弾球遊技機
【課題】不正な遊技者による不正行為を精度よく検出して不正行為の抑止を図る。
【解決手段】ぱちんこ遊技機10において、遊技球の入球が賞球払出の契機となる一般入賞口72への入球率を、通常遊技中と特別遊技中のそれぞれにおいて入球率算出手段126が算出する。エラー判定手段128は、通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率との比率が可変値である判定値を超え、可変である猶予期間を経過したときにエラーを報知する。
【解決手段】ぱちんこ遊技機10において、遊技球の入球が賞球払出の契機となる一般入賞口72への入球率を、通常遊技中と特別遊技中のそれぞれにおいて入球率算出手段126が算出する。エラー判定手段128は、通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率との比率が可変値である判定値を超え、可変である猶予期間を経過したときにエラーを報知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ぱちんこ遊技機等の弾球遊技機に関し、特に不正な遊技者による不正行為を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の弾球遊技機のうち、いわゆる第1種ぱちんこ遊技機と呼ばれていた遊技機は、遊技盤の略中央に設けられた液晶ディスプレイなどの表示領域に複数の図柄を変動させながら表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。この遊技機は、複数列の図柄変動を停止させたときの図柄の組合せが特定の態様となった場合に、通常遊技より多くの賞球が得られる、いわゆる大当りと呼ばれる特別遊技へと移行するものとして知られている(例えば、特許文献1参照)。表示領域における図柄の変動表示は、単に複数の図柄が変動表示されるだけでなく、いわゆるリーチ画面と呼ばれる状態のように、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態で変動表示の時間を通常よりも長くする等、遊技者の期待感を高めるための演出が図られている。また、キャラクタ画像や背景画像等を用いて図柄の変動表示にストーリーを持たせる演出を施したり、特別遊技への移行効率を高める確率変動および変動時間短縮、始動入賞口への入球容易性を高める入球容易状態へ移行したりする制御によっても遊技者の期待感を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−230714号公報
【特許文献2】特開平8−000812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、様々な不正手段を用いて遊技機から不当に賞球を得ようとする、いわゆるゴト師と呼ばれる不正な遊技者が知られている。新たな手法が明るみに出るたびに遊技機メーカーは対策を講じるものの、新たな手法とその被害は絶えることなく発覚している。近年、知られるようになった手法に、遊技球に釣り糸等の目立たない糸状部材を取り付けて入賞口へ入球させ、その糸状部材の引っ張りと弛緩を繰り返すことで何度も入賞口の入球センサに反応させる不正行為がある。賞球の払出数を正確に計数する技術は知られているものの(例えば、特許文献2参照)、不正行為に起因する賞球が正当な賞球に紛れるように不正な遊技者が不正行為のタイミングを調整してしまえば、遊技機やホールコンピュータはこれらを区別して計数することができず、不正行為の横行を防ぎきれなかった。
【0005】
また、不正な遊技者の中には、遊技店で遊技する以前に、遊技機本体を何らかの方法で入手し、監視の目が行き届かない環境で存分に遊技機の動作を解析し、その解析結果を遊技店で悪用する者まで存在する。そのため、遊技店外で解析した結果をそのまま遊技店で利用できなくするための対策を講じる必要まで生じている。
【0006】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、不正な遊技者による不正行為を精度よく検出して不正行為の抑止を図ることにある。また、別の目的は、不正な遊技者による不正行為の検出基準を推測困難にして不正行為の抑止を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の弾球遊技機は、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球の入球が賞球払い出しの契機となる入賞口と、入賞口への入球を判定する入球判定手段と、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行する当否抽選手段と、遊技領域において入賞口と異なる所定位置に設けられ、特別遊技において開放されて遊技球が入球可能となる大入賞口と、当否抽選の結果が大当りであった場合に大入賞口を開閉動作させることにより特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、所定期間における入賞口への入球率を算出する入球率算出手段と、通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率との比率が所定の判定値を超えたときにエラーと判定し、その判定から猶予期間が経過した後にエラーを報知するとともに、猶予期間として可変の時間値を設定するエラー判定手段と、を備える。
【0008】
ここで「入球率」として、単位時間あたりの入球数そのものの値を用いてもよいし、単位時間あたりの発射数に対する入球数の割合を用いてもよい。また、「入球率」を算出するために、入賞口への入球数を実際に計数して入球率の算出に用いてもよいし、入賞口への入球を契機とした賞球払出数を計数して入球数を推定し、その推定値を入球率の算出に用いてもよい。「入賞口」は、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口であってもよいし、始動入賞口および大入賞口と異なる所定位置に設けられて遊技球の入球が賞球払い出しの契機となる一般入賞口であってもよい。始動入賞口の場合、常開型の入球口、すなわち開閉式などの常閉型ではない入球口や、閉鎖時でも一部が開口状態のまま入球可能となる拡開式の入球口であってもよい。「所定期間」としては、算出する入球率の統計誤差を縮小するために入球数を計数する時間の下限値が定められていてもよい。「所定の判定値」としては、例えば通常の遊技手順で起こり得る範囲を超えることとなる値が実験値や設計値をもとに設定されてもよく、例えば明らかに通常の遊技手順で起こり得ない値として3倍といった値が設定されてもよい。「エラーを報知」は、所定の表示装置への表示や音声出力、ランプ点灯を用いてエラーを報知してもよいし、遊技店側の端末へエラーを出力することにより報知してもよいし、遊技球の発射を強制停止することにより報知してもよい。
【0009】
この態様によれば、本来は遊技状態を問わず入球率がほぼ一定であるはずの入賞口において通常では起こり得ない程度の入球が発生したときにこれを検出することができる。特に、賞球払出数が急増する特別遊技中にその賞球に紛れ込ませるように入賞口への入球を契機とする賞球を発生させるためにあえて特別遊技中だけ入賞口へ不当に入球させる不正行為が発生したときにこれを検出できる。例えば、遊技球に釣り糸等の目立たない糸状部材をとりつけて入賞口へ入球させ、その糸状部材の引っ張りと弛緩を繰り返すことで何度も入賞口の入球センサに反応させるような不正行為が考えられる。従来、こうした行為を通常遊技中に行われても、特別遊技以外における賞球の急増を検出する機能によりエラーと判定できる場合があった。しかし、そのような機能では、特別遊技中のみに行われる不正行為に対しては特別遊技中であるがゆえに賞球が急増しても正当な賞球急増との区別ができずエラー判定できなかった。本態様においては、特別遊技中における不正行為を有効に検出してエラーと判定することができる。またこの態様によれば、入賞口において通常では起こり得ない程度の入球が発生したときにこれを不正による入球であると判定することができ、また、その判定基準が外部から安易に推測できないようにすることができる。すなわち、当該弾球遊技機を不正行為者が入手してどのような数値を基準としてエラー判定されるかを解析したとしても、その数値とエラー報知のタイミングが必ずしも一致せず、実際のエラー判定から報知までに可変のタイムラグが生じることから、外部からの判定値の解析が困難となる。したがって、不正行為者による不正な解析意欲を減退させることができ、不正の抑制または未然防止を期待できる。
【0010】
エラー判定手段は、判定値として可変値を設定してもよい。「判定値として可変値を設定」は、自動または手動で可変の値を判定値として設定する方式でもよいし、遊技機のロットごとに可変の値を製品出荷前に判定値として設定する方式でもよい。すなわち、不正行為者が同機種の遊技機を入手してその判定値を解析したとしても、実際に遊技店で遊技するときには異なる判定値が設定されているように可変の値が設定されていればよい。
【0011】
この態様によれば、入賞口において通常では起こり得ない程度の入球が発生したときにこれを不正による入球であると判定することができ、また、その判定基準が外部から安易に推測できないようにすることができる。すなわち、当該弾球遊技機を不正行為者が入手してどのような数値を基準としてエラー判定されるかを解析したとしても、その数値を可変値となるように設定しているため、その解析結果に基づいて実際に遊技店で遊技したとしても解析通りには作動しないこととなる。あるいは、相当な長時間を費やせば理論上は解析が可能であったとしても、他の遊技機種と比べてそのような長時間をかけない限り有効な解析が不能となれば、不正行為者による不正な解析意欲を減退させることができ、不正の抑制または未然防止を期待できる。
【0012】
エラー判定手段は、所定の設定タイミングに達するたびに判定値として所定の値範囲に含まれるランダムの値を設定してもよい。
【0013】
ここで「所定の値範囲」は、不正の目的なく通常の遊技者が遊技しているときに誤って判定値を超えることがない値範囲となるよう、入賞口周辺の遊技釘の調整状態が甘い場合でも通常では超え得ない程度の判定値の範囲を設計段階における実験により求めて設計してもよい。「所定の設定タイミング」は、任意のタイミングまたは設定間隔を設計でき、例えば計数期間が経過するたびに判定値を新たな値に更新する設計でもよい。この態様によれば、エラーの判定基準をランダムにすることで外部から安易に推測できないようにすることができ、仮に当該弾球遊技機を不正行為者が入手して解析しようとしても容易に解析できないか、少なくとも相当な長時間の解析が必要となり、不正の抑制または未然防止を期待できる。
【0014】
エラー判定手段は、所定の値範囲の境界値に近い値に対する設定の頻度が境界値に遠い値に対する設定の頻度より低くなるように分散させたランダムの値を判定値に設定してもよい。
【0015】
ここで「所定の値範囲の境界値」は、値範囲の下限値であってもよいし、上限値であってもよいし、下限値および上限値の双方であってもよい。判定値の分散は、例えば値範囲下限の境界値と上限の境界値の中間近傍にある値をピークとする正規分布曲線を描くように分散した値を判定値に設定してもよい。この態様においては、値範囲の境界値に近い値が判定値に設定される頻度が、境界値から遠い値が判定値に設定される頻度より低くなるため、エラーの判定基準となる境界値を外部から安易に推測できないようにすることができる。すなわち、当該弾球遊技機を不正行為者が入手して解析しようとしても設定頻度の低い境界値は容易に解析できないか、少なくとも相当な長時間の解析が必要となり、不正の抑制または未然防止を期待できる。
【0016】
操作者の操作により判定値の設定を指示するための設定スイッチをさらに備えてもよい。エラー判定手段は、判定値の候補として複数種類の候補値を保持し、操作者による設定スイッチの操作に応じて複数種類の候補値のうちいずれかを判定値に設定してもよい。
【0017】
ここで「候補値」は、具体的な数値であってもよいし、数値範囲であってもよい。「設定スイッチ」は、遊技者が操作できない位置、例えば弾球遊技機の背面側や遊技盤の裏面側等の遊技店員だけが操作可能な場所に設けられてもよい。この態様においては、遊技店員が遊技機ごとに入賞口近辺の釘調整具合に合わせて判定基準の厳しさを微調整することができ、より実態にあった判定値を設定して適切なエラー判定をすることができる。
【0018】
抽選処理を含む遊技の基本動作を主に制御する主制御装置と、抽選処理の結果を示すための表示処理を含む遊技の演出的動作を主に制御する副制御装置と、を備えてもよい。入球判定手段は、主制御装置に設けられ、入球率算出手段およびエラー判定手段は、副制御装置に設けられ、入球率算出手段は、主制御装置に設けられた入球判定手段から入球の情報を受信して計数することにより入賞口への入球率を算出してもよい。
【0019】
この態様によれば、入賞口への入球率の算出とエラーの判定を、いわゆるサブ基板側で処理できるため、いわゆるメイン基板側では、入賞口への入球を示す信号をサブ基板へ送信するだけでよい。メイン基板では例えば制御プログラムやデータを格納するためのROMの容量がそれぞれ3キロバイトに制限され、また、RAMの記憶容量が1キロバイト、その使用領域が512バイトに制限されるといった制約がある。そのため、設計者としてはROMやRAMに記憶させるデータは1バイトでも小さくして記憶容量を稼ぎたいところである。したがって、入賞口への入球数の算出処理とエラーの判定処理のプログラムをサブ基板に搭載させ、メイン基板に搭載しなくて済むことは設計上も大きなメリットがあり、そこで稼いだ容量分を別のプログラムのために有効活用することができる。
【0020】
入賞口は、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口と、始動入賞口および大入賞口と異なる所定位置に設けられて遊技球の入球が賞球払い出しの契機となる一般入賞口と、を含んでもよい。当否抽選手段は、始動入賞口への入球を契機として当否抽選を実行し、入球率算出手段は、一般入賞口への入球率を算出し、エラー判定手段は、通常遊技における一般入賞口への入球率と特別遊技における一般入賞口への入球率との比率が判定値を超えたときにエラーを報知してもよい。この態様においては、通常は遊技の進行に影響を与えない入賞口である一般入賞口に対して、特別遊技中に限って入球が集中するという異常な状態を検出することとなる。これにより、高い精度で不正行為を検出することができる。
【0021】
入球率算出手段は、電源投入後の所定期間において通常遊技における入賞口への入球率を算出し、その後は特別遊技が実行されるたびに特別遊技における入賞口への入球率を算出してもよい。ここで「電源投入後の所定期間」は、電源投入後の通常遊技において最初に遊技者が遊技球を発射した後の期間や最初に遊技球が入賞口へ入球した後の期間であってもよいし、電源投入から最初の特別遊技までの期間であってもよい。この態様における入球率算出手段は、通常遊技における入賞口への入球率を最初に1回算出してしまえば、その後は特別遊技における入賞口への入球率だけを算出すればよいため、効率よく不正行為を検出することができる。また、電源投入のたびに通常遊技における入賞口への入球率を算出するため、遊技釘の向きが毎日変更されたとしても台ごとまたは日ごとに生ずる入球率の個体差を判定基準に反映させることができ、高い精度で不正行為を検出することができる。
【0022】
入球率算出手段は、特別遊技が実行された時点で通常遊技における入賞口への入球率が未算出であった場合は、特別遊技の実行後の通常遊技における入賞口への入球率を算出し、エラー判定手段は、入球率算出手段から、通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率を取得するとともに、特別遊技における入賞口への入球率を取得した時点で通常遊技における入賞口への入球率を未取得であった場合は、特別遊技の実行後の通常遊技における入賞口への入球率を取得してもよい。この態様においては、例えば電源投入から間もなくして特別遊技が発生し、その前までに通常遊技における入賞口への入球率として有効な値を算出できていなかった場合であっても、特別遊技後にあらためて有効な値を算出して入球率の比率を求めることができる。このような場合においても入球率の個体差を確実に判定基準へ反映させることができ、高い精度で不正行為を検出することができる。
【0023】
なお、以上の構成要素に関する任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体、データ構造などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の弾球遊技機によれば、不正な遊技者による不正行為を精度よく検出して不正行為の抑止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す図である。
【図2】ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す図である。
【図3】本実施例におけるぱちんこ遊技機の機能ブロックを示す図である。
【図4】当否判定テーブルを模式的に示す図である。
【図5】図柄判定テーブルを模式的に示す図である。
【図6】変動パターンテーブルを模式的に示す図である。
【図7】外れ用の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。
【図8】ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。
【図9】図8におけるS10の入球処理を詳細に示すフローチャートである。
【図10】図9におけるS221の入球率算出処理を詳細に示すフローチャートである。
【図11】図9におけるS223のエラー判定処理を詳細に示すフローチャートである。
【図12】図8におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図13】図12におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。
【図14】図8におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図15】図14におけるS100の開放処理を詳細に示すフローチャートである。
【図16】図14におけるS102の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。
【図17】図8におけるS17の小当り遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図18】図17におけるS160の開放処理を詳細に示すフローチャートである。
【図19】図17におけるS162の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。
【図20】本実施例におけるぱちんこ遊技機の機能ブロックを示す図である。
【図21】図8におけるS10の入球処理を詳細に示すフローチャートである。
【図22】図21におけるS421の入球率算出処理を詳細に示すフローチャートである。
【図23】図21におけるS423のエラー判定処理を詳細に示すフローチャートである。
【図24】図21におけるS425の入球数計数処理を詳細に示すフローチャートである。
【図25】図8におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図26】図25におけるS118の特別遊技終了処理を詳細に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施例)
本実施例においては、通常遊技における一般入賞口への入球率と特別遊技における一般入賞口への入球率との比率が所定の基準比率を超えた場合に不正な遊技者による不正行為があったと判定する。不正行為としては、遊技球に釣り糸等の目立たない糸状部材を取り付けて一般入賞口へ入球させ、その糸状部材の引っ張りと弛緩を繰り返すことで何度も一般入賞口の入球センサに反応させる行為が考えられる。こうした行為を仮に通常遊技中に実行した場合、特別遊技以外における賞球払出数の急増を検出する遊技機またはホールコンピュータの機能によって発覚する可能性があるため、不正な遊技者は通常遊技中には糸状部材を悪用した不正行為の実行を避けることが考えられる。これに対して特別遊技においては、もともと賞球払出数が急増する期間であるがゆえに、これに紛れて糸状部材を悪用した不正行為が実行されても従来の機能では発見できない。例えば実際には単位遊技8R分しかない特別遊技において、単位遊技15R分の特別遊技に相当する出玉があったとしても、従来の機能によっては不正による出玉であったのかは判別できない。そこで、本実施例においては通常遊技中と特別遊技中で一般入賞口への入球率を区別して算出し、これらの対比によって不正な入賞を検出する。
【0027】
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
【0028】
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等をする機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、後述する演出を制御する手段によって遊技状態などに応じた効果音が出力される。
【0029】
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
【0030】
始動口62は、遊技球の入球が賞球払出および当否抽選を実行する契機となる入球口であって、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口62に設けられた拡開機構63(いわゆる電動チューリップ)を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。拡開機構63は、始動口62の開口部上部に設けられた二つの羽根部材で構成され、閉鎖時でも始動口62の真上から落下する遊技球は入球可能な開口幅を有する。一方、拡開機構63が拡開された開放時は始動口62の開口幅が拡がることとなり、始動口62の真上だけでなくその近傍を落下する遊技球も始動口62へ誘導でき入球容易性が向上する。当否抽選は、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する抽選であり、始動口62へ入球があるたびに実行される。始動入賞検出装置74は、始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す始動入賞情報を生成する。始動口62への入球に対する規定賞球数は、例えば3個である。
【0031】
一般入賞口72は、始動口62や後述の大入賞口66とは異なる入賞口であり、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。一般入賞口72は、始動口62や大入賞口66と同様にその入球が賞球払出の契機となるが、始動口62や大入賞口66とは異なりその入球が遊技の進行には影響を及ぼさず、賞球以外の契機とはならない。一般入賞口72への入球に対する規定賞球数は、例えば10個である。
【0032】
大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を開放させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口66への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。大入賞口66は、特別図柄192が所定の態様にて停止したときに開始される特別遊技において「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66は、例えばアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の設置個数としては、一つだけ設置する構成に限らず、複数個の大入賞口66を設置してそれぞれを遊技状態等に応じて使い分ける構成としてもよい。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。大入賞口66への入球に対する規定賞球数は、例えば15個である。
【0033】
以上のように、大入賞口66の次に規定賞球数が多いのは一般入賞口72であり、また、一般入賞口72の規定賞球数は始動口62の規定賞球数よりも多い。したがって、大入賞口66への不正入球を検出する機能が設けられた遊技機の場合、不正な遊技者は大入賞口66の次に賞球が多い一般入賞口72を狙って不正入球させることを考えやすい。本実施例では後述するように、一般入賞口72を狙った不正入球を検出する。
【0034】
遊技領域52の左方に設けられた特別図柄表示装置61および遊技領域52の略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する。以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という。
【0035】
特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示装置である。特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄である。特別図柄192の変動表示が停止したときの図柄態様が、あらかじめ当りと定められた図柄であった場合に、その停止図柄が表示されたタイミングが大当り発生タイミングとなる。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。本実施例における特別図柄192は、当りの図柄態様である「0」〜「9」といった数字、文字、記号、または外れの図柄態様である「−」の記号で表される。これらの数字または記号が高速で次々に入れ替わって特別図柄表示装置61へ表示されることにより、特別図柄192の図柄変動表示が実現される。なお、特別図柄192の態様は上記の数字または記号に限られず、英字などの文字であってもよいし、7セグメントLEDを構成する各セグメントの組合せで形成される一般に意味を持たない記号であってもよい。また、7セグメントLEDは、「8の字」を形成する7個のセグメントおよび「ドット」を表す1個のセグメントからなる8個のセグメントで構成されてもよい。この場合、8個のセグメントを組み合わせることにより8ビット分の数値を表現できる。さらに、特別図柄表示装置61を7セグメントLEDではないLEDドットアレーを用いて、その点灯パターンや点灯色の組合せで複数種類の特別図柄192を表現してもよい。
【0036】
演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイで構成される表示装置である。装飾図柄190は、特別図柄192で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄を変動させる動画像を画面の中央領域に表示する。本実施例においては、「0」〜「9」の数字で構成される図柄を3列に表示して変動させ、最終的に停止表示される3個の図柄組合せによって当りまたは外れを示す。装飾図柄190を構成する複数図柄のそれぞれは、色彩や模様の装飾が施された数字、文字、または記号で構成されるが、これら数字、文字、記号に対して全図柄に共通する絵柄または図柄ごとに異なる絵柄を加えて一体化させる形で構成されてもよい。この絵柄は、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連するモチーフが描かれた絵柄であり、例えば人物や動物のキャラクターが描かれた絵柄であってもよい。装飾図柄190は、絵柄が一体的に含まれる図柄が変動表示される場合と、絵柄が分離して数字、文字、記号の部分のみが変動表示される場合とが、演出の展開に沿って切り替えられる構成であってもよい。装飾図柄190の変動表示の背景には、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連する演出的効果を有する動画像が図柄変動と連動して表示される。
【0037】
演出表示装置60は、本実施例では液晶ディスプレイなどの高精細なドットマトリクス型表示装置で構成されるが、ドラム回転式などの機械的表示手段やLEDマトリクス式などの表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄192は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させる。ただし、特別図柄自体に演出的な役割をもたせることで装飾図柄を用いずに表現する手法を採用する場合には、特別図柄を7セグメントLEDではなく液晶ディスプレイに表示させる構成としてもよい。
【0038】
作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は拡開機構63を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、開放抽選の結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。したがって、開放抽選は「普通図柄抽選」とも呼ぶ。本実施例における普通図柄表示装置59は、便宜上、二つのランプで構成されるとともに、それらのうちいずれのランプが点灯しているかによって普通図柄の表示状態が表現される。例えば、第1のランプの点灯が外れを示し、第2のランプが当りを示すとき、それらが交互に点灯と消灯を繰り返すことによって普通図柄の変動表示が表現され、最終的にいずれかの点灯状態にて停止されることで普通図柄の停止図柄が表現される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右下方に設けられる。変動開始から所定時間の経過後に、普通図柄の変動表示が停止する。このとき、通常状態では例えば1/256程度の低確率にて普通図柄が当りの図柄で停止し、後述する入球容易状態では例えば250/256程度の高確率にて普通図柄が当りの図柄で停止する。普通図柄が当りの図柄で停止すると、拡開機構63が所定時間拡開される。拡開機構63の開放時間は、例えば通常状態では0.1秒間であり、入球容易状態では6秒間である。
【0039】
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。遊技領域52の左下部には、特別図柄保留表示装置20が設けられ、その対称位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に普通図柄保留表示装置22が設けられている。
【0040】
特別図柄保留表示装置20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。当否抽選の保留数が3個になると、遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が通常より短縮される(以下、「短縮変動」ともいう)。同様に、当否抽選の保留数が4個になると、さらに遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が上記3個の場合よりもさらに短縮される(以下、「超短縮変動」ともいう)。
【0041】
普通図柄保留表示装置22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。
【0042】
演出表示装置60の上方および下方には、それぞれ遊技効果ランプ90が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作する操作入力手段であり、その操作入力の内容に応じて演出内容等に変化が加えられる。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。本実施例における操作ボタン82は一つのボタンで構成されるが、複数のボタンや十字キーなどの方向指示ボタンで構成されてもよい。可動役物140は、演出に連動して動作が制御される可動物であり、その動作によって演出的役割を果たす。例えば可動役物140は、遊技者による操作ボタン82を介した操作入力に応じて動作する。
【0043】
以上のような構成においてなされる遊技の方法および制御の流れを概説する。遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当りながらその当り方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた規定賞球数の賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。
【0044】
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された変動表示時間の経過後に停止される。特別図柄192は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動パターンにしたがって変動表示される。装飾図柄190は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動演出パターンにしたがって変動表示される。変動パターンおよび変動演出パターンはそれぞれ複数種ずつ用意され、それぞれが長短様々な変動時間をもつ。変動パターンにしたがって特別図柄192が変動表示される間、同じ変動時間をもつ変動演出パターンにしたがって装飾図柄190が変動表示される。変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄192および装飾図柄190の変動が停止される。
【0045】
装飾図柄190の変動表示としては、まず変動開始とともにスロットマシンのリール回転のように3列とも図柄を変動させ、変動終了タイミングへ近づいたときに一列ずつ停止させることで最終的な停止態様としての図柄組合せを表示する。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が大当りを示す停止態様となった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。大当りを示す装飾図柄190の停止態様は、例えば3つの図柄の種類が一致する組合せの態様である。
【0046】
変動演出パターンには、通常外れ演出パターン、リーチ外れ演出パターン、リーチ大当り演出パターンが含まれる。通常外れ演出パターンは、通常の外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ外れ演出パターンは、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態であるリーチ状態を経て外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ大当り演出パターンは、リーチ状態を経て大当りの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。
【0047】
特別遊技は、開始デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって開始される。開始デモ時間の画面表示後に大入賞口66が開放され、その開放が約30秒間続いた後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口66の開放から閉鎖までが、基本的には単位遊技と呼ばれるが、1回の単位遊技の間に複数回の短時間の開放を繰り返す場合があってもよい。大入賞口66の開閉ないし単位遊技が所定の複数回数、例えば15回繰り返された後、終了デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって特別遊技が終了される。これに対し、当否抽選が小当りと呼ばれる結果に該当した場合は小当り遊技が実行される。小当りは、当否抽選の結果としては外れに含まれる結果である。小当り遊技は、一部の種類の特別遊技と類似の態様にて実行される単位遊技である。ただし、小当り遊技として実行される単位遊技は1回だけであり、複数回数の単位遊技が実行される特別遊技とは異なる。
