説明

後部脊椎固定装置

【解決手段】後部脊椎固定装置又は動的脊椎安定化装置又は他の整形外科用装置は、活性物質送達構成要素を含んでいる。活性物質送達構成要素は、活性物質が、中に含浸されるか、上に吸着されるか、又は別のやり方で中に入れられており、装置が患者に植え込まれた後で、活性物質を局所的に放出するように作られている。本発明による1つの好適な型式のインプラントは、隣接する棘突起、又は横突起、又は植え込まれたアンカー要素(232、234)を含む他の後部脊椎要素の間に配置することができるスペーサ部材(30、132、236、432)を含んでいる、脊椎運動体節を安定化させるためのインプラントである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性物質送達構成要素を含んでいる、後部脊椎固定装置又は動的脊椎安定化装置、並びに活性物質の送達方法に関する。
【背景技術】
【0002】
後部椎骨要素に取り付けて患者の脊椎に構造的支持を提供するように設計されている、多種多様な整形外科用インプラントが知られている。インプラントは、脊柱の伸展の結果としての椎骨の動きに抵抗するために、隣接する棘突起の間に配置される。これらのインプラントは、脊椎の伸展を動的に制限する衝撃吸収装置又はバンパーである。インプラントは、更に、隣接する棘突起に、棘突起とインプラントを完全に取り巻いて伸張しているループ状のケーブル又はストラップで固定され、棘突起の間のインプラントの配置を維持すると同時に、更に、脊椎の屈曲を制限して、脊椎正中線に沿う動的安定性を提供する。或いは、それらは、例えば、他の脊椎要素に取り付けられた係留紐の様な他の手段で、所定の位置に保持することもできる。他にも、後部椎骨要素の一方の側又は両側の位置で動的安定化を提供するために、隣接する椎骨の横突起の間に又は他の後部脊椎要素の間に設置するように作られているインプラントもある。動的脊椎安定化装置の他にも、例えば、ロッド、プレート、係留紐、及びステープルの様な、剛性を有する後部脊椎固定システムに使用されるものとして、多種多様な他の形式の後部椎骨器具が知られている。
【特許文献1】米国特許第6,419,709号明細書
【特許文献2】米国特許第6,626,944号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0049190号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2004/0002708号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
どの様な外科処置においても言えることであるが、整形外科用インプラント装置の外科的植え込み後の正しい治癒を促すために、例えば、抗炎症薬、鎮痛薬、抗菌剤又は抗ウイルス剤などの様な、1つ又は複数の治療用活性物質が患者に投与される。しかしながら、多くの種類の活性物質の全身的投与が有害な影響をもたらしたり、或いは望ましくない場合もある。更に、全身投与に伴う影響が望ましくない場合には望ましいとされる代わりの治療薬が選択されて術後の患者に投与されることもある。而して、整形外科用インプラント装置が外科的に植え込まれた後の患者に、術後治療薬を送達する方法の革新が必要とされている。本発明は、この必要性に取り組んでいる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、少なくとも1つの構造的構成要素と、活性物質を患者のインプラントの部位に局所的に送達するのに有効な少なくとも1つの構成要素と、を含んでいる多様な整形外科用インプラント装置を提供する。本発明の1つの態様では、1つ又は複数の骨又は関節に構造的支持を提供するように作られている少なくとも1つの構造的構成要素と、少なくとも1つの活性物質送達構成要素と、前記少なくとも1つの活性物質送達構成要素に含浸されるか、又は表面に吸着されるか、又は中に入れられた活性物質と、を含んでいる整形外科用インプラント装置が提供されている。インプラント装置は、インプラント装置が患者に植え込まれた後、活性物質を局所的に放出するように作られている。1つの実施形態では、活性物質送達構成要素は、吸収性材料、吸着性材料、又は生物分解性材料を備えている。別の実施形態では、活性物質送達構成要素は、微小精密機械を備えている。
【0005】
本発明による代表的な整形外科用インプラントは、互いに反対側の第1及び第2端の間を伸張するスペーサ部材を含んでおり、且つ活性物質を局所的に送達するための構成要素を含んでいる、動的脊椎安定化装置である。スペーサ部材は、脊椎運動体節の隣接する上側及び下側の棘突起の間に配置することができる。活性物質送達構成要素は、スペーサ部材と一体化の部分であってもよいし、別体の構成要素であってもよい。1つの実施形態では、スペーサ部材は、脊椎運動体節の伸展の際に上側及び下側の棘突起が互いに向かって動くのを動的に制限するための圧縮可能な本体を含んでいる。別の実施形態では、スペーサ部材は剛性を有している。スペーサ部材からは、上側係合部材と下側係合部材がそれぞれ伸張しており、脊椎運動体節に係合させて脊椎運動体節の屈曲を制限することができるようになっている。
【0006】
1つの代表的な実施形態では、上側及び下側の係合部材の少なくとも一方は、例えば、上側及び下側の棘突起それぞれの周りに配置して、スペーサの周りに又はスペーサにクリンプすることができる構造に作られた、ケーブル又はストラップの様な係留紐である。係合部材は、各棘突起に接触して、脊椎運動体節の屈曲を制限する。別の実施形態では、上側及び下側の係合部材の少なくとも一方は、上側及び下側の棘突起のそれぞれに隣接する椎弓板の表面に沿って配置することができる構造に作られている。この実施形態では、例えば、上側係合部材は、上側棘突起に隣接する上側椎弓板の上表面に沿って配置することができるフック端部分を含んでおり、下側係合部材は、下側棘突起の下表面に沿って配置することができるフック端部分を含んでいる。
【0007】
本発明による別の代表的な整形外科用インプラントは、隣接する椎骨に取り付けるように作られている脊椎茎スクリューの様な少なくとも2つのアンカー部材と、それらアンカー部材の間を伸張するスペーサ部材と、を含んでいる脊椎インプラントである。1つの好適な実施形態では、スペーサ部材は、脊椎運動体節の伸展の際にアンカー部材が互いに向かって動くのを動的に制限するために、アンカー部材の間を伸張する寸法形状に作られている、可撓性を有する及び/又は圧縮可能な本体を含んでおり、更に、活性物質を局所的に送達するための構成要素を含んでいる。アンカー部材とスペーサ部材は、係留紐又はロッド、即ち、当技術では周知の剛性を有するロッド又は可撓性を有するロッド、を受け入れるための貫通穴も画定している。或いは、スペーサ部材は鞘内に配置され、その鞘がアンカー部材に画定されている穴に通されている。別の実施形態では、スペーサ部材は、剛性を有するスペーサ部材である。上で説明した棘間インプラントと同じように、活性物質送達構成要素は、スペーサ部材と一体の部分でもよいし別体の構成要素であってもよい。
【0008】
本発明による別の代表的な整形外科用インプラントは、互いに反対側の上端と下端の間を伸張するスペーサ部材を含んでいる脊椎インプラントであり、上端と下端それぞれは、一対のアームと、この一対のアームの間の陥凹面を含んでおり、それらアームは、脊椎運動体節の上側及び下側突起の内のそれぞれ隣接しているものを受け入れることができる構造に作られている。1つの実施形態では、スペーサ部材は、脊椎運動体節の伸展の際に上側及び下側横突起が互いに向かって動くのを動的に制限するために、上側及び下側横突起の間を伸張する寸法形状に作られている圧縮可能な本体を含んでおり、更に、活性物質を局所的に送達するための構成要素を含んでいる。別の実施形態では、スペーサ部材は剛性を有している。上で説明した棘間インプラントと同じように、活性物質送達構成要素は、スペーサ部材と一体の部分でもよいし別体の構成要素であってもよい。脊椎インプラントシステムは、脊椎正中線の第1の側で、脊椎運動体節の上側及び下側横突起の内のそれぞれ隣接しているものを受けることができる構造に作られた、互いに反対側の上端と下端の間を伸張する第1スペーサ部材と、脊椎正中線の第2の側で、脊椎運動体節の上側及び下側横突起の内のそれぞれ隣接しているものを受けることができる構造に作られた、互いに反対側の上端と下端の間を伸張する第2スペーサ部材と、を含んでいる。この実施形態では、スペーサ部材のそれぞれは、脊椎運動体節の伸展の際に上側及び下側横突起が互いに向かって動くのを動的に制限するために、上側及び下側横突起の間を伸張する寸法形状に作られた圧縮可能な本体を含んでいる。
