後方視界支援システム
【課題】車両の2列目、3列目に同乗者がいても車両の後方を視認することができる後方視界支援システムを提供すること。
【解決手段】車両後方を撮像して車両後方画像を取得する撮像手段5と、車両3の状態に応じて、前記車両後方画像の一部を切り出して切出画像を設定する制御手段9と、車室内に設けられ、前記切出画像を表示する表示手段7と、を備えることを特徴とする後方視界支援システム1。前記制御手段9は、前記切出画像における下部にマスク11をオーバーレイすることが好ましい。前記制御手段9は、前記切出画像中に自車両の後部に対応する表示13を行うことが好ましい。
【解決手段】車両後方を撮像して車両後方画像を取得する撮像手段5と、車両3の状態に応じて、前記車両後方画像の一部を切り出して切出画像を設定する制御手段9と、車室内に設けられ、前記切出画像を表示する表示手段7と、を備えることを特徴とする後方視界支援システム1。前記制御手段9は、前記切出画像における下部にマスク11をオーバーレイすることが好ましい。前記制御手段9は、前記切出画像中に自車両の後部に対応する表示13を行うことが好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は後方視界支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車載カメラによって車外の画像を取得し、その画像を車内のモニタに表示する技術が知られている。特開平9−202180号公報(特許文献1)では、車両の左右に搭載された車載カメラにより、車両の左右の画像を取得する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−202180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は自車両の左右方向を視認するための技術であり、従来、ドライバが車両の後方を視認するためには、車室内に設置された光学ルームミラーが用いられてきた。しかしながら、車両の2列目、3列目に同乗者がいた場合、光学ルームミラーの視界が同乗者によって遮られ、後方の視認が困難になる場合があった。
【0005】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、車両の2列目、3列目に同乗者がいてもドライバが車両の後方を視認することができる後方視界支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の後方視界支援システムは、車両後方を撮像して車両後方画像を取得する撮像手段と、車両の状態に応じて、前記車両後方画像の一部を切り出して切出画像を設定する制御手段と、車室内に設けられ、前記切出画像を表示する表示手段とを備える。
【0007】
発明の後方視界支援システムによれば、撮像手段で撮影した車両後方画像の一部を切り出した切出画像を表示手段に表示することができる。そのため、車両の2列目、3列目のシートに同乗者がいる場合でも、後方を視認することができる。
【0008】
また、本発明の後方視界支援システムは、車両後方画像の一部を切り出した切出画像を表示手段に表示するので、車両後方画像をそのまま表示する場合よりも、ドライバは後方を視認し易くなる。
【0009】
本発明の後方視界支援システムにおいて、前記制御手段は、前記切出画像における下部にマスクをオーバーレイすることが好ましい。切出画像における下部にマスクをオーバーレイすることにより、切出画像において路面の流れが映し出される領域が少なくなるので、ドライバが感じる煩わしさを軽減できる。
【0010】
本発明の後方視界支援システムにおいて、前記制御手段は、前記切出画像中に自車両の後部に対応する表示を行うことが好ましい。自車両の後部に対応する表示(例えば、自車両の後部の輪郭を現す輪郭線)を表示することにより、自車両と、切出画像中に表示された後方の他車との位置関係を直感的に理解することができる。
【0011】
本発明の後方視界支援システムは、前記車両の車速を検出する車速検出手段を備え、前記制御手段は、前記車速が高いほど、前記切出画像を狭く設定することが好ましい。一般に車速が高いほど、車間距離は大きくなり、車両後方画像における後方の他車は小さく表示されるが、上記のように、車速が高いほど切出画像の領域を狭くすることで、切出画像に占める後方の他車の割合を大きくし、視認を容易にすることができる。
【0012】
本発明の後方視界支援システムにおいて、前記制御手段は、前記車速の変化に応じて前記切出画像を変更し、前記表示手段に表示する切出画像を遷移させる場合、モーフィングにより遷移を行い、前記遷移を行うときの前記車速が高いほど、モーフィングの速度が高いことが好ましい。
【0013】
表示手段に表示する切出画像を遷移させる場合、モーフィングを用いることにより、画像の遷移を滑らかに行うことができ、ドライバに違和感を感じさせることがない。また、車両の車速が高いほど、モーフィングの速度を高く設定するので、車両の車速が高く、後方の視界を素早く得る必要がある場合に、モーフィングが過度に長く継続してしまうようなことがない。
【0014】
本発明の後方視界支援システムにおいて、前記車両のウインカの状態を検出するウインカ検出手段を備え、前記制御手段は、前記ウインカが右を指示している場合、前記ウインカが中立の場合よりも、前記切出画像の前記車両後方画像における位置を右寄りとし、前記ウインカが左を指示している場合、前記ウインカが中立の場合よりも、前記切出画像の前記車両後方画像における位置を左寄りとすることが好ましい。このようにすることにより、運転状況に応じ、ドライバにとって必要な視界を確保することができる。
【0015】
本発明の後方視界支援システムにおいて、前記制御手段は、前記ウインカの状態の変化に応じて前記切出画像を変更し、前記表示手段に表示する切出画像を遷移させる場合、モーフィングにより遷移を行い、ウインカの状態が中立以外から中立に変化する場合のモーフィングの速度は、その逆の変化の場合のモーフィングの速度よりも高いことが好ましい。
【0016】
一般に、ウインカの状態が中立以外から中立に変化する場合は、車線変更等が終了し、すぐに後方を確認する必要がある状況であるが、上記のように、この場合のモーフィングの速度を高くすることにより、モーフィングを短時間で終了させ、後方の視界を素早く得ることが可能になる。
【0017】
本発明の後方視界支援システムにおいて、 前記車両のハザードの状態を検出するハザード検出手段を備え、前記制御手段は、前記ハザードがONの場合は、前記ハザードがOFFの場合よりも、前記切出画像を広くすることが好ましい。一般に、ハザードがONである場合は、縦列駐車を行う場合等、後方の広い視野が必要な状況であるが、上記のようにハザードがONの場合、切出画像を広くすることで、縦列駐車等が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】後方視界支援システム1の構成を表すブロック図である。
【図2】車両3におけるディスプレイ7の配置を表す説明図である。
【図3】後方切出画像を表す説明図であって、(a)は「後方切出画像(低車速又は停止)」であり、(b)は「後方切出画像(中車速)」であり、(c)は「後方切出画像(高車速)」である。
【図4】左後方切出画像を表す説明図であって、(a)は「左後方切出画像(低車速又は停止)」であり、(b)は「左後方切出画像(中車速)」であり、(c)は「左後方切出画像(高車速)」である。
【図5】右後方切出画像を表す説明図であって、(a)は「右後方切出画像(低車速又は停止)」であり、(b)は「右後方切出画像(中車速)」であり、(c)は「右後方切出画像(高車速)」である。
【図6】(a)は左縦列駐車画像を表す説明図であり、(b)は後方監視画像を表す説明図であり、(c)は右縦列駐車画像を表す説明図である。
【図7】停止又は後退時画像を表す説明図である。
【図8】停止又は後退時画像(a)と、「後方切出画像(低車速又は停止)」(b)と、「右後方切出画像(低車速又は停止)」(c)との位置関係を示す説明図である。
【図9】後方視界支援システム1が実行するメイン処理を表すフローチャートである。
【図10】後方視界支援システム1が実行する初期画面遷移処理を表すフローチャートである。
【図11】後方視界支援システム1が実行する画面遷移処理を表すフローチャートである。
【図12】後方視界支援システム1が実行する左後方切出画面遷移処理を表すフローチャートである。
【図13】後方視界支援システム1が実行する左縦列駐車画面遷移処理を表すフローチャートである。
【図14】後方視界支援システム1が実行する後方切出画面遷移処理を表すフローチャートである。
【図15】後方視界支援システム1が実行する後方監視画面遷移処理を表すフローチャートである。
【図16】後方視界支援システム1が実行する右後方切出画面遷移処理を表すフローチャートである。
【図17】後方視界支援システム1が実行する右縦列駐車画面遷移処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
1.後方視界支援システム1の構成
後方視界支援システム1の構成を図1に基づいて説明する。後方視界支援システム1は、車両3に搭載される車載システムであって、車両3の後方を撮像するカメラ(撮像手段)5と、車両3の車室内に設けられ、カメラ5で撮像した画像の全体又はその一部を表示するディスプレイ(表示手段)7と、ECU(制御手段)9とから構成される。
【0020】
ECU9は、カメラ5の電源、及びGNDを供給するとともに、カメラ5との間で通信を行い、カメラ5を制御する。そのカメラ5の制御には、車両3の状態に応じて、後述する車両後方画像の一部を切り出して切出画像を設定する処理が含まれる。また、ECU9は、周知のセンサを用いて、車両3におけるシフトの状態、車速、ウインカの状態(左、右、中立)、ハザードのON/OFF等を取得し、それらを用いて後述する処理を実行する。
【0021】
カメラ5は、車両3の後端に取り付けられており、図1における角度Xで表す広い範囲の画像(以下、車両後方画像とする)を取得することができる。また、カメラ5は、ECU9からの指令により、車両後方画像における一部の領域を切り出すことができる。カメラ5は、車両後方画像、又は切り出した画像(以下、切出画像とする)の映像信号をディスプレイ7に出力する。切出画像としては、図1における角度Yで表される、車両3の真後ろを中心とする範囲の画像や、図1における角度Zで表される、車両3の左寄りの領域の画像等がある。切出画像について詳しくは後述する。
【0022】
ディスプレイ7は、車両後方画像、又は切出画像を表示する。なお、車両後方画像に占める切出画像の領域が狭い場合は拡大して、ディスプレイ7における表示サイズが常に一定となるようにする。ディスプレイ7は、図2に示すように、車両3の車室内のうち、インパネに設けることができる。また、ディスプレイ7は、車室内における他の場所(例えばルームミラーの位置等)に設けることもできる。
【0023】
2.ディスプレイ7に表示する画像の種類
後方視界支援システム1がディスプレイ7に表示する画像としては、以下に示すものがある。
(1)後方切出画像
後方切出画像は、車両後方画像のうち、左右方向における中央であり、上下方向における上寄りの領域を切り出した画像である。よって、後方切出画像は、車両後方画像よりも狭い領域を表す画像である。後方切出画像は、図3の(a)に示す「後方切出画像(低車速又は停止)」と、図3の(b)に示す「後方切出画像(中車速)」と、図3の(c)に示す「後方切出画像(高車速)」との3種類がある。
【0024】
「後方切出画像(中車速)」は、「後方切出画像(低車速又は停止)」の一部の領域(「後方切出画像(低車速又は停止)」よりも狭い領域)の画像であり、「後方切出画像(高車速)」は、「後方切出画像(中車速)」の一部の領域(「後方切出画像(中車速)」よりも狭い領域)の画像である。
「後方切出画像(低車速又は停止)」、「後方切出画像(中車速)」、及び「後方切出画像(高車速)」の下部には、それぞれ、画像を覆い隠すマスク11がオーバーレイされている。また、マスク11上に、車両3の後部の輪郭を現す輪郭線13が表示されている。
