建設機械
【課題】架線切断事故が起き難い建設機械を提供することである。
【解決手段】ブーム及びブーム先端側に設けられた作業用具を具備する建設機械において、前記ブームの水平方向に対する傾斜角を検出できる傾斜センサと、前記傾斜センサによる前記ブームの傾斜角が設定値に至った場合、そのことを報知する報知手段とを具備してなる。
【解決手段】ブーム及びブーム先端側に設けられた作業用具を具備する建設機械において、前記ブームの水平方向に対する傾斜角を検出できる傾斜センサと、前記傾斜センサによる前記ブームの傾斜角が設定値に至った場合、そのことを報知する報知手段とを具備してなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばバックホウ等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ブームを上下に揺動操作する第1油圧シリンダと、前記第1油圧シリンダに作動油を給排操作する第1制御弁と、アームを前後に揺動操作する第2油圧シリンダと、前記第2油圧シリンダに作動油を給排操作する第2制御弁と、人為的に操作されるもので前記第1及び第2制御弁を操作する一対の操作レバーとを備えると共に、旋回台に対する前記ブームの角度を検出する角度センサと、前記ブームに対する前記アームの角度を検出する角度センサとを備え、前記一方の操作レバーが前記アームの掻き込み側に操作された状態で、前記他方の操作レバーが前記ブームの上昇側に操作されると、前記アームの先端が所定の直線軌跡に略沿って移動するように、前記角度センサの検出値に基づいて、前記一方又は他方の操作レバーに対する前記第1又は第2制御弁の操作位置を、前記ブームの上昇側又は前記アームの掻き込み側において補正する第1補正手段と、前記第1補正手段により前記アームの先端が前記所定の直線軌跡の設定位置に達すると、前記ブームの上昇側に操作された前記他方の操作レバーに対して前記第1制御弁を前記ブームの下降側に操作し、かつ、前記アームの先端が前記所定の直線軌跡に略沿って移動するように、前記角度センサの検出値に基づいて、前記一方又は他方の操作レバーに対する前記第1又は第2制御弁の操作位置を、前記ブームの下降側又は前記アームの掻き込み側において補正する第2補正手段とを備えてあるバックホウ、或いは、ブームを上下に揺動操作する第1油圧シリンダと、前記第1油圧シリンダに作動油を給排操作するパイロット操作式の第1制御弁と、アームを前後に揺動操作する第2油圧シリンダと、前記第2油圧シリンダに作動油を給排操作するパイロット操作式の第2制御弁と、人為的に操作されるもので前記第1及び第2制御弁を操作する一対の操作レバーと、前記一対の操作レバーの操作位置に応じて前記第1及び第2制御弁を操作するパイロット圧を発生するパイロット弁とを備えると共に、旋回台に対する前記ブームの角度を検出する角度センサと、前記ブームに対する前記アームの角度を検出する角度センサとを備え、前記一方の操作レバーが前記アームの掻き込み側に操作された状態で、前記他方の操作レバーが前記ブームの上昇側に操作されると、前記アームの先端が所定の直線軌跡に略沿って移動するように、前記角度センサの検出値に基づいて、前記第1又は第2制御弁を操作するパイロット圧を変更操作して、前記一方又は他方の操作レバーに対する前記第1又は第2制御弁の操作位置を、前記ブームの上昇側又は前記アームの掻き込み側において補正する第1補正手段と、前記第1補正手段により前記アームの先端が前記所定の直線軌跡の設定位置に達すると、前記ブームの上昇側に操作された前記他方の操作レバーに対して前記第1制御弁を前記ブームの下降側に操作し、かつ、前記アームの先端が前記所定の直線軌跡に略沿って移動するように、前記角度センサの検出値に基づいて、前記第1又は第2制御弁を操作するパイロット圧を変更操作して、前記一方又は他方の操作レバーに対する前記第1又は第2制御弁の操作位置を、前記ブームの下降側又は前記アームの掻き込み側において補正する第2補正手段とを備えてあるバックホウが提案(特開平11−36360号公報)されている。
【0003】
又、旋回台に上下揺動自在に支持されたブームと、前記ブームの先端に前後揺動自在に支持されたアームと、前記アームの先端に支持されたバケットとを備え、前記旋回台に対するブームの上下角度を検出するブーム上下角度センサと、前記ブームに対するアームの前後角度を検出するアーム前後角度センサとを備えると共に、前記ブーム上下角度センサの検出値に対して前記アーム前後角度センサの検出値が設定値に達すると、前記バケットが運転部から所定距離だけ離れた位置に達したと判断して、前記アームの掻き込み側への操作を牽制阻止するアーム牽制手段を備えてあるバックホウ、或いは、旋回台に上下揺動自在に支持されたブームと、前記ブームの先端に前後揺動自在に支持されたアームと、前記アームの先端に支持されたバケットとを備え、前記旋回台に対するブームの上下角度を検出するブーム上下角度センサと、前記ブームに対するアームの前後角度を検出するアーム前後角度センサとを備えると共に、前記ブーム上下角度センサの検出値に対して前記アーム前後角度センサの検出値が第1設定値に達すると、前記バケットが運転部から第1所定距離だけ離れた位置に達したと判断して、前記アーム前後角度センサの検出値に基づいて前記アームの掻き込み側への操作を減速操作するアーム減速手段と、前記ブーム上下角度センサの検出値に対して前記アーム前後角度センサの検出値が第2設定値に達すると、前記バケットが運転部から前記第1所定距離よりも短い第2所定距離だけ離れた位置に達したと判断して、前記アームの掻き込み側への操作を牽制阻止するアーム牽制手段を備えてあるバックホウが提案(特開2000−328608号公報)されている。
【0004】
又、旋回台における運転部の横側に第1ブームを第1横向き軸心周りに上下揺動自在に支持させ、この第1ブームの先端に、リンクとで平行4連リンク機構を構成する第2ブームを左右揺動自在に支持させ、この第2ブーム及びリンクの先端に左右揺動自在に連結して第2ブームの左右揺動に伴い左右に平行移動する第3ブームを設け、この第3ブームに前記第1横向き軸心と平行な第2横向き軸心周りに前後揺動自在にアームを支持させ、このアームの先端に前記第2横向き軸心と平行な第3横向き軸心周りに揺動自在にバケットを支持させ、前記第1ブームを上下揺動させるブームシリンダと、第2ブームを左右揺動させるオフセットシリンダと、前記アームを前後揺動させるアームシリンダと、前記バケットを揺動させるバケットシリンダとを設け、前記第1ブームの旋回台に対する上下角度を検出するブーム上下角度センサと、前記第2ブームの第1ブームに対する左右角度を検出するブーム左右角度センサと、前記アームの第3ブームに対する前後角度を検出するアーム前後角度センサとを設け、前記ブーム上下角度センサとブーム左右角度センサとアーム前後角度センサとの検出結果に基づいて、前記バケットの運転部に対する設定以上の接近を防止する牽制手段を設けてあるバックホウにおいて、前記第3ブームを左右一対の主板とこれらを繋ぐ繋ぎ板とから構成し、前記主板間に前記ブーム左右角度センサを配置してあるバックホウが提案(特開2002−105992号公報)されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−36360号公報
