説明

弾球遊技機

【課題】発射力調節装置を操作している遊技時の状態から遊技者が手を離したとき、遊技開始前の状態に軽やかに戻り得るようにした弾球遊技機を提供する。
【解決手段】遊技球を発射させる球発射部材と、球発射部材の発射力を調節する発射力調節装置とを有する弾球遊技機において、発射力調節装置は、機前の下方から略水平に突設した操作基台と、底部16aと手載せ部16bとを有し定点を中心に首振回動可能な操作部16と、操作部16の首振回動によって球発射部材を調節する調節手段と、操作部16を初期位置に向けて付勢する操作部復動手段と、操作部16の底部16aを操作基台から浮かせて隙間を作る操作部浮揚付勢手段20とを備え、操作部16の自重と手の重量によって操作部16と操作基台とが接触し、操作部16から手を離した状態では操作部浮揚付勢手段20の作用により操作部16と操作基台の間に隙間が形成されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技板の遊技領域に遊技球を発射させて遊技を行う弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
弾球遊技機の一例をパチンコ機について説明する。
周知のようにパチンコ機は、遊技者が遊技板の遊技領域に向けて遊技球(一般に「パチンコ球」という。)を発射させ、その遊技球が遊技領域の入賞口に入った場合に景品として複数個の遊技球を機前の球皿に放出し、一方、遊技球が入賞しなかった場合にその遊技球をアウト球として機裏に排出するものである。
【0003】
パチンコ機には、遊技板の遊技領域に向けて遊技球を発射させる球発射部材と、該球発射部材の発射力の強弱を調節する発射力調節装置とが設けられている。前記球発射部材は、主として発射レール上に供給した遊技球を一個ずつ打ち出す電動打球槌で構成されており、発射力調節装置は、その電動打球槌の発射力、すなわち電動打球槌の打撃力の強弱を調節する。
【0004】
前記発射力調節装置は、図13に示したように機前の下方から遊技者側に向けてほぼ水平に突設したハンドルアーム101と、該ハンドルアーム101の先端に垂直方向に立ち上げた円形のハンドルグリップ102と、このハンドルグリップ102の周面に設けた打球発射調整操作用のダイヤル103と、を備え、前記ハンドルグリップ102の内部に設けた可変抵抗器の電気抵抗値を前記ダイヤル103によって適宜変更し、そうして電動打球槌に印加する電圧値を変更して打撃力の強弱を調節する。
【0005】
【特許文献1】特開平11−128488号公報(段落0037)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に弾球遊技機の発射力調節装置は、遊技者が手で操作している遊技時の状態から手を離したとき、遊技開始前の状態に戻るようになっている。
【0007】
本発明の目的は、遊技者が発射力調節装置を手で操作している遊技時の状態から遊技者が手を離したとき、遊技開始前の状態に軽やかに戻り得るようにした弾球遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
遊技板の遊技領域に向けて遊技球を発射させる球発射部材と、該球発射部材の発射力の強弱を調節する発射力調節装置と、を有する弾球遊技機において、
前記発射力調節装置は、
機前の下方から遊技者側に向けてほぼ水平に突設した操作基台と、
該操作基台の上面に対向する底部とその底部上にあって遊技者が手の平を載せ置くための手載せ部とを有し、定点を中心としたほぼ扇形の軌跡を描く状態で首振り回動可能な操作部と、
該操作部の首振り回動によって前記球発射部材の発射力を強弱させ得る調節手段と、
前記操作部を前記球発射部材の発射動作が停止するよう関連付けられた初期位置に向けて付勢する操作部復動手段と、
前記操作部の底部を前記操作基台の上面から浮かせて底部との間に隙間を形成することが可能な操作部浮揚付勢手段と、を備え、
遊技者が前記操作部に手を載せ置いた遊技時の状態では操作部の自重と遊技者の手の重量によって操作部の底部と操作基台の上面とが接触し、遊技者が操作部から手を離した状態では操作部浮揚付勢手段の作用により操作部の底部と操作基台の上面との間に隙間が形成され、その状態で前記操作部復動手段により操作部が前記初期位置に復動するようになっている弾球遊技機を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の弾球遊技機の発射力調節装置は、操作部が操作部浮揚付勢手段で支えられている状態では、操作部の底部と操作基台の上面との間に隙間ができるから、操作部復動手段による操作部の復動が軽やかに行える効果がある。
一方、操作部浮揚付勢手段は、操作部の手載せ部に遊技者が手を載せた場合に、その手の重量の増加分に抗しきれずに操作部が下がってその底部と操作基台の上面とを接触させるから、操作部復動手段の付勢に抗して操作部を任意の位置に停止させておくことが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を弾球遊技機の一例たるパチンコ機を例に図面を参照しつつ説明する。なお、図1はパチンコ機の斜視図、図2はパチンコ機の要部を示す部分正面図、図3は発射力調節装置と球発射部材を示すためのパチンコ機の要部水平断面図、図4は操作基台の高さの中間を横断するパチンコ機の要部水平断面図、図5は図4の状態から操作部を回動させた状態を示すパチンコ機の要部水平断面図、図6(a),(b)は操作部浮揚付勢手段を説明するためのもので操作部と操作基台の要部を示す縦断面図、図7は発射力調節装置の分解斜視図、図8は操作部の分解斜視図、図9は操作基台内部の部品を示す分解斜視図、図10は図3のA−A線断面図、図11,図12は他の形態を示すパチンコ機の要部水平断面図である。
