説明

形状測定装置

【課題】高い精度で被検物の形状を測定できるようにする。
【解決手段】複数のMLを有するMLA12は、対物レンズ11の背後に配置され、撮像素子13は、MLA12の背後に設置され、対物レンズ11による被検物像を撮像する。画像処理部14は、撮像素子13の出力から複数のMLと色収差の両方の作用によって得られる異なる焦点を有する複数の焦点画像Im,Ic1を生成し、生成した複数の焦点画像Im,Ic1に基づいて、高い精度で被検物Pの形状を測定できる。本発明は、被検物の形状を測定する形状測定装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形状測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レンズの色収差を利用して被検物の形状を測定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平7−229720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1を含む色収差を利用した測定では、測定光軸方向での高い分解能を得ることと測定光軸に垂直な面内で高い分解能を得ることとを両立することが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、高い精度で被検物の形状を測定できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の形状測定装置は、色収差を有する色収差レンズと、前記色収差レンズの背後に配置され、2次元に配列された複数のレンズを有する光学素子と、前記光学素子の背後に配置された2次元の第1撮像素子と、前記第1撮像素子の出力から、異なる物体位置に焦点の合った複数の画像を生成する画像生成手段と、前記の画像に基づいて、被検物の形状を測定する形状測定手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の形状測定装置は、被検物を結像する色収差レンズと、前記色収差レンズの背後で光路を2つに分割する光路分割器と、前記光路分割器で分割された光路の一方に配置した光学素子と、前記光学素子の背後に配置した第1撮像素子と、前記光路分割器で分割された光路の他方に配置した第2撮像素子と、前記第1撮像素子と前記第2撮像素子の出力を入力し、前記被検物の形状を測定する形状測定手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高い精度で被検物の形状を測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明を適用した形状測定装置の一実施の形態の構成を示す図である。
【0011】
図1には、形状測定装置の構成の例として、図1a、図1b、図1cの3つの構成が図示されており、以下、図1a、図1b、図1cの順に説明する。
【0012】
図1aに示すように、形状測定装置は、第1の構成として、色収差レンズ11、マイクロレンズアレイ(以下、MLAという)12、撮像素子13、画像処理部14、光源15、照明レンズ系16、透過パターン17、反射ミラー18、及びハーフミラー19を含むようにして構成される。
【0013】
図1に示す構成では、所定の物体距離にある被検物Pの像を捕える色収差レンズ(色収差対物レンズ)11の、例えば緑の波長に対する結像位置にMLA12が置かれ、このMLA12の背後に撮像素子13が配置される。例えば、撮像素子13は、MLA12の各マイクロレンズのほぼ焦点位置に置かれる。そして、撮像素子13の撮像面は、MLA12を介して色収差レンズ11の射出瞳と略共役となっている。
【0014】
なお、本実施の形態では、MLA12が緑の波長に対して所定の物体距離と共役にして、撮像素子13の撮像面と色収差レンズ11の射出瞳とを共役にした構成について説明するが、MLA12と色収差レンズ11の射出瞳とを共役にした構成を採用しても同様である。そして、さらに、これらの位置関係は厳密なものではなく、相互の位置関係が分かっていれば、演算補正を行うことができる。勿論、光学系相互の関係によっては、像を正しく捉えられない場合もあるので、像が正しく捉えられる、という前提は必要になる。
【0015】
色収差レンズ11は、色収差を有するレンズであり、光の波長によって屈折率が異なる。従って、色収差レンズ11に入射した被検物Pからの光は、波長によって焦点距離(集光位置)が異なる。
【0016】
MLA12は、複数のマイクロレンズ(以下、MLという)を2次元状にならべてなる光学素子である。なお、図1の例では、図の簡略化のため、7×7個のMLからなるMLA12のうちの縦方向の7個のMLを図示しているが、MLの数は、撮像素子13により撮像される画像信号に必要な分解能に応じて適宜設定される。なお、後述する他の図では、21×21個のMLからなるMLのうちの縦方向の21個のMLを図示しているものもあるが、図1の7×7個のMLからなるMLA12と同一に考えることができる。
【0017】
撮像素子13は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどであり、MLA12の各MLを通過した光を受光する所定の画素配列を、MLに対応した配置パターンで配置してなる。画素配列の縦方向と横方向の画素数は、個々のMLを個別に透過した部分光束を個別に受けられるように、適宜設定される。
【0018】
以上の構成を有することで、撮像素子13の撮像面上には、MLA12の各MLによって色収差レンズ11の射出瞳の像が複数形成される。以下、撮像素子13の撮像面において、各MLで結像した像のできる領域を、ML領域と称する。
【0019】
また、第1の構成では、図1aに示すように、被検物Pに対し測定用補助光を照射するための光源15ないしハーフミラー19からなる照明系が設けられている。
【0020】
光源15としては、例えば、複数の異なる波長(色)の光を照明するLED(Light Emitting Diode)などが用いられる。複数の異なる波長を有する光源15からの照明光は、照明レンズ系16に入射する。
【0021】
照明レンズ系16は、光源15より射出した照明光で透過パターン17を均一に照明する。
【0022】
透過パターン17は平板状に形成されており、照明レンズ系16の光軸と垂直に交わるように配置されている。透過パターン17には、照明レンズ系16の光軸と交わる面に、前後左右方向に一定間隔を有して規則正しい位置で上下に開口した格子状の開口部が複数設けられている。なお、被検物Pに投影するパターンとして、格子状の開口部の代わりに、例えば縦縞や横縞などのような他のパターンを用いてもよい。
【0023】
反射ミラー18は、照明レンズ系16の光軸に対して45度傾斜した状態で、照明光路中に挿入されている。透過パターン17より射出した光は、反射ミラー18で90度上方へ曲げられ、ハーフミラー19に入射する。
【0024】
ハーフミラー19は、反射ミラー18で反射した光を反射して90度方向を変え、色収差レンズ11へ入射させる。なお、ハーフミラー19の代わりにビームスプリッタを配置することも可能である。
【0025】
これにより、被検物Pの表面には、格子状のパターンが結像投影される(色収差レンズ11で透過パターン17を被検物Pと共役にするか、被検物Pを透過パターン17と共役になる位置に置く)。図1aの例では、等間隔に並んだ7×7個の格子のパターンが被検物Pの表面に結像している。
【0026】
