説明

微粒子コーティングの方法

改質粒子を有するコーティング液を形成し;容器内の下相液の表面にコーティング層を形成し;基板と前記容器を分離する、各工程を有してなり、前記改質粒子が、少なくとも1つの改質剤を少なくとも1つの粒子に共有結合させることによって形成されることを特徴とするコーティング方法。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2008年8月22日出願の米国仮特許出願第61/091,015号、および2009年6月18日出願の米国特許出願第12/486,807号の利益を主張する。本書類の内容および本明細書に記載される刊行物、特許、または特許公報の開示全体は、参照することにより本明細書に取り込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、基板上に微粒子をコーティングする方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロ粒子およびナノ粒子の薄膜は、技術的な関心を持たれている。これらの膜は、それらでコーティングされた物品に、化学的、光学的および電子的特性、ならびにさまざまな表面特性を有する、新しい異なる特性を提供することができる。所望の特性を提供するためのコーティングを含む物品の例としては、光結晶;コロイド粒子の2次元集合体で形成されるレーザ;センサー用途のための複合材料基板における伝導性などの表面特性を変えるためのフィルム;導波管;湿潤特性を改質するためのコーティング;および、表面増強ラマン分光法(SERS)基板が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクロ粒子コーティングおよびナノ粒子コーティングの形成方法は、多種多様である。しかしながら、方法のほとんどは、小さいサンプル寸法、遅いコーティング速度、コーティングの厚さ調節の困難性、複合設備の必要性、またはこれらの問題の組合せの理由から、実施用途が制限されている。最近のコーティング技術の進歩として、支持流体上に粒子の単分子層を形成する方法が挙げられる。この方法は、上記課題の幾つかを解決するものであるが、他の課題は依然として残っている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
表面改質粒子を有するコーティング液を形成し;容器内の下相液の表面にコーティング層を形成し;前記容器から基板を分離する、各工程を有してなる、コーティング方法。
【0006】
微粒子のコーティング方法は、少なくとも1つの改質粒子と液状担体とを含むコーティング液を形成し、ここで、前記少なくとも1つの改質粒子は、少なくとも1つの改質剤を少なくとも1つの粒子に共有結合させることによって形成することができ;容器内に含まれる下相液の表面に前記コーティング液のコーティング層を形成し、ここで、前記下相液内に基板が少なくとも部分的に浸漬され、前記コーティング液が、容器内において実質的に単一方向の流れを有し;前記容器から前記基板を分離して、前記コーティング層の少なくとも一部を前記基板に移して微粒子コーティングを形成する、各工程を有してなる。
【0007】
微粒子のコーティング方法は、少なくとも1つの疎水性に改質された粒子と液状担体とを含むコーティング液を形成し、ここで、前記少なくとも1つの疎水性に改質された粒子は、少なくとも1つの疎水性の改質剤を少なくとも1つの粒子に共有結合することによって形成され;前記コーティング液を容器内に流し、ここで、前記容器は下相液を含み、下相液の中に少なくとも部分的に浸漬させた基板を有し、前記コーティング液は、容器内において実質的に単一方向の流れを有し;前記基板および容器を分離して、前記基板上に微粒子コーティングを形成する、各工程を有してなる。
【0008】
本開示のさまざまな実施の形態に関する次の詳細な説明を、添付の図面と併せて考慮することにより、本開示がさらに十分に理解されよう。
【0009】
図面は、必ずしも一定比率の縮尺で描かれていない。図面に用いられる類似する数字は、類似する構成要素を示している。しかしながら、与えられた図面における構成要素を指すことを目的とした数字の使用には、同一の数字で標識された別の図面における構成要素を制限することは意図されていないことが理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】例となる微粒子のコーティング方法を例証するフローチャート。
【図1B】例となる微粒子のコーティング方法を例証するフローチャート。
【図2A】単一の基板の通常方向を例証する方法を行うための例示的構成の概略図。
【図2B】単一の基板の接線方向を例証する方法を行うための例示的構成の概略図。
【図2C】2枚の基板の接線方向を例証する方法を行うための例示的構成の概略図。
【図2D】2枚の基板の接線方向を例証する方法を行うための例示的構成の概略図。
【図2E】1つの球形の基体の接線方向を例証する方法を行うための例示的構成の概略図。
【図2F】複数の基板の接線方向を例証する方法を行うための例示的構成の概略図。
【図3A】コーティング方法の例となる実施の形態。
【図3B】コーティング方法の例となる実施の形態。
【図3C】コーティング方法の例となる実施の形態。
【図4A】実施例1において形成されたコーティングのデジタル画像。
【図4B】実施例1において形成されたコーティングの光学顕微鏡写真。
【図5A】実施例1において形成されたコーティングのデジタル画像。
【図5B】実施例1において形成されたコーティングの光学顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次の記述では、本明細書の一部を形成し、幾つかの特定の実施の形態の例証として示される添付の図面一式について述べる。他の実施の形態も意図されており、本開示の範囲または精神から逸脱することなく、それら実施の形態がなされうることが理解されるべきである。したがって、次の詳細な説明は、限定的に解釈されるべきではない。本明細書で規定される定義は、頻繁に用いられるある特定の用語の理解を容易にするためであって、本開示の範囲を限定するものではない。
【0012】
他に特に示唆されない限り、本明細書および特許請求の範囲において用いられる形状、量、および物理的特性を表す全ての数字は、全ての事例において、「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。したがって、特にことわりがない限り、前述の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本明細書に開示される教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化しうる近似値である。
【0013】
端点による数値範囲の記載は、範囲(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)およびその範囲内の任意の範囲に包含される全ての数値を含む。
【0014】
本明細書および添付の特許請求の範囲では、用語「または」は、一般に、文脈が他のことを明確に指示しない限り、「および/または」を含む意味で用いられる。
【0015】
本明細書では、疎水性とは、一般に、当業者が定めた意味を有する。特に、疎水性とは、水と拮抗する、感知できる量の水をほとんど溶解できない、または水からはじき返されることを意味する。疎水性の分子は、無極性の傾向があり、よって、他の中性分子および非極性溶媒のほうが好ましい。例となる疎水性の分子としては、限定はしないが、アルカン、油、脂肪、および一般に脂肪分の多い物質が挙げられる。
【0016】
本明細書で用いられるように、親水性とは、一般に、当業者が定めた意味を有する。特に、親水性は、水を結合または吸収する強い傾向、または、一時的に水に結合するか、または水または他の極性溶媒に容易に溶解する能力を有することを意味する。親水性分子は、典型的には、電荷が分極しており、水素結合する能力がある。親水性分子は、極性分子のである傾向が強い。例となる親水性分子としては、限定はしないが、酸および塩基または、酸性部分または塩基部分を有する分子が挙げられる。
【0017】
