面が当接された部位は押し潰されるとともに、その周囲の部位は押し潰された部位より下枠側に盛り上がっている。
【特許文献1】特開2001−132347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した枠部材のように、下枠の端面が止水部材に当接されて、止水部材が下枠の周囲で盛り上がっていると、下枠の水返しと止水部材との境界部には境界部を始点にして徐々に拡がる間隙が形成される。このような間隙に室内外方向一方側の水が浸入すると、毛細管現象により境界部の狭い間隙をつたって室内外方向他方側に浸出し易くなる。従って、下枠に鉛直方向に立ち上がった水返しが設けられていたとしても、毛管現象により水返しを越えて水が漏出する畏れがあるという課題があった。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、縦材と横材との接合部から水等が漏出しにくい枠部材を備えた建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために本発明の建具は、室内外に連通する開口に設けられ、縦材と横材とを有する枠部材と、前記枠部材に開閉自在に設けられた戸と、を備えた建具であって、前記枠部材は、前記縦材の側面に弾性を有するシール材を介して前記横材の端が当接されて接合され、前記横材は、長手方向に連続して室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位を有し、前記突出部位の先端部は、前記シール材と当接する縦枠側の端面に、当該先端部の先端縁側が前記縦枠から離間するように形成された端面側の傾斜面と、当該先端部の向かう方向と反対方向に窪む凹部を形成する端部の傾斜面と、を有し、前記横材と前記シール材とは、前記端面側の傾斜面の前記先端側の縁、及び、前記端部の傾斜面の前記先端側であって前記凹部における前記横材の端面側の縁が境界となるように当接されていることを特徴とする建具である。
【0006】
横材をシール材に当接させて縦材と接合した際には、横材によってシール材が押し潰されることで、横材とシール材との境界部にて、シール材の押し潰されていない部位(シール材における横材と当接していない部位)が、押し潰されている部位より盛り上がる。このとき、上記横材のように、端面に傾斜面を有し、端面側の傾斜面の先端側の縁が境界となるように横材がシール材に当接されている場合には、傾斜面を有していない場合と比較して、横材とシール材との境界部にてシール材の盛り上がる量が小さくなる。このため、横材の端面に傾斜面を有している場合には、傾斜面を有していない場合と比較して、シール材の盛り上がり部分と横材の室内外方向一方側の面との間に形成される間隙の角度が大きくなり、たとえシール材の盛り上がり部分と横材との間の間隙に水が到達したとしても毛管現象は生じにくい。よって、縦材と横材との接合部から水等が漏出しにくい建具を実現することが可能である。ここで、室内外方向一方側及び他方側とは、いずれも室内側又は室外側のいずれかを示しており、水平面内における室内外の境界から室内に向かう方向又は室外に向かう方向を示すものではない。
【0007】
さらに、横材は室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位を有し、当該突出部位の先端部に当該先端部の向かう方向と反対方向に窪む凹部を形成する端部の傾斜面をも有しており、端部の傾斜面の先端側の縁であって前記凹部における横材の端面側の縁も境界となるように横材がシール材に当接されているので、端部の傾斜面によりシール材の盛り上がり部分と、横材が有する突出部位の先端部における先端縁となる面との間の間隙の角度がより大きくなるため、縦材と横材との接合部から水等がより漏出しにくい建具を実現することが可能である。
【0008】
また、室内外に連通する開口に設けられ、縦材と横材とを有する枠部材と、前記枠部材に開閉自在に設けられた戸と、を備えた建具であって、前記枠部材は、前記縦材の側面に弾性を有するシール材を介して前記横材の端が当接されて接合され、前記横材は長手方向に連続して室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位を有し、前記突出部位の先端部は、前記シール材と当接する縦枠側の端面に、当該先端部の先端縁側が前記縦枠から離間するように形成された端面側の傾斜面を有し、前記横材と前記シール材とは、前記端面側の傾斜面の前記先端側の縁が境界となるように当接されていることを特徴とする建具である。
