説明

建物の太陽熱集熱装置

【課題】夜間においても部屋の暖房を行うことができる建物の太陽熱集熱装置を提供する。
【解決手段】建物10には、一階部分14に居室16,17が設けられ、二階部分15に居室18,19が設けられている。建物10の外壁パネル45の屋外側には集熱パネル51が設けられ、外壁パネル45と集熱パネル51との間には集熱空間53が形成されている。建物10には、屋根裏空間34や、間仕切壁41の壁内空間43等を通じて第2給気経路59が設けられており、同給気経路59により集熱空間53の空気が居室16〜19に供給されるようになっている。第2給気経路59の途中には、集熱空間53から供給される空気を内部に蓄えるチャンバ71が設けられ、同チャンバ71は間仕切壁41の壁内空間43に設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の太陽熱集熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、太陽光の熱を利用して建物内空間の空気を暖める技術が各種提案されている。例えば特許文献1に記載されている構成では、建物の外壁の屋外側に鋼板等の集熱板が設けられ、外壁と集熱板との間に空気層が形成されている。この空気層は、建物において当該外壁に隣接して設けられた居室と通気ダクトを介して連通されている。この構成によれば、空気層の空気が集熱板を介して太陽光により暖められ、その暖められた空気が暖気として居室に供給される。これにより、例えば冬期において太陽光からの熱を利用して居室の暖房を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−326077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の構成は、太陽光が照射されている昼間の時間帯しか空気層の空気を暖めることができない。そのため、夜間等の太陽光が照射されていない時間帯においては部屋の暖房を行うことができないと考えられる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、夜間においても部屋の暖房を行うことができる建物の太陽熱集熱装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の太陽熱集熱装置は、仕切面材により仕切られた部屋と、前記仕切面材を隔てて前記部屋と隣接する部屋裏空間とを備える建物に適用され、前記建物の外壁又は屋根の屋外側に設けられた集熱板と、前記外壁又は前記屋根と前記集熱板との間に形成された集熱空間と、前記部屋裏空間を通じて設けられ、前記集熱空間の空気を前記部屋に供給するための給気経路と、を備え、前記給気経路は、その途中に、前記集熱空間から供給される空気を内部に蓄える蓄熱用チャンバを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、建物の外壁又は屋根と集熱板との間に形成された集熱空間の空気が太陽熱により集熱板を介して暖められ、その暖められた空気(暖気)が給気通路を通じて建物内の部屋に供給される。これにより、例えば冬場においては、その暖気によって各部屋の暖房を行うことができる。また、給気通路の途中には蓄熱用チャンバが設けられているため、当該チャンバの内部に集熱空間から供給される暖気を蓄えておくことができる。これにより、蓄熱用チャンバに蓄えた暖気を部屋に供給することにより、夜間においても部屋の暖房を行うことができる。
【0008】
なお、部屋裏空間とは、建物内において人が生活の場としたり滞在の場としたりする目的で使用される空間(すなわち部屋)とは異なる空間であり、例えば天井裏空間や床下空間、壁内空間等が挙げられる。
【0009】
第2の発明の建物の太陽熱集熱装置は、第1の発明において、隣り合う2つの部屋が仕切体によって仕切られており、該仕切体は対向する一対の前記仕切面材を有しており、それら各仕切面材の間の前記部屋裏空間に前記蓄熱用チャンバが設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、蓄熱用チャンバが、建物において2つの部屋を仕切る仕切体の内部に設けられており、屋外から部屋を隔てて配置されているため、蓄熱用チャンバの断熱性能を高めることができる。これにより、蓄熱用チャンバ内に暖気(熱)を好適に蓄えておくことができる。また、蓄熱用チャンバが2つの部屋間に設けられる上記の構成は、チャンバ内に蓄えられた暖気をそれら各部屋の両方に供給するにあたり都合がよい。例えば、蓄熱用チャンバの両側面にそれぞれ同チャンバ内の暖気を各部屋に吹き出す吹出部を設ければ、ダクト(配管)を介さずにチャンバ内の暖気を部屋に供給できる。この場合、暖気供給時における熱漏れ低減を図ることができ、夜間において効率のよい暖房が期待できる。
【0011】
なお、仕切体としては、建物において上下に隣接する部屋同士を仕切るもの、水平方向に隣接する部屋同士を仕切るものが考えられる。
【0012】
第3の発明の建物の太陽熱集熱装置は、第2の発明において、前記仕切体は、水平方向に隣り合う2つの部屋を仕切る間仕切壁であり、前記間仕切壁は、対向する一対の壁面材を前記仕切面材として有し、それら各壁面材の間の壁内空間に前記蓄熱用チャンバが設けられていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、間仕切壁の壁内空間に蓄熱用チャンバが設けられているため、同一階にて隣り合う2つの部屋にチャンバ内に蓄えた暖気を供給する場合に都合がよい。また、蓄熱用チャンバが、壁面材を固定するための下地材として用いることが可能な強度を有している場合には、各壁面材をそれぞれ蓄熱用チャンバの側面に固定してもよい。そうすれば、蓄熱用チャンバを蓄熱容器としてだけでなく壁下地材として用いることができ、蓄熱用チャンバの多機能化が図れる。ここで、さらに蓄熱用チャンバを壁内空間に拡がる方向に拡張された扁平形状をなすものとすれば、壁面材を蓄熱用チャンバの側面によって広く支えることができるため、間仕切壁を安定した構造とすることができる。
【0014】
第4の発明の建物の太陽熱集熱装置は、第3の発明において、前記建物は、梁及び柱を有してなる複数の建物ユニットが互いに連結されて構成されるユニット式建物であり、前記蓄熱用チャンバは、前記建物ユニットの前記梁及び前記柱の少なくともいずれかに支持されていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、蓄熱用チャンバの荷重を建物ユニットの躯体を構成する柱及び梁の少なくともいずれかによって支えることができるため、蓄熱用チャンバを安定した状態で設置できる。
【0016】
第5の発明の建物の太陽熱集熱装置は、第4の発明において、水平方向に隣接する2つの建物ユニットの境界部に前記間仕切壁が設けられ、その壁内空間に前記蓄熱用チャンバが設けられており、前記蓄熱用チャンバの上端部には被支持部が固定されており、前記蓄熱用チャンバは、前記隣接する各建物ユニットにおいて対向する前記梁としての各天井大梁に前記被支持部を介して吊り下げられた状態で支持されていることを特徴とする。
【0017】
隣り合う建物ユニットの境界部では、対向する床梁間に隙間が形成されるため、蓄熱用チャンバを、その下端部を床梁上に載置した状態で設置することが困難となる場合がありえる。この点、本発明では、蓄熱用チャンバの上端部に固定された被支持部を介して蓄熱用チャンバを天井大梁に吊り下げ支持する構成としているため、ユニット境界部に蓄熱用チャンバを設置する場合において、同チャンバを好適に支持することが可能となる。
【0018】
