説明

張力逃し機構を備えたコネクタ組立体

コネクタ組立体は、外部ハウジング、内部ハウジング、コレット(collet)およびリテーナを含む。前記外部ハウジングは、長手方向に前端と後端の間を延伸する。前記後端は、ケーブルを受容する開口を備える。前記内部ハウジングは、前記外部ハウジング内に配置され、電磁干渉の放出を制限するためにケーブルに電気的に連結されるシールドを含む。前記コレットは、前記外部ハウジングの前記後端においてケーブルを囲んで配置される。前記コレットは、長手方向に延伸し、前記ケーブルと係合するように構成される指状部を含む。前記リテーナは、前記外部ハウジング後端に固定され、前記外部ハウジングと前記リテーナ間に前記コレットを固定する。前記リテーナおよび前記コレットは、前記ケーブルにかかった張力を前記シールドと前記ケーブルとの境界面から離れるように向ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドコネクタに関し、特には、高電圧アプリケーションで用いられる張力逃し機構(ストレインリリーフ:strain relief)を備えるシールドコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料コストの増加および環境汚染削減の努力の増加によって、自動車産業は電気自動車およびハイブリッド電気自動車(HEV)の方向へ向かっている。これら乗り物における1つの設計面として、比較的高作動電圧のための考慮や要求がある。その結果として、高作動電圧を許容するように、そのようないくつかの公知の乗り物の具体的部品は設計されている。
【0003】
いくつかの現在の自動車産業アプリケーションにおいて、金属モジュールに実装された高電圧プラグコネクタおよびヘッダコネクタ間を安定的に、機械的にシールされ、かつ、電気的な接続を与えるために、高電圧シールドコネクタが用いられる。高電圧電流を供給する入力多芯ケーブルの網状ケーブルシールドからプラグコネクタのシールドに強力なシールド連続性を与えるコネクタが必要となる場合がある。例えば、電磁干渉をシールドするためにコネクタ内の入力ケーブルとシールド間の連続的な導電路を確保するコネクタが必要となる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
公知のコネクタの1つの問題は、ケーブルが堅く、張力の、曲げの、ねじりの張力の多くが、網状ケーブルシールドとプラグシールド要素間の電気的接続へ伝わってしまうことである。例えば、コネクタ外側のケーブル移動は、ケーブルと1つ以上のコネクタ部品間の境界面に大きな張力を与える。張力によって、境界面でケーブルがコネクタ部品から分離してしまい、それゆえに、コネクタの機械的性能および電気的性能が危うくなる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決するための手段は、以下記載されるように、外部ハウジング、内部ハウジング、コレット(collet)およびリテーナを含むコネクタ組立体によって与えられる。前記外部ハウジングは、長手方向に前端と後端の間を延伸する。前記後端は、ケーブルを受容する開口を備える。前記内部ハウジングは、前記外部ハウジング内に配置され、電磁干渉の放出を制限するために前記ケーブルに電気的に連結されるシールドを含む。前記コレットは、前記外部ハウジングの前記後端において前記ケーブルを囲んで配置される。前記コレットは、長手方向に延伸し、前記ケーブルと係合するように構成される指状部を含む。前記リテーナは、前記外部ハウジング後端に固定され、前記外部ハウジングと前記リテーナ間に前記コレットを固定する。前記リテーナおよび前記コレットは、前記ケーブルにかかった張力を前記シールドと前記ケーブルとの境界面から離れるように向ける。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、本発明の一実施形態におけるコネクタ組立体を前から見た斜視図である。
【図2】図2は、図1に示されたコネクタ組立体を後ろから見た斜視図である。
【図3】図3は、図1に示されたコネクタ組立体の部分組立体の分解図である。
【図4】図4は、図1に示されたコネクタ組立体の分解図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態における図1に示されたコネクタ組立体用のコレットを前から見た斜視図である。
