弁部材による定量吐出装置
【課題】固形物が短筒状部の外弁開口の内端部分に連設する周胴部の内壁面と回動変位する内弁開口の縁部外壁面との間隙に侵入することがないこと。
【解決手段】外筒体の外弁開口を形成する短筒状部の内壁面に下端縁部が内筒体の回転方向に対して直線状あるいはやや曲線状に交差する幅広の傾斜状案内片を一体的に設け或いは傾斜面を有する案内部を一体成形し、該傾斜状案内片或いは傾斜面を有する案内部の下端縁部は、前記内筒体の外周壁に摺接あるいは限りなく接近するように位置し、ホッパーから前記外弁開口を介して落下した固形物が、前記短筒状部の外弁開口の内端部分と回動変位する内筒体の内弁開口の後方側縁部とで咬まないようにした弁部材による定量吐出装置。
【解決手段】外筒体の外弁開口を形成する短筒状部の内壁面に下端縁部が内筒体の回転方向に対して直線状あるいはやや曲線状に交差する幅広の傾斜状案内片を一体的に設け或いは傾斜面を有する案内部を一体成形し、該傾斜状案内片或いは傾斜面を有する案内部の下端縁部は、前記内筒体の外周壁に摺接あるいは限りなく接近するように位置し、ホッパーから前記外弁開口を介して落下した固形物が、前記短筒状部の外弁開口の内端部分と回動変位する内筒体の内弁開口の後方側縁部とで咬まないようにした弁部材による定量吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体以外の粉状物や、米などの粒状物、豆、切断した肉類や野菜等の固形物を定量ずつ吐出可能な弁部材による定量吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1と特許文献2には、弁部材が、外弁としての外筒体と、この外筒体に回動自在に組み込まれた内弁としての内筒体と、この内筒体に摺動部分が組み込まれかつ従動作動杆を有する押し出し作動体とを備え、一方、駆動源側が、駆動源と該駆動源の力によりかつ支持部材に案内されて水平移動する駆動作動杆とを備え、弁部材の従動作動杆と駆動源側の駆動作動杆との連結時、前記弁部材の後端部の係合部分が前記駆動作動杆に取付けた連結支持具に係脱する作動杆の係脱構造とを備える弁部材による定量吐出装置が開示されている。
【0003】
しかして、前記内筒体の内周面は、断面円形なので、内筒体が180度回転して、その内弁開口が外筒体の吐出口に連通したとき、内筒体に収納された液体、例えば具入りスープ類は全て自然に流れ落ちる利点があるものの、ホッパーから外筒体を介して落下した収納物が、米、大豆、加工材料、食品材料、加工後の食品(例えば炒飯、炒め物)等の固形物である場合には、外筒体の短筒状部の外弁開口の内端部分と回動変位する内弁開口の後方側縁部とで咬むという現象が発生する。その結果、短筒状部の外弁開口の内端部分に連設する周胴部の内壁面と回動変位する内弁開口の縁部外壁面との間隙に固形物が引き込まれるように侵入し、内筒体が回転しないという問題点があり得る。
【0004】
この点について付言すると、普通一般に内筒体の外周壁にシール部材が設けられているので、外筒体の内周壁と内筒体の外周壁との間には間隙が設けられているが、該間隙に液体(例えばホッパーから落下する物がスープ類)が入り込む場合には問題がないものの、固形物の場合には、内弁開口を有する内筒体は、外筒体の下端部側の吐出口へと回転するので、外筒体の上方短筒状部の外弁開口の内端部分と回転する内筒体の内弁開口の後方側縁部とで落下中の固形物を「咬む」という現象が発生する。この咬む現象は、前述したように外筒体の短筒状部の外弁開口の内端部分に連設する周胴部の内壁面と回動変位する内弁開口の縁部外壁面との間隙に固形物が侵入するのを許容する結果となるので、内筒体の回転に負荷を与えることになる。そこで、ホッパーから落下する物が、液体ではなく、固形物である場合には、前記咬む現象を防止することが期待される。
【0005】
また、特許文献1、特許文献2等に記載の定量吐出装置は、内筒体が筒状にあるのに対して、内弁開口が内筒体の壁面の一部に形成された円形(長孔も含む)なので、固形物の一部が内弁開口の縁部等に残り、押し出し作動体が前進しても、外筒体の吐出口から全て排出されないという問題点があった。そこで、望ましくは、内筒体に落ち込んだ固形物が全て内弁開口から外弁の吐出口へとスムースに排出(落下も含む)される弁部材による定量吐出装置の出現が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−188385号
【特許文献2】特開2007−7505号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の所期の目的は、短筒状部の外弁開口の内端部分に連設する周胴部の内壁面と回動変位する内弁開口の縁部外壁面との間隙に固形物が侵入することを防止し、内筒体の回転に支障をきたさないことである。第2の目的は、内筒体に落ち込んだ粉状物や固形物が全て内弁開口から外弁の吐出口へスムースに押し出されることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の弁部材による定量吐出装置は、弁部材が、外弁としての外筒体と、この外筒体に回動自在に組み込まれた内弁としての内筒体と、この内筒体に摺動部分が組み込まれた押し出し作動体とを備え、前記内筒体が駆動源の駆動力により回動する弁部材による定量吐出装置に於いて、前記外筒体の外弁開口を形成する短筒状部の内壁面に下端縁部が内筒体の回転方向に対して直線状あるいはやや曲線状に交差する幅広の傾斜状案内片を一体的に設け或いは傾斜面を有する案内部を一体成形し、該傾斜状案内片或いは傾斜面を有する案内部の下端縁部は、前記内筒体の外周壁に摺接あるいは限りなく接近するように位置し、ホッパーから前記外弁開口を介して落下した固形物が、前記短筒状部の外弁開口の内端部分と回動変位する内筒体の内弁開口の後方側縁部とで咬まないようにしたことを特徴とする。
【0009】
上記構成に於いて、案内片は、その下端縁部が水平状態となる半月板状に形成され、一方、上端縁部が短筒状の内壁面に固定されていることを特徴とする。また、内筒体の内周壁の先端部側に被嵌合部を設け、一方、押しだし作動体の摺動部分の先端部に前記被嵌合部に嵌合する突出状の嵌合部を設け、前記押し出し作動体は、ホッパーから落下した液体以外の粉状物や固形物を前記被嵌合部に収納した状態でかつ前記駆動源の駆動力により前記内筒体と共に外筒体の吐出口へと回動することを特徴とする。
【0010】
ここで「限りなく接近するように位置し」とは、例えば固形物が粒状である場合に於いて、該固形物が傾斜状案内片或いは案内部の下端縁部と回動変位する内弁開口の後方側縁部との間の隙間に入り込まないことをいう。
【0011】
また、ここで「固形物」には、米などの粒状物、豆、切断した肉類や野菜等が含まれる。また、固形物は加工前の材料のみならず、加工後の物(例えば炒飯)も含まれる。また、ここでの「固形物」は、主なるものを固形物をとして液体を含んでも良い。
【発明の効果】
【0012】
(a)固形物が傾斜状案内片或いは案内部の下端縁部と回動変位する内筒体の内弁開口の後方側縁部との間の隙間に入り込まないので、固形物が短筒状部の外弁開口の内端部分に連設する周胴部の内壁面と回動変位する内弁開口の縁部外壁面との間隙に侵入することがない。したがって、内筒体の回動の支障をきたさない。
(b)請求項2に記載の発明は、内筒体に落ち込んだ粉状物や固形物を全て外弁の吐出口からスムースに排出することができる。
(c)請求項3に記載の発明は、案内片を短円筒状の内壁面に容易に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
まず、本発明の特徴部分の1を説明し、次に、本発明を構成する各部材を詳細に説明する。図1乃至図14は本発明の一例である。
【0014】
(1)本発明の特徴部分の1
本発明の特徴部分の1は、特に、図4及び図5に示されている。本発明では、ホッパー5に投入される物が固形物bなので、該固形物bが外筒体2の短筒状部61の外弁開口3の内端部分61aと回動変位する内筒体11の内弁開口12の後方側縁部12bとで咬まないように、前記短筒状部61の内壁面に固形物bを内筒体11の内弁開口12に案内する案内機能を有すると共に、外筒体2の周胴部2aの内壁面と内筒体11の外周壁との間に該固形物bが入り込むのを防止する侵入防止機能の両機能を有する傾斜状案内片或いは傾斜面を有する案内部65を設けたことである。
【0015】
前記短筒状部61は円筒状又は角筒状のいずれであっても良い。また、短筒状部61の上端にはホッパー5の下端部が着脱自在に嵌合する断面段差状の嵌合受け部62が突壁状に連設している。
【0016】
本発明は、弁部材Vが、外弁としての外筒体2と、この外筒体2に回動自在に組み込まれた内弁としての内筒体11と、この内筒体に摺動部分が組み込まれた押し出し作動体18とを備え、前記内筒体11が駆動源21の駆動力により回動する弁部材による定量吐出装置Xを前提とする。