そして、被検物Pの表面に結像した照明光の一部は、被検物Pの表面の反射光となって、色収差レンズ11に入射して、ハーフミラー19を透過した後、さらにMLA12を通過し、撮像素子13の撮像面上で結像する。撮像素子13の撮像面で結像した反射光は、その撮像面上に形成された画素エリアの各受光部において受光され、画像処理部14に出力される。
【0027】
さらに、別の構成として、ハーフミラー19を偏光ビームスプリッタ(以下、PBSという)に代え、その手前の光路に偏光板19aを挿入し、S偏光のみPBSで反射させてレンズに入れる。さらに、1/4波長板20を色収差レンズ11と被検物Pとの間に挿入する。これにより、戻ってきた反射光は、1/4波長板20により偏光方向が90度回転し、P偏光となって、PBSを透過する。このような構成で、ハーフミラー19を使った場合と比し、検出光の光量を約2倍に増加でき、S/Nの良い画像が取得できる。
【0028】
画像処理部14は、撮像素子13から出力される画像信号から被検物Pの3次元の形状を測定する処理(以下、3次元形状測定処理という)を実行し、被検物Pの形状を測定する。すなわち、画像処理部14は、既知である透過パターンの形状が被検物Pの表面に投影された投影パターンがどのように変形し、どのようにぼけたかを投影パターンの交点やスポットなどにおける、エッジやコントラストの変化を検出することによって行う。
【0029】
光源15は、例えば、R色(赤色)光、G色(緑色)光、及びB色(青色)光を時系列に順次に点灯する。撮像素子13の撮像面には、それらの3色の光による被検物Pの色別反射像が結像するため、異なる複数の波長(色)の画像を同期して検出する。撮像素子13の撮像面には、色収差を有する色収差レンズ11を通過した光が結像するので、R色光、G色光、及びB色光のそれぞれの色別反射像から得られる被検物Pの画像の焦点位置は異なる。これにより、画像処理部14では、色収差によってR,G,B各色光に応じた焦点位置の多焦点画像を得ることができる。
【0030】
また、この場合、照明系からの照明光と、被検物Pの表面での反射光とが、色収差レンズ11を通過するので、色収差による焦点差は2倍になり、その結果、被検物Pの高さ方向、すなわち、色収差レンズ11の光軸方向(Z方向)の測定感度は2倍となる。
【0031】
光源の波長を時系列的に順次点灯していく方式は、フィールドシーケンシャル(Field Sequential)法と呼ばれる照明方式である。このフィールドシーケンシャル法では、異なる複数の波長の光を時系列に順次に点灯するので、測定光学系にカラーフィルタを設ける必要がなく、さらに、撮像素子13として、単色(モノクロ)の撮像素子を用いることができる。また、単に、光源15からの照明光の波長の種類を増やすだけで、その波長の種類だけ焦点位置の異なる被検物Pの画像を取得できるので、被検物Pの形状の測定の際の精度や分解能を容易に向上させることができる。
【0032】
次に、図1bを参照して、形状測定装置の第2の構成について説明する。
【0033】
図1bの第2の構成は、図1aの第1の構成、すなわち、被検物Pに対し異なる複数の波長の光を順次切り替えて照射するように構成された照明系の代わりに、色収差レンズ11の被検物側のレンズ部分を囲むようにRGBリング照明部21が取り付けられている。
【0034】
RGBリング照明部21は、例えば、R色光、G色光、及びB色光等の異なる複数の波長の光を照射可能なリングLED(Light Emitting Diode)照明装置である。RGBリング照明部21による照明は、上述した図1aの構成と同様にフィールドシーケンシャル法を採用して、R色光、G色光、及びB色光を時系列に順次に点灯してもよいし、あるいは、R色光、G色光、及びB色光のそれぞれの光を同時に照射してもよい。
【0035】
フィールドシーケンシャル法を採用した場合、RGBリング照明部21によるR色光、G色光、B色光からなる照明光が順次被検物Pの表面に照射され、被検物Pで反射した光は色収差レンズ11に入射し、MLA12を通過した後、撮像素子13の撮像面上に結像する。画像処理部14は、撮像素子13から出力される画像信号に基づいて、順次、被検物Pの3次元形状測定処理を実行する。この場合の撮像素子13は、いわゆるモノクロの安価な撮像素子を用いることができる。
【0036】
また、第2の構成において、RGBリング照明部21による同時照明を行う場合には、撮像素子13に不図示のカラーフィルタを配置して、被検物Pによる反射光をRGBの3色の光に分光することで、撮像素子13の撮像面には、被検物PのR色光、G色光、及びB色光のそれぞれの色別反射像を結像するようにできる。いわゆるカラーカメラである。これにより、画像処理部14では、焦点位置の異なる被検物Pの複数の画像を得ることができる。勿論、モノクロの撮像素子を用い、R色光、G色光、及びB色光のフィルタを順次切り替えて測定することもできる。
【0037】
なお、図1bの第2の構成では、図1aの第1の構成と異なり、透過パターン17によるパターンの投影を行っていないので、被検物Pの表面には格子状のパターンは投影されないこととなる。そこで、第2の構成では、3次元形状測定処理を実行する際に得られる被検物Pの複数の多焦点画像から、被検物Pのエッジ(輪郭)やコントラスト(濃度差)、段差構造、模様等を抽出することにより、色収差による焦点のずれ量を検出する。また、RGBリング照明部21からの照明光は、被検物Pの表面で反射された後の1回だけ、色収差レンズ11を通過するので、第2の構成での焦点差は、色収差により得られた量のまま(1倍)となるが、その分だけ距離の広い領域での測定が実行できる。従って、パターン投影とリング照明の両者を併設する構成にすれば、距離の広い範囲の測定と、精度の高い測定とを使い分け、あるいは同時に実現することができる。
【0038】
この同時照明を行うと、撮像素子13にカラー対応を図ることで、一度の撮像で、RGBの3色の画像信号を得ることができるので、複数回の撮像を要しない分の処理時間を短縮することが可能となる。また、RGBリング照明部21は連続的に光を照明すればよいので、測定光学系の構成が簡略化され、コストの面においても利点がある。
【0039】
次に、図1cを参照して、形状測定装置の第3の構成について説明する。
【0040】
図1cの第3の構成は、第1の構成(図1a)の光源15ないしハーフミラー19、又は、第2の構成(図1b)のRGBリング照明部21の照明系の代わりに、色収差レンズ11の被検物側のレンズ面にカラーフィルタ22が取り付けられている。従って、第3の構成では、照明系は配置されていないので補助光はなく、自然光のみを用いる。
【0041】
すなわち、第3の構成では、被検物Pの表面からの自然光による反射光は、カラーフィルタ22に入射して分光された後、色収差レンズ11とMLA12を通過し、撮像素子13の撮像面上で結像する。
【0042】
なお、図1cでは、カラーフィルタ22を、色収差レンズ11に取り付ける例を図示しているが、撮像素子13内のカラーフィルタを用いることも可能である。例えば、カラーのCCDやCMOSセンサ内のカラーフィルタを利用する場合、このカラーフィルタは、分光特性として広い波長帯域を持っているので、本実施の形態のような色収差を簡単な構成で利用できるので、コストを抑えることが可能となる。この点は、第2の構成でカラーカメラを用いた場合と同様である。両者の違いはRGBリング照明部21があるかないかである。
【0043】
以上のように、図1の第1の構成ないし第3の構成では、照明のあて方やパターン投影の有無、カラーフィルタの配置位置などが異なるものの、いずれの構成でも色収差と複数のMLによって多焦点画像を取得できる構成を有している点においては同じである。
