説明

建物の中間階免震構造および立体駐車設備付き建物

【課題】低コストで建設することができる建物の中間階免震構造および立体駐車設備付き建物を提供する。
【解決手段】建物100内に設けられる上下方向に延びた中空部12と、中空部12内に設けられる機械式立体駐車設備14と、建物の中間階に設けられる中間階免震装置16とを備える建物の中間階免震構造10において、機械式立体駐車設備14は、駐車車両を収容するための車庫棚を有するタワーパーク本体18と、タワーパーク本体18の下側に設けられ、下方の車両用の出入り口34から上方のタワーパーク本体18へ駐車車両を昇降するための上下方向に延びた昇降シャフト32を有するカーリフト部20とを含んで構成され、タワーパーク本体18の荷重を中間階免震装置16上の構造体22(54)で受けるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超高層集合住宅などの高層建物の中間階免震構造および立体駐車設備付き建物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、超高層集合住宅などの高層建物を基礎免震構造として建設する場合、杭や免震装置を設置する基礎が地中深く巨大なため、建物敷地内の地中障害物や既存躯体等を大量に破壊し除去していた。このため、建設コストが掛かり、工期が長くなっていた。こうした問題を解決する建物の免震構造として、免震装置を地上階に設置した中間階免震構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、建物内部に立体駐車場設備を確保した構造が知られている(例えば、特許文献2参照)。図7に示すように、特許文献2の構造は、多層階を有する建物本体1の内部に、その多層階を貫通して上下方向に伸びる中空部2を有し、この中空部2に機械式立体駐車場設備3を備えている。この機械式立体駐車場設備3は、建物本体1の中空部2に防振ゴム4を介して支持されている。
【0004】
他方、立体駐車場設備が建物本体から独立した状態で自立している構造が知られている(例えば、特許文献3参照)。図8に示すように、特許文献3の構造は、直方体形状の高層マンション5の内部の中央部に上下方向に伸延する空間部6を形成し、空間部6の外周部が居住部7となっている。機械式立体駐車場設備8は居住部7とは分離され、独立した状態で自立して設けられている。つまり、立体駐車場設備8と居住部7との間は、壁面で剛接合されておらず、立体駐車場設備8の垂直荷重を居住部7の途中階に支持させることがない構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−115656号公報
【特許文献2】特開2009−84975号公報
【特許文献3】特開2003−56189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、超高層集合住宅などの高層建物においては、通常、自立する立体駐車設備(以下、TP(タワーパーク)という。)本体の周囲に600mm程度の隙間を設け、免震装置より上部の建物が地震時に水平変位してもTP本体に接触しないように計画することがある。この場合、TP本体を自立させるために構成部材が増えて構造が大掛かりとなり、コスト増となるおそれがある。また、建物の平面形が法的に制約されること等により建物の外周位置が制限されることがある。この場合、上記の600mm程度の隙間分だけ利用可能面積が減るので、レンタブル比が悪化するおそれがある。
【0007】
一方、超高層集合住宅などの高層建物において、コア部およびTP本体の地上レベル以深に免震装置を設置するとともに、地上階に他の免震装置を設置し、デュアルレイヤー免震構造とすることがある。この場合、TP本体の四周に厚い補強壁を設け、これによって形成される内チューブの構造体と床とによって建物の一体化を図るが、構造的に有効な耐震壁とならず、コストが掛かるおそれがある。また、TP本体が障害となり、構造的に弱点である建物の短辺方向にTP本体を貫通する態様で梁や耐震壁を設置することは困難である。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、低コストで建設することができる建物の中間階免震構造および立体駐車設備付き建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係る建物の中間階免震構造は、建物内に設けられる上下方向に延びた中空部と、前記中空部内に設けられる機械式立体駐車設備と、前記建物の中間階に設けられる中間階免震装置とを備える建物の中間階免震構造において、前記機械式立体駐車設備は、駐車車両を収容するための車庫棚を有するタワーパーク本体と、前記タワーパーク本体の下側に設けられ、下方の車両用の出入り口から上方の前記タワーパーク本体へ駐車車両を昇降するための上下方向に延びた昇降シャフトを有するカーリフト部とを含んで構成され、前記タワーパーク本体の荷重を前記中間階免震装置上の構造体で受けることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る建物の中間階免震構造は、上述した請求項1において、前記カーリフト部の下部に免震装置を設置したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に係る建物の中間階免震構造は、上述した請求項1または2において、前記カーリフト部を前記タワーパーク本体から吊り下げて配置したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4に係る建物の中間階免震構造は、上述した請求項1〜3のいずれか一つにおいて、前記カーリフト部の外周に耐震壁または開口耐震壁を配置したことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項5に係る建物の中間階免震構造は、上述した請求項1〜4のいずれか一つにおいて、前記中間階免震装置の上階と下階において、柱の延長上に設けられる前記中間階免震装置を固定するための免震装置固定用基礎と、前記柱の延在方向と直交する方向に延設した梁とを剛接合し、前記梁による架構面を構成したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項6に係る建物の中間階免震構造は、上述した請求項1〜5のいずれか一つにおいて、前記建物本体の前記カーリフト部の周面と対向する壁面に、少なくとも地震発生時に前記カーリフト部の周面と当接可能な免制震サポート部材を設けたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項7に係る立体駐車設備付き建物は、上述した請求項1〜6のいずれか一つに記載の建物の中間階免震構造が設けられる建物であって、前記機械式立体駐車設備を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項8に係る立体駐車設備付き建物は、上述した請求項7において、前記機械式立体駐車設備を備える高層建物であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項9に係る立体駐車設備付き建物は、上述した請求項7または8において、前記カーリフト部の車両用の出入り口を地上または地上階近傍に設けたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項10に係る立体駐車設備付き建物は、上述した請求項7〜9のいずれか一つにおいて、前記カーリフト部の車両用の出入り口の隣に車両運転者が通行するための通廊を設けたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項11に係る立体駐車設備付き建物は、上述した請求項7〜10のいずれか一つにおいて、駐車車両の方向を転換させるターンテーブルを、前記タワーパーク本体の下部または前記カーリフト部の下部に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、建物内に設けられる上下方向に延びた中空部と、前記中空部内に設けられる機械式立体駐車設備と、前記建物の中間階に設けられる中間階免震装置とを備える建物の中間階免震構造において、前記機械式立体駐車設備は、駐車車両を収容するための車庫棚を有するタワーパーク本体と、前記タワーパーク本体の下側に設けられ、下方の車両用の出入り口から上方の前記タワーパーク本体へ駐車車両を昇降するための上下方向に延びた昇降シャフトを有するカーリフト部とを含んで構成され、前記タワーパーク本体の荷重を前記中間階免震装置上の構造体で受ける。
【0021】
したがって、タワーパーク本体(以下、TP本体という。)は、通常時は本体とタワーパーク柱間にわずかな隙間を設け自立させ、音を伝搬しなくするが、地震時は建物本体にもたれるように挙動するので、構造が大掛かりとならずに済み、完全に自立させるためのコストを削減することができる。また、カーリフト部の鉛直荷重を、TP本体を介して中間階免震装置上の構造体に支持させることができるので、カーリフト部の下側に設ける免震装置を最小にでき、もしくは、完全吊り構造とすれば隙間のみとすることができ、地盤の根切り量を削減することができる。
【0022】
しかも、カーリフト部の断面は、車両一台程度分の面積を確保すれば足りるので、カーリフト部の周りに居室他の用途の室や耐震壁または開口耐震壁等を設けるためのスペースを確保でき、建物のレンタブル比を高めることができる。このため、構造的に有効な耐震壁をカーリフト部の四周に容易に設置することができる。以上のことから、建物の中間階免震構造および立体駐車設備付き建物を低コストで建設することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明に係る建物の中間階免震構造および立体駐車設備付き建物の実施例を示す側断面図である。
【図2】図2は、上部階の平面図であり、図1のA−A線に沿った図である。
