建物の気密構造
【課題】製造時における作業工数の削減を図ることができる建物の気密構造を提供する。
【解決手段】床下地材32上に設置された内壁材21の裏面側には、板状に形成された繊維系断熱材27に袋体26を被せてなる壁内断熱材23が、内壁材21の裏面に沿って設けられており、袋体26の一部には、繊維系断熱材27の周縁部よりも外側に延出する耳部28が設けられている。耳部28において繊維系断熱材27の下側から延出する下耳部28aは、内壁材21の下端部と床下地材32との間を通じて内壁材21の表面側に延びており、その一部が床下地材32とその上に敷設されている床仕上げ材33との間に挟み込まれている。
【解決手段】床下地材32上に設置された内壁材21の裏面側には、板状に形成された繊維系断熱材27に袋体26を被せてなる壁内断熱材23が、内壁材21の裏面に沿って設けられており、袋体26の一部には、繊維系断熱材27の周縁部よりも外側に延出する耳部28が設けられている。耳部28において繊維系断熱材27の下側から延出する下耳部28aは、内壁材21の下端部と床下地材32との間を通じて内壁材21の表面側に延びており、その一部が床下地材32とその上に敷設されている床仕上げ材33との間に挟み込まれている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の気密構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物では、外壁部の断熱性能を確保するために、対向配置される外壁面材と内壁面材との間の壁内空間に壁内断熱材が設けられているのが一般的である。この種の壁内断熱材としては、グラスウール等の繊維系断熱材に防湿性を有する表被材を被せてなるものがある。かかる壁内断熱材では、表被材の周縁部から外側に延出する耳部が設けられているものがあり、この場合、耳部を内壁面材等にタッカー等を用いて取り付けることで壁内断熱材を組み付けられるようになっている。
【0003】
また、建物においては断熱性能の他に気密性能が求められる。例えば、建物の外壁部では、内壁面材と床面材との間の隙間を通じて屋内に外気が出入りすることが想定される。そこで、この対策として、例えば特許文献1には、内壁面材と床面材との境界部に沿って気密テープを貼り付け目止めした構成が開示されている。これによれば、内壁面材と床面材との間の隙間を通じて屋内に外気が出入りするのを抑制できるため、気密性を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−49754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、細長状の気密テープを内壁面材と床面材との境界部に沿ってそれら各面材に跨るように貼り付けていく必要があり、その作業には慎重さが求められる。そのため、気密テープの貼り付け作業には多大な時間を要することが想定され、作業工数の増大が懸念される。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製造時における作業工数の削減を図ることができる建物の気密構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の気密構造は、床下地面材上に設置された内壁面材の裏面側に、板状に形成された繊維系材料に表被材を被せてなる壁内断熱材が、前記内壁面材の裏面に沿って設けられた建物に適用され、前記表被材の一部には、前記繊維系材料の周縁部よりも外側に延出する耳部が設けられており、前記耳部において前記繊維系材料の下側から延出する下耳部は、前記内壁面材の下端部と前記床下地面材との間を通じて前記内壁面材の表面側に延び、その一部が前記床下地面材とその上に敷設される床仕上げ面材との間に挟み込まれていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、内壁面材の裏面に設けられた壁内断熱材の表被材の下耳部が、内壁面材の下端部と床下地面材との間を通じて内壁面材の表面側に一部引き出されており、その引き出された部分が床下地面材と床仕上げ面材との間に挟み込まれている。この場合、内壁面材と床仕上げ面材との間の間隙が下耳部により下方から覆われるため、内壁面材と床仕上げ面材との間を通じて空気が出入りするのを抑制でき、その結果気密性の確保が図れる。また、かかる構成では、まず下耳部を内壁面材の表面側に引き出した状態で当該内壁面材を床下地面材上に設置し、その後床下地面材上に床仕上げ面材を設置するといった簡易な作業を行うことで、それら両面材の間に下耳部を挟み込むことができる。そのため、製造時における作業工数の削減を図ることができる。
【0009】
ところで、内壁面材の下端部と床下地面材との間で下耳部を挟み込むだけでも、それら両者の間を通じた空気の出入りを抑制できるため、結果として内壁面材と床仕上げ面材との間の気密性能をある程度確保することができる。しかしながら、かかる構成では、下耳部が挟み込まれる挟み込み部分の幅(詳しくは内壁材の壁厚み方向の長さ)を内壁面材の壁厚み分しか確保できず、十分な気密効果を得られないおそれがある。この点、床下地面材と床仕上げ面材との間で下耳部を挟み込む上記の構成では、下耳部の挟み込み部分を広く確保できるため、十分な気密効果を得ることが可能となる。
【0010】
第2の発明の建物の気密構造は、第1の発明において、前記内壁面材が横並びに複数設置されているとともに、前記各内壁面材ごとに前記壁内断熱材が配設されている建物に適用され、前記下耳部は、前記内壁面材の幅方向の長さが該内壁面材の幅寸法よりも大きく設定されることにより、その一部が前記内壁面材よりも側方に延出する延出部となっており、前記隣り合う内壁面材において、一方の内壁面材の裏面に設けられた前記壁内断熱材の前記下耳部の延出部が、他方の内壁面材の裏面に設けられた前記壁内断熱材の前記下耳部と重ね合わせられ、その重ね合わせ状態で前記床下地面材と前記床仕上げ面材との間に挟み込まれていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、隣り合う各内壁面材の裏面に設けられた各々の壁内断熱材の下耳部同士が一部重ね合わせられた状態で設けられており、その重ね合わせ状態で各下耳部が床下地面材と床仕上げ面材との間に挟み込まれている。この場合、内壁面材の並ぶ方向に沿って連続した気密ラインを形成できるため、気密性を高めることができる。
【0012】
第3の発明の建物の気密構造は、第1又は第2の発明において、前記耳部において前記繊維系材料の上側から延出する上耳部は、前記内壁面材の上端部と、その上方に設けられた天井下地面材との間を通じて前記内壁面材の表面側に延びており、その一部が前記天井下地面材と、その下方に設けられた廻り縁及び天井仕上げ面材のうち少なくともいずれかとの間に挟み込まれていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、内壁面材の裏面側に設けられた壁内断熱材の上耳部が内壁面材の上端部と天井下地面材との間を通じて内壁面材の表面側に引き出されており、その引き出された部分が天井下地面材と、その下方に設けられた廻り縁及び天井仕上げ面材の少なくともいずれかとの間に挟み込まれている。この場合、内壁面材の上端部と天井下地面材との間の隙間を上耳部により覆うことができるため、内壁面材と天井下地面材との間を通じて空気が出入りするのを抑制できる。その結果、内壁面材の上下端部それぞれにおいて空気の出入りを抑制でき、気密性の向上を図ることができる。
【0014】
ところで、天井仕上げ面材としてはクロス等のシート材が用いられることが考えられる。この場合、天井仕上げ面材と天井下地面材との間に上耳部を挟み込む構成とすると、天井仕上げ面材に不陸が生じて天井側の美観が損なわれるおそれがある。この点を鑑みると、廻り縁と天井下地面材との間に上耳部を挟み込む構成とするのが望ましいといえる。
【0015】
第4の発明の建物の気密構造は、第3の発明において、前記内壁面材と、その上方に設けられた天井下地面材との境界部に沿って廻り縁が設けられており、前記上耳部は、前記内壁面材の上端部と前記天井下地面材との間を通じて前記内壁面材の表面側に延び、その端部が屋内空間側に露出しない状態で前記天井下地面材と前記廻り縁との間に挟み込まれていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、上記第3の発明と同様に、内壁面材の上端部と天井下地面材との間を通じた空気の出入りを抑制できる。そして、下耳部の端部が廻り縁と天井下地面材との間に、屋内空間側に露出することなく挟み込まれているため、屋内空間の美観を損なうことなく上記の効果を得ることができる。
【0017】
第5の発明の建物の気密構造は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記内壁面材と、前記壁内断熱材と、前記内壁面材の裏面側において前記壁内断熱材の周囲に設けられる内壁フレームとを有する内壁パネルを備え、前記内壁パネルが、横並びに複数設置されている建物に適用され、前記内壁パネルにおいて、前記内壁フレームは、前記内壁面材の側縁に沿って設けられる縦枠材を有し、該縦枠材と前記内壁面材との間には、前記壁内断熱材の耳部において前記繊維系材料から側方に延出する側耳部が挟み込まれており、隣り合う前記内壁パネルにおいて、一方の内壁パネルの前記縦枠材は、他方の内壁パネル側にはみ出して同パネルの内壁面材と対向する対向部を有し、それら対向し合う当該内壁面材と当該対向部との間には、前記一方の内壁パネルにおいて前記縦枠材と前記内壁面材との間に挟み込まれた前記側耳部の端縁部及び、前記他方の内壁パネルにおける前記壁内断熱材の側耳部のうち少なくともいずれかが挟み込まれていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、隣り合う各内壁パネルにおいて、一方の内壁パネルにおける内壁面材の裏面に設けられた縦枠材の対向部が、他方の内壁パネルにおける内壁面材の裏面に対向して設けられている。この場合、当該縦枠材は、各内壁パネルの内壁面材の裏面に跨って配設されている。ここで、一方の内壁パネルでは、当該縦枠材と内壁面材との間に壁内断熱材の側耳部が挟み込まれているため、当該縦枠材と内壁面材との間を通じた空気の出入りが抑制されている。それに対して、当該縦枠材の対向部と他方の内壁パネルの内壁面材との間には、一方の内壁パネルにおいて当該縦枠材と内壁面材との間に挟み込まれた側耳部の端部(詳しくは、当該側耳部において内壁面材よりも側方にはみ出した部分)及び、他方の内壁パネルにおける壁内断熱材の側耳部のうち少なくともいずれかが挟みこまれているため、当該縦枠材と当該内壁面材(他方の内壁パネルの内壁面材)との間を通じた空気の出入りが抑制されている。以上により、隣り合う各内壁パネル(内壁面材)の間を通じて空気が出入りするのを抑制でき、その結果気密性を高めることができる。
【0019】
第6の発明の建物の気密構造は、第5の発明において、前記一方の内壁パネルにおいて前記縦枠材と前記内壁面材との間に挟み込まれた前記側耳部は該内壁面材よりも側方に一部はみ出しており、そのはみ出した部分が前記他方の内壁パネルにおける前記側耳部と重ね合わせられた状態で、前記対向部と前記他方の内壁パネルの内壁面材との間に挟み込まれていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、一方の内壁パネルにおける壁内断熱材の側耳部が縦枠材と内壁面材との間に挟み込まれた状態において、その一部が当該内壁面材よりも側方にはみ出している。そして、そのはみ出した部分が他方の内壁パネルにおける壁内断熱材の側耳部と重ね合わせられ、その重ね合わせ状態で一方の内壁パネルの対向部と他方の内壁パネルの内壁面材との間に挟み込まれている。この場合、内壁パネル間の気密性をより一層高めることができる。
【0021】
第7の発明の建物の気密構造は、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記内壁面材には、前記壁内断熱材と、前記内壁面材の下端面に対向した状態で配置されたガイド部材とがそれぞれ一体に設けられ、前記下耳部は、前記ガイド部材と前記内壁面材の下端面との間に挟み込まれた状態で設けられることにより、前記内壁面材の表面側に延びていることを特徴とする。
【0022】
ところで、内壁面材に壁内断熱材を一体に設けた構成では、内壁面材を持ち上げて床下地面材上に設置する際に、壁内断熱材の下耳部が下方に垂れ下がった状態になることが想定され、その垂れ下がり状態で内壁面材を床下地面材上に設置すると、下耳部が内壁面材の裏面側に入り込んでしまうおそれがある。そこで、本発明では、内壁面材の下端面に対向した状態でガイド部材を内壁面材に一体に設け、そのガイド部材と内壁面材の下端面との間に下耳部を挟み込むことにより、当該下耳部を内壁面材の表面側に引き出すこととしている。この場合、下耳部が内壁面材の表面側に引き出された状態で内壁面材の設置作業を行うことができるため、上記の不都合が生じるのを抑制できる。
【0023】
第8の発明の建物の気密構造は、第1乃至第7のいずれかの発明において、前記耳部を有してなる前記表被材は、防湿性を有する材料からなることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、耳部を有してなる壁内断熱材の表被材が防湿性を有する材料により形成されているため、上記第1乃至第7の各発明において、気密効果に加え防湿効果を得ることができる。
【0025】
第9の発明の建物の気密構造は、第1乃至第8のいずれかの発明において、前記内壁面材の裏面側には、前記壁内断熱材を囲んで内壁フレームが設けられ、前記壁内断熱材の前記表被材の耳部は、前記内壁フレームと前記内壁面材との間に挟み込まれていることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、内壁フレームと内壁面材の裏面との間に表被材の耳部が挟み込まれているため、内壁面材の裏面と耳部との間を通じて空気が出入りするのを抑制でき、その結果内壁面材の端面と耳部との間を通じて空気が出入りするのを抑制できる。これにより、気密効果をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施形態における建物の外壁周辺の構成を示す縦断面図。
【図2】外壁構造の構成を示す横断面図。
【図3】外壁フレームにおける木レンガの配置状態を示す斜視図。
【図4】内壁パネルの構成を示す斜視図。
【図5】(a)が壁内断熱材の構成を示す正面図、(b)が同構成を示す側面図。
【図6】内壁パネルが床下地材上に設置された状態を示す斜視図。
【図7】図6の構成において床下地材上に床仕上げ材が敷設された状態を示す斜視図。
【図8】内壁パネルと天井材との境界部の構成を示す縦断面図。
【図9】気密構造を構築する際の作業手順を説明するための説明図。
【図10】第2の実施形態における内壁パネルの構成を示す横断面図。
【図11】(a)が内壁フレームを示す正面図、(b)が壁内断熱材を示す正面図。
【図12】内壁パネルが横並びに設置された状態を示す横断面図。
【図13】床下地材上に内壁パネルが設置された状態を示す斜視図。
【図14】内壁パネルと天井材との境界部の構成を示す縦断面図。
【図15】他の実施形態におけるガイド部材を備えた内壁パネルを示す縦断面図。
【図16】隣り合う内壁パネルの並び状態を示す横断面図。
【図17】建物の外壁周辺の構成を示す縦断面図。
【図18】断熱材ユニットを示す斜視図。
【図19】外壁フレームに対する断熱材ユニットの固定状態を示す正面図。
【図20】断熱材ユニットに設けられた係合部材を示す斜視図。
【図21】係合部材により断熱材ユニットが位置決めされた状態を示す横断面図。
【図22】隣接する縦フレーム材間の溝部に被係合部が設けられた状態を示す斜視図。
【図23】隣接する縦フレーム材と断熱材ユニットとを示し、(a)が断熱材ユニットを縦フレーム材から離した状態を示す斜視図、(b)が断熱材ユニットを縦フレーム材に固定した状態を示す斜視図。
【図24】係合部材の別形態を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔第1の実施形態〕
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物としてユニット式建物について具体化しており、そのユニット式建物は、梁及び柱よりなる複数の建物ユニットを互いに連結することで構成されている。なお、図1は建物の外壁周辺の構成を示す縦断面図であり、図2は外壁構造の構成を示す横断面図である。また、図2は、図1のA−A線断面図である。
【0029】
図1に示すように、建物10の外壁構造において、屋外側には外壁パネル11が設けられており、その屋内側には内壁パネル12が設けられている。外壁パネル11は、屋外面を形成する外壁材14と、外壁材14の裏面側(屋内面側)に固定された外壁フレーム15とを備えている。外壁材14は、例えば窯業系サイディング等の外装材により形成されている。
【0030】
外壁フレーム15は、断面コ字状の溝形鋼からなる複数のフレーム材15a〜15cが矩形枠状に連結されることにより構成されている。具体的には、外壁フレーム15は、外壁材14の幅方向両端部において上下方向に延びる縦フレーム材15aと、外壁材14の上下方向両端部において左右方向(外壁材14の幅方向)に延びる横フレーム材15bと、外壁材14の上下方向中間部において左右方向に延びる中間フレーム材15cとを有している。なお、詳細には、これら各フレーム材15a〜15cのうち縦フレーム材15aについては、天井大梁18及び床大梁17との干渉を回避すべく上下方向両端側の一部が取り除かれている。
【0031】
外壁フレーム15の各横フレーム材15bは、それぞれ床大梁17及び天井大梁18に対しボルト等により固定されている。これにより、外壁パネル11が建物10に対して固定されている。また、図2に示すように、外壁パネル11は建物10の外周部において横並びに複数設置されており、隣り合う外壁パネル11の外壁フレーム15(詳細には縦フレーム材15a)同士が当接された状態でボルト等により連結されている。