また、被支持部が、水平方向に隣接する2つの建物ユニットの各天井大梁上に跨るようにして載置されることで、蓄熱用チャンバが被支持部を介して各天井大梁に吊り下げ支持される構成としてもよい。そうすれば、ユニット式建物の施工時に、蓄熱用チャンバをクレーン等で吊下げた状態で建物ユニット間に設置する際、まず被支持部を天井大梁上に載置することで蓄熱用チャンバを同大梁に支持させ、その後その支持状態で蓄熱用チャンバを建物ユニット(例えば天井大梁)に固定する作業を行える。そのため、蓄熱用チャンバの設置作業を好適に行える。
【0019】
第6の発明の建物の太陽熱集熱装置は、第3乃至第5の発明において、前記建物は、梁及び柱を有してなる複数の建物ユニットが互いに連結されて構成されるユニット式建物であり、水平方向に隣接する2つの建物ユニットの境界部に前記間仕切壁が設けられ、その壁内空間に前記蓄熱用チャンバが設けられており、前記蓄熱用チャンバは、前記壁内空間が拡がる方向に拡張された扁平形状をなし、その一部が前記隣接する各建物ユニットの対向する梁同士の間まで延出していることを特徴とする。
【0020】
ユニット式建物では、隣り合う2つの建物ユニットにおいて対向する梁同士の間(梁間隙間)が通常デッドスペースとなっている。そこで、本発明ではこの点に着目し、建物ユニット同士の境界部に設けられた間仕切壁の壁内空間に蓄熱用チャンバを設け、同チャンバの一部を上記梁間隙間まで延出させる構成としている。この場合、梁間隙間の有効利用を図ることができるとともに、梁間隙間まで蓄熱用チャンバを延出させる分蓄熱用チャンバの内容量を大きくすることができ蓄熱量の増大を図ることができる。
【0021】
第7の発明の建物の太陽熱集熱装置は、第3乃至第6の発明において、前記建物は、梁及び柱を有してなる複数の建物ユニットが互いに連結されて構成されるユニット式建物であり、水平方向に隣接する2つの建物ユニットの境界部に前記間仕切壁が設けられ、その壁内空間に前記蓄熱用チャンバが設けられており、前記建物ユニットは、その天井部又は床部に、前記梁が四辺に組み付けられてなる大梁部を有し、前記給気経路は、前記大梁部で囲まれた梁囲みスペースに設けられ、一端が前記集熱空間に通じ他端が前記蓄熱用チャンバに接続された給気ダクトを備えていることを特徴とする。
【0022】
建物ユニットにおいては、その天井部又は床部に大梁部により囲まれてなる梁囲みスペースが形成されており、この梁囲みスペースが、水平方向に隣接する建物ユニットの間のスペース(以下、ユニット間スペースという)と大梁部(梁)を隔てて隣接している。この点、本発明では、梁囲みスペースに給気ダクトを設置する構成としているため、例えば給気ダクトの端部を大梁部を貫通して設ける等することで、同ダクトをユニット間スペースに容易に導くことができる。そのため、ユニット間スペースに設置された蓄熱用チャンバに給気ダクトを接続するにあたり都合のよい構成といえる。
【0023】
また、蓄熱用チャンバの一部が隣接する各建物ユニットの対向する梁同士の間(梁間隙間)まで延出している第6の発明の構成では、蓄熱用チャンバにおいて上記梁間隙間まで延出した部位が梁囲みスペースに大梁部(梁)を隔てて隣り合う位置に配置される。そのため、本発明を第6の発明に適用すれば、梁囲みスペースに設置された給気ダクトを容易に蓄熱用チャンバに接続することができる。
【0024】
第8の発明の建物の太陽熱集熱装置は、第1乃至第7のいずれかの発明において、前記建物には、前記部屋が複数設けられており、前記給気経路は、前記蓄熱用チャンバ内の空気をそれら複数の部屋に対して供給可能に構成されており、前記蓄熱用チャンバ内の空気をいずれの部屋に供給するかを切り替える切替手段と、前記各部屋ごとに人の有無を検知する人検知手段と、前記人検知手段により人がいることが検知された部屋に対してのみ前記蓄熱用チャンバ内の空気を供給するよう前記切替手段による切替を実施する切替制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、蓄熱用チャンバに蓄えられた暖気が人のいる部屋に対して自動で供給されるため、第1の発明の効果を奏するにあたって利便性を高めることができる。また、人のいない部屋には蓄熱用チャンバの暖気が供給されないため、暖気を無駄に消費することを回避できる。
【0026】
第9の発明の建物の太陽熱集熱装置は、第1乃至第8のいずれかの発明において、前記蓄熱用チャンバ内の空気の前記部屋への供給を行う給気手段と、前記部屋の温度を検知する部屋温度検知手段と、前記蓄熱用チャンバ内の温度を検知するチャンバ温度検知手段と、前記蓄熱用チャンバ内の温度が前記部屋の温度よりも高いことを条件として、前記蓄熱用チャンバ内の空気を前記部屋に供給するよう前記給気手段を制御する給気制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、蓄熱用チャンバに蓄えられた暖気が冷める等してチャンバ内の温度が部屋の温度以下となった場合には、チャンバ内の空気が部屋に供給されないため、冷えた空気が部屋に供給されることでかえって部屋を冷やしてしまう等の不都合を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】建物全体の構成を示す概要図。
【図2】チャンバの設置状態を示す平面図。
【図3】チャンバの構成を示す横断面図。
【図4】ユニット式建物の概要を示す斜視図。
【図5】建物ユニットを示す斜視図。
【図6】太陽熱集熱装置の電気的構成を示すブロック図。
【図7】暖房制御処理を示すフローチャート。
【図8】昼間暖房処理を示すフローチャート。
【図9】夜間暖房処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図4は、ユニット式建物の概要を示す斜視図である。
【0030】
図4に示すように、建物10は、基礎11上に設けられた建物本体12と、その上方に設けられた屋根部13とを備える。建物本体12は、下階部としての一階部分14と、上階部としての二階部分15とを有する二階建ての建物であり、複数の建物ユニット20が互いに連結されることにより構成されている。建物ユニット20は製造工場においてあらかじめ製造され、その後施工現場にトラック等により運搬されるものとなっている。なお、以下においては便宜上、場合によって一階部分14の建物ユニット20を下階ユニット20a、二階部分15の建物ユニット20を上階ユニット20bという。
【0031】
図5は建物ユニット20を示す斜視図である。同図に示すように、建物ユニット20では、その四隅に柱21が配され、各柱21の上端部及び下端部がそれぞれ四本の天井大梁22及び床大梁23に連結されている。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。天井大梁22及び床大梁23(詳細には、溝形鋼のウエブ)にはそれぞれ複数箇所に直径100mm程度の梁貫通孔22a,23aが設けられている。なお、四本の天井大梁22及び四本の床大梁23によってそれぞれ大梁部が構成されている。
【0032】
建物ユニット20の長辺部の相対向する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく建物ユニット20の長辺部の相対向する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25と床小梁26とはそれぞれ同間隔でかつ各々上下に対応する位置に水平に設けられている。天井小梁25によって天井面材28が支持され、床小梁26によって床面材29が支持されている。
【0033】
続いて、建物10の構成について図1に基づいて説明する。図1は、建物全体の構成を示す概要図である。
【0034】
