説明

後退支援制御装置

【課題】車庫入れ等の車両後退時に、運転者の操作負担を軽減できる後方支援制御装置を提供する。
【解決手段】後退支援制御処理は、車両のシフトレバーがリバース位置に操作されると(S110)、車庫入れ等の車両の後退操作が開始されたものとして、窓/カーテン開制御処理を実行する(S120)。また、車両のシフトレバーがパーキング位置に操作されるか(S130)、又は、車両の速度が予め設定された解除速度Vr以上になると(S140)、車庫入れ等の車両の後退操作が終了されたものとして、窓/カーテン閉制御処理を実行する(S150)。従って、車庫入れ等の車両後退時に、運転者による窓ガラスやカーテン等の開閉駆動操作を必要としないため、運転者の操作負担を軽減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車庫入れ等の車両後退時に運転者の操作負担を軽減させる後退支援制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、車庫入れ等の車両後退時に、運転者に後輪の軌道付近を確認させることができるように、車両のシフトポジションがリバース位置にあることを検出すると、左右サイドミラーの鏡面角度を自動下降(下方側へ傾斜)させることで、運転者の操作負担を軽減させる駐車支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−182159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような駐車支援装置では、車両の向きによりサイドミラーに日光が写って直視できない場合には、サイドミラーを介して後方を確認することができなかったり、窓ガラスに雨露やほこりが付着している場合には、サイドミラーを介した運転者の視界が制限されてしまったりするため、車庫入れ等の車両後退時に、サイドミラーで後方を確認するだけでは不充分であるという問題がある。
【0004】
また、運転者の中には、サイドミラーを目視して後方を確認するよりも、窓ガラスを開けて後方を直接目視するほうを好む者が少なからずいる。これらの運転者は、車両後退時に自ら窓ガラスを開けることになる。
【0005】
しかし、車庫入れ等の車両後退時は、例えば、前後左右の方向確認,シフトチェンジ,ハンドルの切り返し等といった運転者に要求される操作が多いため、窓ガラスの開操作まで行うのは手間がかかるという問題がある。また、電動カーテンが装備された車両の場合では、運転者の視界を遮って困る場合があり、運転者が開操作を行うことになるが、カーテンの開操作まで行うのは手間がかかるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決して、車庫入れ等の車両後退時に、運転者の操作負担を軽減できる後退支援制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するためになされた発明である請求項1に記載の後退支援制御装置では、後退検出手段が車両の後退を検出することで、開駆動条件を満たした場合に、車両の後退時に運転者の視野を制限する可能性のある閉位置、及び運転者の視野の制限が解除される開位置の間を移動可能な車載対象物が開位置に移動するように、開制御手段が駆動手段に開駆動させる。
【0008】
従って、本発明の後退支援制御装置によれば、車両後退時には、車載対象物が自動的に開駆動され、運転者による車載対象物の開駆動操作を必要としないため、運転者の操作負担を軽減することができる。
【0009】
なお、本発明の後退支援制御装置において、駆動手段は、例えば、請求項2に記載のように、運転席横の窓ガラスを車載対象物としてもよいし、請求項3に記載のように、窓ガラスを覆うカーテンを車載対象物としてもよい。
【0010】
前者の場合、車庫入れ等の車両後退時に、サイドミラーを介して後方を目視するより、窓ガラスを開けて後方を直接目視するほうを好む運転者に好適であり、後者の場合、窓越しに後方を確認することを好む運転者に好適である。
【0011】
また、本発明の後退支援装置において、後退検出手段は、例えば請求項4に記載のように、車両のシフトレバーがリバース位置にあるか否かにより、車両の後退を検出してもよい。
【0012】
即ち、運転者が車両を後退させようとする時には、車両のシフトレバーはリバース位置に必ず操作されるため、上述のように後退検出手段を構成することで、車両の後退を確実に検出することができる。
【0013】
なお、本発明の後退支援制御装置は、請求項5に記載のように、開位置検出手段が車載対象物が開位置にあることを検出している場合、開制御禁止手段が開制御手段の作動を禁止するように構成されていてもよい。
