説明

建築用板の製造方法

【課題】 各層の比重または厚みがばらつかず規定通りにできる。
【解決手段】 芯層と、この芯層の表裏面に設けられる表層および裏層とを有する建築用板の製造方法において、ロックウール(無機質繊維)を主成分とする混合物を均一に散布することにより裏層に対応するマットを形成し、次にパーライト(無機質発泡体)を主成分とする混合物を均一に散布することにより芯層に対応するマットを形成し、最後にロックウール(無機質繊維)を主成分とする混合物を均一に散布することにより表層に対応するマットを形成し、次にこれらマット状の積層体を一回の熱圧で建築用板に成形するときに、熱圧成形時の圧力は、芯層に対応するマットが、熱圧開始後に加圧力の増加に対して略一定の比重Dを維持する範囲内において、表裏層に対応するマットが規定の比重dになるまで熱圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として建物の下地材などに使用される建築用板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁の下地材などに使用される建築用板の製造方法としては、たとえば鉱物質繊維、無機粉状体および粉末合成樹脂結合剤を必須成分とする混合物を均一に散布して下層部を形成し、次いで、鉱物質繊維、硬質無機発泡体および粉末合成樹脂結合剤を必須成分とする混合物を下層部の上面に均一に散布して中層部を形成し、この中層部の上面に、鉱物質繊維、無機粉状体および粉末合成樹脂結合剤を必須成分とする混合物を均一に散布して上層部を形成した後、加熱状態で圧締して一体化する方法である(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2825696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記建築用板の製造方法は、建築用板の芯層に対応するマットの両側に表層と裏層に対応するマットを積層し熱圧するので、各マットを形成する成分の種類、配合比、各マットの厚みあるいは熱圧条件など相当の原料や製造条件の管理を行わない限り各層の比重や厚みがばらつき、規定の値にすることが困難である。各層の比重や厚みがばらついて規定通りの値にならないと、各種物性値がばらつくことになるので品質が安定せず良質のものが得られない。
【0004】
本発明の課題は、各層の比重または厚みがばらつかず規定通りにできることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明は、芯層と、該芯層の少なくとも片側面に設けられる外層とを有する二層以上の建築用板の製造方法において、無機質発泡体を主成分とする混合物を均一に散布することにより前記芯層に対応するマットを形成し、該芯層に対応するマットの少なくとも片側面に無機質繊維を主成分とする混合物を均一に散布することにより前記外層に対応するマットを形成し、次にこれら二層以上のマット状の積層体を一回の熱圧で建築用板に成形するときに、前記熱圧時の圧力は、前記芯層に対応するマットが、熱圧開始後に加圧力の増加に対して略一定の比重または厚みを維持する範囲内において、前記外層に対応するマットが規定の比重または厚みになるまで熱圧することを特徴とする。
【0006】
上記構成による作用を図1を使用して説明する。図1は、横軸に熱圧時の圧力、縦軸に熱圧時の比重をとって、芯層側熱圧曲線および外層側熱圧曲線を示したものである。因みに、図1の熱圧曲線は、芯層と外層からなる複数層の場合を示す。
【0007】
すなわち、初期比重Dの芯層に対応するマットを加圧すると圧力の若干の増加ととも無機質発泡体は安定した位置に移動するので若干圧縮し圧力Pにおいて比重Dとなる。この間に、外層に対応するマットは逐次圧縮され、初期比重dから圧力Pにおいて比重dとなる。
【0008】
さらに加圧されると、芯層に対応するマットは無機質発泡体の粒子同士の間隔が小さくなる。圧力Pにおいて局部的に粒子同士が接触する状態となり比重Dに達する。この間、外層に対応するマットも圧力Pから圧力Pに加圧され無機質繊維は密に圧縮され無機質繊維同士が圧着した状態にあり、比重はdからdに上昇する。
【0009】
さらに、芯層に対応するマットは、圧力Pから圧力Pに加圧されるが比重Dのまま一定である。外層に対応するマットの方は、圧力Pからさらに加圧されることにより無機質繊維同士の接触部において繊維の変形が進行し、無機質繊維同士がさらに密に圧縮され再び比重が大きくなり、圧力Pで比重dとなる。芯層に対応するマットは、圧力Pまでは比重Dのまま一定であるが、圧力P以上になると無機質発泡体の粒子破壊が始まり芯層に対応するマットの比重は再び増加する。
【0010】