【0009】
本発明の1つの態様では、整形外科用インプラント装置、又はインプラント装置のスペーサ部材又は他の構成要素は、外鞘内に入れられた内部構造構成要素を含んでいる。吸収性又は吸着性又は生物分解性の層を含んでいる活性物質送達構成要素は、内部構造構成要素と外鞘の間に又は外鞘の外側に配置してもよいし、外鞘材料に含浸させてもよい。鞘は、例えば、多孔質又は透過性織物又はメッシュでもよいし、不透過性材料でもよい。例えば、後部脊椎動的安定化装置、又はそのためのスペーサ部材は、隣接する棘突起又は隣接する横突起の間に配置することができるように作られており、内側のシリコン芯が、織られたポリエステル布に包まれた構造になっている。この様な装置では、活性物質送達構成要素は、シリコン芯とポリエステル織物の間に又は織物の外側表面に配置してもよいし、又は活性物質を織物自体に含浸させてもよい。
【0010】
本発明が考えている他の整形外科用インプラント装置としては、限定するわけではないが、例えば、ロッド、プレート、係留紐、及びステープルの様な、剛性を有する後部脊椎固定システムに使用するための後部椎骨器具、並びに、例えば、骨プレート及び人工靭帯の様な、隣接する骨に沿って骨と骨の間の空間の外側に配置することができる骨安定化部材が挙げられる。この様な骨安定化部材は、例えば、股関節又は膝関節の様な関節の安定化に役立つことがわかっている。この様な装置は、器具の一体の部分として、又は別体の層又は構成要素として形成された活性物質送達構成要素を含んでいる。
【0011】
本発明の1つの態様では、活性物質送達層は、整形外科用インプラント装置の外面の少なくとも一部に取り付けられている。他の実施形態の活性物質送達層又は構成要素は、装置を植え込んだ後に基質が分解又は侵蝕されて活性物質が放出されるような、活性物質を分散配置した生物分解性の基質材料、又は現場で分解されることなく、吸い上げ作用又は他の作用により活性物質を放出する多孔質構造、又は構成要素の表面から活性物質を放出する吸着性材料を備えている。また、活性物質送達層又は構成要素は、本発明の様々な代わりの実施形態では、剛性を有する材料又は弾性を有する材料で形成されている。
【0012】
別の態様では、本発明は、少なくとも1つの孔を画定している整形外科用インプラント装置を提供しており、活性物質送達構成要素は、挿入物としてこの孔に配置することができるように作られている。代わりの実施形態の挿入物は、装置を植え込んだ後で基質が分解又は侵蝕されて活性物質が放出されるような、活性物質を分散配置した生物分解性の基質材料、又は現場で分解されることなく、吸い上げ作用或いは他の作用により活性物質を放出する多孔質構造、又は構成要素の表面から活性物質を放出する吸着性材料、又は1つ又は複数の活性物質を制御して放出するように作られた微小精密機械を備えている。また、活性物質送達構成要素は、生物分解性、多孔質型、又は吸着型である場合、本発明の様々な代わりの実施形態では、剛性を有する材料又は弾性を有する材料で形成されている。
【0013】
本発明の更に別の態様では、活性物質が中に吸収されているか又は表面に吸着されている弾性材料を備えている活性物質送達構成要素を含んでいる、後部脊椎固定装置又は動的脊椎安定化装置が提供されている。1つの実施形態では、装置は、装置を植え込んだ後で、活性物質送達構成要素を圧縮することにより、又は活性物質送達構成要素を引き伸ばすことにより、又は活性物質送達構成要素にトルクを掛けることにより、或る投与量の活性物質を速めた速度で放出させることができるように作られている。圧縮、引き伸ばし、及び/又はトルクは、装置を植え込んだ後で、脊柱の伸展、脊柱の屈曲、脊柱の曲げ、又は脊柱の回転の結果としての椎骨の運動によって活性物質送達構成要素に加えられる。
【0014】
本発明の別の態様では、患者の整形外科用インプラント装置に隣接する場所に活性物質を送達するための方法が提供されている。この方法は、(1) 活性物質送達構成要素を備えている整形外科用インプラント装置を提供する段階であって、活性物質送達構成要素は、活性物質が中に含浸されているか、又は上に吸着されているか、又は別のやり方で中に入れられおり、且つ装置が患者に埋め込まれた後で、この活性物質を局所的に放出することができるように作られている、整形外科用インプラント装置を提供する段階と、(2)この装置を後部脊椎部位に外科的に植え込む段階を含んでいる。活性物質送達構成要素は、活性物質が中に吸収されているか又は上に吸着されている、弾性材料を含んでいる。弾性材料を備えている活性物質送達構成要素を有する実施形態では、この方法は、植え込んだ後に、(a)活性物質送達構成要素を圧縮することにより、(b)活性物質送達構成要素を引き伸ばすことにより、又は(c)活性物質送達構成要素にトルクを掛けることにより、或る投与量の活性物質を放出させるか又は速めた速度で放出させる段階を更に含んでいる。
【0015】
上記及び他の態様を以下に詳しく論じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の原理の理解を促すために、これより図に示している各実施形態を参照してゆくが、説明に際して特定の言語を使用する。しかしながら、これによって本発明の範囲を限定する意図ははないものと理解されたい。図示している装置に対するその様な変更や更なる修正、及びここに示す本発明の原理のこの他の応用は、本発明が関連する分野の当業者であれば普通に想起されるものと考えている。
【0017】
本発明の1つの態様では、構造的な機能性を提供することに加え、1つ又は複数の活性物質をインプラントの部位に隣接する組織又はその付近の組織に送達する機能も果たす、後部脊椎インプラント装置が提供されている。1つの好適な実施形態では、インプラント装置は、装置の1つ又は複数の構造的構成要素に加えて、活性物質送達構成要素を含んでいる。別の好適な実施形態では、1つ又はそれ以上の構成要素自体に、活性物質が含浸されるか又は吸着されており、装置を外科的に植え込んだ後で、患者に対して局所的に活性物質を放出するようになっている。
【0018】
ここで使用する「活性物質」という用語は、患者に対して治療効果を有する物質を意味する。本発明に従って使用される有用な活性物質の広範な範疇の非限定的な例として、以下のもの、即ち、同化剤、凝固防止剤、抗感染症薬、抗炎症薬、抗新生物薬、解熱薬及び鎮痛薬、鎮痙薬、抗血栓剤、抗ヒスタミン剤、骨形成蛋白質の様な生物学的製剤、診断用薬、神経筋薬物、栄養剤、血管拡張剤、及びプロドラッグ、の範疇に含まれるものが挙げられる。本発明と結び付けて使用するのに適した上記及び他の活性物質の例は、当業者には周知であり、多くの種類が文献で入手可能である。代表的な例が、マオ他に与えられた米国特許第6,419,709号に記載されており、同特許をここに参考文献として援用する。
【0019】
活性物質は、非荷電分子、分子錯体の成分、又は塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、亜硝酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、サリチル酸塩などの様な、刺激性の無い薬理学的に許容される塩類、の様な様々な形態を取ることができる。酸性薬物としては、金属塩類、アミン類、又は有機系カチオン類(例えば第四アンモニウム)を採用することができる。更には、所望する保持及び放出特性を有すると同時に、体内のpH、酵素類などによって容易に加水分解される、薬物の単純な誘導体(エーテル類、エステル類、アミド類など)を採用することができる。
【0020】