【0014】
この場合、運転席横の窓ガラスやカーテン等が開位置にある場合に、開制御手段の作動による無駄な駆動を防止することが可能となる。
また、本発明の後退支援制御装置は、請求項6に記載のように、開制御開始報知手段が開制御手段の作動開始時に運転者への報知を行うように構成されていてもよい。
【0015】
この場合、車庫入れ等の車両後退の作業開始時に、車載対象物(運転席横の窓ガラスやカーテン等)の開操作が自動的に行われることを、運転者に認識させることができる。
次に、本発明の後退支援制御装置は、請求項7に記載のように、停止検出手段が車両の停止を検出することで、閉駆動条件を満たした場合に、開制御手段により開駆動された車載対象物が閉位置に移動するように、閉制御手段が駆動手段に閉駆動させるように構成されていてもよい。
【0016】
このように構成された本発明の後退支援制御装置によれば、運転者による車両後退操作の終了時には、車載対象物が自動的に閉操作され、運転者による車載対象物の閉駆動操作を必要としないため、運転者の操作負担を更に軽減することができる。
【0017】
なお、本発明の後退支援制御装置において、停止検出手段は、例えば、請求項8に記載のように、車両のシフトレバーがパーキング位置にあるか否かにより、車両の停止を検出してもよい。
【0018】
即ち、運転者が車両後退操作を終了して停車する際に、車両のシフトレバーは、通常であればパーキング位置に操作されるため、上述のように停止検出手段を構成することで、車両の停止を確実に検出することができる。
【0019】
ところで、車両後退操作の後は、車両のシフトレバーが必ずパーキング位置に操作されるとは限らず、例えば、駐車場等では、駐車スペースへの移動の際に、車両の後退,前進を繰り返す場合があり、また、途中で駐車を諦めて、他の場所に移動する場合もある。
【0020】
そこで、本発明の後退支援制御装置は、請求項9に記載のように、車速検出手段が車両の速度を検出し、窓閉制御手段は、その車速検出手段により検出された車両の速度が予め設定された解除速度以上であることを、閉駆動条件の一つとするように構成されていてもよい。
【0021】
但し、解除速度は、車庫入れ等で車両を一時的に前進させる場合に想定されるよりも大きい速度を設定することが望ましい。この場合、駐車スペースへの移動の際に、車両の後退,前進を繰り返しても車載対象物が閉駆動されることがなく、また、解除速度以上で前進すると、車両後退の作業を終了したものとして、車載対象物が閉駆動されることになる。つまり、車載対象物の閉駆動を的確なタイミングで行わせることができる。
【0022】
また、本発明の後退支援制御装置は、請求項10に記載のように、閉位置検出手段が、車載対象物が閉位置にあるか否かを検出し、閉制御禁止手段が、その閉位置検出手段により車載対象物が閉位置にあることが検出されている場合、閉制御手段の作動を禁止するように構成されていてもよい。
【0023】
この場合、車載対象物(運転席横の窓ガラスやカーテン等)が閉位置にある場合に、閉制御手段の作動による無駄な駆動を防止することが可能となる。
なお、本発明の後退支援制御装置は、請求項11に記載のように、閉制御開始報知手段が、前記閉制御手段の作動開始時に運転者への報知を行うように構成されていてもよい。
【0024】
この場合、車庫入れ等の車両後退の作業終了時に、車載対象物(運転席横の窓ガラスやカーテン等)の閉操作が自動的に行われることを、運転者に認識させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用された後退支援制御装置1の構成を示したブロック図である。
<後方支援制御装置の構成>
図1に示すように、後退支援制御装置1は、ボデー系の電子制御装置(ECU)であるボデーECU10を中心に構成されている。なお、後退支援制御装置1は、車両に搭載されるものである。
【0026】
そして、ボデーECU10には、車両の運転席側ドアに設けられたドアECU20、車両の運転席前方に設けられたナビゲーション装置を制御するナビECU30等が、車両に配線された通信線を介して接続されている。なお、通信線は、所謂車内LANを構成するためのものである。
【0027】
各ECU10〜30は、マイクロコンピュータを中心に構成され、そのマイクロコンピュータの制御の下に、通信線を介して他のECUとの間でデータ通信を行う。
<ナビECU>
このうち、ナビECU30には、図示しないCD・DVDの再生、TV・FM/AMラジオの受信といったAV機能とナビゲーション機能を一体化した周知のものであり、音声を出力する音声出力装置32、画像を表示するためのディスプレイ34、乗員が外部操作によって各種設定等を行うための操作部36等が接続されている。
