説明

後続車両接近防止装置

【課題】 本発明は、簡単な構成により、後続の大型自動車の接近を防止し、確実に一定の車間距離を確保することができるようにした後続車両接近防止装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 自動車の車体後部に設けられ、車両後方に向かって斜め上方に、好ましくは所定角度以上の範囲に光を導く投光手段17を備えるように、後続車両接近防止装置10を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば後続の大型車両が接近して前方の車両の乗員に威圧感を与えないようにするための後続車両接近防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、運転席が高い位置に在る例えばトラック,バス等の大型自動車では、信号待ち等における停車時に、無意識のうちに、前方で停車している自動車に接近してしまう傾向にある。
このため、前方の自動車の運転者及び同乗者は、特に軽自動車のような小型の自動車に乗車している場合に、後方に接近し過ぎた大型自動車により恐怖感を覚えることがある。
従って、このような後続車の接近を防止するために、例えば特許文献1〜5による対策が知られている。
【0003】
特許文献1においては、トラック車両の後部に上下ローラを配置し、その上下ローラ間にモータにより回転するベルトを設け、そのベルトに反射板を取り付けたことを特徴とするトラックの追突防止装置が開示されている。
このようなトラックの追突防止装置によれば、後続車の前照灯の光を反射する反射面の鏡面をモータにより動かすことによって、後続車に対して前走車の存在を早期に気付かせることができる。
【0004】
特許文献2においては、自動車の後部ガラスに灯火用ランプを設け、ハンドルの側面部分に、灯火用ランプとコードによる配線をした操作スイッチを設け、これを操作することにより点灯及び消灯することを特徴とする車間距離警告灯が開示されている。
このような車間距離警告灯によれば、操作スイッチにより灯火用ランプを点灯することにより、車間距離を詰める後続車に対して警告を発することができる。
【0005】
特許文献3においては、隣合う上側の反射面と下側の反射面とで反射角を形成する反射体を有する車両用反射器において、複数種の異なる反射角を有する複数個の反射体の集合体からなることを特徴とする車両用反射器が開示されている。
このような車両用反射器によれば、複数種の異なる反射角により、上下方向に関して広い角度範囲で、後続車の前照灯の光を反射させて、後続車に対して前走車の存在を早期に気付かせることができる。
【0006】
特許文献4においては、レンズの少なくとも一部に反射機能を有する信号灯において、前記信号灯の最大輝度をLとしたとき、平均輝度が少なくとも1/4L以下となる領域に反射機能を持たせることを特徴とする反射機能付き信号灯が開示されている。
このような反射機能付き信号灯によれば、信号灯のレンズの一部に設けられた反射機能により、後続車の前照灯の光を反射させて、後続車に対して前走車の存在を早期に気付かせることができる。
【0007】
特許文献5においては、自動車の後面部からルーフ面にかけて、略L字形に湾曲した形状のストップランプを取り付けたことを特徴とするハイマウントストップランプが開示されている。
このようなハイマウントストップランプによれば、運転席が高く運転者の視点が高い位置に在る大型自動車に対しても、高い視認性を確保することが可能である。
【特許文献1】実開平05−076872号公報
【特許文献2】特開平08−253068号公報
【特許文献3】特開平09−076816号公報
【特許文献4】特開平10−255512号公報
【特許文献5】特開平11−091439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1によるトラックの追突防止装置,特許文献3による車両用反射器及び特許文献4による反射機能付き信号灯においては、後続車の前照灯から照射される光を反射して、後続車が走行している時点で接近を気付かせることにより、追突事故を未然に防止するようになっている。
また、特許文献5によるハイマウントストップランプにおいては、自動車のルーフ面にまで延びる信号灯を配置することによって、視点の高い大型自動車に対する信号灯の視認性を高めるようにしている。
