説明

建設機械の遠隔操作におけるカメラ制御装置

【課題】 建設機械の動作を撮影する複数のカメラを用いて建設機械を遠隔操作するにあたり、映像を見ながらの作業が作業性良く行えるように構成する。
【解決手段】 油圧ショベル1の動作を撮影する複数の第一、第二、第三カメラ19、20、21を固定した状態で設置し、これらカメラ19、20、21からの映像データをカメラ制御部22に入力するとともにカメラ制御部22を機体制御部18に接続し、カメラ制御部22は、油圧ショベル1を操作する操作信号の入力に基づいて油圧ショベル1の動作を判断し、該動作を確認するのに最適なカメラ19、20、21を選択して、該選択されたカメラ19、20、21の映像データをモニタ23に送信する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業装置が装着される建設機械の遠隔操作におけるカメラ制御装置の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
建設機械は通常、建設機械にオペレータが搭乗して操作することにより作業を行うが、被災地や地下等の危険な現場や高温、極寒、粉塵が多い等の劣悪な環境下での作業が必要な場合では、オペレータは搭乗せず、遠隔地の操作室(コントロールルーム)に設けた操作部を操作することにより遠隔操作して作業を行うことがある。このものにおいて、オペレータが作業現場を直接目視できないような場合では、建設機械に設けたカメラからの映像を、操作部に設けた受像機の画面で監視しつつ操作することが提唱される。この場合に、建設機械に複数台のカメラを設置し、オペレータは、各カメラからの映像を、遠隔地に各カメラに対応して設けた複数の受像機を介して見ながら操作するようにしたものがあるが、このようにする場合、複数のカメラを設置することが必要であるうえ、複数の受像機が必要となり、オペレータは各カメラからの映像が映し出されている複数の受像機のなかから必要な映像(受像機)をいちいち選択して見なければならず、操作性、作業性に劣るという問題がある。
【0003】
この改善策として、建設機械に設置するカメラを一台とし、該カメラからの映像を遠隔地に設けた受像機で見る構成とする一方、前記カメラの視点を、操作レバーの操作に応じて作動する作業装置の動きに合わせて動くように構成したものが提示されている(特許文献1参照)。そして、このものでは、一台のカメラを用いる構成でありながら、必要な方向を監視することができるように構成されている。一方、複数のカメラを走行車に設けるとともに、走行車の操舵に合わせて走行車の操舵方向のカメラを選択し、該選択されたカメラからの映像を、遠隔地のオペレータの左眼用、右眼用にそれぞれ設けた映像機を介して見るように構成したものが提示されている(特許文献2参照)。そして、このものでは、オペレータは、いちいち映像を選択することなく必要な映像を見ることができるように構成されている。
【特許文献1】特開平9−218713号公報
【特許文献1】特開平6−78308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前者のものは、操作部の操作に応じた作業装置の動きに合わせてカメラの視点が変化するため、バケットの機体に対する相対的な位置が映像上において確認できず、かえって操作しにくいという問題がある。そのうえ、映像がバケットの動きに追随するものであるため、画面全体が一体に動く画像となり、これを凝視した場合に乗り物酔い状態となることがあり、長時間にわたる作業が困難になるという問題がある。また、後者のものは、走行車に設けられたカメラであって、操舵方向(走行方向)に合わせたカメラを選択するものである。このため、建設機械のように、機体の走行の他に、掘削等の作業を伴う場合では、作業部の操作の監視も必要となり、このものをそのまま建設機械に適用することはできないという問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、機体本体に作業装置を変位自在に装着し、遠隔地に設けた遠隔制御部からの操作信号を機体制御部に送信することに基づいて遠隔操作される建設機械において、機体本体に複数のカメラを設置し、これらカメラからの映像データを遠隔地に設けた受像機に送信するにあたり、各カメラに接続されるカメラ制御部に、機体制御部に入力される操作信号に基づいて建設機械の動作を判断し、該動作を確認するのに適したカメラを選択して、該選択されたカメラの映像データを映像送信機を介して受像機に送信するカメラ選択手段を設けたことを特徴とするものである。
