説明

引き裂き可能な特性を有するグミキャンディ様菓子

【課題】従来のグミキャンディ特有の瑞々しさと弾力に富んだ食感をもちながら、好みの大きさに引き裂きながら食することができ、引き裂くことができるという楽しさと、引き裂いた菓子片それぞれの味の出方や食感のバラエティを楽しむことができる、新しいおいしさとときめきを有するグミキャンディ様菓子を提供すること
【解決手段】固形分として、結晶性糖類を35〜80重量%、食用油脂を5〜40重量%、ゼラチンを2.5〜10重量%、もち米由来アルファ化澱粉を0.2〜0.7重量%含み、引き裂き可能な構造を有するグミキャンディ様菓子。前記引き裂き可能な構造として繊維状の構造が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き裂き可能なグミキャンディ様菓子に関する。
【背景技術】
【0002】
グミキャンディは、菓子の中でも幅広い人々に認知されており、食感と味付け、また種々な形状に成型され、見た目にも楽しい菓子として親しまれている。さらに近年、嗜好の多様性に伴い、食感や味及びその形状においてバリエーションに富んだグミキャンディが提案されてきた。例えば、グミキャンディにおいて一般的なゼラチンを使用しながらも、空気を巻き込ませることによって、特有の粘弾性をもつもの(特許文献1)や、均質なゲル中に、不均一なゲルを分散させることによる、果実のようなザクザクとした新食感のグミキャンディ等が提案されている(特許文献2)。本発明者らも、ある特定の範囲内のDE値をもつ水飴及び、220ブルーム以上の豚骨ゼラチンを使用することによって、従来よりチューイング性に優れ、且つハードな食感を持つグミキャンディを提案している(特許文献3)。また、グミキャンディの形状においても、ハードキャンディ及びソフトキャンディを組み合わせることによって、食感差とときめきのある立体的な構造をもつグミキャンディ(特許文献4)や、ペクチン、ナトリウム塩、及び酸を添加し、様々な形状の型に流し込むことによって得られる複雑な所望の形状のグミキャンディが提案されている。また市場においても、果物やドリンクのボトル型、ハート型、キャラクターをかたどったもの等がヒット商品となっている。
【0003】
近年、果汁感向上による風味の充実化、及び食感の革新的な改良によってグミキャンディの市場は幅広い年齢層に拡大しており、市場を伸ばしている。このような状況下で、消費者の関心はよりいっそうのおいしさ及び新しさへ集中してきており、お菓子としての味や食感のおいしさとときめきのある楽しさを併せもつグミキャンディが求められている。
【0004】
一方、従来、広い世代に幅広く親しまれている物性を有するものとして、蟹や貝柱やスルメイカ等のいわゆる指で裂けるという特性を有する食品に対する人気は、きわめて高いものがある。
【0005】
このような、引き裂き可能な特性を有する食品に関して様々な提案がなされてきた。特に、チーズに関しては、チーズを熱水中で軟化後圧力を加えて繊維化する方法(特許文献5、6)、脱脂乳,濃縮乳からの製造法としてはカルシウムのような金属多価イオンとpHの調節により牛乳中のカゼインをゲル化させ、このゲルに応力を加えて繊維化する方法(特許文献7)等、その製造法が種々検討されてきた。
【0006】
また、菓子においても、溶融したチョコレート生地を、ゼラチン等のゲル化剤水溶液に加えて混合し、可塑状態で延伸させることによってつくることができる引き裂き可能なチョコレートが提案されている(特許文献8)。これは、繊維状の引き裂き可能な構造を有しかつチョコレート特有の口どけのよい食感をもつものであり、グミキャンディのような弾力のある食感は有していない。
【0007】
グミキャンディにおいては、上述のように食感や見た目の提案は種々なされているが、引き裂き可能な構造を有するといった特徴を持つものは提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−206512号公報
【特許文献2】特開2008−67638号公報
【特許文献3】特開2009−213368号公報
