微小粒子拡散装置
【課題】居住空間に微小粒子を十分供給できる微小粒子拡散装置を提供する。
【解決手段】室内の居住空間の上方に第1気流を送出する第1吹出口10a〜10cと、第1吹出口10a〜10cの下方に配されて第1気流の下方に第2気流を送出する第2吹出口10dと、微小粒子を発生する微小粒子発生装置17とを備え、前記微小粒子発生装置17で発生した微小粒子を室内に送出するとともに、第1吹出口10a〜10cから送出される微小粒子の濃度を第2吹出口10dから送出される微小粒子の濃度よりも低くした。
【解決手段】室内の居住空間の上方に第1気流を送出する第1吹出口10a〜10cと、第1吹出口10a〜10cの下方に配されて第1気流の下方に第2気流を送出する第2吹出口10dと、微小粒子を発生する微小粒子発生装置17とを備え、前記微小粒子発生装置17で発生した微小粒子を室内に送出するとともに、第1吹出口10a〜10cから送出される微小粒子の濃度を第2吹出口10dから送出される微小粒子の濃度よりも低くした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン等の微小粒子を送出して室内に拡散させる微小粒子拡散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の微小粒子拡散装置は特許文献1に開示されている。この微小粒子拡散装置は前面に吹出口が開口する筐体内に送風ファンが設けられ、送風ファンと吹出口との間が送風経路により連結される。送風経路内には微小粒子であるイオンを発生する微小粒子発生装置が配される。
【0003】
送風ファンにより発生する気流は送風経路を流通し、微小粒子発生装置で発生した微小粒子を含んだ気流が吹出口から送出される。送風経路は左右方向に広がって形成され、吹出口から送出される気流が左右方向に広がって微小粒子が居室内に拡散される。これにより、プラスイオンとマイナスイオンとを居室内に供給して居室内の浮遊菌の殺菌を行うことができる。
【0004】
また、特許文献1には上下に分割された送風経路を有した構成が開示される(図20)。この構成によると、吹出口から上下方向に広がって微小粒子が送出される。これにより、居室内の上部から下部にわたって微小粒子が居室内に拡散される。
【0005】
【特許文献1】特許第3797993号公報(第4頁−第18頁、第1図、第20図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の微小粒子拡散装置によると、居室内の居住空間と居住空間よりも上方とに略等しい濃度の微小粒子が送出されるため、居住空間に十分なイオン等の微小粒子が供給されない場合がある。特に、居室の天井が高いフロア等においてイオン等の微小粒子が人のいない上方まで拡散して居住空間の微小粒子が著しく減少する。このため、居住空間内の微小粒子による殺菌やリラクゼーション等の有効な効果を充分得ることができない問題があった。また、微小粒子発生装置によってイオン以外の芳香剤、消臭剤、殺虫剤、殺菌剤等の微小粒子を発生する場合も同様の問題がある。
【0007】
本発明は、居住空間に微小粒子を十分供給できる微小粒子拡散装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、上方に第1気流を送出する第1吹出口と、第1吹出口の下方に配されて第1気流の下方に第2気流を送出する第2吹出口と、微小粒子を発生する微小粒子発生装置とを備え、前記微小粒子発生装置で発生した微小粒子を送出するとともに、第1吹出口から送出される微小粒子の濃度が第2吹出口から送出される微小粒子の濃度よりも低いことを特徴としている。
【0009】
この構成によると、上方の第1吹出口から上方に第1気流が送出され、下方の第2吹出口から第1気流の下方に第2気流が送出される。第2気流には微小粒子発生装置で発生した微小粒子が含まれて室内の居住空間等に微小粒子が供給される。第1気流は第2気流よりも濃度の低い微小粒子が含まれ、居住空間の上方に送出される。これにより、第1気流がエアカーテンとなって第2気流に含まれる微小粒子の上方への拡散が防止される。これにより、微小粒子発生装置で発生した微小粒子の多くが居住空間に供給され、殺菌やリラクゼーション等の効果が得られる。尚、第1吹出口から微小粒子の濃度が0の第1気流を吹き出す場合も含まれる。
【0010】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、第1吹出口から微小粒子が送出されないことを特徴としている。この構成によると、微小粒子発生装置を配したダクトの端面に第2吹出口が開口し、微小粒子発生装置で発生した微小粒子がダクトを介して第2吹出口から送出される。
【0011】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、第1気流の風速を第2気流の風速よりも速くしたことを特徴としている。この構成によると、居住空間に風速の低い第2気流が送出され、人に風を感じさせずに居住空間に微小粒子が供給される。また、第1気流によって確実にエアカーテンが形成される。
【0012】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、第2気流が第1気流に隣接することを特徴としている。この構成によると、第2気流に含まれる微小粒子が第1気流の下部の気流に引きつられて室内の遠くまで微小粒子が供給される。
【0013】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、第1吹出口を上下に分割し、第1吹出口の上部から吹き出される第1気流の風速を下部から吹き出される第1気流の風速よりも速くしたことを特徴としている。この構成によると、第2気流よりも風速の速い第1気流は上方へ行く程徐々に風速が増加する。これにより、気流の乱れが抑制される。
【0014】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、第2吹出口から第2気流を上下方向に拡大して送出したことを特徴としている。この構成によると、第2吹出口が上下方向に例えばラッパ状に広がり、第2気流の微小粒子が上下に拡散される。
【0015】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、第2吹出口から第2気流を左右方向に拡大して送出したことを特徴としている。この構成によると、第2吹出口が左右方向に例えばラッパ状に広がり、第2気流の微小粒子が左右に拡散される。
【0016】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、第1吹出口から第1気流を左右方向に拡大して送出したことを特徴としている。この構成によると、第1吹出口が左右方向に例えばラッパ状に広がり、第1気流によるエアカーテンを確実に形成する。
【0017】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、第1吹出口の左右の幅が第1吹出口の高さに対して十分大きいことを特徴としている。この構成によると、第1気流によるエアカーテンを確実に形成する。
【0018】
また本発明は、微小粒子を発生する微小粒子発生装置を備え、送風ファンの駆動によって吹出口から微小粒子を送出する微小粒子拡散装置において、前記送風ファンと前記吹出口とを連結する送風経路が前記吹出口を上下に分割する複数の分割通路を有し、上部の前記分割通路を流通する気流の風速が下部の前記分割通路を流通する気流の風速よりも大きいことを特徴としている。
【0019】
この構成によると、送風ファンが駆動されると複数の分割通路を気流が流通して整流され、微小流発生装置で発生した微小粒子を含んで吹出口から送出される。この時、吹出口の上部の気流がエアカーテンとなり、下部の気流に含まれた微小粒子が居室の下部に供給される。
【0020】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、下部の前記分割通路に前記微小粒子発生装置を配したことを特徴としている。この構成によると、吹出口の下部から送出される低速の気流に微小粒子が含まれ、人に風を感じさせずに居住空間に微小粒子が供給される。
【0021】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、前記送風経路は前記送風ファンから上方に延びて前方に屈曲し、前記送風ファン近傍から前記吹出口に延びて前記分割通路を形成したことを特徴としている。
【0022】
この構成によると、送風経路を流通する気流は上方に流通して前方に屈曲し、吹出口から送出される。送風経路を上方に流通する気流は前方に屈曲する際に慣性によって上方に向かい、下壁から離れやすく上壁に沿いやすくなる。これにより、送風経路の上部を流通する気流が下部を流通する気流よりも速度が速くなる。この時、下壁から剥離する気流が多くなると下壁側で逆方向の気流が発生して気流が乱れる。複数の分割通路は送風ファン近傍から設けられ、分割通路によって流路断面の濡れぶち長さ(断面を囲む周の長さ)が大きくなる。これにより、流れに対して慣性よりも粘性の影響が大きくなるため気流が分割通路の壁面に沿いやすくなる。従って、気流の剥離を低減して気流の乱れが抑制される。
【0023】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、前記送風経路は上壁及び下壁が曲面部を有して前記送風ファンから上方に延びて前方に屈曲し、前記上壁の前記曲面部の中央と前記下壁の前記曲面部の中央とを結ぶ位置よりも上流側から前記吹出口に延びて前記分割通路を形成したことを特徴としている。
【0024】
この構成によると、送風経路を流通する気流は上方に流通して曲面部で前方に屈曲し、吹出口から送出される。送風経路を上方に流通する気流は前方に屈曲する際に慣性によって上方に向かい、下壁から離れやすく上壁に沿いやすくなる。これにより、送風経路の上部を流通する気流が下部を流通する気流よりも速度が速くなる。この時、下壁から剥離する気流が多くなると下壁側で逆方向の気流が発生して気流が乱れる。複数の分割通路は上壁の曲面部の中央と下壁の曲面部の中央とを結ぶ位置よりも上流側から設けられ、分割通路の断面の濡れぶち長さが大きくなるため気流が分割通路の壁面に沿いやすくなる。これにより、気流の剥離を低減して気流の乱れが抑制される。
【0025】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、前記送風ファンがクロスフローファンから成り、下部の前記分割通路を上部の前記分割通路よりも前記送風ファンの排気口の内周側に配したことを特徴としている。この構成によると、クロスフローファンから成る送風ファンの排気口の内周側から排気される気流は下部の分割通路に導かれ、外周側から排気される気流は上部の分割通路に導かれる。排気口の内周側は回転翼の回転方向前方を示し、外周側は回転翼の回転方向後方を示す。これにより、上部の分割通路を流通する気流の風速が遠心力によってより速くなる。
【0026】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、前記分割通路が上流側に対して下流側を拡幅して気流を上下方向に広げる上下拡幅部を有し、前記上下拡幅部の気流に垂直な断面を左右方向に延びるスリット状に形成したことを特徴としている。
【0027】
この構成によると、分割通路を流通する気流は上下拡幅部によって上下方向に徐々に広がり、吹出口から上下に広がって送出される。上下拡幅部の断面形状は左右に広がるスリット状に形成され、上下壁が左右方向に長い。このため、送風経路を流通する気流が各分割通路の上下の壁面と接触する面積が大きくなる。これにより、気流が分割通路の上下壁に沿いやすく壁面から剥離させずに上下方向に気流を広げることができる。
