説明

微粉末製造方法

【課題】平均粒径4〜10[μm]という粒径で微粉体の少ないシャープな粒度分布を有する粉体を機械式粉砕機製造するに際し、製造時の発熱や消費電力を低く抑える。
【解決手段】ロータ2とステータ3とが所定の空隙を保つように配置された粉砕室4を有し、該粉砕室4に供給された原料粉体5が、前記ロータ2の回転に伴って、ロータ2、ステータ3及び原料粉体5同士の衝突により微粉砕される機械式粉砕機1を用いた微粉末製造方法において、前記粉砕機1内をヘリウムガス又はヘリウムガスと空気との混合ガスで満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式粉砕機によって微粉末を製造する方法に関し、特に、微粉末製造時の発熱や消費電力を低く抑えることができる微粉末製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粉砕機により微粉末を製造する方法において、粉砕機に投入する原料粉体の粒径を30[μm]程度とした場合、粉砕平均粒径が4〜10[μm]、生産量が150〜200[kg/h]の微粉末を生産できる粉砕機としては、気流衝突式粉砕機、気流対向式粉砕機、機械式粉砕機が挙げられる。
気流衝突式粉砕機は、ジェット気流によって原料粉体を加速し、加速された粉体を衝突板に強制的に衝突させて粉砕を行なう点に特徴がある。気流衝突式粉砕機としては、例えば日本ニューマチック工業社製IDSシリーズが挙げられる。
気流対向式粉砕機は、対向するジェット気流によって原料粉体を加速し、加速された粉体同士を衝突させて粉砕を行なう点に特徴がある。気流対向式粉砕機としては、例えば日本ニューマチック工業社製PJM−I、ホソカワミクロン社製ミクロンジェットミル及びカウンタジェットミル、栗本鐵工社製クロスジェットミルが挙げられる。
上記の気流衝突式粉砕機及び気流対向式粉砕機は、原料粉体を超高速なジェット気流とともに噴出して、衝突板もしくは粉体同士衝突させることによって粉砕する構成を有するため、平均粒径が4〜10[μm]の微粉末を得ることが可能である。
しかしながら、上述した気流衝突式粉砕機及び気流対向式粉砕機は、ジェット気流により原料粉体を加速させるため、多量のエアーを必要とし、このため電力消費が極めて多く、エネルギーコスト及び環境負荷が高いという観点から問題が多い。
また、平均粒径4〜10[μm]の微粉末を得ようとすると、過粉砕により発生する微粉量が多くなり、後工程として分級工程を必要とするため、歩留まりの低下に繋がってしまう。
これに対し、エネルギーコスト及び環境負荷を低減するという観点から、気流衝突式粉砕機及び気流対向式粉砕機よりも効率的な粉砕機として、機械式粉砕機が用いられている。上述した通り機械式粉砕機は、高速回転するロータとステータの間に存在する空隙に原料粉体を供給することにより粉砕する。従って、機械式粉砕機ではジェット気流を必要とせず、粉砕の際の圧縮エアー消費がほとんどない。そのため、省エネルギーで平均粒径4〜10[μm]の微粉末を得ることが可能である。しかも過粉砕されることが少ないため、不必要な微粉末の発生が少なく済み、後工程として分級工程を必要としない。
また、機械式粉砕機を用いたときの粉砕された粉体の形状に着目すると、粉砕機内で多くの衝突を繰り返すために、角が取れた、丸みを有する形状となることも知られている。機械式粉砕機としては、例えば特許文献1に記載のものなどがある。その形状を図4、図5及び図6に示す。これらの図に示す機械式粉砕機は、それまでの機械式粉砕機に対して、粉砕能力の向上やシャープな粒度分布の粉砕を行なうことができる。なお、図4は特許文献2に記載の図1であり、図5及び図6は特許文献3に記載の図3及び図4である。
【0003】
図4に示す機械式粉砕機による微粉末の製造において、第1温調機15に供給(流入)された空気は一定温度まで冷却され、除湿機16に供給される。除湿機16へ供給された空気は、あらかじめ決められている露点温度まで除湿され、第2温調機17へ供給される。第2温調機17へ供給された空気はあらかじめ決められている機械式粉砕機入口エアー温度まで冷却される。調温・調湿された空気は供給口6から供給される原料粉末5とともに機械式粉砕機1に供給され、粉砕される。粉砕室4で処理された粉砕物8は、サイクロン9で捕集され、次工程で更に加工される。サイクロン9で捕集されないトナーはバグフィルター10で捕集され、再利用もしくは廃棄される。
11はブロワーである。ブロワー11から排気された空気は機械式粉砕機の負荷にもよるが、その大半を第1温調機15のエアー流入部へ供給される。この場合、空気を循環利用するため、特に調湿にかかるエネルギーを節約することができる。なお、図4において、2はロータ、3はステータ、4aは粉砕機入口、4bは粉砕機出口である。