【0048】
特別遊技が終了した後の通常遊技においては特定遊技の一つである特別図柄192および装飾図柄190の変動時間短縮(以下、適宜「時短」という)が開始される。特別図柄192および装飾図柄190の時短は、特別図柄192および装飾図柄190の変動時間が通常状態よりも短縮される状態である。特別図柄192および装飾図柄190の変動時間は、所定の変動回数、例えば100回の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻されるが、その変動回数に達する前に大当りが発生すれば時短も終了する。時短により特別図柄192および装飾図柄190の変動時間が短縮されるため、通常の変動時間のまま図柄変動がなされる通常状態の場合と比べて、大当りが発生するまでの時間を短縮することができ、大当りの獲得容易性を相対的に高めることができる。
【0049】
特別図柄192および装飾図柄190の時短中は、特定遊技の一つである入球容易状態が実施される。入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、拡開機構63の開放延長が実施されることにより始動口62への入球容易性が高められる状態である。普通図柄の時短は、普通図柄の変動時間が通常状態より短縮される状態である。開放抽選の確率変動は、開放抽選の当り確率を通常状態より高める状態である。拡開機構63の開放延長は、拡開機構63の開放時間を通常状態よりも長くする状態である。このように、入球容易状態においては、一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常状態よりも増加する可能性が高まる上、始動口62への入球容易性も増すため、始動口62への入球数が増加する可能性も高い。したがって、特別図柄192および装飾図柄190の時短および入球容易状態により、その期間中は始動口62への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉をほとんど減らさずに遊技し続けることが可能となる。
【0050】
なお、本実施例における入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、拡開機構63の開放延長という3つの機能を用いて始動口62への入球容易性を高める。ただし、変形例としては、これら3つの機能のうち、1つまたは2つの機能を用いて始動口62への入球容易性を高める構成としてもよい。このように3つの機能のうち一部だけを用いても始動口62への入球容易性を高めることは可能である。また、3つの機能のうち少なくともいずれかを、実施する期間と実施しない期間とで遊技状態に応じて切り替える構成としてもよい。
【0051】
特別遊技が発生した場合であってそのときの当り停止図柄が特定の態様であった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである当否抽選の確率変動遊技(以下、適宜「確変」という)がさらに開始される。当否抽選の確変中は、通常の確率状態より当りの確率が高い当否抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生し得る。当否抽選の確変は次の大当りが発生するまで継続されるが、変形例として、所定の限定的な回数の図柄変動がなされたときに終了する構成であってもよい。本実施例においては、確変が開始されるときに同時に特別図柄192および装飾図柄190の時短や入球容易状態も開始されるが、変形例として時短や入球容易状態の開始を伴わない確変が実行される場合があってもよい。
【0052】
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容や複数の可動役物140の動作、遊技効果ランプ90の点灯を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させ、その演出の進行に沿って可動役物140や遊技効果ランプ90の点灯を作動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。裏セット機構39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じた規定賞球数にて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
【0053】
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、可動役物140のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や可動役物140、電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
【0054】
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、入球率算出手段126、エラー判定手段128を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段136を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
【0055】
ただし、メイン基板102とサブ基板104の間におけるデータの送受信はメイン基板102からサブ基板104への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板102とサブ基板104に配置される。このようにメイン基板102からサブ基板104へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブ基板104に含まれる構成からメイン基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板102で生成された情報は、メイン基板102がサブ基板104へ一方的に送信しない限りサブ基板104から参照することはできない。
【0056】
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。入球判定手段110は、入球率算出手段126に対して始動入賞情報、大入賞口入賞情報、一般入賞情報を送出するとともに、各入賞情報に応じた規定賞球数の情報を払出ユニット43へ送信する。
【0057】
当否抽選手段112は、始動口62への入球を契機に、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための乱数の値を当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。当否抽選手段112が当否抽選値として取得する値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、所定の保留上限数を超えない範囲で当否抽選値が保留される。
【0058】
当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた大当りの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否抽選手段112は、通常時には通常確率による当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当りの確率が高くなる当否テーブルを参照する。当否抽選手段112は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当りであるか否かを判定する。
【0059】
当否抽選手段112は、遊技球が作動口68を通過した場合に、普通図柄を決定するための開放抽選として抽選値を取得する。当否抽選手段112は、開放抽選の抽選値と当否結果の対応関係が定められた当否テーブルを保持し、その当否テーブルを参照して開放抽選の当否結果を決定する。通常状態においては1/256の確率で当りとなる当否テーブルを参照し、入球容易状態においては250/256の確率で当りとなる当否テーブルを参照する。普通図柄の抽選値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
【0060】
図4は、当否判定テーブルを模式的に示す図である。本図の当否判定テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられたそれぞれの範囲設定に応じて大当り当否確率や小当りの当否確率が定まる。当否抽選手段112は、当否判定において本図の当否判定テーブルを参照する。当否抽選手段112による当否抽選においては、通常時には図4(a)の通り、当否抽選値が0〜399の範囲に該当したときのみ大当りとなる。確変時には図4(b)の通り、大当りの範囲が拡大され、当否抽選値が0〜399の範囲に該当する場合だけでなく、400〜2999の範囲に該当する場合にも大当りとなる。このように、大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化する。大当りに該当した場合、15R大当りと2R大当りのいずれとなるか、および、確変を伴うか否かは、特別図柄の停止図柄に応じて別途決定される。なお、本図では単一の当否判定テーブルによって通常時と確変時の双方の大当り範囲を示したが、当否判定テーブルは通常時用と確変時用とで別個に用意してもよい。
【0061】
本実施例においては、当否抽選値が大当り範囲に該当しない、いわゆる外れとなった場合であっても、所定の範囲に該当した場合には小当りとなる。本図の例では、当否抽選手段112が取得する当否抽選値が65000〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなる。このように、大当りに該当しなかった場合、本来はすべて「外れ」であるが、本図の例では大当りに該当しなかった場合のうち小当りにも該当しなかった場合の当否抽選値範囲を特に「外れ」と表現している。なお、本図では大当りか否かの判定テーブルと小当りか否かの判定テーブルとを単一の当否判定テーブルの形で実現する例を示したが、それぞれを別個のテーブルとして実現してもよい。
【0062】
図3に戻り、当否抽選手段112による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄のかたちで変動表示される。また、当否抽選手段112による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。当否抽選手段112は、図柄変動を開始するタイミングにおいて、その図柄変動に対応する抽選の結果を図柄変動の制御コマンドとともに図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信する。
【0063】
図柄決定手段114は、特別図柄表示装置61に表示させる特別図柄の停止図柄を、当否抽選手段112による抽選の結果に応じて決定する。図柄決定手段114は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。図柄決定手段114は、特別図柄を決定するための図柄決定抽選値を取得し、当否抽選手段112による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて特別図柄の停止図柄を決定する。
【0064】
図柄決定手段114は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を、当否抽選手段112による開放抽選の結果に応じて決定する。図柄決定手段114は、開放抽選の結果を普通図柄のかたちで普通図柄表示装置59に変動表示させるために、開放抽選の結果に応じて普通図柄の停止図柄を決定する。決定された停止図柄が所定の図柄となった場合に普通図柄が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄の変動表示が停止された後に開閉制御手段124が始動口62の拡開機構63を所定時間拡開する。
【0065】
図柄決定手段114は、決定した停止図柄を示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。
【0066】
図5は、図柄判定テーブルを模式的に示す図である。図5(a)は当否判定結果が大当りであった場合に参照するテーブルであり、図5(b)は当否判定結果が外れであった場合に参照するテーブルであり、図5(c)は当否判定結果が小当りであった場合に参照するテーブルである。図柄決定手段114は、図柄判定において本図の図柄判定テーブルを参照する。各図柄判定テーブルには、「0」〜「9」の数字および「−」の記号で表される特別図柄と図柄抽選値との対応関係が定められている。特別図柄の種類はそれぞれ大当り、小当り、外れの当否判定結果と対応付けられており、奇数の数字が大当りに対応し、偶数の数字が小当りに対応し、「−」の記号が外れに対応する。
【0067】
図5(a)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち奇数の数字である特別図柄「1」「3」「5」「7」「9」が大当りに対応付けられている。そのうち、特別図柄「7」は確変を伴う15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「0〜99」に対応付けられる。特別図柄「3」は確変を伴う2R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられる。特別図柄「1」「5」「9」は確変を伴わない15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「150〜189」に特別図柄「1」が対応付けられ、「190〜229」に特別図柄「5」が対応付けられ、「230〜255」に特別図柄「9」が対応付けられる。
【0068】
図5(b)に示す通り、特別図柄「−」は当否判定結果が外れの場合における全範囲の図柄抽選値に対応付けられている。
【0069】
図5(c)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち偶数の数字である特別図柄「0」「2」「4」「6」「8」が小当りに対応付けられている。特別図柄「0」は図柄抽選値の範囲「0〜49」に対応付けられ、特別図柄「2」は図柄抽選値の範囲「50〜99」に対応付けられる。特別図柄「4」は図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられ、特別図柄「6」は図柄抽選値の範囲「150〜199」に対応付けられ、特別図柄「8」は図柄抽選値の範囲「200〜255」に対応付けられる。
【0070】
図3に戻り、変動パターン決定手段115は、当否抽選の結果に応じて複数種の変動パターンからいずれかの変動パターンを選択する。変動パターン決定手段115は、変動パターンを決定するために参照すべきパターン選択テーブルを保持する。図柄決定手段114は、決定した変動パターンを示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。変動パターン決定手段115は、複数種の変動パターンを記憶する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつとともに、その変動時間にて複数の図柄で構成される装飾図柄による図柄変動も実行されることを前提として規定される。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄および装飾図柄の変動が停止される。
【0071】
図6は、変動パターンテーブルを模式的に示す図である。変動パターン決定手段115は、当否判定結果が外れのときは図6(a)に示される外れ用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が15R大当りのときは図6(b)に示される15R大当り用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が2R大当りまたは小当りのときは図6(c)に示される2R大当りおよび小当り用の変動パターンテーブルを参照する。
【0072】
図6(a)においては、パターン抽選値0〜10には「スーパー1」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値11〜20には「スーパー2」というスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値21〜255には「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のいずれかの変動パターンが対応付けられている。このように、当否判定結果が外れの場合、スーパーリーチ、ノーマルリーチ、リーチなしのいずれも選択される可能性がある。なお、外れ用の変動パターンテーブルにおいて、特に「リーチなし」の変動パターンを選択するとき、時短状態においては通常状態よりもさらに変動時間が概ね短い変動パターンが選択されるよう異なるテーブルを参照する。また、外れ用の変動パターンテーブルは保留数ごとに参照すべき欄が異なるように規定されるが、通常状態を例とするその詳細は後述する図7において説明する。
【0073】
図6(b)においては、パターン抽選値0〜120には「スーパー1」のスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値121〜240には「スーパー2」のスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値241〜250には「ノーマル1」のリーチが対応付けられ、パターン抽選値251〜255には「ノーマル2」のリーチが対応付けられている。このように、当否判定結果が15R大当りの場合はリーチ付きの変動パターンが選択される。
【0074】
図6(c)においては、パターン抽選値0〜122には「スーパー3」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値123〜255には「ノーマル3」というノーマルリーチが対応付けられている。このように当否判定結果が2R大当りまたは小当りの場合は「スーパー3」または「ノーマル3」がそれぞれ約50%の確率で選択される。
【0075】
図3に戻り、変動パターン決定手段115は、普通図柄の変動表示時間を決定する。通常状態においては変動表示時間を60秒に決定し、入球容易状態においては変動表示時間を6秒に決定する。
【0076】
保留制御手段116は、始動口62へ新たな入球があって新たに当否抽選が実行されるときにそれ以前の入球ないし抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな入球に基づく当否抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では当否抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保留球として保持する。ここでいう当否抽選値は、当否抽選値、図柄抽選値、変動パターン抽選値を含む。保留制御手段116はさらに、当否抽選手段112により取得された普図抽選値を保留球として保持する。これらの保留数がそれぞれ特別図柄保留表示装置20、普通図柄保留表示装置22の点灯数または点滅数により表される。
【0077】
メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112による抽選の結果を、変動パターン決定手段115により決定された変動パターンにしたがって特別図柄192の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。メイン表示制御手段118は、それ以前になされた当否抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。メイン表示制御手段118は、特別図柄192の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信する。変動開始コマンドを送信するとき、判定された当否判定結果、停止図柄、変動パターンのそれぞれを示す値を変動開始コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。これにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。メイン表示制御手段118は、普通図柄抽選の結果を普通図柄の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。
【0078】
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口66を開放させることにより特別遊技を実行する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。特別遊技には、単位遊技を15回繰り返す15R大当りと、15R大当りより開放時間が短い単位遊技を2回だけ繰り返す2R大当りがある。15R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口66を原則として約30秒間開放させる。2R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口66を約0.5秒間だけ開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。なお、2R大当りとなった場合においても、所定の条件を満たした場合には、15R大当りと同様の開放態様で大入賞口66を開放させてもよい。
【0079】
特定遊技実行手段122は、確変状態、時短状態、および入球容易状態における通常遊技を制御する。特定遊技実行手段122は、特別遊技の終了後に遊技状態を時短状態および入球容易状態へ移行させる。一方、特別遊技の終了後に確変状態へ移行させるのは、図柄決定手段114により決定された図柄が確変への移行を伴う大当り図柄であった場合に限られる。時短状態および入球容易状態は、特別図柄192の変動表示回数が特別遊技の終了時点から数えて所定の終了条件回数、例えば100回に達するまで継続される。ただし、同時に確変状態へ移行した場合は確変状態が続く限り時短状態および入球容易状態も継続される。すなわち、次の大当りが発生するまで継続される。このように時短状態および入球容易状態の終期は遊技状態に応じて定まる。時短状態においては、特別図柄192の変動表示時間が概ね短くなるよう、変動パターン決定手段115が変動時間の短い変動パターンを選択する。ただし、通常状態においては、保留制御手段116による当否抽選結果の保留数に応じた変動パターンテーブルを参照し、保留制御手段116による保留数が少なくなるほど変動時間の長い変動パターンが出現しやすくなる。入球容易状態においては、普通図柄の時短、普通図柄の確変、拡開機構63の開放延長が実施される。一方、確変状態は、次の大当りによる特別遊技が実行されるまで継続される。確変状態の間は当否抽選手段112による当否判定結果が大当りとなる確率が高い値のまま維持される。
【0080】
開閉制御手段124は、始動口62の普通電動役物や大入賞口66の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。
【0081】
入球率算出手段126は、入球判定手段110から受け取る一般入賞情報に基づいて一般入賞口72への入球率を算出する。入球率算出手段126は、入球判定手段110から一般入賞情報を受け取るたびにその数を入球数として計数し、その入球数と計数開始からの経過時間に基づいて所定期間、例えば10分間あたりの入球数を算出してこれを一般入賞口72への入球率とする。入球の計数は、ぱちんこ遊技機10の電源投入後における所定の契機に開始する。例えば、電源投入後に最初に一般入賞情報を受け取ったときに開始することとしてもよいし、電源投入後の最初の遊技球発射時に開始することとしてもよい。入球率算出手段126は、遊技球の発射がオンオフいずれの状態にあるかを示す情報を発射制御基板47から取得する。これら所定の契機に入球の計数を開始した後、下限時間として少なくとも10分間以上が経過するまで特別遊技が発生しないまま入球の計数期間が継続した場合に、その入球数を用いて算出した一般入賞口72への入球率を有効な算出結果とする。
【0082】
下限時間の経過前に遊技者が遊技を中断して遊技球の発射を一定時間停止させた場合、遊技を再開させたときに下限時間までの残り時間の分だけ計数を再開させてもよいし、最初から下限時間に達するまで計数し直してもよい。下限時間の経過前に特別遊技が発生した場合にも、その特別遊技の終了後の通常遊技において下限時間までの残り時間の分だけ計数を再開させてもよいし、最初から下限時間に達するまで計数し直してもよい。入球率算出手段126は、通常遊技における一般入賞口72への入球率として有効な算出結果を得た後は、そのデータを電源終了まで保持し、その後の通常遊技においては一般入賞口72への入球率は特に算出を要しない。
【0083】
入球率算出手段126は、特別遊技が開始されるたびに特別遊技における一般入賞口72への入球率を算出する。例えば、特別遊技が開始されるたびにその特別遊技中の一般入賞口72への入球数と特別遊技の時間に基づいて、10分間あたりの入球数を算出してこれを特別遊技における一般入賞口72への入球率とする。ただし、特別遊技の種類によっては有効な入球率が算出できない場合があるため、その場合は算出処理をスキップまたは算出結果を無効とする。例えば、2R大当りの場合、特別遊技の時間が極端に短いために通常であればその期間内に一般入賞口72へ入球することは考えにくいものの、偶発的にタイミングよく入球した場合には、10分あたりの入球数に換算したときに不正がなくとも想定外に大きな値となるおそれがある。また、不正な遊技者としてもわざわざ極端に短い期間である2R大当りのときにまで不正行為を働くとは考えにくく、仮に不正行為をしたとしてもその効果は極端に小さい。そのため、2R大当りの特別遊技は一般入賞口72への入球率の算出対象外とする。
【0084】
エラー判定手段128は、入球率算出手段126から、通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率を取得する。エラー判定手段128は、特別遊技における一般入賞口72への入球率を取得した時点で通常遊技における一般入賞口72への入球率を未取得であった場合は、特別遊技の実行後の通常遊技における一般入賞口72への入球率を取得する。エラー判定手段128は、特別遊技の前後に取得する通常遊技における一般入賞口72への入球率と、特別遊技が開始されるたびに取得する特別遊技における一般入賞口72への入球率とが揃ったときに、通常遊技における入球率と特別遊技における入球率との比率を算出する。
【0085】
通常遊技における入球率と特別遊技における入球率との比率が所定の基準比率を超えた場合、エラー判定手段128がエラーを示す情報を演出決定手段132または演出表示制御手段134へ送信して演出表示装置60へエラーを報知させ、また、エラー判定手段128は、エラーを示す情報を外部装置300としてのホールコンピュータへ出力する。ホールコンピュータは、遊技店が用意する遊技機管理用コンピュータの総称であり、各遊技機はホールコンピュータに接続され、ホールコンピュータは遊技店内の各遊技機からそれぞれの遊技状態に関する情報を収集する。エラーを示す情報が遊技店側へ送信されて不正の疑いのある行為が通報されるので、遊技店は直ちに然るべき処置を採ることができる。
【0086】
通常遊技における入球率と特別遊技における入球率の基準比率は、遊技機の設計段階における実験値または設計値に基づいて定められる。例えば、通常遊技における一般入賞口72への入球率が10分間に平均3個で、その標準偏差σが1であった場合、入球率の範囲が平均μ±3σであると考えると、最大で0個〜6個の範囲にほぼ収まると考えられる。この場合、平均入球率の2倍までは最大誤差として生じ得ると考えた上で、余裕のある確実な値として基準比率を例えば1:2.5や1:3といった値に設定してもよい。実際、通常遊技における一般入賞口72への入球率が10分間に3個程度であったとしても、不正な遊技者は特別遊技という限られた期間に多数の賞球を獲得するため一般入賞口72への入球率が10分間に150個となるような頻度で不正入球させる可能性がある。したがって、1:2.5や1:3といった基準比率の値でも十分に不正行為を検出できる。あるいは、誤差に基づく誤検出をさらに確実に排除するために、さらに余裕のある基準比率として1:10といった値を用いたとしても十分に不正行為を検出できる。
【0087】
パターン記憶手段130は、装飾図柄190の変動において演出表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、装飾図柄190の変動表示における変動開始から停止までの変動過程と演出過程が定められた複数の変動演出パターンと、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当りへの期待度の高さを変動表示の停止前に予告的に示唆する複数の予告演出パターンとが含まれる。
【0088】
演出決定手段132は、当否抽選手段112から受け取る当否抽選の結果に応じて、演出表示制御手段134によって演出表示装置60へ表示させる演出内容を決定する。演出決定手段132は、変動パターン決定手段115により決定された特別図柄の変動パターンに対応する複数の変動演出パターンデータからいずれかを選択してパターン記憶手段130から読み出し、その変動演出パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。演出決定手段132は、変動演出パターンを選択するために参照すべきパターンテーブルを保持する。
【0089】
各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、変動時間が等しい演出画像の変動演出パターンを選択する。
【0090】
図柄態様決定手段131は、装飾図柄190の停止図柄の組合せとその配置を、当否抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて決定する。図柄態様決定手段131は、決定した停止図柄の組合せを示す情報を演出表示制御手段134へ送信する。図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
【0091】
装飾図柄190の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、例えば当否抽選手段112による当否判定結果が15R大当りの特別遊技への移行を示す場合には特定の組合せ、例えば「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄190として揃える数字には、特別図柄192と同じ数字が選ばれるのが好ましいが、必ずしも同じ数字でなくともよい。例えば、特別図柄192が「7」の場合は装飾図柄190が「777」となる。当否判定結果が2R大当りの場合や小当りの場合もまた特定の組合せ、例えば「357」のような所定の組合せが選択されるが、それらの特定の組合せは必ずしも3つの図柄が揃った組合せでなくてもよい。当否判定結果が大当りでも小当りでもない場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せであって、2R大当りや小当りのときに選択される特定の組合せに該当しない組合せが選択される。当否判定結果が15R大当りではない場合であって、リーチ付きの外れを示す変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。
【0092】
予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターンである。予告演出パターンによる演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当り態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。例えば、キャラクタの画像を一つだけ画面に表示させるだけの通常予告演出や、多数のキャラクタの群れを画面の一端から他端へ通過させるように表示させる群予告演出がある。また、予告演出の表示過程を複数段階に分け、表示させる段階数を可変にして段階数が多いほど大当りへの期待度が高くなるように設定されるステップアップ予告演出がさらに含まれる。
【0093】
予告演出パターンには、装飾図柄190の表示態様がリーチ状態となった後のタイミングで演出が実行されて図柄の最終的な停止態様を予告するパターンと、装飾図柄190が一つも停止していないタイミングで演出が実行されてリーチ状態となることを同時に予告するパターンとがある。
【0094】
演出決定手段132は、当否抽選の結果に応じて演出表示装置60に予告演出を表示させるか否かを所定の予告抽選により決定して事前演出設定をするとともに、表示させるべき予告演出パターンを決定する。演出決定手段132は、予告演出を表示させるか否かを決定するために参照すべき予告決定テーブルと、予告演出パターンの種類を選択するときに参照すべき予告種類テーブルとを保持する。予告決定テーブルは、当否抽選の結果に応じて異なる欄が参照されるように設定されており、当否抽選が当りの場合は外れの場合よりも高い確率で予告演出を表示させるよう、当否抽選の結果と予告演出を表示するか否かの対応関係が定められる。これにより、予告演出が表示されること自体で大当りへの期待度の高さを示唆することができる。
【0095】
演出表示制御手段134は、当否抽選手段112による当否抽選の結果として、選択された変動演出パターンデータにしたがって演出表示装置60へ装飾図柄を含む演出画像を変動表示させる。演出表示制御手段134は、装飾図柄190の変動開始コマンドを受け取ったときに新たな図柄変動を開始させる。
【0096】
演出表示制御手段134は、予告演出を表示させる旨が演出決定手段132により決定された場合、選択された予告演出パターンにしたがった予告演出を図柄変動の演出に重畳させる形で演出表示装置60へ表示させる。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
【0097】
役物制御手段136は、演出表示制御手段134から受け取る指示にしたがい、演出表示装置60における演出内容や遊技効果ランプ90の点滅過程に沿って、可動役物140を演出的に動作させる。
【0098】
図7は、外れ用の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。本図の変動パターンテーブル210においては、保留数ごとにそれぞれ変動パターンに対応付けられたパターン抽選値の範囲が異なる。具体的には、保留数が少ないほど変動時間が相対的に長い変動パターンに割り当てられたパターン抽選値の範囲が広くされており、それら変動時間の長い変動パターンが選択される確率を高めている。そのため、保留制御手段116による保留数が少ないほど平均的な変動時間が長くなる。したがって、保留制御手段116による保留数が所定数、例えば1〜2個より少なくなった場合に、変動時間の長い変動パターンの選択確率が通常より高くなり、変動時間が比較的長くなりやすい。
【0099】
