説明

建物の換気構造

【課題】小屋裏空間の換気を効率的に行うことができるとともに、夏場における、小屋裏空間の温度上昇を抑制することができ、ひいては、屋内の温度上昇を抑制することができる建物の換気構造を提供することを目的とする。
【解決手段】勾配屋根2は、下屋根材6と、下屋根材6の上に設けられた上屋根材8と、を備え、下屋根材6と上屋根材8との間に形成された屋根通気層10と、勾配屋根2の軒端に形成されるとともに、外気を取り入れるための軒給気口11と、屋根通気層10と小屋裏空間4とを連通する屋根通気口13と、勾配屋根2の棟に設けられるとともに、屋根通気層10の空気を排気するための棟排気口14と、勾配屋根2の棟排気口14を上方から覆うように設けられた棟カバー材15と、を備え、棟カバー材15により形成される棟空間は、外気が流通可能に形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の換気構造に関し、更に詳しくは、勾配屋根を有する建物の小屋裏空間の換気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、夏場において、小屋裏空間の温度は、日照により、高温になることが知られている。そして、小屋裏空間の温度上昇により、小屋裏空間の直下に位置する部屋の温度も上昇し、夏場における、屋内の快適性、省エネルギー性に問題があった。
このような問題に対して、従来から、小屋裏空間を換気することで、小屋裏空間の温度上昇を抑制するといったことが行われていた。たとえば、小屋裏空間の換気として、軒下から外気を取り入れ、勾配屋根の棟で排気を行うものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−13688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、軒下から外気を取り入れ、勾配屋根の棟で排気を行う換気だけでは、夏場における、小屋裏空間の温度上昇を抑制するのに十分ではなかった。
そこで、各請求項にそれぞれ記載された発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
(請求項1)
すなわち、請求項1記載の発明は、小屋裏空間の換気を効率的に行うことができるとともに、夏場における、小屋裏空間の温度上昇を抑制することができ、ひいては、屋内の温度上昇を抑制することができ、もって、冷房設備の使用を抑制することができるとともに、省エネルギーに貢献することができる建物の換気構造を提供することを目的とする。
(請求項2又は3)
すなわち、請求項2又は3記載の発明は、上記請求項1記載の発明の目的に加え、小屋裏空間の換気をより効率的に行うことができる建物の換気構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項に記載された発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1記載の発明は、建物1の最上階の天井3と勾配屋根2とにより形成される小屋裏空間4を有する建物1の換気構造であって、勾配屋根2は、下屋根材6と、下屋根材6の上に設けられた上屋根材8と、を備え、下屋根材6と上屋根材8との間に形成された屋根通気層10と、勾配屋根2の軒端に形成されるとともに、屋根通気層10に外気を取り入れるための軒給気口11と、下屋根材6に形成されるとともに、屋根通気層10と小屋裏空間4とを連通する屋根通気口13と、勾配屋根2の棟に設けられるとともに、屋根通気層10の空気を排気するための棟排気口14と、勾配屋根2の棟排気口14を上方から覆うように設けられた棟カバー材15と、を備え、棟カバー材15により形成される棟空間は、外気が流通可能に形成されていることを特徴とする。
【0006】
ここで、「勾配屋根」は、傾斜を有する屋根であり、たとえば、片流れ屋根、寄棟屋根、切妻屋根などである。
また、「下屋根材」は、屋根通気層10を有するように形成された二重構造屋根において、屋根通気層10の下側に位置し、屋根通気層10を形成する部材であり、たとえば、構造パネル材7、野地板などである。
また、「上屋根材」は、屋根通気層10を有するように形成された二重構造屋根において、屋根通気層10の上側に位置し、屋根通気層10を形成する部材であり、たとえば、屋根葺き材9などである。
【0007】
また、「棟空間は、外気が流通可能に形成され」とは、棟空間を外気が流通した際に棟空間で負圧が発生するように、棟カバー材15が形成されるとともに、勾配屋根2の棟に設けられるということである。