【特許文献2】特開2000−328608号公報
【特許文献3】特開2002−105992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
建設機械、例えばバックホウの作業現場には、架線が存在する場合も多い。しかも、架線の高さがバックホウのブーム(アーム)の動作範囲内に在ることも多い。このような条件下において、バックホウによる作業が行われると、場合によっては、電線をブーム(アーム)が引っ掛けてしまい、電線切断の事故が起きる。
【0007】
このようなことから、上記提案の如く、角度センサをバックホウに具備させ、この角度センサによってブームの旋回台に対する起立角度を検出し、この起立角度がαを越えた場合には、バックホウのブーム動作を停止することが考えられた。
【0008】
しかしながら、この種のバックホウにも問題点の有ることが判って来た。すなわち、ブーム起立角度が所定の角度に到達すると、この時のブーム起立角度が角度センサで検出され、ブーム動作が停止し、電線切断事故が起きないようになっている筈であるにも拘わらず、電線を引っ掛け、電線切断事故に至る場合が有った。
【0009】
従って、本発明が解決しようとする課題は、例えば架線切断事故が起き難い建設機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記問題点についての検討が鋭意推し進められて行った。その結果、次のようなことが判って来た。すなわち、角度センサによって検出される角度は旋回台(地面)に対するブームの起立角度であったことから、同じ箇所でも、その箇所の地面が水平面であるのか、下り斜面であるのか、それとも、上り斜面であるのかによって、水平面に対する角度が異なる。ところで、地面から架線までの高さHは一定に決まっているものの、地面の状況が水平面であるのか、下り斜面であるのか、それとも上がり斜面であるのかによって、ブーム起立角度が同じ角度αでも、ブーム先端部の高さは異なる。なぜならば、下り斜面(傾斜角が−β)にバックホウが位置している場合、地面から垂直方向におけるブーム高さ(Y)はブーム長(L)×sin(α−β)であり、ブーム起立角度がαでも、ブーム先端部の高さは架線高さHより遥かに低い場合も有る。逆に、上り斜面(傾斜角が+β)にバックホウが位置している場合、地面から垂直方向におけるブーム高さ(Y)はブーム長(L)×sin(α+β)であり、ブーム起立角度がα未満の状態でも、ブーム先端部の高さが架線高さHを越える場合も有る。つまり、検出角度(ブーム起立角度)が設定値(規定値:閾値)α未満の角度であるにも拘わらず、ブーム端が設定値(規定値:閾値)αに相当する高さHに既に至っていることが有ることを意味する。すなわち、検出角度が設定値(規定値:閾値)α以前の状態の安全範囲であるにも拘わらず、ブーム端が電線に引っ掛かってしまうことが有ることを意味する。そして、前記提案のものでは、ブームの起立角度が同じでも、バックホウが存する地面の状況によって該ブーム端の高さに違いが起きるものとなり、電線の引っ掛け切断事故になったことに気付くに至った。
【0011】
このような知見を基にして更なる検討が行われた結果、建設機械が存する地面の状況に寄らずにブームの傾斜角度が検出できるようにしておけば良いであろうと考えられるに至った。すなわち、建設機械が存する地面の状況が如何なる状況であろうとも、ブームの傾斜角度が水平面(例えば、鉛直方向に直交する平面)に対して何度であるかが検出できるようにしておけば、建設機械が存する地面が下り斜面であろうと上り斜面であろうとも、同一の傾斜角が検出される。そして、前記傾斜角が規定値(閾値)に至った場合には、建設機械が存する地面が下り斜面であろうと上り斜面であろうとも、その時のブーム高さは決まった一つの或る高さであるから、この高さが電線の高さより少し低いものであれば、ブームが電線を引っ掛けるような事故は起きなくなると考えられた。
【0012】
上記知見に基づいて本発明が達成されたものである。
【0013】
すなわち、前記の課題は、
ブーム及びブーム先端側に設けられた作業用具を具備する建設機械において、
前記ブームの水平方向に対する傾斜角を検出できる傾斜センサと、
前記傾斜センサによる前記ブームの傾斜角が設定値に至った場合、そのことを報知する報知手段
とを具備してなることを特徴とする建設機械によって解決される。
【0014】
前記の課題は、
先端部側に作業用具が取り付けられたブームを有する建設機械において、
前記ブームの水平方向に対する傾斜角を検出できる傾斜センサと、
前記傾斜センサによる前記ブームの傾斜角が規定値に至った場合、前記ブームの動作を制御する制御手段
とを具備してなることを特徴とする建設機械によって解決される。
【0015】
好ましくは、前記の建設機械であって、前記傾斜センサはブームに取り付けられてなることを特徴とする建設機械によって解決される。
【0016】
好ましくは、前記の建設機械であって、傾斜センサは着脱自在に取り付けられてなることを特徴とする建設機械によって解決される。
【発明の効果】
【0017】
ブーム等の作動による架線切断事故が起き難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明になる建設機械の概略図
