弾性波素子
【課題】広帯域な弾性波素子の提供。
【解決手段】弾性波素子は、擬似弾性波が伝播するよう構成された表面を有する圧電基板と、圧電基板の表面の一部に設けられた櫛歯電極と、櫛歯電極を覆いかつ圧電基板の表面に設けられた誘電体層とを備える。圧電基板はニオブ酸リチウムからなる。誘電体層は五酸化タンタルからなる。圧電基板における回転Y板のカット角が2.5度以上22.5度以下である。誘電体層の膜厚Hの、圧電基板を伝播する擬似弾性波の中心周波数の波長λに対する比H/λが0.034〜0.126である。この弾性波素子は広帯域である。
【解決手段】弾性波素子は、擬似弾性波が伝播するよう構成された表面を有する圧電基板と、圧電基板の表面の一部に設けられた櫛歯電極と、櫛歯電極を覆いかつ圧電基板の表面に設けられた誘電体層とを備える。圧電基板はニオブ酸リチウムからなる。誘電体層は五酸化タンタルからなる。圧電基板における回転Y板のカット角が2.5度以上22.5度以下である。誘電体層の膜厚Hの、圧電基板を伝播する擬似弾性波の中心周波数の波長λに対する比H/λが0.034〜0.126である。この弾性波素子は広帯域である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の通信機器に用いられる弾性波素子に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来の弾性波素子501の断面図である。弾性波素子501は、ニオブ酸リチウムからなる圧電基板1と、圧電基板1上に設けられた櫛歯電極2と、櫛歯電極2を覆うSiO2からなる誘電体層3とを備える。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−209458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の弾性波素子501で誘電体層3と圧電基板1との境界を伝搬する弾性波における漏れの発生を抑制するためには、圧電基板1内を伝搬する遅い横波の音速よりも圧電基板1の表面の音速を小さくする必要がある。そのためには誘電体層3の膜厚を充分に大きくする必要がある。しかし、膜厚が大きいほどリーキー波の電気機械結合係数が低くなり、その結果、広帯域化が困難である。
【0006】
そこで、本発明は、広帯域な弾性波素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
弾性波素子は、擬似弾性波が伝播するよう構成された表面を有する圧電基板と、圧電基板の表面の一部に設けられた櫛歯電極と、櫛歯電極を覆いかつ圧電基板の表面に設けられた誘電体層とを備える。圧電基板はニオブ酸リチウムからなる。誘電体層は五酸化タンタルからなる。圧電基板における回転Y板のカット角が2.5度以上22.5度以下である。誘電体層の膜厚Hの、圧電基板を伝播する擬似弾性波の中心周波数の波長λに対する比H/λが0.034〜0.126である。
【発明の効果】
【0008】
この構成により、漏れが生じない最低限度の膜厚を担保すると共に、SiO2を誘電体層として用いるよりも高い結合係数を担保する構成を実現することができ、その結果として、弾性波素子の広帯域化を実現することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(A)は本発明の実施の形態1における弾性波素子の上面図、(B)は図1Aに示す弾性波素子の線1B−1Bにおける断面図、(C)は実施の形態1における弾性波素子を伝播する弾性波を示す断面図
【図2】比較例の弾性波素子の誘電体層の膜厚と音速との関係を示す図
【図3】比較例の誘電体層の膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図
【図4】比較例の弾性波素子の誘電体層の膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図
【図5】実施の形態1における弾性波素子の誘電体層の膜厚と音速との関係を示す図
【図6】実施の形態1における誘電体層の膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図
【図7】実施の形態1における誘電体層の膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図
【図8】実施の形態1における誘電体層の膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図
【図9】実施の形態2における弾性波素子における電気機械結合係数と誘電体層の膜厚との関係を示す図
【図10】実施の形態2における弾性波素子の誘電体層の膜厚を示す図
【図11】実施の形態2における他の弾性波素子の誘電体層の膜厚を示す図
【図12】従来の弾性波素子の断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
図1Aは本発明の実施の形態1における弾性波素子1001の上面図である。図1Bは図1Aに示す弾性波素子1001の線1B−1Bにおける断面図である。弾性波素子1001は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)からなる圧電基板11と、圧電基板11の表面11Aの一部11Cに設けられた櫛歯電極12と、櫛歯電極12を覆うように圧電基板11の表面11Aに設けられた誘電体層13とを備える。誘電体層13は五酸化タンタル(Ta2O5)よりなる。圧電基板11には、回転Y板のカット角が2.5度以上22.5度以下の基板が用いられる。
【0011】
図1Cは圧電基板11の表面11Aに沿って方向1001Aに伝播する擬似弾性波Wを示す断面図である。このように、圧電基板11の表面11Aは擬似弾性波Wが伝播するよう構成されている。図1Aに示すように、櫛歯電極12は方向1001Aに直角に延びる複数の電極指12Aを有する。擬似弾性波Wは表面11Aと平行な方向に圧電基板11と誘電体層13とを変位させるSH波である。誘電体層13の膜厚Hの圧電基板11における擬似弾性波の動作中心周波数の波長λに対する比H/λは0.034〜0.126の範囲内である。櫛歯電極12は高周波化に伴い高精度でパターニングできるように、比較的質量の小さいアルミニウムよりなる。これにより、表面11Aに直角の方向の電極12の膜厚Tの製造ばらつきによる周波数変動を低減することができる。
【0012】
以下に、誘電体層13の膜厚Hについて説明する。図1Bにおける、アルミニウムよりなる櫛歯電極12の膜厚Tの波長λに対する比T/λを0.08に設定して図1Aと図1Bに示す構造を有し、圧電基板11の回転Y板のカット角CAが5度、10度、15度、20度、25度の弾性波素子1001の実施例1の試料を作製した。また、同様に、実施例1の試料の誘電体層13をSiO2よりなる誘電体層に置き換えた比較例の試料を作製した。Smith定数をLiNbO3の材料定数として用い、試料の音速をCampbellらの方法で計算した。
【0013】
図2は、弾性波素子の比較例の試料の誘電体層の、圧電基板の表面に直角の方向の膜厚Hの波長λに対する比H/λとSH波の音速V1との関係を示す。図2は、Smith定数を用いて算出した圧電基板11の表面11A上を伝搬する遅い横波の音速V2を併せて示す。音速V2は4055m/sである。音速V2よりもSH波の音速V1を遅くすることにより、圧電基板11の表面11Aを伝播する弾性波の漏れの発生を抑制することができる。図2に示すように、音速V2よりも音速V1が遅くなる条件を満たす膜厚Hは以下のように設定される。回転Y板のカット角CAが5度の場合は誘電体層13の膜厚Hの波長λに対する比H/λの値は0.328以上であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin1は0.328である。同様にカット角CAが10度の場合は比H/λは0.335以上であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin1は0.335である。カット角CAが15度の場合は比H/λは0.338以上であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin1は0.338である。カット角CAが20度の場合は比H/λは0.341以上であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin1は0.341である。カット角CAが25度の場合は比H/λは0.344以上であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin1は0.344である。
【0014】
図3は比較例の試料の比H/λと電気機械結合係数k2との関係を示す。図3に基づいて、比H/λの値が最小値Rmin1であるときの、カット角CAと電気機械結合係数k2の関係が得られる。図4は、カット角CAと比H/λの最小値Rmin1と電気機械結合係数k2との関係を示す。図4に示すように、カット角CAが5度でありかつ比H/λの値が0.328である場合の電気機械結合係数k2の値は0.095である。カット角CAが10度でありかつ比H/λの値が0.335である場合の電気機械結合係数k2の値は0.091である。カット角CAが15度でありかつ比H/λの値が0.338である場合の電気機械結合係数k2の値は0.088である。カット角CAが20度でありかつ比H/λの値が0.341である場合の電気機械結合係数k2の値は0.083である。カット角CAが25度でありかつ比H/λの値が0.344である場合の電気機械結合係数k2の値は0.076である。
【0015】
同様に、Ta2O5よりなる誘電体層13を備えた弾性波素子1001の実施例1の試料について、弾性波の漏れの発生を抑制する最低限の膜厚Hの値と、その値に対応する電気機械結合係数k2との関係を導き出す。
【0016】
図5は、弾性波素子1001の実施例1の試料の誘電体層13の、圧電基板11の表面11Aに直角の方向の膜厚Hの波長λに対する比H/λとSH波の音速V3との関係を示す。図5は、Smith定数を用いて算出した圧電基板11の表面11A上を伝搬する遅い横波の音速V2を併せて示す。音速V2は4055m/sである。音速V2よりもSH波の音速V3を遅くすることにより、圧電基板11の表面11Aを伝播する弾性波の漏れの発生を抑制することができる。図5に示すように、音速V2よりも音速V3が遅くなる条件を満たす膜厚Hは以下である。回転Y板のカット角CAが5度の場合は誘電体層13の膜厚Hの波長λに対する比は0.034以上であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin2は0.034である。同様に、カット角CAが10度の場合は比H/λは0.0344以上であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin2は0.0344である。カット角CAが15度の場合は比H/λは0.0345以上であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin2は0.0345である。カット角CAが20度の場合は比H/λは0.0346以上であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin2は0.0436である。カット角CAが25度の場合は比H/λは0.0347であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin2は0.0347である。
【0017】
図6は実施例1の試料の比H/λと電気機械結合係数k2との関係を示す。図6に基づいて、比H/λの値が最小値Rmin2であるときの、実施例1の弾性波素子1001のカット角CAと電気機械結合係数k2の関係が得られる。図7は、実施例1の弾性波素子1001のカット角CAと比H/λの最小値Rmin2と電気機械結合係数k2との関係を示す。図7に示すように、カット角CAが5度でありかつ比H/λの値が0.038である場合の電気機械結合係数k2の値は0.204である。カット角CAが10度でありかつ比H/λの値が0.0344である場合の電気機械結合係数k2の値は0.200である。カット角CAが15度でありかつ比H/λの値が0.0345である場合の電気機械結合係数k2の値は0.191である。カット角CAが20度でありかつ比H/λの値が0.0346である場合の電気機械結合係数k2の値は0.179である。カット角CAが25度でありかつ比H/λの値が0.0347である場合の電気機械結合係数k2の値は0.165である。
【0018】
図8は、実施例1の弾性波素子1001の圧電基板11の回転Y板のカット角CAの値にそれぞれ対応する比H/λの最小値Rmin2の値を示す。
【0019】
SiO2よりなる誘電体層を備えた比較例の弾性波素子で、弾性波の漏れが生じない誘電体層の膜厚Hの波長λに対する比H/λの最小値Rmin1の値に対応する電気機械結合係数k2の値が図4に示されている。電気機械結合係数k2のこれらの値をTa2O5よりなる誘電体層13を備えた実施例1の弾性波素子1001で得るための膜厚H(比H/λ)の値は図6から読み取ることができる。図8は比較例の比H/λの最小値Rmin1の値に対応する電気機械結合係数k2を実施例1の弾性波素子1001で得るための比H/λの値R3を併せて示す。図8に示すように、電気機械結合係数k2の値が0.095である場合の誘電体層13の膜厚Hの波長λに対する比H/λの値は0.126である。同様に、電気機械結合係数k2の値が0.091である場合の比H/λの値は0.126である。電気機械結合係数k2が0.088である場合の比H/λの値は0.122である。電気機械結合係数k2の値が0.083である場合の比H/λの値は0.118である。電気機械結合係数k2の値が0.076である場合の比H/λの値は0.114である。
【0020】
図8に示すように、比H/λの最小値Rmin2と値R3はそれぞれ実質的に四角形の底辺と上辺とを形成する。実施例1の弾性波素子1001の誘電体層13の膜厚Hの波長λに対する比H/λをこの四角形の範囲内に設定する。これにより、弾性波の漏れが生じない最低の膜厚Hを担保すると共に、SiO2よりなる誘電体層を備えた比較例の弾性波素子よりも高い電気機械結合係数k2を担保することができ、その結果、弾性波素子1001の広帯域化を実現することができる。比H/λを図8に示すこの四角形の範囲に入れるために、圧電基板11における回転Y板のカット角CAが2.5度以上7.5度未満である場合には比H/λは0.038〜0.126である。同様に、カット角CAが7.5度以上12.5度未満である場合には比H/λは0.0344〜0.126である。カット角CAが12.5度以上17.5度未満である場合には比H/λは0.0345〜0.122である。カット角CAが17.5度以上22.5度未満である場合には比H/λは0.0346〜0.118である。
【0021】
このように、実施の形態1による弾性波素子1001は、高い電気機械結合係数を有しかつ広帯域であるので、携帯電話等の各種通信機器に有用である。
【0022】
(実施の形態2)
実施の形態2における弾性波素子は図1A〜図1Cに示す実施の形態1における弾性波素子1001と同様の構造を有する。
【0023】
実施の形態2における弾性波素子では、圧電基板11には、回転Y板のカット角が2.5度以上22.5度以下のLiNbO3基板を用いている。誘電体層13の膜厚Hの、圧電基板11における擬似弾性波Wの中心周波数の波長λに対する比H/λは0.123以下である。
【0024】
以下に、誘電体層13の膜厚Hについて説明する。図1Bにおける、アルミよりなる櫛歯電極12の膜厚Tの波長λに対する比T/λを0.08に設定して図1Aと図1Bに示す構造を有し、圧電基板11の回転Y板のカット角CAが0度、5度、10度、15度、20度、25度の実施の形態2による弾性波素子の実施例2の試料を作製した。Smith定数をLiNbO3の材料定数として用い、試料の音速をCampbellらの方法で計算した。
【0025】
図9は、圧電基板11の回転Y板のカット角CAが0度、5度、10度、15度、20度、25度である場合の誘電体層13の膜厚Hの波長λに対する比H/λと、電気機械結合係数k2との関係を示す。
【0026】
