説明

弾球遊技機

【課題】大入賞口内に想定数を超える数の遊技球が同時に入球して残存してしまうような不測の事態が生じてもこれを遊技機は感知することができなかった。
【解決手段】ぱちんこ遊技機において、大入賞口32は、遊技球が入球可能な開閉部をもつ。大入賞口開閉制御手段82は、始動口28へ遊技球が入球したときに大入賞口32の開閉部を開放させる。入球検出手段72は、大入賞口32の内側に設けられ、遊技球が開閉部を通じて大入賞口32へ入球したときにその入球を検出する。排出検出手段75は、大入賞口32の内側に設けられ、大入賞口32へ入球した遊技球が特定領域または特定領域以外の領域を通じて大入賞口32の外部へ排出されるときにその排出を検出する。報知手段90は、大入賞口32へ入球した遊技球が外部へ排出されないときにその旨を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ぱちんこ遊技機等の弾球遊技機に関し、特に遊技球の流れを管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弾球遊技機として、役物と呼ばれる大入賞口内の特定領域を遊技球が通過したときに遊技者に有利な状態である特別遊技へと移行する第2種ぱちんこ遊技機が広く親しまれている。特別遊技中には、遊技盤の所定位置に設けられた大入賞口が複数回開閉し、大入賞口への遊技球の入賞に応じて賞球の払出が行われる。特別遊技における大入賞口は、その開放が所定回数、例えば18回に達するか、あるいは遊技球が大入賞口へ10球以上入賞したときに開閉が停止され、単位遊技ごとにその複数回の開閉を繰り返す。また、単位遊技は、大入賞口内に設けられたVゾーンと呼ばれる特定領域を遊技球が通過したことを条件に次の単位遊技へ移行する。大入賞口に入賞した遊技球が特定領域を通過する確率は大入賞口内の構造によって比較的低くなるよう設計されていたり、抽選により特別遊技の継続回数が制限されるといった設計がなされている場合も多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−340024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の背景技術においては、大入賞口への遊技球の入球や特別領域への入球が監視されていたものの、例えば大入賞口内に想定数を超える数の遊技球が同時に入球して残存してしまうような不測の事態が生じてもこれを遊技機は感知することができなかった。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、遊技球の流れを監視することにより円滑な遊技を担保した遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の弾球遊技機は、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技領域における所定の位置に設けられ、遊技球が入球可能な開閉部をもつ可変入球口と、遊技領域における所定の位置に設けられ、遊技球の入球が開閉部の開放の契機となる始動入賞口と、始動入賞口へ遊技球が入球したときに開閉部を開放させる開閉制御手段と、可変入球口の内側に設けられ、遊技球が通過すると遊技者に有利な状態である特別遊技へと移行する契機となる特定領域と、特定領域を遊技球が通過した場合に特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、可変入球口の内側に設けられ、遊技球が開閉部を通じて可変入球口へ入球したときにその入球を検出する入球検出手段と、可変入球口の内側に設けられ、可変入球口へ入球した遊技球が特定領域または特定領域以外の領域を通じて可変入球口の外部へ排出されるときにその排出を検出する排出検出手段と、可変入球口への入球が入球検出手段によって検出されてからの経過時間を計測する経過時間計測手段と、可変入球口への入球が検出された遊技球についてその入球から所定期間が経過するまでに排出検出手段により排出が検出されたか否かを判定する排出判定手段と、所定期間の経過までに排出が検出されなかった場合にその旨を報知する報知手段と、を備える。
【0007】
ここで、この弾球遊技機は、従来にいう第2種ぱちんこ遊技機であってもよい。または、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機や第3種ぱちんこ遊技機を従来にいう第2種ぱちんこ遊技機に組み合わせたような構成をもつ遊技機であってもよい。可変入球口は、いわゆる大入賞口であってもよい。報知手段は、排出が検出されなかった旨をエラーとして報知してもよいし、そのような報知を遊技店側の管理装置および遊技者のうち一方または双方に報知してもよい。