【0011】
[パチンコ機]
パチンコ機1は、図1,図2に示したように、四角く枠組みした外枠2と、該外枠2の一側上下部に取り付けた蝶番部材3,3と、該蝶番部材3,3により前記外枠2の前面に回動可能に取り付けた前枠4と、を有する。
このパチンコ機1の前枠4の正面には、ガラスや合成樹脂の透明板を装着した窓部5と、その窓部5の下側に突設された球皿6と、が設けられている。
一方、前枠4の裏側には、前記窓部5と対向する位置に装着された遊技板(図示せず)と、遊技球を貯める球タンク7その他の遊技機用機能部品を装着したいわゆる機構板8等が取り付けられている。
また、前記遊技板の正面にはガイドレール(図示せず)で円形に囲った遊技領域が形成されており、その遊技領域が前枠4の前記窓部5を透して遊技者から見えるようになっている。
【0012】
パチンコ機1は、前記球皿6にある遊技球を遊技者が前記遊技板の遊技領域に向けて発射させ、その遊技球が遊技領域に設けられている入賞口に入った場合に景品として複数個の遊技球を機前の球皿6に放出し、一方、遊技球が入賞しなかった場合にその遊技球をアウト球として前記機構板8を介して機裏に排出するものである。そのためパチンコ機1には、遊技板の遊技領域に向けて遊技球を発射させる球発射部材9と、該球発射部材9の発射力の強弱を調節する発射力調節装置10とが設けられている。
【0013】
[球発射部材]
前記球発射部材9は、図2に示したように、遊技板の下側であって該遊技板の前面と面一の垂直面を構成するように前記前枠4の裏側に設けた発射基板11と、該発射基板11の前面に固着した発射レール12と、前記球皿6から発射レール12上に供給される遊技球を一個ずつ打ち出す電動打球槌13と、により概略構成される。
【0014】
[球発射部材…電動打球槌]
前記電動打球槌13は、図2,図3に示したように、前枠4の裏側下方に該前枠4との間に空間14を設けて固着した支持基板13aと、該支持基板13aの裏側(反・前枠4側の面)に固着したロータリーソレノイド13bと、支持基板13aを貫いて前側(前枠4側の面)に突出させた前記ロータリーソレノイド13bの出力軸13cと、支持基板13aと前枠4の間の前記空間14内で揺動可能なように前記ロータリーソレノイド13bの出力軸13cに取り付けた槌本体13dと、から概略構成される。
【0015】
この電動打球槌13は、ロータリーソレノイド13bに電力が供給されないとき、槌本体13dが自重で図2二点鎖線の倒れた位置にある。この状態でロータリーソレノイド13bにパルス状の電圧を印加すると、該ロータリーソレノイド13bのステータの突極(図示せず)が励磁され、ロータの突極若しくは磁極(図示せず)と勢いよく引き合い、その力で出力軸13cが回動し、槌本体13dが図2破線の発射位置に勢いよく変位する。また、パルス状の電圧は、すぐに無くなるためロータリソレノイド13bの前記ステータの突極が消磁し、槌本体13dが自重で図2二点鎖線の倒れた位置に戻る。
【0016】
電動打球槌13の槌本体13dの上端にはゴムなどの弾性体やコイルスプリングで形成した打撃部材13eが設けられており、槌本体13dが前記した発射位置に至ったとき該打撃部材13eが発射レール12の発射位置にある遊技球のほぼ芯を打つ。
【0017】
[発射力調節装置]
前記のように槌本体13dで打ち出された遊技球は、発射レール12から円形のガイドレールを伝って遊技板の遊技領域に飛び込むが、その位置は前記槌本体13dの発射力によって異なる。その槌本体13dの発射力の調節は、前記のように発射力調節装置10によって行うことができる。
【0018】
実施形態の発射力調節装置10は、図1,図7に示したように、機前の下方から遊技者側に向けてほぼ水平に突設した操作基台15と、該操作基台15の上面に位置し該操作基台15上に設定した定点P(具体的には後述する軸孔22の中心(図3参照))を中心としたほぼ扇形の軌跡を描く状態で首振り回動可能な操作部16と、該操作部16の前記首振り回動によって前記球発射部材9の発射力を強弱させ得る調節手段17と、前記操作部16を前記球発射部材9の発射動作が停止するよう関連付けられた初期位置に向けて付勢する操作部復動手段18と、前記操作部16を前記操作基台15の上面から浮かせて隙間19(図6(a),図10参照)を形成する操作部浮揚付勢手段20と、を備えている。
【0019】
[発射力調節装置…操作基台]
前記操作基台15は、機前の下方、具体的には図2に示したように、前枠4の正面向かって右下にあって、そこから遊技者側に向けてほぼ水平に突設されている。なお、操作基台15の前枠4を挟んだ裏側には、前記球発射部材9の槌本体13dが位置している。
【0020】
操作基台15の平面形状は、図3に示したように、水平な長方形を基本形としてそれを変形させたものであって、該長方形の遊技者に近い方を手前側として、遊技機の正面向かって右側に位置する手前側角部を遊技者側に引っ張って鋭角に変形させると共に、その鋭角の角部に弧状のアール部21を形成したものになっている。
また、操作基台15は、図7に示したように、上面部材15aと、該上面部材15aの下側の周囲を囲う側面部材15bと、該側面部材15bの下側をカバーする底面部材15cと、で構成された中空構造であり、その中空の内部が後述する部品類を組み込むための機構室15dになっている。なお、操作基台15の前記側面部材15bは、前枠4に接する一辺を除いて上面部材15aと一体の内部材15b−1と、その外側を取り巻いて装飾的にカバーする外部材15b−2と、の二重構造になっている。
【0021】
操作基台15には、上面部材15aの前記アール部21に、前記機構室15dに貫通する円形の軸孔22と、同じく機構室15dに通じる略角形の連通孔23とが穿設されている。