【0017】
しかして、前記外筒体2の外弁開口3を形成する短筒状部61の内壁面に、その下端縁部65bが内筒体11の回転方向に対して直線状あるいはやや曲線状に交差する幅広の傾斜状案内片65を一体的に設け、或いは傾斜面を有する案内部65を一体成形し、該傾斜状案内片或いは傾斜面を有する案内部65の下端縁部65bは、前記内筒体11の外周壁66に摺接あるいは限りなく接近するように位置し、ホッパー5から前記外弁開口3を介して落下した固形物bが、前記短筒状部61の外弁開口3の内端部分61aと回動変位する内筒体11の内弁開口12の後方側縁部12bとで咬まないようにしている。
【0018】
なお、図5を基準にすると、符号12aは内弁開口12の前方側縁部である。したがって、本実施例では、図5及び図14で示すように、内筒体11は外筒体2に対して反時計方向へと回転する。
【0019】
本実施例では、固形物bの案内機能及び侵入防止機能を兼用する案内手段65の一例として傾斜状案内片を用いている。この傾斜状案内片65は、例えば半月板状に形成されているが、設計如何によっては、矩形状であっても良い。そして、半月板状の実施例の場合には、その弧状の上端縁部65aは短筒状61の内壁面に固定され、一方、下端縁部65bは水平状態となって内筒体11の回動方向に交差(望ましくは直交)するように位置付けられている。下端縁部65bは、例えば刃先(傾斜)状に形成されている。
【0020】
傾斜状案内片65は、図5で示すように左右対称に一対設けられている。また、傾斜状案内片65は所要幅の板状に形成して短筒状61の内壁面に溶着しても良いし、また、肉厚状に形成して短筒状61の内壁面に成形しても良い。要は固形物bの案内機能と侵入防止機能を兼用する部材或いは部位であれば良い。
【0021】
傾斜状案内片65の形状、特に、外筒体2或いは内筒体11の長さ方向の幅は、ホッパー5の下端部の開口及び内筒体11の内弁開口12の左右前後の幅を考慮して決められるが、望ましくは、傾斜状案内片或いは傾斜面を有する案内部の下端縁部は、内筒体11の待機待ち状態に於いて、内弁開口12の内側に位置するように設定されている。
【0022】
(2)本発明の特徴部分の2
次に、本発明の特徴部分の2について説明する。特徴部分の2は、ピストンに相当する押しだし作動体18が内筒体11と共に共働回動することができるように内筒体11に嵌合し、内筒体11が外筒体2に対して吐出可能な状態になると、押しだし作動体18は前進して内筒体の先端部側に収納された粉状物や固形物を内弁開口12および外弁の吐出口6を介して外部へと押し出し、一方、少なくとも、押しだし作動体18が内筒体11と共に共働回動して待機待ちの状態となったときは、ホッパー5から固形物を内筒体の先端部側に受け入れるために後退することである。
【0023】
具体的には、例えば図13、図14等で示すように、内筒体11の内周壁の先端部側に断面凹所状の被嵌合部51を設け、一方、押しだし作動体18の摺動部分18aの先端部に前記被嵌合部51に丁度嵌合する突出状の嵌合部52を設け、前記押し出し作動体18は、ホッパー5から落下した粉状物や固形物bを、前記被嵌合部51に収納した状態でかつ押し出し作動体18の後方側に配設された駆動源21の駆動力により、前記内筒体11と共に外筒体2の吐出口6へと回動する。
【0024】
ここで、図14を参照にすると、被嵌合部51は断面U字形状あるいは外周面の開口部分51aから内部の底面に相当する非開口部分51bに至るにしたがって次第に幅が狭くなっている。被嵌合部51の断面形状はU字形状でも良いが、望ましくは、実施例で示したように、「谷型形状」が望ましい。被嵌合部51の断面形状を谷型形状にすると、内筒体11が180度回転して吐出状態になったとき、被嵌合部51の開口部分51aの方が、非開口部分51bよりも幅広なので、つまり、被嵌合部51の開口部53が山型形状になるので、被嵌合部51の開口部53内の粉状物や固形物bは、外筒体2の吐出口6から出る(例えば落下しかつ吐出口から排出される)ときに、内筒体11内に残留せずに、全て、スムースに自重落下乃至押し出される。被嵌合部51の開口部分51aの大きさ(幅)は、外弁開口3、内弁開口12等にそれぞれ適合するように設定されている。
【0025】
望ましくは、図2で示すように、押しだし作動体18が引き込み動作をして原点位置へと後退したときには、押しだし作動体18の突出状の嵌合部52は被嵌合部51の後端部から外れないように設定されている。図2では、押しだし作動体18の後退時、押しだし作動体18の肉厚状の嵌合部52が内筒体11の被嵌合部51の後端部に支持されている状態を示している。
【0026】
さらに、本実施例では、図2で示すように、押し出し作動体18の嵌合部52の先端面は、内筒体11がホッパー5から固形物bを受け入れる状態を基準にすると、後方側に若干傾斜しているので、固形物bを受け入れ易いと同時に押し出し易い。
【0027】
(3)各部材の具体的構成
Xは弁部材による定量吐出装置で、この定量吐出装置Xの外筒体、内筒体等は、固定側部材1の上部水平板1aの上面に横方向に配設されている。また、上部水平板1aには、符号を付さない弁部材用開口、駆動歯車用開口、伝動歯車用開口など複数個の開口或いは切欠部が適宜に形成されている。また、上部水平板1aの下面側には、定量吐出装置X用の一つの駆動源(駆動モータ)21が横方向にモータ取付け板を介して配設されている。
【0028】
また、上部水平板1aの上面側の後端部には、ケース状の取付け枠1cが設けられ、該取付け枠1cの貫通孔は、押し出し作動体18の作動杆(以下、「従動作動杆19」という)を係止する駆動作動杆20の後端部を案内する。従動作動杆19と駆動駆動作動杆20は、後述する作動杆の係脱構造Zにより、着脱自在に連結され得る。
【0029】
そして、取付け枠1cには、押し出し作動体18用の位置検出手段S2が所要間隔を有して複数個配設されている。また、取付け枠1c内には、押し出し作動体18用の回転防止台37が設置され、該回転防止台37の上面には、駆動作動杆20に設けた係合部20bと係合する被係合部37aが形成されている。前記駆動作動杆20の係合部20bは、駆動作動杆20と交差する垂直の係合片(例えば係合ピン)であり、一方、前記被係合部37aは、長溝状のガイト溝である。本実施例では、係合部20bの突出上端部に、検出手段S2用のインデックス或いは磁石片38が水平状態に設けられている。したがって、押し出し作動体18は、駆動作動杆20に設けた係合部20bと固定側部材1に設けた被係合部37aとで構成される回転防止手段を介して往復動可能である。
【0030】
さらに、固定側部材1は、上部水平板1aと対向する下部水平板1bを有し、この下部水平板1bの上面には、クラッチ機構Yを構成する駆動手段(ソレノイド)31が横方向に配設されている。
【0031】
(4)外筒体2
外筒体(外弁)2は、左右の両端部がそれぞれ開口する長筒状の周胴部分2aと、この周胴部分2aの一端部側の開口に嵌合するヘッド2bとから成る。まず、周胴部分2aの構成について説明する。3は一端部上面に形成された外弁開口で、この外弁開口3にはホッパー5が取り外し可能に装着されている。6は一端部下面に形成された吐出口で、この吐出口6は、前記外弁開口3と対向すると共に、該吐出口6には、筒状の吐出ノズルを含むシール部材7が螺着自在に取付けられる。また、ヘッド2bを有する外筒体2は、所要の長さを有し、かつ、上部水平板1aに取り外し可能に固定されている。前記外弁開口3及び吐出口6は、本実施例では単数である。また外弁開口3と吐出口6の形状は、例えば円形である。
【0032】
(5)定量吐出装置Xの内筒体11
内筒体(内弁)11は、本実施例では、一つの駆動源21の駆動力により回転すると共に、ホッパー5から外弁開口3を介して所定量の粉状体あるいは固形物bを内部に取り込み、かつ、吐出口6を介して外部に吐出する定量筒体である。
【0033】
したがって、内筒体11は、弁本体に相当する外筒体2に対して内弁の機能を発揮する。そこで、内筒体11の挿入先端部(図面上、左)には、外筒体2の外弁開口3及び吐出口6に選択的に連通する一つの内弁開口12が形成されている。
【0034】
ところで、本実施例の内筒体11は、長筒状本体11aと、該長筒状本体と係脱可能であり、かつ、後述する連結支持具を包む短筒状後端部11bとを有し、前記短筒状後端部11bは、駆動源側に設けられた弾発性部材4により長筒状本体11aの後端部に係合する方向に常に付勢されている。
【0035】
付言すれば、本実施例の弁部材Vは、外弁開口3及び吐出口6を有する外弁としての外筒体2と、この外筒体に回動自在に組み込まれた内弁としての内筒体11と、この内筒体に摺動部分18aが組み込まれかつ従動作動杆19を有する押し出し作動体(ピストン)18とから成る。そして、弁部材Vは、作動杆同士19,20の連結時、該弁部材Vを連結支持具41の係止部46のテーパー46bに対して水平方向に押し込むと、簡単に連結状態となり、一方、弁部材Vを取り外す時、該弁部材Vを、例えば多少持ち上げすると、弁部材Vと連結支持具41の係合関係が簡単に解消するように工夫されている。