【0008】
この態様によると、可変入球口へ入球した遊技球が球詰まりといった何らかの原因により排出されなくなる不測の事態が生じた場合に、これを検出して遊技店や遊技者へ報知することができる。したがって、遊技の進行を阻害する要因を迅速に検知して遊技の円滑な進行を担保し、遊技者および遊技店の不利益を抑えることができる。
【0009】
報知手段は、特別遊技が実行されていない通常遊技中において所定期間の経過までに排出が検出されなかった場合にその旨を遊技者に報知してもよい。この場合、遊技球が連続して入球しにくい通常遊技中において遊技球の排出が確実になされたかどうかを判定するので、判定中における次の入球による判定の阻害を回避して判定精度を高めることができる。
【0010】
排出判定手段は、所定期間が経過したとき、可変入球口へ入球した遊技球の数と可変入球口の外部へ排出された遊技球の数とに差があった場合に排出が検出されなかったものと判定してもよい。可変入球口へ複数の遊技球が入球した場合であっても適切にその排出有無を判定することができ、判定精度を高めることができる。
【0011】
遊技球を遊技領域へ発射する発射装置をさらに備えてもよい。報知手段は、発射装置による遊技球の発射を規制することによって排出が検出されなかった旨を遊技者に報知してもよい。遊技球が可変入球口から排出されない不測の事態が生じた場合、遊技を無理に進行させてしまえばかえって遊技を妨げる事態となり、遊技者および遊技店の不利益を増大しかねない。ここでは、遊技球の排出が検出されなかった場合に遊技球の発射を停止させて遊技進行を一時停止させるので、遊技者および遊技店の不利益を一定限度に抑制することができる。
【0012】
開閉制御手段は、可変入球口への入球が検出されてから排出が検出されるまで、開閉部の開閉を停止してもよい。この場合、遊技球を連続して入球させなくして遊技球の排出が確実になされたかどうかを判定するので、判定中における次の入球による判定の阻害を回避して判定精度を高めることができる。
【0013】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体、データ構造などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、弾球遊技機における遊技球の流れを監視して円滑な遊技を担保した遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す図である。
【図2】遊技領域の構造を示す正面図である。
【図3】ぱちんこ遊技機における遊技を制御する構成を中心とした基本的な機能ブロック図である。
【図4】ぱちんこ遊技機における基本的な処理過程を示すフローチャートである。
【図5】図4におけるS12の処理を詳細に示すフローチャートである。
【図6】図5におけるS52の処理を詳細に示すフローチャートである。
【図7】図4におけるS14の過程を詳細に示すフローチャートである。
【図8】図7におけるS108の過程を詳細に示すフローチャートである。
【図9】図7におけるS110の過程を詳細に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例における弾球遊技機は、従来にいう第2種ぱちんこ遊技機に相当する。このぱちんこ遊技機は、大入賞口へ入球した遊技球の数と大入賞口から排出される遊技球の数をそれぞれ計数し、入球した遊技球が所定期間が経過するまでにすべて排出されたか否かを監視する。すべての排出が検出されなかった場合は大入賞口内に遊技球が残存してしまったものとして遊技者にエラーを報知する。エラーの報知方法は、遊技効果ランプの点滅や遊技球の発射停止等の方法で行う。これにより、球詰まり等の不測の事態が生じてもこれを遊技機側が感知でき、遊技を停止させて適切な処置を施す機会を遊技者にもたせることができる。また、遊技者の不利益を回避して円滑な遊技を担保することができる。
【0017】
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤面で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
【0018】
透明板13は、ガラス等により形成された透過性のある板である。扉14は、透明板13を支持する。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。遊技者が発射ハンドル17を回動させると遊技球が発射される。
