説明

弾球遊技機

【課題】 部品点数を増加させることなく、貯留皿の球詰りを効果的に防止又は解消できる弾球遊技機を提供する。
【解決手段】 パチンコ遊技機10のスピーカ50aは、パチンコ機10の内部に設けられ、貫通孔300eからパチンコ機10の外部に音を出力可能に配置されているので、スピーカ50aからの音が球通路300cに貯留されている遊技球に直接伝達されるように貫通孔が形成されている。従って、部品点数を増加させることなく、貯留皿の球詰りを効果的に防止又は解消することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機に関するものであり、特に、上皿を備える弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の弾球遊技機では、入賞したときに払い出される遊技媒体を受け入れるための受皿を備える。例えば、遊技媒体として遊技球を用いるパチンコ機では、入賞したときに払い出す遊技球を受け入れるため、遊技機の前面下部に上下2つの受皿が設けられている。ここで、上方の受皿を上皿(貯留皿)といい、下方の受皿を下皿という。
【0003】
貯留皿は、入賞により払い出された遊技球を受け入れて貯留皿部に貯留するとともに、遊技球を発射する発射装置まで遊技球を導く案内路(球通路)としての役割を果たす。また、この貯留皿の一端上側(上流側)には、パチンコ機本体内から賞球を払い出す払出口が開設され、他端下側(下流側)には、遊技球を発射装置へ1個ずつ順次導入する取込口が球通路の最終点として開設されている。また、球通路は、上流側から下流側にかけて徐々に狭まり上記取込口に向けて絞り込まれるように構成されている。一方、下皿は、貯留皿から溢れ出る遊技球を貯留するために併せて配設されている。
【0004】
このような従来の遊技機において、上記球通路は、発射装置へ遊技球を1個ずつ導く取込口に近づくにつれて、狭くなる構造であるため、互いに圧接し合って流下しない状態となり、球詰りが生じやすいという問題があった。
【0005】
ここで、球詰りを防止するために、電動式バイブレータを別途貯留皿に取り付け、電動式バイブレータの振動によって球詰りを防止又は解消する方法や、スピーカ(音出力装置)を直接貯留皿に取り付け、球詰りを生じさせないようにする方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−126377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、電動式バイブレータを別途取り付ける方法は、電動式バイブレータや電動式バイブレータを制御する制御回路等の部品点数が増加するため、コストアップの原因となる。また、貯留皿に音出力装置を取り付ける方法は、従来演出のみに使用していた音出力装置を配置転換することにより実現可能であるが、音出力装置から出力された音による振動が遊技球に直接作用しないため、球詰りを効果的に解消又は防止することができなかった。
【0007】
本発明は、上述したような課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、部品点数を増加させることなく、貯留皿の球詰りを効果的に防止又は解消できる弾球遊技機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上のような目的を達成するために、本発明は、以下のようなものを提供する。
【0009】
(1) 所定の入賞に応じて払い出される遊技球を貯留し、遊技球を発射する発射装置に供給する球通路が形成された貯留皿と、遊技状態に応じて音を出力させる音出力装置とを備えた遊技機であって、前記貯留皿には、貫通孔が形成され、前記音出力装置は、遊技機内部に設けられ、前記貫通孔から遊技機外部に音を出力可能に配置されていることを特徴とする遊技機。
【0010】
(1)の発明によれば、音を出力させる音出力装置を備え、貯留皿には、貫通孔が形成され、音出力装置は、遊技機内部に設けられ、貫通孔から遊技機外部に音を出力可能に配置されているので、部品点数を増加させることなく、貯留皿の球詰りを効果的に防止又は解消することができる。
【0011】
(2) 前記球通路は、前記発射装置に近づくにつれて狭くなるように形成され、前記貫通孔は、前記球通路の幅が遊技球1個の直径より大きな位置に貯留されている遊技球に音出力装置からの音が直接伝達されるように形成されていることを特徴とする(1)に記載の遊技機。
【0012】
球通路は、発射装置に近づくにつれて狭くなるように形成されているので、球通路の幅が遊技球1個の直径より大きな位置、例えば、遊技球2個の直径と同じ幅の位置では特に球詰りが発生しやすくなっている。(2)の発明によれば、上記のような球通路の位置に貯留している遊技球に音出力装置からの音が直接伝達されるように、貫通孔を形成しているので、貯留皿の球詰りを更に効果的に防止又は解消することができる。
