説明

弾性栓体、医療用キャップおよびその製造方法

【課題】針刺し時の液漏れがなく、また針抜けに対する保持力や復元力に優れるなど、密封性の保持に優れた弾性栓体、それを備えた医療用キャップおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】弾性栓体11と、弾性栓体11の周縁部を針刺面14側から内壁で保持する上側枠部12aおよび接液面15側から内壁で保持する下側枠部12bを備えた外枠体12とを有する医療用キャップ10であって、下側枠部12bには、弾性栓体11を加締めるための加締め部18が少なくとも1つ設けられ、弾性栓体11には、その接液面15の第2周縁部19における任意の位置に、前記加締め部18を外枠体12と一体的に成形するためのキャビティ部13が少なくとも1つ設けられており、弾性栓体11は、上側枠部12aとの接触面で溶着されておらず、かつ、下側枠部12bとの接触面で溶着されており、さらに、キャビティ部13においても加締め部18との接触面で溶着している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸液容器、採血管、バイアル瓶等の容器の閉栓に用いられる弾性栓体、医療用キャップおよびその製造方法に関する。特に、医療用プラスチック針等の穿刺針を針刺しした際に液漏れがなく、また針抜けに対する保持力や復元力に優れ、密封性の保持に優れた弾性栓体、医療用キャップおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野に用いられる薬液ボトルや点滴用の輸液ボトル等の薬剤容器には、その開口を閉栓するための医療用キャップが設けられている。さらに、前記医療用キャップとしては、プラスチック針でその薬液を取り出せるようにするため、ゴム栓や、外枠体の内側に弾性栓体(例えば、ゴムやエラストマー樹脂等)を設けたものが用いられている。また、この様な医療用キャップには、薬液や輸液の漏洩を防止したり、空気に触れることによる変質を防止するために、密閉性が求められている。
【0003】
外枠体の内側に弾性栓体を備えた前記医療用キャップとしては、例えば、弾性栓体としてのゴム栓が、少なくともその胴部全側面において、外枠体としてのゴム栓外郭外枠体から圧縮応力を受けて互いに密着状態にした輸液容器用口栓体が提案されている(下記特許文献1参照)。また、特許文献1には、当該輸液容器用口栓体は、ゴム栓とゴム栓外郭外枠体とが融着した状態にするとの記載もある。さらに、当該特許文献1によれば、ゴム栓はゴム栓外郭外枠体から圧縮応力を受けることにより、刺通針に対する締めつけ力、および針の刺通により生じた孔の閉塞力を増大させることができると開示されている。
【0004】
しかし、前記輸液容器用口栓体の様な医療用キャップであっても、弾性栓体と外枠体との密着が十分でない場合がある。この様な医療用キャップにおいては、針刺しの際に弾性栓体と外枠体の位置がずれて両者の間に空隙が生じることがあるので、再度、針刺し等を行うのが、依然として困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−317961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、針刺し時の液漏れがなく、また針抜けに対する保持力や復元力に優れるなど、密封性の保持に優れた弾性栓体、それを備えた医療用キャップおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者等は、前記従来の問題点を解決すべく、弾性栓体、医療用キャップおよびその製造方法について検討した。その結果、下記構成を採用することにより、前記目的を達成できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明に係る弾性栓体は、前記の課題を解決するために、医療用キャップを構成する外枠体内部に用いられる弾性栓体であって、前記弾性栓体を加締めるための加締め部を前記外枠体と一体的に成形するためのキャビティ部が、当該弾性栓体の接液面の周縁部における任意の位置に、少なくとも1つ設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の弾性栓体は、医療用キャップを構成する外枠体の内部に用いられるものであり、例えば、弾性栓体に対し穿刺針による針刺しを行うことで、当該穿刺針を介して容器内部の液体を取り出す機能を果たす。ここで、本発明に係る弾性栓体には、前記構成の通り、その接液面の周縁部に、前記加締め部を成形するためのキャビティ部が設けられている。そして、このようなキャビティ部を弾性栓体に設けることにより、前記外枠体の成形過程で、外枠体と一体となった加締め部をキャビティ部の内部に成形することができる。また、キャビティ部は弾性栓体の接液面の周縁部に設けられていることから、その内部に成形された加締め部は、弾性栓体の中央に向かって圧縮応力が作用される様に成形することができる。即ち、前記構成の弾性栓体であると、医療用キャップの作製過程において、外枠体と一体的に成形された加締め部を成形することができ、これにより弾性栓体が加締め状態で保持された医療用キャップの提供が可能になる。その結果、穿刺針の針刺しを行う際には、容器内部の液体の液漏れの防止が図れると共に、針抜けに対する保持力及び復元力に優れ、さらに針抜き後の再シール性を向上させた医療用キャップの提供が可能になる。尚、前記「接液面」とは、弾性栓体において、医療用キャップが薬液ボトルや点滴に用いられる輸液ボトル等に装着された際に、薬液等が接する面をいう。
