弾球遊技機
【課題】ホールコンピュータ側で、実際に払い出された賞球個数の情報を遊技状態毎に正しく管理することが可能な弾球遊技機を提供する。
【解決手段】入賞口16,17a〜17d,27,28への遊技球の入球があった場合に、その入賞口16,17a〜17d,27,28に対応する賞球個数に基づいて払出制御手段に対して遊技球の払い出しを指示するように構成された弾球遊技機で、遊技球が入賞した入賞口16,17a〜17d,27,28に対応する賞球個数の累計が例えば10個に達する毎に賞球予定信号を外部に出力し、また払出手段による賞球の払出済み個数が例えば10個に達する毎に賞球信号を外部に出力するように構成する。
【解決手段】入賞口16,17a〜17d,27,28への遊技球の入球があった場合に、その入賞口16,17a〜17d,27,28に対応する賞球個数に基づいて払出制御手段に対して遊技球の払い出しを指示するように構成された弾球遊技機で、遊技球が入賞した入賞口16,17a〜17d,27,28に対応する賞球個数の累計が例えば10個に達する毎に賞球予定信号を外部に出力し、また払出手段による賞球の払出済み個数が例えば10個に達する毎に賞球信号を外部に出力するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、アレンジボール機等の弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の弾球遊技機には、ホールコンピュータに対して各種情報を出力する外部出力端子が設けられている。この外部出力端子からは、図柄始動回数、始動口入賞個数、大当たり中等を示す信号の他、賞球の払い出し個数に関する賞球信号が出力されるようになっている。従来の遊技機では、この賞球信号は、払出手段によって実際に払い出された賞球の個数が所定個数(例えば10個)に達する毎に出力されるようになっていた(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2519683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、従来の弾球遊技機では、賞球信号は払出手段によって実際に払い出された賞球個数に基づいて出力されるため、ホールコンピュータはこの賞球信号によって賞球の払い出し総数について常に正確な情報を得ることができるという利点がある。
【0005】
しかしながら一方で、賞球信号が賞球の払い出し後に出力されることにより、遊技球が入賞口に入賞してからその入賞による賞球の払い出しに関する賞球信号が出力されるまでには大きなタイムラグが発生するため、遊技状態と賞球との対応関係についてホールコンピュータ側で正しく認識することができない場合があった。
【0006】
即ち、そのタイムラグの間に例えば大当たり状態が終了した場合には、払い出された賞球は大当たり状態中の入賞によるものであるにも拘わらず、ホールコンピュータ側では大当たり状態終了後の賞球として認識されてしまう。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ホールコンピュータ側で、実際に払い出された賞球個数の情報を遊技状態毎に正しく管理することが可能な弾球遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、遊技球の払い出しを行う払出手段46と、前記払出手段46を制御する払出制御手段84と、入球口16,17a〜17d,27,28への遊技球の入球があった場合に、その入球口16,17a〜17d,27,28に対応する賞球個数に基づいて前記払出制御手段84に対して遊技球の払い出しを指示する賞球管理手段78bとを備えた弾球遊技機において、遊技球が入球した前記入球口16,17a〜17d,27,28に対応する賞球個数の累計が所定個数に達する毎に賞球予定信号を外部に出力する賞球予定信号出力手段78cと、前記払出手段46による払出済み個数が特定個数に達する毎に賞球信号を外部に出力する賞球信号出力手段86とを備えたものである。
【0009】
ここで、前記所定個数と前記特定個数とを同じ値に設定してもよい。
【0010】
また、一定の記憶領域が割り当てられた賞球個数カウンタと、前記入球口16,17a〜17d,27,28への遊技球の入球毎に、その入球口16,17a〜17d,27,28に対応する前記賞球個数を前記賞球個数カウンタに加算する入球管理手段78aとを備え、前記賞球予定信号出力手段78cは、前記賞球個数カウンタの値が前記所定個数に達する毎に、前記賞球予定信号を外部に出力すると共に前記賞球個数カウンタから前記所定個数を減算するように構成され、前記入球管理手段78aは、前記賞球個数の加算により前記賞球個数カウンタがオーバーフローする場合には、前記賞球個数カウンタの値を、前記賞球個数カウンタが記憶可能な最大値に置き換えるように構成してもよい。
【0011】
また、前記賞球予定信号出力手段78cは、前記賞球予定信号の出力停止後、所定の待機時間が経過するまで次の前記賞球予定信号の出力を行わないように構成してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ホールコンピュータ側では、入球口への入球からのタイムラグなく受信できる賞球予定信号に基づいて遊技状態と賞球との対応関係を認識すると共に、その情報を、実際に払い出された賞球個数と一致する賞球信号に基づいて検証することができる。即ち、即時性があるが信頼性の低い賞球予定信号と、信頼性は高いが即時性に劣る賞球信号とを共に出力することにより、ホールコンピュータ側で、実際に払い出された賞球個数の情報を遊技状態毎に正しく管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るパチンコ機の全体斜視図である。
【図2】同パチンコ機の遊技盤の正面図である。
【図3】同パチンコ機の全体背面図である。
【図4】同パチンコ機の制御系のブロック図である。
【図5】同パチンコ機の各入賞口に対応する賞球個数と入賞カウンタとを示す図である。
【図6】同パチンコ機の入賞カウンタと払出個数指定コマンドとの対応関係を示す図である。
【図7】同パチンコ機の入賞管理処理のフローチャートである。
【図8】同パチンコ機の賞球管理処理のフローチャートである。
【図9】同パチンコ機の外部信号出力管理処理のフローチャートである。
【図10】同パチンコ機の賞球信号作成処理のフローチャートである。
【図11】同パチンコ機の賞球信号出力処理のフローチャートである。
【図12】同パチンコ機の入賞検出信号、賞球予定信号、払出検出信号及び賞球信号の出力タイミングの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図12は本発明をパチンコ機に採用した一実施形態を例示している。図1において、遊技機本体1は、矩形状の外枠2と、この外枠2の前側に開閉自在に枢着された前枠3とを備えている。前枠3は左端側の上下一対のヒンジ4を介して外枠2に着脱及び開閉自在に装着されている。
【0015】
前枠3の上部側には遊技盤5(図2)が例えば前側から着脱自在に装着されると共に、その遊技盤5の前側に対応してガラス扉6が、ガラス扉6の下側に隣接して前面開閉板7が夫々配置されている。ガラス扉6、前面開閉板7はヒンジ4と同一側のヒンジにより前枠3に開閉自在に枢支されている。前面開閉板7には、その前側に、発射手段8(図4)に供給するための遊技球を貯留する貯留皿9、発射手段8を作動させるための発射ハンドル10等が設けられている。
【0016】
遊技盤5の前側には、図2に示すように、発射手段8により発射された遊技球を案内するガイドレール11が略環状に装着されると共に、そのガイドレール11の内側の遊技領域12には、センターケース13、普通図柄始動手段14、特別図柄始動手段15、大入賞手段16、複数、例えば4つの普通入賞手段17a〜17d等の遊技部品が配置されている。
【0017】
センターケース13は、例えば遊技盤5の後側に装着される画像表示装置21の表示枠として機能するもので、遊技領域12内の略中央に配置されており、画像表示装置21を取り囲むように設けられる装飾枠上には普通図柄表示手段22、特別図柄表示手段23、普通保留個数表示手段24、特別保留個数表示手段25等が設けられている。また、画像表示装置21は、演出図柄表示手段26等を構成している。
【0018】
普通図柄始動手段14は、普通図柄表示手段22による図柄変動を開始させるためのもので、遊技球が通過可能な通過ゲート等により構成され、例えばセンターケース13の左側に配置されている。なお、この普通図柄始動手段14には、通過する遊技球を検出可能な近接スイッチ等よりなる通過検出スイッチ31が設けられている。
【0019】
普通図柄表示手段22は、普通図柄を変動表示するためのもので、例えば「○」「×」の2種類の普通図柄に対応する2個の発光体(例えばLED)により構成されており、遊技球が普通図柄始動手段14を通過し、通過検出スイッチ31がそれを検出することを条件にそれら2つの発光体が所定時間交互に点滅して、普通図柄始動手段14による遊技球検出時に取得された当たり判定乱数値が予め定められた当たり判定値と一致する場合には当たり態様に対応する「○」側の発光体が発光した状態で、それ以外の場合には外れ態様に対応する「×」側の発光体が発光した状態で、点滅が終了するようになっている。
【0020】
また、普通図柄表示手段22の変動表示中、又は後述する普通利益状態中に普通図柄始動手段14が遊技球を検出した場合には、その検出時に取得された当たり判定乱数値が予め定められた上限保留個数、例えば4個を限度として記憶されると共に、例えば上限保留個数と同数の発光体よりなる普通保留個数表示手段24がその発光個数により当たり判定乱数値の記憶個数(以下、普通保留個数)を表示して、その時点での普通保留個数を遊技者に報知するようになっている。
【0021】
特別図柄始動手段15は、特別図柄表示手段23による図柄変動を開始させるためのもので、上下2つの始動入賞口(入球口)27,28と、下始動入賞口28を開閉する開閉手段29とを備え、例えばセンターケース13の下側に配置されている。上始動入賞口27は開閉手段等を有しない非作動式入賞口である。下始動入賞口28は、開閉手段29により開閉可能な作動式入賞口で、普通図柄表示手段22の変動後の停止図柄が当たり態様となって普通利益状態が発生したときに所定時間開状態に切り換えられるように構成されている。なお、この特別図柄始動手段15には、上下の始動入賞口27,28に入賞した遊技球を夫々検出する近接スイッチ等よりなる入賞検出スイッチ32,33が設けられている。
【0022】
特別図柄表示手段23は、1個又は複数個、例えば1個の特別図柄を変動表示可能な7セグメント式等の表示手段により構成されており、特別図柄始動手段15の上下の始動入賞口27,28の何れかに遊技球が入賞し、入賞検出スイッチ32,33がそれを検出することを条件に特別図柄を所定時間変動表示して、上始動入賞口27又は下始動入賞口28への入賞時に取得された大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致する場合には所定の大当たり態様で、それ以外の場合には外れ態様で停止するようになっている。
【0023】
特別図柄は、例えば数字図柄等ではなく、それ自体としては特別な意味を持たない線と点の組み合わせ等よりなる複数種類の図柄で構成され、それらの図柄のうちの1又は複数が大当たり態様、それ以外が外れ態様に設定されている。また、特別図柄の変動表示中、又は後述する特別利益状態中に上始動入賞口27又は下始動入賞口28に遊技球が入賞した場合には、その入賞時に取得された大当たり判定乱数値等が所定の上限保留個数、例えば4個を限度として記憶されると共に、例えば上限保留個数と同数の発光体よりなる特別保留個数表示手段25がその発光個数により大当たり判定乱数値の記憶個数(以下、特別保留個数)を表示して、その時点での特別保留個数を遊技者に報知するようになっている。
