微小電子エミッタの作製方法及びそれを用いて作製される微小電子エミッタ
【課題】簡単なプロセスで任意の位置・形状に微小電子エミッタを作製することができる微小電子エミッタの作製方法及びそれを用いて作製される微小電子エミッタを提供する。
【解決手段】微小電子エミッタの作製方法において、3次元CADを利用して設計した微小電子エミッタの微小立体構造物の三次元モデルから算出した描画データに基づいて、集束イオンビームの位置的、時間的制御を行い、絶縁性基部の中心部に形成される第1電極に接続されるカソード電極35と、前記絶縁性基部の外周面に被覆される第2電極に接続されるアノード電極36を形成する。
【解決手段】微小電子エミッタの作製方法において、3次元CADを利用して設計した微小電子エミッタの微小立体構造物の三次元モデルから算出した描画データに基づいて、集束イオンビームの位置的、時間的制御を行い、絶縁性基部の中心部に形成される第1電極に接続されるカソード電極35と、前記絶縁性基部の外周面に被覆される第2電極に接続されるアノード電極36を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外形の大きさがμmからnmオーダの微小立体構造を任意の寸法、形状、表面粗さ、材料で形成可能な集束イオンビーム励起表面反応を利用した化学気相成長法(FIB−CVD)を用いた微小電子エミッタの作製方法及びそれによって作製される微小電子エミッタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
微小なツールは従来、半導体製造プロセスである光または電子ビームを用いたリソグラフィによるパターン形成およびドライまたはウェットエッチングを用いて作製されている。CVDを用いて微小立体構造を作製する方法としては、光(レーザ)、集束電子ビーム(FEB)、FIB(下記特許文献1〜3,非特許文献1〜2参照)を用いたものがある。
【特許文献1】特開2004−345009号公報
【特許文献2】WO2004/077536号公報
【特許文献3】WO2004/076343号公報
【非特許文献1】S.Matsui,T. Kaito,J.Fujita,M.Komuro,K.Kanda and Y.Haruyama,J.Vac.Sci.& Technol.,B18,3181 (2000) .
【非特許文献2】T.Hoshino,K.Watanabe,R.Kometani,T.Morita,K.Kanda,Y.Haruyama,T.Kaito,J.Fujita,M.Ishida,Y.Ochiai,and S.Matsui,J.Vac.Sci.& Technol.,B21,2732 (2003) .
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電子銃として用いる微小電子エミッタは、半導体製造プロセスである光または電子ビームを用いたリソグラフィによるパターン形成、及びドライまたはウェットエッチングにより、作製されている。そのため微小電子エミッタ構造を形成するためには、複数のプロセスが必要であった。また、既存の材料を利用したものとしては、カーボンナノチューブを用いたものがあるが、任意の形状や場所に微小電子エミッタ構造を形成するのが困難であった。
【0004】
本発明は、上記状況に鑑みて、簡単なプロセスで任意の位置・形状に微小電子エミッタを作製することができる微小電子エミッタの作製方法及びそれを用いて作製される微小電子エミッタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔1〕微小電子エミッタの作製方法において、3次元CADを利用して設計した微小電子エミッタの微小立体構造物の三次元モデルから算出した描画データに基づいて、集束イオンビームの位置的、時間的制御を行い、絶縁性基部の中心部に形成される第1電極に接続されるカソード電極と、前記絶縁性基部の外周面に被覆される第2電極に接続されるアノード電極を形成することを特徴とする。
【0006】
〔2〕上記〔1〕記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記カソード電極は先端が針状体からなる外周面に曲面を有する突起状のDLCチップであり、前記アノード電極は先端が環状体からなるDLC支持柱を有し、その環状体の中心部に前記突起状のDLCチップの先端の針状体が位置することを特徴とする。
【0007】
〔3〕上記〔1〕記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記カソード電極がWピラー又はFeピラーからなることを特徴とする。
【0008】
〔4〕上記〔1〕記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記アノード電極がWピラー又はFeピラーからなることを特徴とする。
【0009】
〔5〕上記〔1〕記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記カソード電極及びアノード電極がWピラー又はFeピラーからなることを特徴とする。
【0010】
〔6〕上記〔1〕〜〔5〕の何れか一項記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記微小電子エミッタの絶縁性基部がガラスキャピラリーであることを特徴とする。
【0011】
〔7〕上記〔1〕〜〔5〕の何れか一項記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記微小電子エミッタの絶縁性基部がプローブであることを特徴とする。