本発明は、1つ又は複数の骨又は関節に構造的支持を提供するように作られている少なくとも1つの構造的構成要素と、少なくとも1つの活性物質送達構成要素と、前記少なくとも1つの活性物質送達構成要素に含浸されているか、又は上に吸着されているか、又は中に入れられている活性物質と、を備えている整形外科用インプラント装置を提供している。1つの実施形態では、活性物質送達構成要素は、吸収性、又は吸着性、又は生物分解性の材料を備えている。インプラント装置は、インプラント装置が患者に植え込まれた後で、活性物質を局所的に放出するように作られている。活性物質は、従って、要求される部位、即ち人工器官が配置されている部位だけに放出される。
【0021】
ここで使用する「吸収性」という用語は、内部相互接続、流路、空隙、及び陥凹部を画定し、且つ第2の物質(即ち、活性物質)を取り込み又は保有すると共に状況が許せば第2の物質を放出するのに有効な、多孔質基質の形態をした固体物体又は構成要素を指すのに使用されている。例えば、第2物質は、流体が、孔、流路、空隙、及び/又は陥凹部を通過又は貫通することによる吸上作用又は他の流れ作用を介して放出されるか、或いは、放出は、吸収性物体又は構成要素に圧搾、引き伸ばし、又は捻り動作を掛けることによって、吸収性物体の全部又は一部が圧縮され、第2物質が空隙及び陥凹から1つ又は複数の孔を通して押し出されることによる。無論、多孔質基質が剛性を有しているか実質的に剛性を有しており且つ非生物分解性である実施形態では、活性物質の放出は、通常、水分が基質内へ拡散すること、活性物質が溶解すること、及び活性物質が、流路、空隙、及び陥凹部を通って拡散し又は吸い上げられ、孔を通って構成要素から出ることによるものと理解頂きたい。基質が弾性を有し且つ非生物分解性である実施形態では、活性物質は同じやり方で放出されるか、或いは、放出は、基質を圧縮、引き伸ばし、又は捻ることによって、活性物質が基質の空隙、陥凹部、及び流路から搾り出されることにより加速される。
【0022】
「吸着性」という用語は、ここでは、化学反応を起こすことなく、その表面に他の物質を付着及び蓄積させることができる物体又は構成要素を指すのに使用されている。本発明に関する限り、活性物質が吸着された物体又は構成要素は、装置の植え込み前に、活性物質をその表面に保持しており、その後、装置を植え込んだ後で活性物質を放出して、活性物質を局所的に送達することになる。また、活性物質の放出は、通常、下層面の又は活性要素の化学変化無しに起こることになると考えている。
【0023】
「生物分解性」という用語は、生物学的薬剤により無害な生成物に分解されるか、又は外科処置時に装置が設置される環境に存在する条件下で別のやり方で侵食される、物体又は構成要素を指す。本発明に関する限り、生物分解性の構成要素は、装置を植え込んだ後で構成要素が分解又は侵食されると、活性物質が放出されて活性物質が局所的に送達されることになるように、播種され、埋め込まれ、又は違うやり方で分散配置された活性物質を含んでいるものと考えている。生物分解性の基質又は担体としては、例えば、生物分解性のポリマー又は生物分解性のセラミックが挙げられる。
【0024】
ここで使用する「含浸された」という用語は、一方の物質が他方の物質で完全に又は部分的に充填され又は飽和されている、2つの物質の間の関係を指す。而して、「含浸された」という用語は、活性物質が吸収された吸収性材料、又は活性物質が播種され、埋め込まれ、又は別のやり方で分散配置された生物分解性の材料を指す。
【0025】
「吸収性又は吸着性又は生物分解性の」という言い回し又は同等の言い回しをここで使用するとき、その様な言い回しは、指定した特性の何れか又はそれら特性の何れかの組み合わせを指すものとする。例えば、この言い回しは、吸収性で生物分解性の物体又は構成要素、吸着性で生物分解性の物体又は構成要素、吸収性で吸着性の物体又は構成要素、又は吸収性で吸着性で生物分解性の物体又は構成要素を指すものとする。
【0026】
或る特定のインプラントは、脊柱を剛直に又は動的に安定させると共に脊柱の伸展、屈曲、曲げ、及び/又は回転運動を制限するために、例えば、脊椎運動体節の隣接する棘突起の様な後部脊椎要素の間に、及び/又は隣接する横突起の間に配置することができる。動的安定化の1つの代表的なインプラントシステムの場合、インプラントは、棘突起の間に入れられる、棘突起の間の伸延力を維持しながら運動体節の伸展運動を許容する圧縮可能なスペーサ部材を含んでいる。インプラントは、スペーサ部材の上端と下端のそれぞれから伸張している係合部材を更に含んでいる。係合部材は、脊椎運動体節と係合して屈曲を制限する。本発明の1つの代表的な実施形態では、本発明による、活性物質を局所的に送達するように構成された棘間動的安定化装置が提供されている。
【0027】
係合部材は、多種多様な構成を有することができる。1つの代表的な棘間動的安定化システムでは、係合部材は、例えば、スペーサ部材を正しい位置に保持するために棘突起の周りに締結されるように作られたケーブル又はストラップの様な係留紐である。別の代表的なシステムでは、少なくとも係合部材の1つは、各棘突起に隣接する椎弓板の表面に係合できる構造に作られている。椎弓板は、運動体節の屈曲に抵抗する際にインプラントによって加えられる荷重に抵抗するのに適した、安定した支持面を提供する。椎弓板と係合部材との係合は、後部椎骨要素に加えられる捻り荷重も低減する。別の実施形態では、インプラントアッセンブリの上側及び下側係合部材のそれぞれは、各棘突起に隣接する椎弓板の表面に沿って係合させることができる。係合部材は、スペーサ部材の各端部によって支持されている棘突起の表面に対向している椎弓板の表面に係合する。別の実施形態では、係合部材はフック状の端部を含んでおり、上側係合部材のフック状の端部は、上側椎弓板の上表面に沿って伸張しており、下側係合部材のフック状の端部は、下側部材の下表面に沿って伸張している。別の実施形態では、係合部材は、スペーサ部材と可動式に連結されている。更に別の実施形態では、上側及び下側係合部材の内の少なくとも一方は、係合部材と椎弓板の係合を維持しながら運動体節の制限された屈曲を許容する弾力性のある接続部分を含んでいる。
【0028】
他の代表的な棘間動的安定化システムは、Taylorに与えられた米国特許第6,626,944号、米国特許出願公開第2004/0049190号、及び米国特許出願公開第2004/0002708号に記載されており、これらそれぞれの全内容を参考文献としてここに援用する。
【0029】
本発明による、活性物質を局所的に送達することができるように作られた後部脊椎インプラント装置の別の代表的な例では、インプラント装置は、脊椎茎スクリューを基にしたシステムの様な、アンカーを基にしたシステムである。脊椎茎スクリューを基にしたシステムでは、脊椎茎スクリューは、隣接する椎骨に、ロッド又はケーブル又は他の構造を取り付けて対象の運動体節に構造的な支持を与えるやり方で挿入される。当業者には理解頂けるように、動的安定化システムは、脊椎茎スクリューに取り付けられた可撓性を有するロッド又はケーブルを含んでおり、剛性を有する固定システムは、脊椎茎スクリューを剛性のあるロッドに接続することにより提供される。この様なシステムは、例えば、システムの1つ又は複数の構成要素に活性物質送達被膜を被覆することにより、活性物質送達構成要素を、システムの或る構成要素に形成された孔に挿入することにより、又は活性物質送達構成要素を備えている圧縮可能なスペーサ要素を、アンカー部材の間に配置することにより、活性物質を送達することができるように構成されている。
【0030】
本発明による、活性物質を送達することができるように作られた別の代表的な後部脊椎インプラント装置では、インプラント装置は、横突起の間に入れられる、横突起の間の伸延力を維持しながら運動体節の伸展運動を許容する、圧縮可能なスペーサ部材を含んでいる。また、スペーサ部材は、両側の安定化を提供するために、脊椎運動体節に対して両側に配置することもできる。別のインプラントシステムでは、一方の側の安定化が、インプラントシステムによって提供されている。更に他のシステムでは、一方の側又は両側のシステムの何れの場合も、多レベルの椎骨安定化を考えている。この様なシステムの1つ又はそれ以上の安定化装置は、本発明により、活性物質を送達することができるように作られている。インプラントシステムは、単独で、又は、例えば、ロッド、プレート、係留紐、椎体間融合装置、椎体間スペーサ、人工円板、環修復システム、又はステープルの様な他のインプラントと組み合わせて、の何れでも採用することができる。棘間動的安定化装置と同じように、ケーブル又は係留紐の形態をした1つ又は複数の係合部材が、インプラントを1つ又は複数の後部椎骨要素又は各インプラントに連結するために、通常は使用される。係合部材又は各係合部材は、スペーサ部材に係合されるか、スペーサ部材を貫通して伸張する。係合部材は、脊椎屈曲を制限する構成で、又は単にスペーサ部材が横突起の間のその植込み位置から変位するのを防止するやり方で、後部要素に係合される。