第1欄212には、保留制御手段116による当否抽選の結果保留数が1の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。同様に、第2欄214、第3欄216、第4欄218に、保留制御手段116による当否抽選の結果保留数がそれぞれ2、3、4の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。すなわち、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218が保留数ごとの変動パターンテーブルを示すと考えることができる。本図では、外れのときに選択され得る複数の変動パターンを変動時間別に5種類に分類した例を説明するが、実際にはそれらの分類ごとに複数の変動演出パターンが用意されており、全体で数十種類の変動演出パターンがその分類ごとの抽選値範囲に対応付けられていることに等しい。なお、本図の第2欄214、第3欄216、第4欄218の各パターン抽選値範囲の割合と第1欄212におけるパターン抽選値範囲の割合を比較するために、第1欄212のパターン抽選値範囲の割合を示す破線を第2欄214、第3欄216、第4欄218に描いている。
【0100】
第1範囲222には、抽選値が0から10までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー1」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。第2範囲224には、抽選値が11から20までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー2」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。このように、抽選値が0から10までのパターン抽選値と抽選値が11から20までのパターン抽選値の場合には、保留数にかかわらず同じ変動時間の変動パターンが選択される。
【0101】
第3範囲226には、抽選値が21から255までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218にはそれぞれノーマルリーチである「ノーマル1」「ノーマル2」と「リーチなし外れ」の3種類の変動パターンが対応付けられる。ただし、それぞれの変動パターンが対応付けられるパターン抽選値の範囲は保留数によって異なる。第1欄212では、「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のそれぞれが対応付けられる抽選値範囲の大きさがそれぞれほぼ等しく、21から255をほぼ3等分した範囲が対応付けられている。これに対し、第2欄214では、「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさが「リーチなし」に対応付けられる抽選値範囲より小さい。また、第3欄216および第4欄218では「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさがさらに小さくなっている。
【0102】
「ノーマル1」「ノーマル2」の変動時間は「リーチなし外れ」の変動時間より長くてもよく、また「リーチなし外れ」のときは時短状態のように変動時間が短縮される場合もあるため、上記の第3範囲226の設定内容に応じて平均的な変動時間が異なることとなる。保留数が0から1、2、3、4と多くなるにつれて「ノーマル1」および「ノーマル2」のパターン抽選値範囲は小さくなり、逆に「リーチなし外れ」のパターン抽選値範囲が大きくなる。したがって、保留数が多いほど平均的な変動時間は短くなり、逆に保留数が少ないほど平均的な変動時間は長くなる。このように保留数ごとにパターン抽選値範囲と変動パターンの対応関係が異なる変動パターンテーブルを用いることにより、保留数が少なくなったときに変動時間の長い変動パターンが選択されやすくなる制御を実現することができる。
【0103】
第3欄216に対応付けられた「リーチなし外れ」の変動パターンは、第1欄212、第2欄214に対応付けられた「リーチなし外れ」よりも変動時間が短い、いわゆる「短縮変動」の変動パターンである。また、第4欄218に対応付けられた「リーチなし外れ」の変動パターンは、第1欄212、第2欄214に対応付けられた「リーチなし外れ」よりも変動時間が短く、第3欄216の「短縮変動」よりもさらに変動時間が短い、いわゆる「超短縮変動」の変動パターンである。
【0104】
図8は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、遊技球が始動口62、一般入賞口72、大入賞口66などへ入球した場合の処理を実行し(S10)、通常遊技中であれば(S12のY)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、通常遊技中でなければ(S12のN)、特別遊技の制御処理(S16)や、小当り遊技の制御処理を実行し(S17)、S10の入賞処理においてセットされた賞球数により各種の入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
【0105】
図9は、図8におけるS10の入球処理を詳細に示すフローチャートである。始動口62に入球があった場合(S200のY)、始動口62に対応する規定賞球数をセットする(S202)。保留制御手段116による当否抽選値の保留数が4未満であるか否かを参照してさらなる保留が可能な状態であれば(S204のY)、当否抽選値を取得し(S206)、その当否抽選値を保留制御手段116に保留する(S208)。S200において始動口62への入球がない場合はS202からS208までの処理をスキップする(S200のN)。S204において保留数が上限に達していてさらなる保留が不可能な場合はS206およびS208の処理をスキップする(S204のN)。
【0106】
作動口68に入球があった場合(S210のY)、保留制御手段116による開放抽選値の保留数が4未満であるか参照してさらに保留可能な状態であれば(S212のY)、開放抽選値を取得し(S214)、その開放抽選値を保留制御手段116に保留する(S218)。S210において作動口68への入球がない場合はS212からS218までの処理をスキップする(S210のN)。S212において保留数が上限に達していてさらなる保留が不可能な場合はS214からS218までの処理をスキップする(S212のN)。
【0107】
一般入賞口72に入球があった場合(S220のY)、入球率の算出処理を実行し(S221)、一般入賞口72に対応する規定賞球数をセットし(S222)、入球率に基づくエラー判定処理を実行し(S223)、一般入賞口72への入球がないときはS221からS223までの処理をスキップする(S220のN)。大入賞口66に入球があった場合は(S224のY)、大入賞口66に対応する規定賞球数をセットし(S226)、大入賞口66への入球がないときはS226をスキップする(S224のN)。
【0108】
図10は、図9におけるS221の入球率算出処理を詳細に示すフローチャートである。遊技状態が通常遊技中の場合であって(S240のY)、一般入賞口72への入球数の計数期間中でない場合(S242のN)、一般入賞口72への入球率が未算出であれば(S244のY)、入球数の計数期間を開始し(S246)、一般入賞口72への入球を計数する(S248)。一般入賞口72への入球率が算出済みであれば(S244のN)、S246およびS248の処理をスキップする。S242において一般入賞口72への入球数の計数期間中であれば、S244からS246までの処理をスキップする(S242のY)。S240において遊技状態が特別遊技中であれば(S240のN)、つねに入球数の計数期間に相当するので一般入賞口72への入球を計数する(S246)。
【0109】
図11は、図9におけるS223のエラー判定処理を詳細に示すフローチャートである。一般入賞口72への入球数の計数期間中であってその計数期間の終了タイミングであれば(S260のY)、計数期間を終了し(S262)、通常遊技または特別遊技における一般入賞口72への入球率、すなわち10分間あたりの入球数を算出する。通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率とがともに算出済みで揃った場合(S266のY)、通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率の比率を算出する(S268)。通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率とが未算出または揃っていない場合(S266のN)、S268をスキップする。S260において一般入賞口72への入球数の計数期間の終了タイミングではなかった場合、S262からS268までの処理をスキップする(S260のN)。通常遊技と特別遊技における一般入賞口72への入球率の比率が基準比率を超えた場合(S270のY)、エラー判定手段128はエラーを報知し(S272)、基準比率を超えていなければS272をスキップする(S270のN)。
【0110】
図12は、図8におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。通常遊技制御処理において、当否抽選値の保留がなされている場合であって(S30のY)、図柄変動が表示中でなければ(S32のN)、当否抽選手段112が当否判定処理を実行する(S34)。その判定結果に応じてメイン表示制御手段118が変動表示を開始するとともに、変動開始コマンドを演出表示制御手段134へ送信し、これを受信した演出表示制御手段134が変動演出パターンにしたがって演出画像の変動表示を開始する(S36)。S30において当否抽選値が保留されていなかった場合は(S30のN)、S32からS36までの処理がスキップされ、S32において図柄変動が表示中であった場合は(S32のY)、S34およびS36の処理がスキップされる。続いて、図柄変動表示がすでに開始されていれば(S38のY)、図柄変動表示処理を実行し(S40)、図柄変動表示が開始されていないときは(S38のN)、S40をスキップする。
【0111】
図13は、図12におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、当否抽選手段112が当否抽選値を読み出して(S42)、その当否抽選値に基づいて当否を判定する(S44)。図柄決定手段114は、当否判定結果に基づいて特別図柄の停止図柄を決定し(S46)、変動パターン決定手段115が特別図柄の変動パターンを選択する(S48)。演出決定手段132は、当否判定結果および特別図柄に基づいて装飾図柄の停止図柄組合せを決定し(S50)、特別図柄の変動パターンに応じて装飾図柄の変動演出パターンを選択する(S52)。
【0112】
図14は、図8におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。当否抽選の結果が大当りであった場合(S90のY)、すでに特別遊技が開始済みであって(S92のY)、大入賞口66が開放済でなければ(S98のN)、大入賞口66の開放処理を実行する(S100)。このとき、設定された大当り演出の表示も開始する。大入賞口66が開放済みであれば(S98のY)、大入賞口66の閉鎖処理を実行する(S102)。その結果、大入賞口66が閉鎖状態になっていれば(S104のY)、S106へ移行する。閉鎖状態でなければ(S104のN)、S106以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。一方、S92において特別遊技が開始済みでない場合は(S92のN)、特別遊技を開始して(S94)、その開始デモ演出の表示を開始し(S96)、本処理を一旦終了する。
【0113】
S106においては、特別遊技中の演出であるデモ演出中であるか否かを判定する。なお、ここでいう「デモ演出」は、開始デモ演出および終了デモ演出を含む。デモ演出中でなければ(S106のN)、後述する終了フラグを参照して特別遊技終了条件が満たされるか否かを判定し(S110)、特別遊技終了条件が満たされていれば(S110のY)、その終了フラグをオフにしたうえで(S112)、終了デモ演出の表示を開始する(S114)。特別遊技終了条件が満たされていなければ(S110のN)、本処理を一旦終了する。S106にてデモ演出中であると判定され(S106のY)、終了デモ演出が終了した場合(S116のY)、特別遊技を終了し(S118)、特定遊技、すなわち確変、時短、および入球容易状態を開始する(S120)。終了デモ演出が終了していない場合は(S116のN)、S118およびS120の処理をスキップする。大当りでない場合は(S90のN)、本図のS92以降のフローをスキップする。
【0114】
図15は、図14におけるS100の開放処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の開放タイミングとなったとき(S122のY)、開閉制御手段124は、通過フラグを一律にオフにするとともに開閉パターンの動作を設定し(S124)、大入賞口66を開放させる(S126)。また、現在の単位遊技の繰り返し回数に対応した大当り演出、または繰り返し回数が異なる回数になることに対応した大当り演出を設定して開始する。開放タイミングでないときは(S122のN)、S124およびS126の処理をスキップする。
【0115】
図16は、図14におけるS102の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の閉鎖タイミングとなったとき、開閉制御手段124は大入賞口66を閉鎖させる。すなわち、特別遊技中において、入球数による終了条件が満たされるか(S130のY)、入球数による終了条件が満たされなくとも(S130のN)、開放時間による終了条件が満たされれば(S132のY)、大入賞口66を閉鎖する(S134)。開放時間による終了条件も満たされなければ(S132のN)、S134以降のフローをスキップする。
【0116】
なお、15R大当りにおける入球数による終了条件は大入賞口66への10球以上の入球であり、開放時間による終了条件は、大入賞口66の開放開始から開閉パターンに沿った設定時間の経過である。15R大当りの場合は、その開放開始から30秒の経過であり、2R大当りの場合は、その開放開始から0.5秒の経過である。ただし、0.5秒の開放は極めて短いため、10球以上の入球はもちろん、入球そのものが困難である。その大入賞口の開放と同時に遊技球を打ち出したとしても入球困難であるため、大入賞口66の極短開放が行われる2R大当りについては、大入賞口66の開放前にその開放を予測して遊技球を打ち出す必要がある。一方、15R大当りにおける入球数による終了条件は大入賞口への10球以上の入球であり、開放時間による終了条件は、大入賞口66の開放開始から30秒の経過である。このとき、継続上限回数に達していれば(S136のY)、終了フラグをオンにする(S138)。継続上限回数に達していなければ(S136のN)、S138の処理をスキップする。本実施例においてこの継続上限回数は15回である。入球数による終了条件および開放時間による終了条件のいずれも満たされていなければ(S130のN,S132のN)、S134以降の処理をスキップする。
【0117】
図17は、図8におけるS17の小当り遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。当否抽選の結果が小当りであった場合(S150のY)、既に小当り遊技が開始済みであって(S152のY)、大入賞口66が開放済でなければ(S158のN)、大入賞口66の開放処理を実行し(S160)、開放済みであれば(S158のY)、大入賞口66の閉鎖処理を実行する(S162)。その結果、大入賞口66が閉鎖状態になっていれば(S164のY)、S166へ移行する。閉鎖状態でなければ(S164のN)、S166以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。一方、S152において小当り遊技が開始済みでない場合は(S152のN)、小当り遊技を開始して(S154)、2R大当りと同様の開始デモ演出の表示を開始し(S156)、本処理を一旦終了する。
【0118】
S166においては、小当り遊技中の演出であるデモ演出中であるか否かを判定する。デモ演出中でなければ(S166のN)、小当り遊技終了条件が満たされたか否かを判定する。ここでは、後述する終了フラグがオンになっていれば、小当り遊技終了条件が満たされることになる。小当り遊技終了条件が満たされていれば(S170のY)、その終了フラグをオフにしたうえで(S172)、終了デモ演出の表示を開始する(S174)。小当り遊技終了条件が満たされていなければ(S170のN)、本処理を一旦終了する。S166にてデモ演出中であると判定され(S166のY)、終了デモ演出が終了した場合(S176のY)、小当り遊技を終了する(S178)。終了デモ演出が終了していない場合は(S176のN)、S178の処理をスキップする。小当りでない場合は(S150のN)、本図のS152以降のフローをスキップする。
【0119】
図18は、図17におけるS160の開放処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の開放タイミングとなったとき(S180のY)、開閉制御手段124は、開閉パターンの動作を設定し(S182)、大入賞口66の開放を開始する(S184)。開放タイミングでないときは(S180のN)、S182およびS184の処理をスキップする。
【0120】
図19は、図17におけるS162の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の終了タイミングとなったとき(S190のY)、終了フラグをオンにし(S192)、大入賞口66を閉鎖する(S194)。なお、この閉鎖タイミングは、大入賞口66の開放開始から0.5秒の経過したタイミングである。閉鎖タイミングでなければ(S190のN)、S192およびS194の処理をスキップする。
【0121】
(第2実施例)
本実施例においては、入球率算出手段126が、一般入賞口72への入球率ではなく、始動口62への入球率を算出する点で第1実施例と異なる。すなわち、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率との比率が所定の基準比率を超えた場合に不正な遊技者による不正行為があったと判定する。以下、第1実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。
【0122】
図3において、入球率算出手段126は、始動口62への入球率を算出する。エラー判定手段128は、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率との比率が所定の基準比率を超えたときにエラーを報知する。通常、始動口62への入球に対する規定賞球数は一般入賞口72への入球に対する規定賞球数よりも少ないため、不正な遊技者は始動口62よりも一般入賞口72を狙う可能性が高いものの、本実施例によれば始動口62へ不正に入球させるという目立ちにくい行為までも検出することができる。
【0123】
なお、図9においては、第1実施例におけるS221の処理がS200とS202の間に実行され、第1実施例におけるS223の処理がS202とS204の間に実行される。すなわち、始動口62への入球があったとき、新たな当否抽選値を保留制御手段116に保留できる状態であるかどうかにかかわらずS221およびS223に相当する処理が実行される。
【0124】
(第3実施例)
本実施例においては、特別遊技における一般入賞口72への入球率が算出された時点で通常遊技における一般入賞口72への入球率が未算出であった場合、その算出した特別遊技における一般入賞口72への入球率を「基準値」に設定する点で第1,2実施例と異なる。以下、第1,2実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。
【0125】
特別遊技において一般入賞口72への不正な入球がなかった場合、特別遊技における一般入賞口72への入球率は通常遊技における一般入賞口72への入球率と比べて有意な差異はないはずである。そのため、通常遊技における一般入賞口72への入球率が未算出のまま特別遊技における一般入賞口72への入球率が算出された場合はその算出した値をいったん「基準値」に設定する。その後の通常遊技においては原則通り通常遊技における一般入賞口72への入球率を算出し、エラー判定手段128はその算出した通常遊技における入球率と「基準値」としての特別遊技における入球率との比率を算出する。ここで、もし特別遊技において不正な入球がされていた場合、通常遊技における入球率は「基準値」を大きく下回るはずであり、通常遊技における入球率と「基準値」の比率は所定の基準比率を超えることとなる。その場合にはエラー判定手段128がエラーを報知し、特別遊技後の通常遊技における入球率を新たな「基準値」として電源終了まで保持する。逆に、通常遊技における入球率と「基準値」の比率が所定の基準比率を超えなかった場合は、最初の特別遊技において不正な入球がなかったものとして、その「基準値」を通常遊技における入球率として有効な算出結果とみなし、電源終了まで保持する。
【0126】
(第4実施例)
本実施例においては、入球率算出手段126およびエラー判定手段128をサブ基板104に設ける点で、入球率算出手段126およびエラー判定手段128をメイン基板102に設ける第1〜3実施例と異なる。以下、第1〜3実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。
【0127】
サブ基板104に設けられた入球率算出手段126は、一般入賞口72への入賞を示す情報や遊技状態を示す情報を含んだコマンドをメイン基板102から受け取り、発射制御基板47から遊技球の発射状態を示す情報を受け取る。これらの情報に基づいて入球率算出手段126は通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率を算出する。サブ基板104に設けられたエラー判定手段128は、通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率の比率が所定の基準比率を超えた場合にエラーと判定する。
【0128】
なお、変形例として、入球率算出手段126をメイン基板102に設け、エラー判定手段128をサブ基板104に設ける構成としてもよい。
【0129】
(第5実施例)
本実施例においては、エラー判定手段128によりエラーと判定された場合に発射制御基板47が遊技球の発射を停止させる点で第1〜4実施例と異なる。以下、第1〜4実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。
【0130】
エラー判定手段128は、通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率の比率が所定の基準比率を超えた場合、エラーを示す情報を発射制御基板47にも送信する。エラーを示す情報を受け取った発射制御基板47は、遊技球の発射を停止させる。
【0131】
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0132】
上記の各実施例においては、一般入賞口72への入球率または始動口62への入球率を用いて通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率の比率を算出する構成を説明した。変形例においては、一般入賞口72への入球と始動口62への入球の合計を入賞口への入球率とし、それら入球の合計による通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率の比率を算出する構成であってもよい。または、第1実施例の機能と第2実施例の機能を一つのぱちんこ遊技機10に併せ持つことにより、一般入賞口72への不正な入球と始動口62への不正な入球をそれぞれ別個に検出できる構成としてもよい。
【0133】
上記の第2実施例またはその変形例においては、入球率算出手段126が始動口62への入球率を算出する構成を説明した。変形例においては、始動口62への入球率を始動口62の拡開機構63が拡開した状態での入球と閉鎖した状態での入球とを区別して算出する構成としてもよい。始動口62は、拡開機構63が拡開した状態では閉鎖した状態より入球率が高まる特性を有するため、これらを区別するか否かで入球率の比率は大きく異なる可能性がある。したがって、例えば拡開機構63が閉鎖した状態のみを算出期間の対象とし、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。逆に、例えば拡開機構63が拡開した状態のみを算出期間の対象として通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。
【0134】
別の変形例としては、始動口62が入球容易状態である場合とそうでない場合とを区別して始動口62への入球率を算出する構成としてもよい。始動口62は、入球容易状態においては頻繁に、かつ、長く拡開機構63が拡開して入球率が高まる特性を有する。したがって、入球容易状態であるかどうかで入球率の比率も大きく異なる可能性がある。したがって、例えば入球容易状態でない状態のみを算出期間の対象とし、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。逆に、例えば入球容易状態のみを算出期間の対象として通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。
【0135】
上記の各実施例においては、通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率との比率が基準比率を超えたときにエラーを報知する構成を説明した。変形例においては、特別遊技中であるか否かを問わず、基準として設定された所定時間あたりの入賞口への入球率と遊技中に算出された所定時間あたりの入賞口への入球率との比率が基準比率を超えたときにエラーを報知する構成としてもよい。
【0136】
上記の各実施例においては、特別遊技が発生した時点で通常遊技における入賞口への入賞率が未算出であった場合には特別遊技終了後に通常遊技における入賞口への入球率を算出する構成を説明した。変形例においては、特別遊技が発生した時点で通常遊技における入賞口への入賞率が未算出であった場合には、電源投入前のデータ、例えば前日の営業時に記録された入球率データであって電源終了時にバックアップされたデータを用いて入球率の比率を算出する構成としてもよい。
【0137】
(第6実施例)
本実施例においては、通常遊技における一般入賞口への入球率と特別遊技における一般入賞口への入球率との比率が判定値を超えた場合に不正な遊技者による不正行為があったと判定する。また、特別遊技における大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数の比率が所定の基準比率を超えた場合にも不正な遊技者による不正行為があったと判定する。不正行為としては、遊技球に釣り糸等の目立たない糸状部材を取り付けて一般入賞口へ入球させ、その糸状部材の引っ張りと弛緩を繰り返すことで何度も一般入賞口の入球センサに反応させる行為が考えられる。こうした行為を仮に通常遊技中に実行した場合、特別遊技以外における賞球払出数の急増を検出する遊技機またはホールコンピュータの機能によって発覚する可能性があるため、不正な遊技者は通常遊技中には糸状部材を悪用した不正行為の実行を避けることが考えられる。これに対して特別遊技においては、もともと賞球払出数が急増する期間であるがゆえに、これに紛れて糸状部材を悪用した不正行為が実行されても従来の機能では発見できない。例えば実際には単位遊技8R分しかない特別遊技において、単位遊技15R分の特別遊技に相当する出玉があったとしても、従来の機能によっては不正による出玉であったのかは判別できない。そこで、本実施例においては通常遊技中と特別遊技中で一般入賞口への入球率を区別して算出し、これらの対比によって不正な入賞を検出する。また、特別遊技における大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数を区別してその比率を検出し、これらの対比によって不正な入賞を検出する。
【0138】
また、判定値には可変値を設定しておくことにより、不正な遊技者が遊技機を入手して解析しても、遊技店での遊技機には同じ判定値が設定されているとは限らず、解析結果をもとにした不正行為を困難にすることができる。また、不正行為があったことを判定したときはその旨を報知するが、判定タイミングから報知タイミングの時間間隔を可変にすることにより、報知タイミングに基づいて判定値を推測することも困難にすることができる。以下、第1〜5実施例との相違を中心に説明する。
【0139】
図2において、サブ基板104には、その基板上に、後述する判定値を手動設定するときに操作する設定スイッチ302が設けられている(図示せず)。遊技店員など、ぱちんこ遊技機10の背面側に正当にアクセスして操作できる者が設定スイッチ302を操作することにより、判定値の設定を指示することができる。
【0140】
図20は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、可動役物140、外部装置300、設定スイッチ302のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段136、入球率算出手段127、賞球数検出手段129、エラー判定手段128を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
【0141】
これにより、各入賞口への入球数の計数とエラーの判定をサブ基板104側で処理できるため、メイン基板102側では、各入賞口への入球を示す信号をサブ基板104へ送信するだけでよい。メイン基板102では例えば制御プログラムやデータを格納するためのROMの容量がそれぞれ3キロバイトに制限され、また、RAMの記憶容量が1キロバイト、その使用領域が512バイトに制限されるといった制約がある。そのため、設計者としてはROMやRAMに記憶させるデータは1バイトでも小さくして記憶容量を稼ぎたいところである。したがって、入賞口への入球数の計数処理とエラーの判定処理のプログラムをサブ基板104に搭載させ、メイン基板102に搭載しなくて済むことは設計上も大きなメリットがあり、そこで稼いだ容量分を別のプログラムのために有効活用することができる。ただし、変形例として、上記のデータ格納領域に関する効果は得られないものの、入球率算出手段127とエラー判定手段128をメイン基板102に設けることは十分可能である。
【0142】
入球判定手段110は、入球率算出手段127および賞球数検出手段129に対して始動入賞情報、大入賞口入賞情報、一般入賞情報を送出する。
【0143】
入球率算出手段127は、入球判定手段110から受け取る一般入賞情報に基づいて一般入賞口72への入球率を算出する。入球率算出手段127は、入球判定手段110から一般入賞情報を受け取るたびにその数を入球数として計数し、その入球数と計数開始からの経過時間に基づいて所定期間、例えば10分間あたりの入球数を算出してこれを一般入賞口72への入球率とする。入球の計数は、ぱちんこ遊技機10の電源投入後における所定の契機に開始する。例えば、電源投入後に最初に一般入賞情報を受け取ったときに開始することとしてもよいし、電源投入後の最初の遊技球発射時に開始することとしてもよい。入球率算出手段127は、遊技球の発射がオンオフいずれの状態にあるかを示す情報を発射制御基板47から取得する。これら所定の契機に入球の計数を開始した後、下限時間として少なくとも10分間以上が経過するまで特別遊技が発生しないまま入球の計数期間が継続した場合に、その入球数を用いて算出した一般入賞口72への入球率を有効な算出結果とする。
【0144】
下限時間の経過前に遊技者が遊技を中断して遊技球の発射を一定時間停止させた場合、遊技を再開させたときに下限時間までの残り時間の分だけ計数を再開させてもよいし、最初から下限時間に達するまで計数し直してもよい。下限時間の経過前に特別遊技が発生した場合にも、その特別遊技の終了後の通常遊技において下限時間までの残り時間の分だけ計数を再開させてもよいし、最初から下限時間に達するまで計数し直してもよい。入球率算出手段127は、通常遊技における一般入賞口72への入球率として有効な算出結果を得た後は、そのデータを電源終了まで保持し、その後の通常遊技においては一般入賞口72への入球率は特に算出を要しない。
【0145】
入球数を計数する所定期間の変形例として、入球数算出手段127は、入球タイミングから遡った過去の計数期間分、例えば少なくとも過去10分間分の入球時刻に関するログを記録して保存することとし、新たな入球があるたびにその入球タイミングから過去10分間の入球数を計数する構成としてもよい。この場合、新たな入球があるたびに入球数が計数されるため、新たな入球があったそのタイミングで判定値を超えたか否か、すなわち不正が行われているか否かを判定することができる。実際の経過時間が10分間を経過しても、実際の入球があって初めて算出される累積期間が10分間を経過したと判明するまでは入球時刻等のログを消去せずに保持し、新たな入球があるたびに累積期間を超えて遡るログを消去することとしてもよい。あるいは、累積期間を常時算出し、開放期間と閉鎖期間で分ける場合は別々に累積期間を常時算出し、現在時刻から遡る累積期間が計数期間を超えることが判定されるたびにその超えた分のログを消去することとしてもよい。計数期間が経過したか否かは、累積期間を事後的に算出することで初めて判明するため、不正により通常の想定ペースを超える多数の入球が発生した場合でもその不正を検出できるよう、多数の入球を記録できるだけの十分な容量を確保することが望ましい。
【0146】
入球率算出手段127は、特別遊技が開始されるたびに特別遊技における一般入賞口72への入球率を算出する。例えば、特別遊技が開始されるたびにその特別遊技中の一般入賞口72への入球数と特別遊技の時間に基づいて、10分間あたりの入球数を算出してこれを特別遊技における一般入賞口72への入球率とする。ただし、特別遊技の種類によっては有効な入球率が算出できない場合があるため、その場合は算出処理をスキップまたは算出結果を無効とする。例えば、2R大当りの場合、特別遊技の時間が極端に短いために通常であればその期間内に一般入賞口72へ入球することは考えにくいものの、偶発的にタイミングよく入球した場合には、10分あたりの入球数に換算したときに不正がなくとも想定外に大きな値となるおそれがある。また、不正な遊技者としてもわざわざ極端に短い期間である2R大当りのときにまで不正行為を働くとは考えにくく、仮に不正行為をしたとしてもその効果は極端に小さい。そのため、2R大当りの特別遊技は一般入賞口72への入球率の算出対象外とする。
【0147】
エラー判定手段128は、入球率算出手段127から、通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率を取得する。エラー判定手段128は、特別遊技における一般入賞口72への入球率を取得した時点で通常遊技における一般入賞口72への入球率を未取得であった場合は、特別遊技の実行後の通常遊技における一般入賞口72への入球率を取得する。エラー判定手段128は、特別遊技の前後に取得する通常遊技における一般入賞口72への入球率と、特別遊技が開始されるたびに取得する特別遊技における一般入賞口72への入球率とが揃ったときに、通常遊技における入球率と特別遊技における入球率との比率を算出する。
【0148】