【0012】
〔8〕微小電子エミッタであって、上記〔1〕〜〔7〕記載の何れか一項記載の微小電子エミッタの作製方法を用いて作製される。
【発明の効果】
【0013】
以上、詳細に説明したように、本発明により、以下のような効果を奏することができる。
【0014】
(A)FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を利用することで、任意の場所に任意の材料で任意の形状を有する微小電子エミッタの作製が可能である。
【0015】
(B)ガラスキャピラリーを利用した微小多端子電極の作製が可能であり、さまざまなデバイスへの適用が可能である。
【0016】
(C)FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を利用することにより得られた微小電子エミッタを応用して、さまざまなデバイスへの応用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の微小電子エミッタの作製方法は、3次元CADを利用して設計した微小電子エミッタの微小立体構造物の三次元モデルから算出した描画データに基づいて、集束イオンビームの位置的、時間的制御を行い、絶縁性基部の中心部に形成される第1電極に接続されるカソード電極と、前記絶縁性基部の外周面に被覆される第2電極に接続されるアノード電極を形成することを特徴とする。
【0018】
〔2〕上記〔1〕記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記カソード電極は先端が針状体からなる円柱状のDLC電極であり、前記アノード電極は先端が環状体からなるDLC支持柱を有し、その環状体の中心部に前記円柱状の電極の先端の針状体が位置するようにした。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
本発明者らはフェナントレンガス(原料ガス)を用いてDiamond−like Carbon (DLC) で構成されたナノワイングラス、コイル、ピラーなどのさまざまな微小立体構造物をFIB−CVDにより自由に作製することをこれまでに示している〔上記特許文献1〜3及び非特許文献1参照〕。
【0021】
図1は本発明にかかるFIB−CVDによる立体構造の形成原理を示す模式図である。
【0022】
そのFIB−CVDによる立体構造形成の模式図を図1に示している。
【0023】
この図に示すように、ここでは、電子計算機を利用して設計した微小立体構造物(ここでは微小電子エミッタ)の3次元モデルデータを基板1上の微小立体構造物2の先端の径方向と高さに分割して、その断面形状を算出して得られた積層構造の離散的な描画データに基づいて、ビームの照射位置、照射時間を決定し、集束イオンビーム4及びCVDのガス原料3を制御する。そのために、制御装置5は、CPU(中央処理装置)5A、微小電子エミッタの三次元モデルデータメモリ5B、データ入力装置5C、入出力インターフェース5D、表示装置5E等を備えている。
【0024】
そして、CVDのガス原料3をガスノズル(図示なし)から噴射し、基板1に吸着させ、その吸着原料分子にGa+ 集束イオンビーム4を照射することで微小立体構造物(微小電子エミッタ)2をCVDにより形成していくものである。独自に開発した3次元−CAMを用いてイオンビームを任意方向にスキャンさせることで任意形状の立体構造(微小電子エミッタ)を作製することが可能である。このFIBを用いた立体ナノ構造物の形成技術は、さまざまな立体ナノ構造デバイスを作製する上で非常に有効な技術である。
【0025】
ここでは、微小電子エミッタの作製を目的として、FIB−CVDにより堆積させたDLC・W・Feで形成したピラー構造の電界電子放出特性について調べた。
【0026】
図2は本発明にかかるFIB−CVDにより作製したピラー構造を示す図であり、図2(a)は上記したDLCピラー6を、図2(b)はタングステン(W)ピラー7を、図2(c)は鉄(Fe)ピラー8をそれぞれ示す図である。
【0027】
この図に示すDLC・W・Feピラー6,7,8は、それぞれFIB−CVDのためのガス原料としてフェナントレン(C14H10)・タングステンヘキサカルボニル〔W(CO)6 〕・フェロセン(Fe(C5 H5 )2 )を用いて作製した。DLC・W・Feピラー先端の曲率半径は、それぞれ30nm、39nm、50nmであった。電界電子放出実験は、図3のように室温でFIB装置の試料室内で行った。引き出し電極として、リング型のDLCアノード11をWプローブ12上に作製した。このWプローブ12上のリングアノード11の位置をマニピュレータ(図示なし)で制御することにより、DLC・W・Feピラー13の先端とリングアノード11の距離をそれぞれ、270nm、250nm、110nmに調整した。その測定の結果を、図4にグラフとして示す。図4において、横軸は印加電圧〔V〕、縦軸は電流〔μA〕である。
【0028】
DLC・W・Feピラーからの電界電子放出の閾値電圧はそれぞれ55V,180V、195Vであった。また、この測定データを基に図5に示すようなFowler−Nordheim (F−N)プロットを描いた。図5において、横軸は1000/V〔1/V〕を、縦軸はI/V2 〔A/V2 〕を示している。
【0029】
それにより、F−Nの式に従いF−Nプロットが線形の関係を有していたことから、測定電流が電界電子放出によるエミッション電流であることが示された。また、F−Nプロットの傾きは仕事関数に依存しているため、これら3種の材料の中ではDLCが一番小さな仕事関数を有していることが明らかとなった。