(2)左後方切出画像
左後方切出画像は、車両後方画像のうち、左右方向における左寄りであり、上下方向における上寄りの領域を切り出した画像である。よって、左後方切出画像は、車両後方画像よりも狭い領域を表す画像である。左後方切出画像は、車両3の真後ろ方向を、その左右方向の境界とする。そのため、車両3の真後ろに位置する他車の半車幅が表示される。
【0025】
左後方切出画像は、図4の(a)に示す「左後方切出画像(低車速又は停止)」と、図4の(b)に示す「左後方切出画像(中車速)」と、図4の(c)に示す「左後方切出画像(高車速)」との3種類がある。
【0026】
「左後方切出画像(中車速)」は、「左後方切出画像(低車速又は停止)」の一部の領域(「左後方切出画像(低車速又は停止)」よりも狭い領域)の画像であり、「左後方切出画像(高車速)」は、「左後方切出画像(中車速)」の一部の領域(「左後方切出画像(中車速)」よりも狭い領域)の画像である。
「左後方切出画像(低車速又は停止)」が表示する領域の広さは、「後方切出画像(低車速又は停止)」が表示する領域の広さと同じである。また、「左後方切出画像(中車速)」が表示する領域の広さは、「後方切出画像(中車速)」が表示する領域の広さと同じである。また、「左後方切出画像(高車速)」が表示する領域の広さは、「後方切出画像(高車速)」が表示する領域の広さと同じである。
「左後方切出画像(低車速又は停止)」、「左後方切出画像(中車速)」、及び「左後方切出画像(高車速)」の下部には、それぞれ、画像を覆い隠すマスク11がオーバーレイされている。また、マスク11上に、車両3の後部の輪郭を現す輪郭線13が表示されている。
【0027】
なお、本明細書において、特に断りがない限り、左右とは、進行方向を向いたドライバにとっての左右を意味する。
(3)右後方切出画像
右後方切出画像は、車両後方画像のうち、左右方向における右寄りであり、上下方向における上寄りの領域を切り出した画像である。よって、右後方切出画像は、車両後方画像よりも狭い領域を表す画像である。右後方切出画像は、車両3の真後ろ方向を、その左右方向の境界とする。右後方切出画像には、そのため、車両3の真後ろに位置する他車の半車幅が表示される。
【0028】
右後方切出画像は、図5の(a)に示す「右後方切出画像(低車速又は停止)」と、図5の(b)に示す「右後方切出画像(中車速)」と、図5の(c)に示す「右後方切出画像(高車速)」との3種類がある。
【0029】
「右後方切出画像(中車速)」は、「右後方切出画像(低車速又は停止)」の一部の領域(「右後方切出画像(低車速又は停止)」よりも狭い領域)の画像であり、「右後方切出画像(高車速)」は、「右後方切出画像(中車速)」の一部の領域(「右後方切出画像(中車速)」よりも狭い領域)の画像である。
「右後方切出画像(低車速又は停止)」が表示する領域の広さは、「後方切出画像(低車速又は停止)」及び「左後方切出画像(低車速又は停止)」が表示する領域の広さと同じである。また、「右後方切出画像(中車速)」が表示する領域の広さは、「後方切出画像(中車速)」及び「左後方切出画像(中車速)」が表示する領域の広さと同じである。また、「右後方切出画像(高車速)」が表示する領域の広さは、「後方切出画像(高車速)」及び「左後方切出画像(高車速)」が表示する領域の広さと同じである。
「右後方切出画像(低車速又は停止)」、「右後方切出画像(中車速)」、及び「右後方切出画像(高車速)」の下部には、それぞれ、画像を覆い隠すマスク11がオーバーレイされている。また、マスク11上に、車両3の後部の輪郭を現す輪郭線13が表示されている。
(4)左縦列駐車画像
左縦列駐車画像は、図6(a)に示す画像であって、車両後方画像のうち、左右方向における左寄りの領域を切り出した画像である。左縦列駐車画像は、「左後方切出画像(低車速又は停止)」の領域を全て含み、さらにその周囲の領域も含む(「左後方切出画像(低車速又は停止)」よりも広い領域の)画像である。
【0030】
左縦列駐車画像の下部には、マスク11がオーバーレイされている。また、マスク11上に、車両3の後部の輪郭を現す輪郭線13が表示されている。
(5)後方監視画像
後方監視画像は、図6(b)に示す画像であって、車両後方画像のうち、左右方向における中央の領域を切り出した画像である。後方監視画像は、「後方切出画像(低車速又は停止)」の領域を全て含み、さらにその周囲の領域も含む(「後方切出画像(低車速又は停止)」よりも広い領域の)画像である。
(6)右縦列駐車画像
右縦列駐車画像は、図6(c)に示す画像であって、車両後方画像のうち、左右方向における右寄りの領域を切り出した画像である。右縦列駐車画像は、「右後方切出画像(低車速又は停止)」の領域を全て含み、さらにその周囲の領域も含む(「右後方切出画像(低車速又は停止)」よりも広い領域の)画像である。
【0031】
右縦列駐車画像の下部には、マスク11がオーバーレイされている。また、マスク11上に、車両3の後部の輪郭を現す輪郭線13が表示されている。
(7)停止又は後退時画像
停止又は後退時画像は図7に示す画像であって、車両後方画像の全領域を含む画像である。停止又は後退時画像は、その左右方向における中央が、車両3の真後ろの方向に該当する。また、停止又は後退時画像は、後方切出画像、左後方切出画像、右後方切出画像、左縦列駐車画像、後方監視画像、右縦列駐車画像のいずれよりも広い領域を表示する。
【0032】
なお、図8に、停止又は後退時画像と、「後方切出画像(低車速又は停止)」と、「右後方切出画像(低車速又は停止)」との位置関係を示す。図8(a)は停止又は後退時画像である。この停止又は後退時画像における領域Pが、「後方切出画像(低車速又は停止)」(図8(b))に対応する領域である。また、停止又は後退時画像における領域Qが、「右後方切出画像(低車速又は停止)」(図8(c))に対応する領域である。
【0033】
3.後方視界支援システム1が実行する処理
後方視界支援システム1が実行する処理を図9〜図17のフローチャートに基づいて説明する。
(1)まず、メイン処理を図9のフローチャートに基づいて説明する。メイン処理は、車両3のイグニッションがONとなったときに実行される。
【0034】
ステップ10では、初期画面遷移処理を実行する。この初期画面遷移処理については後述する。
ステップ20では、初期画面遷移処理を実行してから所定時間が経過したか否かを判断する。所定時間が経過している場合はステップ30に進み、未だ所定時間が経過していない場合はステップ20に留まる。
【0035】
ステップ30では停止時画面遷移処理を実行する。この処理は、ディスプレイ7に表示する画像を、それまで表示されていた画像から、停止又は後退時画像(図7参照)に遷移させる処理である。
【0036】
ステップ40では、その時点における車両3のシフト情報(前進、停止、後退のいずれであるか)を取得する。
ステップ50では、その時点における車両3のウインカ情報(中立、右折、左折のいずれであるか)を取得する。
【0037】
ステップ60では、その時点における車両3のハザード情報(ハザードがON、OFFのいずれであるか)を取得する。
ステップ70では、その時点における車両3の車速を取得する。
【0038】
ステップ80では、直前の前記ステップ30〜70で取得したシフト情報、ウインカ情報、ハザード情報、車速のいずれかが、その前の回における前記ステップ30〜70で取得したものに比べて変化しているか否かを判断する。いずれも変化がない場合はステップ90に進み、ディスプレイ7の画面をそのままに保持する(表示する画像の種類を変えない)。一方、シフト情報、ウインカ情報、ハザード情報、車速のいずれかに変化がある場合はステップ100に進み、画面遷移処理を実行する。この画面遷移処理については後述する。
(2)次に、初期画面遷移処理を、図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0039】
ステップ110では、モーフィング速度を、「低」に設定する。ここで、モーフィングとは、遷移前の画像から、遷移後の画像へと、徐々に変化してゆくことを意味する。例えば、最初は、遷移前の画像の割合が100%であったが、徐々に遷移後の画像の割合が増え、最後は遷移後の画像の割合が100%になる。モーフィング速度は、モーフィングにおける遷移の速さである。モーフィング速度には、低、中、高の3段階がある。モーフィング速度が高いほど、モーフィングは短時間で終了する。設定したモーフィング速度は、モーフィング速度を再設定するまで、以降のモーフィングにおいて使用される。
【0040】
ステップ120では、ディスプレイ7に表示する画像を、それまで表示されていた画像から、「左後方切出画像(低車速又は停止)」にモーフィングする。
ステップ130では、ディスプレイ7に表示する画像を、「左後方切出画像(低車速又は停止)」から、「右後方切出画像(低車速又は停止)」にモーフィングする。
【0041】
ステップ140では、ディスプレイ7に表示する画像を、「右後方切出画像(低車速又は停止)」から、「後方切出画像(低車速又は停止)」へモーフィングする。
(3)次に、画面遷移処理を、図11のフローチャートに基づいて説明する。
【0042】
ステップ210では、直前の前記ステップ40で取得したシフト情報に基づき、車両3のシフトの状態を判定する。停止の場合はステップ220の停止時画面遷移処理に進み、停止又は後退時画像をディスプレイ7に表示する。また、シフトが後退の場合はステップ230の後退時画面遷移処理に進み、停止又は後退時画像をディスプレイ7に表示する。また、シフトが前進の場合はステップ240に進む。
【0043】
ステップ240では、前回の(「直前の」よりも1回前の)前記ステップ40で取得したシフト情報に基づき、車両3における前回のシフトの状態を判定する。後退以外であった場合はステップ250に進み、後退であった場合はステップ350に進む。
【0044】
ステップ250では、直前の前記ステップ50で取得したウインカ情報に基づき、ウインカの状態を判定する。左折の場合はステップ260に進み、中立の場合はステップ270に進み、右折の場合はステップ280に進む。
【0045】
ステップ260、270、280では、それぞれ、直前の前記ステップ60で取得したハザード情報に基づき、ハザードの状態(ONかOFFか)を判定する。
ステップ260でハザードOFFと判定した場合はステップ290の左後方切出画面遷移処理に進む。ステップ260でハザードONと判定した場合はステップ300の左縦列駐車画面遷移処理に進む。なお、左後方切出画面遷移処理、及び左縦列駐車画面遷移処理については後述する。
【0046】
また、ステップ270でハザードOFFと判定した場合はステップ300の後方切出画面遷移処理に進む。ステップ270でハザードONと判定した場合はステップ320の後方監視画面遷移処理に進む。なお、後方切出画面遷移処理、及び後方監視画面遷移処理については後述する。
【0047】
また、ステップ280でハザードOFFと判定した場合はステップ330の右後方切出画面遷移処理に進む。ステップ280でハザードONと判定した場合はステップ340の右縦列駐車画面遷移処理に進む。なお、右後方切出画面遷移処理、及び右縦列駐車画面遷移処理については後述する。
【0048】
一方、前記ステップ240で前回のシフトが後退であったと判定した場合はステップ350に進む。ステップ350では、直前の前記ステップ70で取得した車速情報に基づき、車両3の車速を取得し、その車速が所定の車速V1以上であるか否かを判定する。V1以上である場合はステップ250に進み、V1未満である場合はステップ360に進む。
【0049】
ステップ360では、ディスプレイ7の画面をそのままに保持する(表示する画像の種類を変えない)。
ステップ370では、シフト情報を新たに取得し、車両3におけるシフトの状態が前進以外へ変化したか否かを判定する。前進以外に変化した場合は本処理を終了し、前進のままである場合はステップ350に進む。
(4)次に、左後方切出画面遷移処理を図12のフローチャートに基づいて説明する。
【0050】