本発明に係る建物1の換気構造において、勾配屋根2は、下屋根材6と、下屋根材6の上に設けられた上屋根材8とを備える二重構造屋根である。そして、下屋根材6と上屋根材8との間には、屋根通気層10が形成される。また、勾配屋根2の軒端には、屋根通気層10に外気を取り入れるための軒給気口11が形成されるとともに、勾配屋根2の棟には、屋根通気層10の空気を排気するための棟排気口14が設けられる。そして、日照により暖められた屋根通気層10の空気は、温度差による自然対流により棟排気口14から排気される。そして、屋根通気層10の空気が棟排気口14から排気されることで、軒給気口11から屋根通気層10に外気が取り入れられる。これにより、小屋裏空間4の断熱効果を高めることができる。
【0008】
また、本発明に係る建物1の換気構造において、下屋根材6には、屋根通気層10と小屋裏空間4とを連通する屋根通気口13が形成される。すなわち、小屋裏空間4の空気は、屋根通気層10を通り、棟排気口14から排気される。
また、勾配屋根2の棟には、棟排気口14を上方から覆うように棟カバー材15が設けられる。そして、棟カバー材15により形成される棟空間は、外気が流通可能に形成される。具体的には、棟カバー材15は、棟空間を外気が流通した際に棟空間で負圧が発生するように、形成されるとともに、勾配屋根2の棟に設けられる。したがって、棟空間を外気が流通すると、棟空間に負圧が発生し、棟排気口14から屋根通気層10の空気が吸引される。
【0009】
以上より、屋根通気層10における空気の温度差による自然対流に加えて、棟空間を外気が流通することで生じる吸引作用により、小屋裏空間4の換気を効率的に行うことができるとともに、夏場における、小屋裏空間4の温度上昇を抑制することができる。
(請求項2)
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の特徴に加え、屋根通気口13は、下屋根材6の最高位置部分に形成されていることを特徴とする。
本発明に係る建物1の換気構造において、屋根通気口13は、下屋根材6の最高位置部分に形成される。これにより、日照により暖められた小屋裏空間4の空気は、温度差による自然対流により屋根通気口13に向けて流れる。すなわち、小屋裏空間4における煙突効果を高めることができる。したがって、小屋裏空間4の換気をより効率的に行うことができる。
(請求項3)
請求項3記載の発明は、上記請求項1記載の発明の特徴に加え、屋根通気層10には、勾配屋根2の勾配方向における流路断面積が、他の部分の流路断面積より小さい小断面積部16が形成され、屋根通気口13は、下屋根材6における小断面積部16の最小断面積部分に対応する位置に形成されていることを特徴とする。
【0010】
ここで、「小断面積部」は、屋根通気層10における、勾配屋根2の勾配方向における流路断面積が、他の部分の流路断面積より小さいものである。たとえば、小断面積部16は、下屋根材6における所定の位置に、下屋根材6から上屋根材8に向けて突出して形成された凸部17により、構成することができる。
本発明に係る建物1の換気構造において、屋根通気層10には、勾配屋根2の勾配方向における流路断面積が、他の部分の流路断面積より小さい小断面積部16が形成される。そして、屋根通気口13は、下屋根材6における小断面積部16の最小断面積部分に対応する位置に形成される。これにより、屋根通気層10を空気が流通すると、屋根通気層10における小断面積部16において、負圧が発生し、屋根通気口13から小屋裏空間4の空気が吸引される。
【0011】
以上より、屋根通気層10における空気の温度差による自然対流、および棟空間を外気が流通することで生じる吸引作用に加えて、屋根通気層10における小断面積部16を空気が流通することで生じる吸引作用により、小屋裏空間4の換気をより効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
(請求項1)
すなわち、請求項1記載の発明は、小屋裏空間の換気を効率的に行うことができるとともに、夏場における、小屋裏空間の温度上昇を抑制することができ、ひいては、屋内の温度上昇を抑制することができ、もって、冷房設備の使用を抑制することができるとともに、省エネルギーに貢献することができる建物の換気構造を提供することができる。
(請求項2又は3)
すなわち、請求項2又は3記載の発明は、上記請求項1記載の発明の効果に加え、小屋裏空間の換気をより効率的に行うことができる建物の換気構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態であって、建物の換気構造を説明する側断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態であって、建物の換気構造を説明する側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
本実施の形態に係る建物1の換気構造は、住宅に適用される。また、住宅の屋根は、図1に示すように、勾配屋根2となっている。また、住宅には、図1に示すように、住宅の最上階の天井3と勾配屋根2とにより小屋裏空間4が形成されている。
(住宅)
本実施の形態における住宅は、特に図示していないが、リビングルーム、寝室、ダイニングルーム、洗面所および台所などに区画されている。
【0015】
そして、各部屋には、図示しない通気口が設けられている。また、最上階の天井3には、小屋裏空間4と小屋裏空間4の直下に位置する部屋とを連通する天井通気口5が形成されている。すなわち、本実施の形態における住宅において、屋内の空気は、温度差による自然対流により、小屋裏空間4に向けて流れるように構成されている。
(勾配屋根2)
本実施の形態における勾配屋根2は、切妻屋根である。また、勾配屋根2は、図1に示すように、下屋根材6と、下屋根材6の上に設けられた上屋根材8とを備える二重構造屋根となっている。そして、下屋根材6と上屋根材8との間には、図1に示すように、屋根通気層10が形成されている。具体的には、下屋根材6は、四角枠状の枠材の上面および下面に面材を設けた構造パネル材7であり、内部に断熱材が設けられている。また、上屋根材8は、屋根葺き材9である。また、屋根葺き材9は、合板などの屋根葺き下地材と、屋根葺き下地材の上に設けられたスレートや瓦などとにより構成されている。そして、屋根葺き材9は、構造パネル材7の上に、図示しないスペーサを介して固定されている。そして、構造パネル材7と屋根葺き材9との間には、スペーサにより、屋根通気層10が形成されている。すなわち、屋根通気層10は、構造パネル材10と、屋根葺き下地材との間の空間である。
【0016】
また、下屋根材6における最高位置部分には、図1に示すように、屋根通気層10と小屋裏空間4とを連通する屋根通気口13が形成されている。
また、勾配屋根2の軒端には、図1に示すように、屋根通気層10に外気を取り入れるための軒給気口11が形成されている。具体的には、勾配屋根2の軒端には、図1に示すように、有孔ボード12が設けられ、該有孔ボード12により軒給気口11が形成されている。また、勾配屋根2の棟には、図1に示すように、屋根通気層10の空気を排気するための棟排気口14が形成されている。
(勾配屋根2の棟)
本実施の形態における勾配屋根2の棟には、図1に示すように、棟排気口14を上方から覆うように棟カバー材15が設けられている。そして、上屋根材8と棟カバー材15とにより形成される棟空間は、外気が流通可能に形成されている。具体的には、棟カバー材15は、棟空間を外気が流通した際に棟空間で負圧が発生するように、形成されるとともに、勾配屋根2の棟に設けられている。
(作用・効果)
上述の如く、本実施の形態に係る建物1の換気構造において、勾配屋根2には、屋根通気層10が形成される。また、屋根通気層10の空気は、日照により暖められると、温度差による自然対流により棟排気口14から排気される。そして、屋根通気層10の空気が棟排気口14から排気されることで、軒給気口11から屋根通気層10に外気が取り入れられる。これにより、小屋裏空間4の断熱効果を高めることができる。
【0017】
また、本実施の形態に係る建物1の換気構造において、屋内の空気は、温度差による自然対流により、小屋裏空間4に向けて流れる。また、小屋裏空間4の空気は、屋根通気層10を通り、棟排気口14から排気される。
また、勾配屋根2の棟には、棟排気口14を上方から覆うように棟カバー材15が設けられる。そして、上屋根材8と棟カバー材15とにより形成される棟空間は、外気が流通可能に形成される。具体的には、棟カバー材15は、棟空間を外気が流通した際に棟空間で負圧が発生するように、形成されるとともに、勾配屋根2の棟に設けられる。したがって、棟空間を外気が流通すると、棟空間に負圧が発生し、屋根通気層10の空気が吸引される。
【0018】
以上より、屋根通気層10における空気の温度差による自然対流に加えて、棟空間を外気が流通することで生じる吸引作用により、小屋裏空間4の換気を効率的に行うことができるとともに、夏場における、小屋裏空間4の温度上昇を抑制することができる。これにより、屋内の換気を効率的に行うことができるとともに、屋内の温度上昇を抑制することができ、もって、冷房設備の使用を抑制することができるとともに、省エネルギーに貢献することができる。
また、本実施の形態に係る建物1の換気構造において、屋根通気層10と小屋裏空間4とを連通する屋根通気口13は、下屋根材6における最高位置部分に形成される。これにより、日照により暖められた小屋裏空間4の空気は、温度差による自然対流により屋根通気口13に向けて流れる。すなわち、小屋裏空間4における煙突効果を高めることができる。
【0019】
以上より、小屋裏空間4の換気をより効率的に行うことができる。
なお、本実施の形態において、屋根通気口13は、下屋根材6における最高位置部分に形成されているが、下屋根材6におけるいずれの位置に形成されても良いものである。
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図2は、本発明の第2の実施の形態であって、建物1の換気構造を説明する側断面図である。
また、本実施の形態は、上記第1の実施の形態と、下屋根材6の形状、および屋根通気口13が設けられる位置が異なる。以下、相違点を中心に説明する。
(勾配屋根2)
本実施の形態における勾配屋根2は、切妻屋根である。また、勾配屋根2は、図2に示すように、下屋根材6と、下屋根材6の上に設けられた上屋根材8とを備える二重構造屋根となっている。そして、下屋根材6と上屋根材8との間には、図2に示すように、屋根通気層10が形成されている。
【0020】
また、本実施の形態において、屋根通気層10には、勾配屋根2の勾配方向における流路断面積が、他の部分の流路断面積より小さい小断面積部16が形成されている。具体的には、小断面積部16は、図2に示すように、下屋根材6に形成されるとともに、下屋根材6から上屋根材8に向けて突出する凸部17により、構成されている。より具体的には、小断面積部16は、屋根通気層10における、図2に示す破線Aと破線Bとの間の空間であり、凸部17は、下屋根材6における、図2に示す破線Aと破線Bとの間の部分である。また、小断面積部16は、図2に示すように、屋根通気層10における頂部付近に形成されている。
また、本実施の形態において、屋根通気口13は、下屋根材6における小断面積部16の最小断面積部分に対応する位置に形成されている。具体的には、屋根通気口13は、図2に示すように、下屋根材6における凸部17の頂部に形成されている。
(作用・効果)
上述の如く、本実施の形態に係る建物1の換気構造において、勾配屋根2には、屋根通気層10が形成される。また、屋根通気層10の空気は、日照により暖められると、温度差による自然対流により棟排気口14から排気される。そして、屋根通気層10の空気が棟排気口14から排気されることで、軒給気口11から屋根通気層10に外気が取り入れられる。これにより、小屋裏空間4の断熱効果を高めることができる。
【0021】
また、本実施の形態に係る建物1の換気構造において、屋内の空気は、温度差による自然対流により、小屋裏空間4に向けて流れる。また、小屋裏空間4の空気は、屋根通気層10を通り、棟排気口14から排気される。
また、勾配屋根2の棟には、棟排気口14を上方から覆うように棟カバー材15が設けられる。そして、上屋根材8と棟カバー材15とにより形成される棟空間は、外気が流通可能に形成される。具体的には、棟カバー材15は、棟空間を外気が流通した際に棟空間で負圧が発生するように、形成されるとともに、勾配屋根2の棟に設けられる。したがって、棟空間を外気が流通すると、棟空間に負圧が発生し、屋根通気層10の空気が吸引される。
【0022】
以上より、屋根通気層10における空気の温度差による自然対流に加えて、棟空間を外気が流通することで生じる吸引作用により、小屋裏空間4の換気を効率的に行うことができるとともに、夏場における、小屋裏空間4の温度上昇を抑制することができる。これにより、屋内の換気を効率的に行うことができるとともに、屋内の温度上昇を抑制することができ、もって、冷房設備の使用を抑制することができるとともに、省エネルギーに貢献することができる。
