説明

循環する細胞の体外アブレーションのためのデバイスおよび方法

生命体の血液中で循環する標的細胞の体外アブレーションのための方法およびデバイスが提供される。血液中に導入された外因性物質は、血液中の標的細胞(例えば、癌細胞、細菌、ウイルス)と優先的に結合する。体外連続流経路で患者の血液にアクセスし、体外連続流経路の一部でエキソビボ・アブレーション・デバイスにおいて外部エネルギー源を血液に印加する。外因性物質は、印加エネルギーと相互作用し、その結果、標的細胞に損傷または死をもたらす。次いで、血液が連続流パターンで身体に戻される。血液がエキソビボ・アブレーション・デバイス内にある間にエネルギーを印加することにより、身体による標的細胞の遮蔽が低減され、身体の器官および組織に対する悪影響が回避されるか、または緩和される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により本明細書に組み込まれている、2007年3月1日に出願した「A Device for the Extracorporeal Ablation of Circulating Cells」という表題の米国仮特許出願第60/904,207号の利益および優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、ヒトまたは動物の血液中を循環する標的細胞を排除するためのデバイスおよび方法に関する。より具体的には、本発明は、連続血流プロセスにおいて治療済み血液を身体に戻す前に外因性物質を使用してエネルギーを標的細胞に選択的に印加することにより標的細胞にアブレーションを施す連続流体外デバイスの使用に関するものである。
【背景技術】
【0003】
体内で成長している充実性腫瘍のインビボ・アブレーションは、当技術分野で知られており、また健康に対するそのような腫瘍の悪影響は以前から理解されていた。しかし、ヒトまたは動物の血液中に特定の望ましくない細胞サブセットまたは生命体(例えば、癌細胞、細菌、またはウイルス)が存在することも、そのようなヒトおよび動物の健康に悪影響をもたらすことがある。これらの血液媒介性細胞サブセットに関わる疾病の現行の治療形態は、一般に全身性であり、循環血液全体の処置を必要とする。この全身性アプローチは、基礎疾患を治療するのに必要な場合があるが、そのような全身性アプローチは望ましくない細胞サブセットだけでなく正常細胞および組織にも影響を及ぼすため、循環血液全体を全身性アプローチで処置することは一般的に望ましいものではない。
【0004】
診断を目的とする循環細胞サブセットの同定は、日常的な臨床診断法(フローサイトメトリーなど)である。しかし、これらの技術は、その後分析にまわされる、患者から採取された少量の血液サンプルに依存する。これらの同定法は、疾病の診断同定または特徴付けのためこれらの細胞の濃縮および/または抽出を重視している。
【0005】
例えば、循環する腫瘍細胞(CTC)が、転移性乳癌と新たに診断された患者の血液中に存在していることは、無増悪進行全生存を高い精度で予測するもので、また有意な予後情報に関連することがわかっている。CTCの定量化は、自動細胞濃縮および免疫細胞化学的検出システム(例えば、ニュージャージー州ウォレン所在のVeridex社のCellSearch System)に基づくものとしてよい。このシステムでは、循環上皮細胞は、磁界内の抗体コート磁気ビーズによって単離され(磁性流体粒子は、抗EpCAM抗体、サイトケラチン8、18、および19を認識し具体的には上皮細胞を同定する2つのフィコエリスロン抱合抗サイトケラチン抗体(phycoerythron−conjugated anti−cytokeratin)、造血性細胞を除外するためにアロフィコシアニンに抱合されたCD45に対する抗体、細胞核を蛍光標識する核染色DAPI、およびサイトケラチン抗体の上皮細胞への侵入を許す透過緩衝液をコートされる)、半自動蛍光顕微鏡を使用して同定される。細胞画像は、形態学的特徴および染色パターンが上皮細胞のと一致する場合にポジティブとしてカウントされる(サイトケラチン、DAPI、CD45)。抗体ベースの技術のほかに、当技術分野では、RT−PCRなどの核酸ベースの技術を使用して、分化マーカー(サイトケラチン19および20、MUC−1、EGFR、Her−2/neu)または腫瘍胎児抗原(ベータ・ヒト絨毛性ゴナドトロピン[ベータHCG])の発現を通じてCTCを同定することが知られている。
【0006】
循環癌細胞の重大さは、臨床研究において評価されている。Veridexシステムを使用するプロスペクティブ多施設臨床研究では、血液7.5ml当たりのCTCの個数が1,491個と最高である転移性乳癌患者のほぼ70%でCTCが検出された。(Riethdorf、S.らの「Detection of circulating tumor cells in peripheral blood of patients with metastatic breast cancer:a validation study of the CellSearch system」、Clin.Cancer Res.、2007.13(3):p.920−8を参照のこと。)治療前には、転移性乳癌患者の61%については、血液7.5ml当たりCTC数は2を超え、47%については、6を超えていた。(Cristofanilli、M.ら「Circulating tumor cells,disease progression,and survival in metastatic breast cancer」、N.Engl.J.Med.、2004.351(8):p.781−91を参照のこと。)転移性乳癌の新規に診断された患者に対するプロスペクティブ多施設臨床試験では、患者の52%は、血液7.5ml当たりCTC数が5未満である患者に比べて予後が悪いベースラインでCTC数が5を超えていた。(Cristofanilli、M.ら「Circulating tumor cells:a novel prognostic factor for newly diagnosed metastatic breast cancer」、J.Clin.Oncol.、2005.23(7):p.1420−30を参照のこと。)
【0007】
原発腫瘍部位とは別の器官系内のCTCの移植は、これは癌「幹細胞」と称されることもある、コロニー形成能を持つCTCを必要とする。これらの癌「幹細胞」は、正常造血幹細胞に似た自己再生能を有し、被検体内に腫瘍を形成する能力を有する場合がある。このような細胞は、特定の形態の癌を持つヒトの循環血液中に、おそらくその発生が希であるためまだ明確には確認されていないが、そのような理論は、幹細胞が非対称に幹細胞に分割し、より分化した細胞が大きな腫瘍を形成するという理解と一致している。
【0008】
菌血症は、血液中に細菌が存在している状態である。血液は、通常、無菌環境にあるが、細菌は、手術の際に、またはカテーテルおよび他の異物が動脈または静脈内に入り込むことで生じる感染の重症合併症として血流中に入り込む可能性がある。菌血症を患うと、いくつかの結果を生じうる。細菌に対する免疫応答は、敗血症性ショックを引き起こす場合があり、これは比較的死亡率が高い。細菌は、さらに、血液を利用して、身体の他の部分に広がり、元の感染部位と離れた場所に感染を引き起こしうる。
【0009】
ウイルスもまた、いくつかの病状において血液中で循環しうる。例えば、HIVのウイルス量は、疾患の増悪の指標となる。血液中のウイルス量の減少は、治療の効力の1つの尺度である。
【0010】
血液中のこれらの種類の標的細胞は、一般に、希な事象であり、血流中に循環する全細胞数のうちのわずかな数の細胞であるため、大半の治療法は、これらの細胞をインビボで排除するか、不活性化するか、または破壊するために薬物の利用を重視している。例えば、癌細胞の場合、化学療法または免疫療法が一般的な方法である。菌血症の場合、循環する細菌に対し抗生物質が使用されうる。しかし、これらのアプローチは、一部は細菌株の耐性が増してゆくため、完全な効果をもたらさない。したがって、他の循環する血液成分に対する重大なダメージを避ける必要があるため、また血液内の望ましくない細胞サブセットの数が限られているため、従来の治療法は、望ましくない細胞サブセットと闘う能力の点で制限されている。
【0011】
静止しているインビボ標的のアブレーションの従来の技術は、標的部位におけるアブレーション・エネルギーの直接的適用またはアブレーション・エネルギーを変換する外因性物質の使用を含みうる。これらの技術は、高周波アブレーション、交番磁界によって活性化された常磁性粒子を使用する熱アブレーション、電磁放射線によって活性化されたコロイド金属、プラズモン、または導電性粒子を使用する熱アブレーション、超音波ベースの熱アブレーション、可視レーザーを使用する直接アブレーション、集束マイクロ波アブレーション、およびそのようなエネルギーを例えば腫瘍中の静止している細胞サブセットに送り込むことを重視した類似の技術を含みうる。
【0012】