エラー判定手段128は、通常遊技における入球率と特別遊技における入球率との比率が判定値を超えたときにエラーと判定し、その判定から猶予期間が経過した後にエラーを報知する。判定値としては、遊技機の設計段階における実験値または設計値に基づいて定められた判定値範囲からランダムに選ばれる可変値が設定される。例えば、通常遊技における一般入賞口72への入球率が10分間に平均3個で、その標準偏差σが1であった場合、入球率の範囲が平均μ±3σであると考えると、最大で0個〜6個の範囲にほぼ収まると考えられる。この場合、平均入球率の2倍までは最大誤差として生じ得ると考えた上で、余裕のある確実な値として判定値を例えば1:2.5から1:3までといった範囲からランダムで選択して設定してもよい。実際、通常遊技における一般入賞口72への入球率が10分間に3個程度であったとしても、不正な遊技者は特別遊技という限られた期間に多数の賞球を獲得するため一般入賞口72への入球率が10分間に150個となるような頻度で不正入球させる可能性がある。したがって、1:2.5から1:3までといった判定値の範囲でも十分に不正行為を検出できる。また、入賞口において通常では起こり得ない程度の入球が発生したときにこれを不正による入球であると判定することができ、また、その判定基準が外部から安易に推測できないようにすることができる。すなわち、ぱちんこ遊技機10を不正行為者が入手してどのような数値を基準としてエラー判定されるかを解析したとしても、その数値を可変値となるように設定しているため、その解析結果に基づいて実際に遊技店で遊技したとしても解析通りには作動しないこととなる。あるいは、相当な長時間を費やせば理論上は解析が可能であったとしても、他の遊技機種と比べてそのような長時間をかけない限り有効な解析が不能となれば、不正行為者による不正な解析意欲を減退させることができ、不正の抑制または未然防止を期待できる。
【0149】
エラー判定手段128は、所定の設定タイミングに達するたびに判定値として所定の値範囲に含まれるランダムの値を設定する。本実施例における判定値の設定タイミングは、計数期間の開始時である。エラー判定手段128は、判定値範囲の境界値に近い値に対する設定の頻度が境界値に遠い値に対する設定の頻度より低くなるように分散させたランダムの値を判定値に設定する。境界値は、例えば判定値範囲の下限値であり、下限値に近い値が下限値に遠い値より設定の頻度が低くなるように分散させる。判定値の分散は、判定値範囲下限の境界値と上限の境界値の中間近傍にある値をピークとする正規分布曲線を描くように分散した値を判定値に設定してもよい。これにより、エラーの判定基準となる判定値範囲の境界値を外部から安易に推測できないようにすることができる。すなわち、ぱちんこ遊技機10を不正行為者が入手して解析しようとしても設定頻度の低い境界値は容易に解析できないか、少なくとも相当な長時間の解析が必要となり、不正の抑制または未然防止を期待できる。
【0150】
エラー判定からエラー報知までの猶予期間として複数の候補値が用意され、エラー判定手段128がいずれかの候補値をランダムで猶予期間に設定することにより、猶予期間の時間値が可変となる。猶予期間の設定タイミングは、判定値と同様に計数期間の開始時である。このように、ぱちんこ遊技機10を不正行為者が入手してどのような数値を基準としてエラー判定されるかを解析したとしても、その数値とエラー報知のタイミングが必ずしも一致せず、実際のエラー判定から報知までに可変のタイムラグが生じることから、外部からの判定値の解析が困難となる。したがって、不正行為者による不正な解析意欲を減退させることができ、不正の抑制または未然防止を期待できる。
【0151】
エラー判定手段128は、判定値範囲の候補として複数種類の候補範囲を保持し、遊技店員等の操作者による設定スイッチ302の操作に応じて複数種類の候補範囲のうちいずれかを判定値範囲に設定する。設定スイッチ302は、例えばサブ基板104にディップスイッチの形で設けられてもよい。遊技店員が遊技機ごとに入賞口近辺の釘調整具合に合わせて判定基準の厳しさを微調整することができ、より実態にあった判定値を設定して適切なエラー判定をすることができる。ただし、変形例として、判定値範囲を設定するのではなく、判定値そのものを設定スイッチ302の操作に応じて設定する構成としてもよい。この場合の判定値の候補は複数種類の候補値が用意され、いずれかの候補値が判定値に設定され、ランダムな値は設定されない。
【0152】
通常遊技における入球率と特別遊技における入球率との比率が判定値を超えたときにエラーと判定し、その判定から猶予期間が経過した後、エラー判定手段128は、エラーを示す情報を外部装置300としてのホールコンピュータへ出力する。ホールコンピュータは、遊技店が用意する遊技機管理用コンピュータの総称であり、各遊技機はホールコンピュータに接続され、ホールコンピュータは遊技店内の各遊技機からそれぞれの遊技状態に関する情報を収集する。また、エラー判定手段128は、エラーを示す情報を演出決定手段132または演出表示制御手段134へ送信して演出表示装置60の画面にもエラーである旨を表示させることによりエラーを報知させる。エラー判定手段128は、演出表示装置60の画面にエラーを報知した場合、ぱちんこ遊技機10の電源がオフされるまでエラーを報知した状態を維持する。これにより、例えば演出表示装置60の画面でエラーである旨を表示させる一方で、遊技そのものの停止まではしない構成に設計したとしても、不正行為者としてはいつまでもエラーが消えることがないために事実上遊技を継続することは困難となる。これにより、不正な行為を防止することができる。また、遊技そのものを停止する機能を搭載しなくても、エラーを報知して電源オフまで維持する機能を搭載するだけで効果的に不正行為を防止できるため、より低コストおよび簡易設計にて予防策を講じることができる。ただし、変形例としては、エラー判定手段128がエラーを判定したときに遊技球の発射を強制的に停止させることによって、それ以上の不正行為を防止する構成としてもよい。別の変形例としては、エラーである旨を演出表示装置60の画面には報知せずに外部装置300にだけエラーを示す情報を出力する構成としてもよい。この場合、不正行為に起因するエラーを不正行為者には知られずに遊技店に把握させることができる。
【0153】
以上のように、不正な行為を検出し、エラーを報知するが、本来は入賞口に複数のフォトセンサを設け、釣り糸を用いた遊技球の上げ下げを直接的に検出する方が不正検出の確実性は高い。しかし、センサを設けること自体がハードウェアのコスト増を招く設計であるため、本実施例のようにソフトウェアの変更のみで対応できる構成はハードウェアの製造コスト増加を招かないメリットがある。
【0154】
賞球数検出手段129は、特別遊技が開始されるたびに特別遊技における大入賞口66への入球を契機とした大入賞口賞球払出数と一般入賞口72への入球を契機とした一般入賞口賞球払出数を検出する。本実施例においては、大入賞口66への入球に対する規定賞球数と特別遊技における大入賞口66への入球数により特別遊技における大入賞口賞球払出数を算出する。例えば、大入賞口66へ10球入球すれば大入賞口賞球払出数を150球と算出する。また、賞球数検出手段129は、一般入賞口72への入球に対する規定賞球数と特別遊技における一般入賞口72への入球数により特別遊技における入賞口賞球払出数を算出する。例えば、一般入賞口72へ10球入球すれば一般入賞口賞球払出数を100球と算出する。賞球数検出手段129は、入球判定手段110から大入賞情報を受け取るとともに、大入賞情報を受け取るたびにその数を大入賞口66への入球数として計数する。賞球数検出手段129は、入球判定手段110から一般入賞情報を受け取るとともに、一般入賞情報を受け取るたびにその数を一般入賞口72への入球数として計数する。
【0155】
賞球数検出手段129は、特別遊技の終了時に特別遊技における大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数を検出する。ただし、特別遊技の種類によっては有効な入球数が検出できない場合があるため、その場合は検出処理をスキップまたは検出結果を無効とする。例えば、2R大当りの場合、特別遊技の時間が極端に短いために通常であればその期間内に大入賞口66および一般入賞口72へ入球することは考えにくいものの、偶発的にタイミングよく入球しても統計的信用のない値にしかならず、不正がなくともエラーとなるおそれがある。また、不正な遊技者としてもわざわざ極端に短い期間である2R大当りのときにまで不正行為を働くとは考えにくく、仮に不正行為をしたとしてもその効果は極端に小さい。そのため、2R大当りの特別遊技は大入賞口66および一般入賞口72への入球数の検出対象外とする。
【0156】
エラー判定手段128は、賞球数検出手段129から、特別遊技における大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数を取得し、それら大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数の比率を算出する。特別遊技における大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数との比率が所定の基準比率を超えた場合、エラー判定手段128がエラーを示す情報を演出決定手段132または演出表示制御手段134へ送信して演出表示装置60へエラーを報知させ、また、エラー判定手段128は、エラーを示す情報を外部装置300としてのホールコンピュータへ出力する。ホールコンピュータは、遊技店が用意する遊技機管理用コンピュータの総称であり、各遊技機はホールコンピュータに接続され、ホールコンピュータは遊技店内の各遊技機からそれぞれの遊技状態に関する情報を収集する。エラーを示す情報が遊技店側へ送信されて不正の疑いのある行為が通報されるので、遊技店は直ちに然るべき処置を採ることができる。
【0157】
特別遊技における大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数の基準比率は、遊技機の設計段階における実験値または設計値に基づいて定められる。例えば、特別遊技における大入賞口賞球払出数が1分間あたり平均300個で、特別遊技における一般入賞口賞球払出数が1分間あたり平均3個とすると、大入賞口賞球払出数に対する一般入賞口賞球払出数の比率は1/100である。遊技者が遊技球の発射を停止せずに打ち続けたと仮定し、大入賞口賞球払出数の標準偏差σが30であった場合に大入賞口賞球払出数の範囲が平均μ±3σであると考えると210個〜390個の範囲にほぼ収まると考えられる。また、1分間あたりの一般入賞口賞球払出数の標準偏差σが1であった場合に一般入賞口賞球払出数の範囲が平均μ±3σであると考えると0個〜6個の範囲にほぼ収まると考えられる。この場合、大入賞口賞球払出数に対する一般入賞口賞球払出数の比率は、不正行為および遊技球の発射停止がなければ最大でも1/35程度である。したがって、余裕のある確実な値として基準比率を例えば1/30や1/25といった値に設定してもよい。実際、不正な遊技者は特別遊技という限られた期間に多数の賞球を獲得するため一般入賞口賞球払出数が1分間に100個や200個となるような頻度で不正入球させる可能性がある。したがって、1/10や1/5といった基準比率の値でも十分に不正行為を検出できる。あるいは、誤差に基づく誤検出をさらに確実に排除するために、さらに余裕のある基準比率として1/3や1/2といった値を用いたとしても十分に不正行為を検出できる。
【0158】
なお、遊技者が何らかの理由により特別遊技中に遊技球の発射を停止した場合には大入賞口賞球払出数が減るが、発射停止により一般賞球払出数も減るために比率はさほど変わらない。
【0159】
図21は、図8におけるS10の入球処理を詳細に示すフローチャートである。始動口62に入球があった場合(S400のY)、始動口62に対応する規定賞球数をセットする(S402)。保留制御手段116による当否抽選値の保留数が4未満であるか否かを参照してさらなる保留が可能な状態であれば(S404のY)、当否抽選値を取得し(S406)、その当否抽選値を保留制御手段116に保留する(S408)。S400において始動口62への入球がない場合はS402からS408までの処理をスキップする(S400のN)。S404において保留数が上限に達していてさらなる保留が不可能な場合はS406およびS408の処理をスキップする(S404のN)。
【0160】
作動口68に入球があった場合(S410のY)、保留制御手段116による開放抽選値の保留数が4未満であるか参照してさらに保留可能な状態であれば(S412のY)、開放抽選値を取得し(S414)、その開放抽選値を保留制御手段116に保留する(S418)。S410において作動口68への入球がない場合はS412からS418までの処理をスキップする(S410のN)。S412において保留数が上限に達していてさらなる保留が不可能な場合はS414からS418までの処理をスキップする(S412のN)。
【0161】
一般入賞口72に入球があった場合(S420のY)、入球率の算出処理を実行し(S421)、一般入賞口72に対応する規定賞球数をセットし(S422)、入球率に基づくエラー判定処理を実行し(S423)、一般入賞口72への入球がないときはS421からS423までの処理をスキップする(S420のN)。大入賞口66に入球があった場合は(S424のY)、入球数の計数処理を実行し(S425)、大入賞口66に対応する規定賞球数をセットし(S426)、大入賞口66への入球がないときはS425およびS426をスキップする(S424のN)。
【0162】
図22は、図21におけるS421の入球率算出処理を詳細に示すフローチャートである。遊技状態が通常遊技中の場合であって(S440のY)、一般入賞口72への入球数の計数期間中でない場合(S442のN)、一般入賞口72への入球率が未算出であれば(S444のY)、入球数の計数期間を開始し(S446)、一般入賞口72への入球を計数する(S448)。一般入賞口72への入球率が算出済みであれば(S444のN)、S446およびS448の処理をスキップする。S442において一般入賞口72への入球数の計数期間中であれば、S444からS446までの処理をスキップする(S442のY)。S440において遊技状態が特別遊技中であれば(S440のN)、つねに入球数の計数期間に相当するので一般入賞口72への入球を計数する(S446)。
【0163】
図23は、図21におけるS423のエラー判定処理を詳細に示すフローチャートである。一般入賞口72への入球数の計数期間中であってその計数期間の終了タイミングであれば(S460のY)、計数期間を終了し(S462)、通常遊技または特別遊技における一般入賞口72への入球率、すなわち10分間あたりの入球数を算出する。通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率とがともに算出済みで揃った場合(S466のY)、通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率の比率を算出する(S468)。通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率とが未算出または揃っていない場合(S466のN)、S468をスキップする。S460において一般入賞口72への入球数の計数期間の終了タイミングではなかった場合、S462からS468までの処理をスキップする(S460のN)。通常遊技と特別遊技における一般入賞口72への入球率の比率が判定値を超えた場合(S470のY)、エラー判定手段128はエラーを報知し(S472)、判定値を超えていなければS472をスキップする(S470のN)。
【0164】
図24は、図21におけるS425の入球数計数処理を詳細に示すフローチャートである。遊技状態が特別遊技中の場合であれば(S440のY)、大入賞口66への入球を計数し(S442)、特別遊技中でなければ(S440のN)、S442をスキップする。
【0165】
図25は、図8におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。特別遊技終了処理(S118)の詳細については次図で説明する。
【0166】
図26は、図25におけるS118の特別遊技終了処理を詳細に示すフローチャートである。まず、特別遊技を終了させ(S464)、特別遊技における一般入賞口72への入球数と規定賞球数に基づく一般入賞口賞球払出数と、特別遊技における大入賞口66への入球数と規定賞球数に基づく大入賞口賞球払出数を算出し(S466)、特別遊技における一般入賞口賞球払出数と大入賞口賞球払出数の比率を算出する(S468)。特別遊技における一般入賞口賞球払出数と大入賞口賞球払出数の比率が基準比率を超えた場合(S470のY)、エラー判定手段128はエラーを報知し(S472)、基準比率を超えていなければS472をスキップする(S470のN)。
(第7実施例)
本実施例においては、入球率算出手段127が、一般入賞口72への入球率ではなく、始動口62への入球率を算出する点で第6実施例と異なる。すなわち、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率との比率が判定値を超えた場合に不正な遊技者による不正行為があったと判定する。以下、第6実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。
【0167】
図20において、入球率算出手段127は、始動口62への入球率を算出する。エラー判定手段128は、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率との比率が判定値を超えたときにエラーを報知する。通常、始動口62への入球に対する規定賞球数は一般入賞口72への入球に対する規定賞球数よりも少ないため、不正な遊技者は始動口62よりも一般入賞口72を狙う可能性が高いものの、本実施例によれば始動口62へ不正に入球させるという目立ちにくい行為までも検出することができる。
【0168】
なお、図21においては、第6実施例におけるS421の処理がS400とS402の間に実行され、第6実施例におけるS423の処理がS402とS404の間に実行される。すなわち、始動口62への入球があったとき、新たな当否抽選値を保留制御手段116に保留できる状態であるかどうかにかかわらずS421およびS423に相当する処理が実行される。
【0169】
(第8実施例)
本実施例においては、特別遊技における一般入賞口72への入球率が算出された時点で通常遊技における一般入賞口72への入球率が未算出であった場合、その算出した特別遊技における一般入賞口72への入球率を「基準値」に設定する点で第6,7実施例と異なる。以下、第6,7実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。
【0170】
特別遊技において一般入賞口72への不正な入球がなかった場合、特別遊技における一般入賞口72への入球率は通常遊技における一般入賞口72への入球率と比べて有意な差異はないはずである。そのため、通常遊技における一般入賞口72への入球率が未算出のまま特別遊技における一般入賞口72への入球率が算出された場合はその算出した値をいったん「基準値」に設定する。その後の通常遊技においては原則通り通常遊技における一般入賞口72への入球率を算出し、エラー判定手段128はその算出した通常遊技における入球率と「基準値」としての特別遊技における入球率との比率を算出する。ここで、もし特別遊技において不正な入球がされていた場合、通常遊技における入球率は「基準値」を大きく下回るはずであり、通常遊技における入球率と「基準値」の比率は判定値を超えることとなる。その場合にはエラー判定手段128がエラーを報知し、特別遊技後の通常遊技における入球率を新たな「基準値」として電源終了まで保持する。逆に、通常遊技における入球率と「基準値」の比率が判定値を超えなかった場合は、最初の特別遊技において不正な入球がなかったものとして、その「基準値」を通常遊技における入球率として有効な算出結果とみなし、電源終了まで保持する。
【0171】
(第9実施例)
本実施例においては、エラー判定手段128によりエラーと判定された場合に発射制御基板47が遊技球の発射を停止させる点で第6〜8実施例と異なる。以下、第6〜8実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。
【0172】
エラー判定手段128は、通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率の比率が判定値を超えた場合、エラーを示す情報を発射制御基板47にも送信する。エラーを示す情報を受け取った発射制御基板47は、遊技球の発射を停止させる。
【0173】
(第10実施例)
本実施例においては、賞球数検出手段129が、一般入賞口72への入球を契機とする一般入賞口賞球払出数ではなく、始動口62への入球を契機とする始動入賞口賞球払出数を検出する点で第6〜9実施例と異なる。すなわち、特別遊技における大入賞口賞球払出数と始動入賞口賞球払出数の比率が所定の基準比率を超えた場合に不正な遊技者による不正行為があったと判定する。以下、第6〜9実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。
【0174】
図20において、賞球数検出手段129は、始動口62への入球数を計数し、始動口62への入球数と規定賞球数に基づいて始動入賞口賞球払出数を算出する。エラー判定手段128は、特別遊技における大入賞口賞球払出数と始動入賞口賞球払出数の比率が所定の基準比率を超えたときにエラーを報知する。通常、始動口62への入球に対する規定賞球数は一般入賞口72への入球に対する規定賞球数よりも少ないため、不正な遊技者は始動口62よりも一般入賞口72を狙う可能性が高いものの、本実施例によれば始動口62へ不正に入球させるという目立ちにくい行為までも検出することができる。
【0175】
なお、図21においては、第6〜9実施例におけるS421の処理がS400とS402の間に実行される。すなわち、始動口62への入球があったとき、新たな当否抽選値を保留制御手段116に保留できる状態であるかどうかにかかわらずS421に相当する処理が実行される。
【0176】
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0177】
(第1〜5実施例に対する変形例)
上記の各実施例においては、一般入賞口72への入球率または始動口62への入球率を用いて通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率の比率を算出する構成を説明した。変形例においては、一般入賞口72への入球と始動口62への入球の合計を入賞口への入球率とし、それら入球の合計による通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率の比率を算出する構成であってもよい。または、第1実施例の機能と第2実施例の機能を一つのぱちんこ遊技機10に併せ持つことにより、一般入賞口72への不正な入球と始動口62への不正な入球をそれぞれ別個に検出できる構成としてもよい。
【0178】
上記の第2実施例またはその変形例においては、入球率算出手段126が始動口62への入球率を算出する構成を説明した。変形例においては、始動口62への入球率を始動口62の拡開機構63が拡開した状態での入球と閉鎖した状態での入球とを区別して算出する構成としてもよい。始動口62は、拡開機構63が拡開した状態では閉鎖した状態より入球率が高まる特性を有するため、これらを区別するか否かで入球率の比率は大きく異なる可能性がある。したがって、例えば拡開機構63が閉鎖した状態のみを算出期間の対象とし、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。逆に、例えば拡開機構63が拡開した状態のみを算出期間の対象として通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。
【0179】
別の変形例としては、始動口62が入球容易状態である場合とそうでない場合とを区別して始動口62への入球率を算出する構成としてもよい。始動口62は、入球容易状態においては頻繁に、かつ、長く拡開機構63が拡開して入球率が高まる特性を有する。したがって、入球容易状態であるかどうかで入球率の比率も大きく異なる可能性がある。したがって、例えば入球容易状態でない状態のみを算出期間の対象とし、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。逆に、例えば入球容易状態のみを算出期間の対象として通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。
【0180】
上記の各実施例においては、通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率との比率が基準比率を超えたときにエラーを報知する構成を説明した。変形例においては、特別遊技中であるか否かを問わず、基準として設定された所定時間あたりの入賞口への入球率と遊技中に算出された所定時間あたりの入賞口への入球率との比率が基準比率を超えたときにエラーを報知する構成としてもよい。
【0181】
上記の各実施例においては、特別遊技が発生した時点で通常遊技における入賞口への入賞率が未算出であった場合には特別遊技終了後に通常遊技における入賞口への入球率を算出する構成を説明した。変形例においては、特別遊技が発生した時点で通常遊技における入賞口への入賞率が未算出であった場合には、電源投入前のデータ、例えば前日の営業時に記録された入球率データであって電源終了時にバックアップされたデータを用いて入球率の比率を算出する構成としてもよい。
【0182】
(第6〜10実施例に対する変形例)
上記の実施例においては、一般入賞口72への入球率または始動口62への入球率を用いて通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率の比率を算出する構成を説明した。変形例においては、一般入賞口72への入球と始動口62への入球の合計を入賞口への入球率とし、それら入球の合計による通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率の比率を算出する構成であってもよい。または、第6実施例の機能と第7実施例の機能を一つのぱちんこ遊技機10に併せ持つことにより、一般入賞口72への不正な入球と始動口62への不正な入球をそれぞれ別個に検出できる構成としてもよい。
【0183】
上記の実施例またはその変形例においては、入球率算出手段127が始動口62への入球率を算出する構成を説明した。変形例においては、始動口62への入球率を始動口62の拡開機構63が拡開した状態での入球と閉鎖した状態での入球とを区別して算出する構成としてもよい。始動口62は、拡開機構63が拡開した状態では閉鎖した状態より入球率が高まる特性を有するため、これらを区別するか否かで入球率の比率は大きく異なる可能性がある。したがって、例えば拡開機構63が閉鎖した状態のみを算出期間の対象とし、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。逆に、例えば拡開機構63が拡開した状態のみを算出期間の対象として通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。
【0184】
別の変形例としては、始動口62が入球容易状態である場合とそうでない場合とを区別して始動口62への入球率を算出する構成としてもよい。始動口62は、入球容易状態においては頻繁に、かつ、長く拡開機構63が拡開して入球率が高まる特性を有する。したがって、入球容易状態であるかどうかで入球率の比率も大きく異なる可能性がある。したがって、例えば入球容易状態でない状態のみを算出期間の対象とし、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。逆に、例えば入球容易状態のみを算出期間の対象として通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。
【0185】
上記の各実施例においては、通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率との比率が判定値を超えたときにエラーを報知する構成を説明した。変形例においては、特別遊技中であるか否かを問わず、基準として設定された所定時間あたりの入賞口への入球率と遊技中に算出された所定時間あたりの入賞口への入球率との比率が判定値を超えたときにエラーを報知する構成としてもよい。
【0186】
上記の各実施例においては、特別遊技が発生した時点で通常遊技における入賞口への入賞率が未算出であった場合には特別遊技終了後に通常遊技における入賞口への入球率を算出する構成を説明した。変形例においては、特別遊技が発生した時点で通常遊技における入賞口への入賞率が未算出であった場合には、電源投入前のデータ、例えば前日の営業時に記録された入球率データであって電源終了時にバックアップされたデータを用いて入球率の比率を算出する構成としてもよい。
【0187】
上記の各実施例においては、エラー判定の判定値にランダムな値を設定する構成を説明した。変形例においては、ぱちんこ遊技機10の台ごとに異なる固定値を判定値に設定する構成としてもよい。この場合もまた台ごとに異なる「可変値」といえるため、不正行為者が、ある台を入手して解析したとしても、遊技店に設置された台は異なる判定値が設定されているため、解析結果をそのまま用いることはできない。
【0188】
上記の各実施例においては、一般入賞口賞球払出数または始動入賞口賞球払出数を用いて特別遊技における大入賞口賞球払出数と入賞口賞球払出数の比率を算出する構成を説明した。変形例においては、一般入賞口72への入球と始動口62への入球の合計を入賞口への入球数とし、それら入球の合計による特別遊技における入賞口賞球払出数を算出し、特別遊技における大入賞口賞球払出数と入賞口賞球払出数の比率を算出する構成であってもよい。または、各実施例の機能を一つのぱちんこ遊技機10に併せ持つことにより、一般入賞口72への不正な入球と始動口62への不正な入球をそれぞれ別個に検出できる構成としてもよい。
【0189】
上記の各実施例またはその変形例においては、賞球数検出手段129が始動口62への入球数を計数する構成を説明した。変形例においては、始動口62への入球数を始動口62の拡開機構63が拡開した状態での入球と閉鎖した状態での入球とを区別して計数する構成としてもよい。始動口62は、拡開機構63が拡開した状態では閉鎖した状態より入球率が高まる特性を有するため、これらを区別するか否かで入球数の比率は大きく異なる可能性がある。したがって、例えば拡開機構63が閉鎖した状態のみを検出期間の対象とし、特別遊技における大入賞口賞球払出数と始動入賞口賞球払出数の比率を算出してもよい。逆に、例えば拡開機構63が拡開した状態のみを検出期間の対象として特別遊技における大入賞口賞球払出数と始動入賞口賞球払出数の比率を算出してもよい。
【0190】
上記の各実施例においては、賞球数検出手段129およびエラー判定手段128をメイン基板102に設ける構成を説明した。変形例においては、賞球数検出手段129およびエラー判定手段128をサブ基板104に設ける構成としてもよい。
【0191】
上記の各実施例および変形例においては、賞球数検出手段129が賞球払出数を入球数と規定賞球数に基づいて計算により求める構成を説明した。変形例においては、払出ユニット43や賞球タンク44から上球皿15または下球皿16までの払出通路の所定位置に賞球別の賞球払出数を検知できる賞球センサを設けて実際の賞球払出数を検出してもよい。別の変形例としては、賞球数検出手段129が一般入賞口72または始動口62、大入賞口66へ入球があるたびにそれぞれの規定賞球数を積算することで入賞口別の賞球払出数を求める構成としてもよい。
【0192】
上記の各実施例においては、エラー判定手段128が大入賞口賞球払出数と入賞口賞球払出数の比率を算出し、その比率が基準比率を超えるか否かによりエラー判定する構成を説明した。変形例においては、エラー判定手段128が特別遊技における大入賞口66および一般入賞口72への入球数の比率を算出し、その比率が基準比率を超えるか否かによりエラー判定する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0193】
10 ぱちんこ遊技機、 43 払出ユニット、 45 払出制御基板、 50 遊技盤、 52 遊技領域、 62 始動口、 66 大入賞口、 72 一般入賞口、 73 一般入賞検出装置、 74 始動入賞検出装置、 78 入賞検出装置、 110 入球判定手段、 112 当否抽選手段、 120 特別遊技制御手段、 126 入球率算出手段、 127 入球率算出手段、 128 エラー判定手段、 129 賞球数検出手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ぱちんこ遊技機等の弾球遊技機に関し、特に不正な遊技者による不正行為を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の弾球遊技機のうち、いわゆる第1種ぱちんこ遊技機と呼ばれていた遊技機は、遊技盤の略中央に設けられた液晶ディスプレイなどの表示領域に複数の図柄を変動させながら表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。この遊技機は、複数列の図柄変動を停止させたときの図柄の組合せが特定の態様となった場合に、通常遊技より多くの賞球が得られる、いわゆる大当りと呼ばれる特別遊技へと移行するものとして知られている(例えば、特許文献1参照)。表示領域における図柄の変動表示は、単に複数の図柄が変動表示されるだけでなく、いわゆるリーチ画面と呼ばれる状態のように、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態で変動表示の時間を通常よりも長くする等、遊技者の期待感を高めるための演出が図られている。また、キャラクタ画像や背景画像等を用いて図柄の変動表示にストーリーを持たせる演出を施したり、特別遊技への移行効率を高める確率変動および変動時間短縮、始動入賞口への入球容易性を高める入球容易状態へ移行したりする制御によっても遊技者の期待感を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−230714号公報
【特許文献2】特開平8−000812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、様々な不正手段を用いて遊技機から不当に賞球を得ようとする、いわゆるゴト師と呼ばれる不正な遊技者が知られている。新たな手法が明るみに出るたびに遊技機メーカーは対策を講じるものの、新たな手法とその被害は絶えることなく発覚している。近年、知られるようになった手法に、遊技球に釣り糸等の目立たない糸状部材を取り付けて入賞口へ入球させ、その糸状部材の引っ張りと弛緩を繰り返すことで何度も入賞口の入球センサに反応させる不正行為がある。賞球の払出数を正確に計数する技術は知られているものの(例えば、特許文献2参照)、不正行為に起因する賞球が正当な賞球に紛れるように不正な遊技者が不正行為のタイミングを調整してしまえば、遊技機やホールコンピュータはこれらを区別して計数することができず、不正行為の横行を防ぎきれなかった。
【0005】
また、不正な遊技者の中には、遊技店で遊技する以前に、遊技機本体を何らかの方法で入手し、監視の目が行き届かない環境で存分に遊技機の動作を解析し、その解析結果を遊技店で悪用する者まで存在する。そのため、遊技店外で解析した結果をそのまま遊技店で利用できなくするための対策を講じる必要まで生じている。