本開示は、微粒子のコーティング方法に関する。微粒子のコーティング方法の実施の形態が、図1aおよび1bに概略的に図示されている。図1aに見られるように、コーティング方法は、コーティング液を調製する工程20;続いて、容器内の下相液の表面にコーティング層を形成する工程30;および、基板と前記容器を分離する工程40を含みうる。別の典型的なコーティング方法が図1bに図示されており、前記方法は、少なくとも1つの改質剤を少なくとも1つの粒子に共有結合させる工程10;続いて、コーティング液を形成する工程20;容器内の下相液の表面にコーティング層を形成する工程30;および、基板と前記容器を分離する工程40を含む。
【0018】
本明細書に開示される方法の例となる実施の形態は、少なくとも1つの改質剤を少なくとも1つの粒子に共有結合させる工程10を含みうる。本明細書に開示される方法の一部の実施の形態は、工程10を含まない。改質剤を粒子に共有結合させる工程は、一般に、改質粒子を形成する。工程10は、一般に、粒子の表面特性に影響を与えるように機能する。例として、疎水性の改質剤を親水性の粒子に共有結合することにより、改質されていない粒子よりも疎水性の表面特性を有する改質粒子が提供される傾向にありうる。改質剤は、改質剤と同一の特性、改質剤と同様の特性、改質剤とわずかに異なる特性、改質剤と全く異なる特性、またはそれらのいくつかのバリエーションを有する粒子に、共有結合することができる。ある実施の形態では、改質剤は、粒子の表面特性を変える目的で、改質剤とは異なる特性を有する粒子に共有結合させる。
【0019】
改質剤の粒子への共有結合は、一般に、改質剤を粒子に化学的に結合させる。共有結合は化学的グラフトとも称することができる。一般に、当業者が通常用いる、改質剤を粒子に共有結合する任意の方法を、ここでも利用することができる。任意の特定の改質剤を任意の特定の粒子に化学的にグラフトするために用いられる特定の方法は、固有性、さらに具体的には改質剤と粒子の両方の化学構造に応じて決まる。用いられる特定の共有結合方法は、改質粒子の最終的な特性にも影響を与える場合がある。改質剤の粒子への共有結合は、少なくとも本方法を実施するのに事実上必要とされる期間、改質剤の特性を維持することを確実にする。
【0020】
粒子上の改質剤の層は、一般に、比較的薄い層を生成する。ある実施の形態では、粒子表面の改質剤の層は、ナノメートル以下の厚さを有する。粒子上の改質剤の比較的薄い層は、粒子上に存在する改質剤の量が比較的わずかであることに起因して、改質剤の任意の望ましくない特性を最小限に抑えることから、利点をもたらすであろう。粒子の表面特性の改質に異なる方法を利用する他の方法は、比較的大量の改質材料に起因して、有害作用を有する可能性がある。これらの方法は、しばしば、比較的大量の改質材料を除去するために余分な工程を経なければならず、これが、追加の加工工程を生じさせ、一部の例では、物品に損傷を与えうる。
【0021】
本明細書に開示される方法に使用することができる粒子は、一般に、限定されない。本明細書に開示される方法に使用することができる粒子は、一般に親水性とされる特性、一般に疎水性とされる特性、一般に両親媒性とされる特性を有することができ、あるいは、一般にこのような特性をあまり有しない。一般に、粒子は、最終的なコーティング層、または最終的なコーティング物品の特定の用途に応じて、選択することができる。使用可能な例となるタイプの粒子としては、限定はしないが、ガラス粒子、無機非金属の粒子、金属の粒子、ポリマー粒子、半導体粒子、またはそれらの組合せが挙げられる。例となるタイプの非金属の粒子としては、限定はしないが、無機窒化物粒子、無機ハロゲン化物粒子、および無機酸化物粒子が挙げられる。例となるタイプの無機酸化物粒子としては、限定はしないが、シリカ(SiO2)、酸化スズ、酸化亜鉛、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、およびホウケイ酸塩の粒子が挙げられる。例となるタイプの金属の粒子としては、限定はしないが、貴金属粒子が挙げられる。この方法を用いてコーティングすることができる、例となるタイプの貴金属粒子としては、限定はしないが、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0022】
一般に、当業者が通常使用する任意の大きさの粒子を、ここでも利用することができる。粒子が、より大きくなるか、より重くなるか、あるいはその両方であることから、下相液の表面に粒子が維持される能力は低下する。これは、粒子が懸濁液から外に落ちる原因になり、したがって、基板上にコーティングされない場合がある。これは、下相液の表面張力を増大することにより、ある程度または完全に、相殺されうる。一般に、コーティングされうる粒子の大きさには下限値がない。ある実施の形態では、約2ナノメートル(nm)〜約20マイクロメートル(μm)の直径を有する粒子に、本明細書に開示される方法を用いてコーティングすることができる。ある実施の形態では、約4nm〜約5μmの直径を有する粒子に、本明細書に開示される方法を用いてコーティングすることができる。ある実施の形態では、約20nm〜約4.8μmの直径を有する粒子に、本明細書に開示される方法を用いてコーティングすることができる。ある実施の形態では、約40nm〜約4μmの直径を有する粒子に、本明細書に開示される方法を用いてコーティングすることができる。
【0023】
一般に、粒子は、粒子直径など、粒子の大きさの分布を有する。通常、任意のサイズ分布を有する粒子を使用することができる。粒径分布は、粒子の直径の範囲である。粒子は、単分散径、多分散径、またはそれらの組合せを有していて構わない。単分散径を有する粒子は、実質的に同一の直径を有する。多分散径を有する粒子は、平均直径に関して連続した方式で分散した直径範囲を有する。通常、多分散粒子の平均的大きさが、粒子の大きさとして報告される。このような粒子は、数値の範囲内に含まれる直径を有する。
【0024】
ある実施の形態では、1種類以上の単分散粒子を利用することもできる。ある実施の形態では、2種類の異なる単分散径を有する粒子を利用することができる。ある実施の形態では、大きい単分散粒子を、小さい単分散粒子と組み合わせて使用することができる。これらの実施の形態は、「小さい」粒子が「大きい」粒子間の空間を満たすことができることから、非常に良好な充填を提供する。利用されうる2種類の異なる単分散粒子の大きさの例には、直径4.9μmの単分散粒子と直径0.7μmの単分散粒子が含まれる。
【0025】
一般に、粒子密度は、少なくともある程度、粒子自体の固有性によって決まる。粒子は、一般に、下相液が改質粒子を支持できる大きさおよび密度を有することができる。ある実施の形態では、下相液は、より重い粒子を支持するように改質することができる。このような改質の例は、下相液としての重水(D2O)、塩類水溶液、またはそれらの組合せの使用であろう(H2Oの代替として)。
【0026】
一般に、任意の形状の粒子をここでも用いることができる。使用する粒子の特定の形状は、少なくともある程度、コーティングまたはコーティング物品の最終的な用途に応じて決定することができる。例となる粒子の形状としては、限定はしないが、例えば、球体の形状、半球体の形状、回転楕円の形状、立方体の形状、棒状の形状、および不規則な形状などが挙げられる。中空の粒子およびコア/外殻の構造を有する粒子も、本明細書において利用することができる。
【0027】
本明細書に開示される方法に利用することができる改質剤は、一般に、限定されない。選択することができる特定の改質剤は、少なくともある程度は、コーティングまたはコーティング物品の所望の用途、改質剤が共有結合する特定の粒子、粒子に付与されることが望ましい特性、利用される担体液体、および、コーティング方法に利用される下相液に応じて決めることができる。単一のコーティング方法において、2種類以上の改質剤が、1種類(または2種類以上)の粒子に共有結合されうる。改質剤は、例えば、疎水性、親水性、または両親媒性でありうる。ある実施の形態では、改質剤は疎水性である。
【0028】
改質剤が疎水性である、ある実施の形態では、多くの異なる因子が、異なるレベルの疎水性をもたらすと考えられ、利用することができる。疎水性のレベルを決定すると考えられる因子としては、限定はしないが、粒子表面における改質剤の量、利用する改質剤のタイプ、改質剤の粒子への共有結合の仕方、および他のものが挙げられる。一般に、粒子表面の疎水性改質剤の損失は、粒子の疎水性を低下させる。
