説明

建物の警備装置

【課題】二重サッシ化された一戸建住宅の、特に一階周りの防犯警備に設置可能な警備装置を提供する。
【解決手段】外側ドアーと室内側ドアーとに囲まれた二重ドアーの空間部15とまた、外側サッシと室内側サッシとに囲まれた二重サッシの空間部25の空気を排気する排気送風機75一台と、前記各空間部15、25と外部の排気送風機75とは各連通ホース65で接続し、変動検知手段35を経て前記排気送風機75の吸引口に接続している。建物への侵入行為が発生すると、二重ドアーの空間部15または二重サッシの空間部25は負圧力から大気圧になることで排気送風機75の吸い込み風量が増加することになり変動検知手段35の風速計が異常数値を示し、この風速計の異常数値が報知手段45に通信される。報知手段45としては・警報発報・現場撮影開始・携帯電話への送信など異常記録が保存できることを特徴とする建物の警備装置1となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅などの建物に装備される警備装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅などへの侵入で多いのは窓ガラスを割ったりまた玄関ドアーのピッキングで、住宅侵入犯罪件数の約70%を占めている。
更に、無戸締まりを加えれば90%に近いと警視庁データで報告されている。
【0003】
侵入犯罪にはピッキングを防ぐ錠への交換や防犯合わせガラスを用いたサッシ等の開発が進められている。また、警備装置としては赤外線センサーや近接スイッチ・振動スイッチなどを用いた検出手段を通じて報知する警備装置は普及しつつあります。
しかし、現状の検出手段の警報装置では警備したい場所毎に検出手段が取り付けられることが多く、警備会社から入る110通報(28、000件アラーム通報)の97%が誤報だったと神奈川県警通信指令課は報告している。
【0004】
ところで、検出手段の少ない防犯装置としては、ファンによって建物の内部を外部より高い気圧か、または低い気圧に維持し圧力計の異常な変化を検出し警報を発する。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開2001−243562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記公報に記載の防犯装置を効果的に作動させるには高気密住宅が絶対条件となり、昔の住宅など気密性能が十分ではない建物では警備装置の設置が難しく普及が進んでいない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、住宅のリフォーム時に断熱工事の二重サッシ化に併せ一戸建住宅で、特に、一階周りの防犯警備に設置可能な警備装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を講じた。
第1に、建物に装備する建物の警備装置であって、二重ドアー毎また二重サッシ毎に囲まれた各空間部の空気を排気する排気送風機一台と、
前記各空間部の内部と外部とを連通して、この連通口に取り付けた各ホースは前記排気送風機に接続されていて、この前記排気送風機を通過する空気の負圧力変動または風速変動を検知する両方または一方の変動検知手段に基づいて、二重ドアーまた二重サッシに囲まれた前記空間部の異常状態を報知する報知手段を備えたことを特徴とする建物の警備装置とする。
【0008】
第2に、建物に装備する建物の警備装置であって、二重ドアー毎また二重サッシ毎に囲まれた各空間部の空気を加圧する加圧送風機一台と、
前記各空間部の内部と外部とを連通して、この連通口に取り付けた各ホースは前記加圧送風機に接続されていて、この前記加圧送風機を通過する空気の正圧力変動または風速変動を検知する両方または一方の変動検知手段に基づいて、二重ドアーまた二重サッシに囲まれた前記空間部の異常状態を報知する報知手段を備えたことを特徴とする建物の警備装置とする。
【0009】
第3に、上記技術的手段の第1、第2に記載の建物に装備する建物の警備装置であって、上記変動検知手段と上記報知手段による報知において、建物外壁面側の外側ドアーまた外側サッシの異常状態だけを報知するが室内側ドアーまた室内側サッシの開放行為では報知回路を解除し切ることができることを特徴とする建物の警備装置とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記技術的手段の第1のように住宅などの建物の本警備装置では各空間部の空気を排気する排気駆動機を一台とし、そこを通過する空気風速の平均的数値の変動を検知する風速計の変動検知手段と報知手段との組み合わせで、または、第2の技術手段では空気圧力の変動を検知する圧力計の変動検知手段と報知手段との組み合わせで、二重ドアーまた二重サッシに囲まれた空間部の異常状態を報知する。この警備装置は最少の検知手段で防犯警備が成りたち誤報が少ない警備装置が実現できる。