【図6】図6は、図5に示されたコレットを後ろから見た斜視図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態における図1に示されたコネクタ組立体用のリテーナを後ろから見た斜視図である。
【図8】図8は、図7に示されたリテーナを前から見た斜視図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態における図1に示されたコネクタ組立体の組立順序の第一段階の斜視図である。
【図10】図10は、図9に示されたコネクタ組立体の組立順序の第一段階の断面図である。
【図11】図11は、本発明の一実施形態における図1に示されたコネクタ組立体の組立順序の第二段階の斜視図である。
【図12】図12は、図11に示されたコネクタ組立体の組立順序の第二段階の断面図である。
【図13】図13は、本発明の一実施形態における図1に示されたコネクタ組立体の組立順序の第三段階の斜視図である。
【図14】図14は、図13に示されたコネクタ組立体の組立順序の第三段階の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、以下添付の図面を参照して例示的に説明される。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態におけるシールドコネクタ組立体を前から見た斜視図である。図2は、図1に示されたコネクタ組立体を後ろから見た斜視図である。図3は、図1に示されたコネクタ組立体の部分組立体の分解斜視図である。コネクタ組立体1は、同時係属の米国特許出願番号12/539,261号明細書(出願日:2009年8月11日、発明の名称:「二段階ラッチを備えるコネクタ組立体」)に開示されたヘッダコネクタ部分組立体のようなヘッダコネクタと嵌合してもよい。米国特許出願番号12/539,261号明細書の全内容は、本明細書で参照され、援用される。前記コネクタ組立体1および前記ヘッダコネクタは、互いの間の電力伝送のために互いに嵌合する。コネクタ組立体1は、高電圧コネクタ組立体であってもよい。例えば、コネクタ組立体1は、ヘッダコネクタ組立体に約600ボルトまでの電圧で電流を流すことが可能である。コネクタ組立体1は、少なくとも42ボルトの電圧で電流を流す。別の実施形態では、コネクタ組立体1は、電流をより低い電圧で流す組立体であってもよい。コネクタ組立体1は、自動車用コネクタ組立体であってもよい。例えば、コネクタ組立体1は、電流を自動車内の2つ以上の電気装置またはモジュール間に電流を流すために用いられてもよい。ヘッダコネクタは、自動車の高電圧アプリケーションで金属モジュール(図示せず)のようなモジュールに実装されてもよい。
【0009】
コネクタ組立体1は、内部部分組立体2、外部部分組立体3、スペーサ41(図3参照)、ケーブルシール42(図3参照)、コレット4(図3参照)およびリテーナ5を含む。外部部分組立体3は、図3に示されるように、前端100と後端102との間に長手方向に延伸する。前端100は、ヘッダコネクタ(図示せず)のような相手コネクタと嵌合する。後端102は、外部ハウジング部分組立体3を貫通する開口104を含む。
【0010】
スペーサ41は、外部ハウジング部分組立体3の内部に配置されるボディである。スペーサ41は、内部ハウジング部分組立体2のシールド23,24とケーブルシール42との間に配置される。スペーサ41は、互いに逆向きの両面302,304間に延伸し、互いに逆向きの両面302および304間を貫通する開口306を備える。開口306は、内部ハウジング部分組立体2のケーブル21がスペーサ41を通過できるように、ケーブル21を受容する大きさまたは寸法が設定される。スペーサ41によって、ケーブルシール42は、外部ハウジング部分組立体3内で、積極的に前進阻止される。例えば、スペーサ41は、ケーブルシール42が外部ハウジング組立体3内へ配置可能の深さを制限するために、外部ハウジング組立体3内へ挿入される際に、ケーブルシール42と係合してもよい。
【0011】