【0028】
そして、ナビECU30は、通信線(車載LAN)を介してボデーECU10から後述する開操作又は閉操作を報知するための指令を受信すると、その指令に応じた報知を、音声出力装置32やディスプレイ34を用いて行う処理を実行するように構成されている。
【0029】
<ドアECU>
次に、ドアECU20には、車両の各ドアに設けられた窓ガラスを自動で開閉するためのパワーウインドウモータ(以下、PWモータという)21や、後部座席横両サイドのウインドウと後部座席背面のリアウインドウ(ウインドウシールドガラス)とにそれぞれ沿って設置されたカーテンを開閉するための電動カーテンモータ(以下、カーテンモータという)24、運転席側のドアをロック・アンロックするためのドアロックアクチュエータ(以下、ドアロックACTという)23が接続されている。つまり、窓ガラスは、所謂パワーウインドウとして、また、カーテンは所謂電動カーテンとして構成されている。なお、PWモータ21は、ドア毎に設けられた各窓ガラスを個別に駆動するように構成され、また、カーテンモータ24は、全てのカーテンを一括して駆動するように構成されている。
【0030】
また、ドアECU20には、運転席横の窓ガラス(以下、対象窓ガラスという)の開閉状態を検出する窓開閉センサ22や、カーテンの開閉状態を検出するカーテン開閉センサ25、パワーウインドウの開閉指令や、電動カーテンの開閉指令、ドアのロック・アンロック指令を手動で入力するための操作部26等も接続されている。
【0031】
なお、窓開閉センサ22は、対象窓ガラスが全開又は全閉であることを示す検出信号を出力し、また、カーテン開閉センサ25は、カーテンが全開又は全閉であることを示す検出信号を出力するように構成されている。
【0032】
そして、ドアECU20は、窓開閉センサ22やカーテン開閉センサ25からの検出信号に基づいて、対象窓ガラスやカーテンの開閉状態を示す状態情報を生成し、その状態情報を、車載LANを介してボデーECU10に送信する処理を実行すると共に、車載LANを介してボデーECU10から開指令又は閉指令を受信すると、その受信した指令に応じて、PWモータ21及びカーテンモータ24に、対象窓ガラス及びカーテンの開駆動又は閉駆動を行わせる処理を実行するように構成されている。
【0033】
<ボデーECU>
一方、ボデーECU10には、車両のシフトレバーの位置を検出するためのシフト位置センサ(以下、シフトセンサという)12や、後述する後退支援制御処理の使用/不使用を切り替える後退支援制御メインスイッチ(以下、支援SWという)14、車輪の速度を検出する車輪速センサ16等が接続されている。
【0034】
そして、ボデーECU10は、車載LANを介してドアECU20から受信する状態情報、及びシフト位置センサ12での検出結果に基づいて、車両の後退時に対象窓ガラスやカーテンを自動的に開閉操作する後退支援制御処理を実行するように構成されている。
【0035】
なお、ボデーECU10は、後退支援制御処理の実行時に、対象窓ガラスやカーテンを全開にする時には開指令を、これらを全閉にする時には閉指令を、車載LANを介してドアECU20に送信する。また、これらの開操作又は閉操作を報知するための指令を、車載LANを介してナビECU30に送信する。
【0036】
<後退支援制御処理の概要>
ここで、ボデーECU10が実行する後退支援制御処理を、図2に示すフローチャートに沿って説明する。なお、本処理は、支援SW14がオン(即ち、後退支援制御処理を使用)に設定されている場合に、車両のエンジンが作動(即ち、イグニッションスイッチがオン)している間、予め設定された制御タイミングで繰り返し実行される。
【0037】
この処理を開始すると、まずS110(Sはステップを表す)にて、シフトセンサ12からの検出信号に基づいて、車両のシフトレバーがリバース位置にあるか否かを判断する。この時、車両のシフトレバーがリバース位置になければ、対象窓ガラスやカーテンを開ける必要がないので、本処理を終了する。一方、車両のシフトレバーがリバース位置にあれば、車両の後退操作が開始されたものとして、続くS120にて、対象窓ガラスやカーテンを全開にするために、窓/カーテン開制御処理を実行する。
【0038】
この窓/カーテン開制御処理が終了すると、続くS130にて、車両のシフトレバーがパーキング位置にあるか否かを判断し、車両のシフトレバーがパーキング位置になければ、S140に移行する。
【0039】