【0004】
また、図5に示す粉砕機20は、基台21の上に横置きに設置された円筒形状のケーシング22を有する。ケーシング22の中には、円筒形状のロータ23が横置き配置され、このロータ23の軸24はケーシング22と同軸に配置されて、その一端がモータ25の出力軸に連結されている。ケーシング22は、その一端(図5の左側端)に、被粉砕物を空気と共に機内に供給する供給口26を有し、右端(図5の右側端)には、図外の吸引送風機に連なる製品排出口27を有する。ロータ23の回りには、ケーシング22と一体構造のステータ28を有し、ステータ28とロータ23との間には隙間29が設けられている。ロータ23及びステータ28には、その一方または両方に、チタンなどの耐摩耗性に優れた材料でライニング処理するのが好ましい。
ロータ23には、図6に示すように、その外側表面に軸線方向に延びる複数の凹部30が円周方向に数mmの間隔を隔てて並設されて、隣接する凹部30と30との間に軸線方向に延びる凸部31が形成され、凸部31の頂面31aは、ロータ23の軸線を曲率中心とする円弧面で構成されている。ロータ23の凹部30は、その深部からロータ23の回転方向Xの進み側に向けて傾斜して延びている。すなわち、ロータ23の凹部30は、深部の半円形の壁30aと、この深部壁30aの一端(ロータ23の回転方向Xの遅れ側端)から接線方向に回転方向Xの進み側に向けて傾斜して延びる遅れ側壁30bと、深部壁30aの他端(ロータ23の回転方向Xの進み側端)から接線方向に回転方向Xの進み側に向けて傾斜して延びる進み側壁30cとで形成されている。より具体的には、遅れ側壁30bは、ロータ23の外周面と角度Θ2で交差し、また、進み側壁30cは、ロータ23の外周面と角度Θ3で交差している。遅れ側壁30bの交差角度Θ2は30〜80゜から選択され、進み側壁30cの交差角度Θ3は30〜80゜から選択される。
【0005】
ステータ28の内側表面には、図6に示すように、軸線方向に延びる複数の凹部40が円周方向に数mmの間隔を隔てて並設されて、隣接する凹部40と40との間に軸線方向に延びる凸部41が形成され、凸部41の頂面41aは、ロータ23の軸線を曲率中心とする円弧面で構成されている。ステータ28の凹部40は、その深部から回転方向Xの遅れ側に向けて傾斜して延びている。すなわち、ステータ28の凹部40は、深部の半円形の壁40aと、この深部壁40aの一端(回転方向Xの遅れ側端)から接線方向に回転方向Xの遅れ側に向けて傾斜して延びる遅れ側壁40bと、深部壁40aの他端(回転方向Xの進み側端)から接線方向に回転方向Xの遅れ側に向けて傾斜して延びる進み側壁40cとで形成されている。より具体的には、遅れ側壁40bは、ステータ28の内周面と角度Θ4で交差し、また、進み側壁40cは、ステータ28の内周面と角度Θ5で交差している。遅れ側壁40bの交差角度Θ4は30〜80゜から選択され、進み側壁40cの交差角度Θ5は30〜80゜から選択される。
上記の粉砕機20によれば、製品排出口27に連結された送風機による吸引力によって、供給口26からの被粉砕物が空気と共に機内を通過し、その際に粉砕作用を受けて製品となり排出口27から外部に出て、例えばサイクロンによって製品と空気とに分離され、空気と分離された製品はタンクなどに貯留される。粉砕機20の機内で行われる粉砕は、ロータ23とステータ28との間の隙間29に安定した螺旋状の気流が得られ、また、固定子28のU字形状の凹部40の中に渦度が高く且つ複数の渦が定常的に発生するため、ミクロンオーダーの比較的粒度分布の狭い製品を作ることができる。
【0006】
しかしながら、機械式粉砕機は、高速回転するロータとステータの間に存在する空隙に原料粉体を供給することにより粉砕するという構成であり、高速回転による機械本体の発熱、粉体の衝突時に発生する熱が大きいため、その熱により粉体の性質が変化してしまうおそれがある。粉砕する原料粉体にもよるが、最悪は溶融してしまう可能性もあり、微粉末に要求されている性質を満たすことができない。
例えば、画像形成装置に使用されるトナーの粉砕においては、粉体に内包したワックス等が溶け出してしまい、トナーとしての性質を満たさなくなることが問題として挙げられる。さらには、トナーの主成分である樹脂が熱によって軟化し、粉砕しにくくなることにより粉砕粒径が大きくなってしまう、また、粉砕粒径を小さくしようとすれば、著しい生産性の低下を招くことになってしまう。
上記問題を防ぐために、流入空気温度を下げるという方法が取られているが、この場合、冷却装置の導入が必要となる。
したがって、粉砕機内温度をいかにして下げるかが大きな課題の一つとなっている。また、ロータが高速で回転すればするほど、衝突時のエネルギーは大きくなることになり、粉砕効率は高くなるが、ロータ軸やベアリング等の要素部品の破壊強度を上回る速度で回転してしまうと、破壊の可能性、発熱の増大を招き、前述のように粉体に悪影響を及ぼすことになり、発熱、回転速度、要素部品の破壊強度の関係を考慮して条件を設定する必要がある。