【0036】
ここで、図1及び図2を参照にして長筒状本体11aと短筒状後端部11bとの係合関係を説明する。長筒状本体11a後端部の接合端面には、単数又は複数個の被係合部(切欠溝)13が形成されている。したがって、短筒状後端部11bの接合端面には、前記被係合部13と係脱する単数又は複数個の係合部(突起)が形成されている。本実施例の弾発性部材4は、固定側部材1の上部水平板1aの上面に設けられた第1支持板17aと短筒状後端部11bの外壁面との間に位置するように従動歯車14の筒状軸部14aに巻装されている。
【0037】
また、図1を参照にして、従動歯車14の筒状軸部14aと短筒状後端部11bとの係合関係を説明する。図1は従動歯車14と内筒体11とが一体的に組み合っている概略説明図である。従動歯車14は、筒状軸部14aの外周壁に複数個の被係合部分(軸方向の切欠部分)15を有している。したがって、短筒状後端部11bは、その軸孔の縁部に前記被係合部分15に係合する係合する複数個の係合部(突起)16を有している。
【0038】
従動歯車14は、駆動作動杆20に遊嵌合し、かつ、駆動歯車23と噛合するように第1支持板17aと第2支持板17bとの間に配設されている。第2支持板17bは、第1支持板17aと対向するように固定側部材1の上部水平板1aの上面に設けられている。駆動モータ21の駆動力により、出力軸22側の駆動歯車23が回転すると、従動歯車14及び内筒体11が同時に回転する。
【0039】
しかして、内筒体11の内弁開口12は、上方の外弁開口3と連通している間下方の吐出口6は閉鎖され、一方、内弁開口12が吐出口6と連通している間外弁開口3は閉鎖される。
【0040】
(6)内筒体11用の検出手段S1
固定側部材1の上部水平板1aの上方には、内筒体11用の検出手段S1が第2支持板17bを介して配設されている。この検出手段S1は、内筒体11の回転位置を検出する。検出手段S1は、ホールIC原理を利用したもの、発光素子と受光素子を利用してもの等が適宜に採用され得る。本実施例では、従動歯車14の外周壁の適宜部位に複数の磁石をそれぞれ固定し、一方、固定側部材1の検出手段S1としてホール素子を採用している。
【0041】
したがって、内筒体11が駆動源21の駆動力によって「180度」回転し、一つの磁石が検出手段S1に対面した時、検出手段S1は磁石の「N極」の磁束を拾って、図示しない制御部に内筒体11の回転位置を出力し得る。
【0042】
(7)押し出し作動体18
押し出し作動体18は、内筒体11に組み込まれた先端部に摺動部分18aを有する。摺動部分18aは、所定位置(例えば最大吐出量の所)へ後退すると、所定容積室aを形成し、一方、所定位置へ前進すると、内筒体11の先端部側の前記所定容積室a内に落下した粉状物や固形物bを押し出す機能を有している。
【0043】
本実施例の作動杆は、弁の洗浄、部品交換等の目的から、弁部材Vを簡単に固定側部材1に簡単にセット又は取り外すために、適当な箇所で「二分割」されている。すなわち、一方は弁部材Vを構成する押し出し作動体18の従動作動杆19であり、他方は固定側部材1にスライド自在に配設された駆動源側の駆動作動杆20である。
【0044】
ところで、前記駆動作動杆20は、固定側部材1の所定位置に配設された短筒状内筒体11b、従動歯車14、支持板17a,17b等を貫通すると共に、本実施例では「長杆状の螺杆体」である。
【0045】
そして、駆動作動杆20と一体的に連結された押し出し作動体18は、固定側部材1に設けたクラッチ機構Yのクラッチ34を介して同一の駆動モータ21の駆動力により(一例)、該駆動モータ21の軸方向に往復動するように設けられている。そこで、定量吐出装置X用の駆動源21について説明する。
【0046】
(8)駆動源21
駆動源としての駆動モータ21は、左右一対の軸受け板24,25を介して上部水平板1aの下面側に横設されている。左側の軸受け板24は、出力軸22の基部側を支持すると共に、モータ取付け板の役割を果たしている。一方、右側の軸受け板25は出力軸22の突出端部を支持している。したがって、駆動モータ21の出力軸22は、安定状態に支持されている。駆動モータ21の出力軸22には、従動歯車14と噛合する駆動歯車23が固定されている。駆動歯車23は出力軸22と共働する。また、出力軸22には、駆動歯車23に対して所要間隔を有して対向する伝動歯車(第2の駆動歯車)26が固定されている。したがって、伝動歯車26も出力軸22と共働する。
【0047】
そして、伝動歯車26には、駆動作動杆20に形成した螺杆部分20aに螺合する筒状螺合体(第2の従動歯車)27が噛合する。したがって、筒状螺合体27が駆動モータ21の駆動力により正転方向・逆転方向にそれぞれ回転すると、押し出し作動体18は、駆動作動杆20を介して内筒体11内を往復動する。
【0048】
前記筒状螺合体27は、上部水平板1aの上面に所定間隔を有して固定された第2支持板17bと取付け枠1cにサンドイッチ状に支持されている。筒状螺合体27は、所定位置にて安定状態に回転する。
【0049】
(9)押し出し作動体用の検出手段S2
押し出し作動体18用の検出手段S2は、押し出し作動体18の原点(始動)位置、押し出し作動体の前進端位置等を検出するためにケース状の取付け枠1cに複数個配設されている。検出手段S2の一例としてはリミットスイッチが用いられている。なお、検出手段S2用のインデックス或いは磁石38は、駆動作動杆20の係合部20bを介して設けられている。
【0050】
(10)クラッチ機構Y
ところで、駆動歯車23及び伝動歯車26の対向面には、被係合部(小孔、小溝など)23a,26aが複数個形成されている。被係合部23a,26aにはクラッチ機構Yを構成するクラッチ34が係脱する。
【0051】
一つのクラッチ機構Yの構成部材を説明する。31は下部水平板1bの上面に横設されたクラッチ用駆動手段(例えばソレノイド)である。32はソレノイド31の作動杆、33は作動杆32の先端部に直交状態に固定された上向きの係合腕である。
34は駆動モータ21の出力軸22に軸方向にスライド自在に設けられ、かつ、駆動歯車23又は伝動歯車26に選択的に結合するクラッチである。本実施例のクラッチ34は、段面視、外観形状がH型形状に見えるブロック体であり、一方の垂直板には、駆動歯車23の被係合部23aと係脱する複数個の係合ピンが設けられている。
【0052】
一方、他方の垂直板には、伝動歯車26の被係合部26aと係脱する複数個の係合ピンが設けられている。前述した係合腕33の上端部は、垂直板35,垂直板36の間に位置する。
【0053】
したがって、ソレノイド31の作動杆32が伸長した場合には、クラッチ34は駆動モータ21に接近する方向へスライドし、左側の垂直板35が駆動歯車23に結合する。一方、ソレノイド31の作動杆32が収縮した場合には、クラッチ34は駆動モータ21から離れる方向へスライドし、右側の垂直板36が伝動歯車26に結合する。それ故に、クラッチ機構Yを介して一つの駆動モータ21の駆動力により弁部材Vの内筒体11を回転することが出来ると共に、内筒体11に組み込んだ押し出し作動体18を往復動させることができる。
【0054】
(11)定量吐出装置の作用
今仮に、図示しない操作手段(始動スイッチ)を操作すると、例えばソレノイド31の作動杆32が収縮する。作動杆32が右方向へ移動すると、クラッチ34も同方向にスライドして伝動歯車26と結合する。
【0055】
そこで、駆動モータ21が起動(正転)すると、押し出し作動体18は、伝動歯車26と噛合する筒状螺合体27を介して所定位置(吐出量の設定値)まで後退し、この時、押し出し作動体18用検出手段S2の一つが押し出し作動体の後退位置を検出する。押し出し作動体18が後退すると、該押し出し作動体18が所定位置で停止することから、内筒体内に所定量の粉状物或いは固形物bが落下する。
【0056】
次に、ソレノイド31の作動杆32が伸長すると、クラッチ34も同方向に出力軸22をスライドして駆動歯車23に結合する。この時、クラッチ34の垂直板35の係合ピン35aが駆動歯車23の被係合部23aに係合する。
【0057】
そこで、駆動モータ21が起動すると、内筒体11は、駆動歯車23と噛合する従動歯車14を介して所定量(例えば180度)回転する。この時、押し出し作動体18は内筒体11と一緒に共働回転する。押し出し作動体18の後端部の係合部分19aは、連結支持具41の凹所状の被係合部46に係合していることから、押し出し作動体18は安定した状態で内筒体11と共に回動する。内筒体11の回転位置は、検出手段S1によって検出される。内筒体11が所定量回転すると、一つの内弁開口12は下方へ移行して外筒体2の吐出口6に連通する(図14参照)。
【0058】