S140では、車輪速センサ16により検出された車両の速度が予め設定された解除速度Vr(本実施形態ではVr=5[km/h])以上であるか否かを判断し、車両の速度が解除速度Vr未満であれば、再度S130に移行し、S130及びS140の処理を繰り返し実行することにより、車両のシフトレバーがパーキング位置になるか、又は車両の速度が解除速度Vr以上になるまで待機する。
【0040】
そして、先のS130にて、車両のシフトレバーがパーキング位置にあると判断されるか、又は、S140にて、車両の速度が解除速度Vr以上であると判断された場合には、車両の後退操作が終了したものとして、S150に移行し、対象窓ガラスやカーテンを全閉にするために、窓/カーテン閉制御処理を実行し、この処理を終了する。
【0041】
なお、本実施形態では、解除速度Vrを5km[km/h]としているが、この解除速度Vrは、車庫入れ等で車両を一時的に前進させる場合に想定される速度よりも大きければよく、予め実験等によるデータに基づいて設定すればよい。
【0042】
<窓/カーテン開制御処理の詳細>
次に、先のS120にて実行する窓/カーテン開制御処理を、図3のフローチャートに沿って詳しく説明する。
【0043】
本処理が開始されると、ボデーECU10は、まずS210にて、ドアECU20との間のデータ通信によって、対象窓ガラス及びカーテンの状態情報を受信し、続くS220にて、対象窓ガラス及びカーテンが共に全開であるか否かを判断する。
【0044】
そして、S220にて、対象窓ガラス及びカーテンが共に全開であると判断された場合には、PWモータ21及びカーテンモータ24を駆動させる指令をドアECU20に送信する必要がないので、本処理を終了する。逆に、S220にて、対象窓ガラス及びカーテンの少なくともいずれか一方が全開でないと判断された場合には、続くS230に移行する。
【0045】
S230では、対象窓ガラス及びカーテンの少なくともいずれか一方を自動的に開操作する制御の作動開始を運転者に報知するための指令(開駆動通知音:ON)を、ナビECU30に送信する。この指令を受信したナビECU30は、音声出力装置32やディスプレイ34に、対象窓ガラスやカーテンを自動的に開操作する制御の作動開始の報知を行わせる処理を実行する。
【0046】
続くS240では、対象窓ガラスが全開であるか否かを判断する。
そして、S240にて、対象窓ガラスが全開であると判断された場合には、PWモータ21を駆動させる指令をドアECU20に送信する必要がないので、S260に移行する。
【0047】
逆に、S240にて、対象窓ガラスが全開でないと判断された場合には、続くS250にて、対象窓ガラスを全開にする指令(開指令)をドアECU20に送信する。また、この指令を受信したドアECU20は、PWモータ21に、対象窓ガラスの開駆動を行わせる処理を実行する。
【0048】
続くS260では、カーテンが全開であるか否かを判断する。
そして、S260にて、カーテンが全開であると判断された場合には、カーテンモータ24を駆動させる指令をドアECU20に送信する必要がないので、本処理を終了する。
【0049】
逆に、S260にて、カーテンが全開でないと判断された場合には、続くS270にて、カーテンを全開にする指令(開指令)をドアECU20に送信する。また、この指令を受信したドアECU20は、カーテンモータ24に、カーテンの開駆動を行わせる処理を実行する。
【0050】
そして、本処理を終了する。
<窓/カーテン閉制御処理の詳細>
次に、先のS150にて実行する窓/カーテン閉制御処理を、図4のフローチャートに沿って詳しく説明する。
【0051】
本処理が開始されると、ボデーECU10は、まずS310にて、ドアECU20との間のデータ通信によって、対象窓ガラス及びカーテンの状態情報を受信し、続くS320にて、対象窓ガラス及びカーテンが共に全閉であるか否かを判断する。
【0052】
そして、S320にて、対象窓ガラス及びカーテンが共に全閉であると判断された場合には、PWモータ21及びカーテンモータ24を駆動させる指令をドアECU20に送信する必要がないので、本処理を終了する。逆に、S320にて、対象窓ガラス及びカーテンの少なくともいずれか一方が全閉でないと判断された場合には、続くS330に移行する。
【0053】
S330では、対象窓ガラス及びカーテンの少なくともいずれか一方を自動的に閉操作する制御の作動開始を運転者に報知するための指令(閉駆動通知音:ON)を、ナビECU30に送信する。この指令を受信したナビECU30は、音声出力装置32やディスプレイ34に、対象窓ガラスやカーテンを自動的に閉操作する制御の作動開始の報知を行わせる処理を実行する。
【0054】