【0029】
ある実施の形態では、改質剤はシラン分子であって差し支えない。ある実施の形態では、改質剤はオルガノシラン分子でありうる。ある実施の形態では、シラン分子、さらに具体的にはオルガノシラン分子は、粒子が無機酸化物粒子である方法において、改質剤として利用することができる。利用することができる、例となるシラン分子としては、限定はしないが、あまり反応性ではないシランが挙げられる。例えば、トリクロロシランは、トリメトキシシランまたはトリエトキシシランよりも反応性であると考えられる。
【0030】
ある実施の形態では、長鎖アルキル基を有する置換基を有するシランを利用することができる。ある実施の形態では、すべての置換基が長鎖アルキル基を有しているシランを利用することができる。ある実施の形態では、Cアルキルまたはそれより大きいアルキル基を有する置換基を有するシランを利用することができる。ある実施の形態では、C12アルキルまたはそれより大きいアルキル基を有する置換基を有するシランを利用することができる。ある実施の形態では、C16アルキルまたはそれより大きいアルキル基を有する置換基を有するシランを利用することができる。ある実施の形態では、C8−C24アルキル基を有する置換基を有するシランを利用することができる。使用可能な、例となるシラン分子として、限定はしないが、オクタデシルトリメトキシシラン(OTMS)、およびオクタデシルトリエトキシシラン(OTES)が挙げられる。
【0031】
ある実施の形態では、改質剤はカルボン酸含有分子でありうる。カルボン酸含有分子は、粒子が無機酸化物粒子である方法において改質剤として利用することができる。ある実施の形態では、改質剤はチオール分子でありうる。ある実施の形態では、改質剤はアルカンチオール分子でありうる。ある実施の形態では、チオール分子、さらに具体的にはアルカンチオール分子は、粒子が貴金属粒子である方法において改質剤として利用することができる。
【0032】
特定の改質剤を特定の粒子に共有結合させるために必要な試薬、条件、および試薬の量は、少なくともある程度は、改質剤と粒子の両方の成分の固有性に応じて決まるであろう。一般に、粒子に共有結合する改質剤の量は、少なくともある程度は、粒子の大きさ、付着する粒子の量、および改質剤が共有結合される方法に応じて決まるであろう。試薬、条件および量は、本明細書を理解した当業者には明らかであろう。
【0033】
図1aに示す実施の形態では、本明細書に開示される方法の最初の工程は、コーティング液を形成する工程20を含む。上述の通り、コーティング液を形成する工程は、少なくとも1つの改質剤を粒子に共有結合させて改質粒子を形成する工程(図1bに示す)から始める必要はなく;最初の工程は、少なくとも1つの改質粒子と液状担体とを有するコーティング液を調製することを含みうる。
【0034】
コーティング液を形成する工程は、改質粒子(改質剤を粒子に共有結合させることによって作られる)を液状担体に施用する働きをする。この工程の間に形成されるコーティング液は、通常、少なくとも、ほとんど均質であるか、または、少なくともほとんど均質に調製されうる。ある実施の形態では、コーティング液は、実質的に完全に均質でありうる。ある実施の形態では、コーティング液は分散可能である。幅広い方法におけるコーティング液の機能は、改質粒子が下相液の表面に散在できるようにすることである。
【0035】
コーティング液は、本明細書を読了した当業者には明白であろう方法で形成することができる。一般に、コーティング液は、最初に改質粒子を調製または入手し、適切な液状担体に改質粒子を分散することによって形成することができる。液状担体における改質粒子の分散は、当業者が遂行することができ、限定はしないが、超音波処理、撹拌、振とう、または類似の方法が挙げられる。コーティング液は、ひとたび形成された後は、長時間、安定でありうるが、必ずしもそうである必要はない。コーティング液に関しての安定性は、粒子が経時により凝集せず、粒子が凝集した場合であっても、それらは容易に非凝集状態になりうることを意味している。安定なコーティング液では、粒子は重力下で落ち着きうるが、超音波処理、振とう、またはその両方などの既知の方法を用いて、容易に再分散することができる。
【0036】
コーティング液は、改質粒子および液状担体を含む。液状担体は、コーティング液中に改質粒子を分散する働きをする。液状担体は、一般に、下相液上に比較的大きい拡張張力を有するような特性を有するように選択される。液状担体が下相液上に広がる能力に関するであろう特性として、限定はしないが、液状担体の表面張力、下相液の表面張力、および液状担体の粘度が挙げられる。
【0037】
液状担体は、一般的には、下相上に蓄積しないような特性を伴うように選択することができる。液状担体が下相液上に蓄積しない能力に関するであろう特性としては、限定はしないが、液状担体と下相との混和性、および液状担体の蒸気圧が挙げられる。ある実施の形態では、液状担体は、混和性または少なくともある程度、下相に混和性であるように選択することができる。ある実施の形態では、液状担体は、比較的高い蒸気圧を有するように選択することができる。液状担体はまた、下相から容易に回収できるようなものを選択することができる。液状担体は、環境上または職業上、有害であるか、または望ましくないと見なされないものを選択することもできる。ある実施の形態では、液状担体は、上記特性のうち、1つ、2つ以上、またはすべてに基づいて選択することができる。ある事例では、本明細書で論じた以外の特性も、液状担体の選択に関連する場合がある。
【0038】
ある実施の形態では、液状担体は、例えば、単一の溶媒、混合溶媒、または、他の非溶媒成分を有する溶媒(単一の溶媒または混合溶媒)でありうる。利用することができる、例となる溶媒としては、限定はしないが、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アルコール、エーテル、ケトン、および類似物質、またはそれらの混合液が挙げられ、例えば、2−プロパノール(イソプロパノール、IPA、またはイソプロピルアルコールとも称される)、テトラヒドロフラン(THF)、エタノール、クロロホルム、アセトン、ブタノール、オクタノール、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、およびそれらの混合液などである。下相が極性液体(水など)の実施の形態では、利用することができる、例となる液状担体としては、限定はしないが、例えば、2−プロパノール、テトラヒドロフラン、およびエタノールが挙げられる。液状担体を形成するために溶媒に加えることができる非溶媒成分としては、限定はしないが、分散剤、塩、および粘度改質剤が挙げられる。
【0039】
一般に、コーティング液中の改質粒子の濃度は、少なくともある程度は、粒子(固有性および大きさの両方)、改質剤、形成されるコーティングの厚さ、液状担体、下相液、基板をコーティングするために容器から分離することができる所望の速度、および、基板の大きさに応じて決めることができる。一般に、コーティング液中の改質粒子の濃度には、上限値または下限値は存在しない。ある実施の形態では、改質粒子は、粒子の大きさに応じて、コーティング液中、約0.05mg/mL〜約20mg/mLの濃度を有しうる。ある実施の形態では、改質粒子は、粒子の大きさに応じて、コーティング液中、約0.06mg/mL〜約16mg/mLの濃度を有しうる。粒子の大きさが約2.5μmの平均直径を有する、ある実施の形態では、改質粒子は、コーティング液中、約8mg/mLの濃度を有することができる。
【0040】
本明細書に記載する方法における次の工程を、コーティング層を下相液上に形成する工程30として、図1aおよび1bに示す。コーティング液のコーティング層を形成する工程は、基板が幾分均一にコーティングされうるように、下相液の表面上に改質粒子を拡散する働きをする。コーティング層を形成する工程は、下相液の表面上に改質粒子の単分子層を形成する働きをするとも言えよう。
【0041】
下相液は、コーティング容器内に含まれる。典型的なコーティング容器200を図2aに示す。一般に、コーティング容器は、下相液を添加して含めることができ、コーティングすべき基板を少なくとも部分的に浸漬することができ、コーティング液をその中に入れることができるように構成されるか、または構成可能な容器である。図2aに例示されるコーティング容器200は長方形として示されているが、しかしながら、使用されうるコーティング容器の形状には何ら制限はない。一般に、利用することができるコーティング容器の大きさおよび形状は、少なくともある程度は、大きさ、形状、および、同時にコーティングすることが所望される基板の数に応じて決めることができる。本明細書で論じた以外の要因も、本明細書に開示される方法に利用されうるコーティング容器の所望の大きさおよび形状に影響を及ぼしうる。
【0042】
一般に、コーティングされる基板が大きければ、コーティング容器も大きくなりうる;逆に、コーティングされる基板が小さければ、コーティング容器も小さくできる。複数の基板が同時にコーティングされる実施の形態では、コーティング容器は、複数の基板を、同時に、少なくとも部分的に浸漬することができる。複数の基板が同時にコーティングされる実施の形態では、基板の間に十分なスペースを与えるコーティング容器を使用することができる。
【0043】
図2aに示すコーティング容器200の大きさは、その寸法;長さL、高さH、および幅Wで表すことができる。長方形以外のコーティング容器は、他の寸法で表すことができる。ある実施の形態では、長方形コーティング容器は、基板またはコーティングすべき基板に応じて決まる、ある寸法を有することができる。典型的なコーティング容器は長方形の形状を有することができ、一般的には、インチで測定することができる寸法を有することができ;特定の非限定的な例となる実施の形態は、長さ約3インチ(7.62cm)、幅約1インチ(2.54cm)、高さ約6インチ(15.24cm)を有しうる。これらの典型的なコーティング容器は、本明細書に記載されるコーティング方法を実施し、約3インチ(7.62cm)長(図2aの寸法h)、25mm幅(図2aの寸法w)、および0.7mm厚(図2aの寸法t)の寸法を有する基板、ならびに他の寸法を有する基板をコーティングすることができよう。
【0044】
コーティング容器は下相液を含む。図2aにおける参照番号240は、下相液を示している。下相液の目的は、改質粒子が単分子層を形成し、基板に移ることができる表面を提供することである。下相液は、コーティング容器に含まれるのが一般的であるが、コーティング容器をいっぱいに満たす必要はない。下相液がコーティング容器を満たす度合いは、少なくともある程度は、基板の大きさ、コーティング容器の大きさ、コーティングされる基板の所望の量、またはそれらの組合せに応じて決めることができる。これら以外の要因も、下相液がコーティング容器を満たすべき程度を決定すると考えられる。下相液は、一般に、コーティング液をコーティング容器内に入れる前にいつでもコーティング容器内に入れることができる。
【0045】
下相液は、一般的には、液状担体、改質粒子の固有性および大きさ、コーティングされる基板、またはそれらの組合せを考慮して選択される。ある実施の形態では、下相液は、改質粒子および液状担体を含むコーティング液が、コーティング容器に入った後、下相液の表面に改質粒子の層を形成するように選択することができる。下相液およびコーティング液が下相液の表面に粒子の層を形成できるか否かを少なくともある程度決定しうる下相液の特性の1つは、液状担体の性質と比較した下相液の性質(例えば極性または非極性)である。例えば、改質粒子は、コーティング液および下相液の熱力学を考慮すると、下相全体に入るのではなく、むしろ、極性の下相表面上にとどまるであろうことから、極性の下相液(水など)は、疎水性の改質粒子と共に使用することができる。
【0046】
下相液およびコーティング液が下相液の表面に改質粒子の層を形成できるか否かを少なくともある程度決定することができる、下相液の別の特性は、液状担体の表面張力と比較した下相液の表面張力である。液状担体が改質粒子を下相液の表面に拡散する能力は、下相液と液状担体との間の表面張力の差異に関連する。例えば、液状担体の表面張力より高い表面張力を有する下相液は、それ自体の上に液状担体を自発的に拡散できる傾向にあり、それによって、下相液の表面に粒子を拡散する。それ程ではないにせよ、気液界面を通過するように粒子に働きかけ、役割を果たす重力もまた、下相液の表面張力の高さによって相殺される。
【0047】
下相液の固有性に少なくともある程度、影響を与えうる他の要因として、次のものが挙げられる。ある実施の形態では、液状担体は、下相液に混和性またはある程度混和性でありうる。ある実施の形態では、下相液は、液状担体を下相液から容易に回収できるようなものを選択することもできる。下相液はまた、環境上または職業上、有害または望ましくないと見なされないものを選択することができる。ある実施の形態では、下相液は、本明細書に記載される要因のうち、1つ、2つ以上、またはすべてに基づいて選択することができる。ある事例では、上述した以外の要因もまた、下相液の選択に関連しうる。
【0048】
下相液は、単一の溶媒、または2種類以上の溶媒を含んで差し支えない。下相液はまた、非溶媒成分を含むか、または非溶媒成分のみからなっていてもよい。下相液として用いられうる、例となる液体としては、限定はしないが、水または、水とアルコールの混合液が挙げられ、例えば、水と2−プロパノールの混合液などである。改質粒子が疎水性の性質である実施の形態では、下相液は水でありうる。ある実施の形態では、第2の溶媒を水(または他の溶媒)に加えて、所望の方法で水のある特定の特性を変えることができる。水のある特定の特性を変えるために加えることができる他の溶媒の例としては、限定はしないが、アルコールが挙げられ、例えば、2−プロパノール、エタノール、THFまたはそれらの混合液などである。これらの溶媒は、下相液上のコーティング液の拡張張力を制御するのに利用することができる。ある実施の形態では、非溶媒成分は、所望の方法で水のある特定の特性を変えることを目的として、水(または他の溶媒)に加えることができる。水のある特定の特性を変えるために、水に加えることができる非溶媒成分の例としては、限定はしないが、水の粘度を変えるグリセロール;下相のイオン強度を変える塩;下相のpH、イオン強度、またはpHとイオン強度の両方に影響を与える、酸、塩基、または酸および塩基の両方が挙げられる。
【0049】
下相液の表面にコーティング層を形成するため、コーティング液をコーティング容器に注入する。コーティング液は、本明細書を読了した当業者に周知の方法を使用して、コーティング容器に注入することができる。ある実施の形態では、コーティング液は、単一の位置においてコーティング容器に注入される。図2aは、ディスペンサ230がコーティング容器の一端に描かれている実施の形態を示している。これらの実施の形態では、コーティング液は、ディスペンサ230を介してコーティング容器に注入された後、ディスペンサ230から流れの矢印fの方向に向かって下相液の表面を移動する。したがって、コーティング液の流れは基板220の方に向かう。
【0050】
ある実施の形態では、コーティング液は、基板の方に向かって、実質的に単一の方向に全体的な流れを有する。一般に、ディスペンサ230において形成されるコーティング液の濃度は、一般的に、基板220の方に向かい、図2aに示す方向fに実質的に沿って流れを推し進める。別の言い方をすれば、少なくともある程度は拡散に起因する、コーティング液の流れのすべてのベクトルの合計は、実質的にfの方向を向く。これは、ディスペンサを円形の容器の中央に置いたときの状況とは対照的でありうる;このような状況では、拡散がディスペンサからすべての方向に向けて一様にコーティング液を推し進めるであろうことから、コーティング液の流れのすべてのベクトルの合計は、一般には、少なくともある程度は拡散に起因して、相殺されるであろう。さらに言い方を変えれば、コーティング液の全体的な流れは、容器の側壁に対し、実質的に平行である。この項では「実質的に」という用語は、例えば、平行な流路または流頭から約15°以下;10°以下;あるいは約5°以下の偏向であることを意味する。
【0051】
コーティング液をコーティング容器200に入れる速度は、改質粒子の種類および大きさ、液状担体、下相液、コーティング液中の改質粒子の濃度、コーティング容器の寸法および構成、基板の大きさ、コーティングされる基板の数および構成、基板をコーティング容器から分離する速度、またはそれらの組合せによって、少なくともある程度、決定することができる。上述した以外の要因もまた、コーティング液をコーティング容器に入れる速度を決定すると考えることができる。コーティング液をコーティング容器に入れる速度は、経時によって一定である必要はなく、変化して差し支えない。インチ単位の寸法を有する長方形のコーティング容器が用いられる、ある実施の形態では、コーティング液をコーティング容器に加える速度は、例えば、約0.1mL/分〜約1mL/分の範囲でありうる。
【0052】
コーティング液はまた、下相の表面に改質粒子の層を形成するのに十分な量でコーティング容器に注入することができる。ある実施の形態では、コーティング液は、下相の表面に改質粒子の単分子層を形成するのに十分な量でコーティング容器に注入することができる。重力に起因して、下相液に入り込む可能性がある改質粒子は、さらなるコーティング液をコーティング容器に加えることによって、置換することができる。2枚以上の基板をコーティングする、ある実施の形態では、第1の基板がコーティングされた後、さらなるコーティング液をコーティング容器に注入することによって、単分子層が再形成されうる。
【0053】
あるいは、コーティング液は、複数の基板をコーティングする方法において、連続的にコーティング容器に注入することができる。連続的な方法では、フィルムすなわち改質粒子の単分子層が形成され、基板は容器から分離または引き出され、実質的に連続して、同時に行う方式で、追加のコーティング液が加えられる。本明細書に開示される方法は、コーティング容器の一端でコーティング液を入れ、その後、基板の方に向かう単一の流れ方向に沿って、その地点から流れ出る方法であることから、連続的な方式で実施する場合には利点をもたらすことができる。連続的な性質は、基板およびその上にコーティングされた改質粒子を容器から分離し、さらに加えたコーティング液によって改質粒子を補給することによって生じうる。
【0054】
一般に、コーティング液をコーティング容器に注入するための任意の方法を利用することができる。例えば、1回以上のコーティング液を、コーティング容器にパルス状にボーラス添加することができ、あるいは、コーティング液は、実質的に連続的な方式でコーティング容器に注入することもできる。コーティング液はまた、複数のディスペンサを使用して、コーティング容器の異なる複数位置においてコーティング容器に注入することもできる。例えば、コーティング液は、下相液自体の上に注入することができ、コーティング液は、下相液に浸漬されていないコーティング容器の1つ以上の側面上のある位置から流し込むことができ、コーティング液は、下相液のレベルまたはそれに非常に近いコーティング容器の1つ以上の端に流れ込むことができ、コーティング液は、容器の下相の気液界面より下に加えることもでき、あるいは、それらの幾つかの組合せであってもよい。コーティング液は、コーティング容器の1つのエッジ全体(または実質的に全体)に流し込むことによって、コーティング容器に注入することもできる。これは、例えば、容器から容器のエッジ上へのコーティング液の連続的な流れを可能にするオーバーフロー装置を使用することによって、達成して差し支えない。ある実施の形態では、コーティング液は、コーティング容器の一端の1つのエッジから流し込まれる。
【0055】
経時により液体を注入するのに一般に利用される任意の装置を利用して、コーティング液をコーティング容器に注入することができる。例となる装置としては、シリンジポンプ、蠕動ポンプおよびピストンポンプが挙げられる。ある実施の形態では、シリンジポンプを利用して、コーティング液をコーティング容器に注入することができる。
【0056】
コーティング液は、コーティング容器に注入されると、一般に、下相液の表面に改質粒子の層を形成する。ある実施の形態では、改質粒子の層は、下相液の表面に単分子層を形成する。注入されるコーティング液内に含まれる液状担体の少なくとも一部は、下相液に溶解することができるか、コーティング液の層の外へ揮発するか、またはそれらの組合せである。これは、改質粒子が下相液の表面に単分子層を形成する前、形成と同時、形成後、またはそれらの任意の組合せにおいて、生じうる。ある実施の形態では、下相液の表面全体が、その上に改質粒子の単分子層を形成される必要はない。一般に、単分子層は、コーティング液をコーティング容器に注入する領域から幾分除かれている領域に形成される傾向が強い。
【0057】
コーティング液が例えば長方形の容器などの容器の一端から注がれる、ある実施の形態は、コーティング液をコーティング容器内の異なる地点から注入される場合と比較して、1回だけのコーティング方法または連続的なコーティング方法のいずれの場合にも、利点をもたらすことができる。例えば、コーティング液は容器の一端から注がれ、基板の方に向かって流れることから、コーティングされずに基板を迂回しうるコーティング液はそれほど多くはない。これは、容器内に存在しているが基板上にコーティングされない、すなわち、回収しなければならないコーティング液があまり多くは生じないことになる。大規模なコーティング方法の実用的観点から、これは利点をもたらしうる。
【0058】
長方形のコーティング容器が用いられる、ある実施の形態は、他の構成のコーティング容器を用いた場合には存在しないであろう、または容易に実現しないであろう、ある特定の利点をもたらしうる。長方形のコーティング容器は、特にコーティング液を一端から注入する場合に、側壁を理由として、利点を提供することができる。コーティング液が一端から注入される長方形のコーティング容器は、側壁に起因する有利な力を発生させることができる。長方形のコーティング容器の一端においてコーティング液を加える際には、わずかなコーティング液が、コーティング液の起源または基板を有していない容器側面(または端)にある壁の方に流れうる。側壁の存在により、このわずかなコーティング液は基板の方に方向転換されうる。この方向転換に関係する力は、下相におけるコーティングの充填秩序の増大を補助しうる。加えて、方向転換は、基板の方向に向かう単向性または単一の流れを可能にし、連続的かつ効率的なコーティング工程を可能にする。円形(例えば)などの他の容器の構成;または、端ではない地点(すなわちコーティング容器の中央)でコーティング液を入れる方法では、これらの利点を与えないであろう。
【0059】
さらには、コーティング液が一端から注入され、その後、基板に向かって単一の方向に流れる、長方形のコーティング容器は、あるコーティング液から別のコーティング液への切り替えを容易にしうる。他の構成のコーティング容器では、コーティング液の切り替えを同じ容易さで提供することはできないであろう。これは、大規模用途における実際的な利点を提供しうる。
【0060】
図2aに示すコーティング容器は、基板220も備える。基板220は、下相液中に少なくとも部分的に浸漬される。基板は、微粒子コーティングが最終的に形成される表面を備える。基板は、一般に、物品の任意の種類または大きさであって差し支えない。基板の大きさ、形状、またはその両方が変化することから、コーティング容器は、それらのコーティングに適合するように変えることができる。基板の大きさ、形状、またはその両方が変化することから、コーティング容器内にある下相液の量を変化させることは有利であろう。
【0061】
本明細書では、コーティングされることが望ましい任意の種類の基板を用いることができる。ある実施の形態では、下相液に浸漬した基板の少なくとも一部は、下相液によって少なくともある程度、湿っている。下相液による、基板の少なくともある程度の湿り気は、下相液の表面から基板への改質粒子の移動を促進する(が、必ずしも必要ではない)。これらの実施の形態では、基板の大部分が、湿り気を得た、または増進された材料であって差し支えなく、またはその材料自体が基板上にコーティングされていてもよい。基板の例となる形状としては、限定はしないが、スラブ(厚いまたは薄い)、円筒、さらに複雑な規則的な幾何学的形状、および不規則な形状が挙げられる。基板に利用することができる例となる材料としては、限定はしないが、ガラス、プラスチック、半導体、金属、および類似の材料が挙げられる。平坦ではない幾何学的形状を有する基板もまた、本明細書に開示される方法を使用してコーティングして差し支えなく、例えば、限定はしないが、ファイバおよび管が挙げられる。基板の例となる大きさとしては、限定はしないが、ミリメートル単位の寸法を有する基板から、フィート単位またはそれより大きい寸法を有する基板までが挙げられる。
【0062】
基板は、コーティング容器内で、少なくともある程度、下相液に浸漬させることができる。基板を容器内に浸漬させる程度は、少なくともある程度、基板が改質粒子でコーティングされる量に影響を与えうる。基板は、一般的には、コーティング容器にコーティング液を注入する前であればいつでも、少なくともある程度、下相液に浸漬させることができる;これは、下相液をコーティング容器に注入する前、後、または同時に行うことができる。
【0063】
基板をコーティング容器に部分的に浸漬することができる特定の方向は、少なくともある程度は、コーティング容器の大きさおよび構成、コーティングされる基板の大きさおよび構成、基板の望ましいコーティングの程度、コーティング容器が下相液で満たされる程度、またはそれらの組合せによって決めることができる。これら以外の要因もまた、コーティング容器内の基板の起こりうる方向を決定すると見なすことができる。
【0064】
図2aの概略図は、図2aにおける矢印fによって示されるコーティング液の流れに対して垂直または垂線の方向に、コーティングされる基板220の一部(図2aに示される背面225の反対側の表面)を示している。この特定の実施の形態は、容器内において、コーティング液の単一の流れ方向に垂直に方向付けられた基板の短軸(厚さtは無視する)、すなわち、この事例ではwを有する。
【0065】
図2bは、基板220をコーティング容器内で方向付けることができる別の方法を例証している。図2bに見られるように、コーティングされる基板220は、コーティング液の流れfに接して、または平行に、方向付けられる。この特定の実施の形態は、コーティング液の単一の流れ方向に平行に容器内で方向付けられた基板の短軸(厚さtは無視する)すなわち、この事例ではwを有する。この例となる実施の形態では、基板の両方の主表面(第1の表面221および、斜視図であることから視認できない反対側の表面)が、本方法を実施する際にコーティングされる。これに関連するに接する、または平行な方向は、類似の形状をしたコーティング容器において、複合的な形状の基板をコーティングすることができるという利点を提供することができる。例証の目的であって、限定はしないが、図2eは、コーティング容器200内に設置した球状または円盤の形状をした基板220を例証している。他の形状を有する基板もまた、そこに例証される長方形の形状のコーティング容器内でコーティングすることができる。
【0066】
本明細書に開示される方法は、複数の基板を同時にコーティングするために利用することもできる。複数の基板を「同時に」コーティングする方法は、1つのコーティング容器の使用のことをいうのであって、複数の基板が必ずしも同時にコーティングされなくてもよい。複数の基板を同時にコーティングすることができる(すなわち、コーティング容器から同時に分離する)が、「同時コーティング」は、同時に分離することを必要としない。図2cは、2枚の基板の片側だけを同時にコーティングするのに利用することができるコーティング方法の例となる構成を例証している。互いに内向きになっているコーティングされない面を有する、基板221および222が背中合わせに配置される。第2の基板222のコーティングされる面である221aおよび背面(斜視図の関係で隠れている)が、コーティング容器内に、下相液(および、最終的にはコーティング層)と接触して配置される。
【0067】
図2dは、コーティング容器内において接線方向に同時に設置された2枚以上の基板をコーティングするのに使用することができる、別の例となる構成を例証している。図2dに見られるように、2枚の基板223および224がコーティング容器内に同時に設置され、同時に、または異なる時点において、コーティング容器から分離する(それによってコーティングされる)ことができる。一般に、複数の基板は、それらを、互いに十分なスペースをとって、コーティング液の流れ方向に平行に配置することによって、同時にコーティングすることができる。複数の基板は、2セット以上の基板を背中合わせに重ね(図2cに見られるように)、コーティング容器内のコーティング液の流れに平行にスペースをとることによって、片面だけにコーティングすることもできる。図2fは、コーティング容器内において、接線方向に同時に配置された2枚以上の基板をコーティングするのに使用することができる、別の例となる構成を例証している。図2fに見られるように、複数の基板220a〜220hは、流れに接し、互いにスペースをとって、コーティング容器内に配置されるか、または取り込まれる。この構成は、すべての基板の両側を、同時にコーティングするのに使用することができる。
【0068】
本明細書に記載の方法における次の工程は、基板をコーティング容器から分離する工程40として図1aおよび1bに示されている。ある実施の形態では、基板および容器は、基板をコーティング容器から引き出すか、コーティング容器を基板から引き離すか、またはそれらの組合せによって分離することができる。ある実施の形態では、基板は、コーティング層を通じてコーティング容器から引き出される。ある実施の形態では、コーティング容器は、コーティング容器がそれらから分離される際に、コーティング層の表面が基板を横断して進むように、基板から分離される。
【0069】
一般に、この工程は、基板上に微粒子コーティングを形成するように、コーティング層、例えば、改質粒子の単分子層を基板に移動させる機能をする。基板がコーティング容器から引き抜かれる(またはその逆)際に、下相液の表面に存在する改質粒子の単分子層は、基板上に連続的に移動する。微粒子単分子層が基板に移動する結果として、下相液上の残りの単分子層は、基板の方に向かって移動する。
【0070】
実施の形態では、単一の単分子層が1つのコーティングに移動できることから、下相液から基板への単分子層の移動は、コーティング厚さの重要な調節をもたらしうる。同一の基板上に形成および分離の工程を繰り返し、それによって単分子層の多重層を基板上に形成することにより、これも制御可能に、より厚い層を形成することができる。異なる粒子、改質剤、またはその両方を、異なる層のために使用することにより、2つ以上の成分の多重層を形成することもできる。
【0071】
一般に、基板は、任意の角度で(下相の気液界面から測定して)、容器、または、さらに具体的には下相液から分離することができる。ある実施の形態では、基板は、約10°〜約170°の角度で下相液から分離することができる。ある実施の形態では、基板は、下相液の表面/コーティング層から約90°の角度で下相液から分離される。
【0072】
基板をコーティング容器から分離することができる速度(「リフトオフ速度」とも称される)は、多くの要因に基づいて決定することができ、限定はしないが、コーティング液がコーティング容器にどのように加えられるか(例えば、連続的であるか否か、および、連続的である場合にはその速度)、コーティング液中の改質粒子の濃度、粒子の大きさ、粒子密度、粒子の形状(粒子の形状は、それら自体が単分子層にどのように配置されるかにおいて機能する)、基板の大きさ、コーティング容器内の基板の数、両面または片面コーティングを行うか否か、コーティング容器の大きさ、またはそれらの組合せが挙げられる。これら以外の要因もまた基板をコーティング容器から分離することができる速度を決定すると見なすことができる。リフトオフ速度の例となる計算は、次の実施例に示されている。
【0073】
基板を下相液から分離することができる速度は、分離全体を通じて一定である必要はない。連続的なコーティングを実施する、ある実施の形態では、基板を下相液から分離することができる速度は、フィードバック制御ループによって調節することができる。ある実施の形態では、フィードバック制御ループは、数ある中でも特に、下相液の表面における改質粒子層の流頭の位置、下相液の表面圧力、またはそれらの組合せによって調節することができる。