【図2】本発明になる建設機械の概略図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は建設機械である。本建設機械は作業用具を具備する。この作業用具は目的に応じた機能を有する構造である。例えば、バケット(ショベル)である。勿論、これに限られるものでは無い。本建設機械はブームを具備する。前記作業用具は前記ブームの先端側に設けられている。例えば、ブーム先端部に連結されたアームの先端部に作業用具は設けられている。つまり、間接的に(アームを介して)、ブームの先端側に設けられている。勿論、これに限られるものでは無い。本建設機械は傾斜センサを具備する。この傾斜センサは前記ブームの水平方向に対する傾斜角を検出する機能を有する。前記傾斜センサは、例えば前記ブームに取り付けられている。例えば、着脱自在に取り付けられている。例えば、磁石などによってブームに着脱自在に取り付けられている。本建設機械は報知手段を具備する。この報知手段は、例えば警報装置である。視覚あるいは聴覚と言った感覚によって建設機械の作業者に警告をなす装置である。この警告(警報)は、前記傾斜センサによる前記ブームの水平方向に対する傾斜角が設定値(規定値:閾値)に至った場合、出力されるように構成されている。そして、警告(警報)が出力された場合、建設機械の作業者は、前記ブームを、それ以上、立ち上げるのを停止することが出来るようになっている。或いは、前記報知手段に代わって、又は、前記報知手段と共に、前記傾斜センサによる前記ブームの傾斜角が規定値に至った場合、前記ブームの動作を制御する制御手段を具備する。例えば、前記傾斜センサによる前記ブームの傾斜角が規定値に至った場合、前記ブームの動作を停止する制御手段を具備する。
【0020】
以下、更に具体的に説明する。
【0021】
図1および図2は本発明の一実施形態になる建設機械の概略図である。この建設機械は、例えばバックホウである。勿論、これに限られるものでは無い。
【0022】
図に示されるバックホウAは、走行装置1に旋回台2が支持され、旋回台2の前部にバックホウ装置3を具備したものである。
【0023】
バックホウ装置3は、油圧シリンダ11により上下に揺動操作されるブーム4、油圧シリンダ12により前後に揺動操作されるアーム5、及び油圧シリンダ13により揺動操作されるバケット6を具備する。
【0024】
バックホウ装置3のブーム4は、上下に揺動操作される第1ブーム4a、第1ブーム4aの前端の軸芯P1回りに揺動自在に連結された第2ブーム4b、第2ブーム4bの前端の軸芯P2回りに揺動自在に連結された支持ブラケット4cで構成されている。支持ブラケット4cにはアーム5が連結されている。第1ブーム4aと支持ブラケット4cとに亘って連係リンク8が架設され、平行四連リンクが構成されている。油圧シリンダ7で第2ブーム4bを第1ブーム4aに対して揺動操作することにより、アーム5及びバケット6を左右に移動させることが出来る。
【0025】
旋回台2の右側にはバックホウ装置3が配置されている。左側には運転席14や右・左操作レバー9,10等で構成された運転部15が配置されている。旋回台2の左右中央に、バックホウ装置3と運転部15とを仕切る窓付きの縦仕切り板16が設けられており、縦仕切り板16の上端に旋回台2の外側に沿った上仕切り板17が固定されている。
【0026】
次に、前記油圧回路構造、バックホウ装置3や旋回台2などの操作構造について説明する。第1ブーム4a(ブーム4)の油圧シリンダ11の制御弁、アーム5の油圧シリンダ12の制御弁、バケット6の油圧シリンダ13の制御弁、旋回台2の旋回モータ18の制御弁、第2ブーム4bの油圧シリンダ7の制御弁、右の走行装置1の制御弁、左の走行装置1の制御弁、サービスポートの制御弁、並びにドーザ19を昇降操作する油圧シリンダの制御弁が備わっており、ポンプからの作動油が前記制御弁に供給されている。第1ブーム4aの制御弁、アーム5の制御弁、バケット6の制御弁、旋回台2の制御弁及び第2ブーム4bの制御弁が、パイロット圧によるパイロット操作式で中立復帰型に構成されている。右及び左の走行装置1の制御弁、サービスポートの制御弁、ドーザ19の制御弁が、操作レバーにより操作される機械操作式で中立復帰型に構成されている。右操作レバー9は前後左右に操作自在に構成されており、右操作レバー9の後操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁、及び右操作レバー9の前操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁、右操作レバー9の右操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁、及び右操作レバー9の左操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁が備わっている。左操作レバー10も同様に前後左右に操作自在に構成されており、左操作レバー10の後操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁、及び左操作レバー10の前操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁、左操作レバー10の右操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁、及び左操作レバー10の左操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁が備わっている。更に、左右に踏み操作自在な操作ペダルが備わっており、この操作ペダルの左踏み操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁、及び前記操作ペダルの右踏み操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁が備わっている。これ等のパイロット弁にパイロット圧を供給するパイロットポンプが備わっている。右操作レバー9のパイロット弁と第1ブーム4aの制御弁、及び右操作レバー9のパイロット弁とバケット6の制御弁とが、パイロット油路を介して接続されており、左操作レバー10のパイロット弁とアーム5の制御弁、及び左操作レバー10のパイロット弁と旋回台2の制御弁とが、パイロット油路を介して接続されている。前記操作ペダルのパイロット弁と第2ブーム部分4bの制御弁とが、パイロット油路を介して接続されている。以上の構造により、右操作レバー9を後操作すると、パイロット弁からのパイロット圧により、第1ブーム4aの制御弁が上昇側(油圧シリンダ11の伸長側)に操作され、右操作レバー9を前操作するとパイロット弁からのパイロット圧により、第1ブーム4aの制御弁が下降側(油圧シリンダ11の収縮側)に操作される。右操作レバー9を右操作すると、パイロット弁からのパイロット圧により、バケット6の制御弁が排土側(油圧シリンダ13の収縮側)に操作され、右操作レバー9を左操作すると、パイロット弁からのパイロット圧により、バケット6の制御弁が掻き込み側(油圧シリンダ13の伸長側)に操作される。左操作レバー10を後操作すると、パイロット弁からのパイロット圧により、アーム5の制御弁が掻き込み側(油圧シリンダ12の伸長側)に操作され、左操作レバー10を前操作すると、パイロット弁からのパイロット圧により、アーム5の制御弁が排土側(油圧シリンダ12の収縮側)に操作される。