弾性波装置
【課題】端子のカバー部材からの引き抜きを抑制できる弾性波装置を提供する。
【解決手段】SAW装置1は、弾性波を伝搬させる圧電基板3と、圧電基板3の第1表面3a上に配置された櫛歯状電極6とを有する。また、SAW装置1は、第1表面3aに対して配置され、櫛歯状電極6と電気的に接続された柱状の端子15と、端子15の側面を覆うカバー部材9とを有する。端子15は、高さ方向の第1領域において、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径している。振動空間17の内壁19aは、第1表面3aから離れるにつれて内方に傾斜しており、振動空間17の天井21a側の角部が曲面により構成されている。
【解決手段】SAW装置1は、弾性波を伝搬させる圧電基板3と、圧電基板3の第1表面3a上に配置された櫛歯状電極6とを有する。また、SAW装置1は、第1表面3aに対して配置され、櫛歯状電極6と電気的に接続された柱状の端子15と、端子15の側面を覆うカバー部材9とを有する。端子15は、高さ方向の第1領域において、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径している。振動空間17の内壁19aは、第1表面3aから離れるにつれて内方に傾斜しており、振動空間17の天井21a側の角部が曲面により構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波(SAW:surface acoustic wave)装置や圧電薄膜共振器(FBAR:Film Bulk Acoustic Resonator)等の弾性波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小型化等を目的とした、いわゆるウェハレベルパッケージの弾性波装置が知られている。この弾性波装置では、素子基板の表面上に配置された励振電極が、振動空間内に収容されつつ樹脂封止される。換言すれば、励振電極は、カバー部材によって覆われる。また、励振電極に接続される柱状の端子が素子基板の表面に立設される。柱状の端子は、先端側部分(素子基板の表面とは反対側の部分)がカバー部材から露出する。そして、弾性波装置は、柱状の端子の露出部分が回路基板に半田付けされることなどにより、回路基板に実装される。特許文献1は、柱状の端子が、先端側部分が根元側部分(素子基板の表面側の部分)よりも拡径するテーパ状(逆テーパ状)に形成された弾性波装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−208665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
弾性波装置は、重力や落下衝撃等によって、回路基板から離間する方向への力が加えられることがある。このとき、弾性波装置の端子は、先端側部分が回路基板に固定されていることから、カバー部材から引き抜かれる方向の力が加えられることになる。
従って、端子のカバー部材からの引き抜きを抑制できる弾性波装置が提供されることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態にかかる弾性波装置は、弾性波を伝搬させる基板と、前記基板の表面上に配置され、高さ方向の少なくとも第1領域はその前記表面側の断面積がその前記表面とは反対側の断面積よりも大きい、柱状の端子と、前記基板の表面上に配置され、且つ、前記端子と電気的に接続された励振電極と、前記励振電極上に形成される振動空間の天井及び内壁を構成し、前記端子の前記第1領域の側面を覆うカバー部材と、を有し、前記振動空間の前記内壁は、前記基板の前記表面から離れるにつれて内方に傾斜しており、前記振動空間の前記天井側の角部が曲面により構成されている。
【発明の効果】
【0006】
上記の弾性波装置によれば、弾性波装置の端子のカバー部材からの引き抜きを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】(a)及び(b)は、本発明の実施形態に係るSAW装置を示す模式的な平面図及び断面図である。
【図2】(a)乃至(d)は、図1(a)及び図1(b)のSAW装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
【図3】(a)乃至(d)は、図2(d)の続きを示す模式的な断面図である。
【図4】(a)及び(b)は、図3(d)の続きを示す模式的な断面図である。
【図5】(a)乃至(c)は、本発明の第1〜第3の変形例に係るSAW装置を示す模式的な断面図である。
【図6】(a)乃至(d)は、本発明の第4の変形例に係るSAW装置の製造方法を説明する模式的な断面図である。
【図7】は、本発明の第5の変形例に係るSAW装置を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<SAW装置の構造>
図1(a)は、本発明の実施形態に係るSAW装置1を示す模式的な平面図である。図1(b)は、図1(a)のIb−Ib線における模式的な断面図である。なお、図1(a)及び(b)は、SAW装置1の理解を容易にするためにSAW装置1を模式的に示したものであり、実施にあたっては、SAW装置1の各部の大きさ、数、形状等は適宜に設定されてよい。
【0009】
SAW装置1は、圧電基板3と、圧電基板3上に配置されたSAW素子5と、SAW素子5を保護するための保護層7及びカバー部材9と、SAW素子5を不図示の電子回路と電気的に接続するための接続用導体11、接続強化層13及び端子15とを有している。
【0010】
圧電基板3は、例えばタンタル酸リチウム単結晶,ニオブ酸リチウム単結晶等の圧電性を有する直方体状の単結晶基板である。圧電基板3は、第1表面3aと、その背面側の第2表面3bとを有している。なお、図1(a)及び図1(b)では、第1表面3aにのみ電極等が配置されている場合を例示しているが、第2表面3bにも電極等が配置されてよい。
【0011】
SAW素子5は、圧電基板3の第1表面3aに形成された複数対の櫛歯状電極(IDT電極)6を有している。櫛歯状電極6は、圧電基板3におけるSAWの伝搬方向(図1(a)及び図1(b)の紙面左右方向)と直交する方向に伸びる複数の電極指を有している。一対の櫛歯状電極6は、それぞれの電極指が互いに噛み合うように形成されている。
【0012】
なお、図1(a)及び図1(b)は模式図であることから、2本の電極指を有する櫛歯状電極6と、3本の電極指を有する櫛歯状電極6からなる一対の櫛歯状電極6のみを示している。実際には、これよりも多数の電極指を有する櫛歯状電極が複数対設けられてよい。また、複数のSAW素子5が直列接続や並列接続等の方式で接続され、ラダー型SAWフィルタや2重モードSAW共振器フィルタ等が構成されてもよい。SAW素子5の両端には、櫛歯状電極を有する反射器(SAW素子5の一部と捉えられてもよい。)が設けられてよい。SAW素子5は、例えばAl−Cu合金等のAl合金によって形成される。
【0013】
保護層7は、SAW素子5を覆っており、SAW素子5の酸化防止等に寄与する。保護層7は、例えば、絶縁性を有するとともに、SAWの伝搬に影響を与えない程度に質量の軽い材料により形成される。例えば、保護層7は、酸化珪素、窒化珪素、シリコンなどからなる。
【0014】
カバー部材9は、SAW素子5を保護層7の上から覆っている。ただし、カバー部材9は、SAW素子5上に、SAWを伝播しやすくするための振動空間17を構成している。換言すれば、カバー部材9は、振動空間17の内壁19aを構成する壁部19と、振動空間17の天井21aを構成する蓋部21とを有している。
【0015】
壁部19を構成する層の厚さ(壁部19の第1表面3aからの高さ)や蓋部21の厚さは、適宜に設定されてよい。例えば、当該厚さは、数μm〜30μmである。壁部19及び蓋部21は、例えば、概ね同等の厚さに形成されている。
【0016】
壁部19と蓋部21とは、別個の材料により形成されてもよいし、異なる材料により形成されてもよい。壁部19及び蓋部21は、例えば、紫外線や可視光線等の光が照射されることによって硬化する光硬化性材料により形成されている。換言すれば、壁部19及び蓋部21は、ネガ型のフォトレジストにより形成されている。光硬化性材料は、例えば、アクリル基やメタクリル基などのラジカル重合により硬化する樹脂、より具体的には、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系の樹脂である。
【0017】
振動空間17は、図1(b)に示すように、断面が概ね矩形状に形成されるとともに、蓋部21側の角部が曲面により構成されている。換言すれば、振動空間17を構成する内壁19aは、基板3の第1表面3aから離れるにつれて内方に傾斜している。振動空間17の平面形状(第1表面3aの平面視における形状)は、適宜に設定されてよい。例えば、振動空間17の平面形状は矩形状に形成されている。振動空間17の大きさは適宜に設定されてよい。
【0018】
接続用導体11は、SAW素子5と端子15とを接続するためのものである。接続用導体11は、例えば、SAW素子5と同様に、圧電基板3の第1表面3a上に形成されている。接続用導体11は、特に図示しないが、第1表面3a上において適宜なパターンで形成され、SAW素子5に接続されている。また、接続用導体11は、端子15の配置位置において、端子15の第1表面3a側の端面と同等以上の広さを有するように形成されている。接続用導体11は、例えば、SAW素子5と同一の材料により形成されるとともに、SAW素子5と同一の厚さに形成されている。
【0019】
接続強化層13は、比較的薄く形成される接続用導体11を補強して、接続用導体11と端子15との接続を強化するためのものである。接続強化層13は、端子15の配置位置において接続用導体11に積層されている。また、接続強化層13は、端子15の第1表面3a側の端面と同等以上の広さを有するように形成されている。接続強化層13は、例えば、接続用導体11と接続強化層13とで保護層7と概ね同等の厚さになるように形成されており、保護層7から露出している。接続強化層13は、例えば、クロムやニッケルにより形成されている。
【0020】
端子15は、接続強化層13上に設けられている。従って、端子15は、接続強化層13及び接続用導体11を介してSAW素子5に電気的に接続されている。また、端子15は、柱状に形成されており、第1表面3aに対して立設されている。そして、端子15の先端側部分は、不図示の回路基板等に接続可能に、カバー部材9から露出している。端子15は、例えば、半田,Cu,Au,Niにより形成されている。