【0028】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、前記分割通路が上流側に対して下流側を拡幅して気流を左右方向に広げる左右拡幅部を前記上下拡幅部の下流側に有することを特徴としている。この構成によると、分割通路を流通する気流は上下拡幅部で上下方向に広がって左右拡幅部で左右方向に広がり、吹出口から上下左右に広がって送出される。
【0029】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、前記左右拡幅部は各前記分割通路を左右方向に分割した複数の細通路を有し、各前記細通路が上流側に対して下流側を左右に拡幅されることを特徴としている。この構成によると、分割通路を左右に分割した各細通路によって送風経路を流通する気流は細通路の左右の壁面と接触する面積が大きくなる。これにより、気流が細通路の左右壁に沿いやすく壁面から剥離させずに左右方向に気流を広げることができる。
【0030】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、前記微小粒子発生装置が配される前記分割通路は前記微小粒子発生装置が配される位置またはその上流側で流路を絞る絞り部が設けられることを特徴としている。この構成によると、微小粒子発生装置上または上流側で気流が絞られて整流されるとともに、流速が速くなるため微小粒子発生装置近傍の微小粒子の濃度が低下する。微小粒子を含有した後の気流路は上下拡幅部によって広げられる。
【0031】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、前記微小粒子発生装置で発生する微小粒子が、イオン、芳香剤、消臭剤、殺虫剤、殺菌剤のいずれかを含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、上方に第1気流を送出する第1吹出口から送出される微小粒子の濃度が、第1気流の下方に第2気流を送出する第2吹出口から送出される微小粒子の濃度よりも低いので、第1気流がエアカーテンとなって第2気流に含まれる微小粒子が居住空間の上方に拡散されない。これにより、居住空間に微小粒子を十分供給することができる。特に、居室の天井が高いフロア等において微小粒子の拡散を防止してより大きな効果を奏する。
【0033】
また本発明によると、送風経路が吹出口を上下に分割する複数の分割通路を有し、上部の分割通路を流通する気流の風速が下部の分割通路の風速よりも大きいので、上部の分割通路から居住空間上方に気流を送出することにより、該気流がエアカーテンとなって下部の分割通路から送出される気流の拡散が防止される。これにより、居住空間に送出される微小粒子が居住空間の上方に拡散されず、居住空間に微小粒子を十分供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の微小粒子拡散装置を示す外観斜視図である。微小粒子拡散装置1は本体筐体2の左右端に脚部2aが設けられ、居室内の床面に設置される。本体筐体2の前面上部には吹出口10が開口する。
【0035】
図2は微小粒子拡散装置1の側面断面図を示している。本体筐体2の底面には居室内の空気を吸い込む吸込口3が設けられる。本体筐体2の下部にはハウジング5aにより覆われる送風ファン5が配される。送風ファン5はクロスフローファンから成り、吸気口5bを介して回転翼(不図示)の周方向からハウジング5a内に吸気し、排気口5cから周方向に排気する。吸込口3と送風ファン5との間にはエアフィルタ4が設けられる。
【0036】
送風ファン5の排気口5cと吹出口10とは送風ファン5による気流が流通する送風経路6により連結される。送風経路6はハウジング5aと一体に形成され、上方に延びて前方に屈曲する。送風経路6内には上下方向に分割された複数の分割通路11、12、13、14が上方から順に設けられる。
【0037】
上部の分割通路11は送風ファン5の排気口5cの外周側に配され、下部の分割通路14は送風ファン5の排気口5cの内周側に配される。排気口5cの内周側は回転翼の回転方向前方を示し、下壁6D(図3参照)側である。排気口5cの外周側は回転翼の回転方向後方を示し、上壁6U(図3参照)側である。排気口5cの外周側の気流の流速が遠心力によって内周側よりも速くなっている。
【0038】
吹出口10は各分割通路11〜14に対応して上下に分割され、開口部10a、10b、10c、10dが形成される。詳細を後述するように、各分割通路11〜14は上流側に上下拡幅部7が設けられ、下流側に左右拡幅部8が設けられる。
【0039】
最下段の分割通路14には微小粒子発生装置17の電極17a、17b(図8参照)が露出して配される。微小粒子発生装置17の電極17a、17bには交流波形またはインパルス波形から成る電圧が印加される。電極17aには正電圧が印加され、電離により発生するイオンが空気中の水分と結合して主としてH+(H2O)mから成る電荷が正のクラスタイオンが形成される。
【0040】
電極17bには負電圧が印加され、電離により発生するイオンが空気中の水分と結合して主としてO2-(H2O)nから成る電荷が負のクラスタイオンが形成される。ここで、m、nは任意の自然数である。H+(H2O)m及びO2-(H2O)nは空気中の浮遊菌や臭い成分及び貯蔵物の付着菌の表面で凝集してこれらを取り囲む。
【0041】
そして、式(1)〜(3)に示すように、衝突により活性種である[・OH](水酸基ラジカル)やH2O2(過酸化水素)を微生物等の表面上で凝集生成して浮遊菌や臭い成分等を破壊する。ここで、m’、n’は任意の自然数である。従って、プラスイオン及びマイナスイオンを発生して吹出口10から吐出することにより室内の殺菌及び臭い除去を行うことができる。
【0042】
H+(H2O)m+O2-(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n)H2O ・・・(1)
H+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ 2・OH+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(2)
H+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ H2O2+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(3)
【0043】
尚、従来からプラスイオンイオンH+(H2O)m及びマイナスイオンO2-(H2O)nを空気中に送出し、イオンの反応によって浮遊細菌等を殺菌することは知られている。これらのイオンは各々が再結合して消滅するため、イオン発生素子の電極近傍で高濃度が実現できても送出される距離が遠くなるに従って急激にその濃度が減少する。
【0044】
このため、実験装置のような小容積の空間ではイオン濃度を数万個/cm3とすることができても、現実の居住空間や作業空間等の大きな空間ではせいぜい2〜3千個/cm3の濃度とするのが限度であった。
【0045】
一方、実験によるとイオン濃度が7000個/cm3の時にトリインフルエンザウイルスが10分間で99%除去でき、50000個/cm3の時に10分間で99.9%除去できる。即ち、空気中に1000個/cm3のウイルスが存在したと仮定すると、イオンによる殺菌によってそれぞれ10個/cm3、1個/cm3が残留する。従って、イオン濃度を7000個/cm3から50000個/cm3に高めることによって、残留するウイルスを1/10にできる。
【0046】
このことから、イオンを送出するだけではなく、人などが生活する居住空間や作業空間全体のイオン濃度を高濃度に維持することが感染症予防や環境浄化において非常に重要となる。
【0047】
図3は送風経路6の概略構成を示す側面断面図である。送風経路6の上壁6U及び下壁6Dは湾曲した曲面部6a、6bをそれぞれ有している。分割通路11〜14を形成する各壁面は上壁6U及び下壁6Dに沿って湾曲し、一端D1が送風ファン5の近傍に設けられる。
【0048】
これにより、分割通路11〜14は送風ファン5の近傍から吹出口10にわたって形成される。曲面部6a、6bの始点A1、A2は分割通路11〜14の始点(D1)の下流側に配される。これにより、曲面部6a、6bの中央を結ぶ線C1は分割通路11〜14の始点(D1)の下流側に配されている。
【0049】
送風経路6を上方に流通する気流は曲面部6a、6bによって前方に曲げられる際に慣性によって上方に向かい、下壁6Dから離れやすく上壁6Uに沿いやすくなる。これにより、送風経路6の上部を流通する気流が下部を流通する気流よりも速度が速くなる。
【0050】
加えて、送風ファン5の排気口5cの外周側から順に分割通路11〜14が配される。このため、分割通路11〜14を流通する気流の速度を上方から順に速くすることができる。
【0051】
分割通路11〜14が設けられない場合は、下壁6Dから剥離する気流が多くなる。このため、図4に示すように吹出口10の気流の速度分布は下壁6D側で気流が逆流する逆流領域Hが発生して気流が乱れる。
【0052】
複数の分割通路11〜14は送風ファン5近傍から設けられ、分割通路11〜14によって流路断面の濡れぶち長さ(断面を囲む周の長さ)が大きくなる。このため、流れに対して慣性よりも粘性の影響が大きくなり、気流が分割通路11〜14の壁面に沿いやすくなる。これにより、図5に示すように逆流領域Hが形成されず、気流の剥離を低減して気流の乱れが抑制される。
【0053】
この時、分割通路の始点(D1)が曲面部6a、6bの中央B1、B2を結ぶ線C1よりも下流側になると、図6に示すように、逆流領域Hが発生する。このため、曲面部6a、6bの中央を結ぶ線C1を分割通路11〜14の始点(D1)の下流側に配置することによって気流の乱れを抑制することができる。分割通路11〜14の始点(D1)を送風ファン5の排気口5c近傍にするとより確実に気流の乱れを抑制することができる。
【0054】
ここで、曲面部6a、6bが曲率一定の場合は中央B1、B2は沿面距離の中点である。曲面部6a、6bが変化する場合は、曲面部6a、6bの始点及び終点の水平に対する接線の角度をそれぞれθ1、θ2としたときに中央B1、B2は(θ1+θ2)/2となる位置である。
【0055】
尚、図7に示すように、2つの分割通路11、14を設けた場合でも図4、図6に示す場合よりも気流の乱れを抑制できる。この時、送風経路6の曲がり具合によって一部に逆流領域Hが形成される場合がある。一方で、分割通路の数量を増加させると圧力損失が大きくなる。このため、送風経路6の流路面積及び曲がり具合に応じて分割通路の数量が設定される。
【0056】
図3において、上下拡幅部7は送風経路6の上壁6Uと下壁6Dとの間が上流側に対して下流側が上下方向に拡幅される。これにより、吹出口10から気流が上下方向に広がって送出される。各分割通路11〜14は上流側に対して下流側が上下方向に拡幅され、流路断面は左右方向の幅が高さ方向の幅に対して十分大きいスリット状に形成される。このため、送風経路6を流通する気流は各分割通路11〜14の上下の壁面と接触する面積が大きくなる。これにより、分割通路11〜14を流通する気流を上下の壁面から剥離させずに上下方向に広げることができる。
【0057】
左右拡幅部8は上下拡幅部7の下流側に配され、上下拡幅部7の終端から上下の壁面が平面状に延長される。図8は分割通路14の平面図を示している。左右拡幅部8は送風経路6の左壁6Lと右壁6Rとの間が上流側に対して下流側が左右方向に拡幅される。これにより、吹出口10から気流が左右方向に広がって送出される。
【0058】
左右拡幅部8は各分割通路11〜14を更に左右方向に分割した複数の細通路8aを有している。微小粒子発生装置17の電極17a、17bは各細通路8aに対応して設けられる。これにより、正負のイオンの衝突による消滅を低減することができる。
【0059】