ステップ410では、ディスプレイ7に表示するべき画像を設定する。具体的には、直前の前記ステップ70で取得した車速が、「低車速」、「中車速」、「高車速」のいずれに該当するかを判断し、その判断結果に応じて、以下のように、ディスプレイ7に表示するべき画像を設定する。
【0051】
「低車速」の場合:「左後方切出画像(低車速又は停止)」
「中車速」の場合:「左後方切出画像(中車速)」
「高車速」の場合:「左後方切出画像(高車速)」
なお、所定の基準速度を、Va、Vbとしたとき(Va<Vb)、「低車速」は、Va未満の車速であり、「中車速」はVa以上、Vb未満の車速であり、「高車速」はVb以上の車速である。
【0052】
ステップ420では、前記ステップ410で設定した画像が、その時点でディスプレイ7に表示している画像と異なるものであるか否かを判断する。異なる場合はステップ430に進み、同一である場合はステップ460に進む。
【0053】
ステップ430では、ディスプレイ7の画像を遷移させる経路を設定する。具体的には、以下のように行う。
(ア)その時点でディスプレイ7に表示している画像が、右後方切出画像の場合:まず、後方切出画像にモーフィングし、次に、前記ステップ410で設定した左後方切出画像にモーフィングする。経由する後方切出画像は、前記ステップ410で設定した左後方切出画像が「左後方切出画像(低車速又は停止)」の場合は「後方切出画像(低車速又は停止)」とし、「左後方切出画像(中車速)」の場合は「後方切出画像(中車速)」とし、「左後方切出画像(高車速)」の場合は「後方切出画像(高車速)」とする。
【0054】
(イ)その時点でディスプレイ7の表示している画像が「左後方切出画像(低車速又は停止)」であり、前記ステップ410で設定した画像が「左後方切出画像(高車速)」である場合:まず、「左後方切出画像(中車速)」にモーフィングし、次に、「左後方切出画像(高車速)」にモーフィングする。
【0055】
(ウ)その時点でディスプレイ7に表示している画像が「左後方切出画像(高車速)」であり、前記ステップ410で設定した画像が「左後方切出画像(低車速又は停止)」である場合:まず、「左後方切出画像(中車速)」にモーフィングし、次に、「左後方切出画像(低車速又は停止)」にモーフィングする。
【0056】
(エ)前記(ア)〜(ウ)以外の場合:その時点でディスプレイ7に表示している画像から、前記ステップ410で設定した左後方切出画像にモーフィングする。
ステップ440では、モーフィング速度を設定する。モーフィング速度は、基本的には、前記ステップ410で設定した画面に応じて、以下のように設定する。
【0057】
「左後方切出画像(低車速又は停止)」の場合:「低」
「左後方切出画像(中車速)」の場合:「中」
「左後方切出画像(高車速)」の場合:「高」
ただし、前記(ア)の場合、後方切出画像にモーフィングするときのモーフィング速度は「高」とし、左後方切出画像にモーフィングするときのモーフィング速度は上記のように、前記ステップ410で設定した画面に応じて設定する。
【0058】
また、前記(イ)の場合、「左後方切出画像(中車速)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「中」とし、「左後方切出画像(高車速)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「高」とする。
【0059】
また、前記(ウ)の場合、「左後方切出画像(中車速)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「中」とし、「左後方切出画像(低車速又は停止)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「低」とする。
【0060】
また、前回の(「直前の」よりも1回前の)前記ステップ60で取得したハザード情報がONであった場合は、前記ステップ410で設定した画面が何であっても、「高」とする。
【0061】
ステップ450では、前記ステップ430で設定した画像遷移の経路、及び前記ステップ440で設定したモーフィング速度により、画像遷移を行う。
一方、前記ステップ420で、前記ステップ410で設定した画像が、その時点でディスプレイ7に表示している画像と同じであると判断した場合はステップ460に進み、ディスプレイ7の画面をそのままに保持する(表示する画像の種類を変えない)。
(5)次に、左縦列駐車画面遷移処理を図13のフローチャートに基づいて説明する。
【0062】
ステップ510では、前回の(「直前の」よりも1回前の)前記ステップ40で取得したシフト情報に基づき、車両3における前回のシフトの状態を判定する。停止又は後退であった場合はステップ520に進み、前進であった場合はステップ540に進む。
【0063】
ステップ520では、モーフィング速度を「低」に設定する。
ステップ530では、ディスプレイ7に表示する画像を、「左後方切出画面(低車速又は停止)」にモーフィングする。このときのモーフィング速度は前記ステップ520で設定した「低」である。
【0064】
ステップ540では、モーフィング速度を「中」に設定する。
ステップ550では、ディスプレイ7に表示する画像を、左縦列駐車画像にモーフィングする。このときのモーフィング速度は前記ステップ540で設定した「中」である。
(6)次に、後方切出画面遷移処理を図14のフローチャートに基づいて説明する。
【0065】
ステップ610では、ディスプレイ7に表示するべき画像を設定する。具体的には、直前の前記ステップ70で取得した車速が、「低車速」、「中車速」、「高車速」のいずれに該当するかを判断し、その判断結果に応じて、以下のように、ディスプレイ7に表示するべき画像を設定する。
【0066】
「低車速」の場合:「後方切出画像(低車速又は停止)」
「中車速」の場合:「後方切出画像(中車速)」
「高車速」の場合:「後方切出画像(高車速)」
なお、所定の基準速度を、Va、Vbとしたとき(Va<Vb)、「低車速」は、Va未満の車速であり、「中車速」はVa以上、Vb未満の車速であり、「高車速」はVb以上の車速である。
【0067】
ステップ620では、前記ステップ610で設定した画像が、その時点でディスプレイ7に表示している画像と異なるものであるか否かを判断する。異なる場合はステップ630に進み、同一である場合はステップ660に進む。
【0068】
ステップ630では、ディスプレイ7の画像を遷移させる経路を設定する。具体的には、以下のように行う。
(オ)その時点でディスプレイ7の表示している画像が「後方切出画像(低車速又は停止)」であり、前記ステップ610で設定した画像が「後方切出画像(高車速)」である場合:まず、「後方切出画像(中車速)」にモーフィングし、次に、「後方切出画像(高車速)」にモーフィングする。
【0069】
(カ)その時点でディスプレイ7に表示している画像が「後方切出画像(高車速)」であり、前記ステップ610で設定した画像が「後方切出画像(低車速又は停止)」である場合:まず、「後方切出画像(中車速)」にモーフィングし、次に、「後方切出画像(低車速又は停止)」にモーフィングする。
【0070】
(キ)前記(オ)〜(カ)以外の場合:その時点でディスプレイ7に表示している画像から、前記ステップ610で設定した左後方切出画像にモーフィングする。
ステップ640では、モーフィング速度を設定する。モーフィング速度は、基本的には、前記ステップ610で設定した画面に応じて、以下のように設定する。
【0071】
「後方切出画像(低車速又は停止)」の場合:「低」
「後方切出画像(中車速)」の場合:「中」
「後方切出画像(高車速)」の場合:「高」
また、前記(オ)の場合、「後方切出画像(中車速)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「中」とし、「後方切出画像(高車速)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「高」とする。
【0072】
また、前記(カ)の場合、「後方切出画像(中車速)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「中」とし、「後方切出画像(低車速又は停止)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「低」とする。
【0073】
また、前回の(「直前の」よりも1回前の)前記ステップ50で取得したウインカ情報が中立以外であるか、前回の(「直前の」よりも1回前の)前記ステップ60で取得したハザード情報がONであった場合は、前記ステップ610で設定した画面が何であっても、「高」とする。
【0074】
また、前回の(「直前の」よりも1回前の)前記ステップ40で取得したシフト情報が停止又は後退であった場合は、前記ステップ610で設定した画面が何であっても、「低」とする。
【0075】
ステップ650では、前記ステップ630で設定した画像遷移の経路、及び前記ステップ640で設定したモーフィング速度により、画像遷移を行う。
一方、前記ステップ620で、前記ステップ610で設定した画像が、その時点でディスプレイ7に表示している画像と同じであると判断した場合はステップ660に進み、ディスプレイ7の画面をそのままに保持する(表示する画像の種類を変えない)。
(7)次に、後方監視画面遷移処理を図15のフローチャートに基づいて説明する。
【0076】
ステップ710では、前回の(「直前の」よりも1回前の)前記ステップ40で取得したシフト情報に基づき、車両3における前回のシフトの状態を判定する。停止又は後退であった場合はステップ720に進み、前進であった場合はステップ740に進む。
【0077】
ステップ720では、モーフィング速度を「低」に設定する。
ステップ730では、ディスプレイ7に表示する画像を、「後方切出画面(低車速又は停止)」にモーフィングする。このときのモーフィング速度は前記ステップ720で設定した「低」である。
【0078】
ステップ740では、モーフィング速度を「中」に設定する。
ステップ750では、ディスプレイ7に表示する画像を、後方監視画像にモーフィングする。このときのモーフィング速度は前記ステップ740で設定した「中」である。
(8)次に、右後方切出画面遷移処理を図16のフローチャートに基づいて説明する。
【0079】
ステップ810では、ディスプレイ7に表示するべき画像を設定する。具体的には、直前の前記ステップ70で取得した車速が、「低車速」、「中車速」、「高車速」のいずれに該当するかを判断し、その判断結果に応じて、以下のように、ディスプレイ7に表示するべき画像を設定する。
【0080】
「低車速」の場合:「右後方切出画像(低車速又は停止)」
「中車速」の場合:「右後方切出画像(中車速)」
「高車速」の場合:「右左後方切出画像(高車速)」
なお、所定の基準速度を、Va、Vbとしたとき(Va<Vb)、「低車速」は、Va未満の車速であり、「中車速」はVa以上、Vb未満の車速であり、「高車速」はVb以上の車速である。
【0081】
ステップ820では、前記ステップ810で設定した画像が、その時点でディスプレイ7に表示している画像と異なるものであるか否かを判断する。異なる場合はステップ830に進み、同一である場合はステップ860に進む。
【0082】
ステップ830では、ディスプレイ7の画像を遷移させる経路を設定する。具体的には、以下のように行う。
(ク)その時点でディスプレイ7に表示している画像が、左後方切出画像の場合:まず、後方切出画像にモーフィングし、次に、前記ステップ810で設定した右後方切出画像にモーフィングする。経由する後方切出画像は、前記ステップ810で設定した右後方切出画像が「右後方切出画像(低車速又は停止)」の場合は「後方切出画像(低車速又は停止)」とし、「右後方切出画像(中車速)」の場合は「後方切出画像(中車速)」とし、「右後方切出画像(高車速)」の場合は「後方切出画像(高車速)」とする。
【0083】
(ケ)その時点でディスプレイ7の表示している画像が「右後方切出画像(低車速又は停止)」であり、前記ステップ810で設定した画像が「右後方切出画像(高車速)」である場合:まず、「右後方切出画像(中車速)」にモーフィングし、次に、「右後方切出画像(高車速)」にモーフィングする。