【0010】
前記構成において、前記キャビティ部は、前記接液面とは反対側の針刺面側に向かって穴状、または前記弾性栓体の側周面において、前記針刺面側に向かって溝状に設けられていることが好ましい。ここで、前記「針刺面」とは、弾性栓体において、医療用キャップが薬液ボトルや点滴に用いられる輸液ボトル等に装着され、薬液等を取り出す際に、穿刺針により針刺しが行われる面をいう。
【0011】
本発明に係る医療用キャップは、前記の課題を解決する為に、弾性栓体と、当該弾性栓体を針刺面側から内壁で保持する上側枠部および接液面側から内壁で保持する下側枠部を備えた外枠体とを有する医療用キャップであって、前記弾性栓体には、当該弾性栓体を加締めるための加締め部を前記外枠体と一体的に成形するためのキャビティ部が、当該弾性栓体の接液面の周縁部における任意の位置に、少なくとも1つ設けられ、前記キャビティ部には、前記下側枠部と一体的となった前記加締め部が設けられており、前記弾性栓体は、前記上側枠部との接触面で溶着されておらず、かつ、前記下側枠部との接触面で溶着されており、さらに、前記キャビティ部においても前記加締め部との接触面で溶着していることを特徴とする。
【0012】
前記の構成によれば、弾性栓体には、その接液面の周縁部に、前記加締め部を成形するためのキャビティ部が設けられており、このキャビティ部には、外枠体と一体となった当該加締め部が設けられている。また、加締め部はキャビティ部の内部で弾性栓体と溶着した状態となっている。さらに、加締め部は、弾性栓体の接液面の周縁部に設けられていることから、当該加締め部による圧縮応力が、弾性栓体に対してその中央部に向かって作用している。即ち、前記構成の医療用キャップであると、弾性栓体を、外枠体内部において、前記加締め部により加締められた状態で保持することが可能になる。その結果、弾性栓体と外枠体との密着性を向上させることが可能になる。これにより、穿刺針の針刺しを行う際には、容器内部の液体の液漏れの防止が図れる。また、針抜けに対する保持力及び復元力に優れ、さらに針抜き後の再シール性も向上させることができる。
【0013】
尚、前記構成においては、下側枠部は弾性栓体との接触面で溶着しており、さらに下側枠部は上側枠部とその接触面で溶着した構造となっている。そのため、例えば針刺面側から針刺しをする際にも、弾性栓体と下側枠部の位置ずれにより空隙が生じるのを防止できる。その結果、密閉性にも優れたものにできる。
【0014】
前記構成において、前記弾性栓体における前記キャビティ部は、前記接液面とは反対側の針刺面側に向かって穴状に設けられ、または前記弾性栓体の側周面において、前記針刺面側に向かって溝状に設けられており、前記下側枠部における前記加締め部は、前記キャビティ部の形状に応じて柱状または壁状に設けられていることが好ましい。
【0015】
本発明に係る医療用キャップの製造方法は、前記の課題を解決する為に、前記に記載の医療用キャップの製造方法であって、前記弾性栓体として、弾性栓体を加締めるための加締め部を前記外枠体と一体的に成形するためのキャビティ部が、当該弾性栓体の接液面の周縁部における任意の位置に、少なくとも1つ設けられているものを用意し、第1上金型と共通下金型を用いて、前記弾性栓体を内部に収容することが可能な前記上側枠部を成形し、前記上側枠部の内部に、前記弾性栓体を、前記針刺面を下向きにして載置し、前記共通下金型と組み合わせた際に、前記加締め部を備えた下側枠部の成形用のキャビティを形成にする第2上金型を用いて、前記共通下金型と型閉じし、前記下側枠部の成形用のキャビティおよび前記加締め部成形用のキャビティ部に溶融樹脂を充填して、前記加締め部を備えた下側枠部を成形し、前記外枠体を形成することを特徴とする。
【0016】
前記の方法によれば、先ず、第1上金型と共通下金型を用いて、前記弾性栓体を内部に収容可能な上側枠部を成形する。次いで、上側枠部の内部に前記弾性栓体を、針刺面が下向きとなる様にして載置する。さらに、第2上金型と共通下金型を用いて、下側枠部を成形する。第2上金型は、共通下金型と組み合わせた際、下側枠部の成形用のキャビティが形成される。また、弾性栓体には、加締め部を外枠体と一体的に成形するためのキャビティ部が設けられている。この様な状態で、下側枠部の成形用のキャビティおよび前記加締め部成形用のキャビティ部に溶融樹脂を充填することで、加締め部が一体的に設けられた下側枠部を成形する。尚、前記キャビティ部が弾性栓体の側周面において針刺面側に向かって溝状に設けられている場合には、加締め部は上側枠部とも一体的となる。
【0017】