【0013】
(3) 遊技球の球詰りを検出する球詰り検出手段を備えていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の遊技機。
【0014】
(3)の発明によれば、球詰り検出手段を設けたので、球詰りの発生を容易に検出することが可能となり、仮に球詰りが発生したとしても、球詰りを短時間で解消することが可能となる。特に、球詰りの初期段階で球詰りを検出することができるので、大規模な球詰りの発生を防止することができる。
【0015】
(4) 前記音出力装置は、前記検出手段によって球詰りが検出されたことを条件に、前記貯留皿を振動させる音を出力することを特徴とする(3)に記載の遊技機。
【0016】
(4)の発明によれば、球詰りが発生した場合にのみ、球詰りを解消させるための音、例えば、貯留皿を共振させる周波数の音が出力されるので、球詰りを効果的に解消することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、音を出力させる音出力装置を備え、貯留皿には、貫通孔が形成され、音出力装置は、遊技機内部に設けられ、貫通孔から遊技機外部に音を出力可能に配置されているので、部品点数を増加させることなく、貯留皿の球詰りを効果的に防止又は解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明に係る弾球遊技機の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明では、代表的な弾球遊技機としてパチンコ機を例にとって説明を行う。
【0019】
[弾球遊技機の構成]
図1は、本発明の実施形態に係るパチンコ機10の斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係るパチンコ機10の正面図である。
【0020】
パチンコ機10は、図1及び図2に示すように、ガラスドア11、島に固定するための木枠12、中枠13、遊技盤14、皿ユニット21、遊技球を発射する発射装置130などから構成されている。
【0021】
上記ガラスドア11は、中枠13に対して開閉自在に軸着されている。
【0022】
また、パチンコ機10の前面側であって、ガラスドア11の内部には、遊技盤14を取り付け、その前面側に遊技盤14を取り付け、遊技盤14の表面には、一対のガイドレール16で囲まれた遊技領域17を設けている。また、遊技領域17内には、障害釘や風車等の障害部材(図示せず)と、遊技球を受け入れるための入賞口である大入賞口18に設けられたシャッター24と、始動口26および一般入賞口28a〜28dと、遊技球が通過する球通過検出器34a,34bと、入賞口に受け入れられなかった遊技球を遊技領域17内から排出するためのアウト口36等を設けている。なお、始動口26には、羽根部材38が設けられており、この羽根部材38が開閉することにより、始動口26に入賞する遊技球の確率が異なってくる。
【0023】
また、遊技盤14の上方には、遊技状態に応じて効果音、演出音等を発生するバス・レフレックス型(バスレフ型)のスピーカ46L,46R、後述する上皿300内で遊技球の球詰りが発生したことを報知するためのトラブルLED92を設けている。
【0024】
また、遊技盤14の下方、すなわち、ガラスドア11の下方には、皿ユニット21が中枠13に軸着されている。この皿ユニット21は、その上方に、遊技に使用するための遊技球を貯留するとともに賞として払い出される遊技球を受け入れるための上皿300が設けられ、上皿300の下方には上皿300からオーバーフローした遊技球を受け入れるための下皿400が設けられている。なお、上皿300は、所定の入賞に応じて払い出される遊技球を貯留し、遊技球を発射する発射装置130(図7参照)に供給する球通路302c(図3参照)が形成された貯留皿の一例である。上皿300及び下皿400には、遊技球の貸し出し、遊技球の払出し(賞球)を行うための払出口74a,76aが形成されており、所定の払出条件が成立した場合には、球払出ユニット(図示せず)に貯留されている遊技球が排出されることとなる。また。下皿400の右側には、遊技球の発射操作を行うための発射ハンドル78を取り付けてある。
【0025】
なお、上皿300には、その近傍にバスレフ型のスピーカ50a(音出力装置の一例に相当)が上皿300のベース部材290(図3参照)に設けられている。このスピーカ50aは、出力される音が上皿300内に貯留されている遊技球に直接伝達されるように、ベース部材290に設けられている。
【0026】
さらに、図2に示すように、パチンコ機10の左側方には、プリペイドカードの挿入に基づいて遊技球を貸出すためのカードユニット150が併設されている。
