説明

微分相関を用いたGPS受信機

受信したスペクトラム拡散信号の拡散符号であって、特に、GPSシステムの衛星を識別する拡散符号を検知する方法である。上記方法は、複数の参照拡散符号のうち1つが存在することを検知するために、受信したスペクトラム拡散信号を参照信号と相関させる段階を備える。上記相関段階は、受信したスペクトラム拡散信号、参照信号、または相関信号のうち少なくとも1つを微分する段階をさらに備え、微分された相関信号を発生させる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペクトラム拡散信号の受信に関し、特に、測位システムのスペクトラム拡散信号であって、複数の信号源のうちの1つを識別する拡散コードを有する信号の受信に関する。
【背景技術】
【0002】
全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)は、正確な世界規模の3次元位置情報を適切な受信装置によりユーザに提供する測位システムである。GPSは、多数の人工衛星、現在は6つの軌道面上を1つの軌道面当り4機が周回する24機の人工衛星と、世界的な地上管制網と、人工衛星の健康状態と状況を監視する監視網を備える。各人工衛星は、特定の構造を有し、航法データからなる信号を送信する。GPS受信装置は、人工衛星のうちの一部から信号を受信し、受信した信号から受信装置の現在位置を判断する。GPS受信機の位置は、少なくとも4つの人工衛星から信号が確実に受信され測定されたときに計算されることができる。送信される信号は、直接拡散符号分割多重アクセス(DS−CDMA:Direct Sequence Code Division Multiple Access)構造としても知られる、直接スペクトラム拡散構造を有する。DS−CDMAは、デジタル信号のワイヤレス通信のためのスペクトラム拡散変調方式に対する2つの方法のうちの1つである。直接スペクトラム拡散においては、伝送される情報ストリームは、実際に通信に必要とされるよりも広い帯域幅に拡散される。これは、本来、データストリームの速度よりも早い速度の拡散系列(spreading sequence)とデータとを乗算することによって実現される。拡散系列の速度をデータの速度で割ったものは、拡散比(spreading ratio)または処理利得(processing gain)として一般的に知られる。拡散符号は、信号が干渉に抵抗するのに役立ち、また、拡散チップが信頼できない場合に、元のデータが復元できるようにする。GPSにおいては、DS−CDMA構造は、1023チップ拡散系列及び1msの周期で用いられている。
【0003】
多層拡散系列は、測位に必要な情報を備える、1秒当り50ビットの航法データ系列である。GPS受信機で実装されている測位アルゴリズムは、信号到達時間の測定と、航法データ系列から人工衛星の位置と伝送時間を抽出することにより行う信号伝播遅延の判定に基づくものである。GPS受信機は、受信機の位置を三角法で測定するために、複数の距離測定を組み合わせて行う。
【0004】
受信機での信号検出は、受信した信号系列を参照符号と相関させることにより行われる。各々の人工衛星は、いわゆるゴールド符号と呼ばれる、小さな相互相関を持ち互いに異なる自己の拡散符号を用いてメッセージを拡散する。信号遅延を判定するために、受信機は受信した信号を、所定の人工衛星および異なる参照符号の相対遅延のためのゴールド符号と相関させる。正しい参照符号の遅延と受信した信号の実際の遅延とが一致したとき、相関値は、はっきりとしたピーク値を有する。他の遅延において、あるいは受信した信号を送信した人工衛星のゴールド符号とコードが異なるために、相互相関は非常に低い、一般にはピーク値よりも少なくとも24dB低い値となる。ピーク値が検出されたとき、ループの正確な位置を判定するために、ピーク値の位置は、遅延が固定されたループによってその後追跡される。
【0005】
GPS受信機の最も難しい課題の1つが、人工衛星の初期捕捉である。自律GPS受信機は、事前に、例えばおおよその位置などの何の事前情報もないままで、ゴールド符号と受信した信号の遅延パラメタとを識別するために、全ての人工衛星、全ての可能な符号遅延、及び全ての可能な周波数オフセットを探索する必要がある。しかしながら、初期信号捕捉には多次元探索が必要であって、これにより、初期捕捉は多くの計算資源を必要とする時間のかかる仕事となる。受信される信号レベルは非常に低く、一般に、受信機の雑音の下限よりも低い20〜50dBであるため、相関サンプルは一般に、非常に長い滞留時間をかけて蓄積されなければならない。さらに複雑な問題は、人工衛星のドップラー効果により、GPS受信機の局所発振器によって生じるエラーが原因で起こる、受信された信号の中の周波数オフセットの存在である。
【0006】
例えば、現在予定される地点から水平線の向こうに見える予定の人工衛星の探索を制限することにより、初期信号捕捉の探索空間を減少させるために、GPS受信機についての事前情報が提供されることが知られている。例えば、GPS受信機には、携帯端末に組み込まれたものもある。このような機器は、例えば機器のおおよその位置などの情報を携帯電話通信網から、受信することができ、これにより初期捕捉を支援する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、捕捉を迅速化するために事前情報の存在を必要とすることが、上述した先行技術のシステムの問題点である。たとえば、全ての携帯通信網がそのような情報を提供するわけではなく、また携帯端末に組み込まれていない自律GPS受信機はそのような情報を利用することができない。さらに、この情報を受信可能なネットワークの範囲外の地域の場合も、情報を利用することができない。
【0008】
したがって、本発明の目的とするところは、初期データの捕捉効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記かつ他の課題は、スペクトラム拡散信号の受信方法により解決され、当該受信方法は、複数の参照拡散符号の中の1つの存在を検知するために、受信したスペクトラム拡散信号を参照信号と相関させる相関ステップを備え、相関ステップは、以下のステップのうち少なくともいずれか1つを実行して微分相関信号を生成するステップをさらに備え、微分相関信号は、信号サンプル系列を備え、各々の信号サンプルは、複素数を有する。
− 受信したスペクトラム拡散信号及び参照信号を微分するステップ。
− 相関信号を微分するステップ。
【0010】
これにより、微分相関信号は、複素信号、すなわち、複素絶対値/ノルム及び位相/引数を備える複素数を有する微分信号のサンプルであって、その結果、複素微分相関信号から時間遅延と周波数誤りの両方を検知することが可能となる。
【0011】
上記方法が、微分相関信号から受信したスペクトラム拡散信号の周波数誤りを検知するステップをさらに備える場合、上記方法により周波数誤りを効率的に推定することができ、従って、効率的かつ正確な信号捕捉が可能となる。
【0012】
さらに、ここで述べた周波数誤りを資源効率良く推定する方法は、周波数空間内をさらに探索する必要がない。
【0013】
さらに、ここで述べた方法は、広い範囲の累算手段(accumulation windows)及び厳しいパラメタ設定で動作されてもよい。
【0014】
相関が微分と組み合わされた場合に、初期信号捕捉の計算の複雑さを著しく軽減可能にすることが発明者によって実現した。
【0015】
本発明のさらなる利点は、迅速な信号検知処理が提供されることである。
【0016】
本発明のさらなる利点は、周波数オフセットに対して強固であり、受信した信号の周波数の不安定性の影響を受けない検知方法が提供されることである。
【0017】
本発明の好適な実施形態によると、上記方法は、相関値を取得するために微分相関信号を累算する累算ステップをさらに備える。これにより、結果として得られる相関値の信号対雑音比が改善され、その結果、受信した信号の信号対雑音比(SNR:Sygnal−to−Noise Ratio)が低い状態であっても、信頼性の高い信号検知が可能となる。例えば、携帯電話通信網からのネットワーク支援情報がない場合であっても、信頼性の高い信号検知が実現できる。
