説明

弁であって、ケーシングが設けられており、該ケーシングが、流体のための流入開口と、閉鎖エレメントと、流体のための流出開口とを有しており、閉鎖エレメントにより流体の流れが制御可能であり、さらに調節装置(37)が設けられており、該調節装置が、閉鎖エレメントの閉鎖横断面を調整するための電気的な調節駆動装置(40)を有しており、さらに駆動装置ケーシング(38)が設けられており、該駆動装置ケーシングに調節駆動装置(40)の固定子(39)が堅く結合されており、流体の圧力下にある駆動装置ケーシング(38)の内室(45)内で、調節駆動装置(40)の可動な可動子(41)が閉鎖エレメントに運動伝達可能に連結されており、固定子(39)が、内室(45)内に配置されている形式の弁が開示される。研磨性かつ浸食性の成分を有する流体のために、流体内に位置する調節駆動装置を備える弁を使用するために、駆動装置ケーシング(38)の内室(45)が、可動な分離エレメント(48)により流体から分離されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁であって、ケーシングが設けられており、該ケーシングが、流体のための流入開口と、閉鎖エレメントと、流体のための流出開口とを有しており、閉鎖エレメントにより流体の流れが制御可能であり、さらに調節装置が設けられており、該調節装置が、閉鎖エレメントの閉鎖横断面を調整するための電気的な調節駆動装置を有しており、さらに駆動装置ケーシングが設けられており、該駆動装置ケーシングに調節駆動装置の固定子が堅く結合されており、流体の圧力下にある駆動装置ケーシングの内室内で、調節駆動装置の可動な可動子が閉鎖エレメントに運動伝達可能に連結されており、固定子が、内室内に配置されている形式のものに関する。
【0002】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第4214814号明細書は、自動車のヒータ循環路に用いられる上記の形式の流量制御弁を開示している。この流量制御弁の調節駆動装置は、流れる加熱媒体内に配置されている。さらに、内側に位置している調節駆動装置によって、この弁は、極めてコンパクトな構造を有している。
【0003】
遮断弁(Absperrventil)および絞り弁(Drosselventil)は、本発明の範囲では、アキシャル弁、アキシャルコーン弁またはリングピストン弁として、リフト弁またはリフトコーン弁(グローブ弁)として、スライド弁(Schieberventil)および遮断スライド弁、ボールコック弁またはバタフライ弁としての多数の構造形式で、たとえば本出願人の品目から一般的に知られている。閉鎖エレメント、つまりピストン、ボール、プレートまたは円錐体(コーン)の軸方向の位置変化または回転式の位置変化によって、弁の閉鎖横断面を介して、圧力負荷された流体の流れは調整されかつ制御される。
【0004】
電動モータにより調整可能な閉鎖横断面を備えた公知の遮断弁および絞り弁は、組み込まれた状態における、摩耗部材の交換のための作業者による摩耗部材への良好なアクセス性および比較的簡単な機械的な調整機構に基づいて、伝統的にしばしばアングル構造(アングル型弁)で、つまりピストン形の閉鎖エレメントの軸線に対して、かつ流出方向に対して垂直に流入する流体をもって設計されている。
【0005】
近年、特に流れ方向の変向が不都合である箇所で、アキシャル構造形式の絞り弁(リングピストン弁)、つまり流入方向および流出方向に対して同軸的に移動可能な閉鎖エレメントを備える絞り弁が益々用いられるようになっている。さらに、このアキシャル構造形式の絞り弁は、同じ流体技術的なパラメータにおいてより小さな外側寸法を有しており、かつ同軸的な構造形式に基づいて、流れる流体による小さな材料負荷、ひいては減じられた摩耗を有している。
【0006】
