説明

後輪転舵装置

【課題】規制部材を小型化することが可能な後輪転舵装置を提供する。
【解決手段】ローター61Aと一体的に回転する回転部材71の回転をロック軸規制部材150に減速して伝達する。ロック軸規制部材150は、ロック軸91を挿入可能な通過孔152を有する。通過孔152は、後輪転舵軸50の中立並進位置に対応する箇所に形成される。回転部材71は、ロック軸91を挿入可能な規制穴71Bを有する。ロック軸91は、後輪転舵軸50が中立並進位置に位置するときに通過孔152を介して規制穴71Bに挿入される。回転部材71の回転は、ロック軸91が規制穴71Bに挿入されることによって規制される。後輪転舵軸50は、回転部材71の回転が規制されることに応じて並進の規制を受ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後輪転舵軸の並進を規制する後輪転舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の後輪転舵装置は、後輪の転舵角を変更する後輪転舵軸と、後輪転舵軸と一体的に形成されたロック溝と、後輪転舵軸に対して移動可能な規制部材と、後輪転舵軸に規制部材を移動させるばねとを有する。またこの他に、ばねによる規制部材の移動を規制する電磁ソレノイドと、後輪転舵軸を並進させる油圧アクチュエーターとを有する。規制部材は、ロック溝に近づくにつれて直径が漸減する円筒形状の先端部分を有する。ロック溝は、規制部材の先端部分と接触する傾斜面を有する。
【0003】
上記後輪転舵装置は、車両が高速で走行しているとき、かつ後輪転舵軸が中立並進位置に位置しているとき、電磁ソレノイドへの電流の供給を停止する。このとき、電磁ソレノイドは、規制部材の移動の規制を解除する。このため、規制部材はばねの復元力により後輪転舵軸に向けて移動する。規制部材の先端部分は、規制部材の移動によりロック溝に挿入される。そして、規制部材とロック溝との接触により後輪転舵軸の並進が規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−57465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
規制部材は、後輪転舵軸に一体的に形成されたロック溝との接触により後輪転舵軸の並進を規制する。このため、後輪転舵軸から入力される力に耐えるため、小型化することが難しい。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、規制部材を小型化することが可能な後輪転舵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)第1の手段は、請求項1に記載の発明すなわち、ねじ部分を有する後輪転舵軸と、前記ねじ部分に噛み合わされる回転部材と、前記回転部材にトルクを伝達する後輪転舵アクチュエーターと、前記後輪転舵軸の動作を規制する規制機構とを有し、前記後輪転舵軸は、前記回転部材の回転にともない軸方向に並進する後輪転舵装置において、前記規制機構は、前記回転部材に対して移動可能な規制部材と、前記規制部材を前記回転部材に対して移動させる規制アクチュエーターとを有し、前記規制部材は、前記回転部材に対して規制位置に位置するとき、前記回転部材の回転を規制し、前記回転部材に対して非規制位置に位置するとき、前記回転部材の回転を許容し、前記規制アクチュエーターは、前記後輪転舵軸が中立並進位置に位置するとき、前記規制部材を前記規制位置に移動させることを要旨とする。
【0008】
回転部材は、後輪転舵軸のねじ部分に噛み合わされるため、後輪転舵軸に並進力が作用するとき、回転部材の接線力が後輪転舵軸の並進力よりも小さい。規制部材は、回転部材の回転を規制するため、後輪転舵軸の並進を規制する構成と比較して、規制対象の部品から受ける力が小さい。このため、規制部材を小型化することが可能になる。
【0009】
(2)第2の手段は、請求項2に記載の発明すなわち、請求項1において、前記規制機構は、前記回転部材に対する前記規制部材の移動を規制または許容する中間部材と、前記中間部材を前記回転部材に対して移動させる移動機構とを有し、前記中間部材は、前記回転部材に対して第1中間位置に位置するとき、前記非規制位置から前記規制位置に向かう前記規制部材の移動を規制し、前記回転部材に対して第2中間位置に位置するとき、前記非規制位置から前記規制位置に向かう前記規制部材の移動を許容し、前記移動機構は、前記後輪転舵軸が前記中立並進位置以外の並進位置に位置するとき、前記中間部材を前記第1中間位置に保持することを要旨とする。
【0010】
中間部材は、移動機構により第2中間位置から第1中間位置に変更されるとき、規制部材の移動を許容する状態から規制部材の移動を規制する状態に変化する。そして、中間部材が第2中間位置に位置するとき、非規制位置から規制位置に向けて規制部材が移動する。このため、回転部材の回転が規制部材により規制される。
【0011】
