説明

微孔質材料および少なくとも1種の珪素含有結合剤を含有する成形体、その製造方法、特にトリエチレンジアミン(TEDA)を製造するための方法における触媒としてのその使用

本発明は、以下の工程
(I)微孔質材料、結合剤、ペースト剤および溶剤を含有する混合物を製造する
(II)混合物を混合し、圧縮する
(III)圧縮した混合物を成形して成形体を得る
(IV)成形体を乾燥する、および
(V)乾燥した成形体を焼成する
からなる、微孔質材料および少なくとも1種の珪素含有結合剤を含有する成形体を製造する方法に関する。結合剤として有機珪素化合物を使用する。本発明は更にこの方法により製造される成形体、特に有機合成、特にトリエチレンジアミン(TEDA)を製造する方法への触媒としてのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微孔質材料および少なくとも1種の珪素含有結合剤を有する成形体、以下の工程:
(I)微孔質材料および結合剤を含有する混合物、ペースト剤および溶剤を製造する
(II)混合物を混合し、圧縮する
(III)成形体を維持しながら圧縮した混合物を成形する
(IV)成形体を乾燥する
(V)乾燥した成形体を焼成する
からなるその製造方法および触媒としての、特にトリエチレンジアミン(TEDA)の製造方法への使用に関する。
【0002】
TEDA(IUPAC名称:1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン)は化学工業で重要な中間生成物および最終生成物であり、主にそのままポリウレタン製造に触媒として使用される。
【0003】
トリエチレンジアミン(TEDA)を製造するために多くの異なる合成が存在し、これらはエダクトの選択および利用される触媒が異なる。
【0004】
1種以上のアミン化合物、エチレンジアミン(EDA)、モノエタノールアミン(MEOA)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピペラジン(PIP)、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリ(2−アミノエチル)アミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、モルホリン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジンもしくはN,N′−ビス(2−アミノエチル)ピペラジンから酸性不均一触媒上の気相反応によりTEDAを製造できることは知られている。
【0005】
TEDAを製造する商業的方法は2つの触媒種類の間で相違することがある。
【0006】
典型的な方法においてはアルカリ金属燐酸塩触媒およびアルカリ土類金属燐酸塩触媒を使用する。選択的にゼオライト触媒作用法を利用できる。
【0007】
燐酸塩触媒作用において主にピペラジン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、およびN,N′−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンを反応させる。TEDAの選択率は85%までである(Air Products、欧州特許(EP−A1)1053786号)。
【0008】
ゼオライト触媒作用において主にN−(2−アミノエチル)ピペラジン(Tosch Corp.特開平3−132061号、特開平3−132062号、特開平3−132063号、および欧州特許(EP−A1)1192993号)、エチレンジアミンおよび/またはピペラジン(Air Products、欧州特許(EP−A1)842936号、BASF社、欧州特許(EP−A1)382055号、WO01/02404号、欧州特許(EP−A1)1215211号およびWO03/004499号)を出発物質として使用する。この方法を使用して90%までのTEDAの選択率を達成できる。
【0009】
先願のドイツ特許第10326137.0号明細書、2006年6月3日(BASF)は結晶質アルモシリケートを有する成形体の切断硬度を高める方法および結晶質アルモシリケート触媒の存在での化学的合成法、特にエチレンジアミン(EDA)および/またはピペラジン(PIP)の反応によるトリエチレンジアミン(TEDA)の製造方法に関する。
【0010】
ゼオライトは有利に約0.9nm未満の微細孔を有する配列された通路構造およびかご構造を有する周知の結晶質アルモシリケートである。このゼオライトのネットワークは共通の酸素橋により結合しているSiO正四面体およびAlO正四面体から形成される。公知の構造の概要は、例えばW.M.Meier、D.H.OlsonおよびCh.Baerlocher、Atlas of Zeolithe Structure Types、Elsevier、第5版、Amstredam2001を参照。
【0011】
その際、詳しくは、例えばABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFX、AFY、AHT、ANA、APC,APD、AST、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AWO、AWW、BEA、BIK、BOG、BPH、BRE、CAN、CAS、CFI、CGF、CGS、CHA、CHI、CLO、CON、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB,EDI、EMT、EPI、ERI、ESV、EUO、FAU,FER、GIS、GME、GOO、HEU、IFR、ISV、ITE、JBW、KFI、LAU、LEV、LIO、LOS、LOV、LTA、LTL、LTN、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MWW、NAT、NES、NON、OFF、OSI、PAR、PAU、PHI、PHO、RON、RSN、RTE、RTH、RUT、SAO、SAT、SBE、SBS、SBT、SFF、SGT、SOD、STF、STI、STT、TER、THO、TON、TSC、VET、VFI、VNI、VSV、WIE、WEN、YUG、ZON構造および前記構造の2種以上からなる混合構造のレントゲン検査の配列を有するタイプのゼオライト、特にペンタシル構造を有するゼオライトを記載できる。
【0012】
触媒の使用分野に応じて触媒は結晶の大きさのほかに所定の孔径もしくは細孔分布を有するべきであるかまたは有しなければならない。例えばトリエチレンジアミンの製造の際に構造タイプZSM−5のゼオライト触媒の使用が有利であることが示された。前記特性のほかに触媒は所定の化学組成を有するべきであるかまたは有しなければならない。ZSM−5触媒の場合は例えばゼオライト材料中の所定の範囲のSiとAlのモル比が有利である。
【0013】
トリエチレンジアミンの製造の際の構造タイプZSM−5のゼオライト触媒の使用は例えばWOA01/02404号に記載され、その際SiとAlのモル比は100〜700、特に150〜250の範囲にある。
【0014】
WOA03/004499号はトリエチレンジアミンの選択的合成法を記載し、その際特にSiと金属Mのモル比が100より大きく、有利に200より大きく、更に有利に300より大きく、40000まで、特に有利に400〜5000の範囲にあるZSM−5タイプのゼオライト触媒を使用する。その際酸化段階IIIもしくはIVで生じることができる金属Mは、Al、B、Fe、Co、Ni、V、Mo、Mn、As、Sb、Bi、La、Ga、In、Y、Sc、Crおよびこれらの混合物もしくはTi、Zr、Ge、Hf、Snおよびこれらの混合物の群から選択される。この場合にアルモシリケートが特に有利である。
【0015】
欧州特許(EP−A1)1215211号はトリエチレンジアミンの製造方法を記載し、その際酸化物として酸化段階II、IIIまたはIVを有する1種以上の金属Mを含有するゼオライト触媒を使用し、その際MがAlである場合に、SiOとAlのモル比は1400より大きい。ZSM−5のほかに構造タイプZSM−11、ZSM−23、ZSM−53、NU−87、ZSM−35の更に他の触媒および混合構造物が開示されている。
【0016】
先願のドイツ特許第103556184.6号、2002年12月3日(BASF社)は最高で150ppmのアルカリ金属およびアルカリ土類金属含量およびSiとAlの250〜1500の範囲のモル比を有するペンタシル構造タイプ、特にZSM−5構造タイプのゼオライト材料に関し、その際ゼオライト材料の球状一次粒子の少なくとも95モル%が1μm以下の範囲の直径を有し、一次粒子の少なくとも95%が球状である。同様にこの明細書はこのゼオライト材料を含有する成形体およびゼオライト材料それ自体または成形体の特にTEDAの合成の際の触媒としての使用に関する。
【0017】
触媒成形体を製造するためのSiO結合剤としてのコロイド状シリカの使用は、