公知の遮断弁および絞り弁内では、調節駆動装置として、回転する可動子(ロータ)を備えた回転アーマチュアモータ(「トルクモータ」または「回転モーメントモータ」とも呼ばれる)が使用される。可動子の回転運動は、互いに重なり合って滑動する動力伝達用ねじ山(Bewegungsgewinde)を介して、ねじとナットの原子により、線形運動に変換される。線形に運動する構成部分は、閉鎖エレメントに直接に結合されたスピンドルか、またはたとえばアキシャル構造形式の場合には、切換えスピンドルである。アキシャル構造形式では、切換えスピンドルまたはスピンドルがそれぞれ、互いに内外にかみ合うはす歯列を備えている。このはす歯が、線形運動への転換を可能にする。
【0007】
欧州特許出願公開第0937928号明細書から、アングル構造形式の絞り弁が公知である。この絞り弁では、電気的な調節駆動装置の固定子と可動子とは、隔壁によって分離されている。隔壁は、調節駆動装置の特に電気的な接続部を、弁の内側領域に対して、かつ絞り弁を通って流れる流体の影響に対して密に遮断している。駆動力は、分離壁を通り抜けて可動子に伝達される。
【0008】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第3933169号明細書は、アングル構造形式の絞り弁を開示している。この絞り弁では、電気的な調節駆動装置が、別個のチャンバ内で、流体から密にかつ圧力密に遮断されている。このチャンバから、調節駆動装置により駆動され、かつ動力伝達用ねじ山を備えたシャフトだけが、絞り弁の内側領域に突入し、ピストン形の閉鎖エレメントを駆動する。
【0009】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10058441号明細書は、アングル構造形式の絞り弁に用いられる設計を開示している。この場合、調節駆動装置は、外部から密にシールされた別個のケーシング内で弁ボディにフランジ締結されており、やはり動力伝達用ねじ山を備えたシャフトだけが絞り弁の内側領域に突入する。この弁内でも、固定子および可動子は隔壁により分離されている。
【0010】
化学産業および別の産業分野における、油またはガスの圧送時に、安全性および環境保護のために、漏れが無いことに対する要求が高まっている。有毒な流体の漏れは基本的に阻止しなければならず、少なくとも技術的な可能性の枠内で最小にされなければならない。この場合、遮断弁および絞り弁では、特に切換えスピンドルの密なガイドが注目されている。
【0011】
油およびガスの海底圧送の枠内で、処理ステップ、たとえば圧送されるガスの圧縮は、海底の直に搬送箇所に場所を移しつつある。この傾向により、海中での使用に適した、弁のような構成要素の高められた需要が生じる。
【0012】
これらの構成要素は、環境保護の理由からエミッションフリーでなければならないだけではなく、弁内を流れている流体(油およびガス)を、周囲を取り囲む海水から遮断することを保証し、かつ流体が環境へ流出することを阻止しなければならない。さらに、高度の浸食性でありかつ微生物を含む海水の、弁自体、または調節装置内への侵入も、いかなる状況でも阻止されなければならない。最後に、調節装置の電子部品および機械的な構成部分と、圧送される流体とのあらゆる接触も望ましくない。流体は、砂および錆のような研磨性および腐食性の成分、特に硫化水素による汚染に基づいて極めて侵食性であり得る。
【0013】
調節装置の電圧を案内する部分の、流体および環境からの遮断および海底に占める圧力状態に対する耐性は、公知の弁の設計では、調節装置と環境との間、調節装置と弁の内側領域との間、または調節装置の固定子と可動子との間の補強された、つまりより厚い隔壁によってのみ得ることができる。調節装置の固定子と可動子との間の隔壁の場合、固定子と可動子との間のギャップの拡大はすべて、調節装置の効率を減じる。
【0014】
他方では、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4214814号明細書による弁では、調節装置の機械的な構成部分の、汚染に対するシールは得られない。
【0015】
課題
本発明の根底を成す課題は、研磨性かつ浸食性の成分を有する流体のために、流体内に位置する調節駆動装置を備える弁を使用することにある。
【0016】
解決手段
