説明

建物用ダンパー体験装置及び同体験方法

【課題】建物に備えさせるダンパーの効きを、建物の一般購入予定者などにリアルに理解させることができ、しかも、それをあまりコストをかけずに実現することができるようにすること。
【解決手段】体験用のステージ1に乗った人が、起振機2によるステージ1の揺れの減衰過程を、ダンパー3が働いている場合と、働いていない場合とを比較して、体験できるようになされている。ステージ1は防振支承され、ステージ1に起振機2が設置されているとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物用ダンパー体験装置及び同体験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の揺れが早期に減衰されるように、建物にダンパーを備えさせることは従来より行われているが、建物の一般購入予定者等にとって、ダンパーの効き具合は、試験データを見せられたり、ダンパーの仕組みを説明されただけでは、なかなか理解しにくい。そのため、ダンパーを建物に標準で備えさせると建物の価格に割高感を生じさせることがあり、オプションにすると採用を見送られることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記のような問題点に鑑み、建物に備えさせるダンパーの効きを、建物の一般購入予定者などにリアルに理解させることができ、しかも、それをあまりコストをかけずに実現することができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題は、人が乗る体験用のステージと、該ステージに揺れを生じさせる起振機と、起振機によるステージの振動を減衰するダンパーとが備えられ、
前記ステージに乗った人が、起振機によるステージの揺れの減衰過程を、ダンパーが働いている場合と、働いていない場合とを比較して、体験できるようになされていることを特徴とするダンパー体験装置によって解決される。
【0005】
また、人が乗る体験用のステージと、該ステージに揺れを生じさせる起振機と、起振機によるステージの振動を減衰するダンパーとを用い、
体験しようとする者にステージに乗ってもらい、起振機によるステージの揺れの減衰過程を、ダンパーが働いている場合と、働いていない場合とを比較して、体験してもらうことを特徴とするダンパー体験方法によって解決される。
【0006】
上記の装置及び方法によれば、体験をしようとする者は、ダンパーが働いている状態をリアルに体験することができるだけでなく、その体験を、ダンパーが働いてない場合との比較において体験することができ、体験者に建物へのダンパー採用の必要性をリアルに理解させることができる。
【0007】
しかも、実際の建物にダンパーを設置して建物を起振機で揺らして体験を行ってもらうものではなく、体験用のステージを起振機で揺らして簡易に体験を行うものであるから、コストもあまりかからない。
【0008】
上記の体験用ステージが防振支承され、該ステージに起振機が設置されている場合は、ステージを設置する設置場所、例えばフロアーなどへの揺れの伝わりを抑制することができるのみならず、防振支承部の防振特性をうまい具合に調整するだけで、ダンパーが働いている場合と、働いていない場合との比較を、より明確に理解してもらえるようにすることができる。
【0009】
上記の体験用ステージに、体験しようとする者を寝かせた状態にするベッドが備えられている場合は、ベッドに、体験しようとする者を寝かせて体験してもらうことで、揺れをからだ全体で鋭く感じ取ってもらうことができ、しかも、安全に体験してもらうことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上のとおりのものであるから、建物に備えさせるダンパーの効きを、建物の一般購入予定者などにリアルに理解させることができ、しかも、それをあまりコストをかけずに実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施最良形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1に示す体験装置において、1は体験用のステージ、2は起振機、3はダンパーである。体験用ステージ1は、体験展示場などのフロアー4に、積層ゴム5…等の防振手段によって防振支承されており、ステージ1上には人が横になることができるベッド6が設置されている。そして、起振機2は、横揺れ用のもので、ベッド6下のスペースを利用してステージ床面上に設置され、ダンパー3は、その全体が見えるように、ベッド6の脇のステージ床面に設置されている。ダンパー3の種類に制限はないが、例えば、TMD、LMD、AMD等のダンパーであってよい。
【0013】