【0027】
なお、パチンコ機10の前面側には、図柄の可変表示を行う液晶表示装置32(図7参照)と、始動口26、球通過検出器34a,34bへ遊技球が入賞したことを条件に点灯することによって演出効果を高める演出用LED(図示せず)を設けている。液晶表示装置32では、遊技球が球通過検出器34a,34bを通過することにより、普通図柄の可変表示が行われる。この普通図柄の可変表示によって行われるものを普通図柄ゲームという。また、始動口26に遊技球が入賞した場合は、特別図柄の可変表示が行われる。この特別図柄によって行われるものを特別図柄ゲームといい、大当りか否かが表示されるゲームである。そして、特別図柄ゲームで大当りとなった場合には、遊技者に有利な状態である大当り遊技状態となり、遊技者に利益が付与される。
【0028】
[上皿についての説明]
前述した上皿300について、図3、図4及び図5を用いて詳述する。図3は、皿ユニット21のうち上皿300の構成を示す平面図である。図4は、図3において1点鎖線A−Aで破断した貯留部300aの一部破断正面図である。図5は、上皿300および音響ユニット50を示す縦断面図である。
【0029】
上皿300は、樹脂で形成されており、遊技球Pを一時貯留する貯留部300aの外側が基体300bとベース部材290に囲まれて構成されている。貯留部300aは、貯留している遊技球Pを球通路300cに集約する傾斜を有して設けられている。この球通路300cは、発射装置130(図1参照)に遊技球Pを供給する取込口304側の一端側を下流部302aとし、その反対側の他端側を上流部302bとし、下流部302a及び上流部302bの中間を中流部302cとする。球通路300cは、その底面側が上流部302bから下流部302aにかけて、通路幅が徐々に狭まり取込口304に向けて絞り込まれる形状に一体成形されている。従って、球通路300cの幅が遊技球の直径よりわずかに大きな位置である絞込口302dにおいて、遊技球の球詰りが発生しやすくなる。上皿300のベース部材290には、絞込口302dの近傍において貫通孔300eが形成されている。後述するように、この貫通孔300eに向けて音出力装置であるスピーカ50aが音を出力することにより、球通路300cにおいて発生する遊技球の球詰りを効果的に防止又は解消できる。
【0030】
球通路300cの下流部302a及び中流部302cには、検知スイッチ350及び検知スイッチ360が、それぞれ設けられている。この検知スイッチ350,360は、それぞれ検知板及びマイクロスイッチ(いずれも図示せず)から構成され、遊技球の重みにより上下方向に微動可能である。検知スイッチ350(360)のマイクロスイッチは、遊技球が接触し、遊技球の重さにより検知板が応動することによってオンとなり、遊技球が検知板から離れることによりオフとなる。ここで、検知スイッチ350のマイクロスイッチがオフであり、検知スイッチ360のマイクロスイッチもオフである場合は、球通路300cにおいて球切れ状態であることを示す。また、検知スイッチ350のマイクロスイッチがオンであり、検知スイッチ360のマイクロスイッチもオンである場合は、球通路300cにおいて遊技球が残存していることを示す。これに対して、検知スイッチ350のマイクロスイッチがオフであり、検知スイッチ360のマイクロスイッチがオンである場合は、球通路300cにおいて遊技球の球詰りが発生していることを示す。従って、この検知スイッチ350,360は、球通路300cにおける球詰りを検知(検出)することが可能な球詰り検知手段(検出手段)としての機能を有する。
【0031】
[スピーカと上皿についての説明]
次に、上皿300とスピーカ50aについて、図3、図5及び図6を用いて説明する。図6は、皿ユニット21のベース部材290に音響ユニット50を装着する様子を、皿ユニット21の右斜め上の方向から見て示す分解斜視図である。
【0032】
音響ユニット50は、遊技状態に応じて音を出力させる音出力装置であるスピーカ50aと、これを収納する略箱型形状のスピーカケース50bで構成される。スピーカ50aは、円盤形状とされており、スピーカケース50bにビス止めされている。スピーカ50aが、表側を正面側に向け、上皿300の絞込口302dの近傍に装着されるように、音響ユニット50はベース部材290にビス止めされている。前述したように、上皿300のベース部材290には、絞込口302dの近傍において貫通孔300eが形成されている。すなわち、上皿300には、スピーカ50aに対向する面(ベース部材290)に貫通孔300eが形成されている。換言すれば、ベース部材290には、スピーカ50aから上皿300に至る貫通孔300eが形成されている。そして、音出力装置であるスピーカ50aが、貫通孔300eに向けて音を出力することにより、球通路300cにおいて発生する遊技球の球詰りを効果的に防止又は解消できる。