図1に示すように、建物10の一階部分14には第一居室16と第二居室17とが設けられており、二階部分15には第三居室18と第四居室19とが設けられている。これら各居室16〜19はそれぞれ建物ユニット20ごとに設けられている。
【0035】
一階部分14の居室16,17(以下、一階居室16,17ともいう)と二階部分15の居室18,19(以下、二階居室18,19ともいう)とは階間部分31によって仕切られている。階間部分31は、一階居室16,17の天井面材28及び二階居室18,19の床面材29、それら各面材28,29の間にある各種部材により構成されている。それら天井面材28及び床面材29の間のスペースは階間空間32となっており、この階間空間32が部屋裏空間に相当するものとなっている。また、二階居室18,19は、同居室18,19の天井面材28によって屋根裏空間34と仕切られている。この屋根裏空間34も部屋裏空間に相当するものとなっている。
【0036】
一階部分14には、第一居室16と第二居室17とを仕切る間仕切壁36が設けられている。間仕切壁36は、対向する一対の内壁面材37を備え、それら各内壁面材37の間が壁内空間38となっている。各内壁面材37は、例えば壁内空間38に設けられた下地フレームによって支持されている。二階部分15には、第三居室18と第四居室19とを仕切る間仕切壁41が設けられている。間仕切壁41は、対向する一対の内壁面材42を備え、それら各内壁面材42の間が壁内空間43となっている。各内壁面材42は、壁内空間43に設けられたチャンバ71(その詳細は後述)により支持されている。なおここで、各壁内空間38,43がそれぞれ部屋裏空間に相当する。
【0037】
建物10の外周部には、一階部分14及び二階部分15にそれぞれ外壁パネル45が設けられている。これらの外壁パネル45はそれぞれ建物ユニット20の側面、詳しくは同ユニット20の天井大梁22及び床大梁23に固定されている。
【0038】
ところで、本実施形態の建物10には、太陽光の熱を集めることで空気を暖めるとともにその暖めた空気を居室16〜19に供給する太陽熱集熱装置50が設けられている。以下、この太陽熱集熱装置50について説明する。
【0039】
太陽熱集熱装置50は、外壁パネル45の屋外側に設けられた集熱パネル51を備えている。集熱パネル51は、日当たりのよい建物10の南面に設けられた一階部分14の外壁パネル45及び二階部分15の外壁パネル45に対してそれぞれ設けられている。各集熱パネル51はそれぞれ外壁パネル45に対して屋外側に離間して設けられており、これにより一階部分14及び二階部分15ではそれぞれ外壁パネル45と集熱パネル51との間に集熱空間53が形成されている。この場合、集熱パネル51に対して太陽光が照射されると、その太陽熱が集熱パネル51を介して集熱空間53の空気に伝達され、これによって同空間53の空気が暖められるようになっている。
【0040】
集熱パネル51と外壁パネル45との間には、集熱空間53の周囲を囲むように上板部54と一対の側板部55とが設けられている。上板部54と側板部55とはそれぞれ集熱空間53の上端部及び側端部を規定しているとともに、集熱パネル51を外壁パネル45に固定する固定部材となっている。集熱空間53の下端は屋外に開放されており、この開放部分が集熱空間53に屋外の空気を取り込むための取込口56となっている。
【0041】
太陽熱集熱装置50は、集熱空間53の空気を各居室16〜19に供給するための給気経路58,59を備えている。各給気経路58,59のうち一方が一階部分14の集熱空間53の空気を各居室16〜19に供給する第1給気経路58となっており、他方が二階部分15の集熱空間53の空気を各居室16〜19に供給する第2給気経路59となっている。以下、これら各給気経路58,59について説明する。
【0042】
まず、第1給気経路58について説明すると、階間空間32には第1通気ダクト61が設けられている。階間空間32は、建物ユニット20(下階ユニット20a)の天井大梁22によって区画された空間となっているが、第1通気ダクト61は同大梁22の梁貫通孔22a(図5参照)に挿通された状態で、階間空間32において上記区画された各空間に跨るように設けられている。
【0043】
第1通気ダクト61の一端部は天井大梁22の梁貫通孔22a(詳細にはさらに外壁パネル45に形成された挿通孔(図示略))に挿通されて一階部分14の集熱空間53に通じている。この場合、第1通気ダクト61は当該集熱空間53における上端部付近の空気を取り込むものとなっている。第1通気ダクト61は、その途中で複数(図1では4つ)に分岐されて分岐ダクト61aとなっており、これら各分岐ダクト61aはそれぞれ各居室16〜19に設けられた吹出グリル63と接続されている。各吹出グリル63のうち、一階居室16,17の吹出グリル63は同居室16,17の天井面材28に設けられ、二階居室18,19の吹出グリル63は同居室18,19の床面材29に設けられている。
【0044】
第1通気ダクト61の途中、詳しくは第1通気ダクト61における分岐ダクト61aよりも上流側には第1ファン装置65が設けられている。第1ファン装置65は、一階部分14の集熱空間53の空気を第1通気ダクト61を通じて下流側に送るためのものである。ここで、第1ファン装置65を作動させると、当該集熱空間53において暖められた空気(暖気)が第1通気ダクト61(各分岐ダクト61aを含む)を通じて各居室16〜19の吹出グリル63に供給され、その供給された暖気が各々の吹出グリル63より各居室16〜19に吹き出されるようになっている。
【0045】
各吹出グリル63にはそれぞれ各々の吹出口(図示略)を開閉する第1通気ガラリ64(図6参照)が設けられている。第1通気ガラリ64は、図示しない駆動部(モータ等)によって電気的に開閉駆動されるものであり、駆動部が制御されることにより開状態と閉状態とに切替可能となっている。ここで、第1通気ガラリ64が開状態とされると、吹出グリル63が開放され同グリル63からの空気の吹き出しが許容される。それに対して、第1通気ガラリ64が閉状態とされると、吹出グリル63が閉鎖され同グリル63からの空気の吹き出しが禁止される。
【0046】
続いて、第2給気経路59について説明する。屋根裏空間34には給気ダクトとしての第2通気ダクト66が設けられている。第2通気ダクト66は、屋根裏空間34において上階ユニット20bの天井大梁22により囲まれた内側スペース(梁囲みスペース)に設置されている。第2通気ダクト66は、その一端部が天井大梁22の梁貫通孔22a(詳細にはさらに外壁パネル45に形成された挿通孔(図示略))に挿通された状態で二階部分15の集熱空間53に通じている。この場合、第2通気ダクト66は当該集熱空間53における上端部付近の空気を取り込むものとなっている。
【0047】
第2通気ダクト66の途中には第2ファン装置70が設けられている。第2ファン装置70は、集熱空間53の空気を第2通気ダクト66を通じて下流側に送るためのものである。第2通気ダクト66は、その下流側の端部において二階部分15の間仕切壁41の壁内空間43に設置されたチャンバ71と接続されている。チャンバ71は、その内部に集熱空間53で暖められた空気を蓄える蓄熱容器となっており、以下においては、このチャンバ71の構成について図1に加え図2及び図3に基づき説明する。図2はチャンバ71の設置状態を示す平面図、図3はチャンバ71の構成を示す横断面図である。なお、図1では便宜上チャンバ71を網掛けして示している。
【0048】