左操作レバー10を右操作すると、パイロット弁からのパイロット圧により、旋回台2の制御弁が右旋回側に操作され、左操作レバー10を左操作すると、パイロット弁からのパイロット圧により、旋回台2の制御弁が左旋回側に操作される。操作ペダルを左踏み操作すると、パイロット弁からのパイロット圧により、第2ブーム4bの制御弁が左揺動側(油圧シリンダ7の伸長側)に操作され、操作ペダルを右踏み操作すると、パイロット弁からのパイロット圧により、第2ブーム4bの制御弁が右揺動側(油圧シリンダ7の収縮側)に操作される。右・左操作レバー9,10、及び操作ペダルを中立位置から大きく操作する程、パイロット弁のパイロット圧が大きくなるように構成されている。これにより、右・左操作レバー9,10、及び操作ペダルを中立位置から大きく操作する程、右・左操作レバー9,10、及び操作ペダルの操作位置に対応してパイロット弁のパイロット圧が大きくなり、制御弁が流量大側に操作され、右・左操作レバー9,10、及び操作ペダルを大きく操作する程、油圧シリンダ7,11,12,13及び旋回モータ18が高速で作動する。右操作レバー9のパイロット弁と第1ブーム4aの制御弁とを接続するパイロット油路(第1ブーム4aの制御弁を上昇側に操作するパイロット油路)、左操作レバー10のパイロット弁とアーム5の制御弁とを接続するパイロット油路(アーム5の制御弁を掻き込み側に操作するパイロット油路)、並びに操作ペダルのパイロット弁と第2ブーム4bの制御弁とを接続するパイロット油路(第2ブーム4bの制御弁を左揺動側に操作するパイロット油路)の各々に、電磁操作式の圧力制御弁が備わっている。従って、この圧力制御弁によりパイロット圧を減圧操作して(最高圧は右・左操作レバー9,10、操作ペダルで設定されている値)、右・左操作レバー9,10、操作ペダルの操作位置に関係なく、第1ブーム4aの制御弁の上昇側の開度、アーム5の制御弁の掻き込み側の開度、第2ブーム4bの制御弁の左揺動側の開度を任意に変更できる。前記圧力制御弁によりパイロット圧を零に設定することによって、右・左操作レバー9,10、操作ペダルの操作位置に関係なく、第1ブーム4aの油圧シリンダ11、アーム5の油圧シリンダ12、第2ブーム4bの油圧シリンダ7を停止させることが出来る。
【0027】
36は傾斜センサである。この傾斜センサ36は、第1ブーム4aの傾斜角(起立角:水平方向に対する傾斜角(起立角))を検出する機能を有する。傾斜センサ36は、第1ブーム4aに対して着脱自在に取り付けられている。例えば、第1ブーム4aは、一般的には、鉄製のものであることから、傾斜センサ36に磁石を取り付けておくことにより、傾斜センサ36は第1ブーム4aに着脱自在に取り付けられる。勿論、本実施形態でも、そのような構造である。尚、傾斜センサ36は、図では、旋回台2と第1ブーム4aとの連結部に配設されている。勿論、この位置に限られるものでは無い。37,38は角度センサである。角度センサ37は、第1ブーム4aに対する第2ブーム4bの左右角度を検出する機能を有する。角度センサ37は、第1ブーム4aと第2ブーム4bとの連結部に、これ、また、着脱自在に取り付けられている。角度センサ38は、第2ブーム4bに対するアーム5の前後角度を検出する機能を有する。角度センサ38は、支持ブラケット4cとアーム5との連結部に、これ、また、着脱自在に取り付けられている。そして、上記傾斜センサ36、角度センサ37,38による検出値が制御装置(記憶手段)に入力されるように構成されている。
【0028】
次に、第1ブーム4aを上昇側に操作した場合の制御について説明する。センサ36,37,38の検出値が、常時、制御装置に入力されている。右操作レバー9が後操作され、第1ブーム4aが上昇側に操作されると、バケット6は運転部15に接近する状態となる。これにより、右操作レバー9が後操作されて、第1ブーム4aの傾斜角(起立角)が上昇側に変化(図2参照)する。この時、図1と図2との対比から判る通り、第1ブーム4a(第2ブーム)の先端側は垂直方向(鉛直方向)の高さが高くなる。このような状態に至る際に、その途中の高さにおいて架線が存在していた場合、架線を引き千切ってしまうことになる。そこで、このような架線が作業現場に存する場合には、前以て、この架線を引き千切るようになる前段階での第1ブーム4aの起立角αを前記制御装置に入力しておき、この予め制御装置(記憶手段)に入力(記憶)されている角度αと傾斜センサ36による検出値(出力値)の大小が制御装置(比較手段:演算手段)で比較され、この比較の結果、両者が等しくなった時点、或いは越えた時点で、制御装置は運転室に配置されている警報(音及び/又は光による警報)装置に警報を出力させるようになっている。この警報が出力されると、作業者は、第1ブーム4aのそれ以上の立ち上がりを停止する。尚、自動的に停止するようにしていても良いが、自動的にセットされている場合には、例えば架線に至るまでには高さが未だ約20cmの余裕が有るにも拘わらず、そして1cmだけ高くすれば作業が終了するような場合でも、停止してしまい、作業性が低下する。従って、自動停止の方式を採用するよりも、警報が出力されるようにしておき、その後の作業は作業者に判断を任せるようにしておく方が好ましい。
【符号の説明】
【0029】
1 走行装置
2 旋回台
3 バックホウ装置
4,4a ブーム
5 アーム
6 バケット
36 傾斜センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばバックホウ等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ブームを上下に揺動操作する第1油圧シリンダと、前記第1油圧シリンダに作動油を給排操作する第1制御弁と、アームを前後に揺動操作する第2油圧シリンダと、前記第2油圧シリンダに作動油を給排操作する第2制御弁と、人為的に操作されるもので前記第1及び第2制御弁を操作する一対の操作レバーとを備えると共に、旋回台に対する前記ブームの角度を検出する角度センサと、前記ブームに対する前記アームの角度を検出する角度センサとを備え、前記一方の操作レバーが前記アームの掻き込み側に操作された状態で、前記他方の操作レバーが前記ブームの上昇側に操作されると、前記アームの先端が所定の直線軌跡に略沿って移動するように、前記角度センサの検出値に基づいて、前記一方又は他方の操作レバーに対する前記第1又は第2制御弁の操作位置を、前記ブームの上昇側又は前記アームの掻き込み側において補正する第1補正手段と、前記第1補正手段により前記アームの先端が前記