【0021】
端子15は、柱状部分の根元側部分を構成し、側面が壁部19に覆われる第1柱部23と、柱状部分の先端側部分を構成し、側面が蓋部21に覆われる第2柱部25と、蓋部21から露出するランド27とを有している。
【0022】
第1柱部23及び第2柱部25は、それぞれ、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径するテーパ状に形成されている。換言すれば、端子15は少なくともその一部(第1領域)において、第1表面3a側の断面積が、第1表面3aとは反対側の断面積よりも大きくされている。なお、第1柱部23が第1領域と捉えられてもよいし、第2柱部25が第1領域と捉えられてもよい。第1柱部23の第2柱部25側の端面は、第2柱部25の第1柱部23側の端面よりも径が小さく、第1柱部23と第2柱部25との境界には、第1表面3aとは反対側が第1表面3a側よりも拡径する段差29が形成されている。
【0023】
第1柱部23及び第2柱部25は、例えば、概ね同一の大きさ及び形状に形成されている。より具体的には、第1柱部23及び第2柱部25は、第1表面3aとは反対側の端面の形状及び径が互いに概ね同一であり、また、テーパ面の傾斜が互いに概ね同一である。
【0024】
ランド27は、例えば、第2柱部25の第1表面3aとは反対側の端面よりも面積が広く形成されており、外周部はカバー部材9上に積層されている。
【0025】
なお、第1表面3aの平面視における第1柱部23、第2柱部25及びランド27の形状は適宜に設定されてよい。例えば、これらの形状は円形である。また、第1表面3aの平面視における第1柱部23、第2柱部25及びランド27の大きさは、第1表面3aの平面視における振動空間17の大きさに比較して小さい。一例として、第1表面3aの平面視において、振動空間17の大きさ500μm×500μmに対して、端子15の径は100μmである。
【0026】
<SAW装置の製造方法>
図2(a)〜図4(b)は、SAW装置1の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
【0027】
SAW装置1の製造方法は、概観すると、SAW素子5の形成工程(図2(a))と、カバー部材9の形成工程(図2(c)〜図3(d))と、端子15の形成工程(図4(a)及び図4(b))とを含んでいる。具体的には、以下のとおりである。
【0028】
図2(a)に示すように、まず、圧電基板3の第1表面3a上には、SAW素子5及び接続用導体11が形成される。具体的には、まず、スパッタリング法、蒸着法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法により、圧電基板3の第1表面3a上に金属層が形成される。次に、金属層に対して、縮小投影露光機(ステッパー)とRIE(Reactive Ion Etching)装置とを用いたフォトリソグラフィー法等によりパターニングが行われる。これにより、SAW素子5及び接続用導体11が形成される。
【0029】
SAW素子5及び接続用導体11が形成されると、図2(b)に示すように、保護層7及び接続強化層13が形成される。保護層7及び接続強化層13は、いずれが先に形成されてもよい。例えば、まず、保護層7となる薄膜が、SAW素子5及び接続用導体11の上を覆うように、CVD法または蒸着法等の薄膜形成法により形成される。次に、接続用導体11のうち、端子15の配置位置における部分が露出するように、フォトリソグラフィー法によって薄膜の一部が除去される。これにより、保護層7が形成される。次に、蒸着法等により接続用導体11の露出部分及び保護層7上に金属層が形成されるとともに、フォトリソグラフィー等により保護層7上の金属層が除去される。これにより、接続強化層13が形成される。
【0030】
保護層7及び接続強化層13が形成されると、図2(c)〜図3(a)に示すように、壁部19が形成される。
【0031】
具体的には、まず、図2(c)に示すように、保護層7及び接続強化層13上に、壁部19を構成する壁部構成層31が形成される。壁部構成層31は、例えば、ネガ型のフォトレジストにより形成されたフィルムが貼り付けられることにより形成される。
【0032】
次に、図2(d)に示すように、フォトマスク33を介して紫外線等の光が壁部構成層31に照射される。すなわち、露光処理が行われる。フォトマスク33は、例えば、透明基板35上に遮光層37が形成されることにより構成されている。遮光層37は、壁部構成層31を除去すべき位置に対応する位置に配置されている。すなわち、振動空間17の配置位置及び端子15の配置位置に対応する位置に配置されている。なお、露光は、投影露光であってもよいし、プロキシミティ露光であってもよいし、密着露光であってもよい。
【0033】
その後、図3(a)に示すように、現像処理を行い、壁部構成層31のうち、光が照射された部分を残し、光が照射されなかった部分を除去する。これにより、壁部構成層31には、振動空間17となる開口部39と、第1柱部23が配置される第1孔部41とが形成される。すなわち、壁部19が形成される。
【0034】
ここで、壁部構成層31の光が照射される領域の縁部においては、照射された光が、壁部構成層31の光が照射されない領域へ発散されてしまうことから、第1表面3a側まで十分に光が到達しない。従って、壁部構成層31の光が照射される領域の縁部は、第1表面3a側が十分に硬化されずに、除去される。その結果、第1孔部41は、第1表面3a側ほど拡径するテーパ状(順テーパ状)に形成される。
【0035】
同様に、開口部39も、第1表面3a側ほど拡径するテーパ状(順テーパ状)に形成される。ただし、開口部39は、第1孔部41よりも大きいこと、平面視において縁部が直線状であることなどから、開口部39が形成される領域は、第1孔部41が形成される領域に比較して、光が発散しやすい。従って、断面図において、第1孔部41は、全体がテーパ状となるのに対し、開口部39は、第1表面3a側とは反対側の部分のみがテーパ状となる。また、断面図において、開口部39のテーパ面は、第1孔部41のテーパ面を上下に圧縮した形状となるから、第1孔部41のテーパ面に比較して曲率が大きくなり、曲面として認識されやすくなる。
【0036】
第1孔部41及び開口部39が形成されると、図3(b)〜図3(d)に示すように、蓋部21が形成される。
【0037】
具体的には、まず、図3(b)に示すように、壁部19上に、蓋部21を構成する蓋部構成層43が形成される。蓋部構成層43は、例えば、ネガ型のフォトレジストにより形成されたフィルムが貼り付けられることにより形成される。蓋部構成層43が形成されることにより、壁部19の開口部39(図3(a))が塞がれて、振動空間17が構成される。なお、壁部構成層31と蓋部構成層43とは加熱されることによって接合されることが好ましい。
【0038】
次に、図3(c)に示すように、フォトマスク45を介して紫外線等の光が蓋部構成層43に照射される。すなわち、露光処理が行われる。フォトマスク45は、フォトマスク33と同様に、透明基板47上に遮光層49が形成されることにより構成されている。遮光層49は、蓋部構成層43を除去すべき位置に対応する位置に配置されている。すなわち、端子15の配置位置に対応する位置に配置されている。フォトマスク45は、例えば、フォトマスク33において、遮光層37のうち振動空間17に対応する部分を除去した構成となっている。なお、露光は、投影露光であってもよいし、プロキシミティ露光であってもよいし、密着露光であってもよい。
【0039】
その後、図3(d)に示すように、現像処理を行い、蓋部構成層43のうち、光が照射された部分を残し、光が照射されなかった部分を除去する。これにより、蓋部構成層43には、第2柱部25が配置される第2孔部51が形成される。すなわち、蓋部21が形成される。蓋部21が形成されることにより、壁部19と蓋部21によりカバー部材9が完成する。なお、第1孔部41及び第2孔部51は接続されており、合体孔部53を構成している。
【0040】
カバー部材9が形成されると、図4(a)及び図4(b)に示すように、端子15が形成される。具体的には、まず、図4(a)に示すように、メッキ用下地層55及びメッキ用レジスト層57が形成される。
【0041】
メッキ用下地層55は、カバー部材9を覆うように形成される。また、メッキ用下地層55は、接続強化層13によって構成される合体孔部53の底面、及び、カバー部材9によって構成される合体孔部53の内周面にも形成される。メッキ用下地層55は、例えばフラッシュメッキ法により、Ti−Cu合金等で形成するのが好適な一例である。フラッシュメッキ法によりメッキ用下地層55を形成する場合、メッキ形成部位に電流を流すための配線パターンを形成する必要がない。従って、SAW装置1の小型化が可能となる。
【0042】
メッキ用レジスト層57は、メッキ用下地層55上に形成される。メッキ用レジスト層57は、例えば、スピンコート等の手法で基板に形成される。メッキ用レジスト層57には、合体孔部53上にランド用孔部59が形成されている。ランド用孔部59は、径が合体孔部53の径よりも大きく、また、深さ(メッキ用レジスト層57の厚さ)がランド27の厚さ以上である。ランド用孔部59は、例えば、フォトリソグラフィーにより形成される。
【0043】
次に、図4(b)に示すように、ランド用孔部59を介して露出するメッキ用下地層55に対してメッキ法を施す。これにより、合体孔部53内及びランド用孔部59に金属が充填されることになる。そして、第1孔部41に充填された金属により第1柱部23が形成され、第2孔部51に充填された金属により第2柱部25が形成され、ランド用孔部59に充填された金属によりランド27が形成される。なお、ランド用孔部59においては、メッキ用レジスト層57の表面まで金属が充填される必要はなく、ランド用孔部59の適宜な深さまで金属が充填されればよい。メッキ法は、適宜に選択されてよいが、電気メッキ法が好適である。電気メッキ法は、柱状の端子15の高さの自由度が高く、また、メッキ用下地層55との密着性が良好なためである。
【0044】
その後、メッキ用レジスト層57を除去するとともに、メッキ用下地層55のうちランド用孔部59から露出していなかった部分を除去する。これにより、図1(b)に示すように、SAW装置1が形成される。なお、図1(b)では、メッキ用下地層55の残った部分の図示は省略されている。メッキ用レジスト層57は、例えば、アセトンやIPA等の有機溶剤やジメチルスルフォキシド等のアルカリ性有機溶剤により除去が可能である。メッキ用下地層55のCuは、例えば、塩化第2鉄や燐酸と過酸化水素水の混合液により除去が可能である。また、メッキ用下地層55のTiは、例えば、希フッ酸やアンモニアと過酸化水素水の混合液で除去が可能である。