【0030】
次に、DLCピラーからの電界電子放出の電界依存性について調べた。リングアノードとDLCピラー先端の距離を270nm、440nm、460nmと変えた場合の電界電子放出のI−V特性を測定した。その結果、図6のようなI−V曲線が得られた。図6において、横軸は印加電圧〔V〕、縦軸は電流〔A〕、□は接触状態、リングアノードとDLCピラー先端の距離が、○は270nm、△は440nm、◇は460nmの場合である。また、そのデータを基にF−Nプロットを描き、測定電流が電子放出による物であることを確認した。リングアノードとDLCピラー先端の距離が近くなる程、電界放出の閾値電圧は小さくなっていることやF−Nプロット(図7)の傾きがなだらかになることから、DLCピラーからの電界電子放出の電界依存性を明瞭に示しているといえる。なお、図7において、横軸は1000/V〔1/V〕、縦軸はI/V2 〔A/V2 〕、リングアノードとDLCピラー先端の距離が、□は270nm、○は440nm、△は460nmの場合である。
【0031】
次に、FIB−CVDにより作製した微小電子エミッタの適用例について述べる。
【0032】
まず、FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を用いることで、図8に示すようなナノマニュファクチュアリングを目的としたナノツールを作製することが可能である。具体的には、さまざまな方向からのスポットデポジションを目的としたナノツール(微小な電子銃)を作製することが可能である。
【0033】
FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を用いることで、ガラスキャピラリー上に電子エミッタを作製することができるため、電子銃の小型化を行うことができる。つまり、微小な電子銃は位置の3次元的自由度が高く、マニピュレータ等で電子銃自体の位置制御を行えば、さまざまな方向へと電子を放出させることができる。
【0034】
以下、本発明の微小電子エミッタの作製方法について詳細に述べる。
【0035】
図9は本発明の実施例を示すガラスキャピラリーを利用した2端子電極の作製工程図である。
【0036】
まず、図9(a)に示すように、ガラスキャピラリー21内にAl−Niワイヤ22を通し、マイクロピペットプラーでガラスキャピラリー21とAl−Niワイヤ22を引き伸ばした。この工程で、ガラスキャピラリー21内にAl−Ni電極23を作製することができる。その後、図9(b)に示すように、DCスパッタリングによりガラスキャピラリー21の外周面にAuコーティングを行い、Au電極24を作製した。次に、図9(c)に示すように、FIBを用いたエッチングによりガラスキャピラリー先端25を成形し、ガラスキャピラリー21を利用してAl−Ni電極23とAu電極24からなる2端子電極26を作製した。この2端子電極26の作製方法を用いることにより、ガラスキャピラリーを用いて、3端子、4端子等の多端子電極の作製も可能であり、用途として微小電子エミッタのみに限定されるものではなく、マニピュレータ、センサ等のデバイスへの適用も可能である。
【0037】
図10は本発明の実施例を示す2端子電極を有したガラスキャピラリー上にFIB−CVDを用いて微小電子エミッタの作製工程図である。
【0038】
図10に示すように、2端子電極31(図9の2端子電極26に対応)を有するガラスキャピラリー32上にFIB−CVDを用いて微小電子エミッタの作製を行った。まず、図10(a)に示すように、Al−Ni電極33上に冷陰極(カソード)電極35をDLCで形成した。その後、図10(b)に示すように、DLCアノード電極36をAu電極34上に作製した。
【0039】
ここで、冷陰極(カソード)電極(第1電極)35は、先端が針状体35Aからなる外周面が曲面を有する突起状のDLCチップ35Bであり、前記アノード電極36は先端の環状体36Aとその環状体36Aを支持するDL支持柱36Bを有し、その環状体36Aの中心部に前記突起状のDLCチップ35Bの先端の針状体35Aが位置する。
【0040】
図11に2端子電極を有したガラスキャピラリー上に作製した微小電子源である微小電子エミッタのSEM像を示す。冷陰極(カソード)電極であるDLCチップ先端の曲率半径は50nmであり、DLCチップ先端とDLCアノード電極の距離は500nmである。電界電子放出特性評価を行った結果のI−V特性を図12に示す。図12において、横軸は印加電圧〔V〕、縦軸〔nA〕を示している。
【0041】
この図から明らかなように、180Vを閾値電圧として電子放出が起こった。また、測定したI−V曲線からF−Nプロット(図13)により測定電流が電子放出による物であることを確認した。なお、図13において、横軸は1000/V〔1/V〕、縦軸はI/V2 〔A/V2 〕を示している。
【0042】
また、上記したDLCカソード電極又はDLCアノード電極に代えて、図2に示したように、Wピラー及び又はFeピラーを用いるようにしてもよい。
【0043】
さらに、FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を用いることにより、微小電子エミッタアレイ等も作製することができ、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等への応用も可能である。
【0044】
上記にしたように、本発明によれば、
