説明

微生物による有機系液体廃棄物の分解・処理装置及び方法

【課題】 有機系液体廃棄物を効率よく分解処理でき、しかも含まれている放射性物質や有害物質が外部に漏れ出ないようにする。また、遠隔操作によって機器の交換・保守を行うことができ、そのため放射性物質や有害物質を含む有機系液体廃棄物を取り扱うことができるようにする。
【解決手段】 処理すべき有機系液体廃棄物を貯留している廃液貯槽10と、攪拌装置12と加熱装置14が付設され内部に微生物培養チップ及び/又は微生物培養液が入れられるバイオ反応槽16と、廃液貯槽中の有機系液体廃棄物をバイオ反応槽に送液するポンプ18と、前記バイオ反応槽の排気系に設置された有害物質移行阻止部(オイルトラップ20)及び分解ガスモニター22を具備し、それらが配管及び接続ジョイントで連結されていて、バイオ反応槽内で微生物によって有機系液体廃棄物を分解し無害なガスに変換させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物を利用して有機系液体廃棄物を分解・処理する装置及び方法に関するものである。この技術は、特に核燃料再処理施設から発生する放射性物質を含む使用済みTBP(リン酸トリブチル)−ドデカン廃液の処理・処分に有効である。
【背景技術】
【0002】
核燃料再処理施設では、ピューレックス法が採用されていることから、溶媒抽出工程に用いられた使用済みの30%TBP(リン酸トリブチル)−70%ドデカンが有機廃液として発生する。現状では、このような放射性物質を含む有機廃液は、特殊な施設でプラスチック(エポキシ)固化体として処理され、保管管理されている。また、β放射性核種の分析には液体シンチレーション法が用いられており、使用済みの液体シンチレータが発生する。分析に使用した液体シンチレータは、焼却処理された後、保管管理されているが、液体シンチレータには塩素が含まれているため、焼却炉に損傷を与えている。更に、原子力発電所、再処理施設、放射性同位元素使用施設などの管理区域内の給排気設備、コンプレッサー、エレベーターなどからは放射化された(もしくは放射化された恐れのある)使用済みの機械油やギア油などが発生する。これらの廃油は、処理されずに保管管理されている。従って、放射性物質などを含む有機系液体廃棄物は、膨大な保管スペースを必要とし、厳重な管理が要求される。
【0003】
ところで、有機廃液を処理する技術として、微生物を利用して有機廃液を発酵させて分解する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、有機物を分解する微生物と液を保持する物質とを収納した有機物分解反応槽と、該反応槽内の温度検出手段と、反応槽内に供給する廃液の量を調整する弁を具備し、反応槽内の温度に基づいて弁の開閉動作を制御するように構成されている。その他、微生物を利用する有機廃棄物の分解・処理装置は、既に数多く提案されている。
【0004】
しかし、これら従来の技術は、水溶液中に含まれている鉱物油及び植物油などの有機廃液の処理であり、有機物100%の有機系液体廃棄物を分解・処理することは全く行われていない。また、放射性物質や有害物質を含む有機系液体廃棄物を分解・処理することも全く行われていない。従来の装置では、放射性物質などが外部に漏れ出るのを防ぐ手段が全く設けられていないし、遠隔操作に対応しておらず、装置の保守も難しい。また、前記の従来装置は、反応槽内温度に基づいて廃液供給量を制御する方式であるため、反応槽への廃液の供給量や供給のタイミングを最適化することが困難であり、微生物の活動を十分に行わせることが難しい。
【特許文献1】特開平9−253678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、有機物ほぼ100%の有機系液体廃棄物を効率よく分解処理でき、しかも含まれている放射性物質や有害物質が外部に漏れ出ないようにすることである。また、遠隔操作によって機器の交換・保守を行うことができ、そのため放射性物質や有害物質を含む有機系液体廃棄物を取り扱えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、処理すべき有機系液体廃棄物を貯留している廃液貯槽と、攪拌装置と加熱装置が付設され内部に微生物培養チップ及び/又は微生物培養液が入れられるバイオ反応槽と、前記廃液貯槽中の有機系液体廃棄物を前記バイオ反応槽に送液するポンプと、前記バイオ反応槽の排気系に設置された有害物質移行阻止部及び分解ガスモニターを具備し、それらが配管及び接続ジョイントで連結されていて、前記バイオ反応槽内で微生物により有機系液体廃棄物を分解し無害なガスに変換させるようにしたことを特徴とする微生物による有機系液体廃棄物の分解・処理装置である。