【0018】
本発明のさらなる利点は、相関信号の累算処理中にチップ毎の位相回転は累算しないことである。これにより、相関値は、受信した信号中の周波数誤りに対して強固なものとなる。これには、所定の拡散符号の探索が、異なる周波数オフセットを計算に取り入れることなく、異なる符号遅延に限定されるため、初期探索空間が減縮されるという利点もある。
【0019】
本発明の実施形態によると、周波数誤りは相関値から決定される。
【0020】
好適な実施形態によると、上記方法は、相関値の引数または位相から周波数補償係数を決定するステップをさらに備える。従って、その後の信号処理において周波数誤りの影響を減少させることが可能となる。
【0021】
他の好適な実施形態によると、相関値の複素絶対値/ノルムから、受信したスペクトラム拡散信号の時間遅延を決定するステップをさらに備える。
【0022】
従って、大きな周波数誤りがある場合であっても、時間遅延と周波数誤りとを効率的に推定することが可能となる。
【0023】
他の好適な実施形態によると、上記方法は受信した信号を逆拡散し、逆拡散された信号から、例えばGPS信号の航法メッセージなどの航法データを抽出するステップをさらに備える。
【0024】
受信した信号のSNRが低い状態では、信頼性の高い信号検知を行うために長い滞留時間が必要とされる。GPSとの関係においては、例えば、室内などの受信が難しい状態でGPS受信機が使用されるときに、特にSNRが低くなることがある。相関信号は、コヒーレント(coherently)または非コヒーレント(non-coherently)に累算されてもよい。好適な実施形態では、相関信号は、複素積値を合計することによりコヒーレントに累算され、その結果、所定のSNRに必要な処理時間が減少する。従来技術では、航法データのビット遷移が原因となって、航法データが存在すると無制限なコヒーレント累算ができない。発明者は、長い累算時間に渡って微分相関信号をコヒーレント累算することによって、信号検知の信頼性の著しい改善を実現した。
【0025】
したがって、好適な実施形態においては、累算ステップは、微分相関信号をコヒーレントに累算するステップを備える。さらに好適な実施形態においては、受信したスペクトラム拡散信号は、ビットで符号化されたデジタル情報メッセージを備え、デジタル情報メッセージのビット遷移は所定の遷移時間間隔で発生し、コヒーレントに累算するステップは、遷移時間間隔の半分よりも長い時間間隔にわたって微分相関信号をコヒーレントに累算するステップを備える。累算された微分相関信号は航法メッセージの影響を受けないため、航法メッセージのビット遷移の間の遷移時間間隔の半分よりも、コヒーレント累算時間が長くなることが起こりうる。その結果、さらに累算時間が長くなる可能性があり、遷移時間間隔よりもさらに長くなり、これによって受信が難しい状態であっても、信号検知の信頼性が改善される。
【0026】
好適な実施形態においては、上記方法は以下のステップを備える。
−複数の参照拡散符号のうちの1つにより変調され、各相対符号遅延により遅延された複数の参照信号を提供するステップ。
−対応する複数の微分相関信号を取得するために、受信したスペクトラム拡散信号を複数の参照符号と相関させるステップ。
−各符号遅延に対応する複数の相関値を取得するために、複数の微分相関信号をそれぞれ累算するステップ。
−受信したスペクトラム拡散信号の符号遅延を識別するために、複数の相関値の中の相関ピーク値を検出するステップ。
【0027】
他の好適な実施形態においては、上記方法は、さらに以下のステップを備える。
−対応する複数の微分相関信号を取得するために、受信したスペクトラム拡散信号を、複数の参照拡散符号の中の対応する1つの符号によりそれぞれ変調された複数の参照信号と相関させるステップ。
−各参照拡散符号に対応する複数の相関値を取得するために、複数の微分相関信号をそれぞれ累算するステップ。
−受信したスペクトラム拡散信号の拡散符号を識別するために、複数の相関値の中の相関ピーク値を検出するステップ。
【0028】
したがって、異なる符号遅延または異なる人工衛星のうち少なくともいずれか1つのための相関値の中からピーク値を効率的に検知する方法が提供され、これにより、目に見える人工衛星及び符号遅延/擬似範囲を効率的に検知する。
【0029】
好適な実施形態において、相関ステップは、微分された受信信号と微分された参照信号とを取得するために、受信信号と参照信号とを微分するステップと、微分された受信信号と微分された参照信号から微分相関信号を決定するステップとを備える。他の好適な実施形態においては、相関ステップは、受信信号と参照信号とから相関信号を決定するステップと、微分相関信号を取得するために相関信号を微分するステップとを備える。従って、相関信号を微分するステップと、相関信号を決定するステップとは、入れ替えてもよい。
【0030】
好ましくは、受信信号は、受信信号サンプル系列として提供され、相関ステップ及び微分ステップは信号サンプルに基づき実行される。拡散スペクトラム通信システムにおいては、信号サンプルは、チップ、すなわち拡散符号のビットに対応するチップとも呼ばれる。チップレートは、伝送されるデータのビットレートよりもはるかに早いため、各データビットまたはデータシンボルは、多数のチップを備える。本発明の実施形態において、微分ステップは、シングルチップタイムスケール(single-chip time scale)で実行される。微分ステップは、遅延と乗算とが対になった操作を伴う。特に、微分処理は、所定のチップ数による信号サンプルの遅延を備え、所定のチップ数は、データビット/データシンボルごとのチップ数よりも少ない。
【0031】
好適な実施形態において、参照信号は、符号チップと呼ばれる所定の参照サンプル系列を備える参照拡散符号により所定のチップレートで変調され、相関ステップは、受信した信号サンプル系列を生じさせる参照スペクトラム拡散信号をサンプリングするステップを備え、参照信号は、参照サンプル系列を備え、相関ステップは、相関サンプル系列を取得するために、受信した信号サンプル系列のサンプルを参照サンプル系列のサンプルと相関させるステップと、相関値を取得するために相関サンプル系列の少なくとも1つの副系列のサンプルを累算するステップとを備える。
【0032】
好適な実施形態において、微分ステップは、遅延された信号サンプルの複素共役、すなわち、信号サンプルを、信号サンプル系列の先行する信号サンプルとさせることを備える。一実施形態において1つの拡散チップ、すなわち、先行する信号サンプルに対応する遅延は、直前の信号サンプルであって、その結果、遅延要素は1つだけ必要とされるため、システム設計は単純化される。
【0033】
他の実施形態においては、遅延は複数の拡散チップに対応し、これにより、周波数誤りがより正確に予測できる。検出可能な周波数誤りの最大値は、選択された遅延によって決まるため、好適な実施形態においては、最大期待周波数の不確定要素の予測が可能な範囲で遅延は出来る限り大きく選択される。ある実施形態においては、遅延/微分時間は、受信機特性の作用として決定される。特に、受信機のローカルオシレータ(LO)の周波数安定性は、実現可能な最大微分時間を決定する。本発明の実施形態においては、遅延は、実現可能な最大微分時間に近いかまたは実質的に等しくなるように選択される。例えば、LOの周波数安定性が40kHzである低レベルの受信機において、適切に選択された遅延時間は5チップであるのに対し、周波数安定性が4kHzである高性能な受信機においては適切に選択された遅延時間は30チップである。大部分の実施形態においては、チップ遅延時間は1〜100チップの間であり、2〜50チップの間であることがより望ましい。
【0034】
他の実施形態において、異なる方法で微分処理が行われてもよい。例えば、特に周波数誤りが比較的小さい場合に、微分は、現在の信号サンプルから先行する信号サンプルを減算することにより実行されてもよい。本実施形態においては、減算後、減算された信号の絶対値は、続く総和の前に取られることが望ましい。
【0035】