(1)FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を利用することで、任意の形状を有する微小電子エミッタを作製することが可能である。
【0045】
(2)FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を利用することで、シリコン基板上、AFMのカンチレバー上、ガラスキャピラリー上等の任意の場所に微小電子エミッタを作製することが可能である。
【0046】
(3)FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を利用することで、CVDのためのガス原料を選択することにより、任意の材料で微小電子エミッタを作製することが可能である。
【0047】
(4)ガラスキャピラリーを利用した微小多端子電極の作製が可能である。
【0048】
(5)FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を利用することで、任意の場所において微小電子エミッタを作製することが可能である。
【0049】
(6)FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を利用することにより得られた微小電子エミッタを応用して、さまざまなデバイスへの応用が可能である。
【0050】
さらに、本発明の微小電子エミッタの作製方法において、前記CVDは集束イオンビーム法または電子ビームCVD法によることができる。
【0051】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形・応用が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の微小電子エミッタは、電子を放出させることができる電子銃として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明にかかるFIB−CVDによる立体構造の形成原理を示す模式図である。
【図2】本発明にかかるFIB−CVDにより作製したピラー構造を示す図である。
【図3】電界電子放出実験概要図である。
【図4】電界電子放出実験装置による各材料からの電界電子放出のI−V特性図である。
【図5】電界電子放出実験装置による各材料からの電界電子放出のF−Nプロット図である。
【図6】DLCピラーからの電界電子放出のI−V特性図である。
【図7】DLCピラーからの電界電子放出のF−Nプロット図である。
【図8】ナノツールによるナノマニファクチュアリングの模式図である。
【図9】本発明の実施例を示すガラスキャピラリーを利用した2端子電極の作製工程図である。
【図10】本発明の実施例を示す2端子電極を有したガラスキャピラリー上にFIB−CVDを用いて作製した微小電子エミッタの作製工程図である。
【図11】2端子電極を有したガラスキャピラリー上に作製した微小電子源である微小電子エミッタのSEM像を示す図である。
【図12】ガラスキャピラリー上に作製した微小電子エミッタのI−V特性図である。
【図13】ガラスキャピラリー上に作製した微小電子エミッタのF−Nプロット図である。
【符号の説明】
【0054】
1 基板
2 微小立体構造物
3 CVDのガス原料
4 Ga+ 集束イオンビーム
5 制御装置
5A CPU(中央処理装置)
5B 微小電子エミッタの三次元モデルデータメモリ
5C データ入力装置
5D 入出力インターフェース
5E 表示装置
6 DLCピラー
7 タングステン(W)ピラー
8 鉄(Fe)ピラー
11 リング型のDLCアノード
12 Wプローブ
13 DLC・W・Feピラー
21 ガラスキャピラリー
22 Al−Niワイヤ
23,33 Al−Ni電極
24,34 Au電極
25 ガラスキャピラリー先端
26,31 2端子電極
32 ガラスキャピラリー
35 冷陰極(カソード)電極
36 DLCアノード電極
35A 針状体
35B 外周面が曲面を有する突起状のDLCチップ
36A 環状体
36B DL支持柱
【技術分野】
【0001】
本発明は、外形の大きさがμmからnmオーダの微小立体構造を任意の寸法、形状、表面粗さ、材料で形成可能な集束イオンビーム励起表面反応を利用した化学気相成長法(FIB−CVD)を用いた微小電子エミッタの作製方法及びそれによって作製される微小電子エミッタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
微小なツールは従来、半導体製造プロセスである光または電子ビームを用いたリソグラフィによるパターン形成およびドライまたはウェットエッチングを用いて作製されている。CVDを用いて微小立体構造を作製する方法としては、光(レーザ)、集束電子ビーム(FEB)、FIB(下記特許文献1〜3,非特許文献1〜2参照)を用いたものがある。
【特許文献1】特開2004−345009号公報
【特許文献2】WO2004/077536号公報
【特許文献3】WO2004/076343号公報
【非特許文献1】S.Matsui,T. Kaito,J.Fujita,M.Komuro,K.Kanda and Y.Haruyama,J.Vac.Sci.& Technol.,B18,3181 (2000) .
【非特許文献2】T.Hoshino,K.Watanabe,R.Kometani,T.Morita,K.Kanda,Y.Haruyama,T.Kaito,J.Fujita,M.Ishida,Y.Ochiai,and S.Matsui,J.Vac.Sci.& Technol.,B21,2732 (2003) .