【0074】
リフトオフ速度を計算した後、計算したリフトオフ速度の修正は、例えば次のような場合などの実施上の配慮点を所与とすれば、有利であろう。一部の粒子は下相に浸透しうるが、これは、コーティング液をコーティング容器に入れる領域により近いところで生じる可能性が高い。一部の粒子は、基板とコーティング容器の側壁との間のギャップを通じて漏れる場合もある。これらの損失を考慮すれば、実際のリフトオフ速度は、計算した理論的な速度の約40%の〜約90%になりうる。すべての損失を考慮した後、コーティング液を入れる速度が基板上へのコーティング速度よりも速い場合には、過剰の粒子は、下相上に浮いている存在するフィルムによって、下相内に偏向される。
【0075】
図3a〜3cは、典型的なコーティング方法のさまざまな工程を例証している。ひとたびコーティング液が形成されると(図3a〜3cには図示せず)、下相液上にコーティング層が形成される。図3aに見られるように、コーティング液は、コーティング液のディスペンサ330を介してコーティング容器300内に施され、コーティング層350を形成する。コーティング液は、ディスペンサ330におけるその添加点から、図3aの矢印fが示す単一の方向へと流れ、コーティング層350を形成する。コーティング層350は、一般に、基板320の方に向かって単一の方向に流れる。コーティング層350が形成された後、基板320は、図3bの矢印rが示すように、コーティング容器300から分離することができる。この特定の実施の形態において、基板は下相液から取り出される。図3cに見られるように、基板320は、完全にコーティング容器300から取り出されるまで、所定の引き出し速度で、さらに、コーティング容器300からも取り出される。また図3cに見られるように、基板320をコーティング容器300から引き出すことにより、基板320上の改質粒子のコーティング370(正確な縮尺ではない)が形成される。
【0076】
通常方向に向いている基板をコーティングする、ある実施の形態では、コーティング容器の内幅よりも若干小さい幅を有することは基板にとって有利でありうる。これは、基板のエッジの周りの改質粒子の「漏出」の可変量に起因して、可変性を最小限に抑えることができることから、通常方向において有利でありうる。「漏出」は、一部の用途にとって不利になりうる、部分的または可変的にコーティングされている基板の背面を生じることとなる。
【0077】
別の実施の形態では、本明細書に開示される方法は、コーティング液を形成し、ここで、前記コーティング液が、少なくとも1つの改質粒子および液状担体を含み;下相液の表面に前記コーティング液のコーティング層を形成し、ここで、前記下相液が容器に含まれ、基板が前記下相液内に少なくとも部分的に浸漬され;前記基板および前記容器を分離して前記コーティング層の少なくとも一部を前記基板に移し、微粒子コーティングを形成する、各工程を有してなる。
【0078】
本明細書に開示される方法には、随意的に、特に先に述べていない他の工程も含めることができ、限定はしないが、次のものが含まれる。基板は、それをコーティング容器に設置する前に、何らかの方法で影響を受けうる。例えば、基板は、超音波処理、洗浄および乾燥、またはそれらの組合せなどの既知の方法で清浄化することができる;基板はパターン化され、エッチングおよびフォトレジスト技術などの既知の方法によってパターン化コーティングを生成することができる;または、基板は、本明細書に開示され方法以外の方法を使用して、ある成分を用いてコーティングすることができる。コーティングされた後に、何らかの方法で基板に影響を与えることもでき、例えば、既知の乾燥方法を使用して基板を乾燥することができる;基板は、液状担体または他の溶媒を使用して洗浄またはすすぐことができる;制御雰囲気においてコーティング基板を加熱処理することによって、改質剤の粒子からの除去に影響を及ぼすために、基板を処理することができる;改質剤の粒子からの除去に影響(低温)を与えるために、基板を酸素プラズマ処理に供することができる;または、基板は、本明細書に開示される方法または他の方法を使用してさらにコーティングすることができる。
【0079】
本明細書に開示される方法に関連して行われうる他の随意的な工程としては、限定はしないが、改質粒子の下相液からの回収が挙げられる。上述のように、一部の改質粒子は下相液に浸入する可能性があり、これらの改質粒子は、その後のコーティングのために、回収してコーティング液に取り込むことができる。溶液からの粒子の回収を達成するために、当業者に一般に知られる方法を利用することができる。液状担体の下相液からの回収も行うことができる。上述のように、一部の実施の形態では、液状担体の一部は、コーティング液をコーティング容器内に施用した後に、下相液に溶解する場合がある。当業者に一般に知られる液液分離を達成するための方法を利用することができる。
【0080】
本明細書に開示される方法は、連続的に実施することもできる。連続的な方法では、基板上にコーティングされる改質粒子が下相液のコーティング層に補給されるように、コーティング液は連続的な方法でコーティング容器に加えられる。コーティング液の単一の流れの性質(添加地点から基板取り出し地点までの注入領域)により、本明細書に開示される方法は、連続的な実施の影響を非常に受けやすくなる。
【0081】
方法が連続的に行われる、ある実施の形態では、コーティング容器は、基板を連続的な方式でコーティング容器内に取り込めるように改質されて差し支えない。あるいは、1つ以上の追加の装置は、基板を連続的な方式でコーティング可能なコーティング容器内に導入できるように構成されうる。コーティング容器または追加の装置は、下相液中の、注入領域から少なくとも幾分離れた領域、基板と容器が分離される領域から少なくとも幾分離れた領域、またはその両方において、追加の基板を少なくとも部分的に浸漬するように構成することができる。基板はまた、下相液の1つの領域に取り込まれ、下相液中を基板とコーティング容器が分離される領域まで移動されうる。例えば、コーティング容器は、コーティング層が形成される下相液の表面以外から、コーティング容器に基板を取り込めるように改質されうる。さらに具体的には、例えば、長方形のコーティング容器は、コーティング容器の底を通じて、コーティング容器の端を通じて、コーティング容器の側面を通じて、またはそれらの組合せを通じて、基板をコーティング液に少なくとも部分的に浸漬させることができるように改質されうる。基板をコーティング容器内に取り込むのに利用されうる例となる追加の装置は、コーティングを目的として、基板が容器から最終的に分離される地点から少なくとも幾分離れた領域において、基板を下相液に少なくとも部分的に浸漬するように構成された装置を含みうる。さらに具体的には、追加の装置は、基板が下相液に取り込まれる領域から、基板を容器から分離することによって実際にコーティングされる領域までの弓形の通路に、基板を移動させることもできよう。
【0082】
本明細書に開示される方法は、コーティング法が一般に利用される任意の用途のための基板に、1つ以上のコーティングをするために使用することができる。コーティングされた基板は、さらなる加工をされることなく、そのままの状態で使用することができ、または、使用前に、さらに作用されてもよい。
【0083】
本開示はそのように限定されるわけではないが、本開示のさまざまな態様の正しい認識は、次に提供する実施例の検討によって得られるであろう。
【実施例】
【0084】
他に記載されない限り、すべての化学物質は、Sigma−Aldrich社(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー所在)から入手し、受け取ったままの状態で使用した。
【0085】
実施例1:リフトオフ速度の計算
この例示的計算のための既知のパラメータは:コーティング液のポンプ流量(Vpump=0.5mL/分);コーティング液におけるシリカ粒子の質量による濃度(Cmass=8mg/mL);シリカ粒子の平均直径(dp=2.5μm);シリカ粒子の密度(ρSiO2=2.196g/cm3);および基板の幅(W=25mm)である。
【0086】
この例示的計算のための仮定は:粒子は六方最密の単分子層を形成する;六方最密の単分子層における面積率は、式1:
【数1】