Catalyst Support and Supportes Catalysts(A.B.Stiles)1987、第1章、1〜9頁および第3章、57〜62頁、
Applied Heterogenous Catalysts−Design、Manufacture、Use of Solid Catalysts(J.F.Lepage、J.Cosyns、P.Courty、E.B.Miller)1987、第5章、75〜123頁、
Heterogeneous Catalysts in Industrial Practice(C.N.Satterfield)、第2版、1991、第4章、87〜130頁、特に121頁、および
Studies in Surface Science and Catalysts(E.B.M.Doesburg、J.H.C.Hoff)1993、第8章、309〜332頁
に記載されている。
【0018】
ZSM−5粉末を成形するためのSiO結合剤としてのコロイド状シリカ、特にLudox(登録商標)AS40、DuPontの使用は米国特許第6077984号に記載されている。
【0019】
WOA01/23089号によりZSM−5粉末および1kgより大きい切断硬度を有するSiO2結合剤からなる触媒成形体が得られる。SiO結合剤としてコロイド状シリカを使用する。
【0020】
欧州特許EP−A1831096号にはZSM−5触媒上のTEDAの触媒による製造の際の結合剤の役割が記載されている。シリカおよびジルコニアのような低い酸性を有するマトリックス(=結合剤)の使用により好ましくない副反応が抑制される。
【0021】
欧州特許EP−A1349859号にはEDA/PIP混合物からTEDAを製造するためのZSM−5触媒が記載され、前記混合物は結合剤として高分散シリカを使用して成形する。ストランド形成の助剤として特にエチルセルロース、ステアリン酸、ジャガイモ澱粉およびシリコエステルを使用できる。
【0022】
欧州特許EP−A1192993号は、
a)30〜95質量%の割合を有する、シリカとアルミナのモル比が少なくとも12である結晶質アルモシリケート、
b)5〜70質量%の割合を有する非晶質シリカ、および
c)少なくとも1kgの切断硬度の成形体
からなる、触媒成形体上のTEDAの製造方法に関する。
【0023】
成形は非晶質シリカおよびアルモシリケートを機械的混合機中で、場合により水の存在で混合し、圧縮し、成形装置中で成形することにより成形体を取得することにある。非晶質シリカは平均直径6〜60nmを有する一次粒子により特徴付けられる。
【0024】
ZSM−5触媒の外部ゼオライト表面を不活性化し、TEDA製造の選択率を改良するための珪素含有化合物の使用は欧州特許EP−A10952152号に記載されている。珪素含有化合物での不活性化は、有利にシリカである結合剤を使用する成形工程に関係ない。ゼオライト表面を不活性化するための珪素含有化合物として特にテトラアルキルオルトシリケート、特にテトラエチルオルトシリケート、シリカゲルおよびポリシロキサンが請求される。
【0025】
ドイツ特許第10219879号は二酸化ジルコニウム粉末を結合剤と一緒に成形して成形体を形成し、乾燥し、焼成する触媒担体の製造方法を記載し、その際結合剤はモノマー、オリゴマーまたはポリマー有機珪素化合物である。この明細書の対象は更にこうして製造した触媒担体自体、この担体を含有する触媒および脱水素触媒としてのその使用である。
【0026】
まさに触媒の分野において、結晶質、触媒活性材料自体でなく、成形体に存在する材料を使用することがしばしば要求される。この成形体はまさに多くの大量生産の方法で必要であり、例えば化学反応を例えば攪拌反応器中でまたは管束反応器中で例えば固定床方式で有効に運転することができる。
【0027】
コロイド状シリカと一緒に成形することによりSiO結合剤を有する触媒、特にゼオライト触媒を取得できることは知られている。TEDAを製造するゼオライト触媒の成形にコロイド状シリカを使用することが有利であり、なぜならばコロイド状シリカは低い酸性度を有し、従って副反応の形成を抑制するからである(EP−A10831096号、前記箇所)。
【0028】
本発明により、微孔質材料、特にゼオライトの一次粒子が小さく、球状である(例えば直径1μm未満)場合および/または市販されているコロイド状シリカ(例えばLudox(登録商標))を使用して触媒成形体に成形する場合に、微孔質材料、特にゼオライト材料および少なくとも1種の珪素含有結合剤を有する触媒成形体の機械的安定性が、大量生産の規模で使用するために改良の必要があることが認識された。
【0029】
本発明の課題は、例えば切断硬度(N)として測定される改良された機械的安定性、例えば10N以上の切断硬度を有する、触媒として使用できる、微孔質材料、特にゼオライト材料および少なくとも1種の珪素含有結合剤を有する改良された成形体を提供することである。
【0030】
触媒として化学反応に、特にTEDAの合成の際に使用される成形体はよりよい変換率および空時収率、高い選択率および長い耐用時間を可能にすべきである。
【0031】
TEDA合成に使用する場合にTEDA選択率は90%より大きく、特に95%までであるべきであり、供給物中の水の割合が少ない(エダクトに対して90質量%より少ない)場合は高い耐用時間(例えば2500時間より長い)を達成すべきである。
【0032】
エダクトは式Iによる構造単位を有する1種以上のアミンを含む。請求の範囲およびTEDA製造の発明の説明を参照。
【0033】
この有利な特性は特にゼオライト材料および少なくとも1種の珪素含有結合剤を有する成形体の場合に発生し、その際ゼオライト材料の一次粒子の少なくとも90%が球状であり、球状一次粒子の少なくとも95質量%が1μm以下の直径を有する。
【0034】
意想外にも、微孔質材料、特にゼオライト材料(例えばゼオライト粉末)と結合剤としての有機珪素化合物(例えばシリコーン)の成形に成功し、機械的特性(特に切断硬度)がコロイド状シリカを使用して成形した成形体より明らかに優れている成形体を生じ、この改良された機械的安定性が、例えばトリエチレンジアミン(TEDA)の製造の際に選択率および/または触媒としての成形体の活性に不利に作用しないことが見出された。
【0035】
従って以下の工程:
(I)微孔質材料、結合剤、ペースト剤および溶剤を含有する混合物を製造し、
(II)混合物を混合し、圧縮し、
(III)圧縮した混合物を成形して成形体を取得し、
(IV)成形体を乾燥し、および
(V)乾燥した成形体を焼成する
からなる微孔質材料および少なくとも1種の珪素含有結合剤を有する成形体の製造方法が見出され、前記方法は結合剤として有機珪素化合物を使用することを特徴とする。
【0036】
更にこの方法を使用して製造できる成形体、特に有機合成、特にトリエチレンジアミン(TEDA)の製造方法での触媒としてのその使用が見出された。
【0037】
結合剤としての有機珪素化合物(工程I)
有機珪素結合剤として、例えばUllmanns Encyclopediaof Industrial Chemistry、A24、21〜56頁およびAnorgabischen Chemie(A.F.Hollerman、E.Wiberg)、100版、2.6.5章、786〜788頁に記載されるように、モノマー、オリゴマーまたはポリマーシラン、アルコキシシラン、アシルオキシシラン、オキシミノシラン、ハロゲンシラン、アミノキシシラン、アミノシラン、アミドシラン、シラザン、またはシリコーンが適している。これには特に以下の式(A)〜(F)のモノマー化合物が属する。
(Hal)SiR4−x (A)
(Hal)Si(OR)4−x (B)
(Hal)Si(NR4−x (C)
Si(OR4−x (D)
Si(NR4−x (E)
(RO)Si(NR4−x (F)
上記式中、
Halは互いに独立にハロゲン(F,Cl、BrまたはI、特にCl)であり、
R、R、Rは互いに独立にHまたは置換されていてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリールアルキル基、またはアリール基であり、
xは0〜4の範囲の整数である。
【0038】
アルキル基は有利にC〜Cアルキルである。アルキル基は直鎖状または分枝状であってもよい。有利な例はメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、またはt−ブチルであり、特にメチルおよびエチルである。
【0039】
アリール基としてC〜C10−アリールが有利であり、例えばフェニルである。有利なアリールアルキル基はC〜C20−アリールアルキルであり、特にベンジルである。有利なアルケニル基はC〜C−アルケニル基であり、特にビニルまたはアリルである。アルキニル基としてC〜C−アルキニル基が有利であり、例えばエチニルまたはプロパルギルである。アシル基は有利にC〜C−アシル基が有利であり、特にアセチルである。
【0040】
有利なシクロアルキル基はC〜C−シクロアルキル基であり、特にシクロペンチルまたはシクロヘキシルである。