そして、上記の体験装置は、ステージ1に乗った人が、起振機2によるステージ1の揺れの減衰過程を、ダンパー3が働いている場合と、働いていない場合とを比較して、体験できるようになされている。これら二つの比較体験を行えるようにする具体的手段に制限はなく、例えば、ダンパー3をステージ床面に着脱可能に設置して、一方の体験をする時にはダンパー3をステージ床面に設置し、もう一方の体験をする時はダンパー3をステージ1から降ろすという方法で比較体験を行うようになされていてもよいし、また、ダンパー3がTMDである場合には、振動減衰用の振り子を固定可能にし、固定した場合としない場合とで比較体験を行うことができるようになされていてもよい。また、ダンパー3がLMDである場合には、液体の出し入れが可能な液体収容部を備えさせて、液体の出し入れによって比較体験を行うことができるようになされていてもよい。
【0014】
また、本実施形態では、ステージ1上に揺れを視覚的、聴覚的に把握してもらうための背高な金属製キャビネットなどの家具7と、鉢植えの木8が設置されている。また、体験を安全に行ってもらうため、ステージ1は、入口部9を除いて、周囲が手摺り10と壁11で囲まれている。
【0015】
上記の体験装置では、図2に示すように、体験しようとする者に、ステージ1上のベッド6に横になってもらい、まず、ダンパー3を働かない状態にして、同図(イ)に示すように、起振機2を起動し、ダンパー3が働かない場合のステージ1の揺れの減衰過程を感じとってもらう。次に、ダンパー3を働く状態にし、同図(ロ)に示すように、起振機2を起動し、ダンパー3が働く場合のステージ1の揺れの減衰過程を感じ取ってもらう。これにより、体験者は、ダンパー3が働いている状態をリアルに体験することができるだけでなく、その体験を、ダンパー3が働いてない場合との比較において体験することができ、体験者にダンパー3の必要性をリアルに理解してもらうことができて、ダンパーが建物に標準で備えられている場合の建物価格の割高感を解消することができ、オプションである場合のダンパーの積極的採用希望件数を増やすことができる。
【0016】
しかも、体験用のステージ1を用意し、体験用のステージ1を起振機2で揺らして簡易に体験を行ってもらうものであるから、コストもあまりかからない。
【0017】
特に、本実施形態では、体験用ステージ1が積層ゴム5…で防振支承されているので、ステージ1を設置するフロアー4への揺れの伝わりを抑制することができると共に、ゴム5の防振特性をうまい具合に調整するだけで、ダンパー3が働いている場合と、働いていない場合との比較を、より明確に理解してもらえるようにすることができる。
【0018】
また、体験用ステージ1にベッド6を設置し、体験しようとする者をベッド6に寝かせた状態にして体験をしてもらうようにしているので、揺れをからだ全体で鋭く感じ取ってもらうことができ、しかも、安全に体験してもらうことができる。
【0019】
以上に、本発明の実施形態を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、発明思想を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、ベッド6を省略し、手摺り10を握ってステージ1に立ってもらうことで体験を行ってもらうようにしてもよいし、ステージ1に固設した椅子に座って体験をしてもらうようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態の体験装置を示すもので、図(イ)は平面図、図(ロ)は正面図である。
【図2】図(イ)はダンパーが働いていない場合の体験状況を示す平面図、図(ロ)はダンパーが働いている場合の体験状況を示す平面図である。
【符号の説明】
【0021】
1…体験用ステージ
2…起振機
3…ダンパー
6…ベッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が乗る体験用のステージと、該ステージに揺れを生じさせる起振機と、起振機によるステージの振動を減衰するダンパーとが備えられ、
前記ステージに乗った人が、起振機によるステージの揺れの減衰過程を、ダンパーが働いている場合と、働いていない場合とを比較して、体験できるようになされていることを特徴とする建物用ダンパー体験装置。
【請求項2】
前記体験用ステージが防振支承され、該ステージに起振機が設置されている請求項1に記載の建物用ダンパー体験装置。
【請求項3】
前記ステージに、体験しようとする者を寝かせた状態にするベッドが備えられている請求項1又は2に記載の建物用ダンパー体験装置。
【請求項4】
人が乗る体験用のステージと、該ステージに揺れを生じさせる起振機と、起振機によるステージの振動を減衰するダンパーとを用い、
体験しようとする者にステージに乗ってもらい、起振機によるステージの揺れの減衰過程を、ダンパーが働いている場合と、働いていない場合とを比較して、体験してもらうことを特徴とする建物用ダンパー体験方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−17899(P2006−17899A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−194071(P2004−194071)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】