説明

復号化装置及び復号化方法

【課題】ツインターボ復号器においてイタレーション毎に通信路値を更新する際の演算量を削減することを図る。
【解決手段】送信局でターボ符号化データがマッピングされた変調シンボルが複数の送信アンテナから同時に同じ周波数で送信された信号を受信局で複数の受信アンテナを用いて受信した受信信号から、前記送信アンテナの各各から送信された変調シンボルにマッピングされたターボ符号化データを復号するツインターボ復号器において、送信アンテナの各各から送信された信号の分の受信電力を計算する受信電力計算部12、該受信電力に基づいて通信路値更新器1−02,1−04で使用される事後値を指定する受信電力判定部13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ符号の復号化装置及び復号化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、誤り訂正符号の一種であるターボ符号の復号化装置として、「ツインターボ復号器」と呼ばれるものが知られている(例えば、非特許文献1、特許文献1参照)。図6に、従来のツインターボ復号器の構成を示す。図6中、情報ビットベクトルをXa、ターボ符号器の一方の要素符号器で生成されたパリティビットベクトルをXb、他方の要素符号器で生成されたパリティビットベクトルをXcとしている。
【0003】
一般的なターボ復号器では、2つの要素復号器間をターボインタリーバによって連接し、各要素復号器において更新されたビットの外部値をもう一方の要素復号器の事前値としてフィードバックさせることにより、効率的なMAP(Maximum A posteriori Probability)復号を達成している。ツインターボ復号器では、外部値のみならず事後値もフィードバックし、イタレーション毎に通信路値更新器1−020,1−040で通信路値を更新する。例えば、2つのビットb0,b1で構成される1つのシンボル点があった場合、b0の通信路値は、ペアビットであるb1の事後値によって更新され、b1の通信路値は、ペアビットであるb0の事後値によって更新される。ツインターボ復号器によれば、一般的なターボ復号器に比べて、ターボ符号の誤り訂正能力を向上させることが可能である。これにより、あるビット誤り率を達成するために要求される信号対雑音電力比(SNR)を低くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−124342号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】N. Miyazaki,Y. Hatakawa,T. Yamamoto,H. Ishikawa,T. Suzuki,“A Study on Likelihood Estimation Method Taking Account of Mutual Information in Multi-Level Symbol 〜A Proposal of Twin Turbo Decoder〜”,Proc. PIMRC’06 Fall,TH-1 #3,Sep. 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来のツインターボ復号器では、一般的なターボ復号器に比べて、演算量の多さが課題である。これは、イタレーション毎に通信路値を更新する処理が追加されているため、その分、演算量が増加するためである。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、ツインターボ復号器においてイタレーション毎に通信路値を更新する際の演算量を削減することのできる復号化装置及び復号化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る復号化装置は、送信局でターボ符号化データがマッピングされた変調シンボルが複数の送信アンテナから同時に同じ周波数で送信された信号を受信局で複数の受信アンテナを用いて受信した受信信号から、前記送信アンテナの各各から送信された変調シンボルにマッピングされたターボ符号化データを復号する復号化装置において、既知の受信信号を用いてチャネル行列を推定するチャネル推定手段と、前記チャネル行列を用いて、前記送信アンテナの各各から送信された変調シンボルの受信信号点と参照信号点の間の信号点間距離を計算する信号点間距離計算手段と、前記信号点間距離に基づいて通信路値を求める通信路値演算手段と、前記通信路値に基づいた事後値を用いて前記通信路値を更新する通信路値更新手段と、前記通信路値に基づいた外部値を事前値として用いて、前記通信路値更新手段によって更新された前記通信路値を復号し、前記事後値および前記外部値を生成する要素復号手段と、前記送信アンテナの各各から送信された信号の分の受信電力を計算する受信電力計算手段と、前記受信電力に基づいて、前記通信路値更新手段で使用される事後値を指定する指定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る復号化装置においては、前記指定手段は、基準電力以上である受信電力の送信アンテナから送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットのみを、前記通信路値更新手段で使用される事後値に指定する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る復号化装置は、複数の送信局でターボ符号化データがマッピングされた変調シンボルが複数の送信アンテナから同時に同じ周波数で送信された信号を受信局で複数の受信アンテナを用いて受信した受信信号から、前記送信アンテナの各各から送信された変調シンボルにマッピングされたターボ符号化データを復号する復号化装置において、既知の受信信号を用いてチャネル行列を推定するチャネル推定手段と、前記チャネル行列を用いて、前記送信アンテナの各各から送信された変調シンボルの受信信号点と参照信号点の間の信号点間距離を計算する信号点間距離計算手段と、前記信号点間距離に基づいて通信路値を求める通信路値演算手段と、前記通信路値に基づいた事後値を用いて前記通信路値を更新する通信路値更新手段と、前記通信路値に基づいた外部値を事前値として用いて、前記通信路値更新手段によって更新された前記通信路値を復号し、前記事後値および前記外部値を生成する要素復号手段と、前記送信局の各各の位置情報と前記受信局の位置情報に基づいて、前記送信局の各各と前記受信局の間の局間距離を計算する局間距離計算手段と、前記局間距離に基づいて、前記送信局の単位で、前記通信路値更新手段で使用される事後値を指定する指定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る復号化装置においては、前記指定手段は、基準距離以下である局間距離の送信局から送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットのみを、前記通信路値更新手段で使用される事後値に指定する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る復号化方法は、送信局でターボ符号化データがマッピングされた変調シンボルが複数の送信アンテナから同時に同じ周波数で送信された信号を受信局で複数の受信アンテナを用いて受信した受信信号から、前記送信アンテナの各各から送信された変調シンボルにマッピングされたターボ符号化データを復号する復号化方法であって、チャネル推定手段が既知の受信信号を用いてチャネル行列を推定するステップと、信号点間距離計算手段が前記チャネル行列を用いて、前記送信アンテナの各各から送信された変調シンボルの受信信号点と参照信号点の間の信号点間距離を計算するステップと、通信路値演算手段が前記信号点間距離に基づいて通信路値を求めるステップと、通信路値更新手段が前記通信路値に基づいた事後値を用いて前記通信路値を更新するステップと、要素復号手段が前記通信路値に基づいた外部値を事前値として用いて、前記通信路値更新手段によって更新された前記通信路値を復号し、前記事後値および前記外部値を生成するステップと、受信電力計算手段が前記送信アンテナの各各から送信された信号の分の受信電力を計算するステップと、指定手段が前記受信電力に基づいて、前記通信路値更新手段で使用される事後値を指定するステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る復号化方法においては、前記指定手段は、基準電力以上である受信電力の送信アンテナから送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットのみを、前記通信路値更新手段で使用される事後値に指定する、ことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る復号化方法は、複数の送信局でターボ符号化データがマッピングされた変調シンボルが複数の送信アンテナから同時に同じ周波数で送信された信号を受信局で複数の受信アンテナを用いて受信した受信信号から、前記送信アンテナの各各から送信された変調シンボルにマッピングされたターボ符号化データを復号する復号化方法であって、チャネル推定手段が既知の受信信号を用いてチャネル行列を推定するステップと、信号点間距離計算手段が前記チャネル行列を用いて、前記送信アンテナの各各から送信された変調シンボルの受信信号点と参照信号点の間の信号点間距離を計算するステップと、通信路値演算手段が前記信号点間距離に基づいて通信路値を求めるステップと、通信路値更新手段が前記通信路値に基づいた事後値を用いて前記通信路値を更新するステップと、要素復号手段が前記通信路値に基づいた外部値を事前値として用いて、前記通信路値更新手段によって更新された前記通信路値を復号し、前記事後値および前記外部値を生成するステップと、局間距離計算手段が前記送信局の各各の位置情報と前記受信局の位置情報に基づいて、前記送信局の各各と前記受信局の間の局間距離を計算するステップと、指定手段が前記局間距離に基づいて、前記送信局の単位で、前記通信路値更新手段で使用される事後値を指定するステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る復号化方法においては、前記指定手段は、基準距離以下である局間距離の送信局から送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットのみを、前記通信路値更新手段で使用される事後値に指定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ツインターボ復号器においてイタレーション毎に通信路値を更新する際の演算量を削減することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの構成を示す概念図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る復号化装置220(ツインターボ復号器)の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るツインターボ復号器の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係る無線通信システムの構成を示す概念図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る復号化装置220(ツインターボ復号器)の構成を示すブロック図である。