上記関係曲線において、芯層に対応するマットの比重Dが一定の間の圧力範囲P〜Pの幅はある程度大きいので、この圧力範囲内の圧力Pにおいて外層側の比重(または厚み)を小さいばらつきで規定通りにすることができる。
【0011】
次に、無機質発泡体を主成分とする混合物の成分または/および無機質繊維を主成分とする混合物の成分として、比重調整材および増量材としての無機質粉体または/および比重調整材および強度補強材としての有機質繊維を含むと良い。無機質発泡体や無機質繊維に対して、比重の異なる無機質粉体または/および有機質繊維を加えることにより芯層または外層の比重(または厚み)を調整できる。
【0012】
さらに、無機質粉体は無機質発泡体の粒子同士の間や無機質繊維同士の間に密状態に浸入する。これにより無機質発泡体や無機質繊維内部の応力を平均化して小さくするとともに増量材としても機能する。さらに、無機質発泡体と無機質繊維に有機質繊維を加えることにより、芯層や外層の機械的強度を向上させる。
【0013】
次に本発明を構成する各要件についてさらに詳しく説明する。本発明の建築用板の製造方法は、建築建物の内外壁、間仕切壁あるいは建具の芯材(コア材)の製造、特に、建築用外装板の下地材の製造に好適である。本発明の建築用板は、芯層と外層からなるが、たとえば芯層と表層または裏層からなる二層、芯層と表層および裏層からなる三層など少なくとも二層以上である。
【0014】
芯層に対応するマットは、無機質発泡体に無機質粉体、有機質繊維などを含むと良い。無機質発泡体としては、パーライト、シラス発泡体、シリカ発泡体、ガラス発泡体などを使用することができる。パーライトを使用する場合、そのかさ比重は0.25前後のものを使用すると良い。無機質粉体としては、ペーパースラッジ焼却灰(以下「PS灰」と記す。)、スラグ、フライアッシュ、炭化カルシウム、アルミナなどである。PS灰としてはかさ比重0.29前後のものを使用すると良い。
【0015】
有機質繊維としては、パルプ、木質繊維、木粉などの他にビニロン繊維、アクリル繊維、ポリアミド繊維などの合成樹脂繊維を使用することができる。木質繊維としては、松、杉、桧などの針葉樹またはラワン、カポール、栗、ポプラなどの広葉樹をチップにした後、常法にしたがい解繊したものである。木質繊維のかさ比重は、木粉を含む場合0.020〜0.024、木粉を含まない場合0.016〜0.018程度のものを使用すると良い。その繊維長さは0.5〜40mm、直径は0.05〜0.5mm(アスペクト比400以下)程度である。また、アスペクト比10未満で繊維長さが、たとえば50〜80μmのものを木粉とする。
【0016】
無機質発泡体に混合する成分は、上記成分の他に結合剤およびカップリング剤である。結合剤は、無機質発泡体と無機質繊維とを結合するが、この結合剤としてはフェノール系樹脂、ユリア系樹脂、メラミン系樹脂などの熱硬化性結合剤の単体または複数を必要に応じて使用する。特に、液体状のフェノール系樹脂結合剤は、無機質発泡体と無機質繊維とに均一に付着し、熱圧成形後の成形体の各種物性値のばらつきを小さくし、その結果として建築用板としての機械的強度、特に曲げ強度を向上させる。
【0017】
カップリング剤は、無機質発泡体と有機質繊維との結合を促進させるものであるが、一般にX〜Si(OR)の化学式で表される化合物であり、このうちのXはアミノ基、ビニル基、エポキシ基など、ORはメトキシ基、エトキシ基などの反応基からなり、分子中に2個以上の異なった反応基をもった化合物である。
【0018】
具体的には、ビニルトリメトキシシラン、β−3,4(エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのシラン系カップリング剤を使用すると良い。
【0019】
外層に対応するマットは、無機質繊維単独でも良いが、この他に無機質粉体、有機質繊維などを含むと良い。無機質繊維としては、ロックウール、スラグ繊維、シリカ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカチタニア繊維、シリコンカーバイト繊維、ガラス繊維、炭素繊維、窒化ホウ素繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、金属繊維などを、建築用板の使用目的、用途などに応じて適宜選定する。無機質繊維としてロックウールを使用する場合、その開繊後のかさ比重は、0.02〜0.04を目処とする。
【0020】
無機質繊維に混合する無機質粉体、有機質繊維は、上記無機発泡体に加えるものと同じものとしても良い。さらに、無機質繊維に混合する成分は、結合剤およびカップリング剤である。これら結合剤やカップリング剤についても無機質発泡体に加えるものと同様のものを使用しても良い。