したがって、内筒体11内の粉状物あるいは固形物bは吐出口6から落下し始める。この時、ソレノイド31の作動杆32が復帰(収縮)すると共に、駆動モータ21が逆転方向へ回転可能となる。したがって、押し出し作動体18は、伝動歯車26の伝動力により、所定位置まで前進する。これにより、押し出し作動体18の摺動部分18aにより、内筒体11内の粉状物あるいは固形物bは全て押し出される(図13参照)。しかる後に、ソレノイド31の作動杆32が伸長する。そうすると、駆動モータ21の駆動力は駆動歯車23に伝わるので、内筒体11は再び所定量回転する。
【0059】
以上のように、内筒体(内弁)11は、駆動源21の駆動力により回転すると共に、ホッパー5から外弁開口3を介して所定量の粉状物あるいは固形物bを内部に取り込み、かつ、吐出口6を介して外部に吐出する。一方、押し出し作動体18は、クラッチ機構Y並びに作動杆の係脱構造Zを介して、かつ、前記駆動源21の駆動力により軸方向に往復動する。次に、作動杆の係脱構造Zについて説明する。
【0060】
(12)作動杆の係脱構造Z
図10を参照にして定量吐出装置の作動杆の係脱構造(以下、「係脱構造Z」という)を説明する。本発明の係脱構造Zは、簡単に指摘すると、固定側部材1から取り外し可能な弁部材Vの従動作動杆19と、固定側部材1に一体的に配設された駆動源21側の駆動作動杆20との連結構造である。本実施例では、弁部材Vそのものを固定側部材1から取り外すことができるように固定側部材1の駆動作動杆20に連結する。弁部材Vそのものを駆動作動杆20に連結し、及び駆動作動杆20から取り外す理由は、弁部材Vを構成する部材の分解が楽だからである。したがって、構成部材の洗浄ができる。
【0061】
連結支持具41は、バネ部材43で常時所定方向に付勢された状態で前記駆動作動杆20に「片手式」に軸支されている。連結支持具41の具体的構成は、上端部に横軸42用の左右一対の軸孔44aを有する左右の取付け用枢支板部44と、これらの枢支板部44の先端部に連設する円形状の垂直板部45と、該垂直板部45の前面下端部に突出状態に連設する受け皿状の係止部46とから成る。
【0062】
そして、金属製又は硬質樹脂製の連結支持具41の各部位の構成部分について付言すると、前記垂直状態の左右の枢支板部44は、駆動作動杆20の先端部の左右の側壁にそれぞれ適合するように所要の大きさや形状に形成され、また、前記垂直板部45は、従動作動杆19の垂直先端面に対して十分な押圧機能を発揮することができるように垂直な押圧面45aを有し、また、前記係止部46の上面には、従動作動杆19の球台形状、すい台形状等の台形状に形成された係合部分19aが係脱する係合凹所46aが形成され、さらに、前記係合凹所46aの先端部には、連結時、前記係合部分19aに摺接するテーパー46bが形成されている。加えて、図11で示すように、前記垂直板部45の内面下端部には、突起状のバネ支持部47が設けられている。また、垂直板部45の内面は、駆動作動杆18の先端面上部に当接している。
【0063】
付言すると、連結支持具41を枢支する横軸42は、取付け用枢支板部の上端部に位置し、一方、連結支持具41を水平状態の位置へ付勢するバネ部材43は、連結支持具の下部側に位置している。そして、前記バネ部材43は、一端部は連結支持具41のバネ支持部47に支持され、他端部は駆動作動杆20の先端の下面に突設したバネ端支持部20cに取付けられている。
【0064】
上記構成に於いて、弁部材Vの連結時、該弁部材Vを連結支持具41の係止部46のテーパー46bに対して押し込むと、連結支持具41は弁部材Vの従動作動杆19の係合部分19aのテーパーに押圧され、横軸42を支点に係止部46が下がる方向へと回転する。そして、前記従動作動杆19の係合部分19aが連結支持具41のテーパー46bを滑り超えると、連結支持具41はバネ部材43のバネ力により復帰する。その結果、弁部材Vの係合部分19aは、自動的に連結支持具41の皿状係止部46に自動的に係止される。一方、弁部材Vを取り外す時、例えば弁部材Vの先端部を持ち上げると、連結支持具41の垂直板部45の上端部は、駆動作動杆20の先端面上部に支持されていることから、或いは係止部46が皿状に形成されていることから、簡単に弁部材Vと連結支持具41の係合関係を解消させることができる。なお、図1に於いて、cはコップ類である。
【実施例】
【0065】
図3を参照にすると、内弁開口12は、円形状の外弁開口3に対して長孔状に形成されている。付言すると、内筒体11の周壁の一部に形成された内弁開口12は、内筒体11の先端部側に長手方向に長孔状に形成されている。このように内弁開口12が長孔状に形成された場合には、被嵌合部51の大きさや形状も、当然、内弁開口12の大きさや形状に対応させる必要がある。
【0066】
また、本実施例では、内筒体11の内周壁の先端部側に断面凹所状の被嵌合部51を一体的に固定しているが、図15で示すように、被嵌合部51を内筒体11の内周壁に一体成形しても良い。また、被嵌合部51の形状は、粉状物や固形物の種類如何によって、例えば断面V字形状に形成することもできる。一方、押し出し作動体18の突出状の嵌合部52の形状も、粉状物や固形物の種類如何によって、単数又は複数本のアーム形状にすることもできる。
なお、駆動源側の動力伝達手段の構成や駆動源の数は、本発明の本質的事項ではない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、主にポンプ業界で製造され、例えば粉状物や固形物を小分けしてお客に提供する食品等のサービス業の業界で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1乃至図14は本発明の第1実施例を示す各説明図。
【図1】定量吐出装置の概略断面説明図(例えば押し出し作動体が内筒体の前壁まで前進し、内筒体内の固形物が排出された状態)。
【図2】要部(内筒体内の押し出し作動体が原点位置まで後退)の説明図
【図3】主要部の分解斜視図(内筒体の後端部は省略)。
【図4】図4(a)、図4(b)は、本発明の特徴部分の1を示す概略説明図。
【図5】図5(a)、図5(b)及び図5(c)も、本発明の特徴部分の1を示す概略説明図。
【図6】図3の6−6線の概略断面図
【図7】図3の7−7線の概略断面図
【図8】内筒体の被嵌合部を示す斜視図。
【図9】図9(a)は押し出し作動体の正面図、図9(b)は押し出し作動体の右側面図。
【図10】押し出し作動体と、内筒体の後端部と、内筒体内の連結支軸等の斜視図。
【図11】要部の概略説明図(正面図)。
【図12】要部の概略説明図(平面図)。
【図13】作用の概略断面説明図(特に、押し出し作動体の動きを示す)。
【図14】作用の概略断面説明図(特に、内筒体の回転状態を示す)。
【図15】図15(a)、図15(b)は、内筒体11の他の実施例を示す説明図。X…定量吐出装置、Y…クラッチ機構、1…固定側部材、V…弁部材、2…外筒体、3…外弁開口、5…ホッパー、6…吐出口、7…シール構造、8…内周支持面、b…粉状物や固形物、11…内筒体、12…内弁開口、14…従動歯車、18…押し出し作動体、17a…支持部材、19…従動作動杆、19a…係合部分、20…駆動作動杆、20a…螺杆部分、20b…係合部、20c…バネ端支持部、21…駆動モータ、22…出力軸、23…駆動歯車、26…伝動歯車、27…筒状螺合体、31…駆動手段(ソレノイド)、34…クラッチ、37…回転防止台、41…連結支持具、42…横軸、43…バネ部材、51…被嵌合部、51a…開口部分、51b…非開口部分、52…嵌合部、53…開口部、61…短筒状部、61a…外弁開口の内端部分、62…嵌合受け部、12a…内弁開口の前方側縁部、12b…内弁開口の後方側縁部、65…傾斜状案内片或いは案内部、65a…上端縁部、65b…下端縁部、66…内筒体の外周壁。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体以外の粉状物や、米などの粒状物、豆、切断した肉類や野菜等の固形物を定量ずつ吐出可能な弁部材による定量吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1と特許文献2には、弁部材が、外弁としての外筒体と、この外筒体に回動自在に組み込まれた内弁としての内筒体と、この内筒体に摺動部分が組み込まれかつ従動作動杆を有する押し出し作動体とを備え、一方、駆動源側が、駆動源と該駆動源の力によりかつ支持部材に案内されて水平移動する駆動作動杆とを備え、弁部材の従動作動杆と駆動源側の駆動作動杆との連結時、前記弁部材の後端部の係合部分が前記駆動作動杆に取付けた連結支持具に係脱する作動杆の係脱構造とを備える弁部材による定量吐出装置が開示されている。
【0003】