特許文献2には、機械式粉砕機において、流入エアーを低温化させ、粉体の粉砕後排出されたエアーを再利用する方法が記載されているが、これは、低温エアーを再利用することによるエネルギー効率の改善をする発明であり、粉砕の際の発熱による影響を抑えるためのものではない。
特許文献3には、気流衝突式粉砕機において、ジェット気流を形成する気体を空気や窒素から水素ガスあるいはヘリウムガス、又は水素ガスとヘリウムガスの混合ガスに置き換えることにより、気流速度を大幅に速くすることが可能になり、衝撃エネルギーを大きくすることができる、と記載されている。
しかしながら、気流衝突式粉砕機とは違い機械式粉砕機はジェット気流を形成することはなく、気流速度上昇による粉砕効率の大幅な上昇は望めない。
【0007】
【特許文献1】特許第3645084号公報
【特許文献2】特開2002−273250号公報
【特許文献3】特開2003−340308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述した問題点を解消して、平均粒径4〜10[μm]という粒径で微粉体の少ないシャープな粒度分布を有する粉体を機械式粉砕機製造するに際し、製造時の発熱や消費電力を低く抑えることができる微粉末製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、以下の(1)ないし(17)の発明によって、上記課題は解決される。(1)本発明の微粉末製造方法は、ロータとステータとが所定の空隙を保つように配置された粉砕室を有し、該粉砕室に供給された原料粉体が、前記ロータの回転に伴って、ロータ、ステータ及び原料粉体同士の衝突により微粉砕される機械式粉砕機を用いた微粉末製造方法において、前記粉砕機内をヘリウムガスで満たすことを特徴とする。(2)本発明の微粉末製造方法は、ロータとステータとが所定の空隙を保つように配置された粉砕室を有し、該粉砕室に供給された原料粉体が、前記ロータの回転に伴って、ロータ、ステータ及び原料粉体同士の衝突により微粉砕される機械式粉砕機を用いた微粉末製造方法において、前記粉砕機内をヘリウムガスと空気との混合ガスで満たすことを特徴とする。(3)前記(1)又は(2)に記載の微粉末製造方法は、前記機械式粉砕機において、粉砕機の出口温度が、50[℃]以下であることを特徴とする。(4)前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の微粉末製造方法は、前記機械式粉砕機によって得られた微粉末の平均粒径が、4〜10[μm]であることを特徴とする。(5)前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の微粉末製造方法は、前記機械式粉砕機によって得られた微粉末の平均円形度が、0.90〜0.96であることを特徴とする。(6)前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の微粉末製造方法は、前記機械式粉砕機において、ロータの周速が100〜200[m/s]であることを特徴とする。(7)本発明のトナーの製造方法は、ロータとステータとが所定の空隙を保つように配置された粉砕室を有し、該粉砕室に供給された原料粉体が、前記ロータの回転に伴って、ロータ、ステータ及び原料粉体同士の衝突により微粉砕される機械式粉砕機を用いた、少なくとも結着樹脂と着色剤を含むトナーの製造方法において、前記粉砕機内をヘリウムガスで満たすことを特徴とする。(8)本発明のトナーの製造方法は、ロータとステータとが所定の空隙を保つように配置された粉砕室を有し、該粉砕室に供給された原料粉体が、前記ロータの回転に伴って、ロータ、ステータ及び原料粉体同士の衝突により微粉砕される機械式粉砕機を用いた、少なくとも結着樹脂と着色剤を含むトナーの製造方法において、前記粉砕機内をヘリウムガスと空気との混合ガスで満たすことを特徴とする。(9)前記(7)又は(8)に記載の微粉末製造方法は、前記機械式粉砕機において、粉砕機の出口温度が、50[℃]以下であることを特徴とする。(10)前記(7)ないし(9)のいずれかに記載のトナーの製造方法は、前記機械式粉砕機によって得られたトナーの平均粒径が、4〜10[μm]であることを特徴とする。(11)前記(7)ないし(10)のいずれかに記載のトナーの製造方法は、前記機械式粉砕機によって得られたトナーの平均円形度が、0.90〜0.96であることを特徴とする。(12)前記(7)ないし(11)のいずれかに記載のトナーの製造方法は、前記機械式粉砕機において、ロータの周速が100〜200[m/s]であることを特徴とする。