所定の直線軌跡の設定位置に達すると、前記ブームの上昇側に操作された前記他方の操作レバーに対して前記第1制御弁を前記ブームの下降側に操作し、かつ、前記アームの先端が前記所定の直線軌跡に略沿って移動するように、前記角度センサの検出値に基づいて、前記一方又は他方の操作レバーに対する前記第1又は第2制御弁の操作位置を、前記ブームの下降側又は前記アームの掻き込み側において補正する第2補正手段とを備えてあるバックホウ、或いは、ブームを上下に揺動操作する第1油圧シリンダと、前記第1油圧シリンダに作動油を給排操作するパイロット操作式の第1制御弁と、アームを前後に揺動操作する第2油圧シリンダと、前記第2油圧シリンダに作動油を給排操作するパイロット操作式の第2制御弁と、人為的に操作されるもので前記第1及び第2制御弁を操作する一対の操作レバーと、前記一対の操作レバーの操作位置に応じて前記第1及び第2制御弁を操作するパイロット圧を発生するパイロット弁とを備えると共に、旋回台に対する前記ブームの角度を検出する角度センサと、前記ブームに対する前記アームの角度を検出する角度センサとを備え、前記一方の操作レバーが前記アームの掻き込み側に操作された状態で、前記他方の操作レバーが前記ブームの上昇側に操作されると、前記アームの先端が所定の直線軌跡に略沿って移動するように、前記角度センサの検出値に基づいて、前記第1又は第2制御弁を操作するパイロット圧を変更操作して、前記一方又は他方の操作レバーに対する前記第1又は第2制御弁の操作位置を、前記ブームの上昇側又は前記アームの掻き込み側において補正する第1補正手段と、前記第1補正手段により前記アームの先端が前記所定の直線軌跡の設定位置に達すると、前記ブームの上昇側に操作された前記他方の操作レバーに対して前記第1制御弁を前記ブームの下降側に操作し、かつ、前記アームの先端が前記所定の直線軌跡に略沿って移動するように、前記角度センサの検出値に基づいて、前記第1又は第2制御弁を操作するパイロット圧を変更操作して、前記一方又は他方の操作レバーに対する前記第1又は第2制御弁の操作位置を、前記ブームの下降側又は前記アームの掻き込み側において補正する第2補正手段とを備えてあるバックホウが提案(特開平11−36360号公報)されている。
【0003】
又、旋回台に上下揺動自在に支持されたブームと、前記ブームの先端に前後揺動自在に支持されたアームと、前記アームの先端に支持されたバケットとを備え、前記旋回台に対するブームの上下角度を検出するブーム上下角度センサと、前記ブームに対するアームの前後角度を検出するアーム前後角度センサとを備えると共に、前記ブーム上下角度センサの検出値に対して前記アーム前後角度センサの検出値が設定値に達すると、前記バケットが運転部から所定距離だけ離れた位置に達したと判断して、前記アームの掻き込み側への操作を牽制阻止するアーム牽制手段を備えてあるバックホウ、或いは、旋回台に上下揺動自在に支持されたブームと、前記ブームの先端に前後揺動自在に支持されたアームと、前記アームの先端に支持されたバケットとを備え、前記旋回台に対するブームの上下角度を検出するブーム上下角度センサと、前記ブームに対するアームの前後角度を検出するアーム前後角度センサとを備えると共に、前記ブーム上下角度センサの検出値に対して前記アーム前後角度センサの検出値が第1設定値に達すると、前記バケットが運転部から第1所定距離だけ離れた位置に達したと判断して、前記アーム前後角度センサの検出値に基づいて前記アームの掻き込み側への操作を減速操作するアーム減速手段と、前記ブーム上下角度センサの検出値に対して前記アーム前後角度センサの検出値が第2設定値に達すると、前記バケットが運転部から前記第1所定距離よりも短い第2所定距離だけ離れた位置に達したと判断して、前記アームの掻き込み側への操作を牽制阻止するアーム牽制手段を備えてあるバックホウが提案(特開2000−328608号公報)されている。
【0004】
又、旋回台における運転部の横側に第1ブームを第1横向き軸心周りに上下揺動自在に支持させ、この第1ブームの先端に、リンクとで平行4連リンク機構を構成する第2ブームを左右揺動自在に支持させ、この第2ブーム及びリンクの先端に左右揺動自在に連結して第2ブームの左右揺動に伴い左右に平行移動する第3ブームを設け、この第3ブームに前記第1横向き軸心と平行な第2横向き軸心周りに前後揺動自在にアームを支持させ、このアームの先端に前記第2横向き軸心と平行な第3横向き軸心周りに揺動自在にバケットを支持させ、前記第1ブームを上下揺動させるブームシリンダと、第2ブームを左右揺動させるオフセットシリンダと、前記アームを前後揺動させるアームシリンダと、前記バケットを揺動させるバケットシリンダとを設け、前記第1ブームの旋回台に対する上下角度を検出するブーム上下角度センサと、前記第2ブームの第1ブームに対する左右角度を検出するブーム左右角度センサと、前記アームの第3ブームに対する前後角度を検出するアーム前後角度センサとを設け、前記ブーム上下角度センサとブーム左右角度センサとアーム前後角度センサとの検出結果に基づいて、前記バケットの運転部に対する設定以上の接近を防止する牽制手段を設けてあるバックホウにおいて、前記第3ブームを左右一対の主板とこれらを繋ぐ繋ぎ板とから構成し、前記主板間に前記ブーム左右角度センサを配置してあるバックホウが提案(特開2002−105992号公報)されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−36360号公報
【特許文献2】特開2000−328608号公報
【特許文献3】特開2002−105992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
建設機械、例えばバックホウの作業現場には、架線が存在する場合も多い。しかも、架線の高さがバックホウのブーム(アーム)の動作範囲内に在ることも多い。このような条件下において、バックホウによる作業が行われると、場合によっては、電線をブーム(アーム)が引っ掛けてしまい、電線切断の事故が起きる。
【0007】
このようなことから、上記提案の如く、角度センサをバックホウに具備させ、この角度センサによってブームの旋回台に対する起立角度を検出し、この起立角度がαを越えた場合には、バックホウのブーム動作を停止することが考えられた。
【0008】
しかしながら、この種のバックホウにも問題点の有ることが判って来た。すなわち、ブーム起立角度が所定の角度に到達すると、この時のブーム起立角度が角度センサで検出され、ブーム動作が停止し、電線切断事故が起きないようになっている筈であるにも拘わらず、電線を引っ掛け、電線切断事故に至る場合が有った。
【0009】