しかして、前記内筒体の内周面は、断面円形なので、内筒体が180度回転して、その内弁開口が外筒体の吐出口に連通したとき、内筒体に収納された液体、例えば具入りスープ類は全て自然に流れ落ちる利点があるものの、ホッパーから外筒体を介して落下した収納物が、米、大豆、加工材料、食品材料、加工後の食品(例えば炒飯、炒め物)等の固形物である場合には、外筒体の短筒状部の外弁開口の内端部分と回動変位する内弁開口の後方側縁部とで咬むという現象が発生する。その結果、短筒状部の外弁開口の内端部分に連設する周胴部の内壁面と回動変位する内弁開口の縁部外壁面との間隙に固形物が引き込まれるように侵入し、内筒体が回転しないという問題点があり得る。
【0004】
この点について付言すると、普通一般に内筒体の外周壁にシール部材が設けられているので、外筒体の内周壁と内筒体の外周壁との間には間隙が設けられているが、該間隙に液体(例えばホッパーから落下する物がスープ類)が入り込む場合には問題がないものの、固形物の場合には、内弁開口を有する内筒体は、外筒体の下端部側の吐出口へと回転するので、外筒体の上方短筒状部の外弁開口の内端部分と回転する内筒体の内弁開口の後方側縁部とで落下中の固形物を「咬む」という現象が発生する。この咬む現象は、前述したように外筒体の短筒状部の外弁開口の内端部分に連設する周胴部の内壁面と回動変位する内弁開口の縁部外壁面との間隙に固形物が侵入するのを許容する結果となるので、内筒体の回転に負荷を与えることになる。そこで、ホッパーから落下する物が、液体ではなく、固形物である場合には、前記咬む現象を防止することが期待される。
【0005】
また、特許文献1、特許文献2等に記載の定量吐出装置は、内筒体が筒状にあるのに対して、内弁開口が内筒体の壁面の一部に形成された円形(長孔も含む)なので、固形物の一部が内弁開口の縁部等に残り、押し出し作動体が前進しても、外筒体の吐出口から全て排出されないという問題点があった。そこで、望ましくは、内筒体に落ち込んだ固形物が全て内弁開口から外弁の吐出口へとスムースに排出(落下も含む)される弁部材による定量吐出装置の出現が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−188385号
【特許文献2】特開2007−7505号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の所期の目的は、短筒状部の外弁開口の内端部分に連設する周胴部の内壁面と回動変位する内弁開口の縁部外壁面との間隙に固形物が侵入することを防止し、内筒体の回転に支障をきたさないことである。第2の目的は、内筒体に落ち込んだ粉状物や固形物が全て内弁開口から外弁の吐出口へスムースに押し出されることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の弁部材による定量吐出装置は、弁部材が、外弁としての外筒体と、この外筒体に回動自在に組み込まれた内弁としての内筒体と、この内筒体に摺動部分が組み込まれた押し出し作動体とを備え、前記内筒体が駆動源の駆動力により回動する弁部材による定量吐出装置に於いて、前記外筒体の外弁開口を形成する短筒状部の内壁面に下端縁部が内筒体の回転方向に対して直線状あるいはやや曲線状に交差する幅広の傾斜状案内片を一体的に設け或いは傾斜面を有する案内部を一体成形し、該傾斜状案内片或いは傾斜面を有する案内部の下端縁部は、前記内筒体の外周壁に摺接あるいは限りなく接近するように位置し、ホッパーから前記外弁開口を介して落下した固形物が、前記短筒状部の外弁開口の内端部分と回動変位する内筒体の内弁開口の後方側縁部とで咬まないようにしたことを特徴とする。
【0009】
上記構成に於いて、案内片は、その下端縁部が水平状態となる半月板状に形成され、一方、上端縁部が短筒状の内壁面に固定されていることを特徴とする。また、内筒体の内周壁の先端部側に被嵌合部を設け、一方、押しだし作動体の摺動部分の先端部に前記被嵌合部に嵌合する突出状の嵌合部を設け、前記押し出し作動体は、ホッパーから落下した液体以外の粉状物や固形物を前記被嵌合部に収納した状態でかつ前記駆動源の駆動力により前記内筒体と共に外筒体の吐出口へと回動することを特徴とする。
【0010】
ここで「限りなく接近するように位置し」とは、例えば固形物が粒状である場合に於いて、該固形物が傾斜状案内片或いは案内部の下端縁部と回動変位する内弁開口の後方側縁部との間の隙間に入り込まないことをいう。
【0011】
また、ここで「固形物」には、米などの粒状物、豆、切断した肉類や野菜等が含まれる。また、固形物は加工前の材料のみならず、加工後の物(例えば炒飯)も含まれる。また、ここでの「固形物」は、主なるものを固形物をとして液体を含んでも良い。
【発明の効果】
【0012】
(a)固形物が傾斜状案内片或いは案内部の下端縁部と回動変位する内筒体の内弁開口の後方側縁部との間の隙間に入り込まないので、固形物が短筒状部の外弁開口の内端部分に連設する周胴部の内壁面と回動変位する内弁開口の縁部外壁面との間隙に侵入することがない。したがって、内筒体の回動の支障をきたさない。
(b)請求項2に記載の発明は、内筒体に落ち込んだ粉状物や固形物を全て外弁の吐出口からスムースに排出することができる。
(c)請求項3に記載の発明は、案内片を短円筒状の内壁面に容易に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
まず、本発明の特徴部分の1を説明し、次に、本発明を構成する各部材を詳細に説明する。図1乃至図14は本発明の一例である。
【0014】
(1)本発明の特徴部分の1
本発明の特徴部分の1は、特に、図4及び図5に示されている。本発明では、ホッパー5に投入される物が固形物bなので、該固形物bが外筒体2の短筒状部61の外弁開口3の内端部分61aと回動変位する内筒体11の内弁開口12の後方側縁部12bとで咬まないように、前記短筒状部61の内壁面に固形物bを内筒体11の内弁開口12に案内する案内機能を有すると共に、外筒体2の周胴部2aの内壁面と内筒体11の外周壁との間に該固形物bが入り込むのを防止する侵入防止機能の両機能を有する傾斜状案内片或いは傾斜面を有する案内部65を設けたことである。
【0015】
前記短筒状部61は円筒状又は角筒状のいずれであっても良い。また、短筒状部61の上端にはホッパー5の下端部が着脱自在に嵌合する断面段差状の嵌合受け部62が突壁状に連設している。
【0016】
本発明は、弁部材Vが、外弁としての外筒体2と、この外筒体2に回動自在に組み込まれた内弁としての内筒体11と、この内筒体に摺動部分が組み込まれた押し出し作動体18とを備え、前記内筒体11が駆動源21の駆動力により回動する弁部材による定量吐出装置Xを前提とする。
【0017】
しかして、前記外筒体2の外弁開口3を形成する短筒状部61の内壁面に、その下端縁部65bが内筒体11の回転方向に対して直線状あるいはやや曲線状に交差する幅広の傾斜状案内片65を一体的に設け、或いは傾斜面を有する案内部65を一体成形し、該傾斜状案内片或いは傾斜面を有する案内部65の下端縁部65bは、前記内筒体11の外周壁66に摺接あるいは限りなく接近するように位置し、ホッパー5から前記外弁開口3を介して落下した固形物bが、前記短筒状部61の外弁開口3の内端部分61aと回動変位する内筒体11の内弁開口12の後方側縁部12bとで咬まないようにしている。
【0018】
なお、図5を基準にすると、符号12aは内弁開口12の前方側縁部である。したがって、本実施例では、図5及び図14で示すように、内筒体11は外筒体2に対して反時計方向へと回転する。
【0019】
本実施例では、固形物bの案内機能及び侵入防止機能を兼用する案内手段65の一例として傾斜状案内片を用いている。この傾斜状案内片65は、例えば半月板状に形成されているが、設計如何によっては、矩形状であっても良い。そして、半月板状の実施例の場合には、その弧状の上端縁部65aは短筒状61の内壁面に固定され、一方、下端縁部65bは水平状態となって内筒体11の回動方向に交差(望ましくは直交)するように位置付けられている。下端縁部65bは、例えば刃先(傾斜)状に形成されている。
【0020】
傾斜状案内片65は、図5で示すように左右対称に一対設けられている。また、傾斜状案内片65は所要幅の板状に形成して短筒状61の内壁面に溶着しても良いし、また、肉厚状に形成して短筒状61の内壁面に成形しても良い。要は固形物bの案内機能と侵入防止機能を兼用する部材或いは部位であれば良い。
【0021】
傾斜状案内片65の形状、特に、外筒体2或いは内筒体11の長さ方向の幅は、ホッパー5の下端部の開口及び内筒体11の内弁開口12の左右前後の幅を考慮して決められるが、望ましくは、傾斜状案内片或いは傾斜面を有する案内部の下端縁部は、内筒体11の待機待ち状態に於いて、内弁開口12の内側に位置するように設定されている。
【0022】
(2)本発明の特徴部分の2
次に、本発明の特徴部分の2について説明する。特徴部分の2は、ピストンに相当する押しだし作動体18が内筒体11と共に共働回動することができるように内筒体11に嵌合し、内筒体11が外筒体2に対して吐出可能な状態になると、押しだし作動体18は前進して内筒体の先端部側に収納された粉状物や固形物を内弁開口12および外弁の吐出口6を介して外部へと押し出し、一方、少なくとも、押しだし作動体18が内筒体11と共に共働回動して待機待ちの状態となったときは、ホッパー5から固形物を内筒体の先端部側に受け入れるために後退することである。
