説明

循環流動床炉及び循環流動床炉の制御方法

【課題】広い炉負荷の範囲において良好な排ガスの脱硝性能が得られる循環流動床炉及びその制御方法を提供する。
【解決手段】ボイラ1は、燃料を燃焼させる火炉3と、火炉3で発生した排ガスから循環材を分離して火炉3に戻すサイクロン7と、火炉3内へ還元剤を噴霧し排ガス中の窒素酸化物を還元させる火炉噴霧ノズル21と、サイクロン7内へ還元剤を噴霧し排ガス中の窒素酸化物を還元させるサイクロン噴霧ノズル22と、ボイラ運転負荷値に基づいて、火炉噴霧ノズル21における還元剤の噴霧量とサイクロン噴霧ノズル22における還元剤の噴霧量との比率を制御する噴霧制御部25と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、循環流動床炉及び循環流動床炉の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、下記特許文献1に記載の燃焼炉が知られている。この燃焼炉は、燃料を燃焼させる火炉と、この火炉で発生する排ガスから粒子物質を分離するサイクロンを備えるものである。この燃焼炉では、サイクロン内にNOx還元剤を投入して脱硝処理を行い、排ガス中のNOxを低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6−18610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この燃焼炉を低負荷で運転する時には、サイクロンの温度が低下し、NOx還元剤と排ガス中のNOxとの反応温度が低下する。そしてこの場合、NOx還元剤における脱硝性能が低下してしまい、高負荷運転時の所望のNOx低減率を達成できなくなるおそれもある。従って、このような脱硝処理は、燃焼炉の負荷が低いときには適用が困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、広い炉負荷の範囲において良好な排ガスの脱硝性能が得られる循環流動床炉及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の循環流動床炉は、燃料を燃焼させる火炉と、火炉で発生した排ガスから循環材を分離して火炉に戻すサイクロンと、火炉内へ還元剤を噴霧し排ガス中の窒素酸化物を還元させる火炉噴霧手段と、サイクロン内へ還元剤を噴霧し排ガス中の窒素酸化物を還元させるサイクロン噴霧手段と、火炉内の火炉温度、サイクロン内のサイクロン温度、又は炉負荷に基づいて、火炉噴霧手段における還元剤の噴霧量とサイクロン噴霧手段における還元剤の噴霧量との比率を制御する噴霧制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この循環流動床炉は、火炉に還元剤を噴霧する火炉噴霧手段と、サイクロンに還元剤を噴霧するサイクロン噴霧手段と、を備えている。サイクロンでは排ガスの旋回流が発生するので、サイクロンに噴霧される還元剤は、旋回流で攪拌され排ガス中に良好に拡散する。更に、サイクロンでは、還元剤が拡散された排ガスの滞留時間も長い。従って、還元剤と窒素酸化物との反応が起こりやすく、排ガスの脱硝性能が得やすい。ところが、低負荷運転時には、サイクロン温度が低くなるので、サイクロンに噴霧される還元剤と窒素酸化物との反応温度が低下し、脱硝性能が低下する。その一方、火炉はサイクロンよりも温度が高いので、還元剤と窒素酸化物との反応温度が高い。従って、火炉では、還元剤の拡散性や滞留時間はサイクロンに及ばないものの、低負荷運転時にも脱硝性能の低下が比較的小さい。この知見に基づき、本発明の循環流動床炉では、炉負荷に応じて火炉及びサイクロンへの還元剤の噴霧量の比率が制御されるので、炉負荷が高いときには、拡散性・滞留時間が良好なサイクロンに比重を置いて還元剤を噴霧することで、良好な攪拌による脱硝性能を得ることができる。そして、炉負荷が低下した場合にも、火炉噴霧手段による脱硝処理に比重を移すことで、反応温度による良好な脱硝性能を維持することができる。その結果、広い炉負荷の範囲において良好な排ガスの脱硝性能が得られる。
【0008】
また、本発明の循環流動床炉は、火炉噴霧手段に還元剤を供給する第1供給ラインと、サイクロン噴霧手段に還元剤を供給する第2供給ラインと、に分岐された還元剤供給ラインと、第1供給ライン上に設けられた第1のバルブと、第2供給ライン上に設けられた第2のバルブと、を備え、噴霧制御手段は、第1のバルブの開度と第2のバルブの開度とを調整することとしてもよい。この構成によれば、噴霧制御手段が第1及び第2のバルブの開度を調整することにより、容易に火炉噴霧手段とサイクロン噴霧手段との噴霧量の比率を調整することができる。
【0009】
また、火炉噴霧手段よりも、サイクロン噴霧手段の方が、噴霧された還元剤の拡散性が高いことが好ましい。火炉内では循環材が激しく流動しており、火炉の壁面近傍には、循環材のダウンフローが存在する。従って、火炉噴霧手段は、火炉の壁面付近から内側に向け、比較的拡散性が低い状態で還元剤を噴霧することにより、上記ダウンフローの影響を大きく受けずに還元剤を火炉中央部まで到達させることができる。また、サイクロン内には、サイクロン内を水平に流動する排ガスの旋回流が存在する。従って、サイクロン噴霧手段は、サイクロン壁面付近から内側に向け、比較的拡散性が高い状態で還元剤を噴霧することにより、排ガスの旋回流で排ガスと還元剤とが良好に攪拌される。
【0010】
また、噴霧制御手段は、炉負荷が所定の閾値以上の場合は、火炉噴霧手段における還元剤の噴霧量とサイクロン噴霧手段における還元剤の噴霧量との比率を0:100とし、炉負荷が所定の閾値未満の場合は、火炉噴霧手段における還元剤の噴霧量とサイクロン噴霧手段における還元剤の噴霧量との比率を100:0とすることとしてもよい。
【0011】
また、サイクロン噴霧手段は、サイクロンの内部に還元剤を噴霧するサイクロン内部噴霧手段と、サイクロンの入口に還元剤を噴霧するサイクロン入口噴霧手段と、を備え、噴霧制御手段は、火炉の火炉温度、サイクロンのサイクロン温度、又は炉負荷に基づいて、更に、サイクロン内部噴霧手段における還元剤の噴霧量とサイクロン入口噴霧手段における還元剤の噴霧量との比率を制御することとしてもよい。サイクロン内部とサイクロン入口とでは、排ガス温度や拡散性・滞留時間が異なるので、それぞれの排ガス温度や拡散性・滞留時間に応じて噴霧量を調整することで、更に適切な制御が可能になる。
【0012】
また、本発明の循環流動床炉の制御方法は、燃料を燃焼させる火炉と、火炉で発生した排ガスから循環材を分離して火炉に戻すサイクロンと、を備えた循環流動床炉の制御方法であって、火炉内へ還元剤を噴霧し排ガス中の窒素酸化物を還元させる火炉噴霧工程と、サイクロン内へ還元剤を噴霧し排ガス中の窒素酸化物を還元させるサイクロン噴霧工程と、火炉内の火炉温度、サイクロン内のサイクロン温度、又は炉負荷に基づいて、火炉噴霧工程における還元剤の噴霧量とサイクロン噴霧工程における還元剤の噴霧量との比率を制御する噴霧制御工程と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
この制御方法は、火炉に還元剤を噴霧する火炉噴霧工程と、サイクロンに還元剤を噴霧するサイクロン噴霧工程と、を備えている。サイクロンでは排ガスの旋回流が発生するので、サイクロンに噴霧される還元剤は、旋回流で攪拌され排ガス中に良好に拡散する。更に、サイクロンでは、還元剤が拡散された排ガスの滞留時間も長い。従って、還元剤と窒素酸化物との反応が起こりやすく、排ガスの脱硝性能が得やすい。ところが、低負荷運転時には、サイクロン温度が低くなるので、サイクロンに噴霧される還元剤と窒素酸化物との反応温度が低下し、脱硝性能が低下する。その一方、火炉はサイクロンよりも温度が高いので、還元剤と窒素酸化物との反応温度が高い。従って、火炉では、還元剤の拡散性や滞留時間はサイクロンに及ばないものの、低負荷運転時にも脱硝性能の低下が比較的小さい。この知見に基づき、本発明の制御方法では、炉負荷に応じて火炉及びサイクロンへの還元剤の噴霧量の比率が制御されるので、炉負荷が高いときには、拡散性・滞留時間が良好なサイクロンに比重を置いて還元剤を噴霧することで、良好な攪拌による脱硝性能を得ることができる。そして、炉負荷が低下した場合にも、火炉噴霧手段による脱硝処理に比重を移すことで、反応温度による良好な脱硝性能を維持することができる。その結果、広い炉負荷の範囲において良好な排ガスの脱硝性能が得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の循環流動床炉によれば、広い炉負荷の範囲において良好な排ガスの脱硝性能が得られる循環流動床炉及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の循環流動床炉の第1実施形態に係るボイラを示す図である。
【図2】図1のボイラの運転負荷値とボイラ各部の温度との関係を示すグラフである。
【図3】図1のボイラの噴霧制御部による処理を示すフローチャートである。
【図4】図1のボイラの火炉噴霧ノズル及びサイクロン噴霧ノズルを示す断面図である。
【図5】(a)は、火炉及びサイクロンの平面図、(b)はその側面図であり、図4の火炉噴霧ノズル及びサイクロン噴霧ノズルの取付範囲を示す図である。
【図6】火炉噴霧ノズル及びサイクロン噴霧ノズルのスプレー形状を示す図である。
【図7】本発明の循環流動床炉の第2実施形態に係るボイラを示す図である。
【図8】図7のボイラの噴霧制御部による処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る循環流動床炉の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明の循環流動床炉の一実施形態であるボイラ1を示している。このボイラ1は、循環流動床ボイラ、或いはCFB(Circulating Fluidized Bed)ボイラなどと呼ばれるタイプのものである。ボイラ1では、石炭などの化石燃料だけではなく、バイオマス、プラスチック、タイヤ、汚泥、RFP、RDFなどの幅広い燃料が使用可能である。
【0018】
ボイラ1は、燃料を燃焼させる流動層型の火炉3を備えている。火炉3の側面には燃料を投入する燃料投入口が設けられており、火炉3の上部には燃焼で発生する排ガスを排出するガス出口3bが設けられている。ガス出口3bには、サイクロン7が接続されている。サイクロン7は、セパレータ、サイクロン分級装置、或いはサイクロン分離器などとも呼ばれ、固気分離装置として機能する。サイクロン7の入口7aは上記ガス出口3bに接続されており、サイクロン7の排出口7bはバックパス11を介して後段のガス処理系に接続されている。また、サイクロン7の底部出口からはダウンカマーと称されるリターンライン9が下方に延びており、リターンライン9の下端は火炉3の下部側面に接続されている。
【0019】
火炉3内では、下部の給気ラインから導入される燃焼用・流動用の空気により、上記投入口から投入された燃料を含む固形物が流動し、燃料は火炉3内で流動しながら燃焼する。サイクロン7には、火炉3で発生した排ガスが固体粒子を同伴しながら導入される。サイクロン7は、内部に排ガスの旋回流を発生させて遠心分離作用により固体粒子と気体とを分離する。そしてサイクロン7は、分離された固体粒子(循環材)をリターンライン9を通して火炉3に戻すと共に、固体粒子が除かれた排ガスを排出口7bからバックパス11に送出する。固体粒子は、火炉3、サイクロン7及びリターンライン9を循環する。
【0020】
バックパス11は、排ガスを搬送するダクトである。排ガスの熱を発電用として回収するために、バックパス11には熱回収部17が設けられている。熱回収部17は、排ガスの流路を横切るボイラチューブを有しており、当該ボイラチューブ内には水、蒸気及び空気が流動する。サイクロン7から送られた高温の排ガスがこのボイラチューブに接触することで、排ガスの熱がチューブ内の水、蒸気及び空気に回収され、発生した高温の水蒸気がボイラチューブを通じて発電用のタービンに送られる。
【0021】
バックパス11の下部から排出される排ガスは、ラインL13を通じて排ガス浄化装置13に導入される。排ガス浄化装置13は、排ガスに未だ同伴している飛灰等の微粒子を除去すると共に、排ガスの脱硫を行う。排ガス浄化装置13による清浄後の排ガスはラインL15を通じて煙突15から外部に排出される。
【0022】
続いて、ボイラ1における排ガス処理について説明する。
【0023】
ボイラ1の煙突15から外部に排出される排ガスについては、法令等の排ガス規制に従って、大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)の濃度を規制値以下に抑える必要がある。そこで、このボイラ1では、排ガス温度が700〜1100℃の領域において、尿素水やアンモニア水等の還元剤を排ガス中に噴霧してNOxと反応させ、NOxのN成分を窒素ガスに変化させることで、排ガス中のNOx濃度を低減する排ガス処理が採用されている。このときのアンモニアとNOxとの反応の例は以下のとおりである。
4NO+4NH3+O2→4N2+6H2O …反応式(1)
また、このとき、以下のようにアンモニア自身も一部分解する。
4NH3+3O2→2N2+6H2O …反応式(2)
反応式(1)によるNOxとの反応で消費されず、かつ反応式(2)による分解がなされなかったアンモニアが、リークアンモニアとして後段に流出する。また、噴霧する上記還元剤としてはアンモニアガス又はアンモニア水の代わりに尿素水を用いてもよく、この場合、以下の反応式(3)により尿素からアンモニアが発生する。
(NH3)2CO→2NH3+CO …反応式(3)
【0024】
具体的には、ボイラ1は、火炉3内に還元剤を噴霧する火炉噴霧ノズル21と、サイクロン7内に還元剤を噴霧するサイクロン噴霧ノズル22と、を備えている。火炉噴霧ノズル21から火炉3内に還元剤を噴霧することにより、排ガス中のNOxを還元剤により還元させて低減する(火炉噴霧工程)。また、サイクロン噴霧ノズル22からサイクロン7内に還元剤を噴霧することにより、排ガス中のNOxを還元剤により還元させて低減する(サイクロン噴霧工程)。
【0025】
更に、ボイラ1は、ポンプ等の圧送により上記還元剤を供給する還元剤供給ラインL20を備えている。還元剤供給ラインL20は、火炉噴霧ノズル21に還元剤を供給する第1供給ラインL21と、サイクロン噴霧ノズル22に還元剤を供給する第2供給ラインL22と、の2経路に分離している。還元剤供給ラインL20上には開閉バルブV20が設けられ、第1供給ラインL21上には開閉バルブ(第1バルブ)V21が設けられ、第2供給ラインL22上には開閉バルブ(第2バルブ)V22が設けられている。
【0026】
更に、ボイラ1は、第1バルブV21及び第2バルブV22の開度を調整することで、火炉噴霧ノズル21及びサイクロン噴霧ノズル22における噴霧量を制御する噴霧制御部25を備えている。噴霧制御部25は、例えばコンピュータ等で構成される。噴霧制御部25には、ボイラ1の運転に関する各種データ(「運転データ」という)が集約される。運転データには、制御情報入力部27からユーザが入力又はコンピュータ等で制御上求められたボイラ運転負荷値(炉負荷)と、火炉温度(火炉3内部の温度)と、サイクロン温度(サイクロン7内部の温度)と、煙突15を通過する排ガスのNOx濃度と、が少なくとも含まれる。
【0027】
上記運転データを取得すべく、ボイラ1は、火炉温度を計測する火炉温度計測部31と、サイクロン温度を計測するサイクロン温度計測部33と、煙突15を通過する排ガスのNOx濃度を検知する濃度計35とを備えている。火炉温度計測部31としては、例えば、火炉3の出口3b近傍に設置され火炉出口温度を計測する温度計や、火炉3の下部に設置され火炉下部温度を計測する温度計が用いられる。また、サイクロン温度計測部33としては、例えば、サイクロン排出口7bに設置されサイクロン出口温度を計測する温度計が用いられる。
【0028】
制御情報入力部27からのボイラ運転負荷値や、火炉温度計測部31、サイクロン温度計測部33、及び濃度計35の各計測値は、それぞれ電気信号として噴霧制御部25に送信される。なお、ボイラ運転負荷値は、定格条件に対するボイラ1への燃料投入量、ボイラ1からの発生蒸気量、又は、ボイラ1への給水流量からも求めることができる。
【0029】
サイクロン噴霧ノズル22が設けられるサイクロン7では、前述のとおり排ガスの旋回流が発生するので、サイクロン噴霧ノズル22から噴霧される還元剤は、サイクロン7内の旋回流で攪拌され排ガス中に良好に拡散する。更に、サイクロン7では、還元剤が拡散された排ガスの滞留時間も長い。従って、還元剤とNOxとの反応も起こりやすく、排ガスの脱硝性能が得やすい。
【0030】
ここで、図2は、ボイラ運転負荷値と、火炉温度T1、サイクロン温度T2、及びサイクロン入口温度T3(サイクロン入口7aの温度)との関係を示すグラフである。図2に示されるように、火炉温度T1やサイクロン温度T2は、ほぼボイラ運転負荷値と一対一に対応する。従って、ボイラ1の低負荷運転時には、サイクロン温度が低くなり、サイクロン7に噴霧される還元剤とNOxとの反応温度が低下し、脱硝性能が低下する。前述の反応式(1)に示す反応が良好に起こるためには、還元剤が噴霧される領域の排ガス温度が700〜1100℃である必要があるところ、ボイラ運転負荷値が低い場合には、サイクロン温度が700℃未満になってしまうこともある。例えば図2によれば、ボイラ運転負荷値が約65%を下回ると、サイクロン温度が700℃未満になってしまうことが判る。そしてこの場合、還元剤とNOxとの反応性が低いので、NOx除去率が低下し、また、NOxと反応せずに後段に流出するアンモニアが増加してしまう。
【0031】
流出したアンモニアは、後段の設備への析出物を増加させるなどの不具合を発生させる。例えば、流出アンモニアが多い場合、強いアンモニア臭が排ガスや飛灰に残存する不具合が発生したり、また、流出アンモニアが亜硫酸ガスと反応して生成する硫酸アンモンが、排ガス浄化装置13で結露してバグフィルタのろ布を目詰まりさせる不具合が発生したりする。
【0032】
その一方、火炉3はサイクロン7よりも温度が高いので、還元剤とNOxとの反応温度が高く、前述の好ましい排ガス温度(700〜1100℃)を維持しやすい。従って、還元剤の拡散性や滞留時間はサイクロンに及ばないものの、低負荷運転時にも脱硝性能の低下が比較的小さい。
【0033】
このような知見に基づき、噴霧制御部25は、ボイラ運転負荷値に基づいて、第1バルブV21及び第2バルブV22の開度を調整することで、火炉噴霧ノズル21の噴霧量とサイクロン噴霧ノズル22の噴霧量との比率を制御する。
【0034】
具体的には、図3に示すように、噴霧制御部25は、まず、制御情報入力部27からボイラ運転負荷値を取得し(S101)、ボイラ運転負荷値と予め定められた閾値との大小比較を行う(S103)。ここでは上記閾値を75%とする。そして、取得したボイラ運転負荷値が75%以上の場合には、噴霧制御部25は、第2バルブV22を開け(開度100%とし)、第1バルブV21を閉める(開度0%とする)。この場合、火炉噴霧ノズル21における還元剤の噴霧量とサイクロン噴霧ノズル22における還元剤の噴霧量との比率が0:100となる(S105)。一方、ボイラ運転負荷値が75%未満の場合には、第1バルブV21を開け(開度100%とし)、第2バルブV22を閉める(開度0%とする)。この場合、火炉噴霧ノズル21における還元剤の噴霧量とサイクロン噴霧ノズル22における還元剤の噴霧量との比率が100:0となる(S107)。ボイラ1の運転中において、噴霧制御部25は、上記S101〜S107の処理を繰り返す。
【0035】
要するに、噴霧制御部25は、ボイラ運転負荷値が75%以上となった場合には還元剤の噴霧位置をサイクロン7に切り替え、ボイラ運転負荷値が75%未満となった場合には還元剤の噴霧位置を火炉3に切り替える。この制御により、ボイラ運転負荷値が75%以上でも未満でも、還元剤の噴霧位置の排ガス温度を700〜1100℃の好ましい温度にすることができる。
【0036】
また、上記制御により、ボイラ運転負荷値が75%以上の高負荷運転時には、還元剤の拡散性・滞留時間が良好で、反応温度も適切であるサイクロン7内に還元剤が噴霧される。従って、噴霧すべき還元剤も少なく、後段に流出する還元剤(流出アンモニア等)も少ない。その一方、ボイラ運転負荷値が75%未満の低負荷運転時には、温度が低下したサイクロン7に代えて、より高温の火炉3内に還元剤が噴霧される。火炉3では、還元剤の拡散性・滞留時間ではサイクロン7に及ばないものの適切な反応温度が維持され、良好な脱硝性能を維持することができる。従って、この場合も、噴霧すべき還元剤が少なく、後段に流出する還元剤も少ない。
【0037】
以上の結果、広いボイラ運転負荷の範囲において良好な排ガスの脱硝性能が得られる。
【0038】
なお、前述のとおり、火炉温度やサイクロン温度は、ほぼボイラ運転負荷値と一対一に対応することから、ボイラ運転負荷値の代わりに、火炉温度やサイクロン温度を噴霧位置切り替えの判断基準としてもよい。このような判断基準によっても、上述のような、ボイラ運転負荷値を判断基準とする制御と同様の作用効果が得られる。
【0039】
具体的には、火炉温度に基づいて第1及び第2のバルブV21,V22の調整を行う場合、噴霧制御部25は、火炉温度計測部31から取得した火炉温度が所定の閾値(例えば、750℃)以上の場合には、第2バルブV22を開け、第1バルブV21を閉める。そして、噴霧制御部25は、火炉温度計測部31から取得した火炉温度が上記閾値未満の場合には、第1バルブV21を開け、第2バルブV22を閉める。
【0040】
また、サイクロン温度に基づいて第1及び第2のバルブV21,V22の調整を行う場合、噴霧制御部25は、サイクロン温度計測部33から取得したサイクロン温度が所定の閾値(例えば、750℃)以上の場合には、第2バルブV22を開け、第1バルブV21を閉める。そして、噴霧制御部25は、サイクロン温度計測部33から取得したサイクロン温度が上記閾値未満の場合には、第1バルブV21を開け、第2バルブV22を閉める。サイクロン温度を判断基準とするこの構成は、サイクロン7における還元剤の反応温度低下を直接反映させて、還元剤噴霧位置を火炉3に切り替えるので、還元剤噴霧位置を正確に選択することができる点で好ましい。
【0041】
続いて、火炉噴霧ノズル21とサイクロン噴霧ノズル22の詳細について説明する。
【0042】
図4(a)に示すように、火炉噴霧ノズル21は、火炉3を画成する火炉水冷壁3Zに設けられており、当該火炉水冷壁3Zを貫通して先端を火炉3内部に還元剤が到達するように設置させている。同様に、サイクロン噴霧ノズル22は、サイクロン7の耐火物壁7Zに設けられており、当該耐火物壁7Zを貫通して先端をサイクロン7内部に還元剤が到達するように設置させている。ここで、高濃度の還元剤が高温の火炉3又はサイクロン7に投入されると、ノズル先端で還元剤が析出しノズルが閉塞するおそれもあるので、火炉噴霧ノズル21及びサイクロン噴霧ノズル22からは、希釈された還元剤を噴霧する必要がある。
【0043】
そこで、火炉噴霧ノズル21は、第1供給ラインL21から供給される希釈尿素水又は希釈アンモニア水を、火炉3の中央部に向けて先端からスプレー噴霧する。なお、図4(b)に示すように、第1供給ラインL21からは希釈されていない尿素水又はアンモニア水が火炉噴霧ノズル21に供給され、別のラインL31から火炉噴霧ノズル21に希釈水を供給することにより、火炉噴霧ノズル21先端から希釈尿素水又は希釈アンモニア水を噴霧するようにしてもよい。また、図4(c)に示すように、第1供給ラインL21からは希釈尿素水又は希釈アンモニア水が火炉噴霧ノズル21に供給され、別のラインL41から火炉噴霧ノズル21に噴霧空気を供給することにより、二流体噴霧で希釈尿素水又は希釈アンモニア水を噴霧するようにしてもよい。
【0044】
同様に、図4(a)に示すように、サイクロン噴霧ノズル22は、第2供給ラインL22から供給される希釈尿素水又は希釈アンモニア水を、サイクロン7の中央部に向けて先端からスプレー噴霧する。なお、サイクロン噴霧ノズル22は、図4(b),(c)の構成に変形可能であることも、火炉噴霧ノズル21と同様である。
【0045】
また、火炉噴霧ノズル21は、火炉3の火炉水冷壁3Zのうち、図5(a)、(b)にハッチング部で示すノズル取付範囲53の何れの位置に設けてもよい。また、サイクロン噴霧ノズル22は、サイクロン7の耐火物壁7Zのうち、図5(a)、(b)に網かけ部で示すノズル取付範囲57の何れの位置に設けてもよい。また、サイクロン噴霧ノズル22は、サイクロン入口7aに対応する耐火物壁7Zに設けられてもよい。なお、サイクロン入口7aは、火炉3とサイクロン7内部とを連結する排ガス流路であり、サイクロン入口7aでは、火炉3からサイクロン7内部へ向かう排ガスの流動が発生する。
【0046】
また、図6(a)に示すように、火炉3内では循環材が激しく流動しており、火炉水冷壁3Zの壁面近傍には、循環材の粒子のダウンフローが存在する。従って、火炉噴霧ノズル21は、拡散角度を狭くして貫通力が強いスプレー形状で還元剤を噴霧する。例えば、火炉噴霧ノズル21は、円錐のスプレー形状で還元剤を噴霧する。このように、指向性・直進性が高く拡散性が低い状態で火炉噴霧ノズル21から還元剤を噴霧することにより、上記ダウンフローの影響を大きく受けずに還元剤を火炉3の中央部まで到達させ、火炉3内において排ガスと還元剤とを良好に混合させることができる。還元剤の噴霧の拡散角度を狭くして貫通力を強めるためには、予め希釈された還元剤を供給ラインL21から供給する一流体噴霧の構成(図4(a)の構成)が好ましい。
【0047】
一方、サイクロン7内には、サイクロン7内を水平に流動する排ガスの旋回流が存在する。従って、図6(b)に示すように、サイクロン噴霧ノズル22は、火炉噴霧ノズル21に比べて拡散性が高いスプレー形状で還元剤を噴霧する。例えば、サイクロン噴霧ノズル22は、上下に長い楕円断面のスプレー形状で還元剤を噴霧(扇状噴霧)する。そのスプレー形状の上下方向の拡散角度βを、火炉噴霧ノズル21の拡散角度よりも大きくする。このように、サイクロン噴霧ノズル22から比較的拡散性が高い状態で還元剤を噴霧することにより、排ガスの旋回流で排ガスと還元剤とが良好に攪拌される。なお、サイクロン噴霧ノズル22の拡散角度βは、耐火物壁7Zの開口縁部7Bに付着しない程度の大きさに調整される。
【0048】
また、サイクロン7の入口7aの耐火物壁7Zにサイクロン噴霧ノズル22を設ける場合を考える。この場合、図6(c)に示すように、入口7aの排ガス流路は狭く、サイクロン噴霧ノズル22から、対面する耐火物壁7Zまでの距離が小さいので、噴霧された還元剤が対面する耐火物壁7Zに付着し易い。そこで、入口7aにサイクロン噴霧ノズル22を設ける場合には、サイクロン7の他の位置にサイクロン噴霧ノズル22を設ける場合に比べて、噴霧液滴径が微細になるようなスプレー形状とすることが好ましい。噴霧液滴径を微細にすることにより、噴霧された還元剤が対面する耐火物壁7Zに付着する可能性を低減することができる。このように、噴霧液滴径を微細にするためには、第2供給ラインL22とは別のラインL41を通じて、サイクロン噴霧ノズル22に噴霧空気を導入することで二流体噴霧とする構成(図4(c)の構成)が好ましい。なおこの場合、サイクロン噴霧ノズル22は、例えば、円錐のスプレー形状で還元剤を噴霧する。
【0049】
上述の制御に加えて更に、噴霧制御部25は、濃度計35で得られた排ガスのNOx濃度に基づいて、バルブV20の開度を制御する。すなわち、噴霧制御部25は、濃度計35によるNOx濃度計測値をフィードバックとして、火炉噴霧ノズル21の噴霧量又はサイクロン噴霧ノズル22の噴霧量を操作し、煙突15の排ガスのNOx濃度を、NOx規制値以下の所望の値で安定させる制御を行う。
【0050】
例えば、噴霧制御部25は、濃度計35のNOx濃度計測値が上昇した場合には、バルブV20の開度を大きくして火炉噴霧ノズル21の噴霧量又はサイクロン噴霧ノズル22の噴霧量を増加させ、濃度計35のNOx濃度計測値が低下した場合には、火炉噴霧ノズル21の噴霧量又はサイクロン噴霧ノズル22の噴霧量を減少させる。このような制御によれば、何らかの外乱によってNOx除去率が変動した場合にも、火炉噴霧ノズル21又はサイクロン噴霧部によるNOx除去率を調整することで、NOx除去率を安定させてNOx規制値を達成することができる。
【0051】
なお、バルブV20,V21,V22の切り替えは、上述のようにコンピュータを含む噴霧制御部25により自動的に行われてもよいが、手動で行うこととしてもよい。
【0052】
(第2実施形態)
図7に示すCFBボイラ101は、CFBボイラ1の構成に加えて更に、サイクロン入口7aに還元剤を噴霧するサイクロン入口噴霧ノズル23を備えている。そして、ボイラ101の還元剤供給ラインL20は、第1供給ラインL21〜第3供給ラインL23の3つに分岐されており、第3供給ラインL23が、サイクロン入口噴霧ノズル23に還元剤を供給する。第3供給ラインL23上には、開閉バルブ(第3バルブ)V23が設けられている。サイクロン入口噴霧ノズル23は、サイクロン入口7aに設けられることから、前述のように、噴霧液滴径が微細になるようなスプレー形状とすることが好ましく、サイクロン入口噴霧ノズル23に噴霧空気を導入することで二流体噴霧とする構成(図4(c)の構成を参照)が好ましい。なお、ボイラ101において、前述のボイラ1と同一又は同等な構成部分には図面に同一符号を付し重複する説明を省略する。
【0053】
図2に示されるとおり、サイクロン入口7aの温度T3は、サイクロン温度T2よりも高く火炉温度T1よりも低い。ボイラ運転負荷値が約40%を下回ったところで、サイクロン入口7aの温度T3が700℃未満となる。また、サイクロン入口7aでは、火炉3からサイクロン7内部に向かう排ガスの流動が発生しているので、還元剤が噴霧された場合に、ある程度良好に排ガス中に拡散する。還元剤の拡散性は、サイクロン7には及ばないが火炉3よりも良好である。このように、サイクロン入口7aは、還元剤の噴霧位置として、火炉3とサイクロン7との中間的な性質を有しているので、サイクロン入口7aを、還元剤の噴霧位置として加えて設定する。
【0054】
すなわち、ボイラ101の噴霧制御部25は、ボイラ運転負荷値に基づいて、第1バルブV21、第2バルブV22、及び第3バルブV23の開度を調整することで、火炉噴霧ノズル21の噴霧量とサイクロン噴霧ノズル(サイクロン内部噴霧手段)22の噴霧量とサイクロン入口噴霧ノズル(サイクロン入口噴霧手段)23の噴霧量との比率を制御する。
【0055】
具体的には、図8に示すように、噴霧制御部125は、まず、制御情報入力部27からボイラ運転負荷値を取得し(S201)、ボイラ運転負荷値と予め定められた2つの閾値との大小比較を行う(S203)。ここでは第1閾値を50%とし、第2閾値を75%とする。そして、取得したボイラ運転負荷値が75%(第2閾値)以上の場合には、噴霧制御部125は、第2バルブV22を開け(開度100%とし)、第1バルブV21及び第3バルブV23を閉める(開度0%とする)。この場合、火炉噴霧ノズル21、サイクロン噴霧ノズル22、サイクロン入口噴霧ノズル23における還元剤の噴霧量の比率は0:100:0となる(S205)。
【0056】
また、ボイラ運転負荷値が50%(第1閾値)以上かつ75%(第2閾値)未満の場合には、噴霧制御部125は、第3バルブV23を開け(開度100%とし)、第1バルブV21及び第2バルブV22を閉める(開度0%とする)。この場合、火炉噴霧ノズル21、サイクロン噴霧ノズル22、サイクロン入口噴霧ノズル23における還元剤の噴霧量の比率は0:0:100となる(S207)。また、ボイラ運転負荷値が50%(第1閾値)未満の場合には、噴霧制御部125は、第1バルブV21を開け(開度100%とし)、第3バルブV23及び第2バルブV22を閉める(開度0%とする)。この場合、火炉噴霧ノズル21、サイクロン噴霧ノズル22、サイクロン入口噴霧ノズル23における還元剤の噴霧量の比率は100:0:0となる(S209)。ボイラ101の運転中において、噴霧制御部125は、上記S201〜S109の処理を繰り返す。
【0057】
要するに、噴霧制御部125は、ボイラ運転負荷値が75%(第2閾値)以上となった場合には還元剤の噴霧位置をサイクロン7内部に切り替え、ボイラ運転負荷値が50%(第1閾値)以上かつ75%(第2閾値)未満となった場合には還元剤の噴霧位置をサイクロン入口7aに切り替え、ボイラ運転負荷値が50%(第1閾値)未満となった場合には還元剤の噴霧位置を火炉3に切り替える。
【0058】
このボイラ101によれば、還元剤の噴霧位置として上記のようなサイクロン入口7aを加え、噴霧位置を3段階に切り替えることで、還元剤の噴霧位置をより適切に選択することができ、良好な脱硝性能を得ることができる。