そして、このようにすることにより、固定された複数のカメラからの映像のうち、建設機械の動作状態に応じた映像を一台の受像機により確認することができて、建設機械の状態を確認しやすく、作業性の向上が図れる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、建設機械の動作状態を確認しやすく、作業性の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
つぎに、本発明の実施の形態について、図1〜5の図面に基づいて説明する。
図面において、1は建設機械としての油圧ショベルであって、該油圧ショベル1は、左右一対のクローラ2a、2bを備えた下部走行体2、該下部走行体2に対し旋回自在に支持される上部旋回体3、該上部旋回体3に配設されるキャブ4、上部旋回体3に装着される作業装置5等の各部から構成されている。さらに、前記作業装置5は、基端部が上部旋回体3に上下揺動自在に軸支されるブーム6、基端部が前記ブーム6の先端部に前後揺動自在に軸支されるアーム7、該アーム7の先端部に揺動自在(掘削、ダンプ)に取り付けられるバケット8等の部材から構成されており、これらの基本構成は何れも従来通りである。
【0008】
前記下部走行体2の左右一対のクローラ2a、2bは、下部フレーム2cの前後に配設された一対の駆動、従動スプロケット2d、2eにそれぞれ懸回されている。そして、各駆動スプロケット2dに連動連結された油圧アクチュエータである一対の走行モータ(図示せず)は、各走行モータ用コントロールバルブを電磁弁を介してパイロット制御することにより適宜正逆回転し、これに伴い、対応する駆動スプロケット2dが回転してクローラ2a、2bを正逆回転せしめ、これによって、油圧ショベル1は、前進、後進、左折、右折等の走行動作を行うように設定されている。
【0009】
前記上部旋回体3は、下部走行体2とのあいだに図示しない旋回装置を介して配設されており、該旋回装置を油圧アクチュエータである旋回モータ(図示せず)は、旋回モータ用コントロールバルブを電磁弁を介してパイロット制御することにより、上部旋回体3の左旋回または右旋回動作がなされるように設定されている。
【0010】
また、前記作業装置5は、ブーム6を上下揺動させるためのブームシリンダ9、アーム7を前後揺動させるためのアームシリンダ10、バケット8を揺動させるためのバケットシリンダ11を備えており、これら油圧式の各シリンダ9〜11の伸縮作動に基づいて作業装置5が作業動作をするように構成されている。そして、前記各油圧シリンダ9〜11は、ブーム用、アーム用、バケット用の各コントロールバルブ(図示せず)を、それぞれに対応する電磁弁を介してパイロット制御することに基づいて伸長側あるいは縮小側に切り換えることで伸縮作動するように設定されている。
【0011】
一方、12は油圧ショベル1が作業する作業現場から離れた箇所(遠隔地)において携帯可能なコントロール装置12であって、該コントロール装置12には、第一、第二ジョイスティックレバー13、14そして、第一、第二操作レバー15、16等の油圧ショベル1を遠隔操作に必要な各種操作具が設けられている。
そして、これら第一、第二ジョイスティックレバー13、14や第一、第二操作レバー15、16を操作することにより、各レバー13、14、15、16の操作方向、操作量に基づいて、作業装置5の作業動作、下部走行体2の走行動作、上部旋回体3の旋回動作を対応する動作量で行うように構成されている。
【0012】
ここで、コントロール装置12の各種レバー13、14、15、16に対応する動作、レバー13、14、15、16の操作方向に対応する動作方向は、機種や製造メーカーによってそれぞれ異なるが、本実施の形態のコントロール装置12は、第一ジョイスティックレバー13を前後方向に操作することによりアーム7の前後方向の揺動動作がなされ、左右方向に操作することにより上部旋回体3の左右の旋回動作がなされるように設定されている。また、コントロール装置12の第二ジョイスティックレバー14を前後方向に操作することによりブーム6の上下方向の揺動動作がなされ、左右方向に操作することによりバケット8の揺動動作がなされるように設定されている。
【0013】
さらに、左側の第一操作レバー15を前後方向に操作することにより、下部走行体2の左側クローラ2aの正逆回転がなされ、右側の第二操作レバー16を前後方向に操作することにより、下部走行体2の右側クローラ2bの正逆回転がなされるように設定されている。因みに、本実施の形態では、下部走行体2の従動スプロケット2e配設側を下部走行体2の前方としたとき、各クローラ2a、2bの正回転では下部走行体2を前進走行動作させ、逆回転では後進走行動作させるものとして説明する。
【0014】