これらの従来のアプローチのいくつかは、身体の特定の細胞または部分に外因性粒子を送り込むために標的分子を使用した。これらの分子は、標的細胞上の細胞表面受容体に対し選択的であるか、または外因性粒子を標的細胞に取り込ませるさまざまな構造物(ペプチド、アプタマー、抗体、抗体フラグメント、および他のリガンド)から選択されうる。標的細胞、つまり外因性物質の標的は、腫瘍血液供給源となる内皮細胞など、アブレーションの対象となる間接的標的であってよい。これらの間接的標的のアブレーションの結果、腫瘍それ自体などの最終的な標的の破壊が生じうる。
【0013】
これらのアブレーション技術には、隣接細胞または組織に致死効果を有する光またはエネルギー活性化分子の使用を伴う匹敵する細胞除去方法が含まれる。これらの匹敵する方法の例には、フォトシンセサイザ(特定の波長の光によって励起されうる化合物、結果として一般に酸素ラジカルを発生する)を使用する光線力学療法が含まれる。光線力学療法に使用される分子としては、特に、アミノレブリン酸(ALA)およびメチルアミノレブリン酸(MAL)がある。
【0014】
上述のアブレーション技術は、すべてインビボであり、数秒から数時間にわたりうる指定された時間の間、治療領域にエネルギーを印加する必要があるということは無視できない。それに加えて、大半の技術では、印加部位内のすべての物質にアブレーションを施し(例えば、高周波アブレーション、光線力学療法、直接レーザー・アブレーション)、そのため、結果として、標的以外、または健全な細胞にもダメージを与えることになる。これらのインビボでの処置において外因性エネルギー・トランスデューサを使用することで、充実性組織および腫瘍に対し細かいアブレーションを実行できる。例えば、金シェルで囲まれたシリカ・コアからなる金ナノシェルは、近赤外線レーザー・エネルギーを吸収するように設計されている。充実性腫瘍に静脈内送達したときに、これらの粒子は、近赤外線レーザーによって活性化され、これにより、体内に留まっている間に腫瘍の熱アブレーションが行われうる。同じ静脈内で、そのようなナノ粒子とともに標的リガンドを使用すると、粒子および印加エネルギーを特定の種類の細胞に、または体内の特定の部位に送り込むことによりアブレーションの選択性レベルを高められうる。米国特許第6,344,272号および米国特許第6,685,986号では、一クラスのナノ粒子の組成および合成を教示している。参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,530,944号は、細胞または組織にナノ粒子を送達し、熱を放射する条件の下でナノ粒子を励起源へ曝露して前記細胞または組織内に発熱を局部的誘発させることによる局部的インビボ治療を説明している。この治療法は、静止している充実性腫瘍塊に適用可能である。
【0015】
他のナノ粒子は、充実性腫瘍および組織のインビボ・アブレーションについて説明されている。例えば、常磁性粒子、金ナノロッド、およびカーボン・ナノチューブは、一般に、充実性腫瘍および組織のアブレーションに関して、標的リガンドとともに説明されている。これらの粒子は、静脈内で、または直接注射で腫瘍内に送達された。これらの粒子は、さらに、腫瘍浸潤リンパ球などの腫瘍標的細胞サブセット内に吸収を通じて送達されうる。これらの技術は、充実性腫瘍に適用可能である。
【0016】
これらの技術は、血液中を循環する細胞のアブレーションまたは除去には一般的には役立っていない。これらの循環細胞は、印加エネルギー場を通過するのが速すぎて治療効果をもたらしえないか、またはエネルギー場が、そのような細胞に印加されうる形で印加されえない。例えば、可視および近赤外線電磁エネルギーでは、組織または血管壁を貫通する深さが限られており、そのため、体内または血液内への浸透深さが制限される。したがって、インビボ活性化技術には、身体による遮蔽の問題があり、循環する細胞サブセットに直接アクセスすることが妨げられる。浸透深さのより深いエネルギーの形態は、多くの場合、望ましくない副作用を有する。例えば、交番磁界は、血液からは除去されても、身体からはまだ除去されていない常磁性粒子の渦効果または活性化を引き起こし、その結果、健全な組織に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0017】
前記の理由から、静止している標的細胞のインビボ・アブレーションの従来技術には、いくつかの用途において多くの欠点がある。
【0018】
米国特許第6,685,730号で教示されている技術などの他の従来の技術では、組織修復の強化を目的として外因性物質を使用する。しかし、このような技術は、細胞の選択的破壊または損傷効果を教示していない。
【0019】
さまざまな体外デバイスが、他の生物学的プロセスおよび方法に組み込まれている。例えば、血液成分の透析またはメンブラン分離は、ふつうに行われる医療処置である。これらの技術は、血液中の特定細胞の治療を対象とするものではなく、むしろ、体器官を適切に機能させることにより正常に取り除かれたタンパク質および分子の除去を行うものである。タンパク質のアフェレーシスもまた、乾燥黄斑変性症などの疾患の治療に関して説明されている。これらの技術では、治療プロセスにおいて、細胞を治療するのではなく、ましてや特定の標的細胞を治療することはない。
【0020】
米国特許第4,321,919号、米国特許第4,398,906号、米国特許第4,428,744号、および米国特許第4,464,166号、および米国特許第5,984,887では、体外フォトフェレーシスについて説明しており、そこでは、血液は、身体から除去され、紫外線とそのような光に曝露されると活性化する薬物によって治療される。次いで、血液は身体に戻される。この技術は、ある種の血液および骨髄疾患(例えば、皮膚T細胞性リンパ腫)および移植片対宿主病(GVHD)の治療において研究されている。これらの技術では、単核血球は、アフェレーシスによって回収され、ソラレンを使用してエキソビボで治療され、エキソビボで紫外線に曝露され、最終的に、患者に返血される。これらの技術は、治療の性質と数時間にもわたることもある必要な治療の長さのため、バッチ・プロセス(つまり、連続プロセスではなく)を特徴とする。
【0021】
血液加温デバイスは、当技術分野で知られており、さまざまな目的のために使用されてきた。例えば、輸血の際に、血液を温めて、輸血を受ける患者に悪影響が生じるのを回避する。低体温が生じた後に、体温を上げるために血液を加熱して患者に再輸血するデバイスが調査されている。
【0022】
同様に、HIV、カポジ肉腫、癌、および他の疾患の治療で血液の温度を体外で上げることについても調査されている。身体から血液を取り出して、加熱し、次いで、冷ましてから体内に戻した。それに加えて、癌の治療のための全身温熱療法についての調査には、体温を上げるために再輸血するのに先立って血液を体外で加熱することが含まれていた。
【0023】
しかし、前記の技術はどれも、血液中の特定の望ましくない細胞を標的とするのには役立たない。
【0024】
同様に、アフェレーシスおよび類似の技術も、当技術分野で知られている。例えば、米国特許第6,528,057号では、多孔質の外面にウイルス成分に対する特異性を有する固定化親和性分子を有する中空糸に血液を体外循環させることにより血液からウイルスまたはそのフラグメントもしくは成分を除去することでウイルス量を低減するための方法を説明している。流体が中空糸内を通過することで、ウイルス粒子は親和性分子に結合し、排液中のウイルス量を減らす。
【0025】
米国特許第5,104,373号では、(i)低いpHにおける血液の温熱治療、(ii)ウイルス、微生物、または病状を含む、またはその影響を受けている血球を、他の細胞に比べてより脆くするために、機械的に損傷するか、または溶解すること、および(iii)血液を放射線に曝露することを含む、いくつかのモダリティのうちの1つまたはすべてによって血液サンプルを体外治療するための方法を説明している。しかし、このデバイスは、患者体内の細胞または血液の成分に放射線を当てる際に選択的ではない。これらの従来技術の不利点として、放射線を照射された血流全体を治療するのとは反対に、放射線を照射された血流内の望ましくない細胞サブセットを優先的に治療することができないという点を挙げられる。
【0026】
米国特許出願第2004/0191246号では、生体細胞を分離するためのデバイスを説明している。この出願では、免疫療法に分離された細胞を使用することと、体液のインビボ治療による他の手段とを説明しており、さらにそのような細胞の「中性化」に言及しているが、そのような中性化の方法について説明しておらず、またそのような方法で標的と残りの血球とをどのように区別するかについても説明していない。それに加えて、この出願では、デバイス内で残りの血液成分から標的を分離することを考察している。
【0027】
体液のサンプルから細胞を分離したり、または濃縮したりするためのさまざまなデバイスが開発されているが、これらのデバイスは、サンプルそれ自体にのみ作用することに限定されず、また患者の血液成分全体を治療することを教示していない。米国特許出願第2006/0252087号では、体液サンプルから細胞または標的分子を分離するための方法を説明している。米国特許出願第2006/0141045号では、体液サンプルからの細胞分離に使用されうるビーズについて説明している。米国特許出願第2007/0161051号でも、類似の機能を持つデバイスを説明している。他の例についても、文献の中で説明されている。しかし、これらのデバイスは、少量の体液サンプルを利用するように設計されており、したがって、患者の血液量全体を治療するのには役立たない。