左壁6L及び右壁6Rは湾曲した曲面部6c、6dをそれぞれ有している。細通路8aを形成する各壁面は左壁6L及び右壁6Rに沿って湾曲する。各細通路8aは左右の壁面によって上流側に対して下流側が左右方向に拡幅され、流路断面は上下拡幅部7に対して左右方向の幅が狭められる。これにより、送風経路6を流通する気流は細通路8aの左右の壁面と接触する面積が大きくなる。従って、細通路8aを流通する気流を左右の壁面から剥離させずに左右方向に気流を広げることができる。
【0060】
また、曲面部6c、6dの中央を結ぶ線C2は細通路8aの壁面の一端D2よりも下流側に配される。従って、各細通路8aによって左右拡幅部8の気流の乱れを防止することができる。
【0061】
尚、左右拡幅部8を上下拡幅部7の上流側に配置してもよい。この時、送風経路6は左右方向に分割された分割通路を有し、分割通路の上流部に左右拡幅部8が形成される。左右拡幅部8は上流側に対して下流側が左右方向に拡幅される。分割通路の下流部に配される上下拡幅部7は各分割通路を上下方向に更に分割した細通路が形成される。各細通路は上流側に対して下流側が上下方向に拡幅される。
【0062】
しかしながら、左右拡幅部8を上下拡幅部7の下流側に配置するとより望ましい。これにより、送風ファン5のハウジング5aと一体の送風経路6を上部拡幅部7の抜き方向を左右にして左右拡幅部8の抜き方向を前後にして成形加工できる。従って、送風経路6を簡単に形成することができる。
【0063】
また、前述の図2に示すように、分割通路14は微小粒子発生装置17の上流側に絞り部14aが設けられる。絞り部14aは高さ方向の幅dが分割通路14の始点の高さ方向の幅Dよりも狭くなっている。絞り部14aによって微小粒子発生装置17で風速が増加されるとともに気流が整流される。その後、上下拡幅部7によって流路が広げられる。
【0064】
微小粒子発生装置17の電極17a、17b近傍でイオンの濃度が高く飽和状態になるとイオンが発生しにくくなる。このため、絞り部14aで微小粒子発生装置17の電極17a、17bの気流の速度を高くしてイオンの濃度を低下させることができる。これにより、微小粒子発生装置17で多くのイオンを発生して気流に含ませることができる。
【0065】
上記構成の微小粒子拡散装置1において、送風ファン5及び微小粒子発生装置17が駆動されると、居室内の空気が吸込口3から本体筐体2内に取り込まれる。本体筐体2内に取り込まれた空気はエアフィルタ4で塵埃が捕集され、吸気口5bから送風ファン5に導かれる。
【0066】
送風ファン5の排気は排気口5cを介して送風経路6を流通する。送風経路6を流通する気流は分割通路11〜14に分岐し、上部拡幅部7で上下方向に流路が広がるとともに左右拡幅部8で左右方向に流路が広がる。これにより、吹出口10から上下及び左右方向に広がった気流が送出される。
【0067】
送風経路6の下部の分割通路14を流通する気流には微小粒子発生装置17によってプラスイオンとマイナスイオンとが含まれる。これにより、開口部10d(第2吹出口)からプラスイオンとマイナスイオンとを含む気流(第2気流)が送出される。
【0068】
また、開口部10a、10b、10c(第1吹出口)から送出される気流(第1気流)は送風経路6の上部の分割通路11、12、13を流通し、風速が速い。このため、開口部10a、10b、10cから送出される気流がエアカーテンとなってイオンの上方への拡散が防止される。従って、開口部10dから居室内の居住空間に向けて気流を送出し、開口部10a、10b、10cから居住空間の上方に向けて気流を送出することによって居住空間に十分なイオンを供給して高い殺菌効果を得ることができる。
【0069】
また、分割通路11〜14は上方から順に配され、開口部10a〜10dから送出される気流は上方から順に風速が速くなっている。これにより、気流の乱れを低減することができる。即ち、図9に示すように、上下の気流に対してその間の気流の風速が遅いと、渦流Fが発生して気流が乱れる。これに対して、図10に示すように気流の速度が順に変化すると渦流が発生せず、気流の乱れが低減される。尚、図9、図10において開口部10b、10cが共通の場合を例にして説明している。
【0070】
図11、図12は本実施形態の微小粒子拡散装置1により居室のイオンの分布を調べた結果を示す図である。居室Rは高さが4800mm、幅6400mm、奥行6400mmである。微小粒子拡散装置1は一方の側壁W1の床面Fに設置し、側壁W1に対向する側壁W2に向かって斜め上方に気流を送出している。イオン濃度の測定は微小粒子拡散装置1の左右方向の中心を通る鉛直面Dについて行った。
【0071】
また、比較のため、図13、図14は送風経路6内に分割通路を形成せず、同じ居室R内に斜め上方に向けて気流を吹き出した場合のイオンの分布を調べた結果を示す。また、図15、図16は送風経路6内に分割通路を形成せず、同じ居室R内に鉛直上方に向けて気流を吹き出した場合のイオンの分布を調べた結果を示す。
【0072】
図14、図16によると、居室R内の天井面Sまでイオンが拡散して居室R上部のイオン濃度が高く、居室R下部の居住空間(高さ約1600mm以下)のイオン濃度が低い。これに対して、図12に示す本実施形態では上方へのイオンの拡散が抑制され、居室R下部の居住空間のイオン濃度を高くすることができる。
【0073】
本実施形態によると、上方に気流(第1気流)を送出する開口部10a〜10c(第1吹出口)を設け、該気流の下方に気流(第2気流)を送出する開口部10d(第2吹出口)が設けられる。そして、開口部10dから送出される気流にイオンを含み、開口部10a〜10cから送出される気流にイオンが含まれない。このため、開口部10a〜10cから送出される気流がエアカーテンとなって開口部10dから送出される気流に含まれるイオンが居住空間の上方に拡散されない。これにより、居住空間にイオンを十分供給することができる。特に、居室の天井が高いフロア等においてイオンの拡散を防止してより大きな効果を奏する。
【0074】
尚、微小粒子発生装置17で発生したイオンの一部を開口部10a〜10cから送出してもよい。この時、開口部10a〜10cから送出されるイオンの濃度を開口部10dから送出されるイオンの濃度よりも低くすることにより、上記と同様に、多くのイオンが居住空間の上方に拡散されない。従って、居住空間にイオンを十分供給することができる。特に、天井が低い居室では上方への拡散が少ないため有効となる。
【0075】
また、開口部10a〜10cから送出される気流の風速が開口部10dから送出される気流の風速よりも速いので、確実にエアカーテンを形成することができる。また、居住空間に風速の低い気流が送出されるため、人に風を感じさせずに居住空間にイオンを供給することができる。尚、複数の送風ファンによって異なる風速の気流を形成してもよい。
【0076】
また、開口部10dから送出される気流が開口部10a〜10cから送出される気流に隣接するので、風速の速い開口部10a〜10cから送出される気流に沿ってイオンを遠くまで供給することができる。
【0077】
また、開口部10a〜10cが上下に分割され、上部から吹き出される気流の風速が下部から吹き出される気流の風速よりも速いので、吹出口から送出される気流は上方へ行く程徐々に風速が増加する。これにより、気流の乱れが抑制され、送風効率を向上することができる。
【0078】
また、上下拡幅部7によって開口部10dから上下方向に拡大して気流が送出されるので、イオンを居住空間の上下方向に拡散させることができる。従って、居住空間にイオンをより十分に供給することができる。
【0079】
また、左右拡幅部8によって開口部10dから左右方向に拡大して気流が送出されるので、イオンを居住空間の左右方向に拡散させることができる。従って、居住空間にイオンをより十分に供給することができる。
【0080】
また、左右拡幅部8によって開口部10a〜10cから左右方向に拡大して気流が送出されるので、エアカーテンを確実に形成することができる。
【0081】
また、送風経路6が吹出口10を上下に分割する複数の分割通路11〜14を有し、上部の分割通路11〜13を流通する気流の風速が下部の分割通路14の風速よりも大きいので、上部の分割通路11〜13から居住空間上方に気流を送出することにより、該気流がエアカーテンとなって下部の分割通路14から送出される気流の拡散が防止される。これにより、イオンが居住空間の上方に拡散されず、居住空間にイオンを十分供給することができる。
【0082】
また、下部の分割通路14に微小粒子発生装置17を配したので、吹出口10の下部から送出される低速の気流にイオンが含まれ、人に風を感じさせずに居住空間にイオンを供給することができる。
【0083】
また、送風経路6が送風ファン5から上方に延びて前方に屈曲し、送風ファン5近傍から吹出口10に延びて分割通路11〜14を形成したので、分割通路11〜14によって流路断面の濡れぶち長さが大きくなるため気流が分割通路11〜14の壁面に沿いやすくなる。これにより、送風経路6の上部の風速を速くするとともに、気流の剥離を低減して気流の乱れを抑制することができる。
【0084】
また、送風経路6の上壁6Uの曲面部6aの中央と下壁6Dの曲面部6bの中央とを結ぶ位置よりも上流側から吹出口10に延びて分割通路11〜14を形成したので、下壁6Dから剥離する気流を低減し、気流の乱れを抑制することができる。
【0085】
また、下部の分割通路14を上部の分割通路11〜13よりも送風ファン5の排気口5cの内周側に配したので、上部の分割通路11〜13を流通する気流の風速をより速くすることができる。
【0086】
また、分割通路11〜14が上下拡幅部7を有し、上下拡幅部7の気流に垂直な断面を左右方向に延びるスリット状に形成したので、送風経路6を流通する気流が各分割通路11〜14の上下の壁面と接触する面積が大きくなる。これにより、分割通路11〜14を流通する気流を上下の壁面から剥離させずに上下方向に広げることができる。従って、居住空間の上下にイオンをより拡散させることができる。
【0087】
また、分割通路11〜14が上流側に対して下流側を拡幅して気流を左右方向に広げる左右拡幅部8を上下拡幅部7の下流側に有するので、左右方向に気流を広げて居住空間の左右にイオンをより拡散させることができるとともに、エアカーテンを広く形成して上方へのイオンの拡散を防止することができる。また、成形性がよく容易に送風経路6を形成することができる。
【0088】
また、左右拡幅部8は各分割通路11〜14を左右方向に分割した複数の細通路8aを有し、各細通路8aが上流側に対して下流側を左右に拡幅されるので、送風経路6を流通する気流は細通路8aの左右の壁面と接触する面積が大きくなる。これにより、細通路8aを流通する気流を左右の壁面から剥離させずに左右方向に広げることができる。
【0089】
また、微小粒子発生装置17が配される分割通路14は微小粒子発生装置17の上流側で流路を絞る絞り部14aが設けられるので、微小粒子発生装置17の上流側で気流が絞られて整流される。また、絞り部14aによって流速が速くなるため微小粒子発生装置17近傍のイオンの濃度が低下する。これにより、微小粒子発生装置17で多くのイオンを発生して気流に含ませることができる。尚、微小粒子発生装置17が配される位置に絞り部14aを設けてもよい。
【0090】
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態は前述の図7に示すように2つの分割通路11、14が上下に設けられる。これにより、吹出口10(図2参照)は上下に並設される2つの開口部10a、10d(図2参照)が形成され、開口部10a、10dから居室内に気流が送出される。微小粒子発生装置17は分割通路14に設けられる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0091】
図17、図18は本実施形態の微小粒子拡散装置1により居室のイオンの分布を調べた結果を示す図である。前述の図11と同様に、居室Rは高さが4800mm、幅6400mm、奥行6400mmである。微小粒子拡散装置1は一方の側壁W1の床面Fに設置し、側壁W1に対向する側壁W2に向かって気流を送出している。イオン濃度の測定は微小粒子拡散装置1の左右方向の中心を通る鉛直面Dについて行った。