(13)前記(7)ないし(12)のいずれかに記載のトナーの製造方法は、ロータ及びステータがそれぞれ凸部を有し、ロータにおける凸部及びステータにおける凸部がそれぞれ4.0[mm]以下の間隔で配置され、ロータとステータの空隙が、0.7〜1.3[mm]であることを特徴とする。(14)本発明のトナーは、前記(7)ないし(13)のいずれかに記載の製造方法で製造されたことを特徴とする。(15)本発明のトナーボトルは、前記(14)に記載のトナーを容器に収容したことを特徴とする。(16)本発明の現像剤ボトルは、前記(14)に記載のトナーを含む2成分系現像剤を容器に収容したことを特徴とする。(17)本発明の画像形成装置は、前記(14)に記載のトナーを搭載したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の微粉末製造方法によれば、従来使用されていた空気と比べて熱伝導率が著しく大きいヘリウムガスあるいはヘリウムガスと空気との混合ガスで粉砕機内を満たして微粉末を製造しているので、原料粉体の衝突時に発生する熱を粉体から逃がしやすく、また、温度上昇もしにくく、このため、製品である微粉末における熱による劣化、性質変化等を抑制することができる。
例えば、画像形成装置に使用されるトナーを本発明の製造方法により製造する場合、原料トナー粉体に内包されているワックスが表面粉砕によってトナー粒子の表面に露出したとしても、熱によりワックスが溶けたり、その溶けたワックスがトナー表面を覆ってしまうことが無くなり、品質の維持ができる。
また、ヘリウムガスの熱伝導率は空気に比べて低いため、冷却装置によるガス冷却が短時間で均一に行なえるため、作業性が向上する。さらに、ヘリウムガスの密度は、空気に比べ約1/7と著しく小さく、抵抗が小さい。よって、ヘリウムガスを用いると、ロータにおいて同周速を得るために必要なモーター消費電力を低くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
図1は、本発明における、機械式粉砕機を使用しての本発明の微粉末製造の概略流れ図である。図1において、機械式粉砕機1は、ロータ2とステータ3とが所定の空隙を保つように配置された粉砕室4を有し、ロータ2を高速回転させることにより、ロータ2、ステータ3及び原料粉体同士の衝突により粉砕を行なう機械式粉砕機である。ステータ3は固定されている。粉砕機1内をヘリウムガスあるいはヘリウムガスと空気との混合ガスで満たすとともに、粉砕される原料粉体5が供給口6より粉砕室4内に供給されている。供給するヘリウムガス又はヘリウムガスと空気の混合ガスは、粉砕機1内の温度を低温に保つために、冷却装置7にて冷却してから供給される。粉砕室4で処理されて排出された粉砕物8は、サイクロン9で捕集され、次工程でさらに加工され、目的とする微粉末となる。サイクロン9で捕集されない粉体はバグフィルター10で捕集され、再利用または廃棄される。バグフィルター10では粉体からガスで分離されブロワー11に送出される。ブロアー10から排気されたガスは、ヘリウム回収ろ過装置12で処理され、再び使用できるようになっている。
粉砕室4の静圧は、32〜43[kPa]が好ましく、34〜39[kPa]がより好ましい。ブロワー11における流量は、30〜50[m/min]が好ましく、35〜45[m/min]がより好ましい。ロータ2の周速は100〜200[m/s]が好ましく、100〜170[m/s]がより好ましく、さらに好ましくは160〜170[m/s]である。
【0012】
粉砕室4に供給するガスの温度が充分に低温に保たれている場合、冷却装置7を介さずに直接粉砕室4に供給しても良い。ヘリウムガスは高価なので、ヘリウムガスと空気の混合ガスを用い、この混合ガスにおいて空気の割合を増やせば、より経済的である。この混合ガスにおける空気の割合の上限は、50体積%程度とすることができる。
ヘリウムガスと空気の熱伝導率及び比熱容量を比較すると、ヘリウムガス:熱伝導率0.152[W/m・K]、比熱容量5193[J/kg・K]に対し、空気:熱伝導率0.028[W/m・K]、比熱容量1005[J/kg・K]となっており、ヘリウムは空気に比べて熱を伝えやすく(熱伝導率が大きい)、温度上昇しにくい(比熱容量が大きい)という特徴がある。そのため、上記衝突の際に発生する熱を粉体から逃がしやすく、温度上昇もしにくいことから、熱による劣化、性質変化等の影響を粉体に与えないで済む。ヘリウムガスの熱伝導率は空気に比べて低いため、冷却装置によるガス冷却が短時間で均一に行なえるため、作業性が向上するという利点もある。