【0033】
すなわち、スピーカ50aは、パチンコ機10の内部に設けられ、貫通孔300eからパチンコ機10の外部に音を出力可能に配置されているので、スピーカ50aからの音が球通路300cに貯留されている遊技球に直接伝達されるように貫通孔が形成されている。従って、部品点数を増加させることなく、貯留皿の球詰りを効果的に防止又は解消することができる。
【0034】
特に、発射装置130に近づくにつれて狭くなるように球通路300cは形成されているので、球通路300cの幅が遊技球の直径より大きな位置、例えば、絞込口302dでは特に球詰りが発生しやすくなっている。従って、上記のような絞込口302dに貯留している遊技球にスピーカ50aからの音が直接伝達されるように、貫通孔300eを形成しているので、上皿300の遊技球の球詰りを更に効果的に防止又は解消することができる。
【0035】
なお、スピーカ50aの大きさは、上皿300の構造や、遊技球の流れに応じて適宜決めることができ、より大きなスピーカを採用してもよいし、より小さなスピーカを採用してもよい。
【0036】
[遊技機の電気的構成]
図7に基づいて、パチンコ機10の制御回路を説明する。本実施形態におけるパチンコ機10の制御回路を示すブロック図を図7に示す。上述したパチンコ機10は、始動口26、球通過検出器34a,34b等に入賞した入賞球を検出して、所定の演出を行う等の遊技動作を制御するとともに、後述する球詰り時出力コマンドに応じて、スピーカ50aを制御するなどの制御回路を備えている。
【0037】
主制御回路60は、パチンコ機10における遊技動作全般を制御するとともに、副制御回路200における制御に対して統括的な制御を行う。
【0038】
主制御回路60は、制御手段であるメインCPU66、メインROM(読み出し専用メモリ)68、メインRAM(読み書き可能メモリ)70を備えている。この主制御回路60は、遊技の進行を制御する。なお、主制御回路60は、遊技制御手段の一例に相当する。
【0039】
メインCPU66には、メインROM68、メインRAM70等が接続されており、このメインROM68に記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行する機能を有する。このように、このメインCPU66は、後述する各種の手段として機能することになる。
【0040】
メインROM68には、メインCPU66によりパチンコ機10の動作を制御するためのプログラムや各種のテーブルが記憶されている。
【0041】
メインRAM70は、メインCPU66の一時記憶領域として種々のフラグや変数の値を記憶する機能を有する。メインRAM70に記憶されるデータの具体例としては、始動口賞球カウンタ、一般入賞口賞球カウンタ、大入賞口賞球カウンタおよび残賞球カウンタ等がある。
【0042】
ここで、始動口賞球カウンタは、後述する始動入賞球スイッチ160を通過した遊技球の数を示すものである。一般入賞口賞球カウンタは、後述する一般入賞球スイッチ170を通過した遊技球の数を示すものである。大入賞口賞球カウンタは、大入賞口18内に設けられたVカウントスイッチ180またはカウントスイッチ190を通過した遊技球の数を示すものである。残賞球カウンタは、賞球として払出される遊技球の残り数を示すものである。
【0043】
また、この主制御回路60は、所定の周波数のクロックパルスを生成するリセット用クロックパルス発生回路62、電源投入時においてリセット信号を生成する初期リセット回路64、後述する副制御回路200に対してコマンドを供給するためのコマンド出力ポート72、各種の装置との間で信号の送受信を行うためのI/Oポート73を備えている。また、これらのリセット用クロックパルス発生回路62、初期リセット回路64、コマンド出力ポート72、I/Oポート73は、メインCPU66に接続されている。
【0044】
また、主制御回路60には、上述したI/Oポート73を介して、各入賞口に設けられた遊技球の検出スイッチが接続されており、これらの検出スイッチから所定の検出信号が出力された場合、この検出信号は主制御回路60に送信される。遊技球の検出スイッチは、始動口26に設けられた始動入賞球スイッチ160と、一般入賞口28a〜28dに設けられた一般入賞球スイッチ170と、大入賞口18内に設けられたVカウントスイッチ180およびカウントスイッチ190と、普通図柄始動口である球通過検出器34a,34bに設けられたゲートスイッチ195とからなる。
【0045】
その他にも、主制御回路60には、前述したように、上皿300内において遊技球が残存していることを検知するとともに、上皿300内における遊技球の球詰りを検知する検知スイッチ350,360が接続されている。これらの検知スイッチから上皿300内において遊技球が残存していることを検知した場合は、所定の検知信号が出力され、この検知信号が主制御回路60に送信される。