【0031】
次に各図を参照してゆくが、図1は、棘間動的固定装置30を示しており、この装置は、本発明により考えられているように活性物質を送達することができるように作られた或る型式の後部脊椎インプラントの一例、従って本発明の1つの好適な形態に過ぎない。図1は、上側椎骨11、下側椎骨15、及びその間の脊椎円板13を含んでいる脊柱体節10を示している。椎骨11、15、及び円板13は、脊椎運動体節を構成しており、脊椎運動体節は複数の椎骨レベルを含んでいると理解頂きたい。上側椎骨11は、上側椎弓板16から伸張する上側棘突起12を含んでいる。下側椎骨15は、下側椎弓板18から伸張する下側棘突起14を含んでいる。棘突起12、14、及び椎弓板16、18は、脊椎運動体節の椎骨の後部要素を構成している。
【0032】
脊椎インプラント装置30は、後部脊椎要素と係合して配置され、動的脊椎安定化を提供する。脊椎インプラント装置30は、棘突起12、14の隣接する表面の間を伸張して両者と接触し、脊椎運動体節の伸展の結果として棘突起が互いに向かって動くことを制限する。例えば、装置30は、棘突起12の下側表面22に接触している上側端34と、棘突起14の上側表面26に接触している下側端36を含んでいる。装置30は、脊椎運動体節の伸展に応じて弾性的に圧縮される構造に作られた本体を含んでおり、伸展力に抵抗し、装置30が圧縮された際に棘突起12、14が互いに向かって動くのを制限する。インプラント装置30は、どの様な適した方法で椎骨11と椎骨15に取り付けてもよく、その多くの代替例は当技術では既知なので、ここではその内の数例を論じる。
【0033】
装置30は、可撓性を有するか又は少なくとも或る程度の可撓性を呈する1つ又は複数の構成要素から製作することができる。その様な構成要素の例としては、織布製管類、織又は不織メッシュ、編み又は織り構造、縫合糸、係留紐、コード、平坦部材、帯、ワイヤ、ケーブル、又は隣接する棘突起の間を伸張して支えることができるその他の構成要素が挙げられる。或る好適な実施形態では、装置30は、弾性を有する1つ又はそれ以上の構成要素から製作され、そしてそれ自体が弾性を有しているので、挿入及び取り付け時及びその後で様々な形状を呈することができる。ここで使用する「弾性を有する」という用語は、圧縮、引き伸し、又は捻ることができると共に、圧縮され、引き伸ばされ、又は捻られた後でその元の形状に復帰することができる、材料の物理的性質を指す。
【0034】
装置30は、生物分解性の材料、合成又は天然由来の材料、及び分解吸収性又は非分解吸収性を有する材料から作ることができる。スペーサ部材材料の適した例としては、自家移植片、同種移植片、又は異種移植片;軟組織、結合組織、脱塩骨基質、及びそれらの組み合わせを含む組織材料;ポリラクチド、ポリグリコライド、チロシン由来ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリオルソエステル、ポリフォスファゼン、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、生物活性ガラス、コラーゲン、アルブミン、フィブリノゲン、及びそれらの組み合わせを含む分解吸収性材料;及びポリエチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリエーテルエーテルケトン、セルロース、チタン、シリコン、及びそれらの組み合わせを含む非分解吸収性材料が挙げられる。
【0035】
装置30は、均一な組成で製造してもよいし、多様な材料を使って形成してもよい。無論、装置30が圧縮可能であるのが望ましい用例に使用されることが要求される場合は、装置30は、1つ又は複数の圧縮可能な材料で形成されることになるものと理解頂きたい。1つの好適な実施形態では、装置30は、外面を有しており、活性物質送達構成要素層は、前記外面の少なくとも一部に貼り付けられる。活性物質送達層は、当技術で既知の多種多様なやり方で装置30の表面上に形成することができる。
【0036】
図2の断面図に示す別の好適な実施形態では、装置30は、外鞘34の中に入っている内部構造構成要素32を備えている。1つの好適な実施形態では、内部構造構成要素又は外鞘の内の少なくとも一方は、活性物質が中に含浸されるか又は上に吸着されている吸収性又は吸着性の材料を備えており、インプラント装置が患者に植え込まれた後で活性物質を局所的に放出するように作られている。例えば、1つの好適な実施形態では、内部構造構成要素32は、シリコンを、ポリエステル布から成る外鞘34で包んだものを備えている。図3に示す別の実施形態では、装置30は、内部構造構成要素32と外鞘34の間に配置された吸収性又は吸着性又は生物分解性の活性物質送達層36を含んでいる。図4に示す更に別の実施形態では、装置30は、外鞘34の外面33上に配置された、吸収性又は吸着性又は生物分解性の活性物質送達層36を含んでいる。図5に示す実施形態では、装置30は、孔38を画定しており、挿入物40は、その孔の中に配置するように作られた活性物質送達構成要素である。装置が埋め込まれた後で、活性物質は、挿入物40から装置の周囲の領域に放出され、病変領域へ活性物質が局所的に投与される。
【0037】
1つの実施形態では、挿入物40は、吸収性又は吸着性又は生物分解性の材料を備えている活性物質送達構成要素である。別の実施形態では、挿入物40は、受動的なやり方ではなく能動的機械的なやり方で活性物質を放出するように構成されている微小精密機械である。例えば、微小精密機械は、時間経過に伴って制御された量の活性物質を能動的に放出するように作られたマイクロポンプでもよい。或いは、微小精密機械は、或る投与量の活性物質を、例えば、微小精密機械によって感知された生理的条件の様な信号、又は体外の信号伝達装置から受信した信号に応えて、例えば、弁を開き又はポンプを作動させることにより放出するように構成されていてもよい。本発明により使用される信号の例としては、例えば、装置位置の局所的圧力上昇、装置位置の薬品濃度の上昇又は降下、装置位置の温度上昇、電気信号、電磁信号、光信号、磁界などが挙げられる。
【0038】
図6は、上側椎骨111、下側椎骨115、及びその間の脊椎円板113を含んでいる脊柱体節110を示している。椎骨111、115、及び円板113は、脊椎運動体節を構成しており、脊椎運動体節は、複数の椎骨レベルを含んでいるものと理解頂きたい。上側椎骨111は、上側椎弓板116から伸張する上側棘突起112を含んでいる。下側椎骨115は、下側椎弓板118から伸張する下側棘突起114を含んでいる。棘突起112、114と椎弓板116、118は、脊椎運動体節の椎骨の後部要素を構成している。
【0039】
脊椎インプラントアッセンブリ130は、後部脊椎要素と係合状態に配置され、動的脊椎安定化を提供する。脊椎インプラントアッセンブリ130は、棘突起112、114の隣接する表面の間を伸張し、これと接触して、脊椎運動体節の伸展の結果として棘突起が互いに向かって動くのを制限する、スペーサ部材132を含んでいる。例えば、スペーサ部材132は、棘突起112の下側表面122と接触している上側端134と、棘突起114の上側表面126と接触している下側端136を含んでいる。スペーサ部材134は、脊椎運動体節の伸展に応えて弾性的に圧縮される構造に作られた本体を含んでおり、伸展力に対して抵抗し、スペーサ部材132が圧縮される際に棘突起112、114が互いに向かって動くのを制限する。
【0040】