【0045】
なお、上記の工程は、いわゆるウエハプロセスにおいて実現される。すなわち、分割されることによって圧電基板3となる母基板を対象に上述の工程が行われ、多数個分のSAW装置が並行して形成される。
【0046】
以上の実施形態によれば、SAW装置1は、弾性波を伝搬させる圧電基板3と、圧電基板3の第1表面3a上に配置された櫛歯状電極6とを有する。また、SAW装置1は、第1表面3aに対して立設され、櫛歯状電極6と電気的に接続された柱状の端子15と、櫛歯状電極6上に中空の振動空間17を形成するとともに、端子15の側面を覆うカバー部材9とを有する。そして、端子15は、立設方向の少なくとも一部において、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径している。従って、端子15をカバー部材9から引き抜く方向の力を端子15に加えると、端子15がカバー部材9に係合し、端子15の引き抜きが抑制される。すなわち、SAW装置1の耐久性が向上する。
【0047】
端子15は、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径するテーパ部(第1柱部23及び第2柱部25)を有する。従って、端子15をカバー部材9から引き抜く方向の力が端子15に加えられると、端子15は、比較的広い面積に亘ってカバー部材9に係合することになる。その結果、カバー部材9に局部的に荷重が加えられることが抑制される。そして、カバー部材9の破損や当該破損によって端子15の引き抜きが生じることが抑制される。
【0048】
端子15は、テーパ部として、第1柱部23と、第1柱部23の第1表面3aとは反対側に連続する第2柱部25とを有し、第1柱部23の第2柱部25側の径は、第2柱部25の第1柱部23側の径よりも小さい。従って、引き抜きに対して、後述する第2変形例(図5(b)参照)と同様の係止力を発揮しつつ、第1表面3aに平行な断面における断面積の、立設方向における変化を第2変形例よりも小さくできる。その結果、端子15の最小断面積(端子15の電気抵抗に影響する)に対する最大断面積の比を小さくし、端子15の小径化を図ることができる。さらに、端子15に押し込む方向の力が加えられたときに、その力の一部が、カバー部材9に伝達されることになるから、接続強化層13の負担を軽減することができる。その結果、耐久性の向上や接続強化層13の薄型化や省略が容易化される。
【0049】
第1柱部23と第2柱部25との境界(段差29)の第1表面3aからの位置は、振動空間17の天井21aの第1表面3aからの位置と一致する。従って、端子15に押し込む方向の力が加えられたときに、その力が段差29から蓋部21に伝達されることが抑制され、ひいては、蓋部21が撓んで天井21aが振動空間17の底面(保護層7)に接触することが抑制される。その一方で、段差29から壁部19に伝達される押し込む方向の力は、壁部19の第1表面3aからの高さ方向の全体に加えられることになり、壁部19に伝達された力を広い範囲に分散させることができる。さらに、壁部19及び蓋部21を、それぞれ別個の工程(別個の層)により形成する場合には、各層に対して、単純な形状の孔部(第1孔部41及び第2孔部51)を形成すればよく、換言すれば、開口方向の中途で縮径する孔部を形成する必要はなく、合体孔部53の形成が容易である。
【0050】
振動空間17の内壁19a及び天井21aは、アーチ状に形成されている。従って、蓋部21は撓みが抑制される。その結果、例えば、振動空間17の高さを小さくしてSAW装置1の小型化を図ることができる。
【0051】
SAW装置1の製造方法は、弾性波を伝搬させる圧電基板3の第1表面3a上に櫛歯状電極6を配置する工程(図2(a))を有する。また、当該製造方法は、櫛歯状電極6と電気的に接続され、第1表面3aに対して立設され、立設方向の少なくとも一部において、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径している柱状の端子15を形成する工程(図4(a)及び図4(b))を有する。さらに、当該製造方法は、櫛歯状電極6上に中空の振動空間17を形成するとともに、端子15の側面を覆うカバー部材9を形成する工程(図2(c)〜図3(d))を有する。従って、端子15の引き抜きが抑制されるSAW装置1が形成される。
【0052】
カバー部材9を形成する工程は、カバー部材9となるカバー部材構成層(壁部構成層31及び蓋部構成層43)を形成する工程(図2(c)及び図3(b))を有する。また、カバー部材9を形成する工程は、カバー部材構成層に、合体孔部53を形成する工程(図2(d)及び図3(a)、並びに、図3(c)及び図3(d))を有する。合体孔部53は、端子15の立設方向の少なくとも一部において、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径する。そして、端子15を形成する工程(図4(b))では、合体孔部53内に導電性材料(金属)が充填されて端子15が形成される。
【0053】
従って、立設方向の少なくとも一部において、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径する端子15が容易に形成される。しかも、後述する第4変形例(図6(a)〜図6(d)参照)の形成方法に比較して、端子15の柱部を形成するためにのみ、後に除去されるレジスト層を設ける必要がなく、製造方法が簡素化される。
【0054】
合体孔部53を形成する工程では、ネガ型のフォトリソグラフィーによってカバー部材構成層(壁部構成層31及び蓋部構成層43)の一部が除去されて合体孔部53が形成される。従って、露光のための光が散乱してしまうという、本来であれば望ましくない現象を積極的に利用して、端子15の立設方向の少なくとも一部において、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径する合体孔部53を形成できる。その結果、合体孔部53の一部を拡径するための特別な工程を追加する必要がなく、製造方法が簡素化される。
【0055】
カバー部材構成層を形成する工程は、振動空間17の壁部19を構成する壁部構成層31を形成する工程(図2(c))と、壁部構成層31上に、振動空間17の蓋部21を構成する蓋部構成層43を形成する工程(図3(b))とを有する。合体孔部53を形成する工程は、蓋部構成層43を形成する工程の前に、ネガ型のフォトリソグラフィーによって壁部構成層31の一部を除去して、振動空間17となる開口部39と、第1孔部41とを形成する工程(図2(d)及び図3(a))を有する。第1孔部41は、合体孔部53の表面側部分となる、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径する孔部である。また、合体孔部53を形成する工程は、蓋部構成層43を形成する工程の後に、ネガ型のフォトリソグラフィーによって蓋部構成層43の一部を除去して第2孔部51を形成する工程(図3(c)及び図3(d))を有する。第2孔部51は、合体孔部53の第1表面3aとは反対側部分となる、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径し、第1表面3a側の径が、第1孔部41の第1表面3aとは反対側の径よりも大きい孔部である。
【0056】
従って、上述したように、端子15の2つのテーパ部(第1柱部23及び第2柱部25)を形成可能な、開口方向の一部において縮径する合体孔部53が、単純な形状の第1孔部41及び第2孔部51の形成によって実現される。
【0057】
なお、以上の実施形態において、SAW装置1は本発明の弾性波装置の一例であり、圧電基板3は本発明の基板の一例であり、第1表面3aは本発明の基板の表面の一例である。また、櫛歯状電極6は本発明の励振電極の一例であり、第1柱部23は本発明の第1のテーパ部の一例であり、第2柱部25は本発明の第2テーパ部の一例である。
【0058】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0059】
弾性波装置は、SAW装置に限定されない。例えば、弾性波装置は、圧電薄膜共振器であってもよい。弾性波装置において、保護層(7)や接続強化層(13)は省略されてもよいし、逆に、他の適宜な層が形成されてもよい。例えば、実施形態において、壁部19上、又は、蓋部21上に積層され、基準電位に接続される端子15に支持される金属層(平板)が設けられてもよい。この場合、蓋部21の撓みに対する強度を金属層によって補強できる。
【0060】
端子は、テーパ状のものに限定されない。適宜な形状により、立設方向の少なくとも一部において、表面側が表面とは反対側よりも拡径する端子が実現されてよい。
【0061】
図5(a)は、第1変形例の端子115を示す模式的な断面図である。端子115は、接続強化層13上に立設された第1柱部123と、第1柱部123上に立設された第2柱部125と、第2柱部125上に設けられたランド27とを有している。第1柱部123及び第2柱部125は、円柱状に形成されている。また、第1柱部123の径は、第2柱部125の径よりも大きい。
【0062】
第1変形例によれば、実施形態と同様に、端子115がカバー部材109に係合し、引き抜きが抑制される。また、カバー部材109の壁部119及び蓋部121においては、開口方向において均一な径を有する孔部を形成すればよいことから、孔部の形成方法の選択の自由度が向上する。
【0063】
また、端子がテーパ部を有する場合、テーパ部の数は2つに限定されない。テーパ部の数は、一つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0064】
図5(b)は、第2変形例の端子215を示す模式的な断面図である。端子215は、接続強化層13上に立設された柱部223と、柱部223上に設けられたランド27とを有している。柱部223は、端子15のうち側面がカバー部材9に被覆される部分の全体であり、また、一つのテーパ状に形成されている。なお、このような柱部223を形成するためには、例えば、壁部219に形成する孔部の径よりも、壁部221に形成する孔部の径を小さくするように、ネガ型のフォトリソグラフィーを行えばよい。
