建具
【課題】取り付けが容易で高い風圧等にも耐え得る固定障子を備えた建具を提供する。
【解決手段】室内外を連通する開口に設けられ縦枠と横枠とが矩形状に枠組みされた枠体と、前記枠体内に固定され前記開口の一部を閉塞し縦框と横框とが矩形状に枠組みされた固定障子と、前記開口にて前記固定障子にて閉塞されていない領域を閉塞可能であり、前記枠体に沿って移動可能な移動障子と、を有し、前記縦框及び前記横框は前記固定障子の外周部に外側に向かって開放された框側溝部を有し、前記縦枠及び前記横枠は前記枠体の内周部に内側に向かって開放された枠側溝部を有し、前記固定障子は、前記縦枠の前記枠側溝部と前記縦框の前記框側溝部とに嵌合される縦嵌合部と、前記横枠の前記枠側溝部と前記横框の前記框側溝部とに嵌合される横嵌合部と、が一体に形成された鉤状嵌合部材が、前記固定障子及び前記枠体の角部に嵌合されて取り付けられている。
【解決手段】室内外を連通する開口に設けられ縦枠と横枠とが矩形状に枠組みされた枠体と、前記枠体内に固定され前記開口の一部を閉塞し縦框と横框とが矩形状に枠組みされた固定障子と、前記開口にて前記固定障子にて閉塞されていない領域を閉塞可能であり、前記枠体に沿って移動可能な移動障子と、を有し、前記縦框及び前記横框は前記固定障子の外周部に外側に向かって開放された框側溝部を有し、前記縦枠及び前記横枠は前記枠体の内周部に内側に向かって開放された枠側溝部を有し、前記固定障子は、前記縦枠の前記枠側溝部と前記縦框の前記框側溝部とに嵌合される縦嵌合部と、前記横枠の前記枠側溝部と前記横框の前記框側溝部とに嵌合される横嵌合部と、が一体に形成された鉤状嵌合部材が、前記固定障子及び前記枠体の角部に嵌合されて取り付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内外を連通する開口に設けられる枠体に固定され開口の一部を閉塞する固定障子を有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内外を連通する開口に設けられる枠体に固定され開口の一部を閉塞する固定障子を有する建具としては、外障子をサッシ枠に固定して内障子を面内方向に走行自在に建て込んだ片引きサッシが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような建具は、方形枠状に枠組みしたサッシ枠内に内障子が走行自在に装着され、外障子の上框が外上レールに取り付けられた樹脂製の取付アタッチメントにビスで固定されて取り付けられている。取付アタッチメントは、上枠の外上レールを挟むように一側片と他側片とが下端側で連結されており、一側片側から他側片側に向かって係合突片が設けられている。外上レールには、係合孔が形成されており、一側片と他側片との間に外上レールを差し込むとともに係合突片を係合孔に係合させて取付アタッチメントがサッシ枠に取り付けられる。サッシ枠に取り付けられた取付アタッチメントには、上向きコ字状をなす上框を下から上に向けて嵌合し、下方から上框の底面を貫通したビスを取付アタッチメントに螺合して連結されている。
【特許文献1】登録実用新案第2554796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような建具は、取付アタッチメントを取り付けるための係合孔を外上レール、すなわち上枠に形成するための加工が必要であり、また、取付アタッチメントの係合突片は一側片側から他側片側に突出しているため、取り付ける際には見込み方向に形成された係合孔に係合突片を位置を合わせながら嵌合しなければならず、取付が煩雑である。また、固定障子は高い風圧等を受ける場合があり、より高い風圧に耐え得る建具が求められている。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、取り付けが容易で高い風圧等にも耐え得る固定障子を備えた建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために本発明の建具は、室内外を連通する開口に設けられ縦枠と横枠とが矩形状に枠組みされた枠体と、前記枠体内に固定され前記開口の一部を閉塞し縦框と横框とが矩形状に枠組みされた固定障子と、前記開口にて前記固定障子にて閉塞されていない領域を閉塞可能であり、前記枠体に沿って移動可能な移動障子と、を有し、前記縦框及び前記横框は前記固定障子の外周部に外側に向かって開放された框側溝部を有し、前記縦枠及び前記横枠は前記枠体の内周部に内側に向かって開放された枠側溝部を有し、前記固定障子は、前記縦枠の前記枠側溝部と前記縦框の前記框側溝部とに嵌合される縦嵌合部と、前記横枠の前記枠側溝部と前記横框の前記框側溝部とに嵌合される横嵌合部と、が一体に形成された鉤状嵌合部材が、前記固定障子及び前記枠体の角部に嵌合されて取り付けられていることを特徴とする建具である。
【0006】
このような建具によれば、鉤状嵌合部材は框側溝部と枠側溝部とに嵌合されているだけなので、工具等を用いることなく固定障子を枠体に着脱することが可能である。また、枠体に取り付けられる固定障子は、縦枠の枠側溝部と縦框の框側溝部とに嵌合される縦嵌合部と、横枠の枠側溝部と横框の框側溝部とに嵌合される横嵌合部と、が一体に形成された鉤状嵌合部材が、角部に嵌合されて取り付けられている。このため、鉤状嵌合部材は、横嵌合部が横枠に嵌合されている状態で縦嵌合部は縦枠に嵌合されているので、単に横枠と横框、縦枠と縦框のみにて嵌合される部材にて取り付けられる場合より、横枠または縦枠からより離れた位置で鉤状嵌合部材の見込み方向の移動が規制される。例えば、風圧等により固定障子の框にモーメントが生じたとしても、嵌合部が外れ難い。このため、取り付けが容易で高い風圧等にも耐え得る固定障子を備えた建具を提供することが可能である。
【0007】
かかる建具であって、前記縦嵌合部は、前記縦枠の前記枠側溝部に嵌合される縦枠嵌合部と前記縦框の前記框側溝部に嵌合される縦框嵌合部とが、縦方向に並設されており、前記横嵌合部は、前記横枠の前記枠側溝部に嵌合される横枠嵌合部と前記横框の前記框側溝部に嵌合される横框嵌合部とが、横方向に並設されていることが望ましい。
嵌合する部材と嵌合される部材とを嵌合する場合には、いずれか一方を弾性変形させて嵌合させる場合があるが、弾性変形させる場合には変形する部位は支点からより離れた方が大きく変形させることができる。このため、縦嵌合部の縦枠嵌合部と縦框嵌合部とを縦方向に並設し、また、横嵌合部の横枠嵌合部と横框嵌合部とを横方向に並設することにより、それらを溝部の深さ方向に並設する場合と比較して、弾性変形させる部位の支点からの距離が長なり、嵌合しやすい鉤状嵌合部材を実現することが可能である。
【0008】
かかる建具であって、前記固定障子及び前記枠体の隣接する角部に設けられた2つの前記鉤状嵌合部材間には、前記枠側溝部と前記框側溝部とにそれぞれ嵌合されて前記枠側溝部と前記框側溝部とを連結する連結嵌合部材が設けられていることが望ましい。
このような建具によれば、固定障子は鉤状嵌合部材にて角部のみが連結されているわけではなく、隣接する角部に設けられた2つの鉤状嵌合部材間でも連結嵌合部材により連結されているので、より高い風圧等にも耐えうる固定障子を備えた建具を提供することが可能である。
【0009】
かかる建具であって、前記固定障子は、召し合わせ側にて、下枠の前記枠側溝部に嵌合されて当該下枠にビス止めされた規制部材により見付け方向へ移動が規制されていることが望ましい。
このような建具によれば、召し合わせ側にて下枠の枠側溝部に嵌合されて当該下枠にビス止めされた規制部材により、固定障子の見付け方向へ移動が規制されるので、見付け方向の移動をより確実に規制すべく固定障子を固定して取り付けることが可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、取り付けが容易で高い風圧等にも耐え得る固定障子を備えた建具を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。
