説明

後処理装置および中折り冊子の製造方法

【課題】冊子を構成する用紙を一度に折りたたむと用紙を充分に折りたたむことができない場合があり、一枚ずつ折りたたむと生産性の観点において改善の余地があった。
【解決手段】丁合装置12は、複数の給紙トレイの各々から用紙を送り出すことによって、隣接する用紙と互いに一部が重なりながら一列に並ぶ第1のオーバーラップ状態となるよう複数の用紙を重ねる。方向変換装置14は、丁合装置12から搬入された第1のオーバーラップ状態にある複数の用紙を、第1のオーバーラップ状態よりも用紙の最大重なり枚数が少ない第2のオーバーラップ状態に変化させて搬送する。折り装置16は、第2のオーバーラップ状態にある複数の用紙を並び方向と平行に搬送しながらその並び方向と平行なラインで折りたたむ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後処理装置および中折り冊子の製造方法に関し、特に、用紙を折りたたむ後処理装置および中折り冊子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙束の中央を綴じ、綴じ位置にて折りたたむことによって作成される中綴じ折り冊子が知られている。このような中綴じ折り冊子は一般的に折り目周辺の部分が膨らみやすく、冊子の積載や美観の観点からこのような冊子の膨らみ抑制が中綴じ折り装置の大きな課題となっている。ここで、多くの用紙を一度に折りたたむ場合、外側の用紙を充分に折りたたむことができず、これが冊子の膨らみの一因となっている。しかし、用紙を1枚ずつおりたたんだ後に重ね合わせる場合、冊子作成の生産性が低下するおそれがある。このため、一冊分の用紙をその用紙の厚みや枚数に応じて複数枚の用紙に分割して各々を2つ折りし、その後分割した用紙を重ね合わせて綴じる中綴じ折り冊子の作成技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−211865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献に記載される技術では、複数枚の用紙に分割して各々を折りたたんでさらに重ね合わせるために時間がかかるため、生産性の観点において改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、冊子に含まれる各々の用紙を生産性の低下を抑制しつつ適切に折りたたむことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の後処理装置は、隣接する用紙と互いに一部が重なりながら一列に並ぶオーバーラップ状態となるよう複数の用紙を重ねる用紙重ね手段と、オーバーラップ状態にある複数の用紙をその並び方向と平行なラインで折りたたむ折り手段と、を備える。
【0007】
この態様によれば、一冊分の用紙をすべて重ねた状態で折りたたむ場合に比べ、折りたたむときの用紙の重なり枚数を抑制することができる。このため、用紙をより適切に折りたたむことができ、冊子を作成したときの膨らみを抑制することができる。
【0008】
折り手段は、オーバーラップ状態にある複数の用紙をその並び方向と平行に搬送しながら折りたたんでもよい。この態様によれば、停止している複数の用紙を折りたたむ場合に比べ高速で折りたたむことができる。このため、オーバーラップ状態として複数の用紙を折りたたむことによる冊子作成の生産性低下を抑制することができる。
【0009】
用紙重ね手段は、用紙収容部から用紙を送り出すことにより第1のオーバーラップ状態となるよう複数の用紙を重ねて搬送する丁合手段と、丁合手段から搬入された第1のオーバーラップ状態にある複数の用紙を、第1のオーバーラップ状態よりも用紙の最大重なり枚数が少ない第2のオーバーラップ状態に変化させて搬送する用紙搬送手段と、を有してもよい。折り手段は、第2のオーバーラップ状態にある複数の用紙を折りたたんでもよい。
【0010】
用紙収容部からの用紙送り出し速度の高速化には限界がある。このため、用紙収容部から用紙を送り出して最大用紙重なり枚数が少なくなるよう複数の用紙をオーバーラップ状態とした場合、一冊分の用紙が並んだときの長さが長くなり、折り手段への一冊分の用紙の搬出に時間がかかる虞がある。この態様によれば、用紙収容部から用紙を送り出して最大用紙重なり枚数が第2のオーバーラップ状態よりも多い第1のオーバーラップ状態とすることにより、一冊分の用紙が並んだときの長さを短くして用紙の折り手段への搬入時間を抑制することができる。また、その後第1のオーバーラップ状態よりも用紙の最大用紙重なり枚数が少ない第2のオーバーラップ状態に変化させることにより、各々の用紙を適切に折りたたむことができる。
【0011】
用紙搬送手段は、第1のオーバーラップ状態にある複数の用紙を挟持して丁合手段からの搬入速度よりも速い速度で搬出することにより第2のオーバーラップ状態に変化させる用紙加速手段を有してもよい。この態様によれば、第1のオーバーラップ状態にある複数の用紙を簡易に第2のオーバーラップ状態に変化させることができる。
【0012】
用紙搬送手段は、第1のオーバーラップ状態にある複数の用紙を挟持して用紙加速手段に搬出する用紙搬出手段を有してもよい。用紙加速手段および用紙搬出手段の少なくとも一方は、用紙加速手段による挟持位置と用紙搬出手段による挟持位置との間隔を変更可能に設けられてもよい。
【0013】
この態様によれば、例えば用紙のサイズに応じて用紙加速手段による挟持位置と用紙搬出手段による挟持位置との間隔を変更することにより、様々なサイズの用紙を搬送する場合においても、第1のオーバーラップ状態にある複数の用紙を第2のオーバーラップ状態に適切に変化させることができる。
【0014】
丁合手段は、用紙長手方向に一列に並ぶ第1のオーバーラップ状態となるよう複数の用紙を重ねてその並び方向に搬送し、用紙搬送手段は、第1のオーバーラップ状態にある複数の用紙の各々を用紙短手方向に移動するよう搬送方向を変換して搬送することにより第2のオーバーラップ状態に変化させてもよい。この態様によれば、用紙の搬送方向を変換するという簡易な構成によって、第1のオーバーラップ状態にある複数の用紙を第2のオーバーラップ状態に変化させることができる。
【0015】
丁合手段は、一冊の冊子に含ませるべき複数の用紙のうち、単独で折りたたむべき用紙を特定し、特定した用紙が用紙搬送手段にて隣接する用紙との重なりが解除される第1のオーバーラップ状態となるよう複数の用紙を重ねて搬送してもよい。
【0016】
例えば、表紙などは厚紙が用いられる場合があり、このような厚紙は折りたたみにくいため単独で折りたたむことが求められる場合がある。この態様によれば、丁合手段ではこのような用紙もオーバーラップ状態として効率よく用紙を搬送し、折りたたまれる前に単独で折りたたむべき用紙の重なりを解除させることができる。
【0017】
複数の用紙に含まれる用紙のサイズを取得する用紙サイズ取得手段をさらに備えてもよい。用紙重ね手段は、取得した用紙のサイズを利用して、折り手段によって折りたたまれるときの用紙の最大重なり枚数が所定枚数となるよう複数の用紙を重ね合わせてもよい。
【0018】
オーバーラップ状態としたときの用紙の最大用紙重なり枚数は、用紙のサイズや、オーバーラップしている部分の用紙並び方向の長さなどによって変化する。この態様によれば、例えば用紙のサイズに応じてオーバーラップしている部分の用紙並び方向の長さを適切に調整することにより、用紙の最大重なり枚数が所定枚数となるよう複数の用紙を適切に重ね合わせることができる。このとき用紙重ね手段は、取得した用紙のサイズを利用して、折り手段によって折りたたまれるときの用紙の最大重なり枚数が2枚となるよう複数の用紙を重ね合わせてもよい。