しかしながら、前述したように、後続の大型自動車が運転者の無意識のうちに停止している前車に接近しすぎて、前車の乗員に不安感や恐怖感を与えてしまうことを防止することは困難である。
【0009】
これに対して、特許文献2による車間距離警告灯においては、後続の大型自動車が運転者の無意識のうちに停車している前車に接近しすぎるような状況で、灯火用ランプを点灯させて警告を発することにより、後続車の運転者に対して強制的に気付かせようとするものである。
しかしながら、このような灯火用ランプの点灯は、状況によっては後続車の運転者の気分を損ねたり印象を悪くして、却って車間距離を詰めてしまうという可能性もあり、また後続車の運転者が前車に接近しすぎているという事実に気付かない可能性もある。
【0010】
本発明は、以上の点から、簡単な構成により、後続の大型自動車の接近を防止し、確実に一定の車間距離を確保することができるようにした後続車両接近防止装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、本発明の第一の態様によれば、自動車の車体後部に設けられ、車両後方に向かって斜め上方に光を導く投光手段を備えたことを特徴とする、後続車両接近防止装置により、達成される。
【0012】
この第一の態様では、後続の車両が後方から当該車両に接近して、車間距離が短くなると、後続車両の運転者の視点が、上記投光手段からの光の照射範囲内に進入する。
これにより、後続車両の運転者は、この投光手段からの光を受けて眩しく感じる。従って、後続車両の運転者は、投光手段からの光の眩しさを回避しようと、自発的に当該車両との車間距離をそれ以上詰めないように後続車両を停止させる。
このようにして、後続車両の運転者が当該車両との車間距離をある程度確保して停止することによって、当該車両の運転者は、後続車両が接近し過ぎることによる不安感や恐怖感を覚えることがない。
【0013】
本発明の第二の態様による後続車両接近防止装置は、前記第一の態様による後続車両接近防止装置において、上記投光手段が、自動車の車体後部に設けられた車両用灯具内に設けられ、当該車両用灯具の光源からの光を車両後方に向かって斜め上方に導く光学部材であることを特徴とする。
この第二の態様では、上記投光手段が既設の車両用灯具内に設けられたレンズ,反射部材等の光学部材から構成されているので、簡単な構成により、低コストで投光手段を構成することができる。また、上記投光手段が既設の車両用灯具内に設けられるので、自動車の後部の外観見栄えが損なわれるようなことはない。
【0014】
本発明の第三の態様による後続車両接近防止装置は、前記第一の態様による後続車両接近防止装置において、上記投光手段が、自動車の車体後部に設けられた投光用灯具であることを特徴とする。
この第三の態様では、上記投光手段が車両用灯具とは別体の投光用灯具であるので、車両用灯具の構造,デザイン等や配置位置に影響されることなく構成され、任意の位置に配置される。
【0015】
本発明の第四の態様による後続車両接近防止装置は、前記第三の態様による後続車両接近防止装置において、上記投光用灯具が自動車の車体後部に設けられた車両用灯具の内部に組み込まれていることを特徴とする。
この第四の態様では、上記投光用灯具が既設の車両用灯具内に設けられているので、自動車の後部の外観見栄えが損なわれるようなことはない。
【0016】
本発明の第五の態様による後続車両接近防止装置は、前記第三の態様による後続車両接近防止装置において、上記投光用灯具が自動車の車体後部に設けられた車両用灯具と別体に配置されていることを特徴とする。
この第五の態様では、上記投光用灯具が既設の車両用灯具とは別に自動車の車体後部の任意の位置に配置され得る。従って、上記投光用灯具即ち上記投光手段の後方からの視認性を確保することができる
【0017】
本発明の第六の態様による後続車両接近防止装置は、前記第一から第五の何れかの態様による後続車両接近防止装置において、上記投光手段が、自動車の車両後方に向かって斜め上方に所定角度以上の範囲に光を導くことを特徴とする。
この第六の態様では、上記投光手段が、自動車の後方に向かって所定角度以上の範囲に光を照射するので、特に後続車両が大型車両である場合に、当該車両に接近し過ぎた後続車両の運転者の視点に向かって効果的に光を照射することができる。
【0018】
本発明の第七の態様による後続車両接近防止装置は、前記第六の態様による後続車両接近防止装置において、上記投光手段が、所定角度以下の光を遮断するシェードを備えていることを特徴とする。