公知の弁を起点として、本発明によれば、駆動装置ケーシングの内室が、可動の分離エレメントによって流体から分離されている。これにより、特に調節駆動装置の固定子と可動子との間で、調節装置内に流体が進入することは効果的に阻止される。分離エレメントの移動によって、内室内の容量変化が補償される。このような容量変化は、たとえばスピンドルの移動によって、温度変化によって、または内室と流体との間の動的なシールの漏れによって生じる。用途に応じて媒体耐性の、耐圧式の固定子と、対応する電気的な接続部との使用も、固定子と可動子との間の隔壁を省くことを可能にし、これにより、まさに高圧下での使用のために、調節駆動装置の著しく高められた効率を実現する。
【0017】
有利には、本発明による弁では、閉鎖エレメントが、調節駆動装置を用いて駆動装置ケーシング内で軸方向に移動可能である。本発明によるこのような弁は、たとえば軸方向に(ケージ内で)移動可能なピストンを備えた絞り弁または遮断弁およびスライド弁である。流体の圧力がスピンドルの両端部に作用しているので、スピンドルは、運動方向で完全に圧力から解放されている。
【0018】
択一的には、本発明による弁において、閉鎖エレメントを、調節駆動装置を用いて回転させることができる。このような本発明によるアングル(90°)弁は、たとえばボールコック弁、バタフライ弁である。
【0019】
本発明による弁では、有利には、流入開口内への流体の流入方向が、流出開口からの流体の流出方向と一致し、閉鎖エレメントは、流入方向および流出方向に対して同軸的に移動可能である。アキシャル構造形式の本発明によるこのような弁は、流れる流体による小さな材料負荷により優れている。したがって、本発明によるこのような弁の調節装置、特に調節駆動装置を備える駆動装置ケーシングは、弁のケーシングの内部に保護されて配置されている。
【0020】
択一的には、本発明による弁は、アングル構造形式で製造されてもよい。この場合、調節装置は有利には、メンテナンス作業のために作業者が外側からハウジング内に良好にアクセス可能であるように取り付けられている。
【0021】
有利には、本発明による弁では、分離エレメントが、補償シリンダ内で自由に可動な補償ピストンまたはベローズであってよい。補償ピストンまたはベローズの移動は、本発明によるこのような弁内で、内室内の容量変化を補償する。
【0022】
有利には、本発明によるこのような弁では、補償シリンダがケーシングの壁内に配置されている。本発明によるこのような絞り弁は、特に単純な構造を有している。択一的には、補償シリンダは、駆動装置ケーシングの一部であってよく、補償ピストンまたはベローズは、たとえば閉鎖エレメントに結合されたスピンドルを軸方向で取り囲んでいる。
【0023】
特に有利には、本発明による弁における内室は、液体で充填されている。液体による内室の非圧縮性の充填は、変化する圧力状態のための本発明による弁の設計を単純化する。液体は、潤滑剤であってもよい。これにより、調節装置の複数の可動部分、特に可動子とスピンドルとの間の伝動装置が潤滑される。自己潤滑式の構成要素の使用時には、液体はたとえば水であってもよい。他方では、液体により調節駆動装置が爆発から保護されている。分離エレメントは、流体による液体の汚染および液体による流体の汚染を阻止する。
【0024】
内室内の液体は、調節駆動装置、特に調節駆動装置の固定子からの放熱を支援する。液体は、相応する通路を通って、本発明による弁の外面から内室内に導入されて、定期的に交換されるか、または循環中に継続的に濾過され得る。液体の状態の外観検査(または自動化された物理的または化学的な試験)は、運転中の本発明による弁の摩耗状態の監視を可能にする。
【0025】
本発明による弁では、特に、可動子が、回転可能なロータであってよい。この場合、伝動装置は、可動子の回転運動を、閉鎖エレメントに結合されたスピンドルの並進運動に変換する。調節駆動装置として回転アーマチュアモータを備えたこのような弁は、特に廉価に製造することができる。なぜならば、このような形式の調節駆動装置は、ステッピングモータとしても、大量生産品としての多数の実施形態で市場において入手可能であるからである。択一的には、調節駆動装置が、ステッピングモータとしてのリニアモータであってもよく、リニアモータは、場合によっては、スピンドルを介して、伝動装置なしに、閉鎖エレメントを直接に駆動する。本発明によるこのような弁の調節装置は、特に小さな構造サイズを有している。