他の好適な実施形態において、受信した信号サンプル系列のサンプルを参照サンプル系列のサンプルと相関させるステップは、受信した信号サンプル系列及び参照サンプル系列を微分するステップと、相関サンプル系列を取得するために、受信した信号サンプルの微分系列を参照サンプルの微分系列と乗算するとをさらに備える。
【0036】
さらに他の好適な実施形態において、受信した信号サンプル系列のサンプルを参照サンプル系列のサンプルと相関させるステップは、乗算されたサンプルの系列を取得するために、受信した信号サンプル系列を参照サンプル系列と乗算するステップと、相関サンプル系列を取得するために、乗算されたサンプルの系列を微分するステップとをさらに備える。
【0037】
さらに他の好適な実施形態において、拡散符号は、複数の信号源、例えば、GPSのような測位システムの複数の衛星のうちの1つを指す。
【0038】
拡散符号は、擬似ランダム雑音符号であってもよい。好適な実施形態においては、拡散符号は、ゴールド符号である。
【0039】
さらに好適な実施形態は、従属項において開示される。
【0040】
以上または以下に記述した方法の特徴は、ソフトウェアで実装され、データ処理システム、またはコンピュータで実行可能な命令などのプログラムコード手段の実行による他の処理手段で実現されてもよい。ここで、または以下で、処理手段とは、上記機能を適切に実行可能に構成されたいずれかの回路または装置を備えるものとする。特に、上述の用語は、一般的なまたは専用のプログラム可能なマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processors)、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuits)、プログラマブル論理アレイ(PLA:Programmable Logic Arrays)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Arrays)、特定用途向け電子回路、またはこれらの組み合わせからなる。
【0041】
例えば、プログラムコード手段は、記憶媒体、またはコンピュータネットワークを経由して他のコンピュータからRAMなどのメモリにロードされてもよい。あるいは、記載された特徴は、ソフトフェアまたはソフトウェアの組み合わせの代わりに、ハードウェアに組み込まれた回路により実装されてもよい。
【0042】
本発明は、以上または以下に記載された方法、配列体及び装置を含み、最初に述べた方法に関して記載された1以上の利益と効果をもたらし、最初に述べた方法に関して記載された好適な実施形態に対応する1以上の好適な実施形態を有する異なる手段により実装されてもよい。
【0043】
本発明はさらに、スペクトラム拡散信号を受信するように構成された配列体、配列物、配列装置、構成体、構成物または構成装置(arrangement)であって、複数の参照拡散符号のうちの1つの存在を検出するために、受信したスペクトラム拡散信号を参照信号と相関させる相関手段を備え、上記相関手段は、微分相関信号を発生させるように構成され、相関信号を微分する微分手段と、受信したスペクトラム拡散信号及び参照信号を微分する手段とのうち少なくともいずれか1つを備え、微分相関信号は、信号サンプル系列を備え、各信号サンプルは、複素数を有する配列体、配列物、配列装置、構成体、構成物または構成装置(arrangement)に関する。
【0044】
好適な一実施形態において、上記配列体は、微分相関信号から受信したスペクトラム拡散信号の周波数誤りを検出する手段をさらに備える。
【0045】
好適な一実施形態において、上記配列体は、相関値を取得するために微分相関信号を累算する累算手段をさらに備える。
【0046】
好適な一実施形態において、上記配列体は、相関値の角度引数から周波数補償係数を決定する手段をさらに備える。
【0047】
好適な一実施形態において、累算手段は、微分相関信号をコヒーレントに累算するように構成される。
【0048】
好適な一実施形態において、受信したスペクトラム信号は、ビットで符号化されたデジタル情報メッセージを備え、デジタル情報メッセージのビット遷移は、所定の遷移時間間隔で発生し、累算手段は、遷移時間間隔の半分よりも長い時間間隔に渡り微分相関信号をコヒーレントに累算するように構成される。
【0049】
好適な一実施形態において、上記配列体は、複数の参照拡散符号のうちの1つによって変調され、各参照符号遅延により遅延された複数の参照信号を提供する手段を備え、相関手段は、受信したスペクトラム拡散信号を複数の参照信号と相関させ、対応する複数の微分相関信号を発生させるように構成され、さらに上記配列体は、複数の微分相関信号を各々累算し、各符号遅延に対応する複数の相関値を生成する累算手段と、複数の相関値から相関ピーク値を検出し、受信したスペクトラム拡散信号の符号遅延を識別するピーク値検出手段と、を備える。
【0050】
好適な一実施形態において、相関手段は、受信したスペクトラム拡散信号を、複数の参照拡散符号のうちの対応する1つの符号によってそれぞれ変調された複数の参照信号と相関させ、対応する複数の微分相関信号を発生させるように構成され、上記配列体は、複数の微分相関信号をそれぞれ累算し、各参照拡散符号に対応する複数の相関値を生成する累算手段と、複数の相関値から相関ピーク値を検出し、受信したスペクトラム拡散信号の拡散符号を識別するピーク値検出手段と、をさらに備える。
【0051】
好適な一実施形態において、上記配列体は、受信したスペクトラム拡散信号を逆拡散する手段と、逆拡散信号から情報データを抽出する手段とをさらに備える。
【0052】
好適な一実施形態において、微分手段は、受信したスペクトラム拡散信号と参照信号とを微分し、微分された受信信号と、微分された参照信号とを生成するように構成され、相関手段は、微分された受信信号と微分された参照信号とから微分相関信号を決定するように構成される。
【0053】
好適な一実施形態において、相関手段は、受信したスペクトラム拡散信号と参照信号とから相関信号を決定するように構成され、微分手段は、微分相関信号を取得するために相関信号を微分するように構成される。
【0054】
好適な一実施形態において、信号を微分する手段は、信号の信号サンプルを先行する信号サンプルの複素共役と乗算する乗算器を備える。
【0055】
好適な一実施形態において、参照信号は、所定の符号チップの系列を備える参照拡散符号により所定のチップレートで変調され、上記配列体は、受信した信号サンプル系列を生じさせる参照スペクトラム拡散信号をサンプリングするサンプリング手段を備え、参照信号は、参照サンプル系列を備え、相関手段は、相関サンプル系列を取得するために、受信した信号サンプル系列のサンプルを、参照サンプル系列のサンプルと相関させるように構成され、上記配列体は、相関値を取得するために、前記相関サンプル系列の少なくとも1つの副系列のサンプルを累算する累算手段をさらに備える。
【0056】
好適な一実施形態において、相関手段は、受信した信号サンプル系列及び参照サンプル系列を微分する手段と、相関サンプル系列を取得するために、受信した信号サンプルの微分系列を参照サンプルの微分系列と乗算する乗算手段とを備える。
【0057】
好適な一実施形態において、相関手段は、乗算されたサンプルの系列を取得するために、受信した信号サンプル系列を参照サンプル系列と乗算する乗算手段と、相関サンプル系列を取得するために、乗算されたサンプルの系列を微分する手段とを備える。
【0058】
好適な一実施形態において、拡散符号は、複数の信号源、例えば、GPSのような測位システムの複数の衛星のうちの1つを指す。
【0059】
好適な一実施形態において、拡散符号は、擬似ランダム雑音符号である。好適な一実施形態においては、拡散符号は、ゴールド符号である。
【0060】
本発明はさらに、このような配列体を備える装置、デバイス装置または製品(device)に関する。一実施形態において、上記装置は、例えば、GPS受信機が組み込まれた携帯端末などの通信機器である。通信機器は、例えば無線通信信号などの、データ通信を容易にするための通信信号を送受信するのに適した回路を備えるいずれかの装置からなる。このような装置の例には、携帯無線通信機や、その他のハンドヘルドまたは携帯デバイスを含む。携帯無線通信機は、携帯電話、ページャ(pager)、発信機、すなわち電子手帳、スマートフォン(smart phone)、携帯情報端末(PDA)、ハンドヘルドコンピュータなどの全ての機器を含む。