続くS340では、対象窓ガラスが全閉であるか否かを判断する。
そして、S340にて、対象窓ガラスが全閉であると判断された場合には、PWモータ21を駆動させる指令をドアECU20に送信する必要がないので、S360に移行する。
【0055】
逆に、S340にて、対象窓ガラスが全閉でないと判断された場合には、続くS350にて、対象窓ガラスを全閉にする指令(閉指令)をドアECU20に送信する。また、この指令を受信したドアECU20は、PWモータ21に、対象窓ガラスの閉駆動を行わせる処理を実行する。
【0056】
続くS360では、カーテンが全閉であるか否かを判断する。
そして、S360にて、カーテンが全閉であると判断された場合には、カーテンモータ24を駆動させる指令をドアECU20に送信する必要がないので、本処理を終了する。
【0057】
逆に、S360にて、カーテンが全閉でないと判断された場合には、続くS370にて、カーテンを全閉にする指令(閉指令)をドアECU20に送信する。また、この指令を受信したドアECU20は、カーテンモータ24に、カーテンの閉駆動を行わせる処理を実行する。
【0058】
そして、本処理を終了する。
即ち、先の窓/カーテン開制御との異なる点は、S220,S240,S260では全開であるか否かを判断していたのを、S320,S340,S360では全閉であるか否かを判断する点、S230では開駆動通知音をONにしていたのを、S330では閉駆動通知音をONにする点、S250,S270では開指令を送信していたのを、S350,S370では閉指令を送信する点である。
【0059】
なお、上記実施形態において、シフトセンサ12が後退検出手段及び停止検出手段、車輪速センサ16が車速検出手段、PWモータ21及びカーテンモータ24が駆動手段、窓開閉センサ22,カーテン開閉センサ25が開位置検出手段及び閉位置検出手段、音声出力装置32,ディスプレイ34が開制御開始報知手段及び閉制御開始報知手段、S120が開制御手段、S150が閉制御手段、S220が開制御禁止手段、S320が閉制御禁止手段に相当する。
【0060】
<効果>
以上説明したように、後退支援制御装置1では、車両のシフトレバーがリバース位置に操作されると、車庫入れ等の車両の後退操作が開始されたものとして、対象窓ガラスやカーテンを自動的に開駆動させる。
【0061】
従って、後退支援制御装置1によれば、車庫入れ等の車両後退時に、サイドミラーを介して後方を目視するより、窓ガラスを開けて後方を直接目視するほうを好む運転者や、窓越しに後方を確認することを好む運転者にとって、運転者による窓ガラスやカーテン等の開駆動操作を必要としないため、運転者の操作負担を軽減することができる。
【0062】
また、後退支援制御装置1では、車両のシフトレバーがパーキング位置に操作されるか、又は、車両の速度が予め設定された解除速度Vr以上になると、車庫入れ等の車両の後退操作が終了されたものとして、対象窓ガラス及びカーテンを自動的に閉駆動させる。
【0063】
従って、後退支援制御装置1によれば、車庫入れ等の車両後退終了時も、運転者による窓ガラスやカーテン等の閉駆動操作を必要としないため、運転者の操作負担を更に軽減することができる。
【0064】
そして、後退支援制御装置1では、窓/カーテン開制御時に対象窓ガラス及びカーテンが共に全開であるか、又は、窓/カーテン閉制御時にこれらが全閉であると判断された場合には、これらを開閉駆動させる指令を送信しない。
【0065】
従って、後退支援制御装置1によれば、PWモータ21及びカーテンモータ24の無駄な駆動を防止し、装置負担を軽減することができる。
更に、後退支援制御装置1では、対象窓ガラスやカーテンを自動的に開閉駆動させる開始時に、音声出力装置32やディスプレイ34により、運転者への報知を行う。
【0066】
従って、後退支援制御装置1によれば、車両後退の作業時に、窓ガラスやカーテンの開閉操作が自動的に行われることを、運転者に認識させることができる。
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0067】
例えば、運転席横以外の窓ガラスを付加して対象窓ガラスとするのもよいし、対象窓ガラス及びカーテンの自動開閉操作と共に、ドアロックACT23により、ドアのロック・アンロック操作を行うこととしてもよい。
【0068】
そして、対象窓ガラス及びカーテンの自動開閉操作を個別に制御しているが、同時に制御するのも好ましい。また、車両の後退を検知する手段として、車輪速センサ16等を用いた他の手段としてもよい。
【0069】