17は、コントロール装置12に設けられる遠隔制御部であって、該遠隔制御部17には、前記第一、第二ジョイスティックレバー13、14、第一、第二操作レバー15、16の他、コントロール装置12に設けられる各種操作具の操作に基づいて出力される各種操作信号が入力するように設定されている。つまり、本実施の形態において、遠隔制御部17には、第一ジョイスティックレバー13の操作ではアーム操作信号が入力され、第一ジョイスティックレバー13の操作では左旋回操作信号または右旋回操作信号が入力されるように設定されている。さらに、遠隔制御部17には、第二ジョイスティックレバー14の操作ではブーム操作信号が入力され、第二ジョイスティックレバー14の操作ではバケット操作信号が入力するように設定されている。また、遠隔制御部17には、第一、第二操作レバー15、16の操作では、各対応するクローラ正回転操作信号またはクローラ逆回転操作信号が入力するように設定されている。
そして、遠隔制御部17は、入力された前記各操作信号等の信号を、通信インターフェース17aを介して油圧ショベル1側に設けられる機体制御部18に対して出力するように設定されている。
【0015】
前記機体制御部18は、通信インターフェース18aを備えて構成されており、該通信インターフェース18aそして遠隔制御部17側の通信インターフェース17aを介して、遠隔制御部17とのあいだで信号の入出力を行うように構成されている。そして、機体制御部18は、前記各操作信号の入力がなされた場合に、入力された操作信号に基づいて適宜演算等の信号処理を行い、操作信号に対応する指令信号を、ブーム6用、アーム7用、バケット8用、旋回モータ用、走行モータ用等の各種コントロールバルブをパイロット制御するべく配された電磁弁や、各種機器等に対して出力し、これによって、例えば、油圧ショベル1の走行、上部旋回体3の旋回、作業装置5による掘削作業等の各種動作を行うように設定されており、このようにして、コントロール装置12の操作具の操作に基づいて油圧ショベル1が遠隔操作されるように設定されている。
尚、ブーム6用、アーム7用、バケット8用、旋回モータ用、走行モータ用の各コントロールバルブが電磁弁で構成される場合、機体制御部18は、操作信号に対応する指令信号をこれら電磁弁に直接出力することができる。
【0016】
図3において、19、20、21は、油圧ショベル1に搭載される第一、第二、第三カメラであって、これら第一、第二、第三カメラ19、20、21は、広角レンズを備えて構成されている。そして、前記第一カメラ19は、キャブ4上面の前方左側端部に位置し、前方に向けて固定されており、該固定方向の映像を撮影するように設定されている。そして、第一カメラ19の水平方向の視野中心H1は機体中心側に向けて所定の角度α1を存し、垂直方向の視野中心V1は下方に向けて所定の角度β1を存する状態で設置されており、各視野中心H1、V1を基準として所定の視野範囲の映像を撮影するように構成されている。
また、第二カメラ20は、上部旋回体2の右側端部上面の前方であって、前記第一カメラ19よりは低位に位置し、前方に向けて固定されているが、該第二カメラ20の水平方向の視野中心H2は機体中心側に向けて所定の角度α2を存し、垂直方向の視野中心V2は下方に向けて所定の角度β2を存する状態で設置されており、各視野中心H2、V2を基準として所定の視野範囲の映像を撮影するように構成されている。
さらに、第三カメラ21は、上部旋回体2の後端部上面の左右方向中央部位であって、該第三カメラ21の水平方向の視野中心H3は機体後方に向けてまっすぐ(水平方向)を向き、垂直方向の視野中心V3は下方に向けて所定の角度β3を存する状態で設置されており、各視野中心H3、V3を基準として所定の視野範囲の映像を撮影するように構成されている。
【0017】
図4において、22は、第一、第二、第三カメラ19、20、21により撮影された映像データが入力されるカメラ制御部であって、該カメラ制御部22は、各カメラ19、20、21から入力された映像データを処理し、該処理された映像信号を映像送信機22aを介して出力するように設定されている。
前記カメラ制御部22は、前記機体側制御部18に接続されており、第一、第二ジョイスティックレバー13、14そして第一、第二操作レバー15、16の操作があって、機体側制御部18に各種操作信号が入力された場合に、機体側制御部18は、前述したように対応する指令信号を油圧ショベル1の各アクチュエータに出力する一方、カメラ制御部22に対し、前記入力された操作信号を出力するように設定されている。そして、カメラ制御部22に各操作信号が入力された場合、該入力された操作信号に基づいて油圧ショベル1の動作パターンを判断し、該判断された動作パターンを確認するのに最適な位置に位置するカメラを、第一、第二、第三カメラ19、20、21のなかから選択し、該選択されたカメラ19、20、21からの映像データを、本発明の受像機を構成するモニタ23に表示するべく、映像信号を映像送信機22aに出力するように構成されており、該構成が本発明のカメラ選択手段22bに相当している。