【0007】
有害物質移行阻止部は、例えばオイルトラップあるいはスクラバーなどである。オイルトラップとは、バイオ反応槽で微生物と反応する前にあるいは反応せずに揮発した油分、溶媒などの有機廃液を回収する装置であり、油分と水分との比重の差を利用して浮上分離させて捕集する方式や吸着剤に油分を吸着させる方式など任意のものでよい。またスクラバーとは、気体状の有害物質を、シャワー状の洗浄用液体と向流接触させることで取り除く装置であり、例えば排気中の塩素、NOx、SOx等の有害ガス、油分をアルカリ性の溶液等と接触させ、中和反応等により排気から回収する方式でよい。分解ガスモニターは、例えばガスクロマトグラフを応用し、連続あるいは定期的に排気の一部をサンプリングし、排気中のガス濃度をモニタリングするものである。その他、熱伝導度検出器などのガス検知装置も使用可能である。
【0008】
分解ガスモニターによりバイオ反応槽内の反応状況を監視し、ポンプによる有機系液体廃棄物のバイオ反応槽内への送液を制御するのが好ましい。バイオ反応槽内で微生物によって有機系液体廃棄物が分解されるが、その際にメタン、エタン、二酸化炭素などの分解ガスが発生する。これらを分解ガスモニターで観測すると、反応終了間近であればガスの生成量が減少するので、次に分解すべき有機系液体廃棄物をバイオ反応槽内に供給するタイミングを制御することができる。
【0009】
本発明において、処理すべき有機系液体廃棄物として想定しているのは、有機物ほぼ100%の液体廃棄物であり、特に核燃料再処理施設から発生する放射性物質を含む使用済みの30%TBP−ドデカン廃液である。微生物培養チップ及び/又は微生物培養液に用いる微生物は、多くの有機化合物を分解する微生物に、処理対象である有機系液体廃棄物を与えて馴化・培養して選択した処理対象に適した分解微生物とする。分解微生物が好気性微生物の場合には、付設した送気装置によりバイオ反応槽内に空気を吹き込み生成する分解ガスを排気系に送るようにする。
【0010】
また本発明は、これら微生物による有機系液体廃棄物の分解・処理装置を使用し、バイオ反応槽内に微生物培養チップ及び/又は微生物培養液を入れ、その重量に対して適切な混合比となるように処理すべき有機系液体廃棄物を供給し、その後、有機系液体廃棄物の分解進行に従って有機系液体廃棄物を徐々に送液し、バイオ反応槽内の残渣が一定量に達するまで微生物培養チップ及び/又は微生物培養液を交換せず、バイオ反応槽内の残渣が一定量に達した段階で取り出すようにしたことを特徴とする微生物による有機系液体廃棄物の分解・処理方法である。
【0011】
分解微生物を天然植物系素材に保持させた微生物培養チップを使用した場合には、取り出した残渣を焼却することにより減容化を図ることができる。
【0012】
本発明は、核燃料再処理施設から発生する放射性物質を含む使用済みの30%TBP−ドデカン廃液のみならず、原子力関連施設から排出される液体シンチレータ廃液や各種の機械油などの分解・処理に適用できるし、あるいはPCB(ポリ塩化ビフェニール)など有害物質を含む有機系液体廃棄物、更には機械の潤滑油、機械油、車のエンジンオイルの分解・処理などにも適用できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る分解・処理装置及び方法は、バイオ反応槽内に微生物培養チップ及び/又は微生物培養液を入れ、その重量に対して適切な混合比となるように処理すべき有機系液体廃棄物を供給するように構成しているので、バイオ反応槽内で微生物により100%有機物の液体廃棄物を分解し無害なガスに変換させることができ、有機系液体廃棄物を効率よく分解処理することができる。
【0014】
そして本発明によれば、バイオ反応槽の排気系に有害物質移行阻止部及び分解ガスモニターが設けられているので、バイオ反応槽内に含まれている放射性物質や有害物質が外部に漏れ出る恐れはないし、反応の状況を監視できる。更に、ワンタッチ着脱式の接続ジョイントを有する配管で機器間を接続しているため、遠隔操作によって機器の交換・保守を行うことができ、放射性物質や有害物質を含む有機系液体廃棄物を安全に取り扱うことができるようになる。
【0015】