【0046】
ここで、主制御回路60のメインCPU66が検知スイッチ350からの検知信号を受信した場合に、所定期間内にメインCPU66が検知スイッチ360からの検知信号を受信した場合には、メインCPU66は、上皿300内に遊技球は残存しているが、遊技球の球詰りは発生していないと判断する。また、メインCPU66が検知スイッチ350からの検知信号を受信しない場合に、所定期間内にメインCPU66が検知スイッチ360からの検知信号を受信しない場合には、メインCPU66は、上皿300内に遊技球は残像していないと判断する。
【0047】
一方、メインCPU66が検知スイッチ350からの検知信号を受信しない場合に、所定期間内にメインCPU66が検知スイッチ360からの検知信号を受信した場合には、メインCPU66は、上皿300内において遊技球が残存しているとともに、遊技球の球詰りが発生していると判断する。この場合、メインCPU66は、所定のタイミングで、コマンド出力ポート72を介して、球詰り時コマンドを副制御回路200へ送信する。この球詰り時コマンドを副制御回路200が受信した場合、後述するように、スピーカ50aから上皿300を振動させる音が出力される。
【0048】
このように、検知スイッチ350,360を設けたので、球詰りの発生を容易に検出することが可能となり、仮に球詰りが発生したとしても、球詰りを短時間で解消することが可能となる。特に、球詰りの初期段階で球詰りを検出することができるので、大規模な球詰りの発生を防止することができる。
【0049】
なお、球詰り時コマンドを副制御回路200が受信した場合、トラブルLED92が点灯することにより、上皿300内において遊技球の球詰りが発生したことが報知される。
【0050】
また、主制御回路60には、大入賞口18のシャッター24を開閉するための大入賞口ソレノイド205と、羽根部材38を動作させるための普通電動役物ソレノイド220が接続されており、これらに対して駆動制御信号を送信する。
【0051】
更にまた、バックアップクリアスイッチ124は、パチンコ機10に内蔵されており、電断時等におけるバックアップデータを遊技場の管理者の操作に応じてクリアする機能を有する。
【0052】
また、主制御回路60には、払出・発射制御回路126が接続されている。この払出・発射制御回路126には、遊技球の払出を行う払出装置128、遊技球の発射を行う発射装置130、カードユニット150が接続されている。具体的には、払出・発射制御回路126には、その払出・発射制御回路126を制御するためのCPU(図示せず)と、CPUに処理を実行させるためのプログラムが記憶されているROM(図示せず)と、CPUの作業領域であるRAM(図示せず)とが少なくとも備えられている。
【0053】
この払出・発射制御回路126は、主制御回路60から供給される賞球制御コマンド、球貸し操作パネル(図示せず)の操作に応じてカードユニット150から供給される貸し球制御信号を受け取り、払出装置128に対して所定の信号を送信することにより、払出装置128に遊技球を払い出させる。また、払出・発射制御回路126は、発射装置130に対して発射信号を供給することにより、遊技球を発射させる制御を行う。
【0054】
また、発射装置130には、上述した発射モータ、タッチセンサ等の遊技球を発射させるための装置が備えられている。発射ハンドル78(図2参照)が遊技者によって握持され、かつ、時計回り方向へ回動操作されたときには、その回動角度に応じて発射モータに電力が供給され、上皿300の取込口304(図3参照)から供給される遊技球が発射モータにより遊技領域に順次発射される。
【0055】
更には、コマンド出力ポート72には、コマンド入力ポート240を介して、副制御回路200が接続されている。この副制御回路200は、主制御回路60から供給される各種のコマンドに応じて、液晶表示装置32における画像表示制御、スピーカ46(図1においては46L,46R),50aから出力させる音声に関する制御、演出用LED270、トラブルLED92、装飾ランプ(図示せず)などを含むランプ132の制御等を行う。
【0056】
なお、本実施形態においては、主制御回路60から副制御回路200に対してコマンドを供給するとともに、副制御回路200から主制御回路60に対して信号を供給できないように構成したが、これに限らず、副制御回路200から主制御回路60に対して信号を送信できるように構成しても問題ない。
【0057】
演出制御手段としての副制御回路200は、サブCPU206、記憶手段としてのプログラムROM208、ワークRAM210、液晶表示装置32における表示制御を行うための画像制御回路250、スピーカ46L,46R(図では46と記載),50aから出力させる音声(音)に関する制御を行う音声制御回路230、ランプ132の制御を行うランプ制御回路235から構成されている。副制御回路200は、主制御回路60からの指令に応じて遊技の進行に応じた演出を実行する。
