説明

建物の壁体内換気方法及び装置

【課題】 外壁のほぼ全面に亘って開口部が設けられたような建物においても、前記外壁の壁体内を換気することができる建物の壁体内換気方法及び装置を提供する。
【解決手段】 外壁に屋根裏の外気と連通する通気路が形成されている建物において、前記外壁15上に第1の横架材16を架け渡し、この第1の横架材上に縦方向部材2を該横架材の長さ方向に所定の間隔を置いて複数個設け、これら縦方向部材の間隔を開口部として該縦方向部材のある面のほぼ全面にわたり形成するとともに、該縦方向部材上に第2の横架材17を架け渡し、第1の横架材、縦方向部材及び第2の横架材に前記通気路と連通する通気手段を設け、前記通気路内の通気を前記通気手段を経て屋根裏へ導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、木造の戸建住宅などの建物の外壁において、壁体の内部で結露を発生させないために壁体内を換気する壁体内換気方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物の断熱性を高めるために、建物の外壁に断熱材を挿置することが行われている。しかし、断熱材は熱を通しにくいが湿気を通してしまうため、室内などで発生した湿気が壁体内に侵入し、冬季など外気温が低く室内外の温度差が大きい場合には、その湿気を多く含んだ空気が外気に近づくにつれ冷えてゆき露点温度以下となったときに、壁体内部で結露してしまうという現象が起こる。特に木造の戸建住宅などの建物では、根太や土台などの構造材を腐食させるなど建物の耐久性に重大な悪影響を及ぼし、且つ外部から目視できず発見し難いことから、このような建物外壁の壁体内部で発生する内部結露が問題となっていた。
【0003】
そこでこのような問題を解決するために、本願出願人は、下階の外壁には床下の外気と連通する通気路を形成し、上階の外壁には屋根裏の外気と連通する通気路を形成すると共に、両通気路のいずれか一方と連通する通気孔を横架材に上下に貫通して設け、この通気孔と前記通気路を連通する通気凹溝を横架材の上面又は下面の少なくともいずれかに形成して、外壁に床下から屋根裏まで連続した通気路を確保することにより、建物の壁体内の湿気を多く含んだ空気を屋根裏の外気に放出し、壁体内を換気することができる建物の壁体内換気装置を提案した(特許文献1参照)。
【0004】
一方、建物においては同一面積の窓でも高い位置にあるほど水平投影面積は大きく採光上有利であることや、空間を有功活用したいという要請、又は少しでも天井高を上げて大空間を実現すればそれだけ開放感が得られるなどの理由から、建物のある一面の外壁のほぼ全面(全幅)に亘って開口部を設け、その開口部を採光や通風、換気などに利用することが行われている。
【0005】
しかし、特許文献1の建物の壁体内換気装置では、前述のように外壁に床下から屋根裏まで連続した通気路を形成し、壁体内の空気を天井裏に向けて通気させることで壁体内の換気を行っている。このため、外壁のほぼ全面に亘って開口部が設けられたような建物においては、前記外壁の壁体内から屋根裏への通気路が前記開口部やその上にある横架材で遮断され、壁体内を換気することができないという問題点があった。
【0006】
【特許文献1】特開平7−259204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこでこの発明は、前記従来のものの問題点を解決し、外壁のほぼ全面に亘って開口部が設けられたような建物においても、前記外壁の壁体内を換気することができる建物の壁体内換気方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る壁体内換気方法は、外壁に屋根裏の外気と連通する通気路が形成されている建物において、前記外壁上に第1の横架材を架け渡し、この第1の横架材上に縦方向部材を該横架材の長さ方向に所定の間隔を置いて複数個設け、これら縦方向部材の間隔を開口部として該縦方向部材のある面のほぼ全面にわたり形成するとともに、該縦方向部材上に第2の横架材を架け渡し、第1の横架材、縦方向部材及び第2の横架材に前記通気路と連通する通気手段を設け、前記通気路内の通気を前記通気手段を経て屋根裏へ導くことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明に係る壁体内換気装置は、外壁に屋根裏の外気と連通する