【0065】
第2変形例によれば、実施形態と同様に、端子215がカバー部材209に係合し、引き抜きが抑制される。また、端子215及びカバー部材209の端子215を被覆する部分には、角部が生じることが抑制されるから、応力集中が生じることが抑制され、耐久性が向上する。
【0066】
また、端子は、側面がカバー部材に被覆される部分の全体において、テーパ部が形成される必要はない。
【0067】
図5(c)は、第3変形例の端子315を示す模式的な断面図である。端子315は、接続強化層13上に立設された第1柱部23と、第1柱部23上に立設された第2柱部125と、第2柱部125上に設けられたランド27とを有している。第1柱部23は、実施形態と同様にテーパ状に形成され、第2柱部125は、第1変形例と同様に円柱状に形成されている。
【0068】
第3変形例によれば、実施形態と同様に、端子315がカバー部材309に係合し、引き抜きが抑制される。また、蓋部121においては、テーパ状の孔部を形成する必要がないから、孔部の形成方法の選択の自由度が高い。その結果、壁部19の形成材料と蓋部121の形成材料とを異なるものにすることなども容易になる。なお、第3変形例とは逆に、第1柱部が円柱状に、第2柱部がテーパ状に形成されてもよい。
【0069】
第1のテーパ部(23)と第2のテーパ部(125)との段差(29)の表面(3a)からの位置は、振動空間(17)の天井(21a)の表面(3a)からの位置と一致しなくてもよい。また、段差の位置と天井の位置とを一致させない製造方法も適宜に選択可能である。例えば、実施形態では、2層のフォトレジスト(31、43)によりカバー部材を構成したが、それよりも多い複数層のフォトレジストによりカバー部材を構成して、適宜な位置にテーパの段差を形成してもよい。
【0070】
実施形態では、カバー部材を形成する工程の後に端子を形成する工程が行われたが、端子を形成する工程の後にカバー部材が形成されてもよい。
【0071】
図6(a)〜図6(d)は、第4変形例のSAW装置401の製造方法を説明するための模式的な断面図である。第4変形例では、端子415が形成された後に、カバー部材409(図6(d))が形成される。具体的には、以下のとおりである。
【0072】
まず、図6(a)に示すように、圧電基板3の第1表面3a上には、SAW素子(図示省略)上に振動空間417を構成する内郭部419が形成される。内郭部419は、カバー部材409の内側部分を構成するものである。内郭部419は、例えば、感光性樹脂により形成される。
【0073】
次に、図6(b)に示すように、孔部453が形成された端子用レジスト層457が形成され、孔部453に導電性材料が充填されることにより、端子415が形成される。孔部453及び端子415は、例えば、第2変形例と同様に、全体がテーパ状に形成されたものである。
【0074】
その後、図6(c)に示すように、端子用レジスト層457は除去される。これにより、端子415の側面は露出する。
【0075】
そして、図6(d)に示すように、内郭部419及び端子415は樹脂封止される。封止樹脂の上面側部分は、端子415が露出するまで(点線で示す位置まで)研削される。研削された封止樹脂により、カバー部材409の外側部分を構成する外郭部421が形成される。
【0076】
なお、カバー部材より先に端子を形成する場合、端子の形成方法は、レジスト層に形成された孔部に導電性材料を充填する方法に限定されない。例えば、透過孔の径が互いに異なる複数のマスクを用いて、マスクを介した金属の蒸着を複数回行うことによって、適宜な位置において拡径する端子を形成してもよい。
【0077】
カバー部材等に孔部を形成し、孔部に導電性材料を充填して端子を形成する場合、孔部の形成は、フォトリソグラフィーによるものに限定されない。例えば、孔部は、レーザ光によるアブレーション加工によって形成されてもよい。なお、この場合、テーパ面は、例えば、レーザ光の照射角度を基板の表面に対して傾斜させることにより、形成可能である。
【0078】
また、端子となる導電性材料が充填される孔部がフォトリソグラフィーにより形成される場合、テーパ面の形成は、ネガ型のフォトリソグラフィーにおける光の発散を利用するものに限定されない。例えば、ポジ型又はネガ型のフォトリソグラフィーにおいて、光を基板の表面に対して斜めに照射することにより、テーパ面を形成することが可能である。また、ネガ型のフォトリソグラフィーにおいて、縮小投影系によって光の径を縮径させつつレジストに照射することにより、表面側が拡径するテーパ状の孔部を形成することが可能である。
【0079】
実施形態では、端子のテーパ部は、表面側が表面とは反対側よりも拡径した。しかし、端子のテーパ部は、表面とは反対側が表面側よりも拡径するように形成されてもよい。
【0080】
図7は、第5の変形例に係るSAW装置501を示す模式的な断面図である。
【0081】
端子515の第1柱部523及び第2柱部525は、それぞれ、第1表面3aとは反対側が第1表面3a側よりも拡径するテーパ状に形成されている。第1柱部523の第2柱部525側の端面は、第2柱部525の第1柱部523側の端面よりも径が大きく、第1柱部523と第2柱部525との境界には、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径する段差529が形成されている。換言すれば、端子515は、第1表面3aとは反対側の断面積が第1表面3a側の断面積よりも大きい第3のテーパ部(第1柱部523)と、第3のテーパ部に連続し、第1の表面3aとは反対側の断面積が、第1の表面3a側の断面積よりも大きい第4のテーパ部(第2柱部525)とを有している。また、第3のテーパ部の第4のテーパ部側の断面積と、第4のテーパ部の第3のテーパ部側の断面積とを比較すると、第3のテーパ部の第4のテーパ部側の断面積の方が大きくされている。なお、第1柱部523及び第2柱部525は、互いに同一の大きさ及び形状であってもよいし、互いに異なる大きさ及び形状であってもよい。
【0082】
このような構成によっても、段差529がカバー部材509に対して第1表面3a側から係合することにより、端子515の引き抜きが抑制される。
【0083】
SAW装置501の製造方法は、実施形態のSAW装置1の製造方法と概ね同様である。ただし、SAW装置501の製造方法においては、ネガ型のフォトリソグラフィーに代えて、ポジ型のフォトリソグラフィーにより、壁部519及び枠部521が形成される。
【0084】
ポジ型のフォトリソグラフィーにより、端子515となる金属が充填される第1孔部541及び第2孔部551が形成されると、実施形態と同様に、光の発散により、第1孔部541及び第2孔部551はテーパ状となる。ただし、ネガ型とは光の照射領域と被照射領域とが逆であるから、第1孔部541及び第2孔部551は、実施形態の第1孔部41及び第2孔部51とは逆方向に拡径する。
【0085】
また、ポジ型のフォトリソグラフィーにより振動空間517が形成されることにより、内壁519a及び天井521aも、第1の実施形態の内壁19a及び天井21aとは逆の形状、すなわち、第1表面3aとは反対側ほど拡径する形状となる。
【0086】
なお、上述のように、テーパ状の孔部は、光を斜めに照射することなどによっても形成可能であるから、ネガ型のフォトリソグラフィーによって第1孔部541及び第2孔部551を形成することも可能である。
【0087】
振動空間は、カバー部材の壁部の開口部が、壁部とは別個に形成された蓋部によって塞がれることにより構成されるものに限定されない。例えば、基板上に振動空間と同一形状のレジストを形成し、その上にカバー部材となるカバー部材構成層を形成し、その後、カバー部材構成層に設けた貫通孔を介して、レジストを除去することにより、振動空間を構成してもよい。
【0088】
振動空間は、アーチ状に形成されなくてもよい。また、振動空間がアーチ状に形成される場合、アーチは、内壁の天井側部分が曲面状に面取りされることにより形成されるものに限定されない。例えば、アーチは、内壁全体が平面状のテーパ面により構成されることにより形成されてもよい。また第1のテーパ部と第2のテーパ部との境界の第1表面3aからの位置は、振動空間17の天井の第1表面3aからの位置と必ずしも一致している必要はなく、両者の位置がずれていてもよい。
また、第1のテーパ部と第2のテーパ部とは、その傾斜角(各テーパ部が圧電基板の第1表面3aとなす角)が互いに異なるようにしてもよい。例えば、第1のテーパ部の傾斜角が第2のテーパ部の傾斜角より大きくなるようにして第1柱部23と第2柱部25を形成してもよい。このように第1のテーパ部の傾斜角と第2のテーパ部の傾斜角を異ならせることによって、端子15に押し込む方向の力が加えられたときに、壁部19に伝達される力をより広範囲に分散させることができる。
【符号の説明】
【0089】
1…SAW装置(弾性波装置)、3…圧電基板(基板)、3a…第1表面(表面)、6…櫛歯状電極(励振電極)、9…カバー部材、15…端子、17…振動空間、19a…内壁、21a…天井。
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波(SAW:surface acoustic wave)装置や圧電薄膜共振器(FBAR:Film Bulk Acoustic Resonator)等の弾性波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
小型化等を目的とした、いわゆるウェハレベルパッケージの弾性波装置が知られている。この弾性波装置では、素子基板の表面上に配置された励振電極が、振動空間内に収容されつつ樹脂封止される。換言すれば、励振電極は、カバー部材によって覆われる。また、励振電極に接続される柱状の端子が素子基板の表面に立設される。柱状の端子は、先端側部分(素子基板の表面とは反対側の部分)がカバー部材から露出する。そして、弾性波装置は、柱状の端子の露出部分が回路基板に半田付けされることなどにより、回路基板に実装される。特許文献1は、柱状の端子が、先端側部分が根元側部分(素子基板の表面側の部分)よりも拡径するテーパ状(逆テーパ状)に形成された弾性波装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−208665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
弾性波装置は、重力や落下衝撃等によって、回路基板から離間する方向への力が加えられることがある。このとき、弾性波装置の端子は、先端側部分が回路基板に固定されていることから、カバー部材から引き抜かれる方向の力が加えられることになる。