この警備装置は住宅のリフォームに併せて殆どの住宅建物に装備することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第一実施形態で、排気送風機を通過する空気の風速変動を検知する変動検知手段を利用した警備装置の概略図である。
第一実施形態では、建物に装備する警備装置1であって、外側ドアー11と室内側ドアー12とに囲まれた二重ドアーの空間部15とまた、外側サッシ21と室内側サッシ22とに囲まれた二重サッシの空間部25の空気を排気する排気送風機75一台と、
前記各空間部15、25と外部の排気送風機75とは連通していて各連通ホース65は集合するよう一本の連通ホース65に接続し、この連通ホース65は変動検知手段35を経て前記排気送風機75の吸引口に接続している。
【0012】
前記変動検知手段35の検知方法は空気の負圧力変動または風速変動を検知する方法のうち風速変動を検知する風速計を変動検知手段35とし報知手段45とを組み合わせた建物の警備装置1である。
例えば、建物への侵入行為が発生し外側ドアー11のピッキングまたは外側サッシ21が割られるなどの異常があると、二重ドアーの空間部15または二重サッシの空間部25は負圧力から大気圧になることで排気送風機75の吸い込み風量が増加することになり変動検知手段35の風速計の風速数値は高くなる異常数値を示し、この風速計の異常数値が報知手段45に通信される。
【0013】
報知手段45としては・警報発報・現場撮影開始・携帯電話への送信など異常記録が保存できることを特徴とする建物の警備装置1となっている。
次に、室内側ドアー12または室内側サッシ22には警戒解除手段95が設けられており無線式近接スイッチ51や配線式近接スイッチ55が適切に取り付けられている。
例えば、鍵を取り付ける室内側ドアー12や室内側サッシ22には鍵部に無線式近接スイッチ51を採用し、また鍵を取り付けない室内側サッシ22では配線式近接スイッチ55を左右に一か所づつ取り付けることで室内側からドアーや窓を開ける場合には警報を発報しない。
ただ、警備警戒中に外側ドアー11のピッキングまたは外側サッシ21が割られるなどの異常があった場合のみ報知手段45が作動するので、報知手段45作動の際の解除は警備装置1をリセットしない限りは解除できない機構となっている。
【0014】
図2は、本発明の第二実施形態で、加圧送風機を通過した空気の正圧力変動を検知する変動検知手段を利用した警備装置の概略図である。
第二実施形態では、建物に装備する警備装置2であって、外側ドアー11と室内側ドアー12とに囲まれた二重ドアーの空間部15とまた、外側サッシ21と室内側サッシ22とに囲まれた二重サッシの空間部25の空気を加圧する加圧送風機85一台と、
前記各空間部15、25と外部の加圧送風機85とは連通していて各連通ホース65は集合するよう一本の連通ホース65に接続していて、この連通ホース65は変動検知手段35を経て前記加圧送風機85の吐出口に接続している。
【0015】
前記変動検知手段35の検知方法は空気の正圧力変動または風速変動を検知する方法のうち正圧力変動を検知する圧力計を変動検知手段35とし報知手段45とを組み合わせた建物の警備装置2である。
例えば、建物への侵入行為が発生し外側ドアー11のピッキングまたは外側サッシ21が割られるなどの異常があると、二重ドアーの空間部15または二重サッシの空間部25は正圧力から大気圧になることで加圧送風機85の吐出圧力が低下し風量が増加することになり変動検知手段35の圧力計の圧力数値は低くなる異常数値を示し、この圧力計の異常数値が報知手段45に通信される。
【0016】
報知手段45としては・警報発報・現場撮影開始・携帯電話への送信など異常記録が保存できることを特徴とする建物の警備装置2となっている。
次に、室内側ドアー12または室内側サッシ22には警戒解除手段95が設けられており無線式近接スイッチ51や配線式近接スイッチ55が適切に取り付けられている。
例えば、鍵を取り付ける室内側サッシ22には鍵部に無線式近接スイッチ51を採用し、また鍵を取り付けない室内側ドアー12では配線式近接スイッチ55を一か所取り付けることで室内側からドアーや窓を開ける場合には警報を発報しない。ただ、警備警戒中に外側ドアー11のピッキングまたは外側サッシ21が割られるなどの異常があった場合のみ報知手段45が作動するので、報知手段45作動の際の解除は警備装置2をリセットしない限りは解除できない機構となっている。