この第七の態様では、上記投光手段が、自動車の後方に向かって所定角度以下の光を照射しないので、特に後続車両が大型車両である場合に、当該車両と適宜の車間距離を確保している後続車両の運転者の視点には光を照射しない。従って、後続の大型車両の運転者は、当該車両に接近し過ぎなければ、上記投光手段からの光が目に入らず、眩しくない。
【0019】
本発明の第八の態様による後続車両接近防止装置は、前記第六または第七の態様による後続車両接近防止装置において、上記投光手段が、24cd以上の配光光度となる光を導くことを特徴とする。
この第八の態様では、特に後続車両が大型車両である場合に、当該車両に接近し過ぎた後続車両の運転者の視点に向かって24cd以上の配光光度の光が照射されるので、後続車両の運転者は、この投光手段からの光を眩しいと感じる。
【0020】
このようにして、本発明による後続車両接近防止装置によれば、信号待ちあるいは渋滞等で自動車が停車しているときに、後続の大型車両が後方から接近する場合に、後続の大型車両が前方の当該車両に接近し過ぎると、後続の大型車両の運転者の視点が、当該車両の後続車両接近防止装置の投光手段からの光の照射範囲内に進入する。
従って、後続の大型車両の運転者は、この投光手段からの光を眩しく感じるので、この眩しさを回避するように、自発的に前方の当該車両との間の車間距離をあけて停車する。これにより、当該車両の運転者は、後続の大型車両があまり接近しなくなるので、後続の大型車両により不安感や恐怖感を覚えるようなことがない。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、簡単な構成により、後続の大型自動車の接近を防止し、確実に一定の車間距離を確保することができるようにした後続車両接近防止装置が提供され得ることになる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の好適な実施形態を図1乃至図9を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0023】
[実施例1]
図1は、本発明による後続車両接近防止装置の第一の実施形態の構成を示している。
図1において、後続車両接近防止装置10は、自動車の車体後部に設けられる例えば制動灯等の車両用灯具11内に組み込まれている。
【0024】
ここで、上記車両用灯具11は、自動車の車体(図示せず)の後部に対して取り付けられるハウジング12と、ハウジング12の開放面を覆うレンズ13と、ハウジング12内にてハウジング12の(光出射方向に関して)後端にソケット14を介して装着される光源としてのバルブ15と、ハウジング12の内面に形成された反射面(リフレクタ)16と、から構成されている。
【0025】
上記ハウジング12は、例えばPP(ポリプロピレン)等の樹脂から形成されており、光出射方向の前端が開放している。
上記レンズ13は、例えばポリカーボネイト等の透明樹脂から構成されており、その周縁が、溶着等によってハウジング12に対して取り付けられており、ハウジング12の内部空間が密閉されている。
【0026】
上記ソケット14は、ハウジング12に対して気密的に取り付けられており、外部から給電されることにより、バルブ15を点灯させるように構成されている。
【0027】
上記反射面16は、光照射方向前方に向かって凹状に、好ましくは例えば回転放物面形状を有するように樹脂材料により構成されており、バルブ15からの光Lを反射し且つ集束して自動車の後方に導くように構成されている。
【0028】
上記後続車両接近防止装置10は、上記ハウジング12の光照射方向前縁の上部内側に配置されており、投光手段17により構成されている。
上記投光手段17は、投光用灯具として、ハウジング12の前縁の上部内側に取り付けられた基板20と、基板20上に実装されたLED等の発光素子21と、発光素子21の下側に配置されたフード22と、から構成されている。
【0029】
上記基板20及び発光素子21は、光照射方向即ち自動車の後方に向かって斜め上方の所定角度θ以上の範囲に光を照射するように配置されている。
これにより、基板20上に構成された駆動回路が外部から給電されることにより、発光素子21を駆動して、発光素子21から光L1が所定角度θ以上の範囲で出射して、光照射方向即ち自動車の後方に向かって斜め上方に照射される。
また、フード22は、不透光性材料から構成されており、発光素子21からの光Lが車両用灯具10のリフレクタ16内に進入しないように遮断する。