【0024】
演出図柄表示手段26は、特別図柄表示手段23による特別図柄の変動表示と時間的に同調して演出図柄を変動表示するもので、1個又は複数個、例えば左右方向に3個の演出図柄を例えば各種の演出画像と共に変動表示可能に構成されており、特別図柄始動手段15の上下の始動入賞口27,28の何れかに遊技球が入賞し、入賞検出スイッチ32,33がそれを検出することを条件に、特別図柄の変動開始と同時に所定の変動パターンに従って演出図柄の変動を開始すると共に、特別図柄の変動停止と同時に最終停止するように、演出図柄を左、右、中等の所定の順序で停止させるようになっている。
【0025】
演出図柄には、例えば「0」〜「9」の10種類の数字図柄が用いられ、「6・6・6」「7・7・7」等、3つの図柄が全て同じ図柄で揃ったものが大当たり態様、少なくとも1つの図柄が異なるものが外れ態様となっている。
【0026】
なお、演出図柄表示手段26による演出図柄の変動後の停止図柄は、特別図柄表示手段23による特別図柄が大当たり態様で停止する場合には大当たり態様となり、特別図柄が外れ態様で停止する場合には任意の外れ態様となる。なお、演出図柄表示手段26は、特別図柄の変動内容とは直接関係のない演出を行う場合があってもよい。
【0027】
大入賞手段(入球口)16は、遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに変化可能な開閉板30を備えた作動式で、例えば特別図柄始動手段15の下側に配置されており、特別図柄表示手段23の変動後の停止図柄が大当たり態様となることに基づいて特別利益状態(大当たり状態)が発生したときに、開閉板30が前側に所定時間開放して、その上に落下した遊技球を内部へと入賞させるようになっている。なお、この大入賞手段16には、入賞した遊技球を検出する近接スイッチ等よりなる入賞検出スイッチ34が設けられている。
【0028】
また、例えばこの大入賞手段16の右側に普通入賞手段17aが、左側に普通入賞手段17b〜17dが夫々配置されている。これら普通入賞手段(入球口)17a〜17dには、入賞した遊技球を検出する近接スイッチ等よりなる入賞検出スイッチ35a〜35dが設けられている。
【0029】
また、遊技盤5の裏面側には、図3に示すように、センターケース13等の遊技部品を後側から覆う裏カバー36が装着され、この裏カバー36の背面側に、主制御基板37が格納された主基板ケース38、演出制御基板39が格納された演出基板ケース40、液晶制御基板41が格納された液晶基板ケース42等が着脱自在に装着されている。
【0030】
前枠3の裏側には、前側から装着された遊技盤5の裏側を開閉自在に覆う開閉カバー43が着脱自在に装着されると共に、その上部側に遊技球タンク44とタンクレール45とが、左右方向一端側、例えばヒンジ4側に払出手段46と払い出し通路47とが夫々装着されており、遊技球が大入賞手段16等の入賞口に入賞したとき、又は図示しない自動球貸し機から球貸し要求があったときに、遊技球タンク44内の遊技球をタンクレール45を経て払出手段46により払い出し、その遊技球を払い出し通路47を経て貯留皿9に案内するようになっている。なお、払出手段46には、払い出した遊技球を検出する近接スイッチ等よりなる払出検出スイッチ48が設けられている。
【0031】
前枠3の裏側下部には、基板装着台49が着脱自在に装着されており、この基板装着台49の背面側に、電源基板51が格納された電源基板ケース52、払出制御基板53が格納された払出基板ケース54が夫々着脱自在に装着されている。
【0032】
また、前枠3の裏側の例えば右側上部には、各種信号を外部の例えばホール側コンピュータ等に出力するための複数の外部出力端子55a,55b,…を備えた外部出力基板56が装着されている。なお、複数の外部出力端子55a,55b,…のうち、外部出力端子55aが、後述する賞球予定信号の出力に対応し、外部出力端子55bが、後述する賞球信号の出力に対応しているものとする。
【0033】
図4は本パチンコ遊技機の制御系のブロック図である。図4において、主制御基板37は、主に遊技盤5側の遊技動作に関わる制御を行うためのもので、CPU,ROM,RAM等により構成される普通乱数作成処理手段61、普通始動口チェック処理手段62、普通乱数記憶手段63、普通図柄処理手段64、普通利益状態発生手段65、普通図柄表示制御手段66、特別乱数作成処理手段71、特別始動口チェック処理手段72、特別乱数記憶手段73、特別図柄処理手段74、特別利益状態発生手段75、特別図柄表示制御手段76、特別遊技状態発生手段77、入賞処理手段78、制御コマンド送信手段79等を備えている。
【0034】
また、この主制御基板37には、演出制御基板39、払出制御基板53等のサブ制御基板が接続され、また普通図柄表示手段22、特別図柄表示手段23等の表示手段、普通図柄始動手段14の通過検出スイッチ31、特別図柄始動手段15、大入賞手段16、普通入賞手段17a〜17dの各入賞検出スイッチ32〜34,35a〜35d等が接続されている。なお、発射制御基板70は発射手段8を制御するもので、払出制御基板53を介して主制御基板37に間接的に接続されている。
【0035】
普通乱数作成処理手段61は、変動後の普通図柄を当たり態様とするか否かの判定に用いる当たり判定乱数等を所定時間毎に繰り返し発生するように構成されている。普通始動口チェック処理手段62は、普通図柄始動手段14による遊技球の検出に基づく処理を行うもので、普通図柄始動手段14の通過検出スイッチ31が遊技球を検出することに基づいて、普通乱数作成処理手段61で作成された当たり判定乱数値を1個取得し、その当たり判定乱数値を予め定められた上限保留個数(例えば4個)を限度として普通乱数記憶手段63に記憶させるように構成されている。
【0036】
普通図柄処理手段64は、普通図柄の変動表示に関する処理を行うもので、普通図柄表示手段22が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段63に1個以上の当たり判定乱数値が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に、普通乱数記憶手段63に最も早く記憶された当たり判定乱数値を取り出し、その当たり判定乱数値が予め定められた当たり判定値と一致するか否かに応じて当たり/外れの判定を行う当たり判定機能、当たり/外れの判定結果に基づいて普通図柄の変動後の停止図柄の種類を選択する普通停止図柄選択機能、普通図柄の変動時間を選択する変動時間選択機能等を備えている。なお、当たり判定で当たりとなる確率は、後述する特別遊技状態中の方がそれ以外の通常遊技状態中よりも高い値に設定され、また普通図柄の変動時間は、特別遊技状態中の方が通常遊技状態中よりも短くなるように設定されている。
【0037】
普通利益状態発生手段65は、普通図柄処理手段64による判定結果が当たり判定となり、普通図柄表示手段22の変動後の停止図柄が当たり態様となったときに、下始動入賞口28を開閉する開閉手段29を、例えば通常遊技状態中は通常開閉パターン(例えば0.2秒×1回開放)で、特別遊技状態中はその通常開閉パターンよりも開放時間及び/又は開放回数が大となるように設定された特別開閉パターン(例えば2秒×3回開放)で、夫々作動させるようになっている。
【0038】
普通図柄表示制御手段66は、普通図柄処理手段64による普通図柄処理に基づいて普通図柄表示手段22の表示制御を行うもので、普通図柄表示手段22が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段63に1個以上の当たり判定乱数値が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に普通図柄表示手段22による普通図柄の変動を開始させ、普通図柄処理手段64で選択された変動時間が経過することに基づいて、同じく普通図柄処理手段64で選択された停止図柄で普通図柄の変動を停止させるようになっている。
【0039】
特別乱数作成処理手段71は、変動後の特別図柄を大当たり態様、外れ態様の何れにするかについての判定に用いる大当たり判定乱数、変動後の特別図柄が大当たり態様となる場合の停止図柄の選択に用いる大当たり図柄乱数、その他の所定の乱数を繰り返し発生する特別乱数作成処理を行うように構成されている。
【0040】
特別始動口チェック処理手段72は、特別図柄始動手段15への遊技球の入賞に基づく処理を行うもので、特別図柄始動手段15の始動入賞口27,28に遊技球が入賞し、入賞検出スイッチ32,33がその遊技球を検出することに基づいて、特別乱数作成処理手段71で作成された大当たり判定乱数値、大当たり図柄乱数値等を1個ずつ取得し、それら当たり判定乱数値、当たり図柄乱数値等を予め定められた上限保留個数(例えば各4個)を限度として特別乱数記憶手段73に記憶させるように構成されている。
【0041】
特別図柄処理手段74は、特別図柄の変動表示に関する処理を行うもので、特別図柄表示手段23が変動表示可能な状態となり且つ特別乱数記憶手段73に1個以上の大当たり判定乱数値が記憶されていること(特別保留個数が1以上であること)を条件に、特別乱数記憶手段73に最も早く記憶された大当たり判定乱数値を取り出し、その大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致するか否かに応じて大当たり/外れの判定を行う大当たり判定機能、大当たり/外れの判定結果と、特別乱数記憶手段73に大当たり判定乱数値と共に記憶されている大当たり図柄乱数値とに基づいて、特別図柄の変動後の停止図柄を選択する特別停止図柄選択機能、大当たり/外れの判定結果に基づいて、演出図柄の変動パターンとして複数種類の変動パターンの中から1つを選択する変動パターン選択機能等を備えている。
【0042】
特別利益状態発生手段75は、大入賞手段16を所定の開放パターンに従って開放する特別利益状態を発生させるためのもので、特別図柄処理手段74による判定結果が大当たり判定となり、特別図柄表示手段23による特別図柄の変動後の停止図柄が大当たり態様となることに基づいて、大入賞手段16が所定の開放パターンで開放する特別利益状態を発生させるようになっている。
【0043】
特別図柄表示制御手段76は、特別図柄表示手段23の表示制御を行うもので、特別図柄処理手段74による特別図柄処理に基づいて特別図柄表示手段23による特別図柄の変動を開始させると共に、変動パターン選択機能により選択された変動パターンに対応する変動時間が経過することに基づいて、特別停止図柄選択機能により選択された停止図柄態様で特別図柄の変動を停止させるようになっている。
【0044】
特別遊技状態発生手段77は、特別利益状態の発生後の所定期間に遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるためのもので、特別図柄が大当たり態様となって特別利益状態が発生したときに、例えばその特別利益状態の終了後の所定期間、その大当たり態様の種類に応じて例えば時短遊技状態と確変遊技状態との何れかを発生させるようになっている。
【0045】
時短遊技状態中は、特別図柄表示手段23の変動時間が通常変動時間よりも短い短縮変動時間に切り換えられる他、普通図柄の変動時間が通常変動時間から短縮変動時間へ、特別図柄始動手段15の開閉手段29の開閉パターンが通常開閉パターン(例えば0.2秒×1回開放)から特別開閉パターン(例えば2秒×3回開放)へ、夫々切り換えられるようになっている。
【0046】
また、確変遊技状態中は、特別図柄が大当たり態様となる確率が低確率から高確率に切り換えられ、更に時短遊技状態と同様の処理が行われるようになっている。
【0047】
入賞処理手段78は、上始動入賞口27、下始動入賞口28、大入賞手段16、普通入賞手段17a〜17dの7つの入賞口への遊技球の入賞に関する処理を行うもので、入賞管理手段(入球管理手段)78a、賞球管理手段78b、外部信号出力管理手段(賞球予定信号出力手段)78c等を備えている。これら入賞管理手段78a、賞球管理手段78b、外部信号出力管理手段78cは、夫々入賞管理処理(図7)、賞球管理処理(図8)、外部信号出力管理処理(図9)を、例えば所定時間毎(ここでは4ms毎)に発生する定期割り込みにおいて実行するように構成されている。
【0048】
なお、図5に示すように、上始動入賞口27、下始動入賞口28、大入賞手段16、普通入賞手段17a〜17dの7つの入賞口には通し番号1〜7が付与されており、以下の説明では上記7つの入賞口を必要に応じて入賞口1〜7で表すものとする。また、各入賞口1〜7に対しては、個別に賞球個数が定められており、各入賞口1〜7への遊技球の入賞に基づいて、その入賞口に対応する賞球個数の賞球が払い出されるようになっている。本実施形態における賞球個数の設定は、図5に示すように、入賞口1及び2が3個に、入賞口6が5個に、入賞口4,5及び7が10個に、入賞口3が15個に夫々設定されている。
【0049】
まず、入賞管理手段78aによる入賞管理処理(図7)について説明する。この入賞管理処理では、入賞口数の値がループ回数Nにセットされ(S1)、n=1からn=NまでのN回のループ処理(S2〜S9)が実行される。本実施形態では7つの入賞口が設けられているため、ループ回数N=7となる。
【0050】
n=1からn=Nまでの各ループ処理においては、まず入賞口nへの入賞があったか否かが、その入賞口nに対応する入賞検出スイッチからの検出信号に基づいて判定される (S3)。例えばn=1の場合には、入賞口1である上始動入賞口27への入賞があったか否かが、その上始動入賞口27に設けられた入賞検出スイッチ32の検出信号に基づいて判定される。入賞口nへの入賞がなかったと判定された場合には(S3:No)、以下のS4〜S7の処理はスキップされる。
【0051】
S3において入賞口nへの入賞があったと判定された場合には(S3:Yes)、その入賞口nに対応する入賞カウンタに1が加算される(S4)。ここで、入賞カウンタは、賞球個数毎の入賞個数をカウントするもので、本実施形態では、図5に示すように賞球個数3個に対応する入賞カウンタ1と、賞球個数5個に対応する入賞カウンタ2と、賞球個数10個に対応する入賞カウンタ3と、賞球個数15個に対応する入賞カウンタ4との4種類の入賞カウンタが設けられている。従って、例えば入賞口1への入賞があった場合には、賞球個数3個に対応する入賞カウンタ1に1が加算される。
【0052】
また、所定のワーク領域(記憶領域)から賞球個数カウンタの値が読み出され、入賞口nに対応する賞球個数がその賞球個数カウンタに加算される(S5)。ここで、賞球個数カウンタは、払い出し予定の賞球の累計をカウントするもので、一定の記憶領域が割り当てられている。本実施形態では、この賞球個数カウンタに1バイトの記憶領域が割り当てられており、0〜255の範囲の賞球個数を記憶可能となっている。
【0053】
そして、その加算後の賞球個数カウンタの値はワーク領域に格納されるが(S7)、S5において賞球個数カウンタがオーバーフローする場合、即ち加算後の賞球個数カウンタの値がその最大値である255を超える場合には、賞球個数カウンタの値がその最大値、即ち255に変更され(S6)、その変更後の値がワーク領域に格納される(S7)。例えば、賞球個数カウンタの値が250のときに大入賞手段16に入賞した場合、S5において賞球個数カウンタの値に15が加算され、最大値である255を超えて9となってしまうが、その場合には賞球個数カウンタの値は最大値である255に変更されて記憶される。これにより、実際の賞球個数の累計(ここでは250+15=265個)との間に誤差が生じるものの、オーバーフロー後の値(ここでは9個)をそのまま用いる場合と比べてその誤差を小さく抑えることができる。
【0054】
nに1を加算しつつ(S9)、上記S3〜S7の処理を繰り返し行い、n=N(S8:Yes)となってN回のループ処理が終了したところで入賞管理処理は終了する。
【0055】
続いて、賞球管理手段78bによる賞球管理処理(図8)について説明する。この賞球管理処理では、入賞カウンタの種類数がループ回数Mにセットされ(S11)、n=1からn=MまでのM回のループ処理(S12〜S16)が実行される。本実施形態では入賞カウンタ1〜4の4種類の入賞カウンタが設けられているため(図5)、ループ回数M=4となる。
【0056】
このn=1からn=MまでのM回のループ処理においては、入賞カウンタnの値が0であるか否かが判定され(S13)、入賞カウンタnの値が0でないと判定された時点(S13:No)でループ処理から抜けるようになっている。入賞カウンタnの値が0でないと判定されることなくM回のループ処理が終了した場合には(S16:Yes)、賞球管理処理はその時点で終了する。
【0057】
入賞カウンタnの値が0でないと判定されてループ処理から抜けた場合には(S13:No)、入賞カウンタnの値が1減算される(S17)と共に、その入賞カウンタnに対応する払出個数指定コマンドが、後述する制御コマンド送信手段79を介して払出制御基板53に送信され(S18)、賞球管理処理は終了する。図6は、入賞カウンタと払出個数指定コマンドとの対応関係の一例を示している。図6の例では、払出個数指定コマンドが2バイトで構成されており、その下位バイトが賞球個数の値を表している。例えば、入賞口3(大入賞手段16)への入賞によって入賞カウンタ4の値が1であった場合には、払出制御基板53に対して賞球個数15個に対応する払出個数指定コマンド270FHが送信される。
【0058】
以上のように、賞球管理処理(図8)においては、1回の割り込みにつき1回の入賞分の処理しか行わず、未処理分については次回以降の割り込みにおいて処理されるようになっている。
【0059】
続いて、外部信号出力管理手段78cによる外部信号出力管理処理(図9)について説明する。この外部信号出力管理処理では、まずタイマの値が取得され(S21)、そのタイマの値に応じて(S22)、下記のように所定の処理が実行される。ここで、このタイマは、後述するS27において所定値がセットされ、その後は当該賞球予定信号出力処理が実行される都度、S29において1ずつ減算されるようになっている。なお、このタイマの初期値は0であり、当該賞球予定信号出力処理の1回目の実行時にはこのタイマ値は0である。
【0060】
S22においてタイマ値が0であると判定された場合には、賞球個数カウンタの値がワーク領域から取得され(S23)、この賞球個数カウンタの値から所定の減算値、例えば10(所定個数)が減算された後(S24)、減算後の賞球個数カウンタの値が0より小であるか否かが判定される(S25)。
【0061】
そして、減算後の賞球個数カウンタの値が0以上であれば(S25:No)、即ち減算前の賞球個数カウンタの値が10個(所定個数)以上であれば、その減算後の賞球個数カウンタの値がワーク領域に格納され(S26)、タイマに所定時間(例えば200ms)に対応する所定値(例えば50)がセットされる(S27)。このタイマは、当該賞球予定信号出力処理が実行される毎に、即ち4ms毎に、値が0になるまで後述するS29において1ずつ減算されるようになっている。従って、このタイマの値は、S27において50がセットされた後、200ms(=4ms×50)経過した時点で0となる。
【0062】
そして、外部出力信号データのうち、賞球予定信号に対応するビットに、信号出力を示す例えば1がセットされ(S28)、タイマの値が1減算され(S29)、その他の外部出力信号に関する外部出力信号データの設定処理(S30)が行われた後、その外部出力信号データに基づいて外部出力信号の出力が行われ(S31)、賞球予定信号出力処理は終了する。
【0063】
ここで、外部出力信号データは、複数種類の外部出力信号に対応する複数のビットで構成されており、S31において、例えば1に設定されているビットに対応する外部出力信号が外部出力端子55a,55b,…から出力されるようになっており、賞球予定信号は、それら複数種類の外部出力信号の1つである。従って、賞球個数カウンタの値が10個に達することに基づいて(S25:No)、対応する外部出力端子55aから賞球予定信号の出力が開始される(S28,S31)。
【0064】
なお、減算後の賞球個数カウンタの値が0より小さい場合(S25:Yes)、即ち減算前の賞球個数カウンタの値が10個未満の場合には、S26〜S29の処理はスキップされ、外部出力信号データのうち、賞球予定信号に対応するビットに、信号非出力を示す例えば0がセットされる(S25a)。従って、賞球個数カウンタの値が10個に達していない間は、ワーク領域に格納されている賞球個数カウンタの値は減算前のまま更新されることはなく、また賞球予定信号も出力されない。
【0065】
一方、S22においてタイマ値が26〜50の範囲内であると判定された場合、即ち、S27においてタイマに50がセットされてからの経過時間が100msに満たない場合には、S23〜S27の処理がスキップされ、S28以降の処理が実行される。これにより、この期間中は賞球予定信号の出力は維持される。
【0066】
また、S22においてタイマ値が1〜25の範囲内であると判定された場合、即ち、S27においてタイマに50がセットされてからの経過時間が100ms以上200ms未満である場合には、S23〜S28の処理がスキップされ、外部出力信号データのうち、賞球予定信号に対応するビットに、信号非出力を示す例えば0がセットされる(S22a)。これにより、この期間中は賞球予定信号の出力は停止される。
【0067】
そして、S27においてタイマに50がセットされてからの経過時間が200msに達すると、S22において再びタイマ値が0と判定され、S23以降の処理が実行される。
【0068】
以上の外部信号出力管理処理により、賞球個数カウンタの値(遊技球が入賞した入賞口に対応する賞球個数の累計)が10個に達する毎に、外部出力端子55aから賞球予定信号が100ms間継続して出力される。また、賞球予定信号の出力中に賞球個数カウンタの値が10個に達した場合でも、賞球予定信号の出力停止から100ms(所定の待機時間)経過するまで(即ちその賞球予定信号の出力開始から200ms経過するまで)は次の賞球予定信号の出力は開始されない。これにより、賞球予定信号の出力停止から次の賞球予定信号の出力開始までの間には少なくとも100msのインターバルを設けることができる。
【0069】
制御コマンド送信手段79は、演出制御基板39、払出制御基板53等のサブ制御基板に制御コマンドを送信するもので、例えば特別図柄の変動開始時には、特別図柄処理手段74による特別図柄処理に基づいて、演出図柄の変動パターンを指定する変動パターンコマンド、演出図柄の停止図柄の抽選を指示する停止図柄コマンド、演出図柄の変動停止を指示する変動停止コマンド等を演出制御基板39に送信し、また何れかの入賞口への入賞があった場合には、賞球管理手段78bによる賞球管理処理に基づいて、賞球の払出個数を指定する払出個数指定コマンドを払出制御基板53に送信するようになっている。
【0070】
演出制御基板39は、演出図柄表示手段26、音声出力手段81、電飾手段82等の各種演出手段を制御するためのもので、演出図柄制御手段83等を備えている。演出図柄制御手段83は、演出図柄表示手段26の表示制御及びそれに伴う音声出力手段81、電飾手段82等の制御を行うもので、主制御基板37から変動パターンコマンド及び停止図柄コマンドを受信した場合に、その変動パターンコマンドに対応する変動パターンに基づいて演出図柄表示手段26による演出図柄の変動表示を開始させると共に変動後の停止図柄態様を抽選により決定し、その後に変動停止コマンドを受信したときに、抽選により決定した停止図柄態様で演出図柄の変動を停止させ、またその演出図柄の変動表示に合わせて音声出力手段81から所定の効果音を出力し、電飾手段82を所定のパターンで発光させるようになっている。
【0071】
払出制御基板53は、払出手段46による賞球等の払い出しに関する制御を行うためのもので、払出制御手段84、賞球信号作成手段85、賞球信号出力手段86等を備えている。払出制御手段84は、払出手段46の駆動制御を行うもので、例えば主制御基板37から払出個数指定コマンドを受信した場合に、その払出個数指定コマンドで指定された賞球個数に基づいて払出手段46を作動させるようになっている。
【0072】
賞球信号作成手段85と賞球信号出力手段86とは、外部出力端子55a,55b,…からの賞球信号の出力に関する制御を行うもので、夫々賞球信号作成処理(図10)、賞球信号出力処理(図11)を、例えば所定時間毎(ここでは4ms毎)に発生する定期割り込みにおいて実行するように構成されている。
【0073】
賞球信号作成手段85による賞球信号作成処理(図10)では、まず賞球信号タイマの値が0でないことを条件に1減算する処理が行われる(S41,S42)。ここで、賞球信号タイマは、賞球信号の出力時間を管理するためのもので、後述するS45において所定値がセットされるようになっている。
【0074】
続いて、賞球済カウンタの値が10以上であるか否かが判定される(S43)。ここで、賞球済カウンタは、払出手段46によって払い出された賞球の個数をカウントするもので、払出検出スイッチ48が遊技球を検出する毎に1が加算されるようになっている。
【0075】
S43において賞球済カウンタの値が10以上であると判定された場合には、即ち払出手段46によって払い出された賞球の個数が10個(特定個数)に達した場合には、賞球済カウンタの値が10減算され(S44)、賞球信号タイマに所定時間(例えば100ms)に対応する所定値(例えば25)がセットされる(S45)。この賞球信号タイマは、当該賞球信号作成処理が実行される毎に、即ち4ms毎に、値が0になるまで上述したS42において1ずつ減算されるようになっているため、S45において25がセットされた後、100ms(=4ms×25)経過した時点で0となる。なお、S43において賞球済カウンタの値が10未満であると判定された場合、即ち払出手段46によって払い出された賞球の個数が10個に満たない場合には、S44,S45の処理はスキップされる。
【0076】
そして、賞球信号タイマの値が0であるか否かが判定され(S46)、賞球信号タイマの値が0であれば賞球信号フラグに00Hがセットされ(S48)、賞球信号タイマの値が0でなければ賞球信号フラグに5AHがセットされる(S47)。
【0077】
以上の賞球信号作成処理により、賞球済カウンタの値が10に達する毎、即ち払出手段46によって払い出された賞球の個数が10個に達する毎に、賞球信号フラグの値が5AHとなり、この状態が100ms継続するようになっている。
【0078】
そして、賞球信号出力手段86による賞球信号出力処理(図11)では、その賞球信号フラグの値が5AHであることを条件に、対応する外部出力端子55bから賞球信号が出力されるようになっている(S51,S52)。これにより、払出手段46によって賞球が10個払い出される毎に、外部出力端子55bから賞球信号が100ms間継続して出力される。
【0079】
図12は、所定の入賞があった場合の、賞球予定信号と賞球信号との出力状況の一例を示したものである。図12では、賞球個数15個の大入賞手段16(入賞口3)と、賞球個数3個の上始動入賞口27(入賞口1)と、賞球個数5個の普通入賞手段17c(入賞口6)とに短期間の間に順次入賞した場合を想定している。
【0080】
まず大入賞手段16(入賞口3)に遊技球が入賞した時点(図12のT1)で、賞球個数15個に対応する入賞カウンタ4が1となるため(S4)、その入賞カウンタ4に対応する払出個数指定コマンド270FHが主制御基板37から払出制御基板53に送信される(S15)。これにより、払出手段46による賞球の払い出しが開始され、払い出された賞球は払出検出スイッチ48によって検出される。
【0081】
また、大入賞手段16(入賞口3)に遊技球が入賞した時点(図12のT1)で、賞球個数カウンタに賞球個数が加算されて15となる(S5〜S7)ため、この賞球個数カウンタから10が減算される(S23〜S26)と共に、タイマに200msに対応する50がセットされ(S27)、外部出力端子55aから賞球予定信号の出力が開始される (S28〜S31)。その後、100ms経過時点で賞球予定信号の出力は停止される (図12のT2)。
【0082】
大入賞手段16への入賞後、上始動入賞口27(入賞口1)、普通入賞手段17c(入賞口6)に順次入賞した時点で(図12のT3)、賞球個数3個に対応する入賞カウンタ1、賞球個数5個に対応する入賞カウンタ2が夫々1となるため(S4)、その入賞カウンタ1及び2に対応する払出個数指定コマンド2103H、2305Hが主制御基板37から払出制御基板53に送信され(S15)、払出手段46による賞球の払い出しが行われる。
【0083】
また、上始動入賞口27(入賞口1)、普通入賞手段17c(入賞口6)に順次入賞することにより、賞球個数カウンタに3,5が順次加算されて13(≧10)となる(S5〜S7)が、前の賞球予定信号の出力停止(図12のT2)から100ms経過してタイマ値が0(S22)となるまで(図12のT4)は、次の賞球予定信号の出力は開始されない。賞球予定信号の出力停止(図12のT2)から100ms経過すると(図12のT4)、賞球個数カウンタから10が減算される(S23〜26)と共に、外部出力端子55aから賞球予定信号が100ms間出力される。
【0084】
一方、払出制御基板53側では、払出検出スイッチ48による賞球の検出個数(賞球済カウンタの値)が10個に達する毎に(図12のT5,T6)、賞球済カウンタから10が減算される(S44)と共に、賞球信号タイマに100msに対応する25がセットされ(S45)、この賞球信号タイマの値が0となるまでの100ms間、外部出力端子55bから賞球信号が出力される。
【0085】
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機は、遊技球が入賞した入賞口に対応する賞球個数の累計が10個(所定個数)に達する毎に賞球予定信号を外部出力端子55aから外部に出力する外部信号出力管理手段(賞球予定信号出力手段)78cと、払出手段46による払出済み個数が10個(特定個数)に達する毎に賞球信号を外部出力端子55bから外部に出力する賞球信号出力手段86とを備えているため、ホールコンピュータ側では、入賞口への入賞からのタイムラグなく受信できる賞球予定信号に基づいて遊技状態と賞球との対応関係を認識すると共に、その情報を、実際に払い出された賞球個数と一致する賞球信号に基づいて検証することができる。即ち、即時性があるが信頼性の低い賞球予定信号と、信頼性は高いが即時性に劣る賞球信号とを共に出力することにより、ホールコンピュータ側で、実際に払い出された賞球個数の情報を遊技状態毎に正しく管理することが可能となる。
【0086】
また、一定のワーク領域(記憶領域)が割り当てられた賞球個数カウンタと、大入賞手段16等の入賞口への遊技球の入賞毎に、その入賞口に対応する賞球個数を賞球個数カウンタに加算する入賞管理手段(入球管理手段)78aとを備え、外部信号出力管理手段 (賞球予定信号出力手段)78cは、賞球個数カウンタの値が10個(所定個数)に達する毎に、賞球予定信号を外部に出力すると共に賞球個数カウンタから10個(所定個数)を減算するように構成され、入賞管理手段78aは、賞球個数の加算により賞球個数カウンタがオーバーフローする場合には、賞球個数カウンタの値を、賞球個数カウンタが記憶可能な最大値に置き換えるように構成されているため、実際の賞球個数の累計との間に誤差が生じるものの、オーバーフロー後の値をそのまま用いる場合と比べてその誤差を小さく抑えることができる。
【0087】
また、外部信号出力管理手段(賞球予定信号出力手段)78cは、賞球予定信号の出力停止後、100ms(所定の待機時間)が経過するまで次の賞球予定信号の出力を行わないように構成されているため、賞球予定信号が連続的に出力される場合でもホールコンピュータ側でそれら各信号を確実に認識することができる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、払出制御基板53側で、主制御基板37から受信した払出個数指定コマンドに基づいて賞球個数カウンタへの賞球個数の加算処理を行い、その賞球個数カウンタに基づいて賞球予定信号を出力させるように構成してもよい。
【0089】
また、払出検出スイッチ48からの検出信号を主制御基板37側で受信し、主制御基板37側の制御により賞球信号を出力させるように構成してもよい。
【0090】
1回の賞球予定信号の出力に必要な賞球個数の累計の増加数(所定個数)と、1回の賞球信号の出力に必要な払出済み個数の増加数(特定個数)とは、実施形態のように同じであることが望ましいが、異なっていてもよい。また、所定個数、特定個数の値は任意である。
【0091】
実施形態では、賞球管理処理(図8)において1回の割り込みにつき1回の入賞分の処理しか行わず、未処理分については次回以降の割り込みにおいて処理するように構成したが、1回の割り込みにつき複数の入賞分の処理(複数回の払出個数指定コマンド送信処理)を行うように構成してもよい。
【0092】
なお、実施形態ではパチンコ遊技機について例示したが、アレンジボール機、雀球遊技機等の他の弾球遊技機においても同様に実施可能である。
【符号の説明】
【0093】
16 大入賞手段(入球口)
17a 普通入賞手段(入球口)
17b 普通入賞手段(入球口)
17c 普通入賞手段(入球口)
17d 普通入賞手段(入球口)
27 上始動入賞口(入球口)
28 下始動入賞口(入球口)
46 払出手段
78a 入賞管理手段(入球管理手段)
78b 賞球管理手段
78c 外部信号出力管理手段(賞球予定信号出力手段)
84 払出制御手段
86 賞球信号出力手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、アレンジボール機等の弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の弾球遊技機には、ホールコンピュータに対して各種情報を出力する外部出力端子が設けられている。この外部出力端子からは、図柄始動回数、始動口入賞個数、大当たり中等を示す信号の他、賞球の払い出し個数に関する賞球信号が出力されるようになっている。従来の遊技機では、この賞球信号は、払出手段によって実際に払い出された賞球の個数が所定個数(例えば10個)に達する毎に出力されるようになっていた(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2519683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、従来の弾球遊技機では、賞球信号は払出手段によって実際に払い出された賞球個数に基づいて出力されるため、ホールコンピュータはこの賞球信号によって賞球の払い出し総数について常に正確な情報を得ることができるという利点がある。
【0005】
しかしながら一方で、賞球信号が賞球の払い出し後に出力されることにより、遊技球が入賞口に入賞してからその入賞による賞球の払い出しに関する賞球信号が出力されるまでには大きなタイムラグが発生するため、遊技状態と賞球との対応関係についてホールコンピュータ側で正しく認識することができない場合があった。
【0006】
即ち、そのタイムラグの間に例えば大当たり状態が終了した場合には、払い出された賞球は大当たり状態中の入賞によるものであるにも拘わらず、ホールコンピュータ側では大当たり状態終了後の賞球として認識されてしまう。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ホールコンピュータ側で、実際に払い出された賞球個数の情報を遊技状態毎に正しく管理することが可能な弾球遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、遊技球の払い出しを行う払出手段46と、前記払出手段46を制御する払出制御手段84と、入球口16,17a〜17d,27,28への遊技球の入球があった場合に、その入球口16,17a〜17d,27,28に対応する賞球個数に基づいて前記払出制御手段84に対して遊技球の払い出しを指示する賞球管理手段78bとを備えた弾球遊技機において、遊技球が入球した前記入球口16,17a〜17d,27,28に対応する賞球個数の累計が所定個数に達する毎に賞球予定信号を外部に出力する賞球予定信号出力手段78cと、前記払出手段46による払出済み個数が特定個数に達する毎に賞球信号を外部に出力する賞球信号出力手段86とを備えたものである。
【0009】
ここで、前記所定個数と前記特定個数とを同じ値に設定してもよい。
【0010】
また、一定の記憶領域が割り当てられた賞球個数カウンタと、前記入球口16,17a〜17d,27,28への遊技球の入球毎に、その入球口16,17a〜17d,27,28に対応する前記賞球個数を前記賞球個数カウンタに加算する入球管理手段78aとを備え、前記賞球予定信号出力手段78cは、前記賞球個数カウンタの値が前記所定個数に達する毎に、前記賞球予定信号を外部に出力すると共に前記賞球個数カウンタから前記所定個数を減算するように構成され、前記入球管理手段78aは、前記賞球個数の加算により前記賞球個数カウンタがオーバーフローする場合には、前記賞球個数カウンタの値を、前記賞球個数カウンタが記憶可能な最大値に置き換えるように構成してもよい。
【0011】
また、前記賞球予定信号出力手段78cは、前記賞球予定信号の出力停止後、所定の待機時間が経過するまで次の前記賞球予定信号の出力を行わないように構成してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ホールコンピュータ側では、入球口への入球からのタイムラグなく受信できる賞球予定信号に基づいて遊技状態と賞球との対応関係を認識すると共に、その情報を、実際に払い出された賞球個数と一致する賞球信号に基づいて検証することができる。即ち、即時性があるが信頼性の低い賞球予定信号と、信頼性は高いが即時性に劣る賞球信号とを共に出力することにより、ホールコンピュータ側で、実際に払い出された賞球個数の情報を遊技状態毎に正しく管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るパチンコ機の全体斜視図である。
【図2】同パチンコ機の遊技盤の正面図である。
【図3】同パチンコ機の全体背面図である。
【図4】同パチンコ機の制御系のブロック図である。
【図5】同パチンコ機の各入賞口に対応する賞球個数と入賞カウンタとを示す図である。
【図6】同パチンコ機の入賞カウンタと払出個数指定コマンドとの対応関係を示す図である。
【図7】同パチンコ機の入賞管理処理のフローチャートである。
【図8】同パチンコ機の賞球管理処理のフローチャートである。
【図9】同パチンコ機の外部信号出力管理処理のフローチャートである。
【図10】同パチンコ機の賞球信号作成処理のフローチャートである。
【図11】同パチンコ機の賞球信号出力処理のフローチャートである。
【図12】同パチンコ機の入賞検出信号、賞球予定信号、払出検出信号及び賞球信号の出力タイミングの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図12は本発明をパチンコ機に採用した一実施形態を例示している。図1において、遊技機本体1は、矩形状の外枠2と、この外枠2の前側に開閉自在に枢着された前枠3とを備えている。前枠3は左端側の上下一対のヒンジ4を介して外枠2に着脱及び開閉自在に装着されている。
【0015】
前枠3の上部側には遊技盤5(図2)が例えば前側から着脱自在に装着されると共に、その遊技盤5の前側に対応してガラス扉6が、ガラス扉6の下側に隣接して前面開閉板7が夫々配置されている。ガラス扉6、前面開閉板7はヒンジ4と同一側のヒンジにより前枠3に開閉自在に枢支されている。前面開閉板7には、その前側に、発射手段8(図4)に供給するための遊技球を貯留する貯留皿9、発射手段8を作動させるための発射ハンドル10等が設けられている。
【0016】
遊技盤5の前側には、図2に示すように、発射手段8により発射された遊技球を案内するガイドレール11が略環状に装着されると共に、そのガイドレール11の内側の遊技領域12には、センターケース13、普通図柄始動手段14、特別図柄始動手段15、大入賞手段16、複数、例えば4つの普通入賞手段17a〜17d等の遊技部品が配置されている。
【0017】
センターケース13は、例えば遊技盤5の後側に装着される画像表示装置21の表示枠として機能するもので、遊技領域12内の略中央に配置されており、画像表示装置21を取り囲むように設けられる装飾枠上には普通図柄表示手段22、特別図柄表示手段23、普通保留個数表示手段24、特別保留個数表示手段25等が設けられている。また、画像表示装置21は、演出図柄表示手段26等を構成している。
【0018】
普通図柄始動手段14は、普通図柄表示手段22による図柄変動を開始させるためのもので、遊技球が通過可能な通過ゲート等により構成され、例えばセンターケース13の左側に配置されている。なお、この普通図柄始動手段14には、通過する遊技球を検出可能な近接スイッチ等よりなる通過検出スイッチ31が設けられている。
【0019】
普通図柄表示手段22は、普通図柄を変動表示するためのもので、例えば「○」「×」の2種類の普通図柄に対応する2個の発光体(例えばLED)により構成されており、遊技球が普通図柄始動手段14を通過し、通過検出スイッチ31がそれを検出することを条件にそれら2つの発光体が所定時間交互に点滅して、普通図柄始動手段14による遊技球検出時に取得された当たり判定乱数値が予め定められた当たり判定値と一致する場合には当たり態様に対応する「○」側の発光体が発光した状態で、それ以外の場合には外れ態様に対応する「×」側の発光体が発光した状態で、点滅が終了するようになっている。
【0020】
また、普通図柄表示手段22の変動表示中、又は後述する普通利益状態中に普通図柄始動手段14が遊技球を検出した場合には、その検出時に取得された当たり判定乱数値が予め定められた上限保留個数、例えば4個を限度として記憶されると共に、例えば上限保留個数と同数の発光体よりなる普通保留個数表示手段24がその発光個数により当たり判定乱数値の記憶個数(以下、普通保留個数)を表示して、その時点での普通保留個数を遊技者に報知するようになっている。
【0021】
特別図柄始動手段15は、特別図柄表示手段23による図柄変動を開始させるためのもので、上下2つの始動入賞口(入球口)27,28と、下始動入賞口28を開閉する開閉手段29とを備え、例えばセンターケース13の下側に配置されている。上始動入賞口27は開閉手段等を有しない非作動式入賞口である。下始動入賞口28は、開閉手段29により開閉可能な作動式入賞口で、普通図柄表示手段22の変動後の停止図柄が当たり態様となって普通利益状態が発生したときに所定時間開状態に切り換えられるように構成されている。なお、この特別図柄始動手段15には、上下の始動入賞口27,28に入賞した遊技球を夫々検出する近接スイッチ等よりなる入賞検出スイッチ32,33が設けられている。
【0022】
特別図柄表示手段23は、1個又は複数個、例えば1個の特別図柄を変動表示可能な7セグメント式等の表示手段により構成されており、特別図柄始動手段15の上下の始動入賞口27,28の何れかに遊技球が入賞し、入賞検出スイッチ32,33がそれを検出することを条件に特別図柄を所定時間変動表示して、上始動入賞口27又は下始動入賞口28への入賞時に取得された大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致する場合には所定の大当たり態様で、それ以外の場合には外れ態様で停止するようになっている。
【0023】
特別図柄は、例えば数字図柄等ではなく、それ自体としては特別な意味を持たない線と点の組み合わせ等よりなる複数種類の図柄で構成され、それらの図柄のうちの1又は複数が大当たり態様、それ以外が外れ態様に設定されている。また、特別図柄の変動表示中、又は後述する特別利益状態中に上始動入賞口27又は下始動入賞口28に遊技球が入賞した場合には、その入賞時に取得された大当たり判定乱数値等が所定の上限保留個数、例えば4個を限度として記憶されると共に、例えば上限保留個数と同数の発光体よりなる特別保留個数表示手段25がその発光個数により大当たり判定乱数値の記憶個数(以下、特別保留個数)を表示して、その時点での特別保留個数を遊技者に報知するようになっている。
【0024】
演出図柄表示手段26は、特別図柄表示手段23による特別図柄の変動表示と時間的に同調して演出図柄を変動表示するもので、1個又は複数個、例えば左右方向に3個の演出図柄を例えば各種の演出画像と共に変動表示可能に構成されており、特別図柄始動手段15の上下の始動入賞口27,28の何れかに遊技球が入賞し、入賞検出スイッチ32,33がそれを検出することを条件に、特別図柄の変動開始と同時に所定の変動パターンに従って演出図柄の変動を開始すると共に、特別図柄の変動停止と同時に最終停止するように、演出図柄を左、右、中等の所定の順序で停止させるようになっている。
【0025】
演出図柄には、例えば「0」〜「9」の10種類の数字図柄が用いられ、「6・6・6」「7・7・7」等、3つの図柄が全て同じ図柄で揃ったものが大当たり態様、少なくとも1つの図柄が異なるものが外れ態様となっている。
【0026】
なお、演出図柄表示手段26による演出図柄の変動後の停止図柄は、特別図柄表示手段23による特別図柄が大当たり態様で停止する場合には大当たり態様となり、特別図柄が外れ態様で停止する場合には任意の外れ態様となる。なお、演出図柄表示手段26は、特別図柄の変動内容とは直接関係のない演出を行う場合があってもよい。
【0027】
大入賞手段(入球口)16は、遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに変化可能な開閉板30を備えた作動式で、例えば特別図柄始動手段15の下側に配置されており、特別図柄表示手段23の変動後の停止図柄が大当たり態様となることに基づいて特別利益状態(大当たり状態)が発生したときに、開閉板30が前側に所定時間開放して、その上に落下した遊技球を内部へと入賞させるようになっている。なお、この大入賞手段16には、入賞した遊技球を検出する近接スイッチ等よりなる入賞検出スイッチ34が設けられている。
【0028】
また、例えばこの大入賞手段16の右側に普通入賞手段17aが、左側に普通入賞手段17b〜17dが夫々配置されている。これら普通入賞手段(入球口)17a〜17dには、入賞した遊技球を検出する近接スイッチ等よりなる入賞検出スイッチ35a〜35dが設けられている。
【0029】
また、遊技盤5の裏面側には、図3に示すように、センターケース13等の遊技部品を後側から覆う裏カバー36が装着され、この裏カバー36の背面側に、主制御基板37が格納された主基板ケース38、演出制御基板39が格納された演出基板ケース40、液晶制御基板41が格納された液晶基板ケース42等が着脱自在に装着されている。
【0030】