また、ヘリウムガスと空気の密度を比較すると、ヘリウムガス:0.179[kg/m]に対し、空気:1.225[kg/m]であり、ヘリウムガスの密度は空気の密度の約1/7となっており、著しく抵抗が小さい。したがって、ヘリウムガスを用いると、ロータ2の同周速を得るために必要なモーター消費電力を低くすることが可能である。
粉砕機入口4aの温度は0〜−20℃が好ましく、より好ましくは−5〜−20℃、さらに好ましくは−5〜−10℃である。粉砕機出口4bの温度は50℃以下が好ましく、より好ましくは45℃以下、さらに好ましくは35℃以下である。粉砕機入口の温度及び粉砕機出口の温度は、これらの箇所におけるヘリウムガス又はヘリウムガスと空気の混合ガスの温度を指す。
【0013】
このような本発明の微粉末製造方法により、平均粒径が4〜10[μm]、平均円形度が0.90〜0.96の微粉末を得ることができる。
微粉末の平均粒径、コールターカウンターTA−IIあるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用いて測定することができる。
測定方法は以下の通りである。先ず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩を、0.1〜5ml加え、これに供試試料を2〜20mg加え、電解液中に懸濁させて、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行った。調整したサンプルを前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、前記試料中のトナー粒子の体積をチャンネルごとに測定して、トナーの体積分布とを算出した。このとき、電解液としては、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製したもので、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)を使用した。
なお、コールターカウンターのチャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm;12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを用いた。
【0014】
微粉末の平均円形度は、光学的に粒子を検知して、投影面積の等しい相当円の周囲長で除した値である。具体的には、フロー式粒子像分析装置(FPIA−2100;シスメックス社製)を用いて測定を行う。所定の容器に、予め不純固形物を除去した水100〜150mLを入れ、分散剤として界面活性剤0.1〜0.5mLを加え、さらに、被測定試料0.1〜9.5g程度を加える。試料を分散した懸濁液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液中の微粉末粒子濃度を3,000〜10,000個/μLにして微粉末の形状及び分布を測定する。
トナーの製造においては、ロータ2とステータ3との空隙は、通常0.5〜2.0[mm]程度であり、好ましくは0.7〜2.0[mm]、さらに好ましくは0.7〜1.3[mm]である。ロータ2における凸部及びステータ3における凸部は、それぞれ4.0[mm]以下の間隔で配置されることが好ましく、より好ましくは3.5[mm]以下、さらに好ましくは3.0[mm]以下である。この間隔の下限は、通常2.8[mm]程度である。ロータ2の周速は、100〜200[m/s]が好ましく、より好ましくは100〜170[m/s]、さらに好ましくは160〜170[m/s]である。ロータ2とステータ3との空隙、上記凸部の間隔については、トナー以外の微粉末の製造においても同様とすることができる。
【0015】
本発明に係るトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を含む。結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フルカラートナーの分野で公知の結着樹脂、例えば、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、エポキシ系樹脂、COC(環状オレフィン樹脂(例えば、TOPAS−COC、Ticona社製))などが挙げられるが、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、または、ポリエステル系樹脂を使用することが好ましい。これらは、必要に応じて2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
着色剤としては、公知の染料および顔料を使用することができる。例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトポン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15質量%、好ましくは3〜10質量%である。