図1及び図2に示すように、チャンバ71は、例えば合成樹脂等からなる蓄熱容器となっており、内壁面材42の下地材としても用いることができる強度を有している。チャンバ71は、間仕切壁41の壁内空間43に沿って拡がる薄型(換言すると扁平状)の直方体形状(箱状)に形成されており、その上下方向の寸法が建物ユニット20における床大梁23の下面から天井大梁22の上面までの上下寸法と略同じとなっている。また、チャンバ71の横幅方向(図2の左右方向)の寸法は、建物ユニット20の左右2つの柱21間寸法よりも若干小さい寸法となっており、チャンバ71の厚み方向(図2の上下方向)の寸法は、隣り合う建物ユニット20の対向する天井大梁22間の隙間(梁間隙間)寸法(例えば130mm)よりも若干小さい寸法となっている。
【0049】
図3に示すように、チャンバ71は、内層72及び外層73からなる二重構造(複層構造)により形成されている。内層72は、断熱性能・気密性能に優れた樹脂材料により形成されており、その内部が集熱空間53から供給される空気を流通させたり蓄えたりするためのチャンバ内空間Cとなっている。外層73は、チャンバ71の断熱性能を高めるための断熱層となっており、発泡ウレタンフォーム等からなる板状の発泡系断熱材が内層72の外側面に貼り付けられることで構成されている。
【0050】
なお、内層72を形成する材料は必ずしも樹脂材料に限ることなく、ステンレス等の金属材料等他の材料であってもよい。また、チャンバ71は必ずしも複層構造とする必要はなく単層構造であってもよい。単層構造であれば、例えば発泡系断熱材からなる複数の板材を接着剤等により接合することでチャンバ71を構成することが考えられる。
【0051】
チャンバ71の上面部には、板面が水平方向となる向きで支持プレート75が固定されている。被支持部としての支持プレート75は、チャンバ71の横幅方向に延びる長尺平板状の板金部材からなり、その幅(短手方向の長さ)寸法がチャンバ71の厚み寸法よりも大きくなっている。支持プレート75は、幅方向(短手方向)の両側においてその一部がそれぞれチャンバ71からはみ出した状態で同チャンバ71に固定されている。なお、支持プレート75においてチャンバ71からはみ出した部分を以下はみ出し部75aという。
【0052】
チャンバ71は、隣り合う上階ユニット20bの間に縦向きで設けられており、その上端部が各上階ユニット20bの対向する天井大梁22同士の間(梁間隙間)に配設され、その下端部が各上階ユニット20bの対向する床大梁23同士の間(梁間隙間)に配設されている。したがって、チャンバ71は、隣り合う上階ユニット20b間において同ユニット20bの上下高さ全域に亘って設けられている。
【0053】
かかるチャンバ71の設置状態では、支持プレート75の各はみ出し部75aがそれぞれ各上階ユニット20bの天井大梁22(詳しくはその上フランジ部)上に載置されており、その載置された状態で各はみ出し部75aが天井大梁22の上面部にボルト等で固定されている。これにより、チャンバ71は支持プレート75を介して天井大梁22に吊り下げ支持されており、その支持状態で同大梁22に固定されている。この場合、重量物となることが想定されるチャンバ71を安定した状態で設置することができる。また、図示は省略するものの、チャンバ71において床大梁23間に配設された部分(チャンバ71の下部)は同大梁23に対してボルト等で固定されている。
【0054】
なお、チャンバ71の厚み寸法を隣り合う建物ユニット20の床大梁23同士の隙間(梁間隙間)とほぼ同じ寸法に設定し、チャンバ71の設置状態において、チャンバ71の下部の両側面をそれぞれ各床大梁23(詳しくはそのウェブ)に当接させてもよい。そうすれば、チャンバ71のがたつきを床大梁23によって規制できるため、より一層安定した状態でチャンバ71を設置できる。
【0055】
ここで上記のチャンバ71は、施工現場において、隣り合う上階ユニット20bの間に設置されるものとなっている。すなわち、施工時には、まず各建物ユニット20が所定位置に設置され互いに連結されることで建物本体12が構築される。その後、チャンバ71がクレーン等で吊下げられた状態で、隣り合う各上階ユニット20bの天井大梁22間の隙間を通じて、それらユニット20b間に差し入れられる。このとき、チャンバ71は支持プレート75が天井大梁22の上面に当接するまで差し入れられる。これにより、チャンバ71は各上階ユニット20b間において所定の高さ位置に配置され、その配置状態で支持プレート75が天井大梁22にボルト等で固定される。このようにして、チャンバ71は各上階ユニット20b間において所定の位置に設置される。
【0056】
図1の説明に戻り、チャンバ71の両側面にはそれぞれ内壁面材42がビス等で固定されている。すなわち、二階部分15の間仕切壁41では、チャンバ71が各内壁面材42を固定するための下地材として機能しており、それ故間仕切壁41が強固なものとなっている。
【0057】
間仕切壁41の各内壁面材42にはそれぞれ吹出グリル83が設けられている。これら各吹出グリル83のうち一方はチャンバ71内の空気を第三居室18に吹き出すものであり、他方はチャンバ71内の空気を第四居室19に吹き出すものである。
【0058】
チャンバ71において隣接する床大梁23同士の隙間(梁間隙間)に配設されている部位には一対の通気ダクト81,82が接続されている。これらの通気ダクト81,82はそれぞれ床大梁23の梁貫通孔23a(図5参照)に挿通された状態でチャンバ71に接続されている。各通気ダクト81,82のうち一方の通気ダクト81は第一居室16の天井面材28に設けられた吹出グリル83に接続されており、他方の通気ダクト82は第二居室17の天井面材28に設けられた吹出グリル83に接続されている。
【0059】
ここで、第2ファン装置70が作動すると、二階部分15の集熱空間53において暖められた空気(暖気)が第2通気ダクト66を通じてチャンバ71内に流れ込み、その後第三居室18及び第四居室19の各吹出グリル83から各々の居室18,19に吹き出される。そして、チャンバ71内の暖気の一部はさらに各通気ダクト81,82を通じて第一居室16及び第二居室17の各吹出グリル83に供給され、それら各吹出グリル83より各々の16,17に吹き出される。このようにして、二階部分15の集熱空間53の暖気が第2給気経路59を通じて各居室16〜19に供給されるようになっている。
【0060】
各吹出グリル83にはそれぞれ各々の吹出口(図示略)を開閉する第2通気ガラリ84(図6参照)が設けられている。第2通気ガラリ84は、図示しない駆動部(モータ等)によって電気的に開閉駆動されるものであり、駆動部が制御されることにより開状態と閉状態とに切替可能となっている。ここで、第2通気ガラリ84が開状態とされると、吹出グリル83が開放され同グリル83からの空気の吹き出しが許容される。それに対して、第2通気ガラリ84が閉状態とされると、吹出グリル83が閉鎖され同グリル83からの空気の吹き出しが禁止される。したがって、各第2通気ガラリ84を閉状態とすることにより各吹出グリル83を閉鎖した状態で、第2ファン装置70を作動させると、二階部分15の集熱空間53で暖められた空気(暖気)がチャンバ71内において蓄えられる。よって、この場合、チャンバ71内で蓄熱を行うことができる。
【0061】
建物10において、第一居室16、第二居室17、第三居室18及び第四居室19にはそれぞれ各々の居室温度を検知する居室温度センサ86が設けられている。また、各居室16〜19にはそれぞれ各々の居室16〜19における人の有無を検知する人検知センサ87が設けられている。これら各センサ86,87は、例えば各々の居室16〜19の内壁面に設けられている。なおここで、居室温度センサ86が部屋温度検知手段に相当し、人検知センサ87が人検知手段に相当する。
【0062】