【0019】
オーバーラップ状態としたときの複数の用紙の各々の露出部分の画像となるべき基準画像を保持する記憶部と、オーバーラップ状態にある複数の用紙の各々の露出部分の画像を撮像する撮像手段と、オーバーラップ状態にある複数の用紙にエラーが生じたか否かを判定する判定手段と、を備えてもよい。判定手段は、撮像された画像を保持された基準画像と比較することにより、オーバーラップ状態にある複数の用紙にエラーが生じたか否かを判定してもよい。この態様によれば、オーバーラップ状態となっている複数の用紙の露出部分を利用して、その複数の用紙に乱丁や落丁などのエラーが生じているか否かを簡易に判定することができる。
【0020】
本発明の別の態様は、中折り冊子の製造方法である。この方法は、隣接する用紙と互いに一部が重なりながら一列に並ぶオーバーラップ状態となるよう複数の用紙を重ねる工程と、オーバーラップ状態にある複数の用紙をその並び方向と平行なラインで折りたたむ工程と、オーバーラップ状態にある複数の用紙を、隣接する用紙同士が重なる部分を広げるよう揃える工程と、を備える。
【0021】
この態様によれば、一冊分の用紙をすべて重ねた状態で折りたたむ場合に比べ、折りたたむときの用紙の重なり枚数を抑制して中折り冊子を製造することができる。膨らみを抑制した中折り冊子を製造することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、冊子に含まれる各々の用紙を生産性の低下を抑制しつつ適切に折りたたむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1の実施形態に係る製本システムの斜視図である。
【図2】方向変換装置の構成を示す斜視図である。
【図3】第1用紙搬送ユニットの上面図である。
【図4】第1用紙搬送ユニットの正面図である。
【図5】図4に示す状態よりも第2ローラユニットを上流側に移動させたときの第1用紙搬送ユニットの正面図である。
【図6】第2用紙搬送ユニットの構成を示す上面図である。
【図7】第1の実施形態に係る方向変換装置にて、第1のオーバーラップ状態から第2のオーバーラップ状態とするときの隣接する用紙同士の関係を模式的に示す図である。
【図8】折り装置の構成を示す斜視図である。
【図9】図8の断面Pを上流側から見た図である。
【図10】図8の断面Qを上流側から見た図である。
【図11】図8の断面Rを上流側から見た図である。
【図12】図8の断面Sを上流側から見た図である。
【図13】中綴じ装置の構成を示す斜視図である。
【図14】第2の実施形態に係る第1用紙搬送ユニットにて、第1のオーバーラップ状態から第2のオーバーラップ状態とするときの隣接する用紙同士の関係を模式的に示す図である。
【図15】第3の実施形態に係る製本システムにおける用紙の搬送形態を例示する図である。
【図16】第3の実施形態に係る製本システムにおける別の用紙の搬送形態を例示する図である。
【図17】厚紙と普通紙とのオーバーラップ長Xを示す図である。
【図18】第4の実施形態に係る製本システムにおける用紙の搬送形態を例示する図である。
【図19】第4の実施形態に係る製本システムにおける別の用紙の搬送形態を例示する図である。
【図20】第5の実施形態に係る製本システムの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る製本システム10の斜視図である。製本システム10は、丁合装置12、方向変換装置14、折り装置16、中綴じ装置18、小口断裁装置20、天地断裁装置22、およびベルトスタッカ24を備える。製本システム10は、すでに画像が記録された用紙に、丁合、折り、綴じ、断裁などの後処理を施す後処理装置として機能する。
【0026】
製本システム10は、電子制御部(図示せず)をさらに備える。電子制御部は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有する。電子制御部は、各々に設けられたアクチュエータの作動を制御することにより、丁合装置12、方向変換装置14、折り装置16、中綴じ装置18、小口断裁装置20、天地断裁装置22、およびベルトスタッカ24の作動を制御する。
【0027】
製本システム10には、ユーザによって操作入力可能なコントロールパネル(図示せず)が設けられている。コントロールパネルは電子制御部に接続されており、電子制御部は、ユーザによるコントロールパネルへの操作入力を取得する。
【0028】
第1の実施形態では、丁合装置12は3つ設けられている。丁合装置12は、用紙収容部である給紙トレイを複数有する。丁合装置12は、複数の給紙トレイの各々から用紙を給紙しながら用紙を重ね合わせる。丁合装置12のハードウェア構成は公知であるため、その構成についての説明は省略する。折り装置16は、丁合装置12によって重ね合わされた用紙を折りたたむ。
【0029】
ここで、多くの用紙を重ね合わせて一度に折りたたむと、外側の用紙を適切に折りたたむことができず、冊子の膨らみの要因となる。このため、丁合装置12は、複数の給紙トレイの各々から用紙を送り出すことにより、隣接する用紙と互いに一部が重なりながら一列に並ぶ第1のオーバーラップ状態となるよう複数の用紙を重ねてその並び方向に搬送する。折り装置16は、オーバーラップ状態にある複数の用紙を並び方向と平行に搬送しながら、その並び方向と平行なラインで折りたたむ。したがって丁合装置12は、複数の用紙をオーバーラップ状態となるよう重ねる用紙重ね手段として機能する。
【0030】
しかし、丁合装置12における給紙トレイからの給紙速度の高速化には限界がある。このため、折り装置16にて折りたたむときと同じ最大用紙重なり枚数となるよう丁合装置12において複数の用紙を重ね合わせると、オーバーラップ状態とされたときの一冊分の用紙の列の長さが非常に長くなり、折り装置16へ一冊分の用紙を送り込むまで時間がかかることから、冊子作成の生産性が低下する虞がある。一方、折り装置16は、後述するように用紙を搬送しながら折りたたむため比較的高速で用紙を折りたたむことができる。このため丁合装置12では、まず折り装置16にて折りたたむときよりも最大用紙重なり枚数が多くなるよう複数の用紙を互いにオーバーラップさせる。これにより、一冊分のオーバーラップ状態とされた一冊分の用紙の列の長さを短くして丁合装置12からの搬出時間を抑制する。
【0031】
方向変換装置14は、用紙搬送手段として機能し、丁合装置12から搬入されたオーバーラップ状態にある複数の用紙を、搬入前よりも用紙の最大重なり枚数が少ないオーバーラップ状態に変化させて搬送する。以下、丁合装置12によって複数の用紙が重ね合わされた状態を「第1のオーバーラップ状態」といい、方向変換装置14によって第1のオーバーラップ状態よりも最大用紙重なり枚数が少なくなるよう複数の用紙が重ね合わされた状態を「第2のオーバーラップ状態」という。
【0032】
第1の実施形態では、丁合装置12は、用紙長手方向に一列に並ぶ第1のオーバーラップ状態となるよう複数の用紙を重ねてその並び方向に搬送する。方向変換装置14は、第1のオーバーラップ状態にある複数の用紙の各々を用紙短手方向に移動するよう搬送方向を変換して搬送することにより第2のオーバーラップ状態に変化させる。
