説明

徐放性治療剤の洞送達

本発明は、副鼻腔炎(sinusitis)を処置するための生分解性移植物を提供する。生分解性移植物は、意図された処置期間に、洞の粘膜毛様体の内層により実質的に除去されることを防ぐ、大きさ、形状、密度、粘度および/または粘膜接着性を有する。この生分解性移植物は、徐放性治療剤(例えば、抗生物質、ステロイド性抗炎症剤またはその両方)を備える。この生分解性移植物は、杆体、ペレット、ビーズ、ストリップまたは微粒子のような種々の形状をとり得、そして、種々の薬学的に受容可能なキャリアにおいて、洞内に送達され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国特許出願番号60/454,918(20023年3月14日出願)から優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、生分解性移植物、およびこれらの移植物の1つ以上を副鼻腔に配置するための方法に関する。これらの移植物は、副鼻腔炎の予防または治療のための治療剤の、局所徐放を提供する。本明細書には、ペレット、棒、ストリップ、および微粒子のような種々の形態で送達される移植物が含まれる。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
副鼻腔は、顔面の骨格における、空気で満たされた空洞である。各副鼻腔は、鼻腔と連続しており、そして洞の口を通って鼻に注ぐ。他の要因が含まれ得るが、副鼻腔炎(洞の粘膜ライニングの炎症)の発生は、最もしばしば、これらの洞の口のうちの1つ以上の遮断、引き続くこの洞の空洞内の粘膜結さつおよび微生物の過剰増殖の結果であると考えられる。口の遮断は、解剖学的要因による傾向、または口の領域における粘膜ライニングの炎症および水腫(ウイルスまたは細菌による上気道感染、あるいは慢性アレルギー性プロセスのような病因から生じる)から生じ得る。
【0004】
伝統的に、副鼻腔炎は、抗生物質およびステロイドの経口投与によって、医学的に管理されてきた。しかし、これらの全身送達される薬剤の、洞粘膜への侵入は、洞への乏しい血流に起因して、制限されている。鼻へと局所適用のための、水性液剤、クリーム、またはゲルに含まれる治療剤もまた、処方されているが、通常、洞に達するほど十分に遠くは鼻の中に決して移動しないか、閉塞した口に起因して、洞に入ることを遮断されるか、またはこの薬剤の吸収が低いほど短時間の洞粘膜との接触を有する。類似の理由により、副鼻腔炎を処置するために開発された、経鼻吸入されるステロイドおよび抗感染性エアロゾルは、同様に効果的ではない。
【0005】
ウサギ洞における抗生物質の滞留時間を増加させるための、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)フィルム由来のアンピシリンの送達が、副鼻腔炎の処置のために調査された(Min螺、Mucociliary Activity and Histopathology of Sinus Mucosa in Experimental Maxillary Sinusitis;A Comparison of Systemic Administration of Antibiotic and Antibiotic Delivery by Polylactic Acid Polymer.Laryngoscope 105:835−342(1995)およびMinら、Application of Polylactic Acid Polymer in the Treatment of Acute Maxillary Sinusitis in Rabbits.Acta Otolaryngol 115:548−552(1995))。副鼻腔炎の臨床兆候が改善したが、このフィルムの配置のための手順は、上顎洞の前壁を通して穴が穿孔されることを必要とした。
【0006】
その結果、洞の粘膜線毛ライニングによって実質的に除去されることなく、延長された期間にわたって、徐放性の治療剤を副鼻腔洞に投与するための、生分解性移植物、およびこの移植物を最小侵襲性の様式で送達するための方法は、副鼻腔炎を患う患者に対して、有意な医療の利益を提供し得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、副鼻腔炎を処置するための、生分解性移植物であり、この移植物は、生分解性マトリックス内に分散された、徐放性治療剤を含有し、そしてこの移植物を洞内に送達した後の、意図された処置期間の間、この洞の粘膜線毛層によるこの洞からのこの移植物の除去を実質的に防止する、少なくとも1つの特徴を有する。大きさ、形状、密度、粘度、粘膜接着性、またはこれらの組み合わせのような特徴は、この除去を実質的に防止するように、変更され得る。
【0008】
この生分解性移植物は、種々の治療剤(抗感染性薬剤、抗炎症性薬剤、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない)を含有し得る。抗感染性薬剤の例としては、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、および防腐剤が挙げられる。抗炎症性薬剤の例としては、非ステロイド系の抗炎症性薬剤またはステロイド系の抗炎症性薬剤が挙げられる。好ましいバリエーションにおいて、ステロイド系の抗炎症薬剤が使用される。
【0009】
この移植物のマトリックスは、任意の生分解性の生体的剛性ポリマーから形成され得、このポリマーとしては、粘膜接着性ポリマー、ポリ(オルトエステル)、およびポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)コポリマーのようなポリマーが挙げられる。この生分解瀬員ポリマーマトリックスはまた、棒、ペレットビー巣、ストリップ、または微粒子として形成され得、そして所望であれば、薬学的に受容可能なキャリアに入れられ得る。この生分解性移植物が微粒子である場合、通常、複数の微粒子が、副鼻腔炎を処置するために、洞に送達される。これらの微粒子は、多孔性であってもそうでなくてもよく、そして約0.1〜500μmの間、約0.1〜100μmの間、約0.1〜50μmの間、または約0.1〜10μmの間の平均直径を有し得る。いくつかの例において、生分解性移植物の形態は、洞内に送達された後に変化し得る。例えば、一連の所定の切断線またはゾーンを有するストリップの形態のポリ(オルトエステル)移植物は、この移植物が洞内でこの切断線に沿って分解するにつれて、複数のより小さいセグメントに切断され得る。
【0010】