水晶の電気機械結合係数k2の値は0.001である。図9に示すように、例えば回転Y板のカット角CAが15度である場合は、比H/λを0.007〜0.048と設定することで、実施例2の弾性波素子は、水晶の電気機械結合係数k2の値よりも低い値の電気機械結合係数k2を有する。同様に、カット角CAが0度、5度、10度、15度、20度、25度である場合に、水晶の電気機械結合係数k2の値よりも低い値の電気機械結合係数k2が得られる比H/λの上限値R4と下限値R5を図10に示す。すなわち、比H/λを上限値R4と下限値R5で囲まれた領域A1に設定することで、実施の形態2による弾性波素子において水晶の電気機械結合係数k2の値よりも低い値の電気機械結合係数k2が得られる。
【0027】
図10に示すように、具体的には、圧電基板11における回転Y板のカット角CAが−2.5度以上2.5度未満である場合には、誘電体層13の膜厚Hの波長λに対する比H/λは0.038〜0.123に設定する。また、カット角CAが2.5度以上7.5度未満である場合には、比H/λは0.018〜0.123に設定する。また、カット角CAが7.5度以上12.5度未満である場合には、比H/λは0.007〜0.071に設定する。また、カット角CAが12.5度以上17.5度未満である場合には、比H/λは0よりも大きくかつ0.048以下に設定する、もしくは櫛歯電極12の膜厚Tの波長λに対する比T/λよりも大きくかつ0.048以下に設定する。また、カット角CAが17.5度以上22.5度未満である場合には、比H/λは0よりも大きくかつ0.037以下に設定する、もしくは櫛歯電極12の膜厚Tの波長λに対する比T/λよりも大きくかつ0.037以下に設定する。
【0028】
実施の形態2による弾性波素子は、レイリー波の電気機械結合係数k2が水晶の電気機械結合係数k2よりも低いので、レイリー波の発生を抑制することができ、その結果としてスプリアスの発生を抑制することができ携帯電話等の各種通信機器に有用である。
【0029】
図11は実施の形態による他の弾性波素子の実施例3の圧電基板11の回転Y板のカット角CAの値にそれぞれ対応する比H/λの上限値R6と下限値R7を示す。すなわち、比H/λを上限値R6と下限値R7で囲まれた領域A2に設定する。実施例3の弾性波素子では、比H/λが、図8に示す実施例1の範囲と図10に示す実施例2の範囲の双方に入るように設定されている。すなわち、圧電基板11における回転Y板のカット角CAが2.5度以上7.5度未満である場合には、比H/λは0.038〜0.123に設定する。また、カット角CAが7.5度以上12.5度未満である場合には、比H/λは0.0348〜0.071に設定する。また、カット角CAが12.5度以上17.5度未満である場合には、比H/λは0.0345〜0.048に設定する。また、カット角CAが17.5度以上22.5度未満である場合には、比H/λは0.0346〜0.037に設定する。
【0030】
実施の形態2による実施例3の弾性波素子は、レイリー波の電気機械結合係数k2が水晶の電気機械結合係数k2よりも低いので、レイリー波の発生を抑制することができ、さらに、主要弾性波に関しては高い電気機械結合係数を有するので、その結果としてスプリアスの発生を抑制することができると共に広帯域な通過特性を有する。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明にかかる弾性波素子は、高い結合係数を担保し、広帯域化を容易にすることができるという効果を有し、携帯電話等の各種通信機器において有用である。
【符号の説明】
【0032】
11 圧電基板
12 櫛歯電極
13 誘電体層
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の通信機器に用いられる弾性波素子に関する。
【背景技術】
【0002】
図12は、従来の弾性波素子501の断面図である。弾性波素子501は、ニオブ酸リチウムからなる圧電基板1と、圧電基板1上に設けられた櫛歯電極2と、櫛歯電極2を覆うSiO2からなる誘電体層3とを備える。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−209458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の弾性波素子501で誘電体層3と圧電基板1との境界を伝搬する弾性波における漏れの発生を抑制するためには、圧電基板1内を伝搬する遅い横波の音速よりも圧電基板1の表面の音速を小さくする必要がある。そのためには誘電体層3の膜厚を充分に大きくする必要がある。しかし、膜厚が大きいほどリーキー波の電気機械結合係数が低くなり、その結果、広帯域化が困難である。
【0006】
そこで、本発明は、広帯域な弾性波素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
弾性波素子は、擬似弾性波が伝播するよう構成された表面を有する圧電基板と、圧電基板の表面の一部に設けられた櫛歯電極と、櫛歯電極を覆いかつ圧電基板の表面に設けられた誘電体層とを備える。圧電基板はニオブ酸リチウムからなる。誘電体層は五酸化タンタルからなる。圧電基板における回転Y板のカット角が2.5度以上22.5度以下である。誘電体層の膜厚Hの、圧電基板を伝播する擬似弾性波の中心周波数の波長λに対する比H/λが0.034〜0.126である。
【発明の効果】
【0008】