【0009】
横材をシール材に当接させて縦材と接合した際には、横材によってシール材が押し潰されることで、横材とシール材との境界部にて、シール材の押し潰されていない部位(シール材における横材と当接していない部位)が、押し潰されている部位より盛り上がる。このとき、上記横材のように、端面に傾斜面を有し、端面側の傾斜面の先端側の縁が境界となるように横材がシール材に当接されている場合には、傾斜面を有していない場合と比較して、横材とシール材との境界部にてシール材の盛り上がる量が小さくなる。このため、横材の端面に傾斜面を有している場合には、少なくとも傾斜面を有していない場合よりシール材の盛り上がり部分と横材が有する突出部位の先端部における先端縁となる面との間に形成される間隙の角度が大きくなるので、たとえシール材の盛り上がり部分と横材との間の間隙に水が到達したとしても毛管現象は生じにくい。よって、縦材と横材との接合部から水等が漏出しにくい建具を実現することが可能である。
【0010】
また、室内外に連通する開口に設けられ、縦材と横材とを有する枠部材と、前記枠部材に開閉自在に設けられた戸と、を備えた建具であって、前記枠部材は、前記縦材の側面に弾性を有するシール材を介して前記横材の端が当接されて接合され、前記横材は長手方向に連続して室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位を有し、前記突出部位の先端部は、当該先端部の向かう方向と反対方向に窪む凹部を形成する端部の傾斜面を有し、前記横材と前記シール材とは、前記端部の傾斜面の前記先端側であって前記凹部における前記横材の端面側の縁が境界となるように当接されていることを特徴とする建具である。
【0011】
横材をシール材に当接させて縦材と接合した際には、横材によってシール材が押し潰されることで、横材とシール材との境界部にて、シール材の押し潰されていない部位(シール材における横材と当接していない部位)が、押し潰されている部位より盛り上がる。このとき、上記横材のように、横材が室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位を有し、当該突出部位の先端部に当該先端部の向かう方向と反対方向に窪む凹部を形成する端部の傾斜面をも有しており、端部の傾斜面の先端側の縁であって前記凹部における横材の端面側の縁が境界となるように横材がシール材に当接されているので、端部の傾斜面によりシール材の盛り上がり部分と、横材が有する突出部位の先端部における先端縁となる面との間の間隙の角度がより大きくなる。このため、たとえシール材の盛り上がり部分と横材が有する突出部位の先端部における先端縁となる面との間の間隙に水が到達したとしても毛管現象は生じにくいので、縦材と横材との接合部から水等が漏出しにくい建具を実現することが可能である。
【0012】
かかる建具であって、前記傾斜面は、曲面で形成していることが望ましい。
このような枠部材によれば、傾斜面は曲面で形成しているので、単なる平面の傾斜面より、シール材の盛り上がり部分と傾斜面との間に形成される間隙の角度を大きくすることが可能である。このため、縦材と横材との接合部から水等がさらに漏出しにくい建具を実現することが可能である。
【0013】
かかる建具であって、前記横材は水返しを有し、前記傾斜面は、前記水返しに設けられていることが望ましい。
室内側の水の室外側への浸入を防止するために設けられる水返しに傾斜面が設けられているので、室外側への水の浸入を効果的に抑えることが可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、縦材と横材との接合部から水等が漏出しにくい枠部材と、当該枠部材に開閉自在に設けられた戸と、を備えた建具を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る枠部材及び建具について図を参照して説明する。
本実施形態に係る建具は、躯体に固定され、図1、図2に示すように浴室(浴室内ともいう)と脱衣室(浴室外ともいう)との間の開口を形成する枠部材としての枠体12と、開口を開閉自在に枠体12に設けられる戸としての折れ戸20と、を有する建具10である。
【0016】
以下の説明では、建具10を浴室内側から見たときに上下となる方向を上下方向、左右となる方向(横材の長手方向)を左右方向または見付け方向、浴室の内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。本実施形態においては、室内外方向一方側が脱衣室(浴室外)側に相当し、他方側が浴室(浴室内)側に相当する。