【0028】
したがって、従来技術の1つまたは複数の不利点を解消する改善された方法が必要である。
【発明の概要】
【0029】
本発明は、ヒトまたは動物の血液中を循環する標的細胞を排除するためのデバイスおよび方法に関する。より具体的には、本発明は、連続血流プロセスにおいて治療済み血液を身体に戻す前に外因性物質を使用してエネルギーを標的細胞に選択的に印加することにより標的細胞にアブレーションを施す連続流体外デバイスの使用に関するものである。
【0030】
いくつかの実施形態では、生命体の血液中を循環する標的細胞の体外アブレーションのための方法は、標的細胞と優先的に結合するように適合された外因性物質を血液中に導入することと、そのような外因性物質を標的細胞と優先的に結合させることと、血液にアクセスし、その後血液を身体に連続的に戻すための体外連続流経路を設けることと、血液を体外連続流経路内に流すことと、エキソビボ・アブレーション・デバイスの体外連続流経路の一部において外部エネルギー源から外部エネルギーを血液に印加することと、外部エネルギーを印加して外因性物質を活性化し、標的細胞に損傷または死をもたらすことと、血液を体外連続流経路から身体に連続的に戻すこととを含む。
【0031】
本明細書で使用されているような「標的細胞」または「標的」という用語は、限定はしないが、任意の望ましくない単細胞または多細胞生命体(例えば、癌細胞)、ある種の血球(例えば、自己反応性T細胞、B細胞)、細菌、ウイルス、真菌類、白血球または単球の一部、寄生虫、血液または生命体中を循環する任意の細胞または生命体、あるいはこれらの任意の組合せを含む、生命体の循環血液から選択的にアブレーションされることが望まれている任意の望ましくない粒子、物質、または生物学的作用物質を指す。ウイルスなどの一部の生物学的作用物質は、通常であれば、「細胞」というふつうの言葉の意味には含まれないけれども、参照の便宜上、本明細書で使用されているような「標的細胞」という用語は、それにもかかわらず「細胞」という用語の典型的な生物学的な使用に限定されないことが意図されていることは理解される。
【0032】
本明細書で使用されているような「外因性物質」という用語は、標的細胞と優先的に結合するように適合され、またエネルギー源からの外部エネルギーに曝露されると、活性化して標的細胞を損傷させるか、衰弱させるか、または排除するように適合された任意の物質を指す。
【0033】
本明細書で使用されているような「活性化する」という用語、およびその活用形は、エネルギー源からの外部エネルギーに曝露されたときの、外因性物質による熱へのエネルギーの吸収、転換、または変換を指す。その代り、またはそれに加えて、外因性物質の活性化は、標的細胞の損傷、衰弱、または排除を結果としてもたらす外因性物質の化学的または物理的変化によるものとしてよい。以下の開示では、外因性物質の好適な例を取りあげて、さらに説明する。
【0034】
本明細書で使用されているような「アブレーション」という用語、およびその活用形は、限定はしないが、即座に、または時間をかけて出現しうる、細胞破壊、アポトーシス、および/または任意の他の方法を含む任意の好適な機序による細胞の排除、損傷、または衰弱を指す。アブレーションは、熱または吸収されたエネルギー、あるいは外因性物質に印加される外部エネルギーによってトリガーされた代謝作用または化学作用のいずれかによるものとしてよい。アブレーションは、さらに、タンパク質の変性、核酸、細胞膜、または細胞成分の破壊または修飾、細胞機能に必要な化学経路の崩壊、または任意の他の好適な手段を含みうる。
【0035】
いくつかの実施形態では、血液中を循環する標的細胞の体外アブレーションのためのデバイスは、血液にアクセスし、その後治療してから血液を身体に連続的に戻すための体外連続流経路と、血液中の標的細胞が優先的に損傷または破壊を受けるように体外連続流経路の一部の中で血液に外部エネルギーを印加するためのエネルギー発生装置とを備える。
【0036】
いくつかの実施形態では、血液内の標的の体外アブレーションのためのシステムは、血液にアクセスし、その後血液を生体に連続的に戻すための体外連続流経路と、生体から血液を連続的に流す推進力を供給し、閉ループ内で血液を生体に戻すための体外血液ポンプと、前記体外連続流経路に隣接するエネルギー源と、血液内の標的細胞と優先的に結合する、前記エネルギー源からエネルギーを受け取り、エネルギーを前記標的細胞に放出するように適合された複数のナノ粒子とを備える。
【0037】
いくつかの実施形態では、血液内の標的の体外アブレーションのためのシステムは、体外血流経路を含む連続流体外循環デバイスと、前記体外血流経路の一部に隣接する外部エネルギー源と、前記体外血流経路内に配置された標的細胞を含む血液と、前記標的に結合したエネルギー吸収/変換粒子とを備える。
【0038】
いくつかの実施形態では、生体の血液中を循環する標的細胞の体外アブレーションのための方法は、インビボでエネルギー吸収/変換粒子を標的細胞を含む循環血液に付着させて粒子と標的細胞との抱合体を形成することと、生体の外部で血液を体外循環させることと、体外循環中に、血液を治療するために生体の外部にある間に抱合体を外部エネルギーに曝露することと、前記治療済み血液を連続流系内で循環させて生体内に戻すこととを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、生体の血液中を循環する標的細胞のアブレーションのための方法は、生体の外部で標的細胞を含む血液を体外循環させることと、エネルギー吸収/変換粒子を前記体外循環血液中の前記標的細胞に付着させて粒子と標的細胞との抱合体を形成することと、体外循環中に、血液を治療するために生体の外部にある間に抱合体を外部エネルギーに曝露することと、前記治療済み血液を連続流系内で循環させて生体内に戻すこととを含む。
【0040】
本発明の特徴および利点は、当業者に明らかになるであろう。当業者は、多くの変更を加えることができるが、そのような変更は本発明の精神の範囲内にある。
【0041】
本開示、およびその利点のより完全な理解は、付属の図面とともに以下の説明を参照することにより得られる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1A】生命体の血液中の標的細胞のアブレーションのための体外デバイスの一実施形態を示す略図である。
【図1B】追加のエネルギー発生装置および複数のエキソビボ・アブレーション・デバイスを有する、体外デバイスの他の実施形態を示す略図である。
【図2】血液がデバイス内を流れるときに血液をエネルギーに曝露するためのチャネルを有する、エキソビボ・アブレーション・デバイスの一実施形態の一例を示す図である。
【図3】外因性物質と標的細胞との優先的結合を例示する図である。
【図4】血管組織および血液内の主光減衰器の吸収スペクトルを例示する図である。
【図5A】特定の近赤外線吸収ナノ粒子の消失スペクトルを例示する、より具体的には、シリカ・コアの直径が120nmであり、金シェルが14nmである、ナノシェルの1サイズ分の消失スペクトルを示す図である。
【図5B】特定の近赤外線吸収ナノ粒子の消失スペクトルを例示する、より具体的には、厚さが15nmであり、長さが50nmである、金ナノロッドの1サイズ分の消失スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明は、さまざまな修正および代替形態により異なるが、特定の例示的な実施形態は、例として図面に示されており、本明細書において詳細に説明される。しかし、特定の実施形態の本明細書の説明は、本発明を開示されている特定の形態に限定することを意図していないが、それどころか、本発明は、付属の請求項により定められている本発明の精神および範囲内に収まるすべての修正形態、等価形態、および代替形態を対象とすることが理解される。
【0044】
本発明は、ヒトまたは動物の血液中を循環する標的細胞を排除するためのデバイスおよび方法に関する。より具体的には、本発明は、連続血流プロセスにおいて治療済み血液を身体に戻す前に外因性物質を使用してエネルギーを標的細胞に選択的に印加することにより標的細胞にアブレーションを施す連続流体外デバイスの使用に関するものである。
【0045】
本発明は、ヒトまたは動物の血液中を循環する標的細胞(例えば、癌細胞)のアブレーションまたは衰弱を可能にする。標的細胞と優先的に結合する外因性物質が、インビボまたはエキソビボのいずれかで患者の血液中に導入される。身体から血液にアクセスし、血液によって運ばれる外因性物質にエネルギーを印加し、次いで血液を連続的に身体に戻すために連続流体外デバイスが使用されうる。以下でさらに詳しく説明するように、アブレーション・デバイスを通っている間に血液に印加されるエネルギーは、外因性物質を活性化し、その結果、標的細胞のアブレーションが行われ、しかも、他の細胞、組織、および器官に対する悪影響を最小限に抑えられる。