【特許文献4】特開2004−321140号公報
【特許文献5】特公昭58−48145号公報
【特許文献6】特公昭58−31173号公報
【特許文献7】特公昭55−30822号公報
【特許文献8】特許第3575514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、従来のグミキャンディ特有の瑞々しさと弾力に富んだ食感を持ちながら、好みの大きさに引き裂きながら食することができ、引き裂くことができるという楽しさと、引き裂いた菓子片それぞれの味の出方や食感のバラエティを楽しむことができる、新しいおいしさとときめきを有するグミキャンディ様菓子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、新しいおいしさやときめきのある楽しさをもつグミキャンディを作る為に鋭意研究を重ねた結果、特許文献8などに記載の方法を参考にし、結晶性糖類及びある一定量の食用油脂を含み、さらにもち米由来のアルファ化澱粉を配合させることで、あたかもグミキャンディのような瑞々しさと弾力に富んだ食感を持ちながら、容易に引き裂くことができるグミキャンディ様菓子を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の要旨は、
(1)固形分として、結晶性糖類を35〜80重量%、食用油脂を5〜40重量%、ゼラチンを2.5〜10重量%、もち米由来アルファ化澱粉を0.2〜0.7重量%含み、引き裂き可能な構造を有するグミキャンディ様菓子、
(2)引き裂き可能な構造として繊維状の構造を有する前記(1)記載のグミキャンディ様菓子、
に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のグミキャンディ様菓子は、グミキャンディ特有の瑞々しさと弾力に富んだ食感を持ちながら、直接手にとって引き裂くことができるものであるため、従来のグミキャンディにはない新しいおいしさとときめきを有する菓子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のグミキャンディ様菓子は、固形分として、結晶性糖類を35〜80重量%、食用油脂を5〜40重量%、ゼラチンを2.5〜10重量%、もち米由来アルファ化澱粉を0.2〜0.7重量%含むことを特徴とする。かかる特徴を有することで、グミキャンディ特有の瑞々しさと弾力に富んだ食感をもちながら、引き裂き可能な構造を有するグミキャンディ様菓子を提供することができる。
【0014】
グミキャンディとは、一般に噛み応えのある弾力に富んだ食感を特徴とする菓子である。その主な製法として、砂糖や水飴等の糖質を溶解させ、加熱して炊き上げた糖液に、ゲル化剤として主にゼラチンを用いて固化させるものが多い。
【0015】
これに対して、本発明でいうグミキャンディ様菓子は、組成として結晶性糖類、ゼラチン及び油脂をベースとするものであり、一般的なグミキャンディとは、配合させる糖質の全てに結晶性の糖類を用い、さらに該糖類を溶解させることなく、固体のまま分散させて配合させる点が異なるが、あたかもグミキャンディと同様の弾力のある食感を有する菓子をさす。
【0016】
本発明でいう結晶性糖類とは、結晶性を持つ粉体の糖質のことをいい、例えば、砂糖、単糖類(ブドウ糖、果糖)、二糖類以上の多糖類(乳糖、麦芽糖、キシロース等)、糖アルコール(ソルビトール、マルチトール、マンニトール、還元パラチノース、キシリトール)、還元乳糖、エリスリトール等が挙げられる。中でも、砂糖、麦芽糖は風味の点でより好ましい。本発明のグミキャンディにおける前記結晶性糖類の含有量は、35〜80重量%であることが好ましく、50〜70重量%がより好ましい。結晶性糖類の含有量が35重量%未満になると、甘みが低減されることでグミキャンディ様菓子の瑞々しさ(果汁感)が損なわれ、グミとしてのおいしさを表現することができない。また、80重量%を超えると、グミキャンディ様菓子が硬くなりすぎて引き裂き可能な構造を得ることができない。