従って、本発明によれば、放射性物質や有害物質などを含む有機系液体廃棄物を安全かつ簡易な装置で分離することが可能とある。なお、分解されない金属元素等は微生物培養チップから分離し、それぞれの方法で処理することも可能である。使用済みの微生物培養チップは、最終的には焼却処分でき、焼却後の廃棄物の量を初期の有機系液体廃棄物の量に対して大幅に減容することが可能である。また、本発明は分解の段階では、燃焼を伴わないため、発生する分解ガスは、環境への負荷の低減に繋がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る微生物による有機系液体廃棄物の分解・処理装置の典型的な構成例を図1に示す。また、それに組み込まれているバイオ反応槽の外観を図2に示す。本装置は、処理すべき有機系液体廃棄物を貯留している廃液貯槽10と、攪拌装置12と加熱装置14が付設され内部に微生物培養チップ及び/又は微生物培養液が入れられるバイオ反応槽16と、前記廃液貯槽10中の有機系液体廃棄物を前記バイオ反応槽16に送液するポンプ18と、前記バイオ反応槽16の排気系に設置されたオイルトラップ20(あるいはスクラバー)及び分解ガスモニター22を具備し、それらが配管及びワンタッチ着脱式の接続ジョイントで連結されている構造である。ここで、オイルトラップ20やスクラバーは、ミスト状あるいはガス状の有害物質が外部へ移行するのを阻止する機能を果たすものである。
【0017】
ここでバイオ反応槽16は密閉形式である。図2に示すように、外周に加熱装置(ヒーター)14が設けられ、上部に攪拌装置12の駆動部(モーター)が設けられる。また上部に廃液供給口24が開口し、微生物培養チップ及び/又は微生物培養液の投入口(密閉式)26が設けられる。更に、上部には送気装置28と排気口30が設けられ、底部には開閉弁を備えた排出口32が設けられる。バイオ反応槽16の内部には、図1に示すように、攪拌装置12の攪拌翼が上部から回転自在に吊設され、温度計や液位検知器など各種センサが組み込まれている。
【0018】
図3は制御系統の一例を示すブロック図である。コンピュータを組み込んだ制御装置40によって各機器が制御される。有機系液体廃棄物は、バイオ反応槽16内で微生物により水、二酸化炭素、メタン、エタンなどに分解される。これらの分解生成物は、排気系に送られるため、これらの量を分解ガスモニター22によって連続的あるいは定期的に測定することにより、バイオ反応槽16内の微生物による反応状況が把握できる。例えば、バイオ反応槽16内における有機系液体廃棄物の分解終了後に、新たに有機系液体廃棄物をバイオ反応槽16内に供給する必要があるが、排気中の二酸化炭素の濃度が減少すれば、概ね有機系液体廃棄物の分解が終了したことを示しているので、二酸化炭素の濃度を測定することにより、有機系液体廃棄物のバイオ反応槽16内への送液を制御することが可能となる。また、排ガス中のNOx、SOxの濃度をモニタリングすることにより、スクラバーの運転を制御することもできる。このようにして、各種センサからの信号に基づき、ポンプ18、攪拌装置12、加熱装置14、及び送風装置28などの動作が、制御装置40で適切に制御されることになる。
【0019】
本装置は、特に放射性物質あるいは放射化された物質を含む有機系液体廃棄物を分解・処理の対象としている。応用例としては、自動車のエンジンオイル等の一般産業界で発生する有機系液体廃棄物の分解、PCBのような有害物質の分解、有機系液体廃棄物からの有用金属の回収等も可能である。
【0020】
本発明では、バイオ反応槽16内に予め所定重量の微生物培養チップ及び/又は微生物培養液を入れておき、その重量に対して適切な混合比となるように、処理すべき有機系液体廃棄物を廃液貯槽10のレベル計を確認しながら、ポンプ18によってバイオ反応槽16に徐々に送液する。その後は有機系液体廃棄物の分解時間に従って、分解ガスモニター22からの信号により、ポンプ18を制御し有機系液体廃棄物を徐々に送液する。また、バイオ反応槽16内に設置した液位検知器により、分解処理、蒸発等によって、液位がある設定値以下になった場合には有機系液体廃棄物を送液し、設定値に達した段階で送液を停止するように制御する。バイオ反応槽16内の温度は、有機物の分解に伴って上昇するが、最初の送液時には備え付けの加熱装置14で分解に適した温度(例えば35℃程度)になるまで加熱する。なお、バイオ反応槽内の温度、湿度(水分)等は各種センサーによって計測され、制御される。
【0021】