この生分解性移植物は、徐放性治療剤を、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約6週間、少なくとも約2ヶ月間、または少なくとも約3ヶ月間にわたって、送達し得る。好ましいバリエーションにおいて、この徐放性治療剤は、洞内に、約3週間にわたって送達される。
【0011】
この生分解性移植物は、洞内に、種々の設計のデバイスを使用して送達され得るが、少なくともこのデバイスは、プッシャーおよび導管(例えば、カテーテル、針、または血管カテーテル)を備える。例えば、このプッシャーおよび/または導管は、これらがその長さに沿って可変に剛性であるように作製され得る。さらに、この導管における開口部(この開口部を通って、移植物が送達される)は、この導管の側壁に位置しても先端に位置してもよい。さらに、この導管の遠位部分は、示される場合、洞の口のアクセスを容易にするように、角度を有し得る。1つのバリエーションにおいて、この遠位部分は、柔軟であり、その結果、外科医は、この導管自体に、洞の口へのアクセスの直前に角度を付け得る。
【0012】
生分解性移植物およびその展開のためのデバイスが、副鼻腔炎を処置するためのシステムにおいて使用され得る。一般に、このシステムは、最初に、1つ以上の移植物を管腔内に有する導管を、洞の口または洞の壁のいずれ過疎通して配置することによって、働く。次いで、この導管の管腔内のプッシャーが、遠位に勧められて、この移植物にスライド係合し、そしてこの移植物を、この導管の遠位部分の開口部を通して洞内へと移動させる。この開口部は、この導管の側壁にあっても先端にあってもよい。通常、この導管は、1つ以上の移植物を予め装填される。1つの例において、洞の口または洞の壁を可視化するための道具が望ましい。このような道具の例としては、内視鏡およびコンピュータ連動断層撮影(CT)走査が挙げられる。
【0013】
この生分解性移植物はまた、洞の手技から炎症を減少させるために使用され得る。これらの移植物はまた、生分解性マトリックス内に分散された徐放性治療剤を含有し、そしてこの移植物を洞内に送達した後の、意図された処置期間の間、この洞の粘膜線毛層によるこの洞からのこの移植物の除去を実質的に防止する、少なくとも1つの特徴を有する。処置期間は、この炎症を減少させるために適切であると外科医がみなす、任意の期間であり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明の生分解性移植物は、種々の形態を採り得るが、一般に、意図された送達方法(例えば、洞の口を通してかもしくは洞の壁を通る穿刺によって)のために適切な大きさおよび形状、ならびにこの移植物が、処置の持続時間の間、この洞から実質的の除去されないような密度、粘度、および/または粘膜接着性を有するように設計される。一旦、洞に入ると、この移植物は、副鼻腔炎を処置するために、治療剤を延長された期間(例えば、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、または少なくとも4週間、あるいはそれより長期間にわたって)放出する。
【0015】
(定義)
本明細書の目的のために、言葉の文脈が異なる意味を示さない限り、本発明者らは、本節において規定される以下の用語を使用する。
【0016】
「洞」によって、全ての洞、すなわち、上顎洞、前頭洞、篩骨洞、および蝶形骨洞を意味する。
【0017】
「被験体」によって、哺乳動物被験体、好ましくはヒトを意味する。哺乳動物としては、霊長類、家畜動物、競技用動物(sport animal)、ネコ、イヌ、ウサギ、マウス、およびラットが挙げられるがこれらに限定されない。
【0018】
本明細書中で規定される場合、用語「処置する」、「処置すること」または「処置」は、副鼻腔炎(sinusitis)または副鼻腔炎の後遺症の消炎、減少または予防をいう。
【0019】
本明細書中で使用される場合、用語「治療剤」、「活性薬剤」および「薬物」は、交換可能に使用され、そして、副鼻腔炎を処置するために使用される任意の物質をいう。
【0020】
「治療量」により、副鼻腔炎を安全に処置するために適切な、洞へと局所的に送達される治療剤の濃度を意味する。
【0021】
(生分解性移植物)
本発明の移植物は、一般に、生分解性ポリマー内に分散された治療剤を含む。この治療剤は、移植物全体にわたって、均一に分散されても不均一に分散されてもよい。移植物の組成は、例えば、使用される特定の治療財、所望の薬物放出の持続時間、処置される副鼻腔炎の型、および患者の病歴に依存して、変化し得る。しかし、全ての例において、この生分解性移植物は、治療剤の徐放のために処方される。
【0022】
(治療剤)
生分解性移植物において使用され得る治療剤としては、抗感染性薬剤、抗炎症性薬剤、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。抗炎症性薬剤としては、一般に、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、および防腐剤が挙げられる。抗炎症性薬剤としては、一般に、ステロイド系抗炎症剤および非ステロイド系抗炎症剤が挙げられる。
【0023】
生分解性移植物に組み込まれ得る抗菌剤の例としては、アミノグリコシド、アンフェニコール(amphenicol)、アンサマイシン(ansamycin)、β−ラクタム、リンコサミド、マクロライド、ニトロフラン、キノロン、スルホンアミド、スルホン、テトラサイクリン、およびこれらの誘導体のいずれかが挙げられる。1つのバリエーションにおいて、β−ラクタムが、好ましい抗菌剤である。
【0024】
この移植物に含まれ得るβ−ラクタムとしては、カルバセフェム(carbacephem)、カルバペネム(carbapenem)、セファロスポリン、セファマイシン(cephamycin)、モノバクタム(monobactam)、オキサセフェム(oxacephem)、ペニシリン、およびこれらの誘導体のいずれかが挙げられる。1つのバリエーションにおいて、ペニシリン(およびその対応する塩)が、好ましいβ−ラクタムである。
【0025】