【0017】
枠体12は、折れ戸20の上下に位置する横材としての上枠13及び下枠14と、左右に位置する縦材としての縦枠15、16とを有している。上枠13、下枠14、左右の縦枠15、16はいずれもアルミニウム製の押出成形部材である。
【0018】
上枠13及び下枠14の見付け方向(上枠13及び下枠14の長手方向)における両端部と、縦枠15、16との間には、ブチルゴム製の弾性部材としてのシール材18が介在されており、上枠13、下枠14と縦枠15、16とは、縦枠15、16を見付け方向外側(長手方向縦枠側)から貫通するねじにて接合されている。上枠13及び下枠14の見付け方向における両端部と、縦枠15、16との接合部におけるシール構造は、いずれも同様であるため、ここでは、左縦枠15と下枠14の左側端面との接合部を例に挙げて説明する。
【0019】
下枠14は、図3に示すように、浴室側に僅かに傾斜してほぼ平坦な浴室側部位14aと、浴室側部位14aより高い上面を有する脱衣室側部位14bと、浴室側部位14aと脱衣室側部位14bとの間に設けられ脱衣室側部位14bより上方に突出されて浴室側の水の脱衣室側への浸入を防ぐための水返し14cとを有している。
【0020】
水返し14cは、浴室側部位14aの脱衣室側端と繋がって鉛直に立設された鉛直部14dと鉛直部14dの上端から浴室側に向かうように突出された内側突出部14eとを有している。本実施形態においては、浴室側へ突出している内側突出部14eが室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位に相当し、その先端が先端部に相当する。
【0021】
下枠14は、長手方向が見付け方向に沿うように配置され、縦枠15、16と、シール材18を介して接合される左右の端部は、水返し14cの内側突出部14eを除いて、いずれも見付け方向とほぼ直交するように切断されている。水返し14cの内側突出部14eの先端部には、図4に示すように、見付け方向(下枠14の長手方向)における端面に脱衣室側より浴室側が縦枠15から離間するように形成された端面側の傾斜面14gと、脱衣室(室内外方向一方側)側から浴室側(室内外方向他方側)へ突出する突出部位の先端部としての内側突出部14eの、先端側の縁としての浴室側縁14fに、内側突出部14eの向かう方向と反対方向に窪む凹部14hを形成する端部の傾斜面14iとが形成されている。本実施形態においては、端面側の傾斜面14gの室内側(室内外方向他方側)の縁と端部の傾斜面14iの室内側(室内外方向他方側)の縁であって凹部14hにおける下枠14の端面側の縁とが一致している。ここでは、端面側の傾斜面14gと端部の傾斜面14iとの一致している室内側の縁を傾斜縁部14kという。
【0022】
下枠14と縦枠15とをそれらの間にシール材18を介して接合すると、下枠14とシール材18とは、傾斜縁部14kが境界となるように当接される。そして、図5に示すように、水返し14cの内側突出部14eとシール材18との境界部のみ、内側突出部14eとシール材18とにて形成される間隙の角度θを他の部位より大きくすることが可能である。
【0023】
ここで、内側突出部14eとシール材18とにて形成される間隙の角度θを、従来の枠体と比較するために、下枠14の両端部が、見付け方向と交差する方向に沿って単に切断された場合の内側突出部30とシール材18とにて形成される間隙の角度について説明する。
【0024】
下枠14がシール材18を介して接合されると、シール材18の、下枠14に押し潰された部位の周囲が押し潰された部位より盛り上がる。このとき、従来の下枠14ように、両端部が見付け方向と交差する方向に沿って単に切断されている場合には、図6に示すように、従来の下枠14の内側突出部30とシール材18との境界部では、極めて狭い間隙が形成される。このような、狭い間隙に浴室側の水が到達すると、毛管現象により間隙に沿って水が浸入する。そして、例えば水返し14cのように鉛直に設けられている部位であっても、間隙に沿って水が上昇し水返し14cを越えて脱衣室側に水が浸入する畏れがある。
【0025】