【0033】
折り装置16は、第2のオーバーラップ状態にある複数の用紙を、その並び方向と平行に搬送しながら、その並び方向と平行なラインで折りたたむ。折り装置16は、折りたたんだ複数の用紙を中綴じ装置18に搬出する。中綴じ装置18は、折り装置16によって折りたたまれた複数の用紙を揃えて綴じ、中綴じ折り冊子を作成する。以下、中綴じ折り冊子を単に「冊子」という。
【0034】
小口断裁装置20は、搬入された冊子の小口を断裁し、天地断裁装置22に搬出する。天地断裁装置22は、搬入された冊子の天地を断裁し、ベルトスタッカ24に搬出する。ベルトスタッカ24は、作成された冊子を順次蓄積する。小口断裁装置20、天地断裁装置22、およびベルトスタッカ24の構成は公知であるため、これらに関する説明は省略する。
【0035】
図2は、方向変換装置14の構成を示す斜視図である。方向変換装置14は、第1用紙搬送ユニット30および第2用紙搬送ユニット32を有する。第1用紙搬送ユニット30は、丁合装置12から搬入された複数の用紙をまず第1のオーバーラップ状態のまま搬送する。第1用紙搬送ユニット30は、次に搬送方向が用紙長手方向のまま加速して第2用紙搬送ユニット32に搬出する。第2用紙搬送ユニット32は、搬入された複数の用紙の各々を、用紙短手方向に移動するよう搬送方向を変換して搬送する。
【0036】
図3は、第1用紙搬送ユニット30の上面図であり、図4は、第1用紙搬送ユニット30の正面図である。以下、図3および図4の双方に関連して第1用紙搬送ユニット30の構成について説明する。
【0037】
第1用紙搬送ユニット30は、通常搬送機構40および加速搬送機構42を有する。通常搬送機構40は、丁合装置12において複数の給紙トレイの各々から用紙が送り出されることにより第1のオーバーラップ状態とされた複数の用紙を第1のオーバーラップ状態を保つよう搬送する。したがって通常搬送機構40は、丁合装置12と同じ搬送速度で複数の用紙を搬送する。
【0038】
具体的には、通常搬送機構40は、ベルト搬送ユニット48、第1ローラユニット56、および第2ローラユニット58を有する。ベルト搬送ユニット48は、用紙搬送方向と垂直な方向に2つ並設されている。各々のベルト搬送ユニット48は、搬送ベルト50、一対のローラ52、および搬入ローラ54を有する。一対のローラ52は、搬送ベルト50を用紙搬送方向に延在させるよう搬送ベルト50に内接する。一対のローラ52の一方はモータ(図示せず)によって駆動可能に設けられ、他方は従動とされている。搬入ローラ54は、一対のローラ52のうち用紙搬送方向上流側(以下、単に「上流側」という)のローラ52と共に搬送ベルト50を挟持するよう設けられる。以上により、丁合装置12から第1用紙搬送ユニット30に搬入された用紙は、搬入ローラ54と搬送ベルト50によって挟持されながら搬入され、搬送ベルト50に載置された状態で第1用紙搬送ユニット30内を搬送される。
【0039】
第1ローラユニット56は、各々の搬送ベルト50の上方において搬送ベルト50の延在方向に沿って2つずつ設けられる。第1ローラユニット56の各々は、ブラケット60およびローラ64を有する。ブラケット60は、板金がコ字状に曲げられて形成されている。第1用紙搬送ユニット30の筐体には、用紙搬送方向と垂直かつ水平に延在する回動軸62が設けられており、ブラケット60の一端は、この回動軸62を中心に回動可能に第1用紙搬送ユニット30の筐体に支持されている。ブラケット60の他端には、回動軸62と平行に軸方向が向くようローラ64が回転可能に支持されている。ブラケット60は、コイルスプリング(図示せず)によって下方に向けて回動するよう付勢されている。このためローラ64は、搬送ベルト50の上面に圧力をかけた状態で当接する。これにより、搬送ベルト50上に載置された用紙は、ローラ64と搬送ベルト50とによって挟持されながら搬送される。
【0040】
第2ローラユニット58は、第1ブラケット70、第2ブラケット72、ローラ74、およびコイルスプリング76を有する。第2ブラケット72の一端は、第1ブラケット70に対し回動可能に支持される。第2ブラケット72の他端には、第2ブラケット72の回動軸と平行に軸方向が向くようローラ74が回転可能に支持されている。第2ブラケット72は、コイルスプリング76によって下方に回動するよう付勢されている。第1ブラケット70は、ガイド機構(図示せず)によってローラ74の回転方向への回動が規制されている。このためローラ74は、搬送ベルト50の上面に圧力をかけた状態で当接する。これにより、搬送ベルト50上に載置された用紙は、ローラ74と搬送ベルト50とによって挟持されながら搬送される。搬送ベルト50およびローラ74は、第1のオーバーラップ状態にある複数の用紙を挟持して加速搬送機構42に搬出する。したがって通常搬送機構40は、用紙を加速搬送機構42に搬出する用紙搬出手段として機能する。
【0041】
加速搬送機構42は、一対の加速ローラ100を有する。一対の加速ローラ100は、第1のオーバーラップ状態にある複数の用紙を挟持して通常搬送機構40からの搬入速度よりも速い速度で搬出する。これにより各々の用紙は、第2用紙搬送ユニット32において後述する用紙ガイドに先端が突き当てられる。
【0042】
ローラ74は、一対の加速ローラ100による挟持位置と搬送ベルト50およびローラ74による挟持位置との間隔Aを変更することができるよう、用紙搬送方向に移動可能に設けられている。具体的には、第1ブラケット70は、ガイド機構(図示せず)によって搬送ベルト50による用紙搬送方向と平行に移動可能に設けられている。このため、ローラ74と搬送ベルト50とによる用紙の挟持位置は、用紙搬送方向に移動可能に設けられている。
【0043】
第1用紙搬送ユニット30には、ローラ移動機構80が設けられている。ローラ移動機構80は、第2ローラユニット58を用紙搬送方向に移動させることにより、ローラ74と搬送ベルト50とによる用紙の挟持位置を移動させる。具体的には、ローラ移動機構80は、ベルト82および一対のローラ84を有する。一対のローラ84は、ローラ移動機構80が用紙搬送方向に延在するようローラ84に内接する。一対のローラ84の各々は回転軸86を介して第1用紙搬送ユニット30の筐体に回転可能に支持されており、ローラ84の一方は、モータ88によって駆動可能に設けられている。第1ブラケット70は、ベルト82に固定されている。こうしてモータ88が作動することにより、ベルト82と共に第2ローラユニット58が移動し、ローラ74と搬送ベルト50とによる用紙の挟持位置が移動する。
【0044】
コントロールパネルは、作成すべき冊子に含まれる用紙のサイズをユーザが入力することができるよう設けられている。電子制御部は、こうして入力された用紙のサイズを取得する。電子制御部は、取得した用紙のサイズに基づいて、第1用紙搬送ユニット30内における用紙搬送方向の用紙の長さを特定する。電子制御部は、用紙が第1用紙搬送ユニット30に搬送される前に、特定した用紙搬送方向の用紙の長さよりも、間隔Aの方が長くなるよう、第2ローラユニット58を移動させる。これにより、加速搬送機構42によって用紙を適切に加速させて搬出させることができる。なお、一対の加速ローラ100が、用紙搬送方向に移動可能に設けられていてもよい。この態様によっても、間隔Aを変更可能とすることができる。
【0045】