本実施形態の建具1は、図1に示すような、室内外を連通する建物の開口に設けられる枠体と、枠体内に固定され開口の一部を閉塞し、面材としてのガラス3が嵌め付けられて移動しない固定障子20と、固定障子20にて閉塞されない領域を閉塞可能であり、枠体11に沿って移動可能な移動障子5とを備えた建具1を例に挙げて説明する。
【0012】
この建具1は、図2、図3に示すように、枠体11の見込み方向におけるほぼ中央より室外側の領域に固定障子20が設けられ、ほぼ中央より室内側の領域は移動障子5が移動可能な領域となっている。以下の説明においては、建具1を室外側から見たときに上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向または見付け方向、室内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、本発明の特徴的な部分は、本実施形態においては固定障子20に含まれるため、以下では、主に固定障子20について説明する。
【0013】
枠体11は、室内外を仕切る壁の開口に設けられ、押し出し成形部材である上枠12、下枠13、左右の縦枠14、15が矩形状に枠組みされて構成されている。上枠12、下枠13、左右の縦枠14、15は、いずれも同一の断面形状をなす押し出し成形部材であり、45度に切断された両端部が互いに突き合わされて接合されている。
【0014】
上枠12、下枠13、左右の縦枠14、15は、いずれも見込み方向における室内側に移動障子5の周縁部が収容される収容凹部16と、室外側に固定障子20が装着される装着部17が設けられている。そして、上枠12、下枠13、左右の縦枠14、15は、同一断面形状をなしているので、収容凹部16及び装着部17は枠体11の全周に渡って形成されている。本実施形態の建具1は、室外側から見て開口の右側が固定障子20にて閉塞され、左側が移動障子5にて開閉可能に構成されているため、移動障子5は、右の縦枠15側には移動しない。このため移動障子5の外周部が右の縦枠15の収容凹部16に収容されることはない。
【0015】
下枠13の収容凹部16には、移動障子5を案内するためのレール部材10が見付け方向の全域にわたって嵌合されている。
収容凹部16の屋外側の壁部16aをなすとともに収容凹部16と装着部17との境界となる境界壁18の屋外側に臨む面は、固定障子20を構成する框が対向して配置される框対向部17aをなしている。
装着部17は、框対向部17aと、この框対向部17aと繋がってほぼ直角をなす水平面を有する内周部としての内周面部17bとを有している。内周面部17bには、見込み方向におけるほぼ中央に見付け方向に沿って枠側溝部19が形成されている。
【0016】
枠側溝部19は、枠体11が囲む空間の内側に向かって開放された溝部であり、枠側溝部19の開放された端部には、見込み方向の幅が枠側溝部19の内部19aより狭くなるような突片19bが設けられている。すなわち、装着部17の内周面部17b側の縁に見込み方向に突出する突片19bが設けられている。
【0017】
この突片19bは、見付け方向のほぼ全域に渡って設けられているが、図4に示すように、固定障子20が取り付けられる領域の一部には突片19bが切り欠かれた切欠部19cが形成されており、この切欠部19cから後述する連結嵌合部材としての棒状嵌合部材30及び規制部材55が挿入される。このため、切欠部19cは、後述する棒状嵌合部材30及び規制部材55の長さより長く、また、幅も広く形成されている。また、枠側溝部19の底19eには、後述する棒状嵌合部材30の突起31bが挿入されて位置決めされる位置決め孔19dが形成されている。なお、上記実施形態においては、切欠部19cを棒状嵌合部材30及び規制部材55の幅よりも広く形成させる構成としたが、切欠部19cに棒状嵌合部材30及び規制部材55を回転させながら挿入する場合には、必ずしも幅が広くなくとも良い。
【0018】
下枠13の枠側溝部19の、固定障子20が取り付けられた際に当該固定障子20にて覆われない部位及び左側の縦枠(以下、左縦枠という)14の枠側溝部19には、枠側溝部19を塞ぐ閉塞部材28が設けられている。また、閉塞部材28は、上枠12の枠側溝部19の、固定障子20が取り付けられた際に当該固定障子20にて覆われない部位に設けても良い。
【0019】
また、装着部17の室外側に上枠12と下枠13とに網戸60が移動されるレール61が設けられており、同一断面形状をなす左右の縦枠14、15にも繋がっている。
【0020】
固定障子20は、面材としてのガラス3と、矩形状に枠組みされた框体20aと、框体20aとともにガラス3を挟持する押縁20bとを有している。ガラス3は、2枚のガラス板の周縁間にスペーサや封着剤を介在させて、互いに間隔を隔てて対面させた2層構造をなしている。
【0021】
框体20aは、押し出し成形部材でなる上框21、下框22、左右の縦框23、24が、45度に切断された各々の両端部が互いに突き合わされて接合されている。枠組みされた框体20aの外周部としての外周面20cには、固定障子20を枠体11に取り付けた際に枠側溝部19と対向する位置に、框体20aの外側向かって開放された框側溝部25が設けられている。
【0022】
この框側溝部25の開放された端部には、見込み方向の幅が框側溝部25の内部25aより狭くなるような突片25bが設けられている。すなわち、框体20aの外周面20c側の縁に見込み方向に突出する突片25bが設けられている。
【0023】
このような固定障子20は、ほぼ直方体状をなす成形部材である棒状嵌合部材30、及び、角部を連結するための鉤状嵌合部材50を用いて枠体11に取り付けられる。また、框側溝部25と枠側溝部19とに嵌合されるとともに、固定障子20を構成する召し合わせ框(左の縦框)23の側面23aに当接される規制部材55により固定障子20の見付け方向の移動が規制されている。
【0024】
棒状嵌合部材30は、長手方向が枠側溝部19及び框側溝部25に沿うように配置されて嵌合される。棒状嵌合部材30は、図5〜図7に示すように、枠側溝部19に収容される枠側被収容部31と框側溝部25に収容される框側被収容部33とそれらを連結する連結部35とで構成されている。そして、図2、図3に示すように、棒状嵌合部材30は、上枠12と上框21との間、下枠13と下框22との間、右の縦枠(以下、右縦枠という)15と右の縦框24との間に、それぞれ介在され、上枠12、下枠13、右縦枠15の枠側溝部19と上框21、下框22、縦框24の框側溝部25とにそれぞれ嵌合されて枠体11と框体20aとを連結し、固定障子20の見込み方向への移動を規制する。
【0025】
以下の説明では、棒状嵌合部材30が、枠側溝部19と框側溝部25とに嵌合された状態にて、室内に向かう方向を室内方向、室外に向かう方向を室外方向、枠側溝部19の底19eに向かう方向を枠体方向、框側溝部25の底に向かう方向を框体方向、見付け方向、見込み方向として方向を示す。
棒状嵌合部材30の長手方向における両端部30aは、各々先端に向かって細くなるようなテーパー状に形成されている。
【0026】
枠側被収容部31は、枠側溝部19に収容された際に、枠側溝部19側が連結部35より見込み方向に突出する突出部31cを有しており、枠側溝部19の深さ方向におけるほぼ半分の位置から底19e側に向かって見込み方向の幅が狭くなるようなテーパー状に形成されている。また、枠側被収容部31には、枠側溝部19の底19eと対向する面31aの中央に、棒状嵌合部材30を位置決めするための突起31bが設けられている。
【0027】
框側被収容部33は、長手方向にてテーパー状に形成された両端部30aを除く部位が、室内側と室外側とにそれぞれ4つの領域、すなわち合計8つの領域に区分けされ、各領域には框体方向に開放された中空部33aが形成されている。
【0028】
各中空部33aが形成されている室外側の領域の室外側の壁部33cと、室内側の領域の室内側の壁部33cとには、それぞれ長手方向の両端部にスリット33bが形成されている。各領域のスリット33b間の壁部33cは、連結部35より見込み方向に突出する突出部33dを有しており、框体方向におけるほぼ半分の位置から底25c側に向かって見込み方向の幅が狭くなるようなテーパー状に形成されている。そして、前記スリット33bは突出部33dより枠側被収容部31側まで形成されている。このため、各領域のスリット33b間の壁部33cは、弾性により中空部33aの内方に向かって屈曲可能である。このとき、棒状嵌合部材30に設けられた8つの中空部33aは、壁部33cがより大きく屈曲するように、框側被収容部33のみならず連結部35や枠側被収容部31まで繋がっていてもよい。
【0029】
鉤状嵌合部材50は、枠側溝部19に嵌合される枠側被嵌合部51と框側溝部25に収容される框側被嵌合部53とをそれぞれ備えた一対の嵌合部52がほぼ直角をなすようにほぼ直角をなす連結部54にて連結されて構成されている。一対の嵌合部52は、いずれか一方が右縦枠15の枠側溝部19と右側の縦框24の框側溝部25とに嵌合される縦嵌合部52aであり、他方が上下の横枠12、13の枠側溝部19と上下の横框21、22の框側溝部25とに嵌合される横嵌合部52bであり、縦嵌合部52aと横嵌合部52bとが一体に形成されて鉤状嵌合部材50が構成されている。なお、縦嵌合部52aと連結部54を一体に形成し、横嵌合部52bと連結部54を一体に形成して、これらの連結部同士を連結して鉤状嵌合部材50を構成しても良い。この縦嵌合部52aと横嵌合部52bとは同じ構成なので、ここでは嵌合部52として説明する。
【0030】
嵌合部52は、長手方向のほぼ中央にて2つの領域に区分けされ、先端に框側溝部25に嵌合される框側被嵌合部53が形成され、連結されている側に枠側溝部19に嵌合される枠側被嵌合部51が形成されている。ここで、右縦枠15と右側の縦框24とに嵌合される縦嵌合部52aであって、右縦枠15の枠側溝部19に嵌合される枠側被嵌合部51が縦枠嵌合部の一例であり、右側の縦框24の框側溝部25に嵌合される框側被嵌合部53が縦框嵌合部の一例である。また、上下の横枠12、13と上下の横框21、22とに嵌合される横嵌合部52bであって、上枠12及び下枠13の枠側溝部19に嵌合される枠側被嵌合部51が横枠嵌合部の一例であり、上框21及び下框22の框側溝部25に嵌合される框側被嵌合部53が横框嵌合部の一例である。
【0031】
框側被嵌合部53は、室内側と室外側との2つの領域に区分けされており、各領域には框体方向に開放された中空部53aが形成されている。各中空部53aを形成している室内側及び室外側の部位には、それぞれ長手方向の両端部にスリット53bが形成されている。各領域のスリット53b間の壁部53cは、枠側溝部19に収容される部位53dより見込み方向に突出する突出部53eを有しており、框側溝部25の深さ方向におけるほぼ半分の位置から框側溝部25の底25c側に向かって見込み方向の幅が狭くなるようなテーパー状に形成されている。前記スリット53bは突出部53eより枠体11に収容される側の端近傍まで形成されている。このため、各領域のスリット53b間の壁部53cは、弾性により中空部53aの内方に向かって屈曲可能である。また、框側被嵌合部53は、長手方向における先端側のほぼ半分は、先端に向かって細くなるようにテーパー状に形成されている。
【0032】
框側被嵌合部53より連結部54側に設けられている枠側被嵌合部51も、室内側と室外側との2つの領域に区分けされており、各領域には枠体方向に開放された中空部51aが形成されている。各中空部51aを形成している室内側及び室外側の部位には、それぞれ長手方向の両端部にスリット51bが形成されている。各領域のスリット51b間の壁部51cは、框側溝部25に収容される部位51dより見込み方向に突出する突出部51eを有しており、枠側溝部19の深さ方向におけるほぼ半分の位置から枠側溝部19の底19e側に向かって見込み方向の幅が狭くなるようなテーパー状に形成されている。そして、前記スリット51bは突出部51eより框体20aに収容される側の端近傍まで形成されている。このため、各領域のスリット51b間の壁部51cは、弾性により中空部51aの内方に向かって屈曲可能である。
【0033】
規制部材55は、棒状嵌合部材30における長手方向のほぼ半分の部位でなり、框側溝部25と枠側溝部19とに嵌合される本体嵌合部56と、本体嵌合部56の長手方向における一方の端部の框側溝部25側に突出されて召し合わせ框23の側面に当接される規制部57と、を有している。本体嵌合部56は、棒状嵌合部材30を見込み方向に沿って切断した切断面の外周部の輪郭とほぼ同様の輪郭を有する中実の部材である。すなわち、規制部材55には、棒状嵌合部材30のような中空部は設けられていない。
【0034】
本体嵌合部56は、規制部57が設けられている側の端部に、規制部材55を枠体11に、枠体11の内側から外側に向かって斜めに進入するビスにて固定するための固定用貫通孔58が形成されている。また、規制部57が設けられていない側の端部には、室内側から室外側に向かい、かつ、枠体11の内側から外側に向かって斜めに進入するビスが枠体11と框体20aと螺合し、規制部材55を貫通して規制部材55の見付け方向の移動を規制するための規制用貫通孔59が形成されている。
【0035】
規制部57は、召し合わせ框23の側面23aに当接される部位57aから召し合わせ框23側に突出され、召し合わせ框23に形成された孔(不図示)に挿入されるピン57bが突設されている。また、規制部57のピン57bが設けられていない側の部位には、規制部材55を固定するためのビスを隠すためのカバー部材70が係止される係止部57cが設けられている。
【0036】
本実施形態の建具1は、以下のように取り付けられる。
まず、枠体11を躯体に取り付け、枠体11の角部、すなわち、固定障子20が取り付けられる側の縦枠(ここでは右縦枠)15と上枠12及び下枠13の枠側溝部19に、図13(a)に示すように鉤状嵌合部材50を嵌合する。このとき、鉤状嵌合部材50は、上枠12または下枠13の枠側溝部19に嵌合した後、上枠12または下枠13に沿ってスライドさせて右縦枠15に嵌合しても、右縦枠15に嵌合させた後、右縦枠15に沿ってスライドさせて上枠12または下枠13に嵌合しても、いずれの手順であってもよく、また、右縦枠15と上枠12または下枠13の枠側溝部19に一挙に嵌合してもよい。
【0037】
次に、右縦枠15に棒状嵌合部材30を右縦枠15に設けられた切欠部19cから枠側溝部19に挿入し、右縦枠15に沿ってスライドさせ位置決め孔19dに挿入して配置する。
【0038】
次に、規制部材55を上枠12または下枠13の切欠部19cから枠側溝部19に挿入し、上枠12または下枠13に沿ってスライドさせて左縦枠14側に仮配置し、棒状嵌合部材30を上枠12及び下枠13に設けられた切欠部19cから枠側溝部19に挿入し、上枠12及び下枠13に沿ってスライドさせ位置決め孔19dに挿入して配置する。
【0039】
その後、図13(b)に示すように、固定障子20を、枠体11の内側であって既に上枠12及び下枠13に配置された棒状嵌合部材30と、上枠12及び下枠13とに仮配置された規制部材55との間から本来固定障子20が配置されるべき位置に移動させることにより、固定障子20の框側溝部25に、上枠12、下枠13、右縦枠15に配置された棒状嵌合部材30及び枠体11の角部に配置された鉤状嵌合部材50を嵌合させる。この状態で、固定障子20は枠体11に保持される。
【0040】
そして、図13(c)に示すように、予め仮配置しておいた規制部材55を、上枠12及び下枠13に沿ってスライドさせ、規制部材55が有する本体嵌合部56を框側溝部25に嵌合させるとともに、規制部57を召し合わせ框23の左側の側面に当接させピン57bを召し合わせ框の孔に挿入させる。その後、規制部材55の固定用貫通孔58にビスを斜めに貫通させ上枠12及び下枠13に螺合して規制部材55を固定する。ビスにて規制部材55を固定した後に、図13(d)に示すように、規制部材55の左側の面を覆うようなカバー部材70を、規制部材55の係止部57cに係合することにより、ビス及び固定用貫通孔58を覆い隠す。
【0041】
その後に、室内側から枠体11と框体20aとを規制部材55と重なる位置でビスにて斜めに螺合する。このビスは枠体11側から挿入されて移動規制部材55に至る位置より十分に長いため、框体20aを貫通して規制部材55の規制用貫通孔59をも貫通して枠体11に螺合される。これにより、規制部材55を固定しているビスが外されたとしても、規制部材55の見付け方向への移動は規制されている。最後に、固定障子20より室内側の領域に移動障子5を配置する。
【0042】
本実施形態の建具1によれば、鉤状嵌合部材50は框側溝部25と枠側溝部19とに嵌合されているだけなので、工具等を用いることなく固定障子20を枠体11に着脱することが可能である。また、枠体11に取り付けられる固定障子20は、右縦枠15の枠側溝部19と右側の縦框24の框側溝部25とに嵌合される縦嵌合部52aと、上下の横枠12、13の枠側溝部19と上下の横框21、22の框側溝部25とに嵌合される横嵌合部52bと、が一体に形成された鉤状嵌合部材50が、角部に嵌合されて取り付けられている。このため、鉤状嵌合部材50は、横嵌合部52bが上下の横枠12、13に嵌合されている状態で縦嵌合部52aは右縦枠15に嵌合されているので、単に上枠12または下枠13と上框21または下框22、右縦枠15と右側の縦框24のみにて嵌合される部材にて取り付けられる場合より、上枠12、下枠13または右縦枠15からより離れた位置で鉤状嵌合部材50の見込み方向の移動が規制される。例えば、風圧等により固定障子20の中央側が見込み方向に押圧されて框体20aが湾曲するようなモーメントが生じたとしても、縦嵌合部52aは右縦枠15及び右の縦框24から、また、横嵌合部52bは上下の横枠12、13及び上下の右の横框21、22から外れ難い。このため、取り付けが容易で高い風圧等にも耐え得る固定障子20を備えた建具1を提供することが可能である。
【0043】
本実施形態の鉤状嵌合部材50の嵌合部52を枠側溝部19及び框側溝部25に嵌合する場合に、嵌合部52の壁部51c、53cを中空部51a、53aの内側に入り込むように弾性変形させて、見込み方向に並ぶ突出部51e、53eの幅が、枠側溝部19及び框側溝部25の突片19b、25bの間隔より狭くする。このとき、弾性変形する壁部51c、53cの突出部51e、53eと弾性変形の支点部分との距離が大きい方が弾性変形の変位量が大きくなる。弾性変形の変位量が大きい場合には、突出部51e、53eと突片19b、25bとの嵌合量を大きくしつつ、容易に嵌合することが可能となり、より強固に固定障子20を枠体11に保持することが可能で、かつ、取り付け易い建具1を提供することが可能となる。このため、枠側被嵌合部51と框側被嵌合部53とを縦嵌合部52aの縦方向及び横嵌合部52bの横方向に並設したことにより、枠側被嵌合部51は、框側溝部25内に設けられた支点から壁部51cを弾性変形させて突出部51eを枠側溝部19内にて大きく変位させることが可能であり、框側被嵌合部53は、枠側溝部19内に設けられた支点から壁部53cを弾性変形させて突出部53eを框側溝部25内にて大きく変位させることが可能である。よって、枠側被嵌合部51と框側被嵌合部53とを縦嵌合部52aの縦方向及び横嵌合部52bの横方向に並設したことにより、より強固に固定障子20を枠体11に保持することが可能であり、かつ、取り付け易い。
【0044】
また、本実施形態の建具1は、固定障子20が、鉤状嵌合部材50にて角部のみが連結されているわけではなく、隣接する角部に設けられた2つの鉤状嵌合部材50間、すなわち、右縦枠15と右の縦框24とが、上下方向の中央付近にて棒状嵌合部材30にて嵌合されているので、より高い風圧等にも耐えうる固定障子20を備えた建具1を提供することが可能である。
【0045】
また、固定障子20は、召し合わせ側にて下枠13の枠側溝部19に嵌合されて当該下枠13にビス止めされた規制部材55により、固定障子20の見付け方向へ移動が規制されるので、見付け方向の移動をより確実に規制すべく固定障子20を固定して取り付けることが可能である。
【0046】
上記実施形態においては、移動障子5が左右方向に移動可能な片引き窓用の建具を例に挙げて説明したが、図14に示すような開口枠内を移動障子が垂直方向に移動可能に設けられた上げ下げ窓であっても構わない。この場合には、固定障子20は、上枠12及び左右の縦枠14、15に嵌合された棒状嵌合部材30及び鉤状嵌合部材50と框体20aとが嵌合され、固定障子20の下端側に規制部材55が固定されている。
【0047】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態に係る建具を室外側からみた外観図である。
【図2】本実施形態に係る建具の平断面図である。
【図3】本実施形態に係る建具の縦断面図である。
【図4】枠体の内周部を示す平面図である。
【図5】棒状嵌合部材を示す斜視図である。
【図6】棒状嵌合部材の正面図である。
【図7】棒状嵌合部材と枠体及び固定障子との嵌合状態を説明するための図である。
【図8】鉤状嵌合部材の正面図である。
【図9】鉤状嵌合部材の側面図である。
【図10】鉤状嵌合部材と枠体及び固定障子との嵌合状態を説明するための図である。
【図11】規制部材を示す斜視図である。
【図12】規制部材を規制用貫通孔の貫通方向から見た図である。
【図13】建具の取付方法を説明するための図である。
【図14】上げ下げ窓を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 建具、5 移動障子、11 枠体、12 上枠、13 下枠、14 左縦枠、
15 右縦枠、17b 内周面部、19 枠側溝部、20 固定障子、20a 框体、
20c 外周面、21 上框、22 下框、23 召し合わせ框(縦框)、
24 右側の縦框、25 框側溝部、30 棒状嵌合部材、50 鉤状嵌合部材、
51 枠側被嵌合部、52 嵌合部、52a縦嵌合部、52b 横嵌合部、
53 框側被嵌合部、54 連結部、55 規制部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内外を連通する開口に設けられる枠体に固定され開口の一部を閉塞する固定障子を有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内外を連通する開口に設けられる枠体に固定され開口の一部を閉塞する固定障子を有する建具としては、外障子をサッシ枠に固定して内障子を面内方向に走行自在に建て込んだ片引きサッシが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような建具は、方形枠状に枠組みしたサッシ枠内に内障子が走行自在に装着され、外障子の上框が外上レールに取り付けられた樹脂製の取付アタッチメントにビスで固定されて取り付けられている。取付アタッチメントは、上枠の外上レールを挟むように一側片と他側片とが下端側で連結されており、一側片側から他側片側に向かって係合突片が設けられている。外上レールには、係合孔が形成されており、一側片と他側片との間に外上レールを差し込むとともに係合突片を係合孔に係合させて取付アタッチメントがサッシ枠に取り付けられる。サッシ枠に取り付けられた取付アタッチメントには、上向きコ字状をなす上框を下から上に向けて嵌合し、下方から上框の底面を貫通したビスを取付アタッチメントに螺合して連結されている。
【特許文献1】登録実用新案第2554796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような建具は、取付アタッチメントを取り付けるための係合孔を外上レール、すなわち上枠に形成するための加工が必要であり、また、取付アタッチメントの係合突片は一側片側から他側片側に突出しているため、取り付ける際には見込み方向に形成された係合孔に係合突片を位置を合わせながら嵌合しなければならず、取付が煩雑である。また、固定障子は高い風圧等を受ける場合があり、より高い風圧に耐え得る建具が求められている。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、取り付けが容易で高い風圧等にも耐え得る固定障子を備えた建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために本発明の建具は、室内外を連通する開口に設けられ縦枠と横枠とが矩形状に枠組みされた枠体と、前記枠体内に固定され前記開口の一部を閉塞し縦框と横框とが矩形状に枠組みされた固定障子と、前記開口にて前記固定障子にて閉塞されていない領域を閉塞可能であり、前記枠体に沿って移動可能な移動障子と、を有し、前記縦框及び前記横框は前記固定障子の外周部に外側に向かって開放された框側溝部を有し、前記縦枠及び前記横枠は前記枠体の内周部に内側に向かって開放された枠側溝部を有し、前記固定障子は、前記縦枠の前記枠側溝部と前記縦框の前記框側溝部とに嵌合される縦嵌合部と、前記横枠の前記枠側溝部と前記横框の前記框側溝部とに嵌合される横嵌合部と、が一体に形成された鉤状嵌合部材が、前記固定障子及び前記枠体の角部に嵌合されて取り付けられていることを特徴とする建具である。
【0006】
このような建具によれば、鉤状嵌合部材は框側溝部と枠側溝部とに嵌合されているだけなので、工具等を用いることなく固定障子を枠体に着脱することが可能である。また、枠体に取り付けられる固定障子は、縦枠の枠側溝部と縦框の框側溝部とに嵌合される縦嵌合部と、横枠の枠側溝部と横框の框側溝部とに嵌合される横嵌合部と、が一体に形成された鉤状嵌合部材が、角部に嵌合されて取り付けられている。このため、鉤状嵌合部材は、横嵌合部が横枠に嵌合されている状態で縦嵌合部は縦枠に嵌合されているので、単に横枠と横框、縦枠と縦框のみにて嵌合される部材にて取り付けられる場合より、横枠または縦枠からより離れた位置で鉤状嵌合部材の見込み方向の移動が規制される。例えば、風圧等により固定障子の框にモーメントが生じたとしても、嵌合部が外れ難い。このため、取り付けが容易で高い風圧等にも耐え得る固定障子を備えた建具を提供することが可能である。
【0007】
かかる建具であって、前記縦嵌合部は、前記縦枠の前記枠側溝部に嵌合される縦枠嵌合部と前記縦框の前記框側溝部に嵌合される縦框嵌合部とが、縦方向に並設されており、前記横嵌合部は、前記横枠の前記枠側溝部に嵌合される横枠嵌合部と前記横框の前記框側溝部に嵌合される横框嵌合部とが、横方向に並設されていることが望ましい。
嵌合する部材と嵌合される部材とを嵌合する場合には、いずれか一方を弾性変形させて嵌合させる場合があるが、弾性変形させる場合には変形する部位は支点からより離れた方が大きく変形させることができる。このため、縦嵌合部の縦枠嵌合部と縦框嵌合部とを縦方向に並設し、また、横嵌合部の横枠嵌合部と横框嵌合部とを横方向に並設することにより、それらを溝部の深さ方向に並設する場合と比較して、弾性変形させる部位の支点からの距離が長なり、嵌合しやすい鉤状嵌合部材を実現することが可能である。
【0008】
かかる建具であって、前記固定障子及び前記枠体の隣接する角部に設けられた2つの前記鉤状嵌合部材間には、前記枠側溝部と前記框側溝部とにそれぞれ嵌合されて前記枠側溝部と前記框側溝部とを連結する連結嵌合部材が設けられていることが望ましい。
このような建具によれば、固定障子は鉤状嵌合部材にて角部のみが連結されているわけではなく、隣接する角部に設けられた2つの鉤状嵌合部材間でも連結嵌合部材により連結されているので、より高い風圧等にも耐えうる固定障子を備えた建具を提供することが可能である。
【0009】
かかる建具であって、前記固定障子は、召し合わせ側にて、下枠の前記枠側溝部に嵌合されて当該下枠にビス止めされた規制部材により見付け方向へ移動が規制されていることが望ましい。
このような建具によれば、召し合わせ側にて下枠の枠側溝部に嵌合されて当該下枠にビス止めされた規制部材により、固定障子の見付け方向へ移動が規制されるので、見付け方向の移動をより確実に規制すべく固定障子を固定して取り付けることが可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、取り付けが容易で高い風圧等にも耐え得る固定障子を備えた建具を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。
本実施形態の建具1は、図1に示すような、室内外を連通する建物の開口に設けられる枠体と、枠体内に固定され開口の一部を閉塞し、面材としてのガラス3が嵌め付けられて移動しない固定障子20と、固定障子20にて閉塞されない領域を閉塞可能であり、枠体11に沿って移動可能な移動障子5とを備えた建具1を例に挙げて説明する。
【0012】
この建具1は、図2、図3に示すように、枠体11の見込み方向におけるほぼ中央より室外側の領域に固定障子20が設けられ、ほぼ中央より室内側の領域は移動障子5が移動可能な領域となっている。以下の説明においては、建具1を室外側から見たときに上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向または見付け方向、室内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、本発明の特徴的な部分は、本実施形態においては固定障子20に含まれるため、以下では、主に固定障子20について説明する。
【0013】
枠体11は、室内外を仕切る壁の開口に設けられ、押し出し成形部材である上枠12、下枠13、左右の縦枠14、15が矩形状に枠組みされて構成されている。上枠12、下枠13、左右の縦枠14、15は、いずれも同一の断面形状をなす押し出し成形部材であり、45度に切断された両端部が互いに突き合わされて接合されている。
【0014】
上枠12、下枠13、左右の縦枠14、15は、いずれも見込み方向における室内側に移動障子5の周縁部が収容される収容凹部16と、室外側に固定障子20が装着される装着部17が設けられている。そして、上枠12、下枠13、左右の縦枠14、15は、同一断面形状をなしているので、収容凹部16及び装着部17は枠体11の全周に渡って形成されている。本実施形態の建具1は、室外側から見て開口の右側が固定障子20にて閉塞され、左側が移動障子5にて開閉可能に構成されているため、移動障子5は、右の縦枠15側には移動しない。このため移動障子5の外周部が右の縦枠15の収容凹部16に収容されることはない。
【0015】
下枠13の収容凹部16には、移動障子5を案内するためのレール部材10が見付け方向の全域にわたって嵌合されている。
収容凹部16の屋外側の壁部16aをなすとともに収容凹部16と装着部17との境界となる境界壁18の屋外側に臨む面は、固定障子20を構成する框が対向して配置される框対向部17aをなしている。
装着部17は、框対向部17aと、この框対向部17aと繋がってほぼ直角をなす水平面を有する内周部としての内周面部17bとを有している。内周面部17bには、見込み方向におけるほぼ中央に見付け方向に沿って枠側溝部19が形成されている。
【0016】
枠側溝部19は、枠体11が囲む空間の内側に向かって開放された溝部であり、枠側溝部19の開放された端部には、見込み方向の幅が枠側溝部19の内部19aより狭くなるような突片19bが設けられている。すなわち、装着部17の内周面部17b側の縁に見込み方向に突出する突片19bが設けられている。
【0017】
この突片19bは、見付け方向のほぼ全域に渡って設けられているが、図4に示すように、固定障子20が取り付けられる領域の一部には突片19bが切り欠かれた切欠部19cが形成されており、この切欠部19cから後述する連結嵌合部材としての棒状嵌合部材30及び規制部材55が挿入される。このため、切欠部19cは、後述する棒状嵌合部材30及び規制部材55の長さより長く、また、幅も広く形成されている。また、枠側溝部19の底19eには、後述する棒状嵌合部材30の突起31bが挿入されて位置決めされる位置決め孔19dが形成されている。なお、上記実施形態においては、切欠部19cを棒状嵌合部材30及び規制部材55の幅よりも広く形成させる構成としたが、切欠部19cに棒状嵌合部材30及び規制部材55を回転させながら挿入する場合には、必ずしも幅が広くなくとも良い。
【0018】
下枠13の枠側溝部19の、固定障子20が取り付けられた際に当該固定障子20にて覆われない部位及び左側の縦枠(以下、左縦枠という)14の枠側溝部19には、枠側溝部19を塞ぐ閉塞部材28が設けられている。また、閉塞部材28は、上枠12の枠側溝部19の、固定障子20が取り付けられた際に当該固定障子20にて覆われない部位に設けても良い。
【0019】
また、装着部17の室外側に上枠12と下枠13とに網戸60が移動されるレール61が設けられており、同一断面形状をなす左右の縦枠14、15にも繋がっている。
【0020】
固定障子20は、面材としてのガラス3と、矩形状に枠組みされた框体20aと、框体20aとともにガラス3を挟持する押縁20bとを有している。ガラス3は、2枚のガラス板の周縁間にスペーサや封着剤を介在させて、互いに間隔を隔てて対面させた2層構造をなしている。
【0021】
框体20aは、押し出し成形部材でなる上框21、下框22、左右の縦框23、24が、45度に切断された各々の両端部が互いに突き合わされて接合されている。枠組みされた框体20aの外周部としての外周面20cには、固定障子20を枠体11に取り付けた際に枠側溝部19と対向する位置に、框体20aの外側向かって開放された框側溝部25が設けられている。
【0022】
この框側溝部25の開放された端部には、見込み方向の幅が框側溝部25の内部25aより狭くなるような突片25bが設けられている。すなわち、框体20aの外周面20c側の縁に見込み方向に突出する突片25bが設けられている。
【0023】
このような固定障子20は、ほぼ直方体状をなす成形部材である棒状嵌合部材30、及び、角部を連結するための鉤状嵌合部材50を用いて枠体11に取り付けられる。また、框側溝部25と枠側溝部19とに嵌合されるとともに、固定障子20を構成する召し合わせ框(左の縦框)23の側面23aに当接される規制部材55により固定障子20の見付け方向の移動が規制されている。
【0024】
棒状嵌合部材30は、長手方向が枠側溝部19及び框側溝部25に沿うように配置されて嵌合される。棒状嵌合部材30は、図5〜図7に示すように、枠側溝部19に収容される枠側被収容部31と框側溝部25に収容される框側被収容部33とそれらを連結する連結部35とで構成されている。そして、図2、図3に示すように、棒状嵌合部材30は、上枠12と上框21との間、下枠13と下框22との間、右の縦枠(以下、右縦枠という)15と右の縦框24との間に、それぞれ介在され、上枠12、下枠13、右縦枠15の枠側溝部19と上框21、下框22、縦框24の框側溝部25とにそれぞれ嵌合されて枠体11と框体20aとを連結し、固定障子20の見込み方向への移動を規制する。
【0025】
以下の説明では、棒状嵌合部材30が、枠側溝部19と框側溝部25とに嵌合された状態にて、室内に向かう方向を室内方向、室外に向かう方向を室外方向、枠側溝部19の底19eに向かう方向を枠体方向、框側溝部25の底に向かう方向を框体方向、見付け方向、見込み方向として方向を示す。
棒状嵌合部材30の長手方向における両端部30aは、各々先端に向かって細くなるようなテーパー状に形成されている。
【0026】
枠側被収容部31は、枠側溝部19に収容された際に、枠側溝部19側が連結部35より見込み方向に突出する突出部31cを有しており、枠側溝部19の深さ方向におけるほぼ半分の位置から底19e側に向かって見込み方向の幅が狭くなるようなテーパー状に形成されている。また、枠側被収容部31には、枠側溝部19の底19eと対向する面31aの中央に、棒状嵌合部材30を位置決めするための突起31bが設けられている。
【0027】
框側被収容部33は、長手方向にてテーパー状に形成された両端部30aを除く部位が、室内側と室外側とにそれぞれ4つの領域、すなわち合計8つの領域に区分けされ、各領域には框体方向に開放された中空部33aが形成されている。
【0028】
各中空部33aが形成されている室外側の領域の室外側の壁部33cと、室内側の領域の室内側の壁部33cとには、それぞれ長手方向の両端部にスリット33bが形成されている。各領域のスリット33b間の壁部33cは、連結部35より見込み方向に突出する突出部33dを有しており、框体方向におけるほぼ半分の位置から底25c側に向かって見込み方向の幅が狭くなるようなテーパー状に形成されている。そして、前記スリット33bは突出部33dより枠側被収容部31側まで形成されている。このため、各領域のスリット33b間の壁部33cは、弾性により中空部33aの内方に向かって屈曲可能である。このとき、棒状嵌合部材30に設けられた8つの中空部33aは、壁部33cがより大きく屈曲するように、框側被収容部33のみならず連結部35や枠側被収容部31まで繋がっていてもよい。
【0029】
鉤状嵌合部材50は、枠側溝部19に嵌合される枠側被嵌合部51と框側溝部25に収容される框側被嵌合部53とをそれぞれ備えた一対の嵌合部52がほぼ直角をなすようにほぼ直角をなす連結部54にて連結されて構成されている。一対の嵌合部52は、いずれか一方が右縦枠15の枠側溝部19と右側の縦框24の框側溝部25とに嵌合される縦嵌合部52aであり、他方が上下の横枠12、13の枠側溝部19と上下の横框21、22の框側溝部25とに嵌合される横嵌合部52bであり、縦嵌合部52aと横嵌合部52bとが一体に形成されて鉤状嵌合部材50が構成されている。なお、縦嵌合部52aと連結部54を一体に形成し、横嵌合部52bと連結部54を一体に形成して、これらの連結部同士を連結して鉤状嵌合部材50を構成しても良い。この縦嵌合部52aと横嵌合部52bとは同じ構成なので、ここでは嵌合部52として説明する。
【0030】
嵌合部52は、長手方向のほぼ中央にて2つの領域に区分けされ、先端に框側溝部25に嵌合される框側被嵌合部53が形成され、連結されている側に枠側溝部19に嵌合される枠側被嵌合部51が形成されている。ここで、右縦枠15と右側の縦框24とに嵌合される縦嵌合部52aであって、右縦枠15の枠側溝部19に嵌合される枠側被嵌合部51が縦枠嵌合部の一例であり、右側の縦框24の框側溝部25に嵌合される框側被嵌合部53が縦框嵌合部の一例である。また、上下の横枠12、13と上下の横框21、22とに嵌合される横嵌合部52bであって、上枠12及び下枠13の枠側溝部19に嵌合される枠側被嵌合部51が横枠嵌合部の一例であり、上框21及び下框22の框側溝部25に嵌合される框側被嵌合部53が横框嵌合部の一例である。
【0031】
框側被嵌合部53は、室内側と室外側との2つの領域に区分けされており、各領域には框体方向に開放された中空部53aが形成されている。各中空部53aを形成している室内側及び室外側の部位には、それぞれ長手方向の両端部にスリット53bが形成されている。各領域のスリット53b間の壁部53cは、枠側溝部19に収容される部位53dより見込み方向に突出する突出部53eを有しており、框側溝部25の深さ方向におけるほぼ半分の位置から框側溝部25の底25c側に向かって見込み方向の幅が狭くなるようなテーパー状に形成されている。前記スリット53bは突出部53eより枠体11に収容される側の端近傍まで形成されている。このため、各領域のスリット53b間の壁部53cは、弾性により中空部53aの内方に向かって屈曲可能である。また、框側被嵌合部53は、長手方向における先端側のほぼ半分は、先端に向かって細くなるようにテーパー状に形成されている。
【0032】
框側被嵌合部53より連結部54側に設けられている枠側被嵌合部51も、室内側と室外側との2つの領域に区分けされており、各領域には枠体方向に開放された中空部51aが形成されている。各中空部51aを形成している室内側及び室外側の部位には、それぞれ長手方向の両端部にスリット51bが形成されている。各領域のスリット51b間の壁部51cは、框側溝部25に収容される部位51dより見込み方向に突出する突出部51eを有しており、枠側溝部19の深さ方向におけるほぼ半分の位置から枠側溝部19の底19e側に向かって見込み方向の幅が狭くなるようなテーパー状に形成されている。そして、前記スリット51bは突出部51eより框体20aに収容される側の端近傍まで形成されている。このため、各領域のスリット51b間の壁部51cは、弾性により中空部51aの内方に向かって屈曲可能である。
【0033】
規制部材55は、棒状嵌合部材30における長手方向のほぼ半分の部位でなり、框側溝部25と枠側溝部19とに嵌合される本体嵌合部56と、本体嵌合部56の長手方向における一方の端部の框側溝部25側に突出されて召し合わせ框23の側面に当接される規制部57と、を有している。本体嵌合部56は、棒状嵌合部材30を見込み方向に沿って切断した切断面の外周部の輪郭とほぼ同様の輪郭を有する中実の部材である。すなわち、規制部材55には、棒状嵌合部材30のような中空部は設けられていない。
【0034】
本体嵌合部56は、規制部57が設けられている側の端部に、規制部材55を枠体11に、枠体11の内側から外側に向かって斜めに進入するビスにて固定するための固定用貫通孔58が形成されている。また、規制部57が設けられていない側の端部には、室内側から室外側に向かい、かつ、枠体11の内側から外側に向かって斜めに進入するビスが枠体11と框体20aと螺合し、規制部材55を貫通して規制部材55の見付け方向の移動を規制するための規制用貫通孔59が形成されている。
【0035】
規制部57は、召し合わせ框23の側面23aに当接される部位57aから召し合わせ框23側に突出され、召し合わせ框23に形成された孔(不図示)に挿入されるピン57bが突設されている。また、規制部57のピン57bが設けられていない側の部位には、規制部材55を固定するためのビスを隠すためのカバー部材70が係止される係止部57cが設けられている。
【0036】
本実施形態の建具1は、以下のように取り付けられる。
まず、枠体11を躯体に取り付け、枠体11の角部、すなわち、固定障子20が取り付けられる側の縦枠(ここでは右縦枠)15と上枠12及び下枠13の枠側溝部19に、図13(a)に示すように鉤状嵌合部材50を嵌合する。このとき、鉤状嵌合部材50は、上枠12または下枠13の枠側溝部19に嵌合した後、上枠12または下枠13に沿ってスライドさせて右縦枠15に嵌合しても、右縦枠15に嵌合させた後、右縦枠15に沿ってスライドさせて上枠12または下枠13に嵌合しても、いずれの手順であってもよく、また、右縦枠15と上枠12または下枠13の枠側溝部19に一挙に嵌合してもよい。
【0037】
次に、右縦枠15に棒状嵌合部材30を右縦枠15に設けられた切欠部19cから枠側溝部19に挿入し、右縦枠15に沿ってスライドさせ位置決め孔19dに挿入して配置する。
【0038】
次に、規制部材55を上枠12または下枠13の切欠部19cから枠側溝部19に挿入し、上枠12または下枠13に沿ってスライドさせて左縦枠14側に仮配置し、棒状嵌合部材30を上枠12及び下枠13に設けられた切欠部19cから枠側溝部19に挿入し、上枠12及び下枠13に沿ってスライドさせ位置決め孔19dに挿入して配置する。
【0039】
その後、図13(b)に示すように、固定障子20を、枠体11の内側であって既に上枠12及び下枠13に配置された棒状嵌合部材30と、上枠12及び下枠13とに仮配置された規制部材55との間から本来固定障子20が配置されるべき位置に移動させることにより、固定障子20の框側溝部25に、上枠12、下枠13、右縦枠15に配置された棒状嵌合部材30及び枠体11の角部に配置された鉤状嵌合部材50を嵌合させる。この状態で、固定障子20は枠体11に保持される。
【0040】
そして、図13(c)に示すように、予め仮配置しておいた規制部材55を、上枠12及び下枠13に沿ってスライドさせ、規制部材55が有する本体嵌合部56を框側溝部25に嵌合させるとともに、規制部57を召し合わせ框23の左側の側面に当接させピン57bを召し合わせ框の孔に挿入させる。その後、規制部材55の固定用貫通孔58にビスを斜めに貫通させ上枠12及び下枠13に螺合して規制部材55を固定する。ビスにて規制部材55を固定した後に、図13(d)に示すように、規制部材55の左側の面を覆うようなカバー部材70を、規制部材55の係止部57cに係合することにより、ビス及び固定用貫通孔58を覆い隠す。
【0041】
その後に、室内側から枠体11と框体20aとを規制部材55と重なる位置でビスにて斜めに螺合する。このビスは枠体11側から挿入されて移動規制部材55に至る位置より十分に長いため、框体20aを貫通して規制部材55の規制用貫通孔59をも貫通して枠体11に螺合される。これにより、規制部材55を固定しているビスが外されたとしても、規制部材55の見付け方向への移動は規制されている。最後に、固定障子20より室内側の領域に移動障子5を配置する。
【0042】
本実施形態の建具1によれば、鉤状嵌合部材50は框側溝部25と枠側溝部19とに嵌合されているだけなので、工具等を用いることなく固定障子20を枠体11に着脱することが可能である。また、枠体11に取り付けられる固定障子20は、右縦枠15の枠側溝部19と右側の縦框24の框側溝部25とに嵌合される縦嵌合部52aと、上下の横枠12、13の枠側溝部19と上下の横框21、22の框側溝部25とに嵌合される横嵌合部52bと、が一体に形成された鉤状嵌合部材50が、角部に嵌合されて取り付けられている。このため、鉤状嵌合部材50は、横嵌合部52bが上下の横枠12、13に嵌合されている状態で縦嵌合部52aは右縦枠15に嵌合されているので、単に上枠12または下枠13と上框21または下框22、右縦枠15と右側の縦框24のみにて嵌合される部材にて取り付けられる場合より、上枠12、下枠13または右縦枠15からより離れた位置で鉤状嵌合部材50の見込み方向の移動が規制される。例えば、風圧等により固定障子20の中央側が見込み方向に押圧されて框体20aが湾曲するようなモーメントが生じたとしても、縦嵌合部52aは右縦枠15及び右の縦框24から、また、横嵌合部52bは上下の横枠12、13及び上下の右の横框21、22から外れ難い。このため、取り付けが容易で高い風圧等にも耐え得る固定障子20を備えた建具1を提供することが可能である。
【0043】
本実施形態の鉤状嵌合部材50の嵌合部52を枠側溝部19及び框側溝部25に嵌合する場合に、嵌合部52の壁部51c、53cを中空部51a、53aの内側に入り込むように弾性変形させて、見込み方向に並ぶ突出部51e、53eの幅が、枠側溝部19及び框側溝部25の突片19b、25bの間隔より狭くする。このとき、弾性変形する壁部51c、53cの突出部51e、53eと弾性変形の支点部分との距離が大きい方が弾性変形の変位量が大きくなる。弾性変形の変位量が大きい場合には、突出部51e、53eと突片19b、25bとの嵌合量を大きくしつつ、容易に嵌合することが可能となり、より強固に固定障子20を枠体11に保持することが可能で、かつ、取り付け易い建具1を提供することが可能となる。このため、枠側被嵌合部51と框側被嵌合部53とを縦嵌合部52aの縦方向及び横嵌合部52bの横方向に並設したことにより、枠側被嵌合部51は、框側溝部25内に設けられた支点から壁部51cを弾性変形させて突出部51eを枠側溝部19内にて大きく変位させることが可能であり、框側被嵌合部53は、枠側溝部19内に設けられた支点から壁部53cを弾性変形させて突出部53eを框側溝部25内にて大きく変位させることが可能である。よって、枠側被嵌合部51と框側被嵌合部53とを縦嵌合部52aの縦方向及び横嵌合部52bの横方向に並設したことにより、より強固に固定障子20を枠体11に保持することが可能であり、かつ、取り付け易い。