【0061】
他の実施形態において、上記装置はスタンドアロンのGPS機器である。
【発明の効果】
【0062】
これにより、微分相関信号は、複素信号、すなわち、複素絶対値/ノルム及び位相/引数を備える複素数を有する微分信号のサンプルであって、その結果、複素微分相関信号から時間遅延と周波数誤りの両方を検知することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
図1は、デジタルGPS受信機の一実施形態の概略ブロック図を示す。GPS受信機は、例えば、実質的に半球型のゲイン率をもつ右旋円偏波(RHCP)アンテナのような、視野範囲内の全ての人工衛星のGPS高周波(RF)信号を受信するためのアンテナ101を備える。受信されたRF信号は、受信した信号を増幅するプリアンプ102に送り込まれる。帯域外のRF干渉を最小化するために、アンテナとプリアンプとの間に受動帯域通過プレフィルタがあってもよい。プリアンプ102で生成された、増幅され任意でフィルタ処理されたRF信号は、その後、下方変換及びアナログ・デジタル変換ブロック103に送り込まれる。ブロック103で、信号は、ローカルオシレータ(図示せず)からの周波数を混合した信号を用いて、中間周波(IF)に下方変換される。ブロック103は、さらに下方変換された信号のアナログ・デジタル(A/D)変換を行う。さらに、ブロック103は、自動ゲインコントロール(AGC)のような追加機能を備えてもよい。この結果得られるデジタル化されたIF信号は、デジタル信号処理ブロック104に送り込まれる。従って、ブロック104は、視野範囲内の全ての人工衛星からの信号からなる信号を受信する。一般的に、信号は、IFにおける熱雑音の中に埋め込まれている。この段階では、復調はまだ行われず、信号処理とデジタルIFへの変換のみが行われる。デジタル信号処理ブロック104は、通常複数のデジタル受信チャンネルを含むデジタル受信ブロック105を備える。デジタル受信ブロックは、1以上のASICにより実現されてもよい。デジタル信号処理ブロックは、例えば、ループ弁別器、ループフィルタ、データ復調、位相同期インジケータ等のベースバンド機能を実行する受信処理ブロック106をさらに備える。一実施形態においては、受信処理ブロック106は、適切にプログラムされたマイクロプロセッサとして実装される。受信処理ブロック106は、さらに、デジタル受信ブロックの信号処理機能の制御に関する意思決定機能を実行する。特に、ブロック105及び106は、初期信号補足を実行し、それに続いて、さらにその後に続く現在位置の計算のためのタイミング情報を取得するために受信信号の追跡を実行する。ブロック106は、さらに、航法メッセージを抽出するための受信信号の復調機能を備える。例えば、「“Understanding GPS,Principles and applications”,E.D.Kaplan(ed.),Artech House,1996」には、GPS受信機の上記構成要素の例についてさらに詳細に記述されている。ブロック105及び106によって実行される信号捕捉機能の実施形態について、以下でより詳細に記述する。
【0064】
GPS受信機は、例えば、適切にプログラムされたマイクロプロセッサや他の処理手段である、航法処理ブロック107をさらに備える。航法処理ブロックは、ブロック104から抽出された航法データ及びタイミング情報を受信し、GPS受信機の技術分野において公知のアルゴリズムを用いて、受信したデータに基づき位置を計算する(例えば同書を参照)。計算された位置データは、例えばディスプレイなどのユーザインタフェース108を通して、最終的にユーザに提供される。当然のことながら、その代わりあるいはそれに加えて、位置情報は、さらなるデータ処理機能の入力値として用いられてもよい。したがって、ユーザインタフェースブロック108の代わりあるいはそれに加えて、他のインタフェース機能が提供されてもよい。
【0065】
上述したデジタル信号処理及びデータ処理機能の一部または全部が、同一の回路構成に組み込まれてもよいということに留意する。例えば、いくつかの実施形態においては、単独の高速マイクロプロセッサが受信機に対応し、航法機能及びユーザインタフェース機能を提供する。
【0066】
図2は、初期信号捕捉のための探索空間を示す。航法処理を実行するために、GPS受信機は、どの人工衛星からデータを受信したかを識別する必要があり、受信機は、対応する受信した拡散符号の相対遅延を判断する必要がある。一度、十分に多くの人工衛星からGPS信号を獲得したら、その後、例えば遅延固定のループが、それらのGPS信号を追跡する。上述したように、GPSにおいて拡散符号は、いわゆるゴールド符号という(例えば「R.Gold,“Optimal Binary Sequences for Spread Spectrum Multiplexing,” IEEE transactions info.Theory,Vol.33,No.3,October 1967,pp.619−621」参照)。
【0067】
自律GPS受信機は、いかなる事前情報もなしに、ゴールド符号と受信信号の遅延パラメータを識別するため、全ての人工衛星、可能性のある全ての符号遅延、可能性のある全ての周波数オフセットを探索しなければならない。従って、図2に示すように、初期探索空間は、以下の範囲で探索が実行される3次元探索空間として図示されたものであってもよい。
− 複数の人工衛星:以下、人工衛星は、n=1,…,Nでラベル付けされる。Nは、視野内の人工衛星の数である。GPSでは、N≦24である。現在視野内にない人工衛星を除外できるようにするための事前情報が利用できない場合、24個全ての人工衛星を探索しなければならないこともある。
− 符号遅延τ,j=1,…,Nは、受信した拡散符号についての参照符号の符号遅延である。GPSでは、拡散コードは1023チップからなる。すなわち、N=1023である。
− 周波数オフセットf:以下、周波数オフセットは、Δfのステップにおいて[−fmax,fmax]の区間でスキャンされると考えられる。すなわち、f−fmax+k・Δf,k=0,…,N=2fmax/Δfである。
【0068】
図2で、探索空間は、τ軸及びf軸に渡るτ−f平面の複数の2次元探索領域として示されており、各平面が1つの人工衛星に対応する。2次元探索領域は、201−1、201−2、201−3、及び201−Nに指定されており、各領域は、複数のセルに分割され、各セルは人工衛星n、周波数オフセットf、遅延τに対応する。すなわち、各セルは、(n,j,k)によって索引されてもよい。
【0069】
以下のように、上述した探索空間の全ての(N,N,N)セルを探索するのに必要な処理時間が見積られる。この見積もりのために、各セル、例えばセル204に適切な拡散符号が選択され、適切な遅延値τによって遅延されるものと仮定する。さらに、受信信号は、周波数オフセットfに対して補償される、すなわち、回転されず(de-rotate)、周波数補償された信号は、遅延された拡散符号と相関されるものと仮定する。チップのグループの相関値は、コヒーレントに(coherently)累算されるものとし、その累算相関値は、ピーク相関値を識別するために閾値と比較される。各セルに必要な累算処理時間、または滞留時間は、Tdw=GTであるように選択される。ここで、Tは、チップ期間、すなわち拡散符号の存続期間であり、Gは、受信したチップSNRγと、結果決定変数の所望のSNRとによって決まる処理利得である。現在の予測では、対象処理利得は10dBと推定される。この場合、10/γチップは、10dBを決定を下す雑音レベル以上に上昇させるために、コヒーレントに累算されなければならない。
【0070】
さらに、累算時間が長くなるほど、さらに周波数が安定していることが必要とされるため、周波数格子202の解像度(分割度)Δfもまた、滞留時間によって決まる。コヒーレント累算の場合、所定の周波数解像度に対し可能な最大滞留時間は、Tdw=2/(3Δf)に近似されることができる。
【0071】
したがって、上記仮定の下では、初期探索の総処理時間Tは、数式(1)で表される。
【0072】
【数1】