通気路が形成されている建物において、前記外壁上に第1の横架材が架け渡され、この第1の横架材上に縦方向部材が該横架材の長さ方向に所定の間隔を置いて複数個設けられ、これら縦方向部材の間隔が開口部として該縦方向部材のある面のほぼ全面にわたり形成されているとともに、該縦方向部材上に第2の横架材が架け渡され、第1の横架材、縦方向部材及び第2の横架材に前記通気路と連通して該通気路内の通気を屋根裏へ導く通気手段が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明に係る壁体内換気装置は、請求項2の発明において、通気手段は、第1の横架材の下面に前記通気路と連通して形成された通気凹溝と、該凹溝と連通して第1の横架材を貫通して形成された貫通孔と、該貫通孔と連通して第1の横架材の上面に形成された通気凹溝と、該凹溝と連通して縦方向部材の長さ方向に形成された通気孔と、該通気孔と連通して第2の横架材の下面に形成された通気凹溝と、該凹溝と連通して第2の横架材を貫通して形成された貫通孔とを有することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明に係る壁体内換気装置は、請求項2又は3の発明において、縦方向部材は、上下方向を長さ方向とする束であることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明に係る壁体内換気装置は、請求項2又は3の発明において、縦方向部材は、上下方向を長さ方向とする中空状のパイプ部材であることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明に係る束は、請求項4に記載の建物の壁体内換気装置に用いられる束であって、その側面の長さ方向に形成された凹溝と、該凹溝の開口側を覆うカバーとから構成された通気孔を有していることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明に係る束は、請求項6の発明において、通気孔は、断面略矩形を呈し、少なくとも1つの出隅部に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明は前記のようであって、請求項1に記載の発明は、外壁に形成された通気路内の通気を通気手段を経て屋根裏へ導くので、外壁のほぼ全面に亘って開口部が設けられたような建物においても、壁体内を換気することができる。このため、このような建物の耐久性を向上させることができる。また、請求項2に記載の発明は、前記のように構成されているので、外壁のほぼ全面に亘って開口部が設けられたような建物でも、前記外壁の壁体内を換気することができると共に、防水的にも問題なく、構造的にも複雑とならず、且つ安価な壁体内換気装置を提供することができる。また、このため、前記のような建物の耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明の一実施の形態を、添付した図面を参照して説明する。
【0017】
図1の(A)は、建物の一例として示す木造2階建ての建物を現した桁行面の正面図、(B)は、その建物の妻面の側面図である。図2は、模式的な建物の主要部を現した概略正面図である。図中、1は建物であり、この建物1は、補強鉄筋とコンクリートとからなる基礎11と、その基礎11の上に設置された土台12と、その土台12の上に建てられた柱などを含んだ1階の外壁13と、その外壁13の上に架け渡された横架材である胴差し14と、その胴差し14の上に建てられた柱などを含んだ2階の外壁15と、その外壁15の上に架け渡された主要構造材である桁16とを具えている。更に、この建物1には、第1の横架材である桁16の上に複数の縦方向部材である通気束2,2,…が桁16の長さ方向に所定間隔をおいて立て付けられ、それら通気束2,2,…の上端に第2の横架材である軒桁17が架け渡され、この桁16と軒桁17との間のほぼ全面に亘り開口部18が設けられている。言い換えると、桁16と軒桁17と通気束2,2,…の間隔との間は、ほぼ全て開口部18となっており、その開口部18には、採光窓18aが設けられている。そして、軒桁17の上には屋根19が構成されていると共に、この屋根19の内部であって天井の上には屋根裏空間3が広がっている。
【0018】