本実施形態の枠体12は、上述したように下枠14の水返し14cの内側突出部14eの端面に、端面側の傾斜面14gと、内側突出部14eの浴室側に臨む浴室側縁14fの端部に、脱衣室側に窪む凹部14hを形成する端部の傾斜面14iとを有している。このため、縦枠15、16と下枠14とをシール材18を介して接合する際に、水返し14cの内側突出部14eの端面では端面側の傾斜面14gにてシール材18を押圧するため、内側突出部14eとシール材18との境界部に形成される間隙は、従来の下枠とシール材18との境界部より広くなる。さらに、本実施形態の下枠14には、端面側の傾斜面14gの浴室側の傾斜縁部14kから繋がって端部の傾斜面14iが設けられており、端部の傾斜面14iは、浴室側縁14fに、脱衣室側に窪む凹部14hを形成するので、内側突出部14eとシール材18との境界部に形成される間隙、すなわち、端部の傾斜面14iとシール材18との間に形成される間隙は、さらに広くなる。このため、端部の傾斜面14iとシール材18との間では毛管現象が生じないので、たとえ浴室側部位14aから鉛直部14dに水が浸入したとしても、内側突出部14eを越えないため、脱衣室側に水が浸入することを防ぐことが可能である。
【0026】
上記実施形態においては、端面側の傾斜面14gと端部の傾斜面14iとをいずれも備えた例について説明したが、図7(a)、図7(b)に示すように、いずれか一方のみを備えた形態であってもよい。また、端部の傾斜面14iの傾斜角度を図8に示すように大きくすることにより、シール材18と端部の傾斜面14iとの間に形成される間隙をより大きくすることが可能である。
【0027】
また、上記実施形態においては、端部の傾斜面14iを平面とした例について説明したが、図9(a)、図9(b)に示すように互いに角度が異なる複数の微少面が順次角度を変化させつつ繋がった傾斜面により脱衣室側に湾曲する曲面とすることにより、シール材18と端部の傾斜面14iとの間に形成される間隙をより広くすることも可能である。また、傾斜面を曲面状とすることにより、凹部14hを形成する2つの傾斜面が交わって形成される間隙をも、より広くすることが可能である。このとき、凹部を1つの曲面にて、例えば平面形状が半円となるように形成すると、水返し14cの内側突出部14eの端面、及び、内側突出部14eの浴室側に臨む浴室側縁14fの凹部のいずれにも、毛管現象が生じるような狭い間隙は形成されないため、脱衣室側への水の浸入をより確実に防止することが可能である。
【0028】
さらに、上記実施形態においては、端面側の傾斜面14gと端部の傾斜面14iとの浴室側の縁が一致する例について説明したが、図10(a)、図10(b)に示すように、端面側の傾斜面14gと端部の傾斜面14iとの浴室側の縁が離れている形態であっても、シール材18と端部の傾斜面14iとの間に形成される間隙がより大きくなるように構成されていれば構わない。
【0029】
また、図11に示すように、下枠14の端面に、脱衣室側に窪むような曲面を設け、シール材18に下枠14を曲面にて押圧してシール材18と横材との境界部分におけるシール材18の盛り上がりを小さくすることにより、シール材18と下枠14との間に形成される間隙がより大きくなるように構成しても良い。
【0030】
また、上記実施形態においては、鉛直に立設された鉛直部14dの上端からほぼ水平に浴室側に向かうように突出された内側突出部14eを、室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位として説明したが、室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位はこれに限るものではない。例えば、図12に示すように、内側突出部14eの先端に垂設された垂設部14mを有する場合には、垂設部14mが室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位の先端部に相当し、垂設部14mの端部に、先端部の向かう方向と反対方向、すなわち上方向に窪む凹部14hを形成する端部の傾斜面14iが形成される。このように、凹部14h及び端部の傾斜面14iが形成される部位は、水平方向における室内外方向一方側から他方側へ突出された部位だけで構成されたものに限定されるのではなく、室内外方向他方側へ(浴室や屋外のように水に晒される側)突出する突出部位の、様々な角度をなす方向に向かうに先端部であってもよい。図12の場合ではその突出部位の先端部としての垂設部14mに、当該垂設部14mの向かう方向と反対方向に窪む凹部14hを形成する端部の傾斜面14iが形成されている。さらに、突出部位は、複数の先端部を有してもよく、少なくともその一つの先端部において端面側の傾斜面や端部の傾斜面が形成されていてもよい。なお、上記実施形態において、図5及び図7〜図11にて示した変形例は、いずれも内側突出部14eが、室内外方向一方側から他方側へ突出した突出部位の先端部であり、図5及び図7(b)〜図10に示されている凹部14hは、先端部の向かう方向と反対方向に窪む凹部である。