【0092】
図18によると、前述の比較例の図14、図16に比して上方へのイオンの拡散が抑制され、居室R下部の居住空間のイオン濃度を高くすることができる。
【0093】
本実施形態によると、第1実施形態と同様に、上方に気流(第1気流)を送出する開口部10a(第1吹出口)を設け、該気流の下方に気流(第2気流)を送出する開口部10d(第2吹出口)が設けられる。そして、開口部10dから送出される気流にイオンを含み、開口部10aから送出される気流にイオンが含まれない。このため、開口部10aから送出される気流がエアカーテンとなって開口部10dから送出される気流に含まれるイオンが居住空間の上方に拡散されない。これにより、居住空間にイオンを十分供給することができる。尚、イオンの一部を開口部10dよりも低い濃度で開口部10aから送出してもよい。
【0094】
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態は3つの分割通路が上下に設けられる。これにより、前述の図10に示すように吹出口10(図2参照)は上下に並設される3つの開口部10a、10b、10dが形成され、開口部10a、10b、10dから室内に気流が送出される。微小粒子発生装置17は開口部10dを有する下部の分割通路に設けられる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0095】
開口部10a、10b、10dから送出される気流は図10に示すように上方から順に速度が変化する。これにより、渦流が発生せず、気流の乱れが低減される。そして、図19に示すように、開口部10a、10bからイオンを含まない気流が居住空間の上方に送出され、開口部10dからイオンを含む気流が居住空間に送出される。これにより、第1、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。尚、イオンの一部を開口部10dよりも低い濃度で開口部10a、10bから送出してもよい。
【0096】
次に、図20は第4実施形態の微小粒子拡散装置1を示す概略側面断面図である。説明の便宜上、前述の図1、図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は送風ファン5が軸方向に吸気して周方向に排気するシロッコファン若しくはターボファンから成っている。その他の部分は第1、第2実施形態と同様である。
【0097】
送風経路6は送風ファン5から上方に延びて前方に屈曲し、上下に分割された複数の分割通路11、14を有している。下方の分割通路14には微小粒子発生装置17が配される。分割通路14は微小粒子発生装置17が配される位置に絞り部14aが設けられる。
【0098】
シロッコファンやターボファンから成る送風ファン5は円板5g上に複数の翼5hが設けられ、軸方向に吸気して周方向に排気する。このため、円板5gは吸気口5aに対向して配置され、吸気口5a側に分割通路14が配されて円板5g側に分割通路11が配される。空気の粘性によって排気口5cの排気は吸込口5b側の風速が遅く、円板5g側の風速が速くなる。このため、円板5g側に上方の分割通路11を設けることにより、開口部10aから送出される気流の速度を速くできる。従って、吸気口5bは送風経路6が曲げられる側に配置される。
【0099】
本実施形態によると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。尚、イオンの一部を開口部10dよりも低い濃度で開口部10aから送出してもよい。
【0100】
第1〜第4実施形態において、微小粒子拡散装置1は微小粒子発生装置17によりプラスイオンとマイナスイオンとを発生して吹出口10から送出して居室内の殺菌を行っている。微小粒子発生装置17によりマイナスイオンのみを発生して居室内のリラクゼーション効果を得る微小粒子拡散装置1であってもよい。また、微小粒子発生装置17により芳香剤、消臭剤、殺虫剤、殺菌剤等を発生して居室内の消臭、殺虫、殺菌等を行う微小粒子拡散装置1であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明によると、イオン、芳香剤、消臭剤、殺虫剤、殺菌剤等の微小粒子を送出して室内に拡散させる微小粒子拡散装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置を示す斜視図
【図2】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置を示す側面断面図
【図3】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の送風経路を示す側面断面図
【図4】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の送風経路の分割通路の機能を説明する側面断面図
【図5】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の送風経路の分割通路の機能を説明する側面断面図
【図6】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の送風経路の分割通路の機能を説明する側面断面図
【図7】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の送風経路の分割通路の機能を説明する側面断面図
【図8】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の送風経路の左右拡幅部を示す平面図
【図9】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の送風経路の風速を説明する側面断面図
【図10】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の送風経路の風速を説明する側面断面図
【図11】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の居室内の送風状態を示す斜視図
【図12】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置によるイオン濃度の測定結果を示す図
【図13】本発明の比較例の微小粒子拡散装置の居室内の送風状態を示す斜視図
【図14】本発明の比較例の微小粒子拡散装置によるイオン濃度の測定結果を示す図
【図15】本発明の比較例の微小粒子拡散装置の居室内の送風状態を示す斜視図
【図16】本発明の比較例の微小粒子拡散装置によるイオン濃度の測定結果を示す図
【図17】本発明の第2実施形態の微小粒子拡散装置の居室内の送風状態を示す斜視図
【図18】本発明の第2実施形態の微小粒子拡散装置によるイオン濃度の測定結果を示す図
【図19】本発明の第3実施形態の微小粒子拡散装置の居室内の送風状態を示す斜視図
【図20】本発明の第4実施形態の微小粒子拡散装置を示す側面断面図
【符号の説明】
【0103】
1 微小粒子拡散装置
2 本体筐体
3 吸込口
4 エアフィルタ
5 送風ファン
6 送風経路
6a、6b 曲面部
7 上下拡幅部
8 左右拡幅部
8a 細通路
10 吹出口
10a〜10d 開口部
11〜14 分割通路
17 微粒子発生装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン等の微小粒子を送出して室内に拡散させる微小粒子拡散装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の微小粒子拡散装置は特許文献1に開示されている。この微小粒子拡散装置は前面に吹出口が開口する筐体内に送風ファンが設けられ、送風ファンと吹出口との間が送風経路により連結される。送風経路内には微小粒子であるイオンを発生する微小粒子発生装置が配される。
【0003】
送風ファンにより発生する気流は送風経路を流通し、微小粒子発生装置で発生した微小粒子を含んだ気流が吹出口から送出される。送風経路は左右方向に広がって形成され、吹出口から送出される気流が左右方向に広がって微小粒子が居室内に拡散される。これにより、プラスイオンとマイナスイオンとを居室内に供給して居室内の浮遊菌の殺菌を行うことができる。
【0004】
また、特許文献1には上下に分割された送風経路を有した構成が開示される(図20)。この構成によると、吹出口から上下方向に広がって微小粒子が送出される。これにより、居室内の上部から下部にわたって微小粒子が居室内に拡散される。
【0005】
【特許文献1】特許第3797993号公報(第4頁−第18頁、第1図、第20図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の微小粒子拡散装置によると、居室内の居住空間と居住空間よりも上方とに略等しい濃度の微小粒子が送出されるため、居住空間に十分なイオン等の微小粒子が供給されない場合がある。特に、居室の天井が高いフロア等においてイオン等の微小粒子が人のいない上方まで拡散して居住空間の微小粒子が著しく減少する。このため、居住空間内の微小粒子による殺菌やリラクゼーション等の有効な効果を充分得ることができない問題があった。また、微小粒子発生装置によってイオン以外の芳香剤、消臭剤、殺虫剤、殺菌剤等の微小粒子を発生する場合も同様の問題がある。
【0007】
本発明は、居住空間に微小粒子を十分供給できる微小粒子拡散装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、上方に第1気流を送出する第1吹出口と、第1吹出口の下方に配されて第1気流の下方に第2気流を送出する第2吹出口と、微小粒子を発生する微小粒子発生装置とを備え、前記微小粒子発生装置で発生した微小粒子を送出するとともに、第1吹出口から送出される微小粒子の濃度が第2吹出口から送出される微小粒子の濃度よりも低いことを特徴としている。
【0009】
この構成によると、上方の第1吹出口から上方に第1気流が送出され、下方の第2吹出口から第1気流の下方に第2気流が送出される。第2気流には微小粒子発生装置で発生した微小粒子が含まれて室内の居住空間等に微小粒子が供給される。第1気流は第2気流よりも濃度の低い微小粒子が含まれ、居住空間の上方に送出される。これにより、第1気流がエアカーテンとなって第2気流に含まれる微小粒子の上方への拡散が防止される。これにより、微小粒子発生装置で発生した微小粒子の多くが居住空間に供給され、殺菌やリラクゼーション等の効果が得られる。尚、第1吹出口から微小粒子の濃度が0の第1気流を吹き出す場合も含まれる。
【0010】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、第1吹出口から微小粒子が送出されないことを特徴としている。この構成によると、微小粒子発生装置を配したダクトの端面に第2吹出口が開口し、微小粒子発生装置で発生した微小粒子がダクトを介して第2吹出口から送出される。
【0011】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、第1気流の風速を第2気流の風速よりも速くしたことを特徴としている。この構成によると、居住空間に風速の低い第2気流が送出され、人に風を感じさせずに居住空間に微小粒子が供給される。また、第1気流によって確実にエアカーテンが形成される。
【0012】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、第2気流が第1気流に隣接することを特徴としている。この構成によると、第2気流に含まれる微小粒子が第1気流の下部の気流に引きつられて室内の遠くまで微小粒子が供給される。