前記方法により成形した下側枠部は、弾性栓体との接触面で溶着した構造となっている。また、弾性栓体のキャビティ部においても、加締め部との間で溶着した状態となっている。さらに、加締め部は弾性栓体を加締めた状態で成形されるため、弾性栓体は通常に比べて圧縮された状態で内部に保持されている。その結果、前記製造方法によれば、弾性栓体と外枠体との密着性に優れ、穿刺針の針刺しを行う際にも、容器内部の液体の液漏れの防止が可能な医療用キャップを製造することができる。また、針抜けに対する保持力及び復元力に優れ、更に針抜き後の再シール性にも優れた医療用キャップが得られる。さらに、穿刺針による針刺しの際にも、弾性栓体と下側枠部の位置ずれにより空隙が生じることもない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、弾性栓体には、これを加締めることが可能な加締め部を、外枠体と一体的に成形することが可能なキャビティ部を備えている。そして、当該キャビティ部に前記加締め部を、外枠体と一体的に設けることにより、弾性栓体を、加締め部により加締められた状態で外枠体内部に密着して設けることが可能になる。その結果、穿刺針による針刺しの際にも、容器内部の液体の液漏れを防止することができる。また、針抜けに対する保持力及び復元力にも優れ、更に針抜き後の再シール性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1に係る医療用キャップを説明するための説明図であって、同図(a)は医療用キャップの断面模式図を表し、同図(b)は同図(a)におけるA−A線矢視断面図を表す。
【図2】前記医療用キャップにおける弾性栓体を模式的に示す平面図であって、同図(a)は針刺面側を表し、同図(b)は接液面側を表す。
【図3】前記医療用キャップにおける他の態様を表す断面模式図であって、同図(a)は加締め部が円柱状の場合を表し、同図(b)は加締め部が湾曲した壁状の場合を表す。
【図4】前記医療用キャップにおける外枠体がプルトップ型の態様を表す断面模式図である。
【図5】前記医療用キャップの製造方法を説明するための断面模式図であって、同図(a)は成形された上側枠部に弾性栓体が載置された様子を表し、同図(b)は共通下金型と第2上金型を型閉じした様子を表し、同図(c)は下側枠部の成形後の様子を表す。
【図6】本発明の実施の形態2に係る医療用キャップを説明するための説明図であって、同図(a)は医療用キャップの断面模式図を表し、同図(b)は同図(a)におけるB−B線矢視断面図を表す。
【図7】前記医療用キャップにおける弾性栓体を模式的に示す平面図であって、同図(a)は針刺面側を表し、同図(b)は接液面側を表す。
【図8】前記医療用キャップにおける他の態様を表す断面模式図であって、加締め部が、弾性栓体の側周面と面一となる様に、湾曲した壁状に設けられた様子を表す断面模式図である。
【図9】比較例1に係る医療用キャップを模式的に表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る弾性栓体、医療用キャップおよびその製造方法について、図1〜図5を参照しながら以下に説明する。但し、説明に不要な部分は省略し、また説明を容易にするために拡大又は縮小等して図示した部分がある。
【0021】
図1(a)に示すように、本実施の形態1に係る医療用キャップ10は、弾性栓体11と、当該弾性栓体11を内部に保持する外枠体12とを少なくとも備える。前記外枠体12は、弾性栓体11を針刺面14側から内壁で保持する上側枠部12aと、接液面15側から弾性栓体11を内壁で保持する下側枠部12bとからなる。
【0022】
前記外枠体12(即ち、上側枠部12aおよび下側枠部12b)を構成する材料は特に限定されず、合成樹脂のうち、医療用途としての安全性が確立されたものであれば足りる。なかでも熱可塑性樹脂を用いるのが一般的である。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の従来医療用途に用いられている樹脂が好ましいが、これらに限定されるものではない。また、プルトップ型の場合、上側枠部12aを構成する材料としては、例えば、熱可塑性エラストマーが好ましい。より具体的には、オレフィン系、スチレン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、ポリブタジエン系等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。更に、外枠体12には着色剤等の任意の成分を添加してもよい。
【0023】
前記上側枠部12aと弾性栓体11は、弾性栓体11の針刺面14における第1周縁部21(図2(a)における網掛け領域)および側周面22で接触しており、これらの接触部分で非溶着状態となっている。その一方、下側枠部12bと弾性栓体11は、当該弾性栓体11の接液面15の第2周縁部19(図2(b)における網掛け領域)において接触しており、この接触部分では溶着状態となっている。尚、前記「溶着」とは、例えば、下側枠部12bを射出成形により成形する際に注入される溶融樹脂の熱により、これに接した弾性栓体11の表面が溶融した結果、当該下側枠部12bの成形後に、弾性栓体11と下側枠部12bが、その界面において結合した状態にあることを意味する。
【0024】
さらに、下側枠部12bには、弾性栓体11に圧縮応力を加え加締め状態にするための4つの加締め部18が一体的に設けられている。この加締め部18によって、弾性栓体11には、その中央部に向かって圧縮応力が働いている。一方、弾性栓体11は、この圧縮応力に対しその復元力により弾性栓体11の側周面の方向に拡張しようとする。その結果、弾性栓体11と上側枠部12aとの間で密閉性が向上する。尚、外枠体12は弾性栓体11を加締めることに直接寄与するものではない。