【0044】
次に、図2ないし図4を参照して、本発明を適用した形状測定装置の光学系の詳細について説明する。なお、この光学系(図1の色収差レンズ11、MLA12、及び撮像素子13)は、後述する第2の実施の形態における光学系(図6以降で説明する色収差系)と区別するために、MLA色収差系と称する。
【0045】
まず、図2を参照して、MLA色収差系において、MLA12を構成する複数のMLのレンズ作用により得られる複数の焦点画像(以下、焦点画像Imという)の取得の原理を説明する。
【0046】
図2は、MLA色収差系の光線追跡図を示しており、図2aは主波長λ(例えばG色光)に関して、被検物Pに色収差レンズ11の焦点が合っている場合(被検物面P0)の光線図である。
【0047】
図2aでは、被検物面P0の任意の3点から射出した光線が描かれているが、ここでは、色収差レンズ11の光軸と一致する位置(中央の点)から射出した光線について説明する。ただし、他の2つの位置から射出される光線についても同様に考えることができる。
【0048】
被検物面P0の色収差レンズ11の光軸と一致する位置から射出した光線r1,r2,r3,r4,r5は、色収差レンズ11を通過後、色収差レンズ11の光軸と一致するML上の1点に集光し(MLの光軸と一致)、MLのレンズ作用によって撮像素子13の撮像面に結像する。すなわち、撮像素子13の撮像面では、1つのML領域内の画素が撮像面の縦方向に並ぶ5つの画素ai,bi,ci,di,eiであると仮定すると、光線r1,r2,r3,r4,r5は、画素ai,bi,ci,di,eiにそれぞれ受光され、ai,bi,ci,di,eiの画素信号となる。ただし、iは光軸と垂直な撮像素子13の撮像面内のML領域におけるY方向の座標を意味する。
【0049】
従って、色収差レンズ11からの光線がMLA12上で結ばれる場合の結像面(Z=0)での各画像信号は、これらの和となる。すなわち、画像信号の信号強度をLとすれば、L(i)は下記の式(1)で求めることができる。
【0050】
L(i)=(ai+bi+ci+di+ei) ・・・(1)
【0051】
なお、実際には、ML領域については2次元的に考える必要があるので、Y方向以外のX方向についても考える必要があるが、ここでは説明を簡略化するためにY方向についてのみ述べる。
【0052】
図2bは、被検物面P0よりも色収差レンズ11に近いレンズ側の被検物面P1からの光線図である。
【0053】
被検物面P1の色収差レンズ11の光軸と一致する位置から射出した光線r1,r2,r3,r4,r5は、色収差レンズ11を通過後、一点には集光せず、その後、そのまま各MLに入射する。MLに入射した各光線は、MLのレンズ作用によって撮像素子13の撮像面に結像する。すなわち、色収差レンズ11からの光線がMLA12上で結ばれず、結像面が各MLの表面からずれた位置となる場合、各光線は1つのML領域内に収まらず、複数のML領域内の各画素にそれぞれ受光される。この場合、画像信号の信号強度(L)は、下記の式(2)から求めることができる。
【0054】
L(i)=(ai+2+bi+1+ci+di-1+ei-2) ・・・(2)
【0055】
すなわち、被検物Pの焦点位置より内側の被検物面P1の場合、撮像素子13の撮像面上では、光線r1,r2,r3,r4,r5は、光軸方向に収束している。
【0056】
図2cは、被検物面P0よりも色収差レンズ11から遠い物体側の被検物面P-1からの光線図である。
【0057】
被検物面P-1の色収差レンズ11の光軸と一致する位置から射出した光線r1,r2,r3,r4,r5は、色収差レンズ11を通過後、MLA12の手前の一点に集光し、その後、各MLに入射する。MLに入射した各光線は、MLのレンズ作用によって撮像素子13の撮像面に結像する。この場合、画像信号の信号強度(L)は、下記の式(3)から求めることができる。
【0058】
L(i)=(ai-2+bi-1+ci+di+1+ei+2) ・・・(3)
【0059】
すなわち、被検物Pの焦点位置より外側の被検物面P-1の場合、光線r1,r2,r3,r4,r5は、MLA12の手前の一点に集光し、撮像素子13の撮像面上では、光軸方向から外側に広がっている。
【0060】
以上、図2aないし図2cに示したように、MLA色収差系において、被検物面からの光線は、所定の軸上色収差を有する色収差レンズを通過後、MLA12を構成する各ML上で結像され、その背後に配置された撮像素子13によって方向別の画像信号として検出される。そして、それらの画像信号を光線の方向別に再構成することによって、焦点の異なる複数の画像である焦点画像Imが得られる。
【0061】
次に、図3を参照して、MLA色収差系において、色収差レンズ11の色収差により得られる複数の焦点画像(以下、焦点画像Ic1という)の取得の原理について説明する。
【0062】
先に説明した図2においては、被検物Pの被検物面P0,P1,P2から射出される光線は、複数のMLにより得られる複数の焦点画像Imの取得の原理を説明するために、主波長λ0による光線だけを図示していた。しかし、実際には、図1の形状測定装置の構成でも説明したように、撮像素子13の撮像面には、R色光、G色光、及びB色光などの異なる複数の波長(色)を有する光による色別反射像が結像される。
【0063】
図3には、R色光、G色光、及びB色光による被検物Pの色別反射像が撮像素子13の撮像面に結像する様子を示している。
【0064】
なお、図3以降の説明では、R色(赤色)光の波長をλ0、G色(緑色)光の波長をλ1、B色(青色)光の波長をλ2で表し、それらの波長は、λ2<λ1<λ0の関係を有する。また、それらの波長による光線を図示する場合には、R色光を実線、G色光を一点鎖線、B色光を点線によって、それぞれ表す。
【0065】
図3においては、波長λ0のR色光、波長λ1のG色光、及び波長λ2のB色光の異なる波長の3色の光を用いた場合、図中右側のMLA12のML上と、撮像素子13の撮像面上では同じ位置に結像する光線が、図中左側の被検物P側では、色収差の影響により波長ごとに異なる位置で焦点を結んでいる。
【0066】
すなわち、最も波長の長いR色光の被検物面P(λ0)が最も色収差レンズ11と離れた位置となり、その次に波長の長いG色光の被検物面P(λ1)が、被検物面P(λ0)よりも色収差レンズ11と近い位置となり、最も波長の短いB色光の被検物面P(λ2)が被検物面P(λ1)よりもさらに色収差レンズ11と近い位置となる。つまり、主波長λ0以外の波長λ1,λ2についても考慮すると、色収差によって、それらの波長λ0,λ1,λ2ごとに異なる焦点位置(被検物面P(λ0),P(λ1),P(λ2))となる。
【0067】
なお、色収差を用いて複数の焦点画像Ic1を取得する場合、図2で説明した焦点画像Imの取得の場合とは異なり、波長によって色収差レンズ11の焦点距離fが変化するため、像の倍率が変化することになる。よって、撮像素子13の撮像面上の画素の位置がシフトすることを考慮して、画像を再構成する画像処理を実行する必要がある。
【0068】
以上、図3に示したように、MLA色収差系において、波長λ0,波長λ1,波長λ2の各光線は、色収差レンズ11の色収差分だけ、異なる位置に像を結ぶので、異なる焦点距離fを有するレンズによって結像された像と見なすことができる。これにより、焦点の異なる複数の画像である焦点画像Ic1が得られる。
【0069】