図2に示すように、土台12、胴差し14、桁16、軒桁17のそれぞれの横架材には、長さ方向に所定間隔をおいて上下に貫通する同一径の貫通孔120,140,160,170が設けられていると共に、それら横架材の上面及び下面には、各横架材の全長に亘って長さ方向に後で詳述する通気凹溝(図3,5,6参照)が形成されている。実施の形態では、この貫通孔が設けられている所定間隔は、500mm程度の間隔となっている。また、貫通孔120,140,160,170は、貫通孔が設けられる横架材の強度低下を招くことがないようなるべく小径に形成され、この実施の形態では、強度的に問題とならないボルト穴程度の直径18mm以下の孔に形成されている。
【0019】
このように、土台12、胴差し14、桁16、軒桁17のそれぞれの横架材に開ける貫通孔120,140,160,170を共通化すれば、同一の機械で、且つ同一のドリル等でセット替えなどせずに加工することができるので、加工時間の削減及び加工費のコストダウンを図ることができる。また、設計上これらの横架材の断面を同じにすることができれば、違う横架材同士でも転用ができるため、部材を加工・取り付けするときに半端材の発生を少なくすることができ、材料の無駄が少なくなり尚一層よい。
【0020】
土台12の貫通孔120に対向する基礎11の上端面には、欠き込み(図示せず)が形成されている。そのため、土台12の貫通孔120は、床下空間4と連通している。また、この欠き込みを貫通孔120が基礎11の外側の外気と連通するように設けてもよい。しかし、欠き込みを貫通孔120が床下空間4と連通するように設ければ、雨水等が直接この欠き込みに浸入してこないので防水的に好ましい。そして、基礎11には、その側面を貫通し外気と床下空間4とを連通する床下換気口11a又は基礎11上に換気パッキン(図示せず)が設けられている。
【0021】
図3に示すように、2階の外壁15は、通し柱15aや間柱15bと、桟木などの棒材から矩形に組まれた木枠150の両側を板状材151で塞いだパネル部材15cとを有している。このパネル部材15cには、パネル全体が細長い形状の場合など強度的な必要に応じて補強材152が設けられる。そして、この木枠150と補強材152とで囲まれたスペースに、建物1の断熱性を高めるために断熱材D(図5,6参照)が挿置されている。また、この木枠150と補強材152には、外壁15の壁体内を通気するために適所に欠き込み150aが形成されている。このため、外壁15の壁体内の空気を図中の矢印で示すように流通させることができる。以上のように2階の外壁15で説明したが、1階の外壁13も同様の構成となっている。
【0022】
図3〜6に示すように、外壁15上に桁16が架け渡され、この桁16上に通気束2が桁16の長さ方向に所定の間隔を置いて複数個設けられ、これらの通気束2の間隔が開口部18として建物1の通気束2のある面のほぼ全面にわたり形成されている。そして、この通気束2の上に軒桁17が架け渡され、桁16、通気束2及び軒桁17に、外壁15内に形成された通気路5と連通して通気路5内の通気を屋根裏空間3へ導く後記通気手段が設けられている。
【0023】
外壁15には、前述したように木枠150と内外の板状材151,151との内部にグラスウール等からなる断熱材Dが収められており、その断熱材Dと外側の板状材151との間に、外壁15の壁体内の湿った空気を通気するための通気路5が形成されている。この通気路5は、パネル15cの木枠150に設けられた欠き込み150aや、通し柱15aに設けられた通気路153、又は間柱15bに設けられた通気路154などで外壁15の上方に設けられた通気凹溝161又は貫通孔160と連通している。また、桁16の内側面には、外壁15の板状材151が延伸して取り付けられており、桁16の上端面には、開口部18の開口枠となる下額縁163が取り付けられている。
【0024】
桁16の上端面には、上下方向を長さ方向とする矩形の通気束2が、桁16の長さ方向に所定間隔をおいて複数本立て付けられている。この通気束2は、1本につき外側の2つの出隅部に通気孔21,21が形成され、この通気孔21と通気路5とは、桁16の貫通孔160、通気凹溝161、及び通気凹溝162を介して連通している。また、この通気孔21は、通気束2の本体20の上端部間に亘って長さ方向に形成された通気溝22と、それを覆うコーナーカバー23とから構成され、このコーナーカバー23は、本体20に釘、ビス等で取り付けられている。また、通気溝22は、図4の右端に示す通気束2’の出隅部に設けられた通気溝22’のように、断面コの字状に形成されていてもよく、建物1においては通気孔21の断面積は、その通気孔21と連通する通気路5によって換気しなければならない外壁13,15の範囲により決定している。このようにすれば外壁13,15の壁体内の空気を換気する時間、つまり時間あたりに換気する空気の量である換気量が一定となるため、外壁13,15を偏りなく換気することができる。