・・・(1)
【0073】
探索処理は、大量に並行処理されてもよいにもかかわらず、上記線形処理時間Tは、初期データ捕捉方法の複雑さを示すのによい指標となる。
【0074】
特に、上記探索空間の全セルを完全に探索するための処理時間は、周波数探索空間の大きさfmaxに比例し、そのため受信が難しい状況での処理時間はさらに増大することが知られている。周波数の不確定要素fmaxが大きいとき、かつ、SNRが低いとき、必要とされる滞留時間は大きくなる。
【0075】
さらに、先行する技術システムでは、コヒーレント累算時間は任意に増加させることができないことが知られている。GPS信号では、航法メッセージは、50bpsで符号化される、すなわち、20msおきにビット遷移がある。助けがない状況、すなわちビット境界とメッセージ容量についての事前情報がない状況では、コヒーレント累算の最大長は20msより小さい、例えば10msもかからない長さでなければならない。しかしながら、例えば100msのコヒーレント累算が、10msのコヒーレント累算ブロックとそれに続く累算ブロックの非コヒーレント累算に代替される場合、同じSNRを実現するために10=100ブロックが累算される必要がある。したがって、先行技術システムにおける処理時間は、SNRが低下するほど、ますます大きくなる。
【0076】
さらに、逆拡散が非常に狭いコヒーレンス大域幅、すなわちローカルオシレータの高い安定性を必要とするよりもむしろ、累算時間が長い場合、低いSNRで動作する必要がある。したがって、低いSNRでは、ローカルオシレータで得られる安定性が、制限要素となることがある。
【0077】
図3a〜b及び図4a〜bを参照して、初期信号捕捉の効率性を改善する方法と、それによる処理要件について説明する。
【0078】
図3a〜bは、デジタル受信ブロックの実施形態にかかるさらに詳細な機能ブロック図である。デジタル受信ブロック104は、図1に示す下方変換及びアナログ・デジタル変換ブロック103からデジタル化されたIF信号を受信する。従って、受信信号は、拡散符号のチップレートに従ってチップの系列としてモデル化されてもよい。チップ時間kにおける受信信号は、次の数式(2)でモデル化されてもよい。
【0079】
【数2】