【図3】図3は、下部階の平面図であり、図1のB−B線に沿った図である。
【図4】図4は、機械式立体駐車設備の側断面図である。
【図5】図5は、図4のC−C線に沿った平面図である。
【図6】図6は、図4のD−D線に沿った平面図である。
【図7】図7は、従来の建物の中間階に立体駐車場を内蔵させた一例を示す側断面図である。
【図8】図8は、従来の建物の中央部に自立の立体駐車場を内蔵した一例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係る建物の中間階免震構造および立体駐車設備付き建物の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0025】
図1〜図3に示すように、本発明に係る建物の中間階免震構造10は、本発明に係る立体駐車設備付き建物としての高層建物100(以下、建物という。)内に設けられる上下方向に延びた中空部12と、中空部12内に設けられる機械式立体駐車設備14と、建物100の中間階に設けられる中間階免震装置16とを備える。
【0026】
機械式立体駐車設備14は、タワーパーク本体18(以下、TP本体という。)と、TP本体18の下側に設けられるカーリフト部20とからなり、TP本体18の鉛直荷重は、中間階免震装置16上の免震装置上部梁54等の構造体22で支持される。
【0027】
TP本体18は、柱24と最下段の梁40を有する直方体状の柱梁構造であり、その内部には、中央の昇降路を挟んだ両側に車両用の駐車スペースが複数に画設された車庫棚を有する(図4)。TP本体18の柱ベース24aの下面を中間階免震装置16の上部の免震装置上部梁54の上面に固定し、TP本体18の鉛直荷重を中間階免震装置16上の免震装置上部梁54等の構造体22で受けさせている。こうすることでTP本体18を構造体22を介して自立させる。
【0028】
また、TP本体18の外周面と、建物本体100のTP本体18に対向する構造体表面70との間に数10mm程度の隙間を設け、TP本体18を地震時以外は自立させ、防音対策としている。地震発生時には、TP本体18が水平変位して、建物本体100の構造体表面70に接触して凭れ掛かる構造である。
【0029】
カーリフト部20は、四隅に配置した4本の柱28と梁30の柱梁架構による直方体状の昇降シャフト32(図4に示してある)からなり、必要に応じてブレース等で補強して構成してある。昇降シャフト32は、TP本体18に車両を昇降するためのものであり、地上レベルGLまで下げられた下端に車両用の出入り口34(図3に示してある)を有し、地上または地上階レベルからの車の出入りを可能にしている。
【0030】
また、カーリフト部20の車両用の出入り口階の両側には、図3および図4に示すように、車両運転者が通行するための通廊36が設けてある。通廊36の断面寸法は、人が通行できる大きさであればよく、例えば幅1m、高さ2m程度としてよい。
【0031】
昇降シャフト32の柱28の下部には免震装置38が設置され、カーリフト部20を支持している。このカーリフト部20の下の基礎レベルは殆ど下げないでよい。なお、このようにする代わりに、吊り構造として、カーリフト部20と通廊36とをTP本体18の最下段の梁40から吊り下げた構造としてもよい。この場合はさらにカーリフト部20の下の基礎との間はわずかな隙間のみとすることができ、さらに基礎レベルを下げないでよい。
【0032】
カーリフト部20は、地震時には建物本体102(免震装置下部)の構造体に当たらないクリアランスSを確保してあり、図3中破線で示したカーリフト部20の移動可能範囲EA内を水平方向に移動できるようになっている。また、建物本体102のカーリフト部20の周面と対向する壁面に、少なくとも地震発生時にカーリフト部20の周面と当接可能な免制震サポート42を設けている。
【0033】
図4〜図6は、機械式立体駐車設備14の概略図である。図4〜図6に示すように、TP本体18の最下階が建物100のN階に相当するような場合、N階に車両旋回スペース48(ターンテーブル)を設けてある。N階から下側に建物本体102側の有効スペースを確保するには、車両の乗り入れは180°乗り入れ方式が有利である。また、入出庫時間を短縮する場合は、乗り入れ階となる地上レベルGLに車両旋回スペース(ターンテーブル)を設けてもよい。また、TP本体18内に、カウンターウェイトの走行スペース等44およびロープ用の走行スペース等46を設けている。
【0034】
上記のように構成した立体駐車設備14を利用する場合には、出入り口34(図3に示してある)から車両を出入りさせ、カーリフト部20の昇降シャフト32を介して車両をTP本体18最下階に上昇させ、ターンテーブル48で車の方向を転換させてからTP本体18上部の車庫棚に格納する。なお、このターンテーブル48は、カーリフト部20の地上レベルGLに設置することも可能である。
【0035】