【0030】
尚、図示の場合、上記レンズ13は、投光手段17からの光L1が透過する領域に窓部13aを備えている。
さらに、窓部13aは、上記投光手段17からの光L1に対して透光性を有する材料から成るレンズ部13bにより閉じられている。
これにより、上記投光手段17からの光L1は、レンズ13のレンズ部13bを透過して、自動車の後方に向かって斜め上方に照射される。
【0031】
本発明実施形態による後続車両接近防止装置10は、以上のように構成されており、車両用灯具11のバルブ15が点灯すると共に、投光手段17の発光素子21が発光したとき、自動車の後方に対する全体の上下方向に関する発光特性は、図2に示すようになる。即ち、この発光特性は、車両用灯具11のバルブ15による水平方向0度及び後続車両接近防止装置10の投光手段17による所定角度θ以上の範囲にそれぞれ発光光度のピークを有している。
ここで、車両用灯具11からの光Lは、従来の車両用灯具と同じ発光特性を有しており、本来の機能を発揮する。
【0032】
これに対して、後続車両接近防止装置10からの光L1は、以下のように機能する。
即ち、当該車両の後方に後続車両が接近したとき、後続車両の運転者の視点が、当該車両の後続車両接近防止装置10の投光手段17からの光L1の照射範囲(所定角度θ以上の範囲)に進入する。
これにより、後続車両の運転者は、この投光手段17からの光L1を受けて眩しく感じる。従って、後続車両の運転者は、投光手段17からの光L1の眩しさを回避しようと、自発的に当該車両との車間距離をそれ以上詰めないように後続車両を停止させる。
また、光L1は、その中心軸から各左右方向に5度〜10度の広がりを持つことが好ましい。
【0033】
以下に、上述した透光手段17からの光L1の配光特性について詳細に説明する。
図3において、当該車両30の後続車両接近防止装置10の取付高さをh,後続車両接近防止装置10の投光手段17からの光L1の照射角度をθ,後続車両31の運転者の視点32の高さをH,当該車両30の後端と後続車両31の前端との間の距離(車間距離)をDとすると、次の数式の条件が成立したとき、図4に示すように、後続車両31の運転者の視点32が、投光手段17からの光L1の照射範囲内に進入することになる。
D≦(H−h)/tanθ
【0034】
ここで、視距離3mにおける投光手段17からの光L1の眩しさ許容限界輝度は、LED等の発光素子21の発光色、即ち青,緑,赤,白,アンバーについて、それぞれ図5に示すように互いに異なり、この眩しさ許容限界輝度を越える光L1を照射すれば、後続車両31の運転者が光L1を眩しいと感じる。
その際、図5による眩しさ許容限界輝度が低い程、低輝度で眩しさを感じる。従って、青,緑,赤,白,アンバーの順で眩しさを与えやすいことが分かる。
【0035】
また、後続車両接近防止装置10の投光手段17の取付高さh及び所定角度θは、当該車両の車体条件やデザインに応じて変更することにより、前記式の条件を満たすようにすれば、接近し過ぎた後続車両31の運転者に眩しさを与える効果を維持することが可能である。
例えば後続車両31の運転者の視点32の高さHを2mとしたとき、投光手段17の取付高さhが1m,0.85mの場合の所定角度θ及び車間距離Dとの関係は、図6にてそれぞれ符号A及びBで示すように変化する。
従って、当該車両30の運転者が後続の大型車両31が後方から接近し過ぎて不安感や恐怖感を覚える車間距離Dを4mとすると、所定角度θは約13度となる。
これにより、後続車両接近防止装置10及び車両用灯具11によって、全体として図2に示すような配光特性が得られることになる。
【0036】
このような光L1について、以下に車両用灯具11の制動灯としての配光規格と関連して説明する。
眩しさ許容限界光度と、ストップランプ配光規格の上10度、左右0度のポイント(以下、このポイントを10U0LRという)における制動灯法規要求光度、即ち10U0LR光度×1.2を満たしたときのストップランプ配光規格の上13度、左右各10度以内のライン(以下、このラインを13Uという)における光度、即ち13U光度との間には、図7に示すように、以下の関係がある。
即ち、制動灯の10U0LR光度×1.2<許容限界光度(第一の条件)で、13U光度は許容限界光度以上である。
また、制動灯の10U0LR光度×1.2≧許容限界光度(第二の条件)で、13U光度は制動灯の10U0LR光度×1.2以上である。
