徐放性L−アルギニンの投与による各種症状の治療方法
本願発明は、徐放性製剤などのL-アルギニン製剤を、トリグリセリド値の低下、熱産生の誘導、減量および肥満または糖尿病などの肥満関連症状の治療ならびに予防を含む、さまざまな適応症に使用するための方法を提供する。さらに、本願発明は喘息などその他の適応症を治療または予防する方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2003年10月24日に提出されたPCT/US2003/033931、標題「Sustained Release L-Arginine Formulations
and Methods of Manufacture and Use」の優先権を主張し、さらに2002年10月24日に提出された米国仮特許出願第60/421,258号、標題「Methods and Compositions for the Treatment of
Cerebrovascular and Cardiovascular Diseases and Disorders」、2003年9月29日に提出された米国仮特許出願第60/507,312号、標題「Methods and Compositions for the Treatment of
Cerebrovascular and Cardiovascular Diseases and Disorders」、および2003年10月17日に提出された米国仮特許出願第60/512,035号、標題「Sustained Release L-Arginine Formulations and Methods
of Manufacture and Use」の優先権を主張する、2004年4月28日に提出されたPCT/US2004/013255、標題「Sustained Release L-Arginine Formulations
and Methods of Manufacture and Use」の一部継続である、2005年1月24日に提出された米国特許出願第11/042017号、標題「Methods of Treating Various Conditions By
Administration of Sustained Release L-Arginine」、および2005年4月14日に提出した米国特許出願第11/107395号、標題「Methods of Treating Various Conditions By
Administration of Sustained Release L-Arginine」の優先権を主張する。上述の各特許出願の内容全体は、全体としての引用をもって明らかに本願明細書に援用するものとする。
【背景技術】
【0002】
L-アルギニンはヒトの生理および代謝の多数の領域に関与するセミ必須アミノ酸である。アルギニンは、シトルリン、グルタミン、グルタミン酸およびプロリンからデノボ合成することができるが、食物によるアルギニンの摂取は必要な血漿アルギニン値を維持するために重要である。
【0003】
大部分において、L-アルギニンが重要なのは、酸化窒素(NO)の生物学的前駆体としての役割のためである。確かに、酸化窒素シンターゼ(NOS)という酵素ファミリは、L-アルギニンからNOを合成する。NOは、心血管系における各種の内皮細胞依存性の生理学的作用に関与する内因性メッセンジャ分子である。さらに、NOは可溶性グアニル酸シクラーゼの内皮細胞依存性弛緩および活性、中枢および末梢神経系の神経伝達、ならびに活性化マクロファージ細胞毒性に関与している。さらに、血管作用剤や物理的刺激に応答して、内皮細胞が内皮細胞由来弛緩因子(EDRF)とよばれ(内皮由来一酸化窒素(EDNO)ともよばれる)、一酸化窒素(NO)として知られる、短寿命血管拡張因子を放出する。セロトニン、ヒスタミン、ブラジキニン、プリン、およびトロンビンなどの炎症および血小板凝集の産生物は、NO放出の刺激によって、完全にまたは部分的に作用する。弛緩の内皮細胞性のメカニズムは、冠動脈循環を含む各種血管床において重要である。血管系において、EDNOには、血小板凝集、炎症生細胞の接着、および平滑筋細胞の増殖など、数種類の働きがある。特に、EDNOは血管緊張の重要な制御因子である。さらに、内皮機能に一般的に使用される指標である血流性拡張も、ほとんどNOが媒介している。
【0004】
発明の概要
本願発明は、たとえばL-アルギニンの徐放性製剤など、L-アルギニンがトリグリセリド値を低下させるのに有用であるという発見に、部分的に基づいている。 さらに、本願発明は、たとえばL-アルギニンの徐放性製剤など、L-アルギニンが、肥満、肥満関連障害、および喘息を含む各種適応症の予防または治療に有用であるという発見に、部分的に基づいている。
【0005】
ある局面では、本願発明は、たとえばL-アルギニンの徐放性製剤など、被験体にL-アルギニンを投与することによって、その被験体のトリグリセリド値を低下させる方法を提供する。さまざまな実施態様では、前記方法によって被験体のトリグリセリド値を約100 mg/dL、50 mg/dL、または25 mg/dL未満に低下させることができる。
【0006】
ある局面では、本願発明は、たとえばL-アルギニンの徐放性製剤など、被験体にL-アルギニンを投与することによって、その被験体の熱産生を誘発する方法を提供する。
【0007】
別の局面では、本願発明は、たとえばL-アルギニンの徐放性製剤など、被験体にL-アルギニンを投与することによって、その被験体の体重を一定に維持するか、または減量(たとえば20、15、10、または5ポンド未満)を誘導する方法を提供する。
【0008】
さらなる局面では、本願発明は、たとえばL-アルギニンの徐放性製剤など、被験体にL-アルギニンを投与することによって、糖尿病など肥満または肥満関連疾患を予防または治療する方法を提供する。
【0009】
さらに別の局面では、本願発明は、たとえばL-アルギニンの徐放性製剤など、被験体にL-アルギニンを含む徐放性製剤を投与することによって、その被験体の喘息を予防または治療する方法を提供する。
【0010】
さらに別の局面では、本願発明は、被験体の、勃起不全症、女性不妊症、男性不妊症、間質性膀胱炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、後天性免疫不全症候群(AIDS)、子癇前症、火傷または外傷性損傷、癌、たとえば胃食道逆流疾患(GERD)および括約筋運動障害などを含む消化管症状、早期産、ならびに老年性認知症を、その被験体にL-アルギニンの徐放性製剤を投与することによって予防または治療する方法を提供する。さらに別の局面では、L-アルギニンの徐放性製剤は、周術期の栄養として用いることもできる。
【0011】
本願発明の前述の局面のさまざまな実施態様では、前記徐放性製剤には、L-アルギニンまたはその薬学的に許容な塩を重量で約25%乃至約75%、ポリビニルピロリドンを重量で約0.5%乃至約5%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約5%乃至約40%、微結晶性セルロースを重量で約2%乃至約20%、二酸化ケイ素を重量で約3%未満、およびステアリン酸マグネシウムを重量で約3%未満含んでいる。たとえば、前記製剤には、L-アルギニン一塩酸塩であるL-アルギニンを重量で約50%、ポリビニルピロリドンを重量で約3%乃至約4%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約35%、微結晶性セルロースを重量で約10%、二酸化ケイ素を重量で約1%未満、およびステアリン酸マグネシウムを重量で約1%未満含んでもよい。
【0012】
本願発明の前述の局面の別の実施態様では、前記徐放性製剤には、L-アルギニンまたはその薬学的に許容な塩を重量で約50%乃至約90%、ポリビニルピロリドンを重量で約0.5%乃至約5%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約5%乃至約40%含んでいる。たとえば、前記製剤は、L-アルギニン一塩酸塩であるL-アルギニンを重量で約70%、ポリビニルピロリドンを重量で約2%乃至約3%、おおびヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約27%乃至約28%含んでもよい。
【0013】
前述の局面のさらに別の実施態様では、前記徐放性製剤は、L-アルギニンまたはその薬学的に許容な塩を重量で約35%乃至約90%、ポリビニルピロリドンを重量で約0.5%乃至約5%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約5%乃至約40%、微結晶性セルロースを重量で約2%乃至約20%、および二酸化ケイ素を重量で約1%未満含んでいる。たとえば、前記製剤には、L-アルギニン一塩酸塩であるL-アルギニンを重量で約51%、ポリビニルピロリドンを重量で約3%乃至約4%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約35%、微結晶性セルロースを重量で約10%乃至約11%、二酸化ケイ素がコロイド状二酸化ケイ素である二酸化ケイ素を重量で約1%未満含んでよい。代替的には、前記製剤は、L-アルギニン一塩酸塩であるL-アルギニンを重量で約56%、ポリビニルピロリドンを重量で約3%乃至約4%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約31%乃至約32%、微結晶性セルロースを重量で約9%乃至約10%、二酸化ケイ素がコロイド状二酸化ケイ素である二酸化ケイ素を重量で約1%未満含んでよい。
【0014】
前述の局面のさらに別の実施態様では、前記徐放性製剤は、L-アルギニンまたはその薬学的に許容な塩を重量で約50%乃至約90%、ポリビニルピロリドンを重量で約0.5%乃至約10%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約5%乃至約40%、および二酸化ケイ素を重量で約1%未満含んでいる。たとえば、前記製剤は、L-アルギニン一塩酸塩であるL-アルギニンを重量で約69%、ポリビニルピロリドンを重量で約6%乃至約7%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約24%乃至25%、二酸化ケイ素がコロイド状二酸化ケイ素である二酸化ケイ素を重量で約1%未満含んでよい。
【0015】
前述の局面のさらに別の実施態様では、前記徐放性製剤は、L-アルギニンまたはその薬学的に許容な塩を重量で約35%乃至約70%、ポリビニルピロリドンを重量で約0.5%乃至約10%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約40%乃至約60%、および二酸化ケイ素を重量で約1%未満含んでいる。たとえば、前記製剤は、L-アルギニン一塩酸塩であるL-アルギニンを重量で約50%、ポリビニルピロリドンを重量で約4%乃至約5%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約45%、二酸化ケイ素がコロイド状二酸化ケイ素である二酸化ケイ素を重量で約1%未満含んでよい。
【0016】
他の局面では、本願発明は、L-アルギニン(たとえばL-アルギニンの徐放性顆粒)および赤色酵母菌米抽出物を含む徐放性製剤を含む、カプセル、錠剤、または食物バーを提供する。各種実施態様において、前記食物バーは、被験体におけるトリグリセリドの低下、一定体重の維持または減量の誘発、熱産生の誘発、肥満または糖尿病などの肥満関連障害の治療もしくは予防、喘息の治療または予防、または一酸化窒素の増加に用いることができる。ある実施態様では、前記食物バーはさらにコエンザイムQ10を含む。
【0017】
本願発明のその他の特徴および利点は、以下の発明の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0018】
発明の詳細な説明
本願発明は、L-アルギニンを被験体に投与することによる、その被験体における、トリグリセリド値の低下、熱産生の誘発、一定体重の維持または減量の誘発、ならびに喘息、肥満および糖尿病などの肥満関連症状の治療または予防の方法を提供する。ある実施態様では、前記L-アルギニンはL-アルギニンの徐放性製剤である。本願発明は、特にL-アルギニンの徐放性製剤など、L-アルギニンが被験体のトリグリセリド値を低下させることができるという発見に、部分的に基づいている。本願発明は、特にL-アルギニンの徐放性製剤など、L-アルギニンが熱産生効果を有し、したがって減量の誘導、現体重の維持、および/または肥満および肥満関連症状の予防もしくは治療に有用であるという発見に、部分的に基づいている。
【0019】
本願発明はさらに、L-アルギニンの徐放性製剤を被験体に投与することによって、少なくとも以下の疾患および障害を治療および予防する方法を提供する。それは、勃起不全症、女性不妊症、男性不妊症、間質性膀胱炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、後天性免疫不全症候群(AIDS)、子癇前症、火傷または外傷性損傷、癌、たとえば胃食道逆流疾患(GERD)および括約筋運動障害などを含む消化管症状、早期産、ならびに老年性認知症である。さらに別の局面では、L-アルギニンの徐放性製剤は、周術期の栄養として用いることもできる。
【0020】
さらに、本願発明はL-アルギニンの徐放性製剤と、最適な放出プロフィールを有する組成物にするための製造方法を提供する。さらに、前記製剤および製造方法によって、使いやすいように圧縮可能だが過剰にもろすぎないような組成物の状態にする。
【0021】
ある実施態様では、本願発明の方法に用いる製剤は、少なくとも1つの徐放剤を含む(本願発明の目的のために、制御放出と徐放は同義に用いてよい)。別の実施態様では、前記L-アルギニンは被験体の全身にゆっくり放出される。L-アルギニンの徐放は、長期間にわたるNOの産生に必要なL-アルギニンを実質的に一定に供給するNOSを提供する、血漿中のL-アルギニンの薬物動態学的プロフィールをつくり出す。したがって、当該製剤はin vivoではゆっくり溶解して長時間に渡って実質的に均一な量のL-アルギニンを放出し、被験体に治療上有効に作用することができる。
【0022】
本願発明はさらに、L-アルギニンを添加した食物を提供する。好ましくは、この食物は処方用健康バーなど棒状である。食物を用いることによって、錠剤1錠に組み込むことができる量よりも大量のL-アルギニンを供給することができる。したがって、本願発明は、1gを超えるL-アルギニンおよび必要なその他の作用物質を提供することができるバーを提供する。ある実施態様では、前記L-アルギニンを、たとえばL-アルギニンの即放性顆粒など、即放性製剤として添加する。別の実施態様では、前記バーには、たとえばL-アルギニンの徐放性顆粒などを含む、徐放性製剤が含まれる。別の実施態様では、前記バーはさらに、シムバスタチンまたは赤色酵母米抽出物などのHMG-CoAレダクターゼインヒビタなどの作用物質を含む。
【0023】
定義
本願発明の詳細な説明の前に、本願明細書、実施例、および特許請求の範囲に用いられる特定の用語を、便宜上、ここにまとめる。
【0024】
本願明細書に記載の通り、特に記載のない限り、「被験体」という用語には哺乳類が含まれる。「哺乳類」という用語には、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、およびヒトが、それらに限定されずに含まれる。
【0025】
本願明細書に記載の「治療する」、「治療」および類似する用語は、疾患もしくは障害、疾患または障害の症状、または疾患もしくは障害の素因を有する被験体への治療用の物質または製剤の適用もしくは投与、または前記被験体から単離された組織への治療用物質または製剤の適用もしくは投与であって、当該適用もしくは投与の目的が、疾患もしくは障害および/またはイベントの治療、治癒、緩和、軽減、改変、改善、予防、改善、発症の遅延、疾患もしくは障害の進行の遅延、疾患もしくは障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害および/またはイベントの素因の改善または作用である、適用もしくは投与を意味する。
【0026】
本願明細書に記載の「血管疾患」または「血管障害」という用語は、一般に血管の疾患または障害を意味し、心血管、脳血管、および末梢血管疾患または障害がそれらに限定されずに含まれる。心血管疾患は、心臓の血管の疾患を意味する。たとえば、Kaplan, R. M., et
al., "Cardiovascular diseases" in Health and Human Behavior,
pp.206-242 (McGraw-Hill, New York 1993)を参照。心血管疾患は一般に、たとえば高血圧、冠状動脈疾患、発作、およびリウマチ性心疾患などを含む、いくつかの状態の一つである。狭心症およびうっ血性心不全などの心血管疾患に関連する疾患および障害も、この用語に包含されることが意図される。末梢血管疾患または障害は、心臓の外側にあるいずれかの血管の疾患を意味する。たとえば、末梢血管疾患は、血液を足および腕の筋肉に運ぶ血管の狭窄を意味する場合がある。脳血管疾患は、脳に血液を供給する血管の能力に影響する疾患を意味する。
【0027】
「アテローム性動脈硬化」という用語は、関連する医学分野において診療を行う医師が認識し理解する、血管疾患および障害および症状が包含される。アテローム性動脈硬化性心血管疾患、冠状動脈性心疾患(冠状動脈疾患または虚血性心疾患としても知られる)、脳血管疾患および末梢血管疾患は、すべて、動脈硬化の臨床症状であり、したがって「アテローム性動脈硬化」および「アテローム性動脈硬化性疾患」という用語に包含される。
【0028】
本願明細書に記載の「肥満」という用語は、被験体の体重が医学的に推奨される限界よりも超過する症状を意味する(たとえば、ボディ・マス・インデックス(BMI)が、本願明細書に引用により援用されるNIH/WHO BMI ガイドラインが定義する健常人を表現するために用いるものよりも大きい場合)。
【0029】
本願明細書に記載の「肥満関連障害」という用語は、肥満に起因するもしくは関連する(たとえば生化学的または分子的関連)、または体重の増加および/または臨床的肥満に先行する関連する生物学的プロセスに起因するまたは関連する、いずれかの疾患または症状である。被験体の肥満に関連する障害を「治療」または「治療する」という文言は、その障害を罹患する、またはその障害を罹患するリスクがある被験体の障害の軽減または改善を意味する。好ましくは、その障害、またはその障害を発症する可能性を、被験体がその障害または不快感および/またはそのような障害に関連する機能の改変および有害な症状を罹患するまたは発症することがないような程度まで、好ましくは軽減する。
【0030】
本願明細書に記載の「喘息」という用語は当業に認識されており、一般に、被験体の肺の気道の平滑筋の過剰な収縮が生じる状態が含まれる。
【0031】
本願明細書に記載の「勃起不全」という用語は当業に認識されており、一般に、陰茎の海綿組織の障害、および性的不能を生じる関連の筋膜の障害であって、性的な機能性勃起の不能を意味する。
【0032】
本願明細書に記載の「熱産生」という用語は当業に認識されており、一般に、ATPを最低限しか産生しないかまたは全く産生しない脂肪酸の酸化を意味する。熱産生は一般に減量と体重増加の予防に関連する。
【0033】
本願明細書に記載の「併用投与」または「併用投与した」という用語は、被験体に2種類以上の化合物を投与することを表現するために用いられる場合、同一または異なる経路で投与されてよい化合物が同時に(たとえば混合物として)または連続に、それぞれの薬理学的効果が時間的に重複するように投与されることを意味する。本願明細書に記載のとおり、特に記載のない限り、少なくとも2種類の化合物を投与する場合に用いられる場合、「連続に」という用語は、それぞれの薬理学的効果が時間的に重複するように、その化合物を投与することを意味する。ある実施態様では、薬剤を実質的に同時に併用投与する。「実質的に同時に」とは、本願発明の製剤が、少なくとも1種類のさらなる薬剤の投与と時間的に十分に接近して被験体に投与され、それにより前記薬剤が、たとえばNOS活性、NO産生、もしくは血管拡張の増大など、それらに限定されないさらなる効果または相乗的な効果を発揮する可能性があることを意味する。
【0034】
本願明細書に記載の「NOSの前駆体」という用語には、たとえばL-アルギニンなどの未変性NOのいずれかの貴誌図転句帯が含まれる。
【0035】
本願明細書に記載の「未変性NO」という用語は、L-アルギニンの生物学的転換、またはL-アルギニン異存経路を経て産生された一酸化窒素を意味する。「内皮由来血管弛緩因子(EDRF)」または「内皮由来一酸化窒素(EDNO)」という用語は、「未変性NO」と同義に用いることもできる。
【0036】
本願明細書に記載の「L-アルギニン」という用語は、L-アルギニンと、NOの産生が増大するようにNOSの基質として働く、たとえば塩酸L-アルギニン、前駆体、およびその塩基型などの生化学的等価物すべてを意味する。さらに、ポリ(L-アルギニン)およびプロタミンなど、ペプチドを含有するL-アルギニンも含まれる。
【0037】
「薬学的に許容な塩」という用語は、無機酸および塩基、ならびに有機酸および塩基を含む薬学的に許容な無毒性酸または塩基から調製される塩を意味する。好適な無毒性酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、およびp-トルエンスルホン酸などの無機および有機酸が含まれる。特に好ましいのは、塩酸、臭化水素酸、リン酸、および硫酸であって、最も好ましいのは塩酸塩である。
【0038】
本願発明の方法に用いられるL-アルギニンは遊離塩基および/または塩酸であってよいので、塩は無機および有機酸、または無機および有機塩基を含む、薬学的に許容な無毒性酸または塩基から調製することもできる。そのような塩は、以下のアニオンのいずれかを含んでよい。それは、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、臭化水素酸、塩酸、乳酸、マレイン酸、マンデル酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、ホウ酸、ジ亜臭素酸、次亜塩素酸、亜硝酸、ジ亜硝酸、二硫酸、亜硫酸、スルホン酸、二リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ジホスホン酸、過塩素酸、過亜塩素酸、シュウ酸、マロン酸、炭酸、二カルボン酸、トシル酸、過マンガン酸、マンガン酸、プロパノラート、プロパン酸、エタン二酸、ブタン酸、プロポキシド、クロム酸、ジクロム酸、セレン酸、オルトケイ酸、メタケイ酸、過テクネチウム酸、テクネチウム酸、ジメタノール酸、ジメトキシド、チオシアン酸、シアン酸、イソチアン酸、1,4-シクロヘキサンジチオール酸、オキシドブタン酸、3-スルフィドシクロブタン-1-スルホン酸、2-(2-カルボキシラートエチル)-シクロヘキサンカルボキシル酸、および2-アミノ-4-(メチチオ)-ブタン酸などである。特に好ましいのは、ベンゼンスルホン酸、臭化水素酸、塩酸、および硫酸である。そのような塩は以下のカチオンも含んでよい。それは、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、およびプロカインである。好ましくは、カチオン は水素である。
【0039】
本願明細書に記載の「アゴニスト」または「eNOSまたはcNOSのアゴニスト」という用語は、たとえばLアルギニンなどのNOに対する基質の生物学的転換を刺激する作動物質を意味する。eNOSまたはcNOSのアゴニストには、たとえばHMG-CoAレダクターゼインヒビタなどが含まれる。「HMG-CoA レダクターゼ(3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-コエンザイムA)」は、コレステロールの生合成における律速反応を触媒するミクロソーム酵素である。「HMG-CoA レダクターゼインヒビタ」は、HMG-CoA レダクターゼを阻害する。HMG-CoA レダクターゼインヒビタは、「スタチン」ともよばれる。
【0040】
当業には、天然または合成によって得られたHMG-CoAレダクターゼを阻害する「スタチン」とよばれる化合物であって、本願発明を実施するために有用なカテゴリの薬剤を形成する化合物が多数記述されている。市販されている例には、シムバスタチン(米国特許第4,444,784号)、ロバスタチン(米国特許4,231,938号)、プラバスタチンナトリウム(米国特許第4,346,227号)、フラバスタチン(米国特許第4,739,073号)、アトルバスタチン(米国特許第5,273,995号)、セリバスタチン、ロスバスタチン、およびその他コンパクチン、ダルバスタチン、メバスタチン、フルインドスタチン、ピタバスタチン、HR-780、GR-95030、CI980、BMY
22089、BMY 22566など多数が含まれ、さらにたとえば、その開示がそれぞれ引用によって本願明細書に援用される、米国特許第5,622,985号、米国特許第5,135,935号、米国特許第5,356,896号、米国特許第4,920,109号、米国特許第5,286,895号、米国特許第5,262,435号、米国特許第5,260,332号、米国特許第5,317,031号、米国特許第5,283,256号、米国特許第5,256,689号、米国特許第5,182,298号、米国特許第5,369,125号、米国特許第5,302,604号、米国特許第5,166,171号、米国特許第5,202,327号、米国特許第5,276,021号、米国特許第5,196,440号、米国特許第5,091,386号、米国特許第5,091,378号、米国特許第4,904,646号、米国特許第5,385,932号、米国特許第5,250,435号、米国特許第5,132,312号、米国特許第5,130,306号、米国特許第5,116,870号、米国特許第5,112,857号、米国特許第5,102,911号、米国特許第5,098,93 1号、米国特許第5,081,136号、米国特許第5,025,000号、米国特許第5,021,453号、米国特許第5,017,716号、米国特許第5,001,144号、米国特許第5,001,128号、米国特許第4,997,837号、米国特許第4,996,234号、米国特許第4,994,494号、米国特許第4,992,429号、米国特許第4,970,231号、米国特許第4,968,693号、米国特許第4,963,538号、米国特許第4,957,940号、米国特許第4,950,675号、米国特許第4,946,864号、米国特許第4,946,860号、米国特許第4,940,800号、米国特許第4,940,727号、米国特許第4,939,143号、米国特許第4,929,620号、米国特許第4,923,861号、米国特許第4,906,657号、米国特許第4,906,624 and 米国特許第4,897,402号に記載されるものが、それらに限定されずに含まれる。さらに、赤色酵母米抽出物も利用してよい。いずれの特定の理論にも束縛されることなく、赤色酵母抽出物は、HMG-CoAレダクターゼを、ロバスタチンと化学的に同一であってシムバスタチンに類似するメビノリンの作用によって阻害する場合がある。HMG-CoAレダクターゼを阻害するクラスの化合物のその他のメンバはいずれも、本願発明の方法に用いてよい。2種類以上のHMG-CoA レダクターゼインヒビタの組み合わせも、本願発明の方法に用いてよい。
【0041】
本願明細書に記載の「eNOS活性」という用語は、基質L-アルギニンからNOをつくり出す細胞の能力を意味する。eNOS高活性は、多数のさまざまな方法で達成することができる。たとえば、eNOSタンパク質の量の増加、または前記タンパク質の活性の増大(前記タンパク質値を一定に保ちながら)によって、高い「活性」が得られる。利用可能なタンパク質の量は、たとえであってそれらに限定されないが、eNOS遺伝子の転写の向上、eNOS mRNAの翻訳の向上、eNOS mRNAの安定性の向上、eNOSの活性化、またはeNOSタンパク質分解の低減の結果、増加させることができる。
【0042】
細胞または組織におけるeNOS活性は、さまざまな方法で測定することができる。直接的な測定法は、存在するeNOSの量を測定する。別の直接的な測定法は、組織の生理学的条件など特定の条件下での、eNOSによるL-アルギニンのL-シトルリンへの転換量、またはeNOSによる一酸化炭素産生量の測定である。eNOS活性は、たとえばmRNA半減期の測定(上流の指標)、またはNOの存在に応じた表現型(下流の指標)によって、間接的に測定することもできる。当業に用いられるある表現型測定法は、eNOS活性によって応答が影響される、アセチルコリンへの応答における、内皮依存性弛緩の測定である。サンプルに存在するするNO値は、NOメータを用いて測定することができる。前述の技術のすべては、当業者に公知である。
【0043】
NO産生の増加を引き起こすことによる本願発明の方法は、eNOS活性の正常な基準値を再設定できるだけでなく、そのような活性を正常な基準を超える値まで上昇させることができる。正常な基準値は、正常な対照群における活性の量であって、正常な対照群は年齢を制限し、内皮細胞NOS活性の改変を示唆するような症状(低酸素状態、および高脂血症など)がない群である。したがって、実際の値は選択された年齢群、および活性を評価するために用いられる測定法によって変化するだろう。異常な状況下では、内皮細胞NOS活性(およびNO産生)は、正常値よりも低い。したがって、本願発明の製剤は、そのような異常な状況下においてNO産生の正常な基準値を回復できるだけでなく、内皮細胞NOS活性(およびNO産生)を正常な基準値よりもはるかに上に上昇させることができる。
【0044】
「担体」という用語は、薬学的組成物の混合剤を調製する際に用いるための、希釈剤、および賦形剤などを意味する。
【0045】
本願明細書に記載の「投与剤形」という用語は、たとえば被験体に1回または複数回投与するなど、被験体に投与するための活性成分の適量を含有する薬学的組成物を意味する。
【0046】
本願明細書に記載の「mg/Kg」という単位は、被験体の体重1kgあたりの薬剤のmgを意味する。
【0047】
本願明細書に記載の「半減期」という用語は、他に指示のない限り、生物の血漿中の薬物濃度が、投与時の薬物濃度の約半分に減少する時間を意味する。
【0048】
本願明細書に記載の「即放性」という用語は、他に指示のない限り、1種類以上の薬物のin
vitroにおける放出を遅らせる外来性の因子がないことを意味する。
【0049】
本願明細書に記載の「薬学的組成物」、または「薬学的製剤」という用語は、本願明細書では同義で用いられ、薬学的に許容な構成物質を含む組成物を意味する。
【0050】
本願明細書に記載の「薬学的に許容な」という文言は、連邦または州政府の規制当局によって再審査され認可されうる種類の製剤か、または動物、およびより具体的にはヒトに使用するための米国薬局方もしくはその他の一般に認識される薬局方に掲載される種類の製剤を意味する。
【0051】
本願明細書に記載の「薬学的に許容な担体」という用語は、他に指定のない限り、活性成分の生物学的活性の有効性を阻害せず、投与される被験体にとって有毒ではない担体媒質を意味する。薬学的に活性な製剤へのそのような媒質および物質の使用は、当業に公知である。任意の従来の媒質または薬剤が活性化合物と適合性がない場合以外は、本願発明の方法に用いられる製剤へのそれらの使用が考慮される。
【0052】
本願明細書に記載の「薬学的に許容な塩」という用語は、無機酸および有機酸を含む、薬学的に許容な無毒性酸から調製される塩を意味する。
【0053】
本願明細書に記載の「徐放性」という用語は、他に指定のない限り、1種類以上の薬物が長時間にわたる放出パターンであって、その薬物が一定時間をかけて放出されるようなパターンとして定義される。徐放性製剤は、静脈注射後、または即放性経口投投与剤形を投与することによって得られるものよりも長時間かけた、測定可能な薬物の血清値を生じる、放出動力学を有する製剤である。徐放性製剤は、投与後の生物学的半減期が短い薬物に持続的な効果を与え、Cmax依存性の副作用を示しそうな薬物の副作用を軽減し、投与回数を減らすことによってコンプライアンスを向上させる。本願発明の目的のために、徐放性(sustained release)、持続放出性(slow release)、制御放出性、持続放出性(extended release)、持続放出性(prolonged release)、制御放出性、および持続放出性(delayed release )は、同義に用いられる。