図1〜図3に示すように、この建物100は、建物基礎68上に構築され、中間階免震装置16より上方は、柱52と免震装置上部梁54と免震装置固定用基礎50とを剛に接合し、平面的な架構を構成している。また、この建物100は、補助柱56や柱66を有しており、建物の左側に設けられるコア部分58(エレベータ、階段等)の周囲には、地震時変位吸収のためのクリアランスSを確保している。
【0036】
図2に示すように、TP本体18は、(4)〜(7)通り、[C]〜[F]通りの免震装置上部梁54で受ける。また、建物のコア部分58は、通り芯で(1)−[D]、(1)−[E]、(3)−[D]、(3)−[E]の柱52のみを下階におろし、免震装置固定用基礎50と接続する。この結果、幅方向、奥行き方向にバランスよく柱52、免震装置上部梁54、免震装置固定用基礎50が配置され、中間階(免震階)にかかる大きな力を建物全体の平面的架構で受けて、中間階免震装置16に合理的に伝えることができる。
【0037】
一方、図3に示すように、中間階免震装置16より下部階には、通り芯(4)〜(7)−[C]、[F]間に耐震壁62と免震装置下部梁64を、通り芯(4)〜(7)−[C]、[F]に柱66を配置し、高い耐震性および耐力を確保する。さらに、中間階免震装置16直下に免震装置固定用基礎50と柱52、66と免震装置下部梁64と耐震壁62とを剛に組み接合し、中間階免震装置16より上部階と同様、幅方向、奥行き方向にバランスよく柱52、66、免震装置下部梁64、耐震壁62を配置することによって、高強度の構造体を合理的に構成する。
【0038】
他方、建物のコア部分58については基礎免震構造とし、地上レベルGLより下方にエレベータピットに必要な凹部(イ)を確保する。また、このようにする代わりに、地上レベルGLより上にエレベータピット用空間を確保し、地上レベルGLから上のレベルに設けたエレベータ入り口までエスカレータ等でアクセスすれば、基礎部分は殆ど下げなくてよい。
【0039】
以上のように、立体駐車設備14を、中間階免震装置16上の構造体22で支持させるTP本体18と、TP本体18から地上レベルGLまでを連絡する細いカーリフト部20とで構成することで、下記の効果を得ることができる。
【0040】
第一の効果は、TP本体18は、通常時は本体とタワーパーク柱間にわずかな隙間を設け自立させ、地震時は建物本体100にもたれるように挙動して、構造が大掛かりとならずに済み、完全自立させるためのコストを削減することができる。また、カーリフト部20の鉛直荷重を、TP本体18を介して中間階免震装置16上の構造体22に支持させることで、カーリフト部20の下側に設ける免震装置を最小にでき、もしくは、完全吊り構造とすれば隙間のみとすることができ、凹み(ア)を最小限にでき、地盤の根切り量を削減することができる。このため、建物の施工コストを低減することができる。したがって、建物敷地が狭く既存地中躯体が存在する地域における高層建物の建設に有用であり、解体も含めたトータルコストを低減することもできる。
【0041】
第二の効果は、カーリフト部20の断面が車両一台程度分の小さな面積で足りるので、図3に示すように、カーリフト部20の周りに設備室、居室または他の用途の室等や耐震壁等を設けるための空間利用可能範囲SPを確保でき、建物のレンタブル比を高めることができるとともに、構造的に有効な耐震壁、または開口耐震壁をカーリフト部20の四周に設置することができる。
【0042】
第三の効果は、中間階免震装置16の上下階に、建物本体100,102の柱、梁、免震装置固定用基礎、壁柱、耐震壁、または開口耐震壁等を合理的にバランスよく配置できるので、躯体構造の合理化が可能となり、コストを低減することができる。
【0043】
以上説明したように、本発明によれば、建物内に設けられる上下方向に延びた中空部と、前記中空部内に設けられる機械式立体駐車設備と、前記建物の中間階に設けられる中間階免震装置とを備える建物の中間階免震構造において、前記機械式立体駐車設備は、駐車車両を収容するための車庫棚を有するタワーパーク本体と、前記タワーパーク本体の下側に設けられ、下方の車両用の出入り口から上方の前記タワーパーク本体へ駐車車両を昇降するための上下方向に延びた昇降シャフトを有するカーリフト部とを含んで構成され、前記タワーパーク本体の荷重を前記中間階免震装置上の構造体で受ける。
【0044】
したがって、TP本体は、通常時は本体とタワーパーク柱間にわずかな隙間を設け、自立させ、地震時には建物本体にもたれるように挙動して、構造が大掛かりとならずに済み、完全自立させるためのコストを削減することができる。また、カーリフト部の鉛直荷重を、TP本体を介して中間階免震装置上の構造体に支持させることができるので、カーリフト部の下側に設ける免震装置を最小にでき、もしくは、完全吊り構造とすれば隙間のみとすることができ、地盤の根切り量を削減することができる。
【0045】