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電子銃として用いる微小電子エミッタは、半導体製造プロセスである光または電子ビームを用いたリソグラフィによるパターン形成、及びドライまたはウェットエッチングにより、作製されている。そのため微小電子エミッタ構造を形成するためには、複数のプロセスが必要であった。また、既存の材料を利用したものとしては、カーボンナノチューブを用いたものがあるが、任意の形状や場所に微小電子エミッタ構造を形成するのが困難であった。
【0004】
本発明は、上記状況に鑑みて、簡単なプロセスで任意の位置・形状に微小電子エミッタを作製することができる微小電子エミッタの作製方法及びそれを用いて作製される微小電子エミッタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔1〕微小電子エミッタの作製方法において、3次元CADを利用して設計した微小電子エミッタの微小立体構造物の三次元モデルから算出した描画データに基づいて、集束イオンビームの位置的、時間的制御を行い、絶縁性基部の中心部に形成される第1電極に接続されるカソード電極と、前記絶縁性基部の外周面に被覆される第2電極に接続されるアノード電極を形成することを特徴とする。
【0006】
〔2〕上記〔1〕記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記カソード電極は先端が針状体からなる外周面に曲面を有する突起状のDLCチップであり、前記アノード電極は先端が環状体からなるDLC支持柱を有し、その環状体の中心部に前記突起状のDLCチップの先端の針状体が位置することを特徴とする。
【0007】
〔3〕上記〔1〕記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記カソード電極がWピラー又はFeピラーからなることを特徴とする。
【0008】
〔4〕上記〔1〕記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記アノード電極がWピラー又はFeピラーからなることを特徴とする。
【0009】
〔5〕上記〔1〕記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記カソード電極及びアノード電極がWピラー又はFeピラーからなることを特徴とする。
【0010】
〔6〕上記〔1〕〜〔5〕の何れか一項記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記微小電子エミッタの絶縁性基部がガラスキャピラリーであることを特徴とする。
【0011】
〔7〕上記〔1〕〜〔5〕の何れか一項記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記微小電子エミッタの絶縁性基部がプローブであることを特徴とする。
【0012】
〔8〕微小電子エミッタであって、上記〔1〕〜〔7〕記載の何れか一項記載の微小電子エミッタの作製方法を用いて作製される。
【発明の効果】
【0013】
以上、詳細に説明したように、本発明により、以下のような効果を奏することができる。
【0014】
(A)FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を利用することで、任意の場所に任意の材料で任意の形状を有する微小電子エミッタの作製が可能である。
【0015】
(B)ガラスキャピラリーを利用した微小多端子電極の作製が可能であり、さまざまなデバイスへの適用が可能である。
【0016】
(C)FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を利用することにより得られた微小電子エミッタを応用して、さまざまなデバイスへの応用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の微小電子エミッタの作製方法は、3次元CADを利用して設計した微小電子エミッタの微小立体構造物の三次元モデルから算出した描画データに基づいて、集束イオンビームの位置的、時間的制御を行い、絶縁性基部の中心部に形成される第1電極に接続されるカソード電極と、前記絶縁性基部の外周面に被覆される第2電極に接続されるアノード電極を形成することを特徴とする。
【0018】
〔2〕上記〔1〕記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記カソード電極は先端が針状体からなる円柱状のDLC電極であり、前記アノード電極は先端が環状体からなるDLC支持柱を有し、その環状体の中心部に前記円柱状の電極の先端の針状体が位置するようにした。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
本発明者らはフェナントレンガス(原料ガス)を用いてDiamond−like Carbon (DLC) で構成されたナノワイングラス、コイル、ピラーなどのさまざまな微小立体構造物をFIB−CVDにより自由に作製することをこれまでに示している〔上記特許文献1〜3及び非特許文献1参照〕。
【0021】
図1は本発明にかかるFIB−CVDによる立体構造の形成原理を示す模式図である。
【0022】
そのFIB−CVDによる立体構造形成の模式図を図1に示している。
【0023】
この図に示すように、ここでは、電子計算機を利用して設計した微小立体構造物(ここでは微小電子エミッタ)の3次元モデルデータを基板1上の微小立体構造物2の先端の径方向と高さに分割して、その断面形状を算出して得られた積層構造の離散的な描画データに基づいて、ビームの照射位置、照射時間を決定し、集束イオンビーム4及びCVDのガス原料3を制御する。そのために、制御装置5は、CPU(中央処理装置)5A、微小電子エミッタの三次元モデルデータメモリ5B、データ入力装置5C、入出力インターフェース5D、表示装置5E等を備えている。