【0025】
各加締め部18は弾性栓体11のキャビティ部13の内部に柱状に形成されており、当該キャビティ部13において溶着した状態となっている。また、これらの加締め部18は、図1(b)に示すように、弾性栓体11の第2周縁部19において、相互に等間隔になる様に、同心円上に設けられている。この様に、加締め部18を等間隔に配置することで、弾性栓体11に対する圧縮応力を均一に作用させることができる。尚、加締め部18を接液面15の第2周縁部19に配置することにより、弾性栓体11に対する穿刺針による針刺しの領域を確保することができる。
【0026】
さらに、弾性栓体11の針刺面14に平行な面における、加締め部18の断面形状は、対向する2つの長辺が、弾性栓体11の外側に向かって凸状に湾曲した略長方形状となっている(図1(b)参照)。この様に、長辺側を弾性栓体11の中心側に向け、加締め部18と弾性栓体11との接触面が大きい方の面を弾性栓体11の中央に対向させることにより、弾性栓体11に作用させる圧縮応力を増大させている。その結果、弾性栓体11に対する加締めの効果を一層高めている。加締め部18の前記断面形状における断面積は特に限定されないが、これを適宜変更することにより、弾性栓体11に加える圧縮応力を調節することが可能になる。具体的には、断面積を大きくすることにより、弾性栓体11に対する圧縮応力を一層大きくすることができる。但し、加締め部18と弾性栓体11との接触部分の面積が、弾性栓体11の中央方向において最も大きくなる様に、加締め部18を配置するのが好ましい。これにより、弾性栓体11をその中央に向かう方向に圧縮応力を効果的に作用させることができる。その結果、針刺しの際の液漏れの防止が図れると共に、針抜けに対する保持力や復元力も一層向上させることができる。
【0027】
加締め部18の下側枠部12bからの高さhは、弾性栓体11に対する加締めが針刺面14側においても十分に作用する程度であることが好ましい。このような観点からは、弾性栓体11の高さtに対し、少なくとも15%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましい。尚、加締め部18は弾性栓体11を貫通していてもよい。この場合、加締め部18は上側枠部12aと溶着した状態にあり、機械的強度に優れた医療用キャップとすることができる。また、各加締め部18の高さは同一でもよく、異なっていてもよい。但し、弾性栓体11に対し、均一に圧縮応力を加えたい場合は、各加締め部18の高さは同一であることが好ましい。
【0028】
また、加締め部18の厚みは、図1(a)に示すように、先端から底部まで同一としているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、先端に向かうに従って厚みが減少し、先細りとなるような断面形状(針刺面14に垂直な面における断面形状)であってもよく、その逆の断面形状であってもよい。
【0029】
尚、本実施の形態においては、加締め部18が等間隔に4つ設けられている態様を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも1つの加締め部が設けられていればよい。例えば、同様の断面形状を備える加締め部18をさらに増やすことにより、弾性栓体11に対して、より多くの方向から均一な圧縮応力を作用させることができる。その結果、針刺しの位置によって、針抜けに対する保持力や復元力、および針抜き後の再シール性等が異なるのを防止することができる。
【0030】
弾性栓体11は、図2(a)および2(b)に示すように、全体形状が円柱状となっている。弾性栓体11の直径dは特に限定されず、外枠体12の内部に収容できる程度であればよい。通常は12mm〜40mmの範囲内で設定することができる。また、弾性栓体11の厚みtは特に限定されないが、通常は3mm〜10mmの範囲内で設定することができる。厚みtを3mm以上にすることにより、弾性栓体11全体の剛性が低下するのを防止することができる。その一方、厚みtを10mm以下にすることにより、穿刺針による針刺しが困難になるのを防止することができる。但し、本発明はこの形状に限定されるものではなく、適宜必要に応じて任意の形状に変更可能である。
【0031】
弾性栓体11の針刺面14側には、図2(a)に示すように、穿刺針の針刺しを行うための凹部16が針刺面14の中央に1つ設けられている。さらに、前記針刺面14側には、複数の薬剤を混合調整する混注の際に、金属針による針刺しを行うための針刺部17が、凹部16とは別に設けられている。当該針刺部17は金属針による針刺しを行うものであり、プラスチック針等と比較して外径が小さく、針刺しが比較的容易であるため、断面形状が円錐状のものを用いることができる。各針刺部17は、弾性栓体11の中心に設けられている凹部16よりも外側の同心円上に位置している。また、各針刺部17は相互に等間隔になるように設けられている。
【0032】