【0025】
前記のように通気束2の上端には、軒桁17が架け渡されて、通気束2によって支持されている。軒桁17には、前述のように貫通孔170と通気凹溝171,172とが設けられていると共に、調整材173などを介して天井Cが固定されている。そして、この軒桁17の上には、屋根19が構成されており、この屋根19の内側と天井Cで囲まれた空間が前記の屋根裏空間3となっている。
【0026】
前述した桁16の下面に通気路5と連通して形成された通気凹溝161と、この通気凹溝161と連通して桁16を貫通して形成された貫通孔160と、貫通孔160と連通して桁16の上面に形成された通気凹溝162と、通気凹溝162と連通して通気束2の長さ方向に形成された通気孔21と、通気孔21と連通して軒桁17の下面に形成された通気凹溝171と、通気凹溝171と連通して軒桁17を貫通して形成された貫通孔170と、貫通孔170と連通して軒桁17の上面に形成された通気凹溝172とで、通気手段を構成している。この通気手段は一例であって、欠き込み150aと、貫通孔160と、通気孔21と、貫通孔170とがそれぞれ互いに直線上に並んでいる場合は、その間にある通気凹溝161,162,171,172は省略してもよい。また、通気凹溝172は、前述のように横架材を共通化するために設けられたものであるため無くても差し支えない。
【0027】
開口部18の外部側には、採光窓18aが具えられており、この採光窓18aには、サッシ180が具えられている。このサッシ180は、ペアガラスが嵌め込まれたアルミのC型チャンネル材等からなり、桁16の外部に取り付けられた下地材181と、軒桁17の外部に取り付けられた下地材182との間に、ガルバニウム鋼板からなる水切り枠183を介して取り付けられている。また、下地材181の上面は、防水面及び排水面を考慮して、開口部18の下端にあたる桁16の上面より低く設定され、雨水等が浸入した場合でもサッシ180に設けられた水抜き穴(図示せず)を通して排水できるようになっている。そして、屋根19の下部であって採光窓18aの外には軒天Tが設けられ、下地材181の下面まで外壁15のサイディングなどの外装材15dが延伸して設けられている。尚、図4〜6中に周知の構成であるため図示及び説明を省略したものもあるが、防水シート貼り、シーリング等の防水処理や化粧材の取り付け、クロス貼りなどの仕上げ等は勿論適宜なされている。
【0028】
図7の矢印で示すように、外壁15の壁体内の湿った空気は、通気束2の通気孔21(図6参照)、軒桁17の通気凹溝171・貫通孔170(図6参照)をそれぞれ通過して屋根裏空間3に達し、越屋根の如く屋根19の棟に設けられた換気口19a又は、軒下に設けられた換気口19bから外気に放出される。この換気口19aは、図8の(A)に示すように、建物1の妻面に設けた換気口19cであってもよく、軒下の換気口19bは、延焼などを考慮して設けなくてもよい。また、図8の(B)に示すように、天井Cを勾配天井としてもよい。そうすることで、屋根裏の空間を有効に活用することができる。
【0029】
次に、通気束について詳細に説明する。図9の(A)で示すように、通気束2は、少なくとも、集成材を含む木材からなる上下方向を長さ方向とする略矩形の束である本体20と、その本体20の外部側に位置する側面の2つの出隅部に沿って本体20の全長に亘って形成された2つの通気溝22,22と、その通気溝22を覆うアルミのアングル部材からなるコーナーカバー23とから構成されている。前記のように、この通気溝22とコーナーカバー23とで囲まれた空間が通気孔21(図4参照)となっている。また、図9の(B)で示すように、1本の通気束2に取り付けられた2つのコーナーカバー23,23を連結してコーナーカバー23’としてもよい。そうすることで、コーナーカバーの取り付けを省力化することができる。
【0030】