従って、本発明が解決しようとする課題は、例えば架線切断事故が起き難い建設機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記問題点についての検討が鋭意推し進められて行った。その結果、次のようなことが判って来た。すなわち、角度センサによって検出される角度は旋回台(地面)に対するブームの起立角度であったことから、同じ箇所でも、その箇所の地面が水平面であるのか、下り斜面であるのか、それとも、上り斜面であるのかによって、水平面に対する角度が異なる。ところで、地面から架線までの高さHは一定に決まっているものの、地面の状況が水平面であるのか、下り斜面であるのか、それとも上がり斜面であるのかによって、ブーム起立角度が同じ角度αでも、ブーム先端部の高さは異なる。なぜならば、下り斜面(傾斜角が−β)にバックホウが位置している場合、地面から垂直方向におけるブーム高さ(Y)はブーム長(L)×sin(α−β)であり、ブーム起立角度がαでも、ブーム先端部の高さは架線高さHより遥かに低い場合も有る。逆に、上り斜面(傾斜角が+β)にバックホウが位置している場合、地面から垂直方向におけるブーム高さ(Y)はブーム長(L)×sin(α+β)であり、ブーム起立角度がα未満の状態でも、ブーム先端部の高さが架線高さHを越える場合も有る。つまり、検出角度(ブーム起立角度)が設定値(規定値:閾値)α未満の角度であるにも拘わらず、ブーム端が設定値(規定値:閾値)αに相当する高さHに既に至っていることが有ることを意味する。すなわち、検出角度が設定値(規定値:閾値)α以前の状態の安全範囲であるにも拘わらず、ブーム端が電線に引っ掛かってしまうことが有ることを意味する。そして、前記提案のものでは、ブームの起立角度が同じでも、バックホウが存する地面の状況によって該ブーム端の高さに違いが起きるものとなり、電線の引っ掛け切断事故になったことに気付くに至った。
【0011】
このような知見を基にして更なる検討が行われた結果、建設機械が存する地面の状況に寄らずにブームの傾斜角度が検出できるようにしておけば良いであろうと考えられるに至った。すなわち、建設機械が存する地面の状況が如何なる状況であろうとも、ブームの傾斜角度が水平面(例えば、鉛直方向に直交する平面)に対して何度であるかが検出できるようにしておけば、建設機械が存する地面が下り斜面であろうと上り斜面であろうとも、同一の傾斜角が検出される。そして、前記傾斜角が規定値(閾値)に至った場合には、建設機械が存する地面が下り斜面であろうと上り斜面であろうとも、その時のブーム高さは決まった一つの或る高さであるから、この高さが電線の高さより少し低いものであれば、ブームが電線を引っ掛けるような事故は起きなくなると考えられた。
【0012】
上記知見に基づいて本発明が達成されたものである。
【0013】
すなわち、前記の課題は、
ブーム及びブーム先端側に設けられた作業用具を具備する建設機械において、
前記ブームの水平方向に対する傾斜角を検出できる傾斜センサと、
前記傾斜センサによる前記ブームの傾斜角が設定値に至った場合、そのことを報知する報知手段
とを具備してなることを特徴とする建設機械によって解決される。
【0014】
前記の課題は、
先端部側に作業用具が取り付けられたブームを有する建設機械において、
前記ブームの水平方向に対する傾斜角を検出できる傾斜センサと、
前記傾斜センサによる前記ブームの傾斜角が規定値に至った場合、前記ブームの動作を制御する制御手段
とを具備してなることを特徴とする建設機械によって解決される。
【0015】
好ましくは、前記の建設機械であって、前記傾斜センサはブームに取り付けられてなることを特徴とする建設機械によって解決される。
【0016】
好ましくは、前記の建設機械であって、傾斜センサは着脱自在に取り付けられてなることを特徴とする建設機械によって解決される。
【発明の効果】
【0017】
ブーム等の作動による架線切断事故が起き難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明になる建設機械の概略図
【図2】本発明になる建設機械の概略図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は建設機械である。本建設機械は作業用具を具備する。この作業用具は目的に応じた機能を有する構造である。例えば、バケット(ショベル)である。勿論、これに限られるものでは無い。本建設機械はブームを具備する。前記作業用具は前記ブームの先端側に設けられている。例えば、ブーム先端部に連結されたアームの先端部に作業用具は設けられている。つまり、間接的に(アームを介して)、ブームの先端側に設けられている。勿論、これに限られるものでは無い。本建設機械は傾斜センサを具備する。この傾斜センサは前記ブームの水平方向に対する傾斜角を検出する機能を有する。前記傾斜センサは、例えば前記ブームに取り付けられている。例えば、着脱自在に取り付けられている。例えば、磁石などによってブームに着脱自在に取り付けられている。本建設機械は報知手段を具備する。この報知手段は、例えば警報装置である。視覚あるいは聴覚と言った感覚によって建設機械の作業者に警告をなす装置である。この警告(警報)は、前記傾斜センサによる前記ブームの水平方向に対する傾斜角が設定値(規定値:閾値)に至った場合、出力されるように構成されている。そして、警告(警報)が出力された場合、建設機械の作業者は、前記ブームを、それ以上、立ち上げるのを停止することが出来るようになっている。或いは、前記報知手段に代わって、又は、前記報知手段と共に、前記傾斜センサによる前記ブームの傾斜角が規定値に至った場合、前記ブームの動作を制御する制御手段を具備する。例えば、前記傾斜センサによる前記ブームの傾斜角が規定値に至った場合、前記ブームの動作を停止する制御手段を具備する。
【0020】
以下、更に具体的に説明する。
【0021】
図1および図2は本発明の一実施形態になる建設機械の概略図である。この建設機械は、例えばバックホウである。勿論、これに限られるものでは無い。
【0022】
図に示されるバックホウAは、走行装置1に旋回台2が支持され、旋回台2の前部にバックホウ装置3を具備したものである。
【0023】
バックホウ装置3は、油圧シリンダ11により上下に揺動操作されるブーム4、油圧シリンダ12により前後に揺動操作されるアーム5、及び油圧シリンダ13により揺動操作されるバケット6を具備する。
【0024】