【0084】
(コ)その時点でディスプレイ7に表示している画像が「右後方切出画像(高車速)」であり、前記ステップ810で設定した画像が「右後方切出画像(低車速又は停止)」である場合:まず、「右後方切出画像(中車速)」にモーフィングし、次に、「右後方切出画像(低車速又は停止)」にモーフィングする。
【0085】
(サ)前記(ク)〜(コ)以外の場合:その時点でディスプレイ7に表示している画像から、前記ステップ810で設定した右後方切出画像にモーフィングする。
ステップ840では、モーフィング速度を設定する。モーフィング速度は、基本的には、前記ステップ810で設定した画面に応じて、以下のように設定する。
【0086】
「右後方切出画像(低車速又は停止)」の場合:「低」
「右後方切出画像(中車速)」の場合:「中」
「右後方切出画像(高車速)」の場合:「高」
ただし、前記(ク)の場合、後方切出画像にモーフィングするときのモーフィング速度は「高」とし、右後方切出画像にモーフィングするときのモーフィング速度は上記のように、前記ステップ810で設定した画面に応じて設定する。
【0087】
また、前記(ケ)の場合、「右後方切出画像(中車速)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「中」とし、「右後方切出画像(高車速)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「高」とする。
【0088】
また、前記(コ)の場合、「右後方切出画像(中車速)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「中」とし、「右後方切出画像(低車速又は停止)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「低」とする。
【0089】
また、前回の(「直前の」よりも1回前の)前記ステップ60で取得したハザード情報がONであった場合は、前記ステップ810で設定した画面が何であっても、「高」とする。
【0090】
ステップ850では、前記ステップ830で設定した画像遷移の経路、及び前記ステップ840で設定したモーフィング速度により、画像遷移を行う。
一方、前記ステップ820で、前記ステップ810で設定した画像が、その時点でディスプレイ7に表示している画像と同じであると判断した場合はステップ860に進み、ディスプレイ7の画面をそのままに保持する(表示する画像の種類を変えない)。
(9)次に、右縦列駐車画面遷移処理を図17のフローチャートに基づいて説明する。
【0091】
ステップ910では、前回の(「直前の」よりも1回前の)前記ステップ40で取得したシフト情報に基づき、車両3における前回のシフトの状態を判定する。停止又は後退であった場合はステップ920に進み、前進であった場合はステップ940に進む。
【0092】
ステップ920では、モーフィング速度を「低」に設定する。
ステップ930では、ディスプレイ7に表示する画像を、「右後方切出画面(低車速又は停止)」にモーフィングする。このときのモーフィング速度は前記ステップ920で設定した「低」である。
【0093】
ステップ940では、モーフィング速度を「中」に設定する。
ステップ950では、ディスプレイ7に表示する画像を、右縦列駐車画像にモーフィングする。このときのモーフィング速度は前記ステップ940で設定した「中」である。
【0094】
4.後方視界支援システム1が奏する効果
(1)後方視界支援システム1によれば、カメラ5で撮影した後方の画像をディスプレイ7に表示することができる。そのため、車両3の2列目、3列目のシートに同乗者がいる場合でも、後方を視認することができる。
【0095】
(2)後方視界支援システム1は、車両3が前進している場合、カメラ5で撮影した画像における一部の領域を切出した画像(後方切出画像、左後方切出画像、右後方切出画像)をディスプレイ7に表示することができる。そのことにより、カメラ5で撮影した画像の全体(車両後方画像)を表示する場合よりも、ドライバは後方を視認し易くなる。
【0096】
(3)後方視界支援システム1においてディスプレイ7に表示される後方切出画像、左後方切出画像、右後方切出画像、左縦列駐車画像、右縦列駐車画像の下部には、それぞれ、画像の下部を覆い隠すマスク11及び車両3の後部の輪郭を現す輪郭線13がオーバーレイされている。マスク11をオーバーレイすることにより、画像中で、前進中に路面の流れが映し出される領域が少なくなるので、ドライバが感じる煩わしさを軽減できる。また、車両3の後部の輪郭を現す輪郭線13を表示することにより、自車両(車両3)と、ディスプレイ7に表示される後方の他車との位置関係を直感的に理解することができる。
【0097】
(4)後方視界支援システム1は、後方切出画像、左後方切出画像、右後方切出画像をディスプレイ7に表示する場合、車両3の車速が高いほど、切出画像を狭く設定する。一般に車速が高いほど、車間距離は大きくなり、切り出し前の画像における後方の他車は小さく表示されるが、上記のように、車速が高いほど切出画像の領域を狭くすることで、切出画像に占める後方の他車の割合を大きくし、視認を容易にすることができる。
【0098】
(5)後方視界支援システム1は、ディスプレイ7に表示する画像を遷移させる場合、モーフィングを用いる。そのことにより、画像の遷移を滑らかに行い、ドライバに違和感を感じさせることがない。また、車両3の車速が高いほど、モーフィングの速度を高く設定する。そのことにより、車両3の車速が高く、後方の視界を素早く得る必要がある場合に、モーフィングが過度に長く継続してしまうようなことがない。
【0099】
(6)後方視界支援システム1では、ウインカが右を指示している場合、ウインカが中立の場合よりも、右寄りの画像(右後方切出画像)をディスプレイ7に表示し、ウインカが左を指示している場合、ウインカが中立の場合よりも、左寄りの画像(左後方切出画像)をディスプレイ7に表示する。そのことにより、運転状況に応じ、ドライバにとって必要な視界を確保することができる。
【0100】
(7)後方視界支援システム1では、ウインカの状態が中立以外から中立に変化する場合のモーフィングの速度は、その逆の変化の場合のモーフィングの速度よりも高い。一般に、ウインカの状態が中立以外から中立に変化する場合は、車線変更等が終了し、すぐに後方を確認する必要がある状況であるが、上記のように、この場合のモーフィングの速度を高くすることにより、モーフィングを短時間で終了させ、後方の視界を素早く得ることが可能になる。
【0101】
(8)後方視界支援システム1では、ハザードがONの場合、ハザードがOFFの場合よりも、ディスプレイ7に表示する切出画像を広くする。一般に、ハザードがONである場合は、縦列駐車を行う場合等、後方の広い視野が必要な状況であるが、上記のようにハザードがONの場合、ディスプレイ7に表示する切出画像の領域を広くすることで、縦列駐車等が容易になる。
【0102】
(9)後方視界支援システム1では、ディスプレイ7に表示する画像を大きく遷移させる場合、一旦中間の画像へ遷移させ、次に、最終的な画像へ遷移させる。具体的には、右後方切り出画像から左後方切出画像に遷移させる場合は、一旦後方切出画像に遷移させ、次に左後方切出画像に遷移させる。また、左後方切り出画像から右後方切出画像に遷移させる場合は、一旦後方切出画像に遷移させ、次に右後方切出画像に遷移させる。
【0103】
また、「後方切出画像(高速)」から「後方切出画像(低車速又は停止)」に遷移させる場合は、一旦「後方切出画像(中速)」に遷移させ、次に、「後方切出画像(低車速又は停止)」に遷移させる。また、「後方切出画像(低車速又は停止)」から「後方切出画像(高速)」に遷移させる場合は、一旦「後方切出画像(中速)」に遷移させ、次に、「後方切出画像(高速)」に遷移させる。左後方切出画像、及び右後方切出画像において、高速の画像から低車速又は停止の画像に遷移する場合、及びその逆の遷移の場合も同様である。
【0104】
上記のように遷移させることにより、いきなり大きく画像が遷移することがなく、画像の遷移が滑らかになり、ドライバが違和感を感じ難くなる。
(10)後方視界支援システム1では、シフトが後退の状態(停止又は後退時画像が表示されている状態)から前進に切り替わったとき、車速がV1以上になるか、シフトが再度変化しない限り、ディスプレイ7に表示される画像は、停止又は後退時画像のままとなる(前記ステップ240、350、360、370参照)。そのことにより、前進と後進とを頻繁に切り替える場合に、ディスプレイ7に表示される画像が頻繁に切り替わり、ドライバが煩わしさを感じてしまうようなことがない。
【0105】
尚、本発明は前記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、モーフィング速度が「高」である遷移は、モーフィングを行わず、すぐに画像が切り替わるようにしてもよい。
【0106】
切出画像の種類は、低車速又は停止、中車速、高車速の3段階には限定されず、例えば、2段階、4段階、5段階、6段階・・・のいずれであってもよい。また、車速に比例して切出画像の領域の大きさを無段階に(リニアに)設定してもよい。
【符号の説明】
【0107】
1・・・後方視界支援システム、3・・・車両、5・・・カメラ、7・・・ディスプレイ、9・・・ECU、11・・・マスク、13・・・輪郭線
【技術分野】
【0001】
本発明は後方視界支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車載カメラによって車外の画像を取得し、その画像を車内のモニタに表示する技術が知られている。特開平9−202180号公報(特許文献1)では、車両の左右に搭載された車載カメラにより、車両の左右の画像を取得する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−202180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は自車両の左右方向を視認するための技術であり、従来、ドライバが車両の後方を視認するためには、車室内に設置された光学ルームミラーが用いられてきた。しかしながら、車両の2列目、3列目に同乗者がいた場合、光学ルームミラーの視界が同乗者によって遮られ、後方の視認が困難になる場合があった。
【0005】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、車両の2列目、3列目に同乗者がいてもドライバが車両の後方を視認することができる後方視界支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の後方視界支援システムは、車両後方を撮像して車両後方画像を取得する撮像手段と、車両の状態に応じて、前記車両後方画像の一部を切り出して切出画像を設定する制御手段と、車室内に設けられ、前記切出画像を表示する表示手段とを備える。
【0007】
発明の後方視界支援システムによれば、撮像手段で撮影した車両後方画像の一部を切り出した切出画像を表示手段に表示することができる。そのため、車両の2列目、3列目のシートに同乗者がいる場合でも、後方を視認することができる。
【0008】
また、本発明の後方視界支援システムは、車両後方画像の一部を切り出した切出画像を表示手段に表示するので、車両後方画像をそのまま表示する場合よりも、ドライバは後方を視認し易くなる。
【0009】
本発明の後方視界支援システムにおいて、前記制御手段は、前記切出画像における下部にマスクをオーバーレイすることが好ましい。切出画像における下部にマスクをオーバーレイすることにより、切出画像において路面の流れが映し出される領域が少なくなるので、ドライバが感じる煩わしさを軽減できる。
【0010】
本発明の後方視界支援システムにおいて、前記制御手段は、前記切出画像中に自車両の後部に対応する表示を行うことが好ましい。自車両の後部に対応する表示(例えば、自車両の後部の輪郭を現す輪郭線)を表示することにより、自車両と、切出画像中に表示された後方の他車との位置関係を直感的に理解することができる。