【0032】
外壁パネル11の外壁フレーム15の屋内側面には、複数の木レンガ19がタッピングネジ等により固定されている。木レンガ19は、略直方体形状の木材からなる外壁下地材である。図3には、外壁フレーム15における木レンガ19の配置状態を示す。図3に示すように、木レンガ19は、隣り合う外壁フレーム15の隣接する各縦フレーム材15aに跨った状態で縦フレーム材15aの長手方向に沿って所定間隔で複数(図3では4つ)配置されている。
【0033】
次に、内壁パネル12の構成について図4に基づいて説明する。なお、図4は、内壁パネル12の構成を示す斜視図である。
【0034】
図4に示すように、内壁パネル12は、屋内面を形成する内壁材21と、内壁材21の裏面側(屋外面側)に固定された内壁フレーム22と、内壁フレーム22の枠内部に組み込まれた壁内断熱材23と、内壁フレーム22の屋外側面に固定されたフレーム断熱材24とを備えている。内壁パネル12は、外壁パネル11と略同じ大きさ(縦横寸法)で形成されている。
【0035】
内壁材21は、例えば石膏ボードにより形成されている。内壁フレーム22は、木製の角材からなる複数のフレーム材22a〜22cが矩形枠状に連結されることにより構成されている。具体的には、内壁フレーム22は、内壁材21の幅方向両端部において上下方向(高さ方向)に延びる縦フレーム材22aと、内壁材21の上下方向両端部において左右方向に延びる横フレーム材22bと、内壁材21の幅方向中間部において上下方向に延びる中間フレーム材22cとを有している。したがって、内壁フレーム22には、これら各フレーム材22a〜22cにより囲まれた2つの枠内領域Sが形成されている。
【0036】
壁内断熱材23は、防湿性を有するポリエチレンフィルム等を袋状に形成した袋体26の中にグラスウール等の繊維系断熱材27を充填してなるものである。図5には壁内断熱材23の構成が示されており、(a)が同構成を示す正面図、(b)が側面図である。
【0037】
図5に示すように、壁内断熱材23は、2つの繊維系断熱材27を有している。繊維系断熱材27は、所定の厚みを有した矩形板状に形成されており、内壁フレーム22の枠内領域Sと略同じ大きさ(縦横寸法)を有している。各繊維系断熱材27は短手方向に横並びで設けられ、内壁フレーム22の2つの枠内領域Sと同じ間隔で配置されている。
【0038】
袋体26は、各繊維系断熱材27の一方の板面に跨って設けられそれら各板面を覆うフィルム材26aと、各繊維系断熱材27の他方の板面を覆うとともに各板面の間の4つの側面を連続して覆うフィルム材26bとを有し、それら各フィルム材26a,26bが溶着又は接着されることにより形成されている。フィルム材26aは、長方形状をなしており、その上下高さが繊維系断熱材27の上下高さよりも大きく、かつ、その幅が繊維系断熱材27の幅(詳細には2つの繊維系断熱材27の幅寸法の和)よりも大きくなっている。この場合、フィルム材26aは、各繊維系断熱材27の一方の板面に設けられた状態において、その周縁側、より詳しくはその四辺の端縁側がそれぞれ繊維系断熱材27よりも外側に延出しており、この延出した部分が袋体26の耳部28となっている。
【0039】
一方、フィルム材26bにおいて繊維系断熱材27の他方の板面を覆う部分には同断熱材27の湿気を袋体26の外に逃がすための通気穴(図示略)が多数設けられている。後述するように、壁内断熱材23は、壁内(詳しくは内壁材21と外壁材14との間の壁内)において袋体26のフィルム材26aを屋内側、フィルム材26bを屋外側に向けた状態で設けられる。この場合、屋内側の湿気が袋体26の中に入り込むのをフィルム材26aにより抑制するとともに、袋体26の中に入り込んだ湿気をフィルム材26bを通じて袋体26の外に逃がすことができる。
【0040】
図4の説明に戻り、壁内断熱材23は、2つの繊維系断熱材27が内壁フレーム22の各枠内領域Sにそれぞれ配設され、かつ、袋体26(フィルム材26a)の耳部28(詳細には、さらにフィルム材26aにおける各繊維系断熱材27の間の部分)が内壁フレーム22と内壁材21の裏面との間に挟み込まれた状態で組み込まれている。この場合、各繊維系断熱材27(詳しくはその外表面の袋体26)は、各フレーム材22a〜22cの内側面との間に隙間のない状態で設けられており、袋体26のフィルム材26aは内壁材21の裏面に当接されている。
【0041】
フレーム断熱材24は、ポリスチレンフォーム等の樹脂系断熱材からなり、矩形断面を有する棒状(角棒状)をなしている。フレーム断熱材24は、内壁フレーム22の各縦フレーム材22a及び中間フレーム材22cにおいて内壁材21の固定面とは反対側の面に各々のフレーム材22a〜22cに沿って延びる向きでタッピングネジ等により固定されている。フレーム断熱材24は、各フレーム材22a〜22cにおいてそれぞれ各々のフレーム材22a〜22cの延びる方向に所定の間隔で複数(図4では3つ)ずつ設けられており、各々のフレーム材22a〜22cにおいて各フレーム断熱材24の間には後述するように木レンガ19が配置されるようになっている。
【0042】
フレーム断熱材24は、壁内断熱材23を設置できない内壁フレーム22の配設部位に設けられることで、同フレーム22が熱橋となるのを抑制している。この点からすると、壁内断熱材23を主断熱部、フレーム断熱材24を副断熱部と言うこともできる。なお、フレーム断熱材24は、ポリスチレンフォームに代えて、硬質ウレタンフォームやフェノールフォーム等その他の樹脂系断熱材により形成されていてもよい。
【0043】
図1及び図2の説明に戻り、内壁パネル12は外壁パネル11よりも屋内側に設置された状態において、内壁フレーム22が各木レンガ19の屋内側面にタッピングネジ等により固定されている。具体的には、図2に示すように、内壁フレーム22の各縦フレーム材22a及び中間フレーム材22cがそれぞれ木レンガ19に固定されている。この場合、内壁パネル12の壁内断熱材23は外壁材14と内壁材21との間の壁内空間に配設されており、これにより外壁構造の断熱性能が確保されている。また、内壁パネル12の設置状態では、各フレーム断熱材24がそれぞれ木レンガ19と上下に交互に並び、かつ、木レンガ19と当接又は近接された状態で配置されている。
【0044】
建物10におけるその他の構成として、床大梁17の上面には床根太31が設けられている。床根太31上には、パーティクルボードよりなる床下地材32が設けられ、床下地材32上には、フローリングよりなる床仕上げ材33が設けられている。内壁パネル12の下端部には巾木34が設けられており、この巾木34により床仕上げ材33と内壁パネル12との間の見切りが行われている。
【0045】
一方、天井大梁18の下面には野縁36が固定されている。野縁36の下面には2枚重ねの石膏ボードよりなる天井下地材37が固定され、天井下地材37の下面にはクロスからなる天井仕上げ材39が貼り付けられている。内壁パネル12の上端部には廻り縁38が設けられており、この廻り縁38により天井仕上げ材39と内壁パネル12との間の見切りが行われている。
【0046】
ところで、本実施形態では、内壁パネル12の下端部と床下地材32との間を通じて外気が出入りするのを抑制すべく特徴的な気密構造を有している。以下、かかる気密構造について図4及び図5に加え図6及び図7を用いて説明する。
【0047】
図4及び図5に示すように、壁内断熱材23の袋体26のフィルム材26aは、その幅が内壁材21の横幅と略同じとなっているのに対し、その上下高さが内壁材21の上下高さよりも大きくなっている。具体的には、フィルム材26aの耳部28において、繊維系断熱材27よりも側方に延出した側耳部28cはその延出長さ(横幅)L3が内壁フレーム22の縦フレーム材22aの幅寸法と略同じとなっているのに対し、繊維系断熱材27よりも下方に延出した下耳部28aと、繊維系断熱材27よりも上方に延出した上耳部28bとは、その延出長さ(上下高さ)L1,L2が内壁フレーム22の横フレーム材22bの幅よりも大きくなっている。なお、より詳しくは、下耳部28aの延出長さL1は、上耳部25aの延出長さL2よりも長くなっている。
【0048】
壁内断熱材23は、上述したように、袋体26の耳部28が内壁フレーム22と内壁材21との間に挟み込まれた状態で同フレーム22に組み込まれている。この場合、側耳部28cが、縦フレーム材22aと内壁材21との間に同フレーム材22a(換言すると内壁材21)から側方にはみ出すことなく挟み込まれているのに対し、下耳部28aが、下側の横フレーム材22bと内壁材21との間に同フレーム材22bから一部下方にはみ出した状態で挟み込まれ、上耳部28bが、上側の横フレーム材22bと内壁材21との間に同フレーム材22bから一部上方にはみ出した状態で挟み込まれている。
【0049】
次に、内壁パネル12と床部との境界部の構成について図6及び図7に基づいて説明する。図6は、内壁パネル12が床下地材32上に設置された状態を示す斜視図であり、図7は、図6の構成において床下地材32上に床仕上げ材33が敷設された状態を示す斜視図である。なお、図6及び図7中の符号41は本建物10を下方から支持する基礎であり、その上端には床大梁17が設置されている。
【0050】
図6に示すように、床下地材32は、床大梁17上に設けられた床根太31の上と、床小梁42上に設けられた床根太46の上とに設置されている。床下地材32の下面側には、グラスウールよりなる床下断熱材43が各床根太31,46間に配設されており、床下の断熱が図られている。
【0051】
床下地材32上には、複数の内壁パネル12が横並びで設置されており、これら各内壁パネル12により内壁部が構成されている。内壁パネル12が床下地材32上に設置された状態では、壁内断熱材23の袋体26の下耳部28aが内壁材21の下端部と床下地材32の上面との間を通じて内壁材21の表面側(屋内面側)すなわち屋内空間X側に一部引き出されている。
【0052】
図7に示すように、床下地材32上には床仕上げ材33が敷設されている。この場合、下耳部28aの一部、すなわち下耳部28aにおいて内壁材21の表面側に引き出された部分が床下地材32と床仕上げ材33との間に挟み込まれており、床仕上げ材33と内壁材21との間の隙間49が下耳部28aによって下方から塞がれた状態となっている。これにより、当該隙間49を通じて空気が出入りするのを抑制でき、その結果気密性の確保を図ることができる。また、内壁パネル12の下端部には上記隙間49を上方から塞ぐようにして巾木34が設けられている。
【0053】
なお、内壁パネル12の壁内断熱材23と、外壁パネル11の外壁材14との間には上下に延びる通気層45が形成されており、この通気層45には、外壁材14の下端部と床大梁17との間を通じて外気が出入りするようになっている。また、図7及び図8では外壁材14の下端部と床大梁17との間に外壁フレーム15の横フレーム材15bが配設されているが、同フレーム材15bには図示しない複数の通気孔が設けられ、その通気孔を通じて外気が出入りするようになっている。
【0054】
次に、内壁パネル12と天井部との境界部の構成について図8に基づいて説明する。なお、図8は内壁パネル12と天井材37,39との境界部の構成を示す縦断面図である。
【0055】
図8に示すように、内壁パネル12の内壁材21の上端部と天井下地材37との間には所定の隙間51が形成されており、その隙間51を通じて壁内断熱材23の袋体26の上耳部28bが内壁材21の表面側(屋内面側)に一部引き出されている。袋体26において当該引き出された部分は天井下地材37と廻り縁38との間に挟み込まれている。換言すると、廻り縁38は、その上端部と天井下地材37との間に当該引き出された部分を挟み込んだ状態で、内壁材21の屋内面に接着等により固定されている。これにより、上耳部28bにより天井下地材37と廻り縁38との間の隙間51が覆われるため、当該隙間51を通じて空気が出入りするのを抑制できる。
【0056】
また、上耳部28bは、その端縁が天井下地材37と廻り縁38との間に配置された状態で挟み込まれている。すなわち、上耳部28bは、屋内空間X側に露出しない状態でそれら両者37,38の間に挟み込まれており、これにより、内壁パネル12上端側の美観が損なわれるのを回避しつつ、天井下地材37と廻り縁38との間の気密性を確保できるようになっている。
【0057】
次に、壁内断熱材23の袋体26(耳部28)を用いた上記の気密構造を構築する際の作業手順について図9を用いて説明する。なお、図9は、かかる作業手順を説明するための説明図である。
【0058】
建物10の外壁構造を構築する際には、まず外壁パネル11を建物10に組み付け、その後、外壁パネル11の外壁フレーム15に各木レンガ19を固定する。
【0059】
次に、図9(a)に示すように、木レンガ19に対して内壁パネル12を屋内側から組み付ける。具体的には、内壁フレーム22を木レンガ19の屋内側面に固定する。この作業に際しては、壁内断熱材23の袋体26の下耳部28a及び上耳部28bをそれぞれ内壁材21の表面側に引き出した状態で行う。これにより、内壁パネル12が組み付けられると、図9(b)に示すように、内壁材21の下端部と床下地材32との間を通じて下耳部28aの一部が内壁材21の屋内側に引き出された状態になるとともに、内壁材21の上端部と天井下地材37との隙間51を通じて上耳部28bの一部が内壁材21の屋内側に引き出された状態となる。
【0060】
その後、上記の手順で各内壁パネル12を設置する。各内壁パネル12を設置した後、図9(c)に示すように、床下地材32上に床仕上げ材33を敷設する。これにより、床下地材32と床仕上げ材33との間に各内壁パネル12の袋体26の下耳部28aが挟み込まれる。その後、内壁パネル12の下端部に沿って巾木34を取り付ける。
【0061】
次に、図9(d)に示すように、内壁パネル12の上端部と天井下地材37との境界部に沿って廻り縁38を取り付ける。このとき、天井下地材37と廻り縁38との間に袋体26の上耳部28bを挟み込んだ状態で廻り縁38の取り付けを行う。これをもって、一連の作業が終了する。
【0062】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0063】
内壁材21の裏面側に設けられた壁内断熱材23の袋体26の耳部28のうち繊維系断熱材27の下側から延出した下耳部28aを、内壁材21の下端部と床下地材32との間を通じて内壁材21の表面側に延ばし、その一部を床下地材32とその上に敷設される床仕上げ材33との間に挟み込むようにした。この場合、内壁材21と床仕上げ材33との間の隙間49が下耳部28aにより下方から覆われるため、内壁材21と床仕上げ材33との間を通じて空気が出入りするのを抑制でき、その結果気密性の確保が図れる。また、かかる気密構造を構築(製造)するに際しては、まず下耳部28aを内壁材21の表面側に引き出した状態で内壁パネル12を床下地材32上に設置し、その後床下地材32上に床仕上げ材33を設置するといった簡易な作業を行うことで、それら両者32,33の間に下耳部28aを挟み込むことができる。そのため、製造時における作業工数の削減を図ることができる。
【0064】
壁内断熱材23の袋体26の耳部28のうち繊維系断熱材27の上側から延出した上耳部28bを、内壁材21の上端部と天井下地材37との間を通じて内壁材21の表面側に延ばし、その一部を天井下地材37とその下方に設けられた廻り縁38との間に挟み込むようにした。この場合、内壁材21の上端部と天井下地材37との間の隙間51を上耳部28bにより覆うことができるため、当該隙間51を通じて空気が出入りするのを抑制できる。その結果、内壁材21の上下端部それぞれにおいて空気の出入りを抑制でき、気密性の向上を図ることができる。
【0065】
ところで、天井下地材37と、その下面に設けられたクロスからなる天井仕上げ材39との間に上耳部28bを挟み込むようにしても上述の効果は得られるが、その場合天井仕上げ材39に不陸が生じて天井側の美観が損なわれるおそれがある。その点、廻り縁38と天井下地材37との間に上耳部28bを挟み込む上記の構成とすれば、かかる不都合を回避しつつ気密性の向上が図れる。
【0066】
内壁材21の裏面側に壁内断熱材23を囲むようにして内壁フレーム22を設け、その内壁フレーム22と内壁材21との間に袋体26の耳部28を挟み込むようにした。この場合、内壁材21の裏面と耳部28との間を通じて空気が出入りするのを抑制でき、その結果内壁材21の下端面と下耳部28aとの間、及び内壁材21の上端面と上耳部28bとの間を通じて空気が出入りするのを抑制できる。これにより、気密効果をさらに高めることができる。
【0067】
耳部28を有してなる袋体26を、防湿性を有する材料により形成した。そのため、上述した気密効果に加え防湿効果を得ることができる。
【0068】
〔第2の実施形態〕
本実施形態では、壁内断熱材23の袋体26の耳部28を用いて、さらに隣り合う内壁パネル12の間の気密を行うこととしている。以下、本実施形態の構成を、第1の実施形態との相違点を中心に図10に基づいて説明する。なお、図10は本実施形態における内壁パネルの構成を示す横断面図である。また、図10では、第1の実施形態と同一の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0069】
図10に示すように、本実施形態の内壁パネル55は、第1実施形態の内壁パネル12と同様、内壁材21と、内壁材21の裏面側(屋内面側)に固定された内壁フレーム57と、内壁フレーム57の枠内部に組み込まれた壁内断熱材58とを備えて構成されている。ここで、本内壁パネル55では、内壁材21が第1の実施形態と同様の構成である一方、内壁フレーム57及び壁内断熱材58が第1の実施形態と異なる構成を有している。以下、内壁フレーム57及び壁内断熱材58の構成を図11に基づいて説明する。なお、図11において(a)は内壁フレーム57を示す正面図、(b)は壁内断熱材58を示す正面図である。また、図11では、参考として、内壁材21を一点鎖線で図示している。
【0070】
図11(a)に示すように、内壁フレーム57は、木製の角材からなる複数のフレーム材57a〜57cが互いに連結されることにより構成されている。具体的には、内壁フレーム57は、内壁材21の上下方向両端部において左右方向に延びる上下一対の横フレーム材57aと、内壁材21の幅方向の一端部において上下方向(高さ方向)に延びる縦フレーム材57bと、内壁材21の幅方向中間部において上下方向に延びる中間フレーム材57cとを有している。したがって、本実施形態の内壁フレーム57は、基本的には、第1実施形態の内壁フレーム22の各縦フレーム材22aのうちから一方を取り除いた構成となっている。この場合、内壁フレーム57において、各フレーム材57a〜57cにより囲まれてなる2つの枠内領域R1,R2のうち、一方の枠内領域R1は各フレーム材57a〜57cにより四方が囲まれてなる一方、他方の枠内領域R2は横フレーム材57a及び中間フレーム材57cにより三方のみ囲まれてなり枠内領域R2の一方が開放されている。
【0071】
また、縦フレーム材57bは、その幅(詳しくは、縦フレーム材57bの長手方向に直交しかつ内壁材21の壁面に沿う方向の長さ)が第1実施形態の縦フレーム材22aの幅よりも大きくなっている。具体的には、縦フレーム材57bの幅は、縦フレーム材22aの幅の2倍となっている。したがって、内壁フレーム57は、幅方向の一方にしか縦フレーム材57bを有していないものの、その幅寸法が内壁フレーム22と略同じとなっている。なお、内壁フレーム57の大きさ(詳しくは縦横寸法)は内壁材21の大きさと略同じとなっている。
【0072】
壁内断熱材58は、図11(b)に示すように、基本的に第1実施形態の壁内断熱材23と同様の構成を有しており、防湿性を有するポリエチレンフィルム等を袋状に形成した袋体61の中に2つの繊維系断熱材27を充填してなる。袋体61は、第1実施形態の袋体26と同様に、フィルム材61a,61bが溶着又は接着されることで形成され、フィルム材61aの周縁側が繊維系断熱材27から外側に延出した耳部63となっている。以下においては、耳部63において、フィルム材61aよりも下方、上方、側方に延出したそれぞれの部分を下耳部63a、上耳部63b、側耳部63c,63dという。
【0073】
フィルム材61aは、その上下高さが内壁材21の上下高さよりも大きく、かつ、その幅が内壁材21の幅よりも大きくなっている。フィルム材61aの各側耳部63c,63dのうち、一方の側耳部63cは他方の側耳部63dと比べ、繊維系断熱材27からの延出長さが大きくなっている。具体的には、一方の側耳部63cの延出長さL4は縦フレーム材57bの幅と略同じとなっているのに対し、他方の側耳部63dの延出長さL5は縦フレーム材57bの幅の半分となっている。
【0074】
図10に示すように、内壁フレーム57は内壁材21の裏面において同内壁材21に対し横方向に位置ずれさせた状態で固定されている。この場合、内壁パネル55の幅方向一端側では、内壁フレーム57の縦フレーム材57bが内壁材21(詳細にはその側端部)から一部側方にはみ出しており、詳しくは縦フレーム材57bの幅方向半分の部分がはみ出している。なお、以下においては、このはみ出した部分をフレームはみ出し部64といい、場合によっては単にはみ出し部64という。
【0075】
一方、内壁パネル55の幅方向他端側では内壁材21の一部が内壁フレーム57(詳しくは横フレーム材57aの端部)よりも側方にはみ出しており、詳しくは縦フレーム材57bの幅の半分の長さ分はみ出している。なお、以下においては、このはみ出した部分を壁はみ出し部65といい、場合によっては単にはみ出し部65という。
【0076】
壁内断熱材58は、各繊維系断熱材27が内壁フレーム57の各枠内領域R1,R2にそれぞれ配設され、かつ、袋体61のフィルム材61aが内壁フレーム57と内壁材21の裏面との間に挟み込まれた状態で組み込まれている。この場合、袋体61の一方の側耳部63cは、縦フレーム材57bと内壁材21との間に挟み込まれており、その一部が内壁材21よりも側方にはみ出している。以下、このはみ出した部分をはみ出し部66という。また、他方の側耳部63cは、内壁材21のはみ出し部65の裏面に沿って設けられている。
【0077】
下耳部63aは、下側の横フレーム材57aと内壁材21との間に挟み込まれ、その一部が同フレーム材57aよりも下方にはみ出している。また、上耳部63bは、上側の横フレーム材57aと内壁材21との間に挟み込まれ、その一部が同フレーム材57aよりも上方にはみ出している。
【0078】
次に、上記内壁パネル55の設置構成について図12に基づいて説明する。なお、図12は内壁パネル55が横並びに設置された状態を示す横断面図である。
【0079】
図12に示すように、床下地材32上には、複数の内壁パネル55が横並びに設けられている。この場合、隣り合う各内壁パネル55において、一方の内壁パネル55の内壁フレーム57のはみ出し部64は他方の内壁パネル55の内壁材21のはみ出し部65と対向して設けられている。そして、これら各はみ出し部64,65の間には、一方の内壁パネル55の壁内断熱材58における袋体61の側耳部63c(詳細にはそのはみ出し部66)と、他方の内壁パネル55の壁内断熱材58における袋体61の側耳部63dとが重ね合わせられて設けられており、その重ね合わせ状態でこれら各側耳部63c,63dが両はみ出し部64,65の間に挟み込まれている。これにより、隣り合う各内壁パネル55の間を通じて空気が出入りするのが抑制されている。なお、隣り合う内壁パネル55の各はみ出し部64,65は、それら両者64,65の間に側耳部63c,63dを挟み込んだ状態でビス等で互いに固定されている。
【0080】
次に、内壁パネル55と床部との間の境界部の構成を図13に基づいて説明する。なお、図13は、床下地材32上に内壁パネル55が設置された状態を示す斜視図である。
【0081】
図13に示すように、床下地材32上には、複数の内壁パネル55が横並びで設置されている。かかる設置状態において、壁内断熱材58の袋体61の下耳部63aは内壁材21の下端部と床下地材32との間を通じて内壁材21の表面側(屋内面側)に一部引き出されている。ここで、上述したように、本実施形態の袋体61では側耳部63cの一部(詳しくははみ出し部66)が内壁材21よりも側方にはみ出しているため、下耳部63aにおいても一部が内壁材21よりも側方にはみ出している。換言すると、下耳部63aにおいてはみ出し部66と重複する部分が内壁材21よりも側方にはみ出しており、そのはみ出した(延出した)部分が延出部68となっている。したがって、下耳部63aにおいて内壁材21の屋内側に引き出された部分はその一部(延出部68に対応する部分)が当該内壁材21よりも側方に延出している。
【0082】
この場合、隣り合う各内壁パネル55において、一方の内壁パネル55の壁内断熱材58における袋体61の下耳部63aの延出部68が、他方の内壁パネル55の壁内断熱材58における袋体61の下耳部63aと重ね合わせられて設けられており、これにより下耳部63aが内壁パネル55の幅方向に沿って連続して配置されている。そして、図示は省略するが、第1実施形態と同様、床下地材32上に床仕上げ材33が敷設されることで、それら両者32,33の間に下耳部63aが挟み込まれ、これにより床仕上げ材33と内壁材21との間を通じて空気が出入りするのが抑制されている。
【0083】
次に、内壁パネル55と天井部との境界部の構成を図14に基づいて説明する。なお、図14は、内壁パネル55と天井材37,39との境界部の構成を示す縦断面図である。また、本実施形態の建物10には、廻り縁38が設けられていない。
【0084】
図14に示すように、壁内断熱材58の袋体61の上耳部63bは、内壁材21の上端部と天井下地材37との間を通じてその一部が内壁材21の表面側(屋内面側)に引き出されており、その引き出された部分が天井下地材37と天井仕上げ材39との間に挟み込まれている。この場合、内壁材21と天井仕上げ材39との間が上耳部63bにより閉塞されているため、それら両者21,39の間を通じて、ひいては内壁材21の上端部と天井下地材37との間を通じて外気が出入りするのを抑制できる。
【0085】
次に、上述の内壁パネル55を設置する際の作業手順について図12に基づいて説明する。なお、ここでは第1の実施形態における内壁パネル12の設置作業と重複する内容については説明を省略する。
【0086】
まず、図12に示すように、最初の内壁パネル55Aを木レンガ19に組み付ける。具体的には、同パネル55Aの内壁フレーム57を木レンガ19に固定する。
【0087】
続いて、次の内壁パネル55Bを最初の内壁パネル55Aに隣接させて組み付ける。具体的には、内壁パネル55Bを、最初の内壁パネル55Aにおける縦フレーム材57bが設けられている側に隣接させて組み付ける。この作業ではまず、内壁パネル55Aにおける縦フレーム材57bのはみ出し部64に、次の内壁パネル55Bにおける内壁材21のはみ出し部65を対向させ、それら対向する各はみ出し部64,65の間に各内壁パネル55Aの袋体61の側耳部63c,63d(側耳部63cについては詳しくはそのはみ出し部66)を挟み込む。そして、かかる挟み込み状態において、内壁パネル55Bを木レンガ19に固定するとともに、内壁パネル55Bのはみ出し部65を内壁パネル55Aのはみ出し部64に固定する。
【0088】
その後、上記の要領で、残りの内壁パネル55を順次組み付けていく。内壁パネル55の組み付けが終了した後、床下地材32上に床仕上げ材33を敷設する。これにより、床下地材32と床仕上げ材33との間に各内壁パネル55の袋体61の下耳部63aが挟み込まれる。
【0089】
その後、天井下地材37の下面に天井仕上げ材39を貼り付ける。このとき、天井下地材37と天井仕上げ材39との間に各内壁パネル55の袋体61の上耳部63bを挟み込んだ状態で貼り付けを行う。これにより、一連の作業が終了する。
【0090】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0091】
下耳部63aの一部に、内壁材21よりも側方に延出する延出部68を設け、隣り合う内壁材21において、一方の内壁材21の裏面に設けられた壁内断熱材58の下耳部63aの延出部68を、他方の内壁材21の裏面に設けられた壁内断熱材58の下耳部63aと重ね合わせ、その重ね合わせ状態で床下地材32と床仕上げ材33との間に挟み込むようにした。この場合、隣り合う各内壁材21の裏面に設けられた各々の壁内断熱材58の下耳部63a同士が一部重ね合わせられた状態で、床下地材32と床仕上げ材33との間に挟み込まれるため、内壁材21の並ぶ方向に沿って連続した気密ラインを形成できる。よって、この場合気密性を高めることができる。
【0092】
内壁パネル55において、内壁フレーム57に、内壁材21の側縁に沿って設けられる縦フレーム材57bを設け、該縦フレーム材57bと内壁材21との間に、壁内断熱材58の側耳部63cを挟み込むようにした。そして、隣り合う内壁パネル55において、一方の内壁パネル55の縦フレーム材57bに、他方の内壁パネル55側にはみ出して当該パネル55の内壁材21と対向するはみ出し部64を設け、それら対向し合う内壁材21とはみ出し部64との間に、一方の内壁パネル55において縦フレーム材57bと内壁材21との間に挟み込まれた側耳部63cの端縁部及び、他方の内壁パネル55における壁内断熱材58の側耳部63dを挟み込むようにした。この場合、縦フレーム材57bが、隣り合う各内壁パネル55の内壁材21の裏面に跨って配設され、一方の内壁パネル55では、同パネル55の縦フレーム材57bと内壁材21との間に壁内断熱材58の側耳部63cが挟み込まれ、当該縦フレーム材57bと内壁材21との間を通じた空気の出入りが抑制される。それに対し、当該縦フレーム材57bのはみ出し部64と他方の内壁パネル55の内壁材21との間には、一方の内壁パネル55における側耳部63cの端部(詳しくは、当該側耳部63cのはみ出し部66)と、他方の内壁パネル55における壁内断熱材58の側耳部63dとが挟みこまれているため、当該縦フレーム材57bと当該内壁材21との間を通じた空気の出入りが抑制されている。具体的には、当該縦フレーム材57bのはみ出し部64と他方の内壁パネル55の内壁材21との間には、一方の内壁パネル55における側耳部63cと他方の内壁パネル55における側耳部63dとが重ね合わせられた状態で挟み込まれている。以上より、隣り合う各内壁パネル55の間を通じて空気が出入りするのを抑制でき、その結果気密性を高めることができる。
【0093】
〔他の実施形態〕
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記各実施形態の構成において、内壁パネル12,55に内壁材21の下端面に対向するガイド部材を設け、該ガイド部材と内壁材21の下端面との間に袋体26,61の下耳部28a,63aを挟み込んで設けることにより、当該下耳部28a,63aを内壁材21の表面側に引き出すようにしてもよい。例えば、図15(a)に示すように、ガイド部材71を、内壁材21の下端面と内壁フレーム22の横フレーム材22bの下面とに跨るように設け、内壁材21の下端面とガイド部材71との間に下耳部28aを挟み込むことが考えられる。この場合、ガイド部材71は横フレーム材22bにビス等により固定される。
【0094】
また、図15(b)に示すように、内壁フレーム22の下側の横フレーム材22bに、内壁材21の下端面に対向する対向部72を一体形成し、その対向部72と内壁材21の下端面との間に下耳部28aを挟み込んでもよい。この場合、ガイド部材が横フレーム材22bにより構成されているため、ガイド部材を設けるに際し部品点数の増大を抑制できる。上記各構成によれば、下耳部28aが内壁材21の表面側に引き出された状態で内壁パネル12の設置作業を行うことができるため、内壁パネル12の設置に際し、下耳部28aが内壁材21の裏面側に入り込んでしまう等の不都合が生じるのを抑制できる。
【0095】
(2)袋体26の下耳部28aにおいて、内壁材21の下端部と床下地材32との間を通じて内壁材21の表面側に引き出された部分を上下に折り返し重ね合わせることで重ね部を形成し、その重ね部を床下地材32と床仕上げ材33との間に挟み込むようにしてもよい。袋体26は薄膜状のフィルム材26a,26bからなるため、床下地材32と床仕上げ材33との間に隙間が生じている場合には、それら両者32,33の間に下耳部28aを十分に挟み込むことができず、その結果所望の気密性能が得られなくなるおそれがある。この点、上記のように重ね部を形成すれば、その重ね部を下耳部28aにおいて比較的肉厚とすることができるため、重ね部を床下地材32と床仕上げ材33との間に挟み込むことで、それら両者32,33の間に多少の隙間が生じている場合でも下耳部28aの挟み込みが可能となる。
【0096】
(3)上記各実施形態において、床仕上げ材33をカーペット(絨毯)としてもよい。カーペットからなる床仕上げ材33と床下地材32との間に袋体26,61の下耳部28a,63aを挟み込むようにしても、内壁材21と床仕上げ材33との間の気密性を確保できる。
【0097】
(4)上記各実施形態において、袋体26,61の上耳部28b,63bを天井下地材37と廻り縁38との間、及び天井下地材37と天井仕上げ材39との間の両方で挟み込むようにしてもよい。
【0098】
(5)上記第2の実施形態における内壁パネル55をその他の構成に変更してもよい。その一例を図16に示す。図16に示す内壁パネル75は、第1の実施形態における内壁パネル12と同様に、内壁材21、内壁フレーム22及び壁内断熱材23を有してなる。内壁パネル75は、内壁フレーム22及び壁内断熱材23が内壁材21に対し幅方向に位置ずれさせた状態で組み付けられてなり、具体的には、縦フレーム材22aの幅の半分だけ位置ずれさせた状態で組み付けられている。この場合、内壁パネル75の幅方向一端側では、縦フレーム材22aが内壁材21よりも側方にはみ出し、そのはみ出した部分がフレームはみ出し部76となっている。一方、内壁パネル75の幅方向他端側では、内壁材21が内壁フレーム22(縦フレーム材22a)よりも側方にはみ出し、そのはみ出した部分が壁はみ出し部77となっている。これら各はみ出し部76,77は、そのはみ出し長さが縦フレーム材22aの幅の半分となっている。また、内壁パネル75の幅方向一方側において、縦フレーム材22aと内壁材21との間に挟み込まれている袋体26の側耳部26cはその一部が内壁材21よりも側方にはみ出しており、そのはみ出した部分がはみ出し部78となっている。
【0099】
隣り合う各内壁パネル75において、一方の内壁パネル75におけるフレームはみ出し部76は他方の内壁パネル75における壁はみ出し部77と対向して設けられており、これら対向する各はみ出し部76,77の間には一方の内壁パネル75における袋体26の側耳部28c、詳細にはそのはみ出し部76が挟み込まれている。この場合、一方の内壁パネル75におけるフレームはみ出し部76と他方の内壁パネル75における壁はみ出し部77との間から空気が出入りするのを抑制できる。その結果、かかる構成においても内壁パネル75間を通じた空気の出入りを抑制できる。
【0100】
(6)上記第2の実施形態では、袋体61の側耳部63cが縦フレーム材57bと内壁材21との間に挟み込まれている状態において、側耳部63cの一部が内壁材21よりも側方にはみ出すようにしたが、はみ出さないようにしてもよい。つまり、側耳部63cにはみ出し部66を設けないようにしてもよい。この場合においても、隣り合う各内壁パネル55において、一方の内壁パネル55におけるフレームはみ出し部64と他方の内壁パネル55における壁はみ出し部65との間に、他方の内壁パネル55における壁内断熱材58の側耳部63dを挟み込むことができるため、上記第2の実施形態と同様、内壁パネル55間を通じた空気の出入りを抑制できる。
【0101】
(7)上記各実施形態において、上耳部28b,63bを天井下地材37と廻り縁38又は天井仕上げ材39との間に挟み込まない構成であってもよい。
【0102】
(8)上記実施形態では、ユニット式建物への適用例を説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物や、在来木造工法により構築される建物等、他の構造の建物にも本発明を適用できる。
【0103】
(9)第1又は第2の実施形態では、外壁フレーム15に固定された木レンガ19に内壁パネル12を組み付ける際、同パネル12のフレーム断熱材24を各木レンガ19の間に配置する必要がある。ここで、フレーム断熱材24と木レンガ19とは上下に当接又は近接した位置関係で配置されるものであるため、上記の作業を行う際、フレーム断熱材24が木レンガ19に当たる等してフレーム断熱材24を各木レンガ19の間に容易に配設できないことが想定される。特に、内壁パネル12の組み付け時には、パネル裏側に配置されているフレーム断熱材24と木レンガ19との位置関係を確認できないことが想定され、上記の作業は著しく困難を伴うと考えられる。
【0104】
そこで、この解決策として、フレーム断熱材24と木レンガ19とを所定の隙間をおいて配置し、フレーム断熱材24を木レンガ19間に配置し易くすることが考えられるが、その場合、フレーム断熱材24と木レンガ19との間の隙間から熱や空気の出入りが生じ、その結果断熱性能や気密性能が低下するおそれがある。
【0105】
そこで、本実施形態では、その対策として、フレーム断熱材24と木レンガ19とを互いに当接させた状態で予めユニット化し、そのユニット化した断熱材ユニットを外壁フレーム15に組み付け、その後断熱材ユニットの木レンガ19に内壁パネル12を組み付ける構成としている。これによれば、断熱性能や気密性能の低下を抑制しつつ、内壁パネル12の組み付け作業を容易とすることできる。以下、かかる本例の構成について図17及び図18に基づいて説明する。なお、図17は、本例における外壁構造の構成を示す縦断面図であり、図18は、断熱材ユニット81を示す斜視図である。また、以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0106】
図17に示すように、本実施形態における建物80の外壁構造では、外壁パネル11の外壁フレーム15の屋内側面に断熱材ユニット81が固定されており、その断熱材ユニット81の屋外側に内壁パネル12が固定されている。断熱材ユニット81は、図18に示すように、合板よりなる長尺平板状の下地プレート82と、下地プレート82の一方の板面に同プレート82の長手方向に沿って交互に並べられた木レンガ19及びフレーム断熱材24とを備える。木レンガ19とフレーム断熱材24とはそれぞれ複数ずつ設けられ、隣り合う木レンガ19とフレーム断熱材24とは互いに当接されている。そして、この当接状態において木レンガ19とフレーム断熱材24とはそれぞれ下地プレート82に対しタッピングネジ等で固定されている。この場合、木レンガ19とフレーム断熱材24とはそれら両者の間に隙間がない状態で一体化されており、これにより断熱性能及び気密性能の低下が抑制されている。
【0107】
図19は、外壁フレーム15に対する断熱材ユニット81の固定状態を示す正面図である。図19に示すように、隣り合う外壁フレーム15において隣接する縦フレーム材15a同士は互いのウェブ部同士を当接させた状態で設けられている。断熱材ユニット81は、それら縦フレーム材15a同士が隣接する各フレーム隣接部84にそれぞれ配置されており、各々のフレーム隣接部84において、縦フレーム材15aに沿って延びる向きで、かつ、隣接する各縦フレーム材15aに跨って設けられている。断熱材ユニット81は、下地プレート82を各縦フレーム材15a(その屋内側フランジ部)の屋内側面に当接させて設けられており、その当接状態において下地プレート82がビス等により縦フレーム材15aに固定されている(図20参照)。
【0108】
ところで、断熱材ユニット81は長尺物であるため、その取り回しが大変になることが想定される。そのため、断熱材ユニット81を縦フレーム材15aに沿って位置ずれしないよう組み付けることは作業的に困難を伴うと考えられる。組み付けの際、特に縦フレーム材15aに直交する方向への位置ずれが懸念され、例えば断熱材ユニット81が縦フレーム材15aに対し若干傾いた状態で組み付けられただけで、同フレーム材15aに直交する方向における断熱材ユニット81の上下端部の位置がずれてしまうおそれがある。そこで、本例では、この点に鑑み、断熱材ユニット81に、縦フレーム材15aに直交する方向における同ユニット81の位置決めを行う位置決め手段を設け、その位置決め手段により同ユニット81を位置決めした状態で縦フレーム材15aに固定できるようにしている。以下、かかる位置決め手段について図20に基づいて説明する。
【0109】
図20に示すように、断熱材ユニット81の下地プレート82には、位置決め手段としての係合部材85が設けられている。係合部材85は、下地プレート82の裏面すなわち下地プレート82において木レンガ19が固定されている面とは反対側の面に、同プレート82の長手方向に沿って所定の間隔で複数取り付けられている。係合部材85は、略L字状をなす金属製板材よりなる。係合部材85は、下地プレート82の裏面に接着等により取り付けられた取付部85aと、その取付部85aから下地プレート82とは反対側に延びる係合部85bとを有する。
【0110】
各係合部材85はそれぞれ、各々の係合部85bが下地プレート82の長手方向に延びる向きで同プレート82に取り付けられており、具体的には各々の係合部85bが上記長手方向に一列に並ぶようにして取り付けられている。また、かかる係合部材85の取付状態において、係合部85bは下地プレート82の幅方向略中央に位置している。
【0111】
なお、係合部材85は必ずしもL字状とする必要はなく、例えば取付部85aと係合部85bとによりT字状に形成する等、その他の形状としてもよい。要は、係合部材85に、下地プレート82の裏面側に延びる係合部85bが設けられていればよい。また、係合部材85は、必ずしも縦フレーム材15aの長手方向に沿って分散して設ける必要はなく、同長手方向に沿って連続して設けてもよい。例えば係合部材85を縦フレーム材15aの長手方向に沿った長尺状とすることが考えられる。要するに、係合部材85(係合部85b)は、縦フレーム材15aの長手方向に沿って設けられていればよい。
【0112】
次に、係合部材85による断熱材ユニット81の位置決め構造について図21に基づいて説明する。なお、図21は、係合部材85により断熱材ユニット81が位置決めされた状態を示す横断面図である。
【0113】
図21に示すように、フレーム隣接部84において隣接する各縦フレーム材15aにはそれぞれ、ウェブ部とフランジ部との間の角部に円弧状の曲面部88が形成されている。各縦フレーム材15aにおいて隣り合う曲面部88の間は同フレーム材15aに沿って延びる溝部87となっており、この溝部87は各縦フレーム材15aの境界部において屋内外方向の両端部に形成されている。それら各溝部87のうち、屋内側の端部に設けられ同側に開口する溝部87の内側には、断熱材ユニット81の係合部材85が入り込んでいる。この場合、係合部材85の係合部85bが、溝部87において狭小となっている奥側(屋外側)部分に入り込み、溝部87に係合された状態となっている。これにより、断熱材ユニット81は、縦フレーム材15aの長手方向に直交する方向(つまり内壁パネル12の横幅方向に相当)への移動が規制されている。つまり、係合部材85は、断熱材ユニット81について縦フレーム材15aに直交する方向への位置決めを行う位置決め部材として機能している。
【0114】
次に、内壁パネル12を外壁フレーム15に組み付ける際の作業手順を説明する。
【0115】
まず、外壁フレーム15の各フレーム隣接部84の縦フレーム材15aに断熱材ユニット81を固定する。このとき、断熱材ユニット81の係合部材85の係合部85bを隣接する縦フレーム材15a間の溝部87に係合させ、その係合状態で断熱材ユニット81を縦フレーム材15aに固定する。この場合、断熱材ユニット81を縦フレーム材15aの長手方向に直交する方向において位置決めした状態で固定できるため、断熱材ユニット81の組み付け作業性の向上を図ることができる。その後、内壁パネル12を断熱材ユニット81の木レンガ19に固定する。
【0116】
(10)上記(9)の構成において、隣接する縦フレーム材15a間の溝部87内に、係合部材85の係合部85bを係合可能な被係合部を設け、その被係合部に係合部85bを係合させることで断熱材ユニット81について縦フレーム材15aの長手方向への移動を規制するようにしてもよい。以下、その具体例を図22に基づいて説明する。なお、図22は、隣接する縦フレーム材15a間の溝部87に被係合部が設けられた状態を示す斜視図である。
【0117】
図22に示すように、隣接する縦フレーム材15a間の溝部87には、係合部材85の係合部85bを係合可能な被係合部94が設けられている。被係合部94は、例えば溶接ビードにより形成されており、溝部87における長手方向の所定範囲を埋めるように設けられている。被係合部94は、溝部87の長手方向に沿って複数設けられ、それら各被係合部94は断熱材ユニット81の下地プレート82における各係合部材85の間隔と同間隔で配置されている。なお、被係合部94は、必ずしも溶接ビードにより形成する必要はなく、溝部87の形状及び大きさに合わせて形成した部材を同溝部87にはめ込み被係合部とする等、その他の構成としてもよい。
【0118】
図23は、隣接する縦フレーム材15aと断熱材ユニット81とを示しており、(a)が同ユニット81を縦フレーム材15aから離した状態を示す斜視図、(b)が同ユニット81を縦フレーム材15aに固定した状態を示す斜視図である。
【0119】
図23に示すように、断熱材ユニット81は、係合部材85の係合部85bが溝部87に入り込んだ状態で縦フレーム材15aに固定される(この点は上記(9)の構成と同じ)。係合部85bは、溝部87内において被係合部94の上方に当該被係合部94に当接されて配置されている。この場合、その当接により、断熱材ユニット81は縦フレーム材15aの長手方向における一方側(詳しくは下方)への移動が規制されている。
【0120】
上記の構成において、断熱材ユニット81を縦フレーム材15aに組み付ける際には、まず、係合部材85の係合部85bを溝部87に入り込ませ、かつ、係合部85bを溝部87内において被係合部94の上方に当該被係合部94と当接させて配置する。これにより、係合部85bは、溝部87に係合されるとともに、被係合部94に係合される。その結果、断熱材ユニット81は、縦フレーム材15aの長手方向に直交する方向への移動が規制されるとともに、縦フレーム材15aの長手方向への移動が規制されるため、断熱材ユニット81は、縦フレーム材15aの長手方向に直交する方向のみならず、同フレーム材15aの長手方向においても位置決めされる。そして、この位置決め状態で、断熱材ユニット81を縦フレーム材15aに固定する。かかる構成によれば、断熱材ユニット81の組み付け作業をより一層容易とすることができる。
【0121】
(11)また、上記(9)又は(10)の構成において、係合部材85に、下地プレート82における木レンガ19(及びフレーム断熱材24)の固定面側に同下地プレート82を貫通して延びる位置決め部を設け、その位置決め部に木レンガ19とフレーム断熱材24とをそれぞれ当接させることでそれら両者19,24の位置決めをしてもよい。この場合、断熱材ユニット81の位置決めに用いる係合部材85を、木レンガ19とフレーム断熱材24とを下地プレート82に取り付ける際の位置決めに兼用することができる。その具体例を図24に示す。
【0122】
図24(a)では、係合部材96が、ピン形状を有して形成されており、例えばステンレス等の金属からなる。係合部材96は、下地プレート82に形成された貫通孔(図示略)に挿通されており、その挿通状態において同プレート82を挟んだ両側に延びている。この場合、係合部材96において下地プレート82の裏面から延出した部分は係合部97となっており、下地プレート82の表面から延出した部分は位置決め部98となっている。図示は省略するが、係合部97は、隣接する縦フレーム材15a間の溝部87に入り込み、当該溝部87又は被係合部94に係合される部分である。位置決め部98は、木レンガ19とフレーム断熱材24との間に配置され、その配置状態においてそれら両者19,24にそれぞれ当接されている。この場合、位置決め部98を木レンガ19とフレーム断熱材24との位置決めに利用できる。
【0123】
図24(b)の係合部材101は、図24(a)の係合部材96に、係合プレート102を溶接により接合したものである。係合プレート102は、長尺平板状の板金よりなり、その短手幅が係合部97の長さと同じとなっている。係合プレート102は、その長手方向を下地プレート82の長手方向に向けた状態で、その一端が係合部97に固定されている。この場合、係合部97と係合プレート102とがそれぞれ溝部87に入り込む部分となっており、溝部87に係合される部分が上記の係合部材96(図24(a))よりも長く確保されている。この場合、断熱材ユニット81の安定した位置決めが可能となる。
【0124】
また、図24(c)に示すように、木レンガ19とフレーム断熱材24との間に係合部材96,101を下地プレート82の裏面側(同プレート82における木レンガ19の固定面とは反対の面側)から挿入可能な挿入部105を設けてもよい。
【符号の説明】
【0125】
10…建物、12…内壁パネル、21…内壁面材としての内壁材、22…内壁フレーム、23…壁内断熱材、26…表被材としての袋体、27…繊維系材料としての繊維系断熱材、28…耳部、28a…下耳部、28b…上耳部、28c…側耳部、32…床下地面材としての床下地材、33…床仕上げ面材としての床仕上げ材、37…天井下地面材としての天井下地材、38…廻り縁、39…天井仕上げ面材としての天井仕上げ材、55…内壁パネル、57…内壁フレーム、57b…縦枠材としての縦フレーム材、63…耳部、63c…側耳部、63d…側耳部、64…対向部としてのフレームはみ出し部、68…延出部、71…ガイド部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の気密構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物では、外壁部の断熱性能を確保するために、対向配置される外壁面材と内壁面材との間の壁内空間に壁内断熱材が設けられているのが一般的である。この種の壁内断熱材としては、グラスウール等の繊維系断熱材に防湿性を有する表被材を被せてなるものがある。かかる壁内断熱材では、表被材の周縁部から外側に延出する耳部が設けられているものがあり、この場合、耳部を内壁面材等にタッカー等を用いて取り付けることで壁内断熱材を組み付けられるようになっている。
【0003】
また、建物においては断熱性能の他に気密性能が求められる。例えば、建物の外壁部では、内壁面材と床面材との間の隙間を通じて屋内に外気が出入りすることが想定される。そこで、この対策として、例えば特許文献1には、内壁面材と床面材との境界部に沿って気密テープを貼り付け目止めした構成が開示されている。これによれば、内壁面材と床面材との間の隙間を通じて屋内に外気が出入りするのを抑制できるため、気密性を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−49754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、細長状の気密テープを内壁面材と床面材との境界部に沿ってそれら各面材に跨るように貼り付けていく必要があり、その作業には慎重さが求められる。そのため、気密テープの貼り付け作業には多大な時間を要することが想定され、作業工数の増大が懸念される。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製造時における作業工数の削減を図ることができる建物の気密構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の気密構造は、床下地面材上に設置された内壁面材の裏面側に、板状に形成された繊維系材料に表被材を被せてなる壁内断熱材が、前記内壁面材の裏面に沿って設けられた建物に適用され、前記表被材の一部には、前記繊維系材料の周縁部よりも外側に延出する耳部が設けられており、前記耳部において前記繊維系材料の下側から延出する下耳部は、前記内壁面材の下端部と前記床下地面材との間を通じて前記内壁面材の表面側に延び、その一部が前記床下地面材とその上に敷設される床仕上げ面材との間に挟み込まれていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、内壁面材の裏面に設けられた壁内断熱材の表被材の下耳部が、内壁面材の下端部と床下地面材との間を通じて内壁面材の表面側に一部引き出されており、その引き出された部分が床下地面材と床仕上げ面材との間に挟み込まれている。この場合、内壁面材と床仕上げ面材との間の間隙が下耳部により下方から覆われるため、内壁面材と床仕上げ面材との間を通じて空気が出入りするのを抑制でき、その結果気密性の確保が図れる。また、かかる構成では、まず下耳部を内壁面材の表面側に引き出した状態で当該内壁面材を床下地面材上に設置し、その後床下地面材上に床仕上げ面材を設置するといった簡易な作業を行うことで、それら両面材の間に下耳部を挟み込むことができる。そのため、製造時における作業工数の削減を図ることができる。
【0009】
ところで、内壁面材の下端部と床下地面材との間で下耳部を挟み込むだけでも、それら両者の間を通じた空気の出入りを抑制できるため、結果として内壁面材と床仕上げ面材との間の気密性能をある程度確保することができる。しかしながら、かかる構成では、下耳部が挟み込まれる挟み込み部分の幅(詳しくは内壁材の壁厚み方向の長さ)を内壁面材の壁厚み分しか確保できず、十分な気密効果を得られないおそれがある。この点、床下地面材と床仕上げ面材との間で下耳部を挟み込む上記の構成では、下耳部の挟み込み部分を広く確保できるため、十分な気密効果を得ることが可能となる。
【0010】