【0026】
液体を充填された内室を備える本発明によるこのような弁では、液体が、スピンドルの並進運動の間に伝動装置を貫流すると有利である。これにより一方では、伝動装置の良好な潤滑が保証されており、他方では、製造技術的な手間が、存在している中空室を多重に使用することにより減少されている。択一的または補足的には、液体は、ケーシング内の小さな孔を通って案内され得る。
【0027】
有利には、回転アーマチュアモータを備える本発明による弁では、伝動装置が、転動体−ねじ山式伝動装置(Waelzkoerper-Gewindetrieb)である。転動体−ねじ山式伝動装置は、特に、金属加工装置における利用から公知の伝動装置である。回転運動と並進運動との変換のために、ボールまたはねじ山付きロッド(「ローラ」)が使用される。ボールまたはねじ山付きロッドは、少なくとも並進(直進)運動させられる構成部分上で転動する。ねじ山間の滑り摩擦に比べて著しく小さな、転動するエレメントの転がり抵抗は、極めて損失の少ない変換を実現する。ローラまたはボール−ねじ山式伝動装置の効率は、ほぼ比類している。ローラ−ねじ山式伝動装置(ローラねじ)は、一方ではボール−ねじ山式伝動装置(ボールねじ)よりも明らかにコンパクトに構成され、他方では並進から回転への変換も、並進から回転への変換も可能にする。
【0028】
択一的には、本発明による弁では、伝動装置は、ナットとしての可動子を備えた、閉鎖エレメントに結合されたスピンドル上の動力伝達用ねじ山であってよい。
【0029】
転動体−ねじ山式伝動装置に対して、動力伝達用ねじ山は、より高い損失を有しているものの、著しく廉価に製造され得る。エネルギ停止時に、本発明による弁のピストンは、それぞれの位置に留まる。
【0030】
本発明による弁が、安全装置を有していると有利である。この安全装置は、電源供給の停止時に閉鎖エレメントを所定の安全位置に運動させる。本発明によるこのような弁は、電力供給の停止時にも確実な作動を可能にする。
【0031】
特に有利には、本発明によるこのような弁では、安全装置が、電気的なシステムである。本発明による弁は、特にバッテリまたはコンデンサによる非常用電力供給部を有していてよい。本発明によるこのような弁は、一方では安全位置を取らずに電力停止を克服することを可能にし、他方では使用事例に応じて異なる安全位置の定義を可能にする。
【0032】
択一的には、安全装置は戻しばねであってよい。本発明によるこのような弁では、閉鎖エレメントの安全位置において、絞り開口は最大に開放されていてよい。本発明によるこのような弁は、たとえばポンピング防止弁として、コンプレッサの入口と出口との間のバイパス内で使用可能である。択一的には、絞り横断面は、閉鎖エレメントの基本位置では、個別事例の要求に応じて完全に閉じられるか、または電気的に駆動される安全装置において任意に規定された中間位置を予定されていてよい。
【0033】
液体を充填された内室を備えた本発明による弁では、安全装置が、外側からメンテナンス通路に取り付けられていてよく、かつたとえば液圧−空気圧蓄圧器を介して、故障時に自動的に内室に液体により過圧をかけ、これにより閉鎖エレメントを安全位置に移動させることができる。
【0034】
特に有利な実施形態では、本発明による弁が、位置表示器を有している。位置表示器は、閉鎖エレメントの位置を報知する。弁内の閉鎖エレメントの位置、たとえば絞りケージ内のピストンの位置は、閉鎖横断面のための直接的な寸法と、弁の作動位置のための説得力のある特性量とである。本発明による弁は、たとえば永久磁石と、電磁的なセンサとを用いて、軸方向運動または回転運動する構成部材において非接触式に位置表示器を制御することができる。
【0035】
さらに本発明による弁の調節駆動装置が耐腐食性であると有利である。本発明によるこのような弁は、調節駆動装置の環境に対する要求が小さく、メンテナンス間隔の延長を可能にする。
【0036】