バイオ反応槽16に送られた有機系液体廃棄物は、バイオ反応槽16内の微生物によって主に無害な水、二酸化炭素、メタン、エタン等に分解される。この過程で、バイオ反応槽16に設置されている撹拌装置12で有機系液体廃棄物と微生物を定期的に撹拌し、微生物との接触機会を向上させることにより、有機系液体廃棄物の分解を促進することができる。分解によって生成したガスは、好気性微生物を使用する場合は、送気装置28により空気を送ることで排気系へ送られる。また、嫌気性微生物を使用する場合に生成するガスは、バイオ反応槽内の温度によって徐々に排気系へ送られる。なお、排気系に設置されているオイルトラップ20などは、有機物が大気へ放出されないように移行を阻止する機能を果たす。バイオ反応槽16内は、常に有機系液体廃棄物の分解と分解微生物の生息に適した温度と湿度に維持・管理されており、必要に応じて微生物の栄養剤である窒素やリンを供給する。
【0022】
微生物による分解が進行するにつれて、バイオ反応槽16内には有機系液体廃棄物に含まれていた金属元素、放射性物質等が残留するが、ある一定量に達した段階で、バイオ反応槽16内の微生物培養チップ及び/又は微生物培養液を交換する。逆に言うと、バイオ反応槽16内の残渣が一定量に達するまでは微生物培養チップ及び/又は微生物培養液を交換せず、バイオ反応槽16内の残渣が一定量に達した段階で取り出す。なお、放射性物質、金属元素を含む廃液は、微生物培養チップを用いることで、焼却による減容化処理が可能となる。
【0023】
本装置の一つの特徴は、故障の原因となる駆動機器を極力少なくし、一般に使用されているポンプと撹拌装置用モーターのみを使用しており、稼働率の高いシステムが構築できることである。また、バイオ反応槽内の温度と湿度(水分)を適切な条件で維持管理することにより、有機系液体廃棄物を分解する微生物の培養が可能であり、残渣がバイオ反応槽内である一定量になるまで、微生物培養チップまたは微生物培養液を交換する必要はないため、管理も容易となることである。ここで、微生物培養チップ及び/又は微生物培養液に用いる微生物は、多くの有機化合物を分解する微生物に、処理対象である有機系液体廃棄物を与えて馴化・培養し選択することで得ることができる。この分解微生物をオガクズ等セルロース系の固相に保持させたものが微生物培養チップである。なお、微生物培養液をそのまま使用することも可能である。
【0024】
また本装置は、有機系液体廃棄物の処理量に応じたプロセスの設計が可能であり、上記のように、有機系液体廃棄物またはこれに含まれる有害物質の種類によって、分解・処理に用いる微生物の種類を選択することができる。バイオ反応槽内の温度、湿度(水分)、有機系液体廃棄物と微生物培養チップの混合比、撹拌頻度、pH等の主要な運転条件は、事業者が分解・処理する有機系液体廃棄物の種類によって選択できる。
【実施例】
【0025】
ピューレックス法を採用している核燃料再処理施設で発生する有機系液体廃棄物の分解・処理を想定して、模擬の有機系液体廃棄物(模擬有機廃液)として30%TBP(リン酸トリブチル)−ドデカンを使用し、微生物培養チップによる分解試験を実施した。微生物培養チップは、天然植物系素材に、多くの有機化合物を分解する微生物を保持させたものである。有機物は、吸着後、最終的に水と炭酸ガスに分解される。使用した微生物培養チップは、天然植物系素材からできているため、焼却処理が可能である。
【0026】
分解試験は、ビーカーに微生物培養チップを一定重量採取し、これに模擬有機廃液を加え、その重量比を変えて(微生物培養チップと模擬有機廃液との重量比を1:0.1〜1:0.5の間で変化させ)実施した。分解試験では、温度を室温と35℃とし、各測定条件における重量変化を測定し、分解率を求めた。
【0027】
その結果、前記重量比が1:0.1の場合、室温では約2週間で、35℃では約5日で100%分解できることを確認した。結果を図4に示す。なお、模擬有機廃液量の増加に伴い分解時間が長くなった。
【0028】
次に、液体シンチレータ及び機械油(鉱物油)についても分解試験を行った。液体シンチレータは揮発性の有機溶媒で希釈されているため、予め有機溶媒を揮発させた後、分解試験を実施した。その結果、室温でも35℃でも共に低い分解率であった。この原因は、液体シンチレータの溶媒が揮発してしまうと粘性が高くなり、微生物培養チップとの接触が妨げられるためではないかと推定された。そこで、30%TBP−ドデカンとの混合を行い、粘性を低下させることで分解率の向上を試みた。機械油についても同様に、30%TBP−ドデカンとの混合を行い、粘性を低下させることで分解率の向上を試みた。その結果、30%TBP−ドデカンで希釈した液体シンチレータ及び機械油は共に、100%分解できることが確認できた。