第2の発明の建物の気密構造は、第1の発明において、前記内壁面材が横並びに複数設置されているとともに、前記各内壁面材ごとに前記壁内断熱材が配設されている建物に適用され、前記下耳部は、前記内壁面材の幅方向の長さが該内壁面材の幅寸法よりも大きく設定されることにより、その一部が前記内壁面材よりも側方に延出する延出部となっており、前記隣り合う内壁面材において、一方の内壁面材の裏面に設けられた前記壁内断熱材の前記下耳部の延出部が、他方の内壁面材の裏面に設けられた前記壁内断熱材の前記下耳部と重ね合わせられ、その重ね合わせ状態で前記床下地面材と前記床仕上げ面材との間に挟み込まれていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、隣り合う各内壁面材の裏面に設けられた各々の壁内断熱材の下耳部同士が一部重ね合わせられた状態で設けられており、その重ね合わせ状態で各下耳部が床下地面材と床仕上げ面材との間に挟み込まれている。この場合、内壁面材の並ぶ方向に沿って連続した気密ラインを形成できるため、気密性を高めることができる。
【0012】
第3の発明の建物の気密構造は、第1又は第2の発明において、前記耳部において前記繊維系材料の上側から延出する上耳部は、前記内壁面材の上端部と、その上方に設けられた天井下地面材との間を通じて前記内壁面材の表面側に延びており、その一部が前記天井下地面材と、その下方に設けられた廻り縁及び天井仕上げ面材のうち少なくともいずれかとの間に挟み込まれていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、内壁面材の裏面側に設けられた壁内断熱材の上耳部が内壁面材の上端部と天井下地面材との間を通じて内壁面材の表面側に引き出されており、その引き出された部分が天井下地面材と、その下方に設けられた廻り縁及び天井仕上げ面材の少なくともいずれかとの間に挟み込まれている。この場合、内壁面材の上端部と天井下地面材との間の隙間を上耳部により覆うことができるため、内壁面材と天井下地面材との間を通じて空気が出入りするのを抑制できる。その結果、内壁面材の上下端部それぞれにおいて空気の出入りを抑制でき、気密性の向上を図ることができる。
【0014】
ところで、天井仕上げ面材としてはクロス等のシート材が用いられることが考えられる。この場合、天井仕上げ面材と天井下地面材との間に上耳部を挟み込む構成とすると、天井仕上げ面材に不陸が生じて天井側の美観が損なわれるおそれがある。この点を鑑みると、廻り縁と天井下地面材との間に上耳部を挟み込む構成とするのが望ましいといえる。
【0015】
第4の発明の建物の気密構造は、第3の発明において、前記内壁面材と、その上方に設けられた天井下地面材との境界部に沿って廻り縁が設けられており、前記上耳部は、前記内壁面材の上端部と前記天井下地面材との間を通じて前記内壁面材の表面側に延び、その端部が屋内空間側に露出しない状態で前記天井下地面材と前記廻り縁との間に挟み込まれていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、上記第3の発明と同様に、内壁面材の上端部と天井下地面材との間を通じた空気の出入りを抑制できる。そして、下耳部の端部が廻り縁と天井下地面材との間に、屋内空間側に露出することなく挟み込まれているため、屋内空間の美観を損なうことなく上記の効果を得ることができる。
【0017】
第5の発明の建物の気密構造は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記内壁面材と、前記壁内断熱材と、前記内壁面材の裏面側において前記壁内断熱材の周囲に設けられる内壁フレームとを有する内壁パネルを備え、前記内壁パネルが、横並びに複数設置されている建物に適用され、前記内壁パネルにおいて、前記内壁フレームは、前記内壁面材の側縁に沿って設けられる縦枠材を有し、該縦枠材と前記内壁面材との間には、前記壁内断熱材の耳部において前記繊維系材料から側方に延出する側耳部が挟み込まれており、隣り合う前記内壁パネルにおいて、一方の内壁パネルの前記縦枠材は、他方の内壁パネル側にはみ出して同パネルの内壁面材と対向する対向部を有し、それら対向し合う当該内壁面材と当該対向部との間には、前記一方の内壁パネルにおいて前記縦枠材と前記内壁面材との間に挟み込まれた前記側耳部の端縁部及び、前記他方の内壁パネルにおける前記壁内断熱材の側耳部のうち少なくともいずれかが挟み込まれていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、隣り合う各内壁パネルにおいて、一方の内壁パネルにおける内壁面材の裏面に設けられた縦枠材の対向部が、他方の内壁パネルにおける内壁面材の裏面に対向して設けられている。この場合、当該縦枠材は、各内壁パネルの内壁面材の裏面に跨って配設されている。ここで、一方の内壁パネルでは、当該縦枠材と内壁面材との間に壁内断熱材の側耳部が挟み込まれているため、当該縦枠材と内壁面材との間を通じた空気の出入りが抑制されている。それに対して、当該縦枠材の対向部と他方の内壁パネルの内壁面材との間には、一方の内壁パネルにおいて当該縦枠材と内壁面材との間に挟み込まれた側耳部の端部(詳しくは、当該側耳部において内壁面材よりも側方にはみ出した部分)及び、他方の内壁パネルにおける壁内断熱材の側耳部のうち少なくともいずれかが挟みこまれているため、当該縦枠材と当該内壁面材(他方の内壁パネルの内壁面材)との間を通じた空気の出入りが抑制されている。以上により、隣り合う各内壁パネル(内壁面材)の間を通じて空気が出入りするのを抑制でき、その結果気密性を高めることができる。
【0019】
第6の発明の建物の気密構造は、第5の発明において、前記一方の内壁パネルにおいて前記縦枠材と前記内壁面材との間に挟み込まれた前記側耳部は該内壁面材よりも側方に一部はみ出しており、そのはみ出した部分が前記他方の内壁パネルにおける前記側耳部と重ね合わせられた状態で、前記対向部と前記他方の内壁パネルの内壁面材との間に挟み込まれていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、一方の内壁パネルにおける壁内断熱材の側耳部が縦枠材と内壁面材との間に挟み込まれた状態において、その一部が当該内壁面材よりも側方にはみ出している。そして、そのはみ出した部分が他方の内壁パネルにおける壁内断熱材の側耳部と重ね合わせられ、その重ね合わせ状態で一方の内壁パネルの対向部と他方の内壁パネルの内壁面材との間に挟み込まれている。この場合、内壁パネル間の気密性をより一層高めることができる。
【0021】
第7の発明の建物の気密構造は、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記内壁面材には、前記壁内断熱材と、前記内壁面材の下端面に対向した状態で配置されたガイド部材とがそれぞれ一体に設けられ、前記下耳部は、前記ガイド部材と前記内壁面材の下端面との間に挟み込まれた状態で設けられることにより、前記内壁面材の表面側に延びていることを特徴とする。
【0022】
ところで、内壁面材に壁内断熱材を一体に設けた構成では、内壁面材を持ち上げて床下地面材上に設置する際に、壁内断熱材の下耳部が下方に垂れ下がった状態になることが想定され、その垂れ下がり状態で内壁面材を床下地面材上に設置すると、下耳部が内壁面材の裏面側に入り込んでしまうおそれがある。そこで、本発明では、内壁面材の下端面に対向した状態でガイド部材を内壁面材に一体に設け、そのガイド部材と内壁面材の下端面との間に下耳部を挟み込むことにより、当該下耳部を内壁面材の表面側に引き出すこととしている。この場合、下耳部が内壁面材の表面側に引き出された状態で内壁面材の設置作業を行うことができるため、上記の不都合が生じるのを抑制できる。
【0023】
第8の発明の建物の気密構造は、第1乃至第7のいずれかの発明において、前記耳部を有してなる前記表被材は、防湿性を有する材料からなることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、耳部を有してなる壁内断熱材の表被材が防湿性を有する材料により形成されているため、上記第1乃至第7の各発明において、気密効果に加え防湿効果を得ることができる。
【0025】
第9の発明の建物の気密構造は、第1乃至第8のいずれかの発明において、前記内壁面材の裏面側には、前記壁内断熱材を囲んで内壁フレームが設けられ、前記壁内断熱材の前記表被材の耳部は、前記内壁フレームと前記内壁面材との間に挟み込まれていることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、内壁フレームと内壁面材の裏面との間に表被材の耳部が挟み込まれているため、内壁面材の裏面と耳部との間を通じて空気が出入りするのを抑制でき、その結果内壁面材の端面と耳部との間を通じて空気が出入りするのを抑制できる。これにより、気密効果をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施形態における建物の外壁周辺の構成を示す縦断面図。
【図2】外壁構造の構成を示す横断面図。
【図3】外壁フレームにおける木レンガの配置状態を示す斜視図。
【図4】内壁パネルの構成を示す斜視図。
【図5】(a)が壁内断熱材の構成を示す正面図、(b)が同構成を示す側面図。
【図6】内壁パネルが床下地材上に設置された状態を示す斜視図。
【図7】図6の構成において床下地材上に床仕上げ材が敷設された状態を示す斜視図。
【図8】内壁パネルと天井材との境界部の構成を示す縦断面図。
【図9】気密構造を構築する際の作業手順を説明するための説明図。
【図10】第2の実施形態における内壁パネルの構成を示す横断面図。
【図11】(a)が内壁フレームを示す正面図、(b)が壁内断熱材を示す正面図。
【図12】内壁パネルが横並びに設置された状態を示す横断面図。
【図13】床下地材上に内壁パネルが設置された状態を示す斜視図。
【図14】内壁パネルと天井材との境界部の構成を示す縦断面図。
【図15】他の実施形態におけるガイド部材を備えた内壁パネルを示す縦断面図。
【図16】隣り合う内壁パネルの並び状態を示す横断面図。
【図17】建物の外壁周辺の構成を示す縦断面図。
【図18】断熱材ユニットを示す斜視図。
【図19】外壁フレームに対する断熱材ユニットの固定状態を示す正面図。
【図20】断熱材ユニットに設けられた係合部材を示す斜視図。
【図21】係合部材により断熱材ユニットが位置決めされた状態を示す横断面図。
【図22】隣接する縦フレーム材間の溝部に被係合部が設けられた状態を示す斜視図。
【図23】隣接する縦フレーム材と断熱材ユニットとを示し、(a)が断熱材ユニットを縦フレーム材から離した状態を示す斜視図、(b)が断熱材ユニットを縦フレーム材に固定した状態を示す斜視図。
【図24】係合部材の別形態を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔第1の実施形態〕
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物としてユニット式建物について具体化しており、そのユニット式建物は、梁及び柱よりなる複数の建物ユニットを互いに連結することで構成されている。なお、図1は建物の外壁周辺の構成を示す縦断面図であり、図2は外壁構造の構成を示す横断面図である。また、図2は、図1のA−A線断面図である。
【0029】
図1に示すように、建物10の外壁構造において、屋外側には外壁パネル11が設けられており、その屋内側には内壁パネル12が設けられている。外壁パネル11は、屋外面を形成する外壁材14と、外壁材14の裏面側(屋内面側)に固定された外壁フレーム15とを備えている。外壁材14は、例えば窯業系サイディング等の外装材により形成されている。
【0030】
外壁フレーム15は、断面コ字状の溝形鋼からなる複数のフレーム材15a〜15cが矩形枠状に連結されることにより構成されている。具体的には、外壁フレーム15は、外壁材14の幅方向両端部において上下方向に延びる縦フレーム材15aと、外壁材14の上下方向両端部において左右方向(外壁材14の幅方向)に延びる横フレーム材15bと、外壁材14の上下方向中間部において左右方向に延びる中間フレーム材15cとを有している。なお、詳細には、これら各フレーム材15a〜15cのうち縦フレーム材15aについては、天井大梁18及び床大梁17との干渉を回避すべく上下方向両端側の一部が取り除かれている。
【0031】
外壁フレーム15の各横フレーム材15bは、それぞれ床大梁17及び天井大梁18に対しボルト等により固定されている。これにより、外壁パネル11が建物10に対して固定されている。また、図2に示すように、外壁パネル11は建物10の外周部において横並びに複数設置されており、隣り合う外壁パネル11の外壁フレーム15(詳細には縦フレーム材15a)同士が当接された状態でボルト等により連結されている。
【0032】
外壁パネル11の外壁フレーム15の屋内側面には、複数の木レンガ19がタッピングネジ等により固定されている。木レンガ19は、略直方体形状の木材からなる外壁下地材である。図3には、外壁フレーム15における木レンガ19の配置状態を示す。図3に示すように、木レンガ19は、隣り合う外壁フレーム15の隣接する各縦フレーム材15aに跨った状態で縦フレーム材15aの長手方向に沿って所定間隔で複数(図3では4つ)配置されている。
【0033】
次に、内壁パネル12の構成について図4に基づいて説明する。なお、図4は、内壁パネル12の構成を示す斜視図である。
【0034】
図4に示すように、内壁パネル12は、屋内面を形成する内壁材21と、内壁材21の裏面側(屋外面側)に固定された内壁フレーム22と、内壁フレーム22の枠内部に組み込まれた壁内断熱材23と、内壁フレーム22の屋外側面に固定されたフレーム断熱材24とを備えている。内壁パネル12は、外壁パネル11と略同じ大きさ(縦横寸法)で形成されている。
【0035】
内壁材21は、例えば石膏ボードにより形成されている。内壁フレーム22は、木製の角材からなる複数のフレーム材22a〜22cが矩形枠状に連結されることにより構成されている。具体的には、内壁フレーム22は、内壁材21の幅方向両端部において上下方向(高さ方向)に延びる縦フレーム材22aと、内壁材21の上下方向両端部において左右方向に延びる横フレーム材22bと、内壁材21の幅方向中間部において上下方向に延びる中間フレーム材22cとを有している。したがって、内壁フレーム22には、これら各フレーム材22a〜22cにより囲まれた2つの枠内領域Sが形成されている。
【0036】
壁内断熱材23は、防湿性を有するポリエチレンフィルム等を袋状に形成した袋体26の中にグラスウール等の繊維系断熱材27を充填してなるものである。図5には壁内断熱材23の構成が示されており、(a)が同構成を示す正面図、(b)が側面図である。
【0037】
図5に示すように、壁内断熱材23は、2つの繊維系断熱材27を有している。繊維系断熱材27は、所定の厚みを有した矩形板状に形成されており、内壁フレーム22の枠内領域Sと略同じ大きさ(縦横寸法)を有している。各繊維系断熱材27は短手方向に横並びで設けられ、内壁フレーム22の2つの枠内領域Sと同じ間隔で配置されている。
【0038】
袋体26は、各繊維系断熱材27の一方の板面に跨って設けられそれら各板面を覆うフィルム材26aと、各繊維系断熱材27の他方の板面を覆うとともに各板面の間の4つの側面を連続して覆うフィルム材26bとを有し、それら各フィルム材26a,26bが溶着又は接着されることにより形成されている。フィルム材26aは、長方形状をなしており、その上下高さが繊維系断熱材27の上下高さよりも大きく、かつ、その幅が繊維系断熱材27の幅(詳細には2つの繊維系断熱材27の幅寸法の和)よりも大きくなっている。この場合、フィルム材26aは、各繊維系断熱材27の一方の板面に設けられた状態において、その周縁側、より詳しくはその四辺の端縁側がそれぞれ繊維系断熱材27よりも外側に延出しており、この延出した部分が袋体26の耳部28となっている。
【0039】
一方、フィルム材26bにおいて繊維系断熱材27の他方の板面を覆う部分には同断熱材27の湿気を袋体26の外に逃がすための通気穴(図示略)が多数設けられている。後述するように、壁内断熱材23は、壁内(詳しくは内壁材21と外壁材14との間の壁内)において袋体26のフィルム材26aを屋内側、フィルム材26bを屋外側に向けた状態で設けられる。この場合、屋内側の湿気が袋体26の中に入り込むのをフィルム材26aにより抑制するとともに、袋体26の中に入り込んだ湿気をフィルム材26bを通じて袋体26の外に逃がすことができる。
【0040】
図4の説明に戻り、壁内断熱材23は、2つの繊維系断熱材27が内壁フレーム22の各枠内領域Sにそれぞれ配設され、かつ、袋体26(フィルム材26a)の耳部28(詳細には、さらにフィルム材26aにおける各繊維系断熱材27の間の部分)が内壁フレーム22と内壁材21の裏面との間に挟み込まれた状態で組み込まれている。この場合、各繊維系断熱材27(詳しくはその外表面の袋体26)は、各フレーム材22a〜22cの内側面との間に隙間のない状態で設けられており、袋体26のフィルム材26aは内壁材21の裏面に当接されている。
【0041】
フレーム断熱材24は、ポリスチレンフォーム等の樹脂系断熱材からなり、矩形断面を有する棒状(角棒状)をなしている。フレーム断熱材24は、内壁フレーム22の各縦フレーム材22a及び中間フレーム材22cにおいて内壁材21の固定面とは反対側の面に各々のフレーム材22a〜22cに沿って延びる向きでタッピングネジ等により固定されている。フレーム断熱材24は、各フレーム材22a〜22cにおいてそれぞれ各々のフレーム材22a〜22cの延びる方向に所定の間隔で複数(図4では3つ)ずつ設けられており、各々のフレーム材22a〜22cにおいて各フレーム断熱材24の間には後述するように木レンガ19が配置されるようになっている。
【0042】
フレーム断熱材24は、壁内断熱材23を設置できない内壁フレーム22の配設部位に設けられることで、同フレーム22が熱橋となるのを抑制している。この点からすると、壁内断熱材23を主断熱部、フレーム断熱材24を副断熱部と言うこともできる。なお、フレーム断熱材24は、ポリスチレンフォームに代えて、硬質ウレタンフォームやフェノールフォーム等その他の樹脂系断熱材により形成されていてもよい。
【0043】