ケーブルシール42は、スペーサ41とコレット4間に配置されたエラストマー製のボディ308を含む。ケーブルシール42は、外部ハウジング部分組立体3の後端102を通じて湿気や他の異物が外部ハウジング部分組立体3の内部へ侵入することに対してシールする。ボディ308は、互いに逆向きの両面310,312間に延伸し、互いに逆向きの両面310,312間を貫通するケーブル用開口314を備える。内部ハウジング部分組立体2のケーブル21は、ケーブル用開口314を通じてケーブルシール42を通過する。一以上のポスト用開口316は、ボディ308を貫通する。例示される実施形態において、ポスト用開口316は、ケーブル用開口314の周りに配置される。ポスト用開口316の数および/または配置は、図3に示されるものと異なって与えられてもよい。
【0012】
図4は、図1のコネクタ組立体1の分解図である。内部ハウジング部分組立体2は、内部ハウジング22、上部シールド23、下部シールド24、ケーブル21、内部フェルール25、外部フェルール26を含む。内部ハウジング22は、シールド23とシールド24との間に配置される。内部ハウジング22は、誘電性材料を含んでも、または誘電性材料から形成されてもよい。例えば、内部ハウジング22は、1つ以上のポリマーから成形されてもよい。シールド23,24は、電磁干渉からコネクタ組立体1の1つ以上の要素をシールドする電磁シールドであってもよい。例えば、シールド23,24は、シールド23,24の外側へ電磁干渉の放出を制限できる。シールド23,24は、シールド23,24の外側へ延伸する1つ以上のコンタクトスプリング231を含む。例えば、スプリング231は、コネクタ組立体1がヘッダコネクタ組立体に挿入される際に、シールド23,24方向へ偏倚する片持ち梁であってもよい。一実施形態において、スプリング231は、ヘッダコネクタ組立体のシールドなどで、ヘッダコネクタ組立体とシールド23,24とが電気的に連結するように、ヘッダコネクタ組立体に係合する。シールド23,24は、内部ハウジング22をほぼ包む電磁シールドを形成するように組み合わせられる。別の実施形態では、シールド23,24は、金属または金属合金など導電性材料から形成された単独、単一のボディとして備えられてもよい。内部ハウジング22は、外部ハウジング部分組立体3内へ内部ハウジング部分組立体2を挿入する前に、上部シールド23および下部シールド24を一時的に保持するために、スロット222も含む。例えば、シールド23,24は、シールド23,24を内部ハウジング22に固定するためにスロット222内に受容され、内部に突出する突条(ridge)404,406を含む。
【0013】
シールド23,24は、シールド23,24が内部ハウジング22に連結されると、開口300(図3参照)を形成する後部開口400,402(図4参照)を備える。ケーブル21は、後部開口400,402によって規定された開口300を通じて挿入される。ケーブル21は、ケーブル21を長手方向に貫通する1つ以上の内部心線200(図2参照)を含む。心線200は、電力伝送可能な電線であってもよい。例示的な実施形態において、ケーブル21は、網状ケーブルシールド27(図2参照)を備えた複数心線型のケーブルである。内部心線200の各心線は、対応する内部心線200の端部周辺に圧着された端子28と接続される。内部ハウジング22は、端子28を収容するためのキャビティ29(図1参照)を含む。キャビティ29は、コネクタ組立体1が嵌合するヘッダコネクタ(図示しない)のコンタクトまたは端子(図示しない)を受容し、電気的にヘッダコネクタとコネクタ組立体1を連結する。
【0014】
さらに図4に示されるように、外部ハウジング部分組立体3は、外部ハウジング31、環状シール32、環状シールリテーナ33を含む。外部ハウジング31は、内部ハウジング部分組立体2を受容するためのほぼ環状のボディを含む。外部ハウジング31は、外部ハウジング31の外面に配置された、1つ以上の外方向へ突出するラグ311を含む。環状シール32は、前端100で、外部ハウジング31内の開口の外周辺まで伸びる。環状シール32は、外部ハウジング31の前端100と環状シールリテーナ33との間に圧縮されたエラストマー製ボディであってもよい。環状シールリテーナ33は、環状シール32を外部ハウジング31の前端100に固定するために、外部ハウジング31に連結される。環状シール32は、外部ハウジング31の内部への湿気や他の異物の侵入を防止できる。
【0015】