また、操作基台15には、上面部材15aに前記軸孔22を中心とする平面視円弧形で凸状(例えば山形状)に盛り上げた形態の軌道部24が複数本等間隔且つ波紋状態に並べられている。
【0022】
また、操作基台15には、前記軌道部24の最も外側のものに接するように前記軸孔22を中心とする弧状長孔25が穿設されている。この弧状長孔25の下面には弧状底蓋26が宛がわれており、その弧状底蓋26の遊技者に近い側の端部(以下「始端部」ともいう。)の外側に前記電動打球槌13を作動・停止させるメインスイッチ27が取り付けられている。また、弧状底蓋26の始端部には、前記メインスイッチ27のスイッチ片27aを作動させる揺動レバー28の一端が臨んでいる。
【0023】
[発射力調節装置…操作部]
前記操作部16は、あたかも大型の卵をギザギザの切り口にして上下に分割し下側の半分を取り除いたような形態であり、図8に示したように、前記操作基台15の上面に載る底部16aと、その底部16a上にあって遊技者が手掌(しゅしょう…手の平)側を下向きにして手を載せ置くための手載せ部16bと、前記電動打球槌13を一時的に停止させ得る一時発射停止手段29と、を有する。
この操作部16は、底部16aと手載せ部16bを別々に樹脂成形してビス16c(図10参照)により接合したものであり、その内部に前記一時発射停止手段29が組み込まれ、さらに前記した操作部浮揚付勢手段20も組み込まれている。
【0024】
[発射力調節装置…操作部…底部]
操作部16の前記底部16aは、前記手載せ部16bに対して印籠嵌合可能な上向きの嵌合口部16dと、長手方向の一端に延設した軸基板16eと、長手方向の他端に下向きに突設したL型屈曲片16fと、前記操作基台15の軌道部24に整合する逆さ凹状の摺動部16gと、を有する。前記軸基板16eには下向きに回動軸16hが突設されており、該回動軸16hが操作基台15の前記軸孔22に回動可能な状態に嵌合する。一方、操作部16の底部16aの前記摺動部16gは、前記回動軸16hを中心とする平面視円弧形で複数本等間隔且つ波紋状態に並べられており、従って、該摺動部16gは操作基台15の軌道部24と同じく、操作基台15の上面部材15aの前記軸孔22を中心とする平面視円弧形である。
【0025】
[発射力調節装置…操作部…手載せ部]
操作部16の前記手載せ部16bは、遊技者が手掌側を下向きにして手を載せ置くものであって、指先を若干開いた状態の成人男性の片手でほぼ覆える程度の大きさである。
【0026】
[発射力調節装置…操作部…一時発射停止手段]
前記操作部16の内部には、電動打球槌13を一時停止させ得る一時発射停止手段29が取り付けられている。この一時発射停止手段29は、手載せ部16bの内側にスイッチ取付部材29aを介して取り付けられたサブスイッチ29bと、手載せ部16bの外側上面に片持ち梁状に固定することによって自由端側に弾性を付与した作動片29cと、から概略構成される。そして、作動片29cの自由端側には上面にボタン凸部29dが設けられ、下面にスイッチ押え29eが突設され、図10の拡大図に示したように、前記スイッチ押え29eが手載せ部16bの通し孔16iを通って前記サブスイッチ29bのスイッチボタン29fの上面に臨んでいる。サブスイッチ29bは、例えば公知のマイクロスイッチであり、そのスイッチボタン29fが、内部のバネ(図示せず)の弾性により外部に突出する方向に常時付勢されていてその状態で内部の接点が閉じている。従って、このスイッチボタン29fが外部に突出しているとき電動打球槌13は、他の条件の成立を条件に作動し、スイッチボタン29fが下がればたとえ作動中でも停止する。
【0027】
一時発射停止手段29は以上のような構成であり、作動片29cのボタン凸部29dに力を加えない状態では作動片29cの弾性によりスイッチ押え29eがサブスイッチ29bのスイッチボタン29f上に位置しており、この状態で電動打球槌13は作動可能である。従って、この状態で前記したメインスイッチ27がONになる等、他の所定条件が整えば電動打球槌13は作動する。
一方、電動打球槌13が作動しているときに作動片29cのボタン凸部29dを指で押さえると、スイッチ押え29eが下がってサブスイッチ29bのスイッチボタン29fが押し込まれ、そうするとたとえ作動中であっても電動打球槌13は停止し、遊技球の発射が止まる。そして任意のタイミングでボタン凸部29dから指を離すと、作動片29cが自己の弾性により復動し、スイッチ押え29eが上昇してサブスイッチ29bのスイッチボタン29fも上昇し、これによって電動打球槌13が作動を再開する。
このように作動片29cのボタン凸部29dを遊技者自身が押圧・解放操作することにより、遊技球の発射を任意のタイミングで任意の時間一時的に停止させることができる。
【0028】
なお、図8,図10において16jは前記作動片29cの上面を覆うように手載せ部16bに装着したカバー部材、16kは該カバー部材16jに設けた貫通長孔であり、該貫通長孔16kから作動片29cのボタン凸部29dがカバー部材16jの外に出る。このカバー部材16jは導電構造のタッチスイッチになっており、該カバー部材16jに遊技者の手が触れていることを検知し、手が触れている場合にのみ前記電動打球槌13の作動を可能とする。
【0029】
また、図8,図10において16mは手載せ部16bの反サブスイッチ29b側の端部から下向きに突設した水平断面コ字状の配線支柱であり、該配線支柱16mを操作基台15の前記連通孔23に差し込んでその先端を前記機構室15dに臨ませると共に、その配線支柱16mの中を通って前記サブスイッチ29bの配線(図示せず)やカバー部材16jのタッチスイッチの配線(図示せず)が機構室15dに引き込まれる。
【0030】
[発射力調節装置…操作部+操作基台]