【0018】
一方、前記モニタ23は、コントロール装置12と同様の遠隔地に設けられており、映像受信機23aを備えて構成されている。そして、カメラ制御部22により選択されたカメラ19、20、21からの映像信号が、映像送信機22aを介して映像受信機23aに送信、入力され、これによってモニタ23に表示されるように設定されている。この場合に、本実施の形態のモニタ23は、画面を二分割して二台のカメラ19、20、21からの映像を同時に表示できるように設定されているが、三分割、四分割等、カメラの台数やモニタの画面の大きさ等に応じて適宜分割表示することができる。
【0019】
そして、カメラ制御部22は、例えばアーム操作信号、ブーム操作信号、バケット操作信号の何れかの入力があった場合では、油圧ショベル1の動作パターンは作業装置5による掘削等の作業装置動作であると判断し、作業装置5による作業動作を確認するのに適切である作業装置5側(前方)を向く第一、第二カメラ19、20を選択し、これら第一、第二カメラ19、20からの映像信号を映像送信機22aを介して映像受信機23aに送信し、これによって、モニタ23には、第一、第二カメラ19、20からの映像を二分割表示がなされるように設定されている。
このように、カメラ制御部22は、予め操作信号に対応する油圧ショベル1の動作パターンを想定し、該動作パターンを確認するのに適切なカメラを選択するように設定されており、動作パターンとしては、後述する動作パターン以外にも各種想定することができ、該想定された動作パターンに最適なカメラを予め選択し、操作信号の入力に伴い対応するカメラからの映像に順次切り換えてモニタ23に表示するように構成することができる。
【0020】
つぎに、カメラ制御部22による第一、第二、第三カメラ19、20、21の選択制御の一例を、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
カメラ制御部22は、入力される操作信号が何れの操作信号であるかを判断し、アーム操作信号、ブーム操作信号、バケット操作信号の何れかであれば第一、第二カメラ19、20の映像信号を出力することは前述の通りである。
続いて、入力された信号が左旋回操作信号であると判断された場合では、油圧ショベル1の動作パターンは上部旋回体3の左旋回動作であり、カメラ制御部22は、該左旋回動作を確認するのに適切である左前方を向く第一カメラ19と後方を向く第三カメラ21とを選択し、これら第一、第三カメラ19、21からの映像信号を映像送信機22aを介して映像受信機23aに送信するように設定されており、これによって、モニタ23には第一、第三カメラ19、21からの映像が二分割表示されるように構成されている。
また、入力された信号が右旋回操作信号であると判断された場合では、油圧ショベル1の動作パターンは上部旋回体3の右旋回動作であり、カメラ制御部22は、該右旋回動作を確認するのに適切である右前方を向く第二カメラ20と後方を向く第三カメラ21とを選択し、これら第二、第三カメラ20、21からの映像信号を映像送信機22aを介して映像受信機23aに送信するように設定されており、これによって、モニタ23には第二、第三カメラ20、21からの映像が二分割表示されるように構成されている。
【0021】
さらに、入力された信号がクローラ正回転操作信号であると判断された場合では、下部走行体2の動作パターンは前進走行動作であると判断し、続いて、下部走行体2に対する上部旋回体3の旋回位置を判断する。そして、下部走行体2の前方と上部旋回体3の前方(作業装置5装着側部位)とが同方向を向いていると判断された場合では、カメラ制御部22は、下部走行体3の前進走行動作を確認するのに適切である上部旋回体3の前方を向く第一、第二カメラ19、20とを選択し、これら第一、第二カメラ19、20からの映像信号を映像送信機22aを介して映像受信機23aに送信するように設定されており、これによって、モニタ23には第一、第二カメラ19、20からの映像が二分割表示されるように構成されている。
これに対し、下部走行体2の前方と上部旋回体3の前方とが逆方向を向いていると判断された場合では、カメラ制御部22は、下部走行体2の前進走行動作(上部旋回体3の後進走行動作)を確認するのに適切である下部旋回体2に近い低位に位置する第二、第三カメラ20、21とを選択し、これら第二、第三カメラ20、21からの映像信号を映像送信機22aを介して映像受信機23aに送信するように設定されており、これによって、モニタ23には第二、第三カメラ20、21からの映像が二分割表示されるように構成されている。
【0022】