一階部分14及び二階部分15の各集熱空間53にはそれぞれ集熱空間温度センサ88が設けられている。集熱空間温度センサ88aは、一階部分14の集熱空間53の温度を検知するセンサであり、集熱空間温度センサ88bは、二階部分15の集熱空間53の温度を検知するセンサである。本実施形態では、これら各集熱空間温度センサ88a,88bが各々の集熱空間53において上部に設けられている。
【0063】
チャンバ71の内部には、チャンバ温度センサ89が設けられている。チャンバ温度センサ89は、チャンバ71内の温度を検知するセンサであり、例えばチャンバ71の内側面に設けられている。なおここで、チャンバ温度センサ89がチャンバ温度検知手段に相当する。
【0064】
次に、太陽熱集熱装置50の電気的構成について図6に基づいて説明する。図6は太陽熱集熱装置50の電気的構成を示すブロック図である。
【0065】
図6に示すように、建物10には、給気制御手段及び切替制御手段としてのコントローラ90が設けられている。コントローラ90は、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを備えて構成されている。コントローラ90には、各居室温度センサ86、各人検知センサ87、各集熱空間温度センサ88及びチャンバ温度センサ89から逐次検知結果が入力される。コントローラ90は、これら各センサ86〜89からの検知結果に基づいて、第1ファン装置65、第2ファン装置70、各第1通気ガラリ64及び各第2通気ガラリ84の動作を制御する。
【0066】
次に、コントローラ90によって実行される暖房制御処理について図7に基づいて説明する。なお、図7は暖房制御処理を示すフローチャートである。また、本処理は所定の周期で繰り返し実行される。
【0067】
図7に示すように、まずステップS11では現在の時刻が所定の昼間時間帯であるか否かを判定する。ここで、所定の昼間時間帯は集熱パネル51に対して太陽光が照射される時間帯に設定されており、例えば10:00〜15:00に設定されている。現在の時刻が所定の昼間時間帯である場合にはステップS12に進み、昼間暖房処理を実行する。
【0068】
ここで、この昼間暖房処理について図8に基づいて説明する。図8は昼間暖房処理を示すフローチャートである。図8に示すように、昼間暖房処理ではまずステップS21において現在の時刻が所定の蓄熱時間帯であるか否かを判定する。本実施形態では、昼間の時間帯に集熱空間53で暖められた空気(暖気)をチャンバ71に蓄えて、その蓄えた暖気(熱)を夜間に各居室16〜19を暖めるために利用することとしている。ステップS21〜S23の各処理はチャンバ71内に暖気(熱)を蓄えるための蓄熱処理に相当し、この蓄熱処理は所定の蓄熱時間帯に実施されるものとなっている。なお、本実施形態では、所定の蓄熱時間帯が12:00〜15:00に設定されている。ステップS21において、現在の時刻が所定の蓄熱時間帯でない場合にはステップS24に進み、所定の蓄熱時間帯である場合にはステップS22に進む。
【0069】
ステップS22では、各居室16〜19の第2通気ガラリ84をそれぞれ閉状態とし、続くステップS23では、第2ファン装置70に駆動信号を出力し同装置70を作動させる。これにより、二階部分15の集熱空間53の空気(暖気)がチャンバ71内に供給され、その暖気が同チャンバ71内に蓄えられる。
【0070】
ステップS24では、各人検知センサ87の検知結果に基づいて、各居室16〜19のいずれかに人がいるか否かを判定する。いずれかの居室16〜19に人がいる場合にはステップS25に進み、いずれの居室16〜19に人がいるかを特定する。ステップS26では、各居室温度センサ86及び各集熱空間温度センサ88の検知結果に基づいて、ステップS25で特定した居室16〜19すなわち人がいる居室16〜19についてその居室温度が集熱空間53の温度よりも低いか否かを判定する。居室16〜19の温度が集熱空間53の温度よりも低い場合にはステップS27に進む。
【0071】
ステップS27では、各集熱空間温度センサ88a,88bの検知結果に基づいて、一階部分14の集熱空間53の温度が二階部分15の集熱空間53の温度よりも高いか否かを判定する。二階部分15の集熱空間53の温度が一階部分14の集熱空間53の温度以上である場合にはステップS28に進み、今現在チャンバ71での蓄熱が実施されているか否かを判定する。この判定は、現在の時刻が所定の蓄熱時間帯であるか否かに基づいて行う。今現在チャンバ71での蓄熱が実施されていない場合、すなわち二階部分15の集熱空間53の暖気を各居室16〜19へ供給可能な場合はステップS29に進む。
【0072】
ステップS29では、ステップS25で人がいると特定された居室16〜19の第2通気ガラリ84を開状態とし、続くステップS30にて第2ファン装置70を作動させる。これにより、二階部分15の集熱空間53の暖気が第2給気経路59を通じて人のいる居室16〜19に供給され、当該居室16〜19の暖房が行われる。なお、ステップS29,S30の各処理を行う場合には、各第1通気ガラリ64を閉状態とするとともに、第1ファン装置65の作動を停止させる。
【0073】
一方、ステップS27において一階部分14の集熱空間53の温度が二階部分15の集熱空間53の温度よりも高い場合、又は、ステップS28において今現在チャンバ71での蓄熱が行われている場合にはステップS31に進む。ステップS31では、人のいる居室16〜19の第1通気ガラリ64を開状態とし、続くステップS32では、第1ファン装置65を作動させる。これにより、一階部分14の集熱空間53の暖気が第1給気経路58を通じて人のいる居室16〜19に供給され、当該居室16〜19の暖房が行われる。なお、ステップS31,S32の各処理を行う場合には、各第2通気ガラリ84を閉状態とするとともに、第2ファン装置70の作動を停止させる。
【0074】
先のステップS24において各居室16〜19に人がいない場合、又はステップS26において人のいる居室16〜19の温度が集熱空間53の温度以上となっている場合には、ステップS35に進む。ステップS35では、各第1通気ガラリ64を閉状態とし、続くステップS36では第1ファン装置65の作動を停止する。この場合、一階部分14の集熱空間53の空気について居室16〜19への供給が停止される。
【0075】
次のステップS37では、今現在チャンバ71での蓄熱が実施されているか否かを判定する。この判定は、現在の時刻が所定の蓄熱時間帯であるか否かに基づいて行う。今現在チャンバ71での蓄熱が実施されている場合には本処理を終了する。今現在チャンバ71での蓄熱が実施されていない場合にはステップS38に進み、各第2通気ガラリ84を閉状態とし、続くステップS39にて第2ファン装置70の作動を停止させる。この場合、二階部分15の集熱空間53の空気について居室16〜19への供給が停止される。
【0076】
図7の説明に戻り、先のステップS11において現在の時刻が所定の昼間時間帯でない場合にはステップS13に進み、現在の時刻が所定の夜間時間帯であるか否かを判定する。本実施形態では、所定の夜間時間帯において、チャンバ71に蓄えられた暖気を各居室16〜19に供給することにより居室16〜19の暖房を行うこととしている。ここで、所定の夜間時間帯は、例えば20:00〜21:00に設定されている。現在の時刻が所定の夜間時間帯である場合にはステップS14に進み、夜間暖房処理を実行する。
【0077】
次に、夜間暖房処理について図9に基づいて説明する。図9は夜間暖房処理を示すフローチャートである。図9に示すように、夜間暖房処理ではまずステップS51において、各人検知センサ87の検知結果に基づいて、各居室16〜19のいずれかに人がいるか否かを判定する。いずれかの居室16〜19に人がいる場合にはステップS52に進み、人のいる居室16〜19を特定する。