インプラントアッセンブリ130は、スペーサ部材132から伸張する上側係合部材150と下側係合部材170を含んでいる。上側係合部材150は、棘突起112の上側表面120に沿って伸張し、これと接触し、下側係合部材170は、棘突起114の下側表面124に沿って伸張し、これと接触しているのが望ましい。係合部材150、170は、ケーブル又はストラップの様な係留紐であるのが望ましく、而して、運動体節の屈曲の結果として棘突起112、114が互いから離れるように動くのを制限する。別の実施形態では、上側係合部材150は、上側椎弓板116の上側表面に沿って伸張し、これと接触し、下側係合部材170は、下側椎弓板118の下面に沿って伸張し、これと接触している。係合部材150、170は、スペーサ部材132と可動式に連結され、係合部材150、170の操作と、棘突起又は脊椎椎弓板上への設置をやり易くしている。
【0041】
この実施形態では、装置130は、装置30の様に、均一な組成で製造してもよいし、多様な材料を使って形成してもよい。無論、スペーサ部材132が圧縮可能であるのが望ましい用例にインプラントを使用することが要求される場合には、スペーサ部材132は、1つ又は複数の圧縮可能な材料で形成されることになるものと理解頂きたい。1つの好適な実施形態では、スペーサ部材132は、外面を有しており、活性物質送達構成要素層は、前記外面の少なくとも一部に貼り付けられる。活性物質送達層は、当技術で既知の多種多様なやり方でスペーサ部材132の表面上に形成することができる。同様に、スペーサ部材132は、装置30の様に、図2から図4に断面図で表している代わりの構造を有してもよいし、図5に表している孔/挿入物の構成を含んでいてもよい。
【0042】
本発明により考えられる或るインプラントアッセンブリの実施形態には、植え込まれたときに、外部の解剖学的構造及び隣接するスペーサ部材132に露出しないように、スペーサ部材132の本体を貫通して伸張する、係合部材150、170に接続された接続部材(図示せず)を利用しているものもある。この配置は、接続部材が、例えば、脊椎椎孔及び神経要素に露出するのを回避する。接続部材を係合部材に、各アーム142、144に沿う位置で接続することによっても、椎孔に対する露出は回避できる。接続部材は、スペーサ部材に形成された1つ又は複数の通路を通して配置してもよいし、スペーサ部材は接続部材の周りにオーバーモールドで成形してもよい。接続部材には、例えば、ケーブル、ワイヤ、縫合糸、コード、帯、ベルト、剛性を有するリンク又はロッド、及び可撓性を有するリンク又はロッドを含め、様々な形態が考えられる。本発明では、接続部材及び/又は係合部材は、スペーサ部材32に関係付けられた活性物質送達構成要素を有することに加えて、又はそれに代えて、部材自身に関係付けられた活性物質送達構成要素を有することができると考えている。例えば、上記要素は、織られた又はそうでなければ多孔質構造の材料で形成し、そこに活性物質を含浸させてもよいし、或いは、それら要素は、その中に活性物質を含浸させた吸収性又は生物分解性の材料、又はその上に活性物質を吸着させた材料である、活性物質送達層を有していてもよい。
【0043】
図7に示す本発明の別の実施形態では、例えば、脊椎茎スクリューを基にしたシステム230の様な、アンカーを基にした脊椎安定化又は脊椎固定装置が提供されている。システム230は、第1椎骨(図示せず)に錨着させるように作られている第1アンカー(幾つかの実施形態に関しては脊椎茎スクリューとも呼んでいる)232と、第1椎骨に隣接する第2椎骨(図示せず)に錨着させるように作られている第2アンカー(幾つかの実施形態に関しては脊椎茎スクリューとも呼んでいる)を含んでいる。システム230は、更に、第1アンカー232の頭部分233と第2アンカー234の頭部分235の間に設置するように作られているスペーサ要素236を含んでいる。
【0044】
スペーサ部材236は、棘間動的安定化装置に関して上で論じたスペーサ部材と同じ属性の多く又は全てを有している。当業者には理解頂けるように、一旦、アンカー232、234が、患者の脊椎の隣接する椎骨に堅く取り付けられると、脊椎の屈曲、伸展、曲げ、又は捻れは、アンカー232、234を互いに対して動かすことになる。スペーサ236が圧縮可能な材料を備えている場合、患者の脊椎の伸展は、アンカー232、234の頭部233、235の間にスペーサ236を設置することにより制限される。スペーサ236が活性物質を含浸させた圧縮可能な吸収性材料を備えている実施形態では、上で説明した動的安定化装置の場合と同じように、圧縮は活性物質の放出を引き起こす。
【0045】
或る実施形態では、スペーサ236は、係留紐、ロッド、又は他の構造的構成要素(図示せず)を受け入れるための貫通するチャネル(図示せず)を画定している。例えば、係留紐、ロッド、又は他の構造は、チャネルを通過して、頭部233、235それぞれに形成されている孔237、238を通過し、当技術では既知の手段を使用して頭部に取り付けられ、脊椎安定化又は脊椎固定機能を提供する。或いは、スペーサ236は、スペーサ236を包んで頭部233、235の孔を通り抜けるように構成されている鞘(図示せず)に包まれていてもよい。
【0046】
この実施形態では、スペーサ236は、装置30の様に、均一な組成で製造してもよいし、多様な材料を使用して形成してもよい。無論、スペーサ部材236が圧縮可能であるのが望ましい用例にインプラントを使用することが要求される場合、スペーサ部材236は、1つ又は複数の圧縮可能な材料で形成されることになるものと理解頂きたい。1つの好適な実施形態では、スペーサ236は、外面を有しており、活性物質送達構成要素層は、前記外面の少なくとも一部に貼り付けられる。活性物質送達層は、当技術で既知の多種多様なやり方でスペーサ236の表面上に形成することができる。同様に、スペーサ236は、装置30の様に、図2から図4に断面図で表している代わりの構造を有していてもよいし、図5に表している孔/挿入物の構成を含んでいてもよい。
【0047】
図8は、上側椎骨411、下側椎骨415、及び脊柱の中心軸421に沿ったそれらの間の脊椎円板413を含んでいる脊柱体節410を示している。椎骨411、415、及び円板413は、脊椎運動体節を構成しており、脊椎運動体節は複数の椎骨レベルを含んでいるものと理解頂きたい。上側椎骨411は、第1上側横突起412と第2上側横突起416を含んでいる。下側椎骨415は、第1下側横突起414と第2下側横突起418を含んでいる。横突起412、414、416、418は、棘突起417、419、関節面、脊椎茎、及び各椎骨411,415の他の後部構造と共に、脊椎運動体節の椎骨の後部要素を構成している。
【0048】
脊椎インプラント430は、後部脊椎要素と係合状態に配置され、動的脊椎安定化を提供する。脊椎インプラント430は、横突起412、414の隣接する表面の間を伸張し、これと接触して、脊椎運動体節の伸展の結果として棘突起が互いに向かって動くのを制限するスペーサ部材432を含んでいる。例えば、スペーサ部材432は、横突起412の下側表面422に接触している上側端434と、横突起414の上側表面426に接触している下側端436を含んでいる。スペーサ部材432は、脊椎伸展部の伸展に応えて弾性的に圧縮することができる構造に作られた本体を含んでおり、伸展力に対して抵抗し、スペーサ部材432が圧縮された際に横突起412、414が互いに向かって動くのを制限する。
【0049】
スペーサ部材432は、装置30及びスペーサ部材130の様に、均一の組成で製造してもよいし、多様な材料を使用して形成してもよい。無論、スペーサ部材432が圧縮可能であるのが望ましい用例に装置を使用することが要求される場合、スペーサ部材432は、1つ又は複数の圧縮可能な材料で形成されることになるものと理解頂きたい。1つの好適な実施形態では、スペーサ部材432は、外面を有しており、活性物質送達構成要素層は、前記外面の少なくとも一部に貼り付けられる。活性物質送達層は、当技術で既知の多種多様なやり方でスペーサ部材432の表面上に形成することができる。同様に、スペーサ部材432は、装置30及びスペーサ部材130の様に、図2から図4に断面図で表している代わりの構造を有していてもよいし、図5に表している孔/挿入物構成を含んでいてもよい。
【0050】