生分解性移植物において使用され得るペニシリンとしては、アムジノシリン(amdinocillin)、アムジノシリンピボキシル(amdinocillin pivoxil)、アモキシリン、アンピシリン、アパルシリン、アスポキシシリン、アジドシリン、アズロシリン、バカンピシリン、ベンジルペニシリン酸、ペンジルペニシリンナトリウム、カルベニシリン、カリンダシリン、クロメトシリン、クロキサシリン、シクラシリン(cyclacillin)、ジクロキサシリン、エピシリン、フェンベニシリン、フロキサシリン、ヘタシリン、レナンピシリン、メタンピシリン、メチシリンナトリウム、メズロシリン、ナフシリンナトリウム、オキサシリン、ペナメシリン、ペネタメート(penethamate)塩酸塩、ベネタミンペニシリンG、ペニシリンGベンザチン、ペニシリンGベンズヒドリルアミン、ペニシリンGカルシウム、ペニシリンGヒドラバミン、ペニシリンGカリウム、プロカインペニシリンG、ペニシリンN、ペニシリンO、ペニシリンV、ペニシリンVベンザチン、ペニシリンVヒドラバミン、ペニメピサイクリン、フェネチシリンカリウム、ピペラシリン、ピバンピシリン、プロピシリン、キナシリン、スルベニシリン、スルタミシリン、タランピシリン、テモシリン、およびチカルシリンが挙げられる。1つのバリエーションにおいて、アモキシシリンが、この生分解性移植物に含まれ得る。別のバリエーションにおいて、この生分解性移植物は、アンピシリンを含有する。Augmentin(登録商標)(アモキシシリンおよびクラブラン酸(clavulanic acid))のような、クラブラン酸と組み合わせられたペニシリンもまた、使用され得る。
【0026】
生分解性移植物において使用され得る抗真菌剤の例としては、アリルアミン、イミダゾール、ポリエン、チオカルバメート、トリアゾール、およびこれらの誘導体のいずれかが挙げられる。1つのバリエーションにおいて、イミダゾールが、好ましい抗真菌剤である。
【0027】
代表的に、抗炎症性薬剤の含有が望ましい場合、ステロイド系の抗炎症性薬剤(例えば、コルチコステロイド)が使用される。この移植物において使用され得るステロイド系抗炎症性薬剤の例としては、21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン(clobetasone)、クロコルトロン、クロプレドノール(cloprednol)、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール(cortivazol)、デフラザコート(deflazacort)、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート(difluprednate)、エノキソロン(enoxolone)、フルアザコート(fluazacort)、フルクロニド(flucloronide)、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル(fluocortin butyl)、フルオロコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン(fluprednidene acetate)、フルプレドニソロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン(fluticasone propionate)、ホルモコルタール(formocortal)、ハルシノニド(halcinonide)、プロピオン酸ハロベタゾール(halobetasol propionate)、ハロメタゾン(halometasone)、酢酸ハロプレドン(halopredone acetate)、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノールエタボネート(loteprednol etabonate)、マジプレドン(mazipredone)、メドリゾン、メプレドニゾン(meprednisone)、メチルプレドニゾロン、モメタゾンフロエート(mometason furoate)、パラメタゾン、プレドニカルベート(prednicarbate)、プレドニゾロン、25−ジエチルアミノ−酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロンリン酸ナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル(prednival)、プレドニリデン(prednylidene)、リメキソロン(rimexolone)、チキソコルトール(tixocortol)、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド(triamcinolone benetonide)、トリアムシノロンヘキサアセトニド(triamcinolone hexacetonide)、およびこれらの誘導体が挙げられる。1つのバリエーションにおいて、ブデソニドが、この移植物に、ステロイド系抗炎症薬剤として含まれる。別のバリエーションにおいて、ステロイド系の抗炎症薬剤は、フロ酸モメタゾンである。なお別のバリエーションにおいて、ステロイド系の抗炎症剤は、ベクロメタゾンであり得る。
【0028】
治療剤は、この移植物の約5重量%〜約90重量%、約15重量%〜約75重量%、または約30重量%〜約60重量%を構成し得る。使用される治療剤の量は、通常、組み込まれる特定の薬剤、副鼻腔炎の疑われる病理学、および臨床的兆候の重篤度のような要因に依存するが、全ての例において、通常、洞内に送達される際に治療的である量である。局所抗鬱血剤のような補助的な薬剤もまた、含まれ得る。
【0029】
(ポリマーマトリックス)
使用されるべき生分解性ポリマーマトリックスの選択は、所望の滞留時間および放出動力学、移植物の送達方法、使用される特定の治療剤などに、非常に依存する。使用され得る生分解性ポリマーの例示的な列挙は、Heller,Biiodegradable Polymers in Controlled Durg Delivery:「CRC Critical Reviews in Therapeutic Durg Carrier Systems」、第1巻、CRC Press,Boca Raton,FL(1987)に記載されている。全ての例において、このポリマーマトリックスは、分解する場合、生理学的に受容可能な分解生成物を生じる。この生分解性ポリマーマトリックスは、この移植物の少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、または少なくとも約95重量%を構成し得る。
【0030】
1つのバリエーションにおいて、このポリマーマトリックスの、洞粘膜への接着性が、特に望ましい。粘膜接着性ポリマーは、代表的に、親水性であり、そして濡れると、膨潤し、そして接着性になる。この生分解性移植物において使用され得る年膜接着性ポリマーの例としては、アクリル酸モノマーのホモポリマー(例えば、ポリアクリル酸)および任意のその薬学的に受容可能な塩;アクリル酸とメタクリル酸、スチレン、もしくはビニルエーテルとのコポリマー;ビニルポリマー(例えば、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、およびポリビニルピロリドン);セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロース);多糖類(例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、およびトラガカントガム);コラーゲン;ゼラチン;ならびにこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0031】