【0058】
サブCPU206には、プログラムROM208、ワークRAM210等が接続されている。サブCPU206は、このプログラムROM208に記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行する機能を有する。特に、サブCPU206は、主制御回路60から供給される各種のコマンドに従って、副制御回路200の制御を行う。サブCPU206は、後述する各種の手段として機能することになる。
【0059】
プログラムROM208には、サブCPU206によりパチンコ機10の遊技演出を制御するためのプログラムが記憶されており、その他には、演出に関する決定を行うためのテーブル等の各種のテーブルも記憶されている。具体的なプログラムについては後述する。
【0060】
ワークRAM210は、サブCPU206の一時記憶領域として種々のフラグや変数の値を記憶する機能を有する。例えば、演出パターンを選択するための演出表示選択用乱数カウンタ等各種の変数等が位置付けられている。
【0061】
画像制御回路250は、画像データプロセッサ(図示せず)、各種の画像データを記憶する画像データROM(図示せず)などから構成されている。画像制御回路250は、サブCPU206から供給される画像表示命令に応じて、画像データROMから、識別情報を示す識別情報画像データ、背景画像データ、演出用画像データ、普通図柄を示す普通図柄画像データ等、各種の画像データを読み出し、液晶表示装置32に表示させる画像データを生成する。そして、画像制御回路250は、生成した画像データを画像信号として変換し、所定のタイミングでこの画像信号を液晶表示装置32に供給することにより、液晶表示装置32に画像を表示させる。
【0062】
また、音声制御回路230は、音声に関する制御を行う音源IC(図示せず)、各種の音声データを記憶する音声データROM(図示せず)などから構成されている。音声制御回路230は、サブCPU206から供給される音声発生命令に応じて、音声データROMに記憶されている複数の音声データから一つの音声データを選択する。また、音声制御回路230は、選択された音声データを音声データROMから読み出し、音声データを所定の音声信号に変換し、その音声信号を増幅させ、スピーカ46L,46R,50aから音声を発生させる。
【0063】
具体的には、近い将来に大当り遊技状態となる場合や現在大当り遊技状態である場合、音声制御回路230は、大当り遊技状態用の複数の音声データから一つの音声データを選択し、このデータに基づいて、スピーカ46L,46R,50aから音声を出力させる。これにより、遊技者に、近い将来において大当りが来ることを予感させ、又は現在大当り遊技状態であることを確信させることが可能である。一方、現在又は近い将来の遊技状態が大当り遊技状態でない場合、すなわち、通常遊技状態である場合に、音声制御回路230は、通常遊技状態用の複数の音声データから一つの音声データを選択し、このデータに基づいて、スピーカ46L,46R,50aから音声を出力させる。これにより、現在ばかりでなく近い将来においても、大当り遊技状態にはならないことを、遊技者に把握させることが可能である。このように、スピーカ46L,46R,50aは、音声制御回路230の制御によって、遊技状態に応じた音を出力する。
【0064】
さらに、音声制御回路230は、主制御回路60から副制御回路200に送信される球詰り時コマンドに基づき、サブCPU206から球詰り時音声発生命令を受信する場合がある。この球詰り時音声発生命令を受信した場合、音声制御回路230は、音声データROMに記憶されている球詰り時用の音声データを選択する。また、音声制御回路230は、選択された音声データを音声データROMから読み出し、音声データを所定の音声信号に変換し、その音声信号を増幅させ、スピーカ50aから音声(音)を出力する。このときに出力される音は、球詰りを解消させるための音、例えば、上皿300を共振させる周波数の音であるので、球詰りを効果的に解消することができる。
【0065】
このように、球詰りが発生した場合にのみ、球詰りを解消させるための音、例えば、上皿300を共振させる周波数の音が出力されるので、球詰りを効果的に解消することができる。
【0066】
上皿300を共振させる周波数の音を音声出力させるには、以下のようにすればよい。すなわち、基体300bを共振させる周波数の基本周波数は、図3を参照して上皿の幅をL(cm)、音速をc(cm/s)とすると、c/2L(Hz)となる。なお、基本周波数c/2Lの整数倍も共振周波数となるが、共振度合いは基本周波数よりも小さくなる。例えば、幅Lを3cmとすると、20℃の場合、音速は約34000cm/sであるので、共振周波数の基本周波数は、ほぼ、34000/(2×3)=5667(Hz)となる。そして、基本周波数の整数倍も共振周波数となる。そこで、音声制御回路230に対して、求められた共振周波数の音をスピーカ50aから音声出力させるようにすればよい。