内部フェルール25および外部フェルール26は、金属や金属合金などの導電性材料を含む材料、あるいは導電性材料から形成されてもよい。内部フェルール25は、ケーブル21が内部フェルール25を貫通するようにケーブル21上に配置される。内部フェルール25は、網状ケーブルシールド27の露出部408上に配置される。外部フェルール26は、内部フェルール25上に配置され、後部開口400,402で、またはその近傍でシールド23,24に圧着される。内部フェルール25および外部フェルール26は、機械的に網状ケーブルシールド27とシールド23,24を連結および固定できる。別の実施形態では、外部フェルール26および/または内部フェルール25は、シールド23,24と網状ケーブルシールド27との間の導電路となってもよい。例えば、内部フェルール25は、網状ケーブルシールド27と電気的に連結され、外部フェルール26は、シールド23,24と電気的に連結されてもよい。シールド23,24がフェルール25,26を通じて電気接地基準(electric ground reference)と電気的に連結されることによって、ケーブルシールド27は、電気接地基準と電気的に連結されてもよい。シールド23,24は、この電気接地基準との電気的な連結により、電磁干渉から内部ハウジング22をシールドすることができる。以下に説明されるように、ケーブル21を移動させることにより、ケーブルシールド27と1つ以上のシールド23,24の間の接続に張力を与える場合や、および/または、シールド23,24を互いに引き離してしまう場合がある。シールド23,24からケーブルシールド27を引き離すような張力を防止するため、および/または、シールド23,24を互いから離れるように移動、分離、または損壊してしまうことを防止するために、コレット4は、シールド23,24とケーブルシールド27との連結部の外側でケーブル21に固定される。
【0016】
本発明の一実施形態における、図5は、コレット4を前から見た斜視図であり、図6はコレット4を後ろから見た斜視図である。コレット4は、平面状ボディ43および平面状ボディ43を貫通する中央開口431を含む。ボディ43の厚さは、ボディ43の厚さに対して垂直な、少なくとも2つの異なる方向において、ボディ43の寸法よりもかなり薄いという面において、ボディ43は平面である。ボディ43の厚さは、前側面432と後側面433間の長さである。外部ハウジング部分組立体3(図1参照)へと組み立てられる際に、後側面433が外部ハウジング31の内部とは反対方向に向く一方で、コレット4の前側面432は、外部ハウジング31(図4参照)の内部方向に向く。
【0017】
ボディ43は、スペーサ41(図3参照)、ケーブルシール42(図3参照)およびリテーナ5(図2参照)と協働できるように大きさや形状が決められている。例えば、ボディ43は、リテーナ5と外部ハウジング31間に配置されるだけでなく、外部ハウジング31(図3参照)内で、スペーサ41およびケーブルシール42を取り囲んでもよい。1つ以上のポスト434が前側面432から突出する。複数のポスト434は、コレット4が外部ハウジング31へ組み立てられる際、前側面432から外部ハウジング31の内面へ向かう前方向に突出する。ポスト434は、ケーブルシール42(図3参照)のポスト用開口316(図3参照)の対応ポストに嵌め込まれるように、大きさ、形状、配置が決められる。ポスト434は、ケーブルシール42にコレット4を整列させ、向かせるために、ポスト用開口316内へ受容される。さらに、ポスト434がポスト用開口316内へ受容されることで、コネクタ組立体1が組み立てられる際に、ケーブルシール42がコレット4によっておよそ等しく圧縮されるように、コレット4をケーブルシール42に対して配置することが確実となる。別の実施形態では、異なる部品が、ケーブルシール42に対して、コレット4を整列させ、および/または、向かせるために用いられてもよい。例えば、突起、結合部(nub)、他の突部など、異なる態様の突起がポスト434の代わりに、またはポスト434と協働するように用いられてもよい。
【0018】
1つ以上の指状部435が後側面433から後方向へ突出する。指状部435は、開口431の周りに配置される。例示的な実施形態において、指状部435は、ボディ43から対応する外端部500までの長さである柔軟な片持ち梁である。指状部435は、互いに向く内側方向と互いに背く外側方向に柔軟である。例えば、コレット4がケーブル21に取り付けられる際に、ケーブル21(図3参照)の内部または外部ジャケットに取り付け可能なように、指状部435を互いに背く外側方向に柔軟としてもよい。