【0021】
芯層に対応するマットは、先の無機質発泡体を主成分とする混合物を均一に散布したものである。外層に対応するマットは、先の無機質繊維を主成分とする混合物を均一に散布したものである。マット状の積層体は、芯層に対応するマットと、外層に対応するマットとを積層したものである。
【0022】
熱圧は一回(ワンショット)で行うものとし、圧力は、10〜30kgf/cm、温度は110〜220°C、時間は3〜20分の各範囲で行われる。熱圧成形時の加圧力、温度、時間などの選定は、無機質発泡体や無機質繊維などの種類、結合剤の種類、建築用板の厚みなど原材料、寸法、使用目的などにより最適の条件を決定する。また、芯層の外側に形成される表層や裏層の成分組成、厚さなどは、必ずしも同一のものでなくても良く、予め目標とした比重または厚みが得られれば良い。
【0023】
次に、無機質発泡体を主成分とする混合物(芯層に対応する混合物)の成分割合について説明する。無機質発泡体の量を無機質粉体および有機質繊維の量よりも多くする。各成分の混合割合は、無機質発泡体60〜70重量%、無機質粉体20〜30重量%、有機質繊維2〜5重量%、結合剤5〜10重量%を目安とする。さらに、カップリング剤として0.1重量%程度を添加する。
【0024】
無機質発泡体の量が70重量%を越える場合は、成形体の形状安定性が増すが、脆くなり曲げに対する抵抗力が減少し割れ易くなる。無機質発泡体の量が60重量%未満の場合は、形状安定性が不足するようになるとともに軽量化が図られなくなる。
【0025】
無機質粉体の量が30重量%を越える場合は、熱圧成形後の収縮が小さく形状を保持するが、脆くなり曲げ強度が小さくなる。無機質粉体の量が20重量%未満の場合は、熱圧成形後の収縮が大きく形状、寸法の保持が劣るようになる。
【0026】
有機質繊維の量が5重量%を越える場合は、有機質繊維の増加により不燃性能の低下を来す。有機質繊維の量が2重量%未満の場合は、無機質発泡体に対する有機質繊維の割合が小さく曲げ強度が小さくなる。
【0027】
結合剤の量が10重量%を越える場合は、熱圧成形後の収縮量が大きくなり形状、寸法の保持が劣るようになる。結合剤の量が5重量%未満の場合は、無機質発泡体と無機質繊維との結合が弱く、成形体としての機械的強度、特に曲げ強度が劣るようになる。
【0028】
次に、無機質繊維を主成分とする混合物(外層に対応する混合物)の成分割合について説明する。外層は、無機質繊維の量を無機質粉体および有機質繊維の量よりも多くする。各成分の混合割合は、無機質繊維50〜60重量%、無機質粉体10〜20重量%、有機質繊維10〜20重量%、結合剤5〜15重量%を目安とする。さらに、カップリング剤として0.1重量%程度を添加する。
【0029】
無機質繊維の量が60重量%を越える場合は、成形体の形状安定性と硬さが増すが、脆くなり曲げに対する抵抗力が減少し割れ易くなる。無機質繊維の量が50重量%未満の場合は、形状安定性と基材としての硬さが不足するようになる。
【0030】
無機質粉体の量が20重量%を越える場合は、熱圧成形後の収縮が小さく形状を保持するが、脆くなり曲げ強度が小さくなる。無機質粉体の量が10重量%未満の場合は、熱圧成形後の収縮が大きく形状、寸法の保持が劣るようになる。
【0031】
有機質繊維の量が20重量%を越える場合は、有機質繊維の増加により不燃性能の低下を来すとともに無機質繊維の比率が小さくなり形状安定性に欠けるようになる。有機質繊維の量が10重量%未満の場合は、無機質繊維に対する有機質繊維の割合が小さく、機械的強度、特に曲げ強度が小さくなる。
【0032】
結合剤の量が15重量%を越える場合は、熱圧成形後の収縮量が大きくなり形状、寸法の保持が劣るようになる。結合剤の量が5重量%未満の場合は、無機質繊維と有機質繊維との結合が弱く、成形体としての機械的強度が劣るようになる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、二層以上の建築用板の製造において、芯層および外層の比重または厚みのばらつきが小さく規定通りの比重または厚みにできるので、品質の安定したものが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明に係る建築用板の製造方法の実施例を図面を基に詳細に説明する。なお、図2、3において、同一または同等部分には同一符号を付けて示す。
【実施例1】
【0035】
図2は、本発明の建築用板の製造方法の一実施例を示し、その初期工程を示す説明図である。本建築用板の製造方法は、芯層の表裏に外層を設けた三層からなる建築用板の製造方法である。先ず、コンベヤー41上に、裏層(外層)に対応するマット25を形成する混合物10を散布する。
【0036】