前記操作部16は、底部16aの一端の軸基板16eに突設した前記回動軸16hを前記操作基台15の軸孔22に挿通し、一方、底部16aの他端に突設したL型屈曲片16fを操作基台15の弧状長孔25に通した状態で操作基台15の上面に設置されている。操作部16は、前記のように指先を若干開いた状態の成人男性の片手でほぼ覆える程度の大きさであり、従って操作姿勢で前記操作基台15の上面にも操作する手の一部が載る。
操作部16は、図3に示したように、首振り回動の中心たる前記回動軸16h(=軸孔22)が遊技者寄りの位置に配置されると共に扇形の軌跡の円弧側が反遊技者側(前枠4の前面側)に向かう向きになっている。
【0031】
操作基台15の上面に操作部16を設置した状態で、操作基台15の軌道部24の出っ張りと操作部16の摺動部16gの凹みが緩やかな嵌め合い状態で合わさっている。操作基台15の軌道部24と操作部16の摺動部16gは中心(回動軸16hと軸孔22)を同じくする平面視円弧形であるから、操作部16は、操作基台15の軌道部24と摺動部16gとが合わさったまま回動軸16h(=軸孔22)の中心を定点Pとしてその定点Pを中心に首振り回動可能である。
【0032】
一方、操作部16の底部16aの一端に下向き突設したL型屈曲片16fは、前記軌道部24や摺動部16gと中心(回動軸16h、軸孔22)を同じくする平面視円弧形の弧状長孔25の中を移動するため、操作部16の首振り回動を妨げない。さらにL型屈曲片16fは、図10の拡大図に示したように操作基台15の弧状長孔25の開口縁に内側から引っ掛かるように位置設定されており、このL型屈曲片16fの引っ掛かりにより操作部16の一端が浮き上がらないようになっている。なお、操作基台15の弧状長孔25の開口縁の下面沿いには下向きのリブ25aが突設されており、操作部16のL型屈曲片16fとの接触部をほぼ線状にして摩擦を低減し、もって操作部16の軽やかな動きが妨げられないようにしてある。
【0033】
また、L型屈曲片16fは、操作部16が最も遊技者側に近寄った図3実線の位置にあるとき、前記メインスイッチ27の揺動レバー28に作用して該メインスイッチ27をOFFにする。こうしてメインスイッチ27がOFFになると電動打球槌13は作動せず、球発射部材9の発射動作は停止する。
従って本実施形態において、操作基台15上での最も遊技者側に近寄った図3実線の操作部16の位置が、球発射部材9の発射動作が停止するよう関連付けられた初期位置である。
【0034】
[発射力調節装置…調節手段]
前記球発射部材9の発射力を強弱させる調節手段17は、球発射部材9の前記ロータリーソレノイド13bに印加するパルス状の電圧値を変更可能な可変抵抗器であり、図9に示したように、略円柱形を呈する抵抗器本体17aと、その抵抗器本体17aの中心から突出する調節軸17bと、を有する。そして、前記操作基台15の上面部材15aの裏側(下面)に、該上面部材15aにビス着されている支持部材30を介して前記調節軸17bを上向きにした状態で取り付けられている。なお、調節手段17の抵抗器本体17aは、支持部材30の下側に出っ張った状態になっているため、操作基台15の底面部材15cに長円形のカップ部15eを設けてその中に抵抗器本体17aが収まるようになっている。
【0035】
[発射力調節装置…調節手段+操作部]
前記調節手段17と前記操作部16は、図4,図5,図9,図10に示したように、略扇形の原動内歯車31と、略扇形の従動平歯車32との組み合わせである歯車伝動機構により連結されている。
【0036】
前記原動内歯車31は、前記操作基台15の上面部材15aの裏側に沿う位置にあって前記操作部16の回動軸16hの下端にビスにより固着されており、従って操作部16と一体に首振り回動可能である。この原動内歯車31は、円周部分の周壁31aの内側に内歯車を構成する歯31b,31b…を有すると共に周壁31aの外側にフランジ片31cを有し、該フランジ片31cが、操作基台15の上面部材15aに軸着されている回転ローラ33の溝33aの間を通るようになっている。従って原動内歯車31の重量バランスが扇形であるが故に周壁31a側に偏っていても、回転ローラ33の支えにより周壁31a側が下がったりふらついたりするおそれがない。よって原動内歯車31の首振り回動が安定する。
【0037】
一方、従動平歯車32は、前記原動内歯車31の下に位置し、扇の中心相当部位に突設した下向きの軸筒部32aを前記調節手段17の調節軸17bの上端に被せた状態で固着されており、調節軸17bと一体に回動する。該従動平歯車32の外周には平歯車を構成する歯32b,32b…が形成されており、その歯32b,32b…と前記原動内歯車31の歯31b,31b…が図4,図5に示したように噛み合っている。従って原動内歯車31が操作部16と一体に図4から図5のように首振り回動すると、その回動が原動内歯車31から従動平歯車32に伝わって調節軸17bが回るため、調節手段17の電気抵抗が変わる。
【0038】
[発射力調節装置…操作部復動手段]
前記操作部復動手段18は、前記操作部16を前記初期位置、すなわち前記球発射部材9の発射動作が停止するよう関連付けられた位置に向けて付勢するものであり、前記従動平歯車32の軸筒部32aの外周に装着した捩りコイルバネ18aで構成されている。該捩りコイルバネ18aは、両端のバネ軸18b,18cを従動平歯車32の底面と前記支持部材30に夫々係止させることにより、従動平歯車32を図4,図5において反時計回りに付勢するようになっている。この捩りコイルバネ18aの付勢力が、従動平歯車32から原動内歯車31に伝わって操作部16を初期位置に向かわせる回転力となる。従って操作部16が遊技者によって初期位置から離れた位置に動かされても、遊技者が操作部16から手を離せば、操作部復動手段18の捩りコイルバネ18aの付勢により初期位置に自動的に復動する。
【0039】