図5は、図4に示す状態よりも第2ローラユニット58を上流側に移動させたときの第1用紙搬送ユニット30の正面図である。第2ローラユニット58の第1ブラケット70は、用紙搬送方向下流側(以下、単に「下流側」という)に進むにしたがって上方に進むテーパー面(図示せず)が設けられている。第2ローラユニット58が上流側に移動したとき、第1ローラユニット56におけるブラケット60の下流側端部が第1ブラケット70のテーパー面に当接する。さらに第1ローラユニット56が上流側に移動すると、ブラケット60の下流側端部が第1ブラケット70のテーパー面上を摺動しながら上昇する。このように第1ローラユニット56は、第2ローラユニット58が上流側に移動したときに上方に退避するよう設けられている。
【0046】
図6は、第2用紙搬送ユニット32の構成を示す上面図である。図6において、第2用紙搬送ユニット32は、用紙ガイド110、搬送ローラ112、搬送コロ114、および用紙ガイド移動機構116を有する。用紙ガイド110は、第1用紙搬送ユニット30からの用紙搬入方向と垂直に延在するよう設けられている。搬送ローラ112は、第2用紙搬送ユニット32における用紙搬送方向に複数並設されている。これら複数の搬送ローラ112の各々は、搬送する用紙を用紙ガイド110に押し付けるよう、用紙ガイド110の延在方向と垂直な方向に対して軸方向が傾斜するよう設けられている。
【0047】
搬送コロ114は、複数の搬送ローラ112の各々に一つずつ対応するよう複数設けられている。複数の搬送コロ114の各々は、対応する搬送ローラ112の略中央の上方に配置される。第2用紙搬送ユニット32の筐体には、球形の内面を有する孔が設けられている。搬送コロ114の各々は、この複数の孔の各々に収容され、どの方向にも回転できるよう第2用紙搬送ユニット32の筐体に支持される。なお、搬送コロ114の各々は、搬送ローラ112の回転軸と平行な軸を中心に回転可能に支持されていてもよい。
【0048】
搬送ローラ112の各々は、モータ(図示せず)によって駆動可能に設けられている。モータが作動することにより、搬送ローラ112上に送り込まれた用紙は、搬送ローラ112および搬送コロ114によって挟持され、用紙ガイド110に押し付けられながら第1用紙搬送ユニット30の用紙搬送方向と垂直な方向に搬送される。
【0049】
用紙ガイド移動機構116は、ガイドロッド118、ガイドブロック120、第1ベルト122、第2ベルト124、およびモータ126を有する。ガイドロッド118は、搬送ローラ112の軸方向と各々が平行に延在するよう搬送ローラ112の上方に2本設けられている。ガイドブロック120は、ガイドロッド118の各々に対応するよう2つ設けられている。ガイドブロック120の各々には、ガイドロッド118の外径よりも微小に大きい内径を有する摺動孔が設けられており、ガイドロッド118は、この摺動孔に挿通される。ガイドブロック120の各々は、用紙ガイド110に固定されている。以上より用紙ガイド110は、ガイドロッド118に案内されながら移動可能に構成されている。
【0050】
第1ベルト122は2本設けられ、それぞれがガイドブロック120の各々に固定されている。第1ベルト122の各々に内接するプーリは、2本の第2ベルト124の各々にも内接している。第2ベルト124の各々は、モータ126によって駆動される。以上より、モータ126が作動することによって、第2ベルト124および第1ベルト122を介してガイドブロック120が駆動され、用紙ガイド110がガイドロッド118に沿って移動する。
【0051】
電子制御部は、取得した用紙のサイズのうち、第2用紙搬送ユニット32の用紙搬送方向と垂直な方向、すなわち丁合装置12における用紙搬送方向の用紙の長さをまず特定する。電子制御部は、特定した用紙の長さの中央を通過するラインを、折り装置16によって折りたたまれるべき折りラインとして設定する。電子制御部は、折り装置16に用紙が搬入されたときに折りたたまれる位置をこの折りラインが通過するよう、用紙が第2用紙搬送ユニット32に搬入される前にモータ126を作動させて用紙ガイド110の位置を調整する。
【0052】
第1の実施形態では、丁合装置12は、複数の用紙を用紙長手方向に搬送しながら第1のオーバーラップ状態とする。第1用紙搬送ユニット30は、第1のオーバーラップ状態にある複数の用紙をそのまま用紙長手方向に搬送する。第2用紙搬送ユニット32は、第1のオーバーラップ状態にある複数の用紙の各々を用紙短手方向に移動するよう搬送方向を変換して搬送することにより、第1のオーバーラップ状態よりも用紙の最大重なり枚数が少ない第2のオーバーラップ状態に変化させる。このように複数の用紙の搬送方向を用紙長手方向から用紙短手方向に変換することによって、最大用紙重なり枚数を簡易に少なくすることができる。
【0053】
さらに第1の実施形態では、電子制御部は、取得した用紙のサイズを利用して、用紙の最大重なり枚数が所定枚数となるよう丁合装置12および方向変換装置14による複数の用紙の最大用紙重なり枚数を調整する。以下、図7に関連してこの調整方法について説明する。
【0054】
図7は、第1の実施形態に係る方向変換装置14にて、第1のオーバーラップ状態から第2のオーバーラップ状態とするときの隣接する用紙同士の関係を模式的に示す図である。図7では、破線の用紙2が実線の用紙2の上にオーバーラップして重ね合わされている状態を示している。用紙2の第1辺の長さをL1とし、第2辺の長さをL2とする。第1の実施形態では、第1辺長さL1は第2辺長さL2より長くなっている。また、上述のように、丁合装置12および第1用紙搬送ユニット30では、用紙2は用紙長手方向に搬送される。
【0055】
第1のオーバーラップ状態においてオーバーラップしている部分の用紙搬送方向の長さを第1オーバーラップ長Xとし、第1用紙搬送ユニット30における用紙搬送速度を第1速度V1とする。また、第2のオーバーラップ状態においてオーバーラップしている部分の用紙搬送方向の長さを第2オーバーラップ長Yとし、第2用紙搬送ユニット32における用紙搬送方向速度を第2速度V2とする。
【0056】
第2のオーバーラップ状態における最大用紙重なり枚数をn枚とするためには、第1速度V1、第2速度V2は、
【数1】

という関係を満たす必要がある。
【0057】
第1の実施形態では、最大用紙重なり枚数nは2枚に設定されている。電子制御部は、取得した用紙のサイズから第1辺長さL1および第2辺長さL2を特定し、最大用紙重なり枚数nが2枚においてこの式を満たすよう、第1オーバーラップ長Xまたは第2速度V2を調整する。
【0058】
なお、コントロールパネルは、最大用紙重なり枚数nがユーザによって入力できるよう設けられていてもよい。この場合、電子制御部は、入力された最大用紙重なり枚数nを取得し、第2のオーバーラップ状態において、取得した最大用紙重なり枚数nで複数の用紙が重なり合うよう、第1オーバーラップ長Xまたは第2速度V2を調整する。
【0059】
第2用紙搬送ユニット32において第2のオーバーラップ状態とされた複数の用紙は、隣り合う用紙と各々の折りラインLfの一部が互いに重なり合うよう整列される。こうして複数の用紙の折りラインLfによって一本の線が形成される。折り装置16は、折りラインLfによって形成された一本の線にて複数の用紙を搬送しながら折りたたむことにより、各々の折りラインLfにて用紙を折りたたむ。
【0060】
図8は、折り装置16の構成を示す斜視図である。折り装置16は、折り目付け機構140、湾曲機構142、および折り機構144を有する。折り装置16に搬入された用紙は、折り目付け機構140、湾曲機構142、折り機構144の順に通過する。折り目付け機構140は、用紙の折りラインに折り目を付ける。湾曲機構142は、用紙を湾曲させて搬送する。折り機構144は、湾曲した状態で搬送される用紙を折りラインにて折りたたむ。