バックホウ装置3のブーム4は、上下に揺動操作される第1ブーム4a、第1ブーム4aの前端の軸芯P1回りに揺動自在に連結された第2ブーム4b、第2ブーム4bの前端の軸芯P2回りに揺動自在に連結された支持ブラケット4cで構成されている。支持ブラケット4cにはアーム5が連結されている。第1ブーム4aと支持ブラケット4cとに亘って連係リンク8が架設され、平行四連リンクが構成されている。油圧シリンダ7で第2ブーム4bを第1ブーム4aに対して揺動操作することにより、アーム5及びバケット6を左右に移動させることが出来る。
【0025】
旋回台2の右側にはバックホウ装置3が配置されている。左側には運転席14や右・左操作レバー9,10等で構成された運転部15が配置されている。旋回台2の左右中央に、バックホウ装置3と運転部15とを仕切る窓付きの縦仕切り板16が設けられており、縦仕切り板16の上端に旋回台2の外側に沿った上仕切り板17が固定されている。
【0026】
次に、前記油圧回路構造、バックホウ装置3や旋回台2などの操作構造について説明する。第1ブーム4a(ブーム4)の油圧シリンダ11の制御弁、アーム5の油圧シリンダ12の制御弁、バケット6の油圧シリンダ13の制御弁、旋回台2の旋回モータ18の制御弁、第2ブーム4bの油圧シリンダ7の制御弁、右の走行装置1の制御弁、左の走行装置1の制御弁、サービスポートの制御弁、並びにドーザ19を昇降操作する油圧シリンダの制御弁が備わっており、ポンプからの作動油が前記制御弁に供給されている。第1ブーム4aの制御弁、アーム5の制御弁、バケット6の制御弁、旋回台2の制御弁及び第2ブーム4bの制御弁が、パイロット圧によるパイロット操作式で中立復帰型に構成されている。右及び左の走行装置1の制御弁、サービスポートの制御弁、ドーザ19の制御弁が、操作レバーにより操作される機械操作式で中立復帰型に構成されている。右操作レバー9は前後左右に操作自在に構成されており、右操作レバー9の後操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁、及び右操作レバー9の前操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁、右操作レバー9の右操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁、及び右操作レバー9の左操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁が備わっている。左操作レバー10も同様に前後左右に操作自在に構成されており、左操作レバー10の後操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁、及び左操作レバー10の前操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁、左操作レバー10の右操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁、及び左操作レバー10の左操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁が備わっている。更に、左右に踏み操作自在な操作ペダルが備わっており、この操作ペダルの左踏み操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁、及び前記操作ペダルの右踏み操作によりパイロット圧を発生するパイロット弁が備わっている。これ等のパイロット弁にパイロット圧を供給するパイロットポンプが備わっている。右操作レバー9のパイロット弁と第1ブーム4aの制御弁、及び右操作レバー9のパイロット弁とバケット6の制御弁とが、パイロット油路を介して接続されており、左操作レバー10のパイロット弁とアーム5の制御弁、及び左操作レバー10のパイロット弁と旋回台2の制御弁とが、パイロット油路を介して接続されている。前記操作ペダルのパイロット弁と第2ブーム部分4bの制御弁とが、パイロット油路を介して接続されている。以上の構造により、右操作レバー9を後操作すると、パイロット弁からのパイロット圧により、第1ブーム4aの制御弁が上昇側(油圧シリンダ11の伸長側)に操作され、右操作レバー9を前操作するとパイロット弁からのパイロット圧により、第1ブーム4aの制御弁が下降側(油圧シリンダ11の収縮側)に操作される。右操作レバー9を右操作すると、パイロット弁からのパイロット圧により、バケット6の制御弁が排土側(油圧シリンダ13の収縮側)に操作され、右操作レバー9を左操作すると、パイロット弁からのパイロット圧により、バケット6の制御弁が掻き込み側(油圧シリンダ13の伸長側)に操作される。左操作レバー10を後操作すると、パイロット弁からのパイロット圧により、アーム5の制御弁が掻き込み側(油圧シリンダ12の伸長側)に操作され、左操作レバー10を前操作すると、パイロット弁からのパイロット圧により、アーム5の制御弁が排土側(油圧シリンダ12の収縮側)に操作される。左操作レバー10を右操作すると、パイロット弁からのパイロット圧により、旋回台2の制御弁が右旋回側に操作され、左操作レバー10を左操作すると、パイロット弁からのパイロット圧により、旋回台2の制御弁が左旋回側に操作される。操作ペダルを左踏み操作すると、パイロット弁からのパイロット圧により、第2ブーム4bの制御弁が左揺動側(油圧シリンダ7の伸長側)に操作され、操作ペダルを右踏み操作すると、パイロット弁からのパイロット圧により、第2ブーム4bの制御弁が右揺動側(油圧シリンダ7の収縮側)に操作される。右・左操作レバー9,10、及び操作ペダルを中立位置から大きく操作する程、パイロット弁のパイロット圧が大きくなるように構成されている。これにより、右・左操作レバー9,10、及び操作ペダルを中立位置から大きく操作する程、右・左操作レバー9,10、及び操作ペダルの操作位置に対応してパイロット弁のパイロット圧が大きくなり、制御弁が流量大側に操作され、右・左操作レバー9,10、及び操作ペダルを大きく操作する程、油圧シリンダ7,11,12,13及び旋回モータ18が高速で作動する。右操作レバー9のパイロット弁と第1ブーム4aの制御弁とを接続するパイロット油路(第1ブーム4aの制御弁を上昇側に操作するパイロット油路)、左操作レバー10のパイロット弁とアーム5の制御弁とを接続するパイロット油路(アーム5の制御弁を掻き込み側に操作するパイロット油路)、並びに操作ペダルのパイロット弁と第2ブーム4bの制御弁とを接続するパイロット油路(第2ブーム4bの制御弁を左揺動側に操作するパイロット油路)の各々に、電磁操作式の圧力制御弁が備わっている。従って、この圧力制御弁によりパイロット圧を減圧操作して(最高圧は右・左操作レバー9,10、操作ペダルで設定されている値)、右・左操作レバー9,10、操作ペダルの操作位置に関係なく、第1ブーム4aの制御弁の上昇側の開度、アーム5の制御弁の掻き込み側の開度、第2ブーム4bの制御弁の左揺動側の開度を任意に変更できる。前記圧力制御弁によりパイロット圧を零に設定することによって、右・左操作レバー9,10、操作ペダルの操作位置に関係なく、第1ブーム4aの油圧シリンダ11、アーム5の油圧シリンダ12、第2ブーム4bの油圧シリンダ7を停止させることが出来る。