しかも、カーリフト部の断面は、車両一台程度分の小さな面積を確保すれば足りるので、カーリフト部の周りに設備室、居室、他の用途の室や耐震壁、または開口耐震壁等を設けるためのスペースを確保でき、建物のレンタブル比を高めることができるとともに、構造的に有効な耐震壁、または開口耐震壁をカーリフト部の四周に容易に設置することができる。以上のことから、建物の中間階免震構造および立体駐車設備付き建物を効率よく、合理的に提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明に係る建物の中間階免震構造および立体駐車設備付き建物は、建物敷地が狭く既存地中躯体が存在する地域における高層建物の建設に有用であり、特に、解体も含めたトータルコストを低減したい場合に適している。
【符号の説明】
【0047】
10 建物の中間階免震構造
12 中空部
14 機械式立体駐車設備
16 中間階免震装置
18 タワーパーク本体(TP本体)
20 カーリフト部
22 構造体
24 柱(タワーパーク本体の柱)
24a 柱ベース
28 柱(カーリフト部の柱)
30 梁(カーリフト部の梁)
32 昇降シャフト
34 車両用の出入り口
36 通廊
38 免震装置
40 梁(タワーパーク本体の最下部)
42 免制震サポート
44 カウンターウェイトの走行スペース等
46 ロープ用の走行スペース等
48 車両旋回スペース(ターンテーブル)
50 免震装置固定用基礎
52,66 柱(建物の柱)
54 免震装置上部梁
56 補助柱
58 建物のコア部分
62 耐震壁
64 免震装置下部梁
68 建物基礎
70 建物本体100の構造体表面
100 高層建物(立体駐車設備付き建物)
102 建物本体(免震装置下部)
GL 地上レベル
EA カーリフト部の移動可能範囲
S クリアランス
SP 空間利用可能範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に設けられる上下方向に延びた中空部と、
前記中空部内に設けられる機械式立体駐車設備と、
前記建物の中間階に設けられる中間階免震装置とを備える建物の中間階免震構造において、
前記機械式立体駐車設備は、駐車車両を収容するための車庫棚を有するタワーパーク本体と、
前記タワーパーク本体の下側に設けられ、下方の車両用の出入り口から上方の前記タワーパーク本体へ駐車車両を昇降するための上下方向に延びた昇降シャフトを有するカーリフト部とを含んで構成され、
前記タワーパーク本体の荷重を前記中間階免震装置上の構造体で受けることを特徴とする建物の中間階免震構造。
【請求項2】
前記カーリフト部の下部に免震装置を設置したことを特徴とする請求項1に記載の建物の中間階免震構造。
【請求項3】
前記カーリフト部を前記タワーパーク本体から吊り下げて配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の建物の中間階免震構造。
【請求項4】
前記カーリフト部の外周に耐震壁または開口耐震壁を配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の建物の中間階免震構造。
【請求項5】
前記中間階免震装置の上階と下階において、柱の延長上に設けられる前記中間階免震装置を固定するための免震装置固定用基礎と、前記柱の延在方向と直交する方向に延設した梁とを剛接合し、前記梁による架構面を構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の建物の中間階免震構造。
【請求項6】
前記建物本体の前記カーリフト部の周面と対向する壁面に、少なくとも地震発生時に前記カーリフト部の周面と当接可能な免制震サポート部材を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の建物の中間階免震構造。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の建物の中間階免震構造が設けられる建物であって、前記機械式立体駐車設備を備えることを特徴とする立体駐車設備付き建物。
【請求項8】
前記機械式立体駐車設備を備える高層建物であることを特徴とする請求項7に記載の立体駐車設備付き建物。
【請求項9】
前記カーリフト部の車両用の出入り口を地上または地上階近傍に設けたことを特徴とする請求項7または8に記載の立体駐車設備付き建物。
【請求項10】
前記カーリフト部の車両用の出入り口の隣に車両運転者が通行するための通廊を設けたことを特徴とする請求項7〜9のいずれか一つに記載の立体駐車設備付き建物。
【請求項11】
駐車車両の方向を転換させるターンテーブルを、前記タワーパーク本体の下部または前記カーリフト部の下部に設けたことを特徴とする請求項7〜10のいずれか一つに記載の立体駐車設備付き建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−106143(P2011−106143A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261095(P2009−261095)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】