【0041】
有利なシクロアルケニル基はC〜C−シクロアルケニル基であり、例えば1−シクロペンテニルまたは1−シクロヘキセニルである。
【0042】
式(A)の適当な有機珪素化合物の例はSiCl、MeSiCl、MeSiClおよびMeSiClである。
【0043】
式(B)の適当な有機珪素化合物の例はSi(OMe)、ClSi(OMe)、ClSi(OMe)、ClSiOMeである(Me=メチル)。
【0044】
式(C)の適当な有機珪素化合物の例はSi(NMe、ClSi(NMe、ClSi(NMe、ClSiNMeである。
【0045】
式(D)の適当な有機珪素化合物は例えばSi(OEt)、MeSi(OEt)、MeSi(OEt)、およびMeSi(OEt)である。
【0046】
式(E)の適当な化合物は例えばMeSi(N(Me)COMe)およびMeSi(N(Me)COCH)である。
【0047】
式(F)の適当な化合物は(MeO)Si(NMe)である。
【0048】
結合剤として、有利に式[−SiO(OR)(R´)−]の環状シリコーン、または式RO−[SiO(OR)(R´)−]−Rの直鎖状シリコーン、またはこれらのシリコーンの混合物を使用し、式中、RおよびR´は互いに独立に、前記のようにC〜C−アルキル基であり、特にメチル、エチルであり、xは2〜50の範囲の数、特に3〜20の範囲の数である。
【0049】
特に有利な有機珪素結合剤はメチルシリコーン、例えばSilres(登録商標)、Wacker、例えばSilres(登録商標)MSE100である。
【0050】
成形のためにハロゲン不含有機珪素結合剤が有利であり、成形体の製造中にまたは触媒反応に成形体を使用する際に腐食を回避する。
【0051】
結合剤として使用される有機珪素化合物は有利に標準条件下で液状であるかまたは有利に非極性有機溶剤、例えばヘキサン、トルエンおよび/またはシクロヘキサン中の溶液として使用する。これにより微孔質高表面活性成分が混合の際に有機珪素化合物で均一に湿潤になる。触媒成形体を焼成する際に有機珪素結合剤の有機基が燃焼する。その際SiOが形成され、これが成形体にきわめて細かく分配して存在する。これから微孔質活性成分の一次粒子と得られた触媒成形体のきわめて良好な機械的安定性の間の高い結合強化が生じる。有機珪素結合剤の有機基の燃焼により付加的な孔が生じる。この孔は有機珪素結合剤の均一な分布により成形体に同様にきわめて均一に分配される。これにより触媒ストランドの全気孔率が上昇する。
【0052】
工程Vによる成形体の焼成により有利に有機珪素化合物の少なくとも80質量%、特に少なくとも95質量%が高分散SiOに変換する。製造した触媒成形体中のこうして形成した高分散SiOの質量割合は有利に5〜70質量%、特に10〜50質量%、特に有利に10〜30質量%の範囲である。
【0053】
微孔質材料、特にゼオライト材料(工程I)
微孔質材料は有利に結晶質シリカライト、結晶質アルモシリケート(ゼオライト材料)、結晶質シリコアルモホスフェートおよび/または結晶質アルモホスフェートである。有利に結晶質アルモシリケート、特にゼオライトである。ゼオライトは有利にペンタシルであり、有利に構造タイプMFI、MELまたはこれらの混合構造タイプを有する。
【0054】
アルカリ金属およびアルカリ土類金属含量合わせて最高で150ppmを有しおよび特にSiとAlのモル比が10より大きく、特に100〜5000の範囲、有利に250〜1500、特に有利に250〜750の範囲であるペンタシル構造タイプのゼオライト、例えばZSM−5が特に有利である。
【0055】
式(I)による微孔質材料は有利に少なくとも部分的にH形および/またはNH4+形で存在する。特に有利に式(I)による微孔質材料は少なくとも部分的にH形で、特に有利に95%より多くH形で使用する。
【0056】
1つの有利な構成において、ゼオライト材料の一次粒子の少なくとも90質量%が球状であり、特に球状一次粒子の少なくとも95質量%が1μm以下の範囲の直径を有する。
【0057】
球状の用語は本発明の範囲で使用されるように、走査式電子顕微鏡(SEM)による検査で0.5×10〜2.0×10の範囲に拡大して実質的に鋭利な角を含まない一次粒子を示す。従って球状の用語は、例えば純粋な球状または変形された球状の、例えば楕円形または四角形の一次粒子を示し、その際四角形の一次粒子の場合は、前記試験法で前記の解像範囲で角が丸くなり、鋭利でない。
【0058】
構造タイプZSM−5の用語は、本発明の範囲で使用されるように、W.M.Meier、D.H.Olson und Ch.Baerlocher、Atlas of Zeolithe Structure Types、Elsevier 第5版、Amsterdam、2001、184−185、als Zeolit vom Strukturtyp ZSM−5に記載されるゼオライト材料を示す。
【0059】
ゼオライト材料の一次粒子に関しては、1μm未満の直径が有利である。更に有利に最高900nm、更に有利に最高800nm、更に有利に最高700nm、更に有利に最高600nm、特に有利に最高500nmの直径である。ゼオライト材料の一次粒子は更に有利に最低10nm、更に有利に最低20nm、更に有利に最低30nm、更に有利に最低40nm、特に有利に最低50nmの直径を有する。直径は有利に50〜500nm、更に有利に50〜400nm、更に有利に50〜300nm、更に有利に50〜250nm、特に有利に50〜200nmである。
【0060】
本発明の他の1つの構成により、直径は50〜100nmまたは100〜150nmまたは150〜200nmまたは200〜250nmの範囲であってもよい。
【0061】
一次粒子の直径は本発明の範囲に記載されるように、例えば電子顕微鏡写真法SEM(走査式電子顕微鏡)およびTEM(透過式電子顕微鏡)により測定できる。本発明の範囲に記載される直径はSEMにより測定した。
【0062】
ゼオライト材料中のSiとAlのモル比に関しては、前記モル比は100〜5000、更に有利に250〜1500、更に有利に250〜750、特に有利に350〜550の範囲である。
【0063】
有利な結晶質ゼオライト材料、特に構造タイプZSM−5のゼオライト材料はモノ分散粒度分布を有し、その際変化係数は50%未満、有利に25%未満、特に10%未満である。
【0064】
粒度分布はDIN13320によるレーザー回折分光測定法を使用して測定する。
【0065】
DIN66131により測定した有利な結晶質ゼオライト材料の比表面積(BET)は有利に少なくとも350m/g、特に少なくとも400m/gである。比表面積は、例えば350〜500m/g、特に400〜500m/gの範囲である。
【0066】
DIN66134(Langmuir、p/p=0.995)により決定した有利な結晶質ゼオライト材料の最高体積は少なくとも0.6ml/g、特に少なくとも0.7ml/g、特に有利に少なくとも0.8ml/gである。細孔体積は例えば0.6〜1.5ml/g、更に有利に0.7〜1.4ml/g、特に0.8〜1.3ml/gの範囲である。
【0067】
有利なゼオライト材料は一般に、ペンタシル構造タイプ、特にZSM−5構造タイプの前記のゼオライト材料を生じるすべての適当な、当業者に知られた方法により製造することができる。
【0068】
高いシリカZSM−5粉末は、例えば商標名TZP−9022(Tricat Zeolites)、CBV−28014(Zeolyst International)、T−4573(Suedchemie)、SN−300(AlsiPenta)、PZ−2/900(Uetikon)およびP−400(UOP)で市販されている。
【0069】
溶剤(工程I)
溶剤として、例えば2〜12個の炭素原子を有する環状または非環状エーテル、例えばジメチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、またはその異性体、MTBE、THF、ピラン、またはラクトン、例えばγ−ブチロラクトン、ポリエーテル、例えばモノグリム、ジグリム等、芳香族または脂肪族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、および石油エーテル、またはその混合物、特にN−メチルピロリドン(NMP)または水または前記種類の水性有機溶剤または希釈剤が適している。
【0070】
特に有利に希釈剤であってもよい溶剤として水を使用する。
【0071】
水にブレンステッド酸およびブレンステッド塩基を添加できる。
【0072】
適当なブレンステッド酸は例えば塩酸、硫酸、燐酸、硝酸またはカルボン酸、ジカルボン酸、またはオリゴカルボン酸、ポリカルボン酸、例えばニトリロトリ酢酸、スルホサリチル酸、またはエチレンジアミノテトラ酢酸である。
【0073】
適当なブレンステッド酸は第一級、第二級および第三級アルキルアミン、アンモニア、希土類金属酸化物、アルカリ金属酸化物、およびアルカリ土類金属酸化物である。
【0074】