この構成により、漏れが生じない最低限度の膜厚を担保すると共に、SiO2を誘電体層として用いるよりも高い結合係数を担保する構成を実現することができ、その結果として、弾性波素子の広帯域化を実現することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(A)は本発明の実施の形態1における弾性波素子の上面図、(B)は図1Aに示す弾性波素子の線1B−1Bにおける断面図、(C)は実施の形態1における弾性波素子を伝播する弾性波を示す断面図
【図2】比較例の弾性波素子の誘電体層の膜厚と音速との関係を示す図
【図3】比較例の誘電体層の膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図
【図4】比較例の弾性波素子の誘電体層の膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図
【図5】実施の形態1における弾性波素子の誘電体層の膜厚と音速との関係を示す図
【図6】実施の形態1における誘電体層の膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図
【図7】実施の形態1における誘電体層の膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図
【図8】実施の形態1における誘電体層の膜厚と電気機械結合係数との関係を示す図
【図9】実施の形態2における弾性波素子における電気機械結合係数と誘電体層の膜厚との関係を示す図
【図10】実施の形態2における弾性波素子の誘電体層の膜厚を示す図
【図11】実施の形態2における他の弾性波素子の誘電体層の膜厚を示す図
【図12】従来の弾性波素子の断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
図1Aは本発明の実施の形態1における弾性波素子1001の上面図である。図1Bは図1Aに示す弾性波素子1001の線1B−1Bにおける断面図である。弾性波素子1001は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)からなる圧電基板11と、圧電基板11の表面11Aの一部11Cに設けられた櫛歯電極12と、櫛歯電極12を覆うように圧電基板11の表面11Aに設けられた誘電体層13とを備える。誘電体層13は五酸化タンタル(Ta2O5)よりなる。圧電基板11には、回転Y板のカット角が2.5度以上22.5度以下の基板が用いられる。
【0011】
図1Cは圧電基板11の表面11Aに沿って方向1001Aに伝播する擬似弾性波Wを示す断面図である。このように、圧電基板11の表面11Aは擬似弾性波Wが伝播するよう構成されている。図1Aに示すように、櫛歯電極12は方向1001Aに直角に延びる複数の電極指12Aを有する。擬似弾性波Wは表面11Aと平行な方向に圧電基板11と誘電体層13とを変位させるSH波である。誘電体層13の膜厚Hの圧電基板11における擬似弾性波の動作中心周波数の波長λに対する比H/λは0.034〜0.126の範囲内である。櫛歯電極12は高周波化に伴い高精度でパターニングできるように、比較的質量の小さいアルミニウムよりなる。これにより、表面11Aに直角の方向の電極12の膜厚Tの製造ばらつきによる周波数変動を低減することができる。
【0012】
以下に、誘電体層13の膜厚Hについて説明する。図1Bにおける、アルミニウムよりなる櫛歯電極12の膜厚Tの波長λに対する比T/λを0.08に設定して図1Aと図1Bに示す構造を有し、圧電基板11の回転Y板のカット角CAが5度、10度、15度、20度、25度の弾性波素子1001の実施例1の試料を作製した。また、同様に、実施例1の試料の誘電体層13をSiO2よりなる誘電体層に置き換えた比較例の試料を作製した。Smith定数をLiNbO3の材料定数として用い、試料の音速をCampbellらの方法で計算した。
【0013】
図2は、弾性波素子の比較例の試料の誘電体層の、圧電基板の表面に直角の方向の膜厚Hの波長λに対する比H/λとSH波の音速V1との関係を示す。図2は、Smith定数を用いて算出した圧電基板11の表面11A上を伝搬する遅い横波の音速V2を併せて示す。音速V2は4055m/sである。音速V2よりもSH波の音速V1を遅くすることにより、圧電基板11の表面11Aを伝播する弾性波の漏れの発生を抑制することができる。図2に示すように、音速V2よりも音速V1が遅くなる条件を満たす膜厚Hは以下のように設定される。回転Y板のカット角CAが5度の場合は誘電体層13の膜厚Hの波長λに対する比H/λの値は0.328以上であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin1は0.328である。同様にカット角CAが10度の場合は比H/λは0.335以上であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin1は0.335である。カット角CAが15度の場合は比H/λは0.338以上であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin1は0.338である。カット角CAが20度の場合は比H/λは0.341以上であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin1は0.341である。カット角CAが25度の場合は比H/λは0.344以上であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin1は0.344である。
【0014】