また、入力された信号がクローラ逆回転操作信号であると判断された場合では、下部走行体2の動作パターンは後進走行動作であると判断し、続いて、下部走行体2に対する上部旋回体3の旋回位置を判断する。そして、下部走行体2の前方と上部旋回体3の前方とが同方向を向いていると判断された場合では、カメラ制御部22は、下部走行体2の後進走行動作を確認するのに適切である下部旋回体2に近い低位に位置する第二、第三カメラ20、21とを選択し、これら第二、第三カメラ20、21からの映像信号を映像送信機22aを介して映像受信機23aに送信するように設定されており、これによって、モニタ23には第二、第三カメラ20、21からの映像が二分割表示されるように構成されている。
これに対し、下部走行体2の前方と上部旋回体3の前方とが逆方向を向いていると判断された場合では、カメラ制御部22は、下部走行体2の後進走行動作(上部旋回体3の前進走行動作)を確認するのに適切である上部旋回体3の前方を向く第一、第二カメラ19、20とを選択し、これら第一、第二カメラ19、20からの映像信号を映像送信機22aを介して映像受信機23aに送信するように設定されており、これによって、モニタ23には第一、第二カメラ19、20からの映像が二分割表示されるように構成されている。
【0023】
叙述の如く構成された本形態において、油圧ショベル1による作業がなされる現場からは離れたコントロールルーム12において、モニタ23を見ながらの作業を行う場合に、モニタ23には、機体に固定された第一、第二、第三カメラ19、20、21からの映像が表示されるので、機体に対する作業装置5等の相対的位置が解りやすく、作業や走行動作を円滑、かつ、確実に操作できるいという利点があるうえ、各カメラ19、20、21の視野中心が動かないので画面全体としての動きが伴うことがなく、画面を凝視しても気分が悪くならず、長時間にわたる作業が可能となる。
【0024】
しかも、この場合に、カメラ制御部22は、油圧ショベル1を操作するのに必要な機体制御部に入力される操作信号に基づいて油圧ショベル1の動作パターンを判断し、複数箇所を撮影する複数の第一、第二、第三カメラ19、20、21のなかから、動作パターンの撮影に最適なカメラを選択してモニタ23に表示する構成であるので、オペレータは複数のモニタのなかから最適な映像を選択することなく、一つのモニタ23を集中して見ることができ、作業性の一層の向上を図ることができる。
【0025】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないことは勿論であって、カメラはカバーしたい油圧ショベルの動作パターンに合わせて適宜台数のものを設置すればよく、また、モニタ側は、動作パターンに合わせた映像を受像機の画面全体にあるいは複数分割した状態で表示することができ、何れの場合もオペレータは固定カメラからの映像に基づいて作業することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】油圧ショベルの概略側面図である。
【図2】コントロール装置の斜視図である。
【図3】図3(A)、(B)はそれぞれカメラの設置状態を説明する油圧ショベルの平面図、側面図である。
【図4】油圧ショベルの制御状態を説明するブロック図である。
【図5】カメラ制御部における制御状態を説明するフローチャート図である。
【符号の説明】
【0027】
1 建設機械(油圧ショベル)
5 作業装置
17 遠隔制御部
18 機体制御部
19 カメラ(第一カメラ)
20 カメラ(第二カメラ)
21 カメラ(第三カメラ)
22 カメラ制御部
22a 映像送信機
22b カメラ選択手段
23 受像機(モニタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体本体に作業装置を変位自在に装着し、遠隔地に設けた遠隔制御部からの操作信号を機体制御部に送信することに基づいて遠隔操作される建設機械において、機体本体に複数のカメラを設置し、これらカメラからの映像データを遠隔地に設けた受像機に送信するにあたり、各カメラに接続されるカメラ制御部に、機体制御部に入力される操作信号に基づいて建設機械の動作を判断し、該動作を確認するのに適したカメラを選択して、該選択されたカメラの映像データを映像送信機を介して受像機に送信するカメラ選択手段を設けたことを特徴とする建設機械の遠隔操作におけるカメラ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−219894(P2006−219894A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−34126(P2005−34126)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】