別のバリエーションにおいて、この生分解性マトリックスは、オルトエステルから、単独でかまたは他のモノマーとの組み合わせで作製される。好ましいバリエーションにおいて、このポリマーマトリックスを構成するために、ポリ(オルトエステル)が使用される。
【0032】
なおさらなるバリエーションにおいて、ヒドロキシ脂肪族カルボン酸のポリマー(ホモポリマーまたはコポリマーのいずれか)が、このマトリックスを形成するために使用される。例えば、D−乳酸、L−乳酸、ラセミ体の乳酸、グリコール酸、カプロラクトン、およびこれらの組み合わせのホモポリマーまたはコポリマーを含むポリマーが、使用され得る。グリコール酸と乳酸とのコポリマーが、特に興味深く、ここで、生分解の速度は、グリコール酸対乳酸の比によって制御される。ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)コポリマーにおける各モノマーの百分率は、0〜100%、約20〜80%、約30〜70%、または約40〜60%であり得る。好ましいバリエーションにおいて、50/50のPLGAコポリマーが使用される。
【0033】
1つのバリエーションにおいて、PLGAは、生分解性の洞移植物を形成するために、ブデソニドと組み合わせられ得る。別のバリエーションにおいて、PLGAは、フロ酸モメタゾンと組み合わせられ得る。PLGAマトリックス中への補助的な薬剤の含有が望ましい場合(単独でかまたはステロイド系抗炎症薬剤と組み合わせて)、Augmentin(登録商標)が使用され得る。第一線の抗菌治療が失敗した場合、またはペニシリンアレルギーについては、シプロフロキサシンのようなセファロスポリン、またはエリスロマイシンのようなマクロライドが、PLGAマトリックスにおいて使用され得る。
【0034】
この生分解性移植物は、固体であっても半固体であってもよく、そしてその大きさおよび形状が、移植の選択された洞と適合性である限り、そしてこの移植物が所望の放出動力学を示し、かつ意図された型の副鼻腔炎に対して治療的な量の薬物を送達する限り、種々の適切な形態(例えば、棒またはほぼ球状もしくは矩形のペレット、ビーズ、ストリップ、あるいは微粒子)を採り得る。1つのバリエーションにおいて、この移植物は、約1mm〜約10mmの長さ、および約0.05mm〜約5mmの直径を有する棒である。別のバリエーションにおいて、この移植物は、約4mmの長さおよび約2mmの直径を有する棒である。なおさらなるバリエーションにおいて、この移植物は、微粒子である。副鼻腔炎を処置する場合、複数のこれらの微粒子は、キャリアありまたはなしで、洞内に送達される。これらの微粒子は、多孔性であってもそうでなくてもよく、そして約0.1〜500μmの間、約0.1〜100μmの間、約0.1〜50μmの間、約0.1〜10μmの間、約0.1〜1μmの間、または約0.1〜0.5μmの間の平均直径を有し得る。
【0035】
この移植物が、薬物送達の意図された期間の間、洞内に保持されることもまた重要である。これらの洞は、毛様上皮および粘膜の層でライニングされている。線毛は、絶えず波打っており、この粘膜層をゆっくりと、洞から咽頭の方へと流している。従って、移植物を用いて副鼻腔炎を効果敵に処置する目的で、この移植物は、代表的に、薬物を治療的な量で送達するために十分に長く、洞内に保持されなければならない。本発明の生分解性移植物は、意図された薬物送達期間の間、かなりの量の移植物が洞内に保持されることを可能にする、粘膜接着性、大きさ、形状、粘度、および/または密度を有する。
【0036】
さらに、この移植物は、洞内に送達された後に、送達前とは異なる形状を取ることが可能であるように設計されたものであり得る。例えば、一連の所定の切断線またはゾーンを有する棒またはストリップとして洞内に送達される移植物は、これがその切断線に沿って分解するにつれて、複数のより小さいセグメントに切断され得る。
【0037】
(さらなる薬剤)
本発明の移植物は、防腐剤、緩衝剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、ならびに移植物の構造および/または機能を維持するために必要な他の任意の賦形剤のような成分を、さらに含有し得る。さらに、この移植物は、薬学的に受容可能なキャリアに入れられ、例えば、この移植物が微粒子である場合、半固体ゲルのような懸濁物を形成し得る。通常のゲル基剤としては、カルボマー、流動パラフィン、水、グリセロール、プロピレングリコール、ヒアルロン酸もしくはヒアルロン酸ナトリウム、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。形成され得るゲルの型としては、例えば、無機ゲルおよび有機ゲル、ヒドロゲル、あるいはオルガノゲルが挙げられる。
【0038】
微粒子の密度に加えて、このゲルの粘度は、洞内に送達されることを可能にし、そして洞からの微粒子(移植物)のかなりの除去を防止するレベルまで調節され得る。このゲルはまた、洞粘膜との治療剤の接触時間を増加させるために、接着性の形態に調製され得る(ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、またはポリビニルピロリドンのような接着性ポリマーを使用して)。
【0039】
(放出動力学)
一般に、本発明の移植物は、生分解性ポリマーマトリックス内に分散された治療剤の粒子を用いて処方され、そしてこの治療剤の徐放を提供するように処方される。非膨潤性ポリマー(例えば、PLGAまたはポリ(折るとエステル)から作製される場合、このマトリックスからの活性薬剤の放出は、おそらく、この生分解性マトリックスの腐食、およびこの粒子性治療剤の、洞の粘膜層内への拡散によって、達成される。放出動力学に影響を与え得る要因としては、薬物粒子の大きさ、薬物の溶解度、薬物対ポリマーの比、移植物の製造方法、露出した移植物の表面積、およびマトリックスポリマーの腐食速度のような特徴が挙げられる。ポリマーが膨潤性である場合(ヒドロゲルに見られるような)、治療剤は、移植物の露出された経路を通って、液体が拡散するように放出される。
【0040】