弾性栓体11の接液面15側には、図2(b)に示すように、加締め部18を成形するための4つの穴状のキャビティ部13が設けられている。これらのキャビティ部13は、それぞれ相互に等間隔になる様に、接液面15の第2周縁部19に同心円状に設けられている。キャビティ部13の、接液面15側からの平面視における形状は、特に限定されず、加締め部18の断面形状に応じて設定される。また、キャビティ部13の形成位置、および数についても、加締め部18の形成位置等に応じて設定される。尚、キャビティ部13の深さは、前記加締め部18の高さhに対応する。
【0033】
前記弾性栓体11に用いる材料としては、例えば、ゴムや熱可塑性エラストマーが挙げられる。前記ゴムとしては特に限定されず、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレン−イソブチレンゴム等が例示できる。また、熱可塑性エラストマーとしては特に限定されず、例えば、オレフィン系、スチレン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、ポリブタジエン系等が例示できる。中でも共役ジエン系の熱可塑性エラストマーに水素添加した熱可塑性エラストマー(SEBS、SEPS、HSBR、SEBR、CEBC)が好適である。
【0034】
また、熱可塑性エラストマー材料は、ゴム材料に比べて極めて衛生的な素材であるが、使用する薬液によっては、弾性栓体11の接液面15に、ラミネート加工を行ってもよい。ラミネート加工には、外枠体12又は取り付けるべき容器本体と同一種類の樹脂が一般に用いられる。これにより、弾性栓体11の接触面15を薬液が接触する容器内と同一又は類似した性質の材料とすることができる。
【0035】
以上のような本実施の形態に係る医療用キャップ10は、例えば、薬液を針で取り出すタイプの容器に取り付けて用いることができる。具体的には、薬液を収容する本体部と薬液を針で取り出す取出部とを有した医療用ボトルや医療用バッグ等において、前記医療用キャップをその取出部として用いることが可能である。これにより、液洩れの防止や、針抜けに対する保持力を維持しながら、穿刺針の針刺しの際における穿刺抵抗を低減して、従来の医療用キャップよりも針刺しの容易性を向上させることができる。
【0036】
尚、本発明に係る弾性栓体および医療用キャップは、図1および図2に示した態様に限定されるものではなく、当該発明の効果を奏する範囲で種々の変更が可能である。例えば、加締め部の断面形状や形成数は特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。また、加締め部の断面形状についても特に限定されず、例えば、図3(a)に示す様に、略円形状の加締め部23であってもよい。当該加締め部23は、弾性栓体24の第2周縁部19において、それぞれ相互に等間隔で同心円状に設けられている。また、弾性栓体24におけるキャビティ部25についても、略円形状に設けられている。さらに、加締め部の形成位置は、弾性栓体11の接液面15側の第2周縁部19の領域に設けられていればよく、特に限定されるものではない。また、加締め部は柱状の場合に限定されるものではなく、例えば、図3(b)に示すように、壁状の加締め部26でもよい。この場合、弾性栓体27のキャビティ部28も円弧状の溝として複数設けられる。
【0037】
また、本実施の形態において、医療用キャップ10は、図4に示す上側枠部12a’の様に、プルトップ型の態様でもよい。前記外枠体12における上側枠部12aは、図4に示すように、プルトップ型の態様でもよい。また、本実施の形態においては、下側枠部12bとしてフランジを設けた態様を示した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、当該フランジを適宜必要に応じて省略することができる。
【0038】
次に、本実施の形態に係る医療用キャップ10の製造方法について説明する。
先ず、前記上側枠部12aの成形を行う。上側枠部12aの成形は、例えば、第1上金型(図示しない)と共通下金型31を用いて、射出成形により行う(図5(a)参照)。第1上金型と共通下金型31は、その型閉じの際に、円筒状の上側枠部12aの成形を可能にするキャビティが形成される構造となっている。
【0039】
次に、キャビティ内に、上側枠部12aの構成材料となる樹脂を溶融した溶融樹脂を注入する。このときの射出条件は特に限定されず、使用する材料等に応じて適宜設定され得る。射出された溶融樹脂は所定時間冷却される。冷却後、型開きを行うことにより、上側枠部12aが形成される。
【0040】
次に、図5(a)に示すように、上側枠部12aの内部に、弾性栓体11をその針刺面14が下向きとなる様に載置し、下側枠部12bの射出成形を行う。尚、弾性栓体11の製造方法としては特に限定されず、例えば、熱可塑性エラストマー樹脂等を含む材料を圧潰しながら行うコンプレッション成形や射出成形により製造可能である。
【0041】
下側枠部12bの成形は、共通下金型31と第2上金型32とを用いて行う。前記共通下金型31と第2上金型32の型閉じをした際、下側枠部12bの成形が可能なキャビティ33が形成される。
【0042】