なお、実施形態の操作部復動手段18は、上記のように捩りコイルバネ18aで構成したため、操作部16から遊技者の手が離れた瞬間に勢いよく戻りすぎるおそれがある。そこで実施形態では、操作部16の初期位置への復動が緩やかに行われるように緩衝手段18dが設けてある。この緩衝手段18dは、例えばオイルの粘性抵抗で制動力を発生させるようにした回転系のダンパーであり、ダンパー本体18eを図10に示したように前記支持部材30の上面側に固着すると共に、ダンパー本体18eの上部に突出させたピニオンギヤ18fと前記従動平歯車32の下面に形成した内歯車32cとを噛合させ、もって操作部復動手段18の捩りコイルバネ18aによって従動平歯車32が初期位置に向かって復動するとき、オイルの粘性抵抗による制動力をピニオンギヤ18fに作用させ、そうして操作部16をゆっくりと復動させる。
【0040】
[発射力調節装置…操作部浮揚付勢手段]
前記操作部浮揚付勢手段20は、操作部16の手載せ部16bに遊技者の手が載っていないときに、図6(a)に示したように、操作部16の底部16aを操作基台15の上面から浮かせて隙間19を形成するためのものである。
この操作部浮揚付勢手段20は、図8に示したように、中央下面に二本の固定ピン20a,20aを突設した固定主板20bと、その固定主板20bの両横に延設した弾性翼片20c,20cと、該弾性翼片20cの端部下面に突設した脚片20d,20dと、を備え、前記固定ピン20a,20aを操作部16の底部16aに形成した受筒部16n,16nに嵌合させて固定主板20bを固定すると共に、弾性翼片20c,20cの脚片20d,20dを操作部16の底部16aに開設した脚通孔16p,16pから操作基台15の上面(一対の軌道部24,24同士の間)に突出させ、そうして操作部16の底部16aを操作基台15の上面から浮かせるようにしたものである。このとき操作部16は、操作部浮揚付勢手段20の弾性翼片20c,20cの弾性によって支えられているのであり、従って操作部浮揚付勢手段20は、少なくとも操作部16の重量を支えるに十分な強さを有する。
【0041】
このように操作部16が、操作部浮揚付勢手段20の脚片20d,20dで支えられている状態では、操作部浮揚付勢手段20を潤滑性に優れた樹脂(例えばフッ素樹脂)で形成しておけば操作基台15との摩擦抵抗を小さくすることができるから、前記操作部復動手段18による操作部16の復動が軽やかに行える効果がある。
また、そのような潤滑性に優れた樹脂で操作部浮揚付勢手段20を形成しない場合でも、操作部16の底部16aと操作基台15の面同士の全面接触を回避することにより、操作部16の底部16aや操作基台15の汚れに起因する摩擦抵抗の増大の影響を受けにくくすることができるから、どちらにしても操作部復動手段18による操作部16の復動が軽やかに行える効果がある。
【0042】
なお、上記のように操作部復動手段18による操作部16の復動が軽やかに行えるということは、操作部復動手段18の捩りコイルバネ18aのばね定数を小さくすることができる、ということを意味するものであり、そうした場合には操作部16の捩りコイルバネ18aの付勢に抗する方向(図3において実線位置から二点鎖線位置に回動させる方向)の操作が小さい力で行える効果、ひいては遊技者の疲労度を軽減させ得る効果にもつながる。
【0043】
一方、操作部浮揚付勢手段20は、操作部16の手載せ部16bに遊技者が手を載せた場合に、その手の重量の増加分に抗しきれない強さ、つまり前記弾性翼片20c,20cが撓むように設定されている。従って操作部16の手載せ部16bに遊技者が手を載せると、前記のように操作部16を支えていた操作部浮揚付勢手段20の前記弾性翼片20c,20cが撓んで図6(b)のように固定主板20bとともに操作部16が下がり、操作部16の底部16aと操作基台15の上面とが接触する。そうすると操作部16の底部16aと操作基台15の上面とが全面で接触するため、前記操作部復動手段18の付勢に抗して操作部16を任意の位置に停止させておくことが容易になる。
【0044】
[その他]
図9,図10において、34は操作基台15の前記アール部21に設けた振動ユニットである。該振動ユニット34は、操作基台15の内部に固定した基台34aと、その基台34aに上向きに取り付けた左右1対の支持スプリング34b,34bと、その支持スプリング34b,34bによって上下動可能に支持される振動部材34cと、該振動部材34cの上面に取り付けられ、操作基台15の内側からアール部21の上面に向けて突出するように形成した受け部34dとからなる。
【0045】
前記受け部34dは、図3のように操作基台15のアール部21に沿う平面視円弧状であって、操作部16の軸基板16eの周りに突出していて、遊技者が操作部16を操作する際に手の平の手首に近い部位が載るようになっている。
従って前記振動部材34cを作動させることにより、振動ユニット34の振動が受け部34dを介して遊技者の手に伝わるから、例えば遊技の内容に合わせて振動部材34cを適宜なタイミングで作動させれば、遊技の興趣を増大させることができ、或は振動により遊技者の手の疲れをほぐす用途に使用することもできる。なお、振動ユニット34をマッサージ機的な用途に使用する場合は、遊技者が自由に操作可能なように遊技者向けの振動スイッチを設けるとよい。
【0046】
[パチンコ機の使用方法]
次に、本発明のパチンコ機の使用方法について、発射力調節装置10を中心に説明する。
遊技開始前のパチンコ機は、図1の状態であり、発射力調節装置10の操作部16が、図3のように操作部復動手段18の付勢により遊技者側に最も近寄った初期位置にある。操作部16が初期位置にある状態では、図3,図4のように操作部16のL型屈曲片16fと揺動レバー28の作用により操作基台15の内部に設けた前記メインスイッチ27がOFFになっていて、前記球発射部材9が停止している。そしてこのとき操作部16は、図6(a)、図10のように操作部浮揚付勢手段20の弾性翼片20c,20cの弾性により、操作基台15の上面との間に隙間19を保った状態で支えられている。