【0046】
血液が体外デバイス内にある間にエネルギーを印加することにより、身体による標的細胞の遮蔽が低減され、身体の主要器官および組織に対する悪影響が回避されるか、または緩和される。
【0047】
これらの循環標的細胞を優先的に排除する方法は、健康状態または臨床転帰を改善しうる。アブレーションを施される標的細胞の種類に応じて、これらの標的細胞の一部であっても排除することには、不利な臨床転帰の可能性を低減することにより治療的有用性がある場合がある。例えば、循環クローン化可能腫瘍細胞を移植レベル以下に減らすことで、腫瘍の再発または転移の危険性が著しく低減される。同様に、循環癌細胞の数を減らすと、転移事象の数が減るか、または排除され、循環ウイルスまたは細菌の数を減らすと、感染の悪影響が減じる場合がある。
【0048】
外因性物質を使用して標的細胞を選択することで、正常な血液成分への損傷を、もしあったとしても低減して、所望の標的細胞に治療を行える。標的細胞に治療を行うことにより、血液成分のすべてに施される従来の広範な治療アプローチ(例えば、化学療法)と比較して標的細胞のより効率的なアブレーションが達成可能である。
【0049】
本発明をよりよく理解できるようにするために、いくつかの実施形態の例を以下に示す。以下の例は、決して、本発明の範囲を制限したり、定義したりするものと解釈されるべきではない。
【0050】
図1は、生命体の血液中の標的細胞のアブレーションのための体外デバイスの一実施形態を示す略図である。
【0051】
カテーテル1または類似のデバイスが、患者の静脈または動脈内に挿入され、血液がポンプで装置100A内に送り込まれ、別のカテーテルまたは類似のデバイスを通じて静脈または動脈5に送られて身体に戻される。患者の末梢または中心静脈/動脈は、標準的手技によりアクセスされ、チュービング・セット(例えば、アフェレーシスまたは血液透析チュービング・システムと同等)に接続されうる。アクセスおよび戻り血流は、さらに、ドナー・アフェレーシスにおける通常の診療のように、同じダブル・ルーメン・カテーテルに通されうる。
【0052】
ポンプ2は、血液を連続的に流して装置100Aに通すための推進力を供給するのに適した任意のデバイスである。この血液循環に適したさまざまな血液ポンプは、本発明の方法およびデバイスと連携して使用されうる。特に、血液透析に使用されるこれらのポンプは、この目的に適合されうる。本明細書において使用に適しているポンプの例としては、Gambro Phoenix(登録商標)またはFresenius 2008kが挙げられる。血液を加熱するのに適しているデバイスが、当技術分野で知られている。
【0053】
体外連続流経路1、3、および5を通る血流は、例えば、ローラー・ポンプまたは最大流速100ml/分以上の同等の装置によって発生させることができる。いくつかの実施形態では、血流速度は、約60ml/分から約100ml/分までの範囲であり、他の実施形態では、約90ml/分から約120ml/分までの範囲である。最大流速は、このプロセスから健全な血球に対し生じる損傷が最小限に抑えられる流速として選択されうる。
【0054】
オプションのヒーター7は、さらに、元の温度と一致するレベルを維持するための血液の加熱、および/または血液およびその成分の温度を上げて標的細胞のアブレーションを補助するための加熱を行うことができる。いくつかの実施形態では、ヒーター7の機能は、ポンプ2に組み込んで一体にできる。
【0055】
血液が流れて装置100Aを通る前に、またはその間に、外因性物質6が患者の血液中に注入されるか、または他の何らかの形で導入される。外因性物質は、標的細胞と優先的に結合するように適合される。それに加えて、外因性物質は、エネルギー源4からのエネルギーを吸収し、変換し、または他の何らかの形で相互作用するように適合される。その代り、外因性物質は、体外連続流経路1、3、および5を通って流れるときに血液中に導入されうる。
【0056】
体外連続流経路1、3、および5を通って流れている間、連続的に流れている血液は、体外連続流経路1、3、および5の一部を通して流れているときにエネルギー源4からの外部エネルギーに曝露される。この場合、血液は、この場合体外連続流経路3の一部をなすエキソビボ・アブレーション・デバイス200でエネルギー源4からの外部エネルギーに曝露される。血液が、エネルギー源4からのエネルギーに曝露されると、外因性物質は、エネルギーを吸収するか、または変換するか、または他の何らかの形で活性化され、その結果、標的細胞のアブレーションが行われる(例えば、エネルギーを熱に変換することにより)。これらのアブレーションを施された細胞は、連続的に流れている経路5を介して身体に戻り、正常な体内浄化機構を通じて浄化される。
【0057】
オプションのクーラー8は、経路5を経由して血液を患者に戻す前に、必要ならば、血液を冷やすのに適しているデバイスであればどのようなものでもよい。クーラー8は、血液を身体に戻す前に血液を元の温度まで冷ます機能を果たすものとすることができる。いくつかの実施形態では、クーラー8の機能は、ポンプ2に組み込んで一体にできる。さらに、ヒーター7およびクーラー8は両方とも、体外連続流経路1、3、および5の任意の部分に組み込むことができ、さらに、装置100Aの要素のどれかと並列に、または直列に配置されうることは理解される。
【0058】
図1Bは、追加のエネルギー発生装置および複数のエキソビボ・アブレーション・デバイスを有する、体外デバイスの他の実施形態を示す略図である。
【0059】
装置100Bは、複数のエキソビボ・アブレーション・デバイス200A、200B、および200Cとともに示されている。エネルギー源4A、4B、および4Cは、エキソビボ・アブレーション・デバイス200A、200B、および200Cにおいてエネルギーを血液に伝送する。複数のエネルギー源4A、4B、および4Cを使用することで、印加されるエネルギーの集中度を高めることができ、またいくつかの実施形態では、エキソビボ・アブレーション・デバイス200A、200B、および200C内を流れる血液を複数の種類のエネルギーに曝露することができる。
【0060】
エキソビボ・アブレーション・デバイス200Aは、エキソビボ・アブレーション・デバイス200Aの複数の側へ外部エネルギーを曝露することができるように構成される。エキソビボ・アブレーション・デバイス200Aが、デバイスの複数の側からエネルギーに曝露されるかどうかは、他の要因もあるが特に、エキソビボ・アブレーション・デバイス200Aの深さに依存する。
【0061】
エキソビボ・アブレーション・デバイス200Bは、エキソビボ・アブレーション・デバイスの1つの側に伝えられたエネルギーを反射してエキソビボ・アブレーション・デバイス内に戻す反射バッキングまたは表面を備え、これにより、さらに、エキソビボ・アブレーション・デバイス200B内での血液に対するエネルギー曝露が最大化される。
【0062】
代替の実施形態では、外因性物質は、標的磁性粒子の使用および/または磁界202の印加によりエキソビボ・アブレーション・デバイス200C内に集められる。これらの磁性粒子は、ナノシェルなどの他の粒子とともに使用されるか、または分離と治療の両方のために使用されうる。エキソビボ・アブレーション・デバイス200Cは、磁界202を印加することにより標的細胞を捕捉できるように分離室を備える形で設計されうる。その代り、磁界202は、外因性物質(したがって、その対応する、または結合している標的細胞)を長時間にわたって分離室内に保持することができる。いずれの場合も、治療は、標的細胞により直接的に、また長期間にわたり施されうる。磁界202は、所望の間隔で常時活性化または非活性化されうる。エキソビボ・アブレーション・デバイス200Cから外因性物質(したがって、その結合している標的細胞)を抽出または分離する用意を行うことができる。
【0063】
代替の一実施形態では、標的細胞を分離してエキソビボ・アブレーション・デバイスの一部に入れられるようにするためにエキソビボ・アブレーション・デバイスの一部に電流が印加されうる。エキソビボ・アブレーション・デバイス200Dは、電流を印加することにより標的細胞を捕捉できるように分離室を備えることができる。いくつかの実施形態では、電気泳動装置203によって電流が印加されうる。エキソビボ・アブレーション・デバイス200Dから外因性物質(したがって、その結合している標的細胞)を抽出または分離する用意を行うことができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、治療のため循環している標的細胞を捕捉するためにエキソビボ・アブレーション・デバイス200C内で捕捉分子(抗体またはそのフラグメント、アプタマー、ペプチド、あるいは標的細胞上の細胞表面分子に対する親和性を有する他の化学物質)を使用するなどの、標的細胞の捕捉用の代替のアプローチが使用されうる。この実施形態では、標的細胞は、アフェレーシスまたは採血により血液を残す必要はなく、エキソビボ・アブレーション・デバイス200C内でアブレーションが行われる。
【0065】