前枠3の裏側には、前側から装着された遊技盤5の裏側を開閉自在に覆う開閉カバー43が着脱自在に装着されると共に、その上部側に遊技球タンク44とタンクレール45とが、左右方向一端側、例えばヒンジ4側に払出手段46と払い出し通路47とが夫々装着されており、遊技球が大入賞手段16等の入賞口に入賞したとき、又は図示しない自動球貸し機から球貸し要求があったときに、遊技球タンク44内の遊技球をタンクレール45を経て払出手段46により払い出し、その遊技球を払い出し通路47を経て貯留皿9に案内するようになっている。なお、払出手段46には、払い出した遊技球を検出する近接スイッチ等よりなる払出検出スイッチ48が設けられている。
【0031】
前枠3の裏側下部には、基板装着台49が着脱自在に装着されており、この基板装着台49の背面側に、電源基板51が格納された電源基板ケース52、払出制御基板53が格納された払出基板ケース54が夫々着脱自在に装着されている。
【0032】
また、前枠3の裏側の例えば右側上部には、各種信号を外部の例えばホール側コンピュータ等に出力するための複数の外部出力端子55a,55b,…を備えた外部出力基板56が装着されている。なお、複数の外部出力端子55a,55b,…のうち、外部出力端子55aが、後述する賞球予定信号の出力に対応し、外部出力端子55bが、後述する賞球信号の出力に対応しているものとする。
【0033】
図4は本パチンコ遊技機の制御系のブロック図である。図4において、主制御基板37は、主に遊技盤5側の遊技動作に関わる制御を行うためのもので、CPU,ROM,RAM等により構成される普通乱数作成処理手段61、普通始動口チェック処理手段62、普通乱数記憶手段63、普通図柄処理手段64、普通利益状態発生手段65、普通図柄表示制御手段66、特別乱数作成処理手段71、特別始動口チェック処理手段72、特別乱数記憶手段73、特別図柄処理手段74、特別利益状態発生手段75、特別図柄表示制御手段76、特別遊技状態発生手段77、入賞処理手段78、制御コマンド送信手段79等を備えている。
【0034】
また、この主制御基板37には、演出制御基板39、払出制御基板53等のサブ制御基板が接続され、また普通図柄表示手段22、特別図柄表示手段23等の表示手段、普通図柄始動手段14の通過検出スイッチ31、特別図柄始動手段15、大入賞手段16、普通入賞手段17a〜17dの各入賞検出スイッチ32〜34,35a〜35d等が接続されている。なお、発射制御基板70は発射手段8を制御するもので、払出制御基板53を介して主制御基板37に間接的に接続されている。
【0035】
普通乱数作成処理手段61は、変動後の普通図柄を当たり態様とするか否かの判定に用いる当たり判定乱数等を所定時間毎に繰り返し発生するように構成されている。普通始動口チェック処理手段62は、普通図柄始動手段14による遊技球の検出に基づく処理を行うもので、普通図柄始動手段14の通過検出スイッチ31が遊技球を検出することに基づいて、普通乱数作成処理手段61で作成された当たり判定乱数値を1個取得し、その当たり判定乱数値を予め定められた上限保留個数(例えば4個)を限度として普通乱数記憶手段63に記憶させるように構成されている。
【0036】
普通図柄処理手段64は、普通図柄の変動表示に関する処理を行うもので、普通図柄表示手段22が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段63に1個以上の当たり判定乱数値が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に、普通乱数記憶手段63に最も早く記憶された当たり判定乱数値を取り出し、その当たり判定乱数値が予め定められた当たり判定値と一致するか否かに応じて当たり/外れの判定を行う当たり判定機能、当たり/外れの判定結果に基づいて普通図柄の変動後の停止図柄の種類を選択する普通停止図柄選択機能、普通図柄の変動時間を選択する変動時間選択機能等を備えている。なお、当たり判定で当たりとなる確率は、後述する特別遊技状態中の方がそれ以外の通常遊技状態中よりも高い値に設定され、また普通図柄の変動時間は、特別遊技状態中の方が通常遊技状態中よりも短くなるように設定されている。
【0037】
普通利益状態発生手段65は、普通図柄処理手段64による判定結果が当たり判定となり、普通図柄表示手段22の変動後の停止図柄が当たり態様となったときに、下始動入賞口28を開閉する開閉手段29を、例えば通常遊技状態中は通常開閉パターン(例えば0.2秒×1回開放)で、特別遊技状態中はその通常開閉パターンよりも開放時間及び/又は開放回数が大となるように設定された特別開閉パターン(例えば2秒×3回開放)で、夫々作動させるようになっている。
【0038】
普通図柄表示制御手段66は、普通図柄処理手段64による普通図柄処理に基づいて普通図柄表示手段22の表示制御を行うもので、普通図柄表示手段22が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段63に1個以上の当たり判定乱数値が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に普通図柄表示手段22による普通図柄の変動を開始させ、普通図柄処理手段64で選択された変動時間が経過することに基づいて、同じく普通図柄処理手段64で選択された停止図柄で普通図柄の変動を停止させるようになっている。
【0039】
特別乱数作成処理手段71は、変動後の特別図柄を大当たり態様、外れ態様の何れにするかについての判定に用いる大当たり判定乱数、変動後の特別図柄が大当たり態様となる場合の停止図柄の選択に用いる大当たり図柄乱数、その他の所定の乱数を繰り返し発生する特別乱数作成処理を行うように構成されている。
【0040】
特別始動口チェック処理手段72は、特別図柄始動手段15への遊技球の入賞に基づく処理を行うもので、特別図柄始動手段15の始動入賞口27,28に遊技球が入賞し、入賞検出スイッチ32,33がその遊技球を検出することに基づいて、特別乱数作成処理手段71で作成された大当たり判定乱数値、大当たり図柄乱数値等を1個ずつ取得し、それら当たり判定乱数値、当たり図柄乱数値等を予め定められた上限保留個数(例えば各4個)を限度として特別乱数記憶手段73に記憶させるように構成されている。
【0041】
特別図柄処理手段74は、特別図柄の変動表示に関する処理を行うもので、特別図柄表示手段23が変動表示可能な状態となり且つ特別乱数記憶手段73に1個以上の大当たり判定乱数値が記憶されていること(特別保留個数が1以上であること)を条件に、特別乱数記憶手段73に最も早く記憶された大当たり判定乱数値を取り出し、その大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致するか否かに応じて大当たり/外れの判定を行う大当たり判定機能、大当たり/外れの判定結果と、特別乱数記憶手段73に大当たり判定乱数値と共に記憶されている大当たり図柄乱数値とに基づいて、特別図柄の変動後の停止図柄を選択する特別停止図柄選択機能、大当たり/外れの判定結果に基づいて、演出図柄の変動パターンとして複数種類の変動パターンの中から1つを選択する変動パターン選択機能等を備えている。
【0042】
特別利益状態発生手段75は、大入賞手段16を所定の開放パターンに従って開放する特別利益状態を発生させるためのもので、特別図柄処理手段74による判定結果が大当たり判定となり、特別図柄表示手段23による特別図柄の変動後の停止図柄が大当たり態様となることに基づいて、大入賞手段16が所定の開放パターンで開放する特別利益状態を発生させるようになっている。
【0043】
特別図柄表示制御手段76は、特別図柄表示手段23の表示制御を行うもので、特別図柄処理手段74による特別図柄処理に基づいて特別図柄表示手段23による特別図柄の変動を開始させると共に、変動パターン選択機能により選択された変動パターンに対応する変動時間が経過することに基づいて、特別停止図柄選択機能により選択された停止図柄態様で特別図柄の変動を停止させるようになっている。
【0044】
特別遊技状態発生手段77は、特別利益状態の発生後の所定期間に遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるためのもので、特別図柄が大当たり態様となって特別利益状態が発生したときに、例えばその特別利益状態の終了後の所定期間、その大当たり態様の種類に応じて例えば時短遊技状態と確変遊技状態との何れかを発生させるようになっている。
【0045】
時短遊技状態中は、特別図柄表示手段23の変動時間が通常変動時間よりも短い短縮変動時間に切り換えられる他、普通図柄の変動時間が通常変動時間から短縮変動時間へ、特別図柄始動手段15の開閉手段29の開閉パターンが通常開閉パターン(例えば0.2秒×1回開放)から特別開閉パターン(例えば2秒×3回開放)へ、夫々切り換えられるようになっている。
【0046】
また、確変遊技状態中は、特別図柄が大当たり態様となる確率が低確率から高確率に切り換えられ、更に時短遊技状態と同様の処理が行われるようになっている。
【0047】
入賞処理手段78は、上始動入賞口27、下始動入賞口28、大入賞手段16、普通入賞手段17a〜17dの7つの入賞口への遊技球の入賞に関する処理を行うもので、入賞管理手段(入球管理手段)78a、賞球管理手段78b、外部信号出力管理手段(賞球予定信号出力手段)78c等を備えている。これら入賞管理手段78a、賞球管理手段78b、外部信号出力管理手段78cは、夫々入賞管理処理(図7)、賞球管理処理(図8)、外部信号出力管理処理(図9)を、例えば所定時間毎(ここでは4ms毎)に発生する定期割り込みにおいて実行するように構成されている。
【0048】
なお、図5に示すように、上始動入賞口27、下始動入賞口28、大入賞手段16、普通入賞手段17a〜17dの7つの入賞口には通し番号1〜7が付与されており、以下の説明では上記7つの入賞口を必要に応じて入賞口1〜7で表すものとする。また、各入賞口1〜7に対しては、個別に賞球個数が定められており、各入賞口1〜7への遊技球の入賞に基づいて、その入賞口に対応する賞球個数の賞球が払い出されるようになっている。本実施形態における賞球個数の設定は、図5に示すように、入賞口1及び2が3個に、入賞口6が5個に、入賞口4,5及び7が10個に、入賞口3が15個に夫々設定されている。
【0049】
まず、入賞管理手段78aによる入賞管理処理(図7)について説明する。この入賞管理処理では、入賞口数の値がループ回数Nにセットされ(S1)、n=1からn=NまでのN回のループ処理(S2〜S9)が実行される。本実施形態では7つの入賞口が設けられているため、ループ回数N=7となる。
【0050】
n=1からn=Nまでの各ループ処理においては、まず入賞口nへの入賞があったか否かが、その入賞口nに対応する入賞検出スイッチからの検出信号に基づいて判定される (S3)。例えばn=1の場合には、入賞口1である上始動入賞口27への入賞があったか否かが、その上始動入賞口27に設けられた入賞検出スイッチ32の検出信号に基づいて判定される。入賞口nへの入賞がなかったと判定された場合には(S3:No)、以下のS4〜S7の処理はスキップされる。
【0051】
S3において入賞口nへの入賞があったと判定された場合には(S3:Yes)、その入賞口nに対応する入賞カウンタに1が加算される(S4)。ここで、入賞カウンタは、賞球個数毎の入賞個数をカウントするもので、本実施形態では、図5に示すように賞球個数3個に対応する入賞カウンタ1と、賞球個数5個に対応する入賞カウンタ2と、賞球個数10個に対応する入賞カウンタ3と、賞球個数15個に対応する入賞カウンタ4との4種類の入賞カウンタが設けられている。従って、例えば入賞口1への入賞があった場合には、賞球個数3個に対応する入賞カウンタ1に1が加算される。
【0052】