本発明に係るトナーには、必要に応じて公知のワックスや荷電制御剤を含有させるこができる。
【0017】
上述した製造方法で製造されたトナーは、これを容器に収容してトナーボトルの形態で使用することができ、また、このトナーを含む2成分系現像剤を容器に収容して現像剤ボトルの形態で使用することができる。
上記2成分系現像剤は、少なくともトナーと電子写真用キャリアを含むものであり、電子写真用キャリアとしては公知のキャリアを使用することができる。
【実施例】
【0018】
実施例1
図2及び図3に示す機械式粉砕機において、シミュレーション解析を実施した。図2は、供給口6より供給された原料粉末である粉砕前トナー13bが、高速回転するロータ2とステータ3との衝突又は粉体同士の衝突を繰り返し、徐々に小さくなりながら排出口14より排出されるという構造を示す。図2において、13bは粉砕中トナー、13cは粉砕後トナーである。図3は図2のI−I部分断面図である。ロータ2とステータ3の間に存在する粉体は、図3のように流れながらロータ2とステータ3との衝突又は粉体同士の衝突を繰り返し、徐々に小さくなっていく。
粉砕条件は、ブロワー流量40[m/min]、粉砕室の静圧37[kPa]、ロータの周速163[m/s]、ロータとステータの空隙1.0[mm]、粉砕機入口温度を−5[℃]とし、粉砕機内をヘリウムガスで満たした場合のモーター消費電力及び粉砕機出口温度を求めた。
その結果、モーター消費電力:44[kW]、粉砕機出口温度:37[℃]であった。現状(比較例1)の場合に比べ、モーター消費電力は89[%]、粉砕機出口温度は78[%]に低下していることが分かる。
【0019】
実施例2
図2及び図3に示す機械式粉砕機において、シミュレーション解析を実施した。粉砕条件は、ブロワー流量40[m/min]、粉砕室の静圧37[kPa]、ロータの周速163[m/s]、ロータとステータの空隙1.0[mm]、粉砕機入口温度を−5[℃]とし、粉砕機内をヘリウムガスと空気の混合ガス(混合体積比1:1)で満たした場合のモーター消費電力及び粉砕機出口温度を求めた。
その結果、モーター消費電力:46.5[kW]、粉砕機出口温度:42 [℃]であった。現状(比較例1)の場合に比べ、モーター消費電力は94[%]、粉砕機出口温度は89[%]に低下していることが分かる。
【0020】
実施例3
図2及び図3に示す機械式粉砕機において、シミュレーション解析を実施した。粉砕条件は、ブロワー流量40[m/min]、粉砕室の静圧37[kPa]、ロータの周速105[m/s]、ロータとステータの空隙1.0[mm]、粉砕機入口温度を−5[℃]とし、粉砕機内をヘリウムガスで満たした場合のモーター消費電力及び粉砕機出口温度を求めた。
その結果、モーター消費電力:41[kW]、粉砕機出口温度:41[℃]であった。現状(比較例1)の場合に比べ、モーター消費電力は83[%]、粉砕機出口温度は87[%]に低下していることが分かる。
【0021】
実施例4
図2及び図3に示す機械式粉砕機において、シミュレーション解析を実施した。粉砕条件は、ブロワー流量40[m/min]、粉砕室の静圧37[kPa]、ロータの周速163[m/s]、ロータとステータの空隙0.7[mm]、粉砕機入口温度を−5[℃]とし、粉砕機内をヘリウムガスで満たした場合のモーター消費電力及び粉砕機出口温度を求めた。
その結果、モーター消費電力:49.5[kW]、粉砕機出口温度:43[℃]であった。現状(比較例1)の場合に比べ、モーター消費電力は100[%]と変化なく、粉砕機出口温度は89[%]に低下していることが分かる。
【0022】
実施例5
図2及び図3に示す機械式粉砕機において、シミュレーション解析を実施した。粉砕条件は、ブロワー流量40[m/min]、粉砕室の静圧37[kPa]、ロータの周速163[m/s]、ロータとステータの空隙1.3[mm]、粉砕機入口温度を−5[℃]とし、粉砕機内をヘリウムガスで満たした場合のモーター消費電力及び粉砕機出口温度を求めた。
その結果、モーター消費電力:49.5[kW]、粉砕機出口温度:36[℃]であった。現状(比較例1)の場合に比べ、モーター消費電力は100[%]と変化なく、粉砕機出口温度は89[%]に低下していることが分かる。
【0023】
実施例6
図2及び図3に示す機械式粉砕機において、シミュレーション解析を実施した。粉砕条件は、ブロワー流量40[m/min]、粉砕室の静圧37[KPa]、ロータの周速163[m/s]、ロータとステータの空隙0.5[mm]、粉砕機入口温度を−5[℃]とし、粉砕機内をヘリウムガスで満たした場合のモーター消費電力及び粉砕機出口温度を求めた。