そうすると、図2及び図3を参照して説明したように、図1の形状測定装置では、MLA12を構成する複数のMLと、色収差の両方の作用により、異なる焦点を有する複数の焦点画像(以下、焦点画像Im,Ic1という)が得られる。その取得の原理を光線図により図示すると、図4に示すようになる。
【0070】
すなわち、図4には、波長λ0、波長λ1、及び波長λ2の異なる3色の波長による色収差によって3段階の焦点差が得られ、複数のMLによって被検物面P1と被検物面P2の2段階の焦点差が得られる様子が図示されている。
【0071】
図4aは、被検物面P1と被検物面P2上の色収差レンズ11の光軸と一致した位置から射出した光線による複数の焦点の形成の様子を図示している。上述したように、被検物面P1からの光線は、色収差レンズ11を通過後、MLA12の手前の一点に集光し、その後、各MLに入射するが、色収差の影響によって、波長λ0、波長λ1、及び波長λ2のRGBの3波長ごとに、被検物面P1(λ0)、被検物面P1(λ1)、被検物面P1(λ2)の異なる位置でそれぞれ焦点を結んでいる。
【0072】
また、被検物面P1よりも色収差レンズ11に近い被検物面P2からの光線は、色収差レンズ11を通過後MLA12上で結ばれるが、色収差の影響によって被検物面P1と同様に、RGBの3波長ごとに被検物面P2(λ0)、被検物面P2(λ1)、被検物面P2(λ2)の異なる位置でそれぞれ焦点を結んでいる。
【0073】
図4bは、被検物面P1と被検物面P2上の色収差レンズ11の光軸とは異なる位置から射出した光線による複数の焦点の形成の様子が図示されている。被検物面P1からの光線は、図4aの被検物面P1からの光線と同様に、RGBの3波長ごとに被検物面P1(λ0)、被検物面P1(λ1)、被検物面P1(λ2)の異なる位置でそれぞれ焦点を結ぶ。また、被検物面P2からの光線は、図4aの被検物面P2からの光線と同様に、RGBの3波長ごとに被検物面P2(λ0)、被検物面P2(λ1)、被検物面P2(λ2)の異なる位置でそれぞれ焦点を結ぶ。
【0074】
このように、図4のMLA色収差系においては、色収差によって、波長λ0、波長λ1、及び波長λ2の異なる3色の波長による3段階の焦点差が得られ、MLA12の複数のMLによって被検物面P1と被検物面P2の2段階の焦点差が得られる。従って、図4の例では、P1(λ0),P1(λ1),P1(λ2),P2(λ0),P2(λ1),P2(λ2)の6つの焦点位置を取得し、それらの焦点における焦点画像Im,Ic1を生成することが可能となる。
【0075】
また、図4では、設定により色収差の量を少なくすることで、同一被検物面における波長λ0,波長λ1,波長λ2を被検物面ごとに繰り返し取得する例について説明したが、この色収差の量が大きくなるように設定を変更して、波長λ0,波長λ1,波長λ2の間隔を大きくすることで、異なる被検物面の同一の波長が連続するように、P1(λ0),P2(λ0),P1(λ1),P2(λ1),P1(λ2),P2(λ2)の順で取得するようにしてもよい。
【0076】
なお、図4では、3波長による3段階の焦点差と、被検物面P1と被検物面P2による2段階の焦点差が得られる例について説明したが、波長の数を増やしたり、MLの数を増やしたりすることで、それらの焦点差の数を増やすことができる。つまり、焦点差の数を増やせるということは、焦点画像Im,Ic1の数も増やせることを意味する。
【0077】
すなわち、いずれの場合でも、MLA12の複数のMLにより得られる焦点の数をNm、色収差により得られる焦点の数をNcとすれば、上記の構成を採用することで、Nm×Nc枚の異なる焦点を有する焦点画像Im,Ic1が得られることになる。そして、第1の実施の形態では、このようにして取得されるNm×Nc枚の焦点画像Im,Ic1を用いて、被検物Pの3次元の形状を測定する処理を行う。
【0078】
次に、図5のフローチャートを参照して、図1の形状測定装置によって実行される、3次元形状測定処理について説明する。
【0079】
画像処理部14は、ステップS11において、撮像素子13から出力される画像信号を取得し、複数の焦点画像Im,Ic1を生成する。具体的には、図4等を参照して説明したように、MLA12を構成する複数のMLと、色収差の両方の作用によって、異なる焦点を有する複数の焦点画像Im,Ic1が得られる。
【0080】
ステップS12において、画像処理部14は、測定の信号処理を行う。具体的には、画像処理部14は、例えば、多焦点逐次処理法などのエッジ処理によって被検物Pの各エッジ座標(X,Y)位置でのZを求める。
【0081】
ここでは、多焦点逐次処理におけるエッジ処理として、フーリエ変換(ウェーブレット変換)法を用いた場合を一例にして説明する。
【0082】
すなわち、ステップS11の処理によって得られるNm×Nc枚の焦点画像Im,Ic1が形成された後、一般的に広く用いられているSFF(Shape From Focus)と同様の処理によって、各々の画像の同じ画素エリアの位置において、フォーカス情報を検出することができる。なお、SFFとは、撮像装置と試料とを撮像装置の測定光軸方向へ相対的に移動させつつ、撮像装置によって試料を撮像し、上記光軸方向の異なった位置に焦点の合った複数の画像を得て、これらの画像に基づいて試料の立体形状を求めるものである。
【0083】
ステップS12の処理では、焦点位置の異なる複数の被検物面(図4の例では、・・・,P1(λ0),P1(λ1),P1(λ2),P2(λ0),P2(λ1),P2(λ2)・・・)の画像群である焦点画像Im,Ic1について、それぞれFFT(Fast Fourier Transform)により画像信号をフーリエ変換(又はウェーブレット変換)し、空間周波数空間内(フーリエ面上)で高周波成分のみをハイパスフィルタ(High Pass Filter)にて抽出した後、逆フーリエ変換(又は逆ウェーブレット変換)する。
【0084】
この処理によって、ほぼエッジ(輪郭)部分のみの画像となる。次に、これらの画像でエッジのある各点の位置(X,Y)に着目して、複数の被検物面(・・・,P1(λ0),P1(λ1),P1(λ2),P2(λ0),P2(λ1),P2(λ2)・・・)の画像群である焦点画像Im,Ic1の中から、最もエッジの鋭い(傾き成分の最も高い)画像をベストフォーカス(Z)として選択する。
【0085】
そして、画像処理部14は、ステップS13において、距離測定の処理を行い、ステップS14において、被検物Pの3次元形状を測定して、処理は終了する。
【0086】
具体的には、画像処理部14によって、ステップS12の処理によって求められた、被検物Pの各エッジ座標(X,Y)の位置でのZ座標を用いた距離測定が行われる。この距離測定にはいくつかの方法があるが、例えば、以下の方法によって求めることができる。
【0087】
ここで、色収差レンズ11と撮像素子13の撮像面の間隔a(以下、レンズ位置aともいう)と、色収差レンズ11の焦点距離fから、下記の式(4)のガウスの公式により、被検物Pの表面の測定点までの距離bを求めることができる。
【0088】
1/b=1/f−1/a・・・(4)
【0089】
図1の形状測定装置による測定では、上記の機構的に決まるレンズ位置aとは別に、MLA12を通した撮像素子13の撮像面上の画像信号を組み換え、加算することにより、仮想的にレンズと撮像面との間隔a1,a2,a3,・・・,anを構築する。これらの値を、式(4)に代入して得られる値b(距離b)の値列が、複数の被検物面(・・・,P1(λ0),P1(λ1),P1(λ2),P2(λ0),P2(λ1),P2(λ2)・・・)の位置となる。
【0090】