この治療剤は、延長された期間にわたって、この移植物から放出され得る。この期間としては、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約6週間、少なくとも約2ヶ月間、または少なくとも約3ヶ月間が挙げられるが、これらに限定されない。1つのバリエーションにおいて、この治療剤は、約2週間〜約4週間にわたって放出される。
【0041】
(送達デバイス)
この生分解性移植物は、種々の移植物送達デバイスを使用して、洞内に配置され得る。このデバイスは、一般に、管腔内に細長プッシャーを有する導管(例えば、カテーテル)を備える。この導管およびプッシャーは、可撓性であっても剛性であってもよく、またはその長さに沿って様々な程度の剛性を有するように設計され得、例えば、この導管の遠位部分は、近位部分より剛性であり得る。さらに、この導管の遠位部分は、洞の口を通してのこの導管の位置決めおよび前進を容易にするように、様々に角度を付けられ得る。例えば、その遠位部分は、約0°〜約175°、約0°〜約135°、または約0°〜約90°の角度を付けられ得る。
【0042】
この導管は、任意の生分解性材料から作製され得、この材料としては、所望の可撓性または剛性の量に依存して、ステンレス鋼およびその任意の合金;チタン合金(例えば、ニッケル−チタン合金);ポリマー(例えば、ポリエチレンおよびそのコポリマー、ポリエチレンテレフタレートまたはそのコポリマー、ナイロン、シリコーン、ポリウレタン、フルオロポリマー、ポリ(塩化ビニル)、およびこれらの組み合わせ)が挙げられるが、これらに限定されない。プッシャーは、類似の材料から作製され得る。
【0043】
通常、このデバイスは、単一の移植ぶつとぉ、その導管の管腔内にあらかじめ装填されるが、1つより多くの移植物が、所望であれば、予め装填され得る。いったん、この導管を用いて、洞口を通してのアクセスが得られると、プッシャーは、この移植物にスライド係合し、そしてこの移植物がカテーテルを出て洞に入るまで、前進される。この導管を位置決めする間、内視鏡がまた使用されて、この口の可視化を補助し得る。
【0044】
特定の場合において、例えば、口が閉じているかまたはアクセスが困難である場合、1つ以上の洞内への移植物の配置は、鋭利な先端を有する導管(例えば、針、トロカール、または血管カテーテル)を使用して、コンピュータ画像案内技術または内視鏡を使用する可視化ありまたはなしで、洞の壁を通して完了され得る。一旦、この洞への適切なアクセス点が決定されると、鋭利な先端を有する導管に力が付与され、その結果、この洞の壁を穿刺する。次いで、プッシャーをこの導管の管腔に通して進めることによって、移植物をこの洞内に配置する。
【0045】
図1A〜1Bは、単一移植物の送達デバイスの例を示す。このデバイスは、移植物10、導管12を備え、この導管は、側壁14、管腔16、遠位部分18、遠位部分18における開口部20先端22、およびプッシャー24を有する。図1Aにおいて、導管12は、側壁14に位置する傾斜部26および開口部20を備える。固体移植物を送達する場合、この開口部は、通常、その移植物の直径の約2倍である。プッシャー24は、管腔16内を遠位に前進されて、移植物10にスライド係合し、そしてこの移植物を、傾斜部26まで、側壁14を通して移動させ、洞に入れる。図1Bにおいて、開口部20は、導管12の先端22に位置しており、そしてプッシャー124は、管腔16内を遠位に前進されて、移植物10とスライド係合し、そしてこの移植物を、先端22に通して移動させる。この導管の先端は、これらの図において平滑であるように示されているが、これらの先端はまた、通常は移植物の送達方法に依存して、鋭利であり、そして/または面取りされ得る。
【0046】
図2Aは、複数の移植物を送達するデバイスを示す。このデバイスは、単一移植物の送達デバイスと類似であり、導管28を有し、この導管は、側壁30、管腔32、遠位部分34、遠位部分34における系後部36、先端38、プッシャー40、および傾斜部42を備える。プッシャー40は、あらかじめ設定された距離だけ遠位に進められて、管腔32内の最も近位の移植物44とスライド係合する。次いで、プッシャー40は、予め設定された距離(例えば、1つの移植物の長さとおよそ同じ距離)だけさらに遠位に進められて、最も遠位の移植物446を、開口部36を通して洞内へと移動させる。
【0047】
ハンドル48は、図2Bに示されるように、導管28に連結され得、その結果、ハンドルの管腔が、導管28の管腔32と連続的な管腔を形成する。次いで、プッシャー40は、この連続的な管腔を通してスライドし得る。ハンドル48は、プッシャー40に隣接して長手軸方向に整列するインジェクタ、ならびに種々の位置「O」、「A」、「B」、および「C」を有する段状のスロット44をさらに備える。最初に、インジェクタ42が押されると、プッシャー40が遠位に進められ、そしてインジェクタ42に連結されたキー46が、プッシャー40を、位置「O」と「A」との間で移動させる。位置「O」と「A」との間の距離は、分配される移植物の長さとおよそ等しい。次いで、プッシャー40は、回転されて、キー46を位置「A」から位置「B」へと、段付きのスロット44内で移動させ得る。次いで、インジェクタ42を再度押すことによって、キーが、段に沿って「B」から位置「C」へと移動し、そしてプッシャー40を、対応する長さだけ移動させて、別の移植物を分配する。複数の移植物が、この様式で送達され得、送達される移植物の数は、段付きのスロット内のスロットの数に依存する。
【0048】
上記種々の移植物送達デバイスは、固体移植物を展開するが、本発明はまた、種々の半固体移植物およびゲルを、洞内へと送達するためのデバイスの使用を考慮する。導管内の所定の量の半固体移植物またはゲル組成物に付与される力(例えば、プッシャーとの接触または加圧気体による)が、移植物またはゲルを洞内へと送達するために使用され得る。
【0049】
(適用)
これらの移植物は、上顎洞、前頭洞、篩骨洞、および蝶形骨洞のうちの1つに影響を与える副鼻腔炎を処置するために使用され得る。
【0050】
さらに、生分解性移植物を使用して、素因のある解剖学的状態、慢性アレルギー性プロセス、または種々の病原体(例えば、細菌、真菌、およびウイルス)による感染に関連する状態から生じる、急性または慢性の副鼻腔炎を処置し得る。
【0051】
副鼻腔炎を引き起こし得る細菌の例としては、Alpha−hemolytic streptococci、Beta−hemolytic streptococci、Branhamella Catarrhalis、Diptheroids、Haemophilis influenzae、Moraxella species、Pseudomonas aeroginosa、Pseudomonas maltophilia、Serratia marcescens、Staphylococcus aureus、およびStreptococcus pnumoniaeが挙げられる。
【0052】
副鼻腔炎を引き起こし得る真菌の例としては、Aspergillosis種、Candida種、Cryptooccus種、Coccidioides種、Histoplasma種、およびMucor種が挙げられる。
【0053】
この生分解性移植物はまた、洞の手技(代表的に、洞の排出手技)から生じる炎症を減少させるために使用され得る。洞の排出手技の例としては、狭小化した口の拡張/拡大、洞の穿孔および洗浄、ならびに鼻腔内洞フィステル形成術が挙げられるが、これらに限定されない。移植物は、先に記載された方法のうちの1つを使用して、洞内に送達され得、通常、この手技が完了した後であるが、これらの移植物はまた、この手技の前またはこの手技の間に、洞内に送達され得る。
【0054】
口を拡大する場合、罹患した洞は、一般に、この拡大した口を通してアクセスされる。次いで、この生分解性移植物は、拡大された口を通して洞内へと展開される。洞の穿孔および廃液または鼻腔内洞フィステル形成術に関して、罹患した洞は、通常、洞の穿孔部位において、または洞フィステル形成術を通してアクセスされる。この生分解性移植物もまた、通常、この洞の穿孔部位または洞フィステル形成術を通して、洞内に展開される。しかし、所望であれば、この生分解性移植物は、洞の穿孔部位において、または洞フィステル形成術の代わりに、自然の口を通して送達され得る。
【0055】
(移植物を作製する方法)
本発明の移植物を調製する方法は、一般に、使用される特定の治療剤またはマトリックスポリマー、移植物の形態、および所望の放出動力学に依存するが、当該分野において公知の多数の方法のいずれか1つによって、作製され得る。例えば、この移植物は、圧縮、押出成形、成形、溶媒エバポレーション、または溶媒抽出のようなプロセスによって、作製され得る。
【0056】
本明細書中に引用される全ての刊行物、特許および特許出願は、各個々の刊行物、特許、または特許出願が、参考として援用されると具体的に個々に示されると同程度まで、全ての目的でその全体が本明細書中に参考として援用される。上基本発明は、理解を明瞭にする目的で、図示および例によっていくらか詳細に記載されたが、本発明の教示を考慮して、ある程度の変化および改変が、添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、本発明に対してなされ得ることが、当業者に容易に明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1A〜1Bは、移植物送達デバイスの遠位部分の断面図である。図1Aにおいて、生分解性移植物は、導管の側部開口部を通して送達される。図1Bにおいて、生分解性移植物は、導管の先端部を通して送達される。
【図2A】図2Aは、複数の移植物送達片デバイスの遠位部分の断面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aに示される複数の移植物送達デバイスの遠位部分に係合され得るハンドルの断面図である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性マトリックス内に分散された徐放性治療剤を含有する副鼻腔炎(sinusitis)を処置するための生分解性移植物であって、ここで、該生分解性移植物は、該移植物を洞内に送達した後の処置期間に、該洞からの該移植物の除去を実質的に防ぐ、少なくとも1つの特徴を有する、生分解性移植物。
【請求項2】
前記少なくとも1つの特徴が、前記移植物の大きさである、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの特徴が、前記移植物の形状である、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの特徴が、前記移植物の密度である、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの特徴が、前記移植物の粘度である、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの特徴が、前記移植物の粘膜接着性である、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項7】
前記徐放性治療剤が、抗感染剤、抗炎症剤およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項8】
前記徐放性治療剤が、抗感染剤を含む、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項9】
前記抗感染剤が、抗細菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤および防腐薬からなる群より選択される、請求項8に記載の生分解性移植物。
【請求項10】
前記抗感染剤が、抗細菌剤を含む、請求項8に記載の生分解性移植物。
【請求項11】
前記抗細菌剤が、アミノグリコシド系、アムフェニコール系(amphenicols)、アンサマイシン系(ansamycins)、β−ラクタム系、リンコサミド系(lincosamides)、マクロライド系、ニトロフラン系(nitrofurans)、キノロン系、スルホンアミド系、スルホン系(sulfones)、テトラサイクリン系およびこれらの誘導体のいずれかからなる群より選択される、請求項10に記載の生分解性移植物。
【請求項12】
前記抗細菌剤が、β−ラクタムを含む、請求項10に記載の生分解性移植物。
【請求項13】
前記β−ラクタムが、ペニシリンを含む、請求項12に記載の生分解性移植物。
【請求項14】
前記ペニシリンが、アモキシリンを含む、請求項13に記載の生分解性移植物。
【請求項15】
前記徐放性治療剤が、抗炎症剤である、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項16】
前記抗炎症剤が、非ステロイド系抗炎症剤またはステロイド系抗炎症剤である、請求項15に記載の生分解性移植物。
【請求項17】
前記徐放性治療剤が、ステロイド系抗炎症剤を含む、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項18】
前記ステロイド系抗炎症剤が、21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン(clobetasone)、クロコルトロン、クロプレドノール(cloprednol)、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール(cortivazol)、デフラザコート(deflazacort)、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート(difluprednate)、エノキソロン(enoxolone)、フルアザコート(fluazacort)、フルクロニド(flucloronide)、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル(fluocortin butyl)、フルオロコルトロン、フルオロメトロン、酢酸フルペロロン、酢酸フルプレドニデン(fluprednidene acetate)、フルプレドニソロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン(fluticasone propionate)、ホルモコルタール(formocortal)、ハルシノニド(halcinonide)、プロピオン酸ハロベタゾール(halobetasol propionate)、ハロメタゾン(halometasone)、酢酸ハロプレドン(halopredone acetate)、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノールエタボネート(loteprednol etabonate)、マジプレドン(mazipredone)、メドリゾン、メプレドニゾン(meprednisone)、メチルプレドニゾロン、モメタゾンフロエート(mometason furoate)、パラメタゾン、プレドニカルベート(prednicarbate)、プレドニゾロン、25−ジエチルアミノ−酢酸プレドニゾロン、プレドニゾロンリン酸ナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル(prednival)、プレドニリデン(prednylidene)、リメキソロン(rimexolone)、チキソコルトール(tixocortol)、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド(triamcinolone benetonide)、トリアムシノロンヘキサアセトニド(triamcinolone hexacetonide)、およびこれらの誘導体のいずれかからなる群より選択される、請求項17に記載の生分解性移植物。
【請求項19】
前記ステロイド性抗炎症剤が、ブデソニドを含む、請求項18に記載の生分解性移植物。
【請求項20】
前記ステロイド系抗炎症剤が、モメタゾンフロエートを含む、請求項18に記載の生分解性移植物。
【請求項21】
前記ステロイド系抗炎症剤が、ベクロメタゾンを含む、請求項18に記載の生分解性移植物。
【請求項22】
前記生分解性マトリックスが、生分解性ポリマーマトリックスである、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項23】
前記生分解性マトリックスが、粘膜接着性ポリマーを含む、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項24】
前記粘膜接着性ポリマーが、アクリル酸モノマーとその薬学的に受容可能な塩のホモポリマー;アクリル酸とメタクリル酸、スチレンまたはビニルエーテルとのコポリマー;アクリル酸ポリヒドロキシエチル;メタクリル酸ポリヒドロキシエチル;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;メチルセルロース;エチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;カルボキシメチルセルロース;アルギン酸;アルギン酸ナトリウム;トラガントガム;コラーゲン;ゼラチンおよびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項23に記載の生分解性移植物。
【請求項25】
前記生分解性マトリックスが、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)コポリマーを含む、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項26】
前記徐放性治療剤がアモキシリンを含む、請求項25に記載の生分解性移植物。
【請求項27】
前記徐放性治療剤が、ブデソニドを含む、請求項25に記載の生分解性移植物。
【請求項28】
前記徐放性治療剤が、モメタゾンフロエートを含む、請求項25に記載の生分解性移植物。
【請求項29】
前記徐放性治療剤が、ベクロメタゾンを含む、請求項25に記載の生分解性移植物。
【請求項30】
前記生分解性マトリックスがポリ(オルトエステル)を含む、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項31】
前記処置期間が、約1週間〜約3ヶ月である、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項32】
前記処置期間が、約2週間〜約4週間である、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項33】
前記移植物が、杆体、ペレット、ビーズ、ストリップおよび微粒子からなる群より選択される形状である、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項34】
前記移植物が微粒子である、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項35】
薬学的に受容可能なキャリア中にある、請求項34に記載の生分解性移植物。
【請求項36】
前記薬学的に受容可能なキャリアが、半固形ゲルである、請求項35に記載の生分解性移植物。
【請求項37】
前記移植物がさらに、一連の所定の破砕線を含み、その結果、前記洞への送達の後、該移植物が、複数の断片に破砕する、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項38】
前記洞が、上顎洞、前頭洞、篩骨洞、または蝶形骨洞である、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項39】
前記洞が上顎洞である、請求項1に記載の生分解性移植物。
【請求項40】
生分解性マトリックス内に分散された徐放性治療剤を含有する、洞手技からの炎症を減少するための生分解性移植物であって、ここで、該生分解性移植物は、該移植物を洞に送達した後の処置期間に、該洞からの該移植物の除去を実質的に防ぐ、少なくとも1つの特徴を有する、生分解性移植物。
【請求項41】
前記洞手技が、洞ドレナージ手技である、請求項40に記載の生分解性移植物。
【請求項42】
前記洞手技が、狭い洞口を拡大する、請求項40に記載の生分解性移植物。
【請求項43】
前記洞手技が、洞穿刺およびウォッシュアウトである、請求項40に記載の生分解性移植物。
【請求項44】
前記洞手技が、鼻腔内洞フィステル形成術である、請求項40に記載の生分解性移植物。
【請求項45】
前記生分解性マトリックスが、生分解性ポリマーマトリックスである、請求項40に記載の生分解性移植物。
【請求項46】
前記徐放性治療剤が、モメタゾンフロエートである、請求項40に記載の生分解性移植物。
【請求項47】
副鼻腔炎(sinusitis)を処置するためのシステムであって、以下:
a)移植物送達デバイスであって、該移植物送達デバイスは、管腔、遠位部分、側壁、先端部、および該遠位部分の開口部を有する導管を備える;かつ該管腔内にプッシャーを備える、移植物送達デバイス;ならびに
b)該移植物送達デバイスの該管腔内の1つ以上の生分解性移植物であって、該1つ以上の生分解性移植物は、生分解性マトリックス内に分散された徐放性治療剤を含有し、そして、洞内に該1つ以上の移植物を送達した後の処置期間に、該洞からの該1つ以上の移植物の除去を実質的に防ぐ、少なくとも1つの特徴を有する、1つ以上の生分解性移植物
を備え、
ここで、該1つ以上の移植物が、該プッシャーを遠位に進め、該1つ以上の移植物をスライド可能なように係合し、そして、該導管の該遠位部分の該開口部を通して該1つ以上の移植物を移動させることによって該洞内に送達される、システム。
【請求項48】
前記生分解性マトリックスが、生分解性ポリマーマトリックスである、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記導管の前記遠位部分が角ばっている、請求項47に記載のシステム。
【請求項50】
前記導管に、単一の移植物が事前充填されている、請求項47に記載のシステム。
【請求項51】
前記導管に、複数の移植物が事前充填されている、請求項47に記載のシステム。
【請求項52】
前記洞口または洞壁を可視化するためのツールをさらに備える、請求項47に記載のシステム。
【請求項53】
前記ツールが内視鏡である、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記ツールがコンピュータ断層撮影スキャナーである、請求項52に記載のシステム。
【請求項55】
前記導管が針である、請求項47に記載のシステム。
【請求項56】
前記導管がカテーテルである、請求項47に記載のシステム。
【請求項57】
前記導管が柔軟である、請求項47に記載のシステム。
【請求項58】
生分解性移植物を洞に送達するための方法であって、以下:
a)1つ以上の生分解性移植物を、管腔、遠位部分、側壁、先端部、および該遠位部分の開口部を有する導管に充填する工程;
b)該導管を用いて洞にアクセスする工程;
c)該1つ以上の生分解性移植物を、該導管の該遠位部分の該開口部を通して、該洞へと展開する工程
を包含し、ここで、該1つ以上の生分解性移植物は、副鼻腔炎(sinusitis)の処置のための活性薬剤の治療有効量を含有する、方法。
【請求項59】
前記アクセスする工程が、前記導管を、洞口を通して配置する工程を包含する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記アクセスする工程が、前記導管を、洞壁を通して配置する工程を包含する、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記展開する工程が、プッシャーと前記1つ以上の生分解性移植物とをスライド可能に係合する工程、および前記導管の管腔内で該プッシャーを進める工程を包含する、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記展開する工程が、前記1つ以上の生分解性移植物を、加圧ガスに接触させる工程を包含する、請求項58に記載の方法。
【請求項63】
前記導管の前記遠位部分が角ばっている、請求項58に記載の方法。
【請求項64】
前記導管が鋭い先端である、請求項58に記載の方法。
【請求項65】
前記開口部が、前記導管の前記側壁に位置付けられている、請求項58に記載の方法。
【請求項66】
前記開口部が、前記導管の前記先端部に位置付けられている、請求項58に記載の方法。
【請求項67】
前記生分解性移植物が、生分解性ポリマー移植物である、請求項58に記載の方法。
【請求項68】
生分解性移植物を洞に送達するための方法であって、以下:
a)1つ以上の生分解性移植物を、管腔、遠位部分、側壁、先端部および該遠位部分の開口部を有する導管に充填する工程;
b)該導管を用いて洞にアクセスする工程;
c)該1つ以上の生分解性移植物を、該導管の該遠位部分の該開口部を通して、該洞へと展開する工程;
を包含し、ここで、該1つ以上の生分解性移植物が、洞手技からの炎症を減少するための、治療量の活性薬剤を含有する、方法。
【請求項69】
前記アクセスする工程が、前記導管を、洞口を通して配置する工程を包含する、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記アクセスする工程が、前記導管を、洞壁を通して配置する工程を包含する、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記生分解性移植物が、生分解性ポリマー移植物である、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記活性薬剤が、モメタゾンフロエートを含む、請求項68に記載の方法。

【公表番号】特表2006−520786(P2006−520786A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507191(P2006−507191)
【出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/007828
【国際公開番号】WO2004/082525
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(505343099)シネクサス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】