溶剤(例えば水)中のブレンステッド酸もしくはブレンステッド塩基の割合は特に0.5〜50質量%、特に1〜25質量%、特に有利に1〜10質量%である。
【0075】
溶剤の添加は混合物が成形工程中の更なる処理に適当なコンシステンシーを有することを生じる。溶剤の割合は有利に0.5〜80質量%、更に有利に1〜50質量%、更に有利に1〜40質量%、特に1〜30質量%であり、量はそれぞれ工程Iによる混合物の全質量に関する。
【0076】
ペースト形成剤(工程I)
(I)による混合物を製造する際に少なくとも1種のペースト形成剤(=有機添加剤)を添加する。
【0077】
添加剤(=ペースト形成剤)としてこのために適当なすべての化合物を使用できる。有利にはこれは有機ポリマー、特に疎水性ポリマー、例えばセルロース、セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、澱粉、例えば馬鈴薯澱粉、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリイソブテン(PIB)またはポリテトラヒドロフラン(PTHF)である。
【0078】
特に細孔形成剤として作用する化合物をペースト形成剤として使用できる。
【0079】
ペースト形成剤は有利に固体として使用する。
【0080】
ペースト形成剤は本発明の方法の特に有利な構成において、以下に記載するように、工程Vにおいて焼成により少なくとも90質量%に除去する。
【0081】
ペースト形成剤の添加は、混合物が成形工程で更に処理するために適当なコンシステンシーを有することを生じる。ペースト形成剤の割合は有利に0.5〜80質量%、更に有利に1〜50質量%、更に有利に1〜40質量%、特に1〜30質量%の範囲であり、量はそれぞれ工程Iによる混合物の全質量に関する。
【0082】
細孔形成剤(任意成分、工程I)
Iによる、結合剤、微孔質材料、特にゼオライト材料、ペースト形成剤および溶剤からなる混合物は更に処理するためにおよび可塑性材料を形成するために、少なくとも1種の他の化合物を添加できる。ここで特に有利に細孔形成剤を記載すべきである。
【0083】
細孔形成剤として本発明の方法において、製造した成形体に関して所定の細孔直径および所定の細孔直径分布および/または所定の細孔体積を提供する、すべての化合物を使用できる。
【0084】
有利に細孔形成剤として本発明の方法において水または水性溶剤混合物に分散可能、懸濁可能および/または乳化可能であるポリマーを使用する。この場合に有利なポリマーはポリマービニル化合物、例えばポリアルキレンオキシド、例えばポリエチレンオキシド、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリアミドおよびポリエステル、炭水化物、例えばセルロースまたはセルロース誘導体、例えばメチルセルロース、または糖または天然繊維である。他の適当な細孔形成剤はパルプまたは黒鉛である。
【0085】
工程Vにおいて以下に記載するように、焼成により除去できる、有機酸性化合物も有利である。ここでカルボン酸、特にC〜C−カルボン酸、例えば蟻酸、シュウ酸および/またはクエン酸を記載すべきである。同様に2個以上のこれらの酸性化合物を使用することが可能である。
【0086】
工程Iにより混合物を製造する際に細孔形成剤を使用する場合は、(I)による混合物中の細孔形成剤の含量は有利に0.5〜80質量%、有利に1〜50質量%、特に1〜30質量%の範囲であり、量はそれぞれ(I)による混合物中の微孔質材料、特にゼオライト材料の量に関する。
【0087】
これが達成すべき細孔直径分布に好ましい場合は、2種以上の細孔形成剤からなる混合物を使用することができる。
【0088】
細孔形成剤は本発明の方法の特に有利な構成において、以下に記載するように、工程Vにおいて焼成により微孔質成形体を得て少なくとも90質量%に除去する。その際、本発明の方法の有利な構成により、DIN66134により測定して、少なくとも0.4ml/g、有利に0.4〜1.0ml/kgの範囲、特に0.4ml/gより大きく0.8ml/gまでの範囲の細孔体積を有する成形体が得られる。
【0089】
DIN66131により測定した、本発明の成形体の比表面積は有利に少なくとも300m/g、特に少なくとも350m/gである。
【0090】
例えば比表面積は300〜500m/gおよび有利に350〜500m/gの範囲である。
【0091】
混合および圧縮(工程II)
(I)による混合物を製造するための成分の添加順序は重要でない。
【0092】
(I)による混合物の製造後に混合物を、例えば10〜180分の時間均質化する。特に有利に均質化するために特に混合機、粉砕機または押出し器を使用する。比較的小規模で混合物を有利に混合する。工業的な大規模では均質化するために有利に粉砕する。
【0093】
均質化の際に有利に約10℃から溶剤の沸点までの範囲の温度および常圧またはわずかに過圧で運転する。その後場合により少なくとも1種の前記化合物を添加することができる。こうして得られた混合物を押出し可能な材料が得られるまで均一化し、有利に混合する。
【0094】
均一化された混合物を以下の工程で成形する。
【0095】
成形体を得る圧縮された混合物の成形(工程III)
この工程を実施するために、例えば有利に1〜10mm、特に2〜5mmの直径を有するストランドを生じる通常の押出し器中の押出しにより成形を行う方法が有利である。この種の押出し装置は例えばUllmanns Enzyklopaedir der Technischen Chemie、第4版、2巻、295頁以降に記載されている。
【0096】
押出し器の使用のほかに、同様に、有利に、成形のために押出し成形を使用する。
【0097】
しかし原則的に成形のためにすべての知られたおよび/または適当な混合および成形装置もしくは方法を使用できる。この場合に特に以下のものが挙げられる。
(i)ブリケット化、すなわち付加的な結合剤を添加したまたは添加しない機械的圧縮、
(ii)ペレット化、すなわち円形および/または回転運動による圧縮、
(iii)焼結、すなわち成形すべき材料を熱処理する。
【0098】
例えば以下の群からの成形を選択することができ、その際これらの方法の少なくとも2個の組み合わせが例として含まれる。形押し、ローラープレス、リングローラープレスによるブリケット化、結合剤のないブリケット化、ペレット化、溶融、紡糸技術、堆積、発泡、噴霧乾燥、高炉、対流炉、移床ストーカー、回転管状炉中の燃焼、粉砕。
【0099】
圧縮は周囲圧力または周囲圧力に対して高い圧力で、例えば1バールから数百バールまでの圧力範囲で行うことができる、更に圧縮を、周囲温度または周囲温度に対して高い温度で、例えば20〜300℃の温度範囲で行うことができる。乾燥および/または燃焼が成形工程の要素である場合は、1500℃までの温度が考えられる。最後に圧縮は周囲圧力または調節された雰囲気で行うことができる。調節された雰囲気は例えば保護ガス雰囲気、還元および/または酸化雰囲気である。
【0100】
本発明により製造される成形体の形は任意に選択することができる。その中でも特に球、卵形、円筒またはタブレットが可能である。
【0101】
本発明の範囲で特に有利に工程IIにより得られた混合物の押出しにより成形を実施し、その際押出し品として更に有利に0.5〜20mm、有利に1〜10mmの直径を有する実質的に円筒形のストランドが得られる。
【0102】
押出し品の場合に長さ:直径比は特に少なくとも2、有利に2〜20の範囲、特に有利に4〜10の範囲である。
【0103】
成形体の乾燥(工程IV)
工程(III)に続いて本発明の範囲で有利に少なくとも1つの乾燥工程を行う。その際この少なくとも1つの乾燥工程は有利に80〜160℃、特に90〜145℃、特に有利に100〜130℃の温度で実施し、その際乾燥時間は有利に6時間以上、例えば6〜24時間の範囲である。しかし乾燥すべき材料の水分含量に依存してこれより短い乾燥時間、例えば約1,2,3,4または5時間が可能である。
【0104】
乾燥工程の前および/または後で有利に得られた押出し品を例えば粉砕することができる。その際有利に0.1〜5mm、特に0.5〜2mmの範囲の粒度を有する顆粒または砕片が得られる。
【0105】
成形体の焼成(工程V)
工程(IV)に続いて少なくとも1つの焼成工程を行う。焼成は有利に350〜750度、特に450〜600℃の範囲の温度で実施する。
【0106】
焼成はすべての適当なガス雰囲気下で行うことができ、その際空気および/または乏しい空気が有利である。
【0107】
(V)による焼成は水素、窒素、ヘリウム、アルゴンおよび/または蒸気またはこれらの混合物の存在で行うことができる。
【0108】
更に焼成は有利にマッフル炉、回転管状炉および/またはコンベヤ焼成炉中で行い、その際焼成時間は有利に1時間以上、例えば1〜24時間または3〜12時間の範囲である。従って本発明の方法の範囲内で、例えば成形体を1回、2回または数回、それぞれ少なくとも1時間、例えば3〜12時間の範囲で焼成することができ、その際焼成工程中の温度は同じであるかまたは連続的または不連続的に変動することができる。2回または数回焼成する場合は、焼成温度は個々の工程で異なっていても、または同じであってもよい。