【0067】
ランプ制御回路235は、ランプ制御信号を供給するためのドライブ回路(図示せず)、複数種類のランプ装飾パターン等が記憶されている装飾データROM(図示せず)などから構成されている。ランプ制御回路235は、サブCPU206から供給される命令に基づいて、トラブルLED92等のランプ132の発光制御を行う。
【0068】
[遊技機の動作]
以下に、上皿300の球詰りを検知スイッチが検知した場合に、パチンコ機10の主制御回路60で実行される球詰り時コマンド送信処理について説明する。図8は、本発明のパチンコ機10において実行される球詰り時コマンド送信処理を示すフローチャートである。
【0069】
[球詰り時コマンド送信処理]
まず、最初に、図8に示すように、メインCPU66は、検知スイッチ350からの検知信号を受信したか否かを判断する(ステップS601)。この処理において、メインCPU66は、検知スイッチ350からの検知信号を受信していないと判断した場合、すなわち、上皿300内の遊技球が球切れ状態でない場合は、ステップS602に処理を移し、検知スイッチ350からの検知信号を受信したと判断した場合は、本サブルーチンを終了する。
【0070】
ステップS602の処理において、メインCPU66は、検知スイッチ360からの検知信号を所定時間内に受信したか否かを判断する。この処理において、メインCPU66は、所定時間内に検知スイッチ360からの検知信号を受信したか否かを判断し、受信したと判断した場合は、ステップS603に処理を移し、受信していないと判断した場合は、本サブルーチンを終了する。
【0071】
ここで、検知スイッチ350が、上皿300内の遊技球が球切れ状態であることを検知しない(ステップS601の処理が“NO”)場合に、検知スイッチ360が、所定時間内に上皿300内の遊技球が球切れ状態であることを検知した(ステップS602の処理が“YES”)場合は、上皿300内において、遊技球が球詰り状態となっている。従って、ステップS601及びS602の処理を実行するメインCPU66は、上皿300内の遊技球が球詰りしているか否かを判定する球詰り判定手段として機能する。
【0072】
ステップS603の処理においては、メインCPU66は、球詰り時コマンドを副制御回路200に送信する。この球詰り時コマンドを副制御回路200が受信した場合、副制御回路200のサブCPU206は、球詰り時コマンドに基づいて、球詰り時の音声出力命令を音声制御回路230に送信する。
【0073】
次に、パチンコ機10の副制御回路200で実行される球詰り時の音出力処理について説明する。図9は、本発明のパチンコ機10において実行される球詰り時音出力処理を示すフローチャートである。
【0074】
[球詰り時音出力処理]
まず、最初に、図9に示すように、音声制御回路230は、副制御回路200のサブCPU206から球詰り時の音声出力命令を受信したか否かを判断する(ステップS701)。この処理において、メインCPU66は、球詰り時の音声出力命令を受信したと判断した場合は、ステップS702に処理を移し、球詰り時の音声出力命令を受信していないと判断した場合は、本サブルーチンを終了する。
【0075】
ステップS702の処理において、音声制御回路230は、球詰り時の音声出力命令に応じて音声データを選択する。この処理において、音声制御回路230は、供給された音声出力命令に応じて、音声データROMに記憶されている複数の音声データから、上皿300を振動させる音が出力されるような音声データを選択する。この処理が終了した場合は、ステップS703に処理を移す。
【0076】
ステップS703の処理においては、音声出力処理を実行する。この処理において、音声制御回路230は、選択された音声データを音声データROMから読み出し、音声データを所定の音声信号に変換し、その音声信号を増幅させ、スピーカ50a(スピーカ46L,46Rを含んでもよい)から音声を出力させる。すなわち、音出力装置であるスピーカ50aは、球詰り検出手段である検知スイッチ350,360によって球詰りが検出されたことを条件に、上皿300内を振動させる音を出力する。換言すれば、音声制御回路230は、球詰り検出手段である検知スイッチ350,360によって球詰りが検出されたことを条件に、音出力装置であるスピーカ50aに上皿300を振動させる音を出力させる音制御手段としての機能を有する。
【0077】