図8は、更に、脊柱の中心軸421の他方側の第2脊椎インプラント430を示している。第2スペーサ部材432は、他方のインプラント430の様な構造に作られており、横突起416、418の隣接する表面の間を伸張し、これと接触して、脊椎運動体節の伸展の結果として棘突起が互いに向かって動くのを制限する。インプラント430は、両側に作用して、脊柱体節410の両側の安定を提供する。複数レベル安定化処置の場合、1つ又はそれ以上の追加の椎骨レベルに、追加のインプラント430が提供される。更に、インプラント430は、1つ又は複数の椎骨レベルを片側で安定化するのに採用することも考えられる。脊椎インプラントは、単独又は組み合わせの何れであっても、脊椎空間及び/又は椎孔を伸延して、神経根圧力を逃がし、脊椎要素の減圧を図る機能を果たす。インプラントは、脊椎運動体節の運動能力を維持しながら全体的安定性を提供する。
【0051】
更に図9に示すように、スペーサ部材432は、一対の上側アーム442と一対の下側アーム444を含んでいる。上側アーム442は、凹型に湾曲している上側面435をその間に画定しており、下側アーム444は、凹型に湾曲している下側面437をその間に画定している。凹型に湾曲している面435、437は、当該面が押し付けて配置される横突起の表面に概ね沿うことができ又は沿わせることができる。アーム442、444は、横突起412、414の互いに反対側に沿って伸張し、それらを受け入れて、スペーサ部材432が横突起412、414の間の決められた位置からずれ落ちるのを防止する。植え込まれた姿勢で、スペーサ部材432は、前方に向いた面446と後方に向いた面448を含んでいる。前方に向いた面446は、既存の神経根428を覆って装着し、それに当たることを防止又は回避するため、凹型湾曲部を含んでいる。後方に向いた面448は、図示のように凸型に曲がっていてもよいし、凹型の湾曲を含んでいてもよいし、或いは形状が直線状でもよい。また、アーム対442、444は、ぞれぞれ前方アーム442a、444aと後方アーム442b、444bを含んでいる。図示の実施形態では、前方アーム442a、444aは、厚さが後方アーム442b、444bの厚さよりも薄い。厚さが薄いせいで、神経根428が椎孔を出て行く領域におけるスペーサ材料の量を制限して、神経根428を通すのに利用できる空間を広く取ることができる。
【0052】
係合部材(図示せず)は、スペーサ部材を正しい場所に固定するのに採用される。係合部材は、係留紐、コード、ワイヤ、ケーブル、縫合糸、帯、ストラップ、ベルト、又は1つ又は複数の後部椎骨要素の操作と固定に適した他の構造物の形態を取ることができる。係合部材は、後部椎骨要素の周りに巻かれ又は配置され、クリンプ又は他の適したファスナでその位置に維持される。更に、係合部材は、どの様な適したやり方で、スペーサ部材に連結してもよい。1つの実施形態では、係合部材は、スペーサ部材に可動的に連結される。係合部材は、スペーサ部材と一体に形成してもよいし、ファスナ、縫合糸、ケーブル、リンク、オーバーモールド、熱溶着又は結合、接着、3次元織り又は編み、スクリュー、ステープル、ピン、タック、リベット固定又は他の適した接合法によって取り付けてもよい。スペーサ部材には、係合部材をスペーサ部材に係合させ易くするために、耳、目穴、陥凹、又は他の適した構造を設けてもよい。係合部材は、例えば、係合部材を上側横突起の上側表面と下側横突起の下側表面の周りに巻きつけることにより脊椎の屈曲を制限するのが望ましい脊椎安定化処置に採用される。或いは、係合部材は、スペーサ部材を横突起の間の所定の位置に維持するための維持機構として採用することもできる。
【0053】
係合部材は、スペース設定用部材が横突起の間に設置される前か後の何れかに、スペーサ部材に固定される。係合部材は、外科処置の際、他のインプラントアッセンブリの他の係合部材に、又は脊柱に係合された他のインプラントに、係合される。本発明では、スペーサ430に関係付けられた活性物質送達構成要素を有することに加えて、又はこれに代えて、係合部材に関係付けられた活性物質送達構成要素を有することを考えている。例えば、それら要素を織り又はそうでなければ多孔質構造の材料で作り、活性物質を含浸させてもよいし、それら要素の中に又は上に活性物質送達層を設けてもよく、その場合、活性物質送達層は、活性物質が含浸された吸収性又は生物分解性の材料でもよいし、活性物質が吸着された材料であってもよい。
【0054】
ここで説明している係合部材は、合成又は天然の自家移植片、同種移植片、又は異種移植片組織を含め、何らかの生体適合性材料又はその組み合わせで作ることができ、分解吸収性でも非分解吸収性でもよい。組織材料の例としては、硬組織、結合組織、脱塩骨基質、及びそれらの組み合わせが挙げられる。分解吸収性材料の更なる例としては、ポリラクチド、ポリグリコライド、チロシン由来ポリカーボネート、ポリ無水物、ポリオルソエステル、ポリフォスファゼン、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、生物活性ガラス、及びそれらの組み合わせが挙げられる。非分解吸収性材料の更なる例としては、炭素強化ポリマー複合材、シリコン、PEEK、形状記憶合金、チタン、チタン合金、コバルトクロム合金、ステンレス鋼、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0055】
当業者にはここに記載の内容に鑑みて理解頂けるように、本発明は、1つの態様では、活性物質送達構成要素を含んでいる後部脊椎固定装置又は動的脊椎安定化装置を提供している。活性物質送達構成要素は、活性物質が、中に含浸されるか、又は上に吸着されるか、又は別のやり方で中に入っており、装置が患者に植え込まれた後で、活性物質を局所的に放出するように作られている。1つの好適な実施形態では、装置は、隣接する棘突起の間に、隣接する横突起の間に、又は他の後部椎骨要素の間に、設置するように作られた動的安定化装置である。1つの実施形態では、装置は、棘突起間動的安定化装置である。別の実施形態では、装置は、横突起間動的安定化装置である。更に別の実施形態では、装置は、アンカーを基にした安定化又は固定装置である。
【0056】
本発明の1つの形態では、発明的装置は、脊椎安定化を提供するように作られた少なくとも1つの構造的構成要素を備えており、構造的構成要素の少なくとも1つの少なくとも一部は、活性物質が中に含浸されるか又は上に吸着されている。例えば、1つの好適な装置は、外鞘内に入れられた内部構造構成要素を備えており、外鞘は、活性物質が中に含浸されるか又は上に吸着されている、吸収性又は吸着性又は生物分解性の材料を含んでいる。活性物質は、例えば、同化剤、凝固防止剤、抗感染症薬、抗炎症薬、抗新生物薬、解熱薬、鎮痛薬、鎮痙薬、抗血栓剤、抗ヒスタミン剤、生物学的製剤、骨形成蛋白質、診断用薬、神経筋薬物、栄養剤、血管拡張剤、及びプロドラッグから成る群より選択される。
【0057】
装置に組み込む活性物質の量は、使用される具体的な活性物質、所望の治療効果、及び活性物質の送達が必要な期間によって変わる。様々な寸法形状の様々な装置が、本発明により、活性物質送達構成要素を含むように構築され、それらは、様々な条件の治療効果に見合った投与量処方を提供するよう意図されている。上限及び下限は、活性物質の活性、及び具体的な用途で求められる、装置からの活性物質の放出期間によって異なる。
【0058】
本発明の別の形態では、発明的装置は、脊椎安定化を提供するように作られた少なくとも1つの構造的構成要素と、構造的構成要素に保持されている少なくとも1つの活性物質送達構成要素を備えている。1つの好適な実施形態では、装置は、外鞘内に入れられた内部構造構成要素を含んでおり、活性物質送達構成要素は、内部構造構成要素と外鞘の間に配置された吸収性又は吸着性又は生物分解性の層を備えている。別の好適な実施形態では、装置は外面を有しており、活性物質送達構成要素は、前記外面の少なくとも一部に貼り付けられた活性物質送達層を備えている。更に別の好適な実施形態では、構造的構成要素は、少なくとも1つの孔を画定しており、活性物質送達構成要素は、この孔の中に配置するように作られた挿入物である。或る好適な実施形態では、この挿入物は、微小精密機械を備えている。
【0059】