【0054】
本願明細書に用いられる「塩または複合体」という用語は、ファンデルワールス結合、イオン結合、および/または水素結合をそれらに限定されずに含む、相互作用の少なくとも1種類によって結合する、2つ以上の化学部分を含む、化合物または組成物を表現するために用いられる。塩または複合体は、固体状、または液体状で存在してよい。
【0055】
本願明細書に記載の「重量パーセント」という用語が製剤中の成分の量を表現するために用いられる場合、その製剤中のすべての成分の重量を元にした、特定の成分の重量を意味する。
【0056】
本願発明のさまざまな局面は、以下のサブセクションでさらに詳細に説明する。
【0057】
I 製剤
本願発明には、Lアルギニンを被験体に投与することにより、その被験体における、一定体重の維持または減量の誘導、喘息、肥満および糖尿病などの肥満関連症状の治療または予防の方法が含まれる。本願発明の方法にはさらに、被験体にLアルギニンを投与することにより熱産生を誘導する方法が含まれる。ある実施態様では、前記LアルギニンはLアルギニンの徐放性製剤である。さらに、本願発明の方法には、L-アルギニンの徐放性製剤を被験体に投与することにより、本願明細書に記載のそのほかの適応症を治療および予防する方法が含まれる。
【0058】
ある実施態様では、本願発明の方法に用いられる製剤は、治療上有効な量のL-アルギニン、および少なくとも1種類の徐放性剤を含む。前記製剤はさらに、投与、保存、および審美などのためにその製剤を変更するに必要なさらなる成分を含んでもよい。ある実施態様では、本願発明の製剤には、結合剤、充填剤、および潤滑剤も含まれる。ある好適な実施態様では、前記製剤は、L-アルギニン、結合剤、1種類以上の徐放製剤、流動促進剤、および放出剤または潤滑剤を含む徐放性L-アルギニン製剤を含む。前記製剤は、充填剤および/または圧縮剤をさらに含んでもよい。本願発明の徐放性製剤は、その放出プロフィールによって即放性または市販の徐放性剤に要する用量よりも低用量で体内における薬物のレベルを同一に維持することができるために、特に有利である。
【0059】
L-アルギニンは当業者に知られる多数の供給元から市販されている。たとえば、USP級L-アルギニンは、シグマ-アルドリッチ社(ウイスコンシン州ミルウォーキー)を含むさまざまな供給元から市販されている。好適なアルギニンおよびアルギニン誘導化合物には、塩酸アルギニン、アスパラギン酸アルギニン、またはニコチン酸アルギニンなどのアルギニン塩が、それらに限定されずに含まれる。その他のアルギニン化合物または誘導体は、アラニル-L-アルギニン(ALA-ARG)、バリニル-L-アルギニン(VAL-ARG)、イソロイシル-L-アルギニン(ISO-ARG)、およびロイシニル-L-アルギニン(LEU-ARG)などのアルギニンが含まれるジペプチド、ならびにアルギニニル-リシニル-グルタミン酸(ARG-LYS-GLU)、およびアルギニル-グリシル-L-アルギニン(ARG-GLY-ARG)などのアルギニンを含むトリペプチドから選択されてよい。前記「L-アルギニンは、好ましくはL-アルギニン一塩酸塩である。
【0060】
ある実施態様では、前記L-アルギニンは、前記製剤の重量の約10%乃至約90%である。別の実施態様では、前記L-アルギニンは、前記製剤の重量の約25%乃至約75%である。さまざまな実施態様では、前記L-アルギニンは約50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89または90%である。ある実施態様では、前記L-アルギニンは、前記製剤の重量の約50、51、56、69または70%である。上述のそれぞれの範囲内の範囲はすべて、本願発明の範囲内である。
【0061】
ある実施態様では、前記製剤は、たとえば約6g未満、約5g未満、約4g未満、約3g未満、約2g未満、または約1g未満のL-アルギニンなど、約7g未満のL-アルギニンを含んでよい。たとえば、前記製剤は、約1g乃至7g、約2g乃至6g、または約3g乃至5gのL-アルギニンを含んでよい。たとえば、上述の値のいずれかの組み合わせが上限および/または下限として用いた値の範囲が含まれることを意図する。好ましくは、前記製剤は約4g未満のL-アルギニンを含む。理論によって束縛されるリスクを冒さずに、L-アルギニンの徐放性製剤は小さい用量が可能である。つまり、L-アルギニンの全量が少なくても治療効果を達成しうる。
【0062】
ある実施態様では、本願発明の製剤は、シトルリンまたは生物学的なその等価物も含んでよい。シトルリンはL-アルギニンの生物学的前駆体であって、つまり、ほとんどの内在性のアルギニンは腎臓内の処理によってシトルリンから誘導される。任意で、シトルリンが徐放性剤形の中に存在してもよい。
【0063】
1種類以上の徐放性剤を用いると、長時間にわたってL-アルギニンをゆっくり放出させることができる。たとえば、徐放性剤は、L-アルギニンの血中濃度の高低に伴う副作用を悪化させるような最高または最低濃度が生じないような速度でL-アルギニンを放出することもできる。本願発明の方法に用いられる製剤に好適な徐放性剤には、水性の環境に接触すると部分的に水和されて、水和剤がコーティングしている薬剤の溶解を妨げるゼラチン状バリアを形成する、たとえばセルロースなどの水和剤が含まれる。つまり、徐放性剤は、その製剤に水がゆっくり吸収されて水和されてから、たとえば徐放性剤を含まない製剤よりも実質的に遅い速度でL-アルギニンなどの活性成分を放出するような、水に対する一時的なバリアを形成する。さらに、前記徐放性剤はカプセルに組み入れるか、または錠剤、ピル、もしくはジェルキャップに圧縮した上で、水がゆっくりその構造に浸透してゆくように、粒子サイズの中に入っている。
【0064】
ある実施態様では、徐放性剤にはセルロースエーテル産生物、ポリメチルメタクリル酸塩、またはポリビニルアルコールがそれらに限定されずに含まれる。別の実施態様では、徐放性剤にはメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、またはそれらの組み合わせがそれらに限定されずに含まれる。好ましい実施態様では、徐放性剤には1種類以上のヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。好ましい徐放性剤は、ダウケミカル社からMETHOCEL(R)およびETHOCEL(R)という商標で市販されている。好ましい実施態様では、徐放性剤はMETHOCEL(R)K100 M CRプレミアムおよび/またはMETHOCEL(R)E 4M CR プレミアムである。
【0065】
徐放性剤は、典型的に、たとえばL-アルギニンなどの活性成分を望ましい時間にわたって放出するのに十分な量入っている。ある実施態様では、前記徐放性剤の量は、前記製剤の重量の約5%乃至40%である。別の実施態様では、前記徐放性剤の量は、重量の約5%乃至75%である。さらに別の実施態様では、前記徐放性剤の量は、前記製剤の重量の約15%乃至50%である。さまざまな実施態様では、前記徐放性剤は、約5%乃至約40%、たとえば約24%乃至約25%、約27%乃至約28%、約31%乃至約32%、および約35%である。代替的な実施態様では、前記徐放性剤は、重量の約40%乃至60%、たとえば約45%である。上述のそれぞれの範囲内の範囲はすべて、本願発明の範囲内である。
【0066】
ある実施態様では、徐放性剤は、図1に示すように、10時間かけてLアルギニンを放出する。ある実施態様では、前記製剤は約4時間乃至約24時間かけて実質的に均一にL-アルギニンを放出する。別の実施例では、本願発明の製剤は約8時間乃至約24時間かけて実質的に均一にL―アルギニンを放出する。別の実施例では、本願発明の徐放性L-アルギニン製剤は、約12時間乃至約48時間かけて実質的に均一にL―アルギニンを放出する。
【0067】
別の実施態様では、本願発明の方法に用いられる製剤は、半減期(T1/2)およびTmaxがL-アルギニンを実質的に一定値に維持するのに十分である薬物動態学プロフィールを提供するように、L-アルギニンを放出するだろう。つまり、ある実施態様では、本願発明の徐放性剤は、循環L-アルギニンの定常状態が達成され、一定値に維持されるように、L-アルギニンを放出する。ある実施態様では、前記薬物動態学的プロフィールは、T1/2が約4時間乃至約12時間であって、Tmaxが約4時間になるようなものである。さらなる別の実施態様では、T1/2は約4時間乃至約8時間であって、Tmaxは約4時間である。さらなる別の実施態様では、T1/2は約6時間乃至約9時間であって、Tmaxは約2時間である。
【0068】
前記製剤に有用な結合剤には、当業者に一般的に知られるものが含まれる。結合剤には、乳糖、ショ糖、グルコース、デキストロース、および糖蜜などの糖、アカシア、グアーガム、アルギン酸ナトリウム、トチャカ(アイリッシュ・モス)抽出物、パンワーガム(panwar gum)、ガッチガム(ghatti gum)などの天然および合成ゴムが、それらに限定されずに含まれ、その他の結合剤には、酸化ポリエチレンとポリエチレングリコールの混合物、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸、エチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、カルボマー、ゼイン、デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、ゼラチン、前ゼラチン化デンプン、ポリビニルピロリドン(PVP)、またはポビドン、ならびにその混合物が含まれる。好ましい実施態様では、前記結合剤はポリビニルピロリドンホモポリマである。
【0069】
ある実施態様では、前記結合剤は、前記製剤の重量の約20%未満である。さまざまな実施態様では、結合剤は、約0.5%乃至約10%、たとえば、約0.5%乃至約5%、約2%乃至約3%、約3%乃至約4%、約4%乃至約5%、約5%乃至約6%、約6%乃至約7%、約7%乃至約8%、約8%乃至約9%、または約9%乃至約10%である。上述のそれぞれの範囲内の範囲はすべて、本願発明の範囲内である。
【0070】
好ましい実施態様では、徐放性Lアルギニンの製剤には、流動促進剤も含まれる。流動促進剤は、たとえば二酸化ケイ素などを含む、周知のUSP級流動促進剤のいずれかであってよい。好ましい実施態様では、前記流動促進剤はコロイド状二酸化ケイ素である。
【0071】
ある実施態様では、流動促進剤は、前記製剤の重量の約3%未満である。別の実施態様では、流動促進剤は、前記製剤の重量の約2%未満である。好ましい実施態様では、流動促進剤は、前記製剤の重量の約1%未満である。
【0072】
前記製剤に有用な充填剤には、当業者に一般的に知られるものが含まれる。典型的な充填剤には、乳糖、ショ糖、デキストロース、マンニトール、およびソルビトールなどの糖、乳清、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ならびにそれらの混合物がそれらに限定されずに含まれる。その他の充填剤には、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、バレイショデンプン、ゼラチン、ガムトラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、およびそれらの混合物などのセルロース調製物が、それらに限定されずに含まれる。微結晶性セルロースも、圧縮剤および充填剤として働くことができる。好ましい実施態様では、前記充填剤/圧縮剤は微結晶性セルロースである。さらに好ましくは、前記微結晶性セルロースは、ダウケミカル社のAVICEL(R) PH 102 という名称で販売されているものである。
【0073】
ある実施態様では、充填剤は、前記製剤の重量の約50%未満である。別の実施態様では、充填剤は、たとえば前記製剤の重量の約8%乃至9%、約9%乃至10%、約10%乃至11%、約11%乃至12%、および約12%乃至13%を含む、前記製剤の重量の約2%乃至約20%である。好ましい実施態様では、充填剤は、前記製剤の重量の約10%未満である。上述のそれぞれの範囲内の範囲はすべて、本願発明の範囲内である。
【0074】
賦形剤は、前記製剤の中の固体の量を増加させるために加えることができる。しばしば組み合わせとして、本目的に有用だとわかった賦形剤には、リン酸ナトリウムまたはカリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化ナトリウム、クエン酸、酒石酸、ゼラチン、およびデキストロース、ショ糖、乳糖、ソルビトール、イノシトール、マンニトールおよびデキストランなどの糖類、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマがある。上述のものに加えて、その他にも当業に公知なものがある。
【0075】
前記製剤に有用な放出剤または潤滑剤には、当業者に一般的に知られるものが含まれる。潤滑剤は、最大の吸収と栄養の利用を確保できるように選択されてよい。典型的な潤滑剤には、ステアリン酸塩、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、水素化植物油(たとえば、水素化綿実油)、フマル酸捨てアリルナトリウム、パルミトステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、安息香酸ナトリウム、硫酸ラウリルナトリウム、硫酸ラウリルマグネシウム、鉱物油、タルク、およびそれらの混合物が、それらに限定されずに含まれる。好ましい実施態様では、潤滑油はステアリン酸マグネシウムである。好ましい実施態様では、潤滑油はステアリン酸マグネシウムである。
【0076】
ある実施態様では、前記潤滑剤は、前記製剤の重量の約20%未満である。別の実施態様では、潤滑油は、前記製剤の重量の約2%乃至約20%である。好ましい実施態様では、充填剤は、前記製剤の重量の約10%である。
【0077】
崩壊剤には、クエン酸単体、または二炭酸塩、グリコール酸デンプンナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、架橋ポリビニルピロリドン、トウモロコシデンプン、前ゼラチン化デンプン、微結晶性セルロース、アルギン酸、アンバーライトイオン交換樹脂、ポリビニルピロリドン、多糖類、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、アガー、アルギン酸ナトリウムなどのその塩、プリモゲル、およびそれらの混合物が、それらに限定されずに含まれる。
【0078】
圧縮剤は、前記製剤を錠剤、トローチ、ジェルキャップ、またはその他の固体状の投与剤形に成形することができる。ある実施態様では、前記圧縮剤は、前記製剤を錠剤、トローチ、ジェルキャップを成形することができる。圧縮剤には、アビセル(Avicel)、ステアリン酸マグネシウム、ロウ、ゴム、セレウシクス(celleusics)、ステアリン酸塩、またはそれらの混合物がそれらに限定されずに含まれる。好ましい実施態様では、圧縮剤は微結晶性セルロースである。
【0079】
ある実施態様では、圧縮剤の量は、製剤の重量の約0.01%乃至5%である。別の実施態様では、圧縮剤の量は、重量の約0.5%乃至約3%である。さらに別の実施態様では、圧縮剤の量は、前記製剤の重量の約1%乃至2%である。
【0080】
ある実施態様では、L-アルギニン製剤には、被験体の体重1kgあたり約5mg乃至約40mgを十分に満たすような単回投与量のL-アルギニンが含まれる。別の実施態様では、L-アルギニンの処方には、被験体の体重1kgあたり約20 mg乃至約25 mgに十分になるような単回投与量のL-アルギニンが含まれる。
【0081】
ある実施態様では、HMG-CoA
レダクターゼインヒビタ(ロバスタチンの天然供給源である赤色酵母米抽出物など)は、L-アルギニン製剤とともに投与することもできる。たとえば、被験体に、徐放性製剤に入れたL-アルギニン、徐放性製剤に入れたHMG-CoA レダクターゼインヒビタ(たとえばメルク&カンパニー社(ニュージャージー州ラーウェイなどから市販されている)、または徐放性製剤に入れたL-アルギニンおよびHMG-CoA レダクターゼインヒビタを含む、製剤を投与することもできる。ある実施態様では、本願発明は、少なくとも1種類のHMG-CoA レダクターゼインヒビタを同時にまたは連続して投与してもよいL-アルギニンを含む製剤であって、その製剤がL-アルギニンを長時間にわたって実質的に一定濃度で放出し、HMG-CoA レダクターゼインヒビタが即放性製剤である、製剤を包含する。別の実施態様では、本願発明は、徐放性製剤の中に高濃度のL-アルギニンが含まれる製剤であって、薬物動力学プロフィールが0次放出動力学(つまり時間に対して線形の放出速度)である、製剤を包含する。両方のクラスの薬物の放出特性は、組み合わせの1日1回の単回投与剤形への適応を可能にする放出パターンを提供するために改変してもよい。
【0082】
ある実施態様では、L-アルギニンとHMG-CoA レダクターゼインヒビタの両方が徐放性製剤の中に入っている。HMG-CoA レダクターゼインヒビタの量は、いくつかのインヒビタが他よりも有効であるために、前記製剤に入っている特定のインヒビタによって変化させることができる。たとえば、ロスバスタチンの量は1錠あたり約0.1mg乃至約0.8mgであってよく、シムバスタチンの量は1錠あたり約10mg乃至約80mgであってよく、および/または赤色酵母米抽出物は1錠あたり約1mg乃至約80mgであってよい。当業者は、用いられる特定のインヒビタによって治療用の量を決定することができるだろう。ある実施態様では、HMG-CoA レダクターゼインヒビタはシムバスタチンであって、被験体の体重1kgあたり約0.5 mg乃至約3 mgに十分な単回投与剤形の中に入っている。ある実施態様では、HMG-CoA レダクターゼインヒビタはシムバスタチンであって、被験体の体重1kgあたり約1.2 mg乃至約1.4 mgに十分になるような単回投与剤形の中に入っている。徐放性L-アルギニンとHMG-CoA レダクターゼインヒビタの併用投与は、たとえばシムバスタチンなどのHMG-CoA レダクターゼインヒビタの有効性を向上させることもできるため、本願発明の製剤の使用によって低用量HMG-CoA レダクターゼインヒビタでも有効性を等しくできる可能性もある。
【0083】
ある実施態様では、本願発明の製剤にはさらに補酵素Q10が含まれてよい。補酵素Q10(さらにCoQ10、Q10、ビタミンQ10、ユビキノン、またはユビデカレノンとしても知られる)は、体内で天然につくられる化合物である。補酵素Q10は細胞成長および維持に必要なエネルギーを産生する細胞によって使われる。さらに、体内で抗酸化剤としても使われる。スタチンは、酵素HMG-CoA レダクターゼを阻害してから、メバロン酸塩経路においてコレステロールを合成する。この経路が、必須生化学補酵素Q10を合成するためにも用いられる。したがって、スタチンに予想される主要な副作用は、心臓および骨格筋に損傷を生じる可能性のある補酵素Q10値の低下である。この影響は、たとえば筋細胞及び神経細胞など、抗代謝率を有する細胞において最も顕著であろう。したがって、補酵素Q10を提供すれば、酵素の欠乏を解消するだろう。
【0084】
本願発明の方法に用いられる製剤は、従来の薬学的調剤技術に従った薬学的担体を含んでもよい。その担体は、経口投与に望まれる製剤の形状によって、さまざまな形状をとってよい。経口投与剤形の製剤を調合する場合、有用な薬学的媒体はいずれも用いてよい。最も好ましい経口用の固体調製物は、錠剤およびジェルキャップである。代替的には、本願発明の製剤は、カプセルに組み入れられてもよい。この実施態様では、徐放性L-アルギニン粒をカプセルに組み入れてもよい。
【0085】
投与が容易であるために、錠剤およびカプセルは、固体状の薬学的担体が用いられる場合に、最も有利な経口投与単回剤形となる。錠剤またはカプセルは、同一の錠剤またはカプセル内に異なる配置でLアルギニン製剤を含有してよい。配置には、2成分が半々の錠剤またはカプセル、1つの製剤がもう1つの製剤を囲む配置、1つの製剤をもう1つの製剤に懸濁させる配置、および両方の製剤を混合した顆粒などが含まれる。望ましくは、錠剤またはカプセルは標準の水性または非水性技術によってコーティングされてもよい。
【0086】
本願発明の方法に用いられる製剤は、当業に一般に知られるものなど、その他の薬学的に許容な成分も含んでよい。Remington:the Science & Practice of
Pharmacy, by Alfonso R. Gennaro, 20th ed., Williams & Wilkins, 2000を参照。本願発明の方法に用いられる製剤に使用されるさらなる成分には、水、グリコール、油、アルコール、デンプン、糖、希釈剤、崩壊剤、保存剤、賦形剤、潤滑剤、崩壊剤、希釈剤、担体、安定剤、着色剤、着香剤、およびそれらの組み合わせが、それらに限定されずに含まれる。好適な希釈剤の例には、水、エタノール、ポリオール、植物油、オレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステル、およびそれらの組み合わせが含まれる。製剤は、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントも含んでよい。微生物の作用は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、スコルビン酸、チメロサールなどがそれらに限定されずに含まれる各種抗細菌剤および抗真菌剤によって確実に防ぐことができる。さらに、糖、塩化ナトリウムなどがそれらに限定されずに含まれる等張剤が、前記組成物に含まれることが望ましい。
【0087】
本願発明の別の実施態様では、前記製剤はさらに、少なくとも1種類の他の薬剤を併用投与してもよい。薬剤の分類の例には、アドレナリン作動薬、副腎皮質ステロイド、副腎皮質抑制剤、アルドステロン拮抗薬、アミノ酸、アンモニア解毒剤、同化剤、鎮痛剤、アンドロゲン、麻酔剤、食欲減退剤、拮抗剤、下垂体前葉抑制剤、駆虫剤、ニキビ抑制剤、高アドレナリン作動剤、抗アレルギー剤、抗アメーバ薬、抗アンドロゲン剤、抗貧血薬、抗狭心症薬、抗不安薬、抗関節炎薬、抗喘息薬、抗アテローム性動脈硬化剤、抗細菌剤、抗胆石薬、抗胆石産生薬、抗コリン作用薬、抗凝固剤、抗コクシジウム剤、抗けいれん剤、抗うつ剤、抗糖尿病薬、抗下痢薬、抗利尿薬、制吐剤、抗てんかん薬、抗エストロゲン剤、抗線維素溶解剤、抗真菌剤、抗緑内障薬、抗血友病薬、抗出血薬、抗ヒスタミン薬、抗脂質異常症、抗抗リポタンパク血症薬、降圧剤、抗感染剤、抗炎症剤、抗角化剤、抗マラリア薬、抗菌剤、抗片頭痛薬、抗分裂剤、抗真菌剤、制嘔吐剤、抗新生物薬、抗好中球減少症剤、抗強迫症剤、抗寄生虫薬、抗パーキンソン病薬、蠕動抑制薬、抗ニューモシスチス薬、抗増殖剤、抗前立腺肥大症剤、抗原虫薬、鎮痒薬、抗精神病薬、抗リウマチ薬、抗住血吸虫薬、抗脂漏薬、抗分泌薬、鎮痙剤、抗血栓薬、鎮咳剤、抗尿路結石薬、抗ウイルス薬、食欲抑制剤、良性前立腺過形成療法剤、血糖調節剤、骨吸収阻害剤、気管支拡張剤、炭酸脱水酵素阻害剤、心抑制薬、心保護剤、強心剤、心血管作動薬、胆汁分泌促進薬、コリン作動薬、コリンエステラーゼ不活性剤、抗コクシジウム剤、認識力アジュバント、抑制薬、利尿薬、ドーパミン作動薬、外部寄生虫撲滅薬、催吐剤、酵素阻害剤、エストロゲン、線維素溶解剤、蛍光剤、遊離酸素ラジカルスカベンジャ、胃腸運動エフェクタ、グルココロチコイド、生殖腺刺激原理、毛髪成長刺激剤、止血剤、ヒスタミンH2レセプタ拮抗剤、ホルモン、コレステロール低下剤、血糖降下剤、脂質低下剤、降圧剤、造影剤、免疫剤、免疫調節剤、免疫制御薬、免疫促進剤、免疫抑制剤、インポテンス治療付加物、角質溶解剤、LNRII作動薬、肝障害治療薬、黄体溶解剤、精神能力促進剤、気分調節剤、粘液溶解薬、粘液保護剤、散瞳薬、鼻充血除去剤、神経筋作動薬、神経保護薬、NMDA拮抗薬、ホルモンステロール誘導体、分娩促進薬、プラスミノーゲン活性化因子、血小板活性化因子拮抗剤、血小板凝固阻害剤、増強剤、プロゲスチン、プロスタグランジン、前立腺成長阻害因子、プロサイロトロピン、向精神薬、放射性医薬品、調整剤、弛緩薬、再分配剤、疥癬虫殺虫剤、硬化剤、鎮静剤、選択的アデノシンA1拮抗薬、セロトニン拮抗薬、セロトニン阻害剤、セロトニン受容体拮抗剤、ステロイド促進剤、抑制剤、全身性多発性硬化症、共力剤、甲状腺ホルモン、甲状腺阻害剤、甲状腺ホルモン様剤、トランキライザ、脳虚血症治療薬、ページェット病治療薬、不安定狭心症、尿酸排泄促進剤、血管収縮剤、血管拡張剤、傷薬、創傷治癒剤、またはキサンチン・オキシダーゼ阻害剤が含まれる。
【0088】
薬剤の別の例には、アンギオテンシン転換酵素阻害剤(ACE阻害剤)が含まれる。ACEは、アンギオテンシンIのアンギオテンシンIIへの転換を触媒する酵素である。ACE阻害剤には、ACEの活性を阻害することによって樹脂アンギオテンシンシステムを妨げ、抑制物質アンギオテンシンの形成を低減または欠失させる、アミノ酸とその誘導体、ジおよびトリペプチドを含むペプチド、およびACEに対する抗体が含まれる。ACE阻害剤は、高血圧、うっ血性心疾患、心筋梗塞、および腎疾患の治療に用いられている。ACE阻害剤として有用であると知られる化合物のクラスには、カプトプリル(米国特許第4,105,776号)およびゾフェノプリル(米国特許第4,316,906号)などのアシルメルカプトおよびメルカプトアルカノイルプロリン、エナラプリル(米国特許第4,374,829号)、リシノプリル(米国特許第4,374,829号)、ペリンドプリル(米国特許第4,508,729号)などのカル誤記しアルキルジペプチド、シラザプリル(米国特許第4,512,924号)およびベナザプリル(米国特許第4,410,520号)、などのカルボキシアルキルジペプチド模倣体、フォシノプリル(米国特許第4,337,201号)などのホスフィニルアルカノイルプロリン、およびトランドロプリルが含まれる。エストロゲンはNOS発現を上方調節するが、ACE阻害剤は発現には作用しないがL-アルギニンへのNOSの作用の有効性に作用する。したがって、活性は多数のさまざまな方法で上昇させることができる。一般に、本願発明のレダクターゼインヒビタによって、細胞に存在する活性酵素の量を本願発明のレダクターゼインヒビタで処理していない細胞に存在する量よりも増加させることによって、活性が増大する。
【0089】
II 予防および治療法
ある局面では、本願発明は、好ましくはL-アルギニンの徐放性製剤など、L-アルギニンを被験体に投与することによって、トリグリセリド値を低下させる方法を提供する。ある実施態様では、本願発明の方法は、被験体のトリグリセリド値を約100、90、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10または5 mg/dL 未満に低下させる(上述の値のいずれかの組み合わせを上限または下限として用いた値の範囲は、本願発明の教唆に含まれることを意図する)。
【0090】
ある局面では、本願発明は一定の体重を維持するかまたは減量を誘導する方法を提供する。別の実施態様では、本願発明は肥満または糖尿病などの肥満関連症状を治療または予防する方法を提供する。いずれの特定の理論にも束縛されることを望まないが、アルギニンを投与すると、被験体の体内で熱産生作用を誘導すると考えられている。科学文献に掲載されるデータの増加は、NOの形成の阻害が直接熱産生に影響していること示唆していること(たとえば、Kamerman et
al., Can J Physiol Pharmacol.2003 Aug; 81(8):834-8)と、NOが熱産生を促進すること(たとえばSaha et al.Jpn
J Physiol.1996 Oct; 46(5):375-382; Saha et al.Jpn J Physiol.2000 Jun;
50(3):337-342)を示唆している。一般に、分離された熱産生には、最低限のATP産生または無産生による遊離脂肪酸の酸化(つまり燃焼)が関与しており、このプロセス中に発生したエネルギーは周囲の組織に熱として消散される。熱産生には最少のエネルギー産生での脂肪酸の分解が関与しているため、熱産生は無駄が多かったり代謝が非効率的なので、その結果、体重が減少したり、体重増加が予防されたりする。確かに、脂肪酸の分解による体脂肪の減量は体重管理の重要な手法であると考えられている。L-アルギニンは熱産生を刺激して脂肪酸を分解することができるので、L-アルギニンの投与は有効な減量の方法となる。
【0091】
さらに、L-アルギニンの投与は、その他のメカニズムによって減量を生じることもある。肥満はインスリンの高値(高血糖食および飲料が原因である場合もある)、および正常以下の成長ホルモン(GH)の放出が特徴である。インスリンは脂肪と糖の貯蔵を促進するが、GHは脂肪分解(脂肪燃焼)を刺激する。インスリン/GH比は、やせたヒトよりも肥満のヒトの方が有意に高い。高インスリンと低GHの組み合わせによって、肥満は悪化する。いずれの理論にも束縛されることを望まないが、L-アルギニンはGH値を上昇させ、脂肪分解を誘発して脂肪の貯蔵を減少させる。
【0092】
本願発明の実施態様を実行する場合、L-アルギニンの徐放性製剤を被験体に投与する。理論に束縛されることを望まないが、アルギニンの徐放性製剤によって、栄養と酸素を細胞へ運ぶ流れを促進する循環L-アルギニン値が基準値を上回り、代謝と熱産生作用が向上すると考えられている。
【0093】
さまざまな実施態様において、L-アルギニンの投与は被験体の体重を約50、45、40、35、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、または4ポンド未満、減少させる。
【0094】
他の局面では、本願発明は、好ましくはL-アルギニンの徐放性製剤など、アルギニンを被験体に投与することによって、喘息を予防または治療する方法を提供する。いずれの特定の理論にも束縛されることを望まないが、アルギニンの摂取による一酸化窒素の高値が、喘息を予防または治療するために働くと考えられている。
【0095】
他の局面では、本願発明は、好ましくはL-アルギニンの徐放性製剤など、L-アルギニンを被験体に投与することによって、たとえば鎌状赤血球病などの急性胸部症候群を治療する方法を提供する。鎌状赤血球病患者の肺炎は特に重篤である場合があり、急性胸部症候群とよばれるようになった。急性胸部症候群は、鎌状赤血球病患者の罹患率の一般的な原因で、鎌状赤血球病の最大の死因である。鎌状赤血球病の急性肺損傷の重篤度には、複数の因子が関与している。いずれの理論にも束縛されることを望まないが、高一酸化窒素値は、L-アルギニン-一酸化炭素経路と鎌状赤血球病の血管閉塞との関連性により、鎌状赤血球の急性胸部症候群に好ましい影響を与える可能性があると考えられている。血管閉塞の危機の間に生じる低アルギニン値は、急性基質欠乏の状態を反映し、一酸化窒素産生の低下を招く。したがって、アルギニンの添加はNO値を上昇させるように働くだろう。
【0096】
さらに別の局面では、本願発明は、好ましくは本願明細書に開示されるL-アルギニンの徐放性製剤など、アルギニンを被験体に投与することによって、勃起不全を予防または治療する方法を提供する。いずれの特定の理論にも束縛されることを望まないが、アルギニンの摂取による一酸化窒素の高値が、勃起不全を予防または治療するために働くと考えられている。
【0097】
さらに、アルギニンは、たとえば卵巣の反応、子宮内の感受性、および妊娠率など、女性不妊を治療または予防するために利用してもよい。そのような治療は、in vitroにおいて受精候補に使用されてもよい。同様に、アルギニンは、たとえば精子形成の促進、および精子数と精子の運動性を向上させることによって、男性不妊を治療または予防するために利用してもよい。
【0098】
さらなる別の局面では、アルギニンは、間質性膀胱炎の症状を、たとえば排尿時の不快感、下腹部痛、頻尿、および膣/尿道痛などを軽減することによって、治療、予防または緩和させるために用いてもよい。
【0099】
さらに別の局面では、たとえば本願発明の徐放性製剤のアルギニンを用いて、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)および/または後天性免疫不全症候群(AIDS)の症状を治療、予防、または緩和することもできる。治療または予防法のある実施態様では、アルギニンはグルタミン、ヒドロキシメチルブチル酸塩、および/またはオメガ3脂肪酸などの必須脂肪酸とともに投与してもよい。
【0100】
本願発明によると、本願明細書に記載の徐放性製剤などのアルギニンを用いて、子癇前症を治療または予防することもできる。さらに、本願発明によると、アルギニンを用いて、身体能力を向上させることもできる。いずれの特定の理論にも束縛されることを望まないが、アルギニンは、成長ホルモンの分泌を促進して、身体能力を向上させると考えられている。
【0101】
さらに、アルギニン(たとえば、本願明細書に記載のものなどの徐放性L-アルギニン製剤など)を用いて、火傷または外傷性損傷を治療することもできる。いずれの特定の理論にも束縛されることを望まないが、火傷患者は、アルギニン酸化とその結果生じるアルギニン蓄積の減少を被ると考えられている。したがって、そのような損傷を受けた被験体にアルギニンを投与すると、アルギニン蓄積を補充することができる。ある実施態様では、アルギニンは魚油、キャノーラ油および/またはヌクレオチドとともに投与してもよい。
【0102】
さらに別の局面では、アルギニン(たとえば、本願明細書に記載のものなどの徐放性L-アルギニン製剤など)を用いて、癌を治療または予防することもできる。いずれの特定の理論にも束縛されることを望まないが、アルギニンは、癌被験体における、腫瘍の誘導の阻害、たとえば全般的なまたは化学療法中における免疫機能の維持または向上、腫瘍浸潤リンパ球の活性の促進、および/またはNK細胞とリンホカイン活性化キラー細胞毒性の化学療法誘導性抑制およびリンパ球分裂反応性の低減が行われるように作用しうる。
【0103】
本願発明によると、アルギニン(たとえば、本願明細書に記載のものなどの徐放性L-アルギニン製剤など)を用いて、さらに消化管の症状を治療または予防することもできる。たとえば、アルギニンは、胃炎または潰瘍を、たとえば充血性、血管新生、および成長促進活性を示すことによって、治療または予防するために投与してもよい。さらに、アルギニンは、胃食道逆流性疾患(GERD)または括約筋運動性障害を伴う症状を治療、予防、または緩和するために用いることもできる。
【0104】
本願発明の別の局面によると、アルギニン(たとえば、本願明細書に記載のものなどの徐放性L-アルギニン製剤など)を、さらに周術期の栄養として用いることもできる。たとえば、アルギニンは、敗血症および術後ストレスなどの異化症状において用いることもできる。いずれの特定の理論にも束縛されることを望まないが、アルギニンは、免疫調節剤として働き、免疫機能を上方調節することができ、術後感染症の発症率を低下させると考えられている。
【0105】
さらに、本願明細書に記載の徐放性製剤を含む、アルギニンは、老年性認知症を、たとえば脂質過酸化反応を低下させ、認知機能を向上させることによって、治療または予防することもできる。
【0106】
アルギニンは、女性の早産を、たとえば子宮収縮を阻害して子宮の静穏状態を維持することによって予防するために用いることもできる。
【0107】
別の局面では、本願発明は、被験体における、たとえば狭心症、うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化症、冠動脈心疾患、高血圧、および間欠性跛行などを含む、脳血管および/または心血管疾患または障害などの血管疾患または障害を、脳血管および/または心血管疾患または障害のリスクのある被験体にL-アルギニンを含む製剤を投与することによって予防する方法を提供する。脳血管および/または心血管疾患または障害(イベントを含む)のリスクのある被験体は、たとえばアテローム性動脈硬化症の素因、アテローム性動脈硬化症の症状、またはたとえば喫煙、高血圧、糖尿病、家族歴、遺伝因子、高コレステロール値、加齢、およびアルコール摂取などのリスク因子の存在によって同定することができる。
【0108】
前記疾患または障害を予防するか、その進行または発症を遅延させるように、本願発明の方法に用いられる製剤を予防剤として投与するのは、特定の適応症の発症を特徴とする症状が現れる前であってよい。
【0109】
さらに、本願発明の方法は、非対称ジメチルアルギニン(ADMA)が高値である被験体における一酸化窒素産生を増加させる、および/または血管拡張を増大させるために用いてもよい。非対称ジメチルアルギニン(ADMA)は、eNOSの内因性競合性インヒビタである。ADMAは、タンパク質のL-アルギニン残基の翻訳後メチル化によって形成され、加水分解後、タンパク質から放出される。ADMAの高値は、高コレステロール血症、高血圧、糖尿病、子癇前症、喫煙、および加齢に伴う。ADMAの上昇は、ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ(DDAH)による、この物質の代謝の変化によることもある。DDAHは、ADMA異化反応に関与する主酵素である。DDAHの低値は、糖尿病および高コレステロール血症の動物モデルに認められている。
【0110】
理論に束縛されることを望まないが、ADMAの阻害作用は、L-アルギニンによって克服されると考えられている。L-アルギニン値の上昇によって、ADMAによるNOSの阻害が克服される。さらに、任意でにHMG-CoA レダクターゼインヒビタを併用してL-アルギニンを投与すると、in vitroにおいて内皮NOシンターゼ(eNOS)の発現を刺激し、in vivoにおける内皮依存性NO媒介血管拡張を促進することができる。したがって、そのような治療法は、高ADMA値の被験体における内皮機能を促進することができる。
【0111】
L-アルギニンをADMA高値の被験体に投与することによって、本願発明の方法は、一酸化窒素産生を増加させ、および/または血管拡張を増大させることができる。そのような投与によって、約5%乃至約15%、代替的には約7%乃至約12%、内皮機能を上昇させることができる。本願発明によるある実施態様では、前記被験体は内皮機能不全を有する。
【0112】
いずれの投与形態でも、送達される化合物の実際の量および本願明細書に記載の有利な薬物動態学的プロフィールを達成するために必要な投与スケジュールは、部分的に、前記化合物のバイオアベイラビリティ、治療される障害、望ましい投与量などの因子、および当業者に明らかであろうその他の因子によって変化するだろう。実際の送達量および投与スケジュールは、投与化合物および/またはその活性代謝物の血漿値を監視し、望ましい薬物動態学的プロフィールを達成するのに必要な投与量および投与スケジュールを調節することによって、必要以上の実験をすることなく、当業者が容易に決定することができる。
【0113】
本願明細書に記載の本願発明の方法に用いられる製剤、またはその薬学的に許容な付加塩または水和物は、本願発明にしたがった多様な投与経路または投与形態を用いて、望ましくない副作用を回避または低減するように、被験体に送達することができる。 ある実施態様では、その被験体は動物である。ある実施態様では、その被験体は哺乳類である。ある実施態様では、その被験体はヒトである。どのような場合にも、最も好適な経路は、治療される症状の性質および重篤度によって変化するだろう。本願発明の好ましい投与経路は経口経路である。組成物は、便利のいいように単回投与剤形になっていてよく、薬学の当業に公知の任意の方法で調製してよい。その組成物の投与のための技術および製剤は、Remington: the Science & Practice of
Pharmacy, by Alfonso R. Gennaro, 20th ed., Williams & Wilkins, 2000に見つけることもできる。
【0114】
本願発明の製剤は、たとえば熱産生の誘導、一定の体重の維持もしくは減量の誘導、肥満もしくは肥満関連障害の治療もしくは予防、または喘息の治療もしくは予防など、意図された目的を達成するのに有効な量が一般に用いられるだろう。治療上有効な量は、疾患、障害、疾患または障害に関連する症状、または疾患または症状の素因の治療に有効な量を意味する。 前述の「治療する」という用語は、疾患もしくは障害、疾患または障害の症状、または疾患もしくは障害の素因を有する被験体への治療用の物質または製剤の適用もしくは投与、または前記被験体から単離された組織への治療用物質または製剤の適用もしくは投与であって、当該適用もしくは投与の目的が、疾患もしくは障害および/またはイベントの治療、治癒、緩和、軽減、改変、改善、改善、発症の遅延、疾患もしくは障害の進行の遅延、疾患もしくは障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害および/またはイベントの素因の向上または作用である、適用もしくは投与を意味する。特に本願明細書に提示される詳細な開示をふまえた治療上有効な量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0115】
本願発明に用いるのに好適な薬学的製剤には、治療上有効な量、つまり意図される目的を達成するのに有効な量のL-アルギニンを含有する製剤が含まれる。一般に、有効な量とは、単体で、またはさらなる投与とともに望ましい応答を生じる、薬学的調製物の量である。これは、その疾患の発展の一時的な遅延だけが関与する場合もある。別の実施態様では、疾患の進行を永遠に停止させるか、またはその疾患または症状の発症を遅延させるか予防するステップが関与する。任意の疾患に投与量が与える影響は、通常の方法によって監視することができる。そのような量は、もちろん、治療される症状、その症状の重篤度、年齢、身体状態、身長および体重を含む個別の被験体のパラメータ、治療の持続時間、併用療法(ある場合)の性質、ならびに投与経路などの因子によって、健康管理者の知識および専門知識の範囲内で変化するだろう。
【0116】
一般に、活性化合物の投与量は、一日約0.01 mg/kg乃至約1000 mg/kg の範囲内であろう。 ある実施態様では、約50乃至約500 mg/kgの範囲の投与量が好適であろうと期待される。別の実施態様では、投与は経口であって、1日1乃至数回の投与である。
【0117】
別の実施態様では、前記被験体は、たとえば1日に約9g未満、約8g未満、約7g未満、約6g未満、約5g未満、約4 g未満、約3 g未満、約2 g未満、または約1 g未満の徐放性L-アルギニンなど、1日に約10g未満の徐放性L-アルギニンを投与されるだろう。たとえば、前記被験体は、一日の投与量が約1g乃至約7g、約2g乃至約6g、または約3g乃至約5gの徐放性L-アルギニンを投与されてもよい。上述の値のいずれかの組み合わせが上限および/または下限として用いられた値の範囲が含まれることを意図する。好ましくは、前記被験体は、1日に約4g未満の徐放性L-アルギニンを投与される。理論によって束縛されるリスクを冒さずに、L-アルギニンの徐放性製剤は小さい用量が可能である。つまり、L-アルギニンの全量が少なくても治療効果を達成しうる。
【0118】
もちろん、L-アルギニンの実際の量は、とりわけ、被験体の状況、ならびに被験体の体重および代謝によって変化するだろう。確かに、製剤は、とりわけ、特定の標的疾患または障害の有害作用を緩和する、つまり治療される被験体の既存の症状の発症を予防する、または緩和する、もしくは寿命を延ばすのに有効な量のL-アルギニンを含有するように、個別の条件に応じてつくられるだろう。特に本願明細書に提示される詳細な開示をふまえた有効な量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0119】
ヒトに用いられるのに治療上有効な量は、動物モデルから推測することもできる。たとえば、ヒトへの投与分は、動物において有効であると明らかな血漿濃度に達するように調剤してよい。
【0120】
治療上有効な投与分は、ヒトの薬物動態学的データから推測することもできる。いずれの理論にも束縛されることは意図しないが、有効性は投与された薬物および/またはその活性代謝物の適用投与分への被験体の全暴露量に関連すると考えられており、その量は血中濃度-時間曲線(AUC)下の面積を求めることによって決定される。したがって、治療される適応症に有効だと知られている投与分のAUCの約50%以内の投与化合物(および/またはその活性代謝物)のAUCを有する、本願発明の方法に従って投与した投与分が、有効であると期待される。既知の有効投与分のAUCの約70%、約80%、または約90%以上の範囲内の投与化合物のAUCを有する投与分が好ましい。そのような薬剤の毒性および治療上の有効性は、たとえばLD50(個体群の50%に致死的な投与量)およびED50(個体群の50%に治療上有効な投与量)など、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的方法によって決定することができる。毒性作用および治療上有効な作用の投与量の比は治療指数であって、LD50/ED50の比で表すことができる。大きい治療指数を示す製剤が好ましい。有毒な副作用を示す製剤を用いる場合、感染していない細胞に与える可能性のある損傷を最小にして副作用を減少するよう、そのような製剤を罹患組織の部位に狙わせる送達システムをデザインするように、注意が払われなければならない。
【0121】
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータは、ヒトにおける使用のための用量の範囲を決定する際に用いることができる。ある実施態様では、本願発明のそのような製剤の用量は、毒性が小さいかまたは皆無のED50を含む循環濃度の範囲内にある。前記用量は、用いられた投与剤形および使用された投与経路によって、この範囲内で変化させてもよい。本願発明の治療または予防の方法に用いられるいずれの製剤の場合も、治療上有効な投与量は、最初は細胞培養アッセイで推定することができる。1回投与量は、動物モデルにおいて、細胞培養物で決定したIC50(すなわち症状の最大半減抑制を達成する前記テスト化合物の濃度)を含む循環血漿濃度の範囲になるように調製してもよい。このような知見は、ヒトにおける有用な投与量をより正確に決定するために用いることができる。血漿濃度は、たとえば高性能液体クロマトグラフィによって測定することもできる。
【0122】
特に血中濃度および投与される化合物および/またはその活性代謝物の寿命への、上述の方法に基づく、被験体における最大の有効性を達成するような投与量の調節は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0123】
III. 製造方法
基質内のL-アルギニン顆粒の効率的および実質的な組み込みまたは適用範囲が、本願発明の組成物の徐放性の特徴を向上させることが明らかになっている。セルロース基質の場合、水と接触すると、その基質は部分的に水和され、L-アルギニンの放出速度を制御するゲル層を形成する。L-アルギニン顆粒の効率的なコーティングまたは取り込みによって、溶解に対する一時的な障壁ができて、L-アルギニンの送達時間を延長する。基質に実質的なギャップがあるために、L-アルギニンの溶解速度が速すぎる。本願発明の方法によって、直接的な圧縮によってつくられた製品よりも特性を向上させた製品ができる。さらに、本願発明の方法は、流動化分散を含む方法よりも有利である。なぜなら、これらの方法は時間がかかり高価だからである。
【0124】
効果的および効率的な適用範囲に大切なのは、本願発明の造粒、製粉、および混合の実施ステップである。図5を参照すると、好ましい実施態様では、錠剤は、L-アルギニンの造粒(ステップ110)、L-アルギニンの製粉(ステップ125、140)、残りの成分とL-アルギニンの混合(ステップ145、150、155)、および成分を錠剤に整形する圧縮(ステップ160)のステップを含む方法に従って製造される。好ましくは、前記方法には成分のスクリーニング(ステップ105)および/または製粉ステップ中のL-アルギニンの乾燥(ステップ135)のステップのいずれかまたは両方も含まれる。
【0125】
使用前に成分をスクリーニングする場合(ステップ105)、20番および/または30番メッシュのふるいを一部またはすべての成分に用いることができる。好ましい実施態様では、顆粒をスクリーニングしてから造粒(ステップ105)および製粉する。スクリーニングによって、コーティングおよび/または圧縮に有利な範囲の小さい顆粒サイズ分布の顆粒が得られる。
【0126】
造粒ステップは、より均一な粒子を得る上で有利である。活性剤は、当業に知られる好適な方法のいずれかを用いて、ペレット状または顆粒状にすることができる。ペレット化または顆粒化は、一般に、小さい粒子を、元の粒子が同定可能でありながら自由流動状態である大きく永久的な凝固体にする造粒プロセスであると定義される。顆粒化の前に、結合剤を造粒プロセスを向上させる活性剤に加えることができる。その他の添加物を、造粒中に加えることもできる。これらには、たとえば、甘味剤、着香剤、着色剤、抗酸化剤などが含まれる。
【0127】
任意で、水またはその他の溶媒を、造粒プロセスを促進するために加えることができる。加える水または溶媒の量は、たとえば、造粒プロセスの選択によって変化し、当業者は容易に決定することができる。水またはその他の溶媒は、造粒プロセス中の任意の好適な時点で加えてもよい。たとえば、結合剤を溶媒(たとえば水)と混合して造粒剤をつくり、その造粒剤を活性剤にスプレーすることができる。代替的には、造粒剤の粘性が高すぎて活性剤に均一にスプレーできない場合、結合剤と活性剤を最初に混合し、水またはその他の溶媒をスプレーして、活性剤顆粒またはペレットの均一なパターンをつくるのが望ましい。
【0128】
いずれの好適な造粒方法も、活性剤を含む粒子を作製するために用いることができる。湿潤造粒法および/または乾燥造粒法を用いることができる。
【0129】
乾燥造粒とは、熱および溶媒を使用しない製剤の造粒を意味する。乾燥造粒技術には一般に、スラッギングまたはローラー圧縮が含まれる。スラッギングは、製剤を乾燥混合させるステップと、製剤を圧縮機で大型の錠剤またはスラグに圧縮するステップからなる。得られた錠剤またはスラグを製粉し、顆粒を得る。ローラー圧縮はスラッギングと似ているが、ローラー圧縮では、打錠機ではなくローラー圧縮装置を用いる。たとえば、Handbook of
Pharmaceutical Granulation Technology, D. M. Parikh, eds., Marcel-Dekker, Inc.
pages 102-103 (1997)を参照。乾燥造粒技術は、たとえば活性剤が熱または溶媒に感受性がある場合には有用である。
【0130】
代替的には、湿潤造粒を用いることができる。湿潤造粒の場合、典型的には顆粒の大きな凝集体を提供するために、溶媒および結合剤を製剤に添加する。造粒中の温度は一般的に、製剤のいずれの成分の融点も超えないような、いずれの好適な温度にも設定することができる。典型的には、その混合物の造粒は、約35℃乃至約65℃で約20分乃至約90分間行う。好ましい実施態様では、混合物の造粒は、20分未満、より好ましくは約1乃至約10分間、室温で行う(例11参照)。それから、典型的にその顆粒を好ましい時間(たとえば1時間以上)空気乾燥させる。
【0131】
好ましくは、活性成分の造粒は、高剪断ミキサー造粒(HSG)または流動床造粒(FBG)による。これらの造粒プロセスはどちらとも拡大された顆粒またはペレットを提供するが、使用する装置とプロセス操作のメカニズムが異なる。これらの造粒技術は、市販の装置を用いて行うことができる。
【0132】
HSGの場合、混合と湿潤マシング(massing)は、インペラとチョッパによる高度な機械撹拌によって行われる。湿潤物質の混合、緻密化、および凝集は、インペラによる剪断および圧縮力によって行われる。チョッパの主な機能は、塊を小さい断片に切断し、液体結合剤の分散を促進することである。液体結合剤は、液体の分布がより均一になるように、ボウルの中に注ぎ入れるか、粉末の中にスプレーする。
【0133】
一方で、流動法では、微細な固体に気体を接触させて液様状に転換するように操作する。ある気体速度で、液体が粒子を支え、エントレインメントのない運動の自由を与えるだろう。そのような流動床は、激しい乱れ運動の中にある固体粒子を有する、激しく沸騰する液体に似ており、気体速度とともに増加する。したがって、流動床造粒は、大きな顆粒を形成するために流動粉末上に結合剤溶液をスプレーして、流動床の中に顆粒を作製するプロセスである。結合剤溶液は、たとえば好適な状態(たとえば上部または下部)のいずれかに配置した吹きつけ器からスプレーすることができる。スプレー位置およびスプレー速度は、使用する活性剤および結合剤の性質によって変化させてよく、当業者によって容易に決定される。
【0134】
本願発明にしたがった好ましい方法の場合、L-アルギニンの造粒(ステップ10)には、L-アルギニンをポビドンなどの結合剤と予め混合して混合物をつくるステップ(ステップ115)、および造粒器の中でその混合物と造粒剤(造粒賦形剤)を造粒するステップ(ステップ120)が含まれる。造粒剤は、たとえば純粋に溶解したポビドンなどであってよい。好ましくは、Niro PMA 65 高剪断造粒器などの高剪断造粒器を用いる。造粒器を用いて、L-アルギニンと結合剤を混合し、混合物上に造粒賦形剤をスプレーしながらその混合物を造粒することができる。
【0135】
前記製剤の1つ以上の成分を造粒した後、任意で、造粒した製剤を製粉する。製粉は、好ましい市販の装置のいずれかを用いて行うことができる(たとえば0.039インチのふるいを装備したCoMil)。ふるいのメッシュサイズは、望ましい顆粒サイズによって選択することができる。造粒された活性剤を製粉してから、必要な場合にはさらに乾燥させてもよい(たとえば空気中で)。
【0136】
好ましい実施態様では、当業に高値の技術に従ったL-アルギニンの製粉には、湿潤顆粒または湿潤製粉の製粉(ステップ125)、顆粒の乾燥(ステップ130)、および乾燥顆粒または乾燥製粉の製粉(ステップ140)のステップが含まれる(一般に、引用をもってその内容を援用する米国特許第5,145,684 号、応酬特許出願第498,482号)。CoMilなどの製粉装置は、前記顆粒の湿潤製粉および乾燥製粉のために用いることができる。ある実施態様では、前記製粉器には、湿潤製粉用‘375Q ふるい、および乾燥製粉用'062Rふるいが装備される。乾燥ステップは、たとえばエアロマティック S-2 液床乾燥器などの床乾燥器の中で、たとえば
などの望ましい乾燥減量(LOD)値まで顆粒を乾燥させることによって実施することができる。乾燥ステップは、望ましいLODに達するまで、徐々に実行することができる(ステップ135)。
【0137】
L-アルギニンと残りの成分を混合するステップには、前混合ステップ(ステップ145)、混合ステップ(ステップ150)、および最終混合ステップ(ステップ155)が含まれてよい。前混合ステップには、L-アルギニン/ポビドン顆粒と、たとえば微結晶性セルロースおよびコロイド状二酸化ケイ素などの充填剤および流動促進剤を混合するステップを含んでよい。前混合ステップは、たとえば8クオートVブレンダなどで、約5分間25rpmで混合することによって実行することができる。混合ステップには、たとえば1つ以上のヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの1つ以上の徐放性剤と、微結晶性セルロースなどの充填剤をこの混合物に加えるステップを含んでもよい。混合ステップは、たとえば2立方フィートVブレンダなどで、約20分間25rpmで混合することによって実行することができる。最終混合ステップには、たとえばステアリン酸マグネシウムなどの放出剤/潤滑剤を2立方フィートVブレンダで混合するために加えるステップと、約5分間25rpmで混合するステップを含むことができる。
【0138】
上述の製剤を調製してから、前記製剤を錠剤に圧縮する(ステップ160)。この錠剤の成形は、圧縮力を用いたまたは用いない好適な方法のいずれかを用いて行うことができる。たとえば、造粒ステップ後の製剤の圧縮は、任意の錠剤プレス(たとえば0.748” x 0.380”楕円形凸状平面工具を装備したマネスティ・ベータプレス)を用いて実行することができ、好ましくは、製剤組成物を流動促進剤で十分になめらかにした場合である。このステップに作用する代替的な方法は数多く利用でき、本願発明は任意の装置の使用によって制限されることはない。圧縮ステップは、回転型錠剤プレス機を用いて行うことができる。回転型錠剤成形機は、錠剤を形成する複数の貫通孔または金型を有する回転板を有する。製剤を金型に挿入し、その後圧縮成形する。
【0139】
代替的には、錠剤を成形によってつくることもできる。成形錠剤は、不活性液体状希釈剤で湿潤させた粉末状の化合物の混合物を、好適な機械で成形して作製してよい。
【0140】
錠剤の直径および形状は、造粒組成物の成形および圧縮のために選択した鋳型、金型、および穿孔器によって変化する。錠剤は、円盤、長円形、楕円形、円柱、および三角形などであってよい。錠剤は、割りやすいように折れ線をつけてもよい。表面の上面または下面にシンボルまたは文字を凸状または凹状に型押しすることもできる。
【0141】
圧縮力は、錠剤製品に望まれる物理的特性(たとえば、望ましい硬度、もろさなど)、望ましい錠剤の外見および大きさなどによって、プレスのタイプ/モデルに基づいて選択することができる。典型的には、適用される圧縮力は、圧縮される錠剤が少なくとも約2kpの硬度を有するような力である。このような錠剤は一般に、使用者による包装、輸送、または扱いに十分な硬度および強度を提供する。望ましくは、錠剤の硬度を上げるために、高い圧縮力を錠剤にかけることができる。しかし、圧縮力は好ましくは、錠剤の活性剤含有粒子を変形(たとえばひび割れまたは破損)させないように選択する。好ましくは、適用される圧縮力は、圧縮される錠剤が少なくとも約10kpの硬度を有するような力である。ある実施態様では、錠剤を約3kp乃至約7kp、任意に約3kp乃至約5kp、または約3kpの硬度に圧縮することが好ましい場合がある。
【0142】
典型的には、最終的な錠剤の重量は約50mg乃至約2000mg、より典型的には約200mg乃至約1000mg、または約400mg乃至約700mgだろう。
【0143】
本願発明の製剤、およびその製剤の製造方法は、徐放性L-アルギニン組成物に、特有の利点を与える。特に、本願発明の製剤および方法によって、望ましい徐放性溶解プロフィールを実現する組成物ができる。任意に、徐放性L-アルギニン製剤は、in vitroの薬物放出が少なくとも14時間持続し、好ましくは約1時間経過時点で約10%乃至約40%、約4時間経過時点で約30%乃至約70%、約6時間経過時点で約55%乃至約75%、約8時間経過時点で約65%乃至約85%、約12時間経過時点で約75%乃至約95%、および約14時間経過時点で約80%乃至約100%である。図7に示されるとおり、本願発明の製剤はそのような最適な溶解を実現する。さらに、例11および例17に示すように、溶解と安定性の研究は、本願発明の製剤が、製造から1および2ヶ月後でも最適な溶解プロフィールを示すことを実証する。
【0144】
さらに、本願発明の製剤および方法によって、過度にもろすぎないL-アルギニンの徐放性組成物ができる。さらに、本願発明の製剤および方法によって、その組成物が便利に製造できるほど十分に圧縮可能なL-アルギニンの徐放性組成物ができる。
【0145】
望ましくは、その他の変更を錠剤の実施態様に組み込むことができる。たとえば、本願発明の錠剤の基質を通る活性剤の放出の変更も、たとえばアンバーライトIRP-69などと複合させたイオンイオン交換複合体など、さまざまなコーティングの利用など、既知の技術によって実行することができる。本願発明の錠剤は、胃腸の運動性を低下させる薬剤などを含むか、またはそのような薬剤と併用投与することもできる。前記活性剤を変更して、酵素または加水分解による切断などによってin vivoにおいて活性合成物を遊離するであろう、生物学的に活性な化合物の化学修飾によるプロドラッグを生成することもできる。さらなる層またはコーティングは、拡散障壁として働き、薬物放出の速度とタイミングを制御するさらなる手法を提供することもできる。
【0146】
HMG CoAレダクターゼインヒビタ(たとえばシムバスタチン)および/またはさらなる薬剤が含まれている場合、好ましくはこれらの薬剤は混合ステップにおいて加える(ステップ145、150、155)。錠剤が徐放性L-アルギニン製剤とHMG-CoA レダクターゼインヒビタ製剤を含む場合、その錠剤は、徐放性L-アルギニン製剤の中心核と、少なくとも1つのHMG-CoA レダクターゼインヒビタを含む製剤の第2の外被またはコーティングを有してよい。代替的には、その錠剤には、たとえば徐放性L-アルギニン製剤などのL-アルギニン製剤と、HMG-CoA レダクターゼインヒビタが、1つの面を共有するように含まれてもよい。
【0147】
L-アルギニンがHMG-CoA レダクターゼインヒビタと連続してまたは同時に投与される場合、各錠剤、カプセル(cachet)、トローチ、またはカプセル(capsule)は、約0.01mg乃至約200mgのHMG-CoA レダクターゼインヒビタを含有する。HMG-CoA レダクターゼインヒビタの量は、使用されるHMG-CoA レダクターゼインヒビタによって変化するだろう。
【0148】
本願発明の別の局面では、たとえば本願明細書に記載の熱産生の誘導、減量の誘導、一定体重の維持、肥満または糖尿病などの肥満関連障害の治療または予防、喘息の治療または予防などの各種適応症の治療のための組成物を、食物の状態で提供する。好ましくは、この食物は処方用健康バーなど棒状である。食物を用いることによって、錠剤1錠に組み込むことができる量よりも大量のLアルギニンを供給することができる。たとえば1錠にL-アルギニンを1gより多く組み込むことは難しい。したがって、1gを超えるL-アルギニンを送達するためには、複数の錠剤が必要である。本願発明は、1gを超えるL-アルギニンおよび必要なその他の作用物質を提供することができるバーを提供する。ある実施態様では、前記L-アルギニンを、たとえばL-アルギニンの即放性顆粒など、即放性製剤として添加する。好ましくは、前記バーには、たとえばL-アルギニンの徐放性顆粒などを含む、徐放性製剤が含まれる。好ましい実施態様では、前記顆粒には、たとえば味付けコーティングなどの矯味成分が含まれる。別の実施態様では、前記バーはさらに、シムバスタチンなどのHMG-CoAレダクターゼインヒビタなどのさらなる薬剤を含む。さらに、赤色酵母米抽出物が健康バーに組み込まれてもよい。赤色酵母米は、ロバスタチンの天然の供給源である。L-アルギニンとスタチンを食物賦形剤形の中で混合すると、抑制が生じて、その製剤の投与が容易になる。さらに、食物を利用すると、高用量が望ましい場合にも、L-アルギニンの錠剤をたくさん服用する必要性が低くなる。ある実施態様では、前記食物バーにはさらに補酵素Q10が含まれる。
【0149】
ある実施態様では、そのバーはL-アルギニンを約1乃至約10g有する。好ましい実施態様では、バーは、1本あたり合計約4gのL-アルギニンまたはその塩を、糖、果物成分、タンパク質およびビタミン並びにミネラルと一緒に有するように提供される。バーの重さは約25乃至約100gの範囲内である。あるプロセスでは、バーは、高温で糖および果物ペーストと混合してから、低温でシロップと微少成分を混合して作製する。シロップに微少成分を混合してから、L-アルギニンを特にタンパク質増量剤とともに加え、その後、増量剤と、特に果物片またはその他の望ましい質感および香りを提供する食用成分などの食物剤、ならびに大豆タンパク質を加える。得られた生産物は保存安定性で、望ましい感覚刺激特性を有するので味がよく、L-アルギニンとの成分の組み合わせが健康的である。L-アルギニンおよびL-リシンを有する健康バーの製造のための方法および製剤は、その内容全体が引用により援用される米国特許第6,063,432号に記載される。任意で、約1乃至約80g、好ましくは約10mgのシムバスタチンまたは赤米酵母抽出物を、L-アルギニンの添加時に同時に加えてもよい。任意で、約1乃至約100 mg、好ましくは約10mgのCo Q10 を、L-アルギニンまたは赤米酵母抽出物の添加時に同時に加えてもよい。
【0150】
本願発明の別の局面は、上述のバーの製造方法である。その方法には、上述のとおり、図5、ステップ110に関連するL-アルギニンの造粒ステップが含まれるだろう。好ましくは、造粒ステップには、前混合ステップ(ステップ115)と造粒ステップ(ステップ120)が含まれるだろう。好ましくは、前記方法には上述の湿潤製粉ステップ(ステップ125)も含まれる。そのようなバーは、上述など、適切な賦形剤とL-アルギニンを湿潤造粒することによって得られるだろう。得られる顆粒は、そのまま用いるか、または矯味セルロース剤でコーティングされるだろう。
【0151】
本願発明は、以下の実施例によってさらに具体化されるが、それらは本願発明を制限するものと解釈されてはならない。本願明細書全体に引用されている参考文献、特許、および公開済みの特許出願すべての内容は、引用によりその全体を本願明細書に援用する。
【実施例】
【0152】
例1:錠剤状製剤1
約250gのL-アルギニンをミキサーに入れて、100RPMでゆっくり混合し、100gのEUDRAGIT RS 30D 低浸透率メタクリル酸水性ポリマー分散液(Rohm America社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を加えて湿潤塊をつくった。湿潤塊を18乃至20のふるいに通して、50℃で24時間乾燥させた。得られた乾燥L-アルギニン顆粒(250g)を84gのメトセル K100 M CR メチルセルロース(ダウケミカル社、コネチカット州ダンベリー)および3gのステアリン酸マグネシウムと乾燥状態で混合し、混合物をつくった。得られた混合物を、7/16凹面穿孔機を用いて錠剤状に圧縮した。
【0153】
例2:錠剤状製剤2
250gのL-アルギニンをミキサーに入れ、ゆっくり混合し、84gのメトセル K100 M CR メチルセルロース、および3gのステアリン酸マグネシウムを加えた。得られた混合物を、7/16凹面穿孔機を用いて錠剤状に圧縮した。
【0154】
例3:カプセル状製剤1
250gのL-アルギニンをミキサーに入れて、ゆっくり混合し、100gのEUDRAGIT RS 30D 低浸透率メタクリル酸水性ポリマー分散液を加えて湿潤塊をつくった。湿潤塊を18乃至20のふるいに通して、50℃で24時間乾燥させた。得られた乾燥L-アルギニン顆粒(250g)を84gのメトセル K100 M CR メチルセルロースおよび3gのステアリン酸マグネシウムと乾燥状態で混合し、混合物をつくった。得られた混合物を00ゲルカプセルに入れた。
【0155】
例4:カプセル状製剤2
250gのL-アルギニンをミキサーに入れ、ゆっくり混合し、84gのメトセル K100 M CR メチルセルロース、および3gのステアリン酸マグネシウムを加えた。得られた混合物を00ゲルカプセルに入れた。
【0156】
例5:錠剤状製剤3
250gのL-アルギニンと50gのメトセル
K100 M CR メチルセルロースを混合し、Kitchen Aid(R)ミキサーを低速で10分間使用してホモジナイズして、乾燥混合物をつくった。乾燥混合物に、115gのEUDRAGIT RS 30D 低浸透率メタクリル酸水性ポリマー分散液を5gずつ増加して、塊を均一に湿潤させた。湿潤塊を12メッシュのふるいに通してから20メッシュのふるいにかけ、次いで24時間30℃で乾燥させて、湿潤物の含有率を重量の1%にした。得られた乾燥L-アルギニン顆粒を7gのステアリン酸マグネシウムと乾燥混合し、ベータマネシープレスを用いて圧縮し、7/16凹面穿孔機を使用して錠剤にした。
【0157】
例6:カプセル状製剤3
500gの遊離塩基性アルギニンと30gのコリドン30を4分間混合した。15gのコリドン30を63.3gの精製水に溶解した溶液を調製した。この溶液をミキサーに加えて、6.5分回転させて混合した。それから、この顆粒を乾燥させた。約5gのシリカqsを、混合器の中の顆粒に加えた。375 g のメトセル
K100M PCR と75gのメトセル E4M CR を加えて、前と同様混合した。この物質を上述のとおりカプセルに封入した。
【0158】
例7:カプセル状製剤4
500gの遊離塩基性アルギニンと30gのコリドン30を4分間混合した。15gのコリドン30を63.3gの精製水に溶解した溶液をミキサーに加えて、6.5分回転させて混合した。この顆粒を乾燥させた。約5gのシリカqsを、混合器の中の顆粒に加えた。137.5 g のメトセル
K100M PCR と37.5 gのE4M CR を混合器に加えて、前と同様に混合した。この物質を上述のとおりカプセルに封入した。
【0159】
例8:L-アルギニン製剤
50.75%のL-アルギニン塩基と3.5%コリドン30、27.5%のメトセルK100M PCR、7.5% のメトセルE4M
CR、10.25% のMCC 102および0.5% 二酸化ケイ素を含むL-アルギニン製剤を上述の技術で作製した。
【0160】
さらに、55.9%のL-アルギニン塩基と3.1%コリドン30、24.6%のメトセル K100M PCR、6.7% のメトセル
E4M CR、9.2% のMCC 102および0.46% 二酸化ケイ素を含むL-アルギニン製剤を上述の技術で作製した。
【0161】
70%のL-アルギニン塩基、2.8%コリドン30、21.7%のメトセルK100M PCR、および5.5% のメトセルE4M
CRを部分的に含む別のL-アルギニン製剤を同様の技術で作製した。
【0162】
例9:徐放性錠剤の製造
約1000gのL-アルギニンと約200gのメトセル K100 M CR メチルセルロースをGP-1高剪断ミキサー(造粒機)で、約5分間、100RPMで混合した。それから、約138gのEUDRAGIT RS 30D 低浸透率メタクリル酸水性ポリマー分散液を、200RPM、圧力1.5バールで稼働するインペラに加える。その混合物質を200 RPMで1分間、粒状化した。それから、顆粒をMP-1液床造粒機に入れて、内部温度45℃、気流100 CMH 、湿度約2%で乾燥させた。それから、55Rサイズのふるいと90%の速度の円形インペラを有するComil 197S を使って製粉した。8VQt. ブレンダの中で、約27gのステアリン酸マグネシウムを製粉した顆粒に加えて、2分間混合した。その後、その物質を、7/16” 標準凹面装置を有するベータマネスティプレスを使って、硬度が最高になるように、標的重量682.5mgの錠剤に圧縮した。その錠剤を、75 cc HDPE ボトルに1瓶あたり60錠、手作業で詰めた。
【0163】
BioEnergy社(ニュージャージー州ワレン)から購入した市販の徐放性L-アルギニン錠剤に対するこの錠剤の放出プロフィールを、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)を使って作成した。図7は、双方の製剤の放出プロフィールを示すチャートである。
【0164】
例10:L-アルギニンの薬物動態の評価
L-アルギニン徐放性錠剤と即放性カプセルの薬物動態を評価するランダム化4方向交差研究を、絶食条件下の健康成人志願者14人について行った。本願明細書に用いる「健康」は、心血管リスク因子のない高コレステロール血症ではない被験体を意味する。この研究は、例9の徐放性L-アルギニン錠剤(L-アルギニン SR)と、モンティフ社(カリフォルニア州ロサンゼルス)から購入した市販の即放性L-アルギニンカプセル(L-アルギニンIR)を比較した。
【0165】
研究の目的は、徐放性L-アルギニンの薬物動態学的パラメータを決定することだった。以下の表1に示されるとおり、各薬物動態学的パラメータについて行った両側対応t検定のp値に基づき、Cmaxと Tmaxについて、治療法の間に統計学的に有意な差があった。予想通り、徐放性L-アルギニン錠剤は、即放性カプセルと比較して、Cmax は低く(24.1 ug/mLに対して14.9 ug/mL )、Tmax は長かった(1.4時間に対して4.4時間)。
【0166】
【表1】
【0167】
例11: 改良した徐放性L-アルギニン錠剤の製造
表2は、改良した徐放性錠剤を製造するために集めた成分と、各成分の使用量の一覧である。
【0168】
【表2】
【0169】
ステアリン酸マグネシウム以外のすべての成分は、20番メッシュのふるいにかけた。ステアリン酸マグネシウムは、30番メッシュのふるいにかけた。ポビドン(ポリビニルピロリドン)のほぼ半分を精製水に溶解し、造粒剤として取っておいた。L-アルギニンとポビドンの残りをNiro PMA 65高剪断造粒機に入れて4分間乾燥混合し、その後、そこに造粒剤をスプレーして、約6.5分間かけて造粒した。その後、湿潤顆粒を、'375Qふるいを有するCoMil製粉機で製粉した。それから、製粉した顆粒を、エアロマティックS-2液床乾燥機で、LODが3%未満になるまで乾燥させた。その後、乾燥顆粒を、'062Rふるいを有するCoMil製粉機で製粉した。微結晶性セルロースとコロイド状二酸化ケイ素のほぼ半分を、8クオートVブレンダで5分間、25rpmで混合し、2立方フィートのVブレンダに移した。その後、微結晶性セルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースの残りも2立方フィートVブレンダに加え、20分間25rpmで混合した。それから、ステアリン酸マグネシウムを2立方フィートVブレンダに加えて、約5分間25rpmで混合した。最後に、その混合物を、0.748x0.380” 長円形、凸状、平面装置を有するマネスティベットプレスを使って、標的重量1000mgの錠剤に圧縮した。図6はこの方法の概略的なフロー図である。
【0170】
標準工程管理試験および仕様を、製造工程中に用いることができ、本例に用いられるものを以下の表3に記載する。
【0171】
【表3】
【0172】
標準放出法および仕様を用いることができ、本例に用いられるものを以下の表4に提供する。
【0173】
【表4】
【0174】
さらに、本研究は、本願発明の徐放性L-アルギニン製剤のもろさと内容物の均一性を含む、望ましい物理的特性を実証した。
【0175】
【表5】
【0176】
例12:シムバスタチンがある場合、ない場合のL-アルギニンSR、およびL-アルギニンSRがある場合、ない場合のシムバスタチンの薬物動態の評価
シムバスタチンがある場合、ない場合のL-アルギニンSR、およびL-アルギニンSRがある場合、ない場合のシムバスタチンの薬物動態を調べた。例9のL-アルギニンSR錠剤を、BioEnergy社(ニュージャージー州ワレン)から購入した市販のシムバスタチン錠剤とともに用いた。
【0177】
表6に見られるとおり、各薬物動態学的パラメータについて行った両側対応t検定のp値に基づき、Cmax、AUC0-10、およびTmaxについて、治療法の間に統計学的に有意な差はなかった。表7に示されるとおり、L-アルギニンSRは、シムバスタチンの単回投与量の薬物動態への統計学的に有意な作用はない。
【0178】
【表6】
【0179】
【表7】
【0180】
例13: マウスにおける梗塞サイズへのシムバスタチンとL-アルギニンの併用投与の効果
梗塞サイズへのシムバスタチンとL-アルギニンの併用投与の効果をマウスで調べた。マウスに、図3に示した量、食塩水に溶解したシムバスチン、ならびにシムバスチンとL-アルギニンを含む腹腔内注射を投与した。図2および図3に、これらのマウスと対照群の梗塞サイズを比較した結果を示す。
【0181】
例14:シムバスチンとL-アルギニンの併用投与量の最適化
シムバスタチンとL-アルギニンの併用投与量の最適化をマウスで調べた。図4に示すとおり、マウスに各種レベルのシムバスタチンとL-アルギニンを注射した。本研究の結果も図4に示す。統計解析は、組み合わせの最適な範囲は1.2乃至1.4mg/Kgのシムバスチンと約20乃至25mg/KgのL-アルギニンだと予測した。
【0182】
例15:高ADMA値の被験体における、シムバスタチンによる内皮依存性血管拡張の向上はL-アルギニンの徐放の併用によって促進される
スタチンは、in vitroにおいて内因性NOシンターゼ(eNOS)の発現を刺激し、in vivoにおける内皮依存性NO媒介血管拡張を促進する。非対称ジメチルアルギニン(ADMA)は、eNOSの内因性競合性インヒビタである。高血漿ADMA値の存在は、内皮の機能障害に関連する。高ADMA被験体において、ADMAの阻害作用を補助的なL-アルギニン徐放が克服する場合のみ、シムバスチンが内皮機能を促進することが明らかになった。
【0183】
臨床的に無症候性で高ADMA値の高齢被験体15人に、ランダム化された順序で、シムバスチン(40 mg/日)、例11に記載の通り調製したL-アルギニン徐放剤(3 g/日)、またはその両方の組み合わせを、それぞれ3週間投与し、治療と治療の間には少なくとも3週間のウォッシュ・アウト期間を設けた3期間交差デザインにした。内皮依存性血管拡張の評価は、コンピュータ支援画像解析法を用いて、上腕動脈超音波によって行った。ADMAおよびL-アルギニン血漿濃度は、有効HPLC法で決定した。
【0184】
研究を完了した15被験体の解析から、徐放性L-アルギニン単体、またはシムバスタチンとの併用、どちらの場合も、治療前測定と比べて内皮依存性血管拡張の割合が増加することが明らかになった。この組み合わせの、内皮依存性血管拡張の治療前の割合からの変化は、シムバスタチン単体に認められたものと比較して、3.87%有意に増加した(p<0.025)。この組み合わせと徐放性L-アルギニン単体の内皮依存性血管拡張の割合の変化の差は、小さかった。ニトログリセリンによる内皮依存性血管拡張は、この治療のいずれにも影響されなかった。L-アルギニン徐放は、それ単体でも、またはシムバスタチンとの併用でも、血漿L-アルギニン/ADMA比を有意に向上させた(基準値82.3±4.0に対して、それぞれ. 102.8±9.2および102.6±10.8、それぞれp<0.05)。これらの結果を、図8にまとめる。
【0185】
シムバスチンは、高ADMA値によってeNOSが阻害されている被験体の内皮機能を促進しないが、シムバスチンと経口L-アルギニン徐放剤の組み合わせは、内皮機能に相乗効果を有する。NO媒介作用は、スタチンの治療効果に主要な役割を果たしているかもしれず、L-アルギニン徐放性剤との組み合わせは、高ADMA濃度の被験体に考慮されるべきである。
【0186】
例16:L-アルギニン徐放性剤によるコレステロールおよびトリグリセリド値の改善
例15に記載の研究において、総コレステロール(TC)、LDLコレステロール、HDLコレステロール、およびトリグリセリドの変化を、治療前と治療後に解析した。表8乃至10は、表示された方法によるトリグリセリド値の治療の結果を示す。
【0187】
【表8】
【0188】
【表9】
【0189】
【表10】
【0190】
表6乃至8は、表示された方法による治療の結果得られた、総コレステロール値、低密度リポタンパク質コレステロール値、および高密度リポタンパク質コレステロール値の変化を示す。
【0191】
【表11】
【0192】
【表12】
【0193】
【表13】
【0194】
本解析の結果を、グラフにして図9に示す。結果が実証するように、徐放性L-アルギニンの投与によってトリグリセリド値が低下する。
【0195】
例17:徐放性塩酸アルギニン 500mg錠中の塩酸アルギニンの溶解放出のHPLCによる測定
移動相を以下のように調製した。最初に、pH3.3緩衝溶液1Lを、1-ペンタンスルホン酸ナトリウム塩一水和物約0.9g、およびリン酸ナトリウム一塩基酸一水和物3.5gを好適な容器に入れて計量して調製した。脱イオン水約100mLを加えて溶解した。リン酸を加えて、pHを3.3に調整した。次に、pH3.3緩衝液850mLをメタノール150mLと合わせて好適な容器に入れ、混合した。その混合物を0.45ナイロン膜フィルタでろ過した。最後に、使用前にその混合物を脱気した。
【0196】
溶媒(50mMリン酸緩衝液、pH6.8)を以下の通り調整した。最初に、20mLの10M NaOHをピペットで1000mL容量フラスコに入れ、脱イオン水で希釈して0.2M NaOHを調製した。次に、リン酸二水素カリウム無水物54.44gを計量して好適な容器に入れ、2000mLの脱イオン水に溶解して希釈した。896mLの0.2M NaOHをその容器に加え、脱イオン水8000mLで希釈した。最後に、使用前にその混合物を脱気した。
【0197】
溶解試料を以下のように調製した。例11に記載の通り調製した塩酸アルギニン500mg錠6個を計量した。各錠剤をリン酸緩衝液(pH6.8)900mLとともに、ステンレススチールシンカーに入れた。次に、そのシンカーをUSPアパラタス2(パドル)の容器に落とし、約37℃±0.5℃で75rpmで即時回転させた。その容器の溶液10mLを、1、2、4、6、8、10、12および14時間経過時点に取り出して、各時点においてそれぞれ溶解分析した。これらの試料溶液をそれぞれ、0.45μm PVDFシリンジフィルタでろ過した。その濾液を収集し、最初の1乃至2mLを捨ててから分析のためにHPLCバイアルに入れた。すべての試料採取時点後、10μm全開流量フィルタを用いて、予め37℃±0.5℃に温めた溶媒10mLを溶解容器に戻した。医療関係者は、試料溶液は室温では最高で1日間安定であり、4℃では3日間安定であることを知りうるはずである。
【0198】
塩酸アルギニン標準溶液を以下のように調製した。28±2mgの塩酸アルギニン標準を正確に計量し、50mLの容量フラスコに入れた。その標準を溶媒に溶解し、一定容積まで希釈した。。
【0199】
BDS Hypersil C18カラム(5μm、250 mm×4.6mm)を用いてHPLCを行い、210nmの紫外線を用いて検出した。カラムの温度は室温に設定した。一般に、実行時間は9分、注射体積は10μL、フロー速度は0.8mL/分、および移動相はpH3.3だった。緩衝液/メタノール(85/15、v/v)は上述のとおり調製した。
【0200】
各試験を以下の通り進めた。溶媒の注射1回の後に塩酸アルギニン標準溶液の注射を連続5回、そして最後に各試料溶液の注射を1回行った。塩酸アルギニン標準溶液を、6種類すべての試料注射の後と一連の操作の最後に再注射した。実行中のシステムドリフト(つまり塩酸アルギニン標準溶液の5回連続注射の平均と比較した、標準溶液の回復の割合)は、約97%乃至約103%であるべきである。
【0201】
放出されたアルギニンの割合を決定する場合、当業者は、作動標準溶液の注射の塩酸アルギニンピークのUSPトレーリング因子(T)が、確実に2未満になるように注意しなければならない。Tは以下のように計算する。
【0202】
【数1】
【0203】
ここで、W.05 は塩酸アルギニンピークの基準線からのピーク高さが5%のところのピーク幅で、fはピーク最大値からピークの先端のまでの距離(基準線からのピーク高さの5%のところで測定した距離)である。
【0204】
塩酸アルギニンの放出の割合を以下のように計算した。
【0205】
【数2】
【0206】
ここで、nは測定の全回数、Vrは各測定の溶媒の容量(10mL)、Vは溶媒の初期容量(900mL)、Csは作動標準溶液中の塩酸アルギニンの濃度mg/mLで、Ciは各試料溶液中の塩酸アルギニンの濃度mg/mLで、Ruは試料溶液から得られた塩酸アルギニンピークのピーク面積応答で、Rsは作動標準溶液の連続注射から得られた塩酸アルギニンピークの平均ピーク面積応答で、LCは塩酸アルギニン(500mg)のラベルクレームである。
【0207】
放出された割合は、1、2、4、6、8、10、12および14時間経過時点に計算した。表5および14に各種溶解研究の結果をまとめる。
【0208】
【表14】
【0209】
例18:L-アルギニン食物バーの製造
L-アルギニンは、混合前ステップ(ステップ115)と造粒ステップ(ステップ120)を含む、図5ステップ110に関連して、上述のとおり造粒する。次に、造粒を、上述の適切な賦形剤とともに湿潤製粉(ステップ125)する。得られる顆粒は、そのまま用いるか、または矯味セルロース剤でコーティングする。
【0210】
糖および果物ペーストを高温で混合してから、低温で微少成分とともにシロップを混合する。L-アルギニン顆粒、増量剤、および果物片または食用成分を含む食物剤を加えて、望ましい質感と香りにする。タンパク質押出機を使って食物バーを形成する。
【0211】
例19: 徐放性L-アルギニンによる治療の結果生じる減量
【0212】
45歳の女性志願者が、徐放性L-アルギニン製剤3カプセルを一日2回連日服用した。この製剤は、350mgのL-アルギニン、セルロース、コリドン、ロイシン、およびシリカで構成された。この期間中、その志願者は、食事には他に顕著に変更した点はなかったと報告した。このL-アルギニン療法を2ヶ月間行ったところ、その志願者は9ポンド減量した。
【0213】
53歳の女性志願者が、同一の徐放性L-アルギニン製剤3カプセルを一日2回連日服用した。その志願者は、この期間中、食事には他に顕著に変更した点はなかったと報告した。2ヶ月後、その志願者は4ポンド減量した。さらに、その志願者は、体温が0.25℃上昇したと報告した。体温の上昇は熱産生を示している。
【0214】
例20:L-アルギニンの熱産生作用
熱を産生するための動物の酸素消費は、当業者に公知の原理である。たとえば、M. Kleiber,
"The Fire of Life", Robert E. Kreiger Pub.Co., New
York, New York,
1975参照。エネルギー消費量が多い間は、糖や脂肪酸などの代謝燃料が酸化されてCO2とH2O が発生し、同時に熱が産生される。つまり熱産生が生じる。したがって、ヒトおよびペットを含む動物の酸素消費の測定は、間接的に熱産生効果を測定する。この観点では、間接的な熱量測定は、エネルギー消費量の有効な測定方法であることが実証されており、ヒトを含む動物にも広く使用されている。
【0215】
L-アルギニンの、熱産生応答を生じて肥満治療に用途を有する能力を、以下のプロトコルにおいて実証する。
【0216】
このプロトコルは、6日間、肥満ズッカーラットに投与することによって、酸素消費量を測定するようにデザインされている。研究を始める前に、体重が約400乃至500gの範囲内のオスの肥満ズッカーラットを、標準の研究条件下において、少なくとも3乃至7日間ケージに入れる。好適な形状および容量のL-アルギニン製剤を、6日間、3p.m.から6p.m.の間に一日1回連日、経口強制投与によって投与する。
【0217】
酸素消費量は、投与最終日の翌日に、開路間接熱量計(オキシマックス、コロンバス・インスツルメント社、950 North Hague
Ave., Columbus, Ohio 43204)を用いて測定した。オキシマックス・ガスセンサーの較正は、各実験の前に、N2ガスと混合ガス(0.5% CO2、20.5%
O2、79% N2)で行う。ラットをケージから出し、体重を記録して、熱量計の密閉チャンバに入れ、そのチャンバを活動モニタの中に入れる。チャンバ内の通気速度を1.6-1.7 I/分に設定する。オキシマックス熱量計ソフトウェアが、チャンバ内の通気速度と吸気口と排気口の酸素含有量の差に基づいて、酸素消費量(ml/kg/時間)を計算する。活動モニタには15本の赤外線ビームが1インチずつの間隔で配置されており、歩行活動は、2本の隣り合うビームがさえぎられるときに記録され、その結果が回数として記録される。酸素消費量と歩行活動を、5乃至6.5時間、10分おきに測定する。静止時の酸素消費量は、それぞれのラットについて、最初の5つの値と歩行活動が100回を超える時間帯に得られた値を除いた値を平均して求めた。
【0218】
例21: L-アルギニンの徐放性製剤のin vitroにおける放出プロフィール
市販のL-アルギニンジェネリック製剤と、本願明細書の開示に従って作製したL-アルギニン350mg、セルロース、コリドン、ロイシンおよびシリカを含むL-アルギニンの徐放性カプセル製剤の放出プロフィールのin vitro分析を行った。図10は、この2つの試験の放出プロフィールをグラフで示す。本願発明の徐放性製剤は、L-アルギニンを10時間超放出した。
【0219】
例22: L-アルギニンの徐放性製剤の薬物動態学的プロフィール
被験体に、L-アルギニンの徐放性製剤を投与した。その被験体のL-アルギニン値を、多数の時点において測定した。図11は、その徐放性製剤の薬物動態学的プロフィールをグラフで示す。徐放性製剤の投与によって、基準値を超える循環L-アルギニン値の有意な増加が、少なくとも8時間、生じた。
【0220】
さらに、図12は、本願発明の徐放性製剤を投与した被験体におけるADMAに対するL-アルギニンの割合が向上することを示す。
【0221】
等価物
当業者であれば、ごく普通の実験を用いるのみで、ここに説明した本願発明の特定の実施態様の等価物を数多く認識し、または確認できることであろう。このような等価物は、添付の請求の範囲の包含するところである。
【図面の簡単な説明】
【0222】
【図1】L-アルギニンとシムバスタチンを含む製剤の放出パターンを示すグラフ。
【図2】L-アルギニンとシムバスタチンを投与したマウス脳と未治療のマウス脳の梗塞サイズのNMR画像写真。
【図3】L-アルギニン、シムバスタチン、およびL-アルギニンとシムバスタチン併用で治療したマウスの梗塞の容量を示す棒グラフ。
【図4】L-アルギニンと各種レベルのシムバスタチンで治療したマウスの梗塞の全容量を示す棒グラフ。
【図5】徐放性L-アルギニン錠の製造方法を示すフロー図。
【図6】徐放性L-アルギニン錠の製造方法を示すフロー図。
【図7】徐放性L-アルギニン製剤の性能を比較する棒グラフ。
【図8】本願発明の徐放性L-アルギニン組成物を併用した場合と併用しない場合のシムバスチン投与のヒトにおける内皮依存性血管拡張への作用を比較した図。
【図9】シムバスチンと本願発明の徐放性L-アルギニン組成物の併用投与の、ヒトにおける内皮依存性血管拡張への相乗作用をまとめた図。
【図10】即放性L-アルギニン製剤と比較した、本願発明にしたがった徐放性L-アルギニン製剤の放出プロフィールを示すグラフ。
【図11】本願発明にしたがった徐放性製剤の薬物動態を示すグラフ。
【図12】本願発明にしたがった徐放性製剤を投与した被験体におけるADMAに対するL-アルギニンの割合を示すグラフ。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2003年10月24日に提出されたPCT/US2003/033931、標題「Sustained Release L-Arginine Formulations
and Methods of Manufacture and Use」の優先権を主張し、さらに2002年10月24日に提出された米国仮特許出願第60/421,258号、標題「Methods and Compositions for the Treatment of
Cerebrovascular and Cardiovascular Diseases and Disorders」、2003年9月29日に提出された米国仮特許出願第60/507,312号、標題「Methods and Compositions for the Treatment of
Cerebrovascular and Cardiovascular Diseases and Disorders」、および2003年10月17日に提出された米国仮特許出願第60/512,035号、標題「Sustained Release L-Arginine Formulations and Methods
of Manufacture and Use」の優先権を主張する、2004年4月28日に提出されたPCT/US2004/013255、標題「Sustained Release L-Arginine Formulations
and Methods of Manufacture and Use」の一部継続である、2005年1月24日に提出された米国特許出願第11/042017号、標題「Methods of Treating Various Conditions By
Administration of Sustained Release L-Arginine」、および2005年4月14日に提出した米国特許出願第11/107395号、標題「Methods of Treating Various Conditions By
Administration of Sustained Release L-Arginine」の優先権を主張する。上述の各特許出願の内容全体は、全体としての引用をもって明らかに本願明細書に援用するものとする。
【背景技術】
【0002】
L-アルギニンはヒトの生理および代謝の多数の領域に関与するセミ必須アミノ酸である。アルギニンは、シトルリン、グルタミン、グルタミン酸およびプロリンからデノボ合成することができるが、食物によるアルギニンの摂取は必要な血漿アルギニン値を維持するために重要である。
【0003】
大部分において、L-アルギニンが重要なのは、酸化窒素(NO)の生物学的前駆体としての役割のためである。確かに、酸化窒素シンターゼ(NOS)という酵素ファミリは、L-アルギニンからNOを合成する。NOは、心血管系における各種の内皮細胞依存性の生理学的作用に関与する内因性メッセンジャ分子である。さらに、NOは可溶性グアニル酸シクラーゼの内皮細胞依存性弛緩および活性、中枢および末梢神経系の神経伝達、ならびに活性化マクロファージ細胞毒性に関与している。さらに、血管作用剤や物理的刺激に応答して、内皮細胞が内皮細胞由来弛緩因子(EDRF)とよばれ(内皮由来一酸化窒素(EDNO)ともよばれる)、一酸化窒素(NO)として知られる、短寿命血管拡張因子を放出する。セロトニン、ヒスタミン、ブラジキニン、プリン、およびトロンビンなどの炎症および血小板凝集の産生物は、NO放出の刺激によって、完全にまたは部分的に作用する。弛緩の内皮細胞性のメカニズムは、冠動脈循環を含む各種血管床において重要である。血管系において、EDNOには、血小板凝集、炎症生細胞の接着、および平滑筋細胞の増殖など、数種類の働きがある。特に、EDNOは血管緊張の重要な制御因子である。さらに、内皮機能に一般的に使用される指標である血流性拡張も、ほとんどNOが媒介している。
【0004】
発明の概要
本願発明は、たとえばL-アルギニンの徐放性製剤など、L-アルギニンがトリグリセリド値を低下させるのに有用であるという発見に、部分的に基づいている。 さらに、本願発明は、たとえばL-アルギニンの徐放性製剤など、L-アルギニンが、肥満、肥満関連障害、および喘息を含む各種適応症の予防または治療に有用であるという発見に、部分的に基づいている。
【0005】
ある局面では、本願発明は、たとえばL-アルギニンの徐放性製剤など、被験体にL-アルギニンを投与することによって、その被験体のトリグリセリド値を低下させる方法を提供する。さまざまな実施態様では、前記方法によって被験体のトリグリセリド値を約100 mg/dL、50 mg/dL、または25 mg/dL未満に低下させることができる。
【0006】
ある局面では、本願発明は、たとえばL-アルギニンの徐放性製剤など、被験体にL-アルギニンを投与することによって、その被験体の熱産生を誘発する方法を提供する。
【0007】
別の局面では、本願発明は、たとえばL-アルギニンの徐放性製剤など、被験体にL-アルギニンを投与することによって、その被験体の体重を一定に維持するか、または減量(たとえば20、15、10、または5ポンド未満)を誘導する方法を提供する。
【0008】
さらなる局面では、本願発明は、たとえばL-アルギニンの徐放性製剤など、被験体にL-アルギニンを投与することによって、糖尿病など肥満または肥満関連疾患を予防または治療する方法を提供する。
【0009】
さらに別の局面では、本願発明は、たとえばL-アルギニンの徐放性製剤など、被験体にL-アルギニンを含む徐放性製剤を投与することによって、その被験体の喘息を予防または治療する方法を提供する。
【0010】
さらに別の局面では、本願発明は、被験体の、勃起不全症、女性不妊症、男性不妊症、間質性膀胱炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、後天性免疫不全症候群(AIDS)、子癇前症、火傷または外傷性損傷、癌、たとえば胃食道逆流疾患(GERD)および括約筋運動障害などを含む消化管症状、早期産、ならびに老年性認知症を、その被験体にL-アルギニンの徐放性製剤を投与することによって予防または治療する方法を提供する。さらに別の局面では、L-アルギニンの徐放性製剤は、周術期の栄養として用いることもできる。
【0011】
本願発明の前述の局面のさまざまな実施態様では、前記徐放性製剤には、L-アルギニンまたはその薬学的に許容な塩を重量で約25%乃至約75%、ポリビニルピロリドンを重量で約0.5%乃至約5%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約5%乃至約40%、微結晶性セルロースを重量で約2%乃至約20%、二酸化ケイ素を重量で約3%未満、およびステアリン酸マグネシウムを重量で約3%未満含んでいる。たとえば、前記製剤には、L-アルギニン一塩酸塩であるL-アルギニンを重量で約50%、ポリビニルピロリドンを重量で約3%乃至約4%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約35%、微結晶性セルロースを重量で約10%、二酸化ケイ素を重量で約1%未満、およびステアリン酸マグネシウムを重量で約1%未満含んでもよい。
【0012】
本願発明の前述の局面の別の実施態様では、前記徐放性製剤には、L-アルギニンまたはその薬学的に許容な塩を重量で約50%乃至約90%、ポリビニルピロリドンを重量で約0.5%乃至約5%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約5%乃至約40%含んでいる。たとえば、前記製剤は、L-アルギニン一塩酸塩であるL-アルギニンを重量で約70%、ポリビニルピロリドンを重量で約2%乃至約3%、おおびヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約27%乃至約28%含んでもよい。
【0013】
前述の局面のさらに別の実施態様では、前記徐放性製剤は、L-アルギニンまたはその薬学的に許容な塩を重量で約35%乃至約90%、ポリビニルピロリドンを重量で約0.5%乃至約5%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約5%乃至約40%、微結晶性セルロースを重量で約2%乃至約20%、および二酸化ケイ素を重量で約1%未満含んでいる。たとえば、前記製剤には、L-アルギニン一塩酸塩であるL-アルギニンを重量で約51%、ポリビニルピロリドンを重量で約3%乃至約4%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約35%、微結晶性セルロースを重量で約10%乃至約11%、二酸化ケイ素がコロイド状二酸化ケイ素である二酸化ケイ素を重量で約1%未満含んでよい。代替的には、前記製剤は、L-アルギニン一塩酸塩であるL-アルギニンを重量で約56%、ポリビニルピロリドンを重量で約3%乃至約4%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約31%乃至約32%、微結晶性セルロースを重量で約9%乃至約10%、二酸化ケイ素がコロイド状二酸化ケイ素である二酸化ケイ素を重量で約1%未満含んでよい。
【0014】
前述の局面のさらに別の実施態様では、前記徐放性製剤は、L-アルギニンまたはその薬学的に許容な塩を重量で約50%乃至約90%、ポリビニルピロリドンを重量で約0.5%乃至約10%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約5%乃至約40%、および二酸化ケイ素を重量で約1%未満含んでいる。たとえば、前記製剤は、L-アルギニン一塩酸塩であるL-アルギニンを重量で約69%、ポリビニルピロリドンを重量で約6%乃至約7%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約24%乃至25%、二酸化ケイ素がコロイド状二酸化ケイ素である二酸化ケイ素を重量で約1%未満含んでよい。
【0015】
前述の局面のさらに別の実施態様では、前記徐放性製剤は、L-アルギニンまたはその薬学的に許容な塩を重量で約35%乃至約70%、ポリビニルピロリドンを重量で約0.5%乃至約10%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約40%乃至約60%、および二酸化ケイ素を重量で約1%未満含んでいる。たとえば、前記製剤は、L-アルギニン一塩酸塩であるL-アルギニンを重量で約50%、ポリビニルピロリドンを重量で約4%乃至約5%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを重量で約45%、二酸化ケイ素がコロイド状二酸化ケイ素である二酸化ケイ素を重量で約1%未満含んでよい。
【0016】
他の局面では、本願発明は、L-アルギニン(たとえばL-アルギニンの徐放性顆粒)および赤色酵母菌米抽出物を含む徐放性製剤を含む、カプセル、錠剤、または食物バーを提供する。各種実施態様において、前記食物バーは、被験体におけるトリグリセリドの低下、一定体重の維持または減量の誘発、熱産生の誘発、肥満または糖尿病などの肥満関連障害の治療もしくは予防、喘息の治療または予防、または一酸化窒素の増加に用いることができる。ある実施態様では、前記食物バーはさらにコエンザイムQ10を含む。
【0017】
本願発明のその他の特徴および利点は、以下の発明の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0018】
発明の詳細な説明
本願発明は、L-アルギニンを被験体に投与することによる、その被験体における、トリグリセリド値の低下、熱産生の誘発、一定体重の維持または減量の誘発、ならびに喘息、肥満および糖尿病などの肥満関連症状の治療または予防の方法を提供する。ある実施態様では、前記L-アルギニンはL-アルギニンの徐放性製剤である。本願発明は、特にL-アルギニンの徐放性製剤など、L-アルギニンが被験体のトリグリセリド値を低下させることができるという発見に、部分的に基づいている。本願発明は、特にL-アルギニンの徐放性製剤など、L-アルギニンが熱産生効果を有し、したがって減量の誘導、現体重の維持、および/または肥満および肥満関連症状の予防もしくは治療に有用であるという発見に、部分的に基づいている。
【0019】
本願発明はさらに、L-アルギニンの徐放性製剤を被験体に投与することによって、少なくとも以下の疾患および障害を治療および予防する方法を提供する。それは、勃起不全症、女性不妊症、男性不妊症、間質性膀胱炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、後天性免疫不全症候群(AIDS)、子癇前症、火傷または外傷性損傷、癌、たとえば胃食道逆流疾患(GERD)および括約筋運動障害などを含む消化管症状、早期産、ならびに老年性認知症である。さらに別の局面では、L-アルギニンの徐放性製剤は、周術期の栄養として用いることもできる。
【0020】
さらに、本願発明はL-アルギニンの徐放性製剤と、最適な放出プロフィールを有する組成物にするための製造方法を提供する。さらに、前記製剤および製造方法によって、使いやすいように圧縮可能だが過剰にもろすぎないような組成物の状態にする。
【0021】
ある実施態様では、本願発明の方法に用いる製剤は、少なくとも1つの徐放剤を含む(本願発明の目的のために、制御放出と徐放は同義に用いてよい)。別の実施態様では、前記L-アルギニンは被験体の全身にゆっくり放出される。L-アルギニンの徐放は、長期間にわたるNOの産生に必要なL-アルギニンを実質的に一定に供給するNOSを提供する、血漿中のL-アルギニンの薬物動態学的プロフィールをつくり出す。したがって、当該製剤はin vivoではゆっくり溶解して長時間に渡って実質的に均一な量のL-アルギニンを放出し、被験体に治療上有効に作用することができる。
【0022】
本願発明はさらに、L-アルギニンを添加した食物を提供する。好ましくは、この食物は処方用健康バーなど棒状である。食物を用いることによって、錠剤1錠に組み込むことができる量よりも大量のL-アルギニンを供給することができる。したがって、本願発明は、1gを超えるL-アルギニンおよび必要なその他の作用物質を提供することができるバーを提供する。ある実施態様では、前記L-アルギニンを、たとえばL-アルギニンの即放性顆粒など、即放性製剤として添加する。別の実施態様では、前記バーには、たとえばL-アルギニンの徐放性顆粒などを含む、徐放性製剤が含まれる。別の実施態様では、前記バーはさらに、シムバスタチンまたは赤色酵母米抽出物などのHMG-CoAレダクターゼインヒビタなどの作用物質を含む。
【0023】
定義
本願発明の詳細な説明の前に、本願明細書、実施例、および特許請求の範囲に用いられる特定の用語を、便宜上、ここにまとめる。
【0024】
本願明細書に記載の通り、特に記載のない限り、「被験体」という用語には哺乳類が含まれる。「哺乳類」という用語には、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、およびヒトが、それらに限定されずに含まれる。
【0025】
本願明細書に記載の「治療する」、「治療」および類似する用語は、疾患もしくは障害、疾患または障害の症状、または疾患もしくは障害の素因を有する被験体への治療用の物質または製剤の適用もしくは投与、または前記被験体から単離された組織への治療用物質または製剤の適用もしくは投与であって、当該適用もしくは投与の目的が、疾患もしくは障害および/またはイベントの治療、治癒、緩和、軽減、改変、改善、予防、改善、発症の遅延、疾患もしくは障害の進行の遅延、疾患もしくは障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害および/またはイベントの素因の改善または作用である、適用もしくは投与を意味する。
【0026】
本願明細書に記載の「血管疾患」または「血管障害」という用語は、一般に血管の疾患または障害を意味し、心血管、脳血管、および末梢血管疾患または障害がそれらに限定されずに含まれる。心血管疾患は、心臓の血管の疾患を意味する。たとえば、Kaplan, R. M., et
al., "Cardiovascular diseases" in Health and Human Behavior,
pp.206-242 (McGraw-Hill, New York 1993)を参照。心血管疾患は一般に、たとえば高血圧、冠状動脈疾患、発作、およびリウマチ性心疾患などを含む、いくつかの状態の一つである。狭心症およびうっ血性心不全などの心血管疾患に関連する疾患および障害も、この用語に包含されることが意図される。末梢血管疾患または障害は、心臓の外側にあるいずれかの血管の疾患を意味する。たとえば、末梢血管疾患は、血液を足および腕の筋肉に運ぶ血管の狭窄を意味する場合がある。脳血管疾患は、脳に血液を供給する血管の能力に影響する疾患を意味する。
【0027】
「アテローム性動脈硬化」という用語は、関連する医学分野において診療を行う医師が認識し理解する、血管疾患および障害および症状が包含される。アテローム性動脈硬化性心血管疾患、冠状動脈性心疾患(冠状動脈疾患または虚血性心疾患としても知られる)、脳血管疾患および末梢血管疾患は、すべて、動脈硬化の臨床症状であり、したがって「アテローム性動脈硬化」および「アテローム性動脈硬化性疾患」という用語に包含される。
【0028】
本願明細書に記載の「肥満」という用語は、被験体の体重が医学的に推奨される限界よりも超過する症状を意味する(たとえば、ボディ・マス・インデックス(BMI)が、本願明細書に引用により援用されるNIH/WHO BMI ガイドラインが定義する健常人を表現するために用いるものよりも大きい場合)。
【0029】
本願明細書に記載の「肥満関連障害」という用語は、肥満に起因するもしくは関連する(たとえば生化学的または分子的関連)、または体重の増加および/または臨床的肥満に先行する関連する生物学的プロセスに起因するまたは関連する、いずれかの疾患または症状である。被験体の肥満に関連する障害を「治療」または「治療する」という文言は、その障害を罹患する、またはその障害を罹患するリスクがある被験体の障害の軽減または改善を意味する。好ましくは、その障害、またはその障害を発症する可能性を、被験体がその障害または不快感および/またはそのような障害に関連する機能の改変および有害な症状を罹患するまたは発症することがないような程度まで、好ましくは軽減する。
【0030】
本願明細書に記載の「喘息」という用語は当業に認識されており、一般に、被験体の肺の気道の平滑筋の過剰な収縮が生じる状態が含まれる。
【0031】
本願明細書に記載の「勃起不全」という用語は当業に認識されており、一般に、陰茎の海綿組織の障害、および性的不能を生じる関連の筋膜の障害であって、性的な機能性勃起の不能を意味する。
【0032】
本願明細書に記載の「熱産生」という用語は当業に認識されており、一般に、ATPを最低限しか産生しないかまたは全く産生しない脂肪酸の酸化を意味する。熱産生は一般に減量と体重増加の予防に関連する。
【0033】
本願明細書に記載の「併用投与」または「併用投与した」という用語は、被験体に2種類以上の化合物を投与することを表現するために用いられる場合、同一または異なる経路で投与されてよい化合物が同時に(たとえば混合物として)または連続に、それぞれの薬理学的効果が時間的に重複するように投与されることを意味する。本願明細書に記載のとおり、特に記載のない限り、少なくとも2種類の化合物を投与する場合に用いられる場合、「連続に」という用語は、それぞれの薬理学的効果が時間的に重複するように、その化合物を投与することを意味する。ある実施態様では、薬剤を実質的に同時に併用投与する。「実質的に同時に」とは、本願発明の製剤が、少なくとも1種類のさらなる薬剤の投与と時間的に十分に接近して被験体に投与され、それにより前記薬剤が、たとえばNOS活性、NO産生、もしくは血管拡張の増大など、それらに限定されないさらなる効果または相乗的な効果を発揮する可能性があることを意味する。
【0034】
本願明細書に記載の「NOSの前駆体」という用語には、たとえばL-アルギニンなどの未変性NOのいずれかの貴誌図転句帯が含まれる。
【0035】
本願明細書に記載の「未変性NO」という用語は、L-アルギニンの生物学的転換、またはL-アルギニン異存経路を経て産生された一酸化窒素を意味する。「内皮由来血管弛緩因子(EDRF)」または「内皮由来一酸化窒素(EDNO)」という用語は、「未変性NO」と同義に用いることもできる。
【0036】
本願明細書に記載の「L-アルギニン」という用語は、L-アルギニンと、NOの産生が増大するようにNOSの基質として働く、たとえば塩酸L-アルギニン、前駆体、およびその塩基型などの生化学的等価物すべてを意味する。さらに、ポリ(L-アルギニン)およびプロタミンなど、ペプチドを含有するL-アルギニンも含まれる。
【0037】
「薬学的に許容な塩」という用語は、無機酸および塩基、ならびに有機酸および塩基を含む薬学的に許容な無毒性酸または塩基から調製される塩を意味する。好適な無毒性酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、およびp-トルエンスルホン酸などの無機および有機酸が含まれる。特に好ましいのは、塩酸、臭化水素酸、リン酸、および硫酸であって、最も好ましいのは塩酸塩である。
【0038】
本願発明の方法に用いられるL-アルギニンは遊離塩基および/または塩酸であってよいので、塩は無機および有機酸、または無機および有機塩基を含む、薬学的に許容な無毒性酸または塩基から調製することもできる。そのような塩は、以下のアニオンのいずれかを含んでよい。それは、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、フマル酸、グルコン酸、臭化水素酸、塩酸、乳酸、マレイン酸、マンデル酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、ホウ酸、ジ亜臭素酸、次亜塩素酸、亜硝酸、ジ亜硝酸、二硫酸、亜硫酸、スルホン酸、二リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ジホスホン酸、過塩素酸、過亜塩素酸、シュウ酸、マロン酸、炭酸、二カルボン酸、トシル酸、過マンガン酸、マンガン酸、プロパノラート、プロパン酸、エタン二酸、ブタン酸、プロポキシド、クロム酸、ジクロム酸、セレン酸、オルトケイ酸、メタケイ酸、過テクネチウム酸、テクネチウム酸、ジメタノール酸、ジメトキシド、チオシアン酸、シアン酸、イソチアン酸、1,4-シクロヘキサンジチオール酸、オキシドブタン酸、3-スルフィドシクロブタン-1-スルホン酸、2-(2-カルボキシラートエチル)-シクロヘキサンカルボキシル酸、および2-アミノ-4-(メチチオ)-ブタン酸などである。特に好ましいのは、ベンゼンスルホン酸、臭化水素酸、塩酸、および硫酸である。そのような塩は以下のカチオンも含んでよい。それは、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、およびプロカインである。好ましくは、カチオン は水素である。
【0039】
本願明細書に記載の「アゴニスト」または「eNOSまたはcNOSのアゴニスト」という用語は、たとえばLアルギニンなどのNOに対する基質の生物学的転換を刺激する作動物質を意味する。eNOSまたはcNOSのアゴニストには、たとえばHMG-CoAレダクターゼインヒビタなどが含まれる。「HMG-CoA レダクターゼ(3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-コエンザイムA)」は、コレステロールの生合成における律速反応を触媒するミクロソーム酵素である。「HMG-CoA レダクターゼインヒビタ」は、HMG-CoA レダクターゼを阻害する。HMG-CoA レダクターゼインヒビタは、「スタチン」ともよばれる。
【0040】
当業には、天然または合成によって得られたHMG-CoAレダクターゼを阻害する「スタチン」とよばれる化合物であって、本願発明を実施するために有用なカテゴリの薬剤を形成する化合物が多数記述されている。市販されている例には、シムバスタチン(米国特許第4,444,784号)、ロバスタチン(米国特許4,231,938号)、プラバスタチンナトリウム(米国特許第4,346,227号)、フラバスタチン(米国特許第4,739,073号)、アトルバスタチン(米国特許第5,273,995号)、セリバスタチン、ロスバスタチン、およびその他コンパクチン、ダルバスタチン、メバスタチン、フルインドスタチン、ピタバスタチン、HR-780、GR-95030、CI980、BMY
22089、BMY 22566など多数が含まれ、さらにたとえば、その開示がそれぞれ引用によって本願明細書に援用される、米国特許第5,622,985号、米国特許第5,135,935号、米国特許第5,356,896号、米国特許第4,920,109号、米国特許第5,286,895号、米国特許第5,262,435号、米国特許第5,260,332号、米国特許第5,317,031号、米国特許第5,283,256号、米国特許第5,256,689号、米国特許第5,182,298号、米国特許第5,369,125号、米国特許第5,302,604号、米国特許第5,166,171号、米国特許第5,202,327号、米国特許第5,276,021号、米国特許第5,196,440号、米国特許第5,091,386号、米国特許第5,091,378号、米国特許第4,904,646号、米国特許第5,385,932号、米国特許第5,250,435号、米国特許第5,132,312号、米国特許第5,130,306号、米国特許第5,116,870号、米国特許第5,112,857号、米国特許第5,102,911号、米国特許第5,098,93 1号、米国特許第5,081,136号、米国特許第5,025,000号、米国特許第5,021,453号、米国特許第5,017,716号、米国特許第5,001,144号、米国特許第5,001,128号、米国特許第4,997,837号、米国特許第4,996,234号、米国特許第4,994,494号、米国特許第4,992,429号、米国特許第4,970,231号、米国特許第4,968,693号、米国特許第4,963,538号、米国特許第4,957,940号、米国特許第4,950,675号、米国特許第4,946,864号、米国特許第4,946,860号、米国特許第4,940,800号、米国特許第4,940,727号、米国特許第4,939,143号、米国特許第4,929,620号、米国特許第4,923,861号、米国特許第4,906,657号、米国特許第4,906,624 and 米国特許第4,897,402号に記載されるものが、それらに限定されずに含まれる。さらに、赤色酵母米抽出物も利用してよい。いずれの特定の理論にも束縛されることなく、赤色酵母抽出物は、HMG-CoAレダクターゼを、ロバスタチンと化学的に同一であってシムバスタチンに類似するメビノリンの作用によって阻害する場合がある。HMG-CoAレダクターゼを阻害するクラスの化合物のその他のメンバはいずれも、本願発明の方法に用いてよい。2種類以上のHMG-CoA レダクターゼインヒビタの組み合わせも、本願発明の方法に用いてよい。
【0041】
本願明細書に記載の「eNOS活性」という用語は、基質L-アルギニンからNOをつくり出す細胞の能力を意味する。eNOS高活性は、多数のさまざまな方法で達成することができる。たとえば、eNOSタンパク質の量の増加、または前記タンパク質の活性の増大(前記タンパク質値を一定に保ちながら)によって、高い「活性」が得られる。利用可能なタンパク質の量は、たとえであってそれらに限定されないが、eNOS遺伝子の転写の向上、eNOS mRNAの翻訳の向上、eNOS mRNAの安定性の向上、eNOSの活性化、またはeNOSタンパク質分解の低減の結果、増加させることができる。
【0042】
細胞または組織におけるeNOS活性は、さまざまな方法で測定することができる。直接的な測定法は、存在するeNOSの量を測定する。別の直接的な測定法は、組織の生理学的条件など特定の条件下での、eNOSによるL-アルギニンのL-シトルリンへの転換量、またはeNOSによる一酸化炭素産生量の測定である。eNOS活性は、たとえばmRNA半減期の測定(上流の指標)、またはNOの存在に応じた表現型(下流の指標)によって、間接的に測定することもできる。当業に用いられるある表現型測定法は、eNOS活性によって応答が影響される、アセチルコリンへの応答における、内皮依存性弛緩の測定である。サンプルに存在するするNO値は、NOメータを用いて測定することができる。前述の技術のすべては、当業者に公知である。
【0043】
NO産生の増加を引き起こすことによる本願発明の方法は、eNOS活性の正常な基準値を再設定できるだけでなく、そのような活性を正常な基準を超える値まで上昇させることができる。正常な基準値は、正常な対照群における活性の量であって、正常な対照群は年齢を制限し、内皮細胞NOS活性の改変を示唆するような症状(低酸素状態、および高脂血症など)がない群である。したがって、実際の値は選択された年齢群、および活性を評価するために用いられる測定法によって変化するだろう。異常な状況下では、内皮細胞NOS活性(およびNO産生)は、正常値よりも低い。したがって、本願発明の製剤は、そのような異常な状況下においてNO産生の正常な基準値を回復できるだけでなく、内皮細胞NOS活性(およびNO産生)を正常な基準値よりもはるかに上に上昇させることができる。
【0044】
「担体」という用語は、薬学的組成物の混合剤を調製する際に用いるための、希釈剤、および賦形剤などを意味する。
【0045】
本願明細書に記載の「投与剤形」という用語は、たとえば被験体に1回または複数回投与するなど、被験体に投与するための活性成分の適量を含有する薬学的組成物を意味する。
【0046】
本願明細書に記載の「mg/Kg」という単位は、被験体の体重1kgあたりの薬剤のmgを意味する。
【0047】
本願明細書に記載の「半減期」という用語は、他に指示のない限り、生物の血漿中の薬物濃度が、投与時の薬物濃度の約半分に減少する時間を意味する。
【0048】
本願明細書に記載の「即放性」という用語は、他に指示のない限り、1種類以上の薬物のin
vitroにおける放出を遅らせる外来性の因子がないことを意味する。
【0049】
本願明細書に記載の「薬学的組成物」、または「薬学的製剤」という用語は、本願明細書では同義で用いられ、薬学的に許容な構成物質を含む組成物を意味する。
【0050】
本願明細書に記載の「薬学的に許容な」という文言は、連邦または州政府の規制当局によって再審査され認可されうる種類の製剤か、または動物、およびより具体的にはヒトに使用するための米国薬局方もしくはその他の一般に認識される薬局方に掲載される種類の製剤を意味する。
【0051】
本願明細書に記載の「薬学的に許容な担体」という用語は、他に指定のない限り、活性成分の生物学的活性の有効性を阻害せず、投与される被験体にとって有毒ではない担体媒質を意味する。薬学的に活性な製剤へのそのような媒質および物質の使用は、当業に公知である。任意の従来の媒質または薬剤が活性化合物と適合性がない場合以外は、本願発明の方法に用いられる製剤へのそれらの使用が考慮される。
【0052】
本願明細書に記載の「薬学的に許容な塩」という用語は、無機酸および有機酸を含む、薬学的に許容な無毒性酸から調製される塩を意味する。
【0053】
本願明細書に記載の「徐放性」という用語は、他に指定のない限り、1種類以上の薬物が長時間にわたる放出パターンであって、その薬物が一定時間をかけて放出されるようなパターンとして定義される。徐放性製剤は、静脈注射後、または即放性経口投投与剤形を投与することによって得られるものよりも長時間かけた、測定可能な薬物の血清値を生じる、放出動力学を有する製剤である。徐放性製剤は、投与後の生物学的半減期が短い薬物に持続的な効果を与え、Cmax依存性の副作用を示しそうな薬物の副作用を軽減し、投与回数を減らすことによってコンプライアンスを向上させる。本願発明の目的のために、徐放性(sustained release)、持続放出性(slow release)、制御放出性、持続放出性(extended release)、持続放出性(prolonged release)、制御放出性、および持続放出性(delayed release )は、同義に用いられる。
【0054】
本願明細書に用いられる「塩または複合体」という用語は、ファンデルワールス結合、イオン結合、および/または水素結合をそれらに限定されずに含む、相互作用の少なくとも1種類によって結合する、2つ以上の化学部分を含む、化合物または組成物を表現するために用いられる。塩または複合体は、固体状、または液体状で存在してよい。
【0055】
本願明細書に記載の「重量パーセント」という用語が製剤中の成分の量を表現するために用いられる場合、その製剤中のすべての成分の重量を元にした、特定の成分の重量を意味する。
【0056】
本願発明のさまざまな局面は、以下のサブセクションでさらに詳細に説明する。
【0057】
I 製剤
本願発明には、Lアルギニンを被験体に投与することにより、その被験体における、一定体重の維持または減量の誘導、喘息、肥満および糖尿病などの肥満関連症状の治療または予防の方法が含まれる。本願発明の方法にはさらに、被験体にLアルギニンを投与することにより熱産生を誘導する方法が含まれる。ある実施態様では、前記LアルギニンはLアルギニンの徐放性製剤である。さらに、本願発明の方法には、L-アルギニンの徐放性製剤を被験体に投与することにより、本願明細書に記載のそのほかの適応症を治療および予防する方法が含まれる。
【0058】
ある実施態様では、本願発明の方法に用いられる製剤は、治療上有効な量のL-アルギニン、および少なくとも1種類の徐放性剤を含む。前記製剤はさらに、投与、保存、および審美などのためにその製剤を変更するに必要なさらなる成分を含んでもよい。ある実施態様では、本願発明の製剤には、結合剤、充填剤、および潤滑剤も含まれる。ある好適な実施態様では、前記製剤は、L-アルギニン、結合剤、1種類以上の徐放製剤、流動促進剤、および放出剤または潤滑剤を含む徐放性L-アルギニン製剤を含む。前記製剤は、充填剤および/または圧縮剤をさらに含んでもよい。本願発明の徐放性製剤は、その放出プロフィールによって即放性または市販の徐放性剤に要する用量よりも低用量で体内における薬物のレベルを同一に維持することができるために、特に有利である。
【0059】
L-アルギニンは当業者に知られる多数の供給元から市販されている。たとえば、USP級L-アルギニンは、シグマ-アルドリッチ社(ウイスコンシン州ミルウォーキー)を含むさまざまな供給元から市販されている。好適なアルギニンおよびアルギニン誘導化合物には、塩酸アルギニン、アスパラギン酸アルギニン、またはニコチン酸アルギニンなどのアルギニン塩が、それらに限定されずに含まれる。その他のアルギニン化合物または誘導体は、アラニル-L-アルギニン(ALA-ARG)、バリニル-L-アルギニン(VAL-ARG)、イソロイシル-L-アルギニン(ISO-ARG)、およびロイシニル-L-アルギニン(LEU-ARG)などのアルギニンが含まれるジペプチド、ならびにアルギニニル-リシニル-グルタミン酸(ARG-LYS-GLU)、およびアルギニル-グリシル-L-アルギニン(ARG-GLY-ARG)などのアルギニンを含むトリペプチドから選択されてよい。前記「L-アルギニンは、好ましくはL-アルギニン一塩酸塩である。
【0060】
ある実施態様では、前記L-アルギニンは、前記製剤の重量の約10%乃至約90%である。別の実施態様では、前記L-アルギニンは、前記製剤の重量の約25%乃至約75%である。さまざまな実施態様では、前記L-アルギニンは約50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89または90%である。ある実施態様では、前記L-アルギニンは、前記製剤の重量の約50、51、56、69または70%である。上述のそれぞれの範囲内の範囲はすべて、本願発明の範囲内である。
【0061】
ある実施態様では、前記製剤は、たとえば約6g未満、約5g未満、約4g未満、約3g未満、約2g未満、または約1g未満のL-アルギニンなど、約7g未満のL-アルギニンを含んでよい。たとえば、前記製剤は、約1g乃至7g、約2g乃至6g、または約3g乃至5gのL-アルギニンを含んでよい。たとえば、上述の値のいずれかの組み合わせが上限および/または下限として用いた値の範囲が含まれることを意図する。好ましくは、前記製剤は約4g未満のL-アルギニンを含む。理論によって束縛されるリスクを冒さずに、L-アルギニンの徐放性製剤は小さい用量が可能である。つまり、L-アルギニンの全量が少なくても治療効果を達成しうる。
【0062】
ある実施態様では、本願発明の製剤は、シトルリンまたは生物学的なその等価物も含んでよい。シトルリンはL-アルギニンの生物学的前駆体であって、つまり、ほとんどの内在性のアルギニンは腎臓内の処理によってシトルリンから誘導される。任意で、シトルリンが徐放性剤形の中に存在してもよい。
【0063】
1種類以上の徐放性剤を用いると、長時間にわたってL-アルギニンをゆっくり放出させることができる。たとえば、徐放性剤は、L-アルギニンの血中濃度の高低に伴う副作用を悪化させるような最高または最低濃度が生じないような速度でL-アルギニンを放出することもできる。本願発明の方法に用いられる製剤に好適な徐放性剤には、水性の環境に接触すると部分的に水和されて、水和剤がコーティングしている薬剤の溶解を妨げるゼラチン状バリアを形成する、たとえばセルロースなどの水和剤が含まれる。つまり、徐放性剤は、その製剤に水がゆっくり吸収されて水和されてから、たとえば徐放性剤を含まない製剤よりも実質的に遅い速度でL-アルギニンなどの活性成分を放出するような、水に対する一時的なバリアを形成する。さらに、前記徐放性剤はカプセルに組み入れるか、または錠剤、ピル、もしくはジェルキャップに圧縮した上で、水がゆっくりその構造に浸透してゆくように、粒子サイズの中に入っている。
【0064】
ある実施態様では、徐放性剤にはセルロースエーテル産生物、ポリメチルメタクリル酸塩、またはポリビニルアルコールがそれらに限定されずに含まれる。別の実施態様では、徐放性剤にはメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、またはそれらの組み合わせがそれらに限定されずに含まれる。好ましい実施態様では、徐放性剤には1種類以上のヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。好ましい徐放性剤は、ダウケミカル社からMETHOCEL(R)およびETHOCEL(R)という商標で市販されている。好ましい実施態様では、徐放性剤はMETHOCEL(R)K100 M CRプレミアムおよび/またはMETHOCEL(R)E 4M CR プレミアムである。
【0065】
徐放性剤は、典型的に、たとえばL-アルギニンなどの活性成分を望ましい時間にわたって放出するのに十分な量入っている。ある実施態様では、前記徐放性剤の量は、前記製剤の重量の約5%乃至40%である。別の実施態様では、前記徐放性剤の量は、重量の約5%乃至75%である。さらに別の実施態様では、前記徐放性剤の量は、前記製剤の重量の約15%乃至50%である。さまざまな実施態様では、前記徐放性剤は、約5%乃至約40%、たとえば約24%乃至約25%、約27%乃至約28%、約31%乃至約32%、および約35%である。代替的な実施態様では、前記徐放性剤は、重量の約40%乃至60%、たとえば約45%である。上述のそれぞれの範囲内の範囲はすべて、本願発明の範囲内である。
【0066】
ある実施態様では、徐放性剤は、図1に示すように、10時間かけてLアルギニンを放出する。ある実施態様では、前記製剤は約4時間乃至約24時間かけて実質的に均一にL-アルギニンを放出する。別の実施例では、本願発明の製剤は約8時間乃至約24時間かけて実質的に均一にL―アルギニンを放出する。別の実施例では、本願発明の徐放性L-アルギニン製剤は、約12時間乃至約48時間かけて実質的に均一にL―アルギニンを放出する。
【0067】
別の実施態様では、本願発明の方法に用いられる製剤は、半減期(T1/2)およびTmaxがL-アルギニンを実質的に一定値に維持するのに十分である薬物動態学プロフィールを提供するように、L-アルギニンを放出するだろう。つまり、ある実施態様では、本願発明の徐放性剤は、循環L-アルギニンの定常状態が達成され、一定値に維持されるように、L-アルギニンを放出する。ある実施態様では、前記薬物動態学的プロフィールは、T1/2が約4時間乃至約12時間であって、Tmaxが約4時間になるようなものである。さらなる別の実施態様では、T1/2は約4時間乃至約8時間であって、Tmaxは約4時間である。さらなる別の実施態様では、T1/2は約6時間乃至約9時間であって、Tmaxは約2時間である。
【0068】
前記製剤に有用な結合剤には、当業者に一般的に知られるものが含まれる。結合剤には、乳糖、ショ糖、グルコース、デキストロース、および糖蜜などの糖、アカシア、グアーガム、アルギン酸ナトリウム、トチャカ(アイリッシュ・モス)抽出物、パンワーガム(panwar gum)、ガッチガム(ghatti gum)などの天然および合成ゴムが、それらに限定されずに含まれ、その他の結合剤には、酸化ポリエチレンとポリエチレングリコールの混合物、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸、エチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、カルボマー、ゼイン、デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、ゼラチン、前ゼラチン化デンプン、ポリビニルピロリドン(PVP)、またはポビドン、ならびにその混合物が含まれる。好ましい実施態様では、前記結合剤はポリビニルピロリドンホモポリマである。
【0069】
ある実施態様では、前記結合剤は、前記製剤の重量の約20%未満である。さまざまな実施態様では、結合剤は、約0.5%乃至約10%、たとえば、約0.5%乃至約5%、約2%乃至約3%、約3%乃至約4%、約4%乃至約5%、約5%乃至約6%、約6%乃至約7%、約7%乃至約8%、約8%乃至約9%、または約9%乃至約10%である。上述のそれぞれの範囲内の範囲はすべて、本願発明の範囲内である。
【0070】
好ましい実施態様では、徐放性Lアルギニンの製剤には、流動促進剤も含まれる。流動促進剤は、たとえば二酸化ケイ素などを含む、周知のUSP級流動促進剤のいずれかであってよい。好ましい実施態様では、前記流動促進剤はコロイド状二酸化ケイ素である。
【0071】
ある実施態様では、流動促進剤は、前記製剤の重量の約3%未満である。別の実施態様では、流動促進剤は、前記製剤の重量の約2%未満である。好ましい実施態様では、流動促進剤は、前記製剤の重量の約1%未満である。
【0072】
前記製剤に有用な充填剤には、当業者に一般的に知られるものが含まれる。典型的な充填剤には、乳糖、ショ糖、デキストロース、マンニトール、およびソルビトールなどの糖、乳清、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ならびにそれらの混合物がそれらに限定されずに含まれる。その他の充填剤には、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、バレイショデンプン、ゼラチン、ガムトラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、およびそれらの混合物などのセルロース調製物が、それらに限定されずに含まれる。微結晶性セルロースも、圧縮剤および充填剤として働くことができる。好ましい実施態様では、前記充填剤/圧縮剤は微結晶性セルロースである。さらに好ましくは、前記微結晶性セルロースは、ダウケミカル社のAVICEL(R) PH 102 という名称で販売されているものである。
【0073】
ある実施態様では、充填剤は、前記製剤の重量の約50%未満である。別の実施態様では、充填剤は、たとえば前記製剤の重量の約8%乃至9%、約9%乃至10%、約10%乃至11%、約11%乃至12%、および約12%乃至13%を含む、前記製剤の重量の約2%乃至約20%である。好ましい実施態様では、充填剤は、前記製剤の重量の約10%未満である。上述のそれぞれの範囲内の範囲はすべて、本願発明の範囲内である。
【0074】
賦形剤は、前記製剤の中の固体の量を増加させるために加えることができる。しばしば組み合わせとして、本目的に有用だとわかった賦形剤には、リン酸ナトリウムまたはカリウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化ナトリウム、クエン酸、酒石酸、ゼラチン、およびデキストロース、ショ糖、乳糖、ソルビトール、イノシトール、マンニトールおよびデキストランなどの糖類、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコールなどのポリマがある。上述のものに加えて、その他にも当業に公知なものがある。
【0075】
前記製剤に有用な放出剤または潤滑剤には、当業者に一般的に知られるものが含まれる。潤滑剤は、最大の吸収と栄養の利用を確保できるように選択されてよい。典型的な潤滑剤には、ステアリン酸塩、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、水素化植物油(たとえば、水素化綿実油)、フマル酸捨てアリルナトリウム、パルミトステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、安息香酸ナトリウム、硫酸ラウリルナトリウム、硫酸ラウリルマグネシウム、鉱物油、タルク、およびそれらの混合物が、それらに限定されずに含まれる。好ましい実施態様では、潤滑油はステアリン酸マグネシウムである。好ましい実施態様では、潤滑油はステアリン酸マグネシウムである。
【0076】
ある実施態様では、前記潤滑剤は、前記製剤の重量の約20%未満である。別の実施態様では、潤滑油は、前記製剤の重量の約2%乃至約20%である。好ましい実施態様では、充填剤は、前記製剤の重量の約10%である。
【0077】
崩壊剤には、クエン酸単体、または二炭酸塩、グリコール酸デンプンナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、架橋ポリビニルピロリドン、トウモロコシデンプン、前ゼラチン化デンプン、微結晶性セルロース、アルギン酸、アンバーライトイオン交換樹脂、ポリビニルピロリドン、多糖類、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、アガー、アルギン酸ナトリウムなどのその塩、プリモゲル、およびそれらの混合物が、それらに限定されずに含まれる。
【0078】
圧縮剤は、前記製剤を錠剤、トローチ、ジェルキャップ、またはその他の固体状の投与剤形に成形することができる。ある実施態様では、前記圧縮剤は、前記製剤を錠剤、トローチ、ジェルキャップを成形することができる。圧縮剤には、アビセル(Avicel)、ステアリン酸マグネシウム、ロウ、ゴム、セレウシクス(celleusics)、ステアリン酸塩、またはそれらの混合物がそれらに限定されずに含まれる。好ましい実施態様では、圧縮剤は微結晶性セルロースである。
【0079】
ある実施態様では、圧縮剤の量は、製剤の重量の約0.01%乃至5%である。別の実施態様では、圧縮剤の量は、重量の約0.5%乃至約3%である。さらに別の実施態様では、圧縮剤の量は、前記製剤の重量の約1%乃至2%である。
【0080】
ある実施態様では、L-アルギニン製剤には、被験体の体重1kgあたり約5mg乃至約40mgを十分に満たすような単回投与量のL-アルギニンが含まれる。別の実施態様では、L-アルギニンの処方には、被験体の体重1kgあたり約20 mg乃至約25 mgに十分になるような単回投与量のL-アルギニンが含まれる。
【0081】
ある実施態様では、HMG-CoA
レダクターゼインヒビタ(ロバスタチンの天然供給源である赤色酵母米抽出物など)は、L-アルギニン製剤とともに投与することもできる。たとえば、被験体に、徐放性製剤に入れたL-アルギニン、徐放性製剤に入れたHMG-CoA レダクターゼインヒビタ(たとえばメルク&カンパニー社(ニュージャージー州ラーウェイなどから市販されている)、または徐放性製剤に入れたL-アルギニンおよびHMG-CoA レダクターゼインヒビタを含む、製剤を投与することもできる。ある実施態様では、本願発明は、少なくとも1種類のHMG-CoA レダクターゼインヒビタを同時にまたは連続して投与してもよいL-アルギニンを含む製剤であって、その製剤がL-アルギニンを長時間にわたって実質的に一定濃度で放出し、HMG-CoA レダクターゼインヒビタが即放性製剤である、製剤を包含する。別の実施態様では、本願発明は、徐放性製剤の中に高濃度のL-アルギニンが含まれる製剤であって、薬物動力学プロフィールが0次放出動力学(つまり時間に対して線形の放出速度)である、製剤を包含する。両方のクラスの薬物の放出特性は、組み合わせの1日1回の単回投与剤形への適応を可能にする放出パターンを提供するために改変してもよい。
【0082】
ある実施態様では、L-アルギニンとHMG-CoA レダクターゼインヒビタの両方が徐放性製剤の中に入っている。HMG-CoA レダクターゼインヒビタの量は、いくつかのインヒビタが他よりも有効であるために、前記製剤に入っている特定のインヒビタによって変化させることができる。たとえば、ロスバスタチンの量は1錠あたり約0.1mg乃至約0.8mgであってよく、シムバスタチンの量は1錠あたり約10mg乃至約80mgであってよく、および/または赤色酵母米抽出物は1錠あたり約1mg乃至約80mgであってよい。当業者は、用いられる特定のインヒビタによって治療用の量を決定することができるだろう。ある実施態様では、HMG-CoA レダクターゼインヒビタはシムバスタチンであって、被験体の体重1kgあたり約0.5 mg乃至約3 mgに十分な単回投与剤形の中に入っている。ある実施態様では、HMG-CoA レダクターゼインヒビタはシムバスタチンであって、被験体の体重1kgあたり約1.2 mg乃至約1.4 mgに十分になるような単回投与剤形の中に入っている。徐放性L-アルギニンとHMG-CoA レダクターゼインヒビタの併用投与は、たとえばシムバスタチンなどのHMG-CoA レダクターゼインヒビタの有効性を向上させることもできるため、本願発明の製剤の使用によって低用量HMG-CoA レダクターゼインヒビタでも有効性を等しくできる可能性もある。
【0083】
ある実施態様では、本願発明の製剤にはさらに補酵素Q10が含まれてよい。補酵素Q10(さらにCoQ10、Q10、ビタミンQ10、ユビキノン、またはユビデカレノンとしても知られる)は、体内で天然につくられる化合物である。補酵素Q10は細胞成長および維持に必要なエネルギーを産生する細胞によって使われる。さらに、体内で抗酸化剤としても使われる。スタチンは、酵素HMG-CoA レダクターゼを阻害してから、メバロン酸塩経路においてコレステロールを合成する。この経路が、必須生化学補酵素Q10を合成するためにも用いられる。したがって、スタチンに予想される主要な副作用は、心臓および骨格筋に損傷を生じる可能性のある補酵素Q10値の低下である。この影響は、たとえば筋細胞及び神経細胞など、抗代謝率を有する細胞において最も顕著であろう。したがって、補酵素Q10を提供すれば、酵素の欠乏を解消するだろう。
【0084】
本願発明の方法に用いられる製剤は、従来の薬学的調剤技術に従った薬学的担体を含んでもよい。その担体は、経口投与に望まれる製剤の形状によって、さまざまな形状をとってよい。経口投与剤形の製剤を調合する場合、有用な薬学的媒体はいずれも用いてよい。最も好ましい経口用の固体調製物は、錠剤およびジェルキャップである。代替的には、本願発明の製剤は、カプセルに組み入れられてもよい。この実施態様では、徐放性L-アルギニン粒をカプセルに組み入れてもよい。
【0085】
投与が容易であるために、錠剤およびカプセルは、固体状の薬学的担体が用いられる場合に、最も有利な経口投与単回剤形となる。錠剤またはカプセルは、同一の錠剤またはカプセル内に異なる配置でLアルギニン製剤を含有してよい。配置には、2成分が半々の錠剤またはカプセル、1つの製剤がもう1つの製剤を囲む配置、1つの製剤をもう1つの製剤に懸濁させる配置、および両方の製剤を混合した顆粒などが含まれる。望ましくは、錠剤またはカプセルは標準の水性または非水性技術によってコーティングされてもよい。
【0086】
本願発明の方法に用いられる製剤は、当業に一般に知られるものなど、その他の薬学的に許容な成分も含んでよい。Remington:the Science & Practice of
Pharmacy, by Alfonso R. Gennaro, 20th ed., Williams & Wilkins, 2000を参照。本願発明の方法に用いられる製剤に使用されるさらなる成分には、水、グリコール、油、アルコール、デンプン、糖、希釈剤、崩壊剤、保存剤、賦形剤、潤滑剤、崩壊剤、希釈剤、担体、安定剤、着色剤、着香剤、およびそれらの組み合わせが、それらに限定されずに含まれる。好適な希釈剤の例には、水、エタノール、ポリオール、植物油、オレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステル、およびそれらの組み合わせが含まれる。製剤は、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントも含んでよい。微生物の作用は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、スコルビン酸、チメロサールなどがそれらに限定されずに含まれる各種抗細菌剤および抗真菌剤によって確実に防ぐことができる。さらに、糖、塩化ナトリウムなどがそれらに限定されずに含まれる等張剤が、前記組成物に含まれることが望ましい。
【0087】
本願発明の別の実施態様では、前記製剤はさらに、少なくとも1種類の他の薬剤を併用投与してもよい。薬剤の分類の例には、アドレナリン作動薬、副腎皮質ステロイド、副腎皮質抑制剤、アルドステロン拮抗薬、アミノ酸、アンモニア解毒剤、同化剤、鎮痛剤、アンドロゲン、麻酔剤、食欲減退剤、拮抗剤、下垂体前葉抑制剤、駆虫剤、ニキビ抑制剤、高アドレナリン作動剤、抗アレルギー剤、抗アメーバ薬、抗アンドロゲン剤、抗貧血薬、抗狭心症薬、抗不安薬、抗関節炎薬、抗喘息薬、抗アテローム性動脈硬化剤、抗細菌剤、抗胆石薬、抗胆石産生薬、抗コリン作用薬、抗凝固剤、抗コクシジウム剤、抗けいれん剤、抗うつ剤、抗糖尿病薬、抗下痢薬、抗利尿薬、制吐剤、抗てんかん薬、抗エストロゲン剤、抗線維素溶解剤、抗真菌剤、抗緑内障薬、抗血友病薬、抗出血薬、抗ヒスタミン薬、抗脂質異常症、抗抗リポタンパク血症薬、降圧剤、抗感染剤、抗炎症剤、抗角化剤、抗マラリア薬、抗菌剤、抗片頭痛薬、抗分裂剤、抗真菌剤、制嘔吐剤、抗新生物薬、抗好中球減少症剤、抗強迫症剤、抗寄生虫薬、抗パーキンソン病薬、蠕動抑制薬、抗ニューモシスチス薬、抗増殖剤、抗前立腺肥大症剤、抗原虫薬、鎮痒薬、抗精神病薬、抗リウマチ薬、抗住血吸虫薬、抗脂漏薬、抗分泌薬、鎮痙剤、抗血栓薬、鎮咳剤、抗尿路結石薬、抗ウイルス薬、食欲抑制剤、良性前立腺過形成療法剤、血糖調節剤、骨吸収阻害剤、気管支拡張剤、炭酸脱水酵素阻害剤、心抑制薬、心保護剤、強心剤、心血管作動薬、胆汁分泌促進薬、コリン作動薬、コリンエステラーゼ不活性剤、抗コクシジウム剤、認識力アジュバント、抑制薬、利尿薬、ドーパミン作動薬、外部寄生虫撲滅薬、催吐剤、酵素阻害剤、エストロゲン、線維素溶解剤、蛍光剤、遊離酸素ラジカルスカベンジャ、胃腸運動エフェクタ、グルココロチコイド、生殖腺刺激原理、毛髪成長刺激剤、止血剤、ヒスタミンH2レセプタ拮抗剤、ホルモン、コレステロール低下剤、血糖降下剤、脂質低下剤、降圧剤、造影剤、免疫剤、免疫調節剤、免疫制御薬、免疫促進剤、免疫抑制剤、インポテンス治療付加物、角質溶解剤、LNRII作動薬、肝障害治療薬、黄体溶解剤、精神能力促進剤、気分調節剤、粘液溶解薬、粘液保護剤、散瞳薬、鼻充血除去剤、神経筋作動薬、神経保護薬、NMDA拮抗薬、ホルモンステロール誘導体、分娩促進薬、プラスミノーゲン活性化因子、血小板活性化因子拮抗剤、血小板凝固阻害剤、増強剤、プロゲスチン、プロスタグランジン、前立腺成長阻害因子、プロサイロトロピン、向精神薬、放射性医薬品、調整剤、弛緩薬、再分配剤、疥癬虫殺虫剤、硬化剤、鎮静剤、選択的アデノシンA1拮抗薬、セロトニン拮抗薬、セロトニン阻害剤、セロトニン受容体拮抗剤、ステロイド促進剤、抑制剤、全身性多発性硬化症、共力剤、甲状腺ホルモン、甲状腺阻害剤、甲状腺ホルモン様剤、トランキライザ、脳虚血症治療薬、ページェット病治療薬、不安定狭心症、尿酸排泄促進剤、血管収縮剤、血管拡張剤、傷薬、創傷治癒剤、またはキサンチン・オキシダーゼ阻害剤が含まれる。
【0088】
薬剤の別の例には、アンギオテンシン転換酵素阻害剤(ACE阻害剤)が含まれる。ACEは、アンギオテンシンIのアンギオテンシンIIへの転換を触媒する酵素である。ACE阻害剤には、ACEの活性を阻害することによって樹脂アンギオテンシンシステムを妨げ、抑制物質アンギオテンシンの形成を低減または欠失させる、アミノ酸とその誘導体、ジおよびトリペプチドを含むペプチド、およびACEに対する抗体が含まれる。ACE阻害剤は、高血圧、うっ血性心疾患、心筋梗塞、および腎疾患の治療に用いられている。ACE阻害剤として有用であると知られる化合物のクラスには、カプトプリル(米国特許第4,105,776号)およびゾフェノプリル(米国特許第4,316,906号)などのアシルメルカプトおよびメルカプトアルカノイルプロリン、エナラプリル(米国特許第4,374,829号)、リシノプリル(米国特許第4,374,829号)、ペリンドプリル(米国特許第4,508,729号)などのカル誤記しアルキルジペプチド、シラザプリル(米国特許第4,512,924号)およびベナザプリル(米国特許第4,410,520号)、などのカルボキシアルキルジペプチド模倣体、フォシノプリル(米国特許第4,337,201号)などのホスフィニルアルカノイルプロリン、およびトランドロプリルが含まれる。エストロゲンはNOS発現を上方調節するが、ACE阻害剤は発現には作用しないがL-アルギニンへのNOSの作用の有効性に作用する。したがって、活性は多数のさまざまな方法で上昇させることができる。一般に、本願発明のレダクターゼインヒビタによって、細胞に存在する活性酵素の量を本願発明のレダクターゼインヒビタで処理していない細胞に存在する量よりも増加させることによって、活性が増大する。
【0089】
II 予防および治療法
ある局面では、本願発明は、好ましくはL-アルギニンの徐放性製剤など、L-アルギニンを被験体に投与することによって、トリグリセリド値を低下させる方法を提供する。ある実施態様では、本願発明の方法は、被験体のトリグリセリド値を約100、90、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10または5 mg/dL 未満に低下させる(上述の値のいずれかの組み合わせを上限または下限として用いた値の範囲は、本願発明の教唆に含まれることを意図する)。
【0090】
ある局面では、本願発明は一定の体重を維持するかまたは減量を誘導する方法を提供する。別の実施態様では、本願発明は肥満または糖尿病などの肥満関連症状を治療または予防する方法を提供する。いずれの特定の理論にも束縛されることを望まないが、アルギニンを投与すると、被験体の体内で熱産生作用を誘導すると考えられている。科学文献に掲載されるデータの増加は、NOの形成の阻害が直接熱産生に影響していること示唆していること(たとえば、Kamerman et
al., Can J Physiol Pharmacol.2003 Aug; 81(8):834-8)と、NOが熱産生を促進すること(たとえばSaha et al.Jpn
J Physiol.1996 Oct; 46(5):375-382; Saha et al.Jpn J Physiol.2000 Jun;
50(3):337-342)を示唆している。一般に、分離された熱産生には、最低限のATP産生または無産生による遊離脂肪酸の酸化(つまり燃焼)が関与しており、このプロセス中に発生したエネルギーは周囲の組織に熱として消散される。熱産生には最少のエネルギー産生での脂肪酸の分解が関与しているため、熱産生は無駄が多かったり代謝が非効率的なので、その結果、体重が減少したり、体重増加が予防されたりする。確かに、脂肪酸の分解による体脂肪の減量は体重管理の重要な手法であると考えられている。L-アルギニンは熱産生を刺激して脂肪酸を分解することができるので、L-アルギニンの投与は有効な減量の方法となる。
【0091】
さらに、L-アルギニンの投与は、その他のメカニズムによって減量を生じることもある。肥満はインスリンの高値(高血糖食および飲料が原因である場合もある)、および正常以下の成長ホルモン(GH)の放出が特徴である。インスリンは脂肪と糖の貯蔵を促進するが、GHは脂肪分解(脂肪燃焼)を刺激する。インスリン/GH比は、やせたヒトよりも肥満のヒトの方が有意に高い。高インスリンと低GHの組み合わせによって、肥満は悪化する。いずれの理論にも束縛されることを望まないが、L-アルギニンはGH値を上昇させ、脂肪分解を誘発して脂肪の貯蔵を減少させる。
【0092】
本願発明の実施態様を実行する場合、L-アルギニンの徐放性製剤を被験体に投与する。理論に束縛されることを望まないが、アルギニンの徐放性製剤によって、栄養と酸素を細胞へ運ぶ流れを促進する循環L-アルギニン値が基準値を上回り、代謝と熱産生作用が向上すると考えられている。
【0093】
さまざまな実施態様において、L-アルギニンの投与は被験体の体重を約50、45、40、35、30、25、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、または4ポンド未満、減少させる。
【0094】
他の局面では、本願発明は、好ましくはL-アルギニンの徐放性製剤など、アルギニンを被験体に投与することによって、喘息を予防または治療する方法を提供する。いずれの特定の理論にも束縛されることを望まないが、アルギニンの摂取による一酸化窒素の高値が、喘息を予防または治療するために働くと考えられている。
【0095】
他の局面では、本願発明は、好ましくはL-アルギニンの徐放性製剤など、L-アルギニンを被験体に投与することによって、たとえば鎌状赤血球病などの急性胸部症候群を治療する方法を提供する。鎌状赤血球病患者の肺炎は特に重篤である場合があり、急性胸部症候群とよばれるようになった。急性胸部症候群は、鎌状赤血球病患者の罹患率の一般的な原因で、鎌状赤血球病の最大の死因である。鎌状赤血球病の急性肺損傷の重篤度には、複数の因子が関与している。いずれの理論にも束縛されることを望まないが、高一酸化窒素値は、L-アルギニン-一酸化炭素経路と鎌状赤血球病の血管閉塞との関連性により、鎌状赤血球の急性胸部症候群に好ましい影響を与える可能性があると考えられている。血管閉塞の危機の間に生じる低アルギニン値は、急性基質欠乏の状態を反映し、一酸化窒素産生の低下を招く。したがって、アルギニンの添加はNO値を上昇させるように働くだろう。
【0096】
さらに別の局面では、本願発明は、好ましくは本願明細書に開示されるL-アルギニンの徐放性製剤など、アルギニンを被験体に投与することによって、勃起不全を予防または治療する方法を提供する。いずれの特定の理論にも束縛されることを望まないが、アルギニンの摂取による一酸化窒素の高値が、勃起不全を予防または治療するために働くと考えられている。
【0097】
さらに、アルギニンは、たとえば卵巣の反応、子宮内の感受性、および妊娠率など、女性不妊を治療または予防するために利用してもよい。そのような治療は、in vitroにおいて受精候補に使用されてもよい。同様に、アルギニンは、たとえば精子形成の促進、および精子数と精子の運動性を向上させることによって、男性不妊を治療または予防するために利用してもよい。
【0098】
さらなる別の局面では、アルギニンは、間質性膀胱炎の症状を、たとえば排尿時の不快感、下腹部痛、頻尿、および膣/尿道痛などを軽減することによって、治療、予防または緩和させるために用いてもよい。
【0099】
さらに別の局面では、たとえば本願発明の徐放性製剤のアルギニンを用いて、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)および/または後天性免疫不全症候群(AIDS)の症状を治療、予防、または緩和することもできる。治療または予防法のある実施態様では、アルギニンはグルタミン、ヒドロキシメチルブチル酸塩、および/またはオメガ3脂肪酸などの必須脂肪酸とともに投与してもよい。
【0100】
本願発明によると、本願明細書に記載の徐放性製剤などのアルギニンを用いて、子癇前症を治療または予防することもできる。さらに、本願発明によると、アルギニンを用いて、身体能力を向上させることもできる。いずれの特定の理論にも束縛されることを望まないが、アルギニンは、成長ホルモンの分泌を促進して、身体能力を向上させると考えられている。
【0101】
さらに、アルギニン(たとえば、本願明細書に記載のものなどの徐放性L-アルギニン製剤など)を用いて、火傷または外傷性損傷を治療することもできる。いずれの特定の理論にも束縛されることを望まないが、火傷患者は、アルギニン酸化とその結果生じるアルギニン蓄積の減少を被ると考えられている。したがって、そのような損傷を受けた被験体にアルギニンを投与すると、アルギニン蓄積を補充することができる。ある実施態様では、アルギニンは魚油、キャノーラ油および/またはヌクレオチドとともに投与してもよい。
【0102】
さらに別の局面では、アルギニン(たとえば、本願明細書に記載のものなどの徐放性L-アルギニン製剤など)を用いて、癌を治療または予防することもできる。いずれの特定の理論にも束縛されることを望まないが、アルギニンは、癌被験体における、腫瘍の誘導の阻害、たとえば全般的なまたは化学療法中における免疫機能の維持または向上、腫瘍浸潤リンパ球の活性の促進、および/またはNK細胞とリンホカイン活性化キラー細胞毒性の化学療法誘導性抑制およびリンパ球分裂反応性の低減が行われるように作用しうる。
【0103】
本願発明によると、アルギニン(たとえば、本願明細書に記載のものなどの徐放性L-アルギニン製剤など)を用いて、さらに消化管の症状を治療または予防することもできる。たとえば、アルギニンは、胃炎または潰瘍を、たとえば充血性、血管新生、および成長促進活性を示すことによって、治療または予防するために投与してもよい。さらに、アルギニンは、胃食道逆流性疾患(GERD)または括約筋運動性障害を伴う症状を治療、予防、または緩和するために用いることもできる。
【0104】
本願発明の別の局面によると、アルギニン(たとえば、本願明細書に記載のものなどの徐放性L-アルギニン製剤など)を、さらに周術期の栄養として用いることもできる。たとえば、アルギニンは、敗血症および術後ストレスなどの異化症状において用いることもできる。いずれの特定の理論にも束縛されることを望まないが、アルギニンは、免疫調節剤として働き、免疫機能を上方調節することができ、術後感染症の発症率を低下させると考えられている。
【0105】
さらに、本願明細書に記載の徐放性製剤を含む、アルギニンは、老年性認知症を、たとえば脂質過酸化反応を低下させ、認知機能を向上させることによって、治療または予防することもできる。
【0106】
アルギニンは、女性の早産を、たとえば子宮収縮を阻害して子宮の静穏状態を維持することによって予防するために用いることもできる。
【0107】
別の局面では、本願発明は、被験体における、たとえば狭心症、うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化症、冠動脈心疾患、高血圧、および間欠性跛行などを含む、脳血管および/または心血管疾患または障害などの血管疾患または障害を、脳血管および/または心血管疾患または障害のリスクのある被験体にL-アルギニンを含む製剤を投与することによって予防する方法を提供する。脳血管および/または心血管疾患または障害(イベントを含む)のリスクのある被験体は、たとえばアテローム性動脈硬化症の素因、アテローム性動脈硬化症の症状、またはたとえば喫煙、高血圧、糖尿病、家族歴、遺伝因子、高コレステロール値、加齢、およびアルコール摂取などのリスク因子の存在によって同定することができる。
【0108】
前記疾患または障害を予防するか、その進行または発症を遅延させるように、本願発明の方法に用いられる製剤を予防剤として投与するのは、特定の適応症の発症を特徴とする症状が現れる前であってよい。
【0109】
さらに、本願発明の方法は、非対称ジメチルアルギニン(ADMA)が高値である被験体における一酸化窒素産生を増加させる、および/または血管拡張を増大させるために用いてもよい。非対称ジメチルアルギニン(ADMA)は、eNOSの内因性競合性インヒビタである。ADMAは、タンパク質のL-アルギニン残基の翻訳後メチル化によって形成され、加水分解後、タンパク質から放出される。ADMAの高値は、高コレステロール血症、高血圧、糖尿病、子癇前症、喫煙、および加齢に伴う。ADMAの上昇は、ジメチルアルギニンジメチルアミノヒドロラーゼ(DDAH)による、この物質の代謝の変化によることもある。DDAHは、ADMA異化反応に関与する主酵素である。DDAHの低値は、糖尿病および高コレステロール血症の動物モデルに認められている。
【0110】
理論に束縛されることを望まないが、ADMAの阻害作用は、L-アルギニンによって克服されると考えられている。L-アルギニン値の上昇によって、ADMAによるNOSの阻害が克服される。さらに、任意でにHMG-CoA レダクターゼインヒビタを併用してL-アルギニンを投与すると、in vitroにおいて内皮NOシンターゼ(eNOS)の発現を刺激し、in vivoにおける内皮依存性NO媒介血管拡張を促進することができる。したがって、そのような治療法は、高ADMA値の被験体における内皮機能を促進することができる。
【0111】
L-アルギニンをADMA高値の被験体に投与することによって、本願発明の方法は、一酸化窒素産生を増加させ、および/または血管拡張を増大させることができる。そのような投与によって、約5%乃至約15%、代替的には約7%乃至約12%、内皮機能を上昇させることができる。本願発明によるある実施態様では、前記被験体は内皮機能不全を有する。
【0112】
いずれの投与形態でも、送達される化合物の実際の量および本願明細書に記載の有利な薬物動態学的プロフィールを達成するために必要な投与スケジュールは、部分的に、前記化合物のバイオアベイラビリティ、治療される障害、望ましい投与量などの因子、および当業者に明らかであろうその他の因子によって変化するだろう。実際の送達量および投与スケジュールは、投与化合物および/またはその活性代謝物の血漿値を監視し、望ましい薬物動態学的プロフィールを達成するのに必要な投与量および投与スケジュールを調節することによって、必要以上の実験をすることなく、当業者が容易に決定することができる。
【0113】
本願明細書に記載の本願発明の方法に用いられる製剤、またはその薬学的に許容な付加塩または水和物は、本願発明にしたがった多様な投与経路または投与形態を用いて、望ましくない副作用を回避または低減するように、被験体に送達することができる。 ある実施態様では、その被験体は動物である。ある実施態様では、その被験体は哺乳類である。ある実施態様では、その被験体はヒトである。どのような場合にも、最も好適な経路は、治療される症状の性質および重篤度によって変化するだろう。本願発明の好ましい投与経路は経口経路である。組成物は、便利のいいように単回投与剤形になっていてよく、薬学の当業に公知の任意の方法で調製してよい。その組成物の投与のための技術および製剤は、Remington: the Science & Practice of
Pharmacy, by Alfonso R. Gennaro, 20th ed., Williams & Wilkins, 2000に見つけることもできる。
【0114】
本願発明の製剤は、たとえば熱産生の誘導、一定の体重の維持もしくは減量の誘導、肥満もしくは肥満関連障害の治療もしくは予防、または喘息の治療もしくは予防など、意図された目的を達成するのに有効な量が一般に用いられるだろう。治療上有効な量は、疾患、障害、疾患または障害に関連する症状、または疾患または症状の素因の治療に有効な量を意味する。 前述の「治療する」という用語は、疾患もしくは障害、疾患または障害の症状、または疾患もしくは障害の素因を有する被験体への治療用の物質または製剤の適用もしくは投与、または前記被験体から単離された組織への治療用物質または製剤の適用もしくは投与であって、当該適用もしくは投与の目的が、疾患もしくは障害および/またはイベントの治療、治癒、緩和、軽減、改変、改善、改善、発症の遅延、疾患もしくは障害の進行の遅延、疾患もしくは障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害および/またはイベントの素因の向上または作用である、適用もしくは投与を意味する。特に本願明細書に提示される詳細な開示をふまえた治療上有効な量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0115】
本願発明に用いるのに好適な薬学的製剤には、治療上有効な量、つまり意図される目的を達成するのに有効な量のL-アルギニンを含有する製剤が含まれる。一般に、有効な量とは、単体で、またはさらなる投与とともに望ましい応答を生じる、薬学的調製物の量である。これは、その疾患の発展の一時的な遅延だけが関与する場合もある。別の実施態様では、疾患の進行を永遠に停止させるか、またはその疾患または症状の発症を遅延させるか予防するステップが関与する。任意の疾患に投与量が与える影響は、通常の方法によって監視することができる。そのような量は、もちろん、治療される症状、その症状の重篤度、年齢、身体状態、身長および体重を含む個別の被験体のパラメータ、治療の持続時間、併用療法(ある場合)の性質、ならびに投与経路などの因子によって、健康管理者の知識および専門知識の範囲内で変化するだろう。
【0116】
一般に、活性化合物の投与量は、一日約0.01 mg/kg乃至約1000 mg/kg の範囲内であろう。 ある実施態様では、約50乃至約500 mg/kgの範囲の投与量が好適であろうと期待される。別の実施態様では、投与は経口であって、1日1乃至数回の投与である。
【0117】
別の実施態様では、前記被験体は、たとえば1日に約9g未満、約8g未満、約7g未満、約6g未満、約5g未満、約4 g未満、約3 g未満、約2 g未満、または約1 g未満の徐放性L-アルギニンなど、1日に約10g未満の徐放性L-アルギニンを投与されるだろう。たとえば、前記被験体は、一日の投与量が約1g乃至約7g、約2g乃至約6g、または約3g乃至約5gの徐放性L-アルギニンを投与されてもよい。上述の値のいずれかの組み合わせが上限および/または下限として用いられた値の範囲が含まれることを意図する。好ましくは、前記被験体は、1日に約4g未満の徐放性L-アルギニンを投与される。理論によって束縛されるリスクを冒さずに、L-アルギニンの徐放性製剤は小さい用量が可能である。つまり、L-アルギニンの全量が少なくても治療効果を達成しうる。
【0118】
もちろん、L-アルギニンの実際の量は、とりわけ、被験体の状況、ならびに被験体の体重および代謝によって変化するだろう。確かに、製剤は、とりわけ、特定の標的疾患または障害の有害作用を緩和する、つまり治療される被験体の既存の症状の発症を予防する、または緩和する、もしくは寿命を延ばすのに有効な量のL-アルギニンを含有するように、個別の条件に応じてつくられるだろう。特に本願明細書に提示される詳細な開示をふまえた有効な量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0119】
ヒトに用いられるのに治療上有効な量は、動物モデルから推測することもできる。たとえば、ヒトへの投与分は、動物において有効であると明らかな血漿濃度に達するように調剤してよい。
【0120】
治療上有効な投与分は、ヒトの薬物動態学的データから推測することもできる。いずれの理論にも束縛されることは意図しないが、有効性は投与された薬物および/またはその活性代謝物の適用投与分への被験体の全暴露量に関連すると考えられており、その量は血中濃度-時間曲線(AUC)下の面積を求めることによって決定される。したがって、治療される適応症に有効だと知られている投与分のAUCの約50%以内の投与化合物(および/またはその活性代謝物)のAUCを有する、本願発明の方法に従って投与した投与分が、有効であると期待される。既知の有効投与分のAUCの約70%、約80%、または約90%以上の範囲内の投与化合物のAUCを有する投与分が好ましい。そのような薬剤の毒性および治療上の有効性は、たとえばLD50(個体群の50%に致死的な投与量)およびED50(個体群の50%に治療上有効な投与量)など、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的方法によって決定することができる。毒性作用および治療上有効な作用の投与量の比は治療指数であって、LD50/ED50の比で表すことができる。大きい治療指数を示す製剤が好ましい。有毒な副作用を示す製剤を用いる場合、感染していない細胞に与える可能性のある損傷を最小にして副作用を減少するよう、そのような製剤を罹患組織の部位に狙わせる送達システムをデザインするように、注意が払われなければならない。
【0121】
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータは、ヒトにおける使用のための用量の範囲を決定する際に用いることができる。ある実施態様では、本願発明のそのような製剤の用量は、毒性が小さいかまたは皆無のED50を含む循環濃度の範囲内にある。前記用量は、用いられた投与剤形および使用された投与経路によって、この範囲内で変化させてもよい。本願発明の治療または予防の方法に用いられるいずれの製剤の場合も、治療上有効な投与量は、最初は細胞培養アッセイで推定することができる。1回投与量は、動物モデルにおいて、細胞培養物で決定したIC50(すなわち症状の最大半減抑制を達成する前記テスト化合物の濃度)を含む循環血漿濃度の範囲になるように調製してもよい。このような知見は、ヒトにおける有用な投与量をより正確に決定するために用いることができる。血漿濃度は、たとえば高性能液体クロマトグラフィによって測定することもできる。
【0122】
特に血中濃度および投与される化合物および/またはその活性代謝物の寿命への、上述の方法に基づく、被験体における最大の有効性を達成するような投与量の調節は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0123】
III. 製造方法
基質内のL-アルギニン顆粒の効率的および実質的な組み込みまたは適用範囲が、本願発明の組成物の徐放性の特徴を向上させることが明らかになっている。セルロース基質の場合、水と接触すると、その基質は部分的に水和され、L-アルギニンの放出速度を制御するゲル層を形成する。L-アルギニン顆粒の効率的なコーティングまたは取り込みによって、溶解に対する一時的な障壁ができて、L-アルギニンの送達時間を延長する。基質に実質的なギャップがあるために、L-アルギニンの溶解速度が速すぎる。本願発明の方法によって、直接的な圧縮によってつくられた製品よりも特性を向上させた製品ができる。さらに、本願発明の方法は、流動化分散を含む方法よりも有利である。なぜなら、これらの方法は時間がかかり高価だからである。
【0124】
効果的および効率的な適用範囲に大切なのは、本願発明の造粒、製粉、および混合の実施ステップである。図5を参照すると、好ましい実施態様では、錠剤は、L-アルギニンの造粒(ステップ110)、L-アルギニンの製粉(ステップ125、140)、残りの成分とL-アルギニンの混合(ステップ145、150、155)、および成分を錠剤に整形する圧縮(ステップ160)のステップを含む方法に従って製造される。好ましくは、前記方法には成分のスクリーニング(ステップ105)および/または製粉ステップ中のL-アルギニンの乾燥(ステップ135)のステップのいずれかまたは両方も含まれる。
【0125】
使用前に成分をスクリーニングする場合(ステップ105)、20番および/または30番メッシュのふるいを一部またはすべての成分に用いることができる。好ましい実施態様では、顆粒をスクリーニングしてから造粒(ステップ105)および製粉する。スクリーニングによって、コーティングおよび/または圧縮に有利な範囲の小さい顆粒サイズ分布の顆粒が得られる。
【0126】
造粒ステップは、より均一な粒子を得る上で有利である。活性剤は、当業に知られる好適な方法のいずれかを用いて、ペレット状または顆粒状にすることができる。ペレット化または顆粒化は、一般に、小さい粒子を、元の粒子が同定可能でありながら自由流動状態である大きく永久的な凝固体にする造粒プロセスであると定義される。顆粒化の前に、結合剤を造粒プロセスを向上させる活性剤に加えることができる。その他の添加物を、造粒中に加えることもできる。これらには、たとえば、甘味剤、着香剤、着色剤、抗酸化剤などが含まれる。
【0127】
任意で、水またはその他の溶媒を、造粒プロセスを促進するために加えることができる。加える水または溶媒の量は、たとえば、造粒プロセスの選択によって変化し、当業者は容易に決定することができる。水またはその他の溶媒は、造粒プロセス中の任意の好適な時点で加えてもよい。たとえば、結合剤を溶媒(たとえば水)と混合して造粒剤をつくり、その造粒剤を活性剤にスプレーすることができる。代替的には、造粒剤の粘性が高すぎて活性剤に均一にスプレーできない場合、結合剤と活性剤を最初に混合し、水またはその他の溶媒をスプレーして、活性剤顆粒またはペレットの均一なパターンをつくるのが望ましい。
【0128】
いずれの好適な造粒方法も、活性剤を含む粒子を作製するために用いることができる。湿潤造粒法および/または乾燥造粒法を用いることができる。
【0129】
乾燥造粒とは、熱および溶媒を使用しない製剤の造粒を意味する。乾燥造粒技術には一般に、スラッギングまたはローラー圧縮が含まれる。スラッギングは、製剤を乾燥混合させるステップと、製剤を圧縮機で大型の錠剤またはスラグに圧縮するステップからなる。得られた錠剤またはスラグを製粉し、顆粒を得る。ローラー圧縮はスラッギングと似ているが、ローラー圧縮では、打錠機ではなくローラー圧縮装置を用いる。たとえば、Handbook of
Pharmaceutical Granulation Technology, D. M. Parikh, eds., Marcel-Dekker, Inc.
pages 102-103 (1997)を参照。乾燥造粒技術は、たとえば活性剤が熱または溶媒に感受性がある場合には有用である。
【0130】
代替的には、湿潤造粒を用いることができる。湿潤造粒の場合、典型的には顆粒の大きな凝集体を提供するために、溶媒および結合剤を製剤に添加する。造粒中の温度は一般的に、製剤のいずれの成分の融点も超えないような、いずれの好適な温度にも設定することができる。典型的には、その混合物の造粒は、約35℃乃至約65℃で約20分乃至約90分間行う。好ましい実施態様では、混合物の造粒は、20分未満、より好ましくは約1乃至約10分間、室温で行う(例11参照)。それから、典型的にその顆粒を好ましい時間(たとえば1時間以上)空気乾燥させる。
【0131】
好ましくは、活性成分の造粒は、高剪断ミキサー造粒(HSG)または流動床造粒(FBG)による。これらの造粒プロセスはどちらとも拡大された顆粒またはペレットを提供するが、使用する装置とプロセス操作のメカニズムが異なる。これらの造粒技術は、市販の装置を用いて行うことができる。
【0132】
HSGの場合、混合と湿潤マシング(massing)は、インペラとチョッパによる高度な機械撹拌によって行われる。湿潤物質の混合、緻密化、および凝集は、インペラによる剪断および圧縮力によって行われる。チョッパの主な機能は、塊を小さい断片に切断し、液体結合剤の分散を促進することである。液体結合剤は、液体の分布がより均一になるように、ボウルの中に注ぎ入れるか、粉末の中にスプレーする。
【0133】
一方で、流動法では、微細な固体に気体を接触させて液様状に転換するように操作する。ある気体速度で、液体が粒子を支え、エントレインメントのない運動の自由を与えるだろう。そのような流動床は、激しい乱れ運動の中にある固体粒子を有する、激しく沸騰する液体に似ており、気体速度とともに増加する。したがって、流動床造粒は、大きな顆粒を形成するために流動粉末上に結合剤溶液をスプレーして、流動床の中に顆粒を作製するプロセスである。結合剤溶液は、たとえば好適な状態(たとえば上部または下部)のいずれかに配置した吹きつけ器からスプレーすることができる。スプレー位置およびスプレー速度は、使用する活性剤および結合剤の性質によって変化させてよく、当業者によって容易に決定される。
【0134】
本願発明にしたがった好ましい方法の場合、L-アルギニンの造粒(ステップ10)には、L-アルギニンをポビドンなどの結合剤と予め混合して混合物をつくるステップ(ステップ115)、および造粒器の中でその混合物と造粒剤(造粒賦形剤)を造粒するステップ(ステップ120)が含まれる。造粒剤は、たとえば純粋に溶解したポビドンなどであってよい。好ましくは、Niro PMA 65 高剪断造粒器などの高剪断造粒器を用いる。造粒器を用いて、L-アルギニンと結合剤を混合し、混合物上に造粒賦形剤をスプレーしながらその混合物を造粒することができる。
【0135】
前記製剤の1つ以上の成分を造粒した後、任意で、造粒した製剤を製粉する。製粉は、好ましい市販の装置のいずれかを用いて行うことができる(たとえば0.039インチのふるいを装備したCoMil)。ふるいのメッシュサイズは、望ましい顆粒サイズによって選択することができる。造粒された活性剤を製粉してから、必要な場合にはさらに乾燥させてもよい(たとえば空気中で)。
【0136】
好ましい実施態様では、当業に高値の技術に従ったL-アルギニンの製粉には、湿潤顆粒または湿潤製粉の製粉(ステップ125)、顆粒の乾燥(ステップ130)、および乾燥顆粒または乾燥製粉の製粉(ステップ140)のステップが含まれる(一般に、引用をもってその内容を援用する米国特許第5,145,684 号、応酬特許出願第498,482号)。CoMilなどの製粉装置は、前記顆粒の湿潤製粉および乾燥製粉のために用いることができる。ある実施態様では、前記製粉器には、湿潤製粉用‘375Q ふるい、および乾燥製粉用'062Rふるいが装備される。乾燥ステップは、たとえばエアロマティック S-2 液床乾燥器などの床乾燥器の中で、たとえば
などの望ましい乾燥減量(LOD)値まで顆粒を乾燥させることによって実施することができる。乾燥ステップは、望ましいLODに達するまで、徐々に実行することができる(ステップ135)。
【0137】
L-アルギニンと残りの成分を混合するステップには、前混合ステップ(ステップ145)、混合ステップ(ステップ150)、および最終混合ステップ(ステップ155)が含まれてよい。前混合ステップには、L-アルギニン/ポビドン顆粒と、たとえば微結晶性セルロースおよびコロイド状二酸化ケイ素などの充填剤および流動促進剤を混合するステップを含んでよい。前混合ステップは、たとえば8クオートVブレンダなどで、約5分間25rpmで混合することによって実行することができる。混合ステップには、たとえば1つ以上のヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの1つ以上の徐放性剤と、微結晶性セルロースなどの充填剤をこの混合物に加えるステップを含んでもよい。混合ステップは、たとえば2立方フィートVブレンダなどで、約20分間25rpmで混合することによって実行することができる。最終混合ステップには、たとえばステアリン酸マグネシウムなどの放出剤/潤滑剤を2立方フィートVブレンダで混合するために加えるステップと、約5分間25rpmで混合するステップを含むことができる。
【0138】
上述の製剤を調製してから、前記製剤を錠剤に圧縮する(ステップ160)。この錠剤の成形は、圧縮力を用いたまたは用いない好適な方法のいずれかを用いて行うことができる。たとえば、造粒ステップ後の製剤の圧縮は、任意の錠剤プレス(たとえば0.748” x 0.380”楕円形凸状平面工具を装備したマネスティ・ベータプレス)を用いて実行することができ、好ましくは、製剤組成物を流動促進剤で十分になめらかにした場合である。このステップに作用する代替的な方法は数多く利用でき、本願発明は任意の装置の使用によって制限されることはない。圧縮ステップは、回転型錠剤プレス機を用いて行うことができる。回転型錠剤成形機は、錠剤を形成する複数の貫通孔または金型を有する回転板を有する。製剤を金型に挿入し、その後圧縮成形する。
【0139】
代替的には、錠剤を成形によってつくることもできる。成形錠剤は、不活性液体状希釈剤で湿潤させた粉末状の化合物の混合物を、好適な機械で成形して作製してよい。
【0140】
錠剤の直径および形状は、造粒組成物の成形および圧縮のために選択した鋳型、金型、および穿孔器によって変化する。錠剤は、円盤、長円形、楕円形、円柱、および三角形などであってよい。錠剤は、割りやすいように折れ線をつけてもよい。表面の上面または下面にシンボルまたは文字を凸状または凹状に型押しすることもできる。
【0141】
圧縮力は、錠剤製品に望まれる物理的特性(たとえば、望ましい硬度、もろさなど)、望ましい錠剤の外見および大きさなどによって、プレスのタイプ/モデルに基づいて選択することができる。典型的には、適用される圧縮力は、圧縮される錠剤が少なくとも約2kpの硬度を有するような力である。このような錠剤は一般に、使用者による包装、輸送、または扱いに十分な硬度および強度を提供する。望ましくは、錠剤の硬度を上げるために、高い圧縮力を錠剤にかけることができる。しかし、圧縮力は好ましくは、錠剤の活性剤含有粒子を変形(たとえばひび割れまたは破損)させないように選択する。好ましくは、適用される圧縮力は、圧縮される錠剤が少なくとも約10kpの硬度を有するような力である。ある実施態様では、錠剤を約3kp乃至約7kp、任意に約3kp乃至約5kp、または約3kpの硬度に圧縮することが好ましい場合がある。
【0142】
典型的には、最終的な錠剤の重量は約50mg乃至約2000mg、より典型的には約200mg乃至約1000mg、または約400mg乃至約700mgだろう。
【0143】
本願発明の製剤、およびその製剤の製造方法は、徐放性L-アルギニン組成物に、特有の利点を与える。特に、本願発明の製剤および方法によって、望ましい徐放性溶解プロフィールを実現する組成物ができる。任意に、徐放性L-アルギニン製剤は、in vitroの薬物放出が少なくとも14時間持続し、好ましくは約1時間経過時点で約10%乃至約40%、約4時間経過時点で約30%乃至約70%、約6時間経過時点で約55%乃至約75%、約8時間経過時点で約65%乃至約85%、約12時間経過時点で約75%乃至約95%、および約14時間経過時点で約80%乃至約100%である。図7に示されるとおり、本願発明の製剤はそのような最適な溶解を実現する。さらに、例11および例17に示すように、溶解と安定性の研究は、本願発明の製剤が、製造から1および2ヶ月後でも最適な溶解プロフィールを示すことを実証する。
【0144】
さらに、本願発明の製剤および方法によって、過度にもろすぎないL-アルギニンの徐放性組成物ができる。さらに、本願発明の製剤および方法によって、その組成物が便利に製造できるほど十分に圧縮可能なL-アルギニンの徐放性組成物ができる。
【0145】
望ましくは、その他の変更を錠剤の実施態様に組み込むことができる。たとえば、本願発明の錠剤の基質を通る活性剤の放出の変更も、たとえばアンバーライトIRP-69などと複合させたイオンイオン交換複合体など、さまざまなコーティングの利用など、既知の技術によって実行することができる。本願発明の錠剤は、胃腸の運動性を低下させる薬剤などを含むか、またはそのような薬剤と併用投与することもできる。前記活性剤を変更して、酵素または加水分解による切断などによってin vivoにおいて活性合成物を遊離するであろう、生物学的に活性な化合物の化学修飾によるプロドラッグを生成することもできる。さらなる層またはコーティングは、拡散障壁として働き、薬物放出の速度とタイミングを制御するさらなる手法を提供することもできる。
【0146】
HMG CoAレダクターゼインヒビタ(たとえばシムバスタチン)および/またはさらなる薬剤が含まれている場合、好ましくはこれらの薬剤は混合ステップにおいて加える(ステップ145、150、155)。錠剤が徐放性L-アルギニン製剤とHMG-CoA レダクターゼインヒビタ製剤を含む場合、その錠剤は、徐放性L-アルギニン製剤の中心核と、少なくとも1つのHMG-CoA レダクターゼインヒビタを含む製剤の第2の外被またはコーティングを有してよい。代替的には、その錠剤には、たとえば徐放性L-アルギニン製剤などのL-アルギニン製剤と、HMG-CoA レダクターゼインヒビタが、1つの面を共有するように含まれてもよい。
【0147】
L-アルギニンがHMG-CoA レダクターゼインヒビタと連続してまたは同時に投与される場合、各錠剤、カプセル(cachet)、トローチ、またはカプセル(capsule)は、約0.01mg乃至約200mgのHMG-CoA レダクターゼインヒビタを含有する。HMG-CoA レダクターゼインヒビタの量は、使用されるHMG-CoA レダクターゼインヒビタによって変化するだろう。
【0148】
本願発明の別の局面では、たとえば本願明細書に記載の熱産生の誘導、減量の誘導、一定体重の維持、肥満または糖尿病などの肥満関連障害の治療または予防、喘息の治療または予防などの各種適応症の治療のための組成物を、食物の状態で提供する。好ましくは、この食物は処方用健康バーなど棒状である。食物を用いることによって、錠剤1錠に組み込むことができる量よりも大量のLアルギニンを供給することができる。たとえば1錠にL-アルギニンを1gより多く組み込むことは難しい。したがって、1gを超えるL-アルギニンを送達するためには、複数の錠剤が必要である。本願発明は、1gを超えるL-アルギニンおよび必要なその他の作用物質を提供することができるバーを提供する。ある実施態様では、前記L-アルギニンを、たとえばL-アルギニンの即放性顆粒など、即放性製剤として添加する。好ましくは、前記バーには、たとえばL-アルギニンの徐放性顆粒などを含む、徐放性製剤が含まれる。好ましい実施態様では、前記顆粒には、たとえば味付けコーティングなどの矯味成分が含まれる。別の実施態様では、前記バーはさらに、シムバスタチンなどのHMG-CoAレダクターゼインヒビタなどのさらなる薬剤を含む。さらに、赤色酵母米抽出物が健康バーに組み込まれてもよい。赤色酵母米は、ロバスタチンの天然の供給源である。L-アルギニンとスタチンを食物賦形剤形の中で混合すると、抑制が生じて、その製剤の投与が容易になる。さらに、食物を利用すると、高用量が望ましい場合にも、L-アルギニンの錠剤をたくさん服用する必要性が低くなる。ある実施態様では、前記食物バーにはさらに補酵素Q10が含まれる。
【0149】
ある実施態様では、そのバーはL-アルギニンを約1乃至約10g有する。好ましい実施態様では、バーは、1本あたり合計約4gのL-アルギニンまたはその塩を、糖、果物成分、タンパク質およびビタミン並びにミネラルと一緒に有するように提供される。バーの重さは約25乃至約100gの範囲内である。あるプロセスでは、バーは、高温で糖および果物ペーストと混合してから、低温でシロップと微少成分を混合して作製する。シロップに微少成分を混合してから、L-アルギニンを特にタンパク質増量剤とともに加え、その後、増量剤と、特に果物片またはその他の望ましい質感および香りを提供する食用成分などの食物剤、ならびに大豆タンパク質を加える。得られた生産物は保存安定性で、望ましい感覚刺激特性を有するので味がよく、L-アルギニンとの成分の組み合わせが健康的である。L-アルギニンおよびL-リシンを有する健康バーの製造のための方法および製剤は、その内容全体が引用により援用される米国特許第6,063,432号に記載される。任意で、約1乃至約80g、好ましくは約10mgのシムバスタチンまたは赤米酵母抽出物を、L-アルギニンの添加時に同時に加えてもよい。任意で、約1乃至約100 mg、好ましくは約10mgのCo Q10 を、L-アルギニンまたは赤米酵母抽出物の添加時に同時に加えてもよい。
【0150】
本願発明の別の局面は、上述のバーの製造方法である。その方法には、上述のとおり、図5、ステップ110に関連するL-アルギニンの造粒ステップが含まれるだろう。好ましくは、造粒ステップには、前混合ステップ(ステップ115)と造粒ステップ(ステップ120)が含まれるだろう。好ましくは、前記方法には上述の湿潤製粉ステップ(ステップ125)も含まれる。そのようなバーは、上述など、適切な賦形剤とL-アルギニンを湿潤造粒することによって得られるだろう。得られる顆粒は、そのまま用いるか、または矯味セルロース剤でコーティングされるだろう。
【0151】
本願発明は、以下の実施例によってさらに具体化されるが、それらは本願発明を制限するものと解釈されてはならない。本願明細書全体に引用されている参考文献、特許、および公開済みの特許出願すべての内容は、引用によりその全体を本願明細書に援用する。
【実施例】
【0152】
例1:錠剤状製剤1
約250gのL-アルギニンをミキサーに入れて、100RPMでゆっくり混合し、100gのEUDRAGIT RS 30D 低浸透率メタクリル酸水性ポリマー分散液(Rohm America社、ニュージャージー州ピスカタウェイ)を加えて湿潤塊をつくった。湿潤塊を18乃至20のふるいに通して、50℃で24時間乾燥させた。得られた乾燥L-アルギニン顆粒(250g)を84gのメトセル K100 M CR メチルセルロース(ダウケミカル社、コネチカット州ダンベリー)および3gのステアリン酸マグネシウムと乾燥状態で混合し、混合物をつくった。得られた混合物を、7/16凹面穿孔機を用いて錠剤状に圧縮した。
【0153】
例2:錠剤状製剤2
250gのL-アルギニンをミキサーに入れ、ゆっくり混合し、84gのメトセル K100 M CR メチルセルロース、および3gのステアリン酸マグネシウムを加えた。得られた混合物を、7/16凹面穿孔機を用いて錠剤状に圧縮した。
【0154】
例3:カプセル状製剤1
250gのL-アルギニンをミキサーに入れて、ゆっくり混合し、100gのEUDRAGIT RS 30D 低浸透率メタクリル酸水性ポリマー分散液を加えて湿潤塊をつくった。湿潤塊を18乃至20のふるいに通して、50℃で24時間乾燥させた。得られた乾燥L-アルギニン顆粒(250g)を84gのメトセル K100 M CR メチルセルロースおよび3gのステアリン酸マグネシウムと乾燥状態で混合し、混合物をつくった。得られた混合物を00ゲルカプセルに入れた。
【0155】
例4:カプセル状製剤2
250gのL-アルギニンをミキサーに入れ、ゆっくり混合し、84gのメトセル K100 M CR メチルセルロース、および3gのステアリン酸マグネシウムを加えた。得られた混合物を00ゲルカプセルに入れた。
【0156】
例5:錠剤状製剤3
250gのL-アルギニンと50gのメトセル
K100 M CR メチルセルロースを混合し、Kitchen Aid(R)ミキサーを低速で10分間使用してホモジナイズして、乾燥混合物をつくった。乾燥混合物に、115gのEUDRAGIT RS 30D 低浸透率メタクリル酸水性ポリマー分散液を5gずつ増加して、塊を均一に湿潤させた。湿潤塊を12メッシュのふるいに通してから20メッシュのふるいにかけ、次いで24時間30℃で乾燥させて、湿潤物の含有率を重量の1%にした。得られた乾燥L-アルギニン顆粒を7gのステアリン酸マグネシウムと乾燥混合し、ベータマネシープレスを用いて圧縮し、7/16凹面穿孔機を使用して錠剤にした。
【0157】
例6:カプセル状製剤3
500gの遊離塩基性アルギニンと30gのコリドン30を4分間混合した。15gのコリドン30を63.3gの精製水に溶解した溶液を調製した。この溶液をミキサーに加えて、6.5分回転させて混合した。それから、この顆粒を乾燥させた。約5gのシリカqsを、混合器の中の顆粒に加えた。375 g のメトセル
K100M PCR と75gのメトセル E4M CR を加えて、前と同様混合した。この物質を上述のとおりカプセルに封入した。
【0158】
例7:カプセル状製剤4
500gの遊離塩基性アルギニンと30gのコリドン30を4分間混合した。15gのコリドン30を63.3gの精製水に溶解した溶液をミキサーに加えて、6.5分回転させて混合した。この顆粒を乾燥させた。約5gのシリカqsを、混合器の中の顆粒に加えた。137.5 g のメトセル
K100M PCR と37.5 gのE4M CR を混合器に加えて、前と同様に混合した。この物質を上述のとおりカプセルに封入した。
【0159】
例8:L-アルギニン製剤
50.75%のL-アルギニン塩基と3.5%コリドン30、27.5%のメトセルK100M PCR、7.5% のメトセルE4M
CR、10.25% のMCC 102および0.5% 二酸化ケイ素を含むL-アルギニン製剤を上述の技術で作製した。
【0160】
さらに、55.9%のL-アルギニン塩基と3.1%コリドン30、24.6%のメトセル K100M PCR、6.7% のメトセル
E4M CR、9.2% のMCC 102および0.46% 二酸化ケイ素を含むL-アルギニン製剤を上述の技術で作製した。
【0161】
70%のL-アルギニン塩基、2.8%コリドン30、21.7%のメトセルK100M PCR、および5.5% のメトセルE4M
CRを部分的に含む別のL-アルギニン製剤を同様の技術で作製した。
【0162】
例9:徐放性錠剤の製造
約1000gのL-アルギニンと約200gのメトセル K100 M CR メチルセルロースをGP-1高剪断ミキサー(造粒機)で、約5分間、100RPMで混合した。それから、約138gのEUDRAGIT RS 30D 低浸透率メタクリル酸水性ポリマー分散液を、200RPM、圧力1.5バールで稼働するインペラに加える。その混合物質を200 RPMで1分間、粒状化した。それから、顆粒をMP-1液床造粒機に入れて、内部温度45℃、気流100 CMH 、湿度約2%で乾燥させた。それから、55Rサイズのふるいと90%の速度の円形インペラを有するComil 197S を使って製粉した。8VQt. ブレンダの中で、約27gのステアリン酸マグネシウムを製粉した顆粒に加えて、2分間混合した。その後、その物質を、7/16” 標準凹面装置を有するベータマネスティプレスを使って、硬度が最高になるように、標的重量682.5mgの錠剤に圧縮した。その錠剤を、75 cc HDPE ボトルに1瓶あたり60錠、手作業で詰めた。
【0163】
BioEnergy社(ニュージャージー州ワレン)から購入した市販の徐放性L-アルギニン錠剤に対するこの錠剤の放出プロフィールを、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)を使って作成した。図7は、双方の製剤の放出プロフィールを示すチャートである。
【0164】
例10:L-アルギニンの薬物動態の評価
L-アルギニン徐放性錠剤と即放性カプセルの薬物動態を評価するランダム化4方向交差研究を、絶食条件下の健康成人志願者14人について行った。本願明細書に用いる「健康」は、心血管リスク因子のない高コレステロール血症ではない被験体を意味する。この研究は、例9の徐放性L-アルギニン錠剤(L-アルギニン SR)と、モンティフ社(カリフォルニア州ロサンゼルス)から購入した市販の即放性L-アルギニンカプセル(L-アルギニンIR)を比較した。
【0165】
研究の目的は、徐放性L-アルギニンの薬物動態学的パラメータを決定することだった。以下の表1に示されるとおり、各薬物動態学的パラメータについて行った両側対応t検定のp値に基づき、Cmaxと Tmaxについて、治療法の間に統計学的に有意な差があった。予想通り、徐放性L-アルギニン錠剤は、即放性カプセルと比較して、Cmax は低く(24.1 ug/mLに対して14.9 ug/mL )、Tmax は長かった(1.4時間に対して4.4時間)。
【0166】
【表1】
【0167】
例11: 改良した徐放性L-アルギニン錠剤の製造
表2は、改良した徐放性錠剤を製造するために集めた成分と、各成分の使用量の一覧である。
【0168】
【表2】
【0169】
ステアリン酸マグネシウム以外のすべての成分は、20番メッシュのふるいにかけた。ステアリン酸マグネシウムは、30番メッシュのふるいにかけた。ポビドン(ポリビニルピロリドン)のほぼ半分を精製水に溶解し、造粒剤として取っておいた。L-アルギニンとポビドンの残りをNiro PMA 65高剪断造粒機に入れて4分間乾燥混合し、その後、そこに造粒剤をスプレーして、約6.5分間かけて造粒した。その後、湿潤顆粒を、'375Qふるいを有するCoMil製粉機で製粉した。それから、製粉した顆粒を、エアロマティックS-2液床乾燥機で、LODが3%未満になるまで乾燥させた。その後、乾燥顆粒を、'062Rふるいを有するCoMil製粉機で製粉した。微結晶性セルロースとコロイド状二酸化ケイ素のほぼ半分を、8クオートVブレンダで5分間、25rpmで混合し、2立方フィートのVブレンダに移した。その後、微結晶性セルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースの残りも2立方フィートVブレンダに加え、20分間25rpmで混合した。それから、ステアリン酸マグネシウムを2立方フィートVブレンダに加えて、約5分間25rpmで混合した。最後に、その混合物を、0.748x0.380” 長円形、凸状、平面装置を有するマネスティベットプレスを使って、標的重量1000mgの錠剤に圧縮した。図6はこの方法の概略的なフロー図である。
【0170】
標準工程管理試験および仕様を、製造工程中に用いることができ、本例に用いられるものを以下の表3に記載する。
【0171】
【表3】
【0172】
標準放出法および仕様を用いることができ、本例に用いられるものを以下の表4に提供する。
【0173】
【表4】
【0174】
さらに、本研究は、本願発明の徐放性L-アルギニン製剤のもろさと内容物の均一性を含む、望ましい物理的特性を実証した。
【0175】
【表5】
【0176】
例12:シムバスタチンがある場合、ない場合のL-アルギニンSR、およびL-アルギニンSRがある場合、ない場合のシムバスタチンの薬物動態の評価
シムバスタチンがある場合、ない場合のL-アルギニンSR、およびL-アルギニンSRがある場合、ない場合のシムバスタチンの薬物動態を調べた。例9のL-アルギニンSR錠剤を、BioEnergy社(ニュージャージー州ワレン)から購入した市販のシムバスタチン錠剤とともに用いた。
【0177】
表6に見られるとおり、各薬物動態学的パラメータについて行った両側対応t検定のp値に基づき、Cmax、AUC0-10、およびTmaxについて、治療法の間に統計学的に有意な差はなかった。表7に示されるとおり、L-アルギニンSRは、シムバスタチンの単回投与量の薬物動態への統計学的に有意な作用はない。
【0178】
【表6】
【0179】
【表7】
【0180】
例13: マウスにおける梗塞サイズへのシムバスタチンとL-アルギニンの併用投与の効果
梗塞サイズへのシムバスタチンとL-アルギニンの併用投与の効果をマウスで調べた。マウスに、図3に示した量、食塩水に溶解したシムバスチン、ならびにシムバスチンとL-アルギニンを含む腹腔内注射を投与した。図2および図3に、これらのマウスと対照群の梗塞サイズを比較した結果を示す。
【0181】
例14:シムバスチンとL-アルギニンの併用投与量の最適化
シムバスタチンとL-アルギニンの併用投与量の最適化をマウスで調べた。図4に示すとおり、マウスに各種レベルのシムバスタチンとL-アルギニンを注射した。本研究の結果も図4に示す。統計解析は、組み合わせの最適な範囲は1.2乃至1.4mg/Kgのシムバスチンと約20乃至25mg/KgのL-アルギニンだと予測した。
【0182】
例15:高ADMA値の被験体における、シムバスタチンによる内皮依存性血管拡張の向上はL-アルギニンの徐放の併用によって促進される
スタチンは、in vitroにおいて内因性NOシンターゼ(eNOS)の発現を刺激し、in vivoにおける内皮依存性NO媒介血管拡張を促進する。非対称ジメチルアルギニン(ADMA)は、eNOSの内因性競合性インヒビタである。高血漿ADMA値の存在は、内皮の機能障害に関連する。高ADMA被験体において、ADMAの阻害作用を補助的なL-アルギニン徐放が克服する場合のみ、シムバスチンが内皮機能を促進することが明らかになった。
【0183】
臨床的に無症候性で高ADMA値の高齢被験体15人に、ランダム化された順序で、シムバスチン(40 mg/日)、例11に記載の通り調製したL-アルギニン徐放剤(3 g/日)、またはその両方の組み合わせを、それぞれ3週間投与し、治療と治療の間には少なくとも3週間のウォッシュ・アウト期間を設けた3期間交差デザインにした。内皮依存性血管拡張の評価は、コンピュータ支援画像解析法を用いて、上腕動脈超音波によって行った。ADMAおよびL-アルギニン血漿濃度は、有効HPLC法で決定した。
【0184】
研究を完了した15被験体の解析から、徐放性L-アルギニン単体、またはシムバスタチンとの併用、どちらの場合も、治療前測定と比べて内皮依存性血管拡張の割合が増加することが明らかになった。この組み合わせの、内皮依存性血管拡張の治療前の割合からの変化は、シムバスタチン単体に認められたものと比較して、3.87%有意に増加した(p<0.025)。この組み合わせと徐放性L-アルギニン単体の内皮依存性血管拡張の割合の変化の差は、小さかった。ニトログリセリンによる内皮依存性血管拡張は、この治療のいずれにも影響されなかった。L-アルギニン徐放は、それ単体でも、またはシムバスタチンとの併用でも、血漿L-アルギニン/ADMA比を有意に向上させた(基準値82.3±4.0に対して、それぞれ. 102.8±9.2および102.6±10.8、それぞれp<0.05)。これらの結果を、図8にまとめる。
【0185】
シムバスチンは、高ADMA値によってeNOSが阻害されている被験体の内皮機能を促進しないが、シムバスチンと経口L-アルギニン徐放剤の組み合わせは、内皮機能に相乗効果を有する。NO媒介作用は、スタチンの治療効果に主要な役割を果たしているかもしれず、L-アルギニン徐放性剤との組み合わせは、高ADMA濃度の被験体に考慮されるべきである。
【0186】
例16:L-アルギニン徐放性剤によるコレステロールおよびトリグリセリド値の改善
例15に記載の研究において、総コレステロール(TC)、LDLコレステロール、HDLコレステロール、およびトリグリセリドの変化を、治療前と治療後に解析した。表8乃至10は、表示された方法によるトリグリセリド値の治療の結果を示す。
【0187】
【表8】
【0188】
【表9】
【0189】
【表10】
【0190】
表6乃至8は、表示された方法による治療の結果得られた、総コレステロール値、低密度リポタンパク質コレステロール値、および高密度リポタンパク質コレステロール値の変化を示す。
【0191】
【表11】
【0192】
【表12】
【0193】
【表13】
【0194】
本解析の結果を、グラフにして図9に示す。結果が実証するように、徐放性L-アルギニンの投与によってトリグリセリド値が低下する。
【0195】
例17:徐放性塩酸アルギニン 500mg錠中の塩酸アルギニンの溶解放出のHPLCによる測定
移動相を以下のように調製した。最初に、pH3.3緩衝溶液1Lを、1-ペンタンスルホン酸ナトリウム塩一水和物約0.9g、およびリン酸ナトリウム一塩基酸一水和物3.5gを好適な容器に入れて計量して調製した。脱イオン水約100mLを加えて溶解した。リン酸を加えて、pHを3.3に調整した。次に、pH3.3緩衝液850mLをメタノール150mLと合わせて好適な容器に入れ、混合した。その混合物を0.45ナイロン膜フィルタでろ過した。最後に、使用前にその混合物を脱気した。
【0196】
溶媒(50mMリン酸緩衝液、pH6.8)を以下の通り調整した。最初に、20mLの10M NaOHをピペットで1000mL容量フラスコに入れ、脱イオン水で希釈して0.2M NaOHを調製した。次に、リン酸二水素カリウム無水物54.44gを計量して好適な容器に入れ、2000mLの脱イオン水に溶解して希釈した。896mLの0.2M NaOHをその容器に加え、脱イオン水8000mLで希釈した。最後に、使用前にその混合物を脱気した。
【0197】
溶解試料を以下のように調製した。例11に記載の通り調製した塩酸アルギニン500mg錠6個を計量した。各錠剤をリン酸緩衝液(pH6.8)900mLとともに、ステンレススチールシンカーに入れた。次に、そのシンカーをUSPアパラタス2(パドル)の容器に落とし、約37℃±0.5℃で75rpmで即時回転させた。その容器の溶液10mLを、1、2、4、6、8、10、12および14時間経過時点に取り出して、各時点においてそれぞれ溶解分析した。これらの試料溶液をそれぞれ、0.45μm PVDFシリンジフィルタでろ過した。その濾液を収集し、最初の1乃至2mLを捨ててから分析のためにHPLCバイアルに入れた。すべての試料採取時点後、10μm全開流量フィルタを用いて、予め37℃±0.5℃に温めた溶媒10mLを溶解容器に戻した。医療関係者は、試料溶液は室温では最高で1日間安定であり、4℃では3日間安定であることを知りうるはずである。
【0198】
塩酸アルギニン標準溶液を以下のように調製した。28±2mgの塩酸アルギニン標準を正確に計量し、50mLの容量フラスコに入れた。その標準を溶媒に溶解し、一定容積まで希釈した。。
【0199】
BDS Hypersil C18カラム(5μm、250 mm×4.6mm)を用いてHPLCを行い、210nmの紫外線を用いて検出した。カラムの温度は室温に設定した。一般に、実行時間は9分、注射体積は10μL、フロー速度は0.8mL/分、および移動相はpH3.3だった。緩衝液/メタノール(85/15、v/v)は上述のとおり調製した。
【0200】
各試験を以下の通り進めた。溶媒の注射1回の後に塩酸アルギニン標準溶液の注射を連続5回、そして最後に各試料溶液の注射を1回行った。塩酸アルギニン標準溶液を、6種類すべての試料注射の後と一連の操作の最後に再注射した。実行中のシステムドリフト(つまり塩酸アルギニン標準溶液の5回連続注射の平均と比較した、標準溶液の回復の割合)は、約97%乃至約103%であるべきである。
【0201】
放出されたアルギニンの割合を決定する場合、当業者は、作動標準溶液の注射の塩酸アルギニンピークのUSPトレーリング因子(T)が、確実に2未満になるように注意しなければならない。Tは以下のように計算する。
【0202】
【数1】
【0203】
ここで、W.05 は塩酸アルギニンピークの基準線からのピーク高さが5%のところのピーク幅で、fはピーク最大値からピークの先端のまでの距離(基準線からのピーク高さの5%のところで測定した距離)である。
【0204】
塩酸アルギニンの放出の割合を以下のように計算した。
【0205】
【数2】
【0206】
ここで、nは測定の全回数、Vrは各測定の溶媒の容量(10mL)、Vは溶媒の初期容量(900mL)、Csは作動標準溶液中の塩酸アルギニンの濃度mg/mLで、Ciは各試料溶液中の塩酸アルギニンの濃度mg/mLで、Ruは試料溶液から得られた塩酸アルギニンピークのピーク面積応答で、Rsは作動標準溶液の連続注射から得られた塩酸アルギニンピークの平均ピーク面積応答で、LCは塩酸アルギニン(500mg)のラベルクレームである。
【0207】
放出された割合は、1、2、4、6、8、10、12および14時間経過時点に計算した。表5および14に各種溶解研究の結果をまとめる。
【0208】
【表14】
【0209】
例18:L-アルギニン食物バーの製造
L-アルギニンは、混合前ステップ(ステップ115)と造粒ステップ(ステップ120)を含む、図5ステップ110に関連して、上述のとおり造粒する。次に、造粒を、上述の適切な賦形剤とともに湿潤製粉(ステップ125)する。得られる顆粒は、そのまま用いるか、または矯味セルロース剤でコーティングする。
【0210】
糖および果物ペーストを高温で混合してから、低温で微少成分とともにシロップを混合する。L-アルギニン顆粒、増量剤、および果物片または食用成分を含む食物剤を加えて、望ましい質感と香りにする。タンパク質押出機を使って食物バーを形成する。
【0211】
例19: 徐放性L-アルギニンによる治療の結果生じる減量
【0212】
45歳の女性志願者が、徐放性L-アルギニン製剤3カプセルを一日2回連日服用した。この製剤は、350mgのL-アルギニン、セルロース、コリドン、ロイシン、およびシリカで構成された。この期間中、その志願者は、食事には他に顕著に変更した点はなかったと報告した。このL-アルギニン療法を2ヶ月間行ったところ、その志願者は9ポンド減量した。
【0213】
53歳の女性志願者が、同一の徐放性L-アルギニン製剤3カプセルを一日2回連日服用した。その志願者は、この期間中、食事には他に顕著に変更した点はなかったと報告した。2ヶ月後、その志願者は4ポンド減量した。さらに、その志願者は、体温が0.25℃上昇したと報告した。体温の上昇は熱産生を示している。
【0214】
例20:L-アルギニンの熱産生作用
熱を産生するための動物の酸素消費は、当業者に公知の原理である。たとえば、M. Kleiber,
"The Fire of Life", Robert E. Kreiger Pub.Co., New
York, New York,
1975参照。エネルギー消費量が多い間は、糖や脂肪酸などの代謝燃料が酸化されてCO2とH2O が発生し、同時に熱が産生される。つまり熱産生が生じる。したがって、ヒトおよびペットを含む動物の酸素消費の測定は、間接的に熱産生効果を測定する。この観点では、間接的な熱量測定は、エネルギー消費量の有効な測定方法であることが実証されており、ヒトを含む動物にも広く使用されている。
【0215】
L-アルギニンの、熱産生応答を生じて肥満治療に用途を有する能力を、以下のプロトコルにおいて実証する。
【0216】
このプロトコルは、6日間、肥満ズッカーラットに投与することによって、酸素消費量を測定するようにデザインされている。研究を始める前に、体重が約400乃至500gの範囲内のオスの肥満ズッカーラットを、標準の研究条件下において、少なくとも3乃至7日間ケージに入れる。好適な形状および容量のL-アルギニン製剤を、6日間、3p.m.から6p.m.の間に一日1回連日、経口強制投与によって投与する。
【0217】
酸素消費量は、投与最終日の翌日に、開路間接熱量計(オキシマックス、コロンバス・インスツルメント社、950 North Hague
Ave., Columbus, Ohio 43204)を用いて測定した。オキシマックス・ガスセンサーの較正は、各実験の前に、N2ガスと混合ガス(0.5% CO2、20.5%
O2、79% N2)で行う。ラットをケージから出し、体重を記録して、熱量計の密閉チャンバに入れ、そのチャンバを活動モニタの中に入れる。チャンバ内の通気速度を1.6-1.7 I/分に設定する。オキシマックス熱量計ソフトウェアが、チャンバ内の通気速度と吸気口と排気口の酸素含有量の差に基づいて、酸素消費量(ml/kg/時間)を計算する。活動モニタには15本の赤外線ビームが1インチずつの間隔で配置されており、歩行活動は、2本の隣り合うビームがさえぎられるときに記録され、その結果が回数として記録される。酸素消費量と歩行活動を、5乃至6.5時間、10分おきに測定する。静止時の酸素消費量は、それぞれのラットについて、最初の5つの値と歩行活動が100回を超える時間帯に得られた値を除いた値を平均して求めた。
【0218】
例21: L-アルギニンの徐放性製剤のin vitroにおける放出プロフィール
市販のL-アルギニンジェネリック製剤と、本願明細書の開示に従って作製したL-アルギニン350mg、セルロース、コリドン、ロイシンおよびシリカを含むL-アルギニンの徐放性カプセル製剤の放出プロフィールのin vitro分析を行った。図10は、この2つの試験の放出プロフィールをグラフで示す。本願発明の徐放性製剤は、L-アルギニンを10時間超放出した。
【0219】
例22: L-アルギニンの徐放性製剤の薬物動態学的プロフィール
被験体に、L-アルギニンの徐放性製剤を投与した。その被験体のL-アルギニン値を、多数の時点において測定した。図11は、その徐放性製剤の薬物動態学的プロフィールをグラフで示す。徐放性製剤の投与によって、基準値を超える循環L-アルギニン値の有意な増加が、少なくとも8時間、生じた。
【0220】
さらに、図12は、本願発明の徐放性製剤を投与した被験体におけるADMAに対するL-アルギニンの割合が向上することを示す。
【0221】
等価物
当業者であれば、ごく普通の実験を用いるのみで、ここに説明した本願発明の特定の実施態様の等価物を数多く認識し、または確認できることであろう。このような等価物は、添付の請求の範囲の包含するところである。
【図面の簡単な説明】
【0222】
【図1】L-アルギニンとシムバスタチンを含む製剤の放出パターンを示すグラフ。
【図2】L-アルギニンとシムバスタチンを投与したマウス脳と未治療のマウス脳の梗塞サイズのNMR画像写真。
【図3】L-アルギニン、シムバスタチン、およびL-アルギニンとシムバスタチン併用で治療したマウスの梗塞の容量を示す棒グラフ。
【図4】L-アルギニンと各種レベルのシムバスタチンで治療したマウスの梗塞の全容量を示す棒グラフ。
【図5】徐放性L-アルギニン錠の製造方法を示すフロー図。
【図6】徐放性L-アルギニン錠の製造方法を示すフロー図。
【図7】徐放性L-アルギニン製剤の性能を比較する棒グラフ。
【図8】本願発明の徐放性L-アルギニン組成物を併用した場合と併用しない場合のシムバスチン投与のヒトにおける内皮依存性血管拡張への作用を比較した図。
【図9】シムバスチンと本願発明の徐放性L-アルギニン組成物の併用投与の、ヒトにおける内皮依存性血管拡張への相乗作用をまとめた図。
【図10】即放性L-アルギニン製剤と比較した、本願発明にしたがった徐放性L-アルギニン製剤の放出プロフィールを示すグラフ。
【図11】本願発明にしたがった徐放性製剤の薬物動態を示すグラフ。
【図12】本願発明にしたがった徐放性製剤を投与した被験体におけるADMAに対するL-アルギニンの割合を示すグラフ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体のトリグリセリド値を低下させる方法であって、徐放性L-アルギニンを前記被験体に投与するステップを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、当該方法がトリグリセリド値を約100mg/dL未満低下させる、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、当該方法がトリグリセリド値を約50 mg/dL未満低下させる、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、当該方法がトリグリセリド値を約25 mg/dL未満低下させる、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記被験体に徐放性L-アルギニンを経口投与する方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記被験体に1日に10g未満の徐放性L-アルギニンを投与する方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記被験体に1日に約1 g乃至約7gの徐放性L-アルギニンを投与する方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記被験体に1日に約2 g乃至約6 gの徐放性L-アルギニンを投与する方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記被験体に1日に約3 g乃至約5 gの徐放性L-アルギニンを投与する方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記被験体に1日に約3 gの徐放性L-アルギニンを投与する方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記被験体に1日に2回、約1 g乃至約2 gの徐放性L-アルギニンを投与する方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記徐放性製剤が、
(a) 重量の約25%乃至約75%のL-アルギニン、またはその薬学的に許容な塩、
(b) 重量の約0.5%乃至約5%のポリビニルピロリドン、
(c) 重量の約5%乃至約40%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(d) 重量の約2%乃至約20%の微結晶性セルロース、
(e) 重量の約3%未満の二酸化ケイ素、および
(f) 重量の約3%未満のステアリン酸マグネシウム、
を含む方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、前記徐放性製剤が、
(a) 重量で約50%のL-アルギニンであって、前記L-アルギニンがL-アルギニン一塩酸塩を含むL-アルギニン、
(b) 重量の約3%乃至約4%のポリビニルピロリドン、
(c) 重量の約35%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(d) 重量の約10%の微結晶性セルロース、
(e) 重量の約1%未満の二酸化ケイ素であって、前記二酸化ケイ素がコロイド状二酸化ケイ素を含む、二酸化ケイ素、および
(f) 重量の約1%未満のステアリン酸マグネシウム、
を含む方法。
【請求項14】
被験体において熱産生を誘導する方法であって、L-アルギニンを前記被験体に投与するステップを含む方法。
【請求項15】
被験体における一定体重の維持または減量の誘導の方法であって、L-アルギニンを前記被験体に投与するステップを含む方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、当該方法が前記被験体の体重を約20ポンド未満減少させる方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、当該方法が前記被験体の体重を約10ポンド未満減少させる方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、当該方法が前記被験体の体重を約5ポンド未満減少させる方法。
【請求項19】
被験体における肥満または肥満関連障害の予防または治療の方法であって、L-アルギニンを前記被験体に投与するステップを含む方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、当該方法において前記肥満関連障害が糖尿病である、方法。
【請求項21】
被験体の喘息を予防または治療する方法であって、L-アルギニンを前記被験体に投与するステップを含む方法。
【請求項22】
請求項14、15、19、または21のいずれか一つに記載の方法であって、当該L-アルギニンがL-アルギニンの徐放性製剤を含む、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記徐放性製剤が、
(a) 重量の約25%乃至約75%のL-アルギニン、またはその薬学的に許容な塩、
(b) 重量の約0.5%乃至約5%のポリビニルピロリドン、
(c) 重量の約5%乃至約40%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(d) 重量の約2%乃至約20%の微結晶性セルロース、
(e) 重量の約3%未満の二酸化ケイ素、および
(f) 重量の約3%未満のステアリン酸マグネシウム、
を含む方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法であって、前記徐放性製剤が、
(a) 重量で約50%のL-アルギニンであって、前記L-アルギニンがL-アルギニン一塩酸塩を含むL-アルギニン、
(b) 重量の約3%乃至約4%のポリビニルピロリドン、
(c) 重量の約35%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(d) 重量の約10%の微結晶性セルロース、
(e) 重量の約1%未満の二酸化ケイ素であって、前記二酸化ケイ素がコロイド状二酸化ケイ素を含む、二酸化ケイ素、および
(f) 重量の約1%未満のステアリン酸マグネシウム、
を含む方法。
【請求項1】
被験体のトリグリセリド値を低下させる方法であって、徐放性L-アルギニンを前記被験体に投与するステップを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、当該方法がトリグリセリド値を約100mg/dL未満低下させる、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、当該方法がトリグリセリド値を約50 mg/dL未満低下させる、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、当該方法がトリグリセリド値を約25 mg/dL未満低下させる、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記被験体に徐放性L-アルギニンを経口投与する方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記被験体に1日に10g未満の徐放性L-アルギニンを投与する方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記被験体に1日に約1 g乃至約7gの徐放性L-アルギニンを投与する方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記被験体に1日に約2 g乃至約6 gの徐放性L-アルギニンを投与する方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記被験体に1日に約3 g乃至約5 gの徐放性L-アルギニンを投与する方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記被験体に1日に約3 gの徐放性L-アルギニンを投与する方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記被験体に1日に2回、約1 g乃至約2 gの徐放性L-アルギニンを投与する方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記徐放性製剤が、
(a) 重量の約25%乃至約75%のL-アルギニン、またはその薬学的に許容な塩、
(b) 重量の約0.5%乃至約5%のポリビニルピロリドン、
(c) 重量の約5%乃至約40%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(d) 重量の約2%乃至約20%の微結晶性セルロース、
(e) 重量の約3%未満の二酸化ケイ素、および
(f) 重量の約3%未満のステアリン酸マグネシウム、
を含む方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、前記徐放性製剤が、
(a) 重量で約50%のL-アルギニンであって、前記L-アルギニンがL-アルギニン一塩酸塩を含むL-アルギニン、
(b) 重量の約3%乃至約4%のポリビニルピロリドン、
(c) 重量の約35%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(d) 重量の約10%の微結晶性セルロース、
(e) 重量の約1%未満の二酸化ケイ素であって、前記二酸化ケイ素がコロイド状二酸化ケイ素を含む、二酸化ケイ素、および
(f) 重量の約1%未満のステアリン酸マグネシウム、
を含む方法。
【請求項14】
被験体において熱産生を誘導する方法であって、L-アルギニンを前記被験体に投与するステップを含む方法。
【請求項15】
被験体における一定体重の維持または減量の誘導の方法であって、L-アルギニンを前記被験体に投与するステップを含む方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、当該方法が前記被験体の体重を約20ポンド未満減少させる方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、当該方法が前記被験体の体重を約10ポンド未満減少させる方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、当該方法が前記被験体の体重を約5ポンド未満減少させる方法。
【請求項19】
被験体における肥満または肥満関連障害の予防または治療の方法であって、L-アルギニンを前記被験体に投与するステップを含む方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、当該方法において前記肥満関連障害が糖尿病である、方法。
【請求項21】
被験体の喘息を予防または治療する方法であって、L-アルギニンを前記被験体に投与するステップを含む方法。
【請求項22】
請求項14、15、19、または21のいずれか一つに記載の方法であって、当該L-アルギニンがL-アルギニンの徐放性製剤を含む、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記徐放性製剤が、
(a) 重量の約25%乃至約75%のL-アルギニン、またはその薬学的に許容な塩、
(b) 重量の約0.5%乃至約5%のポリビニルピロリドン、
(c) 重量の約5%乃至約40%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(d) 重量の約2%乃至約20%の微結晶性セルロース、
(e) 重量の約3%未満の二酸化ケイ素、および
(f) 重量の約3%未満のステアリン酸マグネシウム、
を含む方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法であって、前記徐放性製剤が、
(a) 重量で約50%のL-アルギニンであって、前記L-アルギニンがL-アルギニン一塩酸塩を含むL-アルギニン、
(b) 重量の約3%乃至約4%のポリビニルピロリドン、
(c) 重量の約35%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(d) 重量の約10%の微結晶性セルロース、
(e) 重量の約1%未満の二酸化ケイ素であって、前記二酸化ケイ素がコロイド状二酸化ケイ素を含む、二酸化ケイ素、および
(f) 重量の約1%未満のステアリン酸マグネシウム、
を含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−538740(P2008−538740A)
【公表日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552298(P2007−552298)
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/002127
【国際公開番号】WO2006/081147
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(507249096)イーノス ファーマシューティカルズ, インク. (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月23日(2006.1.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/002127
【国際公開番号】WO2006/081147
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(507249096)イーノス ファーマシューティカルズ, インク. (1)
【Fターム(参考)】
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