【0087】
で表すことができ、六方最密の単分子層における粒子数密度は、式2:
【数2】

【0088】
で表すことができる。
【0089】
よって、リフトオフ速度の計算は、次のように決定することができる。コーティング液中のシリカ粒子の粒子個数による濃度は、式3によって決定することができる:
【数3】

【0090】
通常のリフトオフでは、すべての粒子が基板上にコーティングされ、基板の前側のみがコーティングされ;よって、理論的なリフトオフ速度は、式4:
【数4】

【0091】
によって決定することができると仮定することができる。
【0092】
両面コーティングが達成されるべき地点(すなわち基板の接線コーティングまたは背中合わせの配置)では、上記計算したリフトオフ速度を半分に短縮することができる。
【0093】
実施例2:基板コーティング
シリカ微小球体の200mgの乾燥粉末(2.5μmからの平均直径;Bangs Laboratories社(米国インディアナ州フィッシャーズ所在))を超音波分解し、20mLの200プルーフエタノール中に分散した。0.2mLの29%の水酸化アンモニウム(NH4OH)、69μLのオクタデシルトリメトキシシラン(OTMS)および2mLのクロロホルムを分散液に加えた。次に、溶液を室温で12〜24時間攪拌し、OTMSがシリカ粒子のヒドロキシル基に化学的にグラフトできるようにした。次いで、グラフトしたシリカ粒子を5,000RPMで約30分間遠心分離することによって液体から分離し、エタノールで洗浄した。グラフトした粒子をIPA中に8mg/mLの濃度まで分散した。
【0094】
長方形のトラフ(3インチ(7.62cm)長×1インチ(2.54cm)幅×6インチ(15.24cm)高さ)を脱イオン水で満たした。アセトン中で10分間超音波分解し、エタノール中ですすぎ、N2ガス流れで乾燥させたEAGLE2000(登録商標)ガラス基板(3インチ(7.62cm)長×25mm幅×0.7mm厚、コーニング社製(米国ニューヨーク州コーニング所在))の一部分を、コーティング液の一般に予想される流れ方向に接した水面下(トラフの長辺に平行な基板表面を(側面の代わりに)有する長方形のトラフの中心)に沈めた。
【0095】
上記調製した分散液を、シリンジポンプを用いて0.5mL/分の速度でトラフ内に連続的に送り出し、トラフの短い端の1つの壁を伝って流した。水の表面に分散液を施した。容器内に十分な粒子が送り込まれた後、濃密単分子層が水面に形成された。次に、トラフ内の基板を0.31mm/秒の速度で引き上げた。基板全体を水である下相から引き上げた後、周囲条件下で乾燥させた。
【0096】
基板を、コーティング液の一般に予想される流れ方向に対する垂直方向に水面下(トラフの長辺に垂直な基板表面(側面の代わりに)を有する長方形のトラフの中心)に沈めたこと;および基板の引き上げ速度が0.63mm/秒であったこと以外は上記と同一の条件を用いて、別のコーティング実験を行った。
【0097】
デジタルカメラおよび光学顕微鏡を使用して、2つのコーティング基板の画像を記録した。図4は、通常方向に向けてトラフ内において表面下に沈めた基板についてのデジタルカメラ(図4a)および光学顕微鏡(図4b)画像を示しており、図5は、接線方向に向けてトラフ内において表面下に沈めた基板についてのデジタルカメラ(図5a)および光学顕微鏡(図5b)画像を示している。
【0098】
よって、微粒子コーティングを形成する方法の実施の形態が開示される。上述した実施および他の実施は、添付の特許請求の範囲内にある。当業者は、本開示が、開示されたもの以外の実施の形態で実施できることを認識するであろう。開示される実施の形態は、例示の目的で提示されるのであって、限定されない。
【図1a】

【図1b】

【図2a】

【図2b】

【図2c】

【図2d】

【図2e】

【図2f】

【図3a】

【図3b】

【図3c】

【図4a】

【図4b】

【図5a】

【図5b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子のコーティング方法であって、
少なくとも1つの改質粒子と液状担体とを含むコーティング液を形成し、ここで、前記改質粒子が、改質剤を粒子に共有結合させることによって形成され、
下相液の表面に前記コーティング液のコーティング層を形成し、ここで、前記下相液が容器内にあり、基板が、前記下相液に少なくとも部分的に浸漬され、前記コーティング液が、前記容器内において実質的に単一方向の流れを有し、
前記基板を前記容器から分離して、前記コーティング層の少なくとも一部を前記基板に移し、微粒子コーティングを形成する、
各工程を有してなる方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの改質剤が疎水性であり、
前記下相液が有極性であり、
前記少なくとも1つの粒子が親水性の無機酸化物であり、
前記改質剤が、C8−C24アルキル基を有する1つ以上の置換基を有するシランであり、
前記改質粒子が約2nm〜約20μmの直径を有する
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記液状担体が、アルコール、エーテル、またはそれらの混合液のうち少なくとも1つを含み、
前記改質粒子が、前記コーティング液中、約0.05〜約20mg/mLの濃度を有し、
前記コーティング層の形成が、前記コーティング液を前記下相液の表面に注入することを含む
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記基板の短軸が、前記容器内において前記コーティング液の流れの方向に対して垂直に方向付けられるか、前記基板の短軸が、前記容器内において前記コーティング液の流れの方向に平行に方向付けられるか、またはそれらの組合せであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
微粒子のコーティング方法であって、
少なくとも1つの改質粒子と液状担体とを含むコーティング液を形成し、ここで、前記改質粒子が、疎水性の改質剤を粒子に共有結合させることによって形成されており、
前記コーティング液を、下相液およびその中に少なくとも部分的に浸漬された基板を有する容器内に流し込み、ここで、前記コーティング液が、容器内において実質的に単一方向の流れを有し、前記下相液の表面にコーティング層を形成し、
前記基板を前記容器から分離して、前記基板上に微粒子コーティングを形成する、
各工程を有してなる方法。

【公表番号】特表2012−500716(P2012−500716A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523978(P2011−523978)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/054405
【国際公開番号】WO2010/022205
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】