【0019】
指状部435は、内面436(図5参照)および内面436と反対側の外面437(図6参照)を含む。例示的な実施形態において、内面436は、鋸歯状である。例えば、内面436は、指状部435の長手方向に対して横切る方向に指状部435を横切るように突出する鋸歯状または階段状の縁部438を含んでもよい。縁部438は、ケーブル21にコレット4を保持するようにケーブル21に係合する。例えば、縁部438は、指状部435がケーブル21へ押し込まれると、ケーブル21にコレット4を固定するために、ケーブル21の外部ジャケットすなわち表面に噛み合って係合する複数の歯であってもよい。例示的な実施形態にも示されるように、指状部435は、外面437に沿って長手方向に延伸して突出するリブ440を含む。リブ440は、指状部435の外面437に長手方向に延伸する凹部スロット502を規定する。指状部435は、指状部435の外縁間の間隙(air gap)によって互いから分離されている。指状部435は、指状部435の外部自由端500に配置される内側斜面439と外側斜面441を含む。内側斜面439は、ケーブル21(図2参照)へのコレット4の組み立てを容易にする。外側斜面441は、指状部435をケーブル21に押し込むために、リテーナ5(図1参照)に傾斜面525(図7参照)の内面800(図8参照)と協働する。
【0020】
図7および図8は、本発明の一実施形態におけるリテーナ5の斜視図である。リテーナ5は、前端700と後端702との間に長手方向に延伸し、前端700と後端702との間を貫通する開口704を備える。リテーナ5は、押し込み部52(図7参照)とシュラウド部53を含む。押し込み部52は、前端700と後端702との間で、シュラウド部53を横切る。例示的な実施形態において、押し込み部52は、後端702からシュラウド部53まで延伸し、シュラウド部53は、前端700から押し込み部52まで延伸する。
【0021】
押し込み部52は、内面521と内面521の反対側の外面522(図7参照)と、外面522に沿って長手方向に延伸する1つ以上の堅牢なリブ523を含む。リブ523は、曲げや左右へ撓まないように、押し込み部52にさらなる強さと堅牢さを与えるための材料を押し込み部52に付加したものである。1つ以上の安定化リブ524は、押し込み部52の内面521に沿って長手方向に延伸する。安定化リブ524は、コレット4(図3参照)を安定化するために、コレット4の指状部435(図5参照)と係合する。例えば、安定化リブ524は、スロット502(図5参照)と係合してもよく、および/または指状部435の側部に係合するために、間隙504(図5参照)内に配置されてもよい。安定化リブ524と指状部435とが係合することにより、ケーブル21(図2参照)のコレット4に対しての回転やねじれなどで、ねじり応力がケーブル21に及んだとしても、指状部435の回転または回転移動または撓みを防止できる。
【0022】
押し込み部52は、外面522および内面800を備える傾斜面525を含む。傾斜面525は、ケーブル21(図2参照)に指状部435を押し込む際に、コレット4(図3参照)の指状部435(図5参照)の外側斜面441と協働する内面800を含む。例えば、内面800に沿って前から後ろまで指状部435がスライドし、指状部435がケーブル21へ押し込まれるように、内面800によって内側へ偏倚することで、リテーナ5はコレット4上に配置されてもよい。
【0023】
リテーナ5のシュラウド部53は、外部ハウジング組立体3(図1参照)の後端部102(図3参照)の後端に配置される。例示的な実施形態において、シュラウド部53は、シュラウド部53を貫通する開口706を含む。開口部706は、外部ハウジング組立体3のラグ311(図4参照)を受容して、外部ハウジング組立体3の外部ハウジング31(図4参照)にリテーナ5を固定する。外部ハウジング31が一旦固定されると、リテーナ5は、外部ハウジング31の後端102(図3参照)を封止することで、外部ハウジング31内にコレット4(図3参照)、ケーブルシール42(図3参照)およびスペーサ41(図3参照)を取り囲む。
【0024】