【0011】
本発明の後方視界支援システムは、前記車両の車速を検出する車速検出手段を備え、前記制御手段は、前記車速が高いほど、前記切出画像を狭く設定することが好ましい。一般に車速が高いほど、車間距離は大きくなり、車両後方画像における後方の他車は小さく表示されるが、上記のように、車速が高いほど切出画像の領域を狭くすることで、切出画像に占める後方の他車の割合を大きくし、視認を容易にすることができる。
【0012】
本発明の後方視界支援システムにおいて、前記制御手段は、前記車速の変化に応じて前記切出画像を変更し、前記表示手段に表示する切出画像を遷移させる場合、モーフィングにより遷移を行い、前記遷移を行うときの前記車速が高いほど、モーフィングの速度が高いことが好ましい。
【0013】
表示手段に表示する切出画像を遷移させる場合、モーフィングを用いることにより、画像の遷移を滑らかに行うことができ、ドライバに違和感を感じさせることがない。また、車両の車速が高いほど、モーフィングの速度を高く設定するので、車両の車速が高く、後方の視界を素早く得る必要がある場合に、モーフィングが過度に長く継続してしまうようなことがない。
【0014】
本発明の後方視界支援システムにおいて、前記車両のウインカの状態を検出するウインカ検出手段を備え、前記制御手段は、前記ウインカが右を指示している場合、前記ウインカが中立の場合よりも、前記切出画像の前記車両後方画像における位置を右寄りとし、前記ウインカが左を指示している場合、前記ウインカが中立の場合よりも、前記切出画像の前記車両後方画像における位置を左寄りとすることが好ましい。このようにすることにより、運転状況に応じ、ドライバにとって必要な視界を確保することができる。
【0015】
本発明の後方視界支援システムにおいて、前記制御手段は、前記ウインカの状態の変化に応じて前記切出画像を変更し、前記表示手段に表示する切出画像を遷移させる場合、モーフィングにより遷移を行い、ウインカの状態が中立以外から中立に変化する場合のモーフィングの速度は、その逆の変化の場合のモーフィングの速度よりも高いことが好ましい。
【0016】
一般に、ウインカの状態が中立以外から中立に変化する場合は、車線変更等が終了し、すぐに後方を確認する必要がある状況であるが、上記のように、この場合のモーフィングの速度を高くすることにより、モーフィングを短時間で終了させ、後方の視界を素早く得ることが可能になる。
【0017】
本発明の後方視界支援システムにおいて、 前記車両のハザードの状態を検出するハザード検出手段を備え、前記制御手段は、前記ハザードがONの場合は、前記ハザードがOFFの場合よりも、前記切出画像を広くすることが好ましい。一般に、ハザードがONである場合は、縦列駐車を行う場合等、後方の広い視野が必要な状況であるが、上記のようにハザードがONの場合、切出画像を広くすることで、縦列駐車等が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】後方視界支援システム1の構成を表すブロック図である。
【図2】車両3におけるディスプレイ7の配置を表す説明図である。
【図3】後方切出画像を表す説明図であって、(a)は「後方切出画像(低車速又は停止)」であり、(b)は「後方切出画像(中車速)」であり、(c)は「後方切出画像(高車速)」である。
【図4】左後方切出画像を表す説明図であって、(a)は「左後方切出画像(低車速又は停止)」であり、(b)は「左後方切出画像(中車速)」であり、(c)は「左後方切出画像(高車速)」である。
【図5】右後方切出画像を表す説明図であって、(a)は「右後方切出画像(低車速又は停止)」であり、(b)は「右後方切出画像(中車速)」であり、(c)は「右後方切出画像(高車速)」である。
【図6】(a)は左縦列駐車画像を表す説明図であり、(b)は後方監視画像を表す説明図であり、(c)は右縦列駐車画像を表す説明図である。
【図7】停止又は後退時画像を表す説明図である。
【図8】停止又は後退時画像(a)と、「後方切出画像(低車速又は停止)」(b)と、「右後方切出画像(低車速又は停止)」(c)との位置関係を示す説明図である。
【図9】後方視界支援システム1が実行するメイン処理を表すフローチャートである。
【図10】後方視界支援システム1が実行する初期画面遷移処理を表すフローチャートである。
【図11】後方視界支援システム1が実行する画面遷移処理を表すフローチャートである。
【図12】後方視界支援システム1が実行する左後方切出画面遷移処理を表すフローチャートである。
【図13】後方視界支援システム1が実行する左縦列駐車画面遷移処理を表すフローチャートである。
【図14】後方視界支援システム1が実行する後方切出画面遷移処理を表すフローチャートである。
【図15】後方視界支援システム1が実行する後方監視画面遷移処理を表すフローチャートである。
【図16】後方視界支援システム1が実行する右後方切出画面遷移処理を表すフローチャートである。
【図17】後方視界支援システム1が実行する右縦列駐車画面遷移処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
1.後方視界支援システム1の構成
後方視界支援システム1の構成を図1に基づいて説明する。後方視界支援システム1は、車両3に搭載される車載システムであって、車両3の後方を撮像するカメラ(撮像手段)5と、車両3の車室内に設けられ、カメラ5で撮像した画像の全体又はその一部を表示するディスプレイ(表示手段)7と、ECU(制御手段)9とから構成される。
【0020】
ECU9は、カメラ5の電源、及びGNDを供給するとともに、カメラ5との間で通信を行い、カメラ5を制御する。そのカメラ5の制御には、車両3の状態に応じて、後述する車両後方画像の一部を切り出して切出画像を設定する処理が含まれる。また、ECU9は、周知のセンサを用いて、車両3におけるシフトの状態、車速、ウインカの状態(左、右、中立)、ハザードのON/OFF等を取得し、それらを用いて後述する処理を実行する。
【0021】
カメラ5は、車両3の後端に取り付けられており、図1における角度Xで表す広い範囲の画像(以下、車両後方画像とする)を取得することができる。また、カメラ5は、ECU9からの指令により、車両後方画像における一部の領域を切り出すことができる。カメラ5は、車両後方画像、又は切り出した画像(以下、切出画像とする)の映像信号をディスプレイ7に出力する。切出画像としては、図1における角度Yで表される、車両3の真後ろを中心とする範囲の画像や、図1における角度Zで表される、車両3の左寄りの領域の画像等がある。切出画像について詳しくは後述する。
【0022】
ディスプレイ7は、車両後方画像、又は切出画像を表示する。なお、車両後方画像に占める切出画像の領域が狭い場合は拡大して、ディスプレイ7における表示サイズが常に一定となるようにする。ディスプレイ7は、図2に示すように、車両3の車室内のうち、インパネに設けることができる。また、ディスプレイ7は、車室内における他の場所(例えばルームミラーの位置等)に設けることもできる。
【0023】
2.ディスプレイ7に表示する画像の種類
後方視界支援システム1がディスプレイ7に表示する画像としては、以下に示すものがある。
(1)後方切出画像
後方切出画像は、車両後方画像のうち、左右方向における中央であり、上下方向における上寄りの領域を切り出した画像である。よって、後方切出画像は、車両後方画像よりも狭い領域を表す画像である。後方切出画像は、図3の(a)に示す「後方切出画像(低車速又は停止)」と、図3の(b)に示す「後方切出画像(中車速)」と、図3の(c)に示す「後方切出画像(高車速)」との3種類がある。
【0024】
「後方切出画像(中車速)」は、「後方切出画像(低車速又は停止)」の一部の領域(「後方切出画像(低車速又は停止)」よりも狭い領域)の画像であり、「後方切出画像(高車速)」は、「後方切出画像(中車速)」の一部の領域(「後方切出画像(中車速)」よりも狭い領域)の画像である。
「後方切出画像(低車速又は停止)」、「後方切出画像(中車速)」、及び「後方切出画像(高車速)」の下部には、それぞれ、画像を覆い隠すマスク11がオーバーレイされている。また、マスク11上に、車両3の後部の輪郭を現す輪郭線13が表示されている。
(2)左後方切出画像
左後方切出画像は、車両後方画像のうち、左右方向における左寄りであり、上下方向における上寄りの領域を切り出した画像である。よって、左後方切出画像は、車両後方画像よりも狭い領域を表す画像である。左後方切出画像は、車両3の真後ろ方向を、その左右方向の境界とする。そのため、車両3の真後ろに位置する他車の半車幅が表示される。
【0025】
左後方切出画像は、図4の(a)に示す「左後方切出画像(低車速又は停止)」と、図4の(b)に示す「左後方切出画像(中車速)」と、図4の(c)に示す「左後方切出画像(高車速)」との3種類がある。
【0026】
「左後方切出画像(中車速)」は、「左後方切出画像(低車速又は停止)」の一部の領域(「左後方切出画像(低車速又は停止)」よりも狭い領域)の画像であり、「左後方切出画像(高車速)」は、「左後方切出画像(中車速)」の一部の領域(「左後方切出画像(中車速)」よりも狭い領域)の画像である。
「左後方切出画像(低車速又は停止)」が表示する領域の広さは、「後方切出画像(低車速又は停止)」が表示する領域の広さと同じである。また、「左後方切出画像(中車速)」が表示する領域の広さは、「後方切出画像(中車速)」が表示する領域の広さと同じである。また、「左後方切出画像(高車速)」が表示する領域の広さは、「後方切出画像(高車速)」が表示する領域の広さと同じである。
「左後方切出画像(低車速又は停止)」、「左後方切出画像(中車速)」、及び「左後方切出画像(高車速)」の下部には、それぞれ、画像を覆い隠すマスク11がオーバーレイされている。また、マスク11上に、車両3の後部の輪郭を現す輪郭線13が表示されている。
【0027】
なお、本明細書において、特に断りがない限り、左右とは、進行方向を向いたドライバにとっての左右を意味する。
(3)右後方切出画像
右後方切出画像は、車両後方画像のうち、左右方向における右寄りであり、上下方向における上寄りの領域を切り出した画像である。よって、右後方切出画像は、車両後方画像よりも狭い領域を表す画像である。右後方切出画像は、車両3の真後ろ方向を、その左右方向の境界とする。右後方切出画像には、そのため、車両3の真後ろに位置する他車の半車幅が表示される。
【0028】
右後方切出画像は、図5の(a)に示す「右後方切出画像(低車速又は停止)」と、図5の(b)に示す「右後方切出画像(中車速)」と、図5の(c)に示す「右後方切出画像(高車速)」との3種類がある。
【0029】
「右後方切出画像(中車速)」は、「右後方切出画像(低車速又は停止)」の一部の領域(「右後方切出画像(低車速又は停止)」よりも狭い領域)の画像であり、「右後方切出画像(高車速)」は、「右後方切出画像(中車速)」の一部の領域(「右後方切出画像(中車速)」よりも狭い領域)の画像である。
「右後方切出画像(低車速又は停止)」が表示する領域の広さは、「後方切出画像(低車速又は停止)」及び「左後方切出画像(低車速又は停止)」が表示する領域の広さと同じである。また、「右後方切出画像(中車速)」が表示する領域の広さは、「後方切出画像(中車速)」及び「左後方切出画像(中車速)」が表示する領域の広さと同じである。また、「右後方切出画像(高車速)」が表示する領域の広さは、「後方切出画像(高車速)」及び「左後方切出画像(高車速)」が表示する領域の広さと同じである。
「右後方切出画像(低車速又は停止)」、「右後方切出画像(中車速)」、及び「右後方切出画像(高車速)」の下部には、それぞれ、画像を覆い隠すマスク11がオーバーレイされている。また、マスク11上に、車両3の後部の輪郭を現す輪郭線13が表示されている。
(4)左縦列駐車画像