図1及び図2の説明に戻り、内壁パネル12は外壁パネル11よりも屋内側に設置された状態において、内壁フレーム22が各木レンガ19の屋内側面にタッピングネジ等により固定されている。具体的には、図2に示すように、内壁フレーム22の各縦フレーム材22a及び中間フレーム材22cがそれぞれ木レンガ19に固定されている。この場合、内壁パネル12の壁内断熱材23は外壁材14と内壁材21との間の壁内空間に配設されており、これにより外壁構造の断熱性能が確保されている。また、内壁パネル12の設置状態では、各フレーム断熱材24がそれぞれ木レンガ19と上下に交互に並び、かつ、木レンガ19と当接又は近接された状態で配置されている。
【0044】
建物10におけるその他の構成として、床大梁17の上面には床根太31が設けられている。床根太31上には、パーティクルボードよりなる床下地材32が設けられ、床下地材32上には、フローリングよりなる床仕上げ材33が設けられている。内壁パネル12の下端部には巾木34が設けられており、この巾木34により床仕上げ材33と内壁パネル12との間の見切りが行われている。
【0045】
一方、天井大梁18の下面には野縁36が固定されている。野縁36の下面には2枚重ねの石膏ボードよりなる天井下地材37が固定され、天井下地材37の下面にはクロスからなる天井仕上げ材39が貼り付けられている。内壁パネル12の上端部には廻り縁38が設けられており、この廻り縁38により天井仕上げ材39と内壁パネル12との間の見切りが行われている。
【0046】
ところで、本実施形態では、内壁パネル12の下端部と床下地材32との間を通じて外気が出入りするのを抑制すべく特徴的な気密構造を有している。以下、かかる気密構造について図4及び図5に加え図6及び図7を用いて説明する。
【0047】
図4及び図5に示すように、壁内断熱材23の袋体26のフィルム材26aは、その幅が内壁材21の横幅と略同じとなっているのに対し、その上下高さが内壁材21の上下高さよりも大きくなっている。具体的には、フィルム材26aの耳部28において、繊維系断熱材27よりも側方に延出した側耳部28cはその延出長さ(横幅)L3が内壁フレーム22の縦フレーム材22aの幅寸法と略同じとなっているのに対し、繊維系断熱材27よりも下方に延出した下耳部28aと、繊維系断熱材27よりも上方に延出した上耳部28bとは、その延出長さ(上下高さ)L1,L2が内壁フレーム22の横フレーム材22bの幅よりも大きくなっている。なお、より詳しくは、下耳部28aの延出長さL1は、上耳部25aの延出長さL2よりも長くなっている。
【0048】
壁内断熱材23は、上述したように、袋体26の耳部28が内壁フレーム22と内壁材21との間に挟み込まれた状態で同フレーム22に組み込まれている。この場合、側耳部28cが、縦フレーム材22aと内壁材21との間に同フレーム材22a(換言すると内壁材21)から側方にはみ出すことなく挟み込まれているのに対し、下耳部28aが、下側の横フレーム材22bと内壁材21との間に同フレーム材22bから一部下方にはみ出した状態で挟み込まれ、上耳部28bが、上側の横フレーム材22bと内壁材21との間に同フレーム材22bから一部上方にはみ出した状態で挟み込まれている。
【0049】
次に、内壁パネル12と床部との境界部の構成について図6及び図7に基づいて説明する。図6は、内壁パネル12が床下地材32上に設置された状態を示す斜視図であり、図7は、図6の構成において床下地材32上に床仕上げ材33が敷設された状態を示す斜視図である。なお、図6及び図7中の符号41は本建物10を下方から支持する基礎であり、その上端には床大梁17が設置されている。
【0050】
図6に示すように、床下地材32は、床大梁17上に設けられた床根太31の上と、床小梁42上に設けられた床根太46の上とに設置されている。床下地材32の下面側には、グラスウールよりなる床下断熱材43が各床根太31,46間に配設されており、床下の断熱が図られている。
【0051】
床下地材32上には、複数の内壁パネル12が横並びで設置されており、これら各内壁パネル12により内壁部が構成されている。内壁パネル12が床下地材32上に設置された状態では、壁内断熱材23の袋体26の下耳部28aが内壁材21の下端部と床下地材32の上面との間を通じて内壁材21の表面側(屋内面側)すなわち屋内空間X側に一部引き出されている。
【0052】
図7に示すように、床下地材32上には床仕上げ材33が敷設されている。この場合、下耳部28aの一部、すなわち下耳部28aにおいて内壁材21の表面側に引き出された部分が床下地材32と床仕上げ材33との間に挟み込まれており、床仕上げ材33と内壁材21との間の隙間49が下耳部28aによって下方から塞がれた状態となっている。これにより、当該隙間49を通じて空気が出入りするのを抑制でき、その結果気密性の確保を図ることができる。また、内壁パネル12の下端部には上記隙間49を上方から塞ぐようにして巾木34が設けられている。
【0053】
なお、内壁パネル12の壁内断熱材23と、外壁パネル11の外壁材14との間には上下に延びる通気層45が形成されており、この通気層45には、外壁材14の下端部と床大梁17との間を通じて外気が出入りするようになっている。また、図7及び図8では外壁材14の下端部と床大梁17との間に外壁フレーム15の横フレーム材15bが配設されているが、同フレーム材15bには図示しない複数の通気孔が設けられ、その通気孔を通じて外気が出入りするようになっている。
【0054】
次に、内壁パネル12と天井部との境界部の構成について図8に基づいて説明する。なお、図8は内壁パネル12と天井材37,39との境界部の構成を示す縦断面図である。
【0055】
図8に示すように、内壁パネル12の内壁材21の上端部と天井下地材37との間には所定の隙間51が形成されており、その隙間51を通じて壁内断熱材23の袋体26の上耳部28bが内壁材21の表面側(屋内面側)に一部引き出されている。袋体26において当該引き出された部分は天井下地材37と廻り縁38との間に挟み込まれている。換言すると、廻り縁38は、その上端部と天井下地材37との間に当該引き出された部分を挟み込んだ状態で、内壁材21の屋内面に接着等により固定されている。これにより、上耳部28bにより天井下地材37と廻り縁38との間の隙間51が覆われるため、当該隙間51を通じて空気が出入りするのを抑制できる。
【0056】
また、上耳部28bは、その端縁が天井下地材37と廻り縁38との間に配置された状態で挟み込まれている。すなわち、上耳部28bは、屋内空間X側に露出しない状態でそれら両者37,38の間に挟み込まれており、これにより、内壁パネル12上端側の美観が損なわれるのを回避しつつ、天井下地材37と廻り縁38との間の気密性を確保できるようになっている。
【0057】
次に、壁内断熱材23の袋体26(耳部28)を用いた上記の気密構造を構築する際の作業手順について図9を用いて説明する。なお、図9は、かかる作業手順を説明するための説明図である。
【0058】
建物10の外壁構造を構築する際には、まず外壁パネル11を建物10に組み付け、その後、外壁パネル11の外壁フレーム15に各木レンガ19を固定する。
【0059】
次に、図9(a)に示すように、木レンガ19に対して内壁パネル12を屋内側から組み付ける。具体的には、内壁フレーム22を木レンガ19の屋内側面に固定する。この作業に際しては、壁内断熱材23の袋体26の下耳部28a及び上耳部28bをそれぞれ内壁材21の表面側に引き出した状態で行う。これにより、内壁パネル12が組み付けられると、図9(b)に示すように、内壁材21の下端部と床下地材32との間を通じて下耳部28aの一部が内壁材21の屋内側に引き出された状態になるとともに、内壁材21の上端部と天井下地材37との隙間51を通じて上耳部28bの一部が内壁材21の屋内側に引き出された状態となる。
【0060】
その後、上記の手順で各内壁パネル12を設置する。各内壁パネル12を設置した後、図9(c)に示すように、床下地材32上に床仕上げ材33を敷設する。これにより、床下地材32と床仕上げ材33との間に各内壁パネル12の袋体26の下耳部28aが挟み込まれる。その後、内壁パネル12の下端部に沿って巾木34を取り付ける。
【0061】
次に、図9(d)に示すように、内壁パネル12の上端部と天井下地材37との境界部に沿って廻り縁38を取り付ける。このとき、天井下地材37と廻り縁38との間に袋体26の上耳部28bを挟み込んだ状態で廻り縁38の取り付けを行う。これをもって、一連の作業が終了する。
【0062】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0063】
内壁材21の裏面側に設けられた壁内断熱材23の袋体26の耳部28のうち繊維系断熱材27の下側から延出した下耳部28aを、内壁材21の下端部と床下地材32との間を通じて内壁材21の表面側に延ばし、その一部を床下地材32とその上に敷設される床仕上げ材33との間に挟み込むようにした。この場合、内壁材21と床仕上げ材33との間の隙間49が下耳部28aにより下方から覆われるため、内壁材21と床仕上げ材33との間を通じて空気が出入りするのを抑制でき、その結果気密性の確保が図れる。また、かかる気密構造を構築(製造)するに際しては、まず下耳部28aを内壁材21の表面側に引き出した状態で内壁パネル12を床下地材32上に設置し、その後床下地材32上に床仕上げ材33を設置するといった簡易な作業を行うことで、それら両者32,33の間に下耳部28aを挟み込むことができる。そのため、製造時における作業工数の削減を図ることができる。
【0064】
壁内断熱材23の袋体26の耳部28のうち繊維系断熱材27の上側から延出した上耳部28bを、内壁材21の上端部と天井下地材37との間を通じて内壁材21の表面側に延ばし、その一部を天井下地材37とその下方に設けられた廻り縁38との間に挟み込むようにした。この場合、内壁材21の上端部と天井下地材37との間の隙間51を上耳部28bにより覆うことができるため、当該隙間51を通じて空気が出入りするのを抑制できる。その結果、内壁材21の上下端部それぞれにおいて空気の出入りを抑制でき、気密性の向上を図ることができる。
【0065】
ところで、天井下地材37と、その下面に設けられたクロスからなる天井仕上げ材39との間に上耳部28bを挟み込むようにしても上述の効果は得られるが、その場合天井仕上げ材39に不陸が生じて天井側の美観が損なわれるおそれがある。その点、廻り縁38と天井下地材37との間に上耳部28bを挟み込む上記の構成とすれば、かかる不都合を回避しつつ気密性の向上が図れる。
【0066】
内壁材21の裏面側に壁内断熱材23を囲むようにして内壁フレーム22を設け、その内壁フレーム22と内壁材21との間に袋体26の耳部28を挟み込むようにした。この場合、内壁材21の裏面と耳部28との間を通じて空気が出入りするのを抑制でき、その結果内壁材21の下端面と下耳部28aとの間、及び内壁材21の上端面と上耳部28bとの間を通じて空気が出入りするのを抑制できる。これにより、気密効果をさらに高めることができる。
【0067】
耳部28を有してなる袋体26を、防湿性を有する材料により形成した。そのため、上述した気密効果に加え防湿効果を得ることができる。
【0068】
〔第2の実施形態〕
本実施形態では、壁内断熱材23の袋体26の耳部28を用いて、さらに隣り合う内壁パネル12の間の気密を行うこととしている。以下、本実施形態の構成を、第1の実施形態との相違点を中心に図10に基づいて説明する。なお、図10は本実施形態における内壁パネルの構成を示す横断面図である。また、図10では、第1の実施形態と同一の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0069】
図10に示すように、本実施形態の内壁パネル55は、第1実施形態の内壁パネル12と同様、内壁材21と、内壁材21の裏面側(屋内面側)に固定された内壁フレーム57と、内壁フレーム57の枠内部に組み込まれた壁内断熱材58とを備えて構成されている。ここで、本内壁パネル55では、内壁材21が第1の実施形態と同様の構成である一方、内壁フレーム57及び壁内断熱材58が第1の実施形態と異なる構成を有している。以下、内壁フレーム57及び壁内断熱材58の構成を図11に基づいて説明する。なお、図11において(a)は内壁フレーム57を示す正面図、(b)は壁内断熱材58を示す正面図である。また、図11では、参考として、内壁材21を一点鎖線で図示している。
【0070】
図11(a)に示すように、内壁フレーム57は、木製の角材からなる複数のフレーム材57a〜57cが互いに連結されることにより構成されている。具体的には、内壁フレーム57は、内壁材21の上下方向両端部において左右方向に延びる上下一対の横フレーム材57aと、内壁材21の幅方向の一端部において上下方向(高さ方向)に延びる縦フレーム材57bと、内壁材21の幅方向中間部において上下方向に延びる中間フレーム材57cとを有している。したがって、本実施形態の内壁フレーム57は、基本的には、第1実施形態の内壁フレーム22の各縦フレーム材22aのうちから一方を取り除いた構成となっている。この場合、内壁フレーム57において、各フレーム材57a〜57cにより囲まれてなる2つの枠内領域R1,R2のうち、一方の枠内領域R1は各フレーム材57a〜57cにより四方が囲まれてなる一方、他方の枠内領域R2は横フレーム材57a及び中間フレーム材57cにより三方のみ囲まれてなり枠内領域R2の一方が開放されている。
【0071】
また、縦フレーム材57bは、その幅(詳しくは、縦フレーム材57bの長手方向に直交しかつ内壁材21の壁面に沿う方向の長さ)が第1実施形態の縦フレーム材22aの幅よりも大きくなっている。具体的には、縦フレーム材57bの幅は、縦フレーム材22aの幅の2倍となっている。したがって、内壁フレーム57は、幅方向の一方にしか縦フレーム材57bを有していないものの、その幅寸法が内壁フレーム22と略同じとなっている。なお、内壁フレーム57の大きさ(詳しくは縦横寸法)は内壁材21の大きさと略同じとなっている。
【0072】
壁内断熱材58は、図11(b)に示すように、基本的に第1実施形態の壁内断熱材23と同様の構成を有しており、防湿性を有するポリエチレンフィルム等を袋状に形成した袋体61の中に2つの繊維系断熱材27を充填してなる。袋体61は、第1実施形態の袋体26と同様に、フィルム材61a,61bが溶着又は接着されることで形成され、フィルム材61aの周縁側が繊維系断熱材27から外側に延出した耳部63となっている。以下においては、耳部63において、フィルム材61aよりも下方、上方、側方に延出したそれぞれの部分を下耳部63a、上耳部63b、側耳部63c,63dという。
【0073】
フィルム材61aは、その上下高さが内壁材21の上下高さよりも大きく、かつ、その幅が内壁材21の幅よりも大きくなっている。フィルム材61aの各側耳部63c,63dのうち、一方の側耳部63cは他方の側耳部63dと比べ、繊維系断熱材27からの延出長さが大きくなっている。具体的には、一方の側耳部63cの延出長さL4は縦フレーム材57bの幅と略同じとなっているのに対し、他方の側耳部63dの延出長さL5は縦フレーム材57bの幅の半分となっている。
【0074】
図10に示すように、内壁フレーム57は内壁材21の裏面において同内壁材21に対し横方向に位置ずれさせた状態で固定されている。この場合、内壁パネル55の幅方向一端側では、内壁フレーム57の縦フレーム材57bが内壁材21(詳細にはその側端部)から一部側方にはみ出しており、詳しくは縦フレーム材57bの幅方向半分の部分がはみ出している。なお、以下においては、このはみ出した部分をフレームはみ出し部64といい、場合によっては単にはみ出し部64という。
【0075】
一方、内壁パネル55の幅方向他端側では内壁材21の一部が内壁フレーム57(詳しくは横フレーム材57aの端部)よりも側方にはみ出しており、詳しくは縦フレーム材57bの幅の半分の長さ分はみ出している。なお、以下においては、このはみ出した部分を壁はみ出し部65といい、場合によっては単にはみ出し部65という。
【0076】
壁内断熱材58は、各繊維系断熱材27が内壁フレーム57の各枠内領域R1,R2にそれぞれ配設され、かつ、袋体61のフィルム材61aが内壁フレーム57と内壁材21の裏面との間に挟み込まれた状態で組み込まれている。この場合、袋体61の一方の側耳部63cは、縦フレーム材57bと内壁材21との間に挟み込まれており、その一部が内壁材21よりも側方にはみ出している。以下、このはみ出した部分をはみ出し部66という。また、他方の側耳部63cは、内壁材21のはみ出し部65の裏面に沿って設けられている。
【0077】
下耳部63aは、下側の横フレーム材57aと内壁材21との間に挟み込まれ、その一部が同フレーム材57aよりも下方にはみ出している。また、上耳部63bは、上側の横フレーム材57aと内壁材21との間に挟み込まれ、その一部が同フレーム材57aよりも上方にはみ出している。
【0078】
次に、上記内壁パネル55の設置構成について図12に基づいて説明する。なお、図12は内壁パネル55が横並びに設置された状態を示す横断面図である。
【0079】
図12に示すように、床下地材32上には、複数の内壁パネル55が横並びに設けられている。この場合、隣り合う各内壁パネル55において、一方の内壁パネル55の内壁フレーム57のはみ出し部64は他方の内壁パネル55の内壁材21のはみ出し部65と対向して設けられている。そして、これら各はみ出し部64,65の間には、一方の内壁パネル55の壁内断熱材58における袋体61の側耳部63c(詳細にはそのはみ出し部66)と、他方の内壁パネル55の壁内断熱材58における袋体61の側耳部63dとが重ね合わせられて設けられており、その重ね合わせ状態でこれら各側耳部63c,63dが両はみ出し部64,65の間に挟み込まれている。これにより、隣り合う各内壁パネル55の間を通じて空気が出入りするのが抑制されている。なお、隣り合う内壁パネル55の各はみ出し部64,65は、それら両者64,65の間に側耳部63c,63dを挟み込んだ状態でビス等で互いに固定されている。
【0080】