混合物10は、図3の裏層に対応するマット25に示すように、ロックウール(無機質繊維)14および木質繊維(有機質繊維)18に、ロックウール(無機質繊維)14と木質繊維18を結合するフェノール樹脂結合剤20およびPS灰(無機質粉体)16ならびにγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのシラン系カップリング剤(図示せず)を加えたものである。
【0037】
図2に示すように、混合物10は、ダクト29よりその吹出口37からコンベヤー41上に供給される。混合物10は、均一に散布され、マット25を形成する。この際、マット25の厚みを均一にするために、ロール33にてマット25の凹凸部分を削り除去することにより平坦にする。
【0038】
次に、マット25の表面に、芯層に対応するマット22を形成する混合物7を散布する。混合物7は、図3の芯層に対応するマット22に示すように、パーライト(無機質発泡体)12および木粉(有機質繊維)19に、パーライト12と木粉19を結合するフェノール樹脂結合剤20およびPS灰16ならびにシラン系カップリング剤(図示せず)を加えたものである。
【0039】
図2に示すように、混合物7は、ダクト30よりその吹出口38からマット25の表面に供給される。混合物7は、均一に散布され、マット22を形成する。この際、マット22の厚みを均一にするためロール34にてマットの凹凸部分を削り除去することにより平坦にする。
【0040】
最後に、マット22の表面に、表層に対応するマット24を形成する混合物9を散布する。混合物9は、混合物10と同じ成分、組成である。混合物9は、ダクト31よりその吹出口39からマット22の表面に供給される。混合物9は、均一に散布され、マット24を形成する。この際、マット24の厚みを均一にするためロール35にてマットの凹凸部分を削り除去することにより平坦にする。
【0041】
次に、コンベヤー41上に形成されたマット25、22、24の積層体27は、厚さ方向に圧縮、たとえば50%程度圧縮されて積層体28となる。次に、積層体28は、図示のように鋸48により略所定の長さLに切断され、コンベヤー42にて次工程に送られる。
【0042】
マットの成分割合は、たとえばマット25およびマット24については、ロックウール55重量%、木質繊維16重量%、PS灰16重量%、フェノール樹脂結合剤13重量%とする。この他にシラン系カップリング剤を0.1重量%ほど含む。マット22については、パーライト60重量%、木粉3重量%、PS灰30重量%、フェノール樹脂結合剤7重量%とする。この他にシラン系カップリング剤を0.1重量%ほど含む。フェノール樹脂結合剤は、ロックウールまたはパーライト、木質繊維、PS灰に対してブレンダーで混合される。
【0043】
図3は、図2に続く製造工程を示し、(a)は熱圧プレスの上下熱圧盤の間に三層からなる積層体を載置した状態の断面図、(b)は熱圧途中の断面図、(c)は熱圧直後の断面図である。積層体28は、熱圧プレスの下側熱圧盤52の上に載置される。そして、図3(b)に示すように、上側熱圧盤51が下降し加熱圧締される。この際の熱圧圧力は、芯層に対応するマット22が、熱圧開始後に加圧力の増加に対して略一定の比重D(または一定の厚み)になる値であり、図1における圧力Pに相当する。この段階において表裏層に対応するマット24、25の比重はdである。
【0044】
さらに、積層体28を圧力Pから圧力Pまで熱圧することによって、図3(c)に示すように、表裏層に対応するマット24、25は、比重dの値を有する成形層となる。この加圧の間、マット22の比重はD値を維持する。熱圧条件は、最終的には圧力20kgf/cm、温度200°C、時間10分で行われる。
【0045】
次に本実施例の作用について図1、3を使用して説明する。図1は、熱圧時の芯層側熱圧曲線および外層側熱圧曲線を示し、芯層、表層および裏層からなる三層の建築用板における熱圧曲線である。芯層と表裏層とをそれぞれ相違する比重に成形する。
【0046】
図1に示すように、初期比重D=0.25のマット22を加圧すると圧力の若干の増加とともパーライト12は安定した位置に移動し圧力Pにおいて比重Dとなる。この間に、表層および裏層に対応するマット24、25は、初期比重d=0.025から逐次圧縮され、圧力Pにおいて比重dとなる。
【0047】
さらに加圧すると芯層に対応するマット22はパーライト12の粒子同士の間隔が小さくなり圧力Pにおいて局部的に粒子同士が接触する状態となり比重D=0.55に達する。この間、表裏層に対応するマット24、25は圧力Pから圧力Pに上昇するがロックウール同士が互いに密に接触し比重はdからdに上昇する。
【0048】