【0006】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、不正な遊技者による不正行為を精度よく検出して不正行為の抑止を図ることにある。また、別の目的は、不正な遊技者による不正行為の検出基準を推測困難にして不正行為の抑止を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の弾球遊技機は、遊技領域が形成された遊技盤と、遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球の入球が賞球払い出しの契機となる入賞口と、入賞口への入球を判定する入球判定手段と、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行する当否抽選手段と、遊技領域において入賞口と異なる所定位置に設けられ、特別遊技において開放されて遊技球が入球可能となる大入賞口と、当否抽選の結果が大当りであった場合に大入賞口を開閉動作させることにより特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、所定期間における入賞口への入球率を算出する入球率算出手段と、通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率との比率が所定の判定値を超えたときにエラーと判定し、その判定から猶予期間が経過した後にエラーを報知するとともに、猶予期間として可変の時間値を設定するエラー判定手段と、を備える。
【0008】
ここで「入球率」として、単位時間あたりの入球数そのものの値を用いてもよいし、単位時間あたりの発射数に対する入球数の割合を用いてもよい。また、「入球率」を算出するために、入賞口への入球数を実際に計数して入球率の算出に用いてもよいし、入賞口への入球を契機とした賞球払出数を計数して入球数を推定し、その推定値を入球率の算出に用いてもよい。「入賞口」は、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口であってもよいし、始動入賞口および大入賞口と異なる所定位置に設けられて遊技球の入球が賞球払い出しの契機となる一般入賞口であってもよい。始動入賞口の場合、常開型の入球口、すなわち開閉式などの常閉型ではない入球口や、閉鎖時でも一部が開口状態のまま入球可能となる拡開式の入球口であってもよい。「所定期間」としては、算出する入球率の統計誤差を縮小するために入球数を計数する時間の下限値が定められていてもよい。「所定の判定値」としては、例えば通常の遊技手順で起こり得る範囲を超えることとなる値が実験値や設計値をもとに設定されてもよく、例えば明らかに通常の遊技手順で起こり得ない値として3倍といった値が設定されてもよい。「エラーを報知」は、所定の表示装置への表示や音声出力、ランプ点灯を用いてエラーを報知してもよいし、遊技店側の端末へエラーを出力することにより報知してもよいし、遊技球の発射を強制停止することにより報知してもよい。
【0009】
この態様によれば、本来は遊技状態を問わず入球率がほぼ一定であるはずの入賞口において通常では起こり得ない程度の入球が発生したときにこれを検出することができる。特に、賞球払出数が急増する特別遊技中にその賞球に紛れ込ませるように入賞口への入球を契機とする賞球を発生させるためにあえて特別遊技中だけ入賞口へ不当に入球させる不正行為が発生したときにこれを検出できる。例えば、遊技球に釣り糸等の目立たない糸状部材をとりつけて入賞口へ入球させ、その糸状部材の引っ張りと弛緩を繰り返すことで何度も入賞口の入球センサに反応させるような不正行為が考えられる。従来、こうした行為を通常遊技中に行われても、特別遊技以外における賞球の急増を検出する機能によりエラーと判定できる場合があった。しかし、そのような機能では、特別遊技中のみに行われる不正行為に対しては特別遊技中であるがゆえに賞球が急増しても正当な賞球急増との区別ができずエラー判定できなかった。本態様においては、特別遊技中における不正行為を有効に検出してエラーと判定することができる。またこの態様によれば、入賞口において通常では起こり得ない程度の入球が発生したときにこれを不正による入球であると判定することができ、また、その判定基準が外部から安易に推測できないようにすることができる。すなわち、当該弾球遊技機を不正行為者が入手してどのような数値を基準としてエラー判定されるかを解析したとしても、その数値とエラー報知のタイミングが必ずしも一致せず、実際のエラー判定から報知までに可変のタイムラグが生じることから、外部からの判定値の解析が困難となる。したがって、不正行為者による不正な解析意欲を減退させることができ、不正の抑制または未然防止を期待できる。
【0010】
エラー判定手段は、判定値として可変値を設定してもよい。「判定値として可変値を設定」は、自動または手動で可変の値を判定値として設定する方式でもよいし、遊技機のロットごとに可変の値を製品出荷前に判定値として設定する方式でもよい。すなわち、不正行為者が同機種の遊技機を入手してその判定値を解析したとしても、実際に遊技店で遊技するときには異なる判定値が設定されているように可変の値が設定されていればよい。
【0011】
この態様によれば、入賞口において通常では起こり得ない程度の入球が発生したときにこれを不正による入球であると判定することができ、また、その判定基準が外部から安易に推測できないようにすることができる。すなわち、当該弾球遊技機を不正行為者が入手してどのような数値を基準としてエラー判定されるかを解析したとしても、その数値を可変値となるように設定しているため、その解析結果に基づいて実際に遊技店で遊技したとしても解析通りには作動しないこととなる。あるいは、相当な長時間を費やせば理論上は解析が可能であったとしても、他の遊技機種と比べてそのような長時間をかけない限り有効な解析が不能となれば、不正行為者による不正な解析意欲を減退させることができ、不正の抑制または未然防止を期待できる。
【0012】
エラー判定手段は、所定の設定タイミングに達するたびに判定値として所定の値範囲に含まれるランダムの値を設定してもよい。
【0013】
ここで「所定の値範囲」は、不正の目的なく通常の遊技者が遊技しているときに誤って判定値を超えることがない値範囲となるよう、入賞口周辺の遊技釘の調整状態が甘い場合でも通常では超え得ない程度の判定値の範囲を設計段階における実験により求めて設計してもよい。「所定の設定タイミング」は、任意のタイミングまたは設定間隔を設計でき、例えば計数期間が経過するたびに判定値を新たな値に更新する設計でもよい。この態様によれば、エラーの判定基準をランダムにすることで外部から安易に推測できないようにすることができ、仮に当該弾球遊技機を不正行為者が入手して解析しようとしても容易に解析できないか、少なくとも相当な長時間の解析が必要となり、不正の抑制または未然防止を期待できる。
【0014】
エラー判定手段は、所定の値範囲の境界値に近い値に対する設定の頻度が境界値に遠い値に対する設定の頻度より低くなるように分散させたランダムの値を判定値に設定してもよい。
【0015】
ここで「所定の値範囲の境界値」は、値範囲の下限値であってもよいし、上限値であってもよいし、下限値および上限値の双方であってもよい。判定値の分散は、例えば値範囲下限の境界値と上限の境界値の中間近傍にある値をピークとする正規分布曲線を描くように分散した値を判定値に設定してもよい。この態様においては、値範囲の境界値に近い値が判定値に設定される頻度が、境界値から遠い値が判定値に設定される頻度より低くなるため、エラーの判定基準となる境界値を外部から安易に推測できないようにすることができる。すなわち、当該弾球遊技機を不正行為者が入手して解析しようとしても設定頻度の低い境界値は容易に解析できないか、少なくとも相当な長時間の解析が必要となり、不正の抑制または未然防止を期待できる。
【0016】
操作者の操作により判定値の設定を指示するための設定スイッチをさらに備えてもよい。エラー判定手段は、判定値の候補として複数種類の候補値を保持し、操作者による設定スイッチの操作に応じて複数種類の候補値のうちいずれかを判定値に設定してもよい。
【0017】
ここで「候補値」は、具体的な数値であってもよいし、数値範囲であってもよい。「設定スイッチ」は、遊技者が操作できない位置、例えば弾球遊技機の背面側や遊技盤の裏面側等の遊技店員だけが操作可能な場所に設けられてもよい。この態様においては、遊技店員が遊技機ごとに入賞口近辺の釘調整具合に合わせて判定基準の厳しさを微調整することができ、より実態にあった判定値を設定して適切なエラー判定をすることができる。
【0018】
抽選処理を含む遊技の基本動作を主に制御する主制御装置と、抽選処理の結果を示すための表示処理を含む遊技の演出的動作を主に制御する副制御装置と、を備えてもよい。入球判定手段は、主制御装置に設けられ、入球率算出手段およびエラー判定手段は、副制御装置に設けられ、入球率算出手段は、主制御装置に設けられた入球判定手段から入球の情報を受信して計数することにより入賞口への入球率を算出してもよい。
【0019】
この態様によれば、入賞口への入球率の算出とエラーの判定を、いわゆるサブ基板側で処理できるため、いわゆるメイン基板側では、入賞口への入球を示す信号をサブ基板へ送信するだけでよい。メイン基板では例えば制御プログラムやデータを格納するためのROMの容量がそれぞれ3キロバイトに制限され、また、RAMの記憶容量が1キロバイト、その使用領域が512バイトに制限されるといった制約がある。そのため、設計者としてはROMやRAMに記憶させるデータは1バイトでも小さくして記憶容量を稼ぎたいところである。したがって、入賞口への入球数の算出処理とエラーの判定処理のプログラムをサブ基板に搭載させ、メイン基板に搭載しなくて済むことは設計上も大きなメリットがあり、そこで稼いだ容量分を別のプログラムのために有効活用することができる。
【0020】
入賞口は、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口と、始動入賞口および大入賞口と異なる所定位置に設けられて遊技球の入球が賞球払い出しの契機となる一般入賞口と、を含んでもよい。当否抽選手段は、始動入賞口への入球を契機として当否抽選を実行し、入球率算出手段は、一般入賞口への入球率を算出し、エラー判定手段は、通常遊技における一般入賞口への入球率と特別遊技における一般入賞口への入球率との比率が判定値を超えたときにエラーを報知してもよい。この態様においては、通常は遊技の進行に影響を与えない入賞口である一般入賞口に対して、特別遊技中に限って入球が集中するという異常な状態を検出することとなる。これにより、高い精度で不正行為を検出することができる。
【0021】
入球率算出手段は、電源投入後の所定期間において通常遊技における入賞口への入球率を算出し、その後は特別遊技が実行されるたびに特別遊技における入賞口への入球率を算出してもよい。ここで「電源投入後の所定期間」は、電源投入後の通常遊技において最初に遊技者が遊技球を発射した後の期間や最初に遊技球が入賞口へ入球した後の期間であってもよいし、電源投入から最初の特別遊技までの期間であってもよい。この態様における入球率算出手段は、通常遊技における入賞口への入球率を最初に1回算出してしまえば、その後は特別遊技における入賞口への入球率だけを算出すればよいため、効率よく不正行為を検出することができる。また、電源投入のたびに通常遊技における入賞口への入球率を算出するため、遊技釘の向きが毎日変更されたとしても台ごとまたは日ごとに生ずる入球率の個体差を判定基準に反映させることができ、高い精度で不正行為を検出することができる。
【0022】
入球率算出手段は、特別遊技が実行された時点で通常遊技における入賞口への入球率が未算出であった場合は、特別遊技の実行後の通常遊技における入賞口への入球率を算出し、エラー判定手段は、入球率算出手段から、通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率を取得するとともに、特別遊技における入賞口への入球率を取得した時点で通常遊技における入賞口への入球率を未取得であった場合は、特別遊技の実行後の通常遊技における入賞口への入球率を取得してもよい。この態様においては、例えば電源投入から間もなくして特別遊技が発生し、その前までに通常遊技における入賞口への入球率として有効な値を算出できていなかった場合であっても、特別遊技後にあらためて有効な値を算出して入球率の比率を求めることができる。このような場合においても入球率の個体差を確実に判定基準へ反映させることができ、高い精度で不正行為を検出することができる。
【0023】
なお、以上の構成要素に関する任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体、データ構造などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の弾球遊技機によれば、不正な遊技者による不正行為を精度よく検出して不正行為の抑止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す図である。
【図2】ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す図である。
【図3】本実施例におけるぱちんこ遊技機の機能ブロックを示す図である。
【図4】当否判定テーブルを模式的に示す図である。
【図5】図柄判定テーブルを模式的に示す図である。
【図6】変動パターンテーブルを模式的に示す図である。
【図7】外れ用の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。
【図8】ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。
【図9】図8におけるS10の入球処理を詳細に示すフローチャートである。
【図10】図9におけるS221の入球率算出処理を詳細に示すフローチャートである。
【図11】図9におけるS223のエラー判定処理を詳細に示すフローチャートである。
【図12】図8におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図13】図12におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。
【図14】図8におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図15】図14におけるS100の開放処理を詳細に示すフローチャートである。
【図16】図14におけるS102の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。
【図17】図8におけるS17の小当り遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図18】図17におけるS160の開放処理を詳細に示すフローチャートである。
【図19】図17におけるS162の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。
【図20】本実施例におけるぱちんこ遊技機の機能ブロックを示す図である。
【図21】図8におけるS10の入球処理を詳細に示すフローチャートである。
【図22】図21におけるS421の入球率算出処理を詳細に示すフローチャートである。
【図23】図21におけるS423のエラー判定処理を詳細に示すフローチャートである。
【図24】図21におけるS425の入球数計数処理を詳細に示すフローチャートである。
【図25】図8におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
【図26】図25におけるS118の特別遊技終了処理を詳細に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施例)
本実施例においては、通常遊技における一般入賞口への入球率と特別遊技における一般入賞口への入球率との比率が所定の基準比率を超えた場合に不正な遊技者による不正行為があったと判定する。不正行為としては、遊技球に釣り糸等の目立たない糸状部材を取り付けて一般入賞口へ入球させ、その糸状部材の引っ張りと弛緩を繰り返すことで何度も一般入賞口の入球センサに反応させる行為が考えられる。こうした行為を仮に通常遊技中に実行した場合、特別遊技以外における賞球払出数の急増を検出する遊技機またはホールコンピュータの機能によって発覚する可能性があるため、不正な遊技者は通常遊技中には糸状部材を悪用した不正行為の実行を避けることが考えられる。これに対して特別遊技においては、もともと賞球払出数が急増する期間であるがゆえに、これに紛れて糸状部材を悪用した不正行為が実行されても従来の機能では発見できない。例えば実際には単位遊技8R分しかない特別遊技において、単位遊技15R分の特別遊技に相当する出玉があったとしても、従来の機能によっては不正による出玉であったのかは判別できない。そこで、本実施例においては通常遊技中と特別遊技中で一般入賞口への入球率を区別して算出し、これらの対比によって不正な入賞を検出する。
【0027】
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
【0028】
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等をする機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、後述する演出を制御する手段によって遊技状態などに応じた効果音が出力される。
【0029】
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
【0030】
始動口62は、遊技球の入球が賞球払出および当否抽選を実行する契機となる入球口であって、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口62に設けられた拡開機構63(いわゆる電動チューリップ)を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。拡開機構63は、始動口62の開口部上部に設けられた二つの羽根部材で構成され、閉鎖時でも始動口62の真上から落下する遊技球は入球可能な開口幅を有する。一方、拡開機構63が拡開された開放時は始動口62の開口幅が拡がることとなり、始動口62の真上だけでなくその近傍を落下する遊技球も始動口62へ誘導でき入球容易性が向上する。当否抽選は、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する抽選であり、始動口62へ入球があるたびに実行される。始動入賞検出装置74は、始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す始動入賞情報を生成する。始動口62への入球に対する規定賞球数は、例えば3個である。
【0031】
一般入賞口72は、始動口62や後述の大入賞口66とは異なる入賞口であり、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。一般入賞口72は、始動口62や大入賞口66と同様にその入球が賞球払出の契機となるが、始動口62や大入賞口66とは異なりその入球が遊技の進行には影響を及ぼさず、賞球以外の契機とはならない。一般入賞口72への入球に対する規定賞球数は、例えば10個である。
【0032】
大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を開放させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口66への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。大入賞口66は、特別図柄192が所定の態様にて停止したときに開始される特別遊技において「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66は、例えばアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の設置個数としては、一つだけ設置する構成に限らず、複数個の大入賞口66を設置してそれぞれを遊技状態等に応じて使い分ける構成としてもよい。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。大入賞口66への入球に対する規定賞球数は、例えば15個である。
【0033】
以上のように、大入賞口66の次に規定賞球数が多いのは一般入賞口72であり、また、一般入賞口72の規定賞球数は始動口62の規定賞球数よりも多い。したがって、大入賞口66への不正入球を検出する機能が設けられた遊技機の場合、不正な遊技者は大入賞口66の次に賞球が多い一般入賞口72を狙って不正入球させることを考えやすい。本実施例では後述するように、一般入賞口72を狙った不正入球を検出する。
【0034】
遊技領域52の左方に設けられた特別図柄表示装置61および遊技領域52の略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する。以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という。
【0035】
特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示装置である。特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄である。特別図柄192の変動表示が停止したときの図柄態様が、あらかじめ当りと定められた図柄であった場合に、その停止図柄が表示されたタイミングが大当り発生タイミングとなる。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。本実施例における特別図柄192は、当りの図柄態様である「0」〜「9」といった数字、文字、記号、または外れの図柄態様である「−」の記号で表される。これらの数字または記号が高速で次々に入れ替わって特別図柄表示装置61へ表示されることにより、特別図柄192の図柄変動表示が実現される。なお、特別図柄192の態様は上記の数字または記号に限られず、英字などの文字であってもよいし、7セグメントLEDを構成する各セグメントの組合せで形成される一般に意味を持たない記号であってもよい。また、7セグメントLEDは、「8の字」を形成する7個のセグメントおよび「ドット」を表す1個のセグメントからなる8個のセグメントで構成されてもよい。この場合、8個のセグメントを組み合わせることにより8ビット分の数値を表現できる。さらに、特別図柄表示装置61を7セグメントLEDではないLEDドットアレーを用いて、その点灯パターンや点灯色の組合せで複数種類の特別図柄192を表現してもよい。
【0036】
演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイで構成される表示装置である。装飾図柄190は、特別図柄192で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄を変動させる動画像を画面の中央領域に表示する。本実施例においては、「0」〜「9」の数字で構成される図柄を3列に表示して変動させ、最終的に停止表示される3個の図柄組合せによって当りまたは外れを示す。装飾図柄190を構成する複数図柄のそれぞれは、色彩や模様の装飾が施された数字、文字、または記号で構成されるが、これら数字、文字、記号に対して全図柄に共通する絵柄または図柄ごとに異なる絵柄を加えて一体化させる形で構成されてもよい。この絵柄は、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連するモチーフが描かれた絵柄であり、例えば人物や動物のキャラクターが描かれた絵柄であってもよい。装飾図柄190は、絵柄が一体的に含まれる図柄が変動表示される場合と、絵柄が分離して数字、文字、記号の部分のみが変動表示される場合とが、演出の展開に沿って切り替えられる構成であってもよい。装飾図柄190の変動表示の背景には、ぱちんこ遊技機10の当該機種に設定された装飾または演出のテーマに関連する演出的効果を有する動画像が図柄変動と連動して表示される。
【0037】
演出表示装置60は、本実施例では液晶ディスプレイなどの高精細なドットマトリクス型表示装置で構成されるが、ドラム回転式などの機械的表示手段やLEDマトリクス式などの表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄192は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させる。ただし、特別図柄自体に演出的な役割をもたせることで装飾図柄を用いずに表現する手法を採用する場合には、特別図柄を7セグメントLEDではなく液晶ディスプレイに表示させる構成としてもよい。
【0038】
作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は拡開機構63を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、開放抽選の結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。したがって、開放抽選は「普通図柄抽選」とも呼ぶ。本実施例における普通図柄表示装置59は、便宜上、二つのランプで構成されるとともに、それらのうちいずれのランプが点灯しているかによって普通図柄の表示状態が表現される。例えば、第1のランプの点灯が外れを示し、第2のランプが当りを示すとき、それらが交互に点灯と消灯を繰り返すことによって普通図柄の変動表示が表現され、最終的にいずれかの点灯状態にて停止されることで普通図柄の停止図柄が表現される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右下方に設けられる。変動開始から所定時間の経過後に、普通図柄の変動表示が停止する。このとき、通常状態では例えば1/256程度の低確率にて普通図柄が当りの図柄で停止し、後述する入球容易状態では例えば250/256程度の高確率にて普通図柄が当りの図柄で停止する。普通図柄が当りの図柄で停止すると、拡開機構63が所定時間拡開される。拡開機構63の開放時間は、例えば通常状態では0.1秒間であり、入球容易状態では6秒間である。
【0039】
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。遊技領域52の左下部には、特別図柄保留表示装置20が設けられ、その対称位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に普通図柄保留表示装置22が設けられている。
【0040】
特別図柄保留表示装置20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。当否抽選の保留数が3個になると、遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が通常より短縮される(以下、「短縮変動」ともいう)。同様に、当否抽選の保留数が4個になると、さらに遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が上記3個の場合よりもさらに短縮される(以下、「超短縮変動」ともいう)。
【0041】
普通図柄保留表示装置22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。
【0042】
演出表示装置60の上方および下方には、それぞれ遊技効果ランプ90が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作する操作入力手段であり、その操作入力の内容に応じて演出内容等に変化が加えられる。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。本実施例における操作ボタン82は一つのボタンで構成されるが、複数のボタンや十字キーなどの方向指示ボタンで構成されてもよい。可動役物140は、演出に連動して動作が制御される可動物であり、その動作によって演出的役割を果たす。例えば可動役物140は、遊技者による操作ボタン82を介した操作入力に応じて動作する。
【0043】
以上のような構成においてなされる遊技の方法および制御の流れを概説する。遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当りながらその当り方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた規定賞球数の賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。
【0044】
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された変動表示時間の経過後に停止される。特別図柄192は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動パターンにしたがって変動表示される。装飾図柄190は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動演出パターンにしたがって変動表示される。変動パターンおよび変動演出パターンはそれぞれ複数種ずつ用意され、それぞれが長短様々な変動時間をもつ。変動パターンにしたがって特別図柄192が変動表示される間、同じ変動時間をもつ変動演出パターンにしたがって装飾図柄190が変動表示される。変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄192および装飾図柄190の変動が停止される。
【0045】
装飾図柄190の変動表示としては、まず変動開始とともにスロットマシンのリール回転のように3列とも図柄を変動させ、変動終了タイミングへ近づいたときに一列ずつ停止させることで最終的な停止態様としての図柄組合せを表示する。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が大当りを示す停止態様となった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。大当りを示す装飾図柄190の停止態様は、例えば3つの図柄の種類が一致する組合せの態様である。
【0046】
変動演出パターンには、通常外れ演出パターン、リーチ外れ演出パターン、リーチ大当り演出パターンが含まれる。通常外れ演出パターンは、通常の外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ外れ演出パターンは、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態であるリーチ状態を経て外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ大当り演出パターンは、リーチ状態を経て大当りの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。
【0047】
特別遊技は、開始デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって開始される。開始デモ時間の画面表示後に大入賞口66が開放され、その開放が約30秒間続いた後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口66の開放から閉鎖までが、基本的には単位遊技と呼ばれるが、1回の単位遊技の間に複数回の短時間の開放を繰り返す場合があってもよい。大入賞口66の開閉ないし単位遊技が所定の複数回数、例えば15回繰り返された後、終了デモ時間と呼ばれる演出画面の表示によって特別遊技が終了される。これに対し、当否抽選が小当りと呼ばれる結果に該当した場合は小当り遊技が実行される。小当りは、当否抽選の結果としては外れに含まれる結果である。小当り遊技は、一部の種類の特別遊技と類似の態様にて実行される単位遊技である。ただし、小当り遊技として実行される単位遊技は1回だけであり、複数回数の単位遊技が実行される特別遊技とは異なる。
【0048】
特別遊技が終了した後の通常遊技においては特定遊技の一つである特別図柄192および装飾図柄190の変動時間短縮(以下、適宜「時短」という)が開始される。特別図柄192および装飾図柄190の時短は、特別図柄192および装飾図柄190の変動時間が通常状態よりも短縮される状態である。特別図柄192および装飾図柄190の変動時間は、所定の変動回数、例えば100回の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻されるが、その変動回数に達する前に大当りが発生すれば時短も終了する。時短により特別図柄192および装飾図柄190の変動時間が短縮されるため、通常の変動時間のまま図柄変動がなされる通常状態の場合と比べて、大当りが発生するまでの時間を短縮することができ、大当りの獲得容易性を相対的に高めることができる。
【0049】
特別図柄192および装飾図柄190の時短中は、特定遊技の一つである入球容易状態が実施される。入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、拡開機構63の開放延長が実施されることにより始動口62への入球容易性が高められる状態である。普通図柄の時短は、普通図柄の変動時間が通常状態より短縮される状態である。開放抽選の確率変動は、開放抽選の当り確率を通常状態より高める状態である。拡開機構63の開放延長は、拡開機構63の開放時間を通常状態よりも長くする状態である。このように、入球容易状態においては、一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常状態よりも増加する可能性が高まる上、始動口62への入球容易性も増すため、始動口62への入球数が増加する可能性も高い。したがって、特別図柄192および装飾図柄190の時短および入球容易状態により、その期間中は始動口62への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉をほとんど減らさずに遊技し続けることが可能となる。
【0050】
なお、本実施例における入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、拡開機構63の開放延長という3つの機能を用いて始動口62への入球容易性を高める。ただし、変形例としては、これら3つの機能のうち、1つまたは2つの機能を用いて始動口62への入球容易性を高める構成としてもよい。このように3つの機能のうち一部だけを用いても始動口62への入球容易性を高めることは可能である。また、3つの機能のうち少なくともいずれかを、実施する期間と実施しない期間とで遊技状態に応じて切り替える構成としてもよい。
【0051】
特別遊技が発生した場合であってそのときの当り停止図柄が特定の態様であった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである当否抽選の確率変動遊技(以下、適宜「確変」という)がさらに開始される。当否抽選の確変中は、通常の確率状態より当りの確率が高い当否抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生し得る。当否抽選の確変は次の大当りが発生するまで継続されるが、変形例として、所定の限定的な回数の図柄変動がなされたときに終了する構成であってもよい。本実施例においては、確変が開始されるときに同時に特別図柄192および装飾図柄190の時短や入球容易状態も開始されるが、変形例として時短や入球容易状態の開始を伴わない確変が実行される場合があってもよい。
【0052】
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容や複数の可動役物140の動作、遊技効果ランプ90の点灯を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させ、その演出の進行に沿って可動役物140や遊技効果ランプ90の点灯を作動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。裏セット機構39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じた規定賞球数にて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