1つの好適な実施形態では、活性物質送達構成要素は、活性物質が中に吸収されるか又は上に吸着されている弾性材料を備えている。装置は、装置を植え込んだ後で、望ましくは持続放出式に、又は制御可能な又は半制御可能なやり方で、活性物質を放出する。例えば、装置は、装置を植え込んだ後で、或る投与量の活性物質が、活性物質送達構成要素を圧縮することにより、又は構成要素を引き伸ばすことにより、又は構成要素にトルクを掛けることにより放出されるか又は速めた速度で放出されるように作られている。1つの好適な実施形態では、装置は、棘突起間動的安定化装置であり、装置は、植え込んだ後で、脊柱の伸展、脊柱の屈曲、脊柱の曲げ、又は脊柱の回転の結果としての椎骨の運動によって、活性物質送達構成要素に、圧縮圧力、引き伸ばし、又はトルクが働くように作られている。別の好適な実施形態では、装置は、横突起間動的安定化装置であり、装置は、植え込んだ後で、脊柱の伸展、脊柱の屈曲、脊柱の曲げ、又は脊柱の回転の結果としての椎骨の運動によって、活性物質送達構成要素に、圧縮、引き伸ばし、又はトルクが働くように作られている。更に別の実施形態では、装置は、アンカーを基にした固定又は安定化システムである。
【0060】
本発明の別の形態では、活性物質送達構成要素を備えている整形外科用インプラント装置が提供されており、この活性物質送達構成要素は、活性物質が中に吸収されるか上に吸着されている弾性材料を備えており、且つ、この装置は、患者に植え込まれた後で、活性物質を局所的に放出するように作られており、且つ、この装置は、或る投与量の活性物質を、(a)活性物質送達構成要素に圧縮圧力を掛けることにより、(b)構成要素を引き伸ばすことにより、又は(c)構成要素にトルクを掛けることにより、放出するか又は速めた速度で放出するように作られている。1つの実施形態では、装置は、外鞘内に配置された内部構造構成要素を含んでおり、外鞘は、活性物質が中に吸収されるか又は上に吸着されている、吸収性又は吸着性又は生物分解性の材料を備えている。別の実施形態では、装置は、外鞘内に配置された内部構造構成要素を含んでおり、活性物質送達構成要素は、内部構造構成要素と外鞘の間に配置された吸収性又は吸着性又は生物分解性の層を備えている。更に別の実施形態では、装置は外面を有しており、活性物質送達構成要素は、外面の少なくとも一部に貼り付けられた活性物質送達層を備えている。更に別の実施形態では、少なくとも1つの構造的構成要素は、少なくとも1つの孔を画定しており、活性物質送達構成要素は、この孔の中に配置するように作られた挿入物である。
【0061】
以上、本発明を、図面及び上記説明において、詳しく示し説明してきたが、それらは、説明を目的としており何ら限定を課すものではなく、選択された実施形態を図示し説明したに過ぎず、ここに説明し又は特許請求の範囲により定義した本発明の範囲に包含される全ての変更、等価物、及び修正は、保護されることを要求する旨理解頂きたい。ここで述べた何れの理論、動作機構、立証、又は知見も、本発明の理解を深めることを意図したものであり、本発明を、その様な理論、動作機構、立証、又は知見に、何ら限定するものではない。また、ここで引用した米国特許又は係属中の米国特許出願は、その内容全体をここに参考文献として援用する。特許請求の範囲を解釈するに当たり、「或る」「1つの」、「少なくとも1つ」、及び「少なくとも一部」の様な語は、別段指定のない限り、特許請求の範囲を唯一つの品目に限定するものではない。また、「少なくとも一部」及び/又は「一部」という言葉を使用している場合、特許請求の範囲は、別段指定のない限り、一部及び/又は品目全体を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】インプラントアッセンブリが係合されている脊柱運動体節の後部分の斜視図である。
【図2】本発明の第1の整形外科用インプラント装置の構造を示している、図1の脊椎運動体節の1つの実施形態の断面図である。
【図3】本発明の第2の整形外科用インプラント装置の構造を示している、図1の脊椎運動体節の別の実施形態の断面図である。
【図4】本発明の第3の整形外科用インプラント装置の構造を示している、図1の脊椎運動体節の更に別の実施形態の断面図である。
【図5】別の実施形態のインプラントアッセンブリの立面図である。
【図6】インプラントアッセンブリが係合されている脊柱運動体節の後部分の斜視図である。
【図7】別の実施形態のインプラントアッセンブリの立面図である。
【図8】インプラントアッセンブリが係合されている脊柱運動体節の後部分の立面図である。
【図9】図8の脊柱運動体節の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質送達構成要素を備えている後部脊椎固定装置又は動的脊椎安定化装置において、前記活性物質送達構成要素は、活性物質が、中に吸収されるか、上に吸着されるか、又は別のやり方で中に入れられており、且つ、前記装置が患者に植え込まれた後で、前記活性物質を局所的に放出するように作られている、装置。
【請求項2】
前記装置は、隣接する棘突起の間に、隣接する横突起の間に、又は他の後部椎骨要素の間に、設置するように作られている動的安定化装置である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、棘突起間動的安定化装置又は棘突起固定装置である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、横突起間動的安定化装置である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、アンカーを基にした安定化又は固定システムである、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、脊椎安定化を提供するように作られている少なくとも1つの構造的構成要素を備えており、前記構造的構成要素の少なくとも1つの少なくとも一部は、前記活性物質が、中に含浸されるか又は上に吸着されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、外鞘内に入れられた内部構造構成要素を備えており、前記外鞘は、前記活性物質が中に含浸されるか又は上に吸着されている吸収性又は吸着性又は生物分解性の材料を備えている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、脊椎安定化を提供するように作られている少なくとも1つの構造的構成要素と、前記構造的構成要素に保持されている少なくとも1つの活性物質送達構成要素と、を備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、外鞘内に入れられた内部構造構成要素を備えており、前記活性物質送達構成要素は、前記内部構造構成要素と前記外鞘の間に配置された吸収性又は吸着性又は生物分解性の層を備えている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、外面を有しており、前記活性物質送達構成要素は、前記外面の少なくとも一部に貼り付けられた活性物質送達層を備えている、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記構造的構成要素は、少なくとも1つの孔を画定しており、前記活性物質送達構成要素は、前記孔の中に配置するように作られた挿入物である、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記挿入物は、微小精密機械を備えている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記活性物質は、同化剤、凝固防止剤、抗感染症薬、抗炎症薬、抗新生物薬、解熱薬、鎮痛薬、鎮痙薬、抗血栓剤、抗ヒスタミン剤、生物学的製剤、骨形成蛋白質、診断用薬、神経筋薬物、栄養剤、血管拡張剤、及びプロドラッグから成る群より選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記装置を植え込んだ後で、前記装置は前記活性物質を持続放出式に放出する、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記活性物質送達構成要素は、前記活性物質が中に吸収されるか又は上に