本発明によるこのような弁の調節駆動装置は、特に有利には、油産業およびガス産業における腐食防止のためのNACE基準およびISO基準を満たしている。したがって、内室と流体との間での漏れ時、特に内室への流体の進入時に、調節駆動装置の損傷が阻止される。このためには、たとえば、調節駆動装置の、電圧を案内する磁性の構成エレメントが合成材料内に埋設されていてもよい。
【0037】
本発明による弁は、作動確実性を改善するために、調節駆動装置の予備の固定子および/または予備な電気的かつ電子的な構成群を有していてよい。
【0038】
本発明による弁は、有毒の、つまり環境、人間または気候にとって危険な流体の取扱いを、深海における油およびガス圧送だけでなく、たとえば石油化学、原子力装置および薬学および製薬の技術、たとえばホルモン製造において簡単にする。調節駆動装置を弁の圧力負荷された内室内に完全に組み込むことは、漏れに対する安全性を高め、メンテナンス・交換間隔の著しい延長を可能にする。
【0039】
本発明を以下に2つの実施形態につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による弁の断面図である。
【図2】弁に設けられた調節装置の断面図である。
【図3】調節装置の詳細図である。
【図4】本発明による第2の弁を示す図である。
【図5】第2の弁に設けられた調節装置である。
【0041】
図1に示された本発明による弁1は、ほぼ完全に開かれた位置にある絞り弁である。絞り弁1は、第1の圧力レベルにある流体(図示せず)のための流入開口3を備えるケーシング2と、流体を第2の圧力レベルへと絞るための絞り4と、絞られた流体のための流出開口5とを有している。弁1は、反対向きの通流方向で、つまり流出開口5から流入開口3に向かう通流方向で運転されてもよい。
【0042】
絞り4は、管状の絞りケージ6として、流体の流れ経路内の、ケーシング2に結合された管状の内側ボディ7と、流出開口5との間に形成されている。絞りケージ6内では、電気的な調節装置8によってピストン形の閉鎖エレメント9が軸方向に移動可能である。流入開口3に向かって、内側ボディ7は、調節装置8にねじ被せられた衝突キャップ10により閉じられている。
【0043】
調節装置8の接続線路11は、線路通路12を通じて内側ボディ7からハウジング2の外面13に向かって案内されている。線路通路12は、調節装置8のための電気的な接続部(図示せず)を備えたエンドキャップ14により圧力密に閉じられている。
【0044】
図2に詳細に図示された調節装置8は、ねじ結合された2つの部分から成る駆動装置ケーシング15を有している。この駆動装置ケーシング15内には、調節駆動装置17として使用される電気的な回転アーマチュアモータの固定子16が固くアンカ固定されていて、単に概略的に図示された転動体−ねじ山式伝動装置18である「ローラ−ねじ山式伝動装置」が、半径方向および軸方向で支承されている。この転動体−ねじ山式伝動装置18に、調節駆動装置17の可動子(「ロータ」)19が相対回動不能に結合されている。
【0045】
駆動装置ケーシング15の内室20内の転動体−ねじ山式伝動装置18は、可動子19の回転を、スピンドル21の軸方向の並進に変換する。スピンドル21の端部22は、シール23内にシールされて駆動装置ケーシング15から突出し、閉鎖エレメント9にねじ締結されている。内室20は、液状の潤滑剤(図示せず)によって、第2の圧力レベルで充填されている。
【0046】
図3に示したように、ケーシング2は、壁内に、補償シリンダ25を有している。この補償シリンダ25は、分離エレメント26として軸方向に自由に可動な補償ピストンを有している。補償シリンダ25には、第1の通路27を通じて潤滑剤が供給され、かつ第2の通路28を通じて流体が供給されていて、流体の流出圧が潤滑剤に伝達されている。補償シリンダ25は、ケーシング2の外面13に向かって、ねじ締結された栓体29で閉じられている。
【0047】
スピンドル21の、閉鎖エレメント9とは反対の側の端部24は、潤滑剤により取り囲まれて流過されている。弁1の閉鎖時に、潤滑剤は補償シリンダ25から第1の通路27を通って、反対の側の端部24に向かって吸い込まれる。これによって、分離エレメント26は相応して補償シリンダ25内で移動し、第2の通路28を通じて流体が補償シリンダ25内に吸い込まれる。