その結果、モーター消費電力:49.5[kW]、粉砕機出口温度:46[℃]であった。現状(比較例1)の場合に比べ、モーター消費電力は100[%]と変化なく、粉砕機出口温度は89[%]に低下していることが分かる。
【0024】
実施例7
図2及び図3に示す機械式粉砕機において、シミュレーション解析を実施した。粉砕条件は、ブロワー流量40[m/min]、粉砕室の静圧37[kPa]、ロータの周速163[m/s]、ロータとステータの空隙2.0[mm]、粉砕機入口温度を−5[℃]とし、粉砕機内をヘリウムガスで満たした場合のモーター消費電力及び粉砕機出口温度を求めた。
その結果、モーター消費電力:49.5[kW]、粉砕機出口温度:35[℃]であった。現状(比較例1)の場合に比べ、モーター消費電力は100[%]と変化なく、粉砕機出口温度は89[%]に低下していることが分かる。
【0025】
比較例1
図2及び図3に示す機械式粉砕機において、シミュレーション解析を実施した。粉砕条件は、ブロワー流量40[m/min]、粉砕室の静圧37[kPa]、ロータの周速163[m/s]、ロータとステータの空隙1.0[mm]、粉砕機入口温度を−5[℃]とし、粉砕機内を空気で満たした場合のモーター消費電力及び粉砕機出口温度を求めた。
その結果、モーター消費電力:49.5[kW]、粉砕機出口温度:47[℃]であった。
上述した実施例及び比較例をまとめ、総合的に評価したものを表1に示す。また、上述した条件で、少なくとも結着樹脂と着色剤を含むトナーを粉砕して微粉末を製造したところ、表1に示す平均粒径及び円形度を有する微粉末が得られた。
【0026】
【表1】

表1に示すように、空気をヘリウムガスに置き換えることにより、モーター消費電力及び粉砕機出口温度の低下、粉砕性の向上が認められた。また、ヘリウムガスの濃度は、100[%]が最も好ましい条件であり、ヘリウムガス濃度が下がるに連れて効果も下がることが分かる。
粉砕機出口温度は、実施例の結果より、好ましくは50[℃]以下、より好ましくは45[℃]以下、特に好ましくは35[℃]以下であると言える。
ロータ周速が105[m/s]の場合は、モーター消費電力及び粉砕機出口温度に関して若干の効果が認められ、粉砕性を考慮すれば、163[m/s]が最も好ましい条件と言える。
ロータの空隙が0.7[mm]、1.0[mm]、1.3[mm]の場合は、モーター消費電力、粉砕機出口温度、粉砕性に関して、大きな向上が認められた。しかしながら、ロータとステータの空隙が狭い0.5[mm]の場合は、粉砕性は向上するものの、粉砕機出口温度が上昇してしまう。ロータとステータの空隙が広い2.0[mm]の場合は、粉砕機出口温度は低下するものの、粉砕性が著しく低下することが分かる。以上の結果より、ロータとステータの空隙は、0.7〜1.3[mm]が最も好ましい条件と言える。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の微粉末製造方法は、機械式粉砕機において、熱により性質の変化してしまう粉体の粉砕、またはエネルギー消費を抑えて原料粉体を微粉砕したい場合に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明における、機械式粉砕機を使用しての微粉末製造の概略流れ図である。
【図2】本発明で用いる機械式粉砕機の構造を示す概略説明図である。
【図3】図2のI−I部分断面概略図である。
【図4】機械式粉砕機を使用しての従来の微粉末製造の概略流れ図である。
【図5】従来の微粉末製造方法における機械式粉砕機概略外形図である。
【図6】図5のIV−IV部分断面図であり、機械式粉砕機のロータ及びステータの形状を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
1 機械式粉砕機
2 ロータ
3 ステータ
4 粉砕室
4a 粉砕機入口
4b 粉砕機出口
5 原料粉末
6 供給口
7 冷却装置
8 粉砕物
9 サイクロン
10 パグフィルター
11 ブロアー
12 ヘリウム回収ろ過装置
13a 粉砕前トナー
13b 粉砕中トナー
13c 粉砕後トナー
14 排出口
15 第1温調機
16 除湿機
17 第2温調機
20 粉砕機
21 基台
22 ケーシング
23 ロータ
24 ロータ回転軸
25 モータ
26 供給口
27 製品排出口
28 ステータ
29 ロータとステータとの間の空隙
30 ロータ凹部
30a ロータ凹部の深部壁
30b ロータ凹部の遅れ側壁
30c ロータ凹部の進み側壁
31 ロータ凸部
31a ロータ凸部頂面
40 ステータ凹部
40a ステータ凹部の深部壁
40b ステータ凹部の遅れ側壁
40c ステータ凹部の進み側壁
41 ステータ凸部
41a ステータ凸部頂面