いくつかの実施形態では、エキソビボ・アブレーション・デバイス200A、200B、および200Cは、単純に、チュービングの一部または体外連続流経路1、3、および5の継続であってもよい。
【0066】
図2は、血液がデバイス内を流れるときに血液をエネルギーに曝露するためのチャネルを有する、エキソビボ・アブレーション・デバイスの一実施形態の一例を示す図である。
【0067】
血液は、入口21からエキソビボ・アブレーション・デバイス200内に入り、出口29からエキソビボ・アブレーション・デバイス200を出る。この例では、体外チュービングは、循環標的細胞がエネルギー源に曝露されるように、エキソビボ・アブレーション・デバイス200に接続されている。この方法で、血液は、エキソビボ・アブレーション・デバイス200を通して連続的に流れるか、または循環してから、身体に戻る。
【0068】
エネルギーは、エキソビボ・アブレーション・デバイス200の任意の部分に直接印加されうる。この実施形態では、血液は、血液を所望の時間にわたってエネルギー源に曝露することができる一連のチャネルを使って回路内を流れる。曝露面積、デバイスの深さ、チャネルの数、チャネルの直径などを含む、エキソビボ・アブレーション・デバイス200の物理的構成は、血液中の標的細胞の所望のエネルギー曝露を所望の有効量に最適化する曝露および流れ特性を持つように設計されうる。
【0069】
血液がエキソビボ・アブレーション・デバイス200内を流れている間にエネルギーを印加することにより、身体による標的細胞の遮蔽が低減され、身体の主要器官および組織に対する悪影響が回避されるか、または緩和される。この方法で、血液への直接的アクセスを可能にすることにより、外部エネルギーが血液とその中で循環している細胞に集束し、これにより、そのようなエネルギーが身体に印加され、その結果生じる可能性のある損傷を回避することができる。例えば、血液中に注入または注射される多くの粒子は、細網内皮系によって浄化される。これらの粒子を活性化するためにエネルギーを広い範囲にわたって印加すると、肝臓または脾臓内に存在するこれらの浄化された粒子が活性化し、その結果、望ましくない組織または器官損傷が生じうる。そのため、エキソビボ・アブレーション・デバイス200を使用することにより、アブレーションが施される標的細胞への送達がより効率的に行えるように血液にエネルギーが印加されうる。
【0070】
それに加えて、いくつかの実施形態では、エキソビボ・アブレーション・デバイス200の材料は、印加されるエネルギーの吸収が最小になるように設計されうる。例えば、エネルギー源が、近赤外線レーザー・エネルギーである場合、血液がレーザーに曝露される領域回路は、これらの波長で透過的であるか、比較的透明であるものとしてよい。
【0071】
印加される(複数の)エネルギー源は、中の外因性物質が活性化し標的細胞のアブレーションを十分に行えるように数分間印加する必要がある場合がある。外因性物質を必要なエネルギーに曝露するために、エキソビボ・アブレーション・デバイス200の1つまたは複数の場23A、23B、または23Cをエネルギー源に曝露するとよい。ここでは3つの曝露場が示されているけれども、本発明のデバイスおよび方法に関連して曝露場をいくつでも使用できる。複数の場が曝露される場合、複数の場において曝露は同時であるか、またはエネルギー源への血液の完全な曝露がなされるように決定されうる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の場23A、23B、または23Cへの曝露は、逐次的であるか周期的である。
【0072】
エネルギー源に対する標的細胞の曝露時間は、エキソビボ・アブレーション・デバイス200内部のコイル状の経路の長さ、血流速度、および処理済みの全血液量に依存する。所定の時刻にエネルギー源に曝露される細胞の個数は、他の要因もあるが特に、デバイス内の全血液量および曝露場の面積に依存する。いくつかの実施形態では、エキソビボ・アブレーション・デバイスは、ポンプによりデバイスを通じて送られる全血液量の数に基づき複数回循環標的細胞をアブレーションを行うエネルギーに曝露する。
【0073】
一実施形態では、デバイスのプレート間の距離は、約100μm以上であり、これにより、血流速度は最大約100ml/分までとすることができる。プレート間の距離は、エキソビボ・アブレーション・デバイス200内を通過している間に細胞の分布が均一になるように小さく保つことができ、この構成は、他の要因もあるが特に、エネルギー源の選択によって決まる。いくつかの実施形態では、エキソビボ・アブレーション・デバイス200は、血液が実質的にエキソビボ・アブレーション・デバイス200内を流れるように単層構成で構成され、わずか1層の細胞がエキソビボ・アブレーション・デバイス200の曝露領域または場を一度に通過する(例えば、どの細胞も、エキソビボ・アブレーション・デバイス200の曝露領域を通過するときに互いに重なり合う、つまり「積み上がる」ことなく)。
【0074】
一実施形態では、エキソビボ・アブレーション・デバイス200を通る経路、エネルギー源、およびエネルギー曝露場23A、23B、および23Cは、循環時に少なくとも1回患者の全血液量の曝露を行えるように選択される。デバイス内の可能な曝露時間は、他の要因もあるが特に、許容可能な血流速度、エネルギー照射野内でエキソビボ・アブレーション・デバイス200によって保持される体積、およびエキソビボ・アブレーション・デバイス200を通る回数の関数となっている。曝露時間3.5分について選択された流速およびデバイス・パラメータの一例は、以下のとおりである。
体外循環パラメータ:
デバイス内のコイル状チュービング長:3メートル
デバイス内のチュービング容積:70ml
血流速度:60ml/分
全血液量処理:3回
全血液量コイル状チュービング[ml]×3=70ml×3=3.5分
血流速度[ml/分] 60ml/分
【0075】
体外回路の寸法および構造材料は、エネルギー源ならびにエネルギー照射の必要な期間および強度に依存する。この回路に適合されうる市販の材料およびデバイスは多数ある。例えば、この目的に適合されうる、Therakos Photophoresis System chamber(ペンシルバニア州エクストン)を参照のこと。
【0076】
本開示の利益に関して、当業者は、このデバイスで使用するために、エネルギー源の任意の数および種類、また外因性物質の任意の数および種類を選択することができることを理解するであろう。印加されるエネルギーは、選択されたエネルギー源および外因性物質の性質によって決められた形で機能する。
【0077】
図3は、外因性物質と標的細胞31との優先的結合の方法を例示している。
【0078】
本明細書で使用されているような「外因性物質」という用語は、標的細胞と優先的に結合するように適合され、またエネルギー源からの外部エネルギーに曝露されると、活性化して標的細胞を損傷させるか、衰弱させるか、または排除するように適合された任意の物質を指す。いくつかの実施形態では、外因性物質は、エネルギー吸収ナノ粒子またはマイクロ粒子である。他の実施形態では、粒子は、特にエネルギー源が交番磁界である場合に磁性または常磁性(例えば、酸化鉄粒子)としてよい。他の実施形態では、粒子は、特にエネルギー源が電波である場合に、導電性材料(例えば、金または他の金属コロイド、ナノシェル、ナノロッド、バッキーボール、およびカーボン・ナノチューブ)であるものとしてよい。カーボン・フラーレン、ナノキューブ、ナノスター、およびナノ粒子に封入されたインドシアニン・グリーンも、好適な外因性物質として使用されうる。
【0079】
トランスデューサとして使用するために、スペクトルの近赤外線領域内で吸収度が強い外因性物質も、使用することが可能であろう。これらの材料およびその生産ならびに機能化の方法の例は、当技術分野で知られている。例えば、米国特許第6,344,272号および米国特許第6,685,986号を参照のこと。これらの近赤外線変換物質としては、ほかにもあるが特に、ナノシェル(金シェル・シリカ・コア・ナノシェル、金金硫化物ナノシェル、および他の変種物質)、金属ナノロッド、ナノスター、中空ナノ粒子、ナノケージ、楕円形「ナノリス」、カーボン粒子、バッキーボール、およびカーボン・ナノチューブがある。吸収または変換されたエネルギーは、標的細胞のアブレーションを行うための熱を発生しうる。いくつかの実施形態では、外因性物質は、光活性化プロドラッグである。
【0080】
いくつかの実施形態では、ナノロッドまたはナノシェルなどの近赤外線吸収ナノ粒子は、抗EGFr抗体などの上皮細胞表面分子に抗体とともに抱合されうる。これらの粒子を血液内に挿入し、そのような分子が細胞表面に存在している循環癌細胞に選択的に結合させることができる。前述のように、次いで、患者の血液は、ポンプで、エキソビボ・アブレーション・デバイスに通され、その際に、近赤外線源が印加されうる。ナノ粒子は、そのようなエネルギーを吸収し、熱を発生して、結合している標的細胞のアブレーションを行う。
【0081】