また、本実施の形態に係る建物1の換気構造において、屋根通気層10には、勾配屋根2の勾配方向における流路断面積が、他の部分の流路断面積より小さい小断面積部16が形成される。具体的には、小断面積部16は、下屋根材6に形成されるとともに、下屋根材6から上屋根材8に向けて突出する凸部17により、構成される。また、屋根通気層10と小屋裏空間4とを連通する屋根通気口13は、下屋根材6における小断面積部16の最小断面積部分に対応する位置に形成される。具体的には、屋根通気口13は、下屋根材6における凸部17の頂部に形成される。これにより、屋根通気層10を空気が流通すると、屋根通気層10における小断面積部16において、負圧が発生し、屋根通気口13から小屋裏空間4の空気が吸引される。
【0023】
以上より、小屋裏空間4の換気をより効率的に行うことができる。
なお、本実施の形態において、凸部17は、下屋根材6におけるいずれの位置に形成されても良いものである。
また、本実施の形態において、屋根通気層10における小断面積部16は、下屋根材6に形成された凸部17により構成されているが、これに限定されるものではない。たとえば、屋根通気層10における小断面積部16を、上屋根材8に形成されるとともに、上屋根材8から下屋根材6に向けて突出する凸部により、構成するようにしても良い。かかる場合において、屋根通気口13は、下屋根材6における、凸部の頂部に対応する位置に形成することができる。
(他の実施の形態)
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲における変形および改良なども含むものである。
【0024】
また、上述した本発明の実施の形態において、下屋根材6は、構造パネル材7であり、上屋根材8は、屋根葺き材9であるが、これに限定されるものではない。たとえば、下屋根材6を、野地板とし、上屋根材8を、野地板の上に設けられた屋根葺き材とし、野地板と屋根葺き材との間に屋根通気層10を形成するようにしても良い。また、たとえば、下屋根材6を、野地板の上に設けられた防水材とし、上屋根材8を、防水材の上に設けられた屋根葺き材とし、防水材と屋根葺き材との間に屋根通気層10を形成するようにしても良い。これらの場合において、屋根葺き材は、上述した本発明の実施の形態と同様に、合板などの屋根葺き下地材と、屋根葺き下地材の上に設けられたスレートや瓦などとにより構成することができる。すなわち、下屋根材6は、屋根通気層10を有するように形成された二重構造屋根において、屋根通気層10の下側に位置し、屋根通気層10を形成する部材であれば良いものである。また、上屋根材8は、屋根通気層10を有するように形成された二重構造屋根において、屋根通気層10の上側に位置し、屋根通気層10を形成する部材であれば良いものである。
【0025】
また、上述した本発明の実施の形態において、棟排気口14は、勾配屋根2の棟に形成されているが、勾配屋根2の棟に換気塔を設け、該換気塔の頂部に設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0026】
1 建物(住宅) 2 勾配屋根
3 最上階の天井 4 小屋裏空間
5 天井通気口 6 下屋根材
7 構造パネル材 8 上屋根材
9 屋根葺き材 10 屋根通気層
11 軒給気口 12 有孔ボード
13 屋根通気口 14 棟排気口
15 棟カバー材 16 小断面積部
17 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の最上階の天井と勾配屋根とにより形成される小屋裏空間を有する建物の換気構造であって、
勾配屋根は、
下屋根材と、
下屋根材の上に設けられた上屋根材と、を備え、
下屋根材と上屋根材との間に形成された屋根通気層と、
勾配屋根の軒端に形成されるとともに、屋根通気層に外気を取り入れるための軒給気口と、
下屋根材に形成されるとともに、屋根通気層と小屋裏空間とを連通する屋根通気口と、
勾配屋根の棟に設けられるとともに、屋根通気層の空気を排気するための棟排気口と、
勾配屋根の棟排気口を上方から覆うように設けられた棟カバー材と、を備え、
棟カバー材により形成される棟空間は、外気が流通可能に形成されていることを特徴とする建物の換気構造。
【請求項2】
屋根通気口は、下屋根材の最高位置部分に形成されていることを特徴とする請求項1記載の建物の換気構造。
【請求項3】
屋根通気層には、勾配屋根の勾配方向における流路断面積が、他の部分の流路断面積より小さい小断面積部が形成され、
屋根通気口は、下屋根材における小断面積部の最小断面積部分に対応する位置に形成されていることを特徴とする請求項1記載の建物の換気構造。

【図1】
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【図2】
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