【0013】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、第1吹出口を上下に分割し、第1吹出口の上部から吹き出される第1気流の風速を下部から吹き出される第1気流の風速よりも速くしたことを特徴としている。この構成によると、第2気流よりも風速の速い第1気流は上方へ行く程徐々に風速が増加する。これにより、気流の乱れが抑制される。
【0014】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、第2吹出口から第2気流を上下方向に拡大して送出したことを特徴としている。この構成によると、第2吹出口が上下方向に例えばラッパ状に広がり、第2気流の微小粒子が上下に拡散される。
【0015】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、第2吹出口から第2気流を左右方向に拡大して送出したことを特徴としている。この構成によると、第2吹出口が左右方向に例えばラッパ状に広がり、第2気流の微小粒子が左右に拡散される。
【0016】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、第1吹出口から第1気流を左右方向に拡大して送出したことを特徴としている。この構成によると、第1吹出口が左右方向に例えばラッパ状に広がり、第1気流によるエアカーテンを確実に形成する。
【0017】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、第1吹出口の左右の幅が第1吹出口の高さに対して十分大きいことを特徴としている。この構成によると、第1気流によるエアカーテンを確実に形成する。
【0018】
また本発明は、微小粒子を発生する微小粒子発生装置を備え、送風ファンの駆動によって吹出口から微小粒子を送出する微小粒子拡散装置において、前記送風ファンと前記吹出口とを連結する送風経路が前記吹出口を上下に分割する複数の分割通路を有し、上部の前記分割通路を流通する気流の風速が下部の前記分割通路を流通する気流の風速よりも大きいことを特徴としている。
【0019】
この構成によると、送風ファンが駆動されると複数の分割通路を気流が流通して整流され、微小流発生装置で発生した微小粒子を含んで吹出口から送出される。この時、吹出口の上部の気流がエアカーテンとなり、下部の気流に含まれた微小粒子が居室の下部に供給される。
【0020】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、下部の前記分割通路に前記微小粒子発生装置を配したことを特徴としている。この構成によると、吹出口の下部から送出される低速の気流に微小粒子が含まれ、人に風を感じさせずに居住空間に微小粒子が供給される。
【0021】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、前記送風経路は前記送風ファンから上方に延びて前方に屈曲し、前記送風ファン近傍から前記吹出口に延びて前記分割通路を形成したことを特徴としている。
【0022】
この構成によると、送風経路を流通する気流は上方に流通して前方に屈曲し、吹出口から送出される。送風経路を上方に流通する気流は前方に屈曲する際に慣性によって上方に向かい、下壁から離れやすく上壁に沿いやすくなる。これにより、送風経路の上部を流通する気流が下部を流通する気流よりも速度が速くなる。この時、下壁から剥離する気流が多くなると下壁側で逆方向の気流が発生して気流が乱れる。複数の分割通路は送風ファン近傍から設けられ、分割通路によって流路断面の濡れぶち長さ(断面を囲む周の長さ)が大きくなる。これにより、流れに対して慣性よりも粘性の影響が大きくなるため気流が分割通路の壁面に沿いやすくなる。従って、気流の剥離を低減して気流の乱れが抑制される。
【0023】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、前記送風経路は上壁及び下壁が曲面部を有して前記送風ファンから上方に延びて前方に屈曲し、前記上壁の前記曲面部の中央と前記下壁の前記曲面部の中央とを結ぶ位置よりも上流側から前記吹出口に延びて前記分割通路を形成したことを特徴としている。
【0024】
この構成によると、送風経路を流通する気流は上方に流通して曲面部で前方に屈曲し、吹出口から送出される。送風経路を上方に流通する気流は前方に屈曲する際に慣性によって上方に向かい、下壁から離れやすく上壁に沿いやすくなる。これにより、送風経路の上部を流通する気流が下部を流通する気流よりも速度が速くなる。この時、下壁から剥離する気流が多くなると下壁側で逆方向の気流が発生して気流が乱れる。複数の分割通路は上壁の曲面部の中央と下壁の曲面部の中央とを結ぶ位置よりも上流側から設けられ、分割通路の断面の濡れぶち長さが大きくなるため気流が分割通路の壁面に沿いやすくなる。これにより、気流の剥離を低減して気流の乱れが抑制される。
【0025】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、前記送風ファンがクロスフローファンから成り、下部の前記分割通路を上部の前記分割通路よりも前記送風ファンの排気口の内周側に配したことを特徴としている。この構成によると、クロスフローファンから成る送風ファンの排気口の内周側から排気される気流は下部の分割通路に導かれ、外周側から排気される気流は上部の分割通路に導かれる。排気口の内周側は回転翼の回転方向前方を示し、外周側は回転翼の回転方向後方を示す。これにより、上部の分割通路を流通する気流の風速が遠心力によってより速くなる。
【0026】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、前記分割通路が上流側に対して下流側を拡幅して気流を上下方向に広げる上下拡幅部を有し、前記上下拡幅部の気流に垂直な断面を左右方向に延びるスリット状に形成したことを特徴としている。
【0027】
この構成によると、分割通路を流通する気流は上下拡幅部によって上下方向に徐々に広がり、吹出口から上下に広がって送出される。上下拡幅部の断面形状は左右に広がるスリット状に形成され、上下壁が左右方向に長い。このため、送風経路を流通する気流が各分割通路の上下の壁面と接触する面積が大きくなる。これにより、気流が分割通路の上下壁に沿いやすく壁面から剥離させずに上下方向に気流を広げることができる。
【0028】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、前記分割通路が上流側に対して下流側を拡幅して気流を左右方向に広げる左右拡幅部を前記上下拡幅部の下流側に有することを特徴としている。この構成によると、分割通路を流通する気流は上下拡幅部で上下方向に広がって左右拡幅部で左右方向に広がり、吹出口から上下左右に広がって送出される。
【0029】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、前記左右拡幅部は各前記分割通路を左右方向に分割した複数の細通路を有し、各前記細通路が上流側に対して下流側を左右に拡幅されることを特徴としている。この構成によると、分割通路を左右に分割した各細通路によって送風経路を流通する気流は細通路の左右の壁面と接触する面積が大きくなる。これにより、気流が細通路の左右壁に沿いやすく壁面から剥離させずに左右方向に気流を広げることができる。
【0030】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、前記微小粒子発生装置が配される前記分割通路は前記微小粒子発生装置が配される位置またはその上流側で流路を絞る絞り部が設けられることを特徴としている。この構成によると、微小粒子発生装置上または上流側で気流が絞られて整流されるとともに、流速が速くなるため微小粒子発生装置近傍の微小粒子の濃度が低下する。微小粒子を含有した後の気流路は上下拡幅部によって広げられる。
【0031】
また本発明は、上記構成の微小粒子拡散装置において、前記微小粒子発生装置で発生する微小粒子が、イオン、芳香剤、消臭剤、殺虫剤、殺菌剤のいずれかを含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、上方に第1気流を送出する第1吹出口から送出される微小粒子の濃度が、第1気流の下方に第2気流を送出する第2吹出口から送出される微小粒子の濃度よりも低いので、第1気流がエアカーテンとなって第2気流に含まれる微小粒子が居住空間の上方に拡散されない。これにより、居住空間に微小粒子を十分供給することができる。特に、居室の天井が高いフロア等において微小粒子の拡散を防止してより大きな効果を奏する。
【0033】
また本発明によると、送風経路が吹出口を上下に分割する複数の分割通路を有し、上部の分割通路を流通する気流の風速が下部の分割通路の風速よりも大きいので、上部の分割通路から居住空間上方に気流を送出することにより、該気流がエアカーテンとなって下部の分割通路から送出される気流の拡散が防止される。これにより、居住空間に送出される微小粒子が居住空間の上方に拡散されず、居住空間に微小粒子を十分供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の微小粒子拡散装置を示す外観斜視図である。微小粒子拡散装置1は本体筐体2の左右端に脚部2aが設けられ、居室内の床面に設置される。本体筐体2の前面上部には吹出口10が開口する。
【0035】
図2は微小粒子拡散装置1の側面断面図を示している。本体筐体2の底面には居室内の空気を吸い込む吸込口3が設けられる。本体筐体2の下部にはハウジング5aにより覆われる送風ファン5が配される。送風ファン5はクロスフローファンから成り、吸気口5bを介して回転翼(不図示)の周方向からハウジング5a内に吸気し、排気口5cから周方向に排気する。吸込口3と送風ファン5との間にはエアフィルタ4が設けられる。
【0036】
送風ファン5の排気口5cと吹出口10とは送風ファン5による気流が流通する送風経路6により連結される。送風経路6はハウジング5aと一体に形成され、上方に延びて前方に屈曲する。送風経路6内には上下方向に分割された複数の分割通路11、12、13、14が上方から順に設けられる。
【0037】
上部の分割通路11は送風ファン5の排気口5cの外周側に配され、下部の分割通路14は送風ファン5の排気口5cの内周側に配される。排気口5cの内周側は回転翼の回転方向前方を示し、下壁6D(図3参照)側である。排気口5cの外周側は回転翼の回転方向後方を示し、上壁6U(図3参照)側である。排気口5cの外周側の気流の流速が遠心力によって内周側よりも速くなっている。
【0038】
吹出口10は各分割通路11〜14に対応して上下に分割され、開口部10a、10b、10c、10dが形成される。詳細を後述するように、各分割通路11〜14は上流側に上下拡幅部7が設けられ、下流側に左右拡幅部8が設けられる。
【0039】
最下段の分割通路14には微小粒子発生装置17の電極17a、17b(図8参照)が露出して配される。微小粒子発生装置17の電極17a、17bには交流波形またはインパルス波形から成る電圧が印加される。電極17aには正電圧が印加され、電離により発生するイオンが空気中の水分と結合して主としてH+(H2O)mから成る電荷が正のクラスタイオンが形成される。
【0040】
電極17bには負電圧が印加され、電離により発生するイオンが空気中の水分と結合して主としてO2-(H2O)nから成る電荷が負のクラスタイオンが形成される。ここで、m、nは任意の自然数である。H+(H2O)m及びO2-(H2O)nは空気中の浮遊菌や臭い成分及び貯蔵物の付着菌の表面で凝集してこれらを取り囲む。
【0041】
そして、式(1)〜(3)に示すように、衝突により活性種である[・OH](水酸基ラジカル)やH2O2(過酸化水素)を微生物等の表面上で凝集生成して浮遊菌や臭い成分等を破壊する。ここで、m’、n’は任意の自然数である。従って、プラスイオン及びマイナスイオンを発生して吹出口10から吐出することにより室内の殺菌及び臭い除去を行うことができる。