【0023】
具体的には、例えば図13、図14等で示すように、内筒体11の内周壁の先端部側に断面凹所状の被嵌合部51を設け、一方、押しだし作動体18の摺動部分18aの先端部に前記被嵌合部51に丁度嵌合する突出状の嵌合部52を設け、前記押し出し作動体18は、ホッパー5から落下した粉状物や固形物bを、前記被嵌合部51に収納した状態でかつ押し出し作動体18の後方側に配設された駆動源21の駆動力により、前記内筒体11と共に外筒体2の吐出口6へと回動する。
【0024】
ここで、図14を参照にすると、被嵌合部51は断面U字形状あるいは外周面の開口部分51aから内部の底面に相当する非開口部分51bに至るにしたがって次第に幅が狭くなっている。被嵌合部51の断面形状はU字形状でも良いが、望ましくは、実施例で示したように、「谷型形状」が望ましい。被嵌合部51の断面形状を谷型形状にすると、内筒体11が180度回転して吐出状態になったとき、被嵌合部51の開口部分51aの方が、非開口部分51bよりも幅広なので、つまり、被嵌合部51の開口部53が山型形状になるので、被嵌合部51の開口部53内の粉状物や固形物bは、外筒体2の吐出口6から出る(例えば落下しかつ吐出口から排出される)ときに、内筒体11内に残留せずに、全て、スムースに自重落下乃至押し出される。被嵌合部51の開口部分51aの大きさ(幅)は、外弁開口3、内弁開口12等にそれぞれ適合するように設定されている。
【0025】
望ましくは、図2で示すように、押しだし作動体18が引き込み動作をして原点位置へと後退したときには、押しだし作動体18の突出状の嵌合部52は被嵌合部51の後端部から外れないように設定されている。図2では、押しだし作動体18の後退時、押しだし作動体18の肉厚状の嵌合部52が内筒体11の被嵌合部51の後端部に支持されている状態を示している。
【0026】
さらに、本実施例では、図2で示すように、押し出し作動体18の嵌合部52の先端面は、内筒体11がホッパー5から固形物bを受け入れる状態を基準にすると、後方側に若干傾斜しているので、固形物bを受け入れ易いと同時に押し出し易い。
【0027】
(3)各部材の具体的構成
Xは弁部材による定量吐出装置で、この定量吐出装置Xの外筒体、内筒体等は、固定側部材1の上部水平板1aの上面に横方向に配設されている。また、上部水平板1aには、符号を付さない弁部材用開口、駆動歯車用開口、伝動歯車用開口など複数個の開口或いは切欠部が適宜に形成されている。また、上部水平板1aの下面側には、定量吐出装置X用の一つの駆動源(駆動モータ)21が横方向にモータ取付け板を介して配設されている。
【0028】
また、上部水平板1aの上面側の後端部には、ケース状の取付け枠1cが設けられ、該取付け枠1cの貫通孔は、押し出し作動体18の作動杆(以下、「従動作動杆19」という)を係止する駆動作動杆20の後端部を案内する。従動作動杆19と駆動駆動作動杆20は、後述する作動杆の係脱構造Zにより、着脱自在に連結され得る。
【0029】
そして、取付け枠1cには、押し出し作動体18用の位置検出手段S2が所要間隔を有して複数個配設されている。また、取付け枠1c内には、押し出し作動体18用の回転防止台37が設置され、該回転防止台37の上面には、駆動作動杆20に設けた係合部20bと係合する被係合部37aが形成されている。前記駆動作動杆20の係合部20bは、駆動作動杆20と交差する垂直の係合片(例えば係合ピン)であり、一方、前記被係合部37aは、長溝状のガイト溝である。本実施例では、係合部20bの突出上端部に、検出手段S2用のインデックス或いは磁石片38が水平状態に設けられている。したがって、押し出し作動体18は、駆動作動杆20に設けた係合部20bと固定側部材1に設けた被係合部37aとで構成される回転防止手段を介して往復動可能である。
【0030】
さらに、固定側部材1は、上部水平板1aと対向する下部水平板1bを有し、この下部水平板1bの上面には、クラッチ機構Yを構成する駆動手段(ソレノイド)31が横方向に配設されている。
【0031】
(4)外筒体2
外筒体(外弁)2は、左右の両端部がそれぞれ開口する長筒状の周胴部分2aと、この周胴部分2aの一端部側の開口に嵌合するヘッド2bとから成る。まず、周胴部分2aの構成について説明する。3は一端部上面に形成された外弁開口で、この外弁開口3にはホッパー5が取り外し可能に装着されている。6は一端部下面に形成された吐出口で、この吐出口6は、前記外弁開口3と対向すると共に、該吐出口6には、筒状の吐出ノズルを含むシール部材7が螺着自在に取付けられる。また、ヘッド2bを有する外筒体2は、所要の長さを有し、かつ、上部水平板1aに取り外し可能に固定されている。前記外弁開口3及び吐出口6は、本実施例では単数である。また外弁開口3と吐出口6の形状は、例えば円形である。
【0032】
(5)定量吐出装置Xの内筒体11
内筒体(内弁)11は、本実施例では、一つの駆動源21の駆動力により回転すると共に、ホッパー5から外弁開口3を介して所定量の粉状体あるいは固形物bを内部に取り込み、かつ、吐出口6を介して外部に吐出する定量筒体である。
【0033】
したがって、内筒体11は、弁本体に相当する外筒体2に対して内弁の機能を発揮する。そこで、内筒体11の挿入先端部(図面上、左)には、外筒体2の外弁開口3及び吐出口6に選択的に連通する一つの内弁開口12が形成されている。
【0034】
ところで、本実施例の内筒体11は、長筒状本体11aと、該長筒状本体と係脱可能であり、かつ、後述する連結支持具を包む短筒状後端部11bとを有し、前記短筒状後端部11bは、駆動源側に設けられた弾発性部材4により長筒状本体11aの後端部に係合する方向に常に付勢されている。
【0035】
付言すれば、本実施例の弁部材Vは、外弁開口3及び吐出口6を有する外弁としての外筒体2と、この外筒体に回動自在に組み込まれた内弁としての内筒体11と、この内筒体に摺動部分18aが組み込まれかつ従動作動杆19を有する押し出し作動体(ピストン)18とから成る。そして、弁部材Vは、作動杆同士19,20の連結時、該弁部材Vを連結支持具41の係止部46のテーパー46bに対して水平方向に押し込むと、簡単に連結状態となり、一方、弁部材Vを取り外す時、該弁部材Vを、例えば多少持ち上げすると、弁部材Vと連結支持具41の係合関係が簡単に解消するように工夫されている。
【0036】
ここで、図1及び図2を参照にして長筒状本体11aと短筒状後端部11bとの係合関係を説明する。長筒状本体11a後端部の接合端面には、単数又は複数個の被係合部(切欠溝)13が形成されている。したがって、短筒状後端部11bの接合端面には、前記被係合部13と係脱する単数又は複数個の係合部(突起)が形成されている。本実施例の弾発性部材4は、固定側部材1の上部水平板1aの上面に設けられた第1支持板17aと短筒状後端部11bの外壁面との間に位置するように従動歯車14の筒状軸部14aに巻装されている。
【0037】
また、図1を参照にして、従動歯車14の筒状軸部14aと短筒状後端部11bとの係合関係を説明する。図1は従動歯車14と内筒体11とが一体的に組み合っている概略説明図である。従動歯車14は、筒状軸部14aの外周壁に複数個の被係合部分(軸方向の切欠部分)15を有している。したがって、短筒状後端部11bは、その軸孔の縁部に前記被係合部分15に係合する係合する複数個の係合部(突起)16を有している。
【0038】
従動歯車14は、駆動作動杆20に遊嵌合し、かつ、駆動歯車23と噛合するように第1支持板17aと第2支持板17bとの間に配設されている。第2支持板17bは、第1支持板17aと対向するように固定側部材1の上部水平板1aの上面に設けられている。駆動モータ21の駆動力により、出力軸22側の駆動歯車23が回転すると、従動歯車14及び内筒体11が同時に回転する。
【0039】
しかして、内筒体11の内弁開口12は、上方の外弁開口3と連通している間下方の吐出口6は閉鎖され、一方、内弁開口12が吐出口6と連通している間外弁開口3は閉鎖される。
【0040】
(6)内筒体11用の検出手段S1
固定側部材1の上部水平板1aの上方には、内筒体11用の検出手段S1が第2支持板17bを介して配設されている。この検出手段S1は、内筒体11の回転位置を検出する。検出手段S1は、ホールIC原理を利用したもの、発光素子と受光素子を利用してもの等が適宜に採用され得る。本実施例では、従動歯車14の外周壁の適宜部位に複数の磁石をそれぞれ固定し、一方、固定側部材1の検出手段S1としてホール素子を採用している。
【0041】
したがって、内筒体11が駆動源21の駆動力によって「180度」回転し、一つの磁石が検出手段S1に対面した時、検出手段S1は磁石の「N極」の磁束を拾って、図示しない制御部に内筒体11の回転位置を出力し得る。