【0061】
図9は、図8の断面Pを上流側から見た図である。折り目付け機構140は、凸ローラ150、凹ローラ152、シャフト154、ローラ156、シャフト158、およびローラ160を有する。ローラ156は2つ設けられ、凸ローラ150は2つのローラ156の間に配置される。凸ローラ150および2つのローラ156は、同軸となるようシャフト154に固定される。ローラ160は2つ設けられ、凹ローラ152は2つのローラ160の間に配置される。凹ローラ152および2つのローラ160は、同軸となるようシャフト158に固定される。
【0062】
凸ローラ150には、周方向に連続して環状に外周面から突出する凸部150aが設けられている。凹ローラ152には、周方向に連続して外周面から凹む凹部152aが設けられている。折り目付け機構140に搬入された用紙は、凸ローラ150と凹ローラ152、およびローラ156とローラ160によって挟持され、折り装置16の内部に搬送される。このとき、凸部150aおよび凹部152aによって用紙2の幅方向中央に折り目が付けられる。
【0063】
図10は、図8の断面Qを上流側から見た図である。湾曲機構142は、ガイドディスク170およびベルト搬送機構172を有する。ガイドディスク170は、用紙搬送方向に複数並設され、各々が回転可能に折り装置16の筐体に支持されている。
【0064】
ベルト搬送機構172は、並設された複数のガイドディスク170の上方に配置される。ベルト搬送機構172は、丸ベルト174、プーリ176、シャフト178、およびプーリ180を有する。プーリ176は2つ設けられ、互いに同軸となるようシャフト178に固定される。プーリ176は2本設けられ、2つのプーリ176の各々に掛けられる。プーリ176の配置位置よりも下流側においても2つのプーリ180が設けられる。2つのプーリ180は、搬送される用紙の幅方向に並設され、各々が鉛直方向に軸方向が向くよう配置される。2本の丸ベルト174は、この2つのプーリ180の各々に掛けられる。シャフト178にはモータ(図示せず)が接続されており、このモータが作動することによってシャフト178が回転し、丸ベルト174が駆動される。
【0065】
2本の丸ベルト174は、ガイドディスク170を挟んで延在するよう各々が配置される。湾曲機構142に搬入された用紙2は、図10に示すように逆のV字となるように湾曲した状態で、丸ベルト174によって下流側へと搬送される。このとき2本の丸ベルト174は、プーリ176と噛み合う最上流部174aから、下流側のプーリ180と噛み合う最下流部174bに進むにしたがって徐々に下方に位置するよう傾斜して延在する。このため、用紙が搬送されるにしたがって用紙との当接個所174cが徐々に下がり、用紙2を徐々に角度が小さくなるよう湾曲させることができる。
【0066】
図11は、図8の断面Rを上流側から見た図である。折り機構144は、一対の折りローラ190を有する。折りローラ190の各々は、搬送される用紙の幅方向に並設され、各々の軸方向が鉛直方向を向くよう配置される。一対の折りローラ190は、強い圧力で押し合うよう、互いの外周面が接している。一対の折りローラ190は、互いの押接個所の中央の高さが、逆V字状に湾曲した用紙2の上端部2a周辺の高さとなるよう配置される。
【0067】
図12は、図8の断面Sを上流側から見た図である。湾曲機構142によって逆V字状に湾曲された用紙2は、上端の湾曲した部分が一対の折りローラ190によって挟持され折りたたまれ、上端部2aに折り目が付けられる。
【0068】
図13は、中綴じ装置18の構成を示す斜視図である。中綴じ装置18は、用紙搬送機構200、バッファ機構202、綴じ機構204、および冊子搬送機構206を有する。用紙搬送機構200は、鞍210、搬送ベルト212、上流ローラ214、下流ローラ216、およびモータ218を有する。鞍210は、2枚の平板を有する。2枚の平板は、逆V字状を形成するよう傾斜して配置される。こうして折り装置16で折りたたまれた用紙は、逆V字状を保ったまま鞍210上を搬送される。
【0069】
鞍210の2枚の平板の間には、2本の搬送ベルト212が配置される。搬送ベルト212の各々は、上流側において上流ローラ214が内接し、下流側において下流ローラ216が内接することにより、用紙搬送方向に延在するよう配置される。下流ローラ216はモータ218によって駆動可能とされている。この2本の搬送ベルト212の間には、上方に突出する爪(図示せず)が設けられている。こうしてモータ218が作動することにより、爪によって用紙後端が押され、搬送ベルト212の延在方向に用紙を搬送することができる。
【0070】
バッファ機構202は、オーバーラップ状態のまま折りたたまれた複数の用紙を、先端を揃えることにより隣接する用紙と全面が重なるよう揃えながら蓄積する。したがってバッファ機構202は、オーバーラップ状態とされた複数の用紙を揃える用紙揃え手段として機能する。具体的には、バッファ機構202はストッパ、およびバッグジョガーを有している。ストッパは、ソレノイド(図示せず)を作動させることにより鞍210より上方に進出可能に設けられている。バッグジョガーは、ストッパよりも上流側に配置され、モータ(図示せず)を作動させることにより用紙搬送方向と平行に移動可能とされている。
【0071】
電子制御部は、一冊の冊子を構成する複数の用紙のうち先頭の用紙がバッファ機構202に送り込まれる前にソレノイドをオンにしてストッパを上方に進出させておく。こうしてバッファ機構202に搬入された用紙は、ストッパによって先端が係止される。一冊分の用紙がすべてバッファ機構202に蓄積されると、電子制御部は、バッグジョガーを上流側に進出させて用紙の後端を押し、用紙の後端を揃える。用紙の揃え動作を終了すると、電子制御部はソレノイドをオフにしてストッパを鞍210より下方に退避させる。次にモータ218を作動させて搬送ベルト212を移動させ、揃えた用紙を綴じ機構204に送り出す。
【0072】
なお、バッファ機構202は、オーバーラップ状態にある複数の用紙を、隣接する用紙同士が重なる部分を広げるよう揃えてもよい。例えばサイズの異なる複数の用紙をオーバーラップ状態とした場合、バッファ機構202は、各々の中央の位置が重なるよう複数の用紙を揃えてもよい。このときバッファ機構202は、オーバーラップ状態とされた複数の用紙の用紙サイズを取得し、中央が所定位置に到達したときにその用紙の搬送を停止することにより複数の用紙を揃えてもよい。
【0073】
第1の実施形態では、綴じ機構204にはステッチャが採用される。ステッチャは、折りたたまれた複数の用紙を、折りたたまれた折りライン上にて綴じ、中綴じ折り冊子を作成する。ステッチャの機構は公知であるため説明を省略する。なお、ステッチャに代えてステープラが設けられてもよい。
【0074】
作成された中綴じ折り冊子は、搬送ベルト212によってさらに下流側に搬送される。綴じ機構204の下流側には冊子搬送機構206が配置されている。冊子搬送機構206は、複数のベルトおよびローラによって構成されており、鞍210の上に逆V字状に置かれた中綴じ折り冊子の背を挟持して上方へと搬送する。こうして搬送された中綴じ折り冊子は、小口断裁装置20にて小口を断裁された後、天地断裁装置22にて天地を断裁され、最後にベルトスタッカ24に蓄積される。
