説明

後処理装置及び画像形成システム

【課題】簡単な構成で、大サイズの用紙へのステイプル処理等の後処理時における中間スタッカ上での用紙の整合を安定した性能で行える後処理装置を提供すること。
【解決手段】複数枚の用紙を貯留する用紙貯留部と、前記用紙貯留部に貯留される複数枚の用紙に後処理を行う後処理機構部と、前記後処理を終えた複数枚の用紙を前記用紙貯留部から排出する用紙排出手段と、前記用紙貯留部から排出された複数枚の用紙を積載する排紙トレイと、前記用紙貯留部に貯留された複数枚の用紙に対し、用紙搬送方向における整合を行うとともに、前記排紙トレイに積載された複数枚の用紙に対し、用紙搬送方向と直角な用紙幅方向における整合を行う整合手段と、を有することを特徴とする後処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成された用紙に後処理を行う後処理装置及び画像形成システムに関し、特に、後処理を行う際の用紙に整合処理を行う後処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成された用紙に、ステイプル処理、穿孔処理、シフト処理、折り処理等の後処理を行う後処理装置においては、後処理を行う際に複数の用紙を一旦貯留部に貯留させ、用紙を用紙搬送方向及び用紙幅方向に整合する機構部を有するものが開発されている。
【0003】
また、後処理装置を画像形成装置に連結した高速処理が可能な画像形成システムは、軽印刷装置として用いられる傾向にあり、このような画像形成システムに対し、画像形成処理された用紙を高い精度で整合して後処理することが要求されている。
【0004】
特許文献1では、ステイプル機能等を有する後処理装置において、整合機構を設けることにより、用紙を排紙する際の排紙トレイ上や、ステイプル処理の際の中間スタッカ上において、高度な整合を行う後処理装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
図10は、特許文献1に開示されている後処理装置としてのシート積載装置(後処理装置)Bを含む画像形成システムの全体構成図である。
【0006】
図10において、画像形成装置Aにより画像形成され、排出ローラ7Bから排出されるシート(用紙)Sは、シート積載装置Bの内部に搬送され、搬送路r1に設置された入口センサC1により検出される。搬送路切換ゲートG2はシートSの搬送路を切り換えるもので、上部排紙トレイ10Aへの搬送路r2とメイントレイ(排紙トレイ)10Bへの搬送路r3とを切り換える。搬送路r2を通過するシートSは上部排紙トレイ10Aに排出されて、上部排紙トレイ10A上で積載される。
【0007】
搬送路r3へ搬送されるシートSは、まず、用紙搬送方向における用紙先端が高くなるように傾斜した中間スタッカ20に送り込まれる。スタック部として機能する中間スタッカ20は複数枚のシートSを一時的に滞留(スタック)させることが可能である。従って、画像形成装置Aから排出される単位時間当たりのシート枚数を低下させることなく、且つメイントレイ10BにシートSを排出させることなく、画像形成装置Aから送り込まれるシートSをシート積載装置B内に受け入れることを可能にしている。また、中間スタッカ20において、シフト板20Aを利用することにより、メイントレイ10Bに排出されるシートSを部毎にシフトすることと、用紙搬送方向と直角な用紙幅方向に整合することを可能にしている。また、A4サイズ等の通常サイズ以下の用紙であれば、中間スタッカ20の傾斜により用紙後端が整合されるため、用紙搬送方向における紙揃えが可能である。なお、中間スタッカ20において一時的にスタックされた複数枚のシートSに対して後処理としてのステイプル処理を実行する場合には、ステイプル部材20D、20Eを動作させている。
【0008】
中間スタッカ20から排出されるシートSは、メイントレイ10B上に排出され、積載される。図10における符号の30Aは整合部材であり、メイントレイ10Bに排出されたシートSを用紙搬送方向と直角な方向(以下、用紙幅方向という)に整合するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−234727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に提案された後処理装置では、A3サイズなどの大サイズのシートSにステイプル処理を行う場合、用紙Pの用紙搬送方向の長さが長いため、シートSを貯留する用紙貯留部(中間スタッカ)20上に収まらないという現象が生じる。そのため、シートSの後端が中間スタッカ20の用紙後端受け部に突き当たるとき、シートSの先端はシートSを排紙トレイ10Bへと排出する排紙ローラ(参照符号なし)から下流側にはみ出し、シート先端が排紙ローラ対21から垂れ下がる状態となってしまう。従って、中間スタッカ20に図示のような傾斜を設けても、シートSの後端が中間スタッカ20の用紙後端受け部に必ず突き当たるという保証がなく、シートSの用紙搬送方向における整合が不十分な状態でステイプル処理を行わざるを得ないという問題がある。大サイズのシートSの排紙ローラ対21からの垂れ下がりを防止するには、中間スタッカ20の全長を長くする必要があり、シート積載装置Bの装置サイズが大きくなり過ぎるという問題がある。
【0011】