従って、端子のカバー部材からの引き抜きを抑制できる弾性波装置が提供されることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態にかかる弾性波装置は、弾性波を伝搬させる基板と、前記基板の表面上に配置され、高さ方向の少なくとも第1領域はその前記表面側の断面積がその前記表面とは反対側の断面積よりも大きい、柱状の端子と、前記基板の表面上に配置され、且つ、前記端子と電気的に接続された励振電極と、前記励振電極上に形成される振動空間の天井及び内壁を構成し、前記端子の前記第1領域の側面を覆うカバー部材と、を有し、前記振動空間の前記内壁は、前記基板の前記表面から離れるにつれて内方に傾斜しており、前記振動空間の前記天井側の角部が曲面により構成されている。
【発明の効果】
【0006】
上記の弾性波装置によれば、弾性波装置の端子のカバー部材からの引き抜きを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】(a)及び(b)は、本発明の実施形態に係るSAW装置を示す模式的な平面図及び断面図である。
【図2】(a)乃至(d)は、図1(a)及び図1(b)のSAW装置の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
【図3】(a)乃至(d)は、図2(d)の続きを示す模式的な断面図である。
【図4】(a)及び(b)は、図3(d)の続きを示す模式的な断面図である。
【図5】(a)乃至(c)は、本発明の第1〜第3の変形例に係るSAW装置を示す模式的な断面図である。
【図6】(a)乃至(d)は、本発明の第4の変形例に係るSAW装置の製造方法を説明する模式的な断面図である。
【図7】は、本発明の第5の変形例に係るSAW装置を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<SAW装置の構造>
図1(a)は、本発明の実施形態に係るSAW装置1を示す模式的な平面図である。図1(b)は、図1(a)のIb−Ib線における模式的な断面図である。なお、図1(a)及び(b)は、SAW装置1の理解を容易にするためにSAW装置1を模式的に示したものであり、実施にあたっては、SAW装置1の各部の大きさ、数、形状等は適宜に設定されてよい。
【0009】
SAW装置1は、圧電基板3と、圧電基板3上に配置されたSAW素子5と、SAW素子5を保護するための保護層7及びカバー部材9と、SAW素子5を不図示の電子回路と電気的に接続するための接続用導体11、接続強化層13及び端子15とを有している。
【0010】
圧電基板3は、例えばタンタル酸リチウム単結晶,ニオブ酸リチウム単結晶等の圧電性を有する直方体状の単結晶基板である。圧電基板3は、第1表面3aと、その背面側の第2表面3bとを有している。なお、図1(a)及び図1(b)では、第1表面3aにのみ電極等が配置されている場合を例示しているが、第2表面3bにも電極等が配置されてよい。
【0011】
SAW素子5は、圧電基板3の第1表面3aに形成された複数対の櫛歯状電極(IDT電極)6を有している。櫛歯状電極6は、圧電基板3におけるSAWの伝搬方向(図1(a)及び図1(b)の紙面左右方向)と直交する方向に伸びる複数の電極指を有している。一対の櫛歯状電極6は、それぞれの電極指が互いに噛み合うように形成されている。
【0012】
なお、図1(a)及び図1(b)は模式図であることから、2本の電極指を有する櫛歯状電極6と、3本の電極指を有する櫛歯状電極6からなる一対の櫛歯状電極6のみを示している。実際には、これよりも多数の電極指を有する櫛歯状電極が複数対設けられてよい。また、複数のSAW素子5が直列接続や並列接続等の方式で接続され、ラダー型SAWフィルタや2重モードSAW共振器フィルタ等が構成されてもよい。SAW素子5の両端には、櫛歯状電極を有する反射器(SAW素子5の一部と捉えられてもよい。)が設けられてよい。SAW素子5は、例えばAl−Cu合金等のAl合金によって形成される。
【0013】
保護層7は、SAW素子5を覆っており、SAW素子5の酸化防止等に寄与する。保護層7は、例えば、絶縁性を有するとともに、SAWの伝搬に影響を与えない程度に質量の軽い材料により形成される。例えば、保護層7は、酸化珪素、窒化珪素、シリコンなどからなる。
【0014】
カバー部材9は、SAW素子5を保護層7の上から覆っている。ただし、カバー部材9は、SAW素子5上に、SAWを伝播しやすくするための振動空間17を構成している。換言すれば、カバー部材9は、振動空間17の内壁19aを構成する壁部19と、振動空間17の天井21aを構成する蓋部21とを有している。
【0015】
壁部19を構成する層の厚さ(壁部19の第1表面3aからの高さ)や蓋部21の厚さは、適宜に設定されてよい。例えば、当該厚さは、数μm〜30μmである。壁部19及び蓋部21は、例えば、概ね同等の厚さに形成されている。
【0016】
壁部19と蓋部21とは、別個の材料により形成されてもよいし、異なる材料により形成されてもよい。壁部19及び蓋部21は、例えば、紫外線や可視光線等の光が照射されることによって硬化する光硬化性材料により形成されている。換言すれば、壁部19及び蓋部21は、ネガ型のフォトレジストにより形成されている。光硬化性材料は、例えば、アクリル基やメタクリル基などのラジカル重合により硬化する樹脂、より具体的には、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系の樹脂である。
【0017】
振動空間17は、図1(b)に示すように、断面が概ね矩形状に形成されるとともに、蓋部21側の角部が曲面により構成されている。換言すれば、振動空間17を構成する内壁19aは、基板3の第1表面3aから離れるにつれて内方に傾斜している。振動空間17の平面形状(第1表面3aの平面視における形状)は、適宜に設定されてよい。例えば、振動空間17の平面形状は矩形状に形成されている。振動空間17の大きさは適宜に設定されてよい。
【0018】
接続用導体11は、SAW素子5と端子15とを接続するためのものである。接続用導体11は、例えば、SAW素子5と同様に、圧電基板3の第1表面3a上に形成されている。接続用導体11は、特に図示しないが、第1表面3a上において適宜なパターンで形成され、SAW素子5に接続されている。また、接続用導体11は、端子15の配置位置において、端子15の第1表面3a側の端面と同等以上の広さを有するように形成されている。接続用導体11は、例えば、SAW素子5と同一の材料により形成されるとともに、SAW素子5と同一の厚さに形成されている。
【0019】
接続強化層13は、比較的薄く形成される接続用導体11を補強して、接続用導体11と端子15との接続を強化するためのものである。接続強化層13は、端子15の配置位置において接続用導体11に積層されている。また、接続強化層13は、端子15の第1表面3a側の端面と同等以上の広さを有するように形成されている。接続強化層13は、例えば、接続用導体11と接続強化層13とで保護層7と概ね同等の厚さになるように形成されており、保護層7から露出している。接続強化層13は、例えば、クロムやニッケルにより形成されている。
【0020】
端子15は、接続強化層13上に設けられている。従って、端子15は、接続強化層13及び接続用導体11を介してSAW素子5に電気的に接続されている。また、端子15は、柱状に形成されており、第1表面3aに対して立設されている。そして、端子15の先端側部分は、不図示の回路基板等に接続可能に、カバー部材9から露出している。端子15は、例えば、半田,Cu,Au,Niにより形成されている。
【0021】
端子15は、柱状部分の根元側部分を構成し、側面が壁部19に覆われる第1柱部23と、柱状部分の先端側部分を構成し、側面が蓋部21に覆われる第2柱部25と、蓋部21から露出するランド27とを有している。
【0022】
第1柱部23及び第2柱部25は、それぞれ、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径するテーパ状に形成されている。換言すれば、端子15は少なくともその一部(第1領域)において、第1表面3a側の断面積が、第1表面3aとは反対側の断面積よりも大きくされている。なお、第1柱部23が第1領域と捉えられてもよいし、第2柱部25が第1領域と捉えられてもよい。第1柱部23の第2柱部25側の端面は、第2柱部25の第1柱部23側の端面よりも径が小さく、第1柱部23と第2柱部25との境界には、第1表面3aとは反対側が第1表面3a側よりも拡径する段差29が形成されている。
【0023】
第1柱部23及び第2柱部25は、例えば、概ね同一の大きさ及び形状に形成されている。より具体的には、第1柱部23及び第2柱部25は、第1表面3aとは反対側の端面の形状及び径が互いに概ね同一であり、また、テーパ面の傾斜が互いに概ね同一である。
【0024】
ランド27は、例えば、第2柱部25の第1表面3aとは反対側の端面よりも面積が広く形成されており、外周部はカバー部材9上に積層されている。
【0025】
なお、第1表面3aの平面視における第1柱部23、第2柱部25及びランド27の形状は適宜に設定されてよい。例えば、これらの形状は円形である。また、第1表面3aの平面視における第1柱部23、第2柱部25及びランド27の大きさは、第1表面3aの平面視における振動空間17の大きさに比較して小さい。一例として、第1表面3aの平面視において、振動空間17の大きさ500μm×500μmに対して、端子15の径は100μmである。
【0026】
<SAW装置の製造方法>
図2(a)〜図4(b)は、SAW装置1の製造方法を説明するための模式的な断面図である。
【0027】
SAW装置1の製造方法は、概観すると、SAW素子5の形成工程(図2(a))と、カバー部材9の形成工程(図2(c)〜図3(d))と、端子15の形成工程(図4(a)及び図4(b))とを含んでいる。具体的には、以下のとおりである。
【0028】
図2(a)に示すように、まず、圧電基板3の第1表面3a上には、SAW素子5及び接続用導体11が形成される。具体的には、まず、スパッタリング法、蒸着法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法により、圧電基板3の第1表面3a上に金属層が形成される。次に、金属層に対して、縮小投影露光機(ステッパー)とRIE(Reactive Ion Etching)装置とを用いたフォトリソグラフィー法等によりパターニングが行われる。これにより、SAW素子5及び接続用導体11が形成される。