【0017】
前記食用油脂とは、常温で固体である食用の固形脂であれば良く、融点が35℃以上であることが好ましい。本発明のグミキャンディにおける食用油脂の含有量は、5〜40重量%が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。油脂の含量が5重量%未満であると、グミキャンディ様菓子においてグミ特有の弾力はあるが、結着性が強くなり、引き裂き可能な構造は得がたい。また、40重量%を超えると、乳化状態を安定させることが困難であり、グミキャンディ様菓子において油脂の染み出しが起こりやすい。また、油脂はグミキャンディ様菓子の味に対する影響が大きく、油の含有量が多いほど瑞々しさ(果汁感)が出にくくなり、グミキャンディ様菓子としてのおいしさが損なわれる。
【0018】
前記ゼラチンとしては、豚皮ゼラチン、豚骨ゼラチン、牛皮ゼラチン、牛骨ゼラチン、フィッシュゼラチン等を用いることができる。本発明のグミキャンディにおけるゼラチンの含有量は、2.5〜10重量%であることが好ましく、2.5〜5重量%がより好ましい。2.5重量%未満では、グミキャンディ特有の弾力がなくなり、もろい食感となり、引き裂き可能な構造は得がたい。また、ゼラチンは全体の乳化の安定にも寄与しており、ゼラチンの含有量が少なくなると、乳化状態が壊れやすくグミキャンディ様菓子において油脂の染み出しが起こりやすい。含有量が10重量%を超えると、グミキャンディ特有の弾力のある食感が強調され、結着性が強くなり、容易に引き裂くことができない構造になる。
【0019】
もち米由来アルファ化澱粉としては、例えば、寒梅粉を使用することができる。本発明における、もち米由来アルファ化澱粉の含有量としては、0.2〜0.7重量%が好ましく、0.3〜0.5重量%がより好ましい。0.2重量%未満であると、グミキャンディ様菓子は、結着性が強くなり、引っ張るとちぎれてしまい容易に引き裂くことができない。0.7重量%を超えると、アルファ化澱粉独特の粘りが強すぎて、粘弾性が向上し、グミキャンディ様菓子は容易に引き裂くことができない構造を有するようになる。
【0020】
また、本発明のグミキャンディ様菓子には、前述の結晶性糖類、食用油脂、ゼラチン以外にも、グミキャンディの物性を損なわない程度であれば、必要に応じて、水飴、非結晶性の糖質(非結晶性糖アルコール等)、果汁、粉乳、酸味料、香料、着色料、乳化剤、セルロース、増粘多糖類、甘味料等を使用することができる。
【0021】
本発明のグミキャンディ様菓子は、引き裂き可能な構造として、繊維状の構造を有し、引き裂くことができる。本発明のグミキャンディ様菓子でいう繊維状の構造とは、グミキャンディ様菓子内部及び表面に多数の糸状の筋を有する構造をいう。このような、繊維状の構造では、ゼラチンの網目構造の間に、糖質及び油脂が入り込んでいると考えられる。そして、もち米由来のアルファ化澱粉を使用することにより、引き裂き特性を向上させる機構に関しては明らかではないが、この網目の間に、もち米由来のアルファ化澱粉が散在することによって、その散在した箇所において僅かに網目構造の間の結着性を上昇させ、生地につながりをもたせることで、より容易に引き裂くことができるようになることが考えられる。
【0022】
本発明において、結晶性糖類、食用油脂、ゼラチン及びもち米由来アルファ化澱粉の固形分を前記範囲内に調整することで前記繊維状構造を得ることができる。中でも、結晶性糖類及びもち米由来アルファ化澱粉を併用することで、得られた繊維状構造の強度を引き裂き可能な強度に調整して、グミキャンディ様菓子を引き裂き可能なものにすることができる。
【0023】
本発明のグミキャンディ様菓子が引き裂き可能であることは、グミキャンディ様菓子を引き裂く際にかかる力を、下記の方法でせん断試験を行い測定することで判断できる。