【0109】
焼成工程の後に、焼成した材料を例えば粉砕できる。その際有利に0.1〜5mm、特に0.5〜2mmの範囲の粒度を有する顆粒または砕片が得られる。
【0110】
本発明により得られる成形体は、有利に2〜150N、特に5〜100Nの範囲、特に有利に少なくとも10N、例えば10〜75Nの範囲である硬度を有する。
【0111】
前記硬度は、本発明の範囲で、Zwick社、タイプBZ2.5/TS1Sの装置で0.5Nの開始負荷、10mm/分の予備的前進速度および1.6mm/分の引き続く試験速度で測定した。装置は位置が固定した回転皿および自由に移動するピストンを有し、ピストンは厚さ0.3mmの刃が取り付けられていた。刃を有する移動するピストンは力を記録するロードセルと結合され、測定中に固定した回転皿に向かって移動し、回転皿の上に検査すべき触媒成形体が存在した。試験装置は測定結果を記録し、評価するコンピューターにより制御された。達成された値はそれぞれ10個の触媒成形体に関する測定からの平均値である。触媒成形体は円筒の形状を有し、その平均長さは直径のほぼ二倍から三倍に相当し、その際成形体が分離するまでの間、厚さ0.3mmの刃により増加する力を負荷した。その際刃は成形体の縦軸に垂直に、成形体上に取り付けられた。このために必要な力が切断硬度(単位N)である。
【0112】
焼成(工程V)の後に、成形低体を場合により濃縮したまたは希釈したブレンステッド酸または2種以上のブレンステッド酸の混合物で処理することができる。適当な酸は例えば塩酸、硫酸、燐酸、硝酸、またはカルボン酸、ジカルボン酸またはオリゴカルボン酸またはポリカルボン酸、例えばニトリロトリ酢酸、スルホサリチル酸、またはエチレンジアミノテトラ酢酸である。
【0113】
この処理は場合により水相、液相中で、10〜120℃の範囲の有利な温度および0.5〜12時間の範囲の有利な時間で行う。
【0114】
有利に少なくとも1つのブレンステッド酸でのこの少なくとも1個の処理に続いて少なくとも1つの乾燥工程および/または少なくとも1つの焼成工程を行い、これらはそれぞれ前記の条件下で行う。
【0115】
本発明による方法の有利な構成により、硬度を改良するために、触媒ストランドを水蒸気で処理することができ、その後に有利に再び少なくとも1回乾燥しおよび/または少なくとも1回焼成する。例えば少なくとも1つの乾燥工程および少なくとも1つの焼成工程の後に焼成した成形体を水蒸気で処理し、引き続き再び少なくとも1回乾燥しおよび/または少なくとも1回焼成する。
【0116】
触媒成形体の使用
本発明による成形体は、成形体および特に成形体に含まれる微孔質材料、特にゼオライト材料の特性が所望される、一般にすべての当業者に知られた方法または作業工程に使用することができる。
【0117】
特に有利に本発明の成形体を触媒として化学反応に使用する。
【0118】
本発明の成形体は、例えばシクロヘキサノンオキシムからε−カプロラクタムの製造およびエチレンオキシドおよびアンモニアからエタノールアミンの製造に使用できる。
【0119】
特に有利にトリエチレンジアミン(TEDA)の選択的合成に触媒として成形体を使用する。
【0120】
本発明は、少なくとも1個の構造単位(I):
【化1】

(式中、R、R、RおよびRは互いに独立に水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、Xは酸素原子または窒素原子を表す)を有するエダクトの反応によりトリエチレンジアミンまたはそのアルキル置換された誘導体を選択的に製造する方法に関する。
【0121】
これらの化合物の例は、特にエチレンジアミン(EDA)、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピペラジン(PIP)、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリ(2−アミノエチル)アミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、モルホリン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N,N´―ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、およびN,N´−ビス(2−アミノエチル)ピペラジンである。
【0122】
エダクトの選択により生成物混合物の組成は決定的に影響され、その際特に副生成物の形成の回避が出発生成物の使用可能性と並んで処理中に達成すべきTEDAの特性に関して重要な要素である。多くの場合にTEDA選択性の向上のために、使用されるエダクトの部分反応のみが開始するように合成を実施する。好ましくない副生成物の達成可能な少ない量により減少した収率の欠点を甘受する。
【0123】
本発明の範囲で例えば有利にエダクトとしてピペラジン(PIP)を使用することによりTEDAを製造することが可能である。同様にエダクトとしてエチレンジアミン(EDA)を使用することが可能である。エダクトとしてEDAおよびPIPの混合物を使用することも可能である。
【0124】
有利に、触媒として本発明による成形体に接触した
(A)ピペラジンx質量%および
(B)エチレンジアミンy質量%
(式中、x+yは100であり、0≦x≦100および0≦y≦100である)を含有するエダクトの反応によりトリエチレンジアミンの選択的製造を行う。
【0125】
本発明の方法は不連続的に行うことができるが、有利には連続的に行う。
【0126】
本発明の反応は液相中で実施できるが、有利には気相中で実施する。
【0127】
反応は有利に少なくとも1種の溶剤または希釈剤の存在で行う。
【0128】
溶剤または希釈剤として、例えば2〜12個の炭素原子を有する非環状または環状エーテル、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、またはその異性体、MTBE、THF、ピラン、またはラクトン、例えばγ−ブチロラクトン、ポリエーテル、例えばモノグリム、ジグリム等、芳香族または脂肪族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、および石油エーテル、またはその混合物、特にN−メチルピロリドン(NMP)または水または前記形式の水性有機溶剤または希釈剤が適している。更に溶剤または希釈剤としてアンモニアが適している。
【0129】
特に有利に溶剤または希釈剤、特に溶剤として水を使用する。
【0130】
気相中の反応を実施する際の希釈剤として、不活性ガス、例えば窒素(例えば反応器流入物の飽和による)またはアルゴンが適している。有利に気相中の反応はアンモニアの存在で行う。
【0131】
エダクト成分または反応器供給物は予め熱処理する。
【0132】
本発明の方法を実施する反応器として、攪拌容器、特に管状反応器および管束反応器が適している。
【0133】
本発明によるゼオライト成形体は反応器に有利に固定床として配置される。
【0134】
液相中の反応は、例えば懸濁法、流動法または排水法で行うことができる。
【0135】
気相中の有利な反応は触媒流動床または有利に触媒固定床中で行うことができる。
【0136】
エダクトとしてピペラジン(PIP)を単独で使用する場合は、反応温度が300〜450℃、有利に315〜400℃の範囲である方法の実施が有利である、その際反応を行う圧力は、触媒床を通過する際に生じる圧力の損失を含めて、0.01〜50バール、有利に0.5〜20バールの範囲、特に有利に気圧の範囲である。
【0137】
ピペラジンは特に有利に水との混合物で使用し、その際更に有利に、ピペラジンおよび水を含有するエダクト流の全質量に対して、水少なくとも5質量%、有利に水少なくとも10〜70質量%、特に水20〜70質量%を含有するエダクト流を使用する。
【0138】
ピペラジンを唯一のエダクトとして使用する場合は、WHSV(質量時間空間速度)は0.01〜5g(PIP)/g(Kat)・h−1、有利に0.02〜1g(PIP)/g(Kat)・h−1、特に0.05〜0.8g(PIP)/g(Kat)・h−1の範囲が有利である。
【0139】
エダクトとしてEDAを単独で使用する場合は、反応温度が300〜400℃、特に315〜375℃の範囲である方法の実施が有利である。その際反応を実施する絶対圧力は、触媒床を通過する際に生じる圧力の損失を含めて、0.01〜50バール、有利に0.5〜20バールの範囲、特に有利に気圧の範囲である。
【0140】
EDAは特に有利に水との混合物で使用し、その際更に有利に、EDAおよび水を含有するエダクト流の全質量に対して、水少なくとも5質量%、有利に水10〜70質量%、特に水20〜70質量%を含有するエダクト流を使用する。
【0141】