【0029】
SAW素子5及び接続用導体11が形成されると、図2(b)に示すように、保護層7及び接続強化層13が形成される。保護層7及び接続強化層13は、いずれが先に形成されてもよい。例えば、まず、保護層7となる薄膜が、SAW素子5及び接続用導体11の上を覆うように、CVD法または蒸着法等の薄膜形成法により形成される。次に、接続用導体11のうち、端子15の配置位置における部分が露出するように、フォトリソグラフィー法によって薄膜の一部が除去される。これにより、保護層7が形成される。次に、蒸着法等により接続用導体11の露出部分及び保護層7上に金属層が形成されるとともに、フォトリソグラフィー等により保護層7上の金属層が除去される。これにより、接続強化層13が形成される。
【0030】
保護層7及び接続強化層13が形成されると、図2(c)〜図3(a)に示すように、壁部19が形成される。
【0031】
具体的には、まず、図2(c)に示すように、保護層7及び接続強化層13上に、壁部19を構成する壁部構成層31が形成される。壁部構成層31は、例えば、ネガ型のフォトレジストにより形成されたフィルムが貼り付けられることにより形成される。
【0032】
次に、図2(d)に示すように、フォトマスク33を介して紫外線等の光が壁部構成層31に照射される。すなわち、露光処理が行われる。フォトマスク33は、例えば、透明基板35上に遮光層37が形成されることにより構成されている。遮光層37は、壁部構成層31を除去すべき位置に対応する位置に配置されている。すなわち、振動空間17の配置位置及び端子15の配置位置に対応する位置に配置されている。なお、露光は、投影露光であってもよいし、プロキシミティ露光であってもよいし、密着露光であってもよい。
【0033】
その後、図3(a)に示すように、現像処理を行い、壁部構成層31のうち、光が照射された部分を残し、光が照射されなかった部分を除去する。これにより、壁部構成層31には、振動空間17となる開口部39と、第1柱部23が配置される第1孔部41とが形成される。すなわち、壁部19が形成される。
【0034】
ここで、壁部構成層31の光が照射される領域の縁部においては、照射された光が、壁部構成層31の光が照射されない領域へ発散されてしまうことから、第1表面3a側まで十分に光が到達しない。従って、壁部構成層31の光が照射される領域の縁部は、第1表面3a側が十分に硬化されずに、除去される。その結果、第1孔部41は、第1表面3a側ほど拡径するテーパ状(順テーパ状)に形成される。
【0035】
同様に、開口部39も、第1表面3a側ほど拡径するテーパ状(順テーパ状)に形成される。ただし、開口部39は、第1孔部41よりも大きいこと、平面視において縁部が直線状であることなどから、開口部39が形成される領域は、第1孔部41が形成される領域に比較して、光が発散しやすい。従って、断面図において、第1孔部41は、全体がテーパ状となるのに対し、開口部39は、第1表面3a側とは反対側の部分のみがテーパ状となる。また、断面図において、開口部39のテーパ面は、第1孔部41のテーパ面を上下に圧縮した形状となるから、第1孔部41のテーパ面に比較して曲率が大きくなり、曲面として認識されやすくなる。
【0036】
第1孔部41及び開口部39が形成されると、図3(b)〜図3(d)に示すように、蓋部21が形成される。
【0037】
具体的には、まず、図3(b)に示すように、壁部19上に、蓋部21を構成する蓋部構成層43が形成される。蓋部構成層43は、例えば、ネガ型のフォトレジストにより形成されたフィルムが貼り付けられることにより形成される。蓋部構成層43が形成されることにより、壁部19の開口部39(図3(a))が塞がれて、振動空間17が構成される。なお、壁部構成層31と蓋部構成層43とは加熱されることによって接合されることが好ましい。
【0038】
次に、図3(c)に示すように、フォトマスク45を介して紫外線等の光が蓋部構成層43に照射される。すなわち、露光処理が行われる。フォトマスク45は、フォトマスク33と同様に、透明基板47上に遮光層49が形成されることにより構成されている。遮光層49は、蓋部構成層43を除去すべき位置に対応する位置に配置されている。すなわち、端子15の配置位置に対応する位置に配置されている。フォトマスク45は、例えば、フォトマスク33において、遮光層37のうち振動空間17に対応する部分を除去した構成となっている。なお、露光は、投影露光であってもよいし、プロキシミティ露光であってもよいし、密着露光であってもよい。
【0039】
その後、図3(d)に示すように、現像処理を行い、蓋部構成層43のうち、光が照射された部分を残し、光が照射されなかった部分を除去する。これにより、蓋部構成層43には、第2柱部25が配置される第2孔部51が形成される。すなわち、蓋部21が形成される。蓋部21が形成されることにより、壁部19と蓋部21によりカバー部材9が完成する。なお、第1孔部41及び第2孔部51は接続されており、合体孔部53を構成している。
【0040】
カバー部材9が形成されると、図4(a)及び図4(b)に示すように、端子15が形成される。具体的には、まず、図4(a)に示すように、メッキ用下地層55及びメッキ用レジスト層57が形成される。
【0041】
メッキ用下地層55は、カバー部材9を覆うように形成される。また、メッキ用下地層55は、接続強化層13によって構成される合体孔部53の底面、及び、カバー部材9によって構成される合体孔部53の内周面にも形成される。メッキ用下地層55は、例えばフラッシュメッキ法により、Ti−Cu合金等で形成するのが好適な一例である。フラッシュメッキ法によりメッキ用下地層55を形成する場合、メッキ形成部位に電流を流すための配線パターンを形成する必要がない。従って、SAW装置1の小型化が可能となる。
【0042】
メッキ用レジスト層57は、メッキ用下地層55上に形成される。メッキ用レジスト層57は、例えば、スピンコート等の手法で基板に形成される。メッキ用レジスト層57には、合体孔部53上にランド用孔部59が形成されている。ランド用孔部59は、径が合体孔部53の径よりも大きく、また、深さ(メッキ用レジスト層57の厚さ)がランド27の厚さ以上である。ランド用孔部59は、例えば、フォトリソグラフィーにより形成される。
【0043】
次に、図4(b)に示すように、ランド用孔部59を介して露出するメッキ用下地層55に対してメッキ法を施す。これにより、合体孔部53内及びランド用孔部59に金属が充填されることになる。そして、第1孔部41に充填された金属により第1柱部23が形成され、第2孔部51に充填された金属により第2柱部25が形成され、ランド用孔部59に充填された金属によりランド27が形成される。なお、ランド用孔部59においては、メッキ用レジスト層57の表面まで金属が充填される必要はなく、ランド用孔部59の適宜な深さまで金属が充填されればよい。メッキ法は、適宜に選択されてよいが、電気メッキ法が好適である。電気メッキ法は、柱状の端子15の高さの自由度が高く、また、メッキ用下地層55との密着性が良好なためである。
【0044】
その後、メッキ用レジスト層57を除去するとともに、メッキ用下地層55のうちランド用孔部59から露出していなかった部分を除去する。これにより、図1(b)に示すように、SAW装置1が形成される。なお、図1(b)では、メッキ用下地層55の残った部分の図示は省略されている。メッキ用レジスト層57は、例えば、アセトンやIPA等の有機溶剤やジメチルスルフォキシド等のアルカリ性有機溶剤により除去が可能である。メッキ用下地層55のCuは、例えば、塩化第2鉄や燐酸と過酸化水素水の混合液により除去が可能である。また、メッキ用下地層55のTiは、例えば、希フッ酸やアンモニアと過酸化水素水の混合液で除去が可能である。
【0045】
なお、上記の工程は、いわゆるウエハプロセスにおいて実現される。すなわち、分割されることによって圧電基板3となる母基板を対象に上述の工程が行われ、多数個分のSAW装置が並行して形成される。
【0046】
以上の実施形態によれば、SAW装置1は、弾性波を伝搬させる圧電基板3と、圧電基板3の第1表面3a上に配置された櫛歯状電極6とを有する。また、SAW装置1は、第1表面3aに対して立設され、櫛歯状電極6と電気的に接続された柱状の端子15と、櫛歯状電極6上に中空の振動空間17を形成するとともに、端子15の側面を覆うカバー部材9とを有する。そして、端子15は、立設方向の少なくとも一部において、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径している。従って、端子15をカバー部材9から引き抜く方向の力を端子15に加えると、端子15がカバー部材9に係合し、端子15の引き抜きが抑制される。すなわち、SAW装置1の耐久性が向上する。
【0047】
端子15は、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径するテーパ部(第1柱部23及び第2柱部25)を有する。従って、端子15をカバー部材9から引き抜く方向の力が端子15に加えられると、端子15は、比較的広い面積に亘ってカバー部材9に係合することになる。その結果、カバー部材9に局部的に荷重が加えられることが抑制される。そして、カバー部材9の破損や当該破損によって端子15の引き抜きが生じることが抑制される。
【0048】
端子15は、テーパ部として、第1柱部23と、第1柱部23の第1表面3aとは反対側に連続する第2柱部25とを有し、第1柱部23の第2柱部25側の径は、第2柱部25の第1柱部23側の径よりも小さい。従って、引き抜きに対して、後述する第2変形例(図5(b)参照)と同様の係止力を発揮しつつ、第1表面3aに平行な断面における断面積の、立設方向における変化を第2変形例よりも小さくできる。その結果、端子15の最小断面積(端子15の電気抵抗に影響する)に対する最大断面積の比を小さくし、端子15の小径化を図ることができる。さらに、端子15に押し込む方向の力が加えられたときに、その力の一部が、カバー部材9に伝達されることになるから、接続強化層13の負担を軽減することができる。その結果、耐久性の向上や接続強化層13の薄型化や省略が容易化される。
【0049】