【0024】
そして、CVDのガス原料3をガスノズル(図示なし)から噴射し、基板1に吸着させ、その吸着原料分子にGa+ 集束イオンビーム4を照射することで微小立体構造物(微小電子エミッタ)2をCVDにより形成していくものである。独自に開発した3次元−CAMを用いてイオンビームを任意方向にスキャンさせることで任意形状の立体構造(微小電子エミッタ)を作製することが可能である。このFIBを用いた立体ナノ構造物の形成技術は、さまざまな立体ナノ構造デバイスを作製する上で非常に有効な技術である。
【0025】
ここでは、微小電子エミッタの作製を目的として、FIB−CVDにより堆積させたDLC・W・Feで形成したピラー構造の電界電子放出特性について調べた。
【0026】
図2は本発明にかかるFIB−CVDにより作製したピラー構造を示す図であり、図2(a)は上記したDLCピラー6を、図2(b)はタングステン(W)ピラー7を、図2(c)は鉄(Fe)ピラー8をそれぞれ示す図である。
【0027】
この図に示すDLC・W・Feピラー6,7,8は、それぞれFIB−CVDのためのガス原料としてフェナントレン(C14H10)・タングステンヘキサカルボニル〔W(CO)6 〕・フェロセン(Fe(C5 H5 )2 )を用いて作製した。DLC・W・Feピラー先端の曲率半径は、それぞれ30nm、39nm、50nmであった。電界電子放出実験は、図3のように室温でFIB装置の試料室内で行った。引き出し電極として、リング型のDLCアノード11をWプローブ12上に作製した。このWプローブ12上のリングアノード11の位置をマニピュレータ(図示なし)で制御することにより、DLC・W・Feピラー13の先端とリングアノード11の距離をそれぞれ、270nm、250nm、110nmに調整した。その測定の結果を、図4にグラフとして示す。図4において、横軸は印加電圧〔V〕、縦軸は電流〔μA〕である。
【0028】
DLC・W・Feピラーからの電界電子放出の閾値電圧はそれぞれ55V,180V、195Vであった。また、この測定データを基に図5に示すようなFowler−Nordheim (F−N)プロットを描いた。図5において、横軸は1000/V〔1/V〕を、縦軸はI/V2 〔A/V2 〕を示している。
【0029】
それにより、F−Nの式に従いF−Nプロットが線形の関係を有していたことから、測定電流が電界電子放出によるエミッション電流であることが示された。また、F−Nプロットの傾きは仕事関数に依存しているため、これら3種の材料の中ではDLCが一番小さな仕事関数を有していることが明らかとなった。
【0030】
次に、DLCピラーからの電界電子放出の電界依存性について調べた。リングアノードとDLCピラー先端の距離を270nm、440nm、460nmと変えた場合の電界電子放出のI−V特性を測定した。その結果、図6のようなI−V曲線が得られた。図6において、横軸は印加電圧〔V〕、縦軸は電流〔A〕、□は接触状態、リングアノードとDLCピラー先端の距離が、○は270nm、△は440nm、◇は460nmの場合である。また、そのデータを基にF−Nプロットを描き、測定電流が電子放出による物であることを確認した。リングアノードとDLCピラー先端の距離が近くなる程、電界放出の閾値電圧は小さくなっていることやF−Nプロット(図7)の傾きがなだらかになることから、DLCピラーからの電界電子放出の電界依存性を明瞭に示しているといえる。なお、図7において、横軸は1000/V〔1/V〕、縦軸はI/V2 〔A/V2 〕、リングアノードとDLCピラー先端の距離が、□は270nm、○は440nm、△は460nmの場合である。
【0031】
次に、FIB−CVDにより作製した微小電子エミッタの適用例について述べる。
【0032】
まず、FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を用いることで、図8に示すようなナノマニュファクチュアリングを目的としたナノツールを作製することが可能である。具体的には、さまざまな方向からのスポットデポジションを目的としたナノツール(微小な電子銃)を作製することが可能である。
【0033】
FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を用いることで、ガラスキャピラリー上に電子エミッタを作製することができるため、電子銃の小型化を行うことができる。つまり、微小な電子銃は位置の3次元的自由度が高く、マニピュレータ等で電子銃自体の位置制御を行えば、さまざまな方向へと電子を放出させることができる。
【0034】
以下、本発明の微小電子エミッタの作製方法について詳細に述べる。
【0035】
図9は本発明の実施例を示すガラスキャピラリーを利用した2端子電極の作製工程図である。
【0036】
まず、図9(a)に示すように、ガラスキャピラリー21内にAl−Niワイヤ22を通し、マイクロピペットプラーでガラスキャピラリー21とAl−Niワイヤ22を引き伸ばした。この工程で、ガラスキャピラリー21内にAl−Ni電極23を作製することができる。その後、図9(b)に示すように、DCスパッタリングによりガラスキャピラリー21の外周面にAuコーティングを行い、Au電極24を作製した。次に、図9(c)に示すように、FIBを用いたエッチングによりガラスキャピラリー先端25を成形し、ガラスキャピラリー21を利用してAl−Ni電極23とAu電極24からなる2端子電極26を作製した。この2端子電極26の作製方法を用いることにより、ガラスキャピラリーを用いて、3端子、4端子等の多端子電極の作製も可能であり、用途として微小電子エミッタのみに限定されるものではなく、マニピュレータ、センサ等のデバイスへの適用も可能である。
【0037】
図10は本発明の実施例を示す2端子電極を有したガラスキャピラリー上にFIB−CVDを用いて微小電子エミッタの作製工程図である。
【0038】