図3は比較例の試料の比H/λと電気機械結合係数k2との関係を示す。図3に基づいて、比H/λの値が最小値Rmin1であるときの、カット角CAと電気機械結合係数k2の関係が得られる。図4は、カット角CAと比H/λの最小値Rmin1と電気機械結合係数k2との関係を示す。図4に示すように、カット角CAが5度でありかつ比H/λの値が0.328である場合の電気機械結合係数k2の値は0.095である。カット角CAが10度でありかつ比H/λの値が0.335である場合の電気機械結合係数k2の値は0.091である。カット角CAが15度でありかつ比H/λの値が0.338である場合の電気機械結合係数k2の値は0.088である。カット角CAが20度でありかつ比H/λの値が0.341である場合の電気機械結合係数k2の値は0.083である。カット角CAが25度でありかつ比H/λの値が0.344である場合の電気機械結合係数k2の値は0.076である。
【0015】
同様に、Ta2O5よりなる誘電体層13を備えた弾性波素子1001の実施例1の試料について、弾性波の漏れの発生を抑制する最低限の膜厚Hの値と、その値に対応する電気機械結合係数k2との関係を導き出す。
【0016】
図5は、弾性波素子1001の実施例1の試料の誘電体層13の、圧電基板11の表面11Aに直角の方向の膜厚Hの波長λに対する比H/λとSH波の音速V3との関係を示す。図5は、Smith定数を用いて算出した圧電基板11の表面11A上を伝搬する遅い横波の音速V2を併せて示す。音速V2は4055m/sである。音速V2よりもSH波の音速V3を遅くすることにより、圧電基板11の表面11Aを伝播する弾性波の漏れの発生を抑制することができる。図5に示すように、音速V2よりも音速V3が遅くなる条件を満たす膜厚Hは以下である。回転Y板のカット角CAが5度の場合は誘電体層13の膜厚Hの波長λに対する比は0.034以上であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin2は0.034である。同様に、カット角CAが10度の場合は比H/λは0.0344以上であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin2は0.0344である。カット角CAが15度の場合は比H/λは0.0345以上であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin2は0.0345である。カット角CAが20度の場合は比H/λは0.0346以上であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin2は0.0436である。カット角CAが25度の場合は比H/λは0.0347であり、すなわち、比H/λの最小値Rmin2は0.0347である。
【0017】
図6は実施例1の試料の比H/λと電気機械結合係数k2との関係を示す。図6に基づいて、比H/λの値が最小値Rmin2であるときの、実施例1の弾性波素子1001のカット角CAと電気機械結合係数k2の関係が得られる。図7は、実施例1の弾性波素子1001のカット角CAと比H/λの最小値Rmin2と電気機械結合係数k2との関係を示す。図7に示すように、カット角CAが5度でありかつ比H/λの値が0.038である場合の電気機械結合係数k2の値は0.204である。カット角CAが10度でありかつ比H/λの値が0.0344である場合の電気機械結合係数k2の値は0.200である。カット角CAが15度でありかつ比H/λの値が0.0345である場合の電気機械結合係数k2の値は0.191である。カット角CAが20度でありかつ比H/λの値が0.0346である場合の電気機械結合係数k2の値は0.179である。カット角CAが25度でありかつ比H/λの値が0.0347である場合の電気機械結合係数k2の値は0.165である。
【0018】
図8は、実施例1の弾性波素子1001の圧電基板11の回転Y板のカット角CAの値にそれぞれ対応する比H/λの最小値Rmin2の値を示す。
【0019】
SiO2よりなる誘電体層を備えた比較例の弾性波素子で、弾性波の漏れが生じない誘電体層の膜厚Hの波長λに対する比H/λの最小値Rmin1の値に対応する電気機械結合係数k2の値が図4に示されている。電気機械結合係数k2のこれらの値をTa2O5よりなる誘電体層13を備えた実施例1の弾性波素子1001で得るための膜厚H(比H/λ)の値は図6から読み取ることができる。図8は比較例の比H/λの最小値Rmin1の値に対応する電気機械結合係数k2を実施例1の弾性波素子1001で得るための比H/λの値R3を併せて示す。図8に示すように、電気機械結合係数k2の値が0.095である場合の誘電体層13の膜厚Hの波長λに対する比H/λの値は0.126である。同様に、電気機械結合係数k2の値が0.091である場合の比H/λの値は0.126である。電気機械結合係数k2が0.088である場合の比H/λの値は0.122である。電気機械結合係数k2の値が0.083である場合の比H/λの値は0.118である。電気機械結合係数k2の値が0.076である場合の比H/λの値は0.114である。
【0020】