【0042】
(7)押し出し作動体18
押し出し作動体18は、内筒体11に組み込まれた先端部に摺動部分18aを有する。摺動部分18aは、所定位置(例えば最大吐出量の所)へ後退すると、所定容積室aを形成し、一方、所定位置へ前進すると、内筒体11の先端部側の前記所定容積室a内に落下した粉状物や固形物bを押し出す機能を有している。
【0043】
本実施例の作動杆は、弁の洗浄、部品交換等の目的から、弁部材Vを簡単に固定側部材1に簡単にセット又は取り外すために、適当な箇所で「二分割」されている。すなわち、一方は弁部材Vを構成する押し出し作動体18の従動作動杆19であり、他方は固定側部材1にスライド自在に配設された駆動源側の駆動作動杆20である。
【0044】
ところで、前記駆動作動杆20は、固定側部材1の所定位置に配設された短筒状内筒体11b、従動歯車14、支持板17a,17b等を貫通すると共に、本実施例では「長杆状の螺杆体」である。
【0045】
そして、駆動作動杆20と一体的に連結された押し出し作動体18は、固定側部材1に設けたクラッチ機構Yのクラッチ34を介して同一の駆動モータ21の駆動力により(一例)、該駆動モータ21の軸方向に往復動するように設けられている。そこで、定量吐出装置X用の駆動源21について説明する。
【0046】
(8)駆動源21
駆動源としての駆動モータ21は、左右一対の軸受け板24,25を介して上部水平板1aの下面側に横設されている。左側の軸受け板24は、出力軸22の基部側を支持すると共に、モータ取付け板の役割を果たしている。一方、右側の軸受け板25は出力軸22の突出端部を支持している。したがって、駆動モータ21の出力軸22は、安定状態に支持されている。駆動モータ21の出力軸22には、従動歯車14と噛合する駆動歯車23が固定されている。駆動歯車23は出力軸22と共働する。また、出力軸22には、駆動歯車23に対して所要間隔を有して対向する伝動歯車(第2の駆動歯車)26が固定されている。したがって、伝動歯車26も出力軸22と共働する。
【0047】
そして、伝動歯車26には、駆動作動杆20に形成した螺杆部分20aに螺合する筒状螺合体(第2の従動歯車)27が噛合する。したがって、筒状螺合体27が駆動モータ21の駆動力により正転方向・逆転方向にそれぞれ回転すると、押し出し作動体18は、駆動作動杆20を介して内筒体11内を往復動する。
【0048】
前記筒状螺合体27は、上部水平板1aの上面に所定間隔を有して固定された第2支持板17bと取付け枠1cにサンドイッチ状に支持されている。筒状螺合体27は、所定位置にて安定状態に回転する。
【0049】
(9)押し出し作動体用の検出手段S2
押し出し作動体18用の検出手段S2は、押し出し作動体18の原点(始動)位置、押し出し作動体の前進端位置等を検出するためにケース状の取付け枠1cに複数個配設されている。検出手段S2の一例としてはリミットスイッチが用いられている。なお、検出手段S2用のインデックス或いは磁石38は、駆動作動杆20の係合部20bを介して設けられている。
【0050】
(10)クラッチ機構Y
ところで、駆動歯車23及び伝動歯車26の対向面には、被係合部(小孔、小溝など)23a,26aが複数個形成されている。被係合部23a,26aにはクラッチ機構Yを構成するクラッチ34が係脱する。
【0051】
一つのクラッチ機構Yの構成部材を説明する。31は下部水平板1bの上面に横設されたクラッチ用駆動手段(例えばソレノイド)である。32はソレノイド31の作動杆、33は作動杆32の先端部に直交状態に固定された上向きの係合腕である。
34は駆動モータ21の出力軸22に軸方向にスライド自在に設けられ、かつ、駆動歯車23又は伝動歯車26に選択的に結合するクラッチである。本実施例のクラッチ34は、段面視、外観形状がH型形状に見えるブロック体であり、一方の垂直板には、駆動歯車23の被係合部23aと係脱する複数個の係合ピンが設けられている。
【0052】
一方、他方の垂直板には、伝動歯車26の被係合部26aと係脱する複数個の係合ピンが設けられている。前述した係合腕33の上端部は、垂直板35,垂直板36の間に位置する。
【0053】
したがって、ソレノイド31の作動杆32が伸長した場合には、クラッチ34は駆動モータ21に接近する方向へスライドし、左側の垂直板35が駆動歯車23に結合する。一方、ソレノイド31の作動杆32が収縮した場合には、クラッチ34は駆動モータ21から離れる方向へスライドし、右側の垂直板36が伝動歯車26に結合する。それ故に、クラッチ機構Yを介して一つの駆動モータ21の駆動力により弁部材Vの内筒体11を回転することが出来ると共に、内筒体11に組み込んだ押し出し作動体18を往復動させることができる。
【0054】
(11)定量吐出装置の作用
今仮に、図示しない操作手段(始動スイッチ)を操作すると、例えばソレノイド31の作動杆32が収縮する。作動杆32が右方向へ移動すると、クラッチ34も同方向にスライドして伝動歯車26と結合する。
【0055】
そこで、駆動モータ21が起動(正転)すると、押し出し作動体18は、伝動歯車26と噛合する筒状螺合体27を介して所定位置(吐出量の設定値)まで後退し、この時、押し出し作動体18用検出手段S2の一つが押し出し作動体の後退位置を検出する。押し出し作動体18が後退すると、該押し出し作動体18が所定位置で停止することから、内筒体内に所定量の粉状物或いは固形物bが落下する。
【0056】
次に、ソレノイド31の作動杆32が伸長すると、クラッチ34も同方向に出力軸22をスライドして駆動歯車23に結合する。この時、クラッチ34の垂直板35の係合ピン35aが駆動歯車23の被係合部23aに係合する。
【0057】
そこで、駆動モータ21が起動すると、内筒体11は、駆動歯車23と噛合する従動歯車14を介して所定量(例えば180度)回転する。この時、押し出し作動体18は内筒体11と一緒に共働回転する。押し出し作動体18の後端部の係合部分19aは、連結支持具41の凹所状の被係合部46に係合していることから、押し出し作動体18は安定した状態で内筒体11と共に回動する。内筒体11の回転位置は、検出手段S1によって検出される。内筒体11が所定量回転すると、一つの内弁開口12は下方へ移行して外筒体2の吐出口6に連通する(図14参照)。
【0058】
したがって、内筒体11内の粉状物あるいは固形物bは吐出口6から落下し始める。この時、ソレノイド31の作動杆32が復帰(収縮)すると共に、駆動モータ21が逆転方向へ回転可能となる。したがって、押し出し作動体18は、伝動歯車26の伝動力により、所定位置まで前進する。これにより、押し出し作動体18の摺動部分18aにより、内筒体11内の粉状物あるいは固形物bは全て押し出される(図13参照)。しかる後に、ソレノイド31の作動杆32が伸長する。そうすると、駆動モータ21の駆動力は駆動歯車23に伝わるので、内筒体11は再び所定量回転する。
【0059】
以上のように、内筒体(内弁)11は、駆動源21の駆動力により回転すると共に、ホッパー5から外弁開口3を介して所定量の粉状物あるいは固形物bを内部に取り込み、かつ、吐出口6を介して外部に吐出する。一方、押し出し作動体18は、クラッチ機構Y並びに作動杆の係脱構造Zを介して、かつ、前記駆動源21の駆動力により軸方向に往復動する。次に、作動杆の係脱構造Zについて説明する。
【0060】
(12)作動杆の係脱構造Z
図10を参照にして定量吐出装置の作動杆の係脱構造(以下、「係脱構造Z」という)を説明する。本発明の係脱構造Zは、簡単に指摘すると、固定側部材1から取り外し可能な弁部材Vの従動作動杆19と、固定側部材1に一体的に配設された駆動源21側の駆動作動杆20との連結構造である。本実施例では、弁部材Vそのものを固定側部材1から取り外すことができるように固定側部材1の駆動作動杆20に連結する。弁部材Vそのものを駆動作動杆20に連結し、及び駆動作動杆20から取り外す理由は、弁部材Vを構成する部材の分解が楽だからである。したがって、構成部材の洗浄ができる。
【0061】
連結支持具41は、バネ部材43で常時所定方向に付勢された状態で前記駆動作動杆20に「片手式」に軸支されている。連結支持具41の具体的構成は、上端部に横軸42用の左右一対の軸孔44aを有する左右の取付け用枢支板部44と、これらの枢支板部44の先端部に連設する円形状の垂直板部45と、該垂直板部45の前面下端部に突出状態に連設する受け皿状の係止部46とから成る。
【0062】
そして、金属製又は硬質樹脂製の連結支持具41の各部位の構成部分について付言すると、前記垂直状態の左右の枢支板部44は、駆動作動杆20の先端部の左右の側壁にそれぞれ適合するように所要の大きさや形状に形成され、また、前記垂直板部45は、従動作動杆19の垂直先端面に対して十分な押圧機能を発揮することができるように垂直な押圧面45aを有し、また、前記係止部46の上面には、従動作動杆19の球台形状、すい台形状等の台形状に形成された係合部分19aが係脱する係合凹所46aが形成され、さらに、前記係合凹所46aの先端部には、連結時、前記係合部分19aに摺接するテーパー46bが形成されている。加えて、図11で示すように、前記垂直板部45の内面下端部には、突起状のバネ支持部47が設けられている。また、垂直板部45の内面は、駆動作動杆18の先端面上部に当接している。