【0048】
これとは反対に弁1の開放時に、スピンドル21の、閉鎖エレメント9とは反対の側の端部24は、潤滑剤を内室20から、第1の通路27を通じて補償シリンダ25内に押し込む。分離エレメント26は、相応して流体を第2の通路28を通じて補償シリンダ25から押し出す。
【0049】
本発明による弁1は、安全装置としての戻しばね(図示せず)と、電磁的な位置表示器30とを有している。この位置表示器30は、閉鎖エレメント9のその都度の位置を、線路通路12を通じて案内された接続線路31を介して、エンドキャップ14内で監視モジュール(図示せず)に報知する。
【0050】
弁1の調節駆動装置17および転動体−ねじ山式伝動装置18は、油産業およびガス産業における腐食保護のためのNACE(米国腐食工業会)基準およびISO基準にも従って、耐腐食性であってよい。
【0051】
図4は、本発明による第2の弁32を示しており、アングル構造形式の絞り弁もまた、ほぼ完全に開かれた位置にある。第2の弁32は、第1の弁1と同様に、第1の圧力レベル(流入圧)にある流体(図示せず)のための流入開口34を備えたケーシング33と、流体を第2の圧力レベル(流出圧)に絞るための絞り35と、絞られた流体のための流出開口36とを有している。
【0052】
本発明の第2の弁32の、図5に詳細に示された調節装置37は、ねじ結合された2つの部分から成る駆動装置ケーシング38を有している。駆動装置ケーシング38内には、調節駆動装置40として使用される電気的な回転アーマチュアモータの固定子39が堅くアンカ固定されている。調節駆動装置40の可動子41は、ナット42に相対回動不能に結合されている。ナット42は、スピンドル44の、動力伝達用ねじ山43上で回転する。
【0053】
駆動装置ケーシング38の内室45内のナット42は、可動子41の回転を、スピンドル44の軸方向の並進に変換する。スピンドル44の端部46は、シールされて駆動装置ケーシング38から突出しており、ピストン形の閉鎖エレメント47にねじ締結されている。内室45は、第2の圧力レベルの液状の潤滑剤により充填されている。
【0054】
ナット42と、閉鎖エレメント47との間で、スピンドル44上に、分離エレメント48として、軸方向に自由に可動な補償ピストンが装着されている。分離エレメント48は、一方では調節駆動装置40の内室45を流体から実質的に絶縁しており、他方では流体の圧力を内室45と潤滑剤とに伝達する。第2の弁32でも、閉鎖エレメント47とは反対の側の端部49は、内室45内で完全に潤滑剤により取り囲まれて流過されている。
【0055】
調節装置37は、海底での使用時にも組み立てられた弁32において1つの作業工程で交換可能な関連した構成群として実施されていてよい。
【符号の説明】
【0056】
1 弁
2 ケーシング
3 流入開口
4 絞り
5 流出開口
6 絞りケージ
7 内側ボディ
8 調節装置
9 閉鎖エレメント
10 衝突キャップ
11 接続線路
12 線路通路
13 外面
14 エンドキャップ
15 駆動装置ケーシング
16 固定子
17 調節駆動装置
18 転動体−ねじ山式伝動装置
19 可動子
20 内室
21 スピンドル
22 端部
23 シール
24 端部
25 補償シリンダ
26 分離エレメント
27 通路
28 通路
29 栓体
30 位置表示器
31 接続線路
32 弁
33 ケーシング
34 流入開口
35 絞り部
36 流出開口
37 調節装置
38 駆動装置ケーシング
39 固定子
40 調節駆動装置
41 可動子
42 ナット
43 動力伝達用ねじ山
44 スピンドル
45 内室
46 端部
47 閉鎖エレメント
48 分離エレメント
49 端部