【0047】
そこでこのパチンコ機で遊技を行う場合は、まず、前枠4の球皿6に遊技球を投入し、操作基台15のアール部21にある前記受け部34dに右手の手の平の手首近くの部位を載せ、手の平と指を操作部16の手載せ部16bに載せる。このとき遊技者の例えば小指を含む右手の縁全体を操作基台15の上面に載せるか、その逆に親指側を操作基台15の上面に載せるか、或は親指と小指を操作基台15の上面に載せ、手載せ部16bには手の平と操作基台15に載せた指以外の指を載せる。
【0048】
なお、操作部16に手を載せた段階で、その手の重みにより前記操作部浮揚付勢手段20の弾性翼片20c,20cが図6(b)のように撓むため、操作部16が下がって底部16aと操作基台15の上面が接触する。また、操作部16に載せた手がカバー部材16jに触れるため、カバー部材16jのタッチスイッチがONになる。
【0049】
次に、操作する右手を、主として手首を中心に図3において時計回りに動かして操作部16に力を加えると、操作部16が定点Pたる回動軸16hを中心に回動する。操作部16のこの回動により図5のようにL型屈曲片16fが揺動レバー28から離れるため、メインスイッチ27のスイッチ片27aが押圧から解放され、メインスイッチ27がONになる。これにより球発射部材9の電動打球槌13が打球動作を開始する。
【0050】
なお、通常、球皿6に投入された遊技球は、球発射部材9の電動打球槌13と連動する球供給装置(図示せず)によって発射レール12の発射部の手前で止められており、電動打球槌13が打球動作を開始すると、その動きに連動して1個ずつ発射レール12の発射部に供給される。
【0051】
一方、操作部16の回動は、回動軸16hから原動内歯車31と従動平歯車32を経て調節手段17の調節軸17bに歯車伝動機構のギヤ比に従い伝わるから、操作部16の回動量に応じて調節軸17bが回転し、可変抵抗器の電気抵抗が変化する。これにより電動打球槌13のロータリーソレノイド13bに加わる電圧が変化し、槌本体13dの打撃力が変化する。従って遊技者は、打撃力が狙った強さになったとき、その位置で操作部16を止めればよい。
【0052】
次に、遊技球を発射している状態で、遊技球の発射を一時的に停止させたい場合は、操作部16の手載せ部16bに突出しているボタン凸部29dを例えば右手人差し指で押す。そうすると操作部16の中にあるサブスイッチ29bがOFFとなり、その間、電動打球槌13が停止する。そして、適宜なタイミングでボタン凸部29dから指を離すと、前記サブスイッチ29bがONとなり、電動打球槌13の作動が再開する。その間、操作部16を動かさなかった場合には、停止前と同じ打撃力で再開できる。
【0053】
次に、遊技中に遊技者が操作部16から完全に手を離すと、まず操作部16のカバー部材16jのタッチスイッチがOFFになるからその時点で電動打球槌13が停止し、それと同時に操作部16の底部16aから操作部浮揚付勢手段20の脚片20dが突出して操作部16の底部16aが操作基台15の上面から離れる。そして、操作部復動手段18の捩りコイルバネ18aの付勢と緩衝手段18dの働きにより操作部16が初期位置に緩やかに復動し、操作部16のL型屈曲片16fが揺動レバー28に当たってメインスイッチ27がOFFとなる。
【0054】
ところで、従来より、例えば図13の従来例のハンドルグリップ102と、打球発射調整操作用のダイヤル103との間に硬貨又はそれに類する異物を挟み込んで該ダイヤル103を固定し、そうして打撃力の調節を楽にしようとする遊技者がいる。そのような遊技者の身勝手な行為は、ハンドルグリップ102とダイヤル103の間の、言わば固定部と回動部の間に無理矢理硬貨等を差し込んで発射力調節装置10の一部を損壊させる不当なものであり、被害者たる遊技場側から有効な対策が望まれていた。
【0055】
これに対し実施形態の発射力調節装置10は、前記のように操作基台15の軌道部24と操作部16の底部16aの摺動部16gとを整合させて両者の接触面を非直線状にすることにより、円板状の硬貨等が差し込めないようにしたものである。よって遊技者が操作部16と操作基台15の間に硬貨等を差し込もうとする不当な行為を未然に防止することができる。
【0056】
なお、実施形態のように操作基台15の軌道部24を凸状に盛り上げた山形態とし、操作部16の摺動部16gを凹状に掘り下げた溝形態とする組み合わせは、逆に軌道部24を凹状に掘り下げた溝形態とし、摺動部16gを凸状に盛り上げた溝形態とする組み合わせと実質同義である。また、軌道部24と摺動部16gの本数は、実施形態のような複数の他、単数でもよい。軌道部24と摺動部16gを単数にする場合、実施形態の最小径の軌道部24から最大径の軌道部24に渡る幅か又はこれより若干小さい幅の湾曲形にするのがよい。このような単数の軌道部24と摺動部16gの組み合わせであっても接触面が湾曲していれば円板状の硬貨等は差し込めない。
【0057】
以上、本発明を実施の形態について説明したが、もちろん本発明は上記実施形
態に限定されるものではない。例えば実施形態では、弾球遊技機の一例として遊技球を球皿6に投入して遊技を行うパチンコ機を例示したが、遊技球を機内で循環させるいわゆる封入式のパチンコ機や、雀球式の弾球遊技機などでも同様に適用できる。
【0058】
また、実施形態では、操作部16の手載せ部16bのカバー部材16jにタッチスイッチを設けたが、例えば図8の二点鎖線に示したように操作部16の手載せ部16bの両側面にタッチスイッチ35を設けても良い。