測定には、テクスチャーアナライザー(「Texture Analyzer TA.XT.plus」、Stable Micro Systems社製)を使用する。グミキャンディ様菓子を15mm(縦、繊維の方向性に平行)×10mm(横)×5mm(高さ)に切断し、試料の中央から縦方向に0.75mm切込みを入れ、切り分けられた片方をプランジャーに、片方を台座に固定して、測定速度1mm/secでプランジャーを引き上げ、完全に引き裂かれるまでにかかった力と時間の積(単位;kg・sec)を、引き裂き力とする。この引き裂き力の値は、グミキャンディ様菓子の引き裂きやすさの目安とすることができる。引き裂き力の値が低いほど、引き裂けやすく、値が高いほど、引き裂きにくいことを表すことができる。
本発明では、前記せん断試験による計算値が1.2kg・sec以下の範囲内にあれば、引き裂き可能な構造を有しているとする。
なお、市販のグミキャンディでは、一般的には、1.5〜3.0kg・secである。
【0024】
前記の構成を有する本発明のグミキャンディ様菓子は、加熱溶解させた食用油脂に結晶性糖類及びもち米由来アルファ化澱粉を分散させ、それに、水で膨潤させたゼラチンを混合して溶解させた後、得られた生地を延伸又は展延して方向性を持たせて冷却することで製造される。
具体的には、加熱溶解させて50〜60℃に加温された液状の食用油脂に、結晶性糖類、もち米由来アルファ化澱粉、必要であれば乳化剤を分散させて分散液を得る。また、ゼラチンを水で膨潤させたものに、必要であれば果汁、甘味料、酸味料、香料等を添加し、55〜65℃に加温して、ゼラチン溶解液を得る。次いで、前記分散液と前記ゼラチン溶解液を混合・攪拌し、得られた生地を延伸又は展延した後、冷蔵庫等で冷却・固化してグミキャンディ様菓子を得る。
【0025】
なお、前記延伸は、生地の端を把持して両方へ引っ張り延伸する態様や、ロール等に巻き取る態様が、展延の場合はロールと平板の間で押圧する態様や、ロール間を通過させる態様が挙げられる。これらの作業を反復実施することで生地に方向性を持たせることができる。前記延伸又は展延の条件としては、生地がちぎれないように行えばよく、特に限定はない。
【実施例】
【0026】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の趣旨はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、%及び部は重量基準の数値を示す。
【0027】
(実施例1)
食用油脂(融点37℃の固形脂)256部を湯浴にて55℃まで加温して溶解させ、粉糖722部、寒梅粉5部、乳化剤30部を分散させた。また、ゼラチン70部を90部の水で膨潤させマンゴー果汁40部、果糖ブドウ糖液糖(Brix75)160部、クエン酸20部、甘味料4部、香料6.4部を添加し、60℃の湯浴にて加温し、ゼラチン及び酸を溶解させた。溶解後、得られた分散物と溶解液とをホバートミキサーにより低速で混合攪拌し、攪拌後の生地を同一方向に数回延伸して方向性を持たせ、冷蔵庫(4℃)で冷却した。結果、あたかもグミキャンディのような弾力のある食感とマンゴーの果汁感を持ち、繊維状の構造を有し、容易に引き裂くことができるグミキャンディ様菓子を得ることができた。
【0028】
(実施例2)
食用油脂(融点37℃の固形脂)456部、粉糖を519部、乳化剤を53部用い、その他の成分については実施例1と同様にしてグミキャンディ様菓子の製造を行った。結果、実施例1に比べて噛み出しはやややわらかかったが、グミ特有の弾力のある食感とマンゴーの果汁感を持ち、繊維状の構造を有し、容易に引き裂くことができるグミキャンディ様菓子を得ることができた。
【0029】
(実施例3)
食用油脂(融点37℃の固形脂)96部、粉糖を901部、乳化剤を11.2部用い、その他の成分については実施例1と同様にしてグミキャンディ様菓子の製造を行った。結果、実施例1に比べて噛み出しはやや硬く、グミ特有の弾力のある食感が十分に感じられ、かつマンゴーの果汁感を持ち、繊維状の構造を有し、容易に引き裂くことができるグミキャンディ様菓子を得ることができた。
【0030】
(実施例4)