【0075】
(第2の実施形態)
図14は、第2の実施形態に係る第1用紙搬送ユニット30にて、第1のオーバーラップ状態から第2のオーバーラップ状態とするときの隣接する用紙同士の関係を模式的に示す図である。図14では、破線の用紙2が実線の用紙2の上にオーバーラップして重ね合わされている状態を示している。なお、第2の実施形態に係る製本システムの構成は、特に言及しない限り第1の実施形態に係る製本システム10と同様である。以下、第1の実施形態と同様の個所については同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】
第2の実施形態に係る製本システムは、第2用紙搬送ユニット32が設けられておらず、第1用紙搬送ユニット30は折り装置16に直接接続されている。このため、第2の実施形態では、丁合装置12は、用紙を短手方向に搬送しながら第1のオーバーラップ状態となるよう複数の用紙を重ね合わせる。
【0077】
第1用紙搬送ユニット30は、第1のオーバーラップ状態とされた複数の用紙をそのまま用紙短手方向に搬送し、折り装置16に搬出する。このとき、加速搬送機構42は、第1のオーバーラップ状態にある複数の用紙を挟持して第1用紙搬送ユニット30からの搬入速度よりも速い速度で搬出することにより、第1のオーバーラップ状態よりも最大用紙重なり枚数が少ない第2のオーバーラップ状態として折り装置16に搬出する。
【0078】
なお、第1用紙搬送ユニット30から折り装置16に用紙を搬送する間に、搬送方向と平行な用紙の一方の辺をガイドに突き当てることにより用紙を揃える用紙揃え機構が設けられていてもよい。用紙揃え機構は、第2用紙搬送ユニット32の用紙ガイド110や搬送ローラ112などと同様の機構を有していても良い。このような用紙揃え機構は公知であるため説明を省略する。
【0079】
上述と同様に用紙2の短辺である第2辺の長さをL2とする。第1のオーバーラップ状態におけるオーバーラップしている部分の用紙搬送方向の長さを第1オーバーラップ長Xとし、第1用紙搬送ユニット30における用紙搬送速度を第1速度V1とする。また、第2のオーバーラップ状態におけるオーバーラップしている部分の用紙搬送方向の長さを第2オーバーラップ長Yとし、折り装置16における用紙搬送方向速度を第2速度V2とする。
【0080】
第2のオーバーラップ状態における最大用紙重なり枚数をn枚とするためには、第1速度V1、第2速度V2は、
【数2】

という関係を満たす必要がある。
【0081】
第2の実施形態において、最大用紙重なり枚数nは2枚に設定されている。電子制御部は、第2辺長さL2を取得し、最大用紙重なり枚数nが2枚においてこの式を満たすよう、第1オーバーラップ長Xや第2速度V2を調整する。
【0082】
なお、電子制御部は、ユーザによって入力された最大用紙重なり枚数nを取得してもよい。電子制御部は、第2のオーバーラップ状態において、取得した最大用紙重なり枚数nで複数の用紙が重なり合うよう、第1オーバーラップ長Xや第2速度V2を調整してもよい。
【0083】
こうして折り装置16において第2のオーバーラップ状態とされた複数の用紙は、隣り合う用紙と各々の折りラインLfの一部が互いに重なり合ったまま搬送され折りたたまれる。このとき折り装置16は、折りラインLfによって形成された一本の線にて複数の用紙を折りたたむことにより、各々の折りラインLfにて用紙を折りたたむ。
【0084】
(第3の実施形態)
図15は、第3の実施形態に係る製本システム10における用紙の搬送形態を例示する図である。第3の実施形態に係る製本システム10の構成および動作は、特に言及しない限り第1の実施形態と同様である。以下、上述の実施形態と同様の個所は同一の符号を付して説明を省略する。
【0085】
丁合装置12の給紙トレイには、様々な厚さの用紙が積載される。したがって、冊子を構成する用紙の中には、厚紙や普通紙などが混在する可能性がある。特に表紙には、冊子の美観や強度を高めるために厚紙が多く使用される。このため、電子制御部は、一冊の冊子に含ませるべき複数の用紙のうち、厚紙など単独で折りたたむべき用紙を特定する。丁合装置12は、単独で折りたたむべき用紙として電子制御部に特定された用紙が方向変換装置14にて隣接する用紙との重なりが解除される第1のオーバーラップ状態となるよう、複数の用紙を重ねて搬送する。
【0086】
具体的には、製本システム10に設けられたコントロールパネルは、冊子を構成する複数の用紙のうちどの用紙が1枚だけで折りたたむべきかをユーザに入力可能に設けられている。以下、1枚だけで折りたたむべき用紙を「厚紙」として説明する。しかし、1枚だけで折りたたむべき用紙が厚紙に限られないことは勿論であり、硬い紙質の用紙や、OHPなど折りたたみにくい性質を有するシートを、「1枚だけで折りたたむべき用紙」としてユーザに入力可能に設けられてもよい。
【0087】
ユーザは、一冊の用紙に含まれる用紙のうち、厚紙が搬送される搬送順を、コントロールパネルにて入力することができる。電子制御部は、こうして入力された搬送順の用紙が隣接する他の用紙とオーバーラップせずに単独で折り装置16に送り込まれるよう、丁合装置12における用紙の重ね合わせを制御する。
【0088】
また、ユーザは、冊子を作成するために用紙を給紙すべき給紙トレイを、コントロールパネルにて選択することが可能とされていてもよい。このときユーザは、「第1トレイ」など給紙トレイの識別名の隣に設けられた「厚紙」というチェックボックスにマウスなどの入力装置を用いてチェックを入れることにより、厚紙が積載された給紙トレイを入力することができる。電子制御部は、厚紙が積載されているとして選択された給紙トレイから用紙を給紙する場合は、その給紙トレイから送り出された用紙が隣接する他の用紙とオーバーラップせずに単独で折り装置16に送り込まれるよう、丁合装置12における用紙の重ね合わせを制御する。
【0089】
図15は、7枚の用紙を重ね合わせて冊子を作成するときに、1枚目に搬送される用紙と7枚目に搬送される用紙が厚紙2Aであり、他が普通紙2Bであるときの用紙の搬送形態を例示している。この例では、電子制御部は、1枚目の用紙と2枚目の用紙とのオーバーラップ長、および6枚目の用紙と7枚目の用紙とのオーバーラップ長を、普通紙同士を重ね合わせるときのオーバーラップ長よりも短くした第1のオーバーラップ状態とするよう丁合装置12を制御する。これにより、第2用紙搬送ユニット32において、1枚目および7枚目の厚紙2Aを他の用紙とオーバーラップさせることなく1枚だけで搬送し、2枚目から6枚目までの普通紙2Bを第2のオーバーラップ状態とすることができる。こうして厚紙2Aだけを、折り装置16に送り込むことができる。
【0090】
図16は、第3の実施形態に係る製本システム10における別の用紙の搬送形態を例示する図である。図16では、7枚の用紙を重ね合わせて冊子を作成するときに、4枚目に搬送される用紙が厚紙2Aであり、他が普通紙2Bであるときの用紙の搬送形態を例示している。この例では、電子制御部は、4枚目の普通紙2Bと5枚目の厚紙2Aとの間のオーバーラップ長、および5枚目の厚紙2Aと6枚目の普通紙2Bとの間のオーバーラップ長を普通紙2B同士よりも短くした第1のオーバーラップ状態とするよう丁合装置12を制御する。これにより、第2用紙搬送ユニット32において、5枚目の厚紙2Aを他の用紙とオーバーラップさせることなく1枚だけで搬送し、1枚目から3枚目までの普通紙2Bを第2のオーバーラップ状態とすることができる。
【0091】
図17は、厚紙2Aと普通紙2Bとのオーバーラップ長Xを示す図である。用紙が搬送される時間間隔は第1用紙搬送ユニット30においても第2用紙搬送ユニット32においても同じであることから、
(L1−X)/V1=A/V2
という式が成立する。A>L2を上記の式に代入すると、
X>L1−L2・V1/V2
となる。Xをこのように設定することによって、厚紙2Aがオーバーラップ状態となるこを回避することができる。
【0092】
丁合装置12の給紙トレイの各々に対応して、用紙の厚さを検知する厚さセンサが設けられてもよい。この場合、厚さセンサは一対のローラを有し、用紙を挟持したときの一対のローラの離間幅を検出することにより用紙の厚さを検知する。なお、光学式など他の方式の厚さセンサが設けられてもよいことは勿論である。電子制御部は、所定以上の厚さが検知された用紙を「厚紙」と特定し、隣接する他の用紙とオーバーラップさせずに単独で折り装置16に送り込むよう、丁合装置12による用紙の重ね合わせを制御する。このとき丁合装置12が実行すべき用紙の搬送形態は、上述と同様である。
【0093】
また、電子制御部は、一冊の用紙に厚紙が含まれる場合、厚紙を含む部分の最大用紙重なり枚数を、普通紙のみ用紙が重なるときよりも少なく用紙を重ね合わせるよう丁合装置12を制御してもよい。
【0094】
(第4の実施形態)
図18は、第4の実施形態に係る製本システム10における用紙の搬送形態を例示する図である。第3の実施形態に係る製本システム10の構成および動作は、特に言及しない限り第1の実施形態と同様である。以下、上述の実施形態と同様の個所は同一の符号を付して説明を省略する。
【0095】
電子制御部は、第3の実施形態と同様に、厚紙の選択入力を取得する。図18は、7枚の用紙を重ね合わせて冊子を作成するときに、1枚目に搬送される用紙と7枚目に搬送される用紙が厚紙2Aであり、他が普通紙2Bであるときの用紙の搬送形態を例示している。この例では、電子制御部は、丁合装置12および第1用紙搬送ユニット30においても、1枚目の用紙と2枚目の用紙、および6枚目の用紙と7枚目の用紙をオーバーラップさせず、普通紙2Bである2枚目から6枚目の用紙同士は、第1のオーバーラップ状態とするよう丁合装置12を制御する。これによって、第2用紙搬送ユニット32において、1枚目および7枚目の厚紙2Aを他の用紙とオーバーラップさせることなく1枚だけで搬送し、2枚目から6枚目までの普通紙2Bを第2のオーバーラップ状態とすることができる。
【0096】
図19は、第4の実施形態に係る製本システム10おける別の用紙の搬送形態を例示する図である。図19では、7枚の用紙を重ね合わせて冊子を作成するときに、4枚目に搬送される用紙が厚紙2Aであり、他が普通紙2Bであるときの用紙の搬送形態を例示している。この例では、電子制御部は、5枚目の厚紙2Aを隣接する4枚目および6枚目の普通紙2Bとオーバーラップさせないよう丁合装置12を制御する。電子制御部は、普通紙2B同士は第1のオーバーラップ状態とするよう丁合装置12を制御する。これにより、第2用紙搬送ユニット32において、5枚目の厚紙2Aを他の用紙とオーバーラップさせることなく1枚だけで搬送し、1枚目から3枚目までの普通紙2Bを第2のオーバーラップ状態とすることができる。
【0097】
(第5の実施形態)
図20は、第5の実施形態に係る製本システム240の構成を示す斜視図である。特に言及しない限り、製本システム240の構成および動作は第1の実施形態に係る製本システム10と同様である。
【0098】
製本システム240は、撮像ユニット242および用紙センサ244を有する。撮像ユニット242および用紙センサ244は、第2用紙搬送ユニット32に設けられる。なお、これらは折り装置16の上流部分に設けられてもよい。
【0099】
撮像ユニット242は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを含む。なお、撮像ユニット242は、CCDイメージセンサではなく、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなど他の撮像素子を含んでいてもよい。撮像ユニット242は、オーバーラップ状態で搬送される用紙の上面を撮像可能な位置に配置される。撮像ユニット242は、電子制御部に接続されている。電子制御部は、撮像ユニット242による撮像を制御し、撮像ユニット242によって撮像された画像を取得する。したがって電子制御部は、撮像制御手段として機能する。
【0100】
用紙センサ244は、撮像ユニット242よりも上流側に配置される。用紙センサ244は光センサによって構成され、搬送される用紙の先端を検知する。なお、複数の用紙がオーバーラップ状態で搬送される場合、用紙センサ244は、オーバーラップ状態となっている複数の用紙のうち先頭の用紙の先端を検知する。
【0101】
電子制御部は、用紙センサ244によって先端が検知された用紙のうち、オーバーラップしていない露出した部分における所定位置の画像を撮像できるよう、用紙センサ244によって用紙の先端が検知されてから所定時間後に撮像ユニット242による撮像を実行する。しかし、オーバーラップ状態となった用紙のうち2枚目以降の用紙は、他の用紙と重なっているためその先端を検知することは困難である。このため電子制御部は、算出した第2のオーバーラップ状態におけるオーバーラップ長を利用して、第2のオーバーラップ状態とされた複数の用紙の各々を、露出部分における同じ所定位置の画像を撮像できるよう、撮像ユニット242における撮像間隔を決定する。
【0102】
例えば、図7に示すように第2用紙搬送ユニット32において、第2のオーバーラップ状態とされた搬送方向長さがL2の複数の用紙が、オーバーラップ長がY、搬送速度がV2で搬送されている場合、各々の用紙の搬送時間間隔は、(L2−Y)/V2となる。このため電子制御部は、先頭の用紙の画像を撮像した後は、その後の撮像ユニット242による撮像時間間隔を、(L2−Y)/V2に設定する。電子制御部は、一冊分の冊子に含まれる用紙枚数から先頭の用紙の1枚を引いた回数だけ、設定された撮像時間間隔で撮像するよう撮像ユニット242を制御する。
【0103】
第5の実施形態では、作成すべき一冊の冊子に含まれる用紙の基準画像を取得するため、ユーザは、用紙の画像を読み込ませるための予備搬送を製本システム10にて実行することができる。ユーザは、予備搬送をコントロールパネルで選択後にスタートボタンを押すことにより、一冊分だけ用紙を搬送させることができる。撮像ユニット242は、予備搬送においてオーバーラップ状態とされた複数の用紙の各々の露出部分の画像を撮像する。
【0104】
電子制御部は、このとき撮像ユニット242によって撮像された各用紙の画像を、オーバーラップ状態としたときの複数の用紙の各々の露出部分の画像となるべき基準画像として取得する。正しい基準画像を取得することができたか否かは、予備搬送において作成された冊子をユーザが目視で確認することによって判断することができる。電子制御部は、ハードディスクなどの記憶部を有する。電子制御部は、取得した基準画像を記憶部に格納する。
【0105】
ユーザは、予備搬送の解除をコントロールパネルで選択し、作成すべき冊子数を入力後にスタートボタンを押すことにより、入力した冊子数だけ冊子を作成する通常モードでの冊子作成を実行することができる。このとき撮像ユニット242は、冊子の作成過程においてオーバーラップ状態とされた複数の用紙の各々の露出部分の画像を撮像する。