(3)第3の手段は、請求項3に記載の発明すなわち、請求項2において、前記移動機構は、前記回転部材の外周面に形成された太陽歯車と、前記太陽歯車に噛み合わされる遊星歯車と、前記遊星歯車に噛み合わされる内歯歯車と、前記遊星歯車を回転可能に支持する支持部材と、前記支持部材および前記中間部材と一体的に回転する遊星キャリアとを有し、前記中間部材は、前記規制部材が通過する通過孔を有し、前記通過孔は、前記中間部材が前記第1中間位置に位置するとき、前記規制部材と対応しない箇所に位置し、前記中間部材が前記第2中間位置に位置するとき、前記規制部材と対応する箇所に位置することを要旨とする。
【0012】
中間部材は、回転部材の回転にともない支持部材および遊星キャリアが回転するとき、支持部材および遊星キャリアとともに回転部材に対して回転する。通過孔は、回転部材の回転にともない回転部材に対する周方向の位置が変化する。そして、回転部材に対する中間部材の位置が第1中間位置から第2中間位置に変化するとき、周方向において規制部材と対応する箇所に位置する。規制部材は、通過孔が対応する箇所に位置するとき、規制位置に向けて移動する。一方、通過孔が対応する箇所に位置していないとき、規制位置に向けて移動することができない。このように、上記後輪転舵装置は、回転部材の回転に連動して規制位置への移動が規制または許容される。このため、後輪転舵軸が中立並進位置に位置するとき、回転部材の回転が規制部材により的確に規制される。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、規制部材を小型化することが可能な後輪転舵装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態の後輪転舵軸の規制機構を有する車両について、その全体構造を示すブロック図。
【図2】同実施形態の後輪転舵装置について、後輪転舵軸の中心線に平行する平面の断面構造を示す断面図。
【図3】同実施形態の後輪転舵装置について、図2の減速機構を含むSA部分の拡大構造を示す断面図。
【図4】同実施形態の減速機構について、図3のXA−XA平面の断面構造を示す断面図であり、(a)は基準状態を示す断面図、(b)は回転部材が基準状態から正転方向に回転したときの断面図、(c)は回転部材が基準状態から逆転方向に回転したときの断面図。
【図5】同実施形態の規制機構について、(a)は後輪転舵軸が最左並進位置に位置するときの断面構造を示す断面図、(b)は(a)のXB−XB平面の断面構造を示す断面図。
【図6】同実施形態の規制機構について、(a)はロック軸がロック軸規制部材の外面に接触しているときの断面構造を示す断面図、(b)は(a)のXB−XB平面の断面構造を示す断面図。
【図7】同実施形態の規制機構について、(a)はロック軸が回転部材の外面に接触しているときの断面構造を示す断面図、(b)は(a)のXB−XB平面の断面構造を示す断面図。
【図8】同実施形態の規制機構について、(a)は後輪転舵軸の並進が中立並進位置で規制されているときの断面構造を示す断面図、(b)は(a)のXB−XB平面の断面構造を示す断面図。
【図9】本発明のその他の実施形態の後輪転舵装置について、後輪転舵軸の中心線に平行する平面の断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照して、車両1の全体構成について説明する。
車両1は、4つの駆動輪すなわち、右前輪11、左前輪12、右後輪13、および左後輪14と、4つの駆動輪11〜14の転舵角を変更する操舵装置20とを有する。
【0016】
操舵装置20は、ステアリングシャフト31にトルクを伝達するステアリングホイール21と、右前輪11および左前輪12の転舵角を変更する前輪転舵装置30と、右後輪13および左後輪14の転舵角を変更する後輪転舵装置40とを有する。またこの他に、操舵角、操舵トルク、および走行速度に応じて前輪転舵装置30および後輪転舵装置40を制御する制御装置25と、ステアリングシャフト31の操舵角を検出する操舵角センサ22と、ステアリングシャフト31に入力される操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ23と、車両1の走行速度を検出する車速センサ24とを有する。
【0017】
前輪転舵装置30は、ステアリングシャフト31の他に、ステアリングシャフト31にトルクを付与するアシストモーター32と、アシストモーター32の回転をステアリングシャフト31に伝達する前輪転舵減速機構33とを有する。またこの他に、ステアリングシャフト31に連結されたラックアンドピニオン機構34と、右前輪11および左前輪12の転舵角を変更するラック軸35とを有する。
【0018】
図2を参照して、後輪転舵装置40の詳細な構成について説明する。
ここで、後輪転舵装置40に関する方向および位置を以下のとおり定義する。
(A)後輪転舵軸50の中心軸に沿う方向を「転舵軸方向X」とする。
(B)後輪転舵装置40の背面視(車両1の後方からの正面視)かつ転舵軸方向Xにおいて、左側から右側に向かう方向を「右方向R」とし、右側から左側に向かう方向を「左方向L」とする。
(C)ハウジング41、または規制アクチュエーター90のロック軸91に対する後輪転舵軸50の転舵軸方向Xの位置を「並進位置」とする。
(D)右後輪13および左後輪14の転舵角が「0°」のとき、すなわち右後輪13および左後輪14の転舵角が中立転舵角のときにおける後輪転舵軸50の並進位置を「中立並進位置」とする。
(E)規制アクチュエーター90のロック軸91の中心軸に沿う方向を「ロック軸方向Z」とする。
(F)ロック軸方向Zにおいて、ロック軸91が回転部材71に近づく方向を「接近方向D」とし、回転部材71から離れる方向を「離間方向U」とする。
(G)後輪転舵軸50の左方向Lからの側面視かつ後輪転舵軸50の中心軸まわりの回転方向Jにおいて、時計回り方向を「正転方向J1」とし、反時計回り方向を「逆転方向J2」とする。
【0019】
後輪転舵装置40は、後輪転舵軸50の一部を収容するハウジング41と、ハウジング41の両端の各開口部分において後輪転舵軸50を支持する一対の軸受42と、回転部材71の回転角を検出する回転角センサ43とを有する。またこの他に、後輪転舵軸50を転舵軸方向Xに駆動する転舵駆動機構60と、ローター61Aの回転を後輪転舵軸50の並進に変換する変換機構70と、後輪転舵軸50の並進を規制する規制機構80とを有する。
【0020】
ハウジング41は、規制アクチュエーター90のロック軸91を内部の空間に挿入するための挿入孔41Aを有する。回転角センサ43は、ハウジング41の内面において回転部材71と対向する位置に固定される。
【0021】
転舵駆動機構60は、後輪転舵軸50を駆動するための転舵モーター61と、回転部材71を回転可能な状態で支持する回転部材軸受62とを有する。転舵モーター61は、ローター61Aと、ローター61Aを回転させるステーター61Bとを有する。
【0022】
ローター61Aは、回転部材71の外面71A上において左方向Lの端部に固定された複数の永久磁石を有する。複数の永久磁石は、回転部材71の周方向において所定の間隔をおいて配置される。ステーター61Bは、ハウジング41の内面に固定された複数のコイルを有する。複数のコイルは、ハウジング41の周方向において所定の間隔をおいて配置される。ローター61Aの永久磁石と、ステーター61Bのコイルとは対向する。回転部材軸受62は、ハウジング41の内面において後輪転舵軸50の軸方向に移動不能に固定される。なお、転舵モーター61は、「後輪転舵アクチュエーター」に相当する。
【0023】
変換機構70は、ローター61Aと一体的に回転する回転部材71と、回転部材71に噛み合わされるねじ部分72とを有する。回転部材71は、外面71Aと、ねじ部分72と噛み合う内面とを有するボールナットである。外面71Aは、後輪転舵軸50の中立並進位置と対応する箇所に規制穴71Bを有する。規制穴71Bは、ロック軸91をロック軸方向Zに挿入可能な形状を有する。回転部材71は、回転部材軸受62に圧入される。ねじ部分72は、後輪転舵軸50の外周面上に形成される。
【0024】
規制機構80は、ロック軸91を移動することにより後輪転舵軸50の並進を規制する規制アクチュエーター90と、回転部材71の回転を減速してロック軸規制部材150に伝達する減速機構100とを有する。
【0025】
規制アクチュエーター90は、後輪転舵軸50に対してロック軸方向Zに移動するロック軸91と、ロック軸91のロック軸方向Zへの移動を案内するすべり軸受92と、ロック軸91を回転部材71に対して移動させるソレノイド93と、ロック軸91に復元力を付与するばね94とを有する。なお、ロック軸91は「規制部材」に相当する。
【0026】
ソレノイド93は、ハウジング41に固定される。ロック軸91は、ばね94の復元力を受けるフランジ91Aを有する。フランジ91Aは、ロック軸91と同一の材料によりロック軸91と一体的に形成される。ばね94の一方の端部は、フランジ91Aのすべり軸受92側に固定される。ばね94の他方の端部は、すべり軸受92のフランジ91A側に固定される。このためばね94は、ロック軸91が接近方向Dに移動するとき、ロック軸91を離間方向Uに押す復元力をロック軸91に付与する。
【0027】
図3を参照して、減速機構100の詳細な構成について説明する。
減速機構100は、回転部材71の外面71A上に形成される太陽歯車110と、太陽歯車110と噛み合う遊星歯車120と、遊星歯車120を収容する収容部材130とを有する。またこの他に、遊星歯車120を支持する遊星キャリア140と、遊星キャリア140と一体的に回転するロック軸規制部材150とを有する。なお、減速機構100は「移動機構」に相当する。
【0028】
収容部材130は、底部131と円筒部132とを有する有底円筒形状を有する。底部131は、回転部材71を挿入可能な挿入孔133を有する。円筒部132は、遊星歯車120と噛み合う内歯歯車134を内面に有する。ハウジング41は、底部131を固定する。収容部材130は、収容部材130の周方向において等間隔に3つの遊星歯車120を収容する。各遊星歯車120は、内歯歯車134および太陽歯車110のそれぞれと噛み合うように収容部材130に収容される。
【0029】
遊星キャリア140は、回転部材71を挿入可能な挿入孔141と、収容部材130に向かって垂直に突出する支持ピン142とを有する。各支持ピン142は、遊星キャリア140の周方向において等間隔に配置される。各遊星歯車120は、各支持ピン142まわりに回転可能に各支持ピン142によって支持される。なお、支持ピン142は「支持部材」に相当する。
【0030】
ロック軸規制部材150は、回転部材71を挿入可能な内径の円筒形状を有する。ロック軸規制部材150は、遊星キャリア140の支持ピン142の配置面とは反対側の面に、遊星キャリア140と同一の材料により遊星キャリア140と一体的に形成される。ロック軸規制部材150は、外面151と、ロック軸91がロック軸方向Zに通過可能な通過孔152とを有する。通過孔152は、外面151上において周方向に所定の長さを有する長穴として形成される。なお、ロック軸規制部材150は「中間部材」に相当する。
【0031】
図1を参照して、前輪転舵装置30の動作について説明する。
運転者は、右前輪11および左前輪12の転舵角を変更するとき、ステアリングホイール21に操舵トルクを入力する。ステアリングシャフト31は、ステアリングホイール21の回転にともない回転する。制御装置25は、ステアリングシャフト31の操舵トルクおよび車両1の走行速度に応じた電流をアシストモーター32に供給する。
【0032】
アシストモーター32は、電流の供給を受けて出力軸を回転させる。前輪転舵減速機構33は、出力軸の回転を減速してステアリングシャフト31に伝達する。ラックアンドピニオン機構34は、ステアリングシャフト31の回転をラック軸35の軸方向の並進運動に変換する。ラック軸35は、並進運動することによりタイロッドを介してナックル(いずれも図示略)を動作させる。そして、ナックルの動作にともない右前輪11および左前輪12の転舵角が変化する。
【0033】
図2を参照して、後輪転舵装置40の動作について説明する。
制御装置25は、ステアリングシャフト31の操舵角および車両1の走行速度に応じた電流を転舵モーター61に供給する。転舵モーター61は、電流の供給を受けてローター61Aを回転させる。ローター61Aが回転するのにともなって、回転部材71がローター61Aと一体的に回転する。回転部材71は、ねじ部分72との噛み合いにより、回転部材71の回転を後輪転舵軸50の並進に変換する。後輪転舵軸50は、並進することによりタイロッドおよびナックル(いずれも図示略)を動作させる。そして、ナックルの動作にともない右後輪13および左後輪14の転舵角が変化する。
【0034】
転舵駆動機構60の動作について説明する。
ローター61Aは、ステーター61Bが正の電流の供給を受けているとき、正転方向J1に回転する。ローター61Aは、ステーター61Bが負の電流の供給を受けているとき、逆転方向J2に回転する。
【0035】
変換機構70の動作について説明する。
回転部材71は、ローター61Aが正転方向J1に回転することによってトルクの伝達を受けると、ローター61Aと一体的に正転方向J1に回転する。後輪転舵軸50は、回転部材71の正転方向J1への回転にともない、回転部材71とねじ部分72との噛み合いの関係からハウジング41に対して右方向Rに並進する。
【0036】
回転部材71は、ローター61Aが逆転方向J2に回転することによってトルクの伝達を受けると、ローター61Aと一体的に逆転方向J2に回転する。後輪転舵軸50は、回転部材71の逆転方向J2への回転にともない、回転部材71とねじ部分72との噛み合いの関係からハウジング41に対して左方向Lに並進する。
【0037】
規制アクチュエーター90の動作について説明する。
ロック軸91は、ソレノイド93から付与される力およびばね94から付与される力の関係に応じて後輪転舵軸50に対してロック軸方向Zに移動する。後輪転舵軸50に対するロック軸91のロック軸方向Zの位置(以下、「ロック軸位置」)は、ロック軸91の先端部分が、後輪転舵軸50の径方向においてロック軸規制部材150の外側に位置する「非規制位置」と、ロック軸91の先端部分が規制穴71B内に位置する「規制位置」とを有する。
【0038】
ソレノイド93は、駆動用電流の供給を受けていないとき、ロック軸91に対して電磁力を付与しない。ロック軸91は、ソレノイド93からの力が付与されていないとき、ばね94の復元力により非規制位置に移動する。
【0039】
ソレノイド93は、駆動用電流の供給を受けているとき、ロック軸91を後輪転舵軸50に対して接近方向Dに移動させる力を付与する。ロック軸91は、ソレノイド93から力が付与されているとき、ばね94の力に抗して非規制位置から規制位置に向かって移動する。
【0040】
図4を参照して、減速機構100が回転部材71の回転を減速する動作について説明する。ここで、減速機構100に関する方向および位置を以下のとおり定義する。
(A)後輪転舵軸50の左方向Lからの側面視かつ各支持ピン142の中心軸まわりの回転方向Kにおいて、時計まわり方向を「正転方向K1」とし、反時計まわり方向を「逆転方向K2」とする。
(B)規制穴71Bの後輪転舵軸50まわりの回転位置について、規制穴71Bがロック軸91を挿入可能な方向を向いているときの回転位置を「規制可能位置」とし、その他の回転位置を「規制不能位置」とする。
(C)通過孔152の後輪転舵軸50まわりの回転位置について、ロック軸91が通過可能な方向を通過孔152が向いているときの回転位置を「通過可能位置」とし、その他の回転位置を「通過不能位置」とする。
【0041】
なお、通過孔152が通過不能位置に位置するときのロック軸規制部材150の後輪転舵軸50まわりの回転位置は「第1中間位置」に相当する。また、通過孔152が通過可能位置に位置するときのロック軸規制部材150の後輪転舵軸50まわりの回転位置は「第2中間位置」に相当する。
【0042】
図4(a)に示されるように、規制穴71Bが規制可能位置に位置し、かつ通過孔152が通過可能位置に位置する状態が、後輪転舵軸50が中立並進位置に位置する状態と対応する(基準状態)。図4(b)に示されるように、回転部材71は、転舵モーター61に正の電流が供給されることに応じて正転方向J1へ回転する。規制穴71Bは、回転部材71と一体的に正転方向J1へ回転する。
【0043】
太陽歯車110は、回転部材71と一体的に正転方向J1に回転する。各遊星歯車120は、太陽歯車110の正転方向J1への回転にともなって、太陽歯車110および内歯歯車134との噛み合いにより、各支持ピン142まわりに逆転方向K2へ回転するとともに後輪転舵軸50まわりに正転方向J1へ回転する。太陽歯車110の回転は、各遊星歯車120との噛み合い、および各遊星歯車120と内歯歯車134との噛み合いに応じた減速比(以下、「回転減速比」)で減速され、各遊星歯車120の後輪転舵軸50まわりの回転として伝達される。
【0044】
遊星キャリア140は、後輪転舵軸50まわりに正転方向J1へ回転する各遊星歯車120と一体的に、後輪転舵軸50まわりに正転方向J1へ回転する。ロック軸規制部材150は、遊星キャリア140と一体的に、後輪転舵軸50まわりに正転方向J1へ回転する。通過孔152は、規制穴71Bの回転速度を回転減速比の分だけ減速した回転速度でロック軸規制部材150と一体的に正転方向J1に回転する。
【0045】
図4(c)に示されるように、回転部材71は、転舵モーター61に負の電流が供給されることに応じて逆転方向J2へ回転する。規制穴71Bは、回転部材71と一体的に逆転方向J2へ回転する。通過孔152は、規制穴71Bが正転方向J1に回転する場合と同様に、規制穴71Bの回転速度を回転減速比の分だけ減速した回転速度でロック軸規制部材150と一体的に、後輪転舵軸50まわりに逆転方向J2へ回転する。
【0046】
回転減速比は、回転部材71が回転することにともなって並進する後輪転舵軸50が中立並進位置に位置するときに、規制穴71Bが規制可能位置に位置し、かつ通過孔152が通過可能位置に位置するように定められる。
【0047】
図5〜図8を参照して、セルフアライニングトルクにより右方向Rへ並進する後輪転舵軸50を、中立並進位置で規制する場合の規制機構80の動作について説明する。
ここで、規制機構80に関する動作状態を以下のとおり定義する。
(A)ロック軸規制部材150の動作状態について、通過孔152が通過不能位置に位置し、ロック軸規制部材150が、外面151とロック軸91との接触によって、ロック軸91の接近方向Dへの移動を規制している状態を「第1規制状態」とする。
(B)ロック軸規制部材150の動作状態について、通過孔152が通過可能位置に位置し、ロック軸規制部材150が、ロック軸91の接近方向Dへの移動を許容している状態を「第1許容状態」とする。
(C)回転部材71の動作状態について、規制穴71Bが規制不能位置に位置し、回転部材71が、外面71Aとロック軸91との接触によって、ロック軸91の規制位置への移動を規制している状態を「第2規制状態」とする。
(D)回転部材71の動作状態について、規制穴71Bが規制可能位置に位置し、回転部材71が、ロック軸91の規制位置への移動を許容している状態を「第2許容状態」とする。
(E)規制機構80の動作状態について、第1許容状態かつ第2許容状態であり、ロック軸91が規制位置に位置することによって回転部材71の回転が規制されている状態を、後輪転舵軸50の並進が規制される並進規制状態とする。
(F)規制機構80の動作状態について、ロック軸91が非規制位置に位置することによって回転部材71の回転の規制が解除されている状態を、後輪転舵軸50の並進が許容される並進許容状態とする。
【0048】
図5(a)および(b)は、後輪転舵軸50が最左並進位置に位置するときにソレノイド93によってロック軸91を駆動した状態を示す。図5(a)および(b)に示されるように、後輪転舵軸50が最左並進位置に位置する場合、規制穴71Bが規制不能位置に位置し、かつ通過孔152が通過不能位置に位置する。すなわち、ロック軸規制部材150は第1規制状態となり、かつ回転部材71は第2規制状態となる。ロック軸91は、ソレノイド93によって接近方向Dへ移動する力を付与されている。ロック軸規制部材150は、ロック軸91の規制位置への移動を規制している。ロック軸91は、非規制位置に位置している。
【0049】
図6(a)および(b)に示されるように、後輪転舵軸50が中立並進位置へ並進することにともない、回転部材71とねじ部分72との噛み合いにより、回転部材71が正転方向J1に回転する。このため、規制穴71Bは、後輪転舵軸50が中立並進位置へ並進する過程において、複数回にわたり規制可能位置を通過する。すなわち、回転部材71は、第2規制状態および第2許容状態のそれぞれへの移行を複数回行う。一方、通過孔152は、後輪転舵軸50が中立並進位置へ並進する過程において、通過不能位置を維持する。すなわち、ロック軸規制部材150は、第2規制状態を維持する。
【0050】
図7(a)および(b)に示されるように、後輪転舵軸50の中立並進位置までの距離が、回転部材71の1回転未満に相当する距離になると、通過孔152が通過可能位置に移動する。すなわち、ロック軸規制部材150は、第1許容状態に移行する。一方、規制穴71Bは、回転部材71の1回転未満に相当する距離になった後、後輪転舵軸50が中立並進位置に位置するまで、規制不能位置を維持する。すなわち、回転部材71は、第2規制状態を維持する。ロック軸91は、回転部材71の外面71Aとの接触によって規制位置への移動の規制を受けている。
【0051】
図8(a)および(b)に示されるように、後輪転舵軸50が中立並進位置に位置すると、通過孔152は通過可能位置に位置し、かつ規制穴71Bが規制可能位置に移動する。すなわち、ロック軸規制部材150が第1許容状態を維持するとともに、回転部材71が第2許容状態に移行する。ロック軸91は、規制位置に移動する。回転部材71は、ロック軸91の規制位置への移動にともない回転の規制を受ける。後輪転舵軸50は、回転部材71が回転の規制を受けることにより、並進の規制を受ける。すなわち、規制機構80は、並進規制状態に移行する。
【0052】
ロック軸91は、ソレノイド93による力の付与が解除されると、ばね94の復元力により規制位置から非規制位置に移動する。これにより、規制機構80は、並進許容状態に移行する。
【0053】
なお、セルフアライニングトルクによって、左方向Lへ並進する後輪転舵軸50を、中立並進位置で規制する場合の規制機構80の動作は、回転部材71およびロック軸規制部材150の回転方向が逆転方向J2になり、かつ各遊星歯車120の回転方向が正転方向K1になる点を除いて、後輪転舵軸50が右方向Rへ並進する場合と同様である。
【0054】
また、中立並進位置に位置する後輪転舵軸50の並進を規制する場合、ロック軸91は、ソレノイド93による力の付与を受けることにともない規制穴71Bに挿入される。すなわち、ロック軸91は規制位置に移動する。
【0055】
図2を参照して、制御装置25の動作について説明する。
制御装置25は、車両1の走行速度および操舵角に基づいて右後輪13および左後輪14の転舵角を制御する後輪転舵角制御と、車両1の走行速度に応じて後輪転舵軸50の並進を規制する並進規制制御とを行う。
【0056】
後輪転舵角制御は、走行速度および操舵角に基づいて右後輪13および左後輪14の転舵角の目標値を算出し、回転角センサ43の出力に基づいて計算される転舵角を目標値に近づけるフィードバック制御を行う。このフィードバック制御は、転舵角の計算結果および目標値の差に応じて転舵モーター61に供給する電流を制御する。
【0057】
並進規制制御は、車両運転中において右後輪13および左後輪14の転舵角を中立転舵角に固定するための転舵角固定条件が成立したか否かを判定し、判定の結果に応じてロック軸91のロック軸位置を制御する。具体的には、車両1の走行速度が基準速度以上のとき、転舵角固定条件が成立していると判定する。そして、この判定結果に基づいて、ロック軸91を規制位置に移動させるための制御を実行することにより、後輪転舵軸50の並進を規制する。一方、走行速度が基準速度未満のとき、転舵角固定条件が成立していないと判定する。そして、この判定結果に基づいて、ロック軸91を非規制位置に移動させるための制御を実行することにより、後輪転舵軸50の並進を許容する。
【0058】
並進規制制御にともなう各要素の具体的な動作を以下の(A)および(B)に示す。
(A)並進規制制御は、走行速度が基準速度未満の大きさから基準速度以上の大きさに変化したとき、転舵モーター61の駆動を停止した後にソレノイド93に駆動用電流を供給する。また、走行速度が基準速度以上の大きさから基準速度未満の大きさに変化するまでの期間、ソレノイド93に継続して駆動用電流を供給する。
【0059】
後輪転舵軸50は、転舵モーター61が電流の供給を受けていないとき、右後輪13および左後輪14が路面から受けるセルフアライニングトルクにより中立並進位置に向けて移動する。
【0060】
ソレノイド93は、制御装置25から駆動用電流の供給を受けている期間、ロック軸91に対して継続して接近方向Dの力を付与する。このため、ロック軸91が規制位置に向けて移動する。
【0061】
ロック軸91は、後輪転舵軸50が中立並進位置以外の位置から中立並進位置まで移動する過程において、外面151または外面71Aに押し付けられる。そして、後輪転舵軸50が中立並進位置に到達したとき、規制位置に移動する。
【0062】
(B)並進規制制御は、走行速度が基準速度以上の大きさから基準速度未満の大きさに変化したとき、ソレノイド93への駆動用電流の供給を停止する。ソレノイド93は、制御装置25から駆動用電流の供給が停止されたとき、ロック軸91に対する力の付与を停止する。このため、ロック軸91がばね94の復元力により非規制位置に移動する。そして、ロック軸91が非規制位置に移動した後、転舵モーター61のフィードバック制御を再開する。
【0063】
本実施形態の後輪転舵装置40は以下の効果を奏する。
(1)後輪転舵装置40の規制機構80は、回転部材71に対して移動可能なロック軸91と、ロック軸91を回転部材71に対して移動させる規制アクチュエーター90とを有する。ロック軸91は、回転部材71に対して規制位置に位置するとき、回転部材71の回転を規制し、回転部材71に対して非規制位置に位置するとき、回転部材71の回転を許容する。規制アクチュエーター90は、後輪転舵軸50が中立並進位置に位置するとき、ロック軸91を規制位置に移動させる。
【0064】
回転部材71は、後輪転舵軸50のねじ部分72に噛み合わされるため、後輪転舵軸50に並進力が作用するとき、回転部材71の接線力が後輪転舵軸50の並進力よりも小さい。ロック軸91は、回転部材71の回転を規制するため、後輪転舵軸50の並進を規制する構成と比較して、規制対象の部品から受ける力が小さい。このため、ロック軸91を小型化することが可能になる。
【0065】
(2)規制機構80は、回転部材71に対するロック軸91の移動を規制または許容するロック軸規制部材150と、ロック軸規制部材150を回転部材71に対して移動させる減速機構100とを有する。ロック軸規制部材150は、回転部材71に対して第1中間位置に位置するとき、非規制位置から規制位置に向かうロック軸91の移動を規制する。一方、回転部材71に対して第2中間位置に位置するとき、非規制位置から規制位置に向かうロック軸91の移動を許容する。減速機構100は、後輪転舵軸50が中立並進位置以外の並進位置に位置するとき、ロック軸規制部材150を第1中間位置に保持する。
【0066】
ロック軸規制部材150は、減速機構100により第2中間位置から第1中間位置に回転位置を変更されるとき、第1許容状態から第1規制状態に変化する。そして、ロック軸規制部材150が第2中間位置に位置するとき、非規制位置から規制位置に向けてロック軸91が移動する。このため、回転部材71の回転がロック軸91により規制される。
【0067】
(3)減速機構100は、回転部材71の外面71A上に形成された太陽歯車110と、太陽歯車110に噛み合わされる遊星歯車120と、遊星歯車120に噛み合わされる内歯歯車134とを有する。またこの他に、遊星歯車120を回転可能に支持する支持ピン142と、支持ピン142およびロック軸規制部材150と一体的に回転する遊星キャリア140とを有する。ロック軸規制部材150は、ロック軸91が通過する通過孔152を有する。通過孔152は、ロック軸規制部材150が第1中間位置に位置するとき、ロック軸91と対応しない箇所、すなわち、通過不能位置に位置する。一方、ロック軸規制部材150が第2中間位置に位置するとき、ロック軸91と対応する箇所、すなわち、通過可能位置に位置する。
【0068】
ロック軸規制部材150は、回転部材71の回転にともない支持ピン142および遊星キャリア140が回転するとき、支持ピン142および遊星キャリア140とともに回転部材71に対して回転する。通過孔152は、回転部材71の回転にともない回転部材71に対する周方向の位置が変化する。そして、回転部材71に対するロック軸規制部材150の位置が第1中間位置から第2中間位置に変化するとき、周方向においてロック軸91と対応する箇所に位置する。ロック軸91は、通過孔152が対応する箇所に位置するとき、規制位置に向けて移動する。一方、通過孔152が対応する箇所に位置していないとき、規制位置に向けて移動することができない。このように、上記後輪転舵装置40は、回転部材71の回転に連動して規制位置への移動が規制または許容される。このため、後輪転舵軸50が中立並進位置に位置するとき、回転部材71の回転がロック軸91により的確に規制される。
【0069】
本発明は、上記実施形態以外の実施形態を含む。以下、本発明のその他の実施形態としての上記実施形態の変形例を示す。
・図9を参照して、変形例の変換機構200の構成について説明する。
【0070】
図9に示される変形例の変換機構200は、図2に示される第1実施形態の変換機構70との相違点として、次の相違点を有する。すなわち、第1実施形態の変換機構70において、回転部材71は、規制穴71Bを外面71A上に有する。一方、変形例の変換機構200において、回転部材71は、規制穴71Bに代わる規制溝210を外面71A上に有する。規制溝210は、回転部材71の周方向に形成された底面211を有する。
【0071】
この構成によれば、ロック軸91は、規制位置に位置するときに規制溝210の底面211との摩擦力によって回転部材71の回転を規制する。また、第1実施形態と同様に、回転部材71の接線力は、後輪転舵軸50の並進力よりも小さい。したがって、上記構成によれば、ロック軸91と後輪転舵軸50の接触面との摩擦力によって後輪転舵軸50の並進を規制する構成と比較して、底面211に対するロック軸91の接触力を小さくすることができる。このため、上記構成によれば、ロック軸91を小型化することが可能になるとともに、ソレノイド93を小型化することが可能になる。
【0072】
・上記実施形態(図2)の変換機構70の回転部材71は、ロック軸91の挿入先としての規制穴71Bを外面71A上に有する。一方、変形例の変換機構の回転部材71は、ロック軸91の接触対象としての接触面を外面71A上に有する。
【0073】
この構成によれば、回転部材71の接触面とロック軸91との接触による摩擦力によって回転部材71の回転を規制することができるため、規制穴71Bまたは規制溝210を省略することができる。
【0074】
・上記実施形態(図2)の変換機構70は、減速機構100として遊星減速機構を有する。一方、変形例の規制機構は、減速機構100として波動歯車機構(ハーモニックドライブ(登録商標)機構)を有する。
【符号の説明】
【0075】
40…後輪転舵装置、50…後輪転舵軸、61…転舵モーター(後輪転舵アクチュエーター)、71…回転部材、71A…外面、72…ねじ部分、80…規制機構、90…規制アクチュエーター、91…ロック軸(規制部材)、100…減速機構(移動機構)、110…太陽歯車、120…遊星歯車、134…内歯歯車、140…遊星キャリア、142…支持ピン(支持部材)、150…ロック軸規制部材(通過部材)、152…通過孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ部分を有する後輪転舵軸と、前記ねじ部分に噛み合わされる回転部材と、前記回転部材にトルクを伝達する後輪転舵アクチュエーターと、前記後輪転舵軸の動作を規制する規制機構とを有し、前記後輪転舵軸は、前記回転部材の回転にともない軸方向に並進する後輪転舵装置において、
前記規制機構は、前記回転部材に対して移動可能な規制部材と、前記規制部材を前記回転部材に対して移動させる規制アクチュエーターとを有し、
前記規制部材は、前記回転部材に対して規制位置に位置するとき、前記回転部材の回転を規制し、前記回転部材に対して非規制位置に位置するとき、前記回転部材の回転を許容し、
前記規制アクチュエーターは、前記後輪転舵軸が中立並進位置に位置するとき、前記規制部材を前記規制位置に移動させる。
【請求項2】
請求項1において、
前記規制機構は、前記回転部材に対する前記規制部材の移動を規制または許容する中間部材と、前記中間部材を前記回転部材に対して移動させる移動機構とを有し、
前記中間部材は、前記回転部材に対して第1中間位置に位置するとき、前記非規制位置から前記規制位置に向かう前記規制部材の移動を規制し、前記回転部材に対して第2中間位置に位置するとき、前記非規制位置から前記規制位置に向かう前記規制部材の移動を許容し、
前記移動機構は、前記後輪転舵軸が前記中立並進位置以外の並進位置に位置するとき、前記中間部材を前記第1中間位置に保持する。
【請求項3】
請求項2において、
前記移動機構は、前記回転部材の外周面に形成された太陽歯車と、前記太陽歯車に噛み合わされる遊星歯車と、前記遊星歯車に噛み合わされる内歯歯車と、前記遊星歯車を回転可能に支持する支持部材と、前記支持部材および前記中間部材と一体的に回転する遊星キャリアとを有し、
前記中間部材は、前記規制部材が通過する通過孔を有し、
前記通過孔は、前記中間部材が前記第1中間位置に位置するとき、前記規制部材と対応しない箇所に位置し、前記中間部材が前記第2中間位置に位置するとき、前記規制部材と対応する箇所に位置する。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−112078(P2013−112078A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258285(P2011−258285)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】