50 端部リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁(1,32)であって、ケーシング(2,33)が設けられており、該ケーシング(2,33)が、流体のための流入開口(3,34)と、閉鎖エレメント(9,47)と、流体のための流出開口(5,36)とを有しており、閉鎖エレメント(9,47)により流体の流れが制御可能であり、さらに調節装置(8,37)が設けられており、該調節装置(8,37)が、閉鎖エレメント(9,47)の閉鎖横断面を調整するための電気的な調節駆動装置(17,40)を有しており、さらに駆動装置ケーシング(15,38)が設けられており、該駆動装置ケーシング(15,38)に調節駆動装置(17,40)の固定子(16,39)が堅く結合されており、流体の圧力下にある駆動装置ケーシング(15,38)の内室(20,45)内で、調節駆動装置(17,40)の可動な可動子(19,41)が閉鎖エレメント(9,47)に運動伝達可能に連結されており、固定子(16,39)が、内室(20,45)内に配置されている形式のものにおいて、
駆動装置ケーシング(15,38)の内室(20,45)が、可動な分離エレメント(26,48)により流体から分離されていることを特徴とする、弁。
【請求項2】
閉鎖エレメント(9,47)が、調節駆動装置(17,40)により、駆動装置ケーシング(15,38)内で軸方向に移動可能である、請求項1記載の弁(1,32)。
【請求項3】
前記流入開口(3)内への流体の流入方向が、前記流出出口(5)からの流体の流出方向に一致しており、閉鎖エレメント(9)が、流入方向および流出方向に対して同軸的に移動可能である、請求項1または2記載の弁(1)。
【請求項4】
分離エレメント(26,48)が、補償シリンダ(25)内で自由に可動な補償ピストンまたはベローズである、請求項1から3までのいずれか1項記載の弁(1,32)。
【請求項5】
前記補償シリンダ(25)が、ケーシング(2)の壁内に配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の弁(1)。
【請求項6】
前記内室(20,45)が、液体で充填されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の弁(1,32)。
【請求項7】
可動子(19,41)が、ロータであり、前記伝動装置が、可動子(19,41)の回転運動を、閉鎖エレメント(9,47)に結合されたスピンドル(21,44)の並進運動に変換する、請求項1から6までのいずれか1項記載の弁(1,32)。
【請求項8】
液体が、スピンドル(21,44)の並進運動の間に前記伝動装置を貫流する、請求項6および7記載の弁(1,32)。
【請求項9】
前記伝動装置が、転動体−ねじ山式伝動装置(18)である、請求項7または8記載の弁(1)。
【請求項10】
電力供給の停止時に、閉鎖エレメント(9)を安全位置に運動させる安全装置が設けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載の弁(1)。
【請求項11】
前記安全装置が、電気的なシステムである、請求項1から10までのいずれか1項記載の弁(1)。
【請求項12】
閉鎖エレメント(9)の位置を報知する位置表示器(30)が設けられている、請求項1から11までのいずれか1項記載の弁(1)。
【請求項13】
調節駆動装置(17,40)が、対腐食性である、請求項1から12までのいずれか1項記載の弁(1,32)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−529603(P2012−529603A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514444(P2012−514444)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058005
【国際公開番号】WO2010/142677
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(509228949)
【氏名又は名称原語表記】MOKVELD VALVES B.V.
【住所又は居所原語表記】Nijverheidsstraat 67, NL−2802 AJ Gouda, Netherlands
【Fターム(参考)】