・・・(2)
【0080】
したがって、受信信号は、n=1,…,Nでラベル付けされた視野範囲の各人工衛星Nの貢献度の総和と、その上に受信機の雑音成分Vとでモデル化される。ここで、gは、n番目の人工衛星からの経路損失を示す。

は、時間kにおけるn番目の人工衛星からの航法メッセージビットを示す。すなわち、

である。

は、時間kにおけるn番目の人工衛星に対応する拡散符号のチップ値を示す。

は、人工衛星nからの信号におけるチップ毎の位相回転を示す。
【0081】
図3aを参照して、受信信号rは、各人工衛星及び各異なる符号遅延に対する累算された相関値z(n,d),d=0,…,1023,n=1,…,Nを決定するデジタル受信チャンネルブロック105に流れ込む。図3aの機能ブロック図によると、これは、それぞれが所定の人工衛星及び所定の異なる符号遅延に対する相関値を計算する、複数の相関及び累算ブロック310で示される。したがって、相関及び累算ブロック310はそれぞれ、1023乗算ブロック304と、1023加重ブロック305とを備える。しかし、当然のことながら、相関及び累算機能の実際の並列化度合いは、実際の実装形態によって決まる。デジタルチャンネル受信ブロックは、受信信号rを微分し、微分された信号を相関及び累算ブロック310に送る微分ブロック306をさらに備える。微分ブロック306は、1チップずつ受信信号を遅延させる遅延成分301と、遅延された信号の複素共役を生成する共役ブロック302と、受信信号を遅延された信号の複素共役と乗算する乗算器303とを備える。相関及び累算ブロック310はそれぞれ、微分された受信信号を、対応する遅延された有効参照拡散符号

と相関させる乗算ブロック304と、それぞれの相関信号を累算する加重ブロック305とを備える。所定の遅延d及び人工衛星nに対する有効参照拡散符号

は、符号生成回路(図示せず)で直接生成されるか、または、図4aに示す符号生成器によって順に生成される、元の拡散符号

から微分ブロックによって生成されてもよい。拡散符号の符号生成器は、GPS受信機の技術として知られる。各加重ブロックは、Kチップの予め定められた数を超えて信号を累算する。従って、結果として得られる相関値z(n,d)は、数式(3)のようになる。
【0082】
【数3】

・・・(3)
【0083】
累算するチップ値の数Kは、受信信号において想定されるSNRによって決まる。ある実施形態においては、信号捕捉は、あらかじめ定められたKの値により実行される。捕捉が失敗した場合、Kは前記入力受付部が受け付けるし、捕捉処理が繰り返される。好ましいKの数値は、信号対雑音比によって決まる。ある実施形態においては、Kは、K=1023として選択されてもよい。
【0084】
以下、微分ブロック306と相関及び累算ブロック310の処理について、さらに詳細に記述する。以下の説明では、N=1の場合、すなわち人工衛星がただ1つの場合に対応し、インデックスnは無視される。これは、単に以下の説明の理解を容易にするためにするものであって、本発明の範囲を限定するものではない。当業者は、以下の効果は、現状のGPSの実装において用いられる拡散符号に対する場合のように、無関係の符号に対する相互相関は無視できる複数の人工衛星の場合にも同様に適用可能であると直ちに理解できる。
【0085】
従って、簡略化されたN=1の場合、相関値は数式(4)のように書ける。
【0086】
【数4】