【0053】
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、可動役物140のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や可動役物140、電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
【0054】
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、入球率算出手段126、エラー判定手段128を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段136を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
【0055】
ただし、メイン基板102とサブ基板104の間におけるデータの送受信はメイン基板102からサブ基板104への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板102とサブ基板104に配置される。このようにメイン基板102からサブ基板104へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブ基板104に含まれる構成からメイン基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板102で生成された情報は、メイン基板102がサブ基板104へ一方的に送信しない限りサブ基板104から参照することはできない。
【0056】
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。入球判定手段110は、入球率算出手段126に対して始動入賞情報、大入賞口入賞情報、一般入賞情報を送出するとともに、各入賞情報に応じた規定賞球数の情報を払出ユニット43へ送信する。
【0057】
当否抽選手段112は、始動口62への入球を契機に、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための乱数の値を当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。当否抽選手段112が当否抽選値として取得する値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、所定の保留上限数を超えない範囲で当否抽選値が保留される。
【0058】
当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた大当りの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否抽選手段112は、通常時には通常確率による当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当りの確率が高くなる当否テーブルを参照する。当否抽選手段112は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当りであるか否かを判定する。
【0059】
当否抽選手段112は、遊技球が作動口68を通過した場合に、普通図柄を決定するための開放抽選として抽選値を取得する。当否抽選手段112は、開放抽選の抽選値と当否結果の対応関係が定められた当否テーブルを保持し、その当否テーブルを参照して開放抽選の当否結果を決定する。通常状態においては1/256の確率で当りとなる当否テーブルを参照し、入球容易状態においては250/256の確率で当りとなる当否テーブルを参照する。普通図柄の抽選値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
【0060】
図4は、当否判定テーブルを模式的に示す図である。本図の当否判定テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられたそれぞれの範囲設定に応じて大当り当否確率や小当りの当否確率が定まる。当否抽選手段112は、当否判定において本図の当否判定テーブルを参照する。当否抽選手段112による当否抽選においては、通常時には図4(a)の通り、当否抽選値が0〜399の範囲に該当したときのみ大当りとなる。確変時には図4(b)の通り、大当りの範囲が拡大され、当否抽選値が0〜399の範囲に該当する場合だけでなく、400〜2999の範囲に該当する場合にも大当りとなる。このように、大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化する。大当りに該当した場合、15R大当りと2R大当りのいずれとなるか、および、確変を伴うか否かは、特別図柄の停止図柄に応じて別途決定される。なお、本図では単一の当否判定テーブルによって通常時と確変時の双方の大当り範囲を示したが、当否判定テーブルは通常時用と確変時用とで別個に用意してもよい。
【0061】
本実施例においては、当否抽選値が大当り範囲に該当しない、いわゆる外れとなった場合であっても、所定の範囲に該当した場合には小当りとなる。本図の例では、当否抽選手段112が取得する当否抽選値が65000〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなる。このように、大当りに該当しなかった場合、本来はすべて「外れ」であるが、本図の例では大当りに該当しなかった場合のうち小当りにも該当しなかった場合の当否抽選値範囲を特に「外れ」と表現している。なお、本図では大当りか否かの判定テーブルと小当りか否かの判定テーブルとを単一の当否判定テーブルの形で実現する例を示したが、それぞれを別個のテーブルとして実現してもよい。
【0062】
図3に戻り、当否抽選手段112による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄のかたちで変動表示される。また、当否抽選手段112による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。当否抽選手段112は、図柄変動を開始するタイミングにおいて、その図柄変動に対応する抽選の結果を図柄変動の制御コマンドとともに図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信する。
【0063】
図柄決定手段114は、特別図柄表示装置61に表示させる特別図柄の停止図柄を、当否抽選手段112による抽選の結果に応じて決定する。図柄決定手段114は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。図柄決定手段114は、特別図柄を決定するための図柄決定抽選値を取得し、当否抽選手段112による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて特別図柄の停止図柄を決定する。
【0064】
図柄決定手段114は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を、当否抽選手段112による開放抽選の結果に応じて決定する。図柄決定手段114は、開放抽選の結果を普通図柄のかたちで普通図柄表示装置59に変動表示させるために、開放抽選の結果に応じて普通図柄の停止図柄を決定する。決定された停止図柄が所定の図柄となった場合に普通図柄が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄の変動表示が停止された後に開閉制御手段124が始動口62の拡開機構63を所定時間拡開する。
【0065】
図柄決定手段114は、決定した停止図柄を示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。
【0066】
図5は、図柄判定テーブルを模式的に示す図である。図5(a)は当否判定結果が大当りであった場合に参照するテーブルであり、図5(b)は当否判定結果が外れであった場合に参照するテーブルであり、図5(c)は当否判定結果が小当りであった場合に参照するテーブルである。図柄決定手段114は、図柄判定において本図の図柄判定テーブルを参照する。各図柄判定テーブルには、「0」〜「9」の数字および「−」の記号で表される特別図柄と図柄抽選値との対応関係が定められている。特別図柄の種類はそれぞれ大当り、小当り、外れの当否判定結果と対応付けられており、奇数の数字が大当りに対応し、偶数の数字が小当りに対応し、「−」の記号が外れに対応する。
【0067】
図5(a)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち奇数の数字である特別図柄「1」「3」「5」「7」「9」が大当りに対応付けられている。そのうち、特別図柄「7」は確変を伴う15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「0〜99」に対応付けられる。特別図柄「3」は確変を伴う2R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられる。特別図柄「1」「5」「9」は確変を伴わない15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「150〜189」に特別図柄「1」が対応付けられ、「190〜229」に特別図柄「5」が対応付けられ、「230〜255」に特別図柄「9」が対応付けられる。
【0068】
図5(b)に示す通り、特別図柄「−」は当否判定結果が外れの場合における全範囲の図柄抽選値に対応付けられている。
【0069】
図5(c)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち偶数の数字である特別図柄「0」「2」「4」「6」「8」が小当りに対応付けられている。特別図柄「0」は図柄抽選値の範囲「0〜49」に対応付けられ、特別図柄「2」は図柄抽選値の範囲「50〜99」に対応付けられる。特別図柄「4」は図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられ、特別図柄「6」は図柄抽選値の範囲「150〜199」に対応付けられ、特別図柄「8」は図柄抽選値の範囲「200〜255」に対応付けられる。
【0070】
図3に戻り、変動パターン決定手段115は、当否抽選の結果に応じて複数種の変動パターンからいずれかの変動パターンを選択する。変動パターン決定手段115は、変動パターンを決定するために参照すべきパターン選択テーブルを保持する。図柄決定手段114は、決定した変動パターンを示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。変動パターン決定手段115は、複数種の変動パターンを記憶する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつとともに、その変動時間にて複数の図柄で構成される装飾図柄による図柄変動も実行されることを前提として規定される。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄および装飾図柄の変動が停止される。
【0071】
図6は、変動パターンテーブルを模式的に示す図である。変動パターン決定手段115は、当否判定結果が外れのときは図6(a)に示される外れ用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が15R大当りのときは図6(b)に示される15R大当り用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が2R大当りまたは小当りのときは図6(c)に示される2R大当りおよび小当り用の変動パターンテーブルを参照する。
【0072】
図6(a)においては、パターン抽選値0〜10には「スーパー1」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値11〜20には「スーパー2」というスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値21〜255には「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のいずれかの変動パターンが対応付けられている。このように、当否判定結果が外れの場合、スーパーリーチ、ノーマルリーチ、リーチなしのいずれも選択される可能性がある。なお、外れ用の変動パターンテーブルにおいて、特に「リーチなし」の変動パターンを選択するとき、時短状態においては通常状態よりもさらに変動時間が概ね短い変動パターンが選択されるよう異なるテーブルを参照する。また、外れ用の変動パターンテーブルは保留数ごとに参照すべき欄が異なるように規定されるが、通常状態を例とするその詳細は後述する図7において説明する。
【0073】
図6(b)においては、パターン抽選値0〜120には「スーパー1」のスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値121〜240には「スーパー2」のスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値241〜250には「ノーマル1」のリーチが対応付けられ、パターン抽選値251〜255には「ノーマル2」のリーチが対応付けられている。このように、当否判定結果が15R大当りの場合はリーチ付きの変動パターンが選択される。
【0074】
図6(c)においては、パターン抽選値0〜122には「スーパー3」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値123〜255には「ノーマル3」というノーマルリーチが対応付けられている。このように当否判定結果が2R大当りまたは小当りの場合は「スーパー3」または「ノーマル3」がそれぞれ約50%の確率で選択される。
【0075】
図3に戻り、変動パターン決定手段115は、普通図柄の変動表示時間を決定する。通常状態においては変動表示時間を60秒に決定し、入球容易状態においては変動表示時間を6秒に決定する。
【0076】
保留制御手段116は、始動口62へ新たな入球があって新たに当否抽選が実行されるときにそれ以前の入球ないし抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな入球に基づく当否抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では当否抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保留球として保持する。ここでいう当否抽選値は、当否抽選値、図柄抽選値、変動パターン抽選値を含む。保留制御手段116はさらに、当否抽選手段112により取得された普図抽選値を保留球として保持する。これらの保留数がそれぞれ特別図柄保留表示装置20、普通図柄保留表示装置22の点灯数または点滅数により表される。
【0077】
メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112による抽選の結果を、変動パターン決定手段115により決定された変動パターンにしたがって特別図柄192の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。メイン表示制御手段118は、それ以前になされた当否抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。メイン表示制御手段118は、特別図柄192の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信する。変動開始コマンドを送信するとき、判定された当否判定結果、停止図柄、変動パターンのそれぞれを示す値を変動開始コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。これにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。メイン表示制御手段118は、普通図柄抽選の結果を普通図柄の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。
【0078】
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口66を開放させることにより特別遊技を実行する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。特別遊技には、単位遊技を15回繰り返す15R大当りと、15R大当りより開放時間が短い単位遊技を2回だけ繰り返す2R大当りがある。15R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口66を原則として約30秒間開放させる。2R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口66を約0.5秒間だけ開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。なお、2R大当りとなった場合においても、所定の条件を満たした場合には、15R大当りと同様の開放態様で大入賞口66を開放させてもよい。
【0079】
特定遊技実行手段122は、確変状態、時短状態、および入球容易状態における通常遊技を制御する。特定遊技実行手段122は、特別遊技の終了後に遊技状態を時短状態および入球容易状態へ移行させる。一方、特別遊技の終了後に確変状態へ移行させるのは、図柄決定手段114により決定された図柄が確変への移行を伴う大当り図柄であった場合に限られる。時短状態および入球容易状態は、特別図柄192の変動表示回数が特別遊技の終了時点から数えて所定の終了条件回数、例えば100回に達するまで継続される。ただし、同時に確変状態へ移行した場合は確変状態が続く限り時短状態および入球容易状態も継続される。すなわち、次の大当りが発生するまで継続される。このように時短状態および入球容易状態の終期は遊技状態に応じて定まる。時短状態においては、特別図柄192の変動表示時間が概ね短くなるよう、変動パターン決定手段115が変動時間の短い変動パターンを選択する。ただし、通常状態においては、保留制御手段116による当否抽選結果の保留数に応じた変動パターンテーブルを参照し、保留制御手段116による保留数が少なくなるほど変動時間の長い変動パターンが出現しやすくなる。入球容易状態においては、普通図柄の時短、普通図柄の確変、拡開機構63の開放延長が実施される。一方、確変状態は、次の大当りによる特別遊技が実行されるまで継続される。確変状態の間は当否抽選手段112による当否判定結果が大当りとなる確率が高い値のまま維持される。
【0080】
開閉制御手段124は、始動口62の普通電動役物や大入賞口66の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。
【0081】
入球率算出手段126は、入球判定手段110から受け取る一般入賞情報に基づいて一般入賞口72への入球率を算出する。入球率算出手段126は、入球判定手段110から一般入賞情報を受け取るたびにその数を入球数として計数し、その入球数と計数開始からの経過時間に基づいて所定期間、例えば10分間あたりの入球数を算出してこれを一般入賞口72への入球率とする。入球の計数は、ぱちんこ遊技機10の電源投入後における所定の契機に開始する。例えば、電源投入後に最初に一般入賞情報を受け取ったときに開始することとしてもよいし、電源投入後の最初の遊技球発射時に開始することとしてもよい。入球率算出手段126は、遊技球の発射がオンオフいずれの状態にあるかを示す情報を発射制御基板47から取得する。これら所定の契機に入球の計数を開始した後、下限時間として少なくとも10分間以上が経過するまで特別遊技が発生しないまま入球の計数期間が継続した場合に、その入球数を用いて算出した一般入賞口72への入球率を有効な算出結果とする。
【0082】
下限時間の経過前に遊技者が遊技を中断して遊技球の発射を一定時間停止させた場合、遊技を再開させたときに下限時間までの残り時間の分だけ計数を再開させてもよいし、最初から下限時間に達するまで計数し直してもよい。下限時間の経過前に特別遊技が発生した場合にも、その特別遊技の終了後の通常遊技において下限時間までの残り時間の分だけ計数を再開させてもよいし、最初から下限時間に達するまで計数し直してもよい。入球率算出手段126は、通常遊技における一般入賞口72への入球率として有効な算出結果を得た後は、そのデータを電源終了まで保持し、その後の通常遊技においては一般入賞口72への入球率は特に算出を要しない。
【0083】
入球率算出手段126は、特別遊技が開始されるたびに特別遊技における一般入賞口72への入球率を算出する。例えば、特別遊技が開始されるたびにその特別遊技中の一般入賞口72への入球数と特別遊技の時間に基づいて、10分間あたりの入球数を算出してこれを特別遊技における一般入賞口72への入球率とする。ただし、特別遊技の種類によっては有効な入球率が算出できない場合があるため、その場合は算出処理をスキップまたは算出結果を無効とする。例えば、2R大当りの場合、特別遊技の時間が極端に短いために通常であればその期間内に一般入賞口72へ入球することは考えにくいものの、偶発的にタイミングよく入球した場合には、10分あたりの入球数に換算したときに不正がなくとも想定外に大きな値となるおそれがある。また、不正な遊技者としてもわざわざ極端に短い期間である2R大当りのときにまで不正行為を働くとは考えにくく、仮に不正行為をしたとしてもその効果は極端に小さい。そのため、2R大当りの特別遊技は一般入賞口72への入球率の算出対象外とする。
【0084】
エラー判定手段128は、入球率算出手段126から、通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率を取得する。エラー判定手段128は、特別遊技における一般入賞口72への入球率を取得した時点で通常遊技における一般入賞口72への入球率を未取得であった場合は、特別遊技の実行後の通常遊技における一般入賞口72への入球率を取得する。エラー判定手段128は、特別遊技の前後に取得する通常遊技における一般入賞口72への入球率と、特別遊技が開始されるたびに取得する特別遊技における一般入賞口72への入球率とが揃ったときに、通常遊技における入球率と特別遊技における入球率との比率を算出する。
【0085】
通常遊技における入球率と特別遊技における入球率との比率が所定の基準比率を超えた場合、エラー判定手段128がエラーを示す情報を演出決定手段132または演出表示制御手段134へ送信して演出表示装置60へエラーを報知させ、また、エラー判定手段128は、エラーを示す情報を外部装置300としてのホールコンピュータへ出力する。ホールコンピュータは、遊技店が用意する遊技機管理用コンピュータの総称であり、各遊技機はホールコンピュータに接続され、ホールコンピュータは遊技店内の各遊技機からそれぞれの遊技状態に関する情報を収集する。エラーを示す情報が遊技店側へ送信されて不正の疑いのある行為が通報されるので、遊技店は直ちに然るべき処置を採ることができる。
【0086】
通常遊技における入球率と特別遊技における入球率の基準比率は、遊技機の設計段階における実験値または設計値に基づいて定められる。例えば、通常遊技における一般入賞口72への入球率が10分間に平均3個で、その標準偏差σが1であった場合、入球率の範囲が平均μ±3σであると考えると、最大で0個〜6個の範囲にほぼ収まると考えられる。この場合、平均入球率の2倍までは最大誤差として生じ得ると考えた上で、余裕のある確実な値として基準比率を例えば1:2.5や1:3といった値に設定してもよい。実際、通常遊技における一般入賞口72への入球率が10分間に3個程度であったとしても、不正な遊技者は特別遊技という限られた期間に多数の賞球を獲得するため一般入賞口72への入球率が10分間に150個となるような頻度で不正入球させる可能性がある。したがって、1:2.5や1:3といった基準比率の値でも十分に不正行為を検出できる。あるいは、誤差に基づく誤検出をさらに確実に排除するために、さらに余裕のある基準比率として1:10といった値を用いたとしても十分に不正行為を検出できる。
【0087】
パターン記憶手段130は、装飾図柄190の変動において演出表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、装飾図柄190の変動表示における変動開始から停止までの変動過程と演出過程が定められた複数の変動演出パターンと、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当りへの期待度の高さを変動表示の停止前に予告的に示唆する複数の予告演出パターンとが含まれる。
【0088】
演出決定手段132は、当否抽選手段112から受け取る当否抽選の結果に応じて、演出表示制御手段134によって演出表示装置60へ表示させる演出内容を決定する。演出決定手段132は、変動パターン決定手段115により決定された特別図柄の変動パターンに対応する複数の変動演出パターンデータからいずれかを選択してパターン記憶手段130から読み出し、その変動演出パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。演出決定手段132は、変動演出パターンを選択するために参照すべきパターンテーブルを保持する。
【0089】
各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、変動時間が等しい演出画像の変動演出パターンを選択する。
【0090】
図柄態様決定手段131は、装飾図柄190の停止図柄の組合せとその配置を、当否抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて決定する。図柄態様決定手段131は、決定した停止図柄の組合せを示す情報を演出表示制御手段134へ送信する。図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
【0091】
装飾図柄190の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、例えば当否抽選手段112による当否判定結果が15R大当りの特別遊技への移行を示す場合には特定の組合せ、例えば「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄190として揃える数字には、特別図柄192と同じ数字が選ばれるのが好ましいが、必ずしも同じ数字でなくともよい。例えば、特別図柄192が「7」の場合は装飾図柄190が「777」となる。当否判定結果が2R大当りの場合や小当りの場合もまた特定の組合せ、例えば「357」のような所定の組合せが選択されるが、それらの特定の組合せは必ずしも3つの図柄が揃った組合せでなくてもよい。当否判定結果が大当りでも小当りでもない場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せであって、2R大当りや小当りのときに選択される特定の組合せに該当しない組合せが選択される。当否判定結果が15R大当りではない場合であって、リーチ付きの外れを示す変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。
【0092】
予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターンである。予告演出パターンによる演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当り態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。例えば、キャラクタの画像を一つだけ画面に表示させるだけの通常予告演出や、多数のキャラクタの群れを画面の一端から他端へ通過させるように表示させる群予告演出がある。また、予告演出の表示過程を複数段階に分け、表示させる段階数を可変にして段階数が多いほど大当りへの期待度が高くなるように設定されるステップアップ予告演出がさらに含まれる。
【0093】
予告演出パターンには、装飾図柄190の表示態様がリーチ状態となった後のタイミングで演出が実行されて図柄の最終的な停止態様を予告するパターンと、装飾図柄190が一つも停止していないタイミングで演出が実行されてリーチ状態となることを同時に予告するパターンとがある。
【0094】
演出決定手段132は、当否抽選の結果に応じて演出表示装置60に予告演出を表示させるか否かを所定の予告抽選により決定して事前演出設定をするとともに、表示させるべき予告演出パターンを決定する。演出決定手段132は、予告演出を表示させるか否かを決定するために参照すべき予告決定テーブルと、予告演出パターンの種類を選択するときに参照すべき予告種類テーブルとを保持する。予告決定テーブルは、当否抽選の結果に応じて異なる欄が参照されるように設定されており、当否抽選が当りの場合は外れの場合よりも高い確率で予告演出を表示させるよう、当否抽選の結果と予告演出を表示するか否かの対応関係が定められる。これにより、予告演出が表示されること自体で大当りへの期待度の高さを示唆することができる。
【0095】
演出表示制御手段134は、当否抽選手段112による当否抽選の結果として、選択された変動演出パターンデータにしたがって演出表示装置60へ装飾図柄を含む演出画像を変動表示させる。演出表示制御手段134は、装飾図柄190の変動開始コマンドを受け取ったときに新たな図柄変動を開始させる。
【0096】
演出表示制御手段134は、予告演出を表示させる旨が演出決定手段132により決定された場合、選択された予告演出パターンにしたがった予告演出を図柄変動の演出に重畳させる形で演出表示装置60へ表示させる。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
【0097】
役物制御手段136は、演出表示制御手段134から受け取る指示にしたがい、演出表示装置60における演出内容や遊技効果ランプ90の点滅過程に沿って、可動役物140を演出的に動作させる。
【0098】
図7は、外れ用の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。本図の変動パターンテーブル210においては、保留数ごとにそれぞれ変動パターンに対応付けられたパターン抽選値の範囲が異なる。具体的には、保留数が少ないほど変動時間が相対的に長い変動パターンに割り当てられたパターン抽選値の範囲が広くされており、それら変動時間の長い変動パターンが選択される確率を高めている。そのため、保留制御手段116による保留数が少ないほど平均的な変動時間が長くなる。したがって、保留制御手段116による保留数が所定数、例えば1〜2個より少なくなった場合に、変動時間の長い変動パターンの選択確率が通常より高くなり、変動時間が比較的長くなりやすい。
【0099】
第1欄212には、保留制御手段116による当否抽選の結果保留数が1の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。同様に、第2欄214、第3欄216、第4欄218に、保留制御手段116による当否抽選の結果保留数がそれぞれ2、3、4の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。すなわち、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218が保留数ごとの変動パターンテーブルを示すと考えることができる。本図では、外れのときに選択され得る複数の変動パターンを変動時間別に5種類に分類した例を説明するが、実際にはそれらの分類ごとに複数の変動演出パターンが用意されており、全体で数十種類の変動演出パターンがその分類ごとの抽選値範囲に対応付けられていることに等しい。なお、本図の第2欄214、第3欄216、第4欄218の各パターン抽選値範囲の割合と第1欄212におけるパターン抽選値範囲の割合を比較するために、第1欄212のパターン抽選値範囲の割合を示す破線を第2欄214、第3欄216、第4欄218に描いている。
【0100】
第1範囲222には、抽選値が0から10までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー1」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。第2範囲224には、抽選値が11から20までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー2」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。このように、抽選値が0から10までのパターン抽選値と抽選値が11から20までのパターン抽選値の場合には、保留数にかかわらず同じ変動時間の変動パターンが選択される。
【0101】
第3範囲226には、抽選値が21から255までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218にはそれぞれノーマルリーチである「ノーマル1」「ノーマル2」と「リーチなし外れ」の3種類の変動パターンが対応付けられる。ただし、それぞれの変動パターンが対応付けられるパターン抽選値の範囲は保留数によって異なる。第1欄212では、「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のそれぞれが対応付けられる抽選値範囲の大きさがそれぞれほぼ等しく、21から255をほぼ3等分した範囲が対応付けられている。これに対し、第2欄214では、「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさが「リーチなし」に対応付けられる抽選値範囲より小さい。また、第3欄216および第4欄218では「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさがさらに小さくなっている。
【0102】
「ノーマル1」「ノーマル2」の変動時間は「リーチなし外れ」の変動時間より長くてもよく、また「リーチなし外れ」のときは時短状態のように変動時間が短縮される場合もあるため、上記の第3範囲226の設定内容に応じて平均的な変動時間が異なることとなる。保留数が0から1、2、3、4と多くなるにつれて「ノーマル1」および「ノーマル2」のパターン抽選値範囲は小さくなり、逆に「リーチなし外れ」のパターン抽選値範囲が大きくなる。したがって、保留数が多いほど平均的な変動時間は短くなり、逆に保留数が少ないほど平均的な変動時間は長くなる。このように保留数ごとにパターン抽選値範囲と変動パターンの対応関係が異なる変動パターンテーブルを用いることにより、保留数が少なくなったときに変動時間の長い変動パターンが選択されやすくなる制御を実現することができる。
【0103】
第3欄216に対応付けられた「リーチなし外れ」の変動パターンは、第1欄212、第2欄214に対応付けられた「リーチなし外れ」よりも変動時間が短い、いわゆる「短縮変動」の変動パターンである。また、第4欄218に対応付けられた「リーチなし外れ」の変動パターンは、第1欄212、第2欄214に対応付けられた「リーチなし外れ」よりも変動時間が短く、第3欄216の「短縮変動」よりもさらに変動時間が短い、いわゆる「超短縮変動」の変動パターンである。
【0104】