EDAを唯一のエダクトとして使用する場合は、WHSV(質量時間空間速度)は0.01〜5g(EDA)/g(Kat)・h−1、有利に0.02〜1g(EDA)/g(Kat)・h−1、特に0.05〜0.8g(EDA)/g(Kat)・h−1の範囲が有利である。
【0142】
エダクトとしてPIPとEDAの混合物を使用する場合は、連続的運転の場合に定常状態で水10〜50質量%およびエダクト(PIPおよびEDAの2つの化合物の質量%割合の合計)90〜50質量%、有利に水30〜50質量%およびエダクト70〜50質量%、特に水40〜50質量%およびエダクト60〜50質量%が供給されるように、有利に反応を実施し、その際PIPまたはEDAの割合は場合によりEDAまたはPIPの利益または負担のために低下してもよく、増加してもよい。
【0143】
EDA35〜60質量%、例えば約40質量%を添加する前記構成の範囲で、反応を、定常状態で、EDAをほぼ完全にTEDAおよびPIPに反応させ、その際PIPを生成物流から、場合により付加的に存在する中間生成物および/または副生成物と一緒に有利に蒸留により除去し、場合によりこの中間生成物および/または副生成物の少なくとも1種を分離後に、ほぼ同じ量のEDAを添加し、EDAおよびPIPを含有する、得られた混合物を更に反応に供給するように実施する。
【0144】
この変法は有利に、PIPの消費が合計で0になり、連続的運転の間に付加的なPIPがほとんど添加されないように実施する。
【0145】
この方法の実施の場合に、意想外にも、排出されるEDAの量が0になることが示された。従って反応器排出物の分離は特に簡単である。
【0146】
前記方法の特別な利点はTEDAおよびPIPを含有する中間フラクションを再び反応に供給できることにある。
【0147】
エダクトとしてEDAおよびPIPの混合物を使用する場合は、反応温度が300〜450℃、有利に310〜370℃、特に有利に310〜350℃の範囲である方法の実施が有利である。その際反応を行う絶対圧力は、触媒床を通過する際に生じる圧力の損失を含めて、0.1〜10バール、特に0.8〜2バール、特に気圧の範囲である。
【0148】
エダクトとしてEDAおよびPIPの混合物を使用する場合は、WHSV(質量時間空間速度)は0.05〜6g(エダクト)/g(Kat)・h−1、有利に0.2〜2g(エダクト)/g(Kat)・h−1、特に0.3〜1g(エダクト)/g(Kat)h・−1の範囲が有利である。
【0149】
本発明の触媒成形体の使用は、触媒のきわめて高い持続時間が達成されることにより特に優れている。この時間は有利に1000時間より長い範囲、特に少なくとも1200時間、更に有利に少なくとも1400時間、更に有利に少なくとも1600時間、更に有利に少なくとも1800時間、特に少なくとも2000時間である。反応パラメーターが一定の場合は前記持続時間の間に反応変換率の劣化は認められない。
【0150】
本発明の方法の他の構成において、触媒を使用後にその形に関係なく、例えば活性および/または選択性が低下した後に、失活に関係する層を意図的に燃焼することにより再生を行う方法により再生される。その際有利に正確に決められた量の酸素を供給する物質を含有する、不活性ガス雰囲気中で運転する、この再生法は特にWOA98/55228号およびドイツ特許(DE−A1)第19723949号に記載され、これに関する開示内容は引用により完全に本発明の対象に含まれる。
【0151】
再生後に触媒の活性および/または選択性は再生の直前の状態と比較して高まる。
【0152】
再生すべき、本発明により使用されるゼオライト触媒は、反応装置(反応器)または外部炉中で酸素供給物質約20容量部、特に酸素0.1〜20容量部を含有する雰囲気中で、250〜800℃、有利に400〜550℃、特に425から500℃の範囲の温度に加熱する。その際加熱を有利に0.1℃/分〜20℃/分、有利に0.3℃/分〜15℃/分、特に0.5℃/分〜10℃/分の加熱速度で行う。
【0153】
この加熱段階の間に触媒を存在する多くの有機層が分解を開始する温度まで過熱し、同時に酸素含量により温度を調節し、従って触媒構造の損傷が生じないように高めない。相当する酸素含量および相当する熱効率の調節による温度の緩慢な上昇もしくは低い温度での滞在は再生すべき触媒の有機層が高い場合に触媒の局部的過熱を避ける重要な工程である。
【0154】
ガス流中の酸素供給物質の量が増加するにもかかわらず反応器出口での排ガス流の温度が低下するおよび/または反応器排出物中の酸素濃度が開始値に上昇する場合は、有機層の燃焼を終了する。処理時間は有利にそれぞれ1〜30時間、有利に約2〜約20時間、特に約3〜約10時間である。
【0155】
こうして再生した触媒の引き続く冷却は有利に冷却が速く行われないように実施し、そうでなければ触媒の機械的強度が不利な影響を受けるからである。
【0156】
触媒を、前記のように焼成により再生を実施後に、水および/または希釈した酸、例えば塩酸で洗浄し、エダクトの不純物により場合により残留する触媒の無機層 (微量のアルカリ等) を除去することが必要である。
【0157】
本発明の方法の他の構成において、少なくとも部分的に失活した触媒を再生工程による加熱の前に反応器または外部反応器中で、溶剤で洗浄し、なお付着する価値生成物を除去する。その際それぞれ触媒に付着する価値生成物を触媒から除去できるが、大部分の有機層が同様に除去されるほど高く温度および圧力を選択しないように洗浄を実施する。その際有利に触媒を適当な溶剤のみで洗浄する、従ってこの洗浄工程に、それぞれの反応生成物が良好に溶解するすべての溶剤が適している。利用される溶剤の量および洗浄工程の時間は重要でない。洗浄工程は数回繰り返すことができ、高温で実施できる。溶剤としてCOを使用する場合は、超臨界圧が有利であり、その他の場合は洗浄工程を常圧もしくは高圧または超臨界圧で行うことができる。洗浄工程の終了後、触媒を一般に乾燥する。乾燥工程が一般に重要でないにもかかわらず、細孔、特にミクロポアーでの溶剤の急激な蒸発を避けるために、乾燥温度は洗浄に使用される溶剤の沸点を著しく上回るべきでなく、更に触媒の損傷を生じるからである。
【0158】
前記製造方法の有利な構成は、方法の供給量を高めるために、本発明によるTEDAを合成する連続的方法を本発明による触媒の再生の際に中断してはならない。これは交互に運転できる少なくとも2つの並行に接続された反応器の使用により達成できる。
【0159】
触媒の再生は、少なくとも1個の並行に接続された反応器をそれぞれの反応工程から離してこの反応器に含まれる触媒を再生するようにして行うことができ、その際連続的方法の進行中にすべての工程で、常に少なくとも1つの反応器をエダクトの反応に使用する。
【0160】
本発明により得られたTEDAは純度を改良するために適当な溶剤、例えばペンタンまたはヘキサンから再結晶できる。しかしこれは多くの場合に必要でなく、それは本発明の方法によりTEDAは少なくとも95質量%、有利に少なくとも96質量%、特に少なくとも97質量%の純度で製造できるからである。
【0161】
特別な構成において、請求項によるTEDAの製造方法をEP−A107717号(BASF社)による引き続くTEDA法と組み合わせる。
【0162】
この組み合わせにより、まずTEDAを請求項により製造する。多工程であってもよい、引き続くTEDAの処理(例えば蒸留)の際に、TEDAを有利に最後の処理工程(特に蒸留もしくは精留工程)で蒸発させ、有利に95質量%より多い、特に97質量%より多い純度を有する、例えば蒸留塔の頭部または側面排出口で得られた蒸気状TEDAを液体溶剤に導入する。この蒸気状TEDAの液体溶剤への直接の導入は以下にTEDAクエンチと呼ぶ。
【0163】
液体溶剤への蒸気状TEDAの導入はクエンチ装置、例えば有利に降下薄膜凝縮器(薄層凝縮器、細流薄膜凝縮器または降下流凝縮器)またノズル装置中で行う。その際蒸気状TEDAを順流または逆流で液体溶剤と一緒に導入できる。前記クエンチ装置への上からの蒸気状TEDAの導入が有利である。クエンチ装置の内壁の完全な湿潤を達成するために、降下薄膜凝縮器の頭部での液体溶剤の接線での供給または1個以上のノズルを通過する液体溶剤の供給が更に有利である。
【0164】
有利にTEDAクエンチ中の温度を使用される溶剤および/またはクエンチ装置の温度調節により20〜100℃、特に30〜60℃に調節する。TEDAクエンチ中の絶対圧力は有利に0.5〜1.5バールである。
【0165】
有利に溶剤の種類に応じてTEDAクエンチの際にまず約1〜50質量%、有利に20〜40質量%のTEDA含量を有する溶液が得られるように処理する。
【0166】
引き続くこうして得られた溶液からのTEDAの結晶化により高い品質を有する純粋のTEDAが得られる。
【0167】
液体溶剤は有利に環状または非環状炭化水素、塩素化脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、ケトン、脂肪族カルボン酸エステル、脂肪族ニトリル、およびエーテルの群から選択される。