【0031】
また、上記実施形態では、横材の傾斜面と縦枠との間にシール材を開示させて接合する接合部を、枠部材の四隅としたが、必ずしも四隅でなく少なくとも下枠と縦枠との接合部において横材の端部に傾斜面が設けられていればよい。
【0032】
枠部材を躯体に取り付けられる枠体の縦枠及び横枠としたが、鴨居、無目、縦骨、障子の縦框及び横框でも構わない。
【0033】
また、水返し14cの内側突出部14eのみに傾斜面などを設けたがこれに限らず、内側突出部14eと鉛直部14dに設けてもよく、鉛直部14dだけに設けても良い。
【0034】
また、上記実施の形態においては、障子として、折れ戸を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、障子は、開き戸であっても構わない。
【0035】
また、建具として、浴室用の建具を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではなく、例えば、シャワー室用の建具やプール用の建具であってもよい。また、屋内外の開口部に設ける建具であってもよい。本発明は、室内と室外との間に位置するどの建具にも、適用可能である。
【0036】
なお、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施形態に係る浴室建具の概略図である。
【図2】本実施形態に係る下枠と縦枠との接合部を示す斜視図である。
【図3】下枠の斜視図である。
【図4】縦枠と下枠との接合部を示す斜視図である。図2におけるA矢視図である。
【図5】本発明に係る水返しとシール材との当接部を示す平面図である。
【図6】従来の水返しとシール材との当接部を示す平面図である。
【図7】内側突出部の端部における第1変形例を示す図である。
【図8】内側突出部の端部における第2変形例を示す図である。
【図9】内側突出部の端部における第3変形例を示す図である。
【図10】内側突出部の端部における第4変形例を示す図である。
【図11】内側突出部の端部における第5変形例を示す図である。
【図12】水返しの変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
10 建具、12 枠体、14 下枠、14a 浴室側部位、
14b 脱衣室側部位、14c 水返し、14e 内側突出部、
14e 内側突出部、14f 浴室側縁、14g 傾斜面、
14h 凹部、14i 傾斜面、14k 傾斜縁部、
15 左縦枠、18 シール材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内外に連通する開口に設けられ、縦材と横材とを有する枠部材と、前記枠部材に開閉自在に設けられた戸と、を備えた建具であって、
前記枠部材は、前記縦材の側面に弾性を有するシール材を介して前記横材の端が当接されて接合され、
前記横材は、長手方向に連続して室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位を有し、
前記突出部位の先端部は、前記シール材と当接する縦枠側の端面に、当該先端部の先端縁側が前記縦枠から離間するように形成された端面側の傾斜面と、当該先端部の向かう方向と反対方向に窪む凹部を形成する端部の傾斜面と、を有し、
前記横材と前記シール材とは、前記端面側の傾斜面の前記先端側の縁、及び、前記端部の傾斜面の前記先端側であって前記凹部における前記横材の端面側の縁が境界となるように当接されていることを特徴とする建具。
【請求項2】
室内外に連通する開口に設けられ、縦材と横材とを有する枠部材と、前記枠部材に開閉自在に設けられた戸と、を備えた建具であって、
前記枠部材は、前記縦材の側面に弾性を有するシール材を介して前記横材の端が当接されて接合され、
前記横材は長手方向に連続して室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位を有し、
前記突出部位の先端部は、前記シール材と当接する縦枠側の端面に、当該先端部の先端縁側が前記縦枠から離間するように形成された端面側の傾斜面を有し、