【0017】
尚、本発明の実施形態に限らず、以下のような変更が可能である。
本発明の第一実施形態では、排気送風機75を通過する空気の風速変動を検知する変動検知手段35を利用した警備装置1としたが、
前記変動検知手段35の検知方法を空気の負圧力変動を検知する圧力計を変動検知手段35とし報知手段45とを組み合わせた建物の警備装置2であつてもよいし、また負圧力変動と風速変動の両方を変動検知手段35として採用する警備装置3であつてもよい。
【0018】
また、本発明の第二実施形態では、加圧送風機85を通過した空気の正圧力変動を検知する変動検知手段35を利用した警備装置2としたが、
前記変動検知手段35の検知方法を空気の風速変動を検知する風速計を変動検知手段35とし報知手段45とを組み合わせた建物の警備装置1であつてもよいし、また正圧力変動と風速変動の両方を変動検知手段35として採用する警備装置3であつてもよい。
【0019】
ところで、窓やドアーが多い建物では二重サッシの空間部25や二重ドアーの空間部15も多くなるので、この場合は区分化し本警備装置を増設すればよい。
次に、第一実施形態の排気送風機75からの吐出空気は大気圧より高くこのエネルギーを利用する。例えば、魚類水槽への注入空気として、または酸素富化空気を発生させる機器に接続するなど空気が持つエネルギーを有効利用する考えを採用してもよい。
【産業上の利用の可能性】
【0020】
本発明は二重サッシ化を促進し断熱工事を兼ねた住宅リフォームに併せて本警備装置の装備ができるし、防犯警備の自己管理が簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態で、排気送風機を通過する空気の風速変動を検知する変動検知手段を利用した警備装置の概略図である。
【図2】図2は、本発明の第二実施形態で、加圧送風機を通過した空気の正圧力変動を検知する変動検知手段を利用した警備装置の概略図である。
【符号の説明】
【0022】
1、2、3 警備装置
11 外側ドアー
12 室内側ドアー
15 二重ドアーの空間部
21 外側サッシ
22 室内側サッシ
25 二重サッシの空間部
35 変動検知手段
45 報知手段
51 無線式近接スイッチ
55 配線式近接スイッチ
65 連通ホース
75 排気送風機
85 加圧送風機
95 警戒解除手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に装備する建物の警備装置であって、二重ドアー毎また二重サッシ毎に囲まれた各空間部の空気を排気する排気送風機一台と、
前記各空間部の内部と外部とを連通して、この連通口に取り付けた各ホースは前記排気送風機に接続されていて、この前記排気送風機を通過する空気の負圧力変動または風速変動を検知する両方または一方の変動検知手段に基づいて、二重ドアーまた二重サッシに囲まれた前記空間部の異常状態を報知する報知手段を備えたことを特徴とする建物の警備装置。
【請求項2】
建物に装備する建物の警備装置であって、二重ドアー毎また二重サッシ毎に囲まれた各空間部の空気を加圧する加圧送風機一台と、
前記各空間部の内部と外部とを連通して、この連通口に取り付けた各ホースは前記加圧送風機に接続されていて、この前記加圧送風機を通過する空気の正圧力変動または風速変動を検知する両方または一方の変動検知手段に基づいて、二重ドアーまた二重サッシに囲まれた前記空間部の異常状態を報知する報知手段を備えたことを特徴とする建物の警備装置。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれか一項に記載の建物に装備する建物の警備装置であって、上記変動検知手段と上記報知手段による報知において、建物外壁面側の外側ドアーまた外側サッシの異常状態だけを報知するが室内側ドアーまた室内側サッシの開放行為では報知回路を解除し切ることができることを特徴とする建物の警備装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−4744(P2007−4744A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209172(P2005−209172)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(501120889)
【出願人】(505122829)株式会社ウィズ・ワン (9)
【Fターム(参考)】