【0019】
図2は、遊技領域の構造を示す正面図である。遊技盤70は、外レール20と内レール22により区画された遊技領域24上に始動入賞口(以下、「始動口」という)28a〜c、大入賞口32、一般入賞口33、アウト口26、および各種遊技効果ランプ78を含む。遊技領域24には複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。各種遊技効果ランプ78は、その点滅により演出または装飾としての役割を果たす。
【0020】
始動口28a〜cは、遊技球の入球を検出する始動入賞検出器30a〜cを含む。始動入賞検出器30aが始動口28aへの遊技球の落入を検出すると大入賞口32が2回開放され、始動入賞検出器30bまたはcが始動口28bまたはcへの遊技球の落入を検出すると大入賞口32が1回開放される。大入賞口32は、遊技球が落入可能な複数の開閉部、すなわち第1開閉部42および第2開閉部44をもつ可変入球口であり、遊技領域24における所定の位置に設けられる。大入賞口32は、第1開閉部42および第2開閉部44を拡開させる大入賞口ソレノイド66をさらに有する。大入賞口32の内側には、大入賞口32に入賞して保留領域40に落下した遊技球の進行を特定領域36への方向およびアウト領域38への方向のいずれかに案内可能な誘導手段34が設けられる。特定領域36は、大入賞口32の内部に設けられた領域であり、特定領域36を遊技球が通過すると特別遊技を構成する単位遊技が実行される契機となる。すなわち、特定領域36への遊技球の入球が特別遊技の開始または継続の契機となる。誘導手段34は、時計回りまたは反時計回りに回転する回転体35を含む。回転体35の一部には、切り欠き状に形成されて遊技球を保持可能な保留領域40が設けられている。大入賞口の上部には、特別遊技における単位遊技の継続回数、継続上限回数、エラーを表示するための表示器52が設けられている。
【0021】
大入賞口32への入球は、開閉部通過検出器74により検出される。開閉部通過検出器74は、大入賞口32の内側に設けられ、遊技球が第1開閉部42または第2開閉部44を通じて大入賞口32へ入球したときにその入球を検出する。特定領域36への落入は、特定領域通過検出器54により検出される。アウト領域38への落入は、アウト領域通過検出器76により検出される。特定領域36およびアウト領域38は、それぞれ大入賞口32の内側に設けられ、大入賞口32へ入球した遊技球が特定領域36またはアウト領域38を通じて大入賞口32の外部へ排出されるときにその排出を検出する。
【0022】
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール22と外レール20に案内されて遊技領域24へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域24の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口33や始動口28a〜c、大入賞口32の各入賞口へ落入するとその入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口33等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口26に流入した遊技球はアウト球として処理される。
【0023】
始動口28に遊技球が入賞すると、大入賞口ソレノイド66が作動して第1開閉部42および第2開閉部44が所定時間、例えば5秒間開放される。その間、開放された第1開閉部42および第2開閉部44の開口部分を遊技球が通過すれば大入賞口32への入球となる。このとき、回転体35は時計回りまたは反時計回りに回転しているので、保留領域40の切欠部分が上方を向いている間だけ保留領域40に遊技球が落下可能となる。上方を向いた保留領域40に遊技球が落下した場合、回転体35が時計回りに回転していれば遊技球はアウト領域38へ落入し、そのアウト領域38を通じて大入賞口32の外部へ排出される。回転体35が反時計回りに回転していれば遊技球は特定領域36へ落入し、その特定領域36を通じて大入賞口32の外部へ排出される。遊技球が特定領域36を通過すると、いわゆる大当たりとして特別遊技が開始される。なお、保留領域40に落入しなかった遊技球はアウト領域38へ流入し、そのアウト領域38を通じて大入賞口32の外部へ排出される。
【0024】