すなわち、被検物面の位置の値は、式(4)に基づき、色収差レンズ11と撮像素子13の撮像面との間隔a、又は色収差レンズ11と仮想的な焦点面との間隔(a1,a2,a3,・・・,an)によって一義的に決まる。
【0091】
したがって、被検物Pの各エッジ座標(X,Y)の位置でのZ座標である焦点面の位置(撮像素子13の撮像面上にある場合も含む(すなわち、a1,a2,a3,・・・,an))を定めれば、その位置に焦点が合うべき被検物Pの部位の位置がわかり、その部位までの距離bが式(4)を用いて求めることができる。その結果、求めた距離bの値と撮像素子13から出力される2次元画像の座標(X,Y)情報と合わせて、被検物Pの上記部分の座標(X,Y,Z)、すなわち、3次元の空間座標を決定することができる。
【0092】
以上のように、図1の形状測定装置においては、画像処理部14によって、Nm×Nc枚の焦点画像Im,Ic1を用いた信号処理が行われ、それにより得られる被検物Pの各エッジ座標(X,Y)位置でのZ座標から、被検物Pの表面の座標(X,Y,Z)、すなわち、3次元形状が測定される。
【0093】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0094】
図6は、本発明を適用した形状測定装置の一実施の形態の他の構成を示す図である。
【0095】
図6において、図1と対応する箇所には同一の符号が付してあり、その説明は省略する。すなわち、図6aないし図6cは、上述した図1a(第1の構成)ないし図1c(第3の構成)にそれぞれ対応しており、それぞれの構成において新たに撮像素子31が設けられ、撮像素子が撮像素子13と撮像素子31の2系統となっている。
【0096】
図6aに示すように、第1の構成では、照明系の反射ミラー18の代わりに、ハーフミラー32が設けられ、そのハーフミラー32の背後に、撮像素子31が配置される。従って、ハーフミラー32は、透過パターン17の開口部を通過した照明光を反射させて90度向きを変えるとともに、色収差レンズ11を通過した後、ハーフミラー19により反射された被検物Pの表面の反射光を透過し、撮像素子31の撮像面に結像させる。
【0097】
撮像素子31の撮像面で結像した反射光は、その撮像面上に形成された画素エリアの各受光部において受光され、撮像素子13の出力と同様に画像処理部14に出力される。
【0098】
画像処理部14には、上述した撮像素子13から出力される画像信号の他に、撮像素子31から出力される画像信号が入力される。画像処理部14は、それらの画像信号に基づいて、被検物Pの3次元形状測定処理を実行し、被検物Pの形状を測定する。
【0099】
なお、図6b、図6cにおいても同様に、色収差レンズ11とMLA12との間に配置されたハーフミラー33によって、色収差レンズ11を通過した後の被検物Pの表面の反射光が反射され、撮像素子31の撮像面に結像される。
【0100】
以上のように、図6の形状測定装置においては、図1の形状測定装置と同様に、撮像素子13の出力から複数の焦点画像Im,Ic1が取得されるとともに、撮像素子31の撮像面には、色収差によって、R色光、G色光、及びB色光などの異なる複数の波長(色)を有する光による色別反射像が結像されるので、撮像素子31の出力から異なる焦点を有する複数の焦点画像(以下、焦点画像Ic2という)が取得される。
【0101】
なお、上述した第1の実施の形態では、焦点画像Im,Ic1を取得するためのMLA色収差系について説明したが、第2の実施の形態では、焦点画像Im,Ic1の他に焦点画像Ic2も取得するので、この焦点画像Ic2を取得するための色収差レンズ11及び撮像素子31を、MLA色収差系と区別するために色収差系と称して説明する。
【0102】
図7は、図6の形状測定装置におけるMLA色収差系と色収差系の詳細な構成を示す図である。
【0103】
図7aには、MLA色収差系の構成が示されており、上述したように、パターンが投影された被検物Pから射出した光線は、色収差レンズ11とMLA12を通過した後、撮像素子13の撮像面に結像する。なお、図7aのMLA色収差系では、R色光、G色光、及びB色光による色収差の例を述べているため、撮像素子13の撮像面として、RGBに対応するR面、G面、B面の3つの面が描かれている。
【0104】
このMLA色収差系においては、RGBの3波長の色収差による焦点差と、MLA12を構成する複数のMLによる焦点差によって求められる複数の焦点画像Im,Ic1が得られることになる。
【0105】
一方、図7bには、色収差系の構成が示されており、上述したように、パターンが投影された被検物Pから射出した光線は、色収差レンズ11を通過した後、撮像素子31の撮像面に結像する。図7bの色収差系においても、図7aのMLA色収差系と同様に、RGBに対応するR面、G面、B面の3つの面が描かれている。
【0106】
この色収差系においては、RBGの3波長の色収差による焦点差によって求められる複数の焦点画像Ic2が得られることになる。
【0107】
このようにして得られる、MLA色収差系の焦点画像Im,Ic1と、色収差系の焦点画像Ic2であるが、その取得方法が異なっているため、3次元方向に異なる分解能を有する画像となっている。ここでは、MLA色収差系の撮像素子13(図7a)と、色収差系の撮像素子31(図7b)の画素数が共に、水平3,000画素×垂直2,000画素の総画素数600万画素である場合を例にして、焦点画像Im,Ic1と焦点画像Ic2の分解能の違いについて説明する。
【0108】
例えば、図7aのMLA色収差系において1つのML領域毎に10×10画素ずつの画素が必要であるとすると、MLA色収差系の空間分解能(XY分解能)は、300×200画素となる。一方、図7bの色収差系では、MLについて考慮する必要がないので、その空間分解能(XY分解能)は3,000×2,000画素のままとなる。つまり、XY分解能についてだけ考えると、MLA色収差系よりも、色収差系のほうが高い分解能を有している。
【0109】
また、高さ方向の分解能(Z分解能)について考えると、MLA色収差系では、複数のMLと色収差の両方の作用によって多数の焦点画像Im,Ic1が得られるため十分な分解能を持つが、色収差系では、色収差の作用による焦点画像Ic2が得られるだけとなり、十分な分解能を有しているとは言えない。
【0110】
このように、MLA色収差系では、XY分解能は低くなるが、Z分解能は高くなる。逆に、色収差系ではXY分解能は高いが、Z分解能は低くなる。この両者の特性を踏まえると、Z方向の分解能をMLA色収差系とし、XY方向の分解能を色収差系とすることができれば、XYZ方向の全ての分解能を上げることができる。
【0111】
そこで、図6の形状測定装置では、XY分解能は低いが多数を取得できる焦点画像Im,Ic1から得られる被検物Pの形状のZ方向に関する情報を、XY分解能は高いが少数しか取得できない焦点画像Ic2から得られる被検物Pの形状のZ方向に関する情報の補正情報として用いた、3次元形状測定処理を実行する。
【0112】
次に、図8のフローチャートを参照して、図6の形状測定装置により実行される3次元形状測定処理について説明する。
【0113】
ステップS31において、画像処理部14は、MLA色収差系の撮像素子13から出力される画像信号に基づいて、MLA色収差系におけるRGBの3波長の色収差とMLA12の複数のMLの両方の作用によって得られる複数の焦点画像Im,Ic1を生成する。
【0114】
例えば、上述した図7では、撮像素子13の総画素数が3,000×2,000画素であって、MLA色収差系の1つのML領域が10×10画素であるので、ML領域の数は、300×200個となる。つまり、この焦点画像Im,Ic1は、XY分解能の低い画像となる。
【0115】
ステップS32において、画像処理部14は、複数の焦点画像Imに基づいて、被検物Pの表面の3次元座標(X,Y,Z)を求める。複数の焦点画像Imから被検物Pの3次元形状を求める処理は、上述した図5の3次元形状測定処理と同じであるので、その説明は省略する。
【0116】
ステップS33において、画像処理部14は、ステップS32の処理で求められた被検物Pの表面のZ座標に対する、複数の焦点画像Ic1から得られるRGBの3波長の各信号強度(信号強度の比率)を、フォーカス評価値として、キャリブレーションテーブルに登録する。
【0117】
RGBの3波長のフォーカス評価値を図示すると、例えば、次のようになる。すなわち、図9には、縦軸をフォーカス評価値、横軸をZ(物体距離)とした場合において、RGBの3波長の色収差によるZに対するフォーカス評価値の変化をグラフ化したものが示されている。フォーカス評価値は、0から1の間の値であり、その値が1のとき焦点が合っていることを意味し、1から離れるにしたがってぼけることを意味する
【0118】
図9では、三角の点を結んだ曲線は波長λ0のR色光、四角の点を結んだ曲線は波長λ1のG色光、菱形の点を結んだ曲線は波長λ2のB色光をそれぞれ表している。フォーカス評価値の最大値が最も大きいのがG色光の曲線(中央の曲線)であり、その次に最大値の大きいのがR色光の曲線(右側の曲線)であり、最大値が最も小さいのがB色光の曲線(左側の曲線)である。
【0119】
このRGBの色収差によるフォーカス評価値の変化と、MLA12を構成する複数のMLによる焦点位置との関係を図示すると、例えば、次のようになる。
【0120】
すなわち、図10では、図9と同様に、RGBの3波長の色収差によるフォーカス評価値の変化をグラフ化しているので、そのスケールは異なっているが、波長λ0のR色光(右側の曲線)、波長λ1のG色光(中央の曲線)、波長λ2のB色光(左側の曲線)は、図9に対応している。つまり、図10は、図9の横軸のZに着目した場合に、フォーカス評価値が得られる波長の曲線が2つ以上ある範囲を抜き出したものである。
【0121】
また、図10には、MLA12を構成する複数のMLによる焦点位置、すなわち、焦点画像Imから求められた被検物Pの表面のZ座標が、横軸のZの値に対応するように図中の縦方向の点線で描かれている。図10では、この焦点位置として、Z-4,Z-3,Z-2,Z-1,Z-0,Z1,Z2,Z3,Z4,Z5,Z6が記述されている。
【0122】
図10に示すように、Z-4ないしZ4の範囲では、R色光、G色光、及びB色光の3つの波長の光からフォーカス評価値が求められ、Z-4ないしZ6の範囲では、Z5ないしZ6の範囲でのB色光のフォーカス評価値を得ることができないため、R色光及びG色光の2つの波長の光からフォーカス評価値が求められる。
【0123】
図10では、Z-4ないしZ4の範囲において、R色光、G色光、及びB色光の3つの波長により、3つのピークを持っている変化の急峻な波形が得られることになる。つまり、この波形の変化率が大きいということは、焦点深度が浅くなることを意味しており、図10のRGBの3波長を用いることで、測定の精度が高くなる。従って、波長の数が多いほど、精度の高い測定ができるとも言える。
【0124】
また、仮に、RGBのいずれかの単色のみ(単一波長)での検出について考えると、十分なフォーカス評価値を得ることができるのは、R色光ではZ1ないしZ6の範囲、G色光ではZ-2ないしZ2の範囲、B色光ではZ-4ないしZ-1の範囲だけとなる。つまり、色(波長)の数が多いほど(少なくとも2波長以上)、広い範囲の測定ができることを意味する。
【0125】
なお、色収差系の場合には、高さ方向(Z方向)の正確な値を求めるために規格化を行う必要が出てくる。すなわち、仮に、複数のMLを用いないで、色収差だけでフォーカス評価値を考える場合、RGBのフォーカス信号のそれぞれの差分等の信号強度の関係から、Z方向の距離測定は可能となるが、一般的に、それらの信号強度は、被検物Pの分光特性に依存するために、RGBの信号強度の比からZ方向の距離測定を実行する場合には、信号強度の最大値を一致するように規格化してからでないと、測定を実行することは困難である。一方、本発明では、MLA12を配置することで、複数のMLによって得られる多数の焦点の中からピークがどこにあるかを求めているので、RGBのそれぞれの信号強度の最大値が分かればよく、信号強度の最大値を揃える必要がないため、複数のMLを用いない色収差系の場合のように規格化する必要がない。
【0126】
すなわち、第2の実施の形態では、図9に示すRGBのフォーカス評価値を規格化せずに、そのまま用いることができる。
【0127】
そして、図10に示している、被検物Pの表面のZ座標に対するRGBの3波長のフォーカス評価値は、キャリブレーションテーブルに登録される。
【0128】
キャリブレーションテーブルは、RGBの3波長の信号強度の比率を示すフォーカス評価値と、被検物Pの表面のZ座標とを関連付けて格納しており、その格納された情報は、図10のグラフの値(被検物Pの表面のZ座標に対するRGBの3波長のフォーカス評価値)に対応している。
【0129】
図11は、キャリブレーションテーブルの一例を示す図である。
【0130】
図11においては、gR,gG,gBが、それぞれ、R色光、G色光、B色光のフォーカス評価値を表しており、図10に示したRGBの3色の波長からフォーカス評価値を得られるZ-4ないしZ4の範囲の値が示されている。
【0131】
すなわち、キャリブレーションテーブルには、Z-4のフォーカス評価値(gR,gG,gB)として、(0.05,0.08,0.2)が登録される。同様に、Z-3には(0.05,0.1,0.7)、Z-2には(0.08,0.3,0.6)、Z-1には(0.1,0.7,0.2)、Z0には(0.1,1.0,0.1)、Z1には(0.2,0.7,0.05)、Z2には(0.6,0.3,0.02)、Z3には(0.8,0.1,0.01)、Z4には(0.8,0.08,0.01)のフォーカス評価値がそれぞれ登録される。
【0132】
なお、RGBの3色の波長ではなく、R,Gの2波長の色収差による測定を行う場合、キャリブレーションテーブルには、gR,gGの値だけが登録される。つまり、キャリブレーションテーブルには、波長の数に応じたフォーカス評価値が登録される。
【0133】
以上のようにして、例えば、300×200個の各ML領域ごとに、被検物Pの表面のZ座標に対するRGBの3波長のフォーカス評価値が求められ、キャリブレーションテーブルに登録される。
【0134】
なお、フォーカス評価値、つまり、RGBの3波長の各信号強度の特性には、次の図12ないし図14の光線図に示すような関係がある。
【0135】
図12は、被検物Pの位置がZ0にあるときの各波長毎の撮像素子13の撮像面上の画像信号の強度分布を示している。図12ではG色光の波長λ1を基準波長とした場合におけるR色光の波長λ0,B色光の波長λ2の信号強度を示しており、図12aはG色光の波長λ1による信号強度、図12bはB色光の波長λ2による信号強度、図12cはR色光の波長λ0による信号強度をそれぞれ示している。
【0136】
図12aないし図12cにおいては、Z0に位置する被検物Pの任意の3点から射出した光線が描かれている。被検物P上の3点から射出した光線は、色収差レンズ11を通過後、MLに入射し、撮像素子13の撮像面に結像する。また、撮像素子13の撮像面で受光された画像信号の強度分布は、撮像素子13の図中右側に示されている。すなわち、撮像素子13の右側には、3つのML領域が描かれており、それらのML領域は縦方向の5個の画素(図中の縦方向に並んだ5つの正方形)からなる。そして、それらの画素を示す5つの正方形の右側には、各画素により受光された画像信号の信号強度を表す四角が描かれている(この四角の横方向の幅が大きいほど、信号強度が大きいことを意味する)。このとき、色収差レンズ11からの光線がMLA12の各ML上で結ばれる場合の結像面(Z=0)での画像信号の信号強度Lは、図中の縦方向に並ぶ5つの画素を、ai,bi,ci,di,eiとすれば、図2aで説明した場合と同様に、上記の式(1)、つまり、L(i)=(ai+bi+ci+di+ei)により求められる。なお、これらの関係は、後述する図13及び図14でも基本的に同様とされる。
【0137】
ここで、図12aのG色光の波長λ1による信号強度、図12bのB色光の波長λ2による信号強度、及び図12cはR色光の波長λ0による信号強度を見てみると、ML領域で受光された画像信号の信号強度は、基準波長であるG色光の波長λ1が最も大きく、次に大きくなるのがR色光の波長λ0、そして、B色光の波長λ2が最も小さくなる。
【0138】
すなわち、R色光の波長λ0、B色光の波長λ2の場合、色収差の影響によって、G色光の波長λ1とは異なる結像位置に像を結ぶため、それらの波長から得られる信号強度L(i)の値は、波長λ1による値よりも小さくなる。
【0139】
図13には、Z1(図12のZ0よりレンズ側)に位置する被検物Pの任意の3点から射出した光線が描かれている。
【0140】
図13において、図12と同様に、図13aのG色光の波長λ1、図13bのB色光の波長λ2、及び図13cのR色光の波長λ0のそれぞれによる信号強度を見てみると、被検物Pがレンズ側にあるために短い波長側で焦点が合うので、信号強度は、強い順に、波長λ2、波長λ1、波長λ0となる。
【0141】
また、図14には、Z-1(図12のZ0より物体側)に位置する被検物Pの任意の3点から射出した光線が描かれている。
【0142】
図14において、図12と同様に、図14aのG色光の波長λ1、図14bのB色光の波長λ2、及び図14cのR色光の波長λ0のそれぞれによる信号強度を見てみると、被検物Pが物体側にあるために長い波長側で焦点が合うので、信号強度は、強い順に、波長λ0、波長λ1、波長λ2となる。
【0143】
このように、RGBの3波長の各信号強度は、図12ないし図14の3つの位置(Z0,Z-1,Z1)で説明したように、被検物Pの位置によって変わることがある。従って、図10及び図11においては、図12ないし図14で示したRGBの3波長の信号強度の特性を考慮して、Z-4ないしZ4の範囲でのRGBの3波長のフォーカス評価値が求められ、キャリブレーションテーブルに登録されることになる。
【0144】
図8のフローチャートに戻り、ステップS34において、画像処理部14は、色収差系の撮像素子31から出力される画像信号に基づいて、色収差系におけるRGBの3波長の色収差の作用によって得られる複数の焦点画像Ic2を生成する。
【0145】
例えば、上述した図7では、撮像素子31の総画素数が3,000×2,000画素であるので、3,000×2,000画素の焦点画像Ic2が得られる。つまり、この焦点画像Ic2は十分に高いXY分解能を有している。
【0146】
ステップS35において、画像処理部14は、複数の焦点画像Ic2から得られるフォーカス評価値を用いて、キャリブレーションテーブルから被検物Pの表面のZ座標を求めることで、被検物Pの3次元形状を測定する。
【0147】
すなわち、色収差系の焦点画像Ic2から得られる被検物Pの表面の3次元座標(X,Y,Z)は、XY分解能は高いものの、Z分解能は低くなるので、図11のキャリブレーションテーブルによって対応付けられるMLA色収差系の焦点画像Im,Ic1から得られた高い分解能を有するZ座標を、より高精度な被検物Pの表面のZ座標として求める。
【0148】
具体的には、色収差系による焦点画像Ic2から求められる座標Zに対するRGBの3波長の各信号強度(フォーカス評価値)を、それぞれ、fR,fG,fBとすると、図11のキャリブレーションテーブルに格納されているRGBの3波長のフォーカス評価値は、それぞれ、gR(i),gG(i),gB(i)となるので、それらの評価値の相関値は、例えば、下記の式(5)により求められる。
【0149】
SAD(i)=(|fR−gR(i)|+|fG−gG(i)|+|fB−gB(i)|) ・・・(5)
【0150】
なお、式(5)は、SAD(sum of absolute difference)法を用いたものであるが、これ以外の相関法を用いることも可能である。
【0151】
そして、SAD(i)の値が最小となるときのiを求め、それにより得られる座標Ziを求める。このSAD(i)とZiとの関係をグラフ化すると、例えば、図15のように表すことができる。
【0152】
図15には、式(5)から求められるSAD(i)の値を縦軸とし、Ziを横軸とした場合において、式(5)に対して、焦点画像Ic2から求められるフォーカス評価値fR,fG,fBと、図11のキャリブレーションテーブルに登録されたフォーカス評価値gR(i),gG(i),gB(i)にi=−4〜6を代入することで得られるSAD(−4)ないしSAD(6)の値を結んだ曲線を示している。
【0153】
図15の例の場合、SAD(0)の場合にSAD(i)の値が最小となる、すなわち、色収差系によるフォーカス評価値fR,fG,fBの組み合わせは、MLA色収差系によるフォーカス評価値gR(0),gG(0),gB(0)の組み合わせに最も近いので、Z0が被検物Pの表面のZ座標として求められる。
【0154】
具体的には、色収差系の焦点画像Ic2の3,000×2,000画素の全ての画素について、MLA色収差系のML領域に対応する10×10画素ごとに、キャリブレーションテーブルに登録されているMLA色収差系によるフォーカス評価値gR(i),gG(i),gB(i)(300×200個の各ML領域ごとに登録されているRGBの3波長のフォーカス評価値)の参照先を順次変更しながら、色収差系によるフォーカス評価値fR,fG,fBとの相関値を求め、最も相関の高いMLA色収差系によるフォーカス評価値に対応する被検物PのZ座標を求める。従って、このようにして求められるZ座標は高い分解能を有する。例えば、上述した図9のグラフにおいて、色収差系によるRGBの3波長のフォーカス評価値fR,fG,fBがR,G,B色光の曲線上の黒丸の点であったとすると、被検物PのZ座標は、図中の矢印の位置(物体距離(Z))と求められる。
【0155】
すなわち、図6の形状測定装置は、XY分解能は低いが多数を取得できる焦点画像Im,Ic1から得られる被検物Pの形状のZ方向に関する情報を、XY分解能は高いが少数しか取得できない焦点画像Ic2から得られる被検物Pの形状のZ方向に関する情報の補正情報として用いて、3次元形状測定処理を実行し、XYZの3方向のすべて方向において高い精度で被検物Pの形状を測定できる。
【0156】
なお、これまで説明した第2の実施の形態において、図6aのパターン投影法を用いる場合は別途注意が必要である。つまり、撮像されるパターンの画像は、色収差系の場合は、例えば3,000×2,000画素の高い解像度を有するが、MLA色収差系では、300×200画素という低解像度の画像しか得られない。しかし、どちらも同じパターンを撮像するので、色収差系用と、MLA色収差系用とで両方の解像に適するパターン(テキスチャ)を用意する必要がある。図16には、そのパターンの一例を示している。図16においては、大きな白黒のマス目がMLA色収差系用となり、その中の小さな白黒の点が色収差系用となる。これらのパターンを用いて、先述した処理が実行される。