図10に示すように、2端子電極31(図9の2端子電極26に対応)を有するガラスキャピラリー32上にFIB−CVDを用いて微小電子エミッタの作製を行った。まず、図10(a)に示すように、Al−Ni電極33上に冷陰極(カソード)電極35をDLCで形成した。その後、図10(b)に示すように、DLCアノード電極36をAu電極34上に作製した。
【0039】
ここで、冷陰極(カソード)電極(第1電極)35は、先端が針状体35Aからなる外周面が曲面を有する突起状のDLCチップ35Bであり、前記アノード電極36は先端の環状体36Aとその環状体36Aを支持するDL支持柱36Bを有し、その環状体36Aの中心部に前記突起状のDLCチップ35Bの先端の針状体35Aが位置する。
【0040】
図11に2端子電極を有したガラスキャピラリー上に作製した微小電子源である微小電子エミッタのSEM像を示す。冷陰極(カソード)電極であるDLCチップ先端の曲率半径は50nmであり、DLCチップ先端とDLCアノード電極の距離は500nmである。電界電子放出特性評価を行った結果のI−V特性を図12に示す。図12において、横軸は印加電圧〔V〕、縦軸〔nA〕を示している。
【0041】
この図から明らかなように、180Vを閾値電圧として電子放出が起こった。また、測定したI−V曲線からF−Nプロット(図13)により測定電流が電子放出による物であることを確認した。なお、図13において、横軸は1000/V〔1/V〕、縦軸はI/V2 〔A/V2 〕を示している。
【0042】
また、上記したDLCカソード電極又はDLCアノード電極に代えて、図2に示したように、Wピラー及び又はFeピラーを用いるようにしてもよい。
【0043】
さらに、FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を用いることにより、微小電子エミッタアレイ等も作製することができ、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等への応用も可能である。
【0044】
上記にしたように、本発明によれば、
(1)FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を利用することで、任意の形状を有する微小電子エミッタを作製することが可能である。
【0045】
(2)FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を利用することで、シリコン基板上、AFMのカンチレバー上、ガラスキャピラリー上等の任意の場所に微小電子エミッタを作製することが可能である。
【0046】
(3)FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を利用することで、CVDのためのガス原料を選択することにより、任意の材料で微小電子エミッタを作製することが可能である。
【0047】
(4)ガラスキャピラリーを利用した微小多端子電極の作製が可能である。
【0048】
(5)FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を利用することで、任意の場所において微小電子エミッタを作製することが可能である。
【0049】
(6)FIB−CVDによる微小電子エミッタの作製方法を利用することにより得られた微小電子エミッタを応用して、さまざまなデバイスへの応用が可能である。
【0050】
さらに、本発明の微小電子エミッタの作製方法において、前記CVDは集束イオンビーム法または電子ビームCVD法によることができる。
【0051】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形・応用が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の微小電子エミッタは、電子を放出させることができる電子銃として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明にかかるFIB−CVDによる立体構造の形成原理を示す模式図である。
【図2】本発明にかかるFIB−CVDにより作製したピラー構造を示す図である。
【図3】電界電子放出実験概要図である。
【図4】電界電子放出実験装置による各材料からの電界電子放出のI−V特性図である。
【図5】電界電子放出実験装置による各材料からの電界電子放出のF−Nプロット図である。
【図6】DLCピラーからの電界電子放出のI−V特性図である。
【図7】DLCピラーからの電界電子放出のF−Nプロット図である。
【図8】ナノツールによるナノマニファクチュアリングの模式図である。
【図9】本発明の実施例を示すガラスキャピラリーを利用した2端子電極の作製工程図である。
【図10】本発明の実施例を示す2端子電極を有したガラスキャピラリー上にFIB−CVDを用いて作製した微小電子エミッタの作製工程図である。
【図11】2端子電極を有したガラスキャピラリー上に作製した微小電子源である微小電子エミッタのSEM像を示す図である。
【図12】ガラスキャピラリー上に作製した微小電子エミッタのI−V特性図である。
【図13】ガラスキャピラリー上に作製した微小電子エミッタのF−Nプロット図である。
【符号の説明】
【0054】
1 基板
2 微小立体構造物
3 CVDのガス原料
4 Ga+ 集束イオンビーム
5 制御装置
5A CPU(中央処理装置)
5B 微小電子エミッタの三次元モデルデータメモリ
5C データ入力装置
5D 入出力インターフェース
5E 表示装置
6 DLCピラー
7 タングステン(W)ピラー
8 鉄(Fe)ピラー
11 リング型のDLCアノード
12 Wプローブ
13 DLC・W・Feピラー
21 ガラスキャピラリー
22 Al−Niワイヤ
23,33 Al−Ni電極
24,34 Au電極
25 ガラスキャピラリー先端
26,31 2端子電極
32 ガラスキャピラリー
35 冷陰極(カソード)電極
36 DLCアノード電極
35A 針状体
35B 外周面が曲面を有する突起状のDLCチップ
36A 環状体
36B DL支持柱