特別遊技は、1回以上の単位遊技で構成され、単位遊技が実行されるたびに第1開閉部42および第2開閉部44が複数回開閉される。1回の単位遊技において第1開閉部42および第2開閉部44が複数回開放される間に、大入賞口32に遊技球が10個入球するか、または開閉回数が18回に到達したときに、第1開閉部42および第2開閉部44の開閉はいったん停止される。単位遊技開始から第1開閉部42および第2開閉部44の開閉がいったん停止されるまで回転体35の回転は停止されており、保留領域40は上方を向いて遊技球が落下可能な状態で保持される。第1開閉部42および第2開閉部44の開閉がいったん停止されたときに、保留領域40に遊技球が保留されており、回転体35の回転によってその遊技球が特定領域36に入球すれば次の単位遊技に移行し、特別遊技が継続される。遊技球がすべてアウト領域38に入球した場合や、保留領域40に遊技球が保留されなかった場合等、1球も特定領域36に遊技球が入球しなかった場合は、その単位遊技の終了をもって特別遊技は終了となる。単位遊技の継続回数には上限が設定される。例えば、特別遊技の開始にあたり、1回、7回、15回のうちいずれかが継続上限回数として乱数による抽選で選択される。
【0025】
ここで、大入賞口開閉制御手段82は、所定の開放条件を満たした場合に大入賞口32の第1開閉部42および第2開閉部44を開放させる。所定の開放条件は、通常遊技において大入賞口32が開閉されていない間に遊技球が始動口28へ入賞すること、通常遊技において開放された大入賞口32内の特定領域36に遊技球が通過すること、特別遊技において遊技球が特定領域36を通過すること、のいずれかである。
【0026】
大入賞口32への入球数が10個に到達した場合、または単位遊技における第1開閉部42および第2開閉部44の開閉回数が18回に到達したとき、回転体35が反時計回りに回転する。単位遊技の継続回数が継続上限回数に達した場合、または、遊技球が特定領域36へ入球せずいわゆるパンクとなった場合に、特別遊技が終了する。
【0027】
図3は、ぱちんこ遊技機10における遊技を制御する構成を中心とした基本的な機能ブロック図である。大入賞口32、始動口28、各種遊技効果ランプ78、および発射装置77は、遊技制御装置60と電気的に接続されている。遊技制御装置60は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROM、演算処理や制御処理に用いるCPUやRAM等の素子で実現でき、ソフトウエア的には遊技制御機能等のプログラムによって実現されるが、本図ではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できる。
【0028】
入球検出手段72は、大入賞口32の内側に設けられた開閉部通過検出器74を含む。排出検出手段75は、大入賞口32の内側に設けられた特定領域通過検出器54とアウト領域通過検出器76を含む。発射装置77は、遊技球を遊技領域24へ発射する。発射装置77は、遊技球の発射可否を制御する発射制御手段94を含む。
【0029】
遊技制御装置60は、入賞判定手段80、大入賞口開閉制御手段82、排出判定手段86、経過時間計測手段88、表示制御手段84、報知手段90、および特別遊技制御手段92を有する。入賞判定手段80は、始動口28から遊技球が入球した旨の情報を始動入賞検出器30から取得し、その情報に基づいて始動入賞の有無を判定する。大入賞口開閉制御手段82は、遊技状態が所定の条件を満たしたときに、第1開閉部42および第2開閉部44を開放させる。すなわち、通常遊技においては大入賞口32が開閉していないタイミングで遊技球が始動口28に入賞したときに、大入賞口開閉制御手段82は、第1開閉部42および第2開閉部44を所定時間開放させる。特別遊技においては遊技球が特定領域36に入球したときに、次の単位遊技として第1開閉部42および第2開閉部44を所定回数開放させる。
【0030】
経過時間計測手段88は、大入賞口32への入球が検出されたことを示す情報を入球検出手段72から受け取ったときに排出判定タイマをセットし、入球からの経過時間を計測する。経過時間計測手段88は、経過時間の計測中にさらに遊技球の入球を示す情報を受け取った場合に、排出判定タイマを再度セットして経過時間の計測を開始し直す。大入賞口開閉制御手段82は、大入賞口32への入球が検出されてから排出が検出されるまで、すなわち、経過時間計測手段88が入球からの経過時間を計測する間、第1開閉部42および第2開閉部44の開閉を停止する。
【0031】