【0106】
電子制御部は、撮像された画像を記憶部に格納された基準画像と比較することにより、オーバーラップ状態にある複数の用紙にエラーが生じたか否かを判定する。具体的には、電子制御部は、撮像された画像と基準画像が一つでも異なると判定した場合、搬送された用紙に乱丁や落丁などのエラーが発生したと判定する。このときの画像の比較方法は公知であることから説明を省略する。エラーが発生したと判定した場合、電子制御部は、コントロールパネルなどに警告を表示して、エラーが発生したことをユーザに報知する。
【0107】
電子制御部は、用紙の先端が用紙センサ244によって検知された場合、先頭の用紙の所定位置から、最後の用紙の所定位置までの連続した画像を撮像するよう撮像ユニット242を制御してもよい。撮像ユニット242は、ラインセンサによって構成されていてもよい。電子制御部は、算出したオーバーラップ長などを利用して、取得した画像がどの用紙の画像かを特定してもよい。電子制御部は、こうして特定した各用紙の画像と基準画像とを比較してもよい。
【0108】
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。
【0109】
ある変形例では、丁合装置12には、一つの給紙トレイが設けられる。この場合、この給紙トレイに、冊子に含ませるべきすべての用紙が送り出すべき順序で積載される、丁合装置12は、この一つの給紙トレイから用紙を給紙すると共に、冊子に含ませるべき複数の用紙重ね合わせる。このように丁合装置12に給紙トレイが一つだけ設けられている場合においても、冊子に含ませるべき複数の用紙を送り出すことができる。
【符号の説明】
【0110】
2 用紙、 10 製本システム、 12 丁合装置、 14 方向変換装置、 16 折り装置、 18 中綴じ装置、 20 小口断裁装置、 22 天地断裁装置、 24 ベルトスタッカ、 30 第1用紙搬送ユニット、 32 第2用紙搬送ユニット、 40 通常搬送機構、 42 加速搬送機構、 48 ベルト搬送ユニット、 50 搬送ベルト、 52 ローラ、 56 第1ローラユニット、 58 第2ローラユニット、 64 ローラ、 74 ローラ、 80 ローラ移動機構、 84 ローラ、 100 加速ローラ、110 用紙ガイド、 116 用紙ガイド移動機構、 140 折り目付け機構、 142 湾曲機構、 144 折り機構、 170 ガイドディスク、 174 丸ベルト、 202 バッファ機構、 204 綴じ機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する用紙と互いに一部が重なりながら一列に並ぶオーバーラップ状態となるよう複数の用紙を重ねる用紙重ね手段と、
オーバーラップ状態にある複数の用紙をその並び方向と平行なラインで折りたたむ折り手段と、
を備えることを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記折り手段は、オーバーラップ状態にある複数の用紙をその並び方向と平行に搬送しながら折りたたむことを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記用紙重ね手段は、
用紙収容部から用紙を送り出すことにより第1のオーバーラップ状態となるよう複数の用紙を重ねて搬送する丁合手段と、
前記丁合手段から搬入された第1のオーバーラップ状態にある複数の用紙を、第1のオーバーラップ状態よりも用紙の最大重なり枚数が少ない第2のオーバーラップ状態に変化させて搬送する用紙搬送手段と、
を有し、
前記折り手段は、第2のオーバーラップ状態にある複数の用紙を折りたたむことを特徴とする請求項1または2に記載の後処理装置。
【請求項4】
前記用紙搬送手段は、第1のオーバーラップ状態にある複数の用紙を挟持して前記丁合手段からの搬入速度よりも速い速度で搬出することにより第2のオーバーラップ状態に変化させる用紙加速手段を有することを特徴とする請求項3に記載の後処理装置。
【請求項5】
前記用紙搬送手段は、第1のオーバーラップ状態にある複数の用紙を挟持して前記用紙加速手段に搬出する用紙搬出手段を有し、
前記用紙加速手段および前記用紙搬出手段の少なくとも一方は、前記用紙加速手段による挟持位置と前記用紙搬出手段による挟持位置との間隔を変更可能に設けられることを特徴とする請求項4に記載の後処理装置。
【請求項6】
前記丁合手段は、用紙長手方向に一列に並ぶ第1のオーバーラップ状態となるよう複数の用紙を重ねてその並び方向に搬送し、
前記用紙搬送手段は、第1のオーバーラップ状態にある複数の用紙の各々を用紙短手方向に移動するよう搬送方向を変換して搬送することにより第2のオーバーラップ状態に変化させることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の後処理装置。
【請求項7】
前記丁合手段は、一冊の冊子に含ませるべき複数の用紙のうち、単独で折りたたむべき用紙を特定し、特定した用紙が前記用紙搬送手段にて隣接する用紙との重なりが解除される第1のオーバーラップ状態となるよう複数の用紙を重ねて搬送することを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の後処理装置。
【請求項8】
前記複数の用紙に含まれる用紙のサイズを取得する用紙サイズ取得手段をさらに備え、
前記用紙重ね手段は、取得した用紙のサイズを利用して、前記折り手段によって折りたたまれるときの用紙の最大重なり枚数が所定枚数となるよう複数の用紙を重ね合わせることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の後処理装置。
【請求項9】
前記用紙重ね手段は、取得した用紙のサイズを利用して、前記折り手段によって折りたたまれるときの用紙の最大重なり枚数が2枚となるよう複数の用紙を重ね合わせることを特徴とする請求項8に記載の後処理装置。
【請求項10】
オーバーラップ状態としたときの複数の用紙の各々の露出部分の画像となるべき基準画像が格納される記憶部と、
オーバーラップ状態にある複数の用紙の各々の露出部分の画像を撮像する撮像手段と、
オーバーラップ状態にある複数の用紙にエラーが生じたか否かを判定する判定手段と、
を備え、
前記判定手段は、撮像された画像を保持された基準画像と比較することにより、オーバーラップ状態にある複数の用紙にエラーが生じたか否かを判定することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の後処理装置。
【請求項11】
隣接する用紙と互いに一部が重なりながら一列に並ぶオーバーラップ状態となるよう複数の用紙を重ねる工程と、
オーバーラップ状態にある複数の用紙をその並び方向と平行なラインで折りたたむ工程と、
オーバーラップ状態にある複数の用紙を、隣接する用紙同士が重なる部分を広げるよう揃える工程と、
を備えることを特徴とする中折り冊子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−111243(P2011−111243A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266314(P2009−266314)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(000109727)株式会社デュプロ (195)
【Fターム(参考)】