吸着されている弾性材料を備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記装置は、前記装置を植え込んだ後で、或る投与量の前記活性物質を、前記活性物質送達構成要素を圧縮することにより、又は前記構成要素を引き伸ばすことにより、又は前記構成要素にトルクを掛けることにより、放出させるか又は速めた速度で放出させるように作られている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、棘突起間動的安定化装置であり、前記装置は、植え込んだ後で、脊柱の伸展、脊柱の屈曲、脊柱の曲げ、又は脊柱の回転の結果としての椎骨の運動によって、前記活性物質送達構成要素に、圧縮圧力、引き伸ばし、又はトルクを働かせるように作られている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記装置は、横突起間動的安定化装置であり、前記装置は、植え込んだ後で、脊柱の伸展、脊柱の屈曲、脊柱の曲げ、又は脊柱の回転の結果としての椎骨の運動によって、前記活性物質送達構成要素に、圧縮圧力、引き伸ばし、又はトルクを働かせるように作られている、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記装置は、アンカーを基にした安定化又は固定システムであり、前記装置は、植え込んだ後で、脊柱の伸展、脊柱の屈曲、脊柱の曲げ、又は脊柱の回転の結果としての椎骨の運動によって、前記活性物質送達構成要素に、圧縮圧力、引き伸ばし、又はトルクを働かせるように作られている、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
活性物質送達構成要素を備えている整形外科用インプラント装置において、前記活性物質送達構成要素は、前記活性物質が中に吸収されるか又は上に吸着されている弾性材料を備えており、前記装置は、患者に植え込まれた後で、前記活性物質を局所的に放出するように作られており、前記装置は、或る投与量の前記活性物質を、(a)前記活性物質送達構成要素を圧縮することにより、(b)前記構成要素を引き伸ばすことにより、又は(c)前記構成要素にトルクを掛けることにより、放出するか又は速めた速度で放出するように作られている、装置。
【請求項21】
前記装置は、アンカーを基にした安定化又は固定システムである、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記装置は、動的脊椎安定化装置である、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記動的安定化装置は、隣接する棘突起、隣接する横突起、又は他の後部椎骨要素の間に設置するように作られている、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記装置は、棘突起間動的安定化装置である、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記装置は、植え込んだ後で、脊柱の伸展、脊柱の屈曲、脊柱の曲げ、又は脊柱の回転の結果としての椎骨の運動によって、前記活性物質送達構成要素に、圧縮圧力、引き伸ばし、又はトルクを働かせて、前記装置に、或る投与量の前記活性物質を放出させるか又は速めた速度で放出させるように作られている、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記装置は、アンカーを基にする安定化又は固定システムである、請求項23に記載の装置。
【請求項27】
前記装置は、棘突起間動的安定化装置である、請求項23に記載の装置。
【請求項28】
前記装置は、植え込んだ後で、脊柱の伸展、脊柱の屈曲、脊柱の曲げ、又は脊柱の回転の結果としての椎骨の運動によって、前記活性物質送達構成要素に、圧縮圧力、引き伸ばし、又はトルクを働かせるように作られている、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記装置は、動的脊椎安定化を提供するように作られている少なくとも1つの構造的構成要素と、前記構造的構成要素により保持される少なくとも1つの活性物質送達構成要素を備えている、請求項22に記載の装置。
【請求項30】
前記構造的構成要素の少なくとも1つの少なくとも一部分は、前記活性物質が中に含浸されるか又は上に吸着されている、請求項22に記載の装置。
【請求項31】
前記装置は、外鞘内に配置されている内部構造構成要素を備えており、前記外鞘は、前記活性物質が中に含浸されるか又は上に吸着されている吸収性又は吸着性又は生物分解性の材料を備えている、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記装置は、外鞘内に配置されている内部構造構成要素を備えており、前記活性物質送達構成要素は、前期内部構造構成要素と前期外鞘の間に配置された吸収性又は吸着性又は生物分解性の層を備えている、請求項29に記載の装置。
【請求項33】
前記装置は、外面を有しており、前記活性物質送達構成要素は、前記外面の少なくとも一部に貼り付けられた活性物質送達層を備えている、請求項29に記載の装置。
【請求項34】
前記少なくとも1つの構造的構成要素は、少なくとも1つの孔を画定しており、前記活性物質送達構成要素は、前記孔の中に配置するように作られた挿入物である、請求項29に記載の装置。
【請求項35】
前記挿入物は、微小精密機械を備えている、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記活性物質は、同化剤、凝固防止剤、抗感染症薬、抗炎症薬、抗新生物薬、解熱薬、鎮痛薬、鎮痙薬、抗血栓剤、抗ヒスタミン剤、生物学的製剤、骨形成蛋白質、診断用薬、神経筋薬物、栄養剤、血管拡張剤、及びプロドラッグから成る群より選択される、請求項22に記載の装置。
【請求項37】
前記装置を植え込んだ後で、前記装置は、前記活性物質を持続放出式に放出する、請求項22に記載の装置。
【請求項38】
隣接する骨部分に沿って前記骨部分の間の空間の外側に配置することができる骨安定化部材と、活性物質送達構成要素と、を備えている整形外科用インプラント装置において、前記装置は、患者に植え込まれた後で、前記活性物質を局所的に放出するように作られている、装置。
【請求項39】
患者の、整形外科用インプラント装置に隣接する位置に、活性物質を送達する方法において、
活性物質送達構成要素を備えている整形外科用インプラント装置を提供する段階であって、前記活性物質送達構成要素は、活性物質が、中に含浸されるか、上に吸着されるか、又は別のやり方で中に入れられており、前記装置が患者に植え込まれた後で、前記活性物質を局所的に放出するように作られている、装置を提供する段階と、
前記装置を後部脊椎位置に外科的に植え込む段階と、から成る方法。
【請求項40】
活性物質送達構成要素は、前記活性物質が中に吸収されるか又は上に吸着されている弾性材料を備えており、前記方法は、前記植え込む段階の後に、或る投与量の前記活性物質を、(a)前記活性物質送達構成要素を圧縮することにより、(b)前記活性物質送達構成要素を引き伸ばすことにより、又は(c)活性物質送達構成要素にトルクを掛けることにより、放出させるか又は速めた速度で放出させる段階を更に含んでいる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
インプラント装置は、後部脊椎固定装置又は動的脊椎安定化装置を備えている、請求項39に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−539032(P2008−539032A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509115(P2008−509115)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/016017
【国際公開番号】WO2006/118945
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】