図9から図14は、本発明の一実施形態のコネクタ組立体1へのコレット4およびリテーナ5の組み立て段階をそれぞれ図示したものである。図9は、コネクタ組立体1へのコレット4およびリテーナの組み立ての第1段階におけるコネクタ組立体1の斜視図である。図10は、図9に示されるコネクタ組立体1の断面図である。内部部分組立体2は、外部部分組立体3内に配置される。ケーブル21は、第一段階では、ケーブルシール42の前側面310からケーブルシール42の開口314およびコレット4の前側面432からコレット4の中央開口431を通じてスライドする。
【0025】
図11は、コネクタ組立体1へのコレット4およびリテーナの組み立ての第2段階におけるコネクタ組立体1の斜視図である。図12は、図11に示されるコネクタ組立体1の断面図である。第二段階では、コレット4のポスト434(図5参照)が、ケーブルシール42のポストに対応する開口316(図3参照)内へコレット4が受容されるまで、コレット4は外部ハウジング部分組立体3へ向かって移動またはスライドする。コレット4のボディ43は、外部ハウジング部分組立体3の後端102と嵌合する。図12に示されるように、コレット4は、後端102と嵌合し、ケーブルシール42、スペーサ41、シールド23,24(図4参照)、内部ハウジング22(図4参照)を外部ハウジング部分組立体3内に取り囲む。図12には図示されていないが、組み立ての第二段階では、コレット4の指状部435は、ケーブル21と互いに背く外側方向に偏倚される。
【0026】
図13は、コネクタ組立体1へのコレット4およびリテーナの組み立ての第3段階におけるコネクタ組立体1の斜視図である。図14は、図13に示されるコネクタ組立体1の断面図である。コネクタ組立体1の組み立ての第三段階によって、組立体が完成する。第三段階では、リテーナ5は、ケーブル21とコレット4上をスライドする。リテーナ5がコレット4上をスライドすると、リテーナ5の安定化リブ524(図7参照)は、コレット4の指状部435上のリブ440(図5参照)間に、または、リブ440によって規定されたスロット502(図5参照)内に配置される。別の実施形態では、安定化リブ524は、指状部435間の間隙504(図5参照)に配置されてもよい。リテーナ5の内面800がコレット4の指状部435に対して拡げるように移動することで、コレット4をケーブル21が通過することになる。傾斜面525は、互いを向く内側方向に指状部435を偏倚させるので、指状部435をケーブル21へ押し込むことができる。指状部435をケーブル21へ押し込むと、指状部435の鋸歯状の縁部438(図6参照)がケーブル21と係合し、ケーブル21にコレット4を固定できる。
【0027】
リテーナ5の開口706は、外部ハウジング部分組立体3のラグ311を受容し、外部ハウジング部分組立体3の後端102にリテーナ5を固定する。リテーナ5は、ケーブル21を後方にリテーナ5を突貫可能とするが、コレット4、ケーブルシール42、スペーサ41、内部ハウジング部分組立体2を外部ハウジング部分組立体3の内部に取り囲む。
【0028】
一実施形態において、リテーナ5が外部ハウジング部分組立体3へ一旦固定されると、ケーブル21のコネクタ組立体1に対しての外側への移動によって、ケーブル21と1つ以上の他のコネクタ組立体1の部品の境界面に張力がかかる場合がある。例えば、ケーブル21をコネクタ組立体1から外側へ移動させると、ケーブル21およびケーブル21が連結された部品の境界面に張力がかかる場合がある。ケーブル21と内部ハウジング部分組立体2のシールド23,24(図4参照)との境界面に張力がかかることないように、コレット4および/またはリテーナ5は、ケーブル21とシールド23,24との境界面から外側に離れる方向へのケーブル21の移動を制限し、張力を境界面から離れる方向へ向けさせる。例えば、コネクタ組立体1の外側にあるケーブル21の部分については、コネクタ組立体1に対して移動することができるが、コネクタ組立体1内のケーブル21であって、リテーナ5の押し込み部52とシールド23,24との境界面部分については、コネクタ組立体1に対しての移動を制限されることになる。結果として、ケーブル21とコネクタ組立体1の他の要素間の境界面にかけられた張力は、張力がかかってもコネクタ組立体1からのケーブル21の分離を引き起こさない比較的に堅牢なコレット4および/またはリテーナ5へと向けられるので、内部ハウジング部分組立体3およびシールド23,24には影響を与えないことになる。
【符号の説明】
【0029】