図10の(A)で示す2aは、通気束の変形例であり、集成材を含む木材からなる上下方向を長さ方向とする矩形の束である本体20aを有し、その本体20aの外部側の側面寄りに通気孔21aが長さ方向に形成されている。このため、コーナーカバーが不要となり、材料費及び取付費を低減することができる。また、図10の(B)で示すように、1つの通気束2bに前記通気孔21aより小径の2つの通気孔21b,21bを分けて設けてもよい。そうすることで、構造材である通気束2bの穴を開けることによる強度低下を少なくすることができる。
【0031】
図10の(C),(D)で示す変形例に係る通気束2c,2dは、金属製の中空状のパイプ部材からなる本体20c,20dを有し、その本体20c,20dの中空状のスペースに通気孔21c,21dが形成されている。(C)で示す形態では、通気束2cは、丸パイプからなり、(d)で示す形態では、通気束2dは、角パイプからなる。
図10の(E)で示す変形例に係る通気束2eは、集成材を含む木材からなる上下方向を長さ方向とする矩形の束である本体20eと、その本体20eの左右の側面に沿って取り付けられた板状の2枚の化粧材23e,23eとを有し、本体20eの左右の側面には、外部側寄りに全長に亘り凹溝22e,22eが形成され、化粧材23eの内側面には凹溝22eと対向する位置に凹溝24eが形成されている。そして、凹溝22eと凹溝24eとで囲まれた空間が通気孔21eとなっている。尚、図9及び図10で左右方向とは、図示したように内外方向と直行する方向を指すものとする。
【0032】
以上の如く建物1を構成すれば、通常通気路を形成することが困難である外壁のほぼ全面に亘って開口部が設けられた建物においても、外気と連通する床下空間4と、外壁13,15内の通気路5とを連通させると共に、前記通気手段により通気路5と屋根裏空間3とを連通させることができる。つまり、外壁のほぼ全面に亘って開口部が設けられたような建物1に、床下から屋根裏まで連続した通気路を形成することができることになる。このため、建物1の壁体内の湿った空気は、室内の熱等で徐々に暖まると共に上昇して行き、屋根裏空間3から外気に放出されるので、特別な装置を備えなくとも自然換気により建物1の壁体内を換気することができる。しかし、屋根の棟や床下などに換気扇等を設けて、強制的に機械換気してもよいことは勿論である。
【0033】
尚、前記実施の形態において、図面で示した部材の形状や構造等は、あくまでも好ましい一例を示すものであり、その実施に際しては特許請求の範囲に記載した範囲内で、任意に設計変更・修正ができるものである。また、建物として木造建築2階建ての建物を挙げて説明したが、これ以外の建物、例えば平屋や、3階建て以上の建物、ALC造、S造の建物等にも適用できることは勿論である。
【0034】
次に、従属項に記載した発明の特有な効果について説明する。請求項3に記載の発明によれば、請求項2において、通気手段は、第1の横架材の下面に前記通気路と連通して形成された通気凹溝と、該凹溝と連通して第1の横架材を貫通して形成された貫通孔と、該貫通孔と連通して第1の横架材の上面に形成された通気凹溝と、該凹溝と連通して縦方向部材の長さ方向に形成された通気孔と、該通気孔と連通して第2の横架材の下面に形成された通気凹溝と、該凹溝と連通して第2の横架材を貫通して形成された貫通孔とを有しているので、第2の横架材に設けられた貫通孔と縦方向部材に設けられた通気孔との位置に関係なく、通気孔を通ってきた壁体内からの空気をこの通気凹溝により貫通孔に導き屋根裏に通気することができる。このため、第1の横架材と第2の横架材との間に設けられた採光窓などの開口部のレイアウトの自由度が増す。
【0035】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は3において、縦方向部材は、上下方向を長さ方向とする束であるので、縦方向部材を構造材である束だけから構成することが可能である。よって、縦方向部材を束だけで構成すれば、壁体内の換気をすることができると共に、他の部材が必要ないので装置の部品点数及び作成手間の削減を図ることがきる。このため、装置全体の作成コストを削減することができる。
【0036】
請求項5に記載の発明によれば、請求項2又は3において、縦方向部材は、上下方向を長さ方向とする中空状のパイプ部材であるので、木材などから作成するのと比べて軽量で、且つ丈夫なものとすることができる。
【0037】
請求項6に記載の発明によれば、通気孔は、束の側面の長さ方向に形成された凹溝と、該凹溝の開口側を覆うカバーとから構成されているので、通気孔を丸ノコなどの工具で溝を形成することができ、長大なドリルピットを使用して通気孔をあけるのと比べて容易に形成することができる。