なお、運転者への報知を行う際に用いられる音声出力装置32は、ナビECU30に接続されずに、直接ボデーECU10に接続されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明が適用された後方支援制御装置の構成を示すブロック図。
【図2】ボデーECUが実行するメイン処理の内容を示すフローチャート。
【図3】図2の処理中に示された窓/カーテン開制御処理の詳細を示すフローチャート。
【図4】図2の処理中に示された窓/カーテン閉制御処理の詳細を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0071】
10…ボデーECU、12…シフトセンサ、14…支援SW、16…車輪速センサ、20…ドアECU、21…PWモータ、22…窓開閉SW、23…ドアロックACT、24…カーテンモータ、25…カーテン開閉SW、30…ナビECU、32…音声出力装置、34…ディスプレイ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後退を検出する後退検出手段と、
車両の後退時に運転者の視野を制限する可能性のある閉位置、及び運転者の視野の制限が解除される開位置の間を移動可能な車載対象物を開閉駆動する駆動手段と、
前記後退検出手段による車両の後退の検出を開駆動条件の一つとして、該開駆動条件を満たす場合に、前記車載対象物が前記開位置に移動するように前記駆動手段に開駆動させる開制御手段と、
を備えたことを特徴とする後退支援制御装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、運転席横の窓ガラスを前記車載対象物とすることを特徴とする請求項1に記載の後退支援制御装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、窓ガラスを覆うカーテンを前記車載対象物とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の後退支援制御装置。
【請求項4】
前記後退検出手段は、車両のシフトレバーがリバース位置にあるか否かにより、車両の後退を検出することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の後退支援制御装置。
【請求項5】
前記車載対象物が前記開位置にあるか否かを検出する開位置検出手段と、
前記開位置検出手段により前記車載対象物が前記開位置にあることが検出されている場合、前記開制御手段の作動を禁止する開制御禁止手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の後退支援制御装置。
【請求項6】
前記開制御手段の作動開始時に、運転者への報知を行う開制御開始報知手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の後退支援制御装置。
【請求項7】
車両の停止を検出する停止検出手段と、
前記停止検出手段による車両の停止の検出を閉駆動条件の一つとして、該閉駆動条件を満たす場合に、前記開制御手段により開駆動された前記車載対象物が前記閉位置に移動するように前記駆動手段に閉駆動させる閉制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の後退支援制御装置。
【請求項8】
前記停止検出手段は、車両のシフトレバーがパーキング位置にあるか否かにより、車両の停止を検出することを特徴とする請求項7に記載の後退支援制御装置。
【請求項9】
車両の速度を検出する車速検出手段を備え、
前記閉制御手段は、前記車速検出手段により検出された車両の速度が予め設定された解除速度以上であることを、前記閉駆動条件の一つとすることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の後退支援制御装置。
【請求項10】
前記車載対象物が前記閉位置にあるか否かを検出する閉位置検出手段と、
前記閉位置検出手段により前記車載対象物が前記閉位置にあることが検出されている場合、前記閉制御手段の作動を禁止する閉制御禁止手段と、
を備えたことを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の後退支援制御装置。
【請求項11】
前記閉制御手段の作動開始時に、運転者への報知を行う閉制御開始報知手段を備えたことを特徴とする請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の後退支援制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate