説明

微細固体状洗顔料

【課題】 微細固体状に加工した洗顔料において、その泡立て性を更に向上せしめる技術を提供する。
【解決手段】 微細固体状の洗顔料において、1)飽和脂肪酸の石鹸30〜80質量%と2)アルカリ金属の炭酸塩及び/又は重炭酸塩を1〜20質量%とを含有すせしめる。前記微細固体状の形態としては、顆粒状乃至は細粒状であることが好ましく、前記飽和脂肪酸の石鹸としては、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、ベヘン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム及びベヘン酸ナトリウムから選択される1種乃至は2種以上が好ましく、前記アルカリ金属の炭酸塩及び/又は重炭酸塩としては、炭酸水素ナトリウムであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗顔料に関し、更に詳細には、敏感肌の人が使用するのに好適な洗顔料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年世の中のスピード化と、負荷ストレスの多大な増大によって、身体に不調を来す人が増大している。過剰ストレスの負荷は、思いもかけないところに現れ、思いもかけない影響を身体に与える。例えば、過剰に負荷されたストレスを生活環境とすることにより、皮膚バリア機能が低下し、敏感肌を形成することは既に知られている。(例えば、特許文献1を参照)この様な背景を元に、現代社会では、過去に例を見ないほど敏感肌の人が増大している。ここで、本発明で言う、敏感肌とは、通常、化粧などの行為を行わない場合に於いては、見た目には正常な皮膚の性状をしており、化粧料などを使用すると比較的高頻度で、紅斑の形成など不都合な皮膚反応を起こし、この為に実質的に化粧料の使用が不可能になっている人のことを意味する。紅斑などの不都合な事象が起こる確率は、10〜40%程度であると言われている。この様な定義の敏感肌の人は、化粧料使用経験のある人口の、10〜30%にも達すると言われている。この数値は、データベースにより、多少異なる。
【0003】
この様な敏感肌の人で、最も困る化粧行為は洗顔であると言われている。即ち、化粧水やクリームなどで処置する基礎化粧は、大事を取って、化粧料を使用しないでも事足りるが、皮脂分泌などの存する限り、洗顔行為なしに済ますことは出来ず、固形石鹸などを用いて、良く泡立てて、この泡を用いてびくびくしながら洗顔しているのが実状であると言える。この様な使用態様においても、時として、トラブルを発現することが存する。この様なトラブルに於ける原因のかなりの部分を、泡立ての不充分さによる、洗浄後の石鹸乃至脂肪酸の残余が占めることを本発明者らは見出している。
【0004】
一方、敏感肌用の洗浄料としては、脂肪酸石鹸そのものを顆粒や細粒などの微細固体状に加工して、糖あるいはシリカなどの粉体を含有させて、用時に泡立てネット、泡立てスポンジ或いは刷毛などを用いて泡立てて、この泡によって洗顔する化粧料が開発されている。(例えば、特許文献2、特許文献3或いは特許文献4を参照)この様な化粧料を用いることにより、残存脂肪酸によるトラブル発生は防げるが、この様な製剤で泡立てることには多くの困難が存し、泡とならない微細固形分が泡の中に残存する場合が少なくないので、脂肪酸石鹸の残存による刺激発現の問題は完全には解決されているとは言えない。
【0005】
他方、微細固体状の洗顔料であって、1)飽和脂肪酸の石鹸30〜80質量%と2)アルカリ金属の炭酸塩及び/又は重炭酸塩を5〜20質量%とを含有する洗顔料は全く知られておらず、この様な洗顔料は泡立て性能に優れるており、泡立てた場合、泡とならない微細固形分が、泡の中に残存しにくいことは全く知られていなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2001−213778号公報
【特許文献2】特開2004−189621号公報
【特許文献3】特開2004−155901号公報
【特許文献4】特開2003−155213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、微細固体状に加工した洗顔料において、その泡立て性を更に向上せしめる技術を提供することを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、微細固体状に加工した洗顔料において、その泡立て性を更に向上せしめる技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、重曹などのアルカリ金属の炭酸塩乃至は重炭酸塩を共存せしめることにより、かかる泡立て性の向上が具現化できることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)微細固体状の洗顔料であって、1)飽和脂肪酸の石鹸30〜80質量%と2)アルカリ金属の炭酸塩及び/又は重炭酸塩を1〜20質量%とを含有することを特徴とする、洗顔料。
(2)前記微細固体状の形態が、顆粒状乃至は細粒状であることを特徴とする、(1)に記載の洗顔料。
(3)前記飽和脂肪酸の石鹸が、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、ベヘン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム及びベヘン酸ナトリウムから選択される1種乃至は2種以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の洗顔料。
(4)前記アルカリ金属の炭酸塩及び/又は重炭酸塩が、炭酸水素ナトリウムであることを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の洗顔料。
(5)敏感肌の人用の化粧料であることを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の洗顔料。
(6)その使用態様が、水とともに手指又は小道具を用いて泡立てて、該泡を皮膚上に延展し、しかる後に水洗する態様であることを特徴とする、(1)〜(5)何れか1項に記載の洗顔料。
(7)前記小道具が、ネット乃至はスポンジであることを特徴とする、(6)に記載の洗顔料。
(8)アルカリ金属の炭酸塩及び/又は重炭酸塩を共存させることを特徴とする、微細固体状の脂肪酸石鹸の泡立て性のの泡立て性の向上方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、微細固体状に加工した洗顔料において、その泡立て性を更に向上せしめる技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1)本発明の洗顔料の必須成分である飽和脂肪酸の石鹸
本発明の洗顔料は、微細固体状の洗顔料であって、飽和脂肪酸の石鹸を必須成分として、30〜80質量%、より好ましくは、40〜70質量%含有することを特徴とする。前記飽和脂肪酸の石鹸を構成する飽和脂肪酸としては、直鎖の飽和脂肪酸が好ましく、その炭素数は、5〜30のものが好ましく、10〜28のものが特に好ましい。又、前記飽和脂肪酸の石鹸を構成するアルカリとしてはアルカリ金属が好ましく、中でもナトリウム或いはカリウムが特に好ましい。具体的には、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、ベヘン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム或いはベヘン酸ナトリウムが好ましく例示できる。これらは唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有せしめることも出来る。この場合に於いて、飽和脂肪酸の石鹸の全量に対し、少なくとも50質量%、より好ましくは70質量%以上が飽和脂肪酸のナトリウム石鹸であることが好ましい。これは粉末形態に於いて、粉末同志が二次凝集しにくい為である。かかる飽和脂肪酸の石鹸は、微細固形状に加工した後に含有させることが好ましい。本発明で言う、微細固形状とは、顆粒、細粒、粉末を包括する言葉であり、具体的には、50メッシュの篩いを通過する程度の粒径で表される。例えば、顆粒であれば50〜150メッシュパス、100〜250メッシュオン程度の粒径を、細粒であれば100〜200メッシュパス、200〜300メッシュオン程度の粒径を、粉末としては、200メッシュパス程度の粒径を表す。粉末化する方法は、擂壊器、ハンマーミルなどの通常知られている方法を用いて行えばよい。
【0011】
(2)本発明の洗顔料の必須成分である重炭酸塩、炭酸塩
本発明の洗顔料は、微細固体状の洗顔料であって、アルカリ金属の炭酸塩及び/又は重炭酸塩を1〜20質量%、より好ましくは、2〜15質量%とを含有することを特徴とする。かかるアルカリ金属の炭酸塩及び/又は重炭酸塩を構成するアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムが好ましく例示でき、中でもナトリウム、カリウムが好ましく、ナトリウムが特に好ましい。炭酸塩と重炭酸塩では、重炭酸塩を用いる方が好ましい。具体的な化合物としては、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウムが好ましく例示でき、炭酸ナトリウムと重炭酸ナトリウムがより好ましく、重炭酸ナトリウムが特に好ましく例示できる。これらのアルカリ金属の炭酸塩及び/又は重炭酸塩は唯一種を含有することも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。かかる成分も前記の脂肪酸のナトリウム石鹸同様に微細固体状に加工して含有せしめることが好ましい。かかるアルカリ金属の炭酸塩及び/又は重炭酸塩は、本発明の洗顔料において、泡立ち性を向上せしめる効果を発揮する。これにより、泡中に微細な脂肪酸石鹸固体が残存し、これにより洗浄後に刺激が発現するのを抑制することが出来る。
【0012】
(3)本発明の洗顔料
本発明の洗顔料は、前記必須成分を含有し、微細固体状であることを特徴とする。本発明の洗顔料には、本発明の効果を損なわない範囲において、洗顔料で使用される任意成分を含有することができる。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、本発明の飽和脂肪酸石鹸に分類されない脂肪酸セッケン(オレイン酸ナトリウム、イソステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類、パパイン等の酵素類などが好ましく例示できる。本発明の洗顔料の任意成分としては、1気圧25℃の条件下で固体であることが好ましい。本発明の洗顔料はこれらの成分を常法に従って処理することにより製造することが出来る。
【0013】
本発明の洗顔料を使用するに際しては、本発明の洗顔料の特徴である、泡立ち性をより高めるために、泡立ての小道具を用いることが好ましい。かかる泡立ての小道具としては、ナイロンネット等の繊維で作成したネットを100〜10000cm2に裁断して加工したネット、スポンジを3〜10cm程度の大きさに加工した泡立て用のスポンジ、毛足の長さ1〜10cm、毛束の幅2〜10cmの刷毛等が例示できる。これらの小道具を利用することにより、より細やかな、しっかりした泡を立てることが出来る。又、脂肪酸石鹸の微細固体の残存も極めて少なくなる。この様な状況から、この様な小道具を用いることが好ましい。
【0014】
(4)本発明の泡立て性の向上法
本発明の泡立て性の向上法は、洗顔料の泡立てにおいて、アルカリ金属の炭酸塩及び/又は重炭酸塩を共存させることを特徴とする。前記洗顔料としては、微細固形状の脂肪酸石鹸を洗浄料とする洗顔料が好適に例示できる。本発明の方法に於いては、本発明の洗顔料のように前記洗顔料と、泡立て向上のための成分であるアルカリ金属の炭酸塩及び/又は重炭酸塩とを予め同一製剤として共存せしめておくことも出来るし、用時に泡立てのための媒体である水などとともに、混合して、或いは混合しながら泡立てることも出来る。これらの何れの態様も本発明の泡立て向上法の技術的範囲に属する。
【0015】
以下に、本発明について、実施例を挙げて更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0016】
以下に示す処方に従って、本発明の洗浄料を作成した。即ち、予めハンマーミルで粉砕した処方成分をヘンシェルミキサーで混合し、篩過して、100メッシュパス、200メッシュオンの細粒を集め、本発明の洗浄料1とした。
【0017】
ステアリン酸ナトリウム 5 質量%
パルミチン酸ナトリウム 10 質量%
ミリスチン酸ナトリウム 15 質量%
ラウリン酸ナトリウム 50 質量%
重炭酸ナトリウム 1 質量%
結晶セルロース 10 質量%
シリカゲル 9 質量%
【実施例2】
【0018】
実施例1と同様に下記に示す処方に従って、本発明の洗浄料2を得た。
【0019】
ステアリン酸ナトリウム 4.75質量%
パルミチン酸ナトリウム 9.5 質量%
ミリスチン酸ナトリウム 14.25質量%
ラウリン酸ナトリウム 47.5 質量%
重炭酸ナトリウム 5 質量%
結晶セルロース 10 質量%
シリカゲル 9 質量%
【実施例3】
【0020】
実施例1と同様に下記に示す処方に従って、本発明の洗浄料3を得た。
【0021】
ステアリン酸ナトリウム 4.44質量%
パルミチン酸ナトリウム 8.88質量%
ミリスチン酸ナトリウム 13.31質量%
ラウリン酸ナトリウム 44.37質量%
重炭酸ナトリウム 10 質量%
結晶セルロース 10 質量%
シリカゲル 9 質量%
【実施例4】
【0022】
実施例1〜3の本発明の洗浄料1〜3について、実施例2の重炭酸ナトリウムをシリカゲルに置換した比較例1とともに、泡立て試験を行った。即ち、洗浄料1.5gを1lのデュア瓶に取り水道水150mLを加えて20回振とうし、泡だった液をメスシリンダーに移し総量と下部に遊離している水の量を、経時的に読み取った。結果を表1に示す。これより、本発明の洗浄料は泡立ち性に優れるとともに、泡の維持性にも優れることが判る。
【0023】
【表1】

【実施例5】
【0024】
実施例1と同様に下記に示す処方に従って、本発明の洗浄料4を得た。実施例4の評価において、10分後の値は総量が604mlで遊離水量は110mlであった。
【0025】
ステアリン酸ナトリウム 4.75質量%
パルミチン酸ナトリウム 9.5 質量%
ミリスチン酸ナトリウム 14.25質量%
ラウリン酸ナトリウム 47.5 質量%
重炭酸カリウム 5 質量%
結晶セルロース 10 質量%
シリカゲル 9 質量%
【実施例6】
【0026】
実施例1と同様に下記に示す処方に従って、本発明の洗浄料5を得た。実施例4の評価において、10分後の値は総量が606mlで遊離水量は108mlであった。
【0027】
ステアリン酸ナトリウム 4.75質量%
パルミチン酸ナトリウム 9.5 質量%
ミリスチン酸ナトリウム 14.25質量%
ラウリン酸ナトリウム 42.5 質量%
ミリスチン酸カリウム 5 質量%
炭酸ナトリウム 5 質量%
結晶セルロース 10 質量%
シリカゲル 9 質量%
【実施例7】
【0028】
本発明の洗顔料2と比較例1とを用いて、試験開始時には肌の異常は認められず、且つ、過去洗顔料の使用において、刺激感を感じやすい特性の敏感肌のパネラー16名を用いて使用試験を行った。スキコンII(イービー・コーポレーション製)で経皮散逸水分量(TEWL)を計測し、パネラーがTEWLの値が30以上で通常の人より値が大きいことを確認した上で、TEWLの値のバラツキがないように8人ずつ2群に群分けした。1群には洗浄料1を渡し、もう1群には比較例1を渡し、1日1回の洗顔を14日間連続して行う使用テストを行った。被験者の安全を期して、少しでも肌に異常を感じた場合には直ちにテストを中止するように、指示しておいた。洗浄料1を使用する群においては、全例テストを完遂したのに対して、比較例1は全例、途中中止となった。これより、本発明の洗顔料が優れた安全性を有していることが判る。又、この安全性は泡立ちの良さに起因するものであることも判る。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、洗顔料に応用でき、該洗顔料は敏感肌の人にも安全に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細固体状の洗顔料であって、1)飽和脂肪酸の石鹸30〜80質量%と2)アルカリ金属の炭酸塩及び/又は重炭酸塩を1〜20質量%とを含有することを特徴とする、洗顔料。
【請求項2】
前記微細固体状の形態が、顆粒状乃至は細粒状であることを特徴とする、請求項1に記載の洗顔料。
【請求項3】
前記飽和脂肪酸の石鹸が、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、ベヘン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム及びベヘン酸ナトリウムから選択される1種乃至は2種以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の洗顔料。
【請求項4】
前記アルカリ金属の炭酸塩及び/又は重炭酸塩が、炭酸水素ナトリウムであることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の洗顔料。
【請求項5】
敏感肌の人用の化粧料であることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の洗顔料。
【請求項6】
その使用態様が、水とともに手指又は小道具を用いて泡立てて、該泡を皮膚上に延展し、しかる後に水洗する態様であることを特徴とする、請求項1〜5何れか1項に記載の洗顔料。
【請求項7】
前記小道具が、ネット乃至はスポンジであることを特徴とする、請求項6に記載の洗顔料。
【請求項8】
アルカリ金属の炭酸塩及び/又は重炭酸塩を共存させることを特徴とする、微細固体状の脂肪酸石鹸の泡立て性のの泡立て性の向上方法。

【公開番号】特開2006−241010(P2006−241010A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−55492(P2005−55492)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】