左縦列駐車画像は、図6(a)に示す画像であって、車両後方画像のうち、左右方向における左寄りの領域を切り出した画像である。左縦列駐車画像は、「左後方切出画像(低車速又は停止)」の領域を全て含み、さらにその周囲の領域も含む(「左後方切出画像(低車速又は停止)」よりも広い領域の)画像である。
【0030】
左縦列駐車画像の下部には、マスク11がオーバーレイされている。また、マスク11上に、車両3の後部の輪郭を現す輪郭線13が表示されている。
(5)後方監視画像
後方監視画像は、図6(b)に示す画像であって、車両後方画像のうち、左右方向における中央の領域を切り出した画像である。後方監視画像は、「後方切出画像(低車速又は停止)」の領域を全て含み、さらにその周囲の領域も含む(「後方切出画像(低車速又は停止)」よりも広い領域の)画像である。
(6)右縦列駐車画像
右縦列駐車画像は、図6(c)に示す画像であって、車両後方画像のうち、左右方向における右寄りの領域を切り出した画像である。右縦列駐車画像は、「右後方切出画像(低車速又は停止)」の領域を全て含み、さらにその周囲の領域も含む(「右後方切出画像(低車速又は停止)」よりも広い領域の)画像である。
【0031】
右縦列駐車画像の下部には、マスク11がオーバーレイされている。また、マスク11上に、車両3の後部の輪郭を現す輪郭線13が表示されている。
(7)停止又は後退時画像
停止又は後退時画像は図7に示す画像であって、車両後方画像の全領域を含む画像である。停止又は後退時画像は、その左右方向における中央が、車両3の真後ろの方向に該当する。また、停止又は後退時画像は、後方切出画像、左後方切出画像、右後方切出画像、左縦列駐車画像、後方監視画像、右縦列駐車画像のいずれよりも広い領域を表示する。
【0032】
なお、図8に、停止又は後退時画像と、「後方切出画像(低車速又は停止)」と、「右後方切出画像(低車速又は停止)」との位置関係を示す。図8(a)は停止又は後退時画像である。この停止又は後退時画像における領域Pが、「後方切出画像(低車速又は停止)」(図8(b))に対応する領域である。また、停止又は後退時画像における領域Qが、「右後方切出画像(低車速又は停止)」(図8(c))に対応する領域である。
【0033】
3.後方視界支援システム1が実行する処理
後方視界支援システム1が実行する処理を図9〜図17のフローチャートに基づいて説明する。
(1)まず、メイン処理を図9のフローチャートに基づいて説明する。メイン処理は、車両3のイグニッションがONとなったときに実行される。
【0034】
ステップ10では、初期画面遷移処理を実行する。この初期画面遷移処理については後述する。
ステップ20では、初期画面遷移処理を実行してから所定時間が経過したか否かを判断する。所定時間が経過している場合はステップ30に進み、未だ所定時間が経過していない場合はステップ20に留まる。
【0035】
ステップ30では停止時画面遷移処理を実行する。この処理は、ディスプレイ7に表示する画像を、それまで表示されていた画像から、停止又は後退時画像(図7参照)に遷移させる処理である。
【0036】
ステップ40では、その時点における車両3のシフト情報(前進、停止、後退のいずれであるか)を取得する。
ステップ50では、その時点における車両3のウインカ情報(中立、右折、左折のいずれであるか)を取得する。
【0037】
ステップ60では、その時点における車両3のハザード情報(ハザードがON、OFFのいずれであるか)を取得する。
ステップ70では、その時点における車両3の車速を取得する。
【0038】
ステップ80では、直前の前記ステップ30〜70で取得したシフト情報、ウインカ情報、ハザード情報、車速のいずれかが、その前の回における前記ステップ30〜70で取得したものに比べて変化しているか否かを判断する。いずれも変化がない場合はステップ90に進み、ディスプレイ7の画面をそのままに保持する(表示する画像の種類を変えない)。一方、シフト情報、ウインカ情報、ハザード情報、車速のいずれかに変化がある場合はステップ100に進み、画面遷移処理を実行する。この画面遷移処理については後述する。
(2)次に、初期画面遷移処理を、図10のフローチャートに基づいて説明する。
【0039】
ステップ110では、モーフィング速度を、「低」に設定する。ここで、モーフィングとは、遷移前の画像から、遷移後の画像へと、徐々に変化してゆくことを意味する。例えば、最初は、遷移前の画像の割合が100%であったが、徐々に遷移後の画像の割合が増え、最後は遷移後の画像の割合が100%になる。モーフィング速度は、モーフィングにおける遷移の速さである。モーフィング速度には、低、中、高の3段階がある。モーフィング速度が高いほど、モーフィングは短時間で終了する。設定したモーフィング速度は、モーフィング速度を再設定するまで、以降のモーフィングにおいて使用される。
【0040】
ステップ120では、ディスプレイ7に表示する画像を、それまで表示されていた画像から、「左後方切出画像(低車速又は停止)」にモーフィングする。
ステップ130では、ディスプレイ7に表示する画像を、「左後方切出画像(低車速又は停止)」から、「右後方切出画像(低車速又は停止)」にモーフィングする。
【0041】
ステップ140では、ディスプレイ7に表示する画像を、「右後方切出画像(低車速又は停止)」から、「後方切出画像(低車速又は停止)」へモーフィングする。
(3)次に、画面遷移処理を、図11のフローチャートに基づいて説明する。
【0042】
ステップ210では、直前の前記ステップ40で取得したシフト情報に基づき、車両3のシフトの状態を判定する。停止の場合はステップ220の停止時画面遷移処理に進み、停止又は後退時画像をディスプレイ7に表示する。また、シフトが後退の場合はステップ230の後退時画面遷移処理に進み、停止又は後退時画像をディスプレイ7に表示する。また、シフトが前進の場合はステップ240に進む。
【0043】
ステップ240では、前回の(「直前の」よりも1回前の)前記ステップ40で取得したシフト情報に基づき、車両3における前回のシフトの状態を判定する。後退以外であった場合はステップ250に進み、後退であった場合はステップ350に進む。
【0044】
ステップ250では、直前の前記ステップ50で取得したウインカ情報に基づき、ウインカの状態を判定する。左折の場合はステップ260に進み、中立の場合はステップ270に進み、右折の場合はステップ280に進む。
【0045】
ステップ260、270、280では、それぞれ、直前の前記ステップ60で取得したハザード情報に基づき、ハザードの状態(ONかOFFか)を判定する。
ステップ260でハザードOFFと判定した場合はステップ290の左後方切出画面遷移処理に進む。ステップ260でハザードONと判定した場合はステップ300の左縦列駐車画面遷移処理に進む。なお、左後方切出画面遷移処理、及び左縦列駐車画面遷移処理については後述する。
【0046】
また、ステップ270でハザードOFFと判定した場合はステップ300の後方切出画面遷移処理に進む。ステップ270でハザードONと判定した場合はステップ320の後方監視画面遷移処理に進む。なお、後方切出画面遷移処理、及び後方監視画面遷移処理については後述する。
【0047】
また、ステップ280でハザードOFFと判定した場合はステップ330の右後方切出画面遷移処理に進む。ステップ280でハザードONと判定した場合はステップ340の右縦列駐車画面遷移処理に進む。なお、右後方切出画面遷移処理、及び右縦列駐車画面遷移処理については後述する。
【0048】
一方、前記ステップ240で前回のシフトが後退であったと判定した場合はステップ350に進む。ステップ350では、直前の前記ステップ70で取得した車速情報に基づき、車両3の車速を取得し、その車速が所定の車速V1以上であるか否かを判定する。V1以上である場合はステップ250に進み、V1未満である場合はステップ360に進む。
【0049】
ステップ360では、ディスプレイ7の画面をそのままに保持する(表示する画像の種類を変えない)。
ステップ370では、シフト情報を新たに取得し、車両3におけるシフトの状態が前進以外へ変化したか否かを判定する。前進以外に変化した場合は本処理を終了し、前進のままである場合はステップ350に進む。
(4)次に、左後方切出画面遷移処理を図12のフローチャートに基づいて説明する。
【0050】
ステップ410では、ディスプレイ7に表示するべき画像を設定する。具体的には、直前の前記ステップ70で取得した車速が、「低車速」、「中車速」、「高車速」のいずれに該当するかを判断し、その判断結果に応じて、以下のように、ディスプレイ7に表示するべき画像を設定する。
【0051】
「低車速」の場合:「左後方切出画像(低車速又は停止)」
「中車速」の場合:「左後方切出画像(中車速)」
「高車速」の場合:「左後方切出画像(高車速)」
なお、所定の基準速度を、Va、Vbとしたとき(Va<Vb)、「低車速」は、Va未満の車速であり、「中車速」はVa以上、Vb未満の車速であり、「高車速」はVb以上の車速である。
【0052】
ステップ420では、前記ステップ410で設定した画像が、その時点でディスプレイ7に表示している画像と異なるものであるか否かを判断する。異なる場合はステップ430に進み、同一である場合はステップ460に進む。
【0053】
ステップ430では、ディスプレイ7の画像を遷移させる経路を設定する。具体的には、以下のように行う。
(ア)その時点でディスプレイ7に表示している画像が、右後方切出画像の場合:まず、後方切出画像にモーフィングし、次に、前記ステップ410で設定した左後方切出画像にモーフィングする。経由する後方切出画像は、前記ステップ410で設定した左後方切出画像が「左後方切出画像(低車速又は停止)」の場合は「後方切出画像(低車速又は停止)」とし、「左後方切出画像(中車速)」の場合は「後方切出画像(中車速)」とし、「左後方切出画像(高車速)」の場合は「後方切出画像(高車速)」とする。
【0054】
(イ)その時点でディスプレイ7の表示している画像が「左後方切出画像(低車速又は停止)」であり、前記ステップ410で設定した画像が「左後方切出画像(高車速)」である場合:まず、「左後方切出画像(中車速)」にモーフィングし、次に、「左後方切出画像(高車速)」にモーフィングする。
【0055】
(ウ)その時点でディスプレイ7に表示している画像が「左後方切出画像(高車速)」であり、前記ステップ410で設定した画像が「左後方切出画像(低車速又は停止)」である場合:まず、「左後方切出画像(中車速)」にモーフィングし、次に、「左後方切出画像(低車速又は停止)」にモーフィングする。
【0056】
(エ)前記(ア)〜(ウ)以外の場合:その時点でディスプレイ7に表示している画像から、前記ステップ410で設定した左後方切出画像にモーフィングする。
ステップ440では、モーフィング速度を設定する。モーフィング速度は、基本的には、前記ステップ410で設定した画面に応じて、以下のように設定する。
【0057】
「左後方切出画像(低車速又は停止)」の場合:「低」
「左後方切出画像(中車速)」の場合:「中」
「左後方切出画像(高車速)」の場合:「高」
ただし、前記(ア)の場合、後方切出画像にモーフィングするときのモーフィング速度は「高」とし、左後方切出画像にモーフィングするときのモーフィング速度は上記のように、前記ステップ410で設定した画面に応じて設定する。
【0058】
また、前記(イ)の場合、「左後方切出画像(中車速)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「中」とし、「左後方切出画像(高車速)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「高」とする。
【0059】
また、前記(ウ)の場合、「左後方切出画像(中車速)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「中」とし、「左後方切出画像(低車速又は停止)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「低」とする。
【0060】
また、前回の(「直前の」よりも1回前の)前記ステップ60で取得したハザード情報がONであった場合は、前記ステップ410で設定した画面が何であっても、「高」とする。