・・・(4)
【0087】
=ck−1による新しい実効拡散符号sを定義する場合、数式(4)は、数式(5)のように書き替えてもよい。
【0088】
【数5】

・・・(5)
【0089】
wは、微分累算後の総雑音の項である。
【0090】
したがって、相関操作は、上記新しい拡散符号sに関し有効に実行される。sは、元のゴールド符号cと同じ順序で同じ自己相関特性を持つゴールド符号であることが知られている。
【0091】
さらに、ビット遷移が発生した時を除いて、積bk−1=1であるから、上記相関値は、航法メッセージに十分鈍感であることが理解される。しかしながら、ビット遷移は、わずかな時間の割合、例えば、10のうち1の割合程度でのみ発生するため、ビット遷移によりもたらされる誤りは、無視できるものである。
【0092】
したがって、航法メッセージに鈍感な決定変数が決定され、それにより長いコヒーレント累算時間が許容されることは本発明の利点である。これは、言い換えると、受信が難しい状況においても効果的な信号捕捉が可能となるという利点でもある。
【0093】
さらに、位相回転は、単に全体的な要因として寄与する、すなわち、位相回転は、蓄積されるものではないと理解される。したがって、計算は、周波数オフセットまたは安定性に敏感に反応することはないという利点がある。
【0094】
したがって、周波数軸に沿った探索は必要でないため、初期信号捕捉のための探索空間は、大幅に縮小される。これは、特に、周波数不確定要素fmaxが大きい、受信が困難な状態の場合に効果がある。
【0095】
さらに、長い累算時間が実現され、それにより、例えば、室内での受信のようなSNRが低い状態で、ローカルオシレータに高い安定性を要求することなく操作を可能にし、それにより、必要な部品にかかる費用を減少させるという効果がある。
【0096】
これに対し、受信信号の数式(6)による拡散符号との直接相関は、航法メッセージの実際の値bによって決まり、位相回転

は、残りの位相

が十分小さい場合を除いて無視できないKチップ上の累算位相回転を提供する。
【0097】
【数6】

・・・(6)
【0098】
図3bのシステムにおける、初期探索の線形的な複雑さは、数式(7)のように、例えば、周波数不確定要素の振幅fmaxと無関係である。
【0099】
【数7】

・・・(7)
【0100】
ここで

は、滞留時間である。
【0101】
探索のための総操作数は、周波数不確定要素によって決まる、1.5−2の要素によって減少させることができると見られている。
【0102】
さらに図3aを参照して、数式(3)に関する相関及び累算ブロック310によって生成された相関値の合計z(n,d)は、処理ブロック106に送られる。処理ブロックは、例えば、各人工衛星nの最大値|z(n,d’)|をd≠d’の相関レベルと比較することにより、1つ以上の人工衛星のピーク遅延値d’を検出するためのピーク値検知モジュール308を備える。
【0103】
図3aの実施形態において、1つ以上の人工衛星の符号遅延値d’は、航法処理ブロック107に流れ込む。ネットワーク基盤の操作形態において、符号遅延は、ネットワークを用いた現在位置判定に対する入力としての擬似範囲として用いられてもよい(例えば、「Heikki Kaaranen et al.,“UMTS Network:Architectures,Mobility and Services,”John Wiley&Sons,1stedition,August 2001,ISBN 047148654X,P.164」を参照)。
【0104】
図3bは、図3aの実施形態と類似した代替の実施形態の機能ブロック図を示す。しかしながら、本実施形態は、自律GPS受信機または自律モードのGPS受信操作に適している。本実施形態において、処理ブロック106は、数式(8)に従ってピーク相関合計の角度引数

を決定する周波数検知モジュール309をさらに備える。
【0105】
【数8】

・・・(8)
【0106】
図3bの実施形態において、周波数検知モジュール309は、ピーク値検知モジュール308によって検知された視野範囲の人工衛星それそれに対する複数の位相誤り予測値
を生成する。さらに、処理ブロック106は、対応する遅延値d’を出力する。なお、n=1,…,Nであって、Nは、検出された視野範囲の人工衛星である。図3bの実施形態のデジタル信号処理ブロック104は、複数の相関ブロック307をさらに備え、相関ブロック307は、N個の検出された視野範囲の人工衛星にそれぞれ対応し、それぞれに対応する遅延値及び対応する位相誤り予測値を受信する。相関ブロック307はそれぞれ、数式(9)に従って、対応する決定された符号遅延における、決定された人工衛星の符号に対する受信信号の相関値を決定する。
【0107】
【数9】

・・・(9)
【0108】
ここで、

は、n番目の人工衛星からの航法メッセージのm番目のビットを示し、相関値は、L=20・1023チップ以上で実行され、毎秒50ビットのビットレートで伝送される航法メッセージの1ビットの時間に対応し、そして、周波数補償された相関値を結果として出力する。したがって、相関ブロック307はそれぞれ、検知された位相誤りに対して適切な位相係数を決定する位相係数決定ブロック312と、受信信号を決定された位相係数と乗算する乗算器313とを備える。相関ブロック307は、決定された遅延値d’によって遅延された、対応する人工衛星nのための拡散符号を生成するブロック311をさらに備える。ブロック311及び313の出力は、乗算器314によって乗算され、その結果は、加算器315に送られる。加算機315は、航法処理ブロック107に送られた、上記周波数補償された相関値

を生成する。
【0109】
航法処理ブロック107は、複数の航法メッセージ復元ブロック316を備え、それぞれは、視野範囲にある人工衛星に対応する。航法メッセージ復元ブロック316はそれぞれ、相関値

から、対応する航法メッセージを復元する。異なる人工衛星から送られた航法メッセージからのデータは、その後、受信機の現在位置を判断するために、対応する位置方程式を解く位置計算ブロック317に送られる。
【0110】
図3a及び3bの実施形態において、微分ブロック306の相違点は、入力される信号に基づいて機能する。代替される実施形態において、相違点は、図4a及び4bに示すように、参照系列を持った受信信号の乗算後に行われる。
【0111】
図4a及び4bは、微分ブロックと相関ブロックとの順序が異なる実施形態を概略的に示した図である。
【0112】
図4aは、図3aに関連して記述したように、微分ブロック306と、それに続く乗算器304及び対応する加算器305のうちの1つとを示す。図4aの配置は、微分され、かつ遅延された参照拡散符号sk−dを、対応する遅延された元の拡散符号ck−dから生成する参照微分ブロック400をさらに備える。遅延された元の拡散符号ck−dは、符号生成回路410によって生成される。微分ブロック400は、同様に、ck−d−1を取得するために1チップずつ拡散符号ck−dを遅延させる遅延ブロック401と、遅延された符号の複素共役ck−d−1を生成する共役ブロック402と、sk−d=ck−dk−d−1を取得するために元の符号チップを遅延された符号チップと乗算する乗算器403とを備える。実数を含む拡散符号に対しては、共役ブロックは省略されてもよいことに留意する。
【0113】
したがって、図4aの実施形態において、受信信号サンプル系列のサンプルは、以下の手順によって参照サンプル系列のサンプルと相関される。
− 受信信号サンプル系列と参照サンプル系列とを微分する。
− 相関サンプル系列を取得するために、微分された受信信号サンプル系列を微分された参照サンプル系列と乗算する。
【0114】
当然のことながら、受信機は、まず従来の符号cを生成し、それに続いて符号cを微分するよりも、直接有効な符号sを生成するようにしてもよい。
【0115】
図4bは、微分が参照系列を持つ受信信号の乗算後に実行されるいう別の配置を示す。本実施形態によると、受信信号と遅延された参照拡散符号は、乗算器407によって相関され、相関された信号は、前の微分ブロックについて記述したように、遅延ブロック404と、共役ブロック405と、乗算器406とを備える微分ブロック408に送られる。微分ブロック408は、上述したように相関値の合計z(n,d)を生成する加算器305に送られる、微分された相関信号を生成する。
【0116】
したがって、図4bの実施形態において、受信信号サンプル系列のサンプルは、以下の手順によって参照サンプル系列のサンプルと相関される。
− 乗算されたサンプルの系列を取得するために、受信信号サンプル系列を参照サンプル系列と乗算する。
− 相関サンプル系列を取得するために、乗算されたサンプルの系列を微分する。
【0117】
図4a及び図4bの実施形態の関係は、数式(10)のように表される。
【0118】
【数10】