また、所定のワーク領域(記憶領域)から賞球個数カウンタの値が読み出され、入賞口nに対応する賞球個数がその賞球個数カウンタに加算される(S5)。ここで、賞球個数カウンタは、払い出し予定の賞球の累計をカウントするもので、一定の記憶領域が割り当てられている。本実施形態では、この賞球個数カウンタに1バイトの記憶領域が割り当てられており、0〜255の範囲の賞球個数を記憶可能となっている。
【0053】
そして、その加算後の賞球個数カウンタの値はワーク領域に格納されるが(S7)、S5において賞球個数カウンタがオーバーフローする場合、即ち加算後の賞球個数カウンタの値がその最大値である255を超える場合には、賞球個数カウンタの値がその最大値、即ち255に変更され(S6)、その変更後の値がワーク領域に格納される(S7)。例えば、賞球個数カウンタの値が250のときに大入賞手段16に入賞した場合、S5において賞球個数カウンタの値に15が加算され、最大値である255を超えて9となってしまうが、その場合には賞球個数カウンタの値は最大値である255に変更されて記憶される。これにより、実際の賞球個数の累計(ここでは250+15=265個)との間に誤差が生じるものの、オーバーフロー後の値(ここでは9個)をそのまま用いる場合と比べてその誤差を小さく抑えることができる。
【0054】
nに1を加算しつつ(S9)、上記S3〜S7の処理を繰り返し行い、n=N(S8:Yes)となってN回のループ処理が終了したところで入賞管理処理は終了する。
【0055】
続いて、賞球管理手段78bによる賞球管理処理(図8)について説明する。この賞球管理処理では、入賞カウンタの種類数がループ回数Mにセットされ(S11)、n=1からn=MまでのM回のループ処理(S12〜S16)が実行される。本実施形態では入賞カウンタ1〜4の4種類の入賞カウンタが設けられているため(図5)、ループ回数M=4となる。
【0056】
このn=1からn=MまでのM回のループ処理においては、入賞カウンタnの値が0であるか否かが判定され(S13)、入賞カウンタnの値が0でないと判定された時点(S13:No)でループ処理から抜けるようになっている。入賞カウンタnの値が0でないと判定されることなくM回のループ処理が終了した場合には(S16:Yes)、賞球管理処理はその時点で終了する。
【0057】
入賞カウンタnの値が0でないと判定されてループ処理から抜けた場合には(S13:No)、入賞カウンタnの値が1減算される(S17)と共に、その入賞カウンタnに対応する払出個数指定コマンドが、後述する制御コマンド送信手段79を介して払出制御基板53に送信され(S18)、賞球管理処理は終了する。図6は、入賞カウンタと払出個数指定コマンドとの対応関係の一例を示している。図6の例では、払出個数指定コマンドが2バイトで構成されており、その下位バイトが賞球個数の値を表している。例えば、入賞口3(大入賞手段16)への入賞によって入賞カウンタ4の値が1であった場合には、払出制御基板53に対して賞球個数15個に対応する払出個数指定コマンド270FHが送信される。
【0058】
以上のように、賞球管理処理(図8)においては、1回の割り込みにつき1回の入賞分の処理しか行わず、未処理分については次回以降の割り込みにおいて処理されるようになっている。
【0059】
続いて、外部信号出力管理手段78cによる外部信号出力管理処理(図9)について説明する。この外部信号出力管理処理では、まずタイマの値が取得され(S21)、そのタイマの値に応じて(S22)、下記のように所定の処理が実行される。ここで、このタイマは、後述するS27において所定値がセットされ、その後は当該賞球予定信号出力処理が実行される都度、S29において1ずつ減算されるようになっている。なお、このタイマの初期値は0であり、当該賞球予定信号出力処理の1回目の実行時にはこのタイマ値は0である。
【0060】
S22においてタイマ値が0であると判定された場合には、賞球個数カウンタの値がワーク領域から取得され(S23)、この賞球個数カウンタの値から所定の減算値、例えば10(所定個数)が減算された後(S24)、減算後の賞球個数カウンタの値が0より小であるか否かが判定される(S25)。
【0061】
そして、減算後の賞球個数カウンタの値が0以上であれば(S25:No)、即ち減算前の賞球個数カウンタの値が10個(所定個数)以上であれば、その減算後の賞球個数カウンタの値がワーク領域に格納され(S26)、タイマに所定時間(例えば200ms)に対応する所定値(例えば50)がセットされる(S27)。このタイマは、当該賞球予定信号出力処理が実行される毎に、即ち4ms毎に、値が0になるまで後述するS29において1ずつ減算されるようになっている。従って、このタイマの値は、S27において50がセットされた後、200ms(=4ms×50)経過した時点で0となる。
【0062】
そして、外部出力信号データのうち、賞球予定信号に対応するビットに、信号出力を示す例えば1がセットされ(S28)、タイマの値が1減算され(S29)、その他の外部出力信号に関する外部出力信号データの設定処理(S30)が行われた後、その外部出力信号データに基づいて外部出力信号の出力が行われ(S31)、賞球予定信号出力処理は終了する。
【0063】
ここで、外部出力信号データは、複数種類の外部出力信号に対応する複数のビットで構成されており、S31において、例えば1に設定されているビットに対応する外部出力信号が外部出力端子55a,55b,…から出力されるようになっており、賞球予定信号は、それら複数種類の外部出力信号の1つである。従って、賞球個数カウンタの値が10個に達することに基づいて(S25:No)、対応する外部出力端子55aから賞球予定信号の出力が開始される(S28,S31)。
【0064】
なお、減算後の賞球個数カウンタの値が0より小さい場合(S25:Yes)、即ち減算前の賞球個数カウンタの値が10個未満の場合には、S26〜S29の処理はスキップされ、外部出力信号データのうち、賞球予定信号に対応するビットに、信号非出力を示す例えば0がセットされる(S25a)。従って、賞球個数カウンタの値が10個に達していない間は、ワーク領域に格納されている賞球個数カウンタの値は減算前のまま更新されることはなく、また賞球予定信号も出力されない。
【0065】
一方、S22においてタイマ値が26〜50の範囲内であると判定された場合、即ち、S27においてタイマに50がセットされてからの経過時間が100msに満たない場合には、S23〜S27の処理がスキップされ、S28以降の処理が実行される。これにより、この期間中は賞球予定信号の出力は維持される。
【0066】
また、S22においてタイマ値が1〜25の範囲内であると判定された場合、即ち、S27においてタイマに50がセットされてからの経過時間が100ms以上200ms未満である場合には、S23〜S28の処理がスキップされ、外部出力信号データのうち、賞球予定信号に対応するビットに、信号非出力を示す例えば0がセットされる(S22a)。これにより、この期間中は賞球予定信号の出力は停止される。
【0067】
そして、S27においてタイマに50がセットされてからの経過時間が200msに達すると、S22において再びタイマ値が0と判定され、S23以降の処理が実行される。
【0068】
以上の外部信号出力管理処理により、賞球個数カウンタの値(遊技球が入賞した入賞口に対応する賞球個数の累計)が10個に達する毎に、外部出力端子55aから賞球予定信号が100ms間継続して出力される。また、賞球予定信号の出力中に賞球個数カウンタの値が10個に達した場合でも、賞球予定信号の出力停止から100ms(所定の待機時間)経過するまで(即ちその賞球予定信号の出力開始から200ms経過するまで)は次の賞球予定信号の出力は開始されない。これにより、賞球予定信号の出力停止から次の賞球予定信号の出力開始までの間には少なくとも100msのインターバルを設けることができる。
【0069】
制御コマンド送信手段79は、演出制御基板39、払出制御基板53等のサブ制御基板に制御コマンドを送信するもので、例えば特別図柄の変動開始時には、特別図柄処理手段74による特別図柄処理に基づいて、演出図柄の変動パターンを指定する変動パターンコマンド、演出図柄の停止図柄の抽選を指示する停止図柄コマンド、演出図柄の変動停止を指示する変動停止コマンド等を演出制御基板39に送信し、また何れかの入賞口への入賞があった場合には、賞球管理手段78bによる賞球管理処理に基づいて、賞球の払出個数を指定する払出個数指定コマンドを払出制御基板53に送信するようになっている。
【0070】
演出制御基板39は、演出図柄表示手段26、音声出力手段81、電飾手段82等の各種演出手段を制御するためのもので、演出図柄制御手段83等を備えている。演出図柄制御手段83は、演出図柄表示手段26の表示制御及びそれに伴う音声出力手段81、電飾手段82等の制御を行うもので、主制御基板37から変動パターンコマンド及び停止図柄コマンドを受信した場合に、その変動パターンコマンドに対応する変動パターンに基づいて演出図柄表示手段26による演出図柄の変動表示を開始させると共に変動後の停止図柄態様を抽選により決定し、その後に変動停止コマンドを受信したときに、抽選により決定した停止図柄態様で演出図柄の変動を停止させ、またその演出図柄の変動表示に合わせて音声出力手段81から所定の効果音を出力し、電飾手段82を所定のパターンで発光させるようになっている。
【0071】
払出制御基板53は、払出手段46による賞球等の払い出しに関する制御を行うためのもので、払出制御手段84、賞球信号作成手段85、賞球信号出力手段86等を備えている。払出制御手段84は、払出手段46の駆動制御を行うもので、例えば主制御基板37から払出個数指定コマンドを受信した場合に、その払出個数指定コマンドで指定された賞球個数に基づいて払出手段46を作動させるようになっている。
【0072】
賞球信号作成手段85と賞球信号出力手段86とは、外部出力端子55a,55b,…からの賞球信号の出力に関する制御を行うもので、夫々賞球信号作成処理(図10)、賞球信号出力処理(図11)を、例えば所定時間毎(ここでは4ms毎)に発生する定期割り込みにおいて実行するように構成されている。
【0073】
賞球信号作成手段85による賞球信号作成処理(図10)では、まず賞球信号タイマの値が0でないことを条件に1減算する処理が行われる(S41,S42)。ここで、賞球信号タイマは、賞球信号の出力時間を管理するためのもので、後述するS45において所定値がセットされるようになっている。
【0074】
続いて、賞球済カウンタの値が10以上であるか否かが判定される(S43)。ここで、賞球済カウンタは、払出手段46によって払い出された賞球の個数をカウントするもので、払出検出スイッチ48が遊技球を検出する毎に1が加算されるようになっている。
【0075】
S43において賞球済カウンタの値が10以上であると判定された場合には、即ち払出手段46によって払い出された賞球の個数が10個(特定個数)に達した場合には、賞球済カウンタの値が10減算され(S44)、賞球信号タイマに所定時間(例えば100ms)に対応する所定値(例えば25)がセットされる(S45)。この賞球信号タイマは、当該賞球信号作成処理が実行される毎に、即ち4ms毎に、値が0になるまで上述したS42において1ずつ減算されるようになっているため、S45において25がセットされた後、100ms(=4ms×25)経過した時点で0となる。なお、S43において賞球済カウンタの値が10未満であると判定された場合、即ち払出手段46によって払い出された賞球の個数が10個に満たない場合には、S44,S45の処理はスキップされる。
【0076】
そして、賞球信号タイマの値が0であるか否かが判定され(S46)、賞球信号タイマの値が0であれば賞球信号フラグに00Hがセットされ(S48)、賞球信号タイマの値が0でなければ賞球信号フラグに5AHがセットされる(S47)。
【0077】
以上の賞球信号作成処理により、賞球済カウンタの値が10に達する毎、即ち払出手段46によって払い出された賞球の個数が10個に達する毎に、賞球信号フラグの値が5AHとなり、この状態が100ms継続するようになっている。