【0168】
例えばポリウレタンフォームの製造に触媒溶液として使用できる、前記の方法の組み合わせにより純粋TEDAの溶液を製造するために、TEDAクエンチの溶剤として有利にアルコール、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、有利にジプロピレングリコールを使用する。ジプロピレングリコール中のこうして得られた33質量%TEDA溶液の色価は150APHAより少なく、特に100APHAより少なく、特に50APHAより少ない。
【0169】
こうして得られた溶液は色価に関して一般に6ヶ月以上、有利に12ヶ月以上、特に24ヶ月以上保存安定である。
【0170】
前記の方法の組み合わせにより純粋(結晶質)TEDAを製造するために、TEDAクエンチの溶剤として有利に脂肪族炭化水素、特に5〜8個の炭素原子を有する飽和脂肪族炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタン、有利にペンタンを使用する。本発明により製造されるTEDA溶液からの純粋TEDAの結晶化は当業者に知られた方法により行うことができる。引き続く多工程、または有利に1工程の結晶化により得られるTEDA結晶はきわめて純粋であり(一般に99.5質量%以上の純度、特に99.8質量%以上の純度、PIP含量0.1質量%未満、特に0.05質量%未満、N−エチルピペラジン含量0.02質量%未満、特に0.01質量%未満)、ジプロピレングリコール中の33質量%溶液の色価は50APHA未満、特に30APHA未満である。
【0171】
すべてのAPHA価はDINISO6271により決定する。
【0172】
実施例
球状ゼオライト一次粒子および直径0.2μm未満を有するH−ZSM−5を、先願のドイツ特許出願第10356184.6号、2002年12月3日(BASF社)に記載されるように製造した。
【0173】
BET表面積(m/g)および細孔体積(ml/g)をDIN66131もしくはDIN66134の規格により決定した。
【0174】
GC分析
カラムRX−5、30m、温度プログラム、80℃〜5℃/分、−280℃、検出器FID、内部規格、N−メチルピロリドン(NMP)。
【0175】
切断硬度の測定は先願のドイツ特許出願10326137.0号、2006年6月3日(BASF社)に記載されるように行った。
【0176】
切断硬度はZwick社の装置、タイプBZ2.5/TS1S、開始負荷0.5N,予備的前進速度10mm/分、試験速度1.6mm/分、で測定し、それぞれ10個の測定した触媒ストランドの平均値である。
【0177】
切断硬度は詳しくは以下のように測定する(明細書の前記箇所を参照)。
【0178】
押出し品を厚さ0.3mmの刃により押出し品が分離するまで、力を増加して負荷した。このために必要な力が切断硬度(N)である。固定した回転皿および厚さ0.3mmの刃が取り付けられた自由に移動する垂直なピストンを有するZwick社、ウルムの試験装置で測定した。刃を有する移動するピストンは力を記録するロードセルと接続され、測定中に、測定すべき押出し品が存在する固定した回転皿に向かって移動した。試験装置は、測定結果を記録し、評価するコンピューターにより制御された。良好に混合した触媒試料から、平均長さが直径の2〜3倍の10個のできるだけ亀裂のない押出し品を取り出し、切断硬度を測定し、引き続き平均をとった。
【0179】
U=使用されるエチレンジアミン(EDA)およびピペラジン(PIP)の量に対する質量%での変換率、S=EDAおよびPIPに由来する反応した−CHCH−単位に対するトリエチレンジアミン(TEDA)の反応の選択率。
【0180】
例1;触媒A1の製造
H−ZSM−5(モジュラス1000、粒度2〜3μm)120gを、室温でLudox(登録商標)AS40(コロイダルシリカ、アンモニア水中39.5質量%溶液)75g、メチルセルロース6gおよび水44mlと一緒に機械的混合機中で圧縮した。その後このペーストを押出し器に導入し、2mmのストランドにプレスした、このストランドを乾燥棚中で、120℃で16時間乾燥し、引き続きマッフル炉中で、500℃で5時間、空気酸素を供給しながら焼成した。
【0181】
触媒成形体の切断硬度は4Nであり、BET表面積は337m/gであり、細孔体積は0.27ml/gであった。
【0182】
例2:触媒A2の製造
H−ZSM−5(モジュラス1000、粒度2〜3μm)130gを、室温でSilres(登録商標)MSE100(メチルシリコーン、トルエン中70質量%溶液)46g、メチルセルロース6gおよび水55mlと一緒に機械的混合機中で圧縮した。ペーストを押出し器に導入し、2mmのストランドにプレスした、その後このストランドを乾燥棚中で、120℃で16時間乾燥し、引き続きマッフル炉中で、500℃で5時間、空気酸素を供給しながら焼成した。
【0183】
触媒成形体の切断硬度は21Nであり、BET表面積は338m/gであり、細孔体積は0.23ml/gであった。
【0184】
例3:触媒B1の製造
H−ZSM−5(モジュラス1000、粒度0.1〜0.2μm)133gを、室温でLudox(登録商標)AS40(コロイダルシリカ、アンモニア水中39.5質量%溶液)83g、メチルセルロース8gおよび水110mlと一緒に機械的混合機中で圧縮した。その後ペーストを押出し器に導入し、2mmのストランドにプレスした、このストランドを乾燥棚中で、120℃で16時間乾燥し、引き続きマッフル炉中で、500℃で5時間、空気酸素を供給しながら焼成した。
【0185】
触媒成形体の切断硬度は3Nであり、BET表面積は353m/gであり、細孔体積は0.62ml/gであった。
【0186】
例4;触媒B2の製造
H−ZSM−5(モジュラス1000、粒度0.1〜0.2μm)128gを、室温でSilres(登録商標)MSE100(メチルシリコーン、トルエン中70質量%溶液)46g、メチルセルロース6gおよび水120mlと一緒に機械的混合機中で圧縮した。ペーストを押出し器に導入し、2mmのストランドにプレスした、その後このストランドを乾燥棚中で、120℃で16時間乾燥し、引き続きマッフル炉中で、500℃で5時間、空気酸素を供給しながら焼成した。
【0187】
触媒成形体の切断硬度は20Nであり、BET表面積は445m/gであり、細孔体積は0.60ml/gであった。
【0188】
試験例1:触媒A1を用いるTEDAの合成
トリエチレンジアミン(TEDA)の触媒作用による製造のために、油加熱した二重壁被覆管(長さ100cm、直径6mm)に触媒A1(2mmストランド)を充填し、引き続き不活性雰囲気下で350℃に加熱した。その後触媒を、無圧条件下で、エチレンジアミン(EDA)、ピペラジン(PIP)および水の25:25:50の質量比の混合物および1.0g(供給物)/g(Kat)・h(=0.5g(エダクト)/g(Kat)・h)のWHSV(質量空間時間速度)で負荷した。95時間の運転時間後に反応排出物を、冷却した収集容器中で15分の時間にわたり収集し、ガスクロマトグラフィーにより生成物の定量的および定性的組成を測定した。
EDAの変換率は98%であり、TEDAの選択率は90%であった(表1参照)。
【0189】
試験例2:触媒A2を用いるTEDAの合成
触媒A2を用いて、試験例1と同様に実施した。
EDAの変換率は95%であり、TEDAの選択率は88%であった(表1参照)。
【0190】
試験例3:触媒B1を用いるTEDAの合成
触媒B1を用いて、試験例1と同様に実施した。
EDAの変換率は97%であり、TEDAの選択率は93%であった(表1参照)。
【0191】
試験例4:触媒B2を用いるTEDAの合成
触媒B2を用いて、試験例1と同様に実施した。
EDAの変換率は97%であり、TEDAの選択率は95%であった(表1参照)。
【0192】
表1:TEDAの製造
【表1】

U=変換率、S=選択率、反応混合物の組成はそれぞれ95時間後である。
【0193】
SiO結合剤としてメチルシリコーンの使用により、SiO2結合剤としてコロイダルシリカの使用に比べて触媒成形体の機械的安定性が明らかに改良する(A1およびA2もしくはB1およびB2の比較)。0.2μm以下のZSM−5粉末の粒度の組み合わせによりメチルシリコーンを用いるゼオライト粉末の成形がより高い機械的安定性および活性が同じで良好なTEDA選択率を生じる(B1およびB2の比較)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程
(I)微孔質材料、結合剤、ペースト剤および溶剤を含有する混合物を製造する
(II)混合物を混合し、圧縮する
(III)圧縮した混合物を成形して成形体を得る
(IV)成形体を乾燥する、および
(V)乾燥した成形体を焼成する
からなる、微孔質材料および少なくとも1種の珪素含有結合剤を含有する成形体を製造する方法において、結合剤として有機珪素化合物を使用することを特徴とする、成形体の製造方法。
【請求項2】
結合剤としてシリコーンを使用する請求項1記載の方法。