次に、型閉じにより形成されたキャビティ33内に、下側枠部12bの構成材料となる樹脂を溶融させた、溶融樹脂を射出する。このとき、弾性栓体11における加締め部18の成形用のキャビティ部13にも、溶融樹脂が注入される。射出条件としては特に限定されず、適宜必要に応じて設定され得る。射出された溶融樹脂は所定時間冷却される。型開き後、図5(c)に示すように、下側枠部12bが形成される。ここで、弾性栓体11と下側枠部12bの接触部分は溶着した状態となっている。また、加締め部18は下側枠部12bと一体的に成形されており、かつ、加締め部18はキャビティ部13において弾性栓体11と溶着した状態になっている。さらに、上側枠部12aと下側枠部12bも接触部分で溶着しており、一体となっている。但し、弾性栓体11と上側枠部12aの接触部分は非溶着の状態となっている。
【0043】
以上により、本実施の形態に係る医療用キャップ10が得られる。
【0044】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る弾性栓体、医療用キャップおよびその製造方法について、図6〜図8を参照しながら以下に説明する。尚、前記実施の形態1の医療用キャップ10と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0045】
本実施の形態2に係る医療用キャップ40は、図6に示すように、弾性栓体41の側周面22において、前記針刺面14側に向かって溝状にキャビティ部44が設けられ、当該キャビティ部44の形状に応じて柱状の加締め部43が設けられている点で、前記実施の形態1に係る医療用キャップ10と異なる。
【0046】
前記外枠体42が、弾性栓体41の側周面22を針刺面14側から内壁で保持する上側枠部42aと、接液面15側から弾性栓体41を内壁で保持する下側枠部42bとにより構成される点は、実施の形態1の場合と同様である。前記上側枠部42aと弾性栓体41は、弾性栓体41の針刺面14における第1周縁部45(図7(a)における網掛け領域)および側周面22で接触しており、これらの接触部分で非溶着状態となっている。その一方、上側枠部42aは加締め部43とも接触しており、この接触部分では、当該加締め部43と溶着状態となっている。
【0047】
また、下側枠部42bと弾性栓体41は、当該弾性栓体41の接液面15の第2周縁部46(図7(b)における網掛け領域)で接触しており、この第2周縁部46において溶着状態となっている。
【0048】
前記下側枠部42bには、弾性栓体41に圧縮応力を加え加締め状態にするための4つの加締め部43が、それぞれ一体的に設けられている。各加締め部43は弾性栓体41のキャビティ部44に柱状に形成されており、当該キャビティ部13において溶着した状態となっている。これにより、弾性栓体41には、その中央部に向かって圧縮応力が作用している。一方、弾性栓体41は、この圧縮応力に対しその復元力によって弾性栓体41の側周面22の方向に拡張しようとする。その結果、弾性栓体41と上側枠部42aとの間で密閉性を向上させている。
【0049】
また、各加締め部43は、図6(b)に示すように、弾性栓体41の側周面22と面一となっている。さらに、各加締め部43は、相互に等間隔になる様に配置されている。この様に加締め部43を配置することで、弾性栓体41に対する圧縮応力を均一に作用させることができる。また、加締め部43を接液面15の第2周縁部46に配置することにより、弾性栓体41に対する穿刺針による針刺しの領域を確保している。
【0050】
さらに、図6(b)に示すように、弾性栓体41の針刺面14に平行な面における、加締め部43の断面形状は、対向する2つの長辺が、弾性栓体41の外側に向かって凸状に湾曲した略長方形状となっている。この様に、長辺側を弾性栓体41の中心側に向けて、加締め部43と弾性栓体41との接触面が大きい方の面を弾性栓体41の中央に対向させることにより、弾性栓体41に作用させる圧縮応力を増大させている、その結果、弾性栓体41に対する加締めの効果を一層高めている。加締め部43の前記断面形状における断面積は、前記実施の形態1の場合と同様、特に限定されないが、断面積を適宜変更することにより、弾性栓体41に加える圧縮応力を調節することが可能になる。具体的には、断面積を大きくすることにより、弾性栓体41に対する圧縮応力を一層大きくすることができる。但し、加締め部43と弾性栓体41との接触部分の面積が、弾性栓体41の中央方向において最も大きくなる様に、加締め部43を配置するのが好ましい。これにより、弾性栓体41をその中央に向かう方向に圧縮応力を効果的に作用させることができる。その結果、針刺しの際の液漏れの防止が図れると共に、針抜けに対する保持力や復元力も一層向上させることができる。
【0051】
加締め部43の高さは、前記実施の形態1における加締め部18の場合と同様、弾性栓体41に対する加締めが針刺面14側においても十分に作用する程度であることが好ましい。具体的には、弾性栓体41の高さに対し、少なくとも15%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましい。尚、加締め部43は弾性栓体41の針刺面14側に達していてもよい。この場合、加締め部43は上側枠部42aと溶着した状態にあり、機械的強度に優れた医療用キャップとすることができる。また、各加締め部43の高さは同一でもよく、異なっていてもよい。但し、弾性栓体41に対し、均一に圧縮応力を加えたい場合は、各加締め部43の高さは同一であることが好ましい。
【0052】