【0061】
ステップ450では、前記ステップ430で設定した画像遷移の経路、及び前記ステップ440で設定したモーフィング速度により、画像遷移を行う。
一方、前記ステップ420で、前記ステップ410で設定した画像が、その時点でディスプレイ7に表示している画像と同じであると判断した場合はステップ460に進み、ディスプレイ7の画面をそのままに保持する(表示する画像の種類を変えない)。
(5)次に、左縦列駐車画面遷移処理を図13のフローチャートに基づいて説明する。
【0062】
ステップ510では、前回の(「直前の」よりも1回前の)前記ステップ40で取得したシフト情報に基づき、車両3における前回のシフトの状態を判定する。停止又は後退であった場合はステップ520に進み、前進であった場合はステップ540に進む。
【0063】
ステップ520では、モーフィング速度を「低」に設定する。
ステップ530では、ディスプレイ7に表示する画像を、「左後方切出画面(低車速又は停止)」にモーフィングする。このときのモーフィング速度は前記ステップ520で設定した「低」である。
【0064】
ステップ540では、モーフィング速度を「中」に設定する。
ステップ550では、ディスプレイ7に表示する画像を、左縦列駐車画像にモーフィングする。このときのモーフィング速度は前記ステップ540で設定した「中」である。
(6)次に、後方切出画面遷移処理を図14のフローチャートに基づいて説明する。
【0065】
ステップ610では、ディスプレイ7に表示するべき画像を設定する。具体的には、直前の前記ステップ70で取得した車速が、「低車速」、「中車速」、「高車速」のいずれに該当するかを判断し、その判断結果に応じて、以下のように、ディスプレイ7に表示するべき画像を設定する。
【0066】
「低車速」の場合:「後方切出画像(低車速又は停止)」
「中車速」の場合:「後方切出画像(中車速)」
「高車速」の場合:「後方切出画像(高車速)」
なお、所定の基準速度を、Va、Vbとしたとき(Va<Vb)、「低車速」は、Va未満の車速であり、「中車速」はVa以上、Vb未満の車速であり、「高車速」はVb以上の車速である。
【0067】
ステップ620では、前記ステップ610で設定した画像が、その時点でディスプレイ7に表示している画像と異なるものであるか否かを判断する。異なる場合はステップ630に進み、同一である場合はステップ660に進む。
【0068】
ステップ630では、ディスプレイ7の画像を遷移させる経路を設定する。具体的には、以下のように行う。
(オ)その時点でディスプレイ7の表示している画像が「後方切出画像(低車速又は停止)」であり、前記ステップ610で設定した画像が「後方切出画像(高車速)」である場合:まず、「後方切出画像(中車速)」にモーフィングし、次に、「後方切出画像(高車速)」にモーフィングする。
【0069】
(カ)その時点でディスプレイ7に表示している画像が「後方切出画像(高車速)」であり、前記ステップ610で設定した画像が「後方切出画像(低車速又は停止)」である場合:まず、「後方切出画像(中車速)」にモーフィングし、次に、「後方切出画像(低車速又は停止)」にモーフィングする。
【0070】
(キ)前記(オ)〜(カ)以外の場合:その時点でディスプレイ7に表示している画像から、前記ステップ610で設定した左後方切出画像にモーフィングする。
ステップ640では、モーフィング速度を設定する。モーフィング速度は、基本的には、前記ステップ610で設定した画面に応じて、以下のように設定する。
【0071】
「後方切出画像(低車速又は停止)」の場合:「低」
「後方切出画像(中車速)」の場合:「中」
「後方切出画像(高車速)」の場合:「高」
また、前記(オ)の場合、「後方切出画像(中車速)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「中」とし、「後方切出画像(高車速)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「高」とする。
【0072】
また、前記(カ)の場合、「後方切出画像(中車速)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「中」とし、「後方切出画像(低車速又は停止)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「低」とする。
【0073】
また、前回の(「直前の」よりも1回前の)前記ステップ50で取得したウインカ情報が中立以外であるか、前回の(「直前の」よりも1回前の)前記ステップ60で取得したハザード情報がONであった場合は、前記ステップ610で設定した画面が何であっても、「高」とする。
【0074】
また、前回の(「直前の」よりも1回前の)前記ステップ40で取得したシフト情報が停止又は後退であった場合は、前記ステップ610で設定した画面が何であっても、「低」とする。
【0075】
ステップ650では、前記ステップ630で設定した画像遷移の経路、及び前記ステップ640で設定したモーフィング速度により、画像遷移を行う。
一方、前記ステップ620で、前記ステップ610で設定した画像が、その時点でディスプレイ7に表示している画像と同じであると判断した場合はステップ660に進み、ディスプレイ7の画面をそのままに保持する(表示する画像の種類を変えない)。
(7)次に、後方監視画面遷移処理を図15のフローチャートに基づいて説明する。
【0076】
ステップ710では、前回の(「直前の」よりも1回前の)前記ステップ40で取得したシフト情報に基づき、車両3における前回のシフトの状態を判定する。停止又は後退であった場合はステップ720に進み、前進であった場合はステップ740に進む。
【0077】
ステップ720では、モーフィング速度を「低」に設定する。
ステップ730では、ディスプレイ7に表示する画像を、「後方切出画面(低車速又は停止)」にモーフィングする。このときのモーフィング速度は前記ステップ720で設定した「低」である。
【0078】
ステップ740では、モーフィング速度を「中」に設定する。
ステップ750では、ディスプレイ7に表示する画像を、後方監視画像にモーフィングする。このときのモーフィング速度は前記ステップ740で設定した「中」である。
(8)次に、右後方切出画面遷移処理を図16のフローチャートに基づいて説明する。
【0079】
ステップ810では、ディスプレイ7に表示するべき画像を設定する。具体的には、直前の前記ステップ70で取得した車速が、「低車速」、「中車速」、「高車速」のいずれに該当するかを判断し、その判断結果に応じて、以下のように、ディスプレイ7に表示するべき画像を設定する。
【0080】
「低車速」の場合:「右後方切出画像(低車速又は停止)」
「中車速」の場合:「右後方切出画像(中車速)」
「高車速」の場合:「右左後方切出画像(高車速)」
なお、所定の基準速度を、Va、Vbとしたとき(Va<Vb)、「低車速」は、Va未満の車速であり、「中車速」はVa以上、Vb未満の車速であり、「高車速」はVb以上の車速である。
【0081】
ステップ820では、前記ステップ810で設定した画像が、その時点でディスプレイ7に表示している画像と異なるものであるか否かを判断する。異なる場合はステップ830に進み、同一である場合はステップ860に進む。
【0082】
ステップ830では、ディスプレイ7の画像を遷移させる経路を設定する。具体的には、以下のように行う。
(ク)その時点でディスプレイ7に表示している画像が、左後方切出画像の場合:まず、後方切出画像にモーフィングし、次に、前記ステップ810で設定した右後方切出画像にモーフィングする。経由する後方切出画像は、前記ステップ810で設定した右後方切出画像が「右後方切出画像(低車速又は停止)」の場合は「後方切出画像(低車速又は停止)」とし、「右後方切出画像(中車速)」の場合は「後方切出画像(中車速)」とし、「右後方切出画像(高車速)」の場合は「後方切出画像(高車速)」とする。
【0083】
(ケ)その時点でディスプレイ7の表示している画像が「右後方切出画像(低車速又は停止)」であり、前記ステップ810で設定した画像が「右後方切出画像(高車速)」である場合:まず、「右後方切出画像(中車速)」にモーフィングし、次に、「右後方切出画像(高車速)」にモーフィングする。
【0084】
(コ)その時点でディスプレイ7に表示している画像が「右後方切出画像(高車速)」であり、前記ステップ810で設定した画像が「右後方切出画像(低車速又は停止)」である場合:まず、「右後方切出画像(中車速)」にモーフィングし、次に、「右後方切出画像(低車速又は停止)」にモーフィングする。
【0085】
(サ)前記(ク)〜(コ)以外の場合:その時点でディスプレイ7に表示している画像から、前記ステップ810で設定した右後方切出画像にモーフィングする。
ステップ840では、モーフィング速度を設定する。モーフィング速度は、基本的には、前記ステップ810で設定した画面に応じて、以下のように設定する。
【0086】
「右後方切出画像(低車速又は停止)」の場合:「低」
「右後方切出画像(中車速)」の場合:「中」
「右後方切出画像(高車速)」の場合:「高」
ただし、前記(ク)の場合、後方切出画像にモーフィングするときのモーフィング速度は「高」とし、右後方切出画像にモーフィングするときのモーフィング速度は上記のように、前記ステップ810で設定した画面に応じて設定する。
【0087】
また、前記(ケ)の場合、「右後方切出画像(中車速)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「中」とし、「右後方切出画像(高車速)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「高」とする。
【0088】
また、前記(コ)の場合、「右後方切出画像(中車速)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「中」とし、「右後方切出画像(低車速又は停止)」にモーフィングするときのモーフィング速度は「低」とする。
【0089】
また、前回の(「直前の」よりも1回前の)前記ステップ60で取得したハザード情報がONであった場合は、前記ステップ810で設定した画面が何であっても、「高」とする。
【0090】
ステップ850では、前記ステップ830で設定した画像遷移の経路、及び前記ステップ840で設定したモーフィング速度により、画像遷移を行う。
一方、前記ステップ820で、前記ステップ810で設定した画像が、その時点でディスプレイ7に表示している画像と同じであると判断した場合はステップ860に進み、ディスプレイ7の画面をそのままに保持する(表示する画像の種類を変えない)。
(9)次に、右縦列駐車画面遷移処理を図17のフローチャートに基づいて説明する。
【0091】
ステップ910では、前回の(「直前の」よりも1回前の)前記ステップ40で取得したシフト情報に基づき、車両3における前回のシフトの状態を判定する。停止又は後退であった場合はステップ920に進み、前進であった場合はステップ940に進む。
【0092】
ステップ920では、モーフィング速度を「低」に設定する。
ステップ930では、ディスプレイ7に表示する画像を、「右後方切出画面(低車速又は停止)」にモーフィングする。このときのモーフィング速度は前記ステップ920で設定した「低」である。
【0093】
ステップ940では、モーフィング速度を「中」に設定する。
ステップ950では、ディスプレイ7に表示する画像を、右縦列駐車画像にモーフィングする。このときのモーフィング速度は前記ステップ940で設定した「中」である。
【0094】
4.後方視界支援システム1が奏する効果
(1)後方視界支援システム1によれば、カメラ5で撮影した後方の画像をディスプレイ7に表示することができる。そのため、車両3の2列目、3列目のシートに同乗者がいる場合でも、後方を視認することができる。
【0095】