寒梅粉4部用い、その他の成分については実施例1と同様にしてグミキャンディ様菓子の製造を行った。結果、実施例1に比べて、グミ特有の弾力のある食感はあるが噛み出しはやや軟らかく、かつマンゴーの果汁感を持ち、繊維状の構造を有し、引き裂くことができるグミキャンディ様菓子を得ることができた。
【0031】
(実施例5)
寒梅粉を8部用い、その他の成分については実施例1と同様にしてグミキャンディ様菓子の製造を行った。結果、実施例1に比べて噛み出しはやや硬く、グミ特有の弾力のある食感が強調され、かつマンゴーの果汁感を持ち、繊維状の構造を有し、引き裂くことができるグミキャンディ様菓子を得ることができた。
【0032】
(実施例6)
ゼラチンを36部用い、その他の成分については実施例1と同様にしてグミキャンディ様菓子の製造を行った。結果、実施例1と比較すると軟らかい食感であったが、弾力はあり、かつマンゴーの果汁感を持ち、繊維状の構造を有し、引き裂くことができるグミキャンディ様菓子を得ることができた。
【0033】
(実施例7)
ゼラチンを140部用い、その他の成分については実施例1と同様にしてグミキャンディ様菓子の製造を行った。結果、実施例1に比べて噛み出しはやや硬く、グミ特有の弾力のある食感が強調され、かつマンゴーの果汁感を持ち、繊維状の構造を有し、引き裂くことができるグミキャンディ様菓子を得ることができた。
【0034】
(比較例1)
食用油脂(融点37℃の固形脂)56部、粉糖を947部、乳化剤6.5部、果糖ブドウ糖液糖10部を用い、その他の成分については実施例1と同様にしてグミキャンディ様菓子の製造を行った。結果、マンゴーの果汁感は感じられたが、噛み出しが硬く、グミ特有の弾力のある食感は強調され、結着性が強く、容易に引き裂くことができなかった。
【0035】
(比較例2)
食用油脂(融点37℃の固形脂)656部、粉糖を372部、乳化剤76部を用い、その他の成分については実施例1と同様にしてグミキャンディ様菓子の製造を行った。結果、繊維状の構造は得られ、引き裂くことはできたが、油脂の染み出しが起こり、マンゴーの果汁感も感じられず、グミ様の弾力もなかった。
【0036】
(比較例3)
寒梅粉を10部用い、その他の成分については実施例1と同様にしてグミキャンディ様菓子の製造を行った。結果、噛み出しが硬く、マンゴーの果汁感は感じられグミ特有の弾力のある食感が強調されたが、結着性が強く、容易に引き裂くことができなかった。
【0037】
(比較例4)
寒梅粉2.5部用い、その他の成分については実施例1と同様にしてグミキャンディ様菓子の製造を行った。結果、得られたグミキャンディ様菓子は、グミ特有の弾力のある食感及びマンゴーの果汁感も感じられた。しかし、繊維状の構造を有するものの、粘弾性があり、容易に引き裂くことはできなかった。
【0038】
(比較例5)
寒梅粉を用いず、その他の成分については実施例1と同様にしてグミキャンディ様菓子の製造を行った。結果、得られたグミキャンディ様菓子は、グミ特有の弾力のある食感及びマンゴーの果汁感も感じられた。しかし繊維状の構造を有するものの、結着性があり、容易に引き裂くことはできなかった。
【0039】
(比較例6)
食用油脂(融点37℃の固形脂)256部、酵素水飴(Brix75)962部、寒梅粉5部、乳化剤30部を分散させ、その他の成分については実施例1と同様にしてグミキャンディ様菓子の製造を行った。結果、噛み出しが硬く、グミ特有の弾力のある食感及びマンゴーの果汁感も感じられた。しかし、糖類として水飴を使用しているため結着性が強く、容易に引き裂くことができなかった。
【0040】
(比較例7)
ゼラチンを30部用い、その他の成分については実施例1と同様にしてグミキャンディ様菓子の製造を行った。マンゴーの果汁感は感じられたが、ゼラチンの量が少ないため、繊維状の構造が見られず、グミキャンディ特有の弾力のある食感はなく、結着性が強く容易に引き裂くことはできなかった。
【0041】
(比較例8)
ゼラチン170部を用い、その他の成分については実施例1と同様にしてグミキャンディ様菓子の製造を行った。結果、ゼラチンの量が多いため、噛み出しが硬く、グミ特有の弾力のある食感が強調された。しかし、マンゴーの果汁感も感じられず、結着性が強く、容易に引き裂くことができなかった。