【0059】
また、実施形態では、操作部16の首振り回動の中心となる定点Pを操作基台15上に設定したが、該定点Pを操作基台15の外に設定してもよい。図11はその実施形態を示したものであり、操作基台15の内部に前記定点Pを中心とする大径と小径の弧状レール36,36を二本設置すると共に操作部16に前記弧状レール36,36に接して転がり得るローラ37,37…を設けてある。この場合、操作部16は、二本の弧状レール36,36に沿って動くため、弧状レール36,36の円弧の中心たる定点Pを中心とする首振り回動になる。
【0060】
斯かる実施形態は、操作基台15を大きくしなくとも、操作部16の首振り回動の中心となる定点Pを遊技者の手首近くに設定することができ、その結果、操作部16の動きと、操作する手の動きとを近似させることができるから、無理のない楽な姿勢で遊技が行える本発明の効果をさらに高めることができる。
【0061】
また、実施形態では、球発射部材9の槌本体13dを動かす駆動源としてロータリーソレノイド13bを採用し、一方、発射力調整装置10の調節手段17として前記ロータリーソレノイド13bの出力を加減する可変抵抗器を採用したが、例えば図12に示したように、球発射部材9の槌本体13dを動かす駆動源として電動モータ13fと牽引用バネ(図示せず)を採用し、一方、発射力調節装置10の調節手段17として槌本体13d牽引用の前記バネの張力を加減する公知の方式を採用することもできる。
【0062】
すなわち、図12において、17cは操作部16の前記回動軸16hに固定した原動傘歯車、17dはその原動傘歯車17cに噛合する従動傘歯車、17eは該従動傘歯車17dと一体に回転するハンドル軸、17fは該ハンドル軸17eの端部に固定したプーリ、17gはそのプーリ17fに巻き付くワイヤー、37は槌本体13dを打ち出し方向に付勢するバネユニット、13gは前記電動モータ13fの出力軸に固着され槌本体13dに係合して該槌本体13dを反・打ち出し方向に傾動させるカム板である。
【0063】
この場合の電動打球槌13は、前記電動モータ13fが作動してカム板13gが一定方向に回転し、そのカム板13gの回転で槌本体13dがバネユニット37の付勢に抗して反打ち出し方向(図2の破線から二点鎖線の方向)に傾動し、カム板13gが槌本体13dから外れた瞬間にバネユニット37の付勢で槌本体13dが勢いよく復動して発射レール12の発射部にある遊技球を打ち出す、というものである。
【0064】
一方、図12に示した実施形態の調節手段17は、定点Pたる回動軸16hを中心として操作部16を図12二点鎖線の方向に回動させると、原動傘歯車17cと従動傘歯車17dとハンドル軸17eを介してプーリ17fが回転し、そのプーリ17fに巻き付けたワイヤー17gの引張りでバネユニット37に内蔵したバネの張力が強まって槌本体13dの発射力を強くすることができる。なお、図12の実施形態において、操作部16を初期位置に復動させる操作部復動手段18は、前記バネユニット37、ワイヤー17g、プーリ17f、ハンドル軸17e、従動傘歯車17d、原動傘歯車17cで構成される。
【0065】
以上、図12の実施形態は、操作部16と電動打球槌13を機械式に連結した一例であり、図示した組み合わせ以外の歯車伝動機構はもちろん、ベルトやチェーンなどの巻掛け伝動機構を採用してもよい。
【0066】
ところで、ここまでの説明には次のような技術的思想も含まれる。
【0067】
[技術的思想A]
遊技板の遊技領域に向けて遊技球を発射させる球発射部材と、該球発射部材の発射力の強弱を調節する発射力調節装置と、を有する弾球遊技機において、
前記発射力調節装置は、
機前の下方から遊技者側に向けてほぼ水平に突設した操作基台と、
該操作基台の上面に位置し、定点を中心としたほぼ扇形の軌跡を描く状態で首振り回動可能な操作部と、
該操作部の前記首振り回動によって前記球発射部材の発射力を強弱させ得る調節手段と、を備え、
前記操作部は、
前記操作基台の上面に対向する底部と、その底部上にあって遊技者が手を載せ置くための手載せ部とを有し、首振り回動の中心たる前記定点を遊技者側に配置すると共に扇形の軌跡の円弧側が反遊技者側に向かうように向きを設定し、さらに遊技者が前記手載せ部に片手を載せた操作姿勢で前記操作基台の上面にもその手の一部が載り得る大きさであることを特徴とする弾球遊技機。
【0068】
[技術的思想Aが解決しようとする課題]
上記特許文献1の発射力調節装置は、ハンドルグリップ102の上に手の平を載せ、その周面に指を沿わせると共に親指を前記ダイヤル103に掛け、その姿勢のまま手の平を回転させつつ親指を動かして打撃力の強弱を調節する。打球発射調整操作用のダイヤル103はハンドルグリップ102の中心軸を中心として回転するが、操作する手は手首や指の関節を中心に動くにすぎず、従ってダイヤル103の操作は、あたかも水道の止水ハンドルを捻るがごときで、若干不自然な姿勢にならざるをえない。もちろんそのような不自然さは前記ダイヤル103の操作を困難にするほどのものではないが、その姿勢を長時間継続すると疲れやすい。
【0069】
技術的思想Aは上記に鑑みなされたもので、その目的は、長時間の遊技にも疲れにくい発射力調節装置を備えた弾球遊技機を提供することにある。
【0070】
[技術的思想Aの効果]
上記弾球遊技機の発射力調節装置は、首振り回動の中心たる定点を遊技者側に配置すると共に扇形の軌跡の円弧側が反遊技者側に向かうように向きを設定して操作部を操作基台の上に設置したから、遊技者が操作基台の定点近くに手首を載せて手を動かす動きと、操作部の動きがほぼ一致するため、操作部を操作する姿勢が自然で疲れにくい。
また、遊技者が前記操作部の手載せ部に片手を載せた操作姿勢で前記操作基台の上面にもその手の一部を載せることができるため、操作部を任意の位置に固定するのに操作基台を支えにすることができるから、長時間同じ姿勢を続けても疲れにくい。