【0078】
そして、賞球信号出力手段86による賞球信号出力処理(図11)では、その賞球信号フラグの値が5AHであることを条件に、対応する外部出力端子55bから賞球信号が出力されるようになっている(S51,S52)。これにより、払出手段46によって賞球が10個払い出される毎に、外部出力端子55bから賞球信号が100ms間継続して出力される。
【0079】
図12は、所定の入賞があった場合の、賞球予定信号と賞球信号との出力状況の一例を示したものである。図12では、賞球個数15個の大入賞手段16(入賞口3)と、賞球個数3個の上始動入賞口27(入賞口1)と、賞球個数5個の普通入賞手段17c(入賞口6)とに短期間の間に順次入賞した場合を想定している。
【0080】
まず大入賞手段16(入賞口3)に遊技球が入賞した時点(図12のT1)で、賞球個数15個に対応する入賞カウンタ4が1となるため(S4)、その入賞カウンタ4に対応する払出個数指定コマンド270FHが主制御基板37から払出制御基板53に送信される(S15)。これにより、払出手段46による賞球の払い出しが開始され、払い出された賞球は払出検出スイッチ48によって検出される。
【0081】
また、大入賞手段16(入賞口3)に遊技球が入賞した時点(図12のT1)で、賞球個数カウンタに賞球個数が加算されて15となる(S5〜S7)ため、この賞球個数カウンタから10が減算される(S23〜S26)と共に、タイマに200msに対応する50がセットされ(S27)、外部出力端子55aから賞球予定信号の出力が開始される (S28〜S31)。その後、100ms経過時点で賞球予定信号の出力は停止される (図12のT2)。
【0082】
大入賞手段16への入賞後、上始動入賞口27(入賞口1)、普通入賞手段17c(入賞口6)に順次入賞した時点で(図12のT3)、賞球個数3個に対応する入賞カウンタ1、賞球個数5個に対応する入賞カウンタ2が夫々1となるため(S4)、その入賞カウンタ1及び2に対応する払出個数指定コマンド2103H、2305Hが主制御基板37から払出制御基板53に送信され(S15)、払出手段46による賞球の払い出しが行われる。
【0083】
また、上始動入賞口27(入賞口1)、普通入賞手段17c(入賞口6)に順次入賞することにより、賞球個数カウンタに3,5が順次加算されて13(≧10)となる(S5〜S7)が、前の賞球予定信号の出力停止(図12のT2)から100ms経過してタイマ値が0(S22)となるまで(図12のT4)は、次の賞球予定信号の出力は開始されない。賞球予定信号の出力停止(図12のT2)から100ms経過すると(図12のT4)、賞球個数カウンタから10が減算される(S23〜26)と共に、外部出力端子55aから賞球予定信号が100ms間出力される。
【0084】
一方、払出制御基板53側では、払出検出スイッチ48による賞球の検出個数(賞球済カウンタの値)が10個に達する毎に(図12のT5,T6)、賞球済カウンタから10が減算される(S44)と共に、賞球信号タイマに100msに対応する25がセットされ(S45)、この賞球信号タイマの値が0となるまでの100ms間、外部出力端子55bから賞球信号が出力される。
【0085】
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機は、遊技球が入賞した入賞口に対応する賞球個数の累計が10個(所定個数)に達する毎に賞球予定信号を外部出力端子55aから外部に出力する外部信号出力管理手段(賞球予定信号出力手段)78cと、払出手段46による払出済み個数が10個(特定個数)に達する毎に賞球信号を外部出力端子55bから外部に出力する賞球信号出力手段86とを備えているため、ホールコンピュータ側では、入賞口への入賞からのタイムラグなく受信できる賞球予定信号に基づいて遊技状態と賞球との対応関係を認識すると共に、その情報を、実際に払い出された賞球個数と一致する賞球信号に基づいて検証することができる。即ち、即時性があるが信頼性の低い賞球予定信号と、信頼性は高いが即時性に劣る賞球信号とを共に出力することにより、ホールコンピュータ側で、実際に払い出された賞球個数の情報を遊技状態毎に正しく管理することが可能となる。
【0086】
また、一定のワーク領域(記憶領域)が割り当てられた賞球個数カウンタと、大入賞手段16等の入賞口への遊技球の入賞毎に、その入賞口に対応する賞球個数を賞球個数カウンタに加算する入賞管理手段(入球管理手段)78aとを備え、外部信号出力管理手段 (賞球予定信号出力手段)78cは、賞球個数カウンタの値が10個(所定個数)に達する毎に、賞球予定信号を外部に出力すると共に賞球個数カウンタから10個(所定個数)を減算するように構成され、入賞管理手段78aは、賞球個数の加算により賞球個数カウンタがオーバーフローする場合には、賞球個数カウンタの値を、賞球個数カウンタが記憶可能な最大値に置き換えるように構成されているため、実際の賞球個数の累計との間に誤差が生じるものの、オーバーフロー後の値をそのまま用いる場合と比べてその誤差を小さく抑えることができる。
【0087】
また、外部信号出力管理手段(賞球予定信号出力手段)78cは、賞球予定信号の出力停止後、100ms(所定の待機時間)が経過するまで次の賞球予定信号の出力を行わないように構成されているため、賞球予定信号が連続的に出力される場合でもホールコンピュータ側でそれら各信号を確実に認識することができる。
【0088】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、払出制御基板53側で、主制御基板37から受信した払出個数指定コマンドに基づいて賞球個数カウンタへの賞球個数の加算処理を行い、その賞球個数カウンタに基づいて賞球予定信号を出力させるように構成してもよい。
【0089】
また、払出検出スイッチ48からの検出信号を主制御基板37側で受信し、主制御基板37側の制御により賞球信号を出力させるように構成してもよい。
【0090】
1回の賞球予定信号の出力に必要な賞球個数の累計の増加数(所定個数)と、1回の賞球信号の出力に必要な払出済み個数の増加数(特定個数)とは、実施形態のように同じであることが望ましいが、異なっていてもよい。また、所定個数、特定個数の値は任意である。
【0091】
実施形態では、賞球管理処理(図8)において1回の割り込みにつき1回の入賞分の処理しか行わず、未処理分については次回以降の割り込みにおいて処理するように構成したが、1回の割り込みにつき複数の入賞分の処理(複数回の払出個数指定コマンド送信処理)を行うように構成してもよい。
【0092】
なお、実施形態ではパチンコ遊技機について例示したが、アレンジボール機、雀球遊技機等の他の弾球遊技機においても同様に実施可能である。
【符号の説明】
【0093】
16 大入賞手段(入球口)
17a 普通入賞手段(入球口)
17b 普通入賞手段(入球口)
17c 普通入賞手段(入球口)
17d 普通入賞手段(入球口)
27 上始動入賞口(入球口)
28 下始動入賞口(入球口)
46 払出手段
78a 入賞管理手段(入球管理手段)
78b 賞球管理手段
78c 外部信号出力管理手段(賞球予定信号出力手段)
84 払出制御手段
86 賞球信号出力手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球の払い出しを行う払出手段と、前記払出手段を制御する払出制御手段と、入球口への遊技球の入球があった場合に、その入球口に対応する賞球個数に基づいて前記払出制御手段に対して遊技球の払い出しを指示する賞球管理手段とを備えた弾球遊技機において、遊技球が入球した前記入球口に対応する前記賞球個数の累計が所定個数に達する毎に賞球予定信号を外部に出力する賞球予定信号出力手段と、前記払出手段による払出済み個数が特定個数に達する毎に賞球信号を外部に出力する賞球信号出力手段とを備えたことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記所定個数と前記特定個数とを同じ値に設定したことを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
【請求項3】
一定の記憶領域が割り当てられた賞球個数カウンタと、前記入球口への遊技球の入球毎に、その入球口に対応する前記賞球個数を前記賞球個数カウンタに加算する入球管理手段とを備え、前記賞球予定信号出力手段は、前記賞球個数カウンタの値が前記所定個数に達する毎に、前記賞球予定信号を外部に出力すると共に前記賞球個数カウンタから前記所定個数を減算するように構成され、前記入球管理手段は、前記賞球個数の加算により前記賞球個数カウンタがオーバーフローする場合には、前記賞球個数カウンタの値を、前記賞球個数カウンタが記憶可能な最大値に置き換えることを特徴とする請求項1又は2に記載の弾球遊技機。
【請求項4】
前記賞球予定信号出力手段は、前記賞球予定信号の出力停止後、所定の待機時間が経過するまで次の前記賞球予定信号の出力を行わないように構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の弾球遊技機。
【請求項1】
遊技球の払い出しを行う払出手段と、前記払出手段を制御する払出制御手段と、入球口への遊技球の入球があった場合に、その入球口に対応する賞球個数に基づいて前記払出制御手段に対して遊技球の払い出しを指示する賞球管理手段とを備えた弾球遊技機において、遊技球が入球した前記入球口に対応する前記賞球個数の累計が所定個数に達する毎に賞球予定信号を外部に出力する賞球予定信号出力手段と、前記払出手段による払出済み個数が特定個数に達する毎に賞球信号を外部に出力する賞球信号出力手段とを備えたことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
前記所定個数と前記特定個数とを同じ値に設定したことを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機。
【請求項3】
一定の記憶領域が割り当てられた賞球個数カウンタと、前記入球口への遊技球の入球毎に、その入球口に対応する前記賞球個数を前記賞球個数カウンタに加算する入球管理手段とを備え、前記賞球予定信号出力手段は、前記賞球個数カウンタの値が前記所定個数に達する毎に、前記賞球予定信号を外部に出力すると共に前記賞球個数カウンタから前記所定個数を減算するように構成され、前記入球管理手段は、前記賞球個数の加算により前記賞球個数カウンタがオーバーフローする場合には、前記賞球個数カウンタの値を、前記賞球個数カウンタが記憶可能な最大値に置き換えることを特徴とする請求項1又は2に記載の弾球遊技機。
【請求項4】
前記賞球予定信号出力手段は、前記賞球予定信号の出力停止後、所定の待機時間が経過するまで次の前記賞球予定信号の出力を行わないように構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の弾球遊技機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−228339(P2012−228339A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97937(P2011−97937)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(391010943)株式会社藤商事 (1,465)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(391010943)株式会社藤商事 (1,465)
【Fターム(参考)】
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