排出判定手段86は、大入賞口32への入球が検出された遊技球についてその入球から所定期間が経過するまでに排出検出手段75により排出が検出されたか否かを判定する。排出判定手段86は、大入賞口32への入球が検出されたことを示す情報を入球検出手段72から受けとって大入賞口32への入球数を計数するとともに、大入賞口32からの排出が検出されたことを示す情報を排出検出手段75から受け取って大入賞口32からの排出数を計数する。排出判定手段86は、大入賞口32への入球数の計数を開始した後、経過時間計測手段88により計測される入球からの経過時間が例えば30秒を超えた時点で入球数と排出数に差があった場合、入球した遊技球が大入賞口32内に残存して排出が検出されなかったものと判定する。また、入球数と排出数に差がある間、大入賞口開閉制御手段82が大入賞口32を閉鎖してその状態を保持してもよい。
【0032】
報知手段90は、特別遊技が実行されていない通常遊技中において、入球から30秒経過するまでにその排出が検出されなかった場合に、排出が検出されなかった旨を示すエラーを報知する。報知方法としては、表示制御手段84により表示器52へエラーが発生した旨を表示させるとともに、図示しない遊技店側の管理装置に対してもエラーを通知し、また、発射制御手段94に対して制御信号を送信して発射装置77による遊技球の発射を停止させる。
【0033】
特別遊技制御手段92は、通常遊技から特別遊技へ移行すべきか否かを判定するとともに、特別遊技の実行を制御する。特別遊技制御手段92は、通常遊技において大入賞口32へ入球した遊技球が特定領域36を通過したときに、特別遊技への移行を決定する。また、特別遊技制御手段92は、特別遊技への移行にあたり、その特別遊技を構成する単位遊技の継続上限回数を1回から15回の範囲内で決定する。特別遊技制御手段92は、継続上限回数として、例えば、1回、7回、15回のうちいずれかを乱数による抽選で選択する。決定された継続上限回数は、表示制御手段84により表示器52へ表示される。
【0034】
特別遊技制御手段92は、特定領域36を遊技球が通過したときに、特別遊技として1回以上の単位遊技を実行する。単位遊技中において、特別遊技制御手段92は、大入賞口開閉制御手段82による第1開閉部42および第2開閉部44の開閉と回転体35の回転を制御する。特別遊技制御手段92は、単位遊技が継続されるたびにその継続回数を計数し、その継続回数は表示制御手段84により表示器52へ表示される。
【0035】
特別遊技制御手段92は、単位遊技において遊技球が特定領域36を通過した場合には次の単位遊技を開始させて特別遊技を継続し、単位遊技において遊技球が特定領域36を通過しなかった場合には、その単位遊技の終了をもって特別遊技を終了させる。また、単位遊技の継続回数が継続上限回数に達したときは、その単位遊技の終了をもって特別遊技を終了する。
【0036】
図4は、ぱちんこ遊技機における基本的な処理過程を示すフローチャートである。まず始動口28への入賞を入賞判定手段80が判定し(S10)、通常遊技中に始動口28への入賞があった場合に大入賞口開閉制御手段82が大入賞口32の第1開閉部42および第2開閉部44を所定時間開放し(S12)、特別遊技制御手段92は、大入賞口32への入球に応じて特別遊技へ移行すべきかの判定および実行を処理し(S14)、図示しない払出ユニットは入賞に応じて賞球を払い出し(S16)、フローを終了する。遊技中にこれら一連のフローを繰り返し実行する。以下の図では、特にS12、S14のフローを詳細に説明する。
【0037】
図5は、図4におけるS12の処理を詳細に示すフローチャートである。まず、通常遊技中でない場合、すなわち特別遊技中である場合は(S18のN)、S12のフローを終了する。通常遊技中の場合であって(S18のY)、始動口28への遊技球の入賞が検出されたとき(S20のY)、始動口28への入賞を契機とした大入賞口32の開閉制御が許可される場合、具体的にはS20以前における始動口28への入賞による大入賞口32の開放作動中でない場合(S25のY)、大入賞口32の開放時間を計測するためのタイマをセットし(S26)、大入賞口32を開放し(S27)、大入賞口32が開放されていることを示す大入賞口開放フラグをオンして(S28)、S30へ移行する。S20において始動口28への遊技球の入賞がされない場合や(S20のN)、S25において大入賞口32の開放制御が許可されない場合は(S25のN)、S26〜S28をスキップしてS30へ移行する。
【0038】
S30において、大入賞口開放フラグがオンになっていた場合であって(S30のY)、大入賞口32への入球が入球検出手段72によって検出された場合(S36のY)、経過時間計測手段88が排出判定タイマをセットして入球からの経過時間を計測開始し(S38)、大入賞口32からの遊技球の排出判定中であることを示す排出判定フラグをオンし(S40)、S44へ移行する。S30において大入賞口開放フラグがオンになっていない場合(S30のN)や、S36において大入賞口32への入球が検出されないとき(S36のN)、S38およびS40をスキップしてS44へ移行する。