図8に示すように、比H/λの最小値Rmin2と値R3はそれぞれ実質的に四角形の底辺と上辺とを形成する。実施例1の弾性波素子1001の誘電体層13の膜厚Hの波長λに対する比H/λをこの四角形の範囲内に設定する。これにより、弾性波の漏れが生じない最低の膜厚Hを担保すると共に、SiO2よりなる誘電体層を備えた比較例の弾性波素子よりも高い電気機械結合係数k2を担保することができ、その結果、弾性波素子1001の広帯域化を実現することができる。比H/λを図8に示すこの四角形の範囲に入れるために、圧電基板11における回転Y板のカット角CAが2.5度以上7.5度未満である場合には比H/λは0.038〜0.126である。同様に、カット角CAが7.5度以上12.5度未満である場合には比H/λは0.0344〜0.126である。カット角CAが12.5度以上17.5度未満である場合には比H/λは0.0345〜0.122である。カット角CAが17.5度以上22.5度未満である場合には比H/λは0.0346〜0.118である。
【0021】
このように、実施の形態1による弾性波素子1001は、高い電気機械結合係数を有しかつ広帯域であるので、携帯電話等の各種通信機器に有用である。
【0022】
(実施の形態2)
実施の形態2における弾性波素子は図1A〜図1Cに示す実施の形態1における弾性波素子1001と同様の構造を有する。
【0023】
実施の形態2における弾性波素子では、圧電基板11には、回転Y板のカット角が2.5度以上22.5度以下のLiNbO3基板を用いている。誘電体層13の膜厚Hの、圧電基板11における擬似弾性波Wの中心周波数の波長λに対する比H/λは0.123以下である。
【0024】
以下に、誘電体層13の膜厚Hについて説明する。図1Bにおける、アルミよりなる櫛歯電極12の膜厚Tの波長λに対する比T/λを0.08に設定して図1Aと図1Bに示す構造を有し、圧電基板11の回転Y板のカット角CAが0度、5度、10度、15度、20度、25度の実施の形態2による弾性波素子の実施例2の試料を作製した。Smith定数をLiNbO3の材料定数として用い、試料の音速をCampbellらの方法で計算した。
【0025】
図9は、圧電基板11の回転Y板のカット角CAが0度、5度、10度、15度、20度、25度である場合の誘電体層13の膜厚Hの波長λに対する比H/λと、電気機械結合係数k2との関係を示す。
【0026】
水晶の電気機械結合係数k2の値は0.001である。図9に示すように、例えば回転Y板のカット角CAが15度である場合は、比H/λを0.007〜0.048と設定することで、実施例2の弾性波素子は、水晶の電気機械結合係数k2の値よりも低い値の電気機械結合係数k2を有する。同様に、カット角CAが0度、5度、10度、15度、20度、25度である場合に、水晶の電気機械結合係数k2の値よりも低い値の電気機械結合係数k2が得られる比H/λの上限値R4と下限値R5を図10に示す。すなわち、比H/λを上限値R4と下限値R5で囲まれた領域A1に設定することで、実施の形態2による弾性波素子において水晶の電気機械結合係数k2の値よりも低い値の電気機械結合係数k2が得られる。
【0027】
図10に示すように、具体的には、圧電基板11における回転Y板のカット角CAが−2.5度以上2.5度未満である場合には、誘電体層13の膜厚Hの波長λに対する比H/λは0.038〜0.123に設定する。また、カット角CAが2.5度以上7.5度未満である場合には、比H/λは0.018〜0.123に設定する。また、カット角CAが7.5度以上12.5度未満である場合には、比H/λは0.007〜0.071に設定する。また、カット角CAが12.5度以上17.5度未満である場合には、比H/λは0よりも大きくかつ0.048以下に設定する、もしくは櫛歯電極12の膜厚Tの波長λに対する比T/λよりも大きくかつ0.048以下に設定する。また、カット角CAが17.5度以上22.5度未満である場合には、比H/λは0よりも大きくかつ0.037以下に設定する、もしくは櫛歯電極12の膜厚Tの波長λに対する比T/λよりも大きくかつ0.037以下に設定する。
【0028】
実施の形態2による弾性波素子は、レイリー波の電気機械結合係数k2が水晶の電気機械結合係数k2よりも低いので、レイリー波の発生を抑制することができ、その結果としてスプリアスの発生を抑制することができ携帯電話等の各種通信機器に有用である。
【0029】
図11は実施の形態による他の弾性波素子の実施例3の圧電基板11の回転Y板のカット角CAの値にそれぞれ対応する比H/λの上限値R6と下限値R7を示す。すなわち、比H/λを上限値R6と下限値R7で囲まれた領域A2に設定する。実施例3の弾性波素子では、比H/λが、図8に示す実施例1の範囲と図10に示す実施例2の範囲の双方に入るように設定されている。すなわち、圧電基板11における回転Y板のカット角CAが2.5度以上7.5度未満である場合には、比H/λは0.038〜0.123に設定する。また、カット角CAが7.5度以上12.5度未満である場合には、比H/λは0.0348〜0.071に設定する。また、カット角CAが12.5度以上17.5度未満である場合には、比H/λは0.0345〜0.048に設定する。また、カット角CAが17.5度以上22.5度未満である場合には、比H/λは0.0346〜0.037に設定する。
【0030】
実施の形態2による実施例3の弾性波素子は、レイリー波の電気機械結合係数k2が水晶の電気機械結合係数k2よりも低いので、レイリー波の発生を抑制することができ、さらに、主要弾性波に関しては高い電気機械結合係数を有するので、その結果としてスプリアスの発生を抑制することができると共に広帯域な通過特性を有する。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明にかかる弾性波素子は、高い結合係数を担保し、広帯域化を容易にすることができるという効果を有し、携帯電話等の各種通信機器において有用である。