このように、検知スイッチ350,360を設けたので、球詰りの発生を容易に検出することが可能となり、仮に球詰りが発生したとしても、球詰りを短時間で解消することが可能となる。特に、球詰りの初期段階で球詰りを検出することができるので、大規模な球詰りの発生を防止することができる。
【0078】
また、球詰りが発生した場合のみ、球詰りを解消させるための音、例えば、上記した上皿300を共振させる周波数の音が出力されるので、球詰りを効果的に解消することができる。
【0079】
[変形例]
なお、本実施形態においては、スピーカ50aは、パチンコ機10の内部に設けられ、貫通孔300eからパチンコ機10の外部に音を出力可能に、上皿300のベース部材290に設けられているが、これに限らず、上皿300内の遊技球の球詰りを解消するような場所にスピーカ50aを取りつけてもよい。例えば、上皿300の基体300bや貯留部300aの壁面300f(図5参照)に設けてもよい。この場合、上皿300には、スピーカから上皿300に向けて貫通孔を形成させる。これによって、音出力装置であるスピーカから出力された音の振動を上皿300内の遊技球に直接伝達できるので、部品点数を増加させることなく、球詰りを効果的に防止又は解消できる。
【0080】
また、スピーカ46L,46R,50aは、様々な種類のスピーカを採用することが可能であり、例えば、ピエゾスピーカなどを採用してもよい。
【0081】
また、本実施形態においては、2つの検知スイッチ350,360を採用したが、上皿300内の遊技球の球詰りが検知できるのであれば、検知スイッチは2つではなく、1つでも、3つ以上設けられていてもよい。更には、検知スイッチはどのような種類のものであってもよく、例えば、近接スイッチ、圧電センサ、光センサなどであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の第1実施形態に係るパチンコ機の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るパチンコ機の正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るパチンコ機の皿ユニットのうち上皿の構成を示す平面図である。
【図4】図3において1点鎖線A−Aで破断した貯留部の一部破断正面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るパチンコ機の上皿および音響ユニットを示す縦断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係るパチンコ機の皿ユニットのベース部材に音響ユニットを装着する様子を、皿ユニットの右斜め上の方向から見て示す分解斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係るパチンコ機の制御回路を示すブロック図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係るパチンコ機において実行される制御処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第1実施形態に係るパチンコ機において実行される制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
10 パチンコ機
50a スピーカ
130 発射装置
300 上皿
300c 球通路
300e 貫通孔
350,360 検知スイッチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の入賞に応じて払い出される遊技球を貯留し、遊技球を発射する発射装置に供給する球通路が形成された貯留皿と、
遊技状態に応じて音を出力させる音出力装置とを備えた遊技機であって、
前記貯留皿には、貫通孔が形成され、
前記音出力装置は、遊技機内部に設けられ、前記貫通孔から遊技機外部に音を出力可能に配置されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記球通路は、前記発射装置に近づくにつれて狭くなるように形成され、
前記貫通孔は、前記球通路の幅が遊技球1個の直径より大きな位置に貯留されている遊技球に音出力装置からの音が直接伝達されるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
遊技球の球詰りを検出する球詰り検出手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記音出力装置は、前記検出手段によって球詰りが検出されたことを条件に、前記上皿を振動させる音を出力することを特徴とする請求項3に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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