前記横材と前記シール材とは、前記端面側の傾斜面の前記先端側の縁が境界となるように当接されていることを特徴とする建具。
【請求項3】
室内外に連通する開口に設けられ、縦材と横材とを有する枠部材と、前記枠部材に開閉自在に設けられた戸と、を備えた建具であって、
前記枠部材は、前記縦材の側面に弾性を有するシール材を介して前記横材の端が当接されて接合され、
前記横材は長手方向に連続して室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位を有し、
前記突出部位の先端部は、当該先端部の向かう方向と反対方向に窪む凹部を形成する端部の傾斜面を有し、
前記横材と前記シール材とは、前記端部の傾斜面の前記先端側であって前記凹部における前記横材の端面側の縁が境界となるように当接されていることを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項1または請求項3のいずれかに記載の建具であって、
前記傾斜面は、曲面で形成していることを特徴とする建具。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の建具であって、
前記横材は水返しを有し、前記傾斜面は、前記水返しに設けられていることを特徴とする建具。
【請求項1】
室内外に連通する開口に設けられ、縦材と横材とを有する枠部材と、前記枠部材に開閉自在に設けられた戸と、を備えた建具であって、
前記枠部材は、前記縦材の側面に弾性を有するシール材を介して前記横材の端が当接されて接合され、
前記横材は、長手方向に連続して室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位を有し、
前記突出部位の先端部は、前記シール材と当接する縦枠側の端面に、当該先端部の先端縁側が前記縦枠から離間するように形成された端面側の傾斜面と、当該先端部の向かう方向と反対方向に窪む凹部を形成する端部の傾斜面と、を有し、
前記横材と前記シール材とは、前記端面側の傾斜面の前記先端側の縁、及び、前記端部の傾斜面の前記先端側であって前記凹部における前記横材の端面側の縁が境界となるように当接されていることを特徴とする建具。
【請求項2】
室内外に連通する開口に設けられ、縦材と横材とを有する枠部材と、前記枠部材に開閉自在に設けられた戸と、を備えた建具であって、
前記枠部材は、前記縦材の側面に弾性を有するシール材を介して前記横材の端が当接されて接合され、
前記横材は長手方向に連続して室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位を有し、
前記突出部位の先端部は、前記シール材と当接する縦枠側の端面に、当該先端部の先端縁側が前記縦枠から離間するように形成された端面側の傾斜面を有し、
前記横材と前記シール材とは、前記端面側の傾斜面の前記先端側の縁が境界となるように当接されていることを特徴とする建具。
【請求項3】
室内外に連通する開口に設けられ、縦材と横材とを有する枠部材と、前記枠部材に開閉自在に設けられた戸と、を備えた建具であって、
前記枠部材は、前記縦材の側面に弾性を有するシール材を介して前記横材の端が当接されて接合され、
前記横材は長手方向に連続して室内外方向一方側から他方側へ突出する突出部位を有し、
前記突出部位の先端部は、当該先端部の向かう方向と反対方向に窪む凹部を形成する端部の傾斜面を有し、
前記横材と前記シール材とは、前記端部の傾斜面の前記先端側であって前記凹部における前記横材の端面側の縁が境界となるように当接されていることを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項1または請求項3のいずれかに記載の建具であって、
前記傾斜面は、曲面で形成していることを特徴とする建具。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の建具であって、
前記横材は水返しを有し、前記傾斜面は、前記水返しに設けられていることを特徴とする建具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−30352(P2009−30352A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195866(P2007−195866)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]