(2)後方視界支援システム1は、車両3が前進している場合、カメラ5で撮影した画像における一部の領域を切出した画像(後方切出画像、左後方切出画像、右後方切出画像)をディスプレイ7に表示することができる。そのことにより、カメラ5で撮影した画像の全体(車両後方画像)を表示する場合よりも、ドライバは後方を視認し易くなる。
【0096】
(3)後方視界支援システム1においてディスプレイ7に表示される後方切出画像、左後方切出画像、右後方切出画像、左縦列駐車画像、右縦列駐車画像の下部には、それぞれ、画像の下部を覆い隠すマスク11及び車両3の後部の輪郭を現す輪郭線13がオーバーレイされている。マスク11をオーバーレイすることにより、画像中で、前進中に路面の流れが映し出される領域が少なくなるので、ドライバが感じる煩わしさを軽減できる。また、車両3の後部の輪郭を現す輪郭線13を表示することにより、自車両(車両3)と、ディスプレイ7に表示される後方の他車との位置関係を直感的に理解することができる。
【0097】
(4)後方視界支援システム1は、後方切出画像、左後方切出画像、右後方切出画像をディスプレイ7に表示する場合、車両3の車速が高いほど、切出画像を狭く設定する。一般に車速が高いほど、車間距離は大きくなり、切り出し前の画像における後方の他車は小さく表示されるが、上記のように、車速が高いほど切出画像の領域を狭くすることで、切出画像に占める後方の他車の割合を大きくし、視認を容易にすることができる。
【0098】
(5)後方視界支援システム1は、ディスプレイ7に表示する画像を遷移させる場合、モーフィングを用いる。そのことにより、画像の遷移を滑らかに行い、ドライバに違和感を感じさせることがない。また、車両3の車速が高いほど、モーフィングの速度を高く設定する。そのことにより、車両3の車速が高く、後方の視界を素早く得る必要がある場合に、モーフィングが過度に長く継続してしまうようなことがない。
【0099】
(6)後方視界支援システム1では、ウインカが右を指示している場合、ウインカが中立の場合よりも、右寄りの画像(右後方切出画像)をディスプレイ7に表示し、ウインカが左を指示している場合、ウインカが中立の場合よりも、左寄りの画像(左後方切出画像)をディスプレイ7に表示する。そのことにより、運転状況に応じ、ドライバにとって必要な視界を確保することができる。
【0100】
(7)後方視界支援システム1では、ウインカの状態が中立以外から中立に変化する場合のモーフィングの速度は、その逆の変化の場合のモーフィングの速度よりも高い。一般に、ウインカの状態が中立以外から中立に変化する場合は、車線変更等が終了し、すぐに後方を確認する必要がある状況であるが、上記のように、この場合のモーフィングの速度を高くすることにより、モーフィングを短時間で終了させ、後方の視界を素早く得ることが可能になる。
【0101】
(8)後方視界支援システム1では、ハザードがONの場合、ハザードがOFFの場合よりも、ディスプレイ7に表示する切出画像を広くする。一般に、ハザードがONである場合は、縦列駐車を行う場合等、後方の広い視野が必要な状況であるが、上記のようにハザードがONの場合、ディスプレイ7に表示する切出画像の領域を広くすることで、縦列駐車等が容易になる。
【0102】
(9)後方視界支援システム1では、ディスプレイ7に表示する画像を大きく遷移させる場合、一旦中間の画像へ遷移させ、次に、最終的な画像へ遷移させる。具体的には、右後方切り出画像から左後方切出画像に遷移させる場合は、一旦後方切出画像に遷移させ、次に左後方切出画像に遷移させる。また、左後方切り出画像から右後方切出画像に遷移させる場合は、一旦後方切出画像に遷移させ、次に右後方切出画像に遷移させる。
【0103】
また、「後方切出画像(高速)」から「後方切出画像(低車速又は停止)」に遷移させる場合は、一旦「後方切出画像(中速)」に遷移させ、次に、「後方切出画像(低車速又は停止)」に遷移させる。また、「後方切出画像(低車速又は停止)」から「後方切出画像(高速)」に遷移させる場合は、一旦「後方切出画像(中速)」に遷移させ、次に、「後方切出画像(高速)」に遷移させる。左後方切出画像、及び右後方切出画像において、高速の画像から低車速又は停止の画像に遷移する場合、及びその逆の遷移の場合も同様である。
【0104】
上記のように遷移させることにより、いきなり大きく画像が遷移することがなく、画像の遷移が滑らかになり、ドライバが違和感を感じ難くなる。
(10)後方視界支援システム1では、シフトが後退の状態(停止又は後退時画像が表示されている状態)から前進に切り替わったとき、車速がV1以上になるか、シフトが再度変化しない限り、ディスプレイ7に表示される画像は、停止又は後退時画像のままとなる(前記ステップ240、350、360、370参照)。そのことにより、前進と後進とを頻繁に切り替える場合に、ディスプレイ7に表示される画像が頻繁に切り替わり、ドライバが煩わしさを感じてしまうようなことがない。
【0105】
尚、本発明は前記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、モーフィング速度が「高」である遷移は、モーフィングを行わず、すぐに画像が切り替わるようにしてもよい。
【0106】
切出画像の種類は、低車速又は停止、中車速、高車速の3段階には限定されず、例えば、2段階、4段階、5段階、6段階・・・のいずれであってもよい。また、車速に比例して切出画像の領域の大きさを無段階に(リニアに)設定してもよい。
【符号の説明】
【0107】
1・・・後方視界支援システム、3・・・車両、5・・・カメラ、7・・・ディスプレイ、9・・・ECU、11・・・マスク、13・・・輪郭線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後方を撮像して車両後方画像を取得する撮像手段と、
車両の状態に応じて、前記車両後方画像の一部を切り出して切出画像を設定する制御手段と、
車室内に設けられ、前記切出画像を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする後方視界支援システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記切出画像における下部にマスクをオーバーレイすることを特徴とする請求項1記載の後方視界支援システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記切出画像中に自車両の後部に対応する表示を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の後方視界支援システム。
【請求項4】
前記車両の車速を検出する車速検出手段を備え、
前記制御手段は、前記車速が高いほど、前記切出画像を狭く設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の後方視界支援システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記車速の変化に応じて前記切出画像を変更し、前記表示手段に表示する切出画像を遷移させる場合、モーフィングにより遷移を行い、
前記遷移を行うときの前記車速が高いほど、モーフィングの速度が高いことを特徴とする請求項4記載の後方視界支援システム。
【請求項6】
前記車両のウインカの状態を検出するウインカ検出手段を備え、
前記制御手段は、前記ウインカが右を指示している場合、前記ウインカが中立の場合よりも、前記切出画像の前記車両後方画像における位置を右寄りとし、前記ウインカが左を指示している場合、前記ウインカが中立の場合よりも、前記切出画像の前記車両後方画像における位置を左寄りとすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の後方視界支援システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記ウインカの状態の変化に応じて前記切出画像を変更し、前記表示手段に表示する切出画像を遷移させる場合、モーフィングにより遷移を行い、
ウインカの状態が中立以外から中立に変化する場合のモーフィングの速度は、その逆の変化の場合のモーフィングの速度よりも高いことを特徴とする請求項6記載の後方視界支援システム。
【請求項8】
前記車両のハザードの状態を検出するハザード検出手段を備え、
前記制御手段は、前記ハザードがONの場合、前記ハザードがOFFの場合よりも、前記切出画像を広くすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の後方視界支援システム。
【請求項1】
車両後方を撮像して車両後方画像を取得する撮像手段と、
車両の状態に応じて、前記車両後方画像の一部を切り出して切出画像を設定する制御手段と、
車室内に設けられ、前記切出画像を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする後方視界支援システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記切出画像における下部にマスクをオーバーレイすることを特徴とする請求項1記載の後方視界支援システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記切出画像中に自車両の後部に対応する表示を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の後方視界支援システム。
【請求項4】
前記車両の車速を検出する車速検出手段を備え、
前記制御手段は、前記車速が高いほど、前記切出画像を狭く設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の後方視界支援システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記車速の変化に応じて前記切出画像を変更し、前記表示手段に表示する切出画像を遷移させる場合、モーフィングにより遷移を行い、
前記遷移を行うときの前記車速が高いほど、モーフィングの速度が高いことを特徴とする請求項4記載の後方視界支援システム。
【請求項6】
前記車両のウインカの状態を検出するウインカ検出手段を備え、
前記制御手段は、前記ウインカが右を指示している場合、前記ウインカが中立の場合よりも、前記切出画像の前記車両後方画像における位置を右寄りとし、前記ウインカが左を指示している場合、前記ウインカが中立の場合よりも、前記切出画像の前記車両後方画像における位置を左寄りとすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の後方視界支援システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記ウインカの状態の変化に応じて前記切出画像を変更し、前記表示手段に表示する切出画像を遷移させる場合、モーフィングにより遷移を行い、
ウインカの状態が中立以外から中立に変化する場合のモーフィングの速度は、その逆の変化の場合のモーフィングの速度よりも高いことを特徴とする請求項6記載の後方視界支援システム。
【請求項8】
前記車両のハザードの状態を検出するハザード検出手段を備え、
前記制御手段は、前記ハザードがONの場合、前記ハザードがOFFの場合よりも、前記切出画像を広くすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の後方視界支援システム。
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図1】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−140106(P2012−140106A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−680(P2011−680)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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