【0027】
36は傾斜センサである。この傾斜センサ36は、第1ブーム4aの傾斜角(起立角:水平方向に対する傾斜角(起立角))を検出する機能を有する。傾斜センサ36は、第1ブーム4aに対して着脱自在に取り付けられている。例えば、第1ブーム4aは、一般的には、鉄製のものであることから、傾斜センサ36に磁石を取り付けておくことにより、傾斜センサ36は第1ブーム4aに着脱自在に取り付けられる。勿論、本実施形態でも、そのような構造である。尚、傾斜センサ36は、図では、旋回台2と第1ブーム4aとの連結部に配設されている。勿論、この位置に限られるものでは無い。37,38は角度センサである。角度センサ37は、第1ブーム4aに対する第2ブーム4bの左右角度を検出する機能を有する。角度センサ37は、第1ブーム4aと第2ブーム4bとの連結部に、これ、また、着脱自在に取り付けられている。角度センサ38は、第2ブーム4bに対するアーム5の前後角度を検出する機能を有する。角度センサ38は、支持ブラケット4cとアーム5との連結部に、これ、また、着脱自在に取り付けられている。そして、上記傾斜センサ36、角度センサ37,38による検出値が制御装置(記憶手段)に入力されるように構成されている。
【0028】
次に、第1ブーム4aを上昇側に操作した場合の制御について説明する。センサ36,37,38の検出値が、常時、制御装置に入力されている。右操作レバー9が後操作され、第1ブーム4aが上昇側に操作されると、バケット6は運転部15に接近する状態となる。これにより、右操作レバー9が後操作されて、第1ブーム4aの傾斜角(起立角)が上昇側に変化(図2参照)する。この時、図1と図2との対比から判る通り、第1ブーム4a(第2ブーム)の先端側は垂直方向(鉛直方向)の高さが高くなる。このような状態に至る際に、その途中の高さにおいて架線が存在していた場合、架線を引き千切ってしまうことになる。そこで、このような架線が作業現場に存する場合には、前以て、この架線を引き千切るようになる前段階での第1ブーム4aの起立角αを前記制御装置に入力しておき、この予め制御装置(記憶手段)に入力(記憶)されている角度αと傾斜センサ36による検出値(出力値)の大小が制御装置(比較手段:演算手段)で比較され、この比較の結果、両者が等しくなった時点、或いは越えた時点で、制御装置は運転室に配置されている警報(音及び/又は光による警報)装置に警報を出力させるようになっている。この警報が出力されると、作業者は、第1ブーム4aのそれ以上の立ち上がりを停止する。尚、自動的に停止するようにしていても良いが、自動的にセットされている場合には、例えば架線に至るまでには高さが未だ約20cmの余裕が有るにも拘わらず、そして1cmだけ高くすれば作業が終了するような場合でも、停止してしまい、作業性が低下する。従って、自動停止の方式を採用するよりも、警報が出力されるようにしておき、その後の作業は作業者に判断を任せるようにしておく方が好ましい。
【符号の説明】
【0029】
1 走行装置
2 旋回台
3 バックホウ装置
4,4a ブーム
5 アーム
6 バケット
36 傾斜センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブーム及びブーム先端側に設けられた作業用具を具備する建設機械において、
前記ブームの水平方向に対する傾斜角を検出できる傾斜センサと、
前記傾斜センサによる前記ブームの傾斜角が設定値に至った場合、そのことを報知する報知手段
とを具備してなることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
先端部側に作業用具が取り付けられたブームを有する建設機械において、
前記ブームの水平方向に対する傾斜角を検出できる傾斜センサと、
前記傾斜センサによる前記ブームの傾斜角が規定値に至った場合、前記ブームの動作を制御する制御手段
とを具備してなることを特徴とする建設機械。
【請求項3】
傾斜センサはブームに取り付けられてなる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2の建設機械。
【請求項4】
傾斜センサは着脱自在に取り付けられてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの建設機械。
【請求項1】
ブーム及びブーム先端側に設けられた作業用具を具備する建設機械において、
前記ブームの水平方向に対する傾斜角を検出できる傾斜センサと、
前記傾斜センサによる前記ブームの傾斜角が設定値に至った場合、そのことを報知する報知手段
とを具備してなることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
先端部側に作業用具が取り付けられたブームを有する建設機械において、
前記ブームの水平方向に対する傾斜角を検出できる傾斜センサと、
前記傾斜センサによる前記ブームの傾斜角が規定値に至った場合、前記ブームの動作を制御する制御手段
とを具備してなることを特徴とする建設機械。
【請求項3】
傾斜センサはブームに取り付けられてなる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2の建設機械。
【請求項4】
傾斜センサは着脱自在に取り付けられてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの建設機械。
【図1】
【図2】
【図2】
【公開番号】特開2012−154120(P2012−154120A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15357(P2011−15357)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(592179067)株式会社ガイアートT・K (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(592179067)株式会社ガイアートT・K (25)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]