次に、内壁パネル55と床部との間の境界部の構成を図13に基づいて説明する。なお、図13は、床下地材32上に内壁パネル55が設置された状態を示す斜視図である。
【0081】
図13に示すように、床下地材32上には、複数の内壁パネル55が横並びで設置されている。かかる設置状態において、壁内断熱材58の袋体61の下耳部63aは内壁材21の下端部と床下地材32との間を通じて内壁材21の表面側(屋内面側)に一部引き出されている。ここで、上述したように、本実施形態の袋体61では側耳部63cの一部(詳しくははみ出し部66)が内壁材21よりも側方にはみ出しているため、下耳部63aにおいても一部が内壁材21よりも側方にはみ出している。換言すると、下耳部63aにおいてはみ出し部66と重複する部分が内壁材21よりも側方にはみ出しており、そのはみ出した(延出した)部分が延出部68となっている。したがって、下耳部63aにおいて内壁材21の屋内側に引き出された部分はその一部(延出部68に対応する部分)が当該内壁材21よりも側方に延出している。
【0082】
この場合、隣り合う各内壁パネル55において、一方の内壁パネル55の壁内断熱材58における袋体61の下耳部63aの延出部68が、他方の内壁パネル55の壁内断熱材58における袋体61の下耳部63aと重ね合わせられて設けられており、これにより下耳部63aが内壁パネル55の幅方向に沿って連続して配置されている。そして、図示は省略するが、第1実施形態と同様、床下地材32上に床仕上げ材33が敷設されることで、それら両者32,33の間に下耳部63aが挟み込まれ、これにより床仕上げ材33と内壁材21との間を通じて空気が出入りするのが抑制されている。
【0083】
次に、内壁パネル55と天井部との境界部の構成を図14に基づいて説明する。なお、図14は、内壁パネル55と天井材37,39との境界部の構成を示す縦断面図である。また、本実施形態の建物10には、廻り縁38が設けられていない。
【0084】
図14に示すように、壁内断熱材58の袋体61の上耳部63bは、内壁材21の上端部と天井下地材37との間を通じてその一部が内壁材21の表面側(屋内面側)に引き出されており、その引き出された部分が天井下地材37と天井仕上げ材39との間に挟み込まれている。この場合、内壁材21と天井仕上げ材39との間が上耳部63bにより閉塞されているため、それら両者21,39の間を通じて、ひいては内壁材21の上端部と天井下地材37との間を通じて外気が出入りするのを抑制できる。
【0085】
次に、上述の内壁パネル55を設置する際の作業手順について図12に基づいて説明する。なお、ここでは第1の実施形態における内壁パネル12の設置作業と重複する内容については説明を省略する。
【0086】
まず、図12に示すように、最初の内壁パネル55Aを木レンガ19に組み付ける。具体的には、同パネル55Aの内壁フレーム57を木レンガ19に固定する。
【0087】
続いて、次の内壁パネル55Bを最初の内壁パネル55Aに隣接させて組み付ける。具体的には、内壁パネル55Bを、最初の内壁パネル55Aにおける縦フレーム材57bが設けられている側に隣接させて組み付ける。この作業ではまず、内壁パネル55Aにおける縦フレーム材57bのはみ出し部64に、次の内壁パネル55Bにおける内壁材21のはみ出し部65を対向させ、それら対向する各はみ出し部64,65の間に各内壁パネル55Aの袋体61の側耳部63c,63d(側耳部63cについては詳しくはそのはみ出し部66)を挟み込む。そして、かかる挟み込み状態において、内壁パネル55Bを木レンガ19に固定するとともに、内壁パネル55Bのはみ出し部65を内壁パネル55Aのはみ出し部64に固定する。
【0088】
その後、上記の要領で、残りの内壁パネル55を順次組み付けていく。内壁パネル55の組み付けが終了した後、床下地材32上に床仕上げ材33を敷設する。これにより、床下地材32と床仕上げ材33との間に各内壁パネル55の袋体61の下耳部63aが挟み込まれる。
【0089】
その後、天井下地材37の下面に天井仕上げ材39を貼り付ける。このとき、天井下地材37と天井仕上げ材39との間に各内壁パネル55の袋体61の上耳部63bを挟み込んだ状態で貼り付けを行う。これにより、一連の作業が終了する。
【0090】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0091】
下耳部63aの一部に、内壁材21よりも側方に延出する延出部68を設け、隣り合う内壁材21において、一方の内壁材21の裏面に設けられた壁内断熱材58の下耳部63aの延出部68を、他方の内壁材21の裏面に設けられた壁内断熱材58の下耳部63aと重ね合わせ、その重ね合わせ状態で床下地材32と床仕上げ材33との間に挟み込むようにした。この場合、隣り合う各内壁材21の裏面に設けられた各々の壁内断熱材58の下耳部63a同士が一部重ね合わせられた状態で、床下地材32と床仕上げ材33との間に挟み込まれるため、内壁材21の並ぶ方向に沿って連続した気密ラインを形成できる。よって、この場合気密性を高めることができる。
【0092】
内壁パネル55において、内壁フレーム57に、内壁材21の側縁に沿って設けられる縦フレーム材57bを設け、該縦フレーム材57bと内壁材21との間に、壁内断熱材58の側耳部63cを挟み込むようにした。そして、隣り合う内壁パネル55において、一方の内壁パネル55の縦フレーム材57bに、他方の内壁パネル55側にはみ出して当該パネル55の内壁材21と対向するはみ出し部64を設け、それら対向し合う内壁材21とはみ出し部64との間に、一方の内壁パネル55において縦フレーム材57bと内壁材21との間に挟み込まれた側耳部63cの端縁部及び、他方の内壁パネル55における壁内断熱材58の側耳部63dを挟み込むようにした。この場合、縦フレーム材57bが、隣り合う各内壁パネル55の内壁材21の裏面に跨って配設され、一方の内壁パネル55では、同パネル55の縦フレーム材57bと内壁材21との間に壁内断熱材58の側耳部63cが挟み込まれ、当該縦フレーム材57bと内壁材21との間を通じた空気の出入りが抑制される。それに対し、当該縦フレーム材57bのはみ出し部64と他方の内壁パネル55の内壁材21との間には、一方の内壁パネル55における側耳部63cの端部(詳しくは、当該側耳部63cのはみ出し部66)と、他方の内壁パネル55における壁内断熱材58の側耳部63dとが挟みこまれているため、当該縦フレーム材57bと当該内壁材21との間を通じた空気の出入りが抑制されている。具体的には、当該縦フレーム材57bのはみ出し部64と他方の内壁パネル55の内壁材21との間には、一方の内壁パネル55における側耳部63cと他方の内壁パネル55における側耳部63dとが重ね合わせられた状態で挟み込まれている。以上より、隣り合う各内壁パネル55の間を通じて空気が出入りするのを抑制でき、その結果気密性を高めることができる。
【0093】
〔他の実施形態〕
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記各実施形態の構成において、内壁パネル12,55に内壁材21の下端面に対向するガイド部材を設け、該ガイド部材と内壁材21の下端面との間に袋体26,61の下耳部28a,63aを挟み込んで設けることにより、当該下耳部28a,63aを内壁材21の表面側に引き出すようにしてもよい。例えば、図15(a)に示すように、ガイド部材71を、内壁材21の下端面と内壁フレーム22の横フレーム材22bの下面とに跨るように設け、内壁材21の下端面とガイド部材71との間に下耳部28aを挟み込むことが考えられる。この場合、ガイド部材71は横フレーム材22bにビス等により固定される。
【0094】
また、図15(b)に示すように、内壁フレーム22の下側の横フレーム材22bに、内壁材21の下端面に対向する対向部72を一体形成し、その対向部72と内壁材21の下端面との間に下耳部28aを挟み込んでもよい。この場合、ガイド部材が横フレーム材22bにより構成されているため、ガイド部材を設けるに際し部品点数の増大を抑制できる。上記各構成によれば、下耳部28aが内壁材21の表面側に引き出された状態で内壁パネル12の設置作業を行うことができるため、内壁パネル12の設置に際し、下耳部28aが内壁材21の裏面側に入り込んでしまう等の不都合が生じるのを抑制できる。
【0095】
(2)袋体26の下耳部28aにおいて、内壁材21の下端部と床下地材32との間を通じて内壁材21の表面側に引き出された部分を上下に折り返し重ね合わせることで重ね部を形成し、その重ね部を床下地材32と床仕上げ材33との間に挟み込むようにしてもよい。袋体26は薄膜状のフィルム材26a,26bからなるため、床下地材32と床仕上げ材33との間に隙間が生じている場合には、それら両者32,33の間に下耳部28aを十分に挟み込むことができず、その結果所望の気密性能が得られなくなるおそれがある。この点、上記のように重ね部を形成すれば、その重ね部を下耳部28aにおいて比較的肉厚とすることができるため、重ね部を床下地材32と床仕上げ材33との間に挟み込むことで、それら両者32,33の間に多少の隙間が生じている場合でも下耳部28aの挟み込みが可能となる。
【0096】
(3)上記各実施形態において、床仕上げ材33をカーペット(絨毯)としてもよい。カーペットからなる床仕上げ材33と床下地材32との間に袋体26,61の下耳部28a,63aを挟み込むようにしても、内壁材21と床仕上げ材33との間の気密性を確保できる。
【0097】
(4)上記各実施形態において、袋体26,61の上耳部28b,63bを天井下地材37と廻り縁38との間、及び天井下地材37と天井仕上げ材39との間の両方で挟み込むようにしてもよい。
【0098】
(5)上記第2の実施形態における内壁パネル55をその他の構成に変更してもよい。その一例を図16に示す。図16に示す内壁パネル75は、第1の実施形態における内壁パネル12と同様に、内壁材21、内壁フレーム22及び壁内断熱材23を有してなる。内壁パネル75は、内壁フレーム22及び壁内断熱材23が内壁材21に対し幅方向に位置ずれさせた状態で組み付けられてなり、具体的には、縦フレーム材22aの幅の半分だけ位置ずれさせた状態で組み付けられている。この場合、内壁パネル75の幅方向一端側では、縦フレーム材22aが内壁材21よりも側方にはみ出し、そのはみ出した部分がフレームはみ出し部76となっている。一方、内壁パネル75の幅方向他端側では、内壁材21が内壁フレーム22(縦フレーム材22a)よりも側方にはみ出し、そのはみ出した部分が壁はみ出し部77となっている。これら各はみ出し部76,77は、そのはみ出し長さが縦フレーム材22aの幅の半分となっている。また、内壁パネル75の幅方向一方側において、縦フレーム材22aと内壁材21との間に挟み込まれている袋体26の側耳部26cはその一部が内壁材21よりも側方にはみ出しており、そのはみ出した部分がはみ出し部78となっている。
【0099】
隣り合う各内壁パネル75において、一方の内壁パネル75におけるフレームはみ出し部76は他方の内壁パネル75における壁はみ出し部77と対向して設けられており、これら対向する各はみ出し部76,77の間には一方の内壁パネル75における袋体26の側耳部28c、詳細にはそのはみ出し部76が挟み込まれている。この場合、一方の内壁パネル75におけるフレームはみ出し部76と他方の内壁パネル75における壁はみ出し部77との間から空気が出入りするのを抑制できる。その結果、かかる構成においても内壁パネル75間を通じた空気の出入りを抑制できる。
【0100】
(6)上記第2の実施形態では、袋体61の側耳部63cが縦フレーム材57bと内壁材21との間に挟み込まれている状態において、側耳部63cの一部が内壁材21よりも側方にはみ出すようにしたが、はみ出さないようにしてもよい。つまり、側耳部63cにはみ出し部66を設けないようにしてもよい。この場合においても、隣り合う各内壁パネル55において、一方の内壁パネル55におけるフレームはみ出し部64と他方の内壁パネル55における壁はみ出し部65との間に、他方の内壁パネル55における壁内断熱材58の側耳部63dを挟み込むことができるため、上記第2の実施形態と同様、内壁パネル55間を通じた空気の出入りを抑制できる。
【0101】
(7)上記各実施形態において、上耳部28b,63bを天井下地材37と廻り縁38又は天井仕上げ材39との間に挟み込まない構成であってもよい。
【0102】
(8)上記実施形態では、ユニット式建物への適用例を説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物や、在来木造工法により構築される建物等、他の構造の建物にも本発明を適用できる。
【0103】
(9)第1又は第2の実施形態では、外壁フレーム15に固定された木レンガ19に内壁パネル12を組み付ける際、同パネル12のフレーム断熱材24を各木レンガ19の間に配置する必要がある。ここで、フレーム断熱材24と木レンガ19とは上下に当接又は近接した位置関係で配置されるものであるため、上記の作業を行う際、フレーム断熱材24が木レンガ19に当たる等してフレーム断熱材24を各木レンガ19の間に容易に配設できないことが想定される。特に、内壁パネル12の組み付け時には、パネル裏側に配置されているフレーム断熱材24と木レンガ19との位置関係を確認できないことが想定され、上記の作業は著しく困難を伴うと考えられる。
【0104】
そこで、この解決策として、フレーム断熱材24と木レンガ19とを所定の隙間をおいて配置し、フレーム断熱材24を木レンガ19間に配置し易くすることが考えられるが、その場合、フレーム断熱材24と木レンガ19との間の隙間から熱や空気の出入りが生じ、その結果断熱性能や気密性能が低下するおそれがある。
【0105】
そこで、本実施形態では、その対策として、フレーム断熱材24と木レンガ19とを互いに当接させた状態で予めユニット化し、そのユニット化した断熱材ユニットを外壁フレーム15に組み付け、その後断熱材ユニットの木レンガ19に内壁パネル12を組み付ける構成としている。これによれば、断熱性能や気密性能の低下を抑制しつつ、内壁パネル12の組み付け作業を容易とすることできる。以下、かかる本例の構成について図17及び図18に基づいて説明する。なお、図17は、本例における外壁構造の構成を示す縦断面図であり、図18は、断熱材ユニット81を示す斜視図である。また、以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0106】
図17に示すように、本実施形態における建物80の外壁構造では、外壁パネル11の外壁フレーム15の屋内側面に断熱材ユニット81が固定されており、その断熱材ユニット81の屋外側に内壁パネル12が固定されている。断熱材ユニット81は、図18に示すように、合板よりなる長尺平板状の下地プレート82と、下地プレート82の一方の板面に同プレート82の長手方向に沿って交互に並べられた木レンガ19及びフレーム断熱材24とを備える。木レンガ19とフレーム断熱材24とはそれぞれ複数ずつ設けられ、隣り合う木レンガ19とフレーム断熱材24とは互いに当接されている。そして、この当接状態において木レンガ19とフレーム断熱材24とはそれぞれ下地プレート82に対しタッピングネジ等で固定されている。この場合、木レンガ19とフレーム断熱材24とはそれら両者の間に隙間がない状態で一体化されており、これにより断熱性能及び気密性能の低下が抑制されている。
【0107】
図19は、外壁フレーム15に対する断熱材ユニット81の固定状態を示す正面図である。図19に示すように、隣り合う外壁フレーム15において隣接する縦フレーム材15a同士は互いのウェブ部同士を当接させた状態で設けられている。断熱材ユニット81は、それら縦フレーム材15a同士が隣接する各フレーム隣接部84にそれぞれ配置されており、各々のフレーム隣接部84において、縦フレーム材15aに沿って延びる向きで、かつ、隣接する各縦フレーム材15aに跨って設けられている。断熱材ユニット81は、下地プレート82を各縦フレーム材15a(その屋内側フランジ部)の屋内側面に当接させて設けられており、その当接状態において下地プレート82がビス等により縦フレーム材15aに固定されている(図20参照)。
【0108】
ところで、断熱材ユニット81は長尺物であるため、その取り回しが大変になることが想定される。そのため、断熱材ユニット81を縦フレーム材15aに沿って位置ずれしないよう組み付けることは作業的に困難を伴うと考えられる。組み付けの際、特に縦フレーム材15aに直交する方向への位置ずれが懸念され、例えば断熱材ユニット81が縦フレーム材15aに対し若干傾いた状態で組み付けられただけで、同フレーム材15aに直交する方向における断熱材ユニット81の上下端部の位置がずれてしまうおそれがある。そこで、本例では、この点に鑑み、断熱材ユニット81に、縦フレーム材15aに直交する方向における同ユニット81の位置決めを行う位置決め手段を設け、その位置決め手段により同ユニット81を位置決めした状態で縦フレーム材15aに固定できるようにしている。以下、かかる位置決め手段について図20に基づいて説明する。
【0109】
図20に示すように、断熱材ユニット81の下地プレート82には、位置決め手段としての係合部材85が設けられている。係合部材85は、下地プレート82の裏面すなわち下地プレート82において木レンガ19が固定されている面とは反対側の面に、同プレート82の長手方向に沿って所定の間隔で複数取り付けられている。係合部材85は、略L字状をなす金属製板材よりなる。係合部材85は、下地プレート82の裏面に接着等により取り付けられた取付部85aと、その取付部85aから下地プレート82とは反対側に延びる係合部85bとを有する。
【0110】
各係合部材85はそれぞれ、各々の係合部85bが下地プレート82の長手方向に延びる向きで同プレート82に取り付けられており、具体的には各々の係合部85bが上記長手方向に一列に並ぶようにして取り付けられている。また、かかる係合部材85の取付状態において、係合部85bは下地プレート82の幅方向略中央に位置している。
【0111】