・・・(10)
【0119】
したがって、相関器304及び406の出力と、累算された相関値z(n,d)とは、複素数である。すなわち、z(n,d)は、数式(11)のようになる。
【0120】
【数11】

・・・(11)
【0121】
ここで、ρ=|z(n,d)|は、zの複素数絶対値/ノルムであり、

は、zの位相/引数である。上述したように、周波数誤りは、相関値zの位相から決定され、時間遅延は、複素数絶対値/ノルムρから決定される。
【0122】
上記GPS受信機の実施形態において効率的な初期信号捕捉を提供することが記述され、処理要件を削減した。上述したGPS受信機は、周波数オフセット及び安定性に影響されず、航法メッセージを感じない信号捕捉方法を実行する。特に、受信信号の相関ピーク値を検出する上記の方法及び配置は、可能性のある全ての周波数オフセット値にわたってスキャンする必要がない。周波数の不確定要素は、微分演算子と微分された相関チップの値の累算によって取り除かれる。その結果、チップ毎の回転はごくわずかなままであるため、実際には無制限のコヒーレントな累算は、受信機の厳しい位相/周波数の同期化及び航法メッセージの情報を必要とすることなく、実行される。微分相関の合計は、正しい符号遅延と、周波数オフセット値をもたらす正確な遅延に対応する相関合計とを検知するのに用いられる。受信機は、自律またはネットワーク支援モードで航法メッセージを復元するために、検知されたピーク値の位置、すなわち検知された符号遅延と、従来の非微分非相関を実行するために決定された周波数オフセット値を用いてもよい。ネットワーク基板モードでは、符号遅延値は擬似範囲としてネットワークに直接通知される。
【0123】
本発明の好適な実施形態について記述及び示したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲において明確にされた事柄の範囲内において、他の方法により具現化されるものであってもよい。
【0124】
特に、本発明は、主にGPSに関して記述した。しかしながら、本発明は、微弱な受信信号の逆拡散が信号検知システムの一部として用いられる他の信号受信システムに対しても適用可能であることが評価されるものである。例えば、本発明は、GLONASSシステムなどの他の測位システムに対しても適用可能である。
【0125】
本発明は、主に、信号がIFになるまで混合される受信機に関して記述したものであるが、本発明は、他の受信機の構造についても適用可能であることは当然である。そのような構造の例には、RF信号が直接ベースバンドに下方変換される、いわゆるホモダインまたはゼロIF受信機の構造を含む。スーパーヘテロダイン受信機といわれる他の実施形態においては、下方混合は幾つかのステップで実行される。
【0126】
さらに当然のことながら、ここで述べた信号捕捉は、自律GPS受信機に有利に用いられてもよい。しかしながら、信号検知は、例えば、携帯端末が携帯電話網からの支援情報、例えば、人工衛星の選択、周波数同期、ドップラー予測、タイミング同期、航法メッセージ、または上記のいずれかの一部あるいは組み合わせを支援する情報を受信する場合には、携帯端末や他の携帯通信機器に組み込まれたGPS受信機などの事前情報を受信する信号受信機にも、用いられてもよい。例えば、ネットワーク支援システムにおいては、ここで記述した方法は、室内での作業能力を改善するために、ネットワークのサービスエリアがない状況や、それに類似する状況において用いられてもよい。ネットワーク基板システムに関するある実施形態においては、ネットワークに通知される擬似範囲が改善されてもよい。
【0127】
本発明は、複数の個別の要素からなるハードウェア、及び適切にプログラムされたマイクロプロセッサによって実現されることができる。複数の手段を列挙した装置の請求項においては、これらの手段の幾つかは、例えば、適切にプログラムされたマイクロプロセッサ、1つ以上のデジタル信号プロセッサ、1つ以上のASIC回路、または上記の組み合わせによるものなどの、同一のハードウェア類によって具現化されることができる。互いに異なる従属項において列挙され、または異なる実施形態において記述された一定の手段は、これらの手段の組み合わせを示唆するものではないという単なる事実は、有利に用いられることはできない。
【0128】
「備える」が本明細書において用いられるとき、定められた特徴、整数、段階または構成要素の存在を明確にするために解釈され、1つ以上の他の特徴、整数、段階、構成要素またはそれらの集合の存在や追加を排除するものではないことは強調されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】GPS受信機の概略ブロック図である。
【図2】初期信号捕捉のための探索空間を示す図である。
【図3a】デジタル受信ブロックの実施形態にかかる詳細な機能ブロック図である。
【図3b】デジタル受信ブロックの実施形態にかかる詳細な機能ブロック図である。
【図4a】微分ブロックと相関ブロックの順序が異なる実施形態を概略的に示した図である。
【図4b】微分ブロックと相関ブロックの順序が異なる実施形態を概略的に示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペクトラム拡散信号の受信方法であって、
複数の参照拡散符号のうちの1つの存在を検知するために、受信したスペクトラム拡散信号を参照信号と相関させる相関ステップを備え、
前記相関ステップは、以下のステップのうち少なくともいずれか1つを実行して微分相関信号を生成するステップをさらに備え、
前記微分相関信号は、信号サンプル系列を備え、各々の前記信号サンプルは、複素数を有することを特徴とする、スペクトラム拡散信号の受信方法。
− 前記受信したスペクトラム拡散信号及び前記参照信号を微分するステップ。
− 相関信号を微分するステップ。
【請求項2】
前記微分相関信号から前記受信したスペクトラム拡散信号の周波数誤りを検出するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項3】
相関値を取得するために前記微分相関信号を累算する累算ステップをさらに備えることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項4】
決定された前記相関値から周波数誤りを検出するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項3に記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項5】
前記相関値の角度引数から周波数補償係数を決定するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項4に記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項6】
前記累算ステップは、前記微分相関信号をコヒーレントに累算するステップを備えることを特徴とする、請求項3〜5のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項7】
前記受信したスペクトラム拡散信号は、ビットで符号化されたデジタル情報メッセージを備え、前記デジタル情報メッセージのビット遷移は、所定の遷移時間間隔で発生し、前記コヒーレントに累算するステップは、前記遷移時間間隔の半分よりも長い時間間隔に渡り微分相関信号をコヒーレントに累算するステップを備えることを特徴とする、請求項6に記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項8】
前記微分するステップは、シングルチップタイムスケールに基づき微分するステップを備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項9】
前記信号を微分するステップは、前記信号を所定のチップ数により遅延させるステップを備えることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項10】
前記複数の参照拡散符号のうちの1つにより変調され、各々の相対符号遅延により遅延された複数の参照信号を提供するステップと、
対応する複数の微分相関信号を取得するために、前記受信したスペクトラム拡散信号を前記複数の参照符号と相関させるステップと、
各符号遅延に対応する複数の相関値を取得するために、複数の前記微分相関信号をそれぞれ累算するステップと、
前記受信したスペクトラム拡散信号の符号遅延を識別するために、複数の相関値の中の相関ピーク値を検出するステップと、
を備えることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項11】
対応する複数の微分相関信号を取得するために、前記受信したスペクトラム拡散信号を、複数の前記参照拡散符号の中の対応する1つの符号によりそれぞれ変調された複数の参照信号と相関させるステップと、
各参照拡散符号に対応する複数の相関値を取得するために、複数の微分相関信号をそれぞれ累算するステップと、
前記受信したスペクトラム拡散信号の拡散符号を識別するために、複数の相関値の中の相関ピーク値を検出するステップと、
を備えることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項12】
前記受信したスペクトラム拡散信号を逆拡散するステップと、前記逆拡散信号から情報データを抽出するステップと、をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項13】
前記相関ステップは、
微分された受信信号と微分された参照信号とを取得するために、前記受信したスペクトラム拡散信号と参照信号とを微分するステップと、
前記微分された受信信号と前記微分された参照信号とから前記微分相関信号を決定するステップと、
を備えることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項14】
前記相関ステップは、
前記受信したスペクトラム拡散信号と参照信号とから相関信号を決定するステップと、
前記微分相関信号を取得するために相関信号を微分するステップと、
を備えることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項15】
前記信号を微分するステップは、前記信号の信号サンプルと先行する信号サンプルの複素共役とを乗算することを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項16】
前記参照信号は、所定の符号チップの系列を備える参照拡散符号により所定のチップレートで変調され、
前記相関ステップは、受信信号サンプル系列を生じさせる参照スペクトラム拡散信号をサンプリングするステップを備え、
前記参照信号は、参照サンプル系列を備え、
前記相関ステップは、相関サンプル系列を取得するために、前記受信信号サンプル系列のサンプルを、参照サンプル系列のサンプルと相関させるステップと、相関値を取得するために、前記相関サンプル系列の少なくとも1つの副系列のサンプルを累算するステップとを備えることを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項17】
前記受信信号サンプル系列のサンプルを参照サンプル系列のサンプルと相関させるステップは、
前記受信信号サンプル系列及び前記参照サンプル系列を微分するステップと、
相関サンプル系列を取得するために、微分された受信信号サンプル系列を微分された参照サンプル系列と乗算するステップと、
をさらに備えることを特徴とする、請求項16に記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項18】
前記受信信号サンプル系列のサンプルを参照サンプル系列のサンプルと相関させるステップは、
乗算されたサンプルの系列を取得するために、受信信号サンプル系列を参照サンプル系列と乗算させるステップと、
前記相関サンプル系列を取得するために、前記乗算されたサンプルの系列を微分するステップと、
をさらに備えることを特徴とする、請求項16に記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項19】
前記拡散符号は、複数の信号源のうちの1つを指すことを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項20】
前記信号源は、測位システムの複数の衛星のうちの1つであることを特徴とする、請求項19に記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項21】
前記測位システムは、GPSであることを特徴とする、請求項20に記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項22】
前記拡散符号は、擬似ランダム雑音符号であることを特徴とする、請求項1〜21のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項23】
前記拡散符号は、ゴールド符号であることを特徴とする、請求項1〜21のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号の受信方法。
【請求項24】
スペクトラム拡散信号を受信するように構成された配列体であって、
複数の参照拡散符号のうちの1つの存在を検出するために、前記受信したスペクトラム拡散信号を参照信号と相関させる相関手段(105)を備え、
前記相関手段は、微分相関信号を発生させるように構成され、相関信号を微分する微分手段(408)と、受信したスペクトラム拡散信号及び参照信号を微分する手段(306、400)とのうち少なくともいずれか1つを備え、
前記微分相関信号は、信号サンプル系列を備え、各信号サンプルは、複素数を有することを特徴とする、スペクトラム拡散信号を受信するように構成された配列体。
【請求項25】
前記微分相関信号から前記受信したスペクトラム拡散信号の周波数誤りを検出する手段(309)をさらに備えることを特徴とする、請求項24に記載のスペクトラム拡散信号を受信するように構成された配列体。
【請求項26】
相関値を取得するために前記微分相関信号を累算する累算手段(305)をさらに備えることを特徴とする、請求項24または25のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号を受信するように構成された配列体。
【請求項27】
前記微分相関信号から前記受信したスペクトラム拡散信号の周波数誤りを検出する手段(309)をさらに備え、
前記周波数誤りを検出する手段は、決定された前記相関値から周波数誤りを検出するように構成されることを特徴とする、請求項26に記載のスペクトラム拡散信号を受信するように構成された配列体。
【請求項28】
前記相関値の角度引数から周波数補償係数を決定する手段(312)をさらに備えることを特徴とする、請求項27に記載のスペクトラム拡散信号を受信するように構成された配列体。
【請求項29】
前記受信したスペクトラム信号は、ビットで符号化されたデジタル情報メッセージを備え、デジタル情報メッセージのビット遷移は、所定の遷移時間間隔で発生し、前記累算手段は、前記遷移時間間隔の半分よりも長い時間間隔に渡り前記微分相関信号をコヒーレントに累算するように構成されることを特徴とする、請求項26〜28のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号を受信するように構成された配列体。
【請求項30】
前記複数の参照拡散符号のうちの1つによって変調され、各参照符号遅延により遅延された複数の参照信号を提供する手段(410)を備え、
前記相関手段は、前記受信したスペクトラム拡散信号を前記複数の参照信号と相関させ、対応する複数の微分相関信号を発生させるように構成され、
各々の前記複数の微分相関信号を累算し、各符号遅延に対応する複数の相関値を生成する累算手段(305)と、
前記複数の相関値から相関ピーク値を検出し、前記受信したスペクトラム拡散信号の符号遅延を識別するピーク値検出手段(308)と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項24〜29のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号を受信するように構成された配列体。
【請求項31】
前記相関手段は、前記受信したスペクトラム拡散信号を、複数の参照拡散符号のうちの対応する1つの符号によってそれぞれ変調された複数の参照信号と相関させ、対応する複数の微分相関信号を発生させるように構成され、
複数の微分相関信号をそれぞれ累算し、各参照拡散符号に対応する複数の相関値を生成する累算手段(305)と、
前記複数の相関値から相関ピーク値を検出し、前記受信したスペクトラム拡散信号の拡散符号を識別するピーク値検出手段(308)と、
をさらに備えることを特徴とする、請求項24〜30のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号を受信するように構成された配列体。
【請求項32】
前記微分手段は、前記受信したスペクトラム拡散信号と参照信号とを微分し、微分された受信信号と、微分された参照信号とを生成するように構成され、
前記相関手段は、前記微分された受信信号と前記微分された参照信号とから前記微分相関信号を決定するように構成されることを特徴とする、請求項24〜31のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号を受信するように構成された配列体。
【請求項33】
前記相関手段は、前記受信したスペクトラム拡散信号と参照信号とから相関信号を決定するように構成され、
前記微分手段は、前記微分相関信号を取得するために前記相関信号を微分するように構成されることを特徴とする、請求項24〜31のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号を受信するように構成された配列体。
【請求項34】
前記信号を微分する手段は、前記信号の信号サンプルを先行する信号サンプルの複素共役と乗算する乗算器(303、403、406)を備えることを特徴とする、請求項24〜33のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号を受信するように構成された配列体。
【請求項35】
請求項24〜34のいずれかに記載のスペクトラム拡散信号を受信するように構成された配列体を備える装置。
【請求項36】
全地球測位システムにおいて用いられる受信機であることを特徴とする、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
自律GPS受信機であることを特徴とする、請求項35に記載の装置。
【請求項38】
通信機器であることを特徴とする、請求項35または36のいずれかに記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate


【公表番号】特表2007−520100(P2007−520100A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544345(P2006−544345)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014372
【国際公開番号】WO2005/060118
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】