【0039】
S44において、排出判定タイマがゼロになった場合は(S44のY)、排出が検出されたかどうかの判定を実行し(S52)、排出判定タイマがゼロでない場合(S44のN)、遊技球が特定領域36を通過すれば(S46のY)、大当たりであることを示す当たりフラグをオンし(S48)、排出判定フラグをオフし(S50)、S54へ移行する。S46において遊技球が特定領域36を通過しなければ(S46のN)、S48およびS50をスキップしてS54へ移行する。
【0040】
S54において、大入賞口開放タイマがゼロになっていなければS12のフローを終了し(S54のN)、大入賞口開放タイマがゼロになっていれば(S54のY)、大入賞口32を閉鎖し(S56)、大入賞口開放フラグをオフして(S58)、S12のフローを終了する。
【0041】
図6は、図5におけるS52の処理を詳細に示すフローチャートである。まず、排出判定フラグがオンになっていない場合は(S70のN)、S52のフローを終了する。排出判定フラグがオンになっている場合であって(S70のY)、大入賞口32への入球数と大入賞口32からの排出数に差が生じていた場合(S72のY)、報知手段90は発射制御手段94へエラーを示す信号を送信することにより発射装置77による遊技球の発射を停止させ(S74)、報知手段90はエラーを示す表示内容のデータを表示器52へ送信して表示器52に表示させたり各種遊技効果ランプ78の点滅や音声の出力により遊技者へ報知するとともに(S76)、報知手段90は外部端子を通じて遊技店側の管理装置に対してエラーを示す信号を送信することによりエラーを遊技店側に通知し(S78)、排出判定フラグをオフにして(S80)、S52のフローを終了する。S72において入球数と排出数に差が生じていない場合はS74〜S78をスキップし(S72のN)、排出判定フラグをオフにして(S80)、S52のフローを終了する。
【0042】
図7は、図4におけるS14の過程を詳細に示すフローチャートである。まず、当たりフラグがオンであった場合(S100のY)、単位遊技の継続回数をリセットし(S102)、単位遊技の継続上限回数を抽選で決定し(S103)、特別遊技中であることを示す特別遊技中フラグをオンし(S105)、当たりフラグをオフし(S106)、表示器52に継続上限回数を表示させる(S107)。単位遊技の実行を処理し(S108)、特別遊技を終了するか否かを判定する(S110)。S100において、当たりフラグがオンでない場合であって(S100のN)、特別遊技中フラグがオフの場合はS14のフローを終了し(S112のN)、特別遊技中フラグがオンの場合はS108へ移行する(S112のY)。
【0043】
図8は、図7におけるS108の過程を詳細に示すフローチャートである。まず、単位遊技がまだ開始されていない状態の場合(S120のN)、単位遊技中であることを示す単位遊技中フラグをオンし(S122)、大入賞口32の開閉回数がセットされ(S130)、大入賞口32の入賞個数がリセットされる(S132)。S120においてすでに単位遊技中であった場合は(S120のY)、S122からS132をスキップする。
【0044】
大入賞口32の開放タイミングであった場合(S134のY)、大入賞口32を開放させるよう駆動し(S136)、大入賞口32の開放タイミングでない場合(S134のN)、S136をスキップする。大入賞口32の閉鎖タイミングであった場合(S138のY)、大入賞口32を閉鎖させるよう駆動し(S140)、大入賞口32の開閉回数から1を減算する(S142)。S138において、大入賞口32の閉鎖タイミングでない場合(S138のN)、S140およびS142をスキップする。
【0045】
大入賞口32に遊技球が入賞した場合(S150のY)、入賞個数に1を加算し(S152)、入賞個数が9球を超えていない場合に(S162のN)、開閉回数が17回を超えていれば(S170のY)、単位遊技中フラグをオフにし(S174)、開閉回数が17回を超えていなければ(S170のN)、S174をスキップする。S150において大入賞口32に遊技球が入賞していない場合は(S150のN)、S152とS162をスキップしてS170へ移行する。S162において入賞個数が9球を超えた場合は(S162のY)、S170をスキップしてS174へ移行する。
【0046】