なお、係合部材85は必ずしもL字状とする必要はなく、例えば取付部85aと係合部85bとによりT字状に形成する等、その他の形状としてもよい。要は、係合部材85に、下地プレート82の裏面側に延びる係合部85bが設けられていればよい。また、係合部材85は、必ずしも縦フレーム材15aの長手方向に沿って分散して設ける必要はなく、同長手方向に沿って連続して設けてもよい。例えば係合部材85を縦フレーム材15aの長手方向に沿った長尺状とすることが考えられる。要するに、係合部材85(係合部85b)は、縦フレーム材15aの長手方向に沿って設けられていればよい。
【0112】
次に、係合部材85による断熱材ユニット81の位置決め構造について図21に基づいて説明する。なお、図21は、係合部材85により断熱材ユニット81が位置決めされた状態を示す横断面図である。
【0113】
図21に示すように、フレーム隣接部84において隣接する各縦フレーム材15aにはそれぞれ、ウェブ部とフランジ部との間の角部に円弧状の曲面部88が形成されている。各縦フレーム材15aにおいて隣り合う曲面部88の間は同フレーム材15aに沿って延びる溝部87となっており、この溝部87は各縦フレーム材15aの境界部において屋内外方向の両端部に形成されている。それら各溝部87のうち、屋内側の端部に設けられ同側に開口する溝部87の内側には、断熱材ユニット81の係合部材85が入り込んでいる。この場合、係合部材85の係合部85bが、溝部87において狭小となっている奥側(屋外側)部分に入り込み、溝部87に係合された状態となっている。これにより、断熱材ユニット81は、縦フレーム材15aの長手方向に直交する方向(つまり内壁パネル12の横幅方向に相当)への移動が規制されている。つまり、係合部材85は、断熱材ユニット81について縦フレーム材15aに直交する方向への位置決めを行う位置決め部材として機能している。
【0114】
次に、内壁パネル12を外壁フレーム15に組み付ける際の作業手順を説明する。
【0115】
まず、外壁フレーム15の各フレーム隣接部84の縦フレーム材15aに断熱材ユニット81を固定する。このとき、断熱材ユニット81の係合部材85の係合部85bを隣接する縦フレーム材15a間の溝部87に係合させ、その係合状態で断熱材ユニット81を縦フレーム材15aに固定する。この場合、断熱材ユニット81を縦フレーム材15aの長手方向に直交する方向において位置決めした状態で固定できるため、断熱材ユニット81の組み付け作業性の向上を図ることができる。その後、内壁パネル12を断熱材ユニット81の木レンガ19に固定する。
【0116】
(10)上記(9)の構成において、隣接する縦フレーム材15a間の溝部87内に、係合部材85の係合部85bを係合可能な被係合部を設け、その被係合部に係合部85bを係合させることで断熱材ユニット81について縦フレーム材15aの長手方向への移動を規制するようにしてもよい。以下、その具体例を図22に基づいて説明する。なお、図22は、隣接する縦フレーム材15a間の溝部87に被係合部が設けられた状態を示す斜視図である。
【0117】
図22に示すように、隣接する縦フレーム材15a間の溝部87には、係合部材85の係合部85bを係合可能な被係合部94が設けられている。被係合部94は、例えば溶接ビードにより形成されており、溝部87における長手方向の所定範囲を埋めるように設けられている。被係合部94は、溝部87の長手方向に沿って複数設けられ、それら各被係合部94は断熱材ユニット81の下地プレート82における各係合部材85の間隔と同間隔で配置されている。なお、被係合部94は、必ずしも溶接ビードにより形成する必要はなく、溝部87の形状及び大きさに合わせて形成した部材を同溝部87にはめ込み被係合部とする等、その他の構成としてもよい。
【0118】
図23は、隣接する縦フレーム材15aと断熱材ユニット81とを示しており、(a)が同ユニット81を縦フレーム材15aから離した状態を示す斜視図、(b)が同ユニット81を縦フレーム材15aに固定した状態を示す斜視図である。
【0119】
図23に示すように、断熱材ユニット81は、係合部材85の係合部85bが溝部87に入り込んだ状態で縦フレーム材15aに固定される(この点は上記(9)の構成と同じ)。係合部85bは、溝部87内において被係合部94の上方に当該被係合部94に当接されて配置されている。この場合、その当接により、断熱材ユニット81は縦フレーム材15aの長手方向における一方側(詳しくは下方)への移動が規制されている。
【0120】
上記の構成において、断熱材ユニット81を縦フレーム材15aに組み付ける際には、まず、係合部材85の係合部85bを溝部87に入り込ませ、かつ、係合部85bを溝部87内において被係合部94の上方に当該被係合部94と当接させて配置する。これにより、係合部85bは、溝部87に係合されるとともに、被係合部94に係合される。その結果、断熱材ユニット81は、縦フレーム材15aの長手方向に直交する方向への移動が規制されるとともに、縦フレーム材15aの長手方向への移動が規制されるため、断熱材ユニット81は、縦フレーム材15aの長手方向に直交する方向のみならず、同フレーム材15aの長手方向においても位置決めされる。そして、この位置決め状態で、断熱材ユニット81を縦フレーム材15aに固定する。かかる構成によれば、断熱材ユニット81の組み付け作業をより一層容易とすることができる。
【0121】
(11)また、上記(9)又は(10)の構成において、係合部材85に、下地プレート82における木レンガ19(及びフレーム断熱材24)の固定面側に同下地プレート82を貫通して延びる位置決め部を設け、その位置決め部に木レンガ19とフレーム断熱材24とをそれぞれ当接させることでそれら両者19,24の位置決めをしてもよい。この場合、断熱材ユニット81の位置決めに用いる係合部材85を、木レンガ19とフレーム断熱材24とを下地プレート82に取り付ける際の位置決めに兼用することができる。その具体例を図24に示す。
【0122】
図24(a)では、係合部材96が、ピン形状を有して形成されており、例えばステンレス等の金属からなる。係合部材96は、下地プレート82に形成された貫通孔(図示略)に挿通されており、その挿通状態において同プレート82を挟んだ両側に延びている。この場合、係合部材96において下地プレート82の裏面から延出した部分は係合部97となっており、下地プレート82の表面から延出した部分は位置決め部98となっている。図示は省略するが、係合部97は、隣接する縦フレーム材15a間の溝部87に入り込み、当該溝部87又は被係合部94に係合される部分である。位置決め部98は、木レンガ19とフレーム断熱材24との間に配置され、その配置状態においてそれら両者19,24にそれぞれ当接されている。この場合、位置決め部98を木レンガ19とフレーム断熱材24との位置決めに利用できる。
【0123】
図24(b)の係合部材101は、図24(a)の係合部材96に、係合プレート102を溶接により接合したものである。係合プレート102は、長尺平板状の板金よりなり、その短手幅が係合部97の長さと同じとなっている。係合プレート102は、その長手方向を下地プレート82の長手方向に向けた状態で、その一端が係合部97に固定されている。この場合、係合部97と係合プレート102とがそれぞれ溝部87に入り込む部分となっており、溝部87に係合される部分が上記の係合部材96(図24(a))よりも長く確保されている。この場合、断熱材ユニット81の安定した位置決めが可能となる。
【0124】
また、図24(c)に示すように、木レンガ19とフレーム断熱材24との間に係合部材96,101を下地プレート82の裏面側(同プレート82における木レンガ19の固定面とは反対の面側)から挿入可能な挿入部105を設けてもよい。
【符号の説明】
【0125】
10…建物、12…内壁パネル、21…内壁面材としての内壁材、22…内壁フレーム、23…壁内断熱材、26…表被材としての袋体、27…繊維系材料としての繊維系断熱材、28…耳部、28a…下耳部、28b…上耳部、28c…側耳部、32…床下地面材としての床下地材、33…床仕上げ面材としての床仕上げ材、37…天井下地面材としての天井下地材、38…廻り縁、39…天井仕上げ面材としての天井仕上げ材、55…内壁パネル、57…内壁フレーム、57b…縦枠材としての縦フレーム材、63…耳部、63c…側耳部、63d…側耳部、64…対向部としてのフレームはみ出し部、68…延出部、71…ガイド部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下地面材上に設置された内壁面材の裏面側に、板状に形成された繊維系材料に表被材を被せてなる壁内断熱材が、前記内壁面材の裏面に沿って設けられた建物に適用され、
前記表被材の一部には、前記繊維系材料の周縁部よりも外側に延出する耳部が設けられており、
前記耳部において前記繊維系材料の下側から延出する下耳部は、前記内壁面材の下端部と前記床下地面材との間を通じて前記内壁面材の表面側に延び、その一部が前記床下地面材とその上に敷設される床仕上げ面材との間に挟み込まれていることを特徴とする建物の気密構造。
【請求項2】
前記内壁面材が横並びに複数設置されているとともに、前記各内壁面材ごとに前記壁内断熱材が配設されている建物に適用され、
前記下耳部は、前記内壁面材の幅方向の長さが該内壁面材の幅寸法よりも大きく設定されることにより、その一部が前記内壁面材よりも側方に延出する延出部となっており、
前記隣り合う内壁面材において、一方の内壁面材の裏面に設けられた前記壁内断熱材の前記下耳部の延出部が、他方の内壁面材の裏面に設けられた前記壁内断熱材の前記下耳部と重ね合わせられ、その重ね合わせ状態で前記床下地面材と前記床仕上げ面材との間に挟み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の建物の気密構造。
【請求項3】
前記耳部において前記繊維系材料の上側から延出する上耳部は、前記内壁面材の上端部と、その上方に設けられた天井下地面材との間を通じて前記内壁面材の表面側に延びており、その一部が前記天井下地面材と、その下方に設けられた廻り縁及び天井仕上げ面材のうち少なくともいずれかとの間に挟み込まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物の気密構造。
【請求項4】
前記内壁面材と、その上方に設けられた天井下地面材との境界部に沿って廻り縁が設けられており、
前記上耳部は、前記内壁面材の上端部と前記天井下地面材との間を通じて前記内壁面材の表面側に延び、その端部が屋内空間側に露出しない状態で前記天井下地面材と前記廻り縁との間に挟み込まれていることを特徴とする請求項3に記載の建物の気密構造。
【請求項5】
前記内壁面材と、前記壁内断熱材と、前記内壁面材の裏面側において前記壁内断熱材の周囲に設けられる内壁フレームとを有する内壁パネルを備え、前記内壁パネルが、横並びに複数設置されている建物に適用され、
前記内壁パネルにおいて、前記内壁フレームは、前記内壁面材の側縁に沿って設けられる縦枠材を有し、該縦枠材と前記内壁面材との間には、前記壁内断熱材の耳部において前記繊維系材料から側方に延出する側耳部が挟み込まれており、
隣り合う前記内壁パネルにおいて、一方の内壁パネルの前記縦枠材は、他方の内壁パネル側にはみ出して同パネルの内壁面材と対向する対向部を有し、それら対向し合う当該内壁面材と当該対向部との間には、前記一方の内壁パネルにおいて前記縦枠材と前記内壁面材との間に挟み込まれた前記側耳部の端縁部及び、前記他方の内壁パネルにおける前記壁内断熱材の側耳部のうち少なくともいずれかが挟み込まれていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建物の気密構造。
【請求項6】
前記一方の内壁パネルにおいて前記縦枠材と前記内壁面材との間に挟み込まれた前記側耳部は該内壁面材よりも側方に一部はみ出しており、そのはみ出した部分が前記他方の内壁パネルにおける前記側耳部と重ね合わせられた状態で、前記対向部と前記他方の内壁パネルの内壁面材との間に挟み込まれていることを特徴とする請求項5に記載の建物の気密構造。
【請求項7】
前記内壁面材には、前記壁内断熱材と、前記内壁面材の下端面に対向した状態で配置されたガイド部材とがそれぞれ一体に設けられ、
前記下耳部は、前記ガイド部材と前記内壁面材の下端面との間に挟み込まれた状態で設けられることにより、前記内壁面材の表面側に延びていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の建物の気密構造。
【請求項8】
前記耳部を有してなる前記表被材は、防湿性を有する材料からなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の建物の気密構造。
【請求項9】
前記内壁面材の裏面側には、前記壁内断熱材を囲んで内壁フレームが設けられ、
前記壁内断熱材の前記表被材の耳部は、前記内壁フレームと前記内壁面材との間に挟み込まれていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の建物の気密構造。
【請求項1】
床下地面材上に設置された内壁面材の裏面側に、板状に形成された繊維系材料に表被材を被せてなる壁内断熱材が、前記内壁面材の裏面に沿って設けられた建物に適用され、
前記表被材の一部には、前記繊維系材料の周縁部よりも外側に延出する耳部が設けられており、
前記耳部において前記繊維系材料の下側から延出する下耳部は、前記内壁面材の下端部と前記床下地面材との間を通じて前記内壁面材の表面側に延び、その一部が前記床下地面材とその上に敷設される床仕上げ面材との間に挟み込まれていることを特徴とする建物の気密構造。
【請求項2】
前記内壁面材が横並びに複数設置されているとともに、前記各内壁面材ごとに前記壁内断熱材が配設されている建物に適用され、
前記下耳部は、前記内壁面材の幅方向の長さが該内壁面材の幅寸法よりも大きく設定されることにより、その一部が前記内壁面材よりも側方に延出する延出部となっており、
前記隣り合う内壁面材において、一方の内壁面材の裏面に設けられた前記壁内断熱材の前記下耳部の延出部が、他方の内壁面材の裏面に設けられた前記壁内断熱材の前記下耳部と重ね合わせられ、その重ね合わせ状態で前記床下地面材と前記床仕上げ面材との間に挟み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の建物の気密構造。
【請求項3】
前記耳部において前記繊維系材料の上側から延出する上耳部は、前記内壁面材の上端部と、その上方に設けられた天井下地面材との間を通じて前記内壁面材の表面側に延びており、その一部が前記天井下地面材と、その下方に設けられた廻り縁及び天井仕上げ面材のうち少なくともいずれかとの間に挟み込まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物の気密構造。
【請求項4】
前記内壁面材と、その上方に設けられた天井下地面材との境界部に沿って廻り縁が設けられており、
前記上耳部は、前記内壁面材の上端部と前記天井下地面材との間を通じて前記内壁面材の表面側に延び、その端部が屋内空間側に露出しない状態で前記天井下地面材と前記廻り縁との間に挟み込まれていることを特徴とする請求項3に記載の建物の気密構造。
【請求項5】
前記内壁面材と、前記壁内断熱材と、前記内壁面材の裏面側において前記壁内断熱材の周囲に設けられる内壁フレームとを有する内壁パネルを備え、前記内壁パネルが、横並びに複数設置されている建物に適用され、
前記内壁パネルにおいて、前記内壁フレームは、前記内壁面材の側縁に沿って設けられる縦枠材を有し、該縦枠材と前記内壁面材との間には、前記壁内断熱材の耳部において前記繊維系材料から側方に延出する側耳部が挟み込まれており、
隣り合う前記内壁パネルにおいて、一方の内壁パネルの前記縦枠材は、他方の内壁パネル側にはみ出して同パネルの内壁面材と対向する対向部を有し、それら対向し合う当該内壁面材と当該対向部との間には、前記一方の内壁パネルにおいて前記縦枠材と前記内壁面材との間に挟み込まれた前記側耳部の端縁部及び、前記他方の内壁パネルにおける前記壁内断熱材の側耳部のうち少なくともいずれかが挟み込まれていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建物の気密構造。
【請求項6】
前記一方の内壁パネルにおいて前記縦枠材と前記内壁面材との間に挟み込まれた前記側耳部は該内壁面材よりも側方に一部はみ出しており、そのはみ出した部分が前記他方の内壁パネルにおける前記側耳部と重ね合わせられた状態で、前記対向部と前記他方の内壁パネルの内壁面材との間に挟み込まれていることを特徴とする請求項5に記載の建物の気密構造。
【請求項7】
前記内壁面材には、前記壁内断熱材と、前記内壁面材の下端面に対向した状態で配置されたガイド部材とがそれぞれ一体に設けられ、
前記下耳部は、前記ガイド部材と前記内壁面材の下端面との間に挟み込まれた状態で設けられることにより、前記内壁面材の表面側に延びていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の建物の気密構造。
【請求項8】
前記耳部を有してなる前記表被材は、防湿性を有する材料からなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の建物の気密構造。
【請求項9】
前記内壁面材の裏面側には、前記壁内断熱材を囲んで内壁フレームが設けられ、
前記壁内断熱材の前記表被材の耳部は、前記内壁フレームと前記内壁面材との間に挟み込まれていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の建物の気密構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−202164(P2012−202164A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69649(P2011−69649)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】
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