【0059】
なお、ボイラ101においても、ボイラ運転負荷値の代わりに、火炉温度やサイクロン温度を噴霧位置切り替えの判断基準としてもよい。
【0060】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、火炉噴霧ノズル21の還元剤とサイクロン噴霧ノズル22の還元剤とを互いに異なる還元剤としてもよい。また実施形態では、また、本発明は、ボイラへの適用に限られず、他のタイプの燃焼炉における排ガスの脱硝処理にも適用可能である。例えば、本発明は、排ガスの熱交換による発電を行わないタイプの循環流動床焼却炉にも適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1,101…CFBボイラ(循環流動床炉)、3…火炉、7…サイクロン、21…火炉噴霧ノズル(火炉噴霧手段)、22…サイクロン噴霧ノズル(サイクロン噴霧手段、サイクロン内部噴霧手段)、23…サイクロン入口噴霧ノズル(サイクロン噴霧手段、サイクロン入口噴霧手段)、25…噴霧制御部(噴霧制御手段)、L21…第1供給ライン、L22…第2供給ライン、V21…第1バルブ、V22…第2バルブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼させる火炉と、
前記火炉で発生した排ガスから循環材を分離して前記火炉に戻すサイクロンと、
前記火炉内へ還元剤を噴霧し前記排ガス中の窒素酸化物を還元させる火炉噴霧手段と、
前記サイクロン内へ還元剤を噴霧し前記排ガス中の窒素酸化物を還元させるサイクロン噴霧手段と、
前記火炉の火炉温度、前記サイクロンのサイクロン温度、又は炉負荷に基づいて、前記火炉噴霧手段における還元剤の噴霧量と前記サイクロン噴霧手段における還元剤の噴霧量との比率を制御する噴霧制御手段と、を備えたことを特徴とする循環流動床炉。
【請求項2】
前記火炉噴霧手段に還元剤を供給する第1供給ラインと、前記サイクロン噴霧手段に還元剤を供給する第2供給ラインと、に分岐された還元剤供給ラインと、
前記第1供給ライン上に設けられた第1のバルブと、
前記第2供給ライン上に設けられた第2のバルブと、を備え、
前記噴霧制御手段は、
前記第1のバルブの開度と前記第2のバルブの開度とを調整することを特徴とする請求項1に記載の循環流動床炉。
【請求項3】
前記火炉噴霧手段よりも、前記サイクロン噴霧手段の方が、
噴霧された還元剤の拡散性が高いことを特徴とする請求項1又は2に記載の循環流動床炉。
【請求項4】
前記噴霧制御手段は、
前記炉負荷が所定の閾値以上の場合は、前記火炉噴霧手段における還元剤の噴霧量と前記サイクロン噴霧手段における還元剤の噴霧量との比率を0:100とし、
前記炉負荷が所定の閾値未満の場合は、前記火炉噴霧手段における還元剤の噴霧量と前記サイクロン噴霧手段における還元剤の噴霧量との比率を100:0とすることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の循環流動床炉。

【請求項5】
前記サイクロン噴霧手段は、
前記サイクロンの内部に前記還元剤を噴霧するサイクロン内部噴霧手段と、
前記サイクロンの入口に前記還元剤を噴霧するサイクロン入口噴霧手段と、を備え、
前記噴霧制御手段は、
前記火炉の火炉温度、前記サイクロンのサイクロン温度、又は炉負荷に基づいて、更に、前記サイクロン内部噴霧手段における還元剤の噴霧量と前記サイクロン入口噴霧手段における還元剤の噴霧量との比率を制御することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の循環流動床炉。
【請求項6】
燃料を燃焼させる火炉と、
前記火炉で発生した排ガスから循環材を分離して前記火炉に戻すサイクロンと、を備えた循環流動床炉の制御方法であって、
前記火炉内へ還元剤を噴霧し前記排ガス中の窒素酸化物を還元させる火炉噴霧工程と、
前記サイクロン内へ還元剤を噴霧し前記排ガス中の窒素酸化物を還元させるサイクロン噴霧工程と、
前記火炉の火炉温度、前記サイクロンのサイクロン温度、又は炉負荷に基づいて、前記火炉噴霧工程における還元剤の噴霧量と前記サイクロン噴霧工程における還元剤の噴霧量との比率を制御する噴霧制御工程と、を備えたことを特徴とする循環流動床炉の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−106754(P2011−106754A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262862(P2009−262862)
【出願日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】