よって、技術的思想Aの弾球遊技機の発射力調節装置は、操作部を任意の位置に片手で固定しつつ行う長時間の遊技にも疲れにくい。
【0071】
[技術的思想B]
遊技板の遊技領域に向けて遊技球を発射させる球発射部材と、該球発射部材の発射力の強弱を調節する発射力調節装置と、を有する弾球遊技機において、
前記発射力調節装置は、機前の下方から遊技者側に向けてほぼ水平に突設した操作基台と、該操作基台の上面に位置し、定点を中心としたほぼ扇形の軌跡を描く状態で首振り回動可能な操作部と、該操作部の前記首振り回動によって前記球発射部材の発射力を強弱させ得る調節手段と、を備え、
前記操作基台は、その上面に前記定点を中心とする平面視円弧形で凸状に盛り上げるか又は凹状に掘り下げた形態の単数又は複数の軌道部を有し、
前記操作部は、前記操作基台の上面に対向する底部と、その底部上にあって遊技者が手の平を載せ置くための手載せ部とを有し、さらに前記底部に前記操作基台の軌道部に合わさって摺動可能な凹状又は凸状の摺動部を有し、
前記操作基台の軌道部と操作部の摺動部とが合わさった状態で該操作部が前記定点を中心に首振り回動し得るものであることを特徴とする弾球遊技機。
【0072】
[技術的思想Bの目的]
上記技術的思想Bの目的は、発射力調節装置に対する硬貨等を用いた遊技者の不当な行為を未然に防止可能な弾球遊技機を提供することにある。
【0073】
[技術的思想C]
遊技板の遊技領域に向けて遊技球を発射させる球発射部材と、該球発射部材の発射力の強弱を調節する発射力調節装置と、を有する弾球遊技機において、
前記発射力調節装置は、
機前の下方から遊技者側に向けてほぼ水平に突設した操作基台と、
該操作基台の上面に対向する底部とその底部上にあって遊技者が手の平を載せ置くための手載せ部とを有し、定点を中心としたほぼ扇形の軌跡を描く状態で首振り回動可能な操作部と、
該操作部の首振り回動によって前記球発射部材の発射力を強弱させ得る調節手段と、
前記操作部を前記球発射部材の発射動作が停止するよう関連付けられた初期位置に向けて付勢する操作部復動手段と、
前記操作部の底部を前記操作基台の上面から浮かせて底部との間に隙間を形成することが可能な下限の強さと、前記手載せ部に載せた遊技者の手の重量の増加分に抗しきれない上限の強さの付勢力を備えた操作部浮揚付勢手段と、を備え、
遊技者が前記操作部に手を載せ置いた遊技時の状態では操作部の自重と遊技者の手の重量によって操作部の底部と操作基台の上面とが接触し、遊技者が操作部から手を離した状態では操作部浮揚付勢手段の作用により操作部の底部と操作基台の上面との間に隙間が形成され、その状態で前記操作部復動手段により操作部が前記初期位置に復動するようになっていることを特徴とする弾球遊技機。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】パチンコ機の斜視図である。
【図2】パチンコ機の要部を示す部分正面図である。
【図3】発射力調節装置と球発射部材を示すためのパチンコ機の要部水平断面図である。
【図4】操作基台の高さの中間を通る部位で切断したパチンコ機の要部水平断面図である。
【図5】図4の状態から操作部を回動させた状態を示すパチンコ機の要部水平断面図である。
【図6】(a),(b)は操作部浮揚付勢手段を説明するためのもので操作部と操作基台の要部を示す縦断面図である。
【図7】発射力調節装置の分解斜視図である。
【図8】操作部の分解斜視図である。
【図9】操作基台内部の部品を示す分解斜視図である。
【図10】図3のA−A線断面図である。
【図11】他の形態を示すパチンコ機の要部水平断面図である。
【図12】他の形態を示すパチンコ機の要部水平断面図である。
【図13】従来技術を示すパチンコ機の要部斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
P …定点
1 …パチンコ機(弾球遊技機)
9 …球発射部材
10 …発射力調節装置
15 …操作基台
16 …操作部
16a …底部
16b …手載せ部
17 …調節手段
18 …操作部復動手段
19 …隙間
20 …操作部浮揚付勢手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技板の遊技領域に向けて遊技球を発射させる球発射部材と、該球発射部材の発射力の強弱を調節する発射力調節装置と、を有する弾球遊技機において、
前記発射力調節装置は、
機前の下方から遊技者側に向けてほぼ水平に突設した操作基台と、
該操作基台の上面に対向する底部とその底部上にあって遊技者が手の平を載せ置くための手載せ部とを有し、定点を中心としたほぼ扇形の軌跡を描く状態で首振り回動可能な操作部と、
該操作部の首振り回動によって前記球発射部材の発射力を強弱させ得る調節手段と、
前記操作部を前記球発射部材の発射動作が停止するよう関連付けられた初期位置に向けて付勢する操作部復動手段と、
前記操作部の底部を前記操作基台の上面から浮かせて底部との間に隙間を形成することが可能な操作部浮揚付勢手段と、を備え、
遊技者が前記操作部に手を載せ置いた遊技時の状態では操作部の自重と遊技者の手の重量によって操作部の底部と操作基台の上面とが接触し、遊技者が操作部から手を離した状態では操作部浮揚付勢手段の作用により操作部の底部と操作基台の上面との間に隙間が形成され、その状態で前記操作部復動手段により操作部が前記初期位置に復動するようになっていることを特徴とする弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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