【0042】
H+(H2O)m+O2-(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n)H2O ・・・(1)
H+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ 2・OH+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(2)
H+(H2O)m+H+(H2O)m’+O2-(H2O)n+O2-(H2O)n’
→ H2O2+O2+(m+m'+n+n')H2O ・・・(3)
【0043】
尚、従来からプラスイオンイオンH+(H2O)m及びマイナスイオンO2-(H2O)nを空気中に送出し、イオンの反応によって浮遊細菌等を殺菌することは知られている。これらのイオンは各々が再結合して消滅するため、イオン発生素子の電極近傍で高濃度が実現できても送出される距離が遠くなるに従って急激にその濃度が減少する。
【0044】
このため、実験装置のような小容積の空間ではイオン濃度を数万個/cm3とすることができても、現実の居住空間や作業空間等の大きな空間ではせいぜい2〜3千個/cm3の濃度とするのが限度であった。
【0045】
一方、実験によるとイオン濃度が7000個/cm3の時にトリインフルエンザウイルスが10分間で99%除去でき、50000個/cm3の時に10分間で99.9%除去できる。即ち、空気中に1000個/cm3のウイルスが存在したと仮定すると、イオンによる殺菌によってそれぞれ10個/cm3、1個/cm3が残留する。従って、イオン濃度を7000個/cm3から50000個/cm3に高めることによって、残留するウイルスを1/10にできる。
【0046】
このことから、イオンを送出するだけではなく、人などが生活する居住空間や作業空間全体のイオン濃度を高濃度に維持することが感染症予防や環境浄化において非常に重要となる。
【0047】
図3は送風経路6の概略構成を示す側面断面図である。送風経路6の上壁6U及び下壁6Dは湾曲した曲面部6a、6bをそれぞれ有している。分割通路11〜14を形成する各壁面は上壁6U及び下壁6Dに沿って湾曲し、一端D1が送風ファン5の近傍に設けられる。
【0048】
これにより、分割通路11〜14は送風ファン5の近傍から吹出口10にわたって形成される。曲面部6a、6bの始点A1、A2は分割通路11〜14の始点(D1)の下流側に配される。これにより、曲面部6a、6bの中央を結ぶ線C1は分割通路11〜14の始点(D1)の下流側に配されている。
【0049】
送風経路6を上方に流通する気流は曲面部6a、6bによって前方に曲げられる際に慣性によって上方に向かい、下壁6Dから離れやすく上壁6Uに沿いやすくなる。これにより、送風経路6の上部を流通する気流が下部を流通する気流よりも速度が速くなる。
【0050】
加えて、送風ファン5の排気口5cの外周側から順に分割通路11〜14が配される。このため、分割通路11〜14を流通する気流の速度を上方から順に速くすることができる。
【0051】
分割通路11〜14が設けられない場合は、下壁6Dから剥離する気流が多くなる。このため、図4に示すように吹出口10の気流の速度分布は下壁6D側で気流が逆流する逆流領域Hが発生して気流が乱れる。
【0052】
複数の分割通路11〜14は送風ファン5近傍から設けられ、分割通路11〜14によって流路断面の濡れぶち長さ(断面を囲む周の長さ)が大きくなる。このため、流れに対して慣性よりも粘性の影響が大きくなり、気流が分割通路11〜14の壁面に沿いやすくなる。これにより、図5に示すように逆流領域Hが形成されず、気流の剥離を低減して気流の乱れが抑制される。
【0053】
この時、分割通路の始点(D1)が曲面部6a、6bの中央B1、B2を結ぶ線C1よりも下流側になると、図6に示すように、逆流領域Hが発生する。このため、曲面部6a、6bの中央を結ぶ線C1を分割通路11〜14の始点(D1)の下流側に配置することによって気流の乱れを抑制することができる。分割通路11〜14の始点(D1)を送風ファン5の排気口5c近傍にするとより確実に気流の乱れを抑制することができる。
【0054】
ここで、曲面部6a、6bが曲率一定の場合は中央B1、B2は沿面距離の中点である。曲面部6a、6bが変化する場合は、曲面部6a、6bの始点及び終点の水平に対する接線の角度をそれぞれθ1、θ2としたときに中央B1、B2は(θ1+θ2)/2となる位置である。
【0055】
尚、図7に示すように、2つの分割通路11、14を設けた場合でも図4、図6に示す場合よりも気流の乱れを抑制できる。この時、送風経路6の曲がり具合によって一部に逆流領域Hが形成される場合がある。一方で、分割通路の数量を増加させると圧力損失が大きくなる。このため、送風経路6の流路面積及び曲がり具合に応じて分割通路の数量が設定される。
【0056】
図3において、上下拡幅部7は送風経路6の上壁6Uと下壁6Dとの間が上流側に対して下流側が上下方向に拡幅される。これにより、吹出口10から気流が上下方向に広がって送出される。各分割通路11〜14は上流側に対して下流側が上下方向に拡幅され、流路断面は左右方向の幅が高さ方向の幅に対して十分大きいスリット状に形成される。このため、送風経路6を流通する気流は各分割通路11〜14の上下の壁面と接触する面積が大きくなる。これにより、分割通路11〜14を流通する気流を上下の壁面から剥離させずに上下方向に広げることができる。
【0057】
左右拡幅部8は上下拡幅部7の下流側に配され、上下拡幅部7の終端から上下の壁面が平面状に延長される。図8は分割通路14の平面図を示している。左右拡幅部8は送風経路6の左壁6Lと右壁6Rとの間が上流側に対して下流側が左右方向に拡幅される。これにより、吹出口10から気流が左右方向に広がって送出される。
【0058】
左右拡幅部8は各分割通路11〜14を更に左右方向に分割した複数の細通路8aを有している。微小粒子発生装置17の電極17a、17bは各細通路8aに対応して設けられる。これにより、正負のイオンの衝突による消滅を低減することができる。
【0059】
左壁6L及び右壁6Rは湾曲した曲面部6c、6dをそれぞれ有している。細通路8aを形成する各壁面は左壁6L及び右壁6Rに沿って湾曲する。各細通路8aは左右の壁面によって上流側に対して下流側が左右方向に拡幅され、流路断面は上下拡幅部7に対して左右方向の幅が狭められる。これにより、送風経路6を流通する気流は細通路8aの左右の壁面と接触する面積が大きくなる。従って、細通路8aを流通する気流を左右の壁面から剥離させずに左右方向に気流を広げることができる。
【0060】
また、曲面部6c、6dの中央を結ぶ線C2は細通路8aの壁面の一端D2よりも下流側に配される。従って、各細通路8aによって左右拡幅部8の気流の乱れを防止することができる。
【0061】
尚、左右拡幅部8を上下拡幅部7の上流側に配置してもよい。この時、送風経路6は左右方向に分割された分割通路を有し、分割通路の上流部に左右拡幅部8が形成される。左右拡幅部8は上流側に対して下流側が左右方向に拡幅される。分割通路の下流部に配される上下拡幅部7は各分割通路を上下方向に更に分割した細通路が形成される。各細通路は上流側に対して下流側が上下方向に拡幅される。
【0062】
しかしながら、左右拡幅部8を上下拡幅部7の下流側に配置するとより望ましい。これにより、送風ファン5のハウジング5aと一体の送風経路6を上部拡幅部7の抜き方向を左右にして左右拡幅部8の抜き方向を前後にして成形加工できる。従って、送風経路6を簡単に形成することができる。
【0063】
また、前述の図2に示すように、分割通路14は微小粒子発生装置17の上流側に絞り部14aが設けられる。絞り部14aは高さ方向の幅dが分割通路14の始点の高さ方向の幅Dよりも狭くなっている。絞り部14aによって微小粒子発生装置17で風速が増加されるとともに気流が整流される。その後、上下拡幅部7によって流路が広げられる。
【0064】
微小粒子発生装置17の電極17a、17b近傍でイオンの濃度が高く飽和状態になるとイオンが発生しにくくなる。このため、絞り部14aで微小粒子発生装置17の電極17a、17bの気流の速度を高くしてイオンの濃度を低下させることができる。これにより、微小粒子発生装置17で多くのイオンを発生して気流に含ませることができる。
【0065】
上記構成の微小粒子拡散装置1において、送風ファン5及び微小粒子発生装置17が駆動されると、居室内の空気が吸込口3から本体筐体2内に取り込まれる。本体筐体2内に取り込まれた空気はエアフィルタ4で塵埃が捕集され、吸気口5bから送風ファン5に導かれる。
【0066】
送風ファン5の排気は排気口5cを介して送風経路6を流通する。送風経路6を流通する気流は分割通路11〜14に分岐し、上部拡幅部7で上下方向に流路が広がるとともに左右拡幅部8で左右方向に流路が広がる。これにより、吹出口10から上下及び左右方向に広がった気流が送出される。
【0067】
送風経路6の下部の分割通路14を流通する気流には微小粒子発生装置17によってプラスイオンとマイナスイオンとが含まれる。これにより、開口部10d(第2吹出口)からプラスイオンとマイナスイオンとを含む気流(第2気流)が送出される。
【0068】
また、開口部10a、10b、10c(第1吹出口)から送出される気流(第1気流)は送風経路6の上部の分割通路11、12、13を流通し、風速が速い。このため、開口部10a、10b、10cから送出される気流がエアカーテンとなってイオンの上方への拡散が防止される。従って、開口部10dから居室内の居住空間に向けて気流を送出し、開口部10a、10b、10cから居住空間の上方に向けて気流を送出することによって居住空間に十分なイオンを供給して高い殺菌効果を得ることができる。
【0069】
また、分割通路11〜14は上方から順に配され、開口部10a〜10dから送出される気流は上方から順に風速が速くなっている。これにより、気流の乱れを低減することができる。即ち、図9に示すように、上下の気流に対してその間の気流の風速が遅いと、渦流Fが発生して気流が乱れる。これに対して、図10に示すように気流の速度が順に変化すると渦流が発生せず、気流の乱れが低減される。尚、図9、図10において開口部10b、10cが共通の場合を例にして説明している。
【0070】
図11、図12は本実施形態の微小粒子拡散装置1により居室のイオンの分布を調べた結果を示す図である。居室Rは高さが4800mm、幅6400mm、奥行6400mmである。微小粒子拡散装置1は一方の側壁W1の床面Fに設置し、側壁W1に対向する側壁W2に向かって斜め上方に気流を送出している。イオン濃度の測定は微小粒子拡散装置1の左右方向の中心を通る鉛直面Dについて行った。
【0071】
また、比較のため、図13、図14は送風経路6内に分割通路を形成せず、同じ居室R内に斜め上方に向けて気流を吹き出した場合のイオンの分布を調べた結果を示す。また、図15、図16は送風経路6内に分割通路を形成せず、同じ居室R内に鉛直上方に向けて気流を吹き出した場合のイオンの分布を調べた結果を示す。
【0072】
図14、図16によると、居室R内の天井面Sまでイオンが拡散して居室R上部のイオン濃度が高く、居室R下部の居住空間(高さ約1600mm以下)のイオン濃度が低い。これに対して、図12に示す本実施形態では上方へのイオンの拡散が抑制され、居室R下部の居住空間のイオン濃度を高くすることができる。
【0073】
本実施形態によると、上方に気流(第1気流)を送出する開口部10a〜10c(第1吹出口)を設け、該気流の下方に気流(第2気流)を送出する開口部10d(第2吹出口)が設けられる。そして、開口部10dから送出される気流にイオンを含み、開口部10a〜10cから送出される気流にイオンが含まれない。このため、開口部10a〜10cから送出される気流がエアカーテンとなって開口部10dから送出される気流に含まれるイオンが居住空間の上方に拡散されない。これにより、居住空間にイオンを十分供給することができる。特に、居室の天井が高いフロア等においてイオンの拡散を防止してより大きな効果を奏する。