また、加締め部43の厚みは、図6(a)に示すように、先端から底部まで同一としているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、先端に向かうに従って厚みが減少し、先細りとなるような断面形状(針刺面14に垂直な面における断面形状)であってもよく、その逆の断面形状であってもよい。但し、その様な場合であっても、本実施の形態に於いては、加締め部43が弾性栓体41の側周面22と面一となる様に設けられるのが好ましい。
【0053】
尚、本実施の形態2においては、加締め部43が等間隔に4つ設けられている態様を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも1つの加締め部が設けられていればよい。例えば、同様の断面形状を備える加締め部43をさらに増やすことにより、弾性栓体41に対して、より多くの方向から均一な圧縮応力を作用させることができる。その結果、針刺しの位置によって、針抜けに対する保持力や復元力、および針抜き後の再シール性等が異なるのを防止することができる。
【0054】
弾性栓体41および外枠体42の構成材料については、前記実施の形態1の場合と同様の材料を用いることができる。また、本実施の形態に係る医療用キャップ40は、前記実施の形態1において説明した方法に準じて製造することが可能である。
【0055】
尚、本実施の形態に係る加締め部は、図6および図7に示した柱状の態様に限定されるものではなく、例えば、図8に示すように、弾性栓体49の側周面22に対し面一となる様な、湾曲した壁状の加締め部48を設けてもよい。この場合、弾性栓体49のキャビティ部50も、弾性栓体49の側周面22に対し面一となる様に形成される。
【実施例】
【0056】
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
【0057】
(実施例1)
本実施例においては、前記実施の形態1における医療用キャップの製造方法(図5参照)により、図1に示す構造の医療用キャップを作製した。外枠体における上側枠部および下側枠部の材料としてはポリプロピレンを用いた。また、弾性栓体の材料としてはスチレン系熱可塑性エラストマー(栓体用グレード)を用いた。さらに、外枠体を成形するための成形機としては、日精樹脂工業(株)製の二色射出成形機(商品名;DC100−200)を使用した。
【0058】
本実施例で用いた弾性栓体の形状寸法は下記の通りである。
弾性栓体の直径D:23mm
弾性栓体の厚みt:6.6mm
キャビティ部の深さ:3.1mm
キャビティ部の短辺の長さa:1.5mm
キャビティ部の長辺の長さb:5mm
【0059】
上側枠部の成形条件は下記の通りである。
射出成形温度:230℃
射出圧力 :3MPa
射出時間 :3秒
第1上金型温度及び共通下金型温度:32℃
【0060】
下側枠部の成形条件は下記の通りである。
射出成形温度:240℃
射出圧力 :4MPa
射出時間 :3.4秒
第2上金型温度及び共通下金型温度:32℃
【0061】
(実施例2)
本実施例においては、前記実施の形態1における医療用キャップの製造方法(図5参照)により、図6に示す構造の医療用キャップを作製した。外枠体における上側枠部および下側枠部の材料としてはポリプロピレンを用いた。また、弾性栓体の材料としてはスチレン系熱可塑性エラストマー(栓体用グレード)を用いた。さらに、外枠体を成形するための成形機としては、日精樹脂工業(株)製の二色射出成形機(商品名;DC100−200)を使用した。
【0062】
本実施例で用いた弾性栓体の形状寸法は下記の通りである。
弾性栓体の直径D:23mm
弾性栓体の厚みt:6.6mm
キャビティ部の深さ:3.1mm
キャビティ部の短辺の長さc:1.5mm
キャビティ部の長辺の長さd:5mm
【0063】
上側枠部の成形条件は下記の通りである。
射出成形温度:230℃
射出圧力 :3MPa
射出時間 :3秒
第1上金型温度及び共通下金型温度:32℃
【0064】
下側枠部の成形条件は下記の通りである。
射出成形温度:240℃
射出圧力 :4MPa
射出時間 :3.4秒
第2上金型温度及び共通下金型温度:32℃
【0065】
(比較例1)
本比較例においては、図9に示すように、加締め部の成形用のためのキャビティ部を備えていない弾性栓体61を用いて、加締め部を有しない外枠体62を備えた医療用キャップ60を用いた。尚、外枠体62は、前記弾性栓体61を針刺面63側から内壁で保持する上側枠部62aと、接液面64側から内壁で保持する下側枠部62bとにより構成されたものである。また、当該医療用キャップ60は、加締め部を設けなかったこと以外は、前記実施の形態1における医療用キャップの製造方法(図5参照)に準じて作製した。
【0066】
弾性栓体の直径D:23mm
弾性栓体の厚みt:6.6mm
【0067】
上側枠部の成形条件は下記の通りである。
射出成形温度:230℃
射出圧力 :3MPa
射出時間 :3秒
第1上金型温度及び共通下金型温度:32℃
【0068】
下側枠部の成形条件は下記の通りである。
射出成形温度:240℃
射出圧力 :3MPa
射出時間 :3.4秒
第2上金型温度及び共通下金型温度:32℃
【0069】
(穿刺針の保持力試験)