【請求項3】
結合剤としてメチルシリコーンを使用する請求項1記載の方法。
【請求項4】
結合剤として、式[−SiO(OR)(R´)−]の環状シリコーンまたは式RO−[SiO(OR)(R´)−]Rの直鎖状シリコーンまたはこれらのシリコーンの混合物を使用し、式中、RおよびR´はC〜C−アルキル基であり、xは2〜50の範囲の数である請求項1記載の方法。
【請求項5】
(V)による成形体の焼成により有機珪素化合物の少なくとも80%が高分散SiO2に変換し、成形体中のこうして形成された高分散SiOの質量割合が5〜50質量%の範囲である請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
成形体中の形成された高分散SiOの質量割合が10〜40質量%の範囲である請求項5記載の方法。
【請求項7】
(V)による焼成を空気、水素、窒素、ヘリウム、アルゴンおよび/または蒸気またはこれらの混合物の存在で行う請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
(I)による微孔質材料が結晶質シリカライト、結晶質アルモシリケート(ゼオライト材料)、結晶質シリコアルモホスフェートおよび/または結晶質アルモホスフェートである請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
結晶質アルモシリケートがペンタシルタイプのゼオライトである請求項8記載の方法。
【請求項10】
ゼオライトが構造タイプMFI、MELまたはその混合構造を有する請求項9記載の方法。
【請求項11】
結晶質アルモシリケート中のAlに対するSiのモル比が10より大きい請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
結晶質アルモシリケート中のAlに対するSiのモル比が100〜5000の範囲である請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
結晶質アルモシリケート中のAlに対するSiのモル比が250〜750の範囲である請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
結晶質アルモシリケート中のアルカリ金属およびアルカリ土類金属含量が合わせて最高150質量ppmである請求項8から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
ゼオライト材料の一次粒子の少なくとも90質量%が球状であり、球状一次粒子の少なくとも95質量%が1μm以下の直径を有する請求項8から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
球状一次粒子の直径が50〜250nmの範囲である請求項15記載の方法。
【請求項17】
ゼオライト材料が少なくとも350m/gの比表面積(DIN66131による(BET))を有し、少なくとも0.6ml/gの細孔体積(DIN66134による(ラングミュアー))を有する細孔を有する請求項8から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
(I)による溶剤が水である請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
(I)によるペースト剤がセルロース、セルロース誘導体および/または澱粉である請求項1から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
(I)による混合物が付加的に少なくとも1種の細孔形成剤を有する請求項1から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
細孔形成剤がポリアルキレンオキシド、ポリアクリレート、パルプおよび/または黒鉛である請求項20記載の方法。
【請求項22】
(III)による成形を押出しにより行う請求項1から21までのいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
押出し品の直径が0.5〜20mmの範囲である請求項22記載の方法。
【請求項24】
(V)による焼成を350〜750℃の範囲の温度でおよび1〜24時間の範囲の時間行う請求項1から23までのいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
請求項1から24までのいずれか1項記載の方法により製造される成形体。
【請求項26】
少なくとも10Nの切断硬度を有する請求項25記載の成形体。
【請求項27】
少なくとも300m/gの比表面積(DIN66131による(BET))を有し、少なくとも0.4ml/gの細孔体積(DIN66134による(ラングミュアー))を有する細孔を有する請求項25または26記載の成形体。
【請求項28】
請求項1の微孔質材料が少なくとも部分的にH形および/またはNH形で存在する請求項25から27までのいずれか1項記載の成形体。
【請求項29】
触媒としての請求項25から28までのいずれか1項記載の成形体の使用。
【請求項30】
触媒をトリエチレンジアミン(TEDA)の合成に使用する請求項29記載の使用。
【請求項31】
少なくとも1つの、式(I):
【化1】

(式中、R、R、RおよびRは互いに独立に水素原子または1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、Xは酸素原子または窒素原子を表す)による構造単位を有するエダクトの反応によりトリエチレンジアミン(TEDA)またはそのアルキル置換された誘導体を製造する方法において、反応を触媒として請求項25から28までのいずれか1項記載の成形体に接触して実施することを特徴とするトリエチレンジアミン(TEDA)またはそのアルキル置換された誘導体を製造する方法。
【請求項32】
反応を連続的におよび気相で行う請求項31記載の方法。
【請求項33】
エダクトとして、エチレンジアミン(EDA)および/またはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピペラジン(PIP)、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリ(2−アミノエチル)アミン、モルホリン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、N,N´−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、N,N´―ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、およびN−(2−アミノエチル)−N´−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの群からの1種以上のアミン化合物を反応させる請求項31または32記載の方法。
【請求項34】
エダクトとして、EDAおよびPIPをピペラジン(PIP)x:エチレンジアミン(EDA)yの質量比で反応させ、その際x+yは100であり、0≦x100および0≦y≦100である請求項31から33までのいずれか1項記載の方法。
【請求項35】
エダクトを少なくとも1種の溶剤または希釈剤中で反応させる請求項31から34までのいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
溶剤または希釈剤が水および/またはアンモニアである請求項35記載の方法。
【請求項37】
エダクト:溶剤または希釈剤の質量比が95:5〜5:95の範囲である請求項35または36記載の方法。
【請求項38】
反応を300〜450℃の範囲の温度および0.01〜50バールの範囲の絶対圧力で実施する請求項31から37までのいずれか1項記載の方法。
【請求項39】
xが0である請求項34から38までのいずれか1項記載の方法。
【請求項40】
yが0である請求項34から38までのいずれか1項記載の方法。
【請求項41】
xが5〜95の範囲である請求項34から38までのいずれか1項記載の方法。
【請求項42】
WHSV(質量空間時間速度)が0.05〜10.0g(エダクト)/g(触媒)・hの範囲である請求項31から41までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2008−502563(P2008−502563A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515836(P2007−515836)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006242
【国際公開番号】WO2005/123256
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】