ここで、人間は光度(輝度)が20%以上変化したとき、初めてその変化に気付くという理論に基づいて、基準値(10U0LR光度×1.2)を採用している。
【0037】
例えば欧州法規(ECE R007)では、シングルランプでの制動灯の中心光度は最小光度60cd,最大光度185cdと定められている。このとき、上10度,左右5度(以下、このポイントを10U5LRという)での要求光度は、中心光度を最小で設計した場合に12cd,最大で設計した場合に37cdとなる。
そして、法規を満たした制動灯の配光設計がなされた場合に、10U0LRにおける光度が20cdになったとする。
【0038】
投光手段17の発光面積100cm2 とし、発光素子21として628nmのドミナント波長を有する赤色LEDを使用した場合、図5による許容限界輝度(約3300cd/cm2 )から3m視距離での眩しさ許容限界光度は33cdとなる。
従って、上述した10U0LRにおける制動灯の配光光度の1.2倍=20cd×1.2=24cdで第一の条件(制動灯の13U光度×1.2<許容限界光度)となり、13U光度が33cd以上となるような配光にすればよい。
【0039】
また、投光手段17の発光面積が50cm2 の場合、3m視距離での眩しさ許容限界光度は約17cdとなる。
従って、10U0LRにおける制動灯の配光光度の1.2倍=20cd×1.2=24cdで第二の条件(制動灯の10U0LR光度×1.2≧許容限界光度)となり、13U光度が24cd以上となるような配光にすればよい。
【0040】
[実施例2]
図8は、本発明による後続車両接近防止装置の第二の実施形態を示している。
図8において、後続車両接近防止装置40は、図1に示した後続車両接近防止装置10とは異なり、車両用灯具11のハウジング12の光照射方向前縁の下部内側に配置されており、投光手段41から構成されている。
上記投光手段41は、ハウジング12の前縁の下部内側に取り付けられた反射部材42から構成されている。
【0041】
上記反射部材42は、放物反射面として形成されており、その焦点が車両用灯具11のバルブ15の発光中心付近に位置するように配置されている。
これにより、上記反射部材42は、車両用灯具11のバルブ15からの光Lを反射・集束し、光照射方向即ち自動車の後方に向かって斜め上方の所定角度θ以上の範囲に光を照射する。
尚、上記反射部材42は、楕円反射面として形成されていてもよく、その場合、第一の焦点が車両用灯具11のバルブ15の発光中心付近に位置し、長軸が光照射方向後方に向かって斜め上方に延びるように、配置される。
【0042】
このような構成の後続車両接近防止装置40によれば、図1に示した後続車両接近防止装置10と同様に作用して、投光手段41からの光L1により後続車両が当該車両に接近し過ぎないようにすることができる。
【0043】
[実施例3]
図9は、本発明による後続車両接近防止装置の第三の実施形態の構成を示している。
図9において、後続車両接近防止装置50は、図1に示した後続車両接近防止装置10とほぼ同様の構成であるので、同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
後続車両接近防止装置50は、図1に示した後続車両接近防止装置10とは、投光手段17のフード22上にシェード51を備えている点でのみ異なる構成になっている。
【0044】
このシェード51は、投光手段17の発光素子21からの光L1のうち、所定角度θ以下の光を遮断するように配置されている。
これにより、投光手段17の発光素子21からの光L1は、所定角度θ以下の光がシェード51によって遮断されるので、図2における投光手段17からの光L1のピークがよりシャープになる。
【0045】
このような構成の後続車両接近防止装置50によれば、図1に示した後続車両接近防止装置10と同様に作用すると共に、投光手段17からの光L1による光度のピークがシャープであるので、後続車両が当該車両に接近したとき、後続車両の運転者に対してより明確に光L1を認識させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
上述した実施形態においては、後続車両接近防止装置10,40,50は、何れも制動灯としての車両用灯具11内に組み込まれているが、これに限らず、尾灯,後退灯等の他の車両用灯具内に組み込まれていてもよい。
また、上述した実施形態においては、後続車両接近防止装置10,50は、投光手段17が車両用灯具11内に組み込まれているが、これに限らず、車両用灯具の外側に配置されていてもよい。