第1柱部23と第2柱部25との境界(段差29)の第1表面3aからの位置は、振動空間17の天井21aの第1表面3aからの位置と一致する。従って、端子15に押し込む方向の力が加えられたときに、その力が段差29から蓋部21に伝達されることが抑制され、ひいては、蓋部21が撓んで天井21aが振動空間17の底面(保護層7)に接触することが抑制される。その一方で、段差29から壁部19に伝達される押し込む方向の力は、壁部19の第1表面3aからの高さ方向の全体に加えられることになり、壁部19に伝達された力を広い範囲に分散させることができる。さらに、壁部19及び蓋部21を、それぞれ別個の工程(別個の層)により形成する場合には、各層に対して、単純な形状の孔部(第1孔部41及び第2孔部51)を形成すればよく、換言すれば、開口方向の中途で縮径する孔部を形成する必要はなく、合体孔部53の形成が容易である。
【0050】
振動空間17の内壁19a及び天井21aは、アーチ状に形成されている。従って、蓋部21は撓みが抑制される。その結果、例えば、振動空間17の高さを小さくしてSAW装置1の小型化を図ることができる。
【0051】
SAW装置1の製造方法は、弾性波を伝搬させる圧電基板3の第1表面3a上に櫛歯状電極6を配置する工程(図2(a))を有する。また、当該製造方法は、櫛歯状電極6と電気的に接続され、第1表面3aに対して立設され、立設方向の少なくとも一部において、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径している柱状の端子15を形成する工程(図4(a)及び図4(b))を有する。さらに、当該製造方法は、櫛歯状電極6上に中空の振動空間17を形成するとともに、端子15の側面を覆うカバー部材9を形成する工程(図2(c)〜図3(d))を有する。従って、端子15の引き抜きが抑制されるSAW装置1が形成される。
【0052】
カバー部材9を形成する工程は、カバー部材9となるカバー部材構成層(壁部構成層31及び蓋部構成層43)を形成する工程(図2(c)及び図3(b))を有する。また、カバー部材9を形成する工程は、カバー部材構成層に、合体孔部53を形成する工程(図2(d)及び図3(a)、並びに、図3(c)及び図3(d))を有する。合体孔部53は、端子15の立設方向の少なくとも一部において、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径する。そして、端子15を形成する工程(図4(b))では、合体孔部53内に導電性材料(金属)が充填されて端子15が形成される。
【0053】
従って、立設方向の少なくとも一部において、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径する端子15が容易に形成される。しかも、後述する第4変形例(図6(a)〜図6(d)参照)の形成方法に比較して、端子15の柱部を形成するためにのみ、後に除去されるレジスト層を設ける必要がなく、製造方法が簡素化される。
【0054】
合体孔部53を形成する工程では、ネガ型のフォトリソグラフィーによってカバー部材構成層(壁部構成層31及び蓋部構成層43)の一部が除去されて合体孔部53が形成される。従って、露光のための光が散乱してしまうという、本来であれば望ましくない現象を積極的に利用して、端子15の立設方向の少なくとも一部において、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径する合体孔部53を形成できる。その結果、合体孔部53の一部を拡径するための特別な工程を追加する必要がなく、製造方法が簡素化される。
【0055】
カバー部材構成層を形成する工程は、振動空間17の壁部19を構成する壁部構成層31を形成する工程(図2(c))と、壁部構成層31上に、振動空間17の蓋部21を構成する蓋部構成層43を形成する工程(図3(b))とを有する。合体孔部53を形成する工程は、蓋部構成層43を形成する工程の前に、ネガ型のフォトリソグラフィーによって壁部構成層31の一部を除去して、振動空間17となる開口部39と、第1孔部41とを形成する工程(図2(d)及び図3(a))を有する。第1孔部41は、合体孔部53の表面側部分となる、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径する孔部である。また、合体孔部53を形成する工程は、蓋部構成層43を形成する工程の後に、ネガ型のフォトリソグラフィーによって蓋部構成層43の一部を除去して第2孔部51を形成する工程(図3(c)及び図3(d))を有する。第2孔部51は、合体孔部53の第1表面3aとは反対側部分となる、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径し、第1表面3a側の径が、第1孔部41の第1表面3aとは反対側の径よりも大きい孔部である。
【0056】
従って、上述したように、端子15の2つのテーパ部(第1柱部23及び第2柱部25)を形成可能な、開口方向の一部において縮径する合体孔部53が、単純な形状の第1孔部41及び第2孔部51の形成によって実現される。
【0057】
なお、以上の実施形態において、SAW装置1は本発明の弾性波装置の一例であり、圧電基板3は本発明の基板の一例であり、第1表面3aは本発明の基板の表面の一例である。また、櫛歯状電極6は本発明の励振電極の一例であり、第1柱部23は本発明の第1のテーパ部の一例であり、第2柱部25は本発明の第2テーパ部の一例である。
【0058】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0059】
弾性波装置は、SAW装置に限定されない。例えば、弾性波装置は、圧電薄膜共振器であってもよい。弾性波装置において、保護層(7)や接続強化層(13)は省略されてもよいし、逆に、他の適宜な層が形成されてもよい。例えば、実施形態において、壁部19上、又は、蓋部21上に積層され、基準電位に接続される端子15に支持される金属層(平板)が設けられてもよい。この場合、蓋部21の撓みに対する強度を金属層によって補強できる。
【0060】
端子は、テーパ状のものに限定されない。適宜な形状により、立設方向の少なくとも一部において、表面側が表面とは反対側よりも拡径する端子が実現されてよい。
【0061】
図5(a)は、第1変形例の端子115を示す模式的な断面図である。端子115は、接続強化層13上に立設された第1柱部123と、第1柱部123上に立設された第2柱部125と、第2柱部125上に設けられたランド27とを有している。第1柱部123及び第2柱部125は、円柱状に形成されている。また、第1柱部123の径は、第2柱部125の径よりも大きい。
【0062】
第1変形例によれば、実施形態と同様に、端子115がカバー部材109に係合し、引き抜きが抑制される。また、カバー部材109の壁部119及び蓋部121においては、開口方向において均一な径を有する孔部を形成すればよいことから、孔部の形成方法の選択の自由度が向上する。
【0063】
また、端子がテーパ部を有する場合、テーパ部の数は2つに限定されない。テーパ部の数は、一つでもよいし、3つ以上であってもよい。
【0064】
図5(b)は、第2変形例の端子215を示す模式的な断面図である。端子215は、接続強化層13上に立設された柱部223と、柱部223上に設けられたランド27とを有している。柱部223は、端子15のうち側面がカバー部材9に被覆される部分の全体であり、また、一つのテーパ状に形成されている。なお、このような柱部223を形成するためには、例えば、壁部219に形成する孔部の径よりも、壁部221に形成する孔部の径を小さくするように、ネガ型のフォトリソグラフィーを行えばよい。
【0065】
第2変形例によれば、実施形態と同様に、端子215がカバー部材209に係合し、引き抜きが抑制される。また、端子215及びカバー部材209の端子215を被覆する部分には、角部が生じることが抑制されるから、応力集中が生じることが抑制され、耐久性が向上する。
【0066】
また、端子は、側面がカバー部材に被覆される部分の全体において、テーパ部が形成される必要はない。
【0067】
図5(c)は、第3変形例の端子315を示す模式的な断面図である。端子315は、接続強化層13上に立設された第1柱部23と、第1柱部23上に立設された第2柱部125と、第2柱部125上に設けられたランド27とを有している。第1柱部23は、実施形態と同様にテーパ状に形成され、第2柱部125は、第1変形例と同様に円柱状に形成されている。
【0068】
第3変形例によれば、実施形態と同様に、端子315がカバー部材309に係合し、引き抜きが抑制される。また、蓋部121においては、テーパ状の孔部を形成する必要がないから、孔部の形成方法の選択の自由度が高い。その結果、壁部19の形成材料と蓋部121の形成材料とを異なるものにすることなども容易になる。なお、第3変形例とは逆に、第1柱部が円柱状に、第2柱部がテーパ状に形成されてもよい。
【0069】
第1のテーパ部(23)と第2のテーパ部(125)との段差(29)の表面(3a)からの位置は、振動空間(17)の天井(21a)の表面(3a)からの位置と一致しなくてもよい。また、段差の位置と天井の位置とを一致させない製造方法も適宜に選択可能である。例えば、実施形態では、2層のフォトレジスト(31、43)によりカバー部材を構成したが、それよりも多い複数層のフォトレジストによりカバー部材を構成して、適宜な位置にテーパの段差を形成してもよい。
【0070】
実施形態では、カバー部材を形成する工程の後に端子を形成する工程が行われたが、端子を形成する工程の後にカバー部材が形成されてもよい。
【0071】
図6(a)〜図6(d)は、第4変形例のSAW装置401の製造方法を説明するための模式的な断面図である。第4変形例では、端子415が形成された後に、カバー部材409(図6(d))が形成される。具体的には、以下のとおりである。
【0072】
まず、図6(a)に示すように、圧電基板3の第1表面3a上には、SAW素子(図示省略)上に振動空間417を構成する内郭部419が形成される。内郭部419は、カバー部材409の内側部分を構成するものである。内郭部419は、例えば、感光性樹脂により形成される。
【0073】
次に、図6(b)に示すように、孔部453が形成された端子用レジスト層457が形成され、孔部453に導電性材料が充填されることにより、端子415が形成される。孔部453及び端子415は、例えば、第2変形例と同様に、全体がテーパ状に形成されたものである。
【0074】
その後、図6(c)に示すように、端子用レジスト層457は除去される。これにより、端子415の側面は露出する。
【0075】