【0074】
尚、微小粒子発生装置17で発生したイオンの一部を開口部10a〜10cから送出してもよい。この時、開口部10a〜10cから送出されるイオンの濃度を開口部10dから送出されるイオンの濃度よりも低くすることにより、上記と同様に、多くのイオンが居住空間の上方に拡散されない。従って、居住空間にイオンを十分供給することができる。特に、天井が低い居室では上方への拡散が少ないため有効となる。
【0075】
また、開口部10a〜10cから送出される気流の風速が開口部10dから送出される気流の風速よりも速いので、確実にエアカーテンを形成することができる。また、居住空間に風速の低い気流が送出されるため、人に風を感じさせずに居住空間にイオンを供給することができる。尚、複数の送風ファンによって異なる風速の気流を形成してもよい。
【0076】
また、開口部10dから送出される気流が開口部10a〜10cから送出される気流に隣接するので、風速の速い開口部10a〜10cから送出される気流に沿ってイオンを遠くまで供給することができる。
【0077】
また、開口部10a〜10cが上下に分割され、上部から吹き出される気流の風速が下部から吹き出される気流の風速よりも速いので、吹出口から送出される気流は上方へ行く程徐々に風速が増加する。これにより、気流の乱れが抑制され、送風効率を向上することができる。
【0078】
また、上下拡幅部7によって開口部10dから上下方向に拡大して気流が送出されるので、イオンを居住空間の上下方向に拡散させることができる。従って、居住空間にイオンをより十分に供給することができる。
【0079】
また、左右拡幅部8によって開口部10dから左右方向に拡大して気流が送出されるので、イオンを居住空間の左右方向に拡散させることができる。従って、居住空間にイオンをより十分に供給することができる。
【0080】
また、左右拡幅部8によって開口部10a〜10cから左右方向に拡大して気流が送出されるので、エアカーテンを確実に形成することができる。
【0081】
また、送風経路6が吹出口10を上下に分割する複数の分割通路11〜14を有し、上部の分割通路11〜13を流通する気流の風速が下部の分割通路14の風速よりも大きいので、上部の分割通路11〜13から居住空間上方に気流を送出することにより、該気流がエアカーテンとなって下部の分割通路14から送出される気流の拡散が防止される。これにより、イオンが居住空間の上方に拡散されず、居住空間にイオンを十分供給することができる。
【0082】
また、下部の分割通路14に微小粒子発生装置17を配したので、吹出口10の下部から送出される低速の気流にイオンが含まれ、人に風を感じさせずに居住空間にイオンを供給することができる。
【0083】
また、送風経路6が送風ファン5から上方に延びて前方に屈曲し、送風ファン5近傍から吹出口10に延びて分割通路11〜14を形成したので、分割通路11〜14によって流路断面の濡れぶち長さが大きくなるため気流が分割通路11〜14の壁面に沿いやすくなる。これにより、送風経路6の上部の風速を速くするとともに、気流の剥離を低減して気流の乱れを抑制することができる。
【0084】
また、送風経路6の上壁6Uの曲面部6aの中央と下壁6Dの曲面部6bの中央とを結ぶ位置よりも上流側から吹出口10に延びて分割通路11〜14を形成したので、下壁6Dから剥離する気流を低減し、気流の乱れを抑制することができる。
【0085】
また、下部の分割通路14を上部の分割通路11〜13よりも送風ファン5の排気口5cの内周側に配したので、上部の分割通路11〜13を流通する気流の風速をより速くすることができる。
【0086】
また、分割通路11〜14が上下拡幅部7を有し、上下拡幅部7の気流に垂直な断面を左右方向に延びるスリット状に形成したので、送風経路6を流通する気流が各分割通路11〜14の上下の壁面と接触する面積が大きくなる。これにより、分割通路11〜14を流通する気流を上下の壁面から剥離させずに上下方向に広げることができる。従って、居住空間の上下にイオンをより拡散させることができる。
【0087】
また、分割通路11〜14が上流側に対して下流側を拡幅して気流を左右方向に広げる左右拡幅部8を上下拡幅部7の下流側に有するので、左右方向に気流を広げて居住空間の左右にイオンをより拡散させることができるとともに、エアカーテンを広く形成して上方へのイオンの拡散を防止することができる。また、成形性がよく容易に送風経路6を形成することができる。
【0088】
また、左右拡幅部8は各分割通路11〜14を左右方向に分割した複数の細通路8aを有し、各細通路8aが上流側に対して下流側を左右に拡幅されるので、送風経路6を流通する気流は細通路8aの左右の壁面と接触する面積が大きくなる。これにより、細通路8aを流通する気流を左右の壁面から剥離させずに左右方向に広げることができる。
【0089】
また、微小粒子発生装置17が配される分割通路14は微小粒子発生装置17の上流側で流路を絞る絞り部14aが設けられるので、微小粒子発生装置17の上流側で気流が絞られて整流される。また、絞り部14aによって流速が速くなるため微小粒子発生装置17近傍のイオンの濃度が低下する。これにより、微小粒子発生装置17で多くのイオンを発生して気流に含ませることができる。尚、微小粒子発生装置17が配される位置に絞り部14aを設けてもよい。
【0090】
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態は前述の図7に示すように2つの分割通路11、14が上下に設けられる。これにより、吹出口10(図2参照)は上下に並設される2つの開口部10a、10d(図2参照)が形成され、開口部10a、10dから居室内に気流が送出される。微小粒子発生装置17は分割通路14に設けられる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0091】
図17、図18は本実施形態の微小粒子拡散装置1により居室のイオンの分布を調べた結果を示す図である。前述の図11と同様に、居室Rは高さが4800mm、幅6400mm、奥行6400mmである。微小粒子拡散装置1は一方の側壁W1の床面Fに設置し、側壁W1に対向する側壁W2に向かって気流を送出している。イオン濃度の測定は微小粒子拡散装置1の左右方向の中心を通る鉛直面Dについて行った。
【0092】
図18によると、前述の比較例の図14、図16に比して上方へのイオンの拡散が抑制され、居室R下部の居住空間のイオン濃度を高くすることができる。
【0093】
本実施形態によると、第1実施形態と同様に、上方に気流(第1気流)を送出する開口部10a(第1吹出口)を設け、該気流の下方に気流(第2気流)を送出する開口部10d(第2吹出口)が設けられる。そして、開口部10dから送出される気流にイオンを含み、開口部10aから送出される気流にイオンが含まれない。このため、開口部10aから送出される気流がエアカーテンとなって開口部10dから送出される気流に含まれるイオンが居住空間の上方に拡散されない。これにより、居住空間にイオンを十分供給することができる。尚、イオンの一部を開口部10dよりも低い濃度で開口部10aから送出してもよい。
【0094】
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態は3つの分割通路が上下に設けられる。これにより、前述の図10に示すように吹出口10(図2参照)は上下に並設される3つの開口部10a、10b、10dが形成され、開口部10a、10b、10dから室内に気流が送出される。微小粒子発生装置17は開口部10dを有する下部の分割通路に設けられる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0095】
開口部10a、10b、10dから送出される気流は図10に示すように上方から順に速度が変化する。これにより、渦流が発生せず、気流の乱れが低減される。そして、図19に示すように、開口部10a、10bからイオンを含まない気流が居住空間の上方に送出され、開口部10dからイオンを含む気流が居住空間に送出される。これにより、第1、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。尚、イオンの一部を開口部10dよりも低い濃度で開口部10a、10bから送出してもよい。
【0096】
次に、図20は第4実施形態の微小粒子拡散装置1を示す概略側面断面図である。説明の便宜上、前述の図1、図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は送風ファン5が軸方向に吸気して周方向に排気するシロッコファン若しくはターボファンから成っている。その他の部分は第1、第2実施形態と同様である。
【0097】
送風経路6は送風ファン5から上方に延びて前方に屈曲し、上下に分割された複数の分割通路11、14を有している。下方の分割通路14には微小粒子発生装置17が配される。分割通路14は微小粒子発生装置17が配される位置に絞り部14aが設けられる。
【0098】
シロッコファンやターボファンから成る送風ファン5は円板5g上に複数の翼5hが設けられ、軸方向に吸気して周方向に排気する。このため、円板5gは吸気口5aに対向して配置され、吸気口5a側に分割通路14が配されて円板5g側に分割通路11が配される。空気の粘性によって排気口5cの排気は吸込口5b側の風速が遅く、円板5g側の風速が速くなる。このため、円板5g側に上方の分割通路11を設けることにより、開口部10aから送出される気流の速度を速くできる。従って、吸気口5bは送風経路6が曲げられる側に配置される。
【0099】
本実施形態によると、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。尚、イオンの一部を開口部10dよりも低い濃度で開口部10aから送出してもよい。
【0100】
第1〜第4実施形態において、微小粒子拡散装置1は微小粒子発生装置17によりプラスイオンとマイナスイオンとを発生して吹出口10から送出して居室内の殺菌を行っている。微小粒子発生装置17によりマイナスイオンのみを発生して居室内のリラクゼーション効果を得る微小粒子拡散装置1であってもよい。また、微小粒子発生装置17により芳香剤、消臭剤、殺虫剤、殺菌剤等を発生して居室内の消臭、殺虫、殺菌等を行う微小粒子拡散装置1であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明によると、イオン、芳香剤、消臭剤、殺虫剤、殺菌剤等の微小粒子を送出して室内に拡散させる微小粒子拡散装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置を示す斜視図
【図2】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置を示す側面断面図
【図3】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の送風経路を示す側面断面図
【図4】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の送風経路の分割通路の機能を説明する側面断面図
【図5】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の送風経路の分割通路の機能を説明する側面断面図
【図6】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の送風経路の分割通路の機能を説明する側面断面図
【図7】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の送風経路の分割通路の機能を説明する側面断面図