S182において、遊技球が特定領域36を通過した場合(S182のY)、単位遊技中フラグをオフにし(S184)、V入賞フラグをオンして(S186)、S108のフローを終了する。S182において、遊技球が特定領域36を通過しなかった場合(S182のN)、S184とS186をスキップしてS108のフローを終了する。
【0047】
図9は、図7におけるS110の過程を詳細に示すフローチャートである。単位遊技フラグがオンになっていない場合はS192へ移行し(S190のN)、単位遊技フラグがオンになっている場合はこのフローを終了する(S190のY)。S192において、V入賞フラグがオンになっている場合であって(S192のY)、単位遊技の継続回数が継続上限回数未満である場合(S194のY)、継続回数に1を加算し(S196)、V入賞フラグをオフにする(S200)。S192においてV入賞フラグがオンになっていない場合(S192のN)、特別遊技中フラグをオフにしてS202へ移行する(S198)。S194において単位遊技の継続回数が継続上限回数未満でない場合もまた(S194のN)、特別遊技中フラグをオフにしてS202へ移行する(S198)。大入賞口32の開閉回数をリセットし(S202)、大入賞口32への入賞個数をリセットし(S204)、S110のフローを終了する。
【0048】
なお、上記の実施例は例示であり、その各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、変形例を挙げる。
【0049】
本実施例においては、従来の第2種ぱちんこ遊技機として実現した構成を例に説明した。変形例においては、従来の第1種ぱちんこ遊技機または第3種ぱちんこ遊技機を従来の第2種ぱちんこ遊技機に組み合わせたような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 ぱちんこ遊技機、 24 遊技領域、 28 始動口、 30 始動入賞検出器、 32 大入賞口、 36 特定領域、 38 アウト領域、 42 第1開閉部、 44 第2開閉部、 52 表示器、 54 特定領域通過検出器、 60 遊技制御装置、 66 大入賞口ソレノイド、 70 遊技盤、 72 入球検出手段、 74 開閉部通過検出器、 75 排出検出手段、 76 アウト領域通過検出器、 77 発射装置、 78 各種遊技効果ランプ、 80 入賞判定手段、 82 大入賞口開閉制御手段、 84 表示制御手段、 86 排出判定手段、 88 経過時間計測手段、 90 報知手段、 92 特別遊技制御手段、 94 発射制御手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技領域における所定の位置に設けられ、遊技球が入球可能な開閉部をもつ可変入球口と、
前記遊技領域における所定の位置に設けられ、遊技球の入球が前記開閉部の開放の契機となる始動入賞口と、
前記始動入賞口へ遊技球が入球したときに前記開閉部を開放させる開閉制御手段と、
前記可変入球口の内側に設けられ、遊技球が通過すると遊技者に有利な状態である特別遊技へと移行する契機となる特定領域と、
前記特定領域を遊技球が通過した場合に前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
前記可変入球口の内側に設けられ、遊技球が前記開閉部を通じて前記可変入球口へ入球したときにその入球を検出する入球検出手段と、
前記可変入球口の内側に設けられ、前記可変入球口へ入球した遊技球が前記特定領域または前記特定領域以外の領域を通じて前記可変入球口の外部へ排出されるときにその排出を検出する排出検出手段と、
前記可変入球口への入球が前記入球検出手段によって検出されてからの経過時間を計測する経過時間計測手段と、
前記可変入球口への入球が検出された遊技球についてその入球から所定期間が経過するまでに前記排出検出手段により前記排出が検出されたか否かを判定する排出判定手段と、
前記所定期間の経過までに前記排出が検出されなかった場合にその旨を報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−264286(P2010−264286A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168206(P2010−168206)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【分割の表示】特願2004−245547(P2004−245547)の分割
【原出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】