そして、図6(d)に示すように、内郭部419及び端子415は樹脂封止される。封止樹脂の上面側部分は、端子415が露出するまで(点線で示す位置まで)研削される。研削された封止樹脂により、カバー部材409の外側部分を構成する外郭部421が形成される。
【0076】
なお、カバー部材より先に端子を形成する場合、端子の形成方法は、レジスト層に形成された孔部に導電性材料を充填する方法に限定されない。例えば、透過孔の径が互いに異なる複数のマスクを用いて、マスクを介した金属の蒸着を複数回行うことによって、適宜な位置において拡径する端子を形成してもよい。
【0077】
カバー部材等に孔部を形成し、孔部に導電性材料を充填して端子を形成する場合、孔部の形成は、フォトリソグラフィーによるものに限定されない。例えば、孔部は、レーザ光によるアブレーション加工によって形成されてもよい。なお、この場合、テーパ面は、例えば、レーザ光の照射角度を基板の表面に対して傾斜させることにより、形成可能である。
【0078】
また、端子となる導電性材料が充填される孔部がフォトリソグラフィーにより形成される場合、テーパ面の形成は、ネガ型のフォトリソグラフィーにおける光の発散を利用するものに限定されない。例えば、ポジ型又はネガ型のフォトリソグラフィーにおいて、光を基板の表面に対して斜めに照射することにより、テーパ面を形成することが可能である。また、ネガ型のフォトリソグラフィーにおいて、縮小投影系によって光の径を縮径させつつレジストに照射することにより、表面側が拡径するテーパ状の孔部を形成することが可能である。
【0079】
実施形態では、端子のテーパ部は、表面側が表面とは反対側よりも拡径した。しかし、端子のテーパ部は、表面とは反対側が表面側よりも拡径するように形成されてもよい。
【0080】
図7は、第5の変形例に係るSAW装置501を示す模式的な断面図である。
【0081】
端子515の第1柱部523及び第2柱部525は、それぞれ、第1表面3aとは反対側が第1表面3a側よりも拡径するテーパ状に形成されている。第1柱部523の第2柱部525側の端面は、第2柱部525の第1柱部523側の端面よりも径が大きく、第1柱部523と第2柱部525との境界には、第1表面3a側が第1表面3aとは反対側よりも拡径する段差529が形成されている。換言すれば、端子515は、第1表面3aとは反対側の断面積が第1表面3a側の断面積よりも大きい第3のテーパ部(第1柱部523)と、第3のテーパ部に連続し、第1の表面3aとは反対側の断面積が、第1の表面3a側の断面積よりも大きい第4のテーパ部(第2柱部525)とを有している。また、第3のテーパ部の第4のテーパ部側の断面積と、第4のテーパ部の第3のテーパ部側の断面積とを比較すると、第3のテーパ部の第4のテーパ部側の断面積の方が大きくされている。なお、第1柱部523及び第2柱部525は、互いに同一の大きさ及び形状であってもよいし、互いに異なる大きさ及び形状であってもよい。
【0082】
このような構成によっても、段差529がカバー部材509に対して第1表面3a側から係合することにより、端子515の引き抜きが抑制される。
【0083】
SAW装置501の製造方法は、実施形態のSAW装置1の製造方法と概ね同様である。ただし、SAW装置501の製造方法においては、ネガ型のフォトリソグラフィーに代えて、ポジ型のフォトリソグラフィーにより、壁部519及び枠部521が形成される。
【0084】
ポジ型のフォトリソグラフィーにより、端子515となる金属が充填される第1孔部541及び第2孔部551が形成されると、実施形態と同様に、光の発散により、第1孔部541及び第2孔部551はテーパ状となる。ただし、ネガ型とは光の照射領域と被照射領域とが逆であるから、第1孔部541及び第2孔部551は、実施形態の第1孔部41及び第2孔部51とは逆方向に拡径する。
【0085】
また、ポジ型のフォトリソグラフィーにより振動空間517が形成されることにより、内壁519a及び天井521aも、第1の実施形態の内壁19a及び天井21aとは逆の形状、すなわち、第1表面3aとは反対側ほど拡径する形状となる。
【0086】
なお、上述のように、テーパ状の孔部は、光を斜めに照射することなどによっても形成可能であるから、ネガ型のフォトリソグラフィーによって第1孔部541及び第2孔部551を形成することも可能である。
【0087】
振動空間は、カバー部材の壁部の開口部が、壁部とは別個に形成された蓋部によって塞がれることにより構成されるものに限定されない。例えば、基板上に振動空間と同一形状のレジストを形成し、その上にカバー部材となるカバー部材構成層を形成し、その後、カバー部材構成層に設けた貫通孔を介して、レジストを除去することにより、振動空間を構成してもよい。
【0088】
振動空間は、アーチ状に形成されなくてもよい。また、振動空間がアーチ状に形成される場合、アーチは、内壁の天井側部分が曲面状に面取りされることにより形成されるものに限定されない。例えば、アーチは、内壁全体が平面状のテーパ面により構成されることにより形成されてもよい。また第1のテーパ部と第2のテーパ部との境界の第1表面3aからの位置は、振動空間17の天井の第1表面3aからの位置と必ずしも一致している必要はなく、両者の位置がずれていてもよい。
また、第1のテーパ部と第2のテーパ部とは、その傾斜角(各テーパ部が圧電基板の第1表面3aとなす角)が互いに異なるようにしてもよい。例えば、第1のテーパ部の傾斜角が第2のテーパ部の傾斜角より大きくなるようにして第1柱部23と第2柱部25を形成してもよい。このように第1のテーパ部の傾斜角と第2のテーパ部の傾斜角を異ならせることによって、端子15に押し込む方向の力が加えられたときに、壁部19に伝達される力をより広範囲に分散させることができる。
【符号の説明】
【0089】
1…SAW装置(弾性波装置)、3…圧電基板(基板)、3a…第1表面(表面)、6…櫛歯状電極(励振電極)、9…カバー部材、15…端子、17…振動空間、19a…内壁、21a…天井。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性波を伝搬させる基板と、
前記基板の表面上に配置され、高さ方向の少なくとも第1領域はその前記表面側の断面積がその前記表面とは反対側の断面積よりも大きい、柱状の端子と、
前記基板の表面上に配置され、且つ、前記端子と電気的に接続された励振電極と、
前記励振電極上に形成される振動空間の天井及び内壁を構成し、前記端子の前記第1領域の側面を覆うカバー部材と、
を有し、
前記振動空間の前記内壁は、前記基板の前記表面から離れるにつれて内方に傾斜しており、前記振動空間の前記天井側の角部が曲面により構成されている弾性波装置。
【請求項2】
前記端子は、前記表面側が前記表面とは反対側よりも拡径するテーパ部を有する
請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項3】
前記端子の前記テーパ部は、
第1のテーパ部と、
当該第1のテーパ部の前記表面とは反対側に連続する第2のテーパ部と、
を有し、
前記第1のテーパ部の前記第2のテーパ部側の断面積は、前記第2のテーパ部の前記第1のテーパ部側の断面積よりも小さい
請求項2に記載の弾性波装置。
【請求項4】
前記第1のテーパ部と前記第2のテーパ部との境界の前記表面からの距離は、前記天井の前記表面からの距離と一致する
請求項3に記載の弾性波装置。
【請求項5】
前記端子は、前記カバー部材から露出するランドを有し、該ランドの外周部は前記カバー部材に積層されている
請求項1乃至4のいずれかに記載の弾性波装置。
【請求項6】
前記励振電極と前記端子とを電気的に接続する接続用導体をさらに備え、
前記端子は前記接続用導体上に配置され、
前記端子と前記接続用導体との間には、クロムを含む材料からなる接続強化層が介在されている
請求項1乃至5のいずれかに記載の弾性波装置。
【請求項1】
弾性波を伝搬させる基板と、
前記基板の表面上に配置され、高さ方向の少なくとも第1領域はその前記表面側の断面積がその前記表面とは反対側の断面積よりも大きい、柱状の端子と、
前記基板の表面上に配置され、且つ、前記端子と電気的に接続された励振電極と、
前記励振電極上に形成される振動空間の天井及び内壁を構成し、前記端子の前記第1領域の側面を覆うカバー部材と、
を有し、
前記振動空間の前記内壁は、前記基板の前記表面から離れるにつれて内方に傾斜しており、前記振動空間の前記天井側の角部が曲面により構成されている弾性波装置。
【請求項2】
前記端子は、前記表面側が前記表面とは反対側よりも拡径するテーパ部を有する
請求項1に記載の弾性波装置。
【請求項3】
前記端子の前記テーパ部は、
第1のテーパ部と、
当該第1のテーパ部の前記表面とは反対側に連続する第2のテーパ部と、
を有し、
前記第1のテーパ部の前記第2のテーパ部側の断面積は、前記第2のテーパ部の前記第1のテーパ部側の断面積よりも小さい
請求項2に記載の弾性波装置。
【請求項4】
前記第1のテーパ部と前記第2のテーパ部との境界の前記表面からの距離は、前記天井の前記表面からの距離と一致する
請求項3に記載の弾性波装置。
【請求項5】
前記端子は、前記カバー部材から露出するランドを有し、該ランドの外周部は前記カバー部材に積層されている
請求項1乃至4のいずれかに記載の弾性波装置。
【請求項6】
前記励振電極と前記端子とを電気的に接続する接続用導体をさらに備え、
前記端子は前記接続用導体上に配置され、
前記端子と前記接続用導体との間には、クロムを含む材料からなる接続強化層が介在されている
請求項1乃至5のいずれかに記載の弾性波装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2010−252399(P2010−252399A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178430(P2010−178430)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【分割の表示】特願2010−515712(P2010−515712)の分割
【原出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【分割の表示】特願2010−515712(P2010−515712)の分割
【原出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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