【符号の説明】
【0032】
11 圧電基板
12 櫛歯電極
13 誘電体層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
擬似弾性波が伝播するよう構成された表面を有する、ニオブ酸リチウムからなる圧電基板と、
前記圧電基板の表面の一部に設けられた櫛歯電極と、
前記櫛歯電極を覆いかつ前記圧電基板の前記表面に設けられた五酸化タンタルからなる誘電体層と、
を備え、
前記圧電基板における回転Y板のカット角が2.5度以上22.5度以下であり、
前記誘電体層の膜厚Hの前記擬似弾性波の中心周波数の波長λに対する比H/λが0.034〜0.126である、弾性波素子。
【請求項2】
前記カット角が2.5度以上7.5度未満であり、前記比H/λが0.034〜0.126である、請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項3】
前記カット角が7.5度以上12.5度未満であり、前記比H/λが0.0344〜0.126である、請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項4】
前記カット角が12.5度以上17.5度未満であり、前記比H/λが0.0345〜0.122である、請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項5】
前記カット角が17.5度以上22.5度以下であり、前記比H/λが0.0346〜0.118である、請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項6】
前記比H/λが0.0344以上0.123以下である、請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項7】
前記カット角が2.5度以上7.5度未満であり、前記比H/λが0.038〜0.123である、請求項6に記載の弾性波素子。
【請求項8】
前記カット角が7.5度以上12.5度未満であり、前記比H/λが0.0344〜0.071である、請求項6に記載の弾性波素子。
【請求項9】
前記カット角が12.5度以上17.5度未満であり、前記比H/λが0.0345以上0.048以下の範囲内にある、請求項6に記載の弾性波素子。
【請求項10】
前記カット角が17.5度以上22.5度以下であり、前記比H/λが0.0346以上0.037以下である、請求項6に記載の弾性波素子。
【請求項1】
擬似弾性波が伝播するよう構成された表面を有する、ニオブ酸リチウムからなる圧電基板と、
前記圧電基板の表面の一部に設けられた櫛歯電極と、
前記櫛歯電極を覆いかつ前記圧電基板の前記表面に設けられた五酸化タンタルからなる誘電体層と、
を備え、
前記圧電基板における回転Y板のカット角が2.5度以上22.5度以下であり、
前記誘電体層の膜厚Hの前記擬似弾性波の中心周波数の波長λに対する比H/λが0.034〜0.126である、弾性波素子。
【請求項2】
前記カット角が2.5度以上7.5度未満であり、前記比H/λが0.034〜0.126である、請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項3】
前記カット角が7.5度以上12.5度未満であり、前記比H/λが0.0344〜0.126である、請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項4】
前記カット角が12.5度以上17.5度未満であり、前記比H/λが0.0345〜0.122である、請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項5】
前記カット角が17.5度以上22.5度以下であり、前記比H/λが0.0346〜0.118である、請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項6】
前記比H/λが0.0344以上0.123以下である、請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項7】
前記カット角が2.5度以上7.5度未満であり、前記比H/λが0.038〜0.123である、請求項6に記載の弾性波素子。
【請求項8】
前記カット角が7.5度以上12.5度未満であり、前記比H/λが0.0344〜0.071である、請求項6に記載の弾性波素子。
【請求項9】
前記カット角が12.5度以上17.5度未満であり、前記比H/λが0.0345以上0.048以下の範囲内にある、請求項6に記載の弾性波素子。
【請求項10】
前記カット角が17.5度以上22.5度以下であり、前記比H/λが0.0346以上0.037以下である、請求項6に記載の弾性波素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−284474(P2009−284474A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104968(P2009−104968)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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