前記実施例及び比較例で得られた医療用キャップに対し、オートクレーブにより110℃で30分間の滅菌処理を行った。その様な医療用キャップを20サンプル用意し、金属針(16G金属針)及び樹脂針(テルフュージョン(登録商標)輸液セットTK−U200L、テルモ株式会社製)をそれぞれ弾性栓体に刺したときの保持力について調べた。各医療用キャップを引っ張り圧縮試験機にセットし、弾性栓体の中央部に、前記試験機に取り付けた下記の穿刺針を垂直に突き刺した後、該穿刺針を200mm/minの速度で上昇させ、該穿刺針が弾性栓体から抜けるときの力(単位;N)を測定した。穿刺針としては、前記2種類の針を用いて行い、それぞれ最大値、最小値、平均値及び標準偏差を求めた。結果を下記表1に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
(穿刺針の液漏れ試験)
前記実施例及び比較例で得られた医療用キャップに対し、オートクレーブにより110℃で30分間の滅菌処理を行った。次に、各医療用キャップを試験用圧力缶体に取り付け、その点滴部位にテルフュージョン(登録商標)連結管(TC-00503B、テルモ株式会社製)を穿刺し4時間放置した。その後、抜針し、液漏れするかを調べた。尚、検体数nは200個とした。
【0072】
更に、前記と同様にして滅菌処理を行った各医療用キャップを試験用圧力缶体に取り付け、その混注部位に、18G金属針をシリンジにセットし水10mlを入れて垂直に穿刺した。その後、18G金属針を針刺面に対し傾斜させた状態にし、水を試験用圧力缶体に3回注入吸引を繰り返した。続いて、2本目の18G金属針の穿刺し、水の注入吸引の操作を繰り返した。更に、1時間後の液漏れ量を測定した。結果を下記表2に示す。また、検体数nは200個とした。
【0073】
【表2】

【符号の説明】
【0074】
10、40 医療用キャップ
11、24、27、41、49 弾性栓体
12 外枠体
12a 上側枠部
12b 下側枠部
13、25、28、44、50 キャビティ部
14 針刺面
15 接液面
16 凹部
17 針刺部
18、23、26、43、48 加締め部
19 第2周縁部
21 第1周縁部
22 側周面
31 共通下金型
32 第2上金型
33 キャビティ
42 外枠体
42a 上側枠部
42b 下側枠部
45 第1周縁部
46 第2周縁部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用キャップを構成する外枠体内部に用いられる弾性栓体であって、
前記弾性栓体を加締めるための加締め部を前記外枠体と一体的に成形するためのキャビティ部が、当該弾性栓体の接液面の周縁部における任意の位置に、少なくとも1つ設けられている弾性栓体。
【請求項2】
前記キャビティ部は、前記接液面とは反対側の針刺面側に向かって穴状、または前記弾性栓体の側周面において、前記針刺面側に向かって溝状に設けられている請求項1に記載の弾性栓体。
【請求項3】
弾性栓体と、当該弾性栓体を針刺面側から内壁で保持する上側枠部および接液面側から内壁で保持する下側枠部を備えた外枠体とを有する医療用キャップであって、
前記弾性栓体には、当該弾性栓体を加締めるための加締め部を前記外枠体と一体的に成形するためのキャビティ部が、当該弾性栓体の接液面の周縁部における任意の位置に、少なくとも1つ設けられ、
前記キャビティ部には、前記下側枠部と一体的となった前記加締め部が設けられており、
前記弾性栓体は、前記上側枠部との接触面で溶着されておらず、かつ、前記下側枠部との接触面で溶着されており、さらに、前記キャビティ部においても前記加締め部との接触面で溶着している医療用キャップ。
【請求項4】
前記弾性栓体における前記キャビティ部は、前記接液面とは反対側の針刺面側に向かって穴状に設けられ、または前記弾性栓体の側周面において、前記針刺面側に向かって溝状に設けられており、
前記下側枠部における前記加締め部は、前記キャビティ部の形状に応じて柱状または壁状に設けられている請求項3に記載の医療用キャップ。
【請求項5】
請求項3または4に記載の医療用キャップの製造方法であって、
前記弾性栓体として、弾性栓体を加締めるための加締め部を前記外枠体と一体的に成形するためのキャビティ部が、当該弾性栓体の接液面の周縁部における任意の位置に、少なくとも1つ設けられているものを用意し、
第1上金型と共通下金型を用いて、前記弾性栓体を内部に収容することが可能な前記上側枠部を成形し、
前記上側枠部の内部に、前記弾性栓体を、前記針刺面を下向きにして載置し、
前記共通下金型と組み合わせた際に、前記加締め部を備えた下側枠部の成形用のキャビティを形成にする第2上金型を用いて、前記共通下金型と型閉じし、
前記下側枠部の成形用のキャビティおよび前記加締め部成形用のキャビティ部に溶融樹脂を充填して、前記加締め部を備えた下側枠部を成形し、前記外枠体を形成する医療用キャップの製造方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−39292(P2013−39292A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179210(P2011−179210)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000225278)内外化成株式会社 (27)
【Fターム(参考)】