1・・・コネクタ組立体
4・・・コレット
5・・・リテーナ
21・・・ケーブル
22・・・内部ハウジング
23,24・・・シールド
31・・・外部ハウジング
42・・・ケーブルシール
43・・・平面状ボディ
100・・・前端
102・・・後端
308・・・ポスト
314・・・ケーブル用開口
435・・・指状部
438・・・鋸歯状縁部
521・・・内面
524・・・リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ組立体(1)であって、
長手方向に前端(100)と後端(102)との間を延伸し、前記後端は、ケーブル(21)を受容する開口(104)を備える外部ハウジング(31)と、
前記外部ハウジング内に配置され、電磁干渉の放出を制限するために前記ケーブルに電気的に連結されるシールド(23,24)を含む内部ハウジング(22)と、
前記外部ハウジングの前記後端において、長手方向に延伸し前記ケーブルと係合するように構成される複数の指状部(435)を含み、前記ケーブルを囲んで配置されるコレット(4)と、
前記外部ハウジング後端に固定され、前記外部ハウジングとの間に前記コレットを固定するリテーナ(5)と、を備え、
前記リテーナおよび前記コレットは、前記ケーブルにかかった張力を前記シールドと前記ケーブルとの境界面から離れるように向けることを特徴とするコネクタ組立体。
【請求項2】
前記コレットの前記指状部は、前記コレットを前記ケーブルに係合して固定する鋸歯状縁部(438)を含むことを特徴とする請求項1記載のコネクタ組立体。
【請求項3】
前記外部ハウジングと前記コレットとの間であって、前記外部ハウジングの前記後端に配置されたケーブルシール(42)を含み、
前記ケーブルシールは、前記コレットによって押し込まれ、前記外部ハウジングの前記後端をシールすることを特徴とする請求項1記載のコネクタ組立体。
【請求項4】
前記ケーブルシールは、前記ケーブルを受容するよう貫通するケーブル用開口(314)と内側方向に延伸するポスト用開口(316)を備えるエラストマー製ボディ(308)と、
前記コレットは、前側に突出し、前記ケーブルシールの前記ポスト用開口内に受容されるポスト(434)を含むことを特徴とする請求項3記載のコネクタ組立体。
【請求項5】
前記ケーブルが前記複数の指状部間の前記コレットに挿入される際に、前記複数の指状部は、外側に撓むことを特徴とする請求項1記載のコネクタ組立体。
【請求項6】
前記リテーナは、前記リテーナが前記コレットに組み付けられる際に、前記コレットの前記指状部を前記ケーブルに押し込む内面を含むことを特徴とする請求項1記載のコネクタ組立体。
【請求項7】
前記リテーナは、前記リテーナの内面(521)に沿って配置された長手方向に延伸する複数のリブ(524)を含み、
前記リブは、前記コレットの前記指状部と係合し、ねじれ応力が前記ケーブルにかけられても、前記指状部の回転移動を防止することを特徴とする請求項1記載のコネクタ組立体。
【請求項8】
前記コレットは、前記ケーブルを受容する大きさとされた貫通する開口を備えた平面状ボディ(43)を含むことを特徴とする請求項1記載のコネクタ組立体。
【請求項9】
前記外部ハウジングの前記後端に配置されたケーブルシール(42)をさらに含み、
前記コレットは、前記平面状ボディの片側から突出し、前記ケーブルと係合する指状部(435)と、
前記平面上ボディの反対側から突出し、前記ケーブルシールと係合するポスト(434)とを含むことを特徴とする請求項8記載のコネクタ組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−511804(P2012−511804A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540706(P2011−540706)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/006519
【国際公開番号】WO2010/068291
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(399132320)タイコ・エレクトロニクス・コーポレイション (234)
【氏名又は名称原語表記】Tyco Electronics Corporation
【Fターム(参考)】