【0038】
請求項7に記載の発明によれば、通気孔は、断面略矩形を呈し、少なくとも1つの出隅部に形成されているので、出隅部を落とすように溝を成形することができ、溝底をしゃくるなどの作業しなくてすむ、よって、作業手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】(A)は、この発明の一実施の形態に係る建物を現した桁行面の正面図、(B)は、同上の妻面の側面図である。
【図2】同上の模式的な建物の主要部を現した概略正面図である。
【図3】主に外壁の構成の概略を示す図2のB部拡大図である。
【図4】図1のA−A線に沿う要部横断面図である。
【図5】図4のX−X線に沿う要部縦断面図である。
【図6】図4のY−Y線に沿う要部縦断面図である。
【図7】屋根裏から外気までの通気の流れを示す作用説明図である。
【図8】(A),(B)は、それぞれ建物の変形例を示す図7と対応する作用説明図である。
【図9】(A),(B)は、それぞれ通気束を示す分解斜視図である。
【図10】(A)〜(E)は、それぞれ通気束の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 建物
13,15 外壁
16 桁
160 貫通孔
17 軒桁
170 貫通孔
2 通気束
21 通気孔
3 屋根裏空間
4 床下空間
5 通気路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁に屋根裏の外気と連通する通気路が形成されている建物において、前記外壁上に第1の横架材を架け渡し、この第1の横架材上に縦方向部材を該横架材の長さ方向に所定の間隔を置いて複数個設け、これら縦方向部材の間隔を開口部として該縦方向部材のある面のほぼ全面にわたり形成するとともに、該縦方向部材上に第2の横架材を架け渡し、第1の横架材、縦方向部材及び第2の横架材に前記通気路と連通する通気手段を設け、前記通気路内の通気を前記通気手段を経て屋根裏へ導くことを特徴とする建物の壁体内換気方法。
【請求項2】
外壁に屋根裏の外気と連通する通気路が形成されている建物において、前記外壁上に第1の横架材が架け渡され、この第1の横架材上に縦方向部材が該横架材の長さ方向に所定の間隔を置いて複数個設けられ、これら縦方向部材の間隔が開口部として該縦方向部材のある面のほぼ全面にわたり形成されているとともに、該縦方向部材上に第2の横架材が架け渡され、第1の横架材、縦方向部材及び第2の横架材に前記通気路と連通して該通気路内の通気を屋根裏へ導く通気手段が設けられていることを特徴とする建物の壁体内換気装置。
【請求項3】
請求項2に記載の建物の壁体内換気装置において、通気手段は、第1の横架材の下面に前記通気路と連通して形成された通気凹溝と、該凹溝と連通して第1の横架材を貫通して形成された貫通孔と、該貫通孔と連通して第1の横架材の上面に形成された通気凹溝と、該凹溝と連通して縦方向部材の長さ方向に形成された通気孔と、該通気孔と連通して第2の横架材の下面に形成された通気凹溝と、該凹溝と連通して第2の横架材を貫通して形成された貫通孔とを有することを特徴とする建物の壁体内換気装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の建物の壁体内換気装置において、縦方向部材は、上下方向を長さ方向とする束であることを特徴とする建物の壁体内換気装置。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の建物の壁体内換気装置において、縦方向部材は、上下方向を長さ方向とする中空状のパイプ部材であることを特徴とする建物の壁体内換気装置。
【請求項6】
請求項4に記載の建物の壁体内換気装置に用いられる束であって、その側面の長さ方向に形成された凹溝と、該凹溝の開口側を覆うカバーとから構成された通気孔を有していることを特徴とする束。
【請求項7】
請求項6に記載の束において、通気孔は、断面略矩形を呈し、少なくとも1つの出隅部に形成されていることを特徴とする束。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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