【0029】
微生物培養チップと各種有機廃液との重量比を1:0.1とし、35℃で分解処理したときに100%分解するのに要する日数を図5に示す。30%TBP−ドデカンで10倍に希釈した液体シンチレータは約5日間で、30%TBP−ドデカンで10倍に希釈した機械油は約7日間で、それぞれ100%分解した。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る微生物による有機系液体廃棄物の分解・処理装置の構成例を示す説明図。
【図2】そのバイオ反応槽の一例を示す外観図。
【図3】制御系統の一例を示すブロック図。
【図4】30%TBP−ドデカンの分解試験の結果を示す図。
【図5】各種有機廃液の100%分解に要する日数を示す図。
【符号の説明】
【0031】
10 廃液貯槽
12 攪拌装置
14 加熱装置
16 バイオ反応槽
18 ポンプ
20 オイルトラップ
22 分解ガスモニター
24 廃液供給口
26 微生物培養チップ及び/又は微生物培養液の投入口(密閉式)
28 送気装置
30 排気口
32 排出口
40 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理すべき有機系液体廃棄物を貯留している廃液貯槽と、攪拌装置と加熱装置が付設され内部に微生物培養チップ及び/又は微生物培養液が入れられるバイオ反応槽と、前記廃液貯槽中の有機系液体廃棄物を前記バイオ反応槽に送液するポンプと、前記バイオ反応槽の排気系に設置された有害物質移行阻止部及び分解ガスモニターを具備し、それらが配管及び接続ジョイントで連結されていて、前記バイオ反応槽内で微生物により有機系液体廃棄物を分解し無害なガスに変換させるようにしたことを特徴とする微生物による有機系液体廃棄物の分解・処理装置。
【請求項2】
分解ガスモニターによりバイオ反応槽内の反応状況を監視し、ポンプによる有機系液体廃棄物のバイオ反応槽内への送液を制御する請求項1記載の微生物による有機系液体廃棄物の分解・処理装置。
【請求項3】
有害物質移行阻止部が、オイルトラップ又はスクラバーである請求項1又は2記載の微生物による有機系液体廃棄物の分解・処理装置。
【請求項4】
処理すべき有機系液体廃棄物が、核燃料再処理施設から発生する放射性物質を含む使用済みのリン酸トリブチル−ドデカン廃液である請求項1乃至3のいずれかに記載の有機系液体廃棄物の分解・処理装置。
【請求項5】
微生物培養チップ及び/又は微生物培養液に用いる微生物は、多くの有機化合物を分解する微生物に、処理対象である有機系液体廃棄物を与えて馴化・培養して選択した分解微生物である請求項1乃至4のいずれかに記載の有機系液体廃棄物の分解・処理装置。
【請求項6】
分解微生物が好気性微生物であり、付設した送気装置によりバイオ反応槽内に空気を吹き込み生成する分解ガスを排気系に送るようにした請求項1乃至5のいずれかに記載の有機系液体廃棄物の分解・処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の微生物による有機系液体廃棄物の分解・処理装置を使用し、バイオ反応槽内に微生物培養チップ及び/又は微生物培養液を入れ、その重量に対して適切な混合比となるように処理すべき有機系液体廃棄物を供給し、その後、有機系液体廃棄物の分解進行に従って有機系液体廃棄物を徐々に送液し、バイオ反応槽内の残渣が一定量に達するまで微生物培養チップ及び/又は微生物培養液を交換せず、バイオ反応槽内の残渣が一定量に達した段階で取り出すようにしたことを特徴とする微生物による有機系液体廃棄物の分解・処理方法。
【請求項8】
分解微生物を天然植物系素材に保持させた微生物培養チップを使用し、取り出した残渣を焼却することにより減容化する請求項7記載の微生物による有機系液体廃棄物の分解・処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−69174(P2007−69174A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−261939(P2005−261939)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年3月11日 社団法人日本原子力学会発行の「日本原子力学会 2005年(第43回)春の年会 要旨集 第3分冊(総論,核燃料サイクルと材料)」に発表
【出願人】(000224754)核燃料サイクル開発機構 (51)
【Fターム(参考)】