本発明の目的は、上記のような問題を解決し、比較的コンパクトな装置で簡単な構成でありながら、大サイズの用紙に対するステイプル処理等の後処理時における中間スタッカ上での用紙の整合を安定した性能で行える後処理装置、及びそれを備えた画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的は下記の発明により達成される。
【0013】
1.複数枚の用紙を貯留する用紙貯留部と、
前記用紙貯留部に貯留される複数枚の用紙に後処理を行う後処理機構部と、
前記後処理を終えた複数枚の用紙を前記用紙貯留部から排出する用紙排出手段と、
前記用紙貯留部から排出された複数枚の用紙を積載する排紙トレイと、
前記用紙貯留部に貯留された複数枚の用紙に対し、用紙搬送方向における整合を行うとともに、前記排紙トレイに積載された複数枚の用紙に対し、用紙搬送方向と直角な用紙幅方向における整合を行う整合手段と、
を有することを特徴とする後処理装置。
【0014】
2.1に記載の後処理装置を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る後処理装置を用いることにより、簡単な構成でありながら、大サイズの用紙に対しても後処理装置のサイズを大きくすることなく、ステイプル処理等の後処理を行う際の中間スタッカ上での用紙搬送方向における整合を適正に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像形成装置A、自動原稿送り装置DF、後処理装置Bから成る画像形成システムの全体構成図である。
【図2】本発明に係る用紙貯留部としての中間スタッカ20及びその周辺の機構部の構成及び動作について説明するための概略図である。
【図3】本発明の制御部101に係る制御系のブロック図である。
【図4】排紙トレイ10B上に積載される用紙Pを用紙幅方向に整合する整合部材30A、30Bの動作及び構成を説明するための概略図である。
【図5】整合部材回転駆動モータM1の回転により回転して変化する整合部材30A、30Bの高さ(角度)を検知する検知手段の機構を示す概略図である。
【図6】本発明に係る整合部材30A、30Bを用いて、中間スタッカ20に貯留される用紙Pを用紙搬送方向に整合する構成及び動作について説明するための概略断面図である。
【図7】排紙トレイ10Bにシフトされて積載される用紙Pを、用紙束毎に整合する動作を説明するための概略図である。
【図8】第1の整合部材30Aの正面図であり、図4(a)において実線の位置にある第1の整合部材30Aの拡大構成図である。
【図9】本発明に係る整合部材30A、30Bの実施形態における整合作用を説明する図である。
【図10】特許文献1に開示されている後処理装置としてのシート積載装置(後処理装置)Bを含む画像形成システムの全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に実施の形態に基づいて本発明を説明するが、本発明は該実施の形態に限定するものではない。
【0018】
図1は、画像形成装置A、自動原稿送り装置DF、後処理装置Bから成る画像形成システムの全体構成図である。
【0019】
図1に示す画像形成装置Aは、画像読取部1、画像処理部2、画像書込部3、画像形成部4等を備えている。画像形成装置Aの上部には自動原稿送り装置DFが搭載されており、画像形成装置Aの左側には後処理装置Bが連結されている。
【0020】
自動原稿送り装置DFの原稿台上に載置された原稿aは矢印方向に搬送され、原稿aの片面又は両面の画像が画像読取部1におけるイメージセンサ1Aによって読み取られる。イメージセンサ1Aにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部2において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、画像書込部3に送られる。画像書込部3においては、半導体レーザからの出力光が画像形成部4の感光体ドラム4Aに照射され、感光体ドラム4A上に静電潜像が形成される。
【0021】
画像形成部4において、帯電、露光、現像、転写、分離、クリーニング等の処理が行われる。給紙カセット5A〜5Cから給送された用紙Pには、転写部4Bにより画像が転写される。画像が転写された用紙Pは、定着部6により定着され、排出ローラ7Bから後処理装置Bへ送り込まれる。或いは用紙Pは、搬送路切換ゲートG1により両面給紙部7Aに送り込まれ、画像形成部4によって裏面側にも画像が形成され、排出ローラ7Bから後処理装置Bへ送り込まれる。
【0022】
本発明に係る後処理装置B及び画像形成装置Aの各部の動作を制御する制御部101は、画像形成装置Aの内部に配設される。
【0023】
後処理装置Bは画像形成装置Aから送り込まれた用紙Pを上部排紙トレイ10Aや排紙トレイ(積載部)10Bに排出し、上部排紙トレイ10Aや排紙トレイ10B上に用紙Pを積載する。また後処理装置Bはシフト機能、ステイプル機能等を有し、後処理装置Bの内部に一時貯留されるか、排紙トレイ10Bに積載される用紙Pに対して、部毎のシフト処理やステイプル処理等の後処理が行われる。
【0024】
後処理装置Bに送り込まれた用紙Pは、搬送路r1に設置された入口センサC1により検出される。当該入口センサC1を利用することにより、画像形成装置Aから後処理装置Bに用紙Pが送り込まれたことを検出することができる。
【0025】
搬送路切換ゲートG2は用紙Pの搬送路を切り換えるものであり、上部排紙トレイ10Aへの搬送路r2と排紙トレイ10Bへの搬送路r3とを切り換える。搬送路r2を通過する用紙Pは上部排紙トレイ10Aに排出されて、上部排紙トレイ10A上で積載される。
【0026】
搬送路r3を通過する用紙Pは、まず中間スタッカ20に送り込まれる。本発明に係る用紙貯留部としての中間スタッカ20は複数枚の用紙Pを一旦貯留(スタック)させる。即ち、中間スタッカ20により、画像形成装置Aから排出される単位時間当たりのプリント枚数を低下させず、且つ排紙トレイ10Bに用紙Pを直接排出させず、画像形成装置Aから送り込まれる用紙Pを一時的に後処理装置B内に受け入れることが可能となる。また、中間スタッカ20において、シフト板20A(20B)を利用することにより、排紙トレイ10Bに排出される用紙Pを部毎にシフトすることが可能である。なお、中間スタッカ20において一時的にスタックされた複数枚の用紙Pに対してステイプル処理を実行する場合には、後処理機構部としてのステイプル処理部40を動作させることになる。
【0027】
後処理後、中間スタッカ20から排出される用紙Pは排紙トレイ10Bに排出され、積載される。図1における30A、30Bは本発明に係る整合手段に含まれる整合部材であり、排紙トレイ10Bに排出された用紙Pを整合するものである。整合部材30A、30Bの中間スタッカ20及び排紙トレイ10Bにおける整合動作に関しては後述する。
【0028】
次に、中間スタッカ20及びその周辺の構成について図2を用いて説明する。
【0029】
図2は、本発明に係る用紙貯留部としての中間スタッカ20及びその周辺の機構部の構成及び動作について説明するための概略図である。
【0030】
図2において、中間スタッカ20は、シフト板20A、20B、一方の用紙排出手段としての用紙排出ベルト20C、用紙Pの用紙搬送方向における後端を受ける用紙後端受け部材20F、を有している。また、中間スタッカ20の周辺には、用紙Pにステイプル処理を行うステイプル処理部40が、更に、中間スタッカ20の用紙搬送方向の下流側には、用紙Pを中間スタッカ20から排出するもう一方の用紙排出手段としての排紙ローラ対21が配設されている。
【0031】
シフト板20A、20Bは、図示しないリンク機構及び駆動モータにより、中間スタッカ20に貯留される用紙Pを用紙幅方向の所定の位置に移動し、かつ用紙幅方向に往復動して、用紙Pに対し、必要に応じてシフト及び用紙幅方向の整合を行う。
【0032】
本発明に係る一方の用紙排出手段としての用紙排出ベルト20Cは、図示のように、一対のローラ(参照符号なし)に巻回されて回転される。用紙排出ベルト20Cの表面には用紙排出爪20C1が付設されている。中間スタッカ20に貯留され、ステイプル処理部40等による後処理を終えた複数枚の用紙Pは、用紙排出ベルト20Cの回転に伴い移動する用紙排出爪20C1に用紙後端が当接して用紙搬送方向に搬送される。その後、複数枚の用紙Pは排紙ローラ対21に挟持され、中間スタッカ20から排出される。一対のローラの内の一方のローラ(駆動ローラ)には図示しないモータが連結されており、制御部101からの指令により駆動されて一方のローラを回転駆動する。
【0033】
本発明に係るもう一方の用紙排出手段としての排紙ローラ対21は、駆動ローラ21Aとそれに圧接する従動ローラ21Bとからなる。従動ローラ21Bは揺動可能な揺動アーム(参照符号なし)に回転自在に保持され、揺動アームは排紙ローラ間隔調整モータM5に連結されている。排紙ローラ間隔調整モータM5は、制御部101からの指令により駆動され、中間スタッカ20に貯留される用紙Pの枚数及び厚みに応じて、揺動アームを所定の角度だけ回転させ、駆動ローラ21Aと従動ローラ21Bとの間隔(ニップ)を変化させる。揺動アームを所定の角度に回転させる構成については後述する。駆動ローラ21Aは、図示しない用紙搬送モータM3に連結され、制御部101からの指令により回転駆動される。排紙ローラ対21のローラ間隔を、用紙Pの厚み又は枚数に応じて変化させ、排紙ローラ対21と用紙Pとの摩擦力を適正な値に調整することにより、整合部材30A、30Bによる用紙搬送方向の整合が適正に行われるようにしている。
【0034】
また、後述するA3サイズ等の大サイズの用紙Pは、図2に示すように、中間スタッカ20に貯留したときに用紙先端が排紙ローラ対21から突出する。従って、このような大サイズの用紙Pに対してシフト板20A(20B)を用いてシフト処理や用紙幅方向の整合処理を行う場合には、排紙ローラ対21のローラ間隔を開放する必要がある。
【0035】
本発明に係る用紙後端受け部材20Fは、中間スタッカ20の用紙搬送方向の上流側に配設され、中間スタッカ20に貯留される用紙Pの後端を受ける。また、用紙後端受け部材20Fには用紙後端受け部材20Fの位置を移動させる手段としての、例えばラックRCが固設されている。ラックRCはピニオンPNに噛み合い、ピニオンPNは後端受け部材移動モータM4に連結されている。後端受け部材移動モータM4は、制御部101により動作が制御されて用紙後端受け部材20Fを移動させ、その移動量は中間スタッカ20に貯留される用紙Pのサイズに応じて、所定の値に決定される。
【0036】
用紙後端受け部材20Fの移動量を用紙Pのサイズに応じた所定の値とすることで、中間スタッカ20に貯留される用紙Pの先端の位置を変化させ、後述する整合部材30A、30Bによる用紙搬送方向の整合に適した位置となるように設定している。即ち、回転軸AXを中心として回動する整合部材30A、30Bの角度調整だけでは、用紙Pへの用紙搬送方向への整合範囲が制限されるが、用紙後端受け部材20Fを移動させることにより、整合範囲をより広くするように自由度を持たせているのである。
【0037】
上記した排紙ローラ間隔調整モータM5による揺動アームの所定の回転角度、及び、後端受け部材移動モータM4による用紙後端受け部材20Fの所定の移動量は、それぞれ、実験により用紙のサイズや厚みに対応して算出される最適な値を所定の値としている。この所定の値は予めプログラムとして制御部101のメモリに格納され、制御部101を介し、必要に応じて適宜に取り出されるように制御される。
【0038】
本発明の整合部材30A、30Bの用紙サイズに応じた回転軸AXを中心とする回転角度の設定により、中間スタッカ20に貯留される複数枚の用紙Pに対し、用紙搬送方向における整合が適切に行われる。
【0039】
また、本発明の用紙後端受け部材20Fの用紙Pサイズに応じた位置の移動量の設定により、整合部材30A、30Bの限られた回動範囲における、用紙Pの種々のサイズに応じた用紙搬送方向の整合が可能となるように、整合可能な領域を広くしている。
【0040】
更に、本発明に係る排紙ローラ対21のローラ間隔を、中間スタッカ20に貯留される用紙Pの厚み又は枚数に応じて変化させ、排紙ローラ対21と用紙Pとの摩擦力を調整し、整合部材30A、30Bによる用紙搬送方向の整合動作を安定化させることができる。
【0041】
図3は本発明の後処理装置Bにおける制御部101に係る制御系のブロック図である。
【0042】
図3において、制御部101は、入口センサC1、排紙センサC2、用紙枚数情報入力手段MN、カウンタCT、用紙サイズ検出手段SS、用紙厚み検出手段TS、及び整合部材回転角度検出手段RS、等から各種の情報を受ける。それらの情報に基づいて、整合部材回転駆動モータM1、整合部材摺動駆動モータM2、用紙搬送モータM3、後端受け部移動モータM4、及び排紙ローラ間隔調整モータM5、等の動作を制御する。また、制御部101は画像形成装置Aの制御部との間で種々の情報を交信して制御を行う。
【0043】
次に、排紙トレイ10Bに排出される用紙Pを整合部材30A、30Bにより用紙幅方向に整合する構成及び動作について説明する。
【0044】
図4は、排紙トレイ10B上に積載される用紙Pを用紙幅方向に整合する整合部材30A、30Bの動作及び構成を説明するための概略図である。図4(a)は、整合部材30A、30B周辺の拡大図であり、図4(b)は排紙トレイ10Bを上方から見た平面図である。
【0045】
本発明に係る整合手段は、一対の摺動機構部30と、整合部材摺動駆動手段としての一対の整合部材摺動駆動モータM2と、を有する。一対の摺動機構部30の内の一方の摺動機構部301には、第1の整合部材30Aと、整合部材保持軸としての回転軸AXと、整合部材回転駆動手段としての整合部材回転駆動モータM1と、が含まれる。同様に、もう一方の摺動機構部302には、第2の整合部材30Bと、整合部材保持軸としての回転軸AXと、整合部材回転駆動手段としての整合部材回転駆動モータM1と、が含まれる。
【0046】
整合部材30A、30Bをそれぞれ搭載する一対の摺動機構部30は用紙幅方向に移動可能に配設され、それぞれ一対の整合部材摺動駆動モータM2の駆動により用紙幅方向に往復動される。一対の摺動機構部30を用紙幅方向に移動する機構は、図示しない公知のリンク機構を用いるもので、一対の整合部材摺動駆動モータM2の回転動作を図示しないベルトやワイヤ等を用いて用紙幅方向の直線動作に変換している。
【0047】
排紙トレイ10Bに積載される用紙Pの上面の高さはセンサ(図示せず)により検知され、用紙Pの上面が常に一定高さになるように排紙トレイ10Bが上下に移動される。排紙トレイ10Bの上下移動はモータ(図示せず)の駆動により行われる。
【0048】
排紙トレイ10Bの上方には、一対の摺動機構部30の用紙幅方向の往復移動により用紙Pの側端部に接離して整合する一対の整合部材30A、30Bが設置されている(整合部材30Aが第1の整合部材であり、整合部材30Bが第2の整合部材である)。整合部材30A、30Bはそれぞれ回転軸AXを中心にする回転方向に回動(往復動)可能である。前述したように、用紙Pを整合する動作としては、図4(a)に実線で示す用紙整合位置での、排紙トレイ10Bに積載される複数枚の用紙Pを用紙幅方向に整合する動作と、中間スタッカ20に貯留される複数枚の用紙Pを用紙搬送方向に整合する動作がある。また、用紙Pに対する、中間スタッカ20又は排紙トレイ10B上での整合動作が行われないときには、整合部材30A、30Bは図4(a)に破線で示す上方退避位置に移動される。
【0049】
排紙トレイ10B上の用紙Pを整合するとき、一対の整合部材摺動駆動モータM2の駆動により一対の摺動機構部30が移動され、整合部材30A、30Bは、図4(b)に矢示するi、jの用紙幅方向に往復して移動される(整合位置によって整合部材30A、30Bのどちらかを往復移動させる)。そして、整合部材30A、30Bの用紙側端整合面が積載された用紙Pの少なくとも一辺の用紙側端部を叩いて用紙Pを用紙幅方向に整合する。整合部材30A、30B(一対の摺動機構部30)の往復移動は図4(a)に示す一対の整合部材摺動駆動モータM2により行われ、例えば図示のようなベルト及びプーリ等からなる伝達機構により一対の整合部材摺動駆動モータM2の駆動力が摺動機構部30に伝達される。一対の摺動機構部30のそれぞれの往復移動により、整合部材30A、30Bがそれぞれに往復移動する。
【0050】
搬送路に設置される排紙センサC2は、排紙トレイ10Bに排出される用紙Pを検出し、排紙センサC2による検出信号に基づいて排出される用紙Pの枚数を制御部101に内蔵されているカウンタCTが算出する。その算出結果が所定値に達し、シフト処理のため別の位置で用紙Pを整合させなければならない状態になると、制御部101は2つの整合部材回転駆動モータM1及び一対の整合部材摺動駆動モータM2の動作を制御し、一対の摺動機構部30を別の位置へと移動させる。一対の摺動機構部30の移動に伴い、整合部材30A、30Bがそれぞれ移動される。
【0051】
なお、本実施の形態においては、一対の整合部材30A、30Bをそれぞれ一対の摺動機構部30に搭載し、それぞれ一対の整合部材摺動駆動モータM2により用紙幅方向に往復動させる構成としたが、摺動機構部30を用いない構成としても良い。即ち、整合部材30A、30Bを回転軸AXに対して回転及び摺動自在に構成し、固定された一対の整合部材摺動駆動モータM2により整合部材30A、30Bをそれぞれに用紙幅方向に摺動させるという構成である。この構成においては、整合部材回転駆動モータM1も固定された状態とし、リンク機構により整合部材30A、30Bを回転させる構成となる。
【0052】
一方、2つの整合部材回転駆動モータM1の回動による、整合部材30A、30Bの複数の整合(用紙搬送方向の整合)位置への移動と、上方退避位置への移動は、光電センサからなる整合部材回転角度検出手段RSが出力する信号に基づいて行われる。中間スタッカ20に貯留される用紙Pを用紙搬送方向に整合する動作については図6を用いて後述する。
【0053】
図5は、整合部材回転駆動モータM1の回転により回転して変化する整合部材30A、30Bの高さ(角度)を検知する検知手段の機構を示す概略図である。整合部材30A、30Bの回転軸AXにはエンコーダRDが固定され、整合部材回転角度検出手段RSがエンコーダRDの回転位置を検知する。
【0054】
また、一対の整合部材摺動駆動モータM2の回転により整合部材30A、30Bは用紙幅方向に往復移動されるが、整合部材30A、30Bの用紙幅方向における位置についても、図5に示すエンコーダRDと整合部材回転角度検出手段RSを用いて検出できる。即ち、一対の整合部材摺動駆動モータM2にパルスモータを用い、エンコーダRDからの信号をパルスに変換して移動量を算出すれば良い。但し、この方式に限らず、他の位置検知センサを用いても良いことは言うまでもない。
【0055】
一方、排紙ローラ間隔調整モータM5は、図2で説明したように、制御部101の指令により駆動され、中間スタッカ20内の用紙Pの枚数及び厚みに応じて揺動アームを所定の角度だけ回転させ、駆動ローラ21Aと従動ローラ21Bとの間隔を変化させている。このとき、回転される揺動アームの回転角度についても、図5に示す整合部材30A、30Bの回転角度を設定する機構を用いることができるが、類似の構成であるため揺動アームについての機構の説明は省略する。
【0056】
図6は、本発明に係る整合部材30A、30Bを用いて、中間スタッカ20に貯留される用紙Pを用紙搬送方向に整合する構成及び動作について説明するための概略断面図である。対象となる用紙は、サイズの大きな(例えばA3サイズ)用紙P1、P2(ここではP1<P2とする)であり、用紙後端が中間スタッカ20の後端受け部材20Dに当接するとき、用紙先端が図示のように排紙ローラ対21から突出する大きさの用紙である。
【0057】
本発明に係る整合部材30A、30Bによれば、回転軸AXを中心として回動する動きを利用して、中間スタッカ20に貯留される用紙Pを用紙搬送方向に整合することができる。この整合動作は、用紙サイズに応じて変化させる複数の整合範囲において、整合部材30A、30Bを回動することにより行われる。この動作範囲は、用紙サイズ検出手段SSにより検出される用紙サイズに応じて、整合部材回転駆動モータM1の回動の動作範囲として決定され、整合部材回転角度検出手段RSが出力する信号に基づいて往復動の動作がなされる。
【0058】
図6に示すように、整合部材30A、30Bは、回転軸AXに嵌合して回転する回動動作(往復動動作)により中間スタッカ20に貯留される用紙P1、P2の先端に接離する当接部に形成され、曲面状又は多角面状の用紙先端整合部CV、を有している。用紙先端整合部CVは、整合部材30A、30Bの用紙側端整合面(排紙トレイ10B上の用紙Pの用紙端面に接離し、用紙Pを用紙幅方向に整合する面)の側縁部に形成される。図6において、断面図上での符号のPa、Pbは、用紙先端整合部CVに対する用紙P1又はP2の先端の当接点であり、Sa、Sbは、当接点Pa、Pbにおける用紙先端整合部CVの曲面に対する接線を表す。θは、接線Sa、Sbに対して用紙P1、P2が当接する角度を表す。
【0059】
図6(a)は、中間スタッカ20に貯留される用紙が排紙ローラ対21からの用紙先端の突出量の小さいサイズの用紙P1である場合における、整合部材30A、30Bが回動して用紙先端に接離する際の、用紙搬送方向の整合動作を説明するための概略図である。また同様に、図6(b)は、中間スタッカ20に貯留される用紙が排紙ローラ対21からの用紙先端突出量の大きい用紙P2である場合の、整合部材30A、30Bの用紙先端への接離の際の整合動作を説明するための概略図である。図6(c)は、整合部材30A、30Bの用紙先端整合部CVと、用紙先端整合部CVに当接する用紙P1、P2との位置関係を説明するための部分拡大図である。
【0060】
図6(a)において、用紙先端が排紙ローラ対21から突出する量が用紙P2より小さい用紙P1は、用紙先端整合部CVにおける用紙P1先端の当接点Paが用紙P2より回転軸AXに近い位置にあり、当接する角度θは略直角となるように設定されている。
【0061】
また、図6(b)においては、サイズの大きい用紙P2は、用紙先端の排紙ローラ対21から突出する量が用紙P1より大きく、それに伴い当接点Pbが用紙P1より回転軸AXから遠い位置となる。然るに、当接する角度θは用紙P1と同様に略直角な値となるように設定されている。
【0062】
図6(c)において、図示しない排紙ローラ対21から突出する用紙P2の先端が整合部材30A、30Bの用紙先端整合部CVに当接するときの位置関係を実線で示し、用紙P1の先端が用紙先端整合部CVに当接するときの位置関係を破線で示す。図6(c)に示すように、用紙P1の先端が用紙先端整合部CVに当接するときの当接点Paの回転軸AXからの距離L1は、用紙P2の先端が用紙先端整合部CVに当接するときの当接点Pbの距離L2よりΔLだけ短い。また、整合部材30A、30Bの用紙先端整合部CVから回転軸AXの近傍に向かう端面のなす角度は図6(c)の実線と破線で示すように変化している。このため、用紙先端整合部CVが直線状に形成されていると、ほぼ一定の角度で排出される用紙P1、P2に対する当接の角度が異なってしまい、適正(略直角)な当接角度とはならない。然るに、本発明に係る用紙先端整合部CVの形状は曲面又は多角面に形成されているため、用紙先端整合部CVから回転軸AXの近傍に向かう端面のなす角度が変化してもサイズの異なる用紙Pの先端と用紙先端整合部CVとのなす角度θは常に略直角となる。
【0063】
このように、整合部材30A、30Bの用紙先端整合部CVは、用紙P1、P2の長さの違いにより用紙先端に対する用紙先端整合部CVへの当接位置が変化しても、当接する角度θが略直角となるように用紙先端整合部CVが曲面又は多角面に形成されている。即ち、サイズの大きい用紙P1、P2は用紙先端位置が排紙ローラ対21から突出し、用紙搬送方向での整合が難しい状態にあるが、用紙先端整合部CVを用紙先端に対して直角に当接させ、用紙の剛性(腰)を利用することにより、適正な整合を可能にしている。このため、用紙先端整合部CVが用紙P1、P2の先端に当接するとき、用紙P1、P2は先端が用紙先端整合部CVの当接点Paからずれたり、用紙の途中から座屈したりすることがなく、用紙搬送方向に適正に整合される。この用紙搬送方向における整合動作は、2つの整合部材回転駆動モータM1が所定の回転角度で往復動して整合部材30A、30Bを左右に回動し、用紙先端整合部CVが用紙P1、P2の先端に接離する動作により行われる。
【0064】
本発明に係る整合部材30A、30Bの用紙先端整合部CVの形状を、用紙先端の当接する角度θが略直角となるように形成するため、大サイズの用紙に対しても用紙がずれたり座屈したりすることなく、用紙搬送方向における整合を適正に行うことができる。
【0065】
次に、図4で説明した用紙幅方向における整合動作に、シフト動作を加えた場合における整合部材30A、30Bの用紙幅方向における動作について、図7を用いて説明する。なお、用紙Pにより構成され、排紙トレイ10Bにおいてシフトされた用紙群を以下の説明では用紙束PP1、PP2、PP3と呼ぶ。
【0066】
図7は、排紙トレイ10Bにシフトされて積載される用紙Pを、用紙束毎に整合する動作を説明するための概略図である。
【0067】
図7のステップSP1で示すように、始めに、中間スタッカ20のシフト板20A、20Bによりシフトされた用紙束PP1が排紙トレイ10Bの図の左側に積載される。用紙束PP1を構成する用紙Pが排紙トレイ10Bに排出される毎に用紙束PP1は整合部材30A、30Bにより整合されるため、用紙束PP1を構成する用紙Pの端は揃っている。
【0068】
排紙トレイ10Bの用紙搬送方向上流側に設置された排紙センサC2の信号を利用することにより、用紙束PP1が所定枚数に達したと判断されると、ステップSP2で示すように整合部材30A、30Bが上方に回動し、排紙トレイ10Bの右側に移動する。整合部材30A、30Bの上方への回動は2つの整合部材回転駆動モータM1により行われ、整合部材30A、30Bの用紙幅方向への移動は一対の整合部材摺動駆動モータM2により行われる。用紙幅方向における整合部材30A、30Bの移動距離は、シフトのために中間スタッカ20のシフト板20A、20Bが用紙幅方向に移動する距離と同じである。
【0069】
整合部材30A、30Bが所定距離移動すると、ステップSP3で示すように第1の整合部材30Aの下端が用紙束PP1の上面に接触する位置まで第1の整合部材30Aが下方に回動し、第2の整合部材30Bはそれよりも下方に回動する。そして、ステップSP4に示すように中間スタッカ20のシフト板20A、20Bによりシフトされた用紙束PP2が用紙束PP1の上に積載される。用紙束PP1と同様に、用紙束PP2を構成する用紙Pが排紙トレイ10Bに排出される毎に整合部材30A、30Bにより整合されるため、用紙束PP2を構成する用紙Pの端は揃っている。
【0070】
更に排紙トレイ10Bの左側に用紙Pを排出して整合動作を実行する場合は、ステップSP5、ステップSP6で示すように整合部材30A、30Bを上方へ回動、水平移動、下方へ回動させる。そしてステップSP7に示すように、シフト板20A、20Bによりシフトされた用紙束PP3が用紙束PP2の上に積載される。このような手順により、後処理装置Bの左右2箇所において、用紙Pがシフトされ、且つ整合される。
【0071】
前述したように、整合部材30A、30Bが後処理装置Bの用紙幅方向に移動し、整合部材30A、30Bにより整合動作を実行する場合は、用紙Pが排紙トレイ10Bに排出される前に整合部材30A、30Bの水平方向の移動が完了していなければならない。また、整合部材30A、30Bが水平方向に移動するためには一定の時間がかかる。従って、連続して用紙Pを後処理装置Bに送り込む印刷ジョブの実行時には、整合部材30A、30Bの水平方向の移動時間を確保するため、場合によっては用紙Pを排紙トレイ10Bに排出させず、中間スタッカ20に複数枚の用紙Pをスタックする必要がある。しかし、用紙束が用紙1枚により構成される場合は、他の用紙束を構成する用紙Pと混在してしまうため、その1枚の用紙Pを中間スタッカ20に一時的にスタックすることができず、整合部材30A、30Bの水平方向の移動時間を確保することもできない。そこで、用紙束を構成するプリント枚数を考慮し、シフトされる1部当たりのプリント枚数が1枚である場合は、整合部材30A、30Bによる整合動作を実行しないように制御している。
【0072】
次に、本発明に係る一対の整合部材30A、30Bの詳細な構成の一例について図8を用いて説明する。
【0073】
図8は、第1の整合部材30Aの正面図であり、図4(a)において実線の位置にある第1の整合部材30Aの拡大構成図である。
【0074】
第1の整合部材30Aは回転軸AXで回転自在に支持された第1整合部30A1と第1整合部30A1により支持された第2整合部30A2とを備える。図示のように、第2整合部30A2は第1整合部30A1に設けられた凹部内に設けられ、30A2aで示す位置と30A2bで示す位置との間で、第1整合部30A1に対してスライド可能である。第1整合部30A1には長溝30A3が設けられ、長溝30A3には、第2整合部30A2に設けられたピン30A4が嵌入している。長溝30A3とピン30A4とによるガイドで、第2整合部30A2は第1整合部30A1に対して相対的に上下移動する。
【0075】
図8(a)は、第1の整合部材30Aが排紙トレイ10Bにも該排紙トレイ10B上に積載されている用紙Pの上面にも接触しない状態を示しており、この場合、第2整合部30A2がその自重で最も下の位置まで下がっている。図8(b)は、第1の整合部材30Aが排紙トレイ10B上に積載された用紙Pの上に載った状態を示す。
【0076】
図8(b)に示すように第1の整合部材30Aが用紙Pの上面に載ったときに、第1整合部30A1及び第2整合部30A2は、排紙トレイ10B上に積載された用紙Pに常に接触する。また、積載された用紙Pの最上位に新たに積載される用紙Pupに対し、第1の整合部材30Aは、図9に示すように第1整合部30A1の下端が点Q1で用紙Pupの端縁を規制するとともに、第2整合部30A2の下端が点Q2で用紙Pupの端縁を規制する。
【0077】
第2の整合部材30Bも第1の整合部材30Aと同様に図8に示した第1整合部30A1(第2の整合部材では、30B1となる)及び第2整合部30A2(同じく、30B2となる)を有しており、その構成及び動作は第1の整合部材30Aと同一である。そのため説明は省略する。
【0078】
図9は、本発明に係る整合部材30A、30Bの実施形態における整合作用を説明する図である。
【0079】
図9において、第2の整合部材30Bが用紙Pupの端縁Q0に接離して整合を行う際に、第1の整合部材30Aは用紙排出方向Wにおける異なる2点で位置規制を行う。即ち、第1整合部30A1の下端側部が図9における点Q1において用紙Pupの端縁の位置を規制し、第2整合部30A2の下端側部が図9における点Q2において、用紙Pupの端縁の位置を規制している。
【0080】
本実施の形態では、第1の整合部材30Aが用紙Pupの2箇所の端縁に当接する構成としているが、整合部材30A、30Bの構成を用紙Pupの左右それぞれ1箇所のみの端縁に当接する構成とすると、用紙のカールが大きいときに問題が発生する。即ち、用紙がカールすると、第1の整合部材30Aと第2の整合部材30Bとの用紙端縁に当接する高さに差異が生じ、その結果、第1の整合部材30A(又は第2の整合部材30B)の用紙Pupへの用紙排出方向Wにおける当接位置に差異を生じさせることになる。この原因は、整合部材30A、30Bが回転軸AXを回転中心として揺動する構成であるため、用紙Pupに当接する高さが変わると水平方向の位置が変化するためである。整合部材30A、30Bが用紙Pupの端縁に当接する箇所が左右それぞれ1箇所のみであれば、左右の当接位置が変化した場合には、整合動作により用紙Pupが用紙排出方向Wに対して左右いずれかに傾いてしまうおそれがある。
【0081】
然るに本実施の形態によれば、整合部材30A、30Bが載っている用紙束PPにカールがあり、整合部材30A、30Bの用紙Pupへの規制位置がQ1a、Q2aの位置にずれるような場合でも、規制位置が図9に示す2点であり、この問題は発生しない。
【符号の説明】
【0082】
7B 排出ローラ
10B 排紙トレイ(メイントレイ)
20 中間スタッカ
20A、20B シフト板
20C 用紙排出ベルト
20C1 用紙排出爪
20F 用紙後端受け部材
21 排紙ローラ対
21A 駆動ローラ
21B 従動ローラ
30 一対の摺動機構部
301 一方の摺動機構部
302 もう一方の摺動機構部
30A 第1の整合部材
30B 第2の整合部材
40 ステイプル処理部
A 画像形成装置
B 後処理装置(シート積載装置)
P、P1、P2、Pup 用紙
S シート
θ (用紙先端の)当接する角度
AX 回転軸(整合部材保持軸)
C1 入口センサ
C2 排紙センサ
CT カウンタ
CV 用紙先端整合部
M1 整合部材回転駆動モータ(整合部材回転駆動手段)
M2 整合部材摺動駆動モータ(整合部材摺動駆動手段)
M3 用紙搬送モータ
M4 後端受け部材移動モータ
M5 排紙ローラ間隔調整モータ
MN 用紙枚数情報入力手段
PN ピニオン
Pa、Pb 当接点
RC ラック
RD エンコーダ
RS 整合部材回転角度検出手段
SS 用紙サイズ検出手段
Sa、Sb (曲面に対する)接線
TS 用紙厚み検出手段
101 制御部
PP1、PP2、PP3 用紙束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の用紙を貯留する用紙貯留部と、
前記用紙貯留部に貯留される複数枚の用紙に後処理を行う後処理機構部と、
前記後処理を終えた複数枚の用紙を前記用紙貯留部から排出する用紙排出手段と、
前記用紙貯留部から排出された複数枚の用紙を積載する排紙トレイと、
前記用紙貯留部に貯留された複数枚の用紙に対し、用紙搬送方向における整合を行うとともに、前記排紙トレイに積載された複数枚の用紙に対し、用紙搬送方向と直角な用紙幅方向における整合を行う整合手段と、
を有することを特徴とする後処理装置。
【請求項2】
前記整合手段は、用紙端面に接離して用紙を整合する整合部材と、前記整合部材を回転自在に保持する整合部材保持軸と、前記整合部材保持軸を中心として、前記整合部材を回転方向に往復動させる整合部材回転駆動手段と、前記整合部材を前記用紙幅方向に往復動させる整合部材摺動駆動手段と、を有し、
前記整合部材は、前記整合部材保持軸に直角な面として形成される用紙側端整合面と、前記用紙側端整合面の側縁部に形成される用紙先端整合部と、を備え、かつ、前記整合部材摺動駆動手段の駆動により、前記用紙側端整合面が前記排紙トレイに積載された複数枚の用紙の用紙側端部に接離して用紙を用紙幅方向に整合するとともに、前記整合部材回転駆動手段の駆動により、前記用紙先端整合部が前記用紙貯留部に貯留された複数枚の用紙の用紙先端に接離して用紙を用紙搬送方向に整合することを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記整合部材の前記整合部材回転駆動手段による回転方向への往復動の動作は、前記用紙貯留部に貯留される用紙の用紙搬送方向におけるサイズに応じて、動作範囲となる角度を変化させて行われることを特徴とする請求項2に記載の後処理装置。
【請求項4】
前記用紙貯留部は、貯留する用紙の用紙搬送方向の後端を受ける、用紙搬送方向に移動可能な用紙後端受け部材を備え、
前記用紙後端受け部材は、前記用紙貯留部に貯留される用紙の用紙搬送方向におけるサイズに応じて、移動されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の後処理装置。
【請求項5】
前記整合部材の前記用紙先端整合部は、前記用紙貯留部に貯留される用紙の用紙搬送方向におけるサイズに応じて変化する用紙先端位置に対応し、用紙先端に当接する当接部における用紙との角度が略直角となるような曲面又は多角面として形成されることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の後処理装置。
【請求項6】
前記用紙排出手段は、用紙を前記排紙トレイへと排出する排紙ローラ対を有しており、
前記排紙ローラ対は、前記用紙貯留部に貯留される複数枚の用紙の厚み又は枚数に応じて前記排紙ローラ対のローラ間隔を変化させることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の後処理装置。
【請求項7】
用紙に対して画像を形成する画像形成装置と、該画像形成装置で画像が形成された用紙に対して後処理を行う請求項1から6のいずれか1項に記載の後処理装置と、を備えたことを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−41134(P2012−41134A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183726(P2010−183726)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】