図3に示されているように、外因性物質32は、エネルギー変換粒子(ナノシェルまたは常磁性粒子など)としてよく、この粒子は血液中での循環時間が長くなるようにポリエチレン・グリコールでコートされている。標的細胞35の細胞表面上の分子に対するリガンド33は、外因性物質32に、または外因性物質32に施されているコーティングに固定化されうる。外因性物質32が血液中に注入されるか、または他の何らかの形で導入されると、外因性物質32は、標的細胞31の表面上の分子に優先的に結合する。電磁放射線または交番磁界などの外部エネルギー34を印加すると、外因性物質32が活性化し、その結果、熱が発生して標的細胞31の熱アブレーションが行われる。
【0082】
外因性物質へのリガンドの抱合の例が、当技術分野で知られている。
【0083】
その代り、リガンド37が外因性物質36に結合されると、結果として、標的細胞35による物質のエンドサイトーシス(食細胞作用または飲細胞作用によるものなど)が生じうる。外因性物質36は、エネルギー吸収または変換粒子(ナノロッドなど)としてよく、この粒子は血液中での循環時間が長くなるようにポリエチレン・グリコールでコートされている。標的細胞35の細胞表面上の分子に対するリガンド37は、外因性物質36に、または外因性物質36に施されているコーティングに固定化されうる。外因性物質36が血液中に注入されるか、または他の何らかの形で導入されると、外因性物質36は、標的細胞35の表面上の分子に優先的に結合し、その結果、外因性物質36のエンドサイトーシスが生じる。電磁放射線または交番磁界などの外部エネルギー38を印加すると、外因性物質36が活性化し、その結果、熱が発生して標的細胞35の熱アブレーションが行われる。
【0084】
また、外因性物質36の特性の結果として、標的細胞による優先的結合およびエンドサイトーシスが生じうる。光線力学療法またはフォトシンセサイザ分子は、細胞上の脂質受容体と優先的に結合し、その結果、細胞による摂取が行われうる。電磁エネルギーによる活性化が行われると、これらの分子はラジカルを放出し、その結果、標的細胞が破壊されうる。これらの物質は、さらに、リガンドとともに使用されるか、または標的細胞と優先的結合する他の材料中に封入されうる。これらのさまざまな外因性物質の選択とその使用について、さらに説明する。
【0085】
外因性物質と標的細胞との優先的結合に使用されるさまざまなリガンドが選択されうる。これらのリガンドと外因性物質との結合は、科学文献において広範にわたって説明されている。リガンドの選択は、標的細胞に依存する。例えば、標的が上皮性起源の循環腫瘍細胞である場合、サイトケラチン8、EpCam、または他の表面分子への抗体または抗体フラグメントが使用されうる。その代り、リガンドは、HER2受容体、EGF受容体、インテグリン、ホルモン受容体、またはさまざまな他の表面分子との親和性を有するものが選択されうる。標的が、循環する細菌である場合、多糖類などの表面分子への抗体または抗体フラグメントが使用されうる。標的が、HIVなどのウイルスである場合、GP 120または160への抗体または抗体フラグメントが使用されうる。本開示の利益に関して、当業者は、リガンドは、さまざまなタンパク質、ペプチド、抗体、抗体フラグメント、アプタマー、または他の循環する血液成分に勝る標的の優先的親和性を有する他の化合物のうちから選択されうることを理解するであろう。選択されたリガンドは、その標的にのみ特異的である必要はなく、外因性物質と体内の他の細胞との結合は、体内のこれらの標的細胞がエネルギー源からの外部エネルギーに曝露されないので、標的細胞のアブレーションに影響を及ぼさない。
【0086】
いくつかの実施形態では、本発明のデバイスおよび方法により、複数の形態のエネルギーおよび複数の形態の外因性物質を同時にまたは同時期に使用することができる。それに加えて、本発明では、説明されている方法に加えて他のエネルギー形態も利用できる。例えば、エネルギー源に曝露する前に、血液を、健全な血液成分に対してはアブレーションが行われない温度まで加熱することができる。この「背景」加熱は、標的細胞のその後のアブレーションを補助しうる。その代り、クーラーまたは体外デバイスで血液を冷却することにより、標的のアブレーションから生じるバイスタンダー損傷を低減することができる(例えば、周囲の血液を正常血球を損傷するレベルまで加熱することなく印加エネルギーを高めることにより)。それに加えて、他の療法または治療も、同時期に施すことができる。さらに、デバイス内にある間に血液を電離放射線に曝露して、標的細胞に生じる損傷を大きくすることもできる。
【0087】
細胞死をもたらす熱アブレーションを引き起こすのに必要な時間/温度関係は、類似の結果を得たさまざまな研究者たちによりさまざまな生体組織について実験的に求められている。Henriques(McKenzie AL、「Physics of thermal processes in laser−tissue interaction」、1990、Phys.Med.Biol.、35(9)1175−1209)が得たよく特徴付けがなされている結果では、アレニウス・モデルを使用して、タンパク質が完全に変性し、完全なネクローシスを示す臨界温度を導出している。臨界温度は、式
【0088】
【数1】

で表されるが、ただし、式中、Tは絶対温度(ケルビン)、ΔEは組織活性化エネルギー、Rは普遍気体定数、Aは頻度因子、tは時間である。上記の式では、60℃の温度で1秒、72℃の温度で1ミリ秒、83℃の温度で1マイクロ秒の完全な熱アブレーションを予測している。
【0089】
選択された(複数の)エネルギー源からのエネルギーの量および種類は、複数の変数の関数となっている。例えば、電磁放射線を使用する場合、選択された1つまたは複数の波長は、ヘモグロビンまたは水などの血液の他の成分による吸収を最小にするように選択されうる。
【0090】
このエネルギーは、熱、電磁放射線またはエネルギー、力学的エネルギー、電離性放射線、またはこれらの組合せの形態としてよい。いくつかの実施形態では、エネルギーは、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波放射線、電波、またはこれらの任意の組合せである。
【0091】
このようなエネルギーは、血液の非標的細胞または成分によって吸収され、血液の非標的細胞または成分に影響を及ぼす可能性があるが、標的細胞に対する悪影響は、患者のためになる場合がある。いくつかの実施形態では、電磁エネルギーの波長は、エキソビボ・アブレーション・デバイスの成分材料による吸収または散乱が最小になるように選択される。
【0092】
標的細胞サブセットのアブレーションは、粒子収束加温、機械的破砕、電離性放射線、電磁エネルギー活性化化学的方法または他の手段によるものとしてよい。
【0093】
その代り、エキソビボ・アブレーション・デバイス内にある間に電離性放射線または他の形態の放射線を血液に印加することができる。細胞破壊のこのような方法は、癌または細菌の細胞については選択的でない場合があるが、標的細胞を排除することによる健康上の利点が、血液中の他の有核細胞の減少を埋め合わせることができる。その代り、電離性放射線量は、本明細書で説明されている他の方法と組み合わせたときに標的細胞のアブレーションを行えるように選択されうる。
【0094】
他の実施形態では、粒子は、音響的特性を有し、エネルギー源は、限定はしないが、超音波を含む音響エネルギーであってよい。いくつかの実施形態では、音響エネルギーは、超音波によって熱を発生するように変換されうる。この例では、任意の音響粒子は、この種類の変換のための外因性物質として使用されうる。
【0095】
図4は、ヒト血液の主要成分の消失スペクトルを例示しており、また近赤外線変換外因性物質の一種である、ナノシェルの消失プロファイルを例示している。破線は、近赤外線吸収粒子を使用する治療法のための1つのレーザー発光の波長を示している。
【0096】
図5Aは、特定の近赤外線吸収ナノ粒子の消失スペクトルを例示する、より具体的には、シリカ・コアの直径が120nmであり、金シェルが14nmである、ナノシェルの1サイズ分の消失スペクトルを示す図である。
【0097】
図5Bは、特定の近赤外線吸収ナノ粒子の消失スペクトルを例示する、より具体的には、厚さが15nmであり、長さが50nmである、金ナノロッドの1サイズ分の消失スペクトルを示す図である。
【0098】
これらの波長のレーザーは、多数市販されている。レーザー・エネルギーは、連続波またはパルス波で印加され、外因性物質の曝露を最適なものにし、他の血液成分による吸収を最小にすることができる。
【0099】
一実施形態では、近赤外線は、外部印加エネルギー源として選択されうる。この実施形態では、電磁エネルギー、好ましくは650nmから1,500nmまでの範囲のスペクトル領域内の電磁エネルギーが、外部エネルギー源として使用される。いくつかの実施形態では、選択された1つまたは複数の波長は、ヘモグロビンまたは水などの血液の他の成分による吸収を最小にするように選択されうる。
【0100】
その代り、エネルギー源は、電波または無線周波数の電磁エネルギーを発生しうる。いくつかの実施形態では、導電性の外因性物質は、高周波放射をアブレーション用の熱に変換するために使用することも可能であろう。このような変換に使用できる外因性物質の例は多数あり、中でも、酸化鉄および他の常磁性体、固体金コロイドを含むコロイド金属、カーボン・ナノチューブ、ナノロッド、ナノシェル、ナノリス、ナノスター、ならびに中空ナノ粒子が挙げられる。