【0078】
ステップS53では、各居室温度センサ86及びチャンバ温度センサ89からの検知結果に基づいて、ステップS52で人がいると特定された居室16〜19の温度がチャンバ71内の温度よりも低いか否かを判定する。人がいる居室16〜19の温度がチャンバ71内の温度よりも低い場合にはステップS54に進む。
【0079】
ステップS54では、人がいる居室16〜19の第2通気ガラリ84を開状態とし、続くステップS55では第2ファン装置70を作動させる。これにより、チャンバ71内に蓄えられた暖気が人のいる居室16〜19に対して供給され、当該居室16〜19の暖房が行われる。
【0080】
なお、第2通気ダクト66における第2ファン装置70よりも上流側に、同ダクト66内における空気の流通を許可又は禁止する開閉バルブ(図示略)を設け、本ステップS55の処理時に、開閉バルブを閉じた状態で第2ファン装置70を作動させるようにしてもよい。
【0081】
一方、ステップS51においていずれの居室16〜19にも人がいない場合、又は、ステップS53において人のいる居室16〜19の温度がチャンバ71内の温度以上となっている場合にはステップS56に進む。ステップS56では、各第2通気ガラリ84を閉状態とし、続くステップS57では第2ファン装置70の作動を停止させる。この場合、チャンバ71内に蓄えられた空気について各居室16〜19への供給が停止される。
【0082】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0083】
外壁パネル45の屋外側に集熱パネル51を設けることでそれら両パネル45,51間に集熱空間53を形成し、集熱空間53の空気を居室16〜19に供給するための第2給気経路59を屋根裏空間34、壁内空間43及び階間空間32を通じて設けた。この場合、集熱空間53の空気が太陽熱により集熱パネル51を介して暖められ、その暖められた空気(暖気)が第2給気経路58を通じて居室16〜19に供給される。また、第2給気経路58の途中にチャンバ71を設けたため、集熱空間53から供給される空気(暖気)をチャンバ71の内部に蓄えておくことができる。これにより、チャンバ71に蓄えた暖気を居室16〜19に供給することで、夜間においても居室16〜19の暖房を行うことができる。
【0084】
隣り合う2つの居室18,19を仕切る間仕切壁41の内部の壁内空間43にチャンバ71を設置した。この場合、チャンバ71を屋外から居室18,19を隔てて配置できるため、チャンバ71の断熱性能を高めることができ、チャンバ71内に暖気(熱)を好適に蓄えることができる。また、かかる場合には、チャンバ71に蓄えた暖気を間仕切壁41により仕切られた各居室18,19の両方に供給するにあたり都合がよい。具体的には、チャンバ71の両側面にそれぞれ該チャンバ71内の空気(暖気)を各居室18,19に供給する吹出グリル83を設けたため、ダクト(配管)を介さずにチャンバ71内の暖気を居室18,19に供給できる。この場合、居室18,19への暖気供給時における熱漏れ低減を図ることができ、夜間において効率のよい暖房が期待できる。
【0085】
間仕切壁41を構成する一対の内壁面材42をそれぞれチャンバ71の両側面に固定した。この場合、チャンバ71を蓄熱容器としてだけでなく壁下地材としても用いることができるためチャンバ71の多機能化が図れる。また、チャンバ71を壁内空間43が拡がる方向に拡張された扁平形状に形成したため、内壁面材42をチャンバ71の側面によって広く支えることができ、間仕切壁41を安定した構造とすることができる。
【0086】
チャンバ71を建物ユニット20の天井大梁22により支持する構成としたため、チャンバ71の荷重を建物ユニット20の躯体部分によって支えることができる。これにより、チャンバ71を安定した状態で設置できる。
【0087】
具体的には、チャンバ71の上端部に支持プレート75を固定し、その支持プレート75を介してチャンバ71を隣接する各建物ユニット20の対向する天井大梁22に吊り下げ支持させる構成とした。隣接する建物ユニット20の境界部では、対向する床大梁23間に隙間が形成されるため、チャンバ71をその下端部を床大梁23上に載置した状態で設置することが困難となる場合がありえる。この点、上記吊り下げ支持の構成とすれば、ユニット境界部においてチャンバ71を好適に設置できる。
【0088】
より詳しくは、支持プレート75を、対向する各天井大梁22上に跨がるように載置することで、チャンバ71を同プレート75を介してそれら天井大梁22により支持する構成とした。この場合、建物10の施工時に、チャンバ71をクレーン等で吊り下げた状態でユニット境界部に設置する際、まず支持プレート75を天井大梁22(詳細にはその上フランジ部)上に載置することでチャンバ71を同大梁22により吊り下げ支持し、その後その支持状態でチャンバ71を天井大梁22及び床大梁23に固定する作業を行える。そのため、チャンバ71の設置作業を好適に行える。
【0089】
水平方向に隣り合う2つの建物ユニット20の境界部に設置された間仕切壁41の内部の壁内空間43にチャンバ71を設置した。そして、チャンバ71を壁内空間43が拡がる方向に拡張されてなる扁平形状に形成し、その一部を隣り合う建物ユニット20の対向する天井大梁22同士の間の隙間(梁間隙間)、及び、対向する床大梁23同士の間の隙間(梁間隙間)まで延出させた。この場合、通常デッドスペースとなっている梁間隙間の有効利用を図ることができるとともに、梁間隙間までチャンバ71を延出させる分チャンバ71の内容量を大きくすることができ蓄熱量の増大を図ることができる。
【0090】
建物ユニット20の天井大梁22により囲まれた内側スペース(梁囲みスペース)に、一端が集熱空間53に通じ他端がチャンバ71に接続された第2通気ダクト66を設置した。上記内側スペースは、水平方向に隣接する建物ユニット20の間のユニット間スペースと天井大梁22を隔てて隣接しているため、内側スペースに設置された第2通気ダクト66の端部を天井大梁22の梁貫通孔22aに貫通させる等することで、同ダクト66を容易にユニット間スペースに導くことができる。そのため、ユニット間スペースに設置されたチャンバ71に第2通気ダクト66を接続するに際し好都合な構成となっている。また、特にチャンバ71を、ユニット間スペースにおいて対向する天井大梁22同士の隙間(梁間隙間)まで延出させた上述の構成では、チャンバ71において梁間隙間まで延出した部位が上記内側スペースに天井大梁22を隔てて隣り合う位置に配置されるため、第2通気ダクト66をチャンバ71に対して容易に接続することが可能となる。
【0091】
集熱空間53の空気を居室16〜19に供給するための給気経路として2つの給気経路58,59を設け、そのうち一方の給気経路59(第2給気経路59)にチャンバ71を設ける一方、他方の給気経路58(第1給気経路58)にはチャンバ71を設けないようにした。これにより、昼間の時間帯にチャンバ71での蓄熱が行われているがために第2給気経路59を通じて集熱空間53の空気を居室16〜19へ供給できない場合でも、第1給気経路58を通じて集熱空間53の空気を居室16〜19へ供給できる。そのため、昼間の時間帯においてチャンバ71で蓄熱が行われている場合でも居室16〜19の暖房を行うことができる。
【0092】