【0042】
(比較例9)
寒梅粉の代わりにタピオカ澱粉を5部使用し、その他の成分については実施例1と同様にしてグミキャンディ様菓子の製造を行った。結果、噛み出しが硬く、グミ特有の弾力のある食感が強調された。しかし、もち米由来アルファ化澱粉を使用していないため、マンゴーの果汁感も感じられず、結着性が強く、容易に引き裂くことができなかった。
【0043】
(比較例10)
寒梅粉の代わりにα化タピオカ澱粉を5部使用し、その他の成分については実施例1と同様にしてグミキャンディ様菓子の製造を行った。結果、噛み出しが硬く、グミ特有の弾力のある食感が強調された。しかし、もち米由来アルファ化澱粉を使用していないため、マンゴーの果汁感も感じられず、結着性が強く、容易に引き裂くことができなかった。
【0044】
実施例1〜7及び比較例1〜10におけるグミキャンディ様菓子の固形分での組成及び得られたグミキャンディ様菓子の繊維状構造の有無と、引き裂き特性、食感、味についての評価を、表1及び2に示す。
【0045】
なお、繊維状構造は、グミキャンディ様菓子の切断面に、多数の糸状の筋が露出している状態を目視にて確認した。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
表1、2から実施例1〜7で得られたグミキャンディ様菓子は、いずれも繊維状構造を有しており、また、引き裂き特性もあり、好ましい食感及び味を備えたものであることがわかる。
一方、比較例1〜10は、繊維状構造、引き裂き特性、食感及び味の少なくとも1つの評価が×又は△のものであり、合格品とはいえなかった。
【0049】
(試験例)
実施例1、5、比較例5、6、9、10で得られた菓子を、せん断試験に供した。
測定には、テクスチャーアナライザー(「Texture Analyzer TA.XT.plus」、Stable Micro Systems社製)を使用した。菓子を15mm(縦、繊維の方向性に平行)×10mm(横)×5mm(高さ)に切断し、試料の中央から縦方向に0.75mm切込みを入れ、切り分けられた片方をプランジャーに、片方を台座に固定して、測定速度1mm/secでプランジャーを引き上げ、完全に引き裂かれるまでにかかった力と時間の積(単位;kg・sec)を、引き裂き力とした。その結果を表3に示す。
【0050】
【表3】

【0051】
表3の結果より、実施例1、5のグミキャンディ様菓子は、いずれも繊維状構造を有し、せん断試験による計算値が1.0kg・sec以下であり、引き裂け易いものであった。これに対して、もち米由来アルファ化澱粉を配合していない比較例5のものには繊維状構造が認められたが、前記せん断試験による計算値は2.11kg・secであり、容易に引き裂きがたいものであった。また、結晶性糖質を配合していない比較例6、もち米由来アルファ化澱粉のかわりにタピオカ澱粉を用いた比較例9、α化タピオカ澱粉を用いた比較例10の菓子は、いずれも繊維状構造を有しておらず、前記せん断試験による計算値も2.5〜2.8kg・secもあり、容易に引き裂きがたいものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形分として、結晶性糖類を35〜80重量%、食用油脂を5〜40重量%、ゼラチンを2.5〜10重量%、もち米由来アルファ化澱粉を0.2〜0.7重量%含み、引き裂き可能な構造を有するグミキャンディ様菓子。
【請求項2】
引き裂き可能な構造として繊維状の構造を有する請求項1記載のグミキャンディ様菓子。

【公開番号】特開2011−130731(P2011−130731A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295048(P2009−295048)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(390020189)ユーハ味覚糖株式会社 (242)
【Fターム(参考)】