図8は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、遊技球が始動口62、一般入賞口72、大入賞口66などへ入球した場合の処理を実行し(S10)、通常遊技中であれば(S12のY)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、通常遊技中でなければ(S12のN)、特別遊技の制御処理(S16)や、小当り遊技の制御処理を実行し(S17)、S10の入賞処理においてセットされた賞球数により各種の入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
【0105】
図9は、図8におけるS10の入球処理を詳細に示すフローチャートである。始動口62に入球があった場合(S200のY)、始動口62に対応する規定賞球数をセットする(S202)。保留制御手段116による当否抽選値の保留数が4未満であるか否かを参照してさらなる保留が可能な状態であれば(S204のY)、当否抽選値を取得し(S206)、その当否抽選値を保留制御手段116に保留する(S208)。S200において始動口62への入球がない場合はS202からS208までの処理をスキップする(S200のN)。S204において保留数が上限に達していてさらなる保留が不可能な場合はS206およびS208の処理をスキップする(S204のN)。
【0106】
作動口68に入球があった場合(S210のY)、保留制御手段116による開放抽選値の保留数が4未満であるか参照してさらに保留可能な状態であれば(S212のY)、開放抽選値を取得し(S214)、その開放抽選値を保留制御手段116に保留する(S218)。S210において作動口68への入球がない場合はS212からS218までの処理をスキップする(S210のN)。S212において保留数が上限に達していてさらなる保留が不可能な場合はS214からS218までの処理をスキップする(S212のN)。
【0107】
一般入賞口72に入球があった場合(S220のY)、入球率の算出処理を実行し(S221)、一般入賞口72に対応する規定賞球数をセットし(S222)、入球率に基づくエラー判定処理を実行し(S223)、一般入賞口72への入球がないときはS221からS223までの処理をスキップする(S220のN)。大入賞口66に入球があった場合は(S224のY)、大入賞口66に対応する規定賞球数をセットし(S226)、大入賞口66への入球がないときはS226をスキップする(S224のN)。
【0108】
図10は、図9におけるS221の入球率算出処理を詳細に示すフローチャートである。遊技状態が通常遊技中の場合であって(S240のY)、一般入賞口72への入球数の計数期間中でない場合(S242のN)、一般入賞口72への入球率が未算出であれば(S244のY)、入球数の計数期間を開始し(S246)、一般入賞口72への入球を計数する(S248)。一般入賞口72への入球率が算出済みであれば(S244のN)、S246およびS248の処理をスキップする。S242において一般入賞口72への入球数の計数期間中であれば、S244からS246までの処理をスキップする(S242のY)。S240において遊技状態が特別遊技中であれば(S240のN)、つねに入球数の計数期間に相当するので一般入賞口72への入球を計数する(S246)。
【0109】
図11は、図9におけるS223のエラー判定処理を詳細に示すフローチャートである。一般入賞口72への入球数の計数期間中であってその計数期間の終了タイミングであれば(S260のY)、計数期間を終了し(S262)、通常遊技または特別遊技における一般入賞口72への入球率、すなわち10分間あたりの入球数を算出する。通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率とがともに算出済みで揃った場合(S266のY)、通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率の比率を算出する(S268)。通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率とが未算出または揃っていない場合(S266のN)、S268をスキップする。S260において一般入賞口72への入球数の計数期間の終了タイミングではなかった場合、S262からS268までの処理をスキップする(S260のN)。通常遊技と特別遊技における一般入賞口72への入球率の比率が基準比率を超えた場合(S270のY)、エラー判定手段128はエラーを報知し(S272)、基準比率を超えていなければS272をスキップする(S270のN)。
【0110】
図12は、図8におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。通常遊技制御処理において、当否抽選値の保留がなされている場合であって(S30のY)、図柄変動が表示中でなければ(S32のN)、当否抽選手段112が当否判定処理を実行する(S34)。その判定結果に応じてメイン表示制御手段118が変動表示を開始するとともに、変動開始コマンドを演出表示制御手段134へ送信し、これを受信した演出表示制御手段134が変動演出パターンにしたがって演出画像の変動表示を開始する(S36)。S30において当否抽選値が保留されていなかった場合は(S30のN)、S32からS36までの処理がスキップされ、S32において図柄変動が表示中であった場合は(S32のY)、S34およびS36の処理がスキップされる。続いて、図柄変動表示がすでに開始されていれば(S38のY)、図柄変動表示処理を実行し(S40)、図柄変動表示が開始されていないときは(S38のN)、S40をスキップする。
【0111】
図13は、図12におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、当否抽選手段112が当否抽選値を読み出して(S42)、その当否抽選値に基づいて当否を判定する(S44)。図柄決定手段114は、当否判定結果に基づいて特別図柄の停止図柄を決定し(S46)、変動パターン決定手段115が特別図柄の変動パターンを選択する(S48)。演出決定手段132は、当否判定結果および特別図柄に基づいて装飾図柄の停止図柄組合せを決定し(S50)、特別図柄の変動パターンに応じて装飾図柄の変動演出パターンを選択する(S52)。
【0112】
図14は、図8におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。当否抽選の結果が大当りであった場合(S90のY)、すでに特別遊技が開始済みであって(S92のY)、大入賞口66が開放済でなければ(S98のN)、大入賞口66の開放処理を実行する(S100)。このとき、設定された大当り演出の表示も開始する。大入賞口66が開放済みであれば(S98のY)、大入賞口66の閉鎖処理を実行する(S102)。その結果、大入賞口66が閉鎖状態になっていれば(S104のY)、S106へ移行する。閉鎖状態でなければ(S104のN)、S106以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。一方、S92において特別遊技が開始済みでない場合は(S92のN)、特別遊技を開始して(S94)、その開始デモ演出の表示を開始し(S96)、本処理を一旦終了する。
【0113】
S106においては、特別遊技中の演出であるデモ演出中であるか否かを判定する。なお、ここでいう「デモ演出」は、開始デモ演出および終了デモ演出を含む。デモ演出中でなければ(S106のN)、後述する終了フラグを参照して特別遊技終了条件が満たされるか否かを判定し(S110)、特別遊技終了条件が満たされていれば(S110のY)、その終了フラグをオフにしたうえで(S112)、終了デモ演出の表示を開始する(S114)。特別遊技終了条件が満たされていなければ(S110のN)、本処理を一旦終了する。S106にてデモ演出中であると判定され(S106のY)、終了デモ演出が終了した場合(S116のY)、特別遊技を終了し(S118)、特定遊技、すなわち確変、時短、および入球容易状態を開始する(S120)。終了デモ演出が終了していない場合は(S116のN)、S118およびS120の処理をスキップする。大当りでない場合は(S90のN)、本図のS92以降のフローをスキップする。
【0114】
図15は、図14におけるS100の開放処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の開放タイミングとなったとき(S122のY)、開閉制御手段124は、通過フラグを一律にオフにするとともに開閉パターンの動作を設定し(S124)、大入賞口66を開放させる(S126)。また、現在の単位遊技の繰り返し回数に対応した大当り演出、または繰り返し回数が異なる回数になることに対応した大当り演出を設定して開始する。開放タイミングでないときは(S122のN)、S124およびS126の処理をスキップする。
【0115】
図16は、図14におけるS102の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の閉鎖タイミングとなったとき、開閉制御手段124は大入賞口66を閉鎖させる。すなわち、特別遊技中において、入球数による終了条件が満たされるか(S130のY)、入球数による終了条件が満たされなくとも(S130のN)、開放時間による終了条件が満たされれば(S132のY)、大入賞口66を閉鎖する(S134)。開放時間による終了条件も満たされなければ(S132のN)、S134以降のフローをスキップする。
【0116】
なお、15R大当りにおける入球数による終了条件は大入賞口66への10球以上の入球であり、開放時間による終了条件は、大入賞口66の開放開始から開閉パターンに沿った設定時間の経過である。15R大当りの場合は、その開放開始から30秒の経過であり、2R大当りの場合は、その開放開始から0.5秒の経過である。ただし、0.5秒の開放は極めて短いため、10球以上の入球はもちろん、入球そのものが困難である。その大入賞口の開放と同時に遊技球を打ち出したとしても入球困難であるため、大入賞口66の極短開放が行われる2R大当りについては、大入賞口66の開放前にその開放を予測して遊技球を打ち出す必要がある。一方、15R大当りにおける入球数による終了条件は大入賞口への10球以上の入球であり、開放時間による終了条件は、大入賞口66の開放開始から30秒の経過である。このとき、継続上限回数に達していれば(S136のY)、終了フラグをオンにする(S138)。継続上限回数に達していなければ(S136のN)、S138の処理をスキップする。本実施例においてこの継続上限回数は15回である。入球数による終了条件および開放時間による終了条件のいずれも満たされていなければ(S130のN,S132のN)、S134以降の処理をスキップする。
【0117】
図17は、図8におけるS17の小当り遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。当否抽選の結果が小当りであった場合(S150のY)、既に小当り遊技が開始済みであって(S152のY)、大入賞口66が開放済でなければ(S158のN)、大入賞口66の開放処理を実行し(S160)、開放済みであれば(S158のY)、大入賞口66の閉鎖処理を実行する(S162)。その結果、大入賞口66が閉鎖状態になっていれば(S164のY)、S166へ移行する。閉鎖状態でなければ(S164のN)、S166以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。一方、S152において小当り遊技が開始済みでない場合は(S152のN)、小当り遊技を開始して(S154)、2R大当りと同様の開始デモ演出の表示を開始し(S156)、本処理を一旦終了する。
【0118】
S166においては、小当り遊技中の演出であるデモ演出中であるか否かを判定する。デモ演出中でなければ(S166のN)、小当り遊技終了条件が満たされたか否かを判定する。ここでは、後述する終了フラグがオンになっていれば、小当り遊技終了条件が満たされることになる。小当り遊技終了条件が満たされていれば(S170のY)、その終了フラグをオフにしたうえで(S172)、終了デモ演出の表示を開始する(S174)。小当り遊技終了条件が満たされていなければ(S170のN)、本処理を一旦終了する。S166にてデモ演出中であると判定され(S166のY)、終了デモ演出が終了した場合(S176のY)、小当り遊技を終了する(S178)。終了デモ演出が終了していない場合は(S176のN)、S178の処理をスキップする。小当りでない場合は(S150のN)、本図のS152以降のフローをスキップする。
【0119】
図18は、図17におけるS160の開放処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の開放タイミングとなったとき(S180のY)、開閉制御手段124は、開閉パターンの動作を設定し(S182)、大入賞口66の開放を開始する(S184)。開放タイミングでないときは(S180のN)、S182およびS184の処理をスキップする。
【0120】
図19は、図17におけるS162の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の終了タイミングとなったとき(S190のY)、終了フラグをオンにし(S192)、大入賞口66を閉鎖する(S194)。なお、この閉鎖タイミングは、大入賞口66の開放開始から0.5秒の経過したタイミングである。閉鎖タイミングでなければ(S190のN)、S192およびS194の処理をスキップする。
【0121】
(第2実施例)
本実施例においては、入球率算出手段126が、一般入賞口72への入球率ではなく、始動口62への入球率を算出する点で第1実施例と異なる。すなわち、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率との比率が所定の基準比率を超えた場合に不正な遊技者による不正行為があったと判定する。以下、第1実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。
【0122】
図3において、入球率算出手段126は、始動口62への入球率を算出する。エラー判定手段128は、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率との比率が所定の基準比率を超えたときにエラーを報知する。通常、始動口62への入球に対する規定賞球数は一般入賞口72への入球に対する規定賞球数よりも少ないため、不正な遊技者は始動口62よりも一般入賞口72を狙う可能性が高いものの、本実施例によれば始動口62へ不正に入球させるという目立ちにくい行為までも検出することができる。
【0123】
なお、図9においては、第1実施例におけるS221の処理がS200とS202の間に実行され、第1実施例におけるS223の処理がS202とS204の間に実行される。すなわち、始動口62への入球があったとき、新たな当否抽選値を保留制御手段116に保留できる状態であるかどうかにかかわらずS221およびS223に相当する処理が実行される。
【0124】
(第3実施例)
本実施例においては、特別遊技における一般入賞口72への入球率が算出された時点で通常遊技における一般入賞口72への入球率が未算出であった場合、その算出した特別遊技における一般入賞口72への入球率を「基準値」に設定する点で第1,2実施例と異なる。以下、第1,2実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。
【0125】
特別遊技において一般入賞口72への不正な入球がなかった場合、特別遊技における一般入賞口72への入球率は通常遊技における一般入賞口72への入球率と比べて有意な差異はないはずである。そのため、通常遊技における一般入賞口72への入球率が未算出のまま特別遊技における一般入賞口72への入球率が算出された場合はその算出した値をいったん「基準値」に設定する。その後の通常遊技においては原則通り通常遊技における一般入賞口72への入球率を算出し、エラー判定手段128はその算出した通常遊技における入球率と「基準値」としての特別遊技における入球率との比率を算出する。ここで、もし特別遊技において不正な入球がされていた場合、通常遊技における入球率は「基準値」を大きく下回るはずであり、通常遊技における入球率と「基準値」の比率は所定の基準比率を超えることとなる。その場合にはエラー判定手段128がエラーを報知し、特別遊技後の通常遊技における入球率を新たな「基準値」として電源終了まで保持する。逆に、通常遊技における入球率と「基準値」の比率が所定の基準比率を超えなかった場合は、最初の特別遊技において不正な入球がなかったものとして、その「基準値」を通常遊技における入球率として有効な算出結果とみなし、電源終了まで保持する。
【0126】
(第4実施例)
本実施例においては、入球率算出手段126およびエラー判定手段128をサブ基板104に設ける点で、入球率算出手段126およびエラー判定手段128をメイン基板102に設ける第1〜3実施例と異なる。以下、第1〜3実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。
【0127】
サブ基板104に設けられた入球率算出手段126は、一般入賞口72への入賞を示す情報や遊技状態を示す情報を含んだコマンドをメイン基板102から受け取り、発射制御基板47から遊技球の発射状態を示す情報を受け取る。これらの情報に基づいて入球率算出手段126は通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率を算出する。サブ基板104に設けられたエラー判定手段128は、通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率の比率が所定の基準比率を超えた場合にエラーと判定する。
【0128】
なお、変形例として、入球率算出手段126をメイン基板102に設け、エラー判定手段128をサブ基板104に設ける構成としてもよい。
【0129】
(第5実施例)
本実施例においては、エラー判定手段128によりエラーと判定された場合に発射制御基板47が遊技球の発射を停止させる点で第1〜4実施例と異なる。以下、第1〜4実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。
【0130】
エラー判定手段128は、通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率の比率が所定の基準比率を超えた場合、エラーを示す情報を発射制御基板47にも送信する。エラーを示す情報を受け取った発射制御基板47は、遊技球の発射を停止させる。
【0131】
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0132】
上記の各実施例においては、一般入賞口72への入球率または始動口62への入球率を用いて通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率の比率を算出する構成を説明した。変形例においては、一般入賞口72への入球と始動口62への入球の合計を入賞口への入球率とし、それら入球の合計による通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率の比率を算出する構成であってもよい。または、第1実施例の機能と第2実施例の機能を一つのぱちんこ遊技機10に併せ持つことにより、一般入賞口72への不正な入球と始動口62への不正な入球をそれぞれ別個に検出できる構成としてもよい。
【0133】
上記の第2実施例またはその変形例においては、入球率算出手段126が始動口62への入球率を算出する構成を説明した。変形例においては、始動口62への入球率を始動口62の拡開機構63が拡開した状態での入球と閉鎖した状態での入球とを区別して算出する構成としてもよい。始動口62は、拡開機構63が拡開した状態では閉鎖した状態より入球率が高まる特性を有するため、これらを区別するか否かで入球率の比率は大きく異なる可能性がある。したがって、例えば拡開機構63が閉鎖した状態のみを算出期間の対象とし、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。逆に、例えば拡開機構63が拡開した状態のみを算出期間の対象として通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。
【0134】
別の変形例としては、始動口62が入球容易状態である場合とそうでない場合とを区別して始動口62への入球率を算出する構成としてもよい。始動口62は、入球容易状態においては頻繁に、かつ、長く拡開機構63が拡開して入球率が高まる特性を有する。したがって、入球容易状態であるかどうかで入球率の比率も大きく異なる可能性がある。したがって、例えば入球容易状態でない状態のみを算出期間の対象とし、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。逆に、例えば入球容易状態のみを算出期間の対象として通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。
【0135】
上記の各実施例においては、通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率との比率が基準比率を超えたときにエラーを報知する構成を説明した。変形例においては、特別遊技中であるか否かを問わず、基準として設定された所定時間あたりの入賞口への入球率と遊技中に算出された所定時間あたりの入賞口への入球率との比率が基準比率を超えたときにエラーを報知する構成としてもよい。
【0136】
上記の各実施例においては、特別遊技が発生した時点で通常遊技における入賞口への入賞率が未算出であった場合には特別遊技終了後に通常遊技における入賞口への入球率を算出する構成を説明した。変形例においては、特別遊技が発生した時点で通常遊技における入賞口への入賞率が未算出であった場合には、電源投入前のデータ、例えば前日の営業時に記録された入球率データであって電源終了時にバックアップされたデータを用いて入球率の比率を算出する構成としてもよい。
【0137】
(第6実施例)
本実施例においては、通常遊技における一般入賞口への入球率と特別遊技における一般入賞口への入球率との比率が判定値を超えた場合に不正な遊技者による不正行為があったと判定する。また、特別遊技における大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数の比率が所定の基準比率を超えた場合にも不正な遊技者による不正行為があったと判定する。不正行為としては、遊技球に釣り糸等の目立たない糸状部材を取り付けて一般入賞口へ入球させ、その糸状部材の引っ張りと弛緩を繰り返すことで何度も一般入賞口の入球センサに反応させる行為が考えられる。こうした行為を仮に通常遊技中に実行した場合、特別遊技以外における賞球払出数の急増を検出する遊技機またはホールコンピュータの機能によって発覚する可能性があるため、不正な遊技者は通常遊技中には糸状部材を悪用した不正行為の実行を避けることが考えられる。これに対して特別遊技においては、もともと賞球払出数が急増する期間であるがゆえに、これに紛れて糸状部材を悪用した不正行為が実行されても従来の機能では発見できない。例えば実際には単位遊技8R分しかない特別遊技において、単位遊技15R分の特別遊技に相当する出玉があったとしても、従来の機能によっては不正による出玉であったのかは判別できない。そこで、本実施例においては通常遊技中と特別遊技中で一般入賞口への入球率を区別して算出し、これらの対比によって不正な入賞を検出する。また、特別遊技における大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数を区別してその比率を検出し、これらの対比によって不正な入賞を検出する。
【0138】
また、判定値には可変値を設定しておくことにより、不正な遊技者が遊技機を入手して解析しても、遊技店での遊技機には同じ判定値が設定されているとは限らず、解析結果をもとにした不正行為を困難にすることができる。また、不正行為があったことを判定したときはその旨を報知するが、判定タイミングから報知タイミングの時間間隔を可変にすることにより、報知タイミングに基づいて判定値を推測することも困難にすることができる。以下、第1〜5実施例との相違を中心に説明する。
【0139】
図2において、サブ基板104には、その基板上に、後述する判定値を手動設定するときに操作する設定スイッチ302が設けられている(図示せず)。遊技店員など、ぱちんこ遊技機10の背面側に正当にアクセスして操作できる者が設定スイッチ302を操作することにより、判定値の設定を指示することができる。
【0140】
図20は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、可動役物140、外部装置300、設定スイッチ302のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段136、入球率算出手段127、賞球数検出手段129、エラー判定手段128を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
【0141】
これにより、各入賞口への入球数の計数とエラーの判定をサブ基板104側で処理できるため、メイン基板102側では、各入賞口への入球を示す信号をサブ基板104へ送信するだけでよい。メイン基板102では例えば制御プログラムやデータを格納するためのROMの容量がそれぞれ3キロバイトに制限され、また、RAMの記憶容量が1キロバイト、その使用領域が512バイトに制限されるといった制約がある。そのため、設計者としてはROMやRAMに記憶させるデータは1バイトでも小さくして記憶容量を稼ぎたいところである。したがって、入賞口への入球数の計数処理とエラーの判定処理のプログラムをサブ基板104に搭載させ、メイン基板102に搭載しなくて済むことは設計上も大きなメリットがあり、そこで稼いだ容量分を別のプログラムのために有効活用することができる。ただし、変形例として、上記のデータ格納領域に関する効果は得られないものの、入球率算出手段127とエラー判定手段128をメイン基板102に設けることは十分可能である。
【0142】
入球判定手段110は、入球率算出手段127および賞球数検出手段129に対して始動入賞情報、大入賞口入賞情報、一般入賞情報を送出する。
【0143】
入球率算出手段127は、入球判定手段110から受け取る一般入賞情報に基づいて一般入賞口72への入球率を算出する。入球率算出手段127は、入球判定手段110から一般入賞情報を受け取るたびにその数を入球数として計数し、その入球数と計数開始からの経過時間に基づいて所定期間、例えば10分間あたりの入球数を算出してこれを一般入賞口72への入球率とする。入球の計数は、ぱちんこ遊技機10の電源投入後における所定の契機に開始する。例えば、電源投入後に最初に一般入賞情報を受け取ったときに開始することとしてもよいし、電源投入後の最初の遊技球発射時に開始することとしてもよい。入球率算出手段127は、遊技球の発射がオンオフいずれの状態にあるかを示す情報を発射制御基板47から取得する。これら所定の契機に入球の計数を開始した後、下限時間として少なくとも10分間以上が経過するまで特別遊技が発生しないまま入球の計数期間が継続した場合に、その入球数を用いて算出した一般入賞口72への入球率を有効な算出結果とする。
【0144】
下限時間の経過前に遊技者が遊技を中断して遊技球の発射を一定時間停止させた場合、遊技を再開させたときに下限時間までの残り時間の分だけ計数を再開させてもよいし、最初から下限時間に達するまで計数し直してもよい。下限時間の経過前に特別遊技が発生した場合にも、その特別遊技の終了後の通常遊技において下限時間までの残り時間の分だけ計数を再開させてもよいし、最初から下限時間に達するまで計数し直してもよい。入球率算出手段127は、通常遊技における一般入賞口72への入球率として有効な算出結果を得た後は、そのデータを電源終了まで保持し、その後の通常遊技においては一般入賞口72への入球率は特に算出を要しない。
【0145】
入球数を計数する所定期間の変形例として、入球数算出手段127は、入球タイミングから遡った過去の計数期間分、例えば少なくとも過去10分間分の入球時刻に関するログを記録して保存することとし、新たな入球があるたびにその入球タイミングから過去10分間の入球数を計数する構成としてもよい。この場合、新たな入球があるたびに入球数が計数されるため、新たな入球があったそのタイミングで判定値を超えたか否か、すなわち不正が行われているか否かを判定することができる。実際の経過時間が10分間を経過しても、実際の入球があって初めて算出される累積期間が10分間を経過したと判明するまでは入球時刻等のログを消去せずに保持し、新たな入球があるたびに累積期間を超えて遡るログを消去することとしてもよい。あるいは、累積期間を常時算出し、開放期間と閉鎖期間で分ける場合は別々に累積期間を常時算出し、現在時刻から遡る累積期間が計数期間を超えることが判定されるたびにその超えた分のログを消去することとしてもよい。計数期間が経過したか否かは、累積期間を事後的に算出することで初めて判明するため、不正により通常の想定ペースを超える多数の入球が発生した場合でもその不正を検出できるよう、多数の入球を記録できるだけの十分な容量を確保することが望ましい。
【0146】
入球率算出手段127は、特別遊技が開始されるたびに特別遊技における一般入賞口72への入球率を算出する。例えば、特別遊技が開始されるたびにその特別遊技中の一般入賞口72への入球数と特別遊技の時間に基づいて、10分間あたりの入球数を算出してこれを特別遊技における一般入賞口72への入球率とする。ただし、特別遊技の種類によっては有効な入球率が算出できない場合があるため、その場合は算出処理をスキップまたは算出結果を無効とする。例えば、2R大当りの場合、特別遊技の時間が極端に短いために通常であればその期間内に一般入賞口72へ入球することは考えにくいものの、偶発的にタイミングよく入球した場合には、10分あたりの入球数に換算したときに不正がなくとも想定外に大きな値となるおそれがある。また、不正な遊技者としてもわざわざ極端に短い期間である2R大当りのときにまで不正行為を働くとは考えにくく、仮に不正行為をしたとしてもその効果は極端に小さい。そのため、2R大当りの特別遊技は一般入賞口72への入球率の算出対象外とする。
【0147】
エラー判定手段128は、入球率算出手段127から、通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率を取得する。エラー判定手段128は、特別遊技における一般入賞口72への入球率を取得した時点で通常遊技における一般入賞口72への入球率を未取得であった場合は、特別遊技の実行後の通常遊技における一般入賞口72への入球率を取得する。エラー判定手段128は、特別遊技の前後に取得する通常遊技における一般入賞口72への入球率と、特別遊技が開始されるたびに取得する特別遊技における一般入賞口72への入球率とが揃ったときに、通常遊技における入球率と特別遊技における入球率との比率を算出する。
【0148】
エラー判定手段128は、通常遊技における入球率と特別遊技における入球率との比率が判定値を超えたときにエラーと判定し、その判定から猶予期間が経過した後にエラーを報知する。判定値としては、遊技機の設計段階における実験値または設計値に基づいて定められた判定値範囲からランダムに選ばれる可変値が設定される。例えば、通常遊技における一般入賞口72への入球率が10分間に平均3個で、その標準偏差σが1であった場合、入球率の範囲が平均μ±3σであると考えると、最大で0個〜6個の範囲にほぼ収まると考えられる。この場合、平均入球率の2倍までは最大誤差として生じ得ると考えた上で、余裕のある確実な値として判定値を例えば1:2.5から1:3までといった範囲からランダムで選択して設定してもよい。実際、通常遊技における一般入賞口72への入球率が10分間に3個程度であったとしても、不正な遊技者は特別遊技という限られた期間に多数の賞球を獲得するため一般入賞口72への入球率が10分間に150個となるような頻度で不正入球させる可能性がある。したがって、1:2.5から1:3までといった判定値の範囲でも十分に不正行為を検出できる。また、入賞口において通常では起こり得ない程度の入球が発生したときにこれを不正による入球であると判定することができ、また、その判定基準が外部から安易に推測できないようにすることができる。すなわち、ぱちんこ遊技機10を不正行為者が入手してどのような数値を基準としてエラー判定されるかを解析したとしても、その数値を可変値となるように設定しているため、その解析結果に基づいて実際に遊技店で遊技したとしても解析通りには作動しないこととなる。あるいは、相当な長時間を費やせば理論上は解析が可能であったとしても、他の遊技機種と比べてそのような長時間をかけない限り有効な解析が不能となれば、不正行為者による不正な解析意欲を減退させることができ、不正の抑制または未然防止を期待できる。
【0149】
エラー判定手段128は、所定の設定タイミングに達するたびに判定値として所定の値範囲に含まれるランダムの値を設定する。本実施例における判定値の設定タイミングは、計数期間の開始時である。エラー判定手段128は、判定値範囲の境界値に近い値に対する設定の頻度が境界値に遠い値に対する設定の頻度より低くなるように分散させたランダムの値を判定値に設定する。境界値は、例えば判定値範囲の下限値であり、下限値に近い値が下限値に遠い値より設定の頻度が低くなるように分散させる。判定値の分散は、判定値範囲下限の境界値と上限の境界値の中間近傍にある値をピークとする正規分布曲線を描くように分散した値を判定値に設定してもよい。これにより、エラーの判定基準となる判定値範囲の境界値を外部から安易に推測できないようにすることができる。すなわち、ぱちんこ遊技機10を不正行為者が入手して解析しようとしても設定頻度の低い境界値は容易に解析できないか、少なくとも相当な長時間の解析が必要となり、不正の抑制または未然防止を期待できる。
【0150】
エラー判定からエラー報知までの猶予期間として複数の候補値が用意され、エラー判定手段128がいずれかの候補値をランダムで猶予期間に設定することにより、猶予期間の時間値が可変となる。猶予期間の設定タイミングは、判定値と同様に計数期間の開始時である。このように、ぱちんこ遊技機10を不正行為者が入手してどのような数値を基準としてエラー判定されるかを解析したとしても、その数値とエラー報知のタイミングが必ずしも一致せず、実際のエラー判定から報知までに可変のタイムラグが生じることから、外部からの判定値の解析が困難となる。したがって、不正行為者による不正な解析意欲を減退させることができ、不正の抑制または未然防止を期待できる。
【0151】
エラー判定手段128は、判定値範囲の候補として複数種類の候補範囲を保持し、遊技店員等の操作者による設定スイッチ302の操作に応じて複数種類の候補範囲のうちいずれかを判定値範囲に設定する。設定スイッチ302は、例えばサブ基板104にディップスイッチの形で設けられてもよい。遊技店員が遊技機ごとに入賞口近辺の釘調整具合に合わせて判定基準の厳しさを微調整することができ、より実態にあった判定値を設定して適切なエラー判定をすることができる。ただし、変形例として、判定値範囲を設定するのではなく、判定値そのものを設定スイッチ302の操作に応じて設定する構成としてもよい。この場合の判定値の候補は複数種類の候補値が用意され、いずれかの候補値が判定値に設定され、ランダムな値は設定されない。
【0152】