この場合、車両用灯具11の構造,デザインや配置場所に制限されることなく、自動車の車体後部の任意の場所に配置することができる。従って、投光手段17からの光L1を後方に向かって斜め上方により効果的に照射することができる。
【0047】
さらに、上述した実施形態においては、後続車両接近防止装置10,50における投光手段17の発光素子21は常時点灯または制動灯点灯時に点灯するが、これに限らず、後続車両との車間距離を検出するセンサを備えておき、このセンサが後続車両との車間距離が所定値以下になったとき、投光手段17の発光素子21を点灯させるようにしてもよい。
【0048】
このようにして、本発明によれば、簡単な構成により、後続の大型自動車の接近を防止し、確実に一定の車間距離を確保することができるようにした、極めて優れた後続車両接近防止装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による後続車両接近防止装置の第一の実施形態を備えた車両用灯具の構成を示す概略断面図である。
【図2】図1の車両用灯具及び後続車両接近防止装置による上下方向の配光角度と光度との関係を示すグラフである。
【図3】図1の後続車両接近防止装置の投光手段による配光特性と後続の大型車両との関係を示す概略図である。
【図4】後続の大型車両が接近し過ぎた場合の図3と同様の図である。
【図5】視距離3mにおける光源の発光色と許容限界輝度との関係を示すグラフである。
【図6】取付高さ1m及び0.85mにおける配光角度θと車間距離Dとの関係を示すグラフである。
【図7】所定角度θ=13度における投光手段の13U光度と許容限界光度との関係を示すグラフである。
【図8】本発明による後続車両接近防止装置の第二の実施形態を備えた車両用灯具の構成を示す概略断面図である。
【図9】本発明による後続車両接近防止装置の第三の実施形態を備えた車両用灯具の構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0050】
10,40,50 後続車両接近防止装置
11 車両用灯具(制動灯)
12 ハウジング
13 レンズ
14 ソケット
15 バルブ
16 反射面
17 投光手段
20 基板
21 発光素子
22 フード
30 当該車両
31 後続の大型車両
32 後続の大型車両の運転者の視点
41 投光手段
42 反射部材
51 シェード


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体後部に設けられ、車両後方に向かって斜め上方に光を導く投光手段を備えた
ことを特徴とする、後続車両接近防止装置。
【請求項2】
上記投光手段が、自動車の車体後部に設けられた車両用灯具内に設けられ、当該車両用灯具の光源からの光を車両後方に向かって斜め上方に導く光学部材であることを特徴とする、請求項1に記載の後続車両接近防止装置。
【請求項3】
上記投光手段が、自動車の車体後部に設けられた投光用灯具であることを特徴とする、請求項1に記載の後続車両接近防止装置。
【請求項4】
上記投光用灯具が自動車の車体後部に設けられた車両用灯具の内部に組み込まれていることを特徴とする、請求項3に記載の後続車両接近防止装置。
【請求項5】
上記投光用灯具が自動車の車体後部に設けられた車両用灯具と別体に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の後続車両接近防止装置。
【請求項6】
上記投光手段が、自動車の車両後方に向かって斜め上方に所定角度以上の範囲に光を導くことを特徴とする、請求項1から5の何れかに記載の後続車両接近防止装置。
【請求項7】
上記投光手段が、所定角度以下の光を遮断するシェードを備えていることを特徴とする、請求項6に記載の後続車両接近防止装置。
【請求項8】
上記投光手段が、24cd以上の配光光度となる光を導くことを特徴とする、請求項6または7に記載の後続車両接近防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−167805(P2010−167805A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9596(P2009−9596)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】