X ロータ回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータとステータとが所定の空隙を保つように配置された粉砕室を有し、該粉砕室に供給された原料粉体が、前記ロータの回転に伴って、ロータ、ステータ及び原料粉体同士の衝突により微粉砕される機械式粉砕機を用いた微粉末製造方法において、
前記粉砕機内をヘリウムガスで満たす
ことを特徴とする微粉末製造方法。
【請求項2】
ロータとステータとが所定の空隙を保つように配置された粉砕室を有し、該粉砕室に供給された原料粉体が、前記ロータの回転に伴って、ロータ、ステータ及び原料粉体同士の衝突により微粉砕される機械式粉砕機を用いた微粉末製造方法において、
前記粉砕機内をヘリウムガスと空気との混合ガスで満たす
ことを特徴とする微粉末製造方法。
【請求項3】
前記機械式粉砕機において、粉砕機の出口温度が、50[℃]以下である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の微粉末製造方法。
【請求項4】
前記機械式粉砕機によって得られた微粉末の平均粒径が、4〜10[μm]である
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の微粉末製造方法。
【請求項5】
前記機械式粉砕機によって得られた微粉末の平均円形度が、0.90〜0.96である
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の微粉末製造方法。
【請求項6】
前記機械式粉砕機において、ロータの周速が100〜200[m/s]である
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の微粉末製造方法。
【請求項7】
ロータとステータとが所定の空隙を保つように配置された粉砕室を有し、該粉砕室に供給された原料粉体が、前記ロータの回転に伴って、ロータ、ステータ及び原料粉体同士の衝突により微粉砕される機械式粉砕機を用いた、少なくとも結着樹脂と着色剤を含むトナーの製造方法において、
前記粉砕機内をヘリウムガスで満たす
ことを特徴とするトナーの製造方法。
【請求項8】
ロータとステータとが所定の空隙を保つように配置された粉砕室を有し、該粉砕室に供給された原料粉体が、前記ロータの回転に伴って、ロータ、ステータ及び原料粉体同士の衝突により微粉砕される機械式粉砕機を用いた、少なくとも結着樹脂と着色剤を含むトナーの製造方法において、
前記粉砕機内をヘリウムガスと空気との混合ガスで満たす
ことを特徴とするトナーの製造方法。
【請求項9】
前記機械式粉砕機において、粉砕機の出口温度が、50[℃]以下である
ことを特徴とする請求項7又は8に記載のトナーの製造方法。
【請求項10】
前記機械式粉砕機によって得られたトナーの平均粒径が、4〜10[μm]である
ことを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項11】
前記機械式粉砕機によって得られたトナーの平均円形度が、0.90〜0.96である
ことを特徴とする請求項7ないし10のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項12】
前記機械式粉砕機において、ロータの周速が100〜200[m/s]である
ことを特徴とする請求項7ないし11のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項13】
ロータ及びステータがそれぞれ凸部を有し、ロータにおける凸部及びステータにおける凸部がそれぞれ4.0[mm]以下の間隔で配置され、
ロータとステータの空隙が、0.7〜1.3[mm]である
ことを特徴とする請求項7ないし12のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項14】
請求項7ないし13のいずれかに記載の製造方法で製造された
ことを特徴とするトナー。
【請求項15】
請求項14に記載のトナーを容器に収容した
ことを特徴とするトナーボトル。
【請求項16】
請求項14に記載のトナーを含む2成分系現像剤を容器に収容した
ことを特徴とする現像剤ボトル。
【請求項17】
請求項14に記載のトナーを搭載した
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−51875(P2010−51875A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218138(P2008−218138)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】