【0157】
以上のようにして、図6の形状測定装置による3次元形状測定処理が行われる。
【0158】
このように、本発明によれば、高い精度で被検物の形状を測定できる。
【0159】
また、例えば、MLA12のMLの数をNとし、1つのML領域内の画素数をMとすると、撮像素子13に必要となる画素数はM×N画素となる。しかし、実際には、撮像素子13の画素数には制限があるため、Nを大きくすると、各ML領域内の画素数Mが少なくなる。また、Mの数が少ないと、焦点方向の十分な情報(Z分解能)が得られなくなり、また、各MLの口径が極端に小さくなると、光の回折の影響で像がぼやけてしまう。一方、Nの数を少なくすると、焦点画像を形成するための画素数が少なくなり、XY分解能(水平解像度)が得られなくなる。また、各MLの口径が極端に広くなると、焦点面がレンズ焦点面からずれた位置では、撮像素子13の撮像面上で正確な焦点を結ばないことになる。つまり、撮像面でのぼけが生じ、隣接する画素と画像信号が重なり、誤差の要因となる。
【0160】
本発明によって、上記の問題を解決することができる。すなわち、本発明では、色収差を積極的に利用して、異なる焦点の焦点画像を生成する。つまり、複数の異なる波長で撮像される画像は、波長の違いによって、焦点距離fが変わるため、焦点位置の異なる焦点画像となる。これによって、適切なN(MLA12のMLの数)を設定し、焦点画像の数を多数に増やすことができる。また、色収差の像を撮像素子固有の高い分解能を保ったままに、像を捕えることにより、3次元形状測定において重要となる、水平分解能と高さ(奥行き)方向の分解能の両立が実現できる。
【0161】
なお、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、又は、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等に、記録媒体からインストールされる。
【0162】
この記録媒体は、コンピュータとは別に、利用者にプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、若しくは半導体メモリ等により構成されるだけでなく、コンピュータに予め組み込まれた状態で利用者に提供される、プログラムが記録されているハードディスクドライブやROM(Read Only Memory)等で構成される。
【0163】
また、上述した一連の処理を実行させるプログラムは、必要に応じてルータ、モデム等のインタフェースを介して、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線又は無線の通信媒体を介してコンピュータにインストールされるようにしてもよい。
【0164】
なお、本明細書において、記録媒体に格納されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0165】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】本発明を適用した形状測定装置の一実施の形態の構成を示す図である。
【図2】複数のMLの作用によって得られる複数の焦点画像の取得の原理を説明する光線図である。
【図3】色収差の作用によって得られる複数の焦点画像の取得の原理を説明する光線図である。
【図4】複数のMLと色収差の両方の作用により、複数の焦点画像が得られる様子を示す光線図である。
【図5】図1の形状測定装置により実行される3次元形状測定処理について説明するフローチャートである。
【図6】本発明を適用した形状測定装置の一実施の形態の他の構成を示す図である。
【図7】MLA色収差系と、色収差系の詳細な構成を示す図である。
【図8】図6の形状測定装置により実行される3次元形状測定処理について説明するフローチャートである。
【図9】RGBの色収差によるフォーカス評価値の変化を示すグラフである。
【図10】RGBの色収差によるフォーカス評価値の変化と、MLAによる焦点位置との関係を示すグラフである。
【図11】キャリブレーションテーブルの一例を示す図である。
【図12】被検物の位置がZ0にあるときの画像信号の強度分布を示す光線図である。
【図13】被検物の位置がZ1にあるときの画像信号の強度分布を示す光線図である。
【図14】被検物の位置がZ-1にあるときの画像信号の強度分布を示す光線図である。
【図15】SAD値とZとの関係を示すグラフである。
【図16】投影パターンの例を示す図である。
【符号の説明】
【0167】
11 色収差レンズ, 12 MLA, 13 撮像素子, 14 画像処理部, 15 光源, 16 照明レンズ系, 17 透過パターン, 18 反射ミラー, 19 ハーフミラー, 21 RGBリング照明部, 22 カラーフィルタ, 31 撮像素子, 32 ハーフミラー, 33 ハーフミラー, ML マイクロレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色収差を有する色収差レンズと、
前記色収差レンズの背後に配置され、2次元に配列された複数のレンズを有する光学素子と、
前記光学素子の背後に配置された2次元の第1撮像素子と、
前記第1撮像素子の出力から、異なる物体位置に焦点の合った複数の画像を生成する画像生成手段と、
前記の画像に基づいて、被検物の形状を測定する形状測定手段と
を備えることを特徴とする形状測定装置。
【請求項2】
前記画像生成手段は、所定の複数の測定波長毎に、前記第1撮像素子の出力から、異なる物体位置に焦点の合った複数の画像を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の形状測定装置。
【請求項3】
前記色収差レンズが結像する被検物像を撮像する2次元の第2撮像素子をさらに備え、
前記画像処理手段は、前記第2撮像素子の出力から色収差の作用により得られる異なる物体位置に焦点の合った複数の画像を生成し、
前記形状測定手段は、前記第1撮像素子の出力から得られる異なる物体位置に関する情報を、前記第2撮像素子から得られる被検物の情報の物体位置に関する補正情報として用いて前記被検物の形状を測定する
ことを特徴とする請求項1に記載の形状測定装置。
【請求項4】
前記第1撮像素子は、前記色収差レンズの射出瞳と共役である
ことを特徴とする請求項1ないし3に記載の形状測定装置。
【請求項5】
前記光学素子と、前記第2撮像素子とは、光学的に等価な位置に配設される
ことを特徴とする請求項3ないし4に記載の形状測定装置。
【請求項6】
被検物を結像する色収差レンズと、
前記色収差レンズの背後で光路を2つに分割する光路分割器と、
前記光路分割器で分割された光路の一方に配置した光学素子と、
前記光学素子の背後に配置した第1撮像素子と、
前記光路分割器で分割された光路の他方に配置した第2撮像素子と、
前記第1撮像素子と前記第2撮像素子の出力を入力し、前記被検物の形状を測定する形状測定手段と
を備えることを特徴とする形状測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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