【0063】
付言すると、連結支持具41を枢支する横軸42は、取付け用枢支板部の上端部に位置し、一方、連結支持具41を水平状態の位置へ付勢するバネ部材43は、連結支持具の下部側に位置している。そして、前記バネ部材43は、一端部は連結支持具41のバネ支持部47に支持され、他端部は駆動作動杆20の先端の下面に突設したバネ端支持部20cに取付けられている。
【0064】
上記構成に於いて、弁部材Vの連結時、該弁部材Vを連結支持具41の係止部46のテーパー46bに対して押し込むと、連結支持具41は弁部材Vの従動作動杆19の係合部分19aのテーパーに押圧され、横軸42を支点に係止部46が下がる方向へと回転する。そして、前記従動作動杆19の係合部分19aが連結支持具41のテーパー46bを滑り超えると、連結支持具41はバネ部材43のバネ力により復帰する。その結果、弁部材Vの係合部分19aは、自動的に連結支持具41の皿状係止部46に自動的に係止される。一方、弁部材Vを取り外す時、例えば弁部材Vの先端部を持ち上げると、連結支持具41の垂直板部45の上端部は、駆動作動杆20の先端面上部に支持されていることから、或いは係止部46が皿状に形成されていることから、簡単に弁部材Vと連結支持具41の係合関係を解消させることができる。なお、図1に於いて、cはコップ類である。
【実施例】
【0065】
図3を参照にすると、内弁開口12は、円形状の外弁開口3に対して長孔状に形成されている。付言すると、内筒体11の周壁の一部に形成された内弁開口12は、内筒体11の先端部側に長手方向に長孔状に形成されている。このように内弁開口12が長孔状に形成された場合には、被嵌合部51の大きさや形状も、当然、内弁開口12の大きさや形状に対応させる必要がある。
【0066】
また、本実施例では、内筒体11の内周壁の先端部側に断面凹所状の被嵌合部51を一体的に固定しているが、図15で示すように、被嵌合部51を内筒体11の内周壁に一体成形しても良い。また、被嵌合部51の形状は、粉状物や固形物の種類如何によって、例えば断面V字形状に形成することもできる。一方、押し出し作動体18の突出状の嵌合部52の形状も、粉状物や固形物の種類如何によって、単数又は複数本のアーム形状にすることもできる。
なお、駆動源側の動力伝達手段の構成や駆動源の数は、本発明の本質的事項ではない。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、主にポンプ業界で製造され、例えば粉状物や固形物を小分けしてお客に提供する食品等のサービス業の業界で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1乃至図14は本発明の第1実施例を示す各説明図。
【図1】定量吐出装置の概略断面説明図(例えば押し出し作動体が内筒体の前壁まで前進し、内筒体内の固形物が排出された状態)。
【図2】要部(内筒体内の押し出し作動体が原点位置まで後退)の説明図
【図3】主要部の分解斜視図(内筒体の後端部は省略)。
【図4】図4(a)、図4(b)は、本発明の特徴部分の1を示す概略説明図。
【図5】図5(a)、図5(b)及び図5(c)も、本発明の特徴部分の1を示す概略説明図。
【図6】図3の6−6線の概略断面図
【図7】図3の7−7線の概略断面図
【図8】内筒体の被嵌合部を示す斜視図。
【図9】図9(a)は押し出し作動体の正面図、図9(b)は押し出し作動体の右側面図。
【図10】押し出し作動体と、内筒体の後端部と、内筒体内の連結支軸等の斜視図。
【図11】要部の概略説明図(正面図)。
【図12】要部の概略説明図(平面図)。
【図13】作用の概略断面説明図(特に、押し出し作動体の動きを示す)。
【図14】作用の概略断面説明図(特に、内筒体の回転状態を示す)。
【図15】図15(a)、図15(b)は、内筒体11の他の実施例を示す説明図。X…定量吐出装置、Y…クラッチ機構、1…固定側部材、V…弁部材、2…外筒体、3…外弁開口、5…ホッパー、6…吐出口、7…シール構造、8…内周支持面、b…粉状物や固形物、11…内筒体、12…内弁開口、14…従動歯車、18…押し出し作動体、17a…支持部材、19…従動作動杆、19a…係合部分、20…駆動作動杆、20a…螺杆部分、20b…係合部、20c…バネ端支持部、21…駆動モータ、22…出力軸、23…駆動歯車、26…伝動歯車、27…筒状螺合体、31…駆動手段(ソレノイド)、34…クラッチ、37…回転防止台、41…連結支持具、42…横軸、43…バネ部材、51…被嵌合部、51a…開口部分、51b…非開口部分、52…嵌合部、53…開口部、61…短筒状部、61a…外弁開口の内端部分、62…嵌合受け部、12a…内弁開口の前方側縁部、12b…内弁開口の後方側縁部、65…傾斜状案内片或いは案内部、65a…上端縁部、65b…下端縁部、66…内筒体の外周壁。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁部材が、外弁としての外筒体と、この外筒体に回動自在に組み込まれた内弁としての内筒体と、この内筒体に摺動部分が組み込まれた押し出し作動体とを備え、前記内筒体が駆動源の駆動力により回動する弁部材による定量吐出装置に於いて、前記外筒体の外弁開口を形成する短筒状部の内壁面に下端縁部が内筒体の回転方向に対して直線状あるいはやや曲線状に交差する幅広の傾斜状案内片を一体的に設け或いは傾斜面を有する案内部を一体成形し、該傾斜状案内片或いは傾斜面を有する案内部の下端縁部は、前記内筒体の外周壁に摺接あるいは限りなく接近するように位置し、ホッパーから前記外弁開口を介して落下した固形物が、前記短筒状部の外弁開口の内端部分と回動変位する内筒体の内弁開口の後方側縁部とで咬まないようにしたことを特徴とする弁部材による定量吐出装置。
【請求項2】
請求項1に於いて、前記内筒体の内周壁の先端部側に被嵌合部を設け、一方、前記押しだし作動体の摺動部分の先端部に前記被嵌合部に嵌合する突出状の嵌合部を設け、前記押し出し作動体は、ホッパーから落下した液体以外の粉状物や固形物を前記被嵌合部に収納した状態でかつ前記駆動源の駆動力により前記内筒体と共に外筒体の吐出口へと回動することを特徴とする弁部材による定量吐出装置。
【請求項3】
請求項1に於いて、傾斜状案内片は、その下端縁部が水平状態となる半月板状に形成され、一方、弧状の上端縁部が短筒状の内壁面に固定されていることを特徴とする弁部材による定量吐出装置。
【請求項1】
弁部材が、外弁としての外筒体と、この外筒体に回動自在に組み込まれた内弁としての内筒体と、この内筒体に摺動部分が組み込まれた押し出し作動体とを備え、前記内筒体が駆動源の駆動力により回動する弁部材による定量吐出装置に於いて、前記外筒体の外弁開口を形成する短筒状部の内壁面に下端縁部が内筒体の回転方向に対して直線状あるいはやや曲線状に交差する幅広の傾斜状案内片を一体的に設け或いは傾斜面を有する案内部を一体成形し、該傾斜状案内片或いは傾斜面を有する案内部の下端縁部は、前記内筒体の外周壁に摺接あるいは限りなく接近するように位置し、ホッパーから前記外弁開口を介して落下した固形物が、前記短筒状部の外弁開口の内端部分と回動変位する内筒体の内弁開口の後方側縁部とで咬まないようにしたことを特徴とする弁部材による定量吐出装置。
【請求項2】
請求項1に於いて、前記内筒体の内周壁の先端部側に被嵌合部を設け、一方、前記押しだし作動体の摺動部分の先端部に前記被嵌合部に嵌合する突出状の嵌合部を設け、前記押し出し作動体は、ホッパーから落下した液体以外の粉状物や固形物を前記被嵌合部に収納した状態でかつ前記駆動源の駆動力により前記内筒体と共に外筒体の吐出口へと回動することを特徴とする弁部材による定量吐出装置。
【請求項3】
請求項1に於いて、傾斜状案内片は、その下端縁部が水平状態となる半月板状に形成され、一方、弧状の上端縁部が短筒状の内壁面に固定されていることを特徴とする弁部材による定量吐出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−16099(P2011−16099A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163283(P2009−163283)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(503217875)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(503217875)
【Fターム(参考)】
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