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元CADを利用して設計した微小電子エミッタの微小立体構造物の三次元モデルから算出した描画データに基づいて、集束イオンビームの位置的、時間的制御を行い、絶縁性基部の中心部に形成される第1電極に接続されるカソード電極と、前記絶縁性基部の外周面に被覆される第2電極に接続されるアノード電極を形成することを特徴とする微小電子エミッタの作製方法。
【請求項2】
請求項1記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記カソード電極は先端が針状体からなる外周面に曲面を有する突起状のDLCチップであり、前記アノード電極は先端が環状体からなるDLC支持柱を有し、その環状体の中心部に前記突起状のDLCチップの先端の針状体が位置することを特徴とする微小電子エミッタの作製方法。
【請求項3】
請求項1記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記カソード電極がWピラー又はFeピラーからなることを特徴とする微小電子エミッタの作製方法。
【請求項4】
請求項1記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記アノード電極がWピラー又はFeピラーからなることを特徴とする微小電子エミッタの作製方法。
【請求項5】
請求項1記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記カソード電極及びアノード電極がWピラー又はFeピラーからなることを特徴とする微小電子エミッタの作製方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記微小電子エミッタの絶縁性基部がガラスキャピラリーであることを特徴とする微小電子エミッタの作製方法。
【請求項7】
請求項1〜5の何れか一項記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記微小電子エミッタの絶縁性基部がプローブであることを特徴とする微小電子エミッタの作製方法。
【請求項8】
請求項1〜7記載の何れか一項記載の微小電子エミッタの作製方法を用いて作製される微小電子エミッタ。
【請求項1】
3次元CADを利用して設計した微小電子エミッタの微小立体構造物の三次元モデルから算出した描画データに基づいて、集束イオンビームの位置的、時間的制御を行い、絶縁性基部の中心部に形成される第1電極に接続されるカソード電極と、前記絶縁性基部の外周面に被覆される第2電極に接続されるアノード電極を形成することを特徴とする微小電子エミッタの作製方法。
【請求項2】
請求項1記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記カソード電極は先端が針状体からなる外周面に曲面を有する突起状のDLCチップであり、前記アノード電極は先端が環状体からなるDLC支持柱を有し、その環状体の中心部に前記突起状のDLCチップの先端の針状体が位置することを特徴とする微小電子エミッタの作製方法。
【請求項3】
請求項1記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記カソード電極がWピラー又はFeピラーからなることを特徴とする微小電子エミッタの作製方法。
【請求項4】
請求項1記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記アノード電極がWピラー又はFeピラーからなることを特徴とする微小電子エミッタの作製方法。
【請求項5】
請求項1記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記カソード電極及びアノード電極がWピラー又はFeピラーからなることを特徴とする微小電子エミッタの作製方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記微小電子エミッタの絶縁性基部がガラスキャピラリーであることを特徴とする微小電子エミッタの作製方法。
【請求項7】
請求項1〜5の何れか一項記載の微小電子エミッタの作製方法において、前記微小電子エミッタの絶縁性基部がプローブであることを特徴とする微小電子エミッタの作製方法。
【請求項8】
請求項1〜7記載の何れか一項記載の微小電子エミッタの作製方法を用いて作製される微小電子エミッタ。
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図12】
【図13】
【図1】
【図2】
【図3】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図5】
【図6】
【図7】
【図12】
【図13】
【図1】
【図2】
【図3】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−149524(P2007−149524A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343356(P2005−343356)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年9月7日から11日 社団法人応用物理学会主催の「2005年(平成17年)秋季 第66回 応用物理学会学術講演会」において文書をもって発表
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年9月7日から11日 社団法人応用物理学会主催の「2005年(平成17年)秋季 第66回 応用物理学会学術講演会」において文書をもって発表
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】
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