【0101】
その代り、エネルギー源は、交番磁界であってよい。この実施形態では、磁気特性を有する外因性物質は、磁界をアブレーション用の熱に変換するために使用することも可能であろう。このような変換に使用できる外因性物質の例は多数あり、中でも、酸化鉄および他の常磁性ナノ粒子が挙げられる。市販されているさまざまな磁気共鳴機器が、エネルギー源として使用されうる。しかし、このエネルギー源が選択された場合、体外デバイスの他の構成要素の組成または位置は、このエネルギー源に適合するものでなければならない。
【0102】
その代り、エネルギー源は、外因性物質を活性化して、標的細胞のアブレーションを行うことができる。一例は、標的細胞を破壊するためにフォトシンセサイザを使用することである。他の例は、プロドラッグの使用であり、この場合、薬剤化合物は、エネルギー源に曝露されると放出される。
【0103】
本明細書で説明されているデバイスのそれぞれの要素および特徴はいずれも、制限されることなく、本明細書で説明されている他のデバイスのどれとも使用することが可能であることは明らかに理解される。さらに、本明細書の方法のステップは、特に断りのない限り、あるいは他の何らかの形で特定の方法により本質的に必要とされることのない限り、任意の順序で実行されうることは明らかに理解される。
【0104】
したがって、本発明は、説明されている目的および利点ならびにそこに内在する目的および利点を達成するようにうまく適合されている。本発明は、本明細書の教示を利用することで当業者には明らかである、異なるが同等の方法で修正し、実施することができるため、上で開示されている特定の実施形態は例示のみを目的としている。さらに、請求項で説明されていることを除き、本明細書に示されている構成または設計の詳細に制限を設けることは意図されていない。したがって、上で開示されている特定の例示的な実施形態は、改変または修正することができることは明らかであり、そのようなすべての変更形態は、本発明の精神および範囲に含まれるものと考えられる。また、請求項の中の用語は、特許権者によって明示的にはっきりと他の意味に定義されていない限り、明白な通常の意味を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生命体の血液中で循環する標的細胞の体外アブレーションのための方法であって、
標的細胞と優先的に結合するように適合された外因性物質を前記血液中に導入することと、
そのような外因性物質を前記標的細胞と優先的に結合させることと、
前記血液にアクセスし、その後前記血液を身体に連続的に戻すための体外連続流経路を設けることと、
前記血液を前記体外連続流経路内に流すことと、
エキソビボ・アブレーション・デバイスの前記体外連続流経路の一部において外部エネルギー源から外部エネルギーを前記血液に印加することと、
前記外部エネルギーを印加して前記外因性物質を活性化し、前記標的細胞に損傷または死をもたらすことと、
前記血液を前記体外連続流経路から前記身体に連続的に戻すこととを含む方法。
【請求項2】
前記外部エネルギーは、電磁放射線を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電磁放射線は、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波放射線、電波、またはこれらの任意の組合せである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記外因性物質は、電磁放射線を優先的に吸収するように適合される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記外因性物質は、電磁放射線へ曝露されると電磁放射線の一部を熱に変換するように適合される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記外因性物質は、金属コロイド、カーボン粒子、ナノシェル、ナノロッド、バッキーボール、カーボン・フラーレン、ナノキューブ、ナノスター、およびナノ粒子に封入されたインドシアニン・グリーンからなる群から選択される請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記外因性物質は、フォトシンセサイザを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記外因性物質は、酸化鉄および交番磁界に曝露されたときに熱を放射する常磁性粒子からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記外因性物質は、光活性化プロドラッグを含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記外部エネルギーは、音響エネルギーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記外因性物質は、音響エネルギーに曝露されたときに熱を発生する物質のうちから選択される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記外因性物質と前記標的細胞との優先的結合は、前記外因性物質に結合されたリガンドを経由するものである請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記リガンドは、抗体、抗体フラグメント、アプタマー、ペプチド、前記標的細胞上の表面分子に対し親和性を有する化学物質、またはこれらの任意の組合せである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記リガンドは、結果として、前記外因性物質を前記標的細胞の前記表面に結合する請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記リガンドは、結果として、前記標的細胞による前記外因性物質のエンドサイトーシスをもたらす請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記外因性物質の化学構造は、結果として、前記標的細胞による前記外因性物質のエンドサイトーシスをもたらす請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記標的細胞は、癌細胞、T細胞もしくはB細胞の一種、ウイルス、真菌、寄生虫、細菌細胞、またはこれらの任意の組合せである請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記外部エネルギーは、電磁エネルギーと音響エネルギーとの組合せである請求項2に記載の方法。
【請求項19】
前記外因性物質を前記血液中に導入することは、前記血液を体外連続流経路内に流す前に行われる請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記外因性物質は、体外連続流経路を通過するときに前記血液中に導入される請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記標的細胞のアブレーションを補助するために前記エキソビボ・アブレーション・デバイスを通過する前に、または通過するときに前記血液の温度を上げることをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記エキソビボ・アブレーション・デバイスは、前記エキソビボ・アブレーション・デバイスの片側に伝えられたエネルギーを反射して前記エキソビボ・アブレーション・デバイス内に戻すことができるように反射面を備えて形成される請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記エキソビボ・アブレーション・デバイスは、前記エキソビボ・アブレーション・デバイスの複数の側から外部エネルギーに曝露され、前記血液を通じてエネルギーの追加曝露を行う請求項1に記載の方法。
【請求項24】
クーラーを備えることと、前記クーラーを使って前記血液からエネルギーを除去することとをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項25】
冷却されたまたは吸収性を有する物質によって前記血液からエネルギーを除去することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項26】
磁気デバイスを備えることと、体外連続流経路の一部を磁界に曝露して前記血液から前記標的細胞を分離することとをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項27】
前記外部エネルギーを印加することは、外部エネルギーを前記分離された標的細胞に印加することを含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記エキソビボ・アブレーション・デバイスの一部は、血液中で循環している標的細胞を捕捉するために抗体もしくはそのフラグメント、アプタマー、ペプチド、または前記標的細胞上の細胞表面分子に対し親和性を有する化学物質を使って前記標的細胞と優先的に結合し、前記エキソビボ・アブレーション・デバイスが前記標的細胞を捕捉できるように適合され、前記外部エネルギーを印加することは、外部エネルギーを前記捕捉された標的細胞に印加することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項29】
外部電界を前記エキソビボ・アブレーション・デバイスに印加して、前記血液から前記標的細胞を分離することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記外部エネルギーは、電離性放射線を含む請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記エネルギー源からの前記外部エネルギーは、複数のエネルギー形態を含む請求項1に記載の方法。
【請求項32】
血液中で循環する標的細胞の体外アブレーションのためのデバイスであって、
前記血液にアクセスし、その後治療してから前記血液を身体に連続的に戻すための体外連続流経路と、
前記血液中の標的細胞が優先的に損傷または破壊を受けるように前記体外連続流経路の一部の中で前記血液に外部エネルギーを印加するためのエネルギー発生装置とを備えるデバイス。
【請求項33】
血液中に導入するための、前記血液中の前記標的細胞と優先的に結合するように適合されている外因性物質をさらに備える請求項32に記載のデバイス。
【請求項34】
前記エネルギー発生装置は、音響エネルギーを発生するように適合される請求項32に記載のデバイス。
【請求項35】
前記外因性物質は、音響エネルギーに曝露されたときに熱を発生する物質を含む請求項34に記載のデバイス。
【請求項36】
前記外因性物質と前記標的細胞との優先的結合は、前記外因性物質に結合されたリガンドを経由するものである請求項33に記載のデバイス。
【請求項37】
前記リガンドは、抗体、抗体フラグメント、アプタマー、ペプチド、前記標的細胞上の表面分子に対し親和性を有する化学物質、またはこれらの組合せである請求項36に記載のデバイス。
【請求項38】
前記リガンドは、結果として、前記外因性物質を前記標的細胞の前記表面に結合する請求項36に記載のデバイス。
【請求項39】
前記リガンドは、結果として、前記標的細胞による前記外因性物質のエンドサイトーシスをもたらす請求項36に記載のデバイス。
【請求項40】
前記外因性物質の化学構造は、結果として、前記標的細胞による前記外因性物質のエンドサイトーシスをもたらす請求項33に記載のデバイス。
【請求項41】
前記標的細胞は、癌細胞、T細胞もしくはB細胞の一種、ウイルス、真菌、寄生虫、または細菌細胞である請求項33に記載のデバイス。
【請求項42】
前記外部エネルギー発生装置は、電磁エネルギーと音響エネルギーとの組合せを発生するように適合される請求項33に記載のデバイス。
【請求項43】
前記エキソビボ・アブレーション・デバイスは、前記エキソビボ・アブレーション・デバイスの片側に伝えられたエネルギーを反射して前記エキソビボ・アブレーション・デバイス内に戻すことができるように反射面を備えて形成される請求項33に記載のデバイス。
【請求項44】
前記エキソビボ・アブレーション・デバイスは、前記エキソビボ・アブレーション・デバイスの複数の側から外部エネルギーを受け取り、前記血液を通じてエネルギーの追加曝露を行うように適合される請求項33に記載のデバイス。
【請求項45】
前記血液を冷却するために前記体外連続流経路内にクーラーをさらに備える請求項33に記載のデバイス。
【請求項46】
前記体外連続流経路の一部を磁界に曝露するように適合された磁気デバイスをさらに備える請求項33に記載のデバイス。
【請求項47】
前記エキソビボ・アブレーション・デバイスの一部は、血液中で循環している前記標的細胞を捕捉するために抗体もしくはそのフラグメント、アプタマー、ペプチド、または前記標的細胞上の細胞表面分子に対し親和性を有する他の化学物質を含む請求項33に記載のデバイス。
【請求項48】
前記エキソビボ・アブレーション・デバイスは、前記血液に外部電界を曝露して前記血液から前記標的細胞を分離するように適合される請求項33に記載のデバイス。
【請求項49】
前記エキソビボ・アブレーション・デバイスは、前記血液を電離性放射線に曝露するように適合される請求項33に記載のデバイス。
【請求項50】
血液中の標的の体外アブレーションのためのシステムであって、
血液にアクセスし、その後生体に連続的に戻すための体外連続流経路と、
前記生体から前記血液を連続的に流す推進力を供給し、閉ループ内で前記血液を前記生体に戻すための体外血液ポンプと、
前記体外連続流経路に隣接するエネルギー源と、
前記血液内の標的細胞と優先的に結合する、前記エネルギー源からエネルギーを受け取り、前記エネルギーを前記標的細胞に放出するように適合された複数のナノ粒子とを備えるシステム。
【請求項51】
前記体外血液ポンプは、前記体外血液ポンプに至る入口管路および前記体外血液ポンプからの出口管路を有する血液回路と、前記血液回路の前記入口管路に接続された少なくとも1つの事前注入分岐を備える少なくとも1つの注入管路と、前記少なくとも1つの注入管路への供給を行うための少なくとも1つの補助液体容器とを備える請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
血液中の標的の体外アブレーションのためのシステムであって、
体外血流経路を含む連続流体外循環デバイスと、
前記体外血流経路の一部に隣接する外部エネルギー源と、
前記体外血流経路内に配置された標的細胞を含む血液と、
前記標的に結合したエネルギー吸収/変換粒子とを備えるシステム。
【請求項53】
前記外部エネルギー源は、電磁エネルギーを含む請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記電磁エネルギーは、紫外線、可視光線、または赤外線、マイクロ波、および電波からなる群から選択される請求項53に記載のシステム。
【請求項55】
前記エネルギー吸収/変換粒子は、電磁エネルギーを吸収することができる請求項52に記載のシステム。
【請求項56】
前記エネルギー吸収/変換粒子は、電磁エネルギーへ曝露されると熱を放射することができる請求項52に記載のシステム。
【請求項57】
前記エネルギー吸収/変換粒子は、ナノ粒子である請求項52に記載のシステム。
【請求項58】
前記ナノ粒子は、金属コロイド、カーボン粒子、ナノシェル、ナノロッド、バッキーボール、カーボン・フラーレン、ナノキューブ、ナノスター、およびナノ粒子に封入されたインドシアニン・グリーンからなる群から選択される請求項57に記載のシステム。
【請求項59】
前記エネルギー吸収/変換粒子は、電磁放射線へ曝露されると活性化される請求項52に記載のシステム。
【請求項60】
前記エネルギー吸収/変換粒子は、フォトシンセサイザである請求項52に記載のシステム。
【請求項61】
前記エネルギー吸収/変換粒子は、交番磁界に曝露されたときに熱を放射する常磁性粒子である請求項52に記載のシステム。
【請求項62】
前記エネルギー吸収/変換粒子は、酸化鉄である請求項52に記載のシステム。
【請求項63】
前記エネルギー吸収/変換粒子は、光活性化プロドラッグである請求項52に記載のシステム。
【請求項64】
生体の血液中で循環する標的細胞の体外アブレーションのための方法であって、
インビボでエネルギー吸収/変換粒子を標的細胞を含む循環血液に付着させて粒子と標的細胞との抱合体を形成することと、
前記生体の外部で前記血液を体外循環させることと、
体外循環中に、前記血液を治療するために前記生体の外部にある間に前記抱合体を外部エネルギーに曝露することと、
前記治療済み血液を連続流系内で循環させて前記生体内に戻すこととを含む方法。
【請求項65】
生体の血液中で循環する標的細胞のアブレーションのための方法であって、
生体の外部で標的細胞を含む血液を体外循環させることと、
エネルギー吸収/変換粒子を前記体外循環血液中の前記標的細胞に付着させて粒子と標的細胞との抱合体を形成することと、
体外循環中に、前記血液を治療するために前記生体の外部にある間に前記抱合体を外部エネルギーに曝露することと、
前記治療済み血液を連続流系内で循環させて前記生体内に戻すこととを含む方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate


【公表番号】特表2010−519955(P2010−519955A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551735(P2009−551735)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/002691
【国際公開番号】WO2008/108980
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(509243182)ナノスペクトラ、バイオサイアンセズ、インク (1)
【Fターム(参考)】