【図6】従来のツインターボ復号器の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る無線通信システムの構成を示す概念図である。図1において、送信局100は、複数(本実施形態では2つ)の送信アンテナTx1,Tx2と、送信アンテナTx1,Tx2の各各に対応して設けられたOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)変調器110を有する。受信局200は、複数(本実施形態では2つ)の受信アンテナRx1,Rx2と、受信アンテナRx1,Rx2の各各に対応して設けられたOFDM復調器210と、復号化装置220を有する。
【0020】
本無線通信システムにおいて、送信局100は、2つの送信アンテナTx1,Tx2を用いたMIMO(Multiple Input Multiple Output:伝送路マルチ化)送信を行う。受信局200は、MIMO送信された信号を2つの受信アンテナRx1,Rx2で受信し、この2つの受信信号から、伝送路の伝達関数(チャネル行列)を用いて送信信号を復元する。MIMO送信の方式としては、空間多重(Spatial Multiplexing:SM)方式と時空間符号化(Space Time Coding:STC)方式が知られている。SM方式は、複数の送信アンテナから各各異なるデータを送信することで通信速度を向上させるものであり、周波数利用効率重視の方式である。STC方式は、時間方向および空間方向に符号化を行うことでSNRを低減させるものであり、通信品質重視の方式である。
【0021】
送信局100は、2系列の送信データ121(A1,B1,C1,・・・),122(A2,B2,C2,・・・)を2つのOFDM変調器110でそれぞれにOFDM変調し、OFDM変調器110出力後の2系列のOFDMフレーム131,132を2つの送信アンテナTx1,Tx2からそれぞれに同一時間に同一周波数で送信する。送信データ121(A1,B1,C1,・・・)は、ターボ符号で符号化後の符号化データがマッピングされた変調シンボルA1,B1,C1,・・・、である。送信データ122(A2,B2,C2,・・・)は、ターボ符号で符号化後の符号化データがマッピングされた変調シンボルA2,B2,C2,・・・、である。その変調方式としては、例えば、QPSK、16QAMなど、デジタル変調方式が利用可能である。
【0022】
各OFDMフレーム131,132では、各送信データ121(A1,B1,C1,・・・),122(A2,B2,C2,・・・)のOFDM変調後のOFDMシンボル(A1’,B1’,C1’,・・・),(A2’,B2’,C2’,・・・)が同じサブキャリア上に配置されると共に、パイロット信号P1,P2がそれぞれ異なるサブキャリア上に配置される。パイロット信号P1,P2は、送信局100と受信局200で既知である。
【0023】
2本の送信アンテナTx1,Tx2からそれぞれ送信されたOFDMフレーム131,132は、伝搬路上で混合されたOFDMフレーム140となって受信局200に到達する。OFDMフレーム140では、パイロット信号P1,P2はそれぞれ異なるサブキャリア上に独立して配置されているが、OFDMシンボル(A1’,B1’,C1’,・・・),(A2’,B2’,C2’,・・・)は同じサブキャリア上で混合されている。
【0024】
受信局200は、そのOFDMフレーム140を2つの受信アンテナRx1,Rx2でそれぞれに受信し、2系列の受信OFDMフレームを2つのOFDM復調器210でそれぞれにOFDM復調する。各OFDM復調器210は、OFDM復調後の受信データ301と受信パイロット信号302を復号化装置220へ出力する。受信データ301では、2系列の送信データ121(A1,B1,C1,・・・),122(A2,B2,C2,・・・)に関し、送信アンテナTx1から送信されたものと送信アンテナTx2から送信されたものとが混合された状態になっている。受信パイロット信号302では、送信アンテナTx1から送信されたもの(P1)と送信アンテナTx2から送信されたもの(P2)とが分離されている。
【0025】
復号化装置220は、各OFDM復調器210出力後の受信データ301とパイロット信号302を用いて、送信アンテナTx1,Tx2からそれぞれ送信された信号を分離すると共に復号する。
【0026】
図2は、本実施形態に係る復号化装置220(ツインターボ復号器)の構成を示すブロック図である。
まず、図2を参照して、ツインターボ復号器に係る基本動作の全体の流れを説明する。チャネル推定部10は、受信パイロット信号302を用いて、チャネル行列を推定する。距離計算部11は、チャネル推定部10の推定結果であるチャネル行列を用いて、受信データ301から、送信アンテナTx1,Tx2からそれぞれ送信された信号を分離する処理を行う。この分離処理によって、送信アンテナTx1から送信された信号の受信信号点(以下、受信信号点(Tx1)と称する)と、送信アンテナTx2から送信された信号の受信信号点(以下、受信信号点(Tx2)と称する)とが求まる。
【0027】
距離計算部11は、受信信号点(Tx1)と参照信号点の間の距離と、受信信号点(Tx2)と参照信号点の間の距離とを計算する。以下、受信信号点(Tx1)と参照信号点の間の距離の計算値のことを信号点間距離(Tx1)と称し、受信信号点(Tx2)と参照信号点の間の距離の計算値のことを信号点間距離(Tx2)と称する。
【0028】
通信路値演算器1−01は、距離計算部11から信号点間距離(Tx1)及び信号点間距離(Tx2)を受け取ると、信号点間距離(Tx1)に基づいた通信路値と信号点間距離(Tx2)に基づいた通信路値とを算出する。この算出された通信路値のうち、情報ビットと送信側の第1の要素符号器からのパリティビットに関する通信路値(Xa,Xb)は通信路値更新器1−02に入力され、情報ビットと送信側の第2の要素符号器のパリティビットに関する通信路値(Xa,Xc)は通信路値更新器1−04に入力される。
【0029】
通信路値更新器1−02には、直前のイタレーションにおいて要素復号器1−07から出力された事後値(Xa,Xc)も、ターボデインタリーバ1−09を介して(事後値(Xa,Xc)を構成するビットの順番が並べ替えられて)入力される。通信路値更新器1−02は、事後値(Xa,Xc)を用いて通信路値(Xa,Xb)を更新する。この通信路値更新処理では、例えば、2つのビットb0,b1で構成される1つのシンボル点があった場合、b0の通信路値は、ペアビットであるb1の事後値によって更新され、b1の通信路値は、ペアビットであるb0の事後値によって更新される。更新された通信路値は、更新後通信路値(Xa,Xb)として要素復号器1−03に入力される。
【0030】
また、要素復号器1−03には、直前のイタレーションにおいて要素復号器1−07から出力された外部値(Xa)が、ターボデインタリーバ1−08を介して(外部値(Xa)を構成するビットの順番が並べ替えられて)、事前値(Xa)として入力される。要素復号器1−03は、事前値(Xa)を用いて更新後通信路値(Xa,Xb)の復号処理を行う。要素復号器1−03からは、復号処理の結果として外部値(Xa)と事後値(Xa,Xb)が出力される。外部値(Xa)は、ターボインタリーバ1−06を介して(外部値(Xa)を構成するビットの順番が並べ替えられて)、事前値(Xa)として要素復号器1−07に入力される。また、事後値(Xa,Xb)は通信路値更新器1−04に入力される。
【0031】
通信路値更新器1−04は、通信路値更新器1−02と同様にして、事後値(Xa,Xb)を用いて通信路値(Xa,Xc)の更新を行い、更新後通信路値(Xa,Xc)を出力する。更新後通信路値(Xa,Xc)は、ターボインタリーバ1−05を介して(更新後通信路値(Xa,Xc)を構成するビットの順番が並べ替えられて)、要素復号器1−07に入力される。要素復号器1−07は、事前値(Xa)を用いて更新後通信路値(Xa,Xc)の復号処理を行う。復号処理の結果である外部値(Xa)は、ターボデインタリーバ1−08を通して、事前値(Xa)として要素復号器1−03に入力される。また、復号処理の結果である事後値(Xa,Xc)は、ターボデインタリーバ1−09を通して通信路値更新器1−02に入力される。
以上がツインターボ復号器に係る基本動作の全体の流れである。
【0032】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る通信路値の更新に要する演算量の削減のための構成を説明する。
本実施形態では、受信電力計算部12及び受信電力判定部13を設けている。受信電力計算部12は、チャネル推定部10の推定結果であるチャネル行列を用いて、送信アンテナTx1から送信された信号の分の受信電力(以下、受信電力(Tx1)と称する)と、送信アンテナTx2から送信された信号の分の受信電力(以下、受信電力(Tx2)と称する)とを計算する。
【0033】
受信電力判定部13は、受信電力(Tx1)及び受信電力(Tx2)に対して、それぞれに基準電力との比較を行う。受信電力判定部13は、その比較結果に応じて、通信路値更新器1−02,1−04へ、通信路値更新制御信号310を出力する。通信路値更新制御信号310は、通信路値更新器1−02,1−04において通信路値の更新に使用されるペアビットを指定するものである。
【0034】
ここで、本実施形態に係るペアビット使用条件を説明する。
(1)受信電力(Tx1)が基準電力未満である場合には、送信アンテナTx1から送信された信号に含まれる変調シンボルA1,B1,C1,・・・、にマッピングされたビットは、ペアビットとして使用禁止とする。
(2)受信電力(Tx2)が基準電力未満である場合には、送信アンテナTx2から送信された信号に含まれる変調シンボルA2,B2,C2,・・・、にマッピングされたビットは、ペアビットとして使用禁止とする。
(3)受信電力(Tx1)及び受信電力(Tx2)の両方共に基準電力以上である場合には、ペアビットに関する使用の制限はない。
【0035】
このペアビット使用条件では、受信電力が基準電力未満である送信アンテナから送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットは、所要の信頼度を満足しないものであるので、ペアビットとして使用するとかえって復号精度の劣化を引き起こす可能性があり、ぺアビットとして使用しないほうが復号精度の維持に役立つという理由から、ぺアビットとして使用禁止にしている。このことから、受信電力に係る基準値(基準電力)には、ある送信アンテナから送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットに対して、所要の信頼度を満足させる限界値を設定する。
【0036】
受信電力判定部13は、ペアビット使用条件に従って、通信路値更新制御信号310を生成する。通信路値更新制御信号310の具体例を以下に挙げる。
【0037】
(通信路値更新制御信号310の実施例1)
受信電力(Tx1)が基準電力以上である場合は、信号点間距離(Tx1)に基づいた通信路値に含まれるビットをペアビットとして使用するように指定する。受信電力(Tx2)が基準電力以上である場合は、信号点間距離(Tx2)に基づいた通信路値に含まれるビットをペアビットとして使用するように指定する。受信電力(Tx1)及び受信電力(Tx2)の両方共に基準電力以上である場合は、信号点間距離(Tx1)に基づいた通信路値に含まれるビット及び信号点間距離(Tx2)に基づいた通信路値に含まれるビットの両方をペアビットとして使用するように指定する。これにより、基準電力以上である受信電力の送信アンテナから送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットはペアビットとして使用されるが、基準電力未満である受信電力の送信アンテナから送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットはペアビットとして使用されない。
【0038】
(通信路値更新制御信号310の実施例2)
受信電力(Tx1)が基準電力未満である場合は、信号点間距離(Tx1)に基づいた通信路値に含まれるビットをペアビットとして使用しないように指定する。受信電力(Tx2)が基準電力未満である場合は、信号点間距離(Tx2)に基づいた通信路値に含まれるビットをペアビットとして使用しないように指定する。受信電力(Tx1)及び受信電力(Tx2)の両方共に基準電力未満である場合は、信号点間距離(Tx1)に基づいた通信路値に含まれるビット及び信号点間距離(Tx2)に基づいた通信路値に含まれるビットの両方をペアビットとして使用しないように指定する。この指定方法の場合、ペアビットとして使用禁止されたビット以外のビットは、ペアビットとして使用されるように定めておく。これにより、基準電力以上である受信電力の送信アンテナから送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットはペアビットとして使用されるが、基準電力未満である受信電力の送信アンテナから送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットはペアビットとして使用されない。
【0039】
通信路値更新器1−02,1−04は、通信路値更新制御信号310で使用するように指定されたペアビットのみを使用して、通信路値の更新を行う。従って、使用されないペアビットがある場合には、その使用されないペアビットを用いた演算が行われないので、その行われない演算分だけ演算量が削減される。
【0040】
なお、受信電力(Tx1)及び受信電力(Tx2)の両方共に基準電力未満である場合は、使用可能なペアビットが全くないので、通信路値の更新自体が行われない。
【0041】
図3は、本実施形態に係るツインターボ復号器の処理手順を示すフローチャートである。図3において、ステップS1では、受信パイロット信号302を用いてチャネル行列を推定する。ステップS2では、推定されたチャネル行列を用いて、送信アンテナTx1から送信された信号の分の受信電力(Tx1)と、送信アンテナTx2から送信された信号の分の受信電力(Tx2)とを計算する。ステップS3では、受信電力(Tx1)及び受信電力(Tx2)に対して、それぞれに閾値(基準電力)との比較を行う。
【0042】
ステップS4では、受信電力が閾値以上である送信アンテナから送信された信号のみをペアビット対象にして通信路値更新を行う。ステップS5では、更新後通信路値を用いてターボ復号処理を行う。
【0043】
本実施形態によれば、基準電力未満である受信電力の送信アンテナから送信された信号をペアビット対象から除外することにより、その除外分の通信路値更新演算量を削減することができるようになる。
【0044】
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態に係る無線通信システムの構成を示す概念図である。この図4において、図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。図4において、無線通信システムは、複数(本実施形態では2つとする)の送信局100と、受信局200を備える。
【0045】
各送信局100は、複数(本実施形態では2つ)の送信アンテナ(Tx1,Tx2),(Tx3,Tx4)と、2つの送信アンテナの各各に対応して設けられたOFDM変調器110を有する。受信局200は、複数(本実施形態では4つ)の受信アンテナRx1,Rx2,Rx3,Rx4と、4つの受信アンテナの各各に対応して設けられたOFDM復調器210と、復号化装置220を有する。
【0046】
本無線通信システムでは、2つの送信局100が連携したMIMO送信を行う。このMIMO送信では、各送信局100の合計4つの送信アンテナTx1,Tx2,Tx3,Tx4を使用し、4つの信号131,132,133,134を各送信アンテナに分けて同一時間に同一周波数で送信する。4つの送信アンテナTx1,Tx2,Tx3,Tx4からそれぞれ送信された信号131,132,133,134は、伝搬路上で混合されて受信局200に到達する。受信局200は、その混合信号140を4つの受信アンテナRx1,Rx2,Rx3,Rx4でそれぞれに受信し、その4つの受信信号から、送信アンテナTx1,Tx2,Tx3,Tx4からそれぞれ送信された信号を分離する。
【0047】
送信データ121(A1,B1,C1,・・・)は、ターボ符号で符号化後の符号化データがマッピングされた変調シンボルA1,B1,C1,・・・、である。送信データ122(A2,B2,C2,・・・)は、ターボ符号で符号化後の符号化データがマッピングされた変調シンボルA2,B2,C2,・・・、である。送信データ123(A3,B3,C3,・・・)は、ターボ符号で符号化後の符号化データがマッピングされた変調シンボルA3,B3,C3,・・・、である。送信データ124(A4,B4,C4,・・・)は、ターボ符号で符号化後の符号化データがマッピングされた変調シンボルA4,B4,C4,・・・、である。その変調方式としては、例えば、QPSK、16QAMなど、デジタル変調方式が利用可能である。
【0048】
送信アンテナTx1から送信されたOFDMフレーム131には、送信データ121(A1,B1,C1,・・・)のOFDM変調後のOFDMシンボル(A1’,B1’,C1’,・・・)がそれぞれに送信アンテナ間で共通のサブキャリア上に配置されると共に、パイロット信号P1が専用のサブキャリア上に配置される。送信アンテナTx2から送信されたOFDMフレーム132には、送信データ122(A2,B2,C2,・・・)のOFDM変調後のOFDMシンボル(A2’,B2’,C2’,・・・)がそれぞれに送信アンテナ間で共通のサブキャリア上に配置されると共に、パイロット信号P2が専用のサブキャリア上に配置される。送信アンテナTx3から送信されたOFDMフレーム133には、送信データ123(A3,B3,C3,・・・)のOFDM変調後のOFDMシンボル(A3’,B3’,C3’,・・・)がそれぞれに送信アンテナ間で共通のサブキャリア上に配置されると共に、パイロット信号P3が専用のサブキャリア上に配置される。送信アンテナTx4から送信されたOFDMフレーム134には、送信データ124(A4,B4,C4,・・・)のOFDM変調後のOFDMシンボル(A4’,B4’,C4’,・・・)がそれぞれに送信アンテナ間で共通のサブキャリア上に配置されると共に、パイロット信号P4が専用のサブキャリア上に配置される。
【0049】
4つのOFDMフレーム131,132,134,135が伝搬路上で混合されたOFDMフレーム140では、パイロット信号P1,P2,P3,P4はそれぞれ異なるサブキャリア上に独立して配置されているが、OFDMシンボル(A1’,B1’,C1’,・・・),(A2’,B2’,C2’,・・・),(A3’,B3’,C3’,・・・),(A4’,B4’,C4’,・・・)は同じサブキャリア上で混合されている。
【0050】
受信局200は、そのOFDMフレーム140を4つの受信アンテナRx1,Rx2,Rx3,Rx4でそれぞれに受信し、4系列の受信OFDMフレームを4つのOFDM復調器210でそれぞれにOFDM復調する。各OFDM復調器210は、OFDM復調後の受信データ301と受信パイロット信号302を復号化装置220へ出力する。受信データ301では、4系列の送信データ121(A1,B1,C1,・・・),122(A2,B2,C2,・・・),123(A3,B3,C3,・・・),124(A4,B4,C4,・・・)に関し、送信アンテナTx1から送信されたものと送信アンテナTx2から送信されたものと送信アンテナTx3から送信されたものと送信アンテナTx4から送信されたものとが混合された状態になっている。受信パイロット信号302では、送信アンテナTx1から送信されたもの(P1)と送信アンテナTx2から送信されたもの(P2)と送信アンテナTx3から送信されたもの(P3)と送信アンテナTx4から送信されたもの(P4)とが分離されている。
【0051】
復号化装置220は、各OFDM復調器210出力後の受信データ301とパイロット信号302を用いて、送信アンテナTx1,Tx2,Tx3,Tx4からそれぞれ送信された信号を分離すると共に復号する。復号化装置220については、第1実施形態(図2)と同様である。
【0052】
第2実施形態に係る無線通信システムでは、異なる送信局100から送信される信号の受信電力差が大きくなり、受信電力が所要値を満たさない場合が発生しやすいために、本発明により大きな効果を得ることが期待できる。
【0053】
[第3実施形態]
図5は、本発明の第3実施形態に係る復号化装置220(ツインターボ復号器)の構成を示すブロック図である。この図4において、図2の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
図5に示す第3実施形態に係るツインターボ復号器は、上述した第2実施形態に係る無線通信システムを想定したものである。第2実施形態に係る無線通信システムでは、送信局100が複数であることから、受信局200の位置によって送信局100と受信局200間の距離が変化し、この距離の変化に伴って各送信局100からの受信電力が変動すると考えられる。このため、本実施形態では、送信局100と受信局200間の距離を受信電力の尺度として利用する。
【0054】
第3実施形態では、復号化装置220に位置判定部40を設け、位置判定部40が通信路値更新制御信号410を通信路値更新器1−02,1−04へ出力する。位置判定部40には、各送信局100の位置を示す送信局位置情報401と、自受信局200の位置を示す受信局位置情報402とが入力される。受信局200は、事前に、各送信局100から送信局位置情報401を受信する。受信局200は、GPS(Global Positioning System)等の位置測定装置(図示せず)を備え、位置測定装置から復号化装置220へ受信局位置情報402を供給する。
【0055】
位置判定部40は、送信局位置情報401と受信局位置情報402を用いて、各送信局100と自受信局200間の距離を計算する。以下、図4に示される第2実施形態に係る無線通信システムにおいて、送信アンテナTx1,Tx2を有する送信局100と受信局200間の距離の計算値のことを局間距離(Tx1,Tx2)と称し、送信アンテナTx3,Tx4を有する送信局100と受信局200間の距離の計算値のことを局間距離(Tx3,Tx4)と称し、説明する。
【0056】
位置判定部40は、局間距離(Tx1,Tx2)及び局間距離(Tx3,Tx4)に対して、それぞれに基準距離との比較を行う。位置判定部40は、その比較結果に応じて、通信路値更新器1−02,1−04へ、通信路値更新制御信号410を出力する。通信路値更新制御信号410は、通信路値更新器1−02,1−04において通信路値の更新に使用されるペアビットを指定するものである。
【0057】
ここで、本実施形態に係るペアビット使用条件を説明する。
(1)局間距離(Tx1,Tx2)が基準距離超過である場合には、送信アンテナTx1,Tx2から送信された信号に含まれる変調シンボル(A1,B1,C1,・・・),(A2,B2,C2,・・・)、にマッピングされたビットは、ペアビットとして使用禁止とする。
(2)局間距離(Tx3,Tx4)が基準距離超過である場合には、送信アンテナTx3,Tx4から送信された信号に含まれる変調シンボル(A3,B3,C3,・・・),(A4,B4,C4,・・・)、にマッピングされたビットは、ペアビットとして使用禁止とする。
(3)局間距離(Tx1,Tx2)及び局間距離(Tx3,Tx4)の両方共に基準距離以下である場合には、ペアビットに関する使用の制限はない。
【0058】
このペアビット使用条件では、送信局100と自受信局200間の距離の計算値が基準距離超過である送信局100から送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットは、所要の信頼度を満足しないものであるので、ペアビットとして使用するとかえって復号精度の劣化を引き起こす可能性があり、ぺアビットとして使用しないほうが復号精度の維持に役立つという理由から、ぺアビットとして使用禁止にしている。このことから、送信局100と自受信局200間の距離に係る基準値(基準距離)には、ある送信局100から送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットに対して、所要の信頼度を満足させる限界値を設定する。
【0059】
位置判定部40は、ペアビット使用条件に従って、通信路値更新制御信410を生成する。通信路値更新制御信号410の具体例を以下に挙げる。
【0060】
(通信路値更新制御信号410の実施例1)
局間距離(Tx1,Tx2)が基準距離以下である場合は、信号点間距離(Tx1)に基づいた通信路値に含まれるビット及び信号点間距離(Tx2)に基づいた通信路値に含まれるビットをペアビットとして使用するように指定する。局間距離(Tx3,Tx4)が基準距離以下である場合は、信号点間距離(Tx3)に基づいた通信路値に含まれるビット及び信号点間距離(Tx4)に基づいた通信路値に含まれるビットをペアビットとして使用するように指定する。局間距離(Tx1,Tx2)及び局間距離(Tx3,Tx4)の両方共に基準距離以下である場合は、信号点間距離(Tx1)に基づいた通信路値に含まれるビット、信号点間距離(Tx2)に基づいた通信路値に含まれるビット、信号点間距離(Tx3)に基づいた通信路値に含まれるビット及び信号点間距離(Tx4)に基づいた通信路値に含まれるビットをペアビットとして使用するように指定する。これにより、基準距離以下である局間距離の送信局100から送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットはペアビットとして使用されるが、基準距離超過である局間距離の送信局100から送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットはペアビットとして使用されない。
【0061】
(通信路値更新制御信号410の実施例2)
局間距離(Tx1,Tx2)が基準距離超過である場合は、信号点間距離(Tx1)に基づいた通信路値に含まれるビット及び信号点間距離(Tx2)に基づいた通信路値に含まれるビットをペアビットとして使用しないように指定する。局間距離(Tx3,Tx4)が基準距離超過である場合は、信号点間距離(Tx3)に基づいた通信路値に含まれるビット及び信号点間距離(Tx4)に基づいた通信路値に含まれるビットをペアビットとして使用しないように指定する。局間距離(Tx1,Tx2)及び局間距離(Tx3,Tx4)の両方共に基準距離超過である場合は、信号点間距離(Tx1)に基づいた通信路値に含まれるビット、信号点間距離(Tx2)に基づいた通信路値に含まれるビット、信号点間距離(Tx3)に基づいた通信路値に含まれるビット及び信号点間距離(Tx4)に基づいた通信路値に含まれるビットをペアビットとして使用しないように指定する。この指定方法の場合、ペアビットとして使用禁止されたビット以外のビットは、ペアビットとして使用されるように定めておく。これにより、基準距離以下である局間距離の送信局100から送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットはペアビットとして使用されるが、基準距離超過である局間距離の送信局100から送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットはペアビットとして使用されない。
【0062】
通信路値更新器1−02,1−04は、通信路値更新制御信号310で使用するように指定されたペアビットのみを使用して、通信路値の更新を行う。従って、使用されないペアビットがある場合には、その使用されないペアビットを用いた演算が行われないので、その行われない演算分だけ演算量が削減される。
【0063】
なお、局間距離(Tx1,Tx2)及び局間距離(Tx3,Tx4)の両方共に基準距離超過である場合は、使用可能なペアビットが全くないので、通信路値の更新自体が行われない。
【0064】
本実施形態によれば、送信局100と受信局200間の距離を受信電力の尺度として利用し、基準距離超過である局間距離の送信局100から送信された信号をペアビット対象から除外することにより、その除外分の通信路値更新演算量を削減することができるようになる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1−01…通信路値演算器、1−02,1−04…通信路値更新器、1−03,1−07…要素復号器、1−05,1−06…ターボインタリーバ、1−08,1−09…ターボデインタリーバ、10…チャネル推定部、11…距離計算部、12…受信電力計算部、13…受信電力判定部、40…位置判定部、100…送信局、110…OFDM変調器、200…受信局、210…OFDM復調器、220…復号化装置、Tx1,Tx2,Tx3,Tx4…送信アンテナ、Rx1,Rx2,Rx3,Rx4…受信アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信局でターボ符号化データがマッピングされた変調シンボルが複数の送信アンテナから同時に同じ周波数で送信された信号を受信局で複数の受信アンテナを用いて受信した受信信号から、前記送信アンテナの各各から送信された変調シンボルにマッピングされたターボ符号化データを復号する復号化装置において、
既知の受信信号を用いてチャネル行列を推定するチャネル推定手段と、
前記チャネル行列を用いて、前記送信アンテナの各各から送信された変調シンボルの受信信号点と参照信号点の間の信号点間距離を計算する信号点間距離計算手段と、
前記信号点間距離に基づいて通信路値を求める通信路値演算手段と、
前記通信路値に基づいた事後値を用いて前記通信路値を更新する通信路値更新手段と、
前記通信路値に基づいた外部値を事前値として用いて、前記通信路値更新手段によって更新された前記通信路値を復号し、前記事後値および前記外部値を生成する要素復号手段と、
前記送信アンテナの各各から送信された信号の分の受信電力を計算する受信電力計算手段と、
前記受信電力に基づいて、前記通信路値更新手段で使用される事後値を指定する指定手段と、
を備えたことを特徴とする復号化装置。
【請求項2】
前記指定手段は、基準電力以上である受信電力の送信アンテナから送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットのみを、前記通信路値更新手段で使用される事後値に指定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の復号化装置。
【請求項3】
複数の送信局でターボ符号化データがマッピングされた変調シンボルが複数の送信アンテナから同時に同じ周波数で送信された信号を受信局で複数の受信アンテナを用いて受信した受信信号から、前記送信アンテナの各各から送信された変調シンボルにマッピングされたターボ符号化データを復号する復号化装置において、
既知の受信信号を用いてチャネル行列を推定するチャネル推定手段と、
前記チャネル行列を用いて、前記送信アンテナの各各から送信された変調シンボルの受信信号点と参照信号点の間の信号点間距離を計算する信号点間距離計算手段と、
前記信号点間距離に基づいて通信路値を求める通信路値演算手段と、
前記通信路値に基づいた事後値を用いて前記通信路値を更新する通信路値更新手段と、
前記通信路値に基づいた外部値を事前値として用いて、前記通信路値更新手段によって更新された前記通信路値を復号し、前記事後値および前記外部値を生成する要素復号手段と、
前記送信局の各各の位置情報と前記受信局の位置情報に基づいて、前記送信局の各各と前記受信局の間の局間距離を計算する局間距離計算手段と、
前記局間距離に基づいて、前記送信局の単位で、前記通信路値更新手段で使用される事後値を指定する指定手段と、
を備えたことを特徴とする復号化装置。
【請求項4】
前記指定手段は、基準距離以下である局間距離の送信局から送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットのみを、前記通信路値更新手段で使用される事後値に指定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の復号化装置。
【請求項5】
送信局でターボ符号化データがマッピングされた変調シンボルが複数の送信アンテナから同時に同じ周波数で送信された信号を受信局で複数の受信アンテナを用いて受信した受信信号から、前記送信アンテナの各各から送信された変調シンボルにマッピングされたターボ符号化データを復号する復号化方法であって、
チャネル推定手段が既知の受信信号を用いてチャネル行列を推定するステップと、
信号点間距離計算手段が前記チャネル行列を用いて、前記送信アンテナの各各から送信された変調シンボルの受信信号点と参照信号点の間の信号点間距離を計算するステップと、
通信路値演算手段が前記信号点間距離に基づいて通信路値を求めるステップと、
通信路値更新手段が前記通信路値に基づいた事後値を用いて前記通信路値を更新するステップと、
要素復号手段が前記通信路値に基づいた外部値を事前値として用いて、前記通信路値更新手段によって更新された前記通信路値を復号し、前記事後値および前記外部値を生成するステップと、
受信電力計算手段が前記送信アンテナの各各から送信された信号の分の受信電力を計算するステップと、
指定手段が前記受信電力に基づいて、前記通信路値更新手段で使用される事後値を指定するステップと、
を含むことを特徴とする復号化方法。
【請求項6】
前記指定手段は、基準電力以上である受信電力の送信アンテナから送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットのみを、前記通信路値更新手段で使用される事後値に指定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の復号化方法。
【請求項7】
複数の送信局でターボ符号化データがマッピングされた変調シンボルが複数の送信アンテナから同時に同じ周波数で送信された信号を受信局で複数の受信アンテナを用いて受信した受信信号から、前記送信アンテナの各各から送信された変調シンボルにマッピングされたターボ符号化データを復号する復号化方法であって、
チャネル推定手段が既知の受信信号を用いてチャネル行列を推定するステップと、
信号点間距離計算手段が前記チャネル行列を用いて、前記送信アンテナの各各から送信された変調シンボルの受信信号点と参照信号点の間の信号点間距離を計算するステップと、
通信路値演算手段が前記信号点間距離に基づいて通信路値を求めるステップと、
通信路値更新手段が前記通信路値に基づいた事後値を用いて前記通信路値を更新するステップと、
要素復号手段が前記通信路値に基づいた外部値を事前値として用いて、前記通信路値更新手段によって更新された前記通信路値を復号し、前記事後値および前記外部値を生成するステップと、
局間距離計算手段が前記送信局の各各の位置情報と前記受信局の位置情報に基づいて、前記送信局の各各と前記受信局の間の局間距離を計算するステップと、
指定手段が前記局間距離に基づいて、前記送信局の単位で、前記通信路値更新手段で使用される事後値を指定するステップと、
を含むことを特徴とする復号化方法。
【請求項8】
前記指定手段は、基準距離以下である局間距離の送信局から送信された信号に含まれる変調シンボルにマッピングされたビットのみを、前記通信路値更新手段で使用される事後値に指定する、
ことを特徴とする請求項7に記載の復号化方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−226382(P2010−226382A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70877(P2009−70877)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】