チャンバ71内の空気を居室16〜19に供給するための第2ファン装置70を設け、居室温度センサ86により検知された居室16〜19の温度がチャンバ温度センサ89により検知されたチャンバ71内の温度よりも低いことを条件として、チャンバ71内の空気を居室16〜19に供給するよう第2ファン装置70を駆動制御した。この場合、チャンバ71に蓄えられた暖気が冷める等してチャンバ71内の温度が居室16〜19の温度以下となった場合には、チャンバ71内の空気が居室16〜19に供給されないため、冷えた空気が居室16〜19に供給されることでかえって居室16〜19を冷やしてしまう等の不都合を回避できる。
【0093】
第2給気経路59に、チャンバ71内の空気を各居室16〜19に吹き出す吹出グリル83と、それら各吹出グリル83を開閉する第2通気ガラリ84とを設け、人検知センサ87により人がいることが検知された居室16〜19に対してのみチャンバ71内の空気を供給する(吹き出す)よう第2通気ガラリ84を駆動制御した。この場合、チャンバ71に蓄えられた暖気が人のいる居室16〜19に対して自動で供給されるため、夜間における暖房を行うにあたって利便性を高めることができる。また、人のいない居室16〜19にはチャンバ71内の暖気が供給されないため、暖気を無駄に消費することを回避できる。
【0094】
一階部分14の集熱空間53の空気を居室16〜19に供給するための第1給気経路58と、二階部分15の集熱空間53の空気を居室16〜19に供給するための第2給気経路59とを設け、集熱空間温度センサ88aにより検知された一階部分14の集熱空間53の温度と、集熱空間温度センサ88bにより検知された二階部分15の集熱空間53の温度との比較に基づいて、それら各集熱空間53の空気のうちいずれを居室16〜19に供給するかを切り替え可能とした。具体的には、一階部分14の集熱空間53の温度が二階部分15の集熱空間53の温度よりも高い場合には一階部分14の集熱空間53の空気を居室16〜19に供給し、二階部分15の集熱空間53の温度が一階部分14の集熱空間53の温度以上である場合には二階部分15の集熱空間53の空気を居室16〜19に供給するようにした。これにより、比較的温度の高い集熱空間53の空気が居室16〜19に供給されるため、居室16〜19の暖房を好適に行うことができる。
【0095】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0096】
(1)上記実施形態では、チャンバ71を間仕切壁41の壁内空間43に設けたが、これに代えて又は加えて、屋根裏空間34に設けてもよい。チャンバ71を、壁内空間43と屋根裏空間34との両方に設置すれば、蓄熱量を増大することができるため、夜間における暖房時間を長くすることができる。なお、屋根裏空間34ではチャンバ71を横向きの状態で設置すればよい。
【0097】
(2)上記実施形態では、第2給気経路59の途中にチャンバ71を設けたが、これに代えて又は加えて、第1給気経路58の途中にチャンバ71を設けてもよい。例えば、第1給気経路58において、チャンバ71を間仕切壁36の壁内空間38に設置したり、階間空間32に設置したりすることが考えられる。第1給気経路58と第2給気経路59との双方にチャンバ71を設ければ、蓄熱量を増大することができるため、夜間における暖房時間を長くすることができる。
【0098】
(3)第1給気経路58及び第2給気経路59は必ずしも上記実施形態で示した経路を辿る必要はない。例えば、第2給気経路59の一部を、建物10の外周部において外壁パネル45とその屋内側の内壁パネルとの間に形成される壁内空間(部屋裏空間に相当)に通してもよい。この場合、上記壁内空間にチャンバ71を設置してもよい。
【0099】
また、第1給気経路58の一部を下階ユニット20aの床下空間(詳しくは下階ユニット20aの床面材29の下方空間)に通してもよい。この場合、上記床下空間にチャンバ71を設置してもよい。
【0100】
(4)階間空間32に、第1給気経路58に代えて、一端が一階部分14の集熱空間53に通じ他端がチャンバ71に接続された給気ダクトを設けてもよい。そうすれば、二階部分15の集熱空間53の空気(暖気)に加えて、一階部分14の集熱空間53の空気(暖気)もチャンバ71に供給できるため、チャンバ71での蓄熱量を増大させることが可能となる。また、上記の給気ダクトは、例えば階間空間32において上階ユニット20bの床大梁23により囲まれた梁囲みスペースに設置され、その他端がチャンバ71において対向する床大梁23同士の間(梁間隙間)に延出した部分(チャンバ71の下部)に接続されることが考えられる。
【0101】
(5)上記実施形態では、建物10に2つの給気経路58,59を設けたが、3つ以上の給気経路を設けてもよい。この場合、複数の給気経路のうち、一部の給気経路にのみチャンバ71を設けることが好ましい。こうすることで、チャンバ71での蓄熱が行われている間でも、チャンバ71が設けられていない給気経路を通じて集熱空間53の暖気を居室16〜19に供給でき当該居室16〜19の暖房を行うことができる。なお、建物10に給気経路として第2給気経路59のみを設ける構成としてもよい。
【0102】
(6)上記実施形態では、チャンバ71を天井大梁22に支持させる構成としたが、これに代えて又は加えて、チャンバ71を柱21に固定部材を介して固定する等して該柱21に支持させるようにしてもよい。
【0103】
(7)上記実施形態では、建物10において隣り合う建物ユニット20間(ユニット境界部)に設けられた間仕切壁41の壁内空間43にチャンバ71を設けたが、ユニット境界部以外の建物ユニット20内部に設けられた間仕切壁、すなわち床面材29と天井面材28との間に配設された間仕切壁の内部にチャンバ71を設けてもよい。この場合、チャンバ71の上端部を天井面材28を介して天井大梁22に固定し、チャンバ71の下端部を床面材29を介して床大梁23に固定することが考えられる。そうすれば、チャンバ71を、建物ユニット20の躯体に支持させることができ、チャンバ71を安定した状態で設置できる。
【0104】
(8)上記実施形態では、チャンバ71の一部を、隣り合う建物ユニット20の対向する天井大梁22間の隙間(以下、天井側梁間隙間という)、及び、対向する床大梁23間の隙間(以下、床側梁間隙間という)の双方に延出させて形成したが、これを変更して、チャンバ71の一部を、天井側梁間隙間及び床側梁間隙間のいずれか一方にのみ延出させる構成としてもよい。また、チャンバ71の一部を、それら両梁間隙間のいずれにも延出させないようにしてもよい。
【0105】
また、チャンバ71の形状は必ずしも扁平形状である必要はない。例えば、チャンバ71を階間空間32に設置する場合において、チャンバ71を四角柱状に形成し、同チャンバ71を下階ユニット20aにおける隣り合う天井小梁25間と、上階ユニット20bにおける隣り合う床小梁26間とに跨がるように、かつ、それら小梁25,26に沿って延びる向きで設けることが考えられる。
【0106】
(9)上記実施形態では、チャンバ71を支持プレート75(被支持部)を介して天井大梁22により支持したが、これを変更してもよい。例えば、ワイヤロープの一端をチャンバ71の上端部に固定するとともに他端にフック部(引っ掛け部)を設け、該フック部を天井大梁22の梁貫通孔22aに引っ掛けることにより、チャンバ71をワイヤロープを介して天井大梁22により支持することが考えられる。この場合、ワイヤローブが被支持部に相当するものとなる。
【0107】
(10)チャンバ71内に蓄えられた空気(暖気)を居室16〜19に供給するにあたって、居室温度センサ86により検知された居室16〜19の温度に基づいて、チャンバ71内の空気(暖気)の居室16〜19への供給量(暖気供給量)を制御してもよい。具体的には、居室16〜19の温度が低いほど、当該居室16〜19への暖気供給量を増やすことが考えられる。この場合、居室16〜19の温度が低い場合には、居室16〜19に多くの暖気が供給されるため、速やかに居室16〜19を暖めることができる。ここで、居室16〜19への暖気供給量を制御するにあたっては、例えば第2ファン装置70の回転数を制御したり、吹出グリル83の吹出口の開口量(開口面積)を第2通気ガラリ84により制御したりすることが考えられる。