通常遊技における入球率と特別遊技における入球率との比率が判定値を超えたときにエラーと判定し、その判定から猶予期間が経過した後、エラー判定手段128は、エラーを示す情報を外部装置300としてのホールコンピュータへ出力する。ホールコンピュータは、遊技店が用意する遊技機管理用コンピュータの総称であり、各遊技機はホールコンピュータに接続され、ホールコンピュータは遊技店内の各遊技機からそれぞれの遊技状態に関する情報を収集する。また、エラー判定手段128は、エラーを示す情報を演出決定手段132または演出表示制御手段134へ送信して演出表示装置60の画面にもエラーである旨を表示させることによりエラーを報知させる。エラー判定手段128は、演出表示装置60の画面にエラーを報知した場合、ぱちんこ遊技機10の電源がオフされるまでエラーを報知した状態を維持する。これにより、例えば演出表示装置60の画面でエラーである旨を表示させる一方で、遊技そのものの停止まではしない構成に設計したとしても、不正行為者としてはいつまでもエラーが消えることがないために事実上遊技を継続することは困難となる。これにより、不正な行為を防止することができる。また、遊技そのものを停止する機能を搭載しなくても、エラーを報知して電源オフまで維持する機能を搭載するだけで効果的に不正行為を防止できるため、より低コストおよび簡易設計にて予防策を講じることができる。ただし、変形例としては、エラー判定手段128がエラーを判定したときに遊技球の発射を強制的に停止させることによって、それ以上の不正行為を防止する構成としてもよい。別の変形例としては、エラーである旨を演出表示装置60の画面には報知せずに外部装置300にだけエラーを示す情報を出力する構成としてもよい。この場合、不正行為に起因するエラーを不正行為者には知られずに遊技店に把握させることができる。
【0153】
以上のように、不正な行為を検出し、エラーを報知するが、本来は入賞口に複数のフォトセンサを設け、釣り糸を用いた遊技球の上げ下げを直接的に検出する方が不正検出の確実性は高い。しかし、センサを設けること自体がハードウェアのコスト増を招く設計であるため、本実施例のようにソフトウェアの変更のみで対応できる構成はハードウェアの製造コスト増加を招かないメリットがある。
【0154】
賞球数検出手段129は、特別遊技が開始されるたびに特別遊技における大入賞口66への入球を契機とした大入賞口賞球払出数と一般入賞口72への入球を契機とした一般入賞口賞球払出数を検出する。本実施例においては、大入賞口66への入球に対する規定賞球数と特別遊技における大入賞口66への入球数により特別遊技における大入賞口賞球払出数を算出する。例えば、大入賞口66へ10球入球すれば大入賞口賞球払出数を150球と算出する。また、賞球数検出手段129は、一般入賞口72への入球に対する規定賞球数と特別遊技における一般入賞口72への入球数により特別遊技における入賞口賞球払出数を算出する。例えば、一般入賞口72へ10球入球すれば一般入賞口賞球払出数を100球と算出する。賞球数検出手段129は、入球判定手段110から大入賞情報を受け取るとともに、大入賞情報を受け取るたびにその数を大入賞口66への入球数として計数する。賞球数検出手段129は、入球判定手段110から一般入賞情報を受け取るとともに、一般入賞情報を受け取るたびにその数を一般入賞口72への入球数として計数する。
【0155】
賞球数検出手段129は、特別遊技の終了時に特別遊技における大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数を検出する。ただし、特別遊技の種類によっては有効な入球数が検出できない場合があるため、その場合は検出処理をスキップまたは検出結果を無効とする。例えば、2R大当りの場合、特別遊技の時間が極端に短いために通常であればその期間内に大入賞口66および一般入賞口72へ入球することは考えにくいものの、偶発的にタイミングよく入球しても統計的信用のない値にしかならず、不正がなくともエラーとなるおそれがある。また、不正な遊技者としてもわざわざ極端に短い期間である2R大当りのときにまで不正行為を働くとは考えにくく、仮に不正行為をしたとしてもその効果は極端に小さい。そのため、2R大当りの特別遊技は大入賞口66および一般入賞口72への入球数の検出対象外とする。
【0156】
エラー判定手段128は、賞球数検出手段129から、特別遊技における大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数を取得し、それら大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数の比率を算出する。特別遊技における大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数との比率が所定の基準比率を超えた場合、エラー判定手段128がエラーを示す情報を演出決定手段132または演出表示制御手段134へ送信して演出表示装置60へエラーを報知させ、また、エラー判定手段128は、エラーを示す情報を外部装置300としてのホールコンピュータへ出力する。ホールコンピュータは、遊技店が用意する遊技機管理用コンピュータの総称であり、各遊技機はホールコンピュータに接続され、ホールコンピュータは遊技店内の各遊技機からそれぞれの遊技状態に関する情報を収集する。エラーを示す情報が遊技店側へ送信されて不正の疑いのある行為が通報されるので、遊技店は直ちに然るべき処置を採ることができる。
【0157】
特別遊技における大入賞口賞球払出数と一般入賞口賞球払出数の基準比率は、遊技機の設計段階における実験値または設計値に基づいて定められる。例えば、特別遊技における大入賞口賞球払出数が1分間あたり平均300個で、特別遊技における一般入賞口賞球払出数が1分間あたり平均3個とすると、大入賞口賞球払出数に対する一般入賞口賞球払出数の比率は1/100である。遊技者が遊技球の発射を停止せずに打ち続けたと仮定し、大入賞口賞球払出数の標準偏差σが30であった場合に大入賞口賞球払出数の範囲が平均μ±3σであると考えると210個〜390個の範囲にほぼ収まると考えられる。また、1分間あたりの一般入賞口賞球払出数の標準偏差σが1であった場合に一般入賞口賞球払出数の範囲が平均μ±3σであると考えると0個〜6個の範囲にほぼ収まると考えられる。この場合、大入賞口賞球払出数に対する一般入賞口賞球払出数の比率は、不正行為および遊技球の発射停止がなければ最大でも1/35程度である。したがって、余裕のある確実な値として基準比率を例えば1/30や1/25といった値に設定してもよい。実際、不正な遊技者は特別遊技という限られた期間に多数の賞球を獲得するため一般入賞口賞球払出数が1分間に100個や200個となるような頻度で不正入球させる可能性がある。したがって、1/10や1/5といった基準比率の値でも十分に不正行為を検出できる。あるいは、誤差に基づく誤検出をさらに確実に排除するために、さらに余裕のある基準比率として1/3や1/2といった値を用いたとしても十分に不正行為を検出できる。
【0158】
なお、遊技者が何らかの理由により特別遊技中に遊技球の発射を停止した場合には大入賞口賞球払出数が減るが、発射停止により一般賞球払出数も減るために比率はさほど変わらない。
【0159】
図21は、図8におけるS10の入球処理を詳細に示すフローチャートである。始動口62に入球があった場合(S400のY)、始動口62に対応する規定賞球数をセットする(S402)。保留制御手段116による当否抽選値の保留数が4未満であるか否かを参照してさらなる保留が可能な状態であれば(S404のY)、当否抽選値を取得し(S406)、その当否抽選値を保留制御手段116に保留する(S408)。S400において始動口62への入球がない場合はS402からS408までの処理をスキップする(S400のN)。S404において保留数が上限に達していてさらなる保留が不可能な場合はS406およびS408の処理をスキップする(S404のN)。
【0160】
作動口68に入球があった場合(S410のY)、保留制御手段116による開放抽選値の保留数が4未満であるか参照してさらに保留可能な状態であれば(S412のY)、開放抽選値を取得し(S414)、その開放抽選値を保留制御手段116に保留する(S418)。S410において作動口68への入球がない場合はS412からS418までの処理をスキップする(S410のN)。S412において保留数が上限に達していてさらなる保留が不可能な場合はS414からS418までの処理をスキップする(S412のN)。
【0161】
一般入賞口72に入球があった場合(S420のY)、入球率の算出処理を実行し(S421)、一般入賞口72に対応する規定賞球数をセットし(S422)、入球率に基づくエラー判定処理を実行し(S423)、一般入賞口72への入球がないときはS421からS423までの処理をスキップする(S420のN)。大入賞口66に入球があった場合は(S424のY)、入球数の計数処理を実行し(S425)、大入賞口66に対応する規定賞球数をセットし(S426)、大入賞口66への入球がないときはS425およびS426をスキップする(S424のN)。
【0162】
図22は、図21におけるS421の入球率算出処理を詳細に示すフローチャートである。遊技状態が通常遊技中の場合であって(S440のY)、一般入賞口72への入球数の計数期間中でない場合(S442のN)、一般入賞口72への入球率が未算出であれば(S444のY)、入球数の計数期間を開始し(S446)、一般入賞口72への入球を計数する(S448)。一般入賞口72への入球率が算出済みであれば(S444のN)、S446およびS448の処理をスキップする。S442において一般入賞口72への入球数の計数期間中であれば、S444からS446までの処理をスキップする(S442のY)。S440において遊技状態が特別遊技中であれば(S440のN)、つねに入球数の計数期間に相当するので一般入賞口72への入球を計数する(S446)。
【0163】
図23は、図21におけるS423のエラー判定処理を詳細に示すフローチャートである。一般入賞口72への入球数の計数期間中であってその計数期間の終了タイミングであれば(S460のY)、計数期間を終了し(S462)、通常遊技または特別遊技における一般入賞口72への入球率、すなわち10分間あたりの入球数を算出する。通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率とがともに算出済みで揃った場合(S466のY)、通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率の比率を算出する(S468)。通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率とが未算出または揃っていない場合(S466のN)、S468をスキップする。S460において一般入賞口72への入球数の計数期間の終了タイミングではなかった場合、S462からS468までの処理をスキップする(S460のN)。通常遊技と特別遊技における一般入賞口72への入球率の比率が判定値を超えた場合(S470のY)、エラー判定手段128はエラーを報知し(S472)、判定値を超えていなければS472をスキップする(S470のN)。
【0164】
図24は、図21におけるS425の入球数計数処理を詳細に示すフローチャートである。遊技状態が特別遊技中の場合であれば(S440のY)、大入賞口66への入球を計数し(S442)、特別遊技中でなければ(S440のN)、S442をスキップする。
【0165】
図25は、図8におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。特別遊技終了処理(S118)の詳細については次図で説明する。
【0166】
図26は、図25におけるS118の特別遊技終了処理を詳細に示すフローチャートである。まず、特別遊技を終了させ(S464)、特別遊技における一般入賞口72への入球数と規定賞球数に基づく一般入賞口賞球払出数と、特別遊技における大入賞口66への入球数と規定賞球数に基づく大入賞口賞球払出数を算出し(S466)、特別遊技における一般入賞口賞球払出数と大入賞口賞球払出数の比率を算出する(S468)。特別遊技における一般入賞口賞球払出数と大入賞口賞球払出数の比率が基準比率を超えた場合(S470のY)、エラー判定手段128はエラーを報知し(S472)、基準比率を超えていなければS472をスキップする(S470のN)。
(第7実施例)
本実施例においては、入球率算出手段127が、一般入賞口72への入球率ではなく、始動口62への入球率を算出する点で第6実施例と異なる。すなわち、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率との比率が判定値を超えた場合に不正な遊技者による不正行為があったと判定する。以下、第6実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。
【0167】
図20において、入球率算出手段127は、始動口62への入球率を算出する。エラー判定手段128は、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率との比率が判定値を超えたときにエラーを報知する。通常、始動口62への入球に対する規定賞球数は一般入賞口72への入球に対する規定賞球数よりも少ないため、不正な遊技者は始動口62よりも一般入賞口72を狙う可能性が高いものの、本実施例によれば始動口62へ不正に入球させるという目立ちにくい行為までも検出することができる。
【0168】
なお、図21においては、第6実施例におけるS421の処理がS400とS402の間に実行され、第6実施例におけるS423の処理がS402とS404の間に実行される。すなわち、始動口62への入球があったとき、新たな当否抽選値を保留制御手段116に保留できる状態であるかどうかにかかわらずS421およびS423に相当する処理が実行される。
【0169】
(第8実施例)
本実施例においては、特別遊技における一般入賞口72への入球率が算出された時点で通常遊技における一般入賞口72への入球率が未算出であった場合、その算出した特別遊技における一般入賞口72への入球率を「基準値」に設定する点で第6,7実施例と異なる。以下、第6,7実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。
【0170】
特別遊技において一般入賞口72への不正な入球がなかった場合、特別遊技における一般入賞口72への入球率は通常遊技における一般入賞口72への入球率と比べて有意な差異はないはずである。そのため、通常遊技における一般入賞口72への入球率が未算出のまま特別遊技における一般入賞口72への入球率が算出された場合はその算出した値をいったん「基準値」に設定する。その後の通常遊技においては原則通り通常遊技における一般入賞口72への入球率を算出し、エラー判定手段128はその算出した通常遊技における入球率と「基準値」としての特別遊技における入球率との比率を算出する。ここで、もし特別遊技において不正な入球がされていた場合、通常遊技における入球率は「基準値」を大きく下回るはずであり、通常遊技における入球率と「基準値」の比率は判定値を超えることとなる。その場合にはエラー判定手段128がエラーを報知し、特別遊技後の通常遊技における入球率を新たな「基準値」として電源終了まで保持する。逆に、通常遊技における入球率と「基準値」の比率が判定値を超えなかった場合は、最初の特別遊技において不正な入球がなかったものとして、その「基準値」を通常遊技における入球率として有効な算出結果とみなし、電源終了まで保持する。
【0171】
(第9実施例)
本実施例においては、エラー判定手段128によりエラーと判定された場合に発射制御基板47が遊技球の発射を停止させる点で第6〜8実施例と異なる。以下、第6〜8実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。
【0172】
エラー判定手段128は、通常遊技における一般入賞口72への入球率と特別遊技における一般入賞口72への入球率の比率が判定値を超えた場合、エラーを示す情報を発射制御基板47にも送信する。エラーを示す情報を受け取った発射制御基板47は、遊技球の発射を停止させる。
【0173】
(第10実施例)
本実施例においては、賞球数検出手段129が、一般入賞口72への入球を契機とする一般入賞口賞球払出数ではなく、始動口62への入球を契機とする始動入賞口賞球払出数を検出する点で第6〜9実施例と異なる。すなわち、特別遊技における大入賞口賞球払出数と始動入賞口賞球払出数の比率が所定の基準比率を超えた場合に不正な遊技者による不正行為があったと判定する。以下、第6〜9実施例との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略する。
【0174】
図20において、賞球数検出手段129は、始動口62への入球数を計数し、始動口62への入球数と規定賞球数に基づいて始動入賞口賞球払出数を算出する。エラー判定手段128は、特別遊技における大入賞口賞球払出数と始動入賞口賞球払出数の比率が所定の基準比率を超えたときにエラーを報知する。通常、始動口62への入球に対する規定賞球数は一般入賞口72への入球に対する規定賞球数よりも少ないため、不正な遊技者は始動口62よりも一般入賞口72を狙う可能性が高いものの、本実施例によれば始動口62へ不正に入球させるという目立ちにくい行為までも検出することができる。
【0175】
なお、図21においては、第6〜9実施例におけるS421の処理がS400とS402の間に実行される。すなわち、始動口62への入球があったとき、新たな当否抽選値を保留制御手段116に保留できる状態であるかどうかにかかわらずS421に相当する処理が実行される。
【0176】
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0177】
(第1〜5実施例に対する変形例)
上記の各実施例においては、一般入賞口72への入球率または始動口62への入球率を用いて通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率の比率を算出する構成を説明した。変形例においては、一般入賞口72への入球と始動口62への入球の合計を入賞口への入球率とし、それら入球の合計による通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率の比率を算出する構成であってもよい。または、第1実施例の機能と第2実施例の機能を一つのぱちんこ遊技機10に併せ持つことにより、一般入賞口72への不正な入球と始動口62への不正な入球をそれぞれ別個に検出できる構成としてもよい。
【0178】
上記の第2実施例またはその変形例においては、入球率算出手段126が始動口62への入球率を算出する構成を説明した。変形例においては、始動口62への入球率を始動口62の拡開機構63が拡開した状態での入球と閉鎖した状態での入球とを区別して算出する構成としてもよい。始動口62は、拡開機構63が拡開した状態では閉鎖した状態より入球率が高まる特性を有するため、これらを区別するか否かで入球率の比率は大きく異なる可能性がある。したがって、例えば拡開機構63が閉鎖した状態のみを算出期間の対象とし、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。逆に、例えば拡開機構63が拡開した状態のみを算出期間の対象として通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。
【0179】
別の変形例としては、始動口62が入球容易状態である場合とそうでない場合とを区別して始動口62への入球率を算出する構成としてもよい。始動口62は、入球容易状態においては頻繁に、かつ、長く拡開機構63が拡開して入球率が高まる特性を有する。したがって、入球容易状態であるかどうかで入球率の比率も大きく異なる可能性がある。したがって、例えば入球容易状態でない状態のみを算出期間の対象とし、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。逆に、例えば入球容易状態のみを算出期間の対象として通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。
【0180】
上記の各実施例においては、通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率との比率が基準比率を超えたときにエラーを報知する構成を説明した。変形例においては、特別遊技中であるか否かを問わず、基準として設定された所定時間あたりの入賞口への入球率と遊技中に算出された所定時間あたりの入賞口への入球率との比率が基準比率を超えたときにエラーを報知する構成としてもよい。
【0181】
上記の各実施例においては、特別遊技が発生した時点で通常遊技における入賞口への入賞率が未算出であった場合には特別遊技終了後に通常遊技における入賞口への入球率を算出する構成を説明した。変形例においては、特別遊技が発生した時点で通常遊技における入賞口への入賞率が未算出であった場合には、電源投入前のデータ、例えば前日の営業時に記録された入球率データであって電源終了時にバックアップされたデータを用いて入球率の比率を算出する構成としてもよい。
【0182】
(第6〜10実施例に対する変形例)
上記の実施例においては、一般入賞口72への入球率または始動口62への入球率を用いて通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率の比率を算出する構成を説明した。変形例においては、一般入賞口72への入球と始動口62への入球の合計を入賞口への入球率とし、それら入球の合計による通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率の比率を算出する構成であってもよい。または、第6実施例の機能と第7実施例の機能を一つのぱちんこ遊技機10に併せ持つことにより、一般入賞口72への不正な入球と始動口62への不正な入球をそれぞれ別個に検出できる構成としてもよい。
【0183】
上記の実施例またはその変形例においては、入球率算出手段127が始動口62への入球率を算出する構成を説明した。変形例においては、始動口62への入球率を始動口62の拡開機構63が拡開した状態での入球と閉鎖した状態での入球とを区別して算出する構成としてもよい。始動口62は、拡開機構63が拡開した状態では閉鎖した状態より入球率が高まる特性を有するため、これらを区別するか否かで入球率の比率は大きく異なる可能性がある。したがって、例えば拡開機構63が閉鎖した状態のみを算出期間の対象とし、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。逆に、例えば拡開機構63が拡開した状態のみを算出期間の対象として通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。
【0184】
別の変形例としては、始動口62が入球容易状態である場合とそうでない場合とを区別して始動口62への入球率を算出する構成としてもよい。始動口62は、入球容易状態においては頻繁に、かつ、長く拡開機構63が拡開して入球率が高まる特性を有する。したがって、入球容易状態であるかどうかで入球率の比率も大きく異なる可能性がある。したがって、例えば入球容易状態でない状態のみを算出期間の対象とし、通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。逆に、例えば入球容易状態のみを算出期間の対象として通常遊技における始動口62への入球率と特別遊技における始動口62への入球率を算出してもよい。
【0185】
上記の各実施例においては、通常遊技における入賞口への入球率と特別遊技における入賞口への入球率との比率が判定値を超えたときにエラーを報知する構成を説明した。変形例においては、特別遊技中であるか否かを問わず、基準として設定された所定時間あたりの入賞口への入球率と遊技中に算出された所定時間あたりの入賞口への入球率との比率が判定値を超えたときにエラーを報知する構成としてもよい。
【0186】
上記の各実施例においては、特別遊技が発生した時点で通常遊技における入賞口への入賞率が未算出であった場合には特別遊技終了後に通常遊技における入賞口への入球率を算出する構成を説明した。変形例においては、特別遊技が発生した時点で通常遊技における入賞口への入賞率が未算出であった場合には、電源投入前のデータ、例えば前日の営業時に記録された入球率データであって電源終了時にバックアップされたデータを用いて入球率の比率を算出する構成としてもよい。
【0187】
上記の各実施例においては、エラー判定の判定値にランダムな値を設定する構成を説明した。変形例においては、ぱちんこ遊技機10の台ごとに異なる固定値を判定値に設定する構成としてもよい。この場合もまた台ごとに異なる「可変値」といえるため、不正行為者が、ある台を入手して解析したとしても、遊技店に設置された台は異なる判定値が設定されているため、解析結果をそのまま用いることはできない。
【0188】
上記の各実施例においては、一般入賞口賞球払出数または始動入賞口賞球払出数を用いて特別遊技における大入賞口賞球払出数と入賞口賞球払出数の比率を算出する構成を説明した。変形例においては、一般入賞口72への入球と始動口62への入球の合計を入賞口への入球数とし、それら入球の合計による特別遊技における入賞口賞球払出数を算出し、特別遊技における大入賞口賞球払出数と入賞口賞球払出数の比率を算出する構成であってもよい。または、各実施例の機能を一つのぱちんこ遊技機10に併せ持つことにより、一般入賞口72への不正な入球と始動口62への不正な入球をそれぞれ別個に検出できる構成としてもよい。
【0189】
上記の各実施例またはその変形例においては、賞球数検出手段129が始動口62への入球数を計数する構成を説明した。変形例においては、始動口62への入球数を始動口62の拡開機構63が拡開した状態での入球と閉鎖した状態での入球とを区別して計数する構成としてもよい。始動口62は、拡開機構63が拡開した状態では閉鎖した状態より入球率が高まる特性を有するため、これらを区別するか否かで入球数の比率は大きく異なる可能性がある。したがって、例えば拡開機構63が閉鎖した状態のみを検出期間の対象とし、特別遊技における大入賞口賞球払出数と始動入賞口賞球払出数の比率を算出してもよい。逆に、例えば拡開機構63が拡開した状態のみを検出期間の対象として特別遊技における大入賞口賞球払出数と始動入賞口賞球払出数の比率を算出してもよい。
【0190】
上記の各実施例においては、賞球数検出手段129およびエラー判定手段128をメイン基板102に設ける構成を説明した。変形例においては、賞球数検出手段129およびエラー判定手段128をサブ基板104に設ける構成としてもよい。
【0191】
上記の各実施例および変形例においては、賞球数検出手段129が賞球払出数を入球数と規定賞球数に基づいて計算により求める構成を説明した。変形例においては、払出ユニット43や賞球タンク44から上球皿15または下球皿16までの払出通路の所定位置に賞球別の賞球払出数を検知できる賞球センサを設けて実際の賞球払出数を検出してもよい。別の変形例としては、賞球数検出手段129が一般入賞口72または始動口62、大入賞口66へ入球があるたびにそれぞれの規定賞球数を積算することで入賞口別の賞球払出数を求める構成としてもよい。
【0192】
上記の各実施例においては、エラー判定手段128が大入賞口賞球払出数と入賞口賞球払出数の比率を算出し、その比率が基準比率を超えるか否かによりエラー判定する構成を説明した。変形例においては、エラー判定手段128が特別遊技における大入賞口66および一般入賞口72への入球数の比率を算出し、その比率が基準比率を超えるか否かによりエラー判定する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0193】
10 ぱちんこ遊技機、 43 払出ユニット、 45 払出制御基板、 50 遊技盤、 52 遊技領域、 62 始動口、 66 大入賞口、 72 一般入賞口、 73 一般入賞検出装置、 74 始動入賞検出装置、 78 入賞検出装置、 110 入球判定手段、 112 当否抽選手段、 120 特別遊技制御手段、 126 入球率算出手段、 127 入球率算出手段、 128 エラー判定手段、 129 賞球数検出手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球の入球が賞球払い出しの契機となる入賞口と、
前記入賞口への入球を判定する入球判定手段と、
通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行する当否抽選手段と、
前記遊技領域において前記入賞口と異なる所定位置に設けられ、前記特別遊技において開放されて遊技球が入球可能となる大入賞口と、
前記当否抽選の結果が大当りであった場合に前記大入賞口を開閉動作させることにより前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
所定期間における前記入賞口への入球率を算出する入球率算出手段と、
通常遊技における前記入賞口への入球率と前記特別遊技における前記入賞口への入球率との比率が所定の判定値を超えたときにエラーと判定し、その判定から猶予期間が経過した後に前記エラーを報知するとともに、前記猶予期間として可変の時間値を設定するエラー判定手段と、
を備えることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記エラー判定手段は、前記判定値として可変値を設定することを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記エラー判定手段は、所定の設定タイミングに達するたびに前記判定値として所定の値範囲に含まれるランダムの値を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の弾球遊技機。
【請求項4】
前記エラー判定手段は、前記所定の値範囲の境界値に近い値に対する設定の頻度が前記境界値に遠い値に対する設定の頻度より低くなるように分散させたランダムの値を前記判定値に設定することを特徴とする請求項3に記載の弾球遊技機。
【請求項5】
操作者の操作により前記判定値の設定を指示するための設定スイッチをさらに備え、
前記エラー判定手段は、前記判定値の候補として複数種類の候補値を保持し、操作者による前記設定スイッチの操作に応じて前記複数種類の候補値のうちいずれかを前記判定値に設定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の弾球遊技機。
【請求項6】
抽選処理を含む遊技の基本動作を主に制御する主制御装置と、
前記抽選処理の結果を示すための表示処理を含む遊技の演出的動作を主に制御する副制御装置と、を備え、
前記入球判定手段は、前記主制御装置に設けられ、
前記入球率算出手段および前記エラー判定手段は、前記副制御装置に設けられ、
前記入球率算出手段は、前記主制御装置に設けられた前記入球判定手段から入球の情報を受信して計数することにより前記入賞口への入球率を算出することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の弾球遊技機。
【請求項7】
前記入賞口は、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口と、前記始動入賞口および前記大入賞口と異なる所定位置に設けられて遊技球の入球が賞球払い出しの契機となる一般入賞口と、を含み、
前記当否抽選手段は、前記始動入賞口への入球を契機として前記当否抽選を実行し、
前記入球率算出手段は、前記一般入賞口への入球率を算出し、
前記エラー判定手段は、通常遊技における前記一般入賞口への入球率と前記特別遊技における前記一般入賞口への入球率との比率が前記判定値を超えたときにエラーを報知することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の弾球遊技機。
【請求項1】
遊技領域が形成された遊技盤と、
前記遊技領域の所定位置に設けられ、遊技球の入球が賞球払い出しの契機となる入賞口と、
前記入賞口への入球を判定する入球判定手段と、
通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための当否抽選を実行する当否抽選手段と、
前記遊技領域において前記入賞口と異なる所定位置に設けられ、前記特別遊技において開放されて遊技球が入球可能となる大入賞口と、
前記当否抽選の結果が大当りであった場合に前記大入賞口を開閉動作させることにより前記特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
所定期間における前記入賞口への入球率を算出する入球率算出手段と、
通常遊技における前記入賞口への入球率と前記特別遊技における前記入賞口への入球率との比率が所定の判定値を超えたときにエラーと判定し、その判定から猶予期間が経過した後に前記エラーを報知するとともに、前記猶予期間として可変の時間値を設定するエラー判定手段と、
を備えることを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記エラー判定手段は、前記判定値として可変値を設定することを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
【請求項3】
前記エラー判定手段は、所定の設定タイミングに達するたびに前記判定値として所定の値範囲に含まれるランダムの値を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の弾球遊技機。
【請求項4】
前記エラー判定手段は、前記所定の値範囲の境界値に近い値に対する設定の頻度が前記境界値に遠い値に対する設定の頻度より低くなるように分散させたランダムの値を前記判定値に設定することを特徴とする請求項3に記載の弾球遊技機。
【請求項5】
操作者の操作により前記判定値の設定を指示するための設定スイッチをさらに備え、
前記エラー判定手段は、前記判定値の候補として複数種類の候補値を保持し、操作者による前記設定スイッチの操作に応じて前記複数種類の候補値のうちいずれかを前記判定値に設定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の弾球遊技機。
【請求項6】
抽選処理を含む遊技の基本動作を主に制御する主制御装置と、
前記抽選処理の結果を示すための表示処理を含む遊技の演出的動作を主に制御する副制御装置と、を備え、
前記入球判定手段は、前記主制御装置に設けられ、
前記入球率算出手段および前記エラー判定手段は、前記副制御装置に設けられ、
前記入球率算出手段は、前記主制御装置に設けられた前記入球判定手段から入球の情報を受信して計数することにより前記入賞口への入球率を算出することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の弾球遊技機。
【請求項7】
前記入賞口は、遊技球の入球が抽選の契機となる始動入賞口と、前記始動入賞口および前記大入賞口と異なる所定位置に設けられて遊技球の入球が賞球払い出しの契機となる一般入賞口と、を含み、
前記当否抽選手段は、前記始動入賞口への入球を契機として前記当否抽選を実行し、
前記入球率算出手段は、前記一般入賞口への入球率を算出し、
前記エラー判定手段は、通常遊技における前記一般入賞口への入球率と前記特別遊技における前記一般入賞口への入球率との比率が前記判定値を超えたときにエラーを報知することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の弾球遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2012−130658(P2012−130658A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187076(P2011−187076)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】
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