【図8】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の送風経路の左右拡幅部を示す平面図
【図9】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の送風経路の風速を説明する側面断面図
【図10】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の送風経路の風速を説明する側面断面図
【図11】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置の居室内の送風状態を示す斜視図
【図12】本発明の第1実施形態の微小粒子拡散装置によるイオン濃度の測定結果を示す図
【図13】本発明の比較例の微小粒子拡散装置の居室内の送風状態を示す斜視図
【図14】本発明の比較例の微小粒子拡散装置によるイオン濃度の測定結果を示す図
【図15】本発明の比較例の微小粒子拡散装置の居室内の送風状態を示す斜視図
【図16】本発明の比較例の微小粒子拡散装置によるイオン濃度の測定結果を示す図
【図17】本発明の第2実施形態の微小粒子拡散装置の居室内の送風状態を示す斜視図
【図18】本発明の第2実施形態の微小粒子拡散装置によるイオン濃度の測定結果を示す図
【図19】本発明の第3実施形態の微小粒子拡散装置の居室内の送風状態を示す斜視図
【図20】本発明の第4実施形態の微小粒子拡散装置を示す側面断面図
【符号の説明】
【0103】
1 微小粒子拡散装置
2 本体筐体
3 吸込口
4 エアフィルタ
5 送風ファン
6 送風経路
6a、6b 曲面部
7 上下拡幅部
8 左右拡幅部
8a 細通路
10 吹出口
10a〜10d 開口部
11〜14 分割通路
17 微粒子発生装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に第1気流を送出する第1吹出口と、第1吹出口の下方に配されて第1気流の下方に第2気流を送出する第2吹出口と、微小粒子を発生する微小粒子発生装置とを備え、前記微小粒子発生装置で発生した微小粒子を送出するとともに、第1吹出口から送出される微小粒子の濃度が第2吹出口から送出される微小粒子の濃度よりも低いことを特徴とする微小粒子拡散装置。
【請求項2】
第1吹出口から微小粒子が送出されないことを特徴とする請求項1に記載の微小粒子拡散装置。
【請求項3】
第1気流の風速を第2気流の風速よりも速くしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微小粒子拡散装置。
【請求項4】
第2気流が第1気流に隣接することを特徴とする請求項3に記載の微小粒子拡散装置。
【請求項5】
第1吹出口を上下に分割し、第1吹出口の上部から吹き出される第1気流の風速を下部から吹き出される第1気流の風速よりも速くしたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の微小粒子拡散装置。
【請求項6】
第2吹出口から第2気流を上下方向に拡大して送出したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の微小粒子拡散装置。
【請求項7】
第2吹出口から第2気流を左右方向に拡大して送出したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の微小粒子拡散装置。
【請求項8】
第1吹出口から第1気流を左右方向に拡大して送出したことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の微小粒子拡散装置。
【請求項9】
第1吹出口の左右の幅が第1吹出口の高さに対して十分大きいことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の微小粒子拡散装置。
【請求項10】
微小粒子を発生する微小粒子発生装置を備え、送風ファンの駆動によって吹出口から微小粒子を送出する微小粒子拡散装置において、前記送風ファンと前記吹出口とを連結する送風経路が前記吹出口を上下に分割する複数の分割通路を有し、上部の前記分割通路を流通する気流の風速が下部の前記分割通路を流通する気流の風速よりも大きいことを特徴とをする微小粒子拡散装置。
【請求項11】
下部の前記分割通路に前記微小粒子発生装置を配したことを特徴とする請求項10に記載の微小粒子拡散装置。
【請求項12】
前記送風経路は前記送風ファンから上方に延びて前方に屈曲し、前記送風ファン近傍から前記吹出口に延びて前記分割通路を形成したことを特徴とする請求項10または請求項11に記載の微小粒子拡散装置。
【請求項13】
前記送風経路は上壁及び下壁が曲面部を有して前記送風ファンから上方に延びて前方に屈曲し、前記上壁の前記曲面部の中央と前記下壁の前記曲面部の中央とを結ぶ位置よりも上流側から前記吹出口に延びて前記分割通路を形成したことを特徴とする請求項10〜請求項12のいずれかに記載の微小粒子拡散装置。
【請求項14】
前記送風ファンがクロスフローファンから成り、下部の前記分割通路を上部の前記分割通路よりも前記送風ファンの内周側に配したことを特徴とする請求項10〜請求項13のいずれかに記載の微小粒子拡散装置。
【請求項15】
前記分割通路が上流側に対して下流側を拡幅して気流を上下方向に広げる上下拡幅部を有し、前記上下拡幅部の気流に垂直な断面を左右方向に延びるスリット状に形成したことを特徴とする請求項10〜請求項14のいずれかに記載の微小粒子拡散装置。
【請求項16】
前記分割通路が上流側に対して下流側を拡幅して気流を左右方向に広げる左右拡幅部を前記上下拡幅部の下流側に有することを特徴とする請求項15に記載の微小粒子拡散装置。
【請求項17】
前記左右拡幅部は各前記分割通路を左右方向に分割した複数の細通路を有し、各前記細通路が上流側に対して下流側を左右に拡幅されることを特徴とする請求項16に記載の微小粒子拡散装置。
【請求項18】
前記微小粒子発生装置が配される前記分割通路は前記微小粒子発生装置が配される位置またはその上流側で流路を絞る絞り部が設けられることを特徴とする請求項15〜請求項17のいずれかに記載の微小粒子拡散装置。
【請求項19】
前記微小粒子発生装置で発生する微小粒子が、イオン、芳香剤、消臭剤、殺虫剤、殺菌剤のいずれかを含むことを特徴とする請求項1〜請求項18のいずれかに記載の微小粒子拡散装置。
【請求項1】
上方に第1気流を送出する第1吹出口と、第1吹出口の下方に配されて第1気流の下方に第2気流を送出する第2吹出口と、微小粒子を発生する微小粒子発生装置とを備え、前記微小粒子発生装置で発生した微小粒子を送出するとともに、第1吹出口から送出される微小粒子の濃度が第2吹出口から送出される微小粒子の濃度よりも低いことを特徴とする微小粒子拡散装置。
【請求項2】
第1吹出口から微小粒子が送出されないことを特徴とする請求項1に記載の微小粒子拡散装置。
【請求項3】
第1気流の風速を第2気流の風速よりも速くしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微小粒子拡散装置。
【請求項4】
第2気流が第1気流に隣接することを特徴とする請求項3に記載の微小粒子拡散装置。
【請求項5】
第1吹出口を上下に分割し、第1吹出口の上部から吹き出される第1気流の風速を下部から吹き出される第1気流の風速よりも速くしたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の微小粒子拡散装置。
【請求項6】
第2吹出口から第2気流を上下方向に拡大して送出したことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の微小粒子拡散装置。
【請求項7】
第2吹出口から第2気流を左右方向に拡大して送出したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の微小粒子拡散装置。
【請求項8】
第1吹出口から第1気流を左右方向に拡大して送出したことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の微小粒子拡散装置。
【請求項9】
第1吹出口の左右の幅が第1吹出口の高さに対して十分大きいことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の微小粒子拡散装置。
【請求項10】
微小粒子を発生する微小粒子発生装置を備え、送風ファンの駆動によって吹出口から微小粒子を送出する微小粒子拡散装置において、前記送風ファンと前記吹出口とを連結する送風経路が前記吹出口を上下に分割する複数の分割通路を有し、上部の前記分割通路を流通する気流の風速が下部の前記分割通路を流通する気流の風速よりも大きいことを特徴とをする微小粒子拡散装置。
【請求項11】
下部の前記分割通路に前記微小粒子発生装置を配したことを特徴とする請求項10に記載の微小粒子拡散装置。
【請求項12】
前記送風経路は前記送風ファンから上方に延びて前方に屈曲し、前記送風ファン近傍から前記吹出口に延びて前記分割通路を形成したことを特徴とする請求項10または請求項11に記載の微小粒子拡散装置。
【請求項13】
前記送風経路は上壁及び下壁が曲面部を有して前記送風ファンから上方に延びて前方に屈曲し、前記上壁の前記曲面部の中央と前記下壁の前記曲面部の中央とを結ぶ位置よりも上流側から前記吹出口に延びて前記分割通路を形成したことを特徴とする請求項10〜請求項12のいずれかに記載の微小粒子拡散装置。
【請求項14】
前記送風ファンがクロスフローファンから成り、下部の前記分割通路を上部の前記分割通路よりも前記送風ファンの内周側に配したことを特徴とする請求項10〜請求項13のいずれかに記載の微小粒子拡散装置。
【請求項15】
前記分割通路が上流側に対して下流側を拡幅して気流を上下方向に広げる上下拡幅部を有し、前記上下拡幅部の気流に垂直な断面を左右方向に延びるスリット状に形成したことを特徴とする請求項10〜請求項14のいずれかに記載の微小粒子拡散装置。
【請求項16】
前記分割通路が上流側に対して下流側を拡幅して気流を左右方向に広げる左右拡幅部を前記上下拡幅部の下流側に有することを特徴とする請求項15に記載の微小粒子拡散装置。
【請求項17】
前記左右拡幅部は各前記分割通路を左右方向に分割した複数の細通路を有し、各前記細通路が上流側に対して下流側を左右に拡幅されることを特徴とする請求項16に記載の微小粒子拡散装置。
【請求項18】
前記微小粒子発生装置が配される前記分割通路は前記微小粒子発生装置が配される位置またはその上流側で流路を絞る絞り部が設けられることを特徴とする請求項15〜請求項17のいずれかに記載の微小粒子拡散装置。
【請求項19】
前記微小粒子発生装置で発生する微小粒子が、イオン、芳香剤、消臭剤、殺虫剤、殺菌剤のいずれかを含むことを特徴とする請求項1〜請求項18のいずれかに記載の微小粒子拡散装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−54076(P2010−54076A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217205(P2008−217205)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【特許番号】特許第4368408号(P4368408)
【特許公報発行日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【特許番号】特許第4368408号(P4368408)
【特許公報発行日】平成21年11月18日(2009.11.18)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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