【0108】
(11)一階部分14の集熱空間53と二階部分15の集熱空間53とを上下に連通させてもよい。例えば、両集熱空間53を接続ダクトによって上下に連結し、一階部分14の集熱空間53の空気を接続ダクトを通じて二階部分15の集熱空間53に導くようにする。そうすれば、一階部分14の集熱空間で暖められた空気が二階部分15の集熱空間53に流れ込み、同空間53においてさらに暖められるため、二階部分15の集熱空間53の温度を高くすることができる。これにより、第2給気経路59を通じてチャンバ71に比較的高い温度の暖気を供給でき、その結果チャンバ71での蓄熱量を増大させることができる。
【0109】
(12)上記実施形態では、建物10において集熱パネル51を外壁パネル45の屋外側に設けることで、外壁パネル45と集熱パネル51との間に集熱空間53を形成したが、これを変更して、集熱パネル51を屋根の屋外側に設け、屋根(屋根面)と集熱パネル51との間に集熱空間53を形成してもよい。この場合、例えば第2給気経路59をかかる屋根側の集熱空間53に通じるように設け、同空間53において暖められた空気(暖気)を各居室16〜19に供給することが考えられる。
【0110】
(13)上記実施形態では、ユニット式建物への適用例を説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物や、在来木造工法により構築される建物等、他の構造の建物にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0111】
10…建物、16〜19…部屋としての居室、20…建物ユニット、21…柱、22…梁としての天井大梁、23…梁としての床大梁、28…仕切面材としての天井面材、29…仕切面材としての床面材、34…部屋裏空間としての屋根裏空間、41…仕切体としての間仕切壁、42…仕切面材としての内壁面材、43…部屋裏空間としての壁内空間、50…太陽熱集熱装置、51…集熱板としての集熱パネル、53…集熱空間、58…給気経路としての第1給気経路、59…給気経路としての第2給気経路、66…給気ダクトとしての第2通気ダクト、71…蓄熱用チャンバとしてのチャンバ、75…被支持部としての支持プレート、86…部屋温度検知手段としての居室温度センサ、87…人検知手段としての人検知センサ、89…チャンバ温度検知手段としてのチャンバ温度センサ、90…給気制御手段及び切替制御手段としてのコントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切面材により仕切られた部屋と、前記仕切面材を隔てて前記部屋と隣接する部屋裏空間とを備える建物に適用され、
前記建物の外壁又は屋根の屋外側に設けられた集熱板と、
前記外壁又は前記屋根と前記集熱板との間に形成された集熱空間と、
前記部屋裏空間を通じて設けられ、前記集熱空間の空気を前記部屋に供給するための給気経路と、を備え、
前記給気経路は、その途中に、前記集熱空間から供給される空気を内部に蓄える蓄熱用チャンバを備えることを特徴とする建物の太陽熱集熱装置。
【請求項2】
隣り合う2つの部屋が仕切体によって仕切られており、該仕切体は対向する一対の前記仕切面材を有しており、それら各仕切面材の間の前記部屋裏空間に前記蓄熱用チャンバが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建物の太陽熱集熱装置。
【請求項3】
前記仕切体は、水平方向に隣り合う2つの部屋を仕切る間仕切壁であり、
前記間仕切壁は、対向する一対の壁面材を前記仕切面材として有し、それら各壁面材の間の壁内空間に前記蓄熱用チャンバが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の建物の太陽熱集熱装置。
【請求項4】
前記建物は、梁及び柱を有してなる複数の建物ユニットが互いに連結されて構成されるユニット式建物であり、
前記蓄熱用チャンバは、前記建物ユニットの前記梁及び前記柱の少なくともいずれかに支持されていることを特徴とする請求項3に記載の建物の太陽熱集熱装置。
【請求項5】
水平方向に隣接する2つの建物ユニットの境界部に前記間仕切壁が設けられ、その壁内空間に前記蓄熱用チャンバが設けられており、
前記蓄熱用チャンバの上端部には被支持部が固定されており、
前記蓄熱用チャンバは、前記隣接する各建物ユニットにおいて対向する前記梁としての各天井大梁に前記被支持部を介して吊り下げられた状態で支持されていることを特徴とする請求項4に記載の建物の太陽熱集熱装置。
【請求項6】
前記建物は、梁及び柱を有してなる複数の建物ユニットが互いに連結されて構成されるユニット式建物であり、
水平方向に隣接する2つの建物ユニットの境界部に前記間仕切壁が設けられ、その壁内空間に前記蓄熱用チャンバが設けられており、
前記蓄熱用チャンバは、前記壁内空間が拡がる方向に拡張された扁平形状をなし、その一部が前記隣接する各建物ユニットの対向する梁同士の間まで延出していることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の建物の太陽熱集熱装置。
【請求項7】
前記建物は、梁及び柱を有してなる複数の建物ユニットが互いに連結されて構成されるユニット式建物であり、
水平方向に隣接する2つの建物ユニットの境界部に前記間仕切壁が設けられ、その壁内空間に前記蓄熱用チャンバが設けられており、
前記建物ユニットは、その天井部又は床部に、前記梁が四辺に組み付けられてなる大梁部を有し、
前記給気経路は、前記大梁部で囲まれた梁囲みスペースに設けられ、一端が前記集熱空間に通じ他端が前記蓄熱用チャンバに接続された給気ダクトを備えていることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の建物の太陽熱集熱装置。
【請求項8】
前記建物には、前記部屋が複数設けられており、
前記給気経路は、前記蓄熱用チャンバ内の空気をそれら複数の部屋に対して供給可能に構成されており、
前記蓄熱用チャンバ内の空気をいずれの部屋に供給するかを切り替える切替手段と、
前記各部屋ごとに人の有無を検知する人検知手段と、
前記人検知手段により人がいることが検知された部屋に対してのみ前記蓄熱用チャンバ内の空気を供給するよう前記切替手段による切替を実施する切替制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の建物の太陽熱集熱装置。
【請求項9】
前記蓄熱用チャンバ内の空気の前記部屋への供給を行う給気手段と、
前記部屋の温度を検知する部屋温度検知手段と、
前記蓄熱用チャンバ内の温度を検知するチャンバ温度検知手段と、
前記蓄熱用チャンバ内の温度が前記部屋の温度よりも高いことを条件として、前記蓄熱用チャンバ内の空気を前記部屋に供給するよう前記給気手段を制御する給気制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の建物の太陽熱集熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−2721(P2013−2721A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133785(P2011−133785)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】