さらに、圧力Pから圧力Pまで加圧すると芯層に対応するマット22は比重Dが一定のまま、表裏層に対応するマット24、25は比重dから比重d=1.0まで上昇する。この間は、ロックウール14同士の接触部において変形が進行し、ロックウール14同士がさらに密に圧縮され比重が大きくなる範囲である。
【0049】
上記関係曲線において、芯層に対応するマット22の比重Dが一定の圧力範囲(P〜Pの間)はある程度の幅があるので、この圧力範囲内で圧力Pを制御できる。
【0050】
また、比重調整材および増量剤としてのPS灰16を含むことにより、PS灰16の粒子径がパーライト12の粒子径より小さいので、PS灰16はパーライト12粒子同士の間の隙間に密状態に介在する。これによりパーライト12粒子に作用する応力は平均化されて小さくなりパーライト12粒子が耐えられる破壊圧力(図1における圧力P)が上昇する。
【0051】
さらに、パーライト12に木粉19を含む場合も木粉19がクッションの作用を呈し応力を緩和するのでパーライト12粒子が耐えられる破壊圧力が上昇する。破壊圧力が上昇すると、比重Dが一定の圧力範囲(P〜Pの間)は大きくなるので、圧力Pの制御が容易になる。
【0052】
また、PS灰16や木質繊維18または木粉19は、比重Dや比重dの大きさを調整する作用があるので、PS灰16や木質繊維18または木粉19を適宜パーライト12やロックウール14に混合させることにより規定通りの比重や厚みの建築用板を得ることができる。
【0053】
以上この発明を図示の実施例について詳しく説明したが、それを以ってこの発明をそれらの実施例のみに限定するものではない。要するに、この発明の精神を逸脱せずして種々改変を加えて多種多様の変形をなし得ることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の建築用板の製造方法は、建築用外装板や屋根の下地材として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】熱圧時の芯層側熱圧曲線および外層側熱圧曲線である。
【図2】本発明の建築用板の製造方法の一実施例を示し、その初期工程を示す説明図である。
【図3】図2に続く製造工程を示し、(a)は熱圧プレスの上下熱圧盤の間に三層からなる積層体を載置した状態の断面図、(b)は熱圧途中の断面図、(c)は熱圧直後の断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 建築用板
3 芯層
4 表層(外層)
5 裏層(外層)
7 パーライトを主成分とする混合物(無機質発泡体を主成分とする混合物)
9 ロックウールを主成分とする混合物(無機質繊維を主成分とする混合物)
10 ロックウールを主成分とする混合物(無機質繊維を主成分とする混合物)
12 パーライト(無機質発泡体)
14 ロックウール(無機質繊維)
16 PS灰(無機質繊維)
18 木質繊維(有機質繊維)
20 フェノール樹脂結合剤
22 芯層に対応するマット
24 表層に対応するマット(外層に対応するマット)
25 裏層に対応するマット(外層に対応するマット)
27、28 積層体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯層と、該芯層の少なくとも片側面に設けられる外層とを有する二層以上の建築用板の製造方法において、無機質発泡体を主成分とする混合物を均一に散布することにより前記芯層に対応するマットを形成し、該芯層に対応するマットの少なくとも片側面に無機質繊維を主成分とする混合物を均一に散布することにより前記外層に対応するマットを形成し、次にこれら二層以上のマット状の積層体を一回の熱圧で建築用板に成形するときに、前記熱圧時の圧力は、前記芯層に対応するマットが、熱圧開始後に加圧力の増加に対して略一定の比重または厚みを維持する範囲内において、前記外層に対応するマットが規定の比重または厚みになるまで熱圧することを特徴とする建築用板の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記無機質発泡体を主成分とする混合物または/および前記無機質繊維を主成分とする混合物は、無機質粉体または/および有機質繊維を含むことを特徴とする建築用板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−103131(P2006−103131A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292446(P2004−292446)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(390030340)株式会社ノダ (146)
【Fターム(参考)】