【0044】
また、本実施形態の建具1は、固定障子20が、鉤状嵌合部材50にて角部のみが連結されているわけではなく、隣接する角部に設けられた2つの鉤状嵌合部材50間、すなわち、右縦枠15と右の縦框24とが、上下方向の中央付近にて棒状嵌合部材30にて嵌合されているので、より高い風圧等にも耐えうる固定障子20を備えた建具1を提供することが可能である。
【0045】
また、固定障子20は、召し合わせ側にて下枠13の枠側溝部19に嵌合されて当該下枠13にビス止めされた規制部材55により、固定障子20の見付け方向へ移動が規制されるので、見付け方向の移動をより確実に規制すべく固定障子20を固定して取り付けることが可能である。
【0046】
上記実施形態においては、移動障子5が左右方向に移動可能な片引き窓用の建具を例に挙げて説明したが、図14に示すような開口枠内を移動障子が垂直方向に移動可能に設けられた上げ下げ窓であっても構わない。この場合には、固定障子20は、上枠12及び左右の縦枠14、15に嵌合された棒状嵌合部材30及び鉤状嵌合部材50と框体20aとが嵌合され、固定障子20の下端側に規制部材55が固定されている。
【0047】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態に係る建具を室外側からみた外観図である。
【図2】本実施形態に係る建具の平断面図である。
【図3】本実施形態に係る建具の縦断面図である。
【図4】枠体の内周部を示す平面図である。
【図5】棒状嵌合部材を示す斜視図である。
【図6】棒状嵌合部材の正面図である。
【図7】棒状嵌合部材と枠体及び固定障子との嵌合状態を説明するための図である。
【図8】鉤状嵌合部材の正面図である。
【図9】鉤状嵌合部材の側面図である。
【図10】鉤状嵌合部材と枠体及び固定障子との嵌合状態を説明するための図である。
【図11】規制部材を示す斜視図である。
【図12】規制部材を規制用貫通孔の貫通方向から見た図である。
【図13】建具の取付方法を説明するための図である。
【図14】上げ下げ窓を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 建具、5 移動障子、11 枠体、12 上枠、13 下枠、14 左縦枠、
15 右縦枠、17b 内周面部、19 枠側溝部、20 固定障子、20a 框体、
20c 外周面、21 上框、22 下框、23 召し合わせ框(縦框)、
24 右側の縦框、25 框側溝部、30 棒状嵌合部材、50 鉤状嵌合部材、
51 枠側被嵌合部、52 嵌合部、52a縦嵌合部、52b 横嵌合部、
53 框側被嵌合部、54 連結部、55 規制部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内外を連通する開口に設けられ縦枠と横枠とが矩形状に枠組みされた枠体と、
前記枠体内に固定され前記開口の一部を閉塞し縦框と横框とが矩形状に枠組みされた固定障子と、
前記開口にて前記固定障子にて閉塞されていない領域を閉塞可能であり、前記枠体に沿って移動可能な移動障子と、を有し、
前記縦框及び前記横框は前記固定障子の外周部に外側に向かって開放された框側溝部を有し、
前記縦枠及び前記横枠は前記枠体の内周部に内側に向かって開放された枠側溝部を有し、
前記固定障子は、前記縦枠の前記枠側溝部と前記縦框の前記框側溝部とに嵌合される縦嵌合部と、前記横枠の前記枠側溝部と前記横框の前記框側溝部とに嵌合される横嵌合部と、が一体に形成された鉤状嵌合部材が、前記固定障子及び前記枠体の角部に嵌合されて取り付けられていることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記縦嵌合部は、前記縦枠の前記枠側溝部に嵌合される縦枠嵌合部と前記縦框の前記框側溝部に嵌合される縦框嵌合部とが、縦方向に並設されており、
前記横嵌合部は、前記横枠の前記枠側溝部に嵌合される横枠嵌合部と前記横框の前記框側溝部に嵌合される横框嵌合部とが、横方向に並設されていることを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の建具であって、
前記固定障子及び前記枠体の隣接する角部に設けられた2つの前記鉤状嵌合部材間には、前記枠側溝部と前記框側溝部とにそれぞれ嵌合されて前記枠側溝部と前記框側溝部とを連結する連結嵌合部材が設けられていることを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の建具であって、
前記固定障子は、召し合わせ側にて、下枠の前記枠側溝部に嵌合されて当該下枠にビス止めされた規制部材により見付け方向へ移動が規制されていることを特徴とする建具。
【請求項1】
室内外を連通する開口に設けられ縦枠と横枠とが矩形状に枠組みされた枠体と、
前記枠体内に固定され前記開口の一部を閉塞し縦框と横框とが矩形状に枠組みされた固定障子と、
前記開口にて前記固定障子にて閉塞されていない領域を閉塞可能であり、前記枠体に沿って移動可能な移動障子と、を有し、
前記縦框及び前記横框は前記固定障子の外周部に外側に向かって開放された框側溝部を有し、
前記縦枠及び前記横枠は前記枠体の内周部に内側に向かって開放された枠側溝部を有し、
前記固定障子は、前記縦枠の前記枠側溝部と前記縦框の前記框側溝部とに嵌合される縦嵌合部と、前記横枠の前記枠側溝部と前記横框の前記框側溝部とに嵌合される横嵌合部と、が一体に形成された鉤状嵌合部材が、前記固定障子及び前記枠体の角部に嵌合されて取り付けられていることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記縦嵌合部は、前記縦枠の前記枠側溝部に嵌合される縦枠嵌合部と前記縦框の前記框側溝部に嵌合される縦框嵌合部とが、縦方向に並設されており、
前記横嵌合部は、前記横枠の前記枠側溝部に嵌合される横枠嵌合部と前記横框の前記框側溝部に嵌合される横框嵌合部とが、横方向に並設されていることを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の建具であって、
前記固定障子及び前記枠体の隣接する角部に設けられた2つの前記鉤状嵌合部材間には、前記枠側溝部と前記框側溝部とにそれぞれ嵌合されて前記枠側溝部と前記框側溝部とを連結する連結嵌合部材が設けられていることを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の建具であって、
前記固定障子は、召し合わせ側にて、下枠の前記枠側溝部に嵌合されて当該下枠にビス止めされた規制部材により見付け方向